説明

位相差補償素子、液晶表示素子、及びプロジェクタ

【課題】VAN‐LCDのコントラストを改善し、視野角を拡大する位相差補償素子を提供する。
【解決手段】
液晶表示素子46内の液晶分子86は、電圧を印加されない状態で略垂直に配向するが、実際には所定の角度だけプレチルトして配向している。液晶表示素子46を透過する光の位相差を補償する位相差補償素子61は、表面に垂直な光学軸L3を持つ負のCプレートとディスコティック液晶分子をハイブリッド配向させて重合したハイブリッド配向層72とからなり、ディスコティック液晶分子の配向方向L4と液晶表示素子46内の液晶分子86のチルト方向L7とが平行になるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を通過する光の位相差を補償する位相差補償素子に関し、さらに詳しくは、電圧が印加されていない状態で液晶分子が略垂直に配向するVAN液晶を通過する光の位相差を補償する位相差補償素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子(以下、LCD)は、電卓や電子辞書、テレビ、デジタルカメラのディスプレイ、カーナビゲーションシステムのモニタ、携帯電話やコンピュータのモニタ、液晶プロジェクタの表示素子など、様々な電子機器のディスプレイとして用いられている。
【0003】
LCDは、液晶層の動作モードの違いによりいくつかの種類に分類することができる。例えば、TN(Twisted Nematic)‐LCD,VAN(Virtical Alingment Nematic)‐LCD,IPS(In‐Plane Switching)‐LCD,OCB(Optically Conmpensatory Bend)‐LCDなどが知られている。このような様々なLCDのうち、何れの動作モードのLCDを用いられるかは、電子機器の使用環境や必要とする性能に応じて選択される。
【0004】
例えば、VAN‐LCDは、垂直配向膜間にネマティック液晶を封入し、液晶層に電圧を印加しない状態(以下、無電圧状態)で液晶分子が基板に対して略垂直に配向するようにつくられる。液晶分子が基板に対して略垂直に配向していると、この液晶分子の影響を殆ど受けずに光が液晶層を通過するから、無電圧状態のVAN‐LCDが表示する黒色は、液晶層を挟み込むようにクロスニコル配置で設けられた偏光板の特性と略一致し、非常に高いコントラストを実現できることが知られている。
【0005】
このことから、拡大して表示するために高いコントラストが要求される液晶プロジェクタは、VAN‐LCDを多く採用している。しかし、このVAN‐LCDは、正面から観察する場合には前述のように非常に良いコントラストを実現できるが、他のLCDと同様に、斜め方向から観察する場合にはコントラストは低下し、また、中間階調色の明るさが逆転する階調反転現象が起きるなど、表示特性は悪化してしまう。これは、例えば、十分な電圧を印加された状態の液晶層に斜めに入射する直線偏光は、液晶層の複屈折性により楕円偏光に変換され、検光子として機能する偏光板を透過する成分が生じることで光漏れが発生してしまうことが一つの原因である。
【0006】
これを改善するために、素子表面に対して垂直な光学軸を有する位相差補償素子、いわゆるCプレートを用いて、液晶層を斜めに透過する光の位相差を補償することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
一方、高密度に画素が設けられたLCDの基板上では、隣接する画素間に生じる横方向の電場によって液晶分子が所定の向きとは逆向きに傾いてしまうリバースチルトドメインが誘起され、配向欠陥が生じる。この配向欠陥を防ぎ、LCDを安定して動作させるためには、液晶分子を所定角度に予め傾けておかなければならない(以下、プレチルト)。例えば、VAN‐LCDの場合には、理想的には基板面に対して略垂直に配向する液晶分子は、実際には基板面の法線方向から3〜10度程度予め傾斜させておく必要がある。
【0008】
このような液晶分子のプレチルトは、基板面に対して垂直に光が入射する場合であっても、複屈折によって位相差を生じさせるから、VAN‐LCDのコントラストを低下させる原因となる。
【0009】
そこで、液晶分子のプレチルトに起因するコントラストの低下を改善するために、素子表面に対して平行な光学軸を有するいわゆるAプレートを、前述のCプレートに組み合わせて用いることが提案されている。
【0010】
また、素子表面に対して傾斜する光学軸を有するいわゆるOプレートを2層以上積層して、TN‐LCDの中間階調色での視野角を拡大する技術が提案されている。具体的には、CプレートやAプレートとともに、互いの進相軸が直交するように2個のOプレートを組み合わせて用いることでTN‐LCDのコントラストを改善する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−145268号公報
