位置決め制御システム
【課題】高精度かつ高速な位置決め制御を可能にする。
【解決手段】位置決め制御システム1において、変位センサ4は、共振回路6に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更可能であり、置決め制御装置5は、可動体2の目標位置Tに対する検出位置Kの偏差Hに応じて、変位センサ4にカウント数Nの変更指令を出力する手段を備え、該手段が偏差Hの減少に応じてカウント数Nを増加させる。
【解決手段】位置決め制御システム1において、変位センサ4は、共振回路6に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更可能であり、置決め制御装置5は、可動体2の目標位置Tに対する検出位置Kの偏差Hに応じて、変位センサ4にカウント数Nの変更指令を出力する手段を備え、該手段が偏差Hの減少に応じてカウント数Nを増加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造設備などの設備装置においては、ワーク、金型などの可動体を所定の目標位置に位置決めするために、位置決め制御システムが組み込まれている。位置決め制御システムは、例えば、可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置とを備えて構成される。そして、高精度な位置決めが要求される場合は、可動体の位置を高精度に検出可能な変位センサが選定され、さらに、使用環境がクリーンでない場合は、耐環境性にも優れた変位センサを選定する必要がある。
【0003】
検出精度及び耐環境性に優れる変位センサとしては、金属の変位を磁気的に検出する磁気式変位センサ(渦電流センサ)が知られている。例えば、検出コイルを含む高周波発振回路を備えた高周波発振型の磁気式変位センサは、金属と検出コイルとの距離に応じて、高周波発振回路の発振振幅や発振周波数が変化することを利用し、金属の変位を検出するようになっている。また、高周波発振回路の発振振幅や発振周波数は、金属との距離に応じて変化するだけでなく、金属の材質(透磁率、導電率などの違い)に応じて変化するため、例えば、振幅測定方式の磁気式変位センサでは、磁性金属(鉄など)の変位を良好に検出でき、周波数測定方式の磁気式変位センサでは、非磁性金属(アルミなど)の変位を良好に検出することができる。
【0004】
しかしながら、従来における周波数測定方式の磁気式変位センサは、高周波発振を継続しつつ、その僅かな位相ズレを測定しているため、同期検波回路などの複雑な回路が必要になり、振幅測定方式の磁気式変位センサに比べて、著しく高価になるという問題がある。また、僅かな位相ズレをデジタル回路で検出することも可能ではあるが、この場合には、極めて高速で動作するカウンタやCPUが必要になるため、却ってコスト高となる可能性がある。
【0005】
そこで、本出願人は、検出コイルにコンデンサを接続してなる共振回路と、該共振回路に対して駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、該駆動信号出力手段の信号出力停止後に前記共振回路から減衰状に出力される自由振動波にもとづいて、金属の変位(近接)に伴う振動波の位相ズレを測定する位相ズレ測定手段とを備える変位センサ(近接センサ)を過去に提案した(特許文献1参照)。そして、このような変位センサによれば、金属の変位に伴う振動波の位相ズレを簡単な回路構成で精度良く測定することが可能になる。すなわち、共振回路から減衰状に出力される自由振動波にあっては、金属の変位に伴う振動波の位相ズレが明確に現れるだけでなく、位相ズレが振動波の数だけ蓄積されるので、高速なカウンタを持たない安価なデジタル回路でも、位相ズレを高精度に測定することができる。
【0006】
さらに、本出願人は、前記駆動信号出力手段の信号出力停止後に前記共振回路から出力される自由振動波の数をカウントし、所定数の自由振動波をカウントしたタイミングで、前記駆動信号出力手段に駆動信号を出力させる、という回帰動作を所定回数繰り返すことによって、自由振動波の位相ズレを増幅させる変位センサ(近接センサ)を提案した(特願2006−232267号)。
【特許文献1】特開2007−68082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本出願人が過去に提案した上記の変位センサでは、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nや、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを多くすることにより、検出精度を上げることが可能であるが、その反面、カウント数Nや繰り返し回数Mを多くすると、一回の測定時間が長くなるため、応答性が低下してしまうという問題がある。したがって、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合には、応答速度の遅れに応じて可動体の移動速度を遅くする必要があるので、高速な位置決め動作が困難になるという問題があった。また、位置決め動作速度を優先する位置決め制御システムに適用する場合には、カウント数Nや繰り返し回数Mを減らす必要があるので、位置決め精度が低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作された本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0009】
また、本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0010】
また、本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段を備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段を備え、該繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記繰り返し回数Mを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0011】
また、本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とを備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備え、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数N及び/又は繰り返し回数Mを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
また、前記位置決め制御装置は、前記偏差の減少に応じて可動体の移動速度を遅くすることを特徴とする。
このようにすると、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mの増加、すなわち変位センサにおける応答性の低下に応じて、可動体の移動速度を自動的に遅くするので、変位センサの応答性と可動体の移動速度との不適合を回避でき、その結果、高精度かつ高速な位置決め制御が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
[位置決め制御システム]
図1は、位置決め制御システムの構成を示すブロック図である。この図に示される位置決め制御システム1は、位置決めの対象である可動体2を移動させるアクチュエータ3と、可動体2の変位を検出する変位センサ4と、変位センサ4の検出信号に応じてアクチュエータ3の動作を制御し、可動体2を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置5とを備えて構成されている。なお、可動体2やアクチュエータ3は、本発明の位置決め制御システム1を適用する設備装置に応じて、適宜変更されるものである。例えば、製造設備においては、ワーク、金型などを可動体2とし、該可動体2を、電動アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータなどのアクチュエータ3で移動させる。
【0015】
[変位センサ]
変位センサ4は、金属の変位を検出する磁気式変位センサ(渦電流センサ)であって、共振回路6及び検出回路7を備えて構成されている。共振回路6は、検出コイルLにコンデンサCを接続して構成され、検出回路7から出力される駆動信号により駆動される。検出回路7は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O、比較器(コンパレータ)などが内蔵された1チップマイコンを用いて構成され、ROMに書き込まれたプログラムに従い、後述する位相ズレ検出処理を行う。
