説明

低用量のエストラジオールを含む経口固形製剤

本発明は、非常に低用量のエストラジオールを含む経口固形製剤に関する。エストラジオールの同様の速い溶解を達成しながら、エストラジオールの分解を回避し、ポリビニルピロリドンの含量を最少にする方法で、当該製剤を製剤化する。当該製剤は、不十分な内因性濃度のエストラジオールによりもたらされる女性の身体状態を予防又は処置するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低用量のエストラジオールを含んでなる医薬組成物、特に経口固形製剤に関する。本発明の製剤は、水中のエストラジオールの高い溶解速度を達成すると同時に、保管の間のエストラジオールの優れた化学安定性を可能にする。
【背景技術】
【0002】
天然又は合成的に得られるステロイドホルモンを含む医薬製剤は、しばしば低用量のこれらの活性成分を含む。本発明において、エストラジオールの用量は、女性における不十分な内因性濃度のエストロゲンに関連する身体状態の処置においてこれまで投与されてきたものより顕著に低い。
【0003】
US5,891,868(Cummings et al.)によれば、閉経後の女性における骨折の危険性は、一日あたり約20μgのエストラジオール、又は約20μgのエストラジオールの経皮投与により減少した。経皮投与は5〜20pg/mlの範囲の効果的な血清濃度をもたらし、これは長期間その範囲で保持された。Cummings等は、他の適切な経路、例えば経口又は非経口投与により外因性エストラジオールを投与することも示唆しているが、Cummings等は更に、「エストロゲンは経口よりも非経口又は経皮投与されるべきである」と述べた。エストロゲンの経口投与は性ホルモン結合グロブリンの濃度の増大をもたらし得るので、前者の投与経路は経口投与よりも好ましい。性ホルモン結合グロブリンは、閉経後の対象、特に骨粗しょう症又は骨密度の減少の徴候を示す対象へのエストロゲンの投与の有益な効果を減少させ得る。従って、低用量のエストロゲン、例えばエストラジオールの経口投与は、Cumming等により言及された理由で問題であると考えられている。
【0004】
更に、低用量の活性成分の経口投与を適用して、最大で18〜24時間の長時間、個々の常に低い血清濃度を確保し、多数の女性において再現性のある様式でこれを達成することは問題であると一般的に考えられている。特に、非常に低い生物学的利用能を示すエストロゲン、エストラジオール(これが微粉化形態で調製されるという事実にも関わらず)を投与した場合が問題であると考えられている。このように、1〜3mgのエストラジオールの毎日の経口投与後の、微粉化エストラジオールの生物学的利用能は、ほんの約3〜5%である。この低い生物学的利用能は、主に、腸及び肝臓での長い代謝に起因すると考えられる。この理由により、エストラジオールに対する代謝酵素の比率はかなり高いので、低用量のエストラジオールの経口投与は、この長い代謝により更に大きなエストラジオールの減少をもたらすことが予想される。従って、当業者が、1〜3mgのエストラジオールの毎日の経口投与からもたらされる既知の血清濃度の線形外挿を実施することにより、5〜30pg/mlの範囲の一定な血清濃度をもたらす正しい低用量のエストラジオールを首尾よく決定できると予測することはできなかっただろう。
【0005】
低用量の高い疎水性活性成分の即時放出と意図した固形経口製剤を製剤化する場合、薬学の当業者は、i)経口製剤のより小さなフラグメントへの分解を増大させること、ii)活性成分の胃液への放出を増大すること、及びiii)胃液中での活性成分の溶解速度を増大させて、上部腸管(大きな分子の最初の吸収部位)において吸収される前に活性分が下部腸管に入るのを防ぐことを考えるだろう。
【0006】
そのようにするために、薬学の当業者は、彼の第一の選択肢として、高い表面積を得るために活性成分の微粉化物質を用いて固形製剤を製剤化することを選択するだろう。高い表面積は、急速な溶解を可能にするだろう。
【0007】
第二の選択肢として、薬学者は、水又は胃液中の活性成分の湿潤/可溶化を促進する賦形剤との組み合わせにおいて、分解を促進する賦形剤を用いて固形製剤を製剤化するだろう。通常、薬学者は、特に高い疎水性薬剤の経口固形製剤を製剤化する場合、可溶化効果(湿潤性を向上させる)を示す賦形剤であるポリビニルピロリドン(PVP)を選択するだろう(結合能もこの賦形剤を「第一選択肢」の選択肢とする)。ポリビニルピロリドンの可溶化効果は、文献に十分に記載されている。例えば、ポリビニルピロリドンは、アテノロールの溶解性及び溶解速度を向上させること(Moneghini et al.Int J Pharm 175;1998;177−183)、及び1〜10%w/wのポリビニルピロリドンを含むゲルからのプレドニゾロン、ニトロフラントイン及びニトロフラールの溶解をかなり増大させること(Voigt et al.Pharmazie 35;1980:311−312)が示された。
【0008】