【特許文献2】米国特許第5638197号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、Cプレートを単独で用いることで表示特性の改善を図る場合には、液晶素子に斜めに入射する光の位相差を補償することができるものの、液晶分子のプレチルトを原因とする位相差を補償することができないという問題がある。
【0012】
また、CプレートにAプレートを組み合わせて用いると、液晶分子のプレチルトを原因とする位相差は補償される。しかし、Aプレートを組み合わせることで位相差が補償される光の入射角の範囲は狭い。すなわち、極角にして20度程度の広い範囲の入射光を扱う実際のVAN‐LCDでは、大きな入射角の光の位相差は理想的な値からのズレも大きくなり、十分な補償効果が得られないという問題がある。
【0013】
さらに、互いの進相軸が直交するように2個のOプレートを用いる位相差補償素子は、素子表面の法線方向に透過する光に対しては等方的であるから、VAN‐LCDを垂直に透過する光の位相差を補償することができない。すなわち、液晶分子のプレチルトに起因する位相差を補償することができないという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の位相差補償素子は、電圧が印加されていないときに液晶分子が基板面に対して略垂直に配向する液晶素子と組み合わせて用いられ、前記液晶分子の配向方向に応じて生じる光の位相差を補償する位相差補償素子であり、一方の表面から他方の表面にかけて徐々に配向が変化するハイブリッド配向した状態で重合された液晶分子からなり、電圧が印加されたときに前記液晶素子内の液晶分子が傾斜する方向に対して、透過する光の位相が遅れる遅相軸の方向が垂直になるように配置されるハイブリッド配向層を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記ハイブリッド配向層は単層で設けられていることを特徴とする。
【0016】
また、前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は円盤状化合物であり、前記円盤状化合物が配向する方向と前記液晶素子内の液晶分子が傾斜する方向とが平行となるように配置されることを特徴とする。
【0017】
また、前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は棒状化合物であり、前記棒状化合物が傾斜する方向と前記液晶素子内の液晶分子が傾斜する方向とが垂直となるように配置されることを特徴とする。
【0018】
また、前記ハイブリッド配向層は複数層設けられていることを特徴とする。
【0019】
また、前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は円盤状化合物であり、前記円盤状化合物が傾斜する方向と透過する光の位相差の補償に寄与する前記円盤状化合物の量とから定まるベクトルを各々の前記ハイブリッド配向層について合成したベクトルが前記液晶素子内の液晶分子の傾斜する方向に対して平行になるように、各々の前記ハイブリッド配向層を重ね合わせて設けることを特徴とする。
【0020】
また、前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は棒状化合物であり、前記棒状化合物が傾斜する方向と透過する光の位相差の補償に寄与する前記棒状化合物の量とから定まるベクトルを各々の前記ハイブリッド配向層について合成したベクトルが前記液晶素子内の液晶分子の傾斜する方向に対して垂直になるように、各々の前記ハイブリッド配向層を重ね合わせて設けることを特徴とする。
【0021】
また、表面に対して垂直な光学軸を有する複屈折層を備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の液晶表示素子は、上述の位相差補償素子を備えることを特徴とする。
【0023】
本発明のプロジェクタは、上述の位相差補償素子を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明の位相差補償素子によれば、VAN‐LCDの液晶分子のプレチルトに起因する位相差及びVAN‐LCDの液晶層に斜めに入射する光の位相差を、広い入射角の範囲に対して補償され、VAN‐LCDの視野角は拡大される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図1に示すように、液晶プロジェクタ10(プロジェクタ)は、投映レンズ16、プロジェクタ駆動部17、表示光学系18などから構成される。
【0026】
また、液晶プロジェクタ10は、筐体19の上面にズームダイヤル21、フォーカスダイヤル22、光量調節ダイヤル23などが設けられている。さらに、液晶プロジェクタ10は、筐体19の背面にコンピュータなどの外部機器と接続するための接続端子(図示しない)などが設けられている。
【0027】
