説明

位置把握システム

【課題】複数の階層に分かれた場所など、位置の把握が困難な状況においても互いに位置を把握することが可能な位置把握システムを提供する。
【解決手段】サーバは携帯端末から受信した検索要求に含まれる検索先端末識別情報に基づいて、位置情報を通知させるための位置情報検出要求を検索先の携帯端末に送信し、検索先の携帯端末は周辺のICリーダ/ライタを検索しリーダ/ライタ識別情報を付加してサーバに回答し、サーバは検索先の携帯端末から受信したリーダ/ライタ識別情報に基づいて、検索先の携帯端末の位置を把握すると伴に位置情報の回答を作成し、検索要求した携帯端末に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、非接触IC(Integrated Circuit)を有した端末を用いて、端末利用者の位置を把握することが可能な位置把握システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
大規模のショッピングモールや大きな駅等においては、構内が広く混雑も発生する事から、迷子が発生したり同伴者とはぐれる事が多くある。このような場所で同伴者の位置を知るシステムとして、例えば、特許文献1に開示されているように、GPSシステム(Global Positioning System)を用いた迷子探索システムがある。また、特許文献2で開示されているように、移動端末から発信される電波を3つの基地局で受信し、移動端末と各基地局間の電波強度データから移動端末と各基地局間の距離をそれぞれ求め、検索対象の移動端末の位置を特定するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許公開2001−95045号公報
【特許文献2】特開平09−159746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のシステムでは、階層が複数に分かれている建物内等の狭い地域で人が密集する場所では同伴者を見つける事が難しい。例えば文献1では、階層が異なっている場合であっても2者が同じ位置に表示され建物内のどの位置に相手がいるのか判断が難しい。また、特許文献2においては、周辺の環境により電波強度は変化するため検索対象の詳細な位置を判断する事は難しい。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、例えば、複数の階層に分かれた場所など、位置の把握が困難な状況においても互いに位置を把握することが可能な位置把握システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる位置把握システムは、携帯端末を所持する利用者の位置を把握する位置把握システムであって、前記携帯端末は、検索先の携帯端末を識別するための検索先端末識別情報を含む検索要求を生成する要求情報処理部と、前記検索要求に応じて前記検索先の携帯端末の位置情報を前記携帯端末に通知するサーバに前記検索要求を送信し、または前記サーバから前記位置情報を含む前記検索要求に対する回答を受信する携帯通信部と、を備え、前記サーバは、前記携帯端末から受信した前記検索要求に含まれる前記検索先端末識別情報に基づいて、前記位置情報を通知させるための第1の位置要求を前記検索先の携帯端末に送信し、または前記位置情報を含む前記検索要求に対する回答を前記携帯端末に送信するサーバ通信部と、前記検索先の携帯端末との間で通信したICリーダ/ライタを識別するためのリーダ/ライタ識別情報と、前記ICリーダ/ライタの設置場所を示すリーダ/ライタ位置情報とを対応付けて記憶する記憶部と、前記サーバ通信部が前記検索先の携帯端末から受信した前記リーダ/ライタ識別情報と前記記憶部が記憶するリーダ/ライタ識別情報とに基づいて、前記リーダ/ライタ位置情報に示された位置を前記位置情報とした前記検索要求に対する回答を生成する提供情報作成部と、を備え、前記検索先の携帯端末は、前記ICリーダ/ライタから、前記リーダ/ライタ識別情報を受信する第1のICインタフェース部と、前記第1のICインタフェース部が受信した前記リーダ/ライタ識別情報を前記サーバに送信する検索先携帯通信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、複数の階層に分かれた場所など、位置の把握が困難な状況においても互いに位置を把握することが可能な位置把握システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施の形態における位置把握システムの構成を示す図である。
【図2】携帯端末およびICリーダ/ライタの機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】サーバの機能的な構成を示すブロック図である。