WO01/52857は、ポリビニルピロリドン25000と共に1〜3mgのエストラジオールを含む経口製剤の製造について記載する。
【0009】
しかし、本発明者は、低用量のエストラジオールをWO01/52857の実施例1に記載のもとの類似の錠剤製剤に適用する場合に、保管の間のエストラジオールの顕著な減少が検出されること、すなわちエストラジオールがもはや化学的に安定でないことを見出した。
【0010】
従って、本発明の目的は、胃液中でのエストラジオールの急速な放出及び溶解を妥協せずに、低用量のエストラジオールを含む安定な経口固形製剤を提供し、女性への当該製剤の1回の単回投与後の、少なくとも約18〜24時間の長時間において、信頼できる十分に低い血清濃度のエストラジオールを達成することである。
【0011】
言い換えると、本発明の目的は、低用量のエストラジオールを含んでなり、同時に以下の要求を満たす経口固形製剤を提供することである:
・高度に生物学的に利用可能な様式でエストラジオールが吸収されるようにするための、経口投与後の胃液中でのエストラジオールの即時放出
・特にエストラジオールの観点から、化学的及び物理的に安定である
・エストラジオールの血清濃度を約5〜20pg/mlの範囲に常に保持するための、エストラジオールの信頼でき十分な吸収
・高い含量均一性
・好ましくは、エストラジオールの用量が、閉経後の女性の処置において以前適用していたものより低いこと。
【0012】
低用量のエストラジオールを含む、ポリビニルピロリドンが含まれていない医薬組成物について記載する先行技術を、以下に記載する。
【0013】
WO02/47692は、10〜30μgのエストラジオールを含む膣錠組成物について記載する。WO02/47692に開示された膣錠は経口使用に適しておらず、当業者は、エストラジオールがこのような膣錠組成物からゆっくりと放出されるだろうと直ちに理解するだろう。
【0014】
WO97/12600(US6,060,077に等しい)は、2.5〜15μgの17β−エストラジオールを含む膣用カプセルに関する。また、このような膣用組成物は経口投与に適していない。
【0015】
US6,326,366は、0.2〜5mgのエストロゲン、例えばエストラジオール、及びイソフラボンの混合物を含んでなる経口製剤について広く記載する。しかし、実施例においては、0.625mgのエストロゲンを投与する。ここでは、経口固形製剤は、好ましくはイソフラボンを含まない。
【0016】
US3,318,925は、50μgの量の7α−メチルエストロン及び7α−メチルエストロン3−メチルエーテルを含んでなる医薬組成物について記載する。
【発明の開示】
【0017】
発明の概要
本発明は、上記の問題に取り組む。従って、第一の側面において、本発明は、0.01mg〜0.5mgの量のエストラジオール半水和物(hemihydrate)に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体;及び、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含んでなる経口固形製剤に関する(ただし、ポリビニルピロリドンが存在する場合には、ポリビニルピロリドンとエストラジオールの重量比は、10:1未満である)。
【0018】
別の側面において、本発明は、薬剤としての使用のための本発明の経口固形製剤に関する。
【0019】
本発明の経口固形製剤を女性に経口投与する場合、得られる血清濃度は、エストロゲンの内因性濃度が減少した女性における骨折を防ぐのに十分に効果的な濃度において、長時間常に低く保たれる。従って、更に別の側面において、本発明は、閉経後の女性における骨密度の減少を防ぐための薬剤の調製のための、本発明の経口固形製剤の使用に関する。
【0020】
類似の側面において、本発明は、女性、特に閉経後の女性における不十分な内因性濃度のエストラジオールの症状を処置するための薬剤を調製するための、本発明の経口固形製剤の使用に関する。
【0021】
更なる側面において、本発明は、以下の段階
a)エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体、及び少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤の粉末状混合物を調製すること;
b)結合剤を添加することにより、当該粉末状混合物を顆粒へと顆粒化すること(ただし、ポリビニルピロリドンを用いる場合は、ポリビニルピロリドンとエストラジオールの重量比は、10:1未満である);及び、任意に
c)得られた顆粒を、更なる医薬として許容される賦形剤と共に混合すること;及び
d)得られた混合物を固形投与単位形態へと変換すること
を含んでなる、0.01mg〜0.25mgの用量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の経口固形製剤を製造するための方法に関する。
【0022】
本発明の更に他の側面は、以下の開示及び添付した特許請求の範囲から明らかとなるだろう。