【0016】
検出回路7は、共振回路6を駆動し、該共振回路6から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて、金属の変位を検出するにあたり、共振回路6に対して所定数(一又は複数)の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するようになっている。これにより、振動波の位相ズレ成分を簡単な回路構成で精度良く検出することが可能になる。すなわち、共振回路6から減衰状に出力される自由振動波にあっては、強制振動波に比して位相ズレ成分が明確に現れるだけでなく、位相ズレ成分が振動波の数だけ蓄積されるので、回路構成が複雑な同期検波回路や、高速なカウンタを持たない安価なデジタル回路でも、位相ズレ成分を高精度に検出することができる。
【0017】
また、検出回路7は、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させるようになっている。このようにすると、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを増やすだけで、位相ズレ成分の検出精度をさらに向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の変位センサ4には、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とが備えられている。このようにすると、使用条件に応じて自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを変更し、変位センサ4の測定精度や応答性能を調整することができる。例えば、測定精度が優先される用途では、一回の検出処理における合計カウント数(N×M)が多くなるように自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを増やし、また、応答性能が優先される用途では、一回の検出処理における合計カウント数(N×M)が少なくなるように自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを減らすことができる。また、自由振動波の減衰が大きく、自由振動波のカウント数Nを多くできない状況にあっては、自由振動波カウント数Nを減らし、かつ、繰り返し回数Mを増やすことにより、要求精度を満たすことができる。
【0019】
次に、変位センサ4の具体的な構成について説明する。
【0020】
共振回路6は、検出コイルLにコンデンサCを並列に接続した並列共振回路であってもよいが、検出コイルLにコンデンサCを直列に接続した直列共振回路であることが好ましい。このようにすると、直列共振回路の作用によって、最大でソース電圧(例えば5V)のQ倍(例えば8倍)の電圧を検出コイルLに印加できるので、共振回路6から振幅の大きい自由振動波を出力することができる。これにより、自由振動波カウント数を多くし、測定精度を更に高めることができるだけでなく、ノイズにも強いものとできる。しかも、振幅の大きい自由振動波は、増幅器を介さずに検出回路7に直接入力できるので、回路構成がよりシンプルになり、更なるコストダウンが可能になる。
【0021】
なお、検出コイルLに印加される最大電圧VLMAXは、以下に示す式で求めることができる。ただし、ω0は共振角周波数、Lは検出コイルLのインダクタンス、Rは検出コイルLの抵抗、CはコンデンサCのキャパシタンス、VSはソース電圧、Qは共振回路の良好度である。
【0022】
【数1】
【0023】
本実施形態の検出回路7は、駆動パルス信号によって共振回路6を強制振動させるにあたり、複数の駆動パルス信号により共振回路6を強制振動させた後、駆動信号出力を停止する。このようにすると、単発の駆動パルス信号で共振回路6を強制振動させる場合に比べ、強制振動波の振幅を大きくできる。特に、強制振動波の振幅が最大になるように所定の共振周波数で数発(例えば6発)の駆動パルス信号を出力すれば、駆動信号出力停止後に共振回路6から出力される自由振動波の振幅をより大きくし、測定精度を更に高めることが可能になる。
ちなみに、共振回路6を強制振動させる共振周波数fは、以下に示す式で求めることができる。
【0024】
【数2】
【0025】
自由振動波カウント数変更手段や繰り返し回数変更手段は、検出回路7内に構成することができる。この場合、検出回路7は、内部で記憶保持している自由振動波カウント数Nを、外部からの自由振動波カウント数変更指令信号に応じて増減させ、また、内部で記憶保持している繰り返し回数Mを、外部からの繰り返し回数変更指令信号に応じて増減させる。そして、検出回路7に対する自由振動波カウント数変更指令信号や繰り返し回数変更指令信号の入力は、変位センサ4(検出回路7)に接続される位置決め制御装置5から行われる。
【0026】
次に、自由振動波における位相ズレの蓄積作用(増幅作用)について、図2〜図10を参照して説明する。
【0027】
図2は、駆動パルス信号波形(a点)及び共振回路の振動波形(b点)を示す説明図である。この図に示すように、検出回路7は、所定電圧(例えば5V)の駆動パルス信号を出力し、共振回路6を強制振動させる。このとき、本実施形態では、所定の共振周波数で数発(例えば6発)の駆動パルス信号を出力することにより、検出コイルLに最大電圧(例えば40V)を印加させる。そして、駆動パルス信号の出力を停止した後は、共振回路6から複数の自由振動波が減衰状に出力される。
【0028】
図3は、十数個目の自由振動波を拡大した説明図、図4は、検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの位相ズレを示す説明図、図5は、検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの位相ズレを示す説明図である。これらの図に示すように、共振回路6から出力される自由振動波は、十数個目であっても検出に十分な振幅を保っている。ここで、検出コイルLに金属が近接すると、検出コイルLから発生する磁束が近接した金属に磁気的に干渉し、自由振動波の位相が進む。金属の近接に伴う自由振動波の位相ズレは、強制振動波に比べて明確に現れるだけでなく、自由振動波の個数分だけ蓄積されるので、低速なカウンタでも高精度に位相ズレを測定することが可能になる。
【0029】
また、図4及び図5に示すように、自由振動波の位相ズレは、検出コイルLに金属が近づくほど大きくなるので、自由振動波の位相ズレにもとづいて、検出コイルLと金属の距離を高精度に測定することが可能になる。図10は、金属の近接距離(mm)と位相ズレ(μsec)の関係を示しており、検出コイルLに金属が近づくほど自由振動波の位相ズレが大きくなることが解る。特に、10〜20個目の自由振動波を見ている位相ズレデータにあっては、位相ズレが10〜20倍に加算されているので、極めて高精度な距離測定(変位測定)が可能になる。
【0030】
図6は、自由振動波形(b点)と比較器出力(c点)の関係を示す説明図、図7は、検出コイルに金属が近接していないときの比較器出力を示す拡大図、図8は、検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの比較器出力を示す説明図、図9は、検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの比較器出力を示す説明図である。これらの図に示すように、共振回路6から出力される自由振動波は、十数個目であっても検出に十分な振幅を保っているので、比較器によって明確な矩形波に変換することができる。ここで、検出コイルLに金属が近接すると、比較器出力波形の位相が進む。図8及び図9から明らかなように、金属の近接に伴う位相ズレは、自由振動波の個数が増えるほど蓄積され、測定が容易になる。
【0031】
次に、自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用(蓄積作用)について、図11を参照して説明する。
【0032】
