説明

位置決め作業装置

【課題】設備を大掛かりにすることなく、頻繁なワークの変更に伴う準備や段取り調整に掛かる時間を短縮することにより多品種・小ロットに対応する位置決め作業装置を提供し、ワークに対して液状物を供給する等の作業を行う際の作業の煩雑さを改善する。
【解決手段】本発明は、処理すべきケース101を載置してテーブルコントローラ200及び供給調整コントローラ400により前後左右に移動可能とした可動テーブル1と、この可動テーブル1に載置されたケース101の配置状態を照明装置121、画像カメラ122及び画像認識ユニット300により画像認識し、この画像情報に基づき可動テーブル1を前後左右に移動させてケース101の位置決めを行い当該ケース101にホットメルト接着剤を供給する溶融タンク131、ホットメルトノズル60、保温カバー10及び供給調整コントローラ400とを備え、可動テーブル1の本体2に、ケース101を載置して当該可動テーブル1の移動に伴うケース1の位置ずれを防止する摩擦抵抗の高いマット3を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して接着剤・化粧料・食品等の液状物を供給するために用いられる位置決め作業装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
位置決め作業装置には、例えば、ワークに対してホットメルト接着剤を供給するものがある。ワークに対してホットメルト接着剤を供給する際、従来の位置決め作業装置は、先ずワークをテーブルに対して手作業により位置決めしたのち、このテーブル上に載置されたワークをコンプレッサーで吸着固定する。次に、テーブルを直線軌道に沿って移動させ、この軌道上に設けた吐出開始スイッチと吐出終了スイッチとのON/OFFに基づき、吐出開始及び終了タイミングを計って、ワークに対してホットメルト接着剤を間欠的に定量供給する(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7-155671号公報(第2頁[0011]〜[0016])
【0003】
一方、複数のケーキ皿を接着する必要のある化粧コンパクトケース等のワークにホットメルト接着剤を供給する場合は、ホットメルト接着剤の供給が複数箇所であり、その供給量も異なる。このように、ワーク上に任意に配置された複数の部分にホットメルト接着剤を供給する場合は、その供給部分の配列によってはホットメルト接着剤を供給するための供給ノズルを複数設けることにより対応させる必要がある。
【0004】
しかしながら、上記従来装置は、こうした流行に左右されて比較的ライフサイクルの短い化粧コンパクトケースの様に、多品種・小ロットのワークに採用する場合は、以下の問題がある。
【0005】
先ず従来装置は、作業開始の段階で、ワークをテーブルに対して手作業により位置決めしなければならないため、ワークを供給する際の作業が煩雑になる。また、従来装置は、ワークをテーブルに固定する手段が必要であるため、ワークの形態(形状)が大きく変わる場合は、ワークが変わる度にその形態に適合させるべく固定手段の変更が必要となる。更に、従来装置は、ワークにホットメルト接着剤を供給する部分の配列によっては供給ノズルの個数も増減させる必要がある。即ち、従来装置は、設備が大掛かりになると共に、ワークの変更に伴う準備や段取り調整に時間が掛かるため、ワークが多品種且つ小ロットである場合には不向きであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述の事実認識の下になされたものであり、その解決すべき課題は、設備を大掛かりにすることなく、頻繁なワークの変更に伴う準備や段取り調整に掛かる時間を短縮することにより多品種・小ロットに対応する位置決め作業装置を提供することと、特に、ワークに対して液状物等の物質を供給する際の作業の煩雑さを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明である位置決め作業装置は、処理すべきワークを載置して前後左右に移動可能とした可動テーブルと、この可動テーブルに載置されたワークの配置状態を画像認識する画像認識手段と、この画像認識手段による情報に基づき前記可動テーブルを前後左右に移動させて前記ワークの位置決めを行い当該ワークに作業を施す作業手段とを備え、前記可動テーブルに、前記ワークを載置して当該可動テーブルの移動に伴う前記ワークの位置ずれを防止する摩擦抵抗の高いマットを設けたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明において、上記作業が物質の供給、特に、液状物の供給であり、供給すべき液状物がホットメルト接着剤等の加熱溶融物である場合、前記作業手段は、加熱溶融物を供給するホットメルトノズルと、このホットメルトノズルに装着される保温カバーとを備えることが好ましい。なお、本発明において、ホットメルトノズルとは、加熱溶融物を注出するノズルを総称するものであり、また、「注出」とは、自重による「滴下」や加圧に伴う「噴射、吐出」を含むものとする。
【0009】
更に、本発明において、前記マットは、その表面を粗して形状的に摩擦抵抗を高めたものであるか、密度の高い材料を用いて材料的に摩擦抵抗を高めたものであるかは問わない。例えば、材料的に摩擦抵抗を高めるものである場合は、プラスチック、エラストマ、繊維等の高分子有機材料を採用することができるが、前記マットは、ゴム材からなることが好ましい。
【0010】
加えて、本発明には、前記ワークを載置するラフ面を有してその開放動作により当該ワークを前記可動テーブルに供給する供給ステーションを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、可動テーブルに摩擦抵抗の高いマットを設け、このマットに処理すべきワークを載置したことにより、このワークが不安定な形態(形状)であっても可動テーブルの移動に伴い当該可動テーブルに対して前記ワークが位置ずれを起こすことがない。即ち、本発明によれば、如何なる形態のワークであっても、異なるワーク毎に、可動テーブルに対してワークを固定する手段を別途設けることなく、可動テーブル上のマットに載せるだけで可動テーブルに対して簡単に位置決めすることができる。