【図4A】位置情報検出依頼データフォーマットの例を示す図である。
【図4B】位置情報検出依頼データフォーマットの例を示す図である。
【図4C】位置情報検出依頼データフォーマットの例を示す図である。
【図4D】ICリーダ/ライタ識別情報管理部や建屋情報管理部が管理する情報の例を示す図である。
【図5】位置把握システムが行う位置把握処理の処理手順を示すシーケンス図である。
【図6】携帯端末を所持する利用者が自身の位置を取得する場合の処理手順を示すシーケンスを示す図である。
【図7】図5に示した処理を行った際に携帯端末に表示される同伴者(携帯端末)の位置情報の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる位置把握システムの実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態における位置把握システム1000の構成を示す図である。図1に示すように、位置把握システム1000は、携帯端末100と、ICリーダ/ライタ200と、サーバ300と、基地局3と、基地局3とサーバ300とを接続するIP網4とを含んで構成されている。なお、基地局3は、携帯端末100と無線通信するための装置であり、携帯端末100が通信する際のアクセスポイントとなるものである。
【0011】
図1において、建物のフロア面1にはICリーダ/ライタ200(検索元ICリーダ/ライタ)が設置され、その同じフロア面に位置した利用者が携帯端末100(検索元端末:携帯端末A)を所持し、また、その建物の異なるフロア面2にはICリーダ/ライタ200(検索先ICリーダ/ライタ)が設置され、その同じフロア面に位置した他の利用者が携帯端末100(検索先端末:携帯端末B)を所持している様子を示している。
【0012】
携帯端末100は、位置把握システム1000の利用者が他の利用者との間で通信するための端末であり、例えば、携帯電話やスマートフォンである。また、ICリーダ/ライタ200は、携帯端末100と接触または非接触により、あるいはこれらの双方により通信可能な装置である。図2は、携帯端末100およびICリーダ/ライタ200の機能的な構成を示すブロック図である。
【0013】
図2に示すように、携帯端末100は、ICリーダ/ライタ200との間でデータの受け渡しを行う非接触IC101と、そのデータについての処理(後述)を行う情報処理部102と、外部との接続を行う無線インターフェース103と、電波を飛ばすための無線通信アンテナ104と、携帯端末100が備えた画面(不図示)に文字や画像等を表示させる表示部105と、ICリーダ/ライタ200やサーバ300から取得したデータを格納するデータ格納部106と、携帯端末100内の現在の時刻を計時して管理する内部時計107とを有している。なお、これらの各部が行う具体的な処理についてはシーケンス図を用いて後述する。
【0014】
また、上述した各部は、その機能を実現するためのソフトウェアプログラムにより実行される。このソフトウェアプログラムは、例えば、情報処理部102を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、CPU(Central Processing Unit)等の制御部がHDD(Hard Disk Drive)等の記録装置からこれらのソフトウェアプログラムを読み出して実行することにより、上記情報処理部102が主記憶装置上にロードされ、主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0015】
ICリーダ/ライタ200は、非接触により携帯端末100から所定の情報を読み取って通信を行う装置であり、例えば、ショッピングモールや大きな駅、デパート等に設置された自動販売機に備えられるものである。図2に示すように、ICリーダ/ライタ200は、携帯端末100との間でデータの受け渡しを行うICリーダ/ライタインタフェース201と、ICリーダ/ライタ200が携帯端末100に提供する種々の情報を作成するICリーダ/ライタ提供情報作成部202と、この提供情報を作成するICリーダ/ライタ200を識別するための識別情報が格納される識別情報格納部203とを備えている。なお、これらの各部が行う具体的な処理についてはシーケンス図を用いて後述する。
【0016】