図11は、自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用を示す説明図である。この図に示す波形は、一回の検出処理における共振回路6の出力波形であって、2発の駆動パルス信号を出力して、共振回路6を強制振動させた後、共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、カウント数が所定数5に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数5に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を10回繰り返した場合の波形であり、上側の波形は、下側の波形よりも金属を近づけた場合を示している。この図から明らかなように、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数繰り返すと、自由振動波の位相ズレが増幅される。これにより、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、金属の近接に伴う位相ズレの測定精度を飛躍的に向上させることができる。さらに、本発明においては、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とが備えられているので、位置決め制御状態に応じて自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを変更し、変位センサ4の測定精度や応答性能を調整することができる。
【0033】
次に、検出回路7の検出処理手順及び設定値変更処理手順(自由振動波カウント数変更手段及び繰り返し回数変更手段)について、図12及び図13を参照して説明する。
【0034】
図12は、検出回路の検出処理手順を示すフローチャート、図13は、検出回路の設定値変更処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、検出回路7は、まず、比較器のREF電圧を設定した後(S101)、設定値変更処理(S102)と、カウンタクリア処理(S103)と、自由振動波カウント処理(S104〜S106)と、自由振動波カウント処理の繰り返し処理(S107、S108)と、検出信号出力処理(S109、S110)とからなる検出処理を繰り返し実行する。
【0035】
設定値変更処理は、図13に示すように、位置決め制御装置5からの設定値変更指令(自由振動波カウント数変更指令及び繰り返し回数変更指令)に応じて(S201)、前述したカウント数Nや繰り返し回数Mを変更する処理である(S202)。なお、設定値変更指令は、変更後のカウント数Nや繰り返し回数Mを示す絶対値指令(例えば、N=10、M=10)でもよいし、変更前のカウント数Nや繰り返し回数Mに対する相対値を示す相対値指令(例えば、N=N+5、M=M+5)でもよい。
【0036】
カウンタクリア処理は、繰り返し回数カウンタ及び時間計測カウンタをクリアする処理である(S103)。また、自由振動波カウント処理は、強制振動波の振幅が最大になるように、共振回路6に対して所定の共振周波数で数発の駆動パルス信号を出力した後(S104)、自由振動波カウンタをクリアし(S105)、共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントすると共に、カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する処理である(S106)。また、繰り返し処理は、自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングで、繰り返し回数カウンタをインクリメントすると共に(S107)、繰り返し回数カウンタが所定数Mに達したか否かを判断し(S108)、該判断結果がYESになるまで、自由振動波カウント処理(S104〜S106)を繰り返す処理である。また、検出信号出力処理は、自由振動波カウント処理の繰り返し回数が所定数Mになったら、時間計測カウンタ値を読み込むと共に(S109)、読み込んだ時間計測カウンタ値を所定の検出信号形式(例えば、距離信号)に変換して出力する処理である(S110)。
【0037】
[位置決め制御装置]
位置決め制御装置5は、変位センサ4の検出信号に応じてアクチュエータ3の動作を制御し、可動体2を所定の目標位置に位置決めする位置決め用のコントローラであって、可動体2の目標位置Tに対する検出位置Kの偏差Hに応じて、変位センサ4にカウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備えており、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段は、偏差Hの減少に応じてカウント数Nや繰り返し回数Mを増加させるようになっている。
【0038】
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを少なくし、変位センサ4の応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを多くし、変位センサ4の検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体2の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
位置決め制御装置5は、偏差Hの減少に応じて可動体2の移動速度Sを遅くすることが好ましい。このようにすると、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mの増加、すなわち変位センサ4における応答性の低下に応じて、可動体2の移動速度Sを自動的に遅くすることができるので、変位センサ4の応答性と可動体2の移動速度Sとの不適合を回避し、高精度かつ高速な位置決め制御が可能になる。
【0040】
次に、位置決め制御装置5の位置決め制御処理手順及び設定値変更指令処理手順(自由振動波カウント数変更指令出力手段及び繰り返し回数変更指令出力手段)について、図14〜図17を参照して説明する。ただし、N1〜N5(N1<N2<N3<N4<N5)は、カウント数Nを変更するための設定値、M1〜M5(M1<M2<M3<M4<M5)は、繰り返し回数Mを変更するための設定値、S1〜S5(S1<S2<S3<S4<S5)は、移動速度Sを変更するための設定値、H1〜H4(H1<H2<H3<H4)は、偏差Hの大きさを判断するための設定値である。また、本実施形態では、偏差Hに応じてカウント数N及び繰り返し回数Mを変更するが、カウント数N、繰り返し回数Mのいずれかを変更するようにしてもよい。
【0041】
図14は、位置決め制御装置における位置決め制御の処理手順を示すフローチャート、図15は、位置決め制御装置における設定値変更指令出力の処理手順を示すフローチャート、図16の(A)及び(B)は、位置決め制御装置における設定値変更指令出力の作用説明図である。図14に示すように、位置決め制御では、まず、後述する設定値変更指令出力処理(S301)を実行した後、変位センサ4による可動体2の検出位置(検出距離)Kを入力する(S302)。次に、変位センサ4の検出位置Kと、予め設定される目標位置(目標距離)Tとを比較し、両位置が一致しているか否かを判断する(S303)。この判断結果がNOである場合は、検出位置Kが目標位置Tよりも上手側であるか否かを判断し(S304)、該判断結果がYESの場合は、アクチュエータ3を前進方向に動作させる一方(S305)、判断結果がNOの場合は、アクチュエータ3を後退方向動作させる(S306)。そして、検出位置Kが目標位置Tに一致したら、アクチュエータ3を停止させた後(S307)、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度Sに初期値であるN1、M1、S5をセットし(S308、S309)、一連の位置決め動作を終了する。
【0042】
図15に示すように、設定値変更指令出力処理では、まず、前述したカウント数N及び繰り返し回数Mが未設定であるか否かを判断する(S401)。この判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度Sに初期値であるN1、M1、S5をセットする(S402、S403)。カウント数N及び繰り返し回数Mが設定済みである場合は、偏差H(H=T−K)がH4以上であるか否かを判断し(S404)、該判断結果がYESの場合も、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度Sに初期値であるN1、M1、S5をセットする(S402、S403)。また、偏差HがH4未満である場合は、偏差HがH3以上であるか否かを判断し(S405)、該判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度SにN2、M2、S4をセットする(S406、S407)。また、偏差HがH3未満である場合は、偏差HがH2以上であるか否かを判断し(S408)、該判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度SにN3、M3、S3をセットする(S409、S410)。また、偏差HがH2未満である場合は、偏差HがH1以上であるか否かを判断し(S411)、該判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度SにN4、M4、S2をセットし(S412、S413)、NOの場合は、N5、M5、S1をセットする(S414、S415)。そして、カウント数Nや繰り返し回数Mが変更された場合は(S416)、変位センサ4に対して設定値変更指令が出力される(S417)。