【0012】
また、本発明は、可動テーブルに載置されたワークの配置状態を画像認識し、この画像認識による情報に基づき前記ワークに液状物の供給等の作業を行う。即ち、本発明によれば、異なるワーク毎にその供給位置を検出するためのスイッチやセンサを設けることなく、当該ワーク上の供給部分に液状物を連続的又は間欠的に定量供給する等の作業を行うことができる。
【0013】
更に、本発明は、前記可動テーブルを前後左右に移動させて前記ワークの位置決めを行い当該ワークに液状物の供給等の作業を行う。即ち、本発明によれば、ワークを異なるワークに変更したことにより、その供給部分の配列が変更される場合も、その配列の変更に応じて供給ノズル等を新たに増減させる必要がなく、供給ノズル等自体に変更を行う必要がない。
【0014】
従って、本発明によれば、設備を大掛かりにすることなく、頻繁なワークの変更に伴う準備や段取り調整に掛かる時間を短縮することができるため、多品種・小ロットに対応する汎用性の高い位置決め作業装置を提供することができる。加えて、本発明によれば、ワークを可動テーブル上のマットに載せるだけで可動テーブルに対して簡単に位置決めすることができ、ワークに対する液状物の供給等の作業も画像認識に基づいて行えるため、ワークを供給する際の作業の煩雑さも改善することができる。
【0015】
また、本発明において、作業が液状物の供給であり、供給すべき液状物がホットメルト接着剤等の加熱溶融物である場合、加熱溶融物を供給するホットメルトノズルと、このホットメルトノズルに装着される保温カバーとを備えることが好ましい。この場合、加熱溶融物が注出口に付着しても固化することないため、初期注出時において発生し易い微小固化物の発生に起因する、加熱溶融物の飛び散り、注出位置のずれや注出ムラ等の発生を防止できる。即ち、かかる構成によれば、液状物の供給不良に伴う不良率の発生が減少するため、不良率の影響を受け易い小ロット生産において有効である。
【0016】
また、本発明にあっては、前記マットをゴム材からなるものとすれば、摩擦抵抗の高いマットを簡単且つ安価に製造することができるため、装置全体の低コスト化を図ることができる。
【0017】
更に、本発明には、前記ワークを載置するラフ面を有してその開放動作により当該ワークを前記可動テーブルに供給する供給ステーションを設けてもよい。この場合、前記ワークを前記可動テーブル上に達磨落とし式に載置できるため、当該ワークの水平方向に対する位置や向きに大きなずれを生じることなく、画像認識を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明である位置決め作業装置を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一形態であるホットメルト供給装置100を模式的に示す側面図である。また、図2は、同供給装置100を模式的に示す斜視図である。
【0020】
先ず符号101は、処理すべきワークである化粧コンパクトケース(以下、単に「ケース」という。)である。ケース101は、ケース本体101aに対して蓋体101bがヒンジ部を介して開閉可能に取り付けられている。ケース101は、図に示す如く、ファンデーション等の化粧料が充填されたケーキ皿をケース本体101aに糊付けするために、蓋体101bを開いた状態のまま、本発明装置100に対して供給される。
【0021】
本発明装置100は、図1に示す如く、その内部にケース101を導入するケース導入部110と、このケース導入部110から送られたケース101の配置状態を画像認識する画像認識部120と、この画像認識部120により得られた画像情報に基づきケース101にホットメルト接着剤を供給するホットメルト供給部130と、ホットメルト接着剤を供給したケース101を排出するケース排出部140と備え、ケース101の導入及び排出に人の手が介在する、所謂、半自動装置である。
【0022】
符号1は、図2に示す如く、ケース101を載置して、その前後方向D1及び左右方向D2に移動する可動テーブルである。この可動テーブル1は、図1に示す如く、テーブルコントローラ200又は後述の供給調整コントローラ400からの指令を受け、画像認識部120からケース排出部140に至るまでの任意の間を適宜移動・停止するテーブル本体2を有する。このテーブル本体2により可動テーブル1の全体が、その前後方向D1及び左右方向D2に移動することができる。なお、テーブルコントローラ200は、ケース導入部110に設けられ、作業者によるケース101の供給が完了したことを検知する第一センサからのケース供給完了信号と、作業者によるケース101の取り出し(排出)が完了したことを検知する第二センサからのケース排出完了信号とに応じて、テーブル本体2の動きを自動でステップ処理するコントローラである。
【0023】
またテーブル本体2の上面には、ケース101を載置してテーブル本体2の移動に伴うケース101の位置ずれを防止する摩擦抵抗の高いマット3が取り付けられている。このマット3の摩擦抵抗は、マット3の表面を粗して形状的に摩擦抵抗を高めたものであるか、密度の高い材料を用いて材料的に摩擦抵抗を高めたものであるかは問わない。例えば、材料的に摩擦抵抗を高めるものである場合は、プラスチック、エラストマ、繊維等の高分子有機材料を採用することができる。なお、本形態にかかるマット3は、ウレタン、ゴム等の、スポンジ状の発泡性弾性材からなる。
【0024】