【0023】
発明の詳細な説明
上記のとおり、ポリビニルピロリドンが疎水性活性成分の湿潤性も促進するため、当業者は、彼の第一の選択肢として、ポリビニルピロリドンを固形製剤の調製物中の結合剤として提案するだろう。本明細書中の実施例1から明らかなように、微粉化エストラジオール半水和物の表面は、それが水中に実質的に溶解しないため高度に疎水性である(これは、表面積の増大から予測されるはずである)。実施例1は、ポリビニルピロリドンを微粉化エストラジオールへ添加することによる溶解性への著しい影響を更に示す;微粉化エストラジオールは、エストラジオールとポリビニルピロリドンの重量比に関わらず急速に溶解する。
【0024】
極めて予測不可能なことに、本発明者は、低用量のエストラジオールを含む固形製剤の製造においてポリビニルピロリドンを用いる場合、許容できない安定性の問題が生じることを見出した(本明細書中の実施例3を参照のこと)。高用量のエストラジオール(例えば1、2又は3mg)を含む同様の固形製剤は、当業者により予測されるように安定であった(本明細書中の実施例4を参照のこと)。
【0025】
結果として、当業者は、全くの安定性の側面から、ポリビニルピロリドンの含量を他の関連する医薬として許容される成分と置き換えることを考え得る。しかし、ポリビニルピロリドンの適切な代替物は医薬の分野において存在しない、すなわち、PVP以外に結合性と可溶化効果を有する医薬として許容される賦形剤は存在しない。従って、PVPの破壊的効果の観点から、結合剤はいわゆる「第二選択肢」の結合剤として分類されるものの中から選択することができる。しかし、当業者は、これらのあまり効果的でない結合剤はポリビニルピロリドンと同じ優れた湿潤特性を有しないことを心に留めておきながら、これらのあまり効果的でない結合剤を用いないことを教示されるだろう。
【0026】
当業者の予測とは反対に、本発明者は、可溶化剤を適用せず且つ超崩壊剤を適用せずに、低用量のエストラジオールを含む高速放出固形製剤(ここでは、エストラジオールは化学的に安定で、水中での急速な溶解性を示す)を提供した(本明細書中の実施例2及び5を参照のこと)。
【0027】
更に、本明細書中の実施例6に示すように、100又は190μgのエストラジオール半水和物を含む本発明の錠剤の女性への1回の経口単回投与は、長時間の5〜20pg/mlの所望の範囲のエストラジオールの血清濃度をもたらす。このデータは、非常に低用量のエストラジオール半水和物(100μg)でさえも、この低用量が高用量である190μgよりも非常に広範囲に代謝されると予測されたという事実にも関わらず、所望の濃度をもたらすことも実証する。
【0028】
本発明は、治療上の活性成分として、非常に低用量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる経口固形製剤を対象とする。この製剤は、以下の特性を示す:急速な崩壊;活性成分に関する急速な溶解;経口投与される場合の適切な生物学的利用能;常に2〜30pg/mlの範囲の活性成分の血清値;例えば5〜20pg/ml:活性成分に関する高い化学安定性及び高含量の均一性。
【0029】
本明細書中で、「経口固形製剤」という用語は、一般的に、錠剤(飲み込み可能なだけの及びチュアブル形態)、カプセル、顆粒、小袋及び丸剤中に封入された顆粒を指す。従って、本発明の固形製剤は、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、顆粒、小袋又は丸剤の形態であることができる。本発明の好ましい実施態様において、経口固形製剤は、錠剤又はカプセルの形態、特に錠剤の形態である。
【0030】
本発明の着目の実施態様において、活性成分は、エストラジオールの医薬として許容される誘導体である。「その医薬として許容される誘導体」及び「エストラジオールの医薬として許容される誘導体」は、エストラジオールのエステル、例えば硫酸エステル;エストラジオール及びエストラジオールエステルの塩、例えばナトリウム塩、例えば硫酸エステルのナトリウム塩;並びに、当業界で知られた他の誘導体を指す。典型的には、エストラジオールのエステルは、エストラジオールの3位又は7位である。エストラジオールの典型的なエステルの具体例としては、吉草酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エストラジオールエナンタート(enantate)、ウンデシレン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストラジオールシピオナート(cypionate)、硫酸エストラジオール、スルファミン酸エストラジオール、並びにそれらの塩が挙げられる。
【0031】
「エストラジオール」という用語は、エストラジオールが17−α−エストラジオール又は17−β−エストラジオールの形態であることを意味することを意図している。好ましくは、エストラジオールは、17−β−エストラジオールの形態である。「エストラジオール」という用語は、エストラジオールの水和物形態、特にエストラジオール半水和物にも及ぶ。