【0043】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、位置決めの対象である可動体2を移動させるアクチュエータ3と、可動体2の変位を検出する変位センサ4と、変位センサ4の検出信号に応じてアクチュエータ3の動作を制御し、可動体2を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置5と、を備える位置決め制御システム1において、変位センサ4は、検出コイルLとコンデンサCとを接続してなる共振回路6を駆動し、該共振回路6から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、共振回路6に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とを備え、位置決め制御装置5は、可動体2の目標位置Tに対する検出位置Kの偏差Hに応じて、変位センサ4にカウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備え、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段が偏差Hの減少に応じてカウント数Nや繰り返し回数Mを増加させるので、位置決め制御の開始当初は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを少なくすることにり、変位センサ4の応答速度を高め、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを多くし、変位センサ4の検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体2の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0044】
また、位置決め制御装置5は、偏差Hの減少に応じて可動体2の移動速度Sを遅くするので、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mの増加、すなわち変位センサ4における応答性の低下に応じて、可動体2の移動速度Sを自動的に遅くすることができる。その結果、変位センサ4の応答性と可動体2の移動速度Sとの不適合を回避し、高精度かつ高速な位置決め制御が可能になる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、本実施形態の変位センサは、検出回路から出力される駆動信号で共振回路を直接駆動しているが、検出コイルとは別個に設けられる励磁コイルを駆動し、該駆動に応じて励磁コイルから発生する交流磁界の変化を検出コイル(共振回路)で検出する変位センサも好適に用いることができる。また、前記実施形態では、一回の検出処理において自由振動波カウント処理をM回繰り返すが、本発明は、一回の検出処理において自由振動波カウント処理を繰り返さない変位センサでも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】位置決め制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】駆動パルス信号波形(a点)及び共振回路の振動波形(b点)を示す説明図である。
【図3】十数個目の自由振動波を拡大した説明図である。
【図4】検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの位相ズレを示す説明図である。
【図5】検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの位相ズレを示す説明図である。
【図6】自由振動波形(b点)と比較器出力(c点)の関係を示す説明図である。
【図7】検出コイルに金属が近接していないときの比較器出力を示す拡大図である。
【図8】検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの比較器出力を示す説明図である。
【図9】検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの比較器出力を示す説明図である。
【図10】金属の近接距離と位相ズレの関係を示すグラフである。
【図11】自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用を示す説明図である。
【図12】検出回路の検出処理手順を示すフローチャートである。
【図13】検出回路の設定値変更処理手順を示すフローチャートである。
【図14】位置決め制御装置における位置決め制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】位置決め制御装置における設定値変更指令出力の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】(A)及び(B)は、位置決め制御装置における設定値変更指令出力の作用説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 位置決め制御システム
2 可動体
3 アクチュエータ
4 変位センサ
5 位置決め制御装置
6 共振回路
7 検出回路
C コンデンサ
L 検出コイル
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
製造設備などの設備装置においては、ワーク、金型などの可動体を所定の目標位置に位置決めするために、位置決め制御システムが組み込まれている。位置決め制御システムは、例えば、可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置とを備えて構成される。そして、高精度な位置決めが要求される場合は、可動体の位置を高精度に検出可能な変位センサが選定され、さらに、使用環境がクリーンでない場合は、耐環境性にも優れた変位センサを選定する必要がある。
【0003】
検出精度及び耐環境性に優れる変位センサとしては、金属の変位を磁気的に検出する磁気式変位センサ(渦電流センサ)が知られている。例えば、検出コイルを含む高周波発振回路を備えた高周波発振型の磁気式変位センサは、金属と検出コイルとの距離に応じて、高周波発振回路の発振振幅や発振周波数が変化することを利用し、金属の変位を検出するようになっている。また、高周波発振回路の発振振幅や発振周波数は、金属との距離に応じて変化するだけでなく、金属の材質(透磁率、導電率などの違い)に応じて変化するため、例えば、振幅測定方式の磁気式変位センサでは、磁性金属(鉄など)の変位を良好に検出でき、周波数測定方式の磁気式変位センサでは、非磁性金属(アルミなど)の変位を良好に検出することができる。
【0004】
しかしながら、従来における周波数測定方式の磁気式変位センサは、高周波発振を継続しつつ、その僅かな位相ズレを測定しているため、同期検波回路などの複雑な回路が必要になり、振幅測定方式の磁気式変位センサに比べて、著しく高価になるという問題がある。また、僅かな位相ズレをデジタル回路で検出することも可能ではあるが、この場合には、極めて高速で動作するカウンタやCPUが必要になるため、却ってコスト高となる可能性がある。
【0005】
そこで、本出願人は、検出コイルにコンデンサを接続してなる共振回路と、該共振回路に対して駆動信号を出力する駆動信号出力手段と、該駆動信号出力手段の信号出力停止後に前記共振回路から減衰状に出力される自由振動波にもとづいて、金属の変位(近接)に伴う振動波の位相ズレを測定する位相ズレ測定手段とを備える変位センサ(近接センサ)を過去に提案した(特許文献1参照)。そして、このような変位センサによれば、金属の変位に伴う振動波の位相ズレを簡単な回路構成で精度良く測定することが可能になる。すなわち、共振回路から減衰状に出力される自由振動波にあっては、金属の変位に伴う振動波の位相ズレが明確に現れるだけでなく、位相ズレが振動波の数だけ蓄積されるので、高速なカウンタを持たない安価なデジタル回路でも、位相ズレを高精度に測定することができる。