図3は、サーバ300の機能的な構成を示すブロック図である。サーバ300は、携帯端末100(携帯端末A)からの要求にしたがって、相手先の携帯端末100(携帯端末B)の位置を知らせるサーバである。図3に示すように、サーバ300は、検索元端末である携帯端末100(携帯端末A)から発行された位置情報検出依頼に従って、その携帯端末100の検出依頼処理を行う位置情報検出依頼部310と、検出先端末である携帯端末100(携帯端末B)が検出した位置情報を取得し、検出元となる携帯端末100に、その位置情報を送信する位置情報算出部320と、位置情報検出依頼部310及び位置情報算出部320が作成した各種の情報を格納する情報格納部330とを有している。
【0017】
位置情報検出依頼部310は、例えば、保護者等が所持し、検索元となる携帯端末100(携帯端末A)からの検索要求を受ける位置検出要求受付部311と、迷子等が所持し、検索先となる携帯端末100(携帯端末B)に位置登録の依頼を出すための位置登録依頼発行部312と、この位置登録依頼を出すための情報を作成する位置登録依頼作成部313とを有している。これらの各部が行う具体的な処理については、シーケンス図を用いて後述する。
【0018】
位置情報算出部320は、検索先となる携帯端末100(携帯端末B)がICリーダ/ライタ200(検索先ICリーダ/ライタ)に接触し、ICリーダ/ライタ200の位置情報を取得した場合にICリーダ/ライタ200の識別情報を取得する位置登録依頼受付部326と、取得されたICリーダ/ライタ200の識別情報からICリーダ/ライタ200の位置情報を割り当てる位置情報作成部325と、ICリーダ/ライタ200を管理するICリーダ/ライタ管理部321と、建物に関する情報を管理する建屋情報管理部322と、検索元となる携帯端末100(携帯端末A)に対して提供する情報を作成する提供情報作成部323と、その携帯端末100に検索先となる携帯端末100(携帯端末B)の位置情報検出結果の回答を送信する依頼検出結果要求回答部324とを有する。
【0019】
ICリーダ/ライタ管理部321は、さらに、ICリーダ/ライタ200の識別情報を管理するICリーダ/ライタ識別情報管理部3210と、そのICリーダ/ライタ200の位置情報を管理する位置情報管理部3211とを有し、建屋情報管理部322は、さらに、建物内のフロアの構造及び店舗の配置等の地図データを保有する地図情報記憶部3220と、そのICリーダ/ライタ200が設置されている建物情報を保持する建物識別情報格納部3221とを有している。また、提供情報作成部323は、位置情報作成部325が作成した位置情報が建屋情報管理部322が保有する建物情報のどこに設置されているかを検出する位置情報検索部3230と、位置情報検索部3230が検出した検出先データを地図情報に記載する画像情報作成部3231と、検索元となる携帯端末100(携帯端末A)に回答結果を処理する配信情報作成部3232とを有している。
【0020】
検索元となる携帯端末100(携帯端末A)から位置情報検出依頼が発行された場合、例えば、図4Aに示すよう位置情報検出依頼データフォーマット401により、サーバ300との間で位置情報のやりとりを行う。
【0021】
位置情報検出依頼データフォーマット401は、検索元の携帯端末100の識別情報が格納されている検索元携帯端末ID401aと、検索元の携帯端末100が検索依頼を発行した年月日を記録する検索依頼日401bと、検索元の携帯端末100が検索依頼を発行した時間を記録する検索依頼時刻401cと、検索元の携帯端末100が検索対象とする検索先の携帯端末100識別情報を記憶する検索携帯端末ID401dと、検索先の携帯端末100が検索依頼を受領した年月日を記録する検索先受信日401eと、検索先の携帯端末100が検索依頼を受領した時間を記録する検索先受信時刻401fと、検索先の携帯端末100がICリーダ/ライタ200と接触した年月日を記録するICリーダ/ライタ接触日401gと、検索先の携帯端末100がICリーダ/ライタ200と接触した時刻を記録するICリーダ/ライタ接触時刻401hと、検索先の携帯端末100が接触したICリーダ/ライタ200の識別情報を記録するICリーダ/ライタ識別番号401iとを含んだフォーマットとなっている。なお、検索元携帯端末IDや検索先携帯端末IDは、例えば、携帯電話番号、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に登録された端末名などである。
【0022】
図4Aに示す例では、検索元となる携帯端末100(携帯端末A)の識別情報は「A」であり、検索先となる携帯端末100(携帯端末B)の検索を依頼した日付および時刻は「2011年1月1日」の「10時10分10秒」であることを示している。また、検索先となる携帯端末100(携帯端末B)がその検索依頼を受け取った日付および時刻は「2011年1月1日」の「10時10分11秒」であることを示している。そして、検索先の携帯端末100(携帯端末B)は、識別番号「123456789」で識別されるICリーダ/ライタ200に接触され、その日付および時刻は「2011年1月1日」の「10時10分13秒」であることを示している。