投映レンズ16は、表示光学系18から入射される投映光を拡大し、スクリーン39(図2参照)に投映像を表示させる。この投映レンズ16は、例えば、ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞りなどから構成される。ズームレンズやフォーカスレンズは投映光軸L1に沿って移動自在に設けられている。ズームレンズは、ズームダイヤル21の操作に応じて移動され、投映像の表示倍率を調節する。また、フォーカスレンズは、ズームレンズの移動やフォーカスレンズの操作に応じて移動され、投映像のピントを調節する。さらに絞りは、光量調節ダイヤル23の操作に応じて、絞り開口の面積を変化させ、投映像の明るさを調節する。
【0028】
プロジェクタ駆動部17は、液晶プロジェクタ10の各部の電気的な動作を制御する。例えば、プロジェクタ駆動部17は、液晶プロジェクタ10に接続されるコンピュータなどから画像データなどを受信し、後述する液晶表示素子に表示させる。また、プロジェクタ駆動部17は、投映レンズ16の各部を駆動するモータをそれぞれ備えており、ズームダイヤル21、フォーカスダイヤル22、光量調節ダイヤル23などの操作に応じてこれを駆動する。
【0029】
図2に示すように、表示光学系18は投映光,情報光(後述)のもととなる光を発する光源部26と、この光源部26から入射される光から情報光を生成する情報光生成部27などから構成される。
【0030】
光源部26は、ランプ31、反射鏡32、UVカットフィルタ33、インテグレータ34、リレーレンズ37、コリメートレンズ38、偏光子39などから構成される。
【0031】
ランプ31は、例えばキセノンランプなどの高輝度光源であり、特定の偏光方向を持たない自然な白色光を発する。このランプ31から発せられた白色光は、UVカットフィルタ33によって紫外光が除去され、インテグレータ34に導かれる。
【0032】
UVカットフィルタ33は、ランプ31から発せられる白色光から紫外光を除去することで、プロジェクタ10に設けられた各種フィルタが有機高分子の重合体などからなる場合に、褪色するなどの品質の劣化を防止する。
【0033】
反射鏡32は、例えば楕円曲面状の鏡であり、この楕円曲面の一方の焦点の近傍にランプ31が設けられる。さらに、他方の焦点近傍には、インテグレータ34の一端が設けられる。したがって、反射鏡32は、ランプ31から発せられる白色光を効率よくインテグレータ34に導く。
【0034】
インテグレータ34は、例えば、ガラスロッドと、このガラスロッドの端面に設けられるマイクロレンズアレイなどから構成され、ランプ31から発せられる白色光を集光し、リレーレンズ37を介してコリメートレンズ38へと導く。また、ランプ31からインテグレータ34に入射する光の光量は、光源光軸L2から離れるほどに減少し、光源光軸L2を中心として不均一に分布するが、インテグレータ34は、このような不均一な光量分布の光を、光源光軸L2を中心として必要な範囲で略均一な光量分布となるように調節する。これにより、投映像はスクリーン39の全面で略均一な明るさの像となる。
【0035】
コリメートレンズ38は、インテグレータ34から入射する光を光源光軸L2に平行な光に整えて偏光子39へと入射させる。偏光子39は、コリメートレンズ38から入射する光を直線偏光に整え、反射鏡41などを介して情報光生成部27のダイクロイックミラー42へと導く。
【0036】
情報光生成部27は、ダイクロイックミラー42,43、液晶表示素子46,47,48、位相差補償素子51,52,53、ダイクロイックプリズム54などから構成される。
【0037】
ダイクロイックミラー42は、その表面の法線方向と入射する光の光軸とのなす角が45度と成るように設けられる。また、ダイクロイックミラー42は、光源部26から入射するS偏光の白色光から赤色光成分を透過し、反射鏡57へと導く。この反射鏡57は、ダイクロイックミラー42から入射する赤色光を液晶表示素子46へと入射させる。
【0038】
一方、ダイクロイックミラー42は、光源部26から入射する白色光のうち、緑色光成分と青色光成分とを反射し、ダイクロイックミラー43へと導く。ダイクロイックミラー43は、その表面の法線方向と入射する光の光軸とのなす角が45度となるように配置される。また、ダイクロイックミラー43は、ダイクロイックミラー42から入射する光のうち、緑色光成分を反射して液晶表示素子47へと入射させる。
【0039】
さらに、ダイクロイックミラー43は、ダイクロイックミラー42から入射する光のうち、青色光成分を透過して反射鏡44へと導く。この青色光は、反射鏡44及び反射鏡45に反射されて液晶表示素子48へと入射する。
【0040】
液晶表示素子46は、透過型のVAN‐LCDであり、偏光子51と検光子52との間に配置される。偏光子51は、液晶表示素子46に入射する光を透過軸に沿った直線偏光に整える。また、検光子52は、透過軸が偏光子51の透過軸と垂直になるように、いわゆるクロスニコルに配置され、液晶表示素子46から入射する光のうち透過軸に沿った方向の偏光成分だけをクロスダイクロイックプリズム54へ透過させる。
【0041】