可動テーブル1は、本発明装置100が動作してない初期段階では、図1に示す如く、画像認識部120の真下に配置されている。符号111は、テーブルコントローラ200からの指令により、ケース導入部110を初期位置として画像認識部120との間を移動可能な供給ユニットである。この供給ユニット111は、画像認識部120にある可動テーブル1にケース101を導入する導入口112と、この導入口112を開閉する供給ステーション113とを備える。この供給ユニット111は、本発明装置100が供給動作を開始してない初期段階では、図1に示す如く、ケース導入部110にある。作業者は、ホットメルト接着剤の供給を開始するに当たって、供給ステーション113のラフ面113fにケース101を載置しておけば、供給ユニット111が画像認識部120に移動し(図1の符号D3参照。)、その後、供給ステーション113がスライドして導入口112が開き、ケース101を可動テーブル1上に達磨落とし式に導入することができる。なお、図1において、供給ステーション113と可動テーブル1とは、発明の理解を容易にするため、大きく離間しているが、実際上は、供給ステーション113と可動テーブル1とは、密に接近しており、大きな落下を伴うものではない。また、本発明装置100の場合、供給作業に人の手が介在するため、供給ステーション113の開閉動作は、作業者に対する安全性を考慮して、テーブルコントローラ200等を介した作業者自身の動作に基づいてなされることが好ましい。
【0025】
画像認識部120は、供給ステーション113の開放により可動テーブル1上に達磨落とし式に載置された、ケース101の配置状態を画像認識する画像認識手段を備える。この画像認識手段は、マット3上のケース101に光を当てる照明装置121と、ケース101の配置状態を画像として取り込むための画像カメラ122とを備える。このカメラ122で取り込んだ画像は、画像認識ユニット300により解析される。即ち、画像認識手段は、照明装置121、画像カメラ122及び画像認識ユニット300からなり、これにより、画像認識部120において、可動テーブル1に載置されたケース101の配置状態を画像認識することができる。なお、画像認識の具体的な手段には、様々な手段を用いることができ、例えば、ブロブ(Blob)、キャリパ(Caliper)、サーチ(Search)等の既存の解析手段を用いることができる。
【0026】
ホットメルト供給部130は、本発明装置100に固定された卓上型ホットメルト溶融タンク131と、このタンク131に固定され当該タンク131からのホットメルト接着剤を注出するホットメルトノズル60とを備え、ホットメルトノズル60には、ホットメルトノズル60の先端部を保温するための保温カバー10が装着されている。タンク131及びホットメルトノズル60は、画像認識ユニット300と双方向通信される供給調整コントローラ400により、その注出タイミングや注出量等が制御される。更に、供給調整コントローラ400は、その入力された画像情報に基づき、可動テーブル1を、図2に示す如く、前後方向D1及び左右方向D2に移動させてホットメルトノズル60に対するケース101の位置決め制御を行う。即ち、溶融タンク131、ホットメルトノズル60、保温カバー101及び供給調整コントローラ400が、ワークに作業を施す作業手段の一例である液状物供給手段に相当する。
【0027】
次に、図面を参照して、本発明装置100の具体的な作用について説明する。
【0028】
先ず作業者が、蓋体101bの開いたケース101を供給ステーション113のラフ面113fに大まかに置き、作業者の手がケース導入部110から離れると、供給ユニット111が画像認識部120へ移動して、供給ステーション113の移動により導入口112を開き、この導入口112に真下で待機していた可動テーブル1のマット3上にケース101が達磨落とし式に載置される。その後、供給ユニット111は、ケース導入部110の初期位置に戻る。
【0029】
なお、ケース101が可動テーブル1上に載置されるとき、ケース101がマット3上に落ちる反動により、当初の位置及び向きから微小のずれを起こすことも考慮されるが、その場合も、マット3が摩擦抵抗の高い発泡性ゴム材からなるため、ケース101を載置した後は、マット3とケース101との間の摩擦抵抗によりその微小にずれた位置及び向きを維持し、その後更に位置がずれることはない。画像認識部120では、画像カメラ122により、可動テーブル1に載置されたケース101の配置状態の微小なずれを画像認識する。なお、実際に画像認識を行うときは、ケース101がマット3に載置されてから安定するまでの時間として、所定の待ち時間(例えば0.5 sec)を取ってから画像処理を開始することが好ましい。また、画像認識ユニット300には、約100品種のワークが対象品として登録されており、ワークの変更に伴う事前処理にかかる時間は1品種に対して約2分である。
【0030】
画像認識部120における、ケース101の配置状態の認識が完了すると、可動テーブル1は更に、ケース101をホットメルト供給部130に搬送する。このときも、マット3が摩擦抵抗の高い発泡ゴム材からなるため、ケース101はマット3に対して位置ずれを起こすことなく、ホットメルト供給部130まで搬送される。
【0031】
ホットメルト供給部130では、予め設定された糊付け位置で待機し、供給調整コントローラ400からの信号により、可動テーブル1に載置したケース101の所定位置へのホットメルト接着剤の供給を開始する。即ち、供給調整コントローラ400からの信号に応じて、可動テーブル1を、図2に示す如く、前後方向D1及び左右方向D2に移動させると共に、タンク131及びホットメルトノズル60からホットメルト接着剤を定量注出させる。このときも、可動テーブル1は高速で前後左右に移動するが、マット3が摩擦抵抗の高い発泡ゴム材からなるため、ケース101はマット3に対して位置ずれを起こすことがない。しかもこの場合、ホットメルトノズル60をケース101に対して移動させるのではなく、可動テーブル1を前後左右に移動させてホットメルト接着剤の定量供給を行っているため、ホットメルトノズル60を移動させることに伴うノズル60の先端部での固化やタレが生じない。