【0006】
さらに、本出願人は、前記駆動信号出力手段の信号出力停止後に前記共振回路から出力される自由振動波の数をカウントし、所定数の自由振動波をカウントしたタイミングで、前記駆動信号出力手段に駆動信号を出力させる、という回帰動作を所定回数繰り返すことによって、自由振動波の位相ズレを増幅させる変位センサ(近接センサ)を提案した(特願2006−232267号)。
【特許文献1】特開2007−68082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本出願人が過去に提案した上記の変位センサでは、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nや、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを多くすることにより、検出精度を上げることが可能であるが、その反面、カウント数Nや繰り返し回数Mを多くすると、一回の測定時間が長くなるため、応答性が低下してしまうという問題がある。したがって、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合には、応答速度の遅れに応じて可動体の移動速度を遅くする必要があるので、高速な位置決め動作が困難になるという問題があった。また、位置決め動作速度を優先する位置決め制御システムに適用する場合には、カウント数Nや繰り返し回数Mを減らす必要があるので、位置決め精度が低下してしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の如き実情に鑑み、これらの課題を解決することを目的として創作された本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0009】
また、本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0010】
また、本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段を備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段を備え、該繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記繰り返し回数Mを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0011】
また、本発明の位置決め制御システムは、位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、可動体の変位を検出する変位センサと、変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、を備える位置決め制御システムにおいて、前記変位センサは、検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とを備え、前記位置決め制御装置は、可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備え、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数N及び/又は繰り返し回数Mを増加させることを特徴とする。
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを少なくし、変位センサの応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを多くし、変位センサの検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0012】
また、前記位置決め制御装置は、前記偏差の減少に応じて可動体の移動速度を遅くすることを特徴とする。
このようにすると、変位センサにおける自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mの増加、すなわち変位センサにおける応答性の低下に応じて、可動体の移動速度を自動的に遅くするので、変位センサの応答性と可動体の移動速度との不適合を回避でき、その結果、高精度かつ高速な位置決め制御が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
[位置決め制御システム]
図1は、位置決め制御システムの構成を示すブロック図である。この図に示される位置決め制御システム1は、位置決めの対象である可動体2を移動させるアクチュエータ3と、可動体2の変位を検出する変位センサ4と、変位センサ4の検出信号に応じてアクチュエータ3の動作を制御し、可動体2を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置5とを備えて構成されている。なお、可動体2やアクチュエータ3は、本発明の位置決め制御システム1を適用する設備装置に応じて、適宜変更されるものである。例えば、製造設備においては、ワーク、金型などを可動体2とし、該可動体2を、電動アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、油圧アクチュエータなどのアクチュエータ3で移動させる。
【0015】
[変位センサ]
変位センサ4は、金属の変位を検出する磁気式変位センサ(渦電流センサ)であって、共振回路6及び検出回路7を備えて構成されている。共振回路6は、検出コイルLにコンデンサCを接続して構成され、検出回路7から出力される駆動信号により駆動される。検出回路7は、例えば、CPU、ROM、RAM、I/O、比較器(コンパレータ)などが内蔵された1チップマイコンを用いて構成され、ROMに書き込まれたプログラムに従い、後述する位相ズレ検出処理を行う。
【0016】
検出回路7は、共振回路6を駆動し、該共振回路6から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて、金属の変位を検出するにあたり、共振回路6に対して所定数(一又は複数)の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するようになっている。これにより、振動波の位相ズレ成分を簡単な回路構成で精度良く検出することが可能になる。すなわち、共振回路6から減衰状に出力される自由振動波にあっては、強制振動波に比して位相ズレ成分が明確に現れるだけでなく、位相ズレ成分が振動波の数だけ蓄積されるので、回路構成が複雑な同期検波回路や、高速なカウンタを持たない安価なデジタル回路でも、位相ズレ成分を高精度に検出することができる。
【0017】
また、検出回路7は、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させるようになっている。このようにすると、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを増やすだけで、位相ズレ成分の検出精度をさらに向上させることができる。
【0018】
さらに、本発明の変位センサ4には、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とが備えられている。このようにすると、使用条件に応じて自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを変更し、変位センサ4の測定精度や応答性能を調整することができる。例えば、測定精度が優先される用途では、一回の検出処理における合計カウント数(N×M)が多くなるように自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを増やし、また、応答性能が優先される用途では、一回の検出処理における合計カウント数(N×M)が少なくなるように自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを減らすことができる。また、自由振動波の減衰が大きく、自由振動波のカウント数Nを多くできない状況にあっては、自由振動波カウント数Nを減らし、かつ、繰り返し回数Mを増やすことにより、要求精度を満たすことができる。
【0019】
次に、変位センサ4の具体的な構成について説明する。
【0020】