【0032】
エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体は、好ましくは、組成物全体へのエストラジオールの均質な分配を容易にする形態、例えば増大した表面積を有する形態に適合する。従って、エストラジオールは好ましくは微粉化形態であり、或いは溶媒、例えばエタノール中に溶解することができ、その後不活性担体粒子の表面上にスプレーすることができる。エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を微粉化形態で調製する場合、それは以下の粒径分布を有する(レーザー回折により決定する):90%の粒子は、≦20μmの直径を有し、且つ50%の粒子は≦10μm、好ましくは≦5μmの直径を有する。「微粉化」という用語は、レーザー回折により決定される粒径分布が、90%の粒子が0.1μm、好ましくは0.2μm以上の直径を有するというものであることを意味すると理解されるべきである。レーザー回折による粒径の決定は、(分散が)1〜4バールの圧力で操作されるSympatec HELIOSを用いて実施することができる。
【0033】
上記のとおり、本発明の製剤は、低用量のエストラジオールを含んでなる。「低用量」という用語は、固形製剤中のエストラジオールの用量を指し、閉経後の女性におけるほてりの処置に効果的であるとこれまで知られていた日用量未満の用量、すなわち1〜3mg未満のエストラジオールの用量を規定する。従って、本発明の1つの実施態様において、「低用量」という用語は、0.01mg〜0.5mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩、若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる経口固形製剤を指す。好ましくは、経口固形製剤は、0.05mg〜0.4mgの量、例えば0.05mg〜0.3mgの量、例えば0.05mg〜0.25mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩、若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる。より好ましくは、経口固形製剤は、0.1mg〜0.2mgの量、例えば0.15mg〜0.2mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩、若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる。本発明の非常に着目する実施態様において、経口固形製剤は、約0.1mg、約0.11mg、約0.12mg、約0.13mg、約0.14mg、約0.15mg、約0.16mg、約0.17mg、約0.18mg、約0.19mg又は約0.20mg、好ましくは約0.1mg、約0.15mg、約0.19mg及び約0.2mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩、若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる。好ましくは、上記の用量は日用量に対応する。本発明の好ましい実施態様において、活性成分はエストラジオール半水和物である。しかし、無水エストラジオール、エストラジオールの塩、エストラジオールの医薬として許容される誘導体を用いる場合、エストラジオール半水和物が知られている場合に、薬理学的/治療上同等な用量のそのような他の形態を決定することは、当業者にとってルーチンである。例えば、Timmer and Geurtsの論文は、同等な用量をどのように決定することができるのかについてのガイダンスを提供する(「Bioequivalence assessment of three different estradiol formulations in postmenopausal women in an open、randomized,single−dose,3−way cross−over」(European Journal of Drug Metabolism and Pharmacokinetics,24(1):47−53,1999)を参照のこと)。
【0034】
上記のとおり、本発明の経口製剤は、活性成分の即時放出を示す。「即時放出」、「急速な放出」及び「高速放出」という用語は、互いに代替可能であり、それらは崩壊時間が短く、活性成分の速い溶解を可能にし得るという事実を指す。崩壊時間は、10分未満、好ましくは5分未満であるべきであり、これはディスク(disc)を用いずに米国薬局方(USP 27;チャプター<701>)に従って決定される。好ましくは、崩壊時間は、4分未満、より好ましくは3又は2分未満であるべきである。
【0035】