【0023】
後述するように、検索元となる携帯端末100がサーバ300に位置情報検出依頼する際には、上述したフォーマットのうち、図4Bに示すように、検索元携帯端末ID401a、検索依頼日401b、検索依頼時刻401c、検索携帯端末ID401dの各項目が設定された状態となっている。また、検索先となる携帯端末100がICリーダ/ライタ200に識別情報を要求する際には、上述したフォーマットのうち、図4Cに示すように、さらに検索先受信日401e、検索先受信時刻401fの各項目が設定され、さらに、最終的にサーバ300が検索元となる携帯端末100に位置情報検出結果を回答する際に、図4Aに示した位置情報検出依頼データフォーマット401の全ての項目が設定された状態となる。
【0024】
なお、上述したICリーダ/ライタ識別情報管理部3210や建屋情報管理部322が管理する情報は、例えば、図4Dに示すように、ICリーダ/ライタ200の識別番号と、そのICリーダ/ライタ200の設置場所と、そのICリーダ/ライタ200の設置フロアと、ICリーダ/ライタ200の設置エリアとが対応付けてHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置に記憶され、設置場所や設置フロア、あるいは設置エリアの各情報と、地図情報記憶部3220が記憶する地図データとが対応付けて記憶されている。
【0025】
図4Dでは、例えば、識別番号「123456789」によって識別されるICリーダ/ライタ200は、「○○デパート」の「3F」のエリア「M−1」および「M−2」付近に設置されていることを示している。続いて、位置把握システム1000が行う位置把握処理について説明する。
【0026】
図5は、位置把握システム1000が行う位置把握処理の処理手順を示すシーケンス図である。なお、ここでは、携帯端末A、B及び基地局3が既に稼動しているについて説明する。また、以下では、特定の携帯端末100を示す場合には、例えば、「携帯端末A」のように、当該携帯端末の識別子を付して説明する。
【0027】
図5に示すように、まず、携帯端末Aを所持する利用者は、携帯端末Bを所持する同伴者とはぐれてしまった場合、ボタン操作等によって携帯端末Bの識別情報(検索携帯端末ID)を入力し、その携帯端末Bの位置情報発行要求を行い(ステップS501)、サーバ300に対し要求信号を発信する(ステップS502)。要求信号は図4A〜Cに示した位置情報検出依頼データフォーマット401であり、このとき、携帯端末Aは、入力された検索携帯端末ID401dを設定し、携帯端末100が有する内部時計107を参照し、検索元携帯端末ID401a、検索依頼日401b、検索依頼時刻401cを自動で記載する。
【0028】
その後、携帯端末Aからの要求信号はサーバ300の位置検出要求部311が受信し(ステップS503)、位置登録依頼発行部312は、受信した要求信号に含まれる位置情報検出依頼データフォーマット401の検索携帯端末ID401dを参照し、携帯端末Bに向けて位置情報検索依頼データフォーマット401を有した位置情報を登録するための要求信号を発信するとともに、位置登録依頼発行部312は、位置情報検出依頼データフォーマット401に、位置情報発行要求を一意に識別するための受付番号を付与して情報格納部330に格納し、携帯端末Aに対して、位置情報発行要求を受け付けた旨と、後に回答される位置情報のサーバ300上の格納先を通知する(ステップS504)。
【0029】
そして、サーバ300から位置情報を登録するための要求信号を受信した携帯端末Bの利用者は、周辺の自動販売機等に備えられたICリーダ/ライタ200が無いかを確認する(ステップS506)。ICリーダ/ライタ200がある場合は、その利用者はICリーダ/ライタ200に携帯端末Bを近接させる。そして、所定の距離まで近づけられると、携帯端末Bの非接触IC101が、ICリーダ/ライタ200に対し識別情報を要求する要求信号を発信する(ステップS507)。
【0030】
このとき、周辺の自動販売機等に備えられたICリーダ/ライタ200が無い場合(例えば、内部時計107が計時する時間が所定の時間を経過した場合においても非接触IC101がICリーダ/ライタ200を検知しない場合)には、携帯端末Bの情報処理部102は位置情報検出依頼データフォーマット401の検索先受信日401eと検索先受信時刻401fのみを記載し、サーバ300に位置情報検出依頼データフォーマット401を返信する。このようにすることで、携帯端末Bの周辺にICリーダ/ライタ200が無い事を通知する事が出来る。
【0031】