共振回路6は、検出コイルLにコンデンサCを並列に接続した並列共振回路であってもよいが、検出コイルLにコンデンサCを直列に接続した直列共振回路であることが好ましい。このようにすると、直列共振回路の作用によって、最大でソース電圧(例えば5V)のQ倍(例えば8倍)の電圧を検出コイルLに印加できるので、共振回路6から振幅の大きい自由振動波を出力することができる。これにより、自由振動波カウント数を多くし、測定精度を更に高めることができるだけでなく、ノイズにも強いものとできる。しかも、振幅の大きい自由振動波は、増幅器を介さずに検出回路7に直接入力できるので、回路構成がよりシンプルになり、更なるコストダウンが可能になる。
【0021】
なお、検出コイルLに印加される最大電圧VLMAXは、以下に示す式で求めることができる。ただし、ω0は共振角周波数、Lは検出コイルLのインダクタンス、Rは検出コイルLの抵抗、CはコンデンサCのキャパシタンス、VSはソース電圧、Qは共振回路の良好度である。
【0022】
【数1】
【0023】
本実施形態の検出回路7は、駆動パルス信号によって共振回路6を強制振動させるにあたり、複数の駆動パルス信号により共振回路6を強制振動させた後、駆動信号出力を停止する。このようにすると、単発の駆動パルス信号で共振回路6を強制振動させる場合に比べ、強制振動波の振幅を大きくできる。特に、強制振動波の振幅が最大になるように所定の共振周波数で数発(例えば6発)の駆動パルス信号を出力すれば、駆動信号出力停止後に共振回路6から出力される自由振動波の振幅をより大きくし、測定精度を更に高めることが可能になる。
ちなみに、共振回路6を強制振動させる共振周波数fは、以下に示す式で求めることができる。
【0024】
【数2】
【0025】
自由振動波カウント数変更手段や繰り返し回数変更手段は、検出回路7内に構成することができる。この場合、検出回路7は、内部で記憶保持している自由振動波カウント数Nを、外部からの自由振動波カウント数変更指令信号に応じて増減させ、また、内部で記憶保持している繰り返し回数Mを、外部からの繰り返し回数変更指令信号に応じて増減させる。そして、検出回路7に対する自由振動波カウント数変更指令信号や繰り返し回数変更指令信号の入力は、変位センサ4(検出回路7)に接続される位置決め制御装置5から行われる。
【0026】
次に、自由振動波における位相ズレの蓄積作用(増幅作用)について、図2〜図10を参照して説明する。
【0027】
図2は、駆動パルス信号波形(a点)及び共振回路の振動波形(b点)を示す説明図である。この図に示すように、検出回路7は、所定電圧(例えば5V)の駆動パルス信号を出力し、共振回路6を強制振動させる。このとき、本実施形態では、所定の共振周波数で数発(例えば6発)の駆動パルス信号を出力することにより、検出コイルLに最大電圧(例えば40V)を印加させる。そして、駆動パルス信号の出力を停止した後は、共振回路6から複数の自由振動波が減衰状に出力される。
【0028】
図3は、十数個目の自由振動波を拡大した説明図、図4は、検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの位相ズレを示す説明図、図5は、検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの位相ズレを示す説明図である。これらの図に示すように、共振回路6から出力される自由振動波は、十数個目であっても検出に十分な振幅を保っている。ここで、検出コイルLに金属が近接すると、検出コイルLから発生する磁束が近接した金属に磁気的に干渉し、自由振動波の位相が進む。金属の近接に伴う自由振動波の位相ズレは、強制振動波に比べて明確に現れるだけでなく、自由振動波の個数分だけ蓄積されるので、低速なカウンタでも高精度に位相ズレを測定することが可能になる。
【0029】
また、図4及び図5に示すように、自由振動波の位相ズレは、検出コイルLに金属が近づくほど大きくなるので、自由振動波の位相ズレにもとづいて、検出コイルLと金属の距離を高精度に測定することが可能になる。図10は、金属の近接距離(mm)と位相ズレ(μsec)の関係を示しており、検出コイルLに金属が近づくほど自由振動波の位相ズレが大きくなることが解る。特に、10〜20個目の自由振動波を見ている位相ズレデータにあっては、位相ズレが10〜20倍に加算されているので、極めて高精度な距離測定(変位測定)が可能になる。
【0030】
図6は、自由振動波形(b点)と比較器出力(c点)の関係を示す説明図、図7は、検出コイルに金属が近接していないときの比較器出力を示す拡大図、図8は、検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの比較器出力を示す説明図、図9は、検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの比較器出力を示す説明図である。これらの図に示すように、共振回路6から出力される自由振動波は、十数個目であっても検出に十分な振幅を保っているので、比較器によって明確な矩形波に変換することができる。ここで、検出コイルLに金属が近接すると、比較器出力波形の位相が進む。図8及び図9から明らかなように、金属の近接に伴う位相ズレは、自由振動波の個数が増えるほど蓄積され、測定が容易になる。
【0031】
次に、自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用(蓄積作用)について、図11を参照して説明する。
【0032】
図11は、自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用を示す説明図である。この図に示す波形は、一回の検出処理における共振回路6の出力波形であって、2発の駆動パルス信号を出力して、共振回路6を強制振動させた後、共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、カウント数が所定数5に達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数5に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を10回繰り返した場合の波形であり、上側の波形は、下側の波形よりも金属を近づけた場合を示している。この図から明らかなように、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数に達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数繰り返すと、自由振動波の位相ズレが増幅される。これにより、回路構成を複雑にすることなく、自由振動波カウント処理の繰り返し回数を増やすだけで、金属の近接に伴う位相ズレの測定精度を飛躍的に向上させることができる。さらに、本発明においては、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とが備えられているので、位置決め制御状態に応じて自由振動波カウント数Nや繰り返し回数Mを変更し、変位センサ4の測定精度や応答性能を調整することができる。
【0033】
次に、検出回路7の検出処理手順及び設定値変更処理手順(自由振動波カウント数変更手段及び繰り返し回数変更手段)について、図12及び図13を参照して説明する。
【0034】
図12は、検出回路の検出処理手順を示すフローチャート、図13は、検出回路の設定値変更処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、検出回路7は、まず、比較器のREF電圧を設定した後(S101)、設定値変更処理(S102)と、カウンタクリア処理(S103)と、自由振動波カウント処理(S104〜S106)と、自由振動波カウント処理の繰り返し処理(S107、S108)と、検出信号出力処理(S109、S110)とからなる検出処理を繰り返し実行する。
【0035】
設定値変更処理は、図13に示すように、位置決め制御装置5からの設定値変更指令(自由振動波カウント数変更指令及び繰り返し回数変更指令)に応じて(S201)、前述したカウント数Nや繰り返し回数Mを変更する処理である(S202)。なお、設定値変更指令は、変更後のカウント数Nや繰り返し回数Mを示す絶対値指令(例えば、N=10、M=10)でもよいし、変更前のカウント数Nや繰り返し回数Mに対する相対値を示す相対値指令(例えば、N=N+5、M=M+5)でもよい。
【0036】