更に、経口製剤は、水中における、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の急速な溶解を示す。「急速な溶解」という用語は、70%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、溶解試験の開始後30分以内に製剤から溶解することを示すことが意図されている。溶解試験は、溶解媒体としての37℃の温度の900mlの水、回転速度として50rpm及びパドルを装着した溶解装置を用いて、米国薬局方(USP 27;チャプター<711>)の標準的な方法により測定する。好ましくは、80%超、例えば90%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、溶解試験の開始後30分以内に製剤から溶解する。エストラジオールは、更に速く溶解することができ、例えば70%超、80%超、85%超、又は90%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、上記のとおりに試験した場合に、15分以内に溶解する。
【0036】
本明細書中で用いる場合、「高い化学安定性」という用語は、40℃、75% RH、暗所での3ヶ月間の保管後に、活性成分、例えばエストラジオール半水和物の初期量の少なくとも95重量%が製剤中に存在することを意味することが意図されている。本発明の特に着目する実施態様において、40℃、75% RH、暗所での6ヶ月間の保管後に、活性成分、例えばエストラジオール半水和物の初期量の少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%が製剤中に存在する。本発明のより好ましい実施態様において、40℃、75% RH、暗所での9ヶ月間の保管後に、活性成分、例えばエストラジオール半水和物の初期量の少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%が製剤中に存在する。本発明の更により好ましい実施態様において、40℃、75% RH、暗所での12ヶ月間の保管後に、活性成分、例えばエストラジオール半水和物の初期量の少なくとも85重量%、好ましくは少なくとも90重量%、最も好ましくは少なくとも95重量%が製剤中に存在する。
【0037】
「高い含量均一性」という用語は、本発明の製剤中のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の含量に関する相対標準偏差が、6%未満、好ましくは3%未満、例えば2%未満、例えば1%未満であることを意味する。
【0038】
「生物学的利用能」という用語により、経口投与後に循環血液中に吸収され、しばしば同様の量の同一の活性成分の静脈内(i.v.)投与後に循環血液中に存在する量と比較して決定される、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の量が意味される。生物学的利用能は、AUC(経口投与)/AUC(静脈内投与)の比、又はTmax、Cmaxの対応する比、又は平均滞留時間(MRT)として決定することができる。
【0039】
本発明により、低用量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含む経口固形製剤は、化学的に安定であるために、賦形剤の適切な調整及び選択を必要とすることが見出された。まず初めに、ポリビニルピロリドンより大きい又は同様の分解、例えば酸化可能性を有する賦形剤の量は、量において排除又は最少にされるべきであることが実証された。従って、本発明の着目の実施態様は、ポリビニルピロリドンが排除され、或いは実質的に低い量において存在する組成物/経口固形製剤を包含する。例えば、ポリビニルピロリドンの含量は、ポリビニルピロリドンとエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の重量比が10:1又はそれ未満である程度まで限定される。好ましくは、ポリビニルピロリドンとエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の重量比は、7:1未満、例えば5:1未満、例えば2:1未満である。特に好ましい実施態様においては、本発明の製剤は、ポリビニルピロリドンを含まない。別の言い方をすれば、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の量は、ポリビニルピロリドンの量の少なくとも10重量%、好ましくはポリビニルピロリドンの量の少なくとも15重量%、例えば少なくとも25重量%、例えば少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、例えば少なくとも100重量%、例えば少なくとも200重量%を構成する。
【0040】