液晶表示素子46の液晶層に封入された液晶分子は、無電圧状態で液晶表示素子46の表面に対して略垂直に配向する。したがって、偏光子51から液晶表示素子46に入射し、無電圧状態に調節された液晶層を透過する光は、検光子52を透過しない。また、こうした液晶分子の配向は、液晶分子を上下に挟み込むように設けられた配向膜によって実現される。この配向膜は、例えば、ガラス基板上に酸化シリコンなどを斜方蒸着することによって作製される。さらに、液晶表示素子46は、液晶層を挟み込むようにして設けられた透明電極間に印加する電圧を画素ごとに調節し、各画素の液晶分子の配向を変化させて透過する光の偏光状態を制御する。
【0042】
また、液晶表示素子46はプロジェクタ駆動部17によって駆動され、コンピュータなどから受信した画像などの投映像データのうち、赤色で表示する成分をグレースケールで表示する。したがって、反射鏡57から入射する赤色光は、偏光子51,液晶表示素子46,検光子52の順に透過すると、投映像の赤色成分の情報を持つ赤色の情報光となる。
【0043】
なお、液晶表示素子46内の液晶分子は、無電圧状態で液晶表示素子46の表面に対して略垂直に配向するが、実際にはリバースチルトドメインを防ぐために、電圧が印加されたときに傾斜する方向に予め3〜10度程度プレチルトしている。
【0044】
同様に、液晶表示素子47は、透過型のVAN‐LCDであり、偏光子53と検光子54との間に配置され、投映像データのうち緑色で表示する成分をグレースケールで表示する。したがって、ダイクロイックミラー43から入射する光は、偏光子53,液晶表示素子47,検光子54の順に透過すると投映像の緑色成分の情報を持つ緑色の情報光となり、クロスダイクロイックプリズム54へと入射する。
【0045】
さらに同様にして、液晶表示素子48は、透過型のVAN‐LCDであり、偏光子56と検光子57との間に配置され、投映像データのうち青色で表示する成分をグレースケールで表示する。したがって、反射鏡59から入射する光は、偏光子56,液晶表示素子48,検光子57の順に透過すると、投映像の青色成分の情報を持つ青色の情報光となり、クロスダイクロイックプリズム54へと入射する。
【0046】
ダイクロイックプリズム54は、ガラスなどの透明素材を用いて略立方体形状につくられ、内部に互いに交差するダイクロイック面56aとダイクロイック面56bとを備える。ダイクロイック面56aは赤色光を反射し、緑色光を透過する。一方、ダイクロイック面56bは、青色光を反射し、緑色光を透過する。したがって、ダイクロイックプリズム54は、液晶表示素子46,47,48からそれぞれ入射する赤色,緑色,青色の情報光を合わせて投映光とし、この投映光を投映レンズ16へと導くことで、スクリーン39に投映像をフルカラーで表示させる。
【0047】
位相差補償素子61は、偏光子51と検光子52との間に配置され、偏光子51,液晶表示素子46,検光子52を透過する光の位相差を補償する。すなわち、位相差補償素子61は液晶表示素子46を斜めに透過する光の位相差を、検光子52を透過しない位相差に補償するとともに、液晶表示素子46を垂直に透過した光であっても、液晶分子のプレチルトが原因で生じる位相差を補償する。
【0048】
同様に、位相差補償素子62は、偏光子53と検光子54との間に配置され、液晶表示素子47を斜めに透過する光の位相差と液晶分子のプレチルトが原因で生じる位相差とを補償する。さらに、同様に、位相差補償素子63は、偏光子56と検光子57との間に配置され、液晶表示素子48を斜めに透過する光の位相差と液晶分子のプレチルトが原因で生じる位相差とを補償する。なお、以下では位相差補償素子61を例に挙げて詳細を説明するが、位相差補償素子62,63についても同様である。
【0049】
具体的に、位相差補償素子61は、表面に垂直な光学軸L3を持つ負のCプレート71(以下、単にCプレートと称す)とハイブリッド配向層72とからなる。Cプレート71は、図3に示すように、例えば、基材となるガラス基板76の上に、高屈折率層77と低屈折率層78とを交互に積層してつくられる。高屈折率層77は低屈折率層78と比較して屈折率の大きな誘電体、例えばTiOからなる。一方、低屈折率層78は高屈折率層77と比較して屈折率の小さな誘電体、例えばSiOからなる。こうしてつくられるCプレート71は表面に対して垂直な光学軸L3を持ち、Cプレート71を垂直に透過する光に対しては等方的である。すなわち、Cプレート71を垂直に透過する光は偏光の方向に影響を受けない。一方、Cプレート71を斜めに透過する光に対しては異方的であり、Cプレート71は複屈折体として機能する。
【0050】
なお、Cプレート71の材料は上述の例に限らず、高屈折率層77の材料としてはZrOなどを用いても良く、低屈折率層78としてはMgFなどを用いても良い。また、高屈折率層77及び低屈折率層78の各々の光学的膜厚、すなわち物理的膜厚と屈折率との積は可視光の波長λよりも十分に小さく作製することが好ましい。
【0051】
ハイブリッド配向層72は、図4に示すように、ディスコティック液晶分子81、配向膜82、ガラス基板83などからなる。ディスコティック液晶分子81は、重合性の液晶分子であり、例えば、円盤状の剛直なコア部とこのコア部から放射状に伸びる柔軟な重合性の側鎖部とからなる。具体的に、ディスコティック液晶分子81は、例えばトリフェニレン誘導体であるが、これに限らない。