カウンタクリア処理は、繰り返し回数カウンタ及び時間計測カウンタをクリアする処理である(S103)。また、自由振動波カウント処理は、強制振動波の振幅が最大になるように、共振回路6に対して所定の共振周波数で数発の駆動パルス信号を出力した後(S104)、自由振動波カウンタをクリアし(S105)、共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントすると共に、カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する処理である(S106)。また、繰り返し処理は、自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングで、繰り返し回数カウンタをインクリメントすると共に(S107)、繰り返し回数カウンタが所定数Mに達したか否かを判断し(S108)、該判断結果がYESになるまで、自由振動波カウント処理(S104〜S106)を繰り返す処理である。また、検出信号出力処理は、自由振動波カウント処理の繰り返し回数が所定数Mになったら、時間計測カウンタ値を読み込むと共に(S109)、読み込んだ時間計測カウンタ値を所定の検出信号形式(例えば、距離信号)に変換して出力する処理である(S110)。
【0037】
[位置決め制御装置]
位置決め制御装置5は、変位センサ4の検出信号に応じてアクチュエータ3の動作を制御し、可動体2を所定の目標位置に位置決めする位置決め用のコントローラであって、可動体2の目標位置Tに対する検出位置Kの偏差Hに応じて、変位センサ4にカウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備えており、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段は、偏差Hの減少に応じてカウント数Nや繰り返し回数Mを増加させるようになっている。
【0038】
このようにすると、位置決め制御の開始当初は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを少なくし、変位センサ4の応答速度を高めることができるので、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを多くし、変位センサ4の検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体2の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0039】
位置決め制御装置5は、偏差Hの減少に応じて可動体2の移動速度Sを遅くすることが好ましい。このようにすると、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mの増加、すなわち変位センサ4における応答性の低下に応じて、可動体2の移動速度Sを自動的に遅くすることができるので、変位センサ4の応答性と可動体2の移動速度Sとの不適合を回避し、高精度かつ高速な位置決め制御が可能になる。
【0040】
次に、位置決め制御装置5の位置決め制御処理手順及び設定値変更指令処理手順(自由振動波カウント数変更指令出力手段及び繰り返し回数変更指令出力手段)について、図14〜図17を参照して説明する。ただし、N1〜N5(N1<N2<N3<N4<N5)は、カウント数Nを変更するための設定値、M1〜M5(M1<M2<M3<M4<M5)は、繰り返し回数Mを変更するための設定値、S1〜S5(S1<S2<S3<S4<S5)は、移動速度Sを変更するための設定値、H1〜H4(H1<H2<H3<H4)は、偏差Hの大きさを判断するための設定値である。また、本実施形態では、偏差Hに応じてカウント数N及び繰り返し回数Mを変更するが、カウント数N、繰り返し回数Mのいずれかを変更するようにしてもよい。
【0041】
図14は、位置決め制御装置における位置決め制御の処理手順を示すフローチャート、図15は、位置決め制御装置における設定値変更指令出力の処理手順を示すフローチャート、図16の(A)及び(B)は、位置決め制御装置における設定値変更指令出力の作用説明図である。図14に示すように、位置決め制御では、まず、後述する設定値変更指令出力処理(S301)を実行した後、変位センサ4による可動体2の検出位置(検出距離)Kを入力する(S302)。次に、変位センサ4の検出位置Kと、予め設定される目標位置(目標距離)Tとを比較し、両位置が一致しているか否かを判断する(S303)。この判断結果がNOである場合は、検出位置Kが目標位置Tよりも上手側であるか否かを判断し(S304)、該判断結果がYESの場合は、アクチュエータ3を前進方向に動作させる一方(S305)、判断結果がNOの場合は、アクチュエータ3を後退方向動作させる(S306)。そして、検出位置Kが目標位置Tに一致したら、アクチュエータ3を停止させた後(S307)、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度Sに初期値であるN1、M1、S5をセットし(S308、S309)、一連の位置決め動作を終了する。
【0042】
図15に示すように、設定値変更指令出力処理では、まず、前述したカウント数N及び繰り返し回数Mが未設定であるか否かを判断する(S401)。この判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度Sに初期値であるN1、M1、S5をセットする(S402、S403)。カウント数N及び繰り返し回数Mが設定済みである場合は、偏差H(H=T−K)がH4以上であるか否かを判断し(S404)、該判断結果がYESの場合も、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度Sに初期値であるN1、M1、S5をセットする(S402、S403)。また、偏差HがH4未満である場合は、偏差HがH3以上であるか否かを判断し(S405)、該判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度SにN2、M2、S4をセットする(S406、S407)。また、偏差HがH3未満である場合は、偏差HがH2以上であるか否かを判断し(S408)、該判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度SにN3、M3、S3をセットする(S409、S410)。また、偏差HがH2未満である場合は、偏差HがH1以上であるか否かを判断し(S411)、該判断結果がYESの場合は、カウント数N、繰り返し回数M及び移動速度SにN4、M4、S2をセットし(S412、S413)、NOの場合は、N5、M5、S1をセットする(S414、S415)。そして、カウント数Nや繰り返し回数Mが変更された場合は(S416)、変位センサ4に対して設定値変更指令が出力される(S417)。
【0043】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、位置決めの対象である可動体2を移動させるアクチュエータ3と、可動体2の変位を検出する変位センサ4と、変位センサ4の検出信号に応じてアクチュエータ3の動作を制御し、可動体2を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置5と、を備える位置決め制御システム1において、変位センサ4は、検出コイルLとコンデンサCとを接続してなる共振回路6を駆動し、該共振回路6から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、共振回路6に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路6から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とを備え、位置決め制御装置5は、可動体2の目標位置Tに対する検出位置Kの偏差Hに応じて、変位センサ4にカウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備え、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段が偏差Hの減少に応じてカウント数Nや繰り返し回数Mを増加させるので、位置決め制御の開始当初は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを少なくすることにり、変位センサ4の応答速度を高め、高速な位置決め動作が可能になる。また、位置決め制御の終了直前は、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mを多くし、変位センサ4の検出精度を高めることができるので、高精度な位置決めが可能になる。その結果、位置決め精度を優先する位置決め制御システムに適用する場合であっても、可動体2の移動速度を可及的に速くし、位置決め制御の所要時間を大幅に短縮することができる。
【0044】