【0032】
ケース101に対するホットメルト接着剤の供給が完了すると、可動テーブル1は、テーブルコントローラ200からの指令により、自動的にケース101をケース排出部140まで搬送する。こうして作業者が取り易いまでケース101を搬送した後、作業者がケース101を取り去ってケース排出部140から手が離れると、可動テーブル1は、画像認識部120の真下である初期段階での位置に戻る。
【0033】
以後、同様の作業を繰り返すことにより、ケース101の所定位置に対する糊付けが行われる。かかる装置100によれば、ホットメルト接着剤の供給に要する処理時間は、1個当たり3〜4(秒)となり、1分当たり約10個の糊付けが可能になる。
【0034】
ここで、図3(a),(b)はそれぞれ、本発明装置100によりホットメルト接着剤が1点供給された化粧コンパクトケースを例示する上面図及び側面図である。
【0035】
図3において、コンパクトケース101のケース本体101aの内部には、ケーキ皿を収納する1つの凹部n1が形成されている。これに対し、本発明装置100によれば、凹部n1には、ホットメルト接着剤M1が目標とする供給位置O1に対して正確に供給されていることが判る。
【0036】
また、図4(a),(b)はそれぞれ、本発明装置100によりホットメルト接着剤が4点供給された化粧コンパクトケースを例示する上面図及び側面図である。
【0037】
図4において、コンパクトケース101のケース本体101aの内部には、ケーキ皿を収納する4つの凹部n1〜n4が形成されている。これら凹部n1〜n4に収納されるケーキ皿は、その大きさがほぼ均等なため、ホットメルト接着剤をその目標とする供給位置O1〜O3それぞれに正確に供給するだけでなく、凹部n1〜n4それぞれに、ホットメルト接着剤の供給(注出)も均等に行う必要がある。
【0038】
これに対し、本発明装置100によれば、図4に示す如く、4つの凹部n1〜n4にはそれぞれ、ホットメルト接着剤Mが目標とする供給位置O1〜O4に対して均等量供給されていることが判る。
【0039】
更に、図5は、本発明装置100によりホットメルト接着剤が3点供給された化粧コンパクトケースを例示する上面図である。
【0040】
図5において、コンパクトケース101のケース本体101aの内部には、ケーキ皿を収納する3つの凹部n1〜n3が形成されている。これら凹部n1〜n3に収納されるケーキ皿は、その大きさが異なるため、ホットメルト接着剤をその目標とする供給位置O1〜O3それぞれに正確に供給するだけでなく、凹部n1〜n3の収納面積の違いに応じて、ホットメルト接着剤の供給量(注出量)も正確に行う必要がある。
【0041】
これに対し、本発明装置100によれば、図5に示す如く、収納面積が大きな凹部n1には、ホットメルト接着剤M1が目標とする供給位置O1に対して他の凹部n2,n3に比べて多く供給されている。そして、他の凹部n2,n3にもそれぞれ、図10に示す如く、ホットメルト接着剤M2,M3が目標とする供給位置O2,O3に対して収納面積が小さくなるに従って少ない量で供給されていることが判る。
【0042】
上述の如く、本発明装置100は、可動テーブル1に摩擦抵抗の高いマット3を設け、このマット3に処理すべきケース101を載置したことにより、このケース101が不安定な形態(形状)であっても可動テーブル1の移動に伴い当該可動テーブル1に対してケース101が位置ずれを起こすことがない。即ち、本発明装置100によれば、ケースが如何なる形態(形状)であっても、ケースが異なる毎に、可動テーブル1に対してケースを固定する手段を別途設けることなく、可動テーブル1上のマット3に載せるだけで可動テーブル1に対して簡単に位置決めすることができる。
【0043】
また、本発明装置100は、可動テーブル1に載置されたケース101の配置状態を画像認識し、この画像認識による情報に基づきケース101に液状物を供給する。即ち、本発明装置100によれば、異なるケース毎にその供給位置を検出するためのスイッチやセンサを設けることなく、当該ケース101上の供給部分にホットメルト接着剤を連続的又は間欠的に定量供給することができる。
【0044】
更に、本発明装置100は、可動テーブル1を前後左右に移動させてケース101の位置決めを行い当該ケース101にホットメルト接着剤を供給する。即ち、本発明装置100によれば、ケース101を異なるケースに変更したことにより、その供給部分の配列が変更される場合も、その配列の変更に応じてホットメルトノズル60を新たに増減させる必要がなく、ホットメルトノズル60自体に変更を行う必要がない。
【0045】
従って、本発明装置100によれば、設備を大掛かりにすることなく、頻繁なケース101の変更に伴う準備や段取り調整に掛かる時間を短縮することができるため、多品種・小ロットに対応する汎用性の高いホットメルト供給装置を提供することができる。加えて、本発明装置100によれば、ケース101を可動テーブル1上のマット3に載せるだけで可動テーブル1に対して簡単に位置決めすることができ、ケース101に対するホットメルト接着剤の供給も画像認識に基づいて行えるため、ケース101を供給する際の作業の煩雑さも改善することができる。
【0046】
ところで、本発明装置100にあっては、ホットメルトノズル60に保温カバー10を装着させている。このため、ホットメルトノズル60に装着される保温カバー10について説明する。
【0047】
図6(a),(b)はそれぞれ、微小な接着面に対してホットメルト接着剤を定量注出するホットメルトノズル60の側面図及び、このホットメルトノズル60に装着される、保温カバー10の縦断面図である。また、図7(a),(b)はそれぞれ、保温カバー10をホットメルトノズル60に装着した状態を示す断面図と、その要部断面図である。
【0048】
