説明

位相補償クロック分周回路

【課題】分周クロックが同期信号に対して常に同一位相となるように制御し誤動作や動作遅れを防止する位相補償クロック分周回路を提供する。
【解決手段】所定周期の源クロックを動作クロックとする第1部品1と、源クロックを分周した分周クロックを動作クロックとし第1部品1と同期した処理を行う第2部品2とが混在するシステムで用いられる位相補償クロック分周回路において、源1クロックを発生し第1部品1に出力するクロック発生手段3と、源クロックを分周して生成した分周クロックを第2部品2に出力する分周手段4と、第1部品1が源クロックから生成し第2部品2に出力する同期信号を取り込み該同期信号のパルスエッジから所定の一定期間だけ遅延させた時点に位相を合わせた分周クロックを分周手段4に発生させる同期制御手段5とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同期信号を用いた位相補償クロック分周回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図3は、従来のクロック分周回路を用いたシステム構成図である。このシステムは、源クロックで動作する部品1と源クロックを2分周した分周クロックで動作する部品2とが混在したシステムになっている。
【0003】
このため、源クロック発生器3で例えば64MHzの源クロックを発生させて部品1に与え動作させる共に、フリップフロップ4で源クロックを2分周して32MHzの分周クロックを生成し、この分周クロックを部品2に与えて動作させている。そして、部品1と部品2とが同期した処理を行える様に、部品1が源クロックから同期信号を生成し、この同期信号を部品2に与える様になっている。
【0004】
また、下記特許文献1記載の従来技術では、第1部品から出力される同期信号により第2部品の動作クロックを同期させる場合に、分周器の前段にゲート回路を設け、ゲート回路を通過する範囲(ウインドウ)を制御することで、同期信号の変動により発生する分周クロックのジッタを防いでいる。
【0005】
【特許文献1】特開平6−45913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図3に示すシステムでは、電源投入時に、部品1と部品2との同期処理に支障を来す場合が生じる。電源投入後に、部品1は源クロックから同期信号を発生させ部品2に出力するのであるが、部品1が源クロックから同期信号を発生させるときに、図4に示す様に、電源投入後の2n個目の源クロックの入力時点で同期信号aを発生させるのか、2n+1個目の源クロックの入力時点で同期信号bを発生させるのかにより、分周クロックと同期信号との位相がずれ、部品2の誤動作や動作遅れの原因になってしまうためである。これは、特許文献1記載の従来技術でも同様である。
【0007】
本発明の目的は、分周クロックが同期信号に対して常に同一位相となるように制御し誤動作や動作遅れを防止する位相補償クロック分周回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の位相補償クロック分周回路は、所定周期の第1クロックを動作クロックとする第1部品と、該第1クロックを分周した分周クロックを動作クロックとし前記第1部品と同期した処理を行う第2部品とが混在するシステムで用いられる位相補償クロック分周回路において、前記所定周期の第1クロックを発生し前記第1部品に出力するクロック発生手段と、前記第1クロックを分周して生成した第2クロックを前記第2部品に出力する分周手段と、前記第1部品が前記第1クロックから生成し前記第2部品に出力する同期信号を取り込み該同期信号のパルスエッジから所定の一定期間だけ遅延させた時点に位相を合わせた前記第2クロックを前記分周手段に発生させる同期制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の位相補償クロック分周回路の前記同期制御手段は、前記同期信号を取り込み該同期信号と前記第1クロックとから所定クロック数幅のパルス信号を生成する同期検出手段と、該パルス信号と前記分周手段の出力クロックとから該分周手段の入力信号をリセットする位相調整手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、分周クロック(第2クロック)の位相を同期信号に対して常に一定にすることができるため、動作クロックの異なる部品間の同期処理に支障が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る位相補償クロック分周回路の構成図である。本実施形態のクロック分周回路は、部品1に源クロック(第1クロック)を与える源クロック発生回路3と、部品2に源クロックを2分周した分周クロック(第2クロック)を与えるフリップフロップ4とを備える点は図3のシステム構成と同様であるが、本実施形態のクロック分周回路は、更に、フリップフロップ4の同期制御を行う同期制御手段5を備える。
【0013】
同期制御手段5は、図示する例では、同期検出部10と、位相調整部20とを備えて構成される。
【0014】
同期検出部10は、D型フリップフロップ11と、論理積ゲート12とを備える。フリップフロップ11のD端子には、部品1が源クロックから生成し部品2に与える同期信号が入力され、フリップフロップ11のクロック端子には源クロック発生回路3からの源クロックが入力される。
【0015】
2入力論理積ゲート12には、フリップフロップ11のQ出力と、同期信号の反転信号とが入力され、両入力信号の論理積の反転信号が、位相調整部20に出力される。
【0016】