【0052】
配向膜82は、基材となるガラス基板83上に、酸化シリコンなどの無機材料を斜方蒸着して作製され、蒸着角度に応じて傾斜した柱状構造が林立する構造となっている。この配向膜82上に塗布されるディスコティック液晶分子81は、前述の柱状構造が傾斜する方向(以下、配向方向)L4に応じて配向する。
【0053】
ディスコティック液晶分子81が配向膜82上に塗布され、所定温度に加熱されると、配向方向L4に応じて、いわゆるディスコティックネマティック相を呈する。ことのき、例えば、配向膜82の近傍に位置するディスコティック液晶分子81は、ハイブリッド配向層72の表面に対して略平行になるように、配向方向L4に沿って配向する。一方、空気との界面近傍に位置するディスコティック液晶分子81は、配向膜82の近傍に位置するディスコティック液晶分子81よりも傾斜して配向する。このようにディスコティック液晶分子81の配向が配向膜82からの距離に応じて異なり、ハイブリッド配向となっている状態で、紫外線などを照射し、重合反応や架橋反応をすすめると、室温においてもこのハイブリッド配向は維持される。
【0054】
上述のように構成される位相差補償素子62が配置される向きは、図5に示すように、液晶表示素子46内の液晶分子が傾斜する方向に応じて決められる。液晶表示素子46及び位相差補償素子62は、前述のように、偏光子51と検光子52との間に配置される。このとき、偏光子51の透過軸L5と検光子52の透過軸L6とは互いに垂直になるように配置される。
【0055】
液晶表示素子46内の液晶分子86が傾斜する方向(以下、チルト方向)L7は、液晶分子86がプレチルトしている方向であり、液晶表示素子46はこのチルト方向L7が偏光子51の透過軸L5、検光子52の透過軸L6の何れとも45度の角度をなすように配置される。しかし、このように液晶表示素子46を配置し、無電圧状態に調節された場合であっても液晶分子86がプレチルトしているために、液晶表示素子46は偏光子51から入射する光に対して等方的でなく、液晶表示素子46はチルト方向L7に遅相軸を持つ複屈折体のように機能してしまう。すなわち、液晶表示素子46が無電圧状態に調節されている場合であっても、検光子52を透過する偏光成分が生じる。
【0056】
一方、ハイブリッド配向層72は層全体でディスコティック液晶分子81の配向方向L4に垂直な方向に遅相軸がある複屈折体のように機能する。そこで、ハイブリッド配向層72の配向方向L4が液晶表示素子46のチルト方向L7と平行となるように、位相差補償素子46を配置する。このように位相差補償素子46を配置すると、Cプレート71が液晶表示素子46を斜めに透過する光の位相差を補償するとともに、液晶表示素子46が無電圧状態に調節されているときに液晶分子86のプレチルトが原因で生じてしまう位相差は、ハイブリッド配向層72によって補償される。
【0057】
例えば、位相差補償素子62を配置せずに、無電圧状態に調節した液晶表示素子46のコノスコープ像を得ると、図6に示すように、最良のコントラストは10000:1にのぼる。一方、極角20度の範囲内でコントラストが1000:1程度にまで低下する部分もある。液晶分子86のチルト方向(方位角φ=45度方向)とこれに垂直な方向(方位角φ=−45度方向)でコントラストの低下が著しい。また、最暗点87も視野の中心(極角θ=0度)にはなく、液晶分子86のチルト方向にずれている。これらは、液晶分子86のプレチルトによる位相差と、液晶表示素子46を斜めに透過する光が検光子52を透過するからである。
【0058】
そこで、例えば、位相差補償素子62の全体でなく、極角θ=20度方向のレタデーションが−28nm,厚さ方向のレタデーションが−250nmのCプレート71を用いて液晶表示素子46のコノスコープ像を得ると、図7に示すように、良いコントラストが得られる範囲は広がり、位相差補償素子61を全く設けない場合と比較すれば視野角特性は大きく改善される。これはCプレート71が液晶表示素子46を斜めに透過する光の位相差を補償するからである。しかし、極角θ=20度の範囲で、コントラストが1600:1程度に低下してしまう部分も未だある。また、最暗点87は未だ液晶分子86のチルト方向にずれている。
【0059】
さらに、厚さ40nm,ディスコティック液晶分子81の配向角度の分布が30度〜60度のハイブリッド配向層72を設け、位相差補償素子61の全体を用いて液晶表示素子46のコノスコープ像を得ると、図8に示すように、良いコントラストが得られる範囲はさらに広がった。また、極角θ=20度の範囲で、コントラストが最も低い部分であってもそのコントラストは2000:1程度にとどまった。さらに、最暗点87は視野の中心(極角θ=0度)と略一致した。これらのことは、ハイブリッド配向層72を設けることで液晶分子86のプレチルトが原因の位相差は、広い視野角の範囲で補償されることを示している。また、このハイブリッド配向層72はCプレート71と併せて用いることで、液晶表示素子46の視野角特性が改善されることを示す。
【0060】