また、位置決め制御装置5は、偏差Hの減少に応じて可動体2の移動速度Sを遅くするので、変位センサ4における自由振動波カウント処理のカウント数Nや繰り返し回数Mの増加、すなわち変位センサ4における応答性の低下に応じて、可動体2の移動速度Sを自動的に遅くすることができる。その結果、変位センサ4の応答性と可動体2の移動速度Sとの不適合を回避し、高精度かつ高速な位置決め制御が可能になる。
【0045】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、例えば、本実施形態の変位センサは、検出回路から出力される駆動信号で共振回路を直接駆動しているが、検出コイルとは別個に設けられる励磁コイルを駆動し、該駆動に応じて励磁コイルから発生する交流磁界の変化を検出コイル(共振回路)で検出する変位センサも好適に用いることができる。また、前記実施形態では、一回の検出処理において自由振動波カウント処理をM回繰り返すが、本発明は、一回の検出処理において自由振動波カウント処理を繰り返さない変位センサでも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】位置決め制御システムの構成を示すブロック図である。
【図2】駆動パルス信号波形(a点)及び共振回路の振動波形(b点)を示す説明図である。
【図3】十数個目の自由振動波を拡大した説明図である。
【図4】検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの位相ズレを示す説明図である。
【図5】検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの位相ズレを示す説明図である。
【図6】自由振動波形(b点)と比較器出力(c点)の関係を示す説明図である。
【図7】検出コイルに金属が近接していないときの比較器出力を示す拡大図である。
【図8】検出コイルに金属が近接(7mm)したときとの比較器出力を示す説明図である。
【図9】検出コイルに金属が近接(3mm)したときとの比較器出力を示す説明図である。
【図10】金属の近接距離と位相ズレの関係を示すグラフである。
【図11】自由振動波カウント処理の繰り返しによる位相ズレの増幅作用を示す説明図である。
【図12】検出回路の検出処理手順を示すフローチャートである。
【図13】検出回路の設定値変更処理手順を示すフローチャートである。
【図14】位置決め制御装置における位置決め制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】位置決め制御装置における設定値変更指令出力の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】(A)及び(B)は、位置決め制御装置における設定値変更指令出力の作用説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 位置決め制御システム
2 可動体
3 アクチュエータ
4 変位センサ
5 位置決め制御装置
6 共振回路
7 検出回路
C コンデンサ
L 検出コイル
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項2】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項3】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段を備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段を備え、該繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記繰り返し回数Mを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項4】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とを備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備え、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数N及び/又は繰り返し回数Mを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項5】
前記位置決め制御装置は、前記偏差の減少に応じて可動体の移動速度を遅くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【請求項1】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項2】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段を備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令出力手段を備え、該カウント数変更指令出力手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数Nを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項3】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段を備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段を備え、該繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記繰り返し回数Mを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項4】
位置決めの対象である可動体を移動させるアクチュエータと、
可動体の変位を検出する変位センサと、
変位センサの検出信号に応じてアクチュエータの動作を制御し、可動体を所定の目標位置に位置決めする位置決め制御装置と、
を備える位置決め制御システムにおいて、
前記変位センサは、
検出コイルとコンデンサとを接続してなる共振回路を駆動し、該共振回路から出力される振動波の位相ズレ成分にもとづいて金属の変位を検出するものであって、前記共振回路に対して所定数の駆動信号を出力すると共に、駆動信号出力停止後に共振回路から減衰状に出力される自由振動波の数をカウントし、該カウント数が所定数Nに達したか否かを判断する自由振動波カウント処理を行い、該自由振動波カウント処理に要した時間測定にもとづいて自由振動波の位相ズレ成分を検出するにあたり、前記自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数が所定数Nに達したタイミングを基準として、前記自由振動波カウント処理を所定回数Mだけ繰り返すことにより、自由振動波の位相ズレ成分を増幅させ、さらに、一回の自由振動波カウント処理における自由振動波のカウント数Nを変更する自由振動波カウント数変更手段と、自由振動波カウント処理の繰り返し回数Mを変更する繰り返し回数変更手段とを備え、
前記位置決め制御装置は、
可動体の目標位置に対する検出位置の偏差に応じて、前記変位センサに前記カウント数Nの変更指令を出力するカウント数変更指令手段と、前記繰り返し回数Mの変更指令を出力する繰り返し回数変更指令出力手段とを備え、カウント数変更指令手段及び繰り返し回数変更指令手段が前記偏差の減少に応じて前記カウント数N及び/又は繰り返し回数Mを増加させる
ことを特徴とする位置決め制御システム。
【請求項5】
前記位置決め制御装置は、前記偏差の減少に応じて可動体の移動速度を遅くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の位置決め制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−31242(P2009−31242A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−268441(P2007−268441)
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(591123274)株式会社アヅマシステムズ (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(591123274)株式会社アヅマシステムズ (31)
【Fターム(参考)】
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