ICリーダ/ライタ200の提供情報作成部202は、ICリーダ/ライタ200に対し識別情報を要求する要求信号を受信すると(ステップS508)、識別情報格納部203に格納されているそのICリーダ/ライタ200の識別番号含む提供情報を作成し(ステップS509)、その提供情報を携帯端末Bに対して発行する(ステップS510)。
【0032】
そして、携帯端末Bの情報処理部102は、ICリーダ/ライタ200から提供情報を受け取ると、位置情報検出依頼データフォーマット401のICリーダ/ライタ識別番号401iに、取得した提供情報に含まれるICリーダ/ライタ200の識別番号を格納する。また、情報処理部102は、これと同時に携帯端末Bの内部時計107が計時する時刻及び日時を参照し、ICリーダ/ライタ接触日401gと、ICリーダ/ライタ接触時刻401hにこれらを格納し、サーバ300に位置情報検出依頼データフォーマット401を有した要求回答を送信する(ステップS512)。
【0033】
サーバ300は、携帯端末Bから要求回答を受信すると、位置登録依頼受付部326が位置情報検出依頼データフォーマット401を有した要求回答を取得し、位置情報作成部325が、携帯端末Bの位置情報の解析を行う。具体的には、位置情報作成部325は、位置情報検出依頼データフォーマット401に格納されたICリーダ/ライタ識別番号401iをキーとして、例えば、図4Dに示したようなICリーダ/ライタ管理部321のICリーダ/ライタ識別情報管理部3210と位置情報管理部3211が管理する情報を参照し、ICリーダ/ライタ200が設置されている場所を特定する。そして、位置情報作成部325が、ICリーダ/ライタ200が設置されている場所を特定すると、提供情報作成部323にその位置情報が引き渡され、位置情報検索部3230が、建屋情報管理部322の地図情報記憶部3220を参照して、その位置情報に該当する地図情報を取得する。その後、画像情報作成部3231が、その地図情報にICリーダ/ライタ200がプロットされた画像を作成する。
【0034】
この時、配信情報作成部3232は、位置情報検出依頼データフォーマット401に設定された各項目の値を参照し、あらかじめ記憶されている雛形と合成して「携帯端末Bは10:10に○○ビルの3FのM−1とM−2の付近にいました」等の説明文を作成し(ステップS513)、それを携帯端末Bの位置データとし、この位置データを情報格納部330に収容する。また、これと同時に、位置情報検出要求回答部324は、位置情報検出依頼データフォーマット401の検索元携帯端末ID401aを参照し、回答先である携帯端末Aに向けて、携帯端末Bの位置データの格納先(例えば、情報格納部330が位置データを格納しているディレクトリ情報)を通知する(ステップS514)。
【0035】
その後、携帯端末Aは、携帯端末Bの位置データの格納先をサーバ300から受け取ると、携帯端末Aの情報処理部102はサーバ300にアクセスし、この格納先を参照する事で携帯端末Bの位置情報を確認する事が出来る。
【0036】
このように、例えば、非接触IC対応の携帯端末100を所有する利用者が、位置情報を登録されたICリーダ/ライタ200を有する自動販売機等を利用し、建物内等で同伴している子供が迷子になったり、あるいは仲間同士ではぐれた場合など、利用者の同伴者の位置を把握するために、自身の携帯端末100と、自動販売機や店舗等に設置されたICリーダ/ライタ200を利用する事で、互いの詳細位置を確認する事が出来るようになる。
【0037】
上述した例では、携帯端末Aを所持する利用者が携帯端末Bを所持する利用者の位置を把握する場合について説明した。しかし、携帯端末A(または携帯端末B)を所持する利用者は、本機能を利用する事で、自身の位置も把握する事が出来る。図6は、携帯端末Aを所持する利用者が自身の位置を取得する場合の処理手順を示すシーケンスを示す図である。
【0038】
まず、携帯端末Aの利用者は自身の位置情報を取得したい場合、携帯端末100をICリーダ/ライタ200に近接させ、携帯端末100の非接触IC(インタフェース)101からICリーダ/ライタ200に対し、ICリーダ/ライタ200の識別情報を要求する(ステップS601)。
【0039】
ICリーダ/ライタ200は、携帯端末Aから要求を受信すると(ステップS602)、識別情報格納部203に格納されているそのICリーダ/ライタ200の識別番号含む提供情報を作成し(ステップS603)、その提供情報を携帯端末Aに対して発行する(ステップS604)。
【0040】