ホットメルトノズル60は、溶融タンク131から圧送されたホットメルト接着剤が充填されるノズル胴部61と、このノズル胴部61に繋がるノズル先端部62とからなるホットメルトガンである。ノズル先端部62は、ノズル胴部61に繋がるドラム形状部分62aと、先端の尖ったコーン形状部分62bとからなる。このコーン形状部分62bの先端には、ホットメルト接着剤が注出される注出口63が設けられ、この注出口63を注出通路64の上部に位置するニードル弁(図示せず)により開閉する。
【0049】
上記ニードル弁は、コーン形状部分62bを弁座としてなり、ノズル胴部61内に配置された図示せぬピストンをON/OFF制御することにより、注出口63を開閉可能にストロークする。なお、符号65は、ノズル胴部61に対してノズル先端部62を取り付けるためのナットである。ノズル胴部61はまた、その内部にホットメルト接着剤を充填する図示せぬ充填空間を有し、この充填空間内のホットメルト接着剤を、温度による品質変化を起こさない適正温度に温める電気ヒータを備えた発熱部を構成する。
【0050】
即ち、ホットメルトガン60は、ホットメルト接着剤をノズル胴部61にて適正温度に温め直してから、前記ニードル弁をON/OFF制御することにより、品質の安定したホットメルト接着剤を注出口63から定量注出する。
【0051】
ここで、ホットメルトガン60を単体で用いた場合は、そのノズル先端部62が図示の如く、外気Aや風又は空気の流れwに対して直に晒される。このため、ノズル先端部62周囲の温度が比較的低温だったり、風などが吹くと、ホットメルト接着剤が注出口63を飛び出した直後、或いは、注出口63に付着したのちに固化し、この固化した微小のホットメルト接着剤(以下、「微小固化メルト」という。)が注出口63を閉塞させてしまうことがある。
【0052】
そこで、ホットメルトガン60の外側に、図6(b)に示す保温カバー10を装着することにより、注出口63での冷却に伴う微小固化メルトの発生を防止する。
【0053】
保温カバー10は、図6(b)に示す如く、熱伝導率の良い銅で一体に形成されたカバー本体11を備える。このカバー本体11は、ホットメルトガン60のノズル胴部61を収納する主室13と、この主室13に繋がってホットメルトガン60のノズル先端部62を取り囲む副室14とを有する。この副室14の壁部15は、蓄熱のため、好ましくは3mm以上、より好ましくは3〜5mmの厚みを有してホットメルトガン60の注出口63からホットメルト接着剤を外界に注出させる開口16が設けられている。この開口16は、ホットメルトガン60の注出口63の口径に対して僅かに大径であり、好ましくは口径2〜5mm程度の微小孔であって、外界に向かって拡大するテーパ面16fを有する。
【0054】
また、主室13の内壁17は、図7(a)に示す如く、ホットメルトガン60への装着時において、ノズル胴部61の外表面61fに接触している。これにより、カバー本体11は、ノズル胴部61からの直接的な熱伝導により迅速に温めることができる。更に、副室14には、図4(b)に示す如く、ドラム形状部分62aの端面66に環状に接触する当接面18と、この当接面18と一体に繋がり開口16に向かって傾斜する内壁19とが設けられている。この内壁19は、ホットメルトガン60の装着により、コーン形状部分62bとの相互間に環状の隙間Cを形成する。これにより、カバー本体11の副室14は、ホットメルトガン60の注出口63を外界からほぼ完全に遮断して、この注出口63での温度低下を抑制する。
【0055】
また、保温カバー10は、図7(a)に示す如く、カバー本体11の外表面をその周方向包囲して当該カバー本体11から外界への放熱を防ぐための筒状の断熱層12を備える。この断熱層12は、カバー本体11に対して、圧入嵌合又は接着等の既存の方法により固定される。これにより、保温カバー10は、ホットメルトガン60に対し、カバー本体11及び断熱層12を一体に着脱可能に構成される。
【0056】
次に、図7を参照して、保温カバー10の作用をホットメルトガン60の注出動作と共に説明する。
【0057】
ホットメルトガン60からホットメルト接着剤を微小な接着面に定量注出すべく、ホットメルトガン60のノズル胴部61をヒータで温めると、このノズル胴部61から発せられた熱Q1は、主室14の内壁17からカバー本体11を伝達されて当該カバー本体11を温め、このカバー本体11から発せられた熱Q2が更に、副室14の当接面18からノズル先端部62のドラム形状部分62aを経て当該ノズル先端部62の全体に伝達される。
【0058】
このため、ホットメルトガン60の注出準備を開始してから一定時間が経過すると、ノズル先端部62全体の温度は、ノズル胴部61から発せられたホットメルト接着剤の適正温度になる。しかもこの場合、ノズル先端部62のコーン形状部分62bが副室14に形成された隙間Cに取り囲まれているため、この隙間C内に発生した熱雰囲気により、コーン形状部分62bでの適正温度はそのまま維持される。従って、前記ニードル弁をON/OFF制御してホットメルト接着剤を注出すると、そのホットメルト接着剤は、少なくとも開口16を通過するまでは固化することなく、目標となる微小な接着面に対して精度良く注出される。
【0059】
また、この場合、ホットメルト接着剤が注出口63に付着した場合も、ノズル先端部62全体の温度がホットメルト接着剤の適正温度に維持されているため、固化することなく、その溶融状態を保つことができる。これにより、初期注出時において発生し易い微小固化メルトの発生に起因する、ホットメルト接着剤の飛び散り、注出位置のずれや注出ムラ等の発生を防止できるため、ホットメルトガン60の使い勝手がよくなる。
【0060】
なお、図8(a),(b)はそれぞれ、ホットメルトガン60単体で接着面に対してホットメルト接着剤の定量注出を断続的に行った場合のホットメルト接着剤の付着パターンと、保温カバー10を装着したホットメルトガン60で接着面に対してホットメルト接着剤の定量注出を断続的に行った場合のホットメルト接着剤の付着パターンとを示す。