「ポリビニルピロリドン」という用語により、実験式(C69NO)n及び2,500〜3,000,000の範囲の分子量を有し、基本的に直鎖1−ビニル−2−ピロリドン基からなる合成ポリマーが意味される。当然、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の観点からポリビニルピロリドンと同じ酸化力を有する他の賦形剤は、排除され或いは本発明の製剤中で限定された量において用いられるべきである。そのような他の賦形剤の例は、クロスポビドンであることができる。経口固形製剤中で用いる場合、ポリビニルピロリドンは様々な機能、例えば崩壊剤、溶解補助剤(可溶化剤、湿潤性の向上)、懸濁化剤及び錠剤結合剤としての作用を有する。ポリビニルピロリドンは、特に、実際の溶解が生じる前の胃液中で活性薬剤を可溶化する重要な段階を克服するために高い疎水性の薬剤との関連で用いられる。
【0041】
本発明により、可溶化剤、例えばポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドンより大きい分解、例えば酸化可能性を有しないが、エストラジオールの高い溶解速度を保持する他の賦形剤により置換されなければならないことが見出された。
【0042】
従って、本発明の着目の実施態様において、ポリビニルピロリドンは、いわゆる「第二選択肢」の結合剤により置換される。
【0043】
本明細書中で用いる「結合剤」という用語は、一般的に、粉末状物質への結合特性を与え、それにより粉末状物質の第一の粒子を第二集合体へと結合する薬剤を表すことが意図されている。活性成分の粉末状混合物を錠剤中に直接的に圧縮することを意味する工程を用いて錠剤を製造する場合に、圧縮段階の間に錠剤中の結合を増大させるために、結合剤を粉末状混合物に添加する。従って、結合剤は、「外部相(external phase)」に含まれるといわれる。逆に、活性成分を顆粒中で賦形剤と混合する、すなわち製造工程が顆粒化段階を意味する製剤を製造する場合、得られた顆粒を安定させるために、結合剤を顆粒化混合物に添加することができる。その結果、結合剤は「内部相(internal phase)」に存在するといわれる。結合剤は顆粒化段階の完了後に添加することもでき、これは「外部相」中の結合剤に関する。従って、「内部相」という用語は、顆粒内の組成物を指し、「外部相」という用語は、顆粒の外側の組成物を指すと理解されるべきである。本発明のいくつかの着目の実施態様においては、結合剤は、好ましくは「内部相」に存在する。結合剤を「内部相」中に存在させることを望む場合、結合剤は乾燥粉末として粉末状物質の混合物に任意に添加することができることを、当業者は知っている。別の選択肢は、結合剤を水又は任意の他の適切な溶媒又は水溶液を含む溶媒の混合物(これは、その後顆粒化液として用いる)に溶解又は懸濁することである。更に別の選択肢は、結合剤を部分的に乾燥粉末として粉末混合物に添加し、部分的に顆粒化液による溶解又は懸濁形態に添加することである。
【0044】
「第一選択肢の結合剤」という用語は、結合剤(乾燥形態、並びに湿潤、膨張及び溶解形態)として働き、可溶化特性も有する結合剤を包含する。ポリビニルピロリドンは、このような結合剤の単なる例である。「第二選択肢の結合剤」という用語は、経口製剤の調製物中の乾燥、湿潤又は溶解形態の結合剤として働く結合剤を包含する。それらは、制限された湿潤特性を欠く又は有することにより特徴付けられる。つまり、エストロゲン、例えば微粉化エストラジオールを、「第二選択肢の結合剤」を含む媒体(例えば、水溶液)と接触させる場合に、媒体とエストロゲンの間の接触角は効果的に減少するか或いは全く減少しない。更に、このような結合剤は、微粉化エストラジオールの溶解速度を増大させない。一般的に、用いられる結合剤は、アカシア;アルギン酸;アルカリ金属アルギン酸塩;カルボマー;デキストリン;第二リン酸カルシウム;ゼラチン;グルコース;グアーガム;硬化植物油;ケイ酸アルミニウム・マグネシウム;スプレー−凝固マンニトール;ゼイン;デンプン、例えばトウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン又はコムギデンプン;部分的に又は完全に加工又はアルファ化したデンプン;デンプン誘導体、例えばマルトデキストリン;部分的に又は完全に加工又はアルファ化したデンプン;セルロース、例えば微結晶性セルロース;セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロース;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0045】
一般的に、「デンプン」により、nが300〜1000であり、分子量が50,000〜160,000である実験式(C6105nを有する物質であって、アミロース及びアミロペクチン(両方とも、α−グルコース単位に基づいた多糖類)からなる物質を意味する。デンプンは植物材料から得られ、核門の周りに形成されるデンプン分子の層状層を含んでなる小さな微小顆粒(5〜25ミクロンの直径)の形態で見出される。デンプン粒は、円形、卵形又は角の形であることができ、2つの無水D−グルコースポリマー(アミロース、アミロペクチン)の放射状の配向結晶性凝集体からなる。前者は、アルファ−1−4−グリコシド結合により結合した数百のグルコース単位の直鎖ポリマーである。アミロペクチンは、分岐点のアルファ−1−6−グリコシド結合及び直鎖領域のアルファ−1−4結合を有する、数千のグルコース単位の分岐ポリマーである。個々の分岐は、20〜30のグルコース残基を有する。