また、上述の位相差補償素子61,液晶表示素子46と同様に、位相差補償素子62,63はそれぞれ液晶表示素子47,48の液晶分子のプレチルトを原因とする位相差と液晶表示素子を斜めに透過する光の位相差とを補償する。したがって、プロジェクタ10のコントラストは改善される。
【0061】
以上のように、ハイブリッド配向層72の配向方向L4が液晶表示素子46内の液晶分子86のチルト方向L7と平行になるように、液晶表示素子46に位相差補償素子62を配置して用いることで、液晶表示素子46のコントラスト及び視野角は改善される。また、Cプレート71をハイブリッド配向層72と併せて用いることで、各々を単独で用いる場合と比較して、コントラスト及び視野角はさらに改善される。さらに、液晶表示素子内の液晶分子がプレチルトしていることを原因とする位相差をAプレートによって補償する場合と比較して、ハイブリッド配向層72は広い入射角の範囲のコントラストを改善することができる。したがって、位相差補償素子61,62,63を用いるプロジェクタは、コントラストが改善される。
【0062】
なお、上述の位相差補償素子61はハイブリッド配向層72を1層備えているが、これに限らず、複数のハイブリッド配向層を設けても良い。例えば、ディスコティック液晶分子からなる第1ハイブリッド配向層91と第2ハイブリッド配向層92とを設けた位相差補償素子93を用いるとする。
【0063】
このとき、図9に示すように、第1ハイブリッド配向層91の配向方向と、位相差の補償に寄与するディスコティック液晶分子の量とに応じて、表面に平行な第1配向ベクトル96を定める。すなわち、第1配向ベクトル96の方向は第1ハイブリッド配向層91の配向方向とし、第1配向ベクトル96の大きさは第1ハイブリッド配向層91内のディスコティック液晶分子のうち位相差の補償に寄与するディスコティック液晶分子の量に比例する大きさとする。位相差の補償に寄与するディスコティック液晶分子の量は、各ハイブリッド配向層のオーダパラメータなどから決定される。また、同様にして、第2ハイブリッド配向層92についても第2配向ベクトル97を定める。さらに、第1配向ベクトル96と第2配向ベクトル97を合成して合成配向ベクトル98とする。そして、この合成配向ベクトル98が液晶表示素子46のチルト方向L7と平行になるように、第1ハイブリッド配向層91及び第2ハイブリッド配向層92は配置される。
【0064】
同様にして、さらに多数のハイブリッド配向層を位相差補償素子に設ける場合には、各ハイブリッド配向層の配向ベクトルを定め、各々の配向ベクトルを合成した合成配向ベクトルが液晶表示素子のチルト方向と平行になるように各ハイブリッド配向層を配置すれば良い。
【0065】
また、厚さが異なるハイブリッド配向層を組み合わせて用いる場合は、各層の配向ベクトルの大きさが異なるが、上述と同様に、合成配向ベクトルを液晶表示素子のチルト方向と平行になるように各ハイブリッド配向層を配置すればよい。
【0066】
このように位相差補償素子にディスコティック液晶分子81からなる複数のハイブリッド配向層を設けると、複数のハイブリッド配向層の全体としては合成配向ベクトルに垂直な方向に遅相軸のある複屈折体のように機能し、液晶表示素子46の液晶分子がプレチルトによる位相差を補償する。
【0067】
さらに、各ハイブリッド配向層内のディスコティック液晶分子には、液晶表示素子46の液晶分子による位相差の補償に殆ど寄与しない分子も含まれているが、これらの位相差の補償に寄与しない分子によって生じる余分な位相差は、複数のハイブリッド配向層間で打消し合う。したがって、位相差補償素子に複数のハイブリッド配向層を設けると、単層のハイブリッド配向層を設ける場合と比較して、より精度良く効果的に位相差を補償され、コントラスト及び視野角はより改善される。
【0068】
なお、前述の位相差補償素子61のように単層のハイブリッド配向層72を設ける場合は、配向ベクトルと合成配向ベクトルとが同一である場合であって、複数のハイブリッド配向層を配置する場合と同様の配置となっている。
【0069】
また、上述の位相差補償素子61はハイブリッド配向層72にディスコティック液晶分子81を用いるが、これに限らず、棒状液晶分子を用いても良い。図10に示すように、例えば、棒状液晶分子100からなるハイブリッド配向層101を単層で設けた位相差補償素子102を用いるとする。この棒状液晶分子100からなるハイブリッド配向層101は、ディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層と異なり、層全体として、棒状の液晶分子が傾斜する配向方向L8に遅相軸をもつ複屈折体のように機能する。したがって、ハイブリッド配向層101の配向方向L8が液晶表示素子46のチルト方向L7と垂直になるように、位相差補償素子102は液晶表示素子46に対して配置される。
【0070】
このように位相差補償素子102を配置することで、ハイブリッド配向層が棒状液晶分子100からなる場合であっても、ディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層を備える場合と同様に、液晶表示素子46のコントラスト及び視野角を改善することができる。