【0061】
ホットメルトガン60単体で定量注出を断続的に行う場合、図8(a)に示す如く、注出開始直後は、ホットメルト接着剤の飛び散り、気泡、注出位置のずれ(バラツキ)及び注出ムラが生じるの対し、保温カバー10を装着したホットメルトガン60で定量注出を断続的に行う場合、図8(b)に示す如く、注出開始直後から、ホットメルト接着剤の飛び散り、気泡、注出位置のずれ(バラツキ)及び注出ムラを生じない。
【0062】
即ち、保温カバー10によれば、複雑な温度制御を要するヒータ等の発熱手段を新たに設けることなく、注出量の変動が少なく断続的な注出が可能になり、その断続的な注出毎に、注出量を精度良くコントロールすることができる。加えて、保温カバー10は、ホットメルトガン60の外側に装着されることから、使用するホットメルトガンに応じて設計変更が可能になるため、ホットメルトガン60自体を設計変更することなくそのまま使用することができる。
【0063】
特に、保温カバー10では、副室14に、ノズル先端部62に接触して主室11からの熱伝導により当該ノズル先端部62の温度低下を抑制する当接面18を設けたから、注出口63での温度は、ノズル胴部61から発せられたホットメルト接着剤の適正温度に維持されるため、微小な接着面に対しても温度による品質変化を起こさない安定したホットメルト接着剤を注出することができる。
【0064】
また、保温カバー10は、副室14に、ホットメルトガン60との相互間に隙間Cを形成する内壁19が設けられているから、副室14とホットメルトガン60との相互間に形成された隙間Cが暖まると断熱空間を構成するため、ノズル先端部62に対する保温性に優れる。また、隙間Cは、保温カバー10とホットメルトガン60との組み付けに多少の自由度を持たせることができるため、組み付け作業が容易で作業効率が向上する。更に、保温カバー10は、主室13の内壁17が、ホットメルトガン60の胴部61に接触して当該胴部61からの熱伝導によりカバー本体11を温める当接面を構成する。かかる構成によれば、保温カバー10が迅速に温まるため、注出作業の効率化を図ることができる。
【0065】
加えて、保温カバー10では、カバー本体11を熱伝導率の良い銅により形成しているため、ノズル先端部62の温度低下が抑制されるまでの待ち時間が短く済んで、注出作業の効率化を図ることができる。加えて、銅は、入手や加工が容易であるため、生産性に優れ生産コストの抑制も図れる。なお、カバー本体11をアルミニウムで形成しても同様の効果を得られるが、熱伝導率の良い材料であれば、銅やアルミニウムに限定されるものではない。
【0066】
また、保温カバー10では、主室13から副室14の一部に至るカバー本体11の外表面に、カバー本体11からの放熱を防ぐための断熱層12を設けている。この場合、カバー本体11から外界への放熱を防げる分だけ、カバー本体11の熱伝導効率が良くなり、ノズル先端部62に対する保温性も向上する。なお、図9は、保温カバー10の変形例であって、断熱層12を主室13から副室14に至るカバー本体11の外表面全体に設けたものである。この図の如く、断熱層12は、主室13から副室14に至るカバー本体11の外表面全体に設けることが最も好ましいが、あくまで、主室13及び副室14の外表面の少なくとも一部に設けられていればよい。
【0067】
また、図10(a),(b)はそれぞれ、ホットメルトガン60の変形例を示す要部側面図と、このホットメルトガン60を保温カバー10に装着した状態を示す要部断面図である。なお、以下の説明において、図6〜9と同一部分は同一符号をもってその説明を省略する。
【0068】
上記ホットメルトガン60は、図10(a)に示す如く、そのノズル先端部62がドラム形状部分62bのみからなるタイプである。このホットメルトガン60に保温カバー10を装着した場合、図10(b)に示す如く、ホットメルトガン60と副室14の内壁18との相互間に形成された隙間Cが逆円錐形状の広い隙間に確保することができる。
【0069】
更に、保温カバー10は、図11のホットメルトガン50に装着することも可能である。
【0070】
このホットメルトガン50も、溶融タンク131から圧送されたホットメルトが充填される胴部51を有し、この胴部51は、上側胴部51aと下側胴部51bとからなる。また、下側胴部51bには先端部52が繋がり、この先端部52は、胴部51に直接繋がるドラム形状部分52aと、先端の尖ったコーン形状部分52bとからなる。このコーン形状部分52bには、ノズル胴部51に充填されたホットメルト接着剤が注出される注出口53が設けられ、この注出口53を注出通路54の上部に位置するニードル弁(図示せず。)で開閉することにより、ホットメルトの定量注出を可能にする。
【0071】
上記ニードル弁は、上側胴部51a内に配置された図示せぬピストンをON/OFF制御することにより、コーン形状部分52bに設けた注出口53を開閉可能にストロークする。また、前記ニードル弁のストローク量は、上側胴部51aから突出したストローク調整ボルト55により決定される。なお、符号56は、ストローク調整ボルト55を位置決めする位置決めナットである。下側胴部51bは、その内部にホットメルト接着剤を充填する充填空間を有し、この充填空間内のホットメルトを温度による品質変化を起こさない適正温度に加熱する電気ヒータを備えた発熱部を構成する。
【0072】
即ち、ホットメルトガン50は、溶融タンク131から圧送されたホットメルトを下側胴部51bにて適正温度に温めてから、前記ニードル弁を動作させることにより、ホットメルトの定量注出を行う。
【0073】
なお、こうしたホットメルトガン50に保温カバーを採用する場合、カバー本体11の主室13に収納するノズル胴部51は、少なくとも下側胴部51bを収納していれば、上側胴部51aをも収納しているかどうかは問わない。