携帯端末Aは、提供情報を受信すると、データ格納部106にアクセスし、位置情報検出依頼データフォーマット401のICリーダ/ライタ識別番号401iに、受信したICリーダ/ライタ200の識別番号を格納する。これと同時に携帯端末Aの情報処理部102は、検索元携帯端末ID401aに自身の携帯端末IDとなる「A」を設定し、携帯端末100内の内部時計107が計時する日時を参照し、検索依頼日401bおよび検索依頼時間401cにそれぞれの値を設定する。その後、サーバ300に位置情報発行依頼を行う(ステップS606)。
【0041】
そして、図5に示した場合と同様に、サーバ300の位置情報作成部325がICリーダ/ライタ識別番号401iをキーとして、ICリーダ/ライタ識別情報管理部3210と位置情報管理部3211が管理する情報を参照し、ICリーダ/ライタ200が設置されている場所を特定し、位置情報検索部3230が、建屋情報管理部322の地図情報記憶部3220を参照して、その位置情報に該当する地図情報を取得し、画像情報作成部3231が、その地図情報にICリーダ/ライタ200がプロットされた画像を作成する。
【0042】
この時、配信情報作成部3232は、位置情報検出依頼データフォーマット401に設定された各項目の値を参照し、「携帯端末Aは10:10に○○ビルの3FのM−1とM−2の付近にいました」等の説明文を作成し、それを携帯端末Aの位置データとして情報格納部330に収容し、位置情報検出要求回答部324は、位置情報検出依頼データフォーマット401の検索元携帯端末ID401aを参照し、回答先である携帯端末Aに向けて、携帯端末Aの位置データの格納先(例えば、情報格納部330が位置データを格納しているディレクトリ情報)を通知する(ステップS607〜S608)。
【0043】
その後、携帯端末Aは、携帯端末Bの位置データの格納先をサーバ300から受け取ると、携帯端末Aの情報処理部102はサーバ300にアクセスして、この格納先を参照する事で、自身が所持する携帯端末Aの位置情報を確認する事が出来る(ステップS610)。
【0044】
図7は、図5に示した処理を行った際に携帯端末Aに表示される同伴者(携帯端末B)の位置情報の表示例を示す図である。図7に示すように、携帯端末100の表示部である液晶部601には、同伴者(携帯端末B)の位置情報702と、説明文703と、上下の階層のリンク704とを表示している。以上のような処理を行うことにより、携帯端末Aの利用者は携帯端末Bの詳細位置情報を確認する事が可能となる。
【0045】
なお、携帯端末Bにあらかじめ携帯端末IDを登録しておき、携帯端末Bが位置情報検出依頼要求を受信した場合、その要求に含まれる検索元携帯端末ID401aの項目を参照し、情報処理部102があらかじめ登録されていない携帯端末IDであると判定した場合には、位置情報検出要求の受信拒否をすることとしてもよい。
【0046】
また、図6に示したステップS610の処理を行った際に、既に図5に示した処理を実行している場合には、さらに携帯端末Aの情報処理部102は携帯端末Bまでの経路を探索する経路探索依頼を行い(ステップS611)、サーバ300は、提供情報作成部323が、図5に示したステップS513〜S514において特定された携帯端末Bの位置情報(携帯端末Bと通信したICリーダ/ライタの位置情報)、図6に示したステップS607〜S608において特定された携帯端末Aの位置情報(携帯端末Aと通信したICリーダ/ライタの位置情報)、および地図情報記憶部3220が記憶する地図情報を参照して、地図上での携帯端末Aから携帯端末Bまでの経路を示した経路情報を作成し(ステップS612)、携帯端末Aに対してその経路情報を移動経路として通知する(ステップS613)ことも可能である。このような経路情報を携帯端末Aに通知することにより、相手先の位置まで迷うことなく移動することが可能となる。
【0047】
上述した各種の処理を行うことによって、例えば、ショッピングモール等において同伴者とはぐれた場合に、自動販売機や店舗等に設置されたICリーダ/ライタと、ICリーダ/ライタの識別情報と位置情報をあらかじめ所持するサーバと、ICタグを有した携帯端末との間で、ユーザがICリーダ/ライタを介し、位置情報を取得して相手に自分の位置を通知している。したがって、例えば、複数の階層に分かれた場所など、位置の把握が困難な状況においても互いに位置を把握することが可能となる。
【0048】
また、同時に建屋内のレイアウト等の地図データを提供することにより、視覚的に同伴者の位置を把握する事が可能である。例えば、駅構内やショッピングモール等の内部構造が複雑で階層が分かれた場所でも、直感的に同伴者の詳細位置情報を取得することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1000:位置把握システム、1,2:建物のフロア面、3:基地局、4:IP網、100:ICリーダライタ、200:携帯端末、201:ICリーダ/ライタI/F、202:提供情報作成部、203:識別情報格納部、300:サーバ、311:位置検出要求依頼部、312:位置登録依頼発行部、313位置登録依頼作成部、321:ICリーダ/ライタ管理部、322:建屋情報管理部、323:提供情報作成部、324:位置検出要求回答部、325:位置情報作成部、326:位置登録依頼受付部 、330:情報格納部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を所持する利用者の位置を把握する位置把握システムであって、