【0071】
さらに、位相差補償素子は、棒状液晶分子100からなるハイブリッド配向層を複数備えていても良い。例えば、図11に示すように、棒状液晶分子100からなる第3ハイブリッド配向層106と第4ハイブリッド配向層107とを複数層備える位相差補償素子108を用いるとする。
【0072】
このとき、前述のディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層を複数設ける場合と同様にして、第3ハイブリッド配向層106の棒状液晶分子100の配向方向と位相差の補償に寄与する棒状液晶分子100の量とに基づき、位相差補償素子の表面に平行な面内に第3配向ベクトル111を定める。また、第4ハイブリッド配向層107についても同様にして、第4配向ベクトル112を定める。さらに、第3配向ベクトル111と第4配向ベクトル112とを合成して合成配向ベクトル113とする。そして、この合成配向ベクトル113が液晶表示素子46のチルト方向L7に対して垂直になるように、第3ハイブリッド配向層106及び第4ハイブリッド配向層107は配置される。
【0073】
また、棒状液晶分子100からなるハイブリッド配向層をさらに多数層を位相差補償素子に設ける場合には、各ハイブリッド配向層の配向ベクトルを上述と同様に定める。そして、これらの配向ベクトルを合成した合成配向ベクトルが液晶表示素子のチルト方向に対して垂直になるように各ハイブリッド配向層を配置すれば良い。
【0074】
上述のように配置することで、棒状液晶分子100からなるハイブリッド配向層を用いる場合であっても、液晶表示素子内の液晶分子のプレチルトを原因とする位相差は、ディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層を用いる場合と同様に補償され、液晶表示素子のコントラストや視野角は改善される。
【0075】
なお、上述の位相差補償素子は、複数のハイブリッド配向層を備える場合であっても、ディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層か棒状液晶分子からなるハイブリッド配向層の何れか一方を備えるが、これに限らず、ディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層と棒状液晶分子からなるハイブリッド配向層とを組み合わせて用いても良い。
【0076】
また、上述の実施形態では、透過型の液晶表示素子を用いるプロジェクタを例に説明するが、これに限らず、反射型の液晶表示素子を用いるプロジェクタに本発明の位相差補償素子を用いても良い。
【0077】
さらに、上述の実施形態では、位相差補償素子はハイブリッド配向層とCプレートとからなるが、これに限らず、上述のハイブリッド配向層だけを位相差補償素子としても良い。
【0078】
また、上述の実施形態では、ハイブリッド配向層とCプレートとを略同じ位置に設けるが、これに限らず、ハイブリッド配向層とCプレートを独立に別の場所に設けても良い。すなわち、ハイブリッド配向層やCプレートは、偏光子と検光子との間に配置されていれば良く、必ずしも隣接して設ける必要は無い。例えば、ハイブリッド配向層を液晶表示素子と検光子との間に配置し、一方、Cプレートを偏光子と液晶表示素子との間に配置しても良い。
【0079】
また、上述の実施形態では、ハイブリッド配向層やCプレートは各々ガラス基板上に設けられるが、これに限らず、液晶表示素子の表面や内部、偏光子や検光子の表面などに直接設けても良い。
【0080】
さらに、上述の実施形態では、Cプレートは無機材料からなる高屈折率層77,低屈折率層78の積層体であるが、これに限らない。すなわち、Cプレートは表面に垂直な光学軸を持つ複屈折体であれば良く、例えば、ポリマーなどの有機材料からなるフィルムなどであっても良い。
【0081】
また、上述の実施形態では、位相差補償素子を適用する液晶表示素子はVAN‐LCDであれば良く、シングルドメインのVAN‐LCDであっても良く、マルチドメインのVAN‐LCDであっても良い。
【0082】
また、上述の実施形態では、液晶プロジェクタは、R,G,Bのそれぞれに対応する3個の液晶表示素を備えるが、これに限らず、1個の液晶表示素子のみを備える液晶プロジェクタであっても良い。
【0083】
さらに、上述の実施形態では、液晶表示素子に垂直に光を入射させる、いわゆるオンアクシスの配置で液晶表示素子を用いるが、これに限らず、入射光の光路と情報光の光路が一致しない、いわゆるオフアクシスの配置で液晶表示素子を用いても良い。
【0084】
また、上述の実施形態では、反射防止層などの一般に液晶表示素子に用いられる様々な付加機能層の説明を省略するが、本発明の位相差補償素子とともにこれらの付加機能層を従来どおりに用いることが好ましい。
【0085】
なお、上述の実施形態では、ハイブリッド配向層の材料はディスコティック液晶分子や棒状液晶分であるが、これに限らず、バナナ型の液晶分子やコーン型の液晶分子などであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】液晶プロジェクタの外観を示す斜視図である。