【0074】
図12(a),(b)はそれぞれ、保温カバーの第二の形態及び第三の形態の一部を断面で示す斜視図である。
【0075】
図12(a)に示すホットメルトガン70は、六角柱形のヒータからなるノズル胴部71と、このノズル胴部71に繋がる六角柱形のノズル先端部72とを備え、このノズル先端部72に設けた注出口をニードル弁のON/OFF制御により開閉するものである。これに対し、保温カバー20は、ノズル胴部71を収納する六角断面形状の主室23と、この主室23に繋がってノズル先端部72を取り囲む円形断面形状の副室24とを有し、この副室24の壁部25に、ノズル先端部72に設けた注出口からホットメルト接着剤を外界に注出する開口26が設けたカバー本体のみからなる。
【0076】
保温カバー20もまた、副室24には、保温カバー10と同様、ノズル先端部72の端面76に接触して主室23からの熱伝導により当該ノズル先端部72の温度低下を抑制する環状の当接面28と、ホットメルトガン70との相互間に逆円錐形状の隙間Cを形成する内壁29とが設けられている。更に、主室23も、保温カバー10と同様、ノズル胴部71の外表面71fが接触する6つのパネル形状の内壁27を有し、ノズル胴部71から発せられた熱が保温カバー20に直接伝わるように構成されている。
【0077】
図12(b)に示すホットメルトガン80は、円柱形のヒータからなるノズル胴部81と、このノズル胴部81に繋がる円柱形のノズル先端部82とを備え、このノズル先端部82に設けた注出口をニードル弁のON/OFF制御により開閉するものである。これに対し、保温カバー30は、ノズル胴部81を収納する円形断面形状の主室33と、この主室33に繋がってノズル先端部82を取り囲む円形断面形状の副室34とを有し、この副室34の壁部35に、ノズル先端部82に設けた注出口からホットメルト接着剤を外界に注出する開口36が設けたカバー本体のみからなる。
【0078】
保温カバー30も、副室34には、保温カバー10と同様、ノズル先端部82の端面86に接触して主室33からの熱伝導により当該ノズル先端部82の温度低下を抑制する環状の当接面38と、ホットメルトガン80との相互間に逆円錐形状の隙間Cを形成する内壁39とが設けられている。更に、主室33も、保温カバー10と同様、ノズル胴部81の外表面81fが接触する円形断面形状の内壁37を有し、ノズル胴部81から発せられた熱が保温カバー30に直接伝わるように構成されている。
【0079】
なお、図12(a),(b)にはそれぞれ、カバー本体21,31のみを示してあるが、各カバー本体21,31の外表面それぞれには、保温カバー10と同様、各カバー本体21,31からの放熱を防ぐ断熱層を設けてもよい。即ち、上記各保温カバーによれば、ホットメルトガンに応じて設計変更が可能になるため、図12(a),(b)に示す如く、ホットメルトガン自体を設計変更することなくそのまま使用することができる。
【0080】
即ち、上記各保温カバーは、その副室がホットメルトノズルの先端部を取り囲むことにより当該先端部を外界からほぼ完全に遮断し、その注出口での温度低下を抑制するため、ホットメルト接着剤が注出口に付着しても固化することなく、その溶融状態を保つことができる。これにより、初期注出時において発生し易い微小固化メルトの発生に起因する、ホットメルト接着剤の飛び散り、注出位置のずれや注出ムラ等の発生を防止できるため、ホットメルトノズルの使い勝手がよくなる。
【0081】
従って、上記各保温カバーによれば、複雑な温度制御を要するヒータ等の発熱手段を新たに設けることなく、注出量の変動が少なく断続的な注出が可能になり、その断続的な注出毎に、注出量を精度良くコントロールすることができる。加えて、上記各保温カバーは、ホットメルトノズルの外側に装着される保温カバーであることから、ホットメルトノズルに応じて設計変更が可能になるため、ホットメルトノズル自体を設計変更することなくそのまま使用することができる。
【0082】
なお、上記各保温カバーは、カバー本体の副室がホットメルトノズルの先端部を取り囲んで当該先端部を保温できればよいため、保温カバーの形状は、上述した各形態の形状のみに限定されるものではなく、ヒータを内蔵しないホットメルトノズルにも適用することができる。また、保温カバーは、上記各形態の要部を、その用途や仕様に応じて様々に組み合わせることもできる。
【0083】
このように、本発明装置100において、ホットメルトノズル60に保温カバー10を装着しておけば、ホットメルト接着剤が注出口に付着しても固化することないため、初期注出時において発生し易い微小固化物の発生に起因する、ホットメルト接着剤の飛び散り、注出位置のずれや注出ムラ等の発生を防止できる。即ち、かかる構成によれば、ホットメルト接着剤の供給不良に伴う不良率の発生が減少するため、不良率の影響を受け易い小ロット生産において有効である。
【0084】
また、本発明装置100において、マット3は、発泡性ゴム材からなるから、摩擦抵抗の高いマットを簡単且つ安価に製造することができるため、本発明装置100全体の低コスト化を図ることができる。
【0085】
更に、本発明装置100には、ケース101を載置するラフ面113fを有してその開放動作により当該ケース101を可動テーブル1に導入する供給ステーション113が設けられている。この場合、ケース101を可動テーブル1上に達磨落とし式に載置できるため、ケース101の水平方向に対する位置や向きに大きなずれを生じることなく、画像認識を行うことができる。
【0086】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、本形態は、ワークの供給及び排出を人手により行う卓上型の半自動装置として説明したが、ワークの供給及び排出も含めて完全に自動化してもよい。更に、本形態においては、テーブルコントローラ200、画像認識ユニット300及び供給調整コントローラ400をそれぞれ別個に設けたが、これらの機能を供給調整コントローラ400にまとめることにより、作業者が当該コントローラ400に配した操作パネル401から一括して手動又は自動制御すれば、ワークの変更に伴う準備や段取り調整に掛かる時間を更に短縮することも可能である。