前記携帯端末は、
検索先の携帯端末を識別するための検索先端末識別情報を含む検索要求を生成する要求情報処理部と、
前記検索要求に応じて前記検索先の携帯端末の位置情報を前記携帯端末に通知するサーバに前記検索要求を送信し、または前記サーバから前記位置情報を含む前記検索要求に対する回答を受信する携帯通信部と、を備え、
前記サーバは、
前記携帯端末から受信した前記検索要求に含まれる前記検索先端末識別情報に基づいて、前記位置情報を通知させるための第1の位置要求を前記検索先の携帯端末に送信し、または前記位置情報を含む前記検索要求に対する回答を前記携帯端末に送信するサーバ通信部と、
前記検索先の携帯端末との間で通信したICリーダ/ライタを識別するためのリーダ/ライタ識別情報と、前記ICリーダ/ライタの設置場所を示すリーダ/ライタ位置情報とを対応付けて記憶する記憶部と、
前記サーバ通信部が前記検索先の携帯端末から受信した前記リーダ/ライタ識別情報と前記記憶部が記憶するリーダ/ライタ識別情報とに基づいて、前記リーダ/ライタ位置情報に示された位置を前記位置情報とした前記検索要求に対する回答を生成する提供情報作成部と、を備え、
前記検索先の携帯端末は、
前記ICリーダ/ライタから、前記リーダ/ライタ識別情報を受信する第1のICインタフェース部と、
前記第1のICインタフェース部が受信した前記リーダ/ライタ識別情報を前記サーバに送信する検索先携帯通信部と、
を備えることを特徴とする位置把握システム。
【請求項2】
前記サーバは、
前記記憶部が、前記リーダ/ライタ識別情報および前記リーダ/ライタ位置情報に対応付けて地図情報を記憶し、
前記提供情報作成部は、前記位置情報に対応する前記地図情報を含めて前記検索要求に対する回答を生成し、
前記携帯端末は、
前記携帯通信部が、前記サーバから前記位置情報および前記地図情報を含む前記検索要求に対する回答を受信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の位置把握システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、
前記携帯端末との間で通信したICリーダ/ライタから、前記ICリーダ/ライタを識別するためのリーダ/ライタ識別情報を受信する第2のICインタフェース部をさらに備え、
前記携帯通信部は、さらに前記第2のICインタフェース部が受信した前記リーダ/ライタ識別情報および前記携帯端末の位置情報を通知させるための第2の位置要求を前記サーバに送信し、
前記サーバは、
前記サーバ通信部が、前記リーダ/ライタ識別情報および前記第2の位置要求を受信し、または前記第2の位置要求に対する回答を前記携帯端末に送信し、
前記提供情報作成部が、前記サーバ通信部が前記携帯端末から受信した前記リーダ/ライタ識別情報と前記記憶部が記憶するリーダ/ライタ識別情報とに基づいて、前記リーダ/ライタ位置情報に示された位置を前記位置情報とした前記位置要求に対する回答を生成する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の位置把握システム。
【請求項4】
前記提供情報作成部は、前記検索先の携帯端末の位置情報と前記携帯端末の位置情報と前記地図情報とに基づいて、前記携帯端末から前記検索先の携帯端末までの経路を示す経路情報を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の位置把握システム。
【請求項5】
前記提供情報作成部は、前記位置情報を前記記憶部の所定の格納先に記憶させ、
前記サーバ通信部は、前記記憶部に記憶された前記所定の格納先を前記携帯端末に通知する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の位置把握システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−5391(P2013−5391A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137594(P2011−137594)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】