【図2】液晶プロジェクタの光学的な構成を示すブロック図である。
【図3】Cプレートの構成を示す断面図である。
【図4】ハイブリッド配向層の構成を示す斜視図である。
【図5】位相差補償素子の配置を示す説明図である。
【図6】位相差補償素子を用いない場合の液晶表示素子のコノスコープ像である。
【図7】Cプレートだけを用いる場合の液晶表示素子のコノスコープ像である。
【図8】位相差補償素子を用いる場合の液晶表示素子のコノスコープ像である。
【図9】ディスコティック液晶分子からなるハイブリッド配向層を複数層設ける場合の位相差補償素子の配置を示す説明図である。
【図10】棒状液晶分子からなるハイブリッド配向層を1層設ける場合の位相差補償素子の配置を示す説明図である。
【図11】棒状液晶分子からなるハイブリッド配向層を複数層設ける場合の位相差補償素子の配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0087】
10 液晶プロジェクタ
27 情報光生成部
46,47,48 液晶表示素子
61,62,63,93,102,108 位相差補償素子
51,53,56 偏光子
52,54,57 検光子
71 Cプレート
72,91,92,101,106,107 ハイブリッド配向層
81 ディスコティック液晶分子(円盤状化合物)
86 液晶分子
87 最暗点
96,97,111,112 配向ベクトル
98,113 合成配向ベクトル
100 棒状液晶分子(棒状化合物)
L3 光学軸
L4,L8 配向方向
L5,L6 透過軸
L7 チルト方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が印加されていないときに液晶分子が基板面に対して略垂直に配向する液晶素子と組み合わせて用いられ、前記液晶分子の配向方向に応じて生じる光の位相差を補償する位相差補償素子において、
一方の表面から他方の表面にかけて徐々に配向が変化するハイブリッド配向した状態で重合された液晶分子からなり、前記液晶素子内の液晶分子が、電圧が印加されたときに傾斜する方向に対して、遅相軸の方向が垂直になるように配置されるハイブリッド配向層
を備えることを特徴とする位相差補償素子。
【請求項2】
前記ハイブリッド配向層は単層で設けられていること
を特徴とする請求項1記載の位相差補償素子。
【請求項3】
前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は円盤状化合物であり、前記円盤状化合物が配向する方向と前記液晶素子内の液晶分子が傾斜する方向とが平行となるように配置されること
を特徴とする請求項2記載の位相差補償素子。
【請求項4】
前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は棒状化合物であり、前記棒状化合物が傾斜する方向と前記液晶素子内の液晶分子が傾斜する方向とが垂直となるように配置されること
を特徴とする請求項2記載の位相差補償素子。
【請求項5】
前記ハイブリッド配向層は複数層設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の位相差補償素子。
【請求項6】
前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は円盤状化合物であり、
前記円盤状化合物が傾斜する方向と透過する光の位相差の補償に寄与する前記円盤状化合物の量とから定まるベクトルを各々の前記ハイブリッド配向層について合成したベクトルが前記液晶素子内の液晶分子の傾斜する方向に対して平行になるように、各々の前記ハイブリッド配向層を重ね合わせて設けること
を特徴とする請求項5記載の位相差補償素子。
【請求項7】
前記ハイブリッド配向層内の液晶分子は棒状化合物であり、
前記棒状化合物が傾斜する方向と透過する光の位相差の補償に寄与する前記棒状化合物の量とから定まるベクトルを各々の前記ハイブリッド配向層について合成したベクトルが前記液晶素子内の液晶分子の傾斜する方向に対して垂直になるように、各々の前記ハイブリッド配向層を重ね合わせて設けること
を特徴とする請求項5記載の位相差補償素子。
【請求項8】
表面に対して垂直な光学軸を有する複屈折層を備えることを特徴とする請求項1乃至7何れかに記載の位相差補償素子。
【請求項9】
請求項1乃至8何れかに記載の位相差補償素子を備えることを特徴とする液晶表示素子。
【請求項10】
請求項1乃至8何れかに記載の位相差補償素子を備えることを特徴とするプロジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−75460(P2009−75460A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245922(P2007−245922)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】