【0087】
また、本発明装置は、ワークも化粧コンパクトケース等の容器に対する糊付けに限らず、口紅や食品等を容器に充填する充填装置としてもよい。このため、本発明装置の供給する物質は、ホットメルト接着剤等の糊剤に限ることなく、液状物である熱可塑性を有する口紅等の化粧料や食品をはじめ、固形物、粉体等とすることも可能である。更に、上記各形態の要部は、その用途や仕様に応じて様々に組み合わせることもできる。
【0088】
また、本発明においてワークに施す作業も、液状物等の物質の供給に限らず、例えば、当該ホットメルト供給部120に当たる部分で、インクジェット等を用いてワークに加飾、印刷、塗装を行ったり、或いは、加圧エア等を用いてワークの微細部分をブロー洗浄する等も可能である。即ち、本発明は、ワークの位置決めと、その位置決めされたワークへの作業を伴うものであれば、ワークに施す作業が如何なるものかを問わない。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の一形態であるホットメルト供給装置を模式的に示す側面図である。
【図2】同形態の供給装置を模式的に示す斜視図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、同形態において、ホットメルト接着剤が1点供給された化粧コンパクトケースを例示する上面図及び側面図である。
【図4】(a),(b)はそれぞれ、同形態において、ホットメルト接着剤が4点供給された化粧コンパクトケースを例示する上面図及び側面図である。
【図5】同形態において、ホットメルト接着剤が3点供給された化粧コンパクトケースを例示する上面図及び側面図である。
【図6】(a),(b)はそれぞれ、微小な接着面に対してホットメルト接着剤を定量注出するホットメルトノズルの側面図及び、このホットメルトノズルに装着される、本発明の第一の形態である保温カバーの縦断面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、同形態において、保温カバーをホットメルトガンに装着した状態で示す断面図と、その要部断面図である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ、同形態において、ホットメルトガン単体で接着面に対してホットメルト接着剤の定量注出を断続的に行った場合のホットメルト接着剤の付着パターンと、保温カバーを装着したホットメルトガンで接着面に対してホットメルト接着剤の定量注出を断続的に行った場合のホットメルト接着剤の付着パターンとを示す。
【図9】保温カバーの変形例をホットメルトガンに装着した状態で示す断面図である。
【図10】(a),(b)はそれぞれ、ホットメルトガンの変形例を示す要部側面図と、このホットメルトガンを保温カバーに装着した状態で示す要部断面図である。
【図11】ホットメルトノズルの一例である、ヒータを備えたホットメルトガンの側面図である。
【図12】(a),(b)はそれぞれ、保温カバーの第二の形態及び第三の形態の一部を断面で示す斜視図である。
【符号の説明】
【0090】
1 可動テーブル
2 テーブル本体
3 マット
10 保温カバー
60 ホットメルトガン
100 ホットメルト供給装置
110 ケース導入部
111 供給ユニット
112 導入口
113 供給ステーション
113f ラフ面
120 画像認識部
121 照明装置
122 画像カメラ
130 ホットメルト供給部
131 溶融タンク
140 ケース排出部
200 テーブルコントローラ
300 画像認識ユニット
400 供給調整コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべきワークを載置して前後左右に移動可能とした可動テーブルと、この可動テーブルに載置されたワークの配置状態を画像認識する画像認識手段と、この画像認識手段による情報に基づき前記可動テーブルを前後左右に移動させて前記ワークの位置決めを行い当該ワークに作業を施す作業手段とを備え、
前記可動テーブルに、前記ワークを載置して当該可動テーブルの移動に伴う前記ワークの位置ずれを防止する摩擦抵抗の高いマットを設けたことを特徴とする位置決め作業装置。
【請求項2】
前記作業が前記ワークへの物質の供給であり、前記作業手段が物質供給手段であることを特徴とする請求項1に記載の位置決め作業装置。
【請求項3】
前記物質供給手段が、物質として液状物を供給する液状物供給手段であることを特徴とする請求項2に記載の位置決め作業装置。
【請求項4】
前記液状物供給手段は、加熱溶融物を供給するホットメルトノズルと、このホットメルトノズルに装着される保温カバーとを備えることを特徴とする請求項3に記載の位置決め作業装置。
【請求項5】
前記マットは、ゴム材からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の位置決め作業装置。
【請求項6】
前記ワークを載置するラフ面を有してその開放動作により当該ワークを前記可動テーブルに供給する供給ステーションを設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の位置決め作業装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−272274(P2006−272274A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99217(P2005−99217)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】