位相調整部20は、2入力論理積ゲート21を備える。2入力論理積ゲート21の一方入力端には論理積ゲート12の出力信号が入力され、他方入力端には、2分周回路であるフリップフロップ4のQバー出力(Q−と標記)が入力され、ゲート21からは、両入力信号の論理積信号が出力される。
【0017】
2分周回路であるD型フリップフロップ4のD端子には論理積ゲート21の出力が入力され、クロック端子には源クロック発生回路3からの源クロックが入力され、Q出力すなわち源クロックの2分周クロックが部品2に出力される。
【0018】
図2は、図1に示す同期信号を用いた位相補償クロック分周回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【0019】
部品1には源クロックが入力され、部品1は、この源クロックから同期信号を生成し出力する。本実施形態の位相補償クロック分周回路は、同期信号のパルス立ち下がりエッジの時点から所定の一定期間d後、図示する例では源クロックの2クロック遅延後のパルス立ち上がり時点に、部品2で使用する2分周クロックの位相を合わせる構成になっている。この所定の一定期間dが常に一定であれば、部品1と部品2の同期処理に支障は生じない。
【0020】
そのため、本実施形態では、同期検出部10のフリップフロップ11は、源クロックを抹消して同期信号をサンプリングし、抹消により1クロック分だけ遅延させた遅延同期信号を生成し、Q端子から出力する。
【0021】
論理積ゲート12は、遅延していない反転した同期信号と、前記遅延同期信号との論理積信号の反転信号を生成し位相調整部20に出力する。即ち、同期信号の立ち下がりエッジから抹消により1クロック分のパルス同期信号を発生させる。
【0022】
位相調整部20では、同期検出部10で生成されたパルス同期信号で分周器のフリップフロップ4をリセットし、同期信号に対し、2分周したクロックの位相を一定にする。これにより、源クロックで動作する部品1と、2分周クロックで動作する部品2との同期処理が可能となる。
【0023】
以上述べた様に、本実施形態によれば、分周クロックの位相を同期信号に対して常に一定にすることができるため、動作クロックの異なる部品間の同期処理に支障は生じない。
【0024】
尚、図示する例では、部品2に与える2分周クロックをフリップフロップのQ出力から得ているが、反転位相のクロックが必要な場合にはQ−出力を使用すれば良いことはいうまでもない。
【0025】
また、2分周した分周クロックについて述べているが、部品2を3分周,4分周,…と任意数の分周クロックで動作させる場合にも、上述した実施形態を適用して同期処理を保証することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る位相補償クロック分周回路は、あるクロックで動作する部品とこのクロックを任意数だけ分周したクロックで動作する部品とが混在するシステムで部品間の同期処理を確実に行うことができるため、例えば固体撮像素子の評価システムの様に異なるクロックで動作する部品が混在するシステムに適用すると有用である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施形態に係る位相補償クロック分周回路の回路図である。
【図2】図1に示す位相補償クロック分周回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図3】従来のクロック分周回路の回路図である。
【図4】図3に示すクロック分周回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0028】
1 源クロックで動作する部品
2 源クロックを分周したクロックで動作する部品
3 源クロック発生回路
4 分周器を構成するフリップフロップ
5 同期制御手段
10 同期信号検出部
11 フリップフロップ
12 論理積ゲート
20 位相調整部
21 論理積ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周期の第1クロックを動作クロックとする第1部品と、該第1クロックを分周した分周クロックを動作クロックとし前記第1部品と同期した処理を行う第2部品とが混在するシステムで用いられる位相補償クロック分周回路において、前記所定周期の第1クロックを発生し前記第1部品に出力するクロック発生手段と、前記第1クロックを分周して生成した第2クロックを前記第2部品に出力する分周手段と、前記第1部品が前記第1クロックから生成し前記第2部品に出力する同期信号を取り込み該同期信号のパルスエッジから所定の一定期間だけ遅延させた時点に位相を合わせた前記第2クロックを前記分周手段に発生させる同期制御手段とを備えることを特徴とする位相補償クロック分周回路。
【請求項2】
前記同期制御手段は、前記同期信号を取り込み該同期信号と前記第1クロックとから所定クロック数幅のパルス信号を生成する同期検出手段と、該パルス信号と前記分周手段の出力クロックとから該分周手段の入力信号をリセットする位相調整手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載の位相補償クロック分周回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−193235(P2008−193235A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−23149(P2007−23149)
【出願日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】