【0046】
本発明の具体的な実施態様において、デンプンは、10重量%〜40重量%の範囲のアミロース含量を有するデンプンから選択される。典型的な例は、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン及びコムギデンプンである。
【0047】
本発明の1つの実施態様において、デンプンは、錠剤中心(tablet core)の1〜5重量%、好ましくは2〜3重量%の範囲、例えば約2.5%(w/w)の濃度における結合剤として用いられる。デンプンは、顆粒化液中の膨張、懸濁又は溶解形態、或いは乾燥粉末形態において用いることができる。デンプンは、未加工、加工並びに部分的加工形態において用いることができる。本明細書中において、エストラジオール及び少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤の粉末状混合物を顆粒化する目的で用いる場合、デンプンは好ましくは未加工形態である。しかしながら、本明細書中で提供する実施例から理解されるように、デンプンの総量は上記に示すものより著しく高い、例えば錠剤中心の5〜25重量%の範囲であることができる。
【0048】
「加工デンプン」及び「アルファ化」という用語は、互いに代替可能な用語であり、水の存在下で化学的及び/又は機械的に加工して、全ての又は一部の顆粒を破裂させ、その後乾燥させたデンプンを規定することが意図されている。いくつかのタイプのアルファ化デンプンは加工して、それらの圧縮性及び流動性を改善することができる。典型的なアルファ化したデンプンは、5%の遊離アミロース、15%の遊離アミロペクチン、及び80%の未加工デンプンを含む。アルファ化デンプンは、上記の化学的及び/又は機械的方法により加工されるトウモロコシデンプンであることができる。トウモロコシデンプン以外の他のタイプのデンプンは、例えばアルファ化コメデンプン又はジャガイモデンプンであることができる。
【0049】
「部分的に加工したデンプン」及び「アルファ化デンプン」という用語は、互いに代替可能な用語であり、アルファ化デンプンよりも低い程度で加工されたアルファ化デンプンを規定することが意図されている。医薬品グレードの完全にアルファ化したデンプンは、添加物を全く用いず、未アルファ化デンプンの水性懸濁液を、糊化及びその後の乾燥が起こるホットドラム(hot drum)上に広げることにより調製される。湿らせたデンプンを機械的圧力にかけることにより、部分的にアルファ化したデンプンが生成する。
【0050】
「未加工デンプン」という用語は、上記の「デンプン」という用語の下で規定される未処理デンプンを規定することが意図されている。
【0051】
「セルロース誘導体」という用語は、部分的な又は全ての遊離のヒドロキシ基がエーテル基及び/又はエステル基により置換されたセルロースを包含することが意図されている。従って、セルロース誘導体は、セルロースエステル及び/又はセルロースエーテルである。エーテル基又はエステル基は、様々な炭素鎖長、例えば最大で10個の炭素原子、好ましくは最大で8、6、5、又は4個の炭素原子の鎖を有することができる。セルロース誘導体の典型的な例は、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースである。着目の結合剤は、低置換セルロース誘導体、特にヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースである。「低置換」という用語は、5%以上で且つ16%以下のヒドロキシル基がエーテル及び/又はエステル基により置換されていることを示す。セルロース誘導体は、2%の水溶液中で得られる粘度により選択することができる。典型的には、結合剤として適したセルロース誘導体は、1〜20mPas、好ましくは2〜12mPas、最も好ましくは約3〜6mPasの2%水溶液中で得られる粘度範囲を示す。セルロース誘導体は、典型的には、錠剤中心の0.5〜5重量%の濃度で用いられる。
【0052】
本発明の着目の実施態様において、ヒドロキシプロピルセルロース、例えば低置換のヒドロキシプロピルセルロースは、錠剤中心の0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の範囲、例えば約2%(w/w)の濃度で用いられる。
【0053】
本発明の好ましい実施態様において、結合剤は、活性成分及び任意に1つ以上の追加の医薬として許容される賦形剤と共に、粒状混合物のいわゆる「内部相」に存在する。従って、結合剤は、適切な顆粒化液中に懸濁又は溶解して、その後活性成分の粉末状混合物上にスプレーすることができる。結合剤が粒状物質の調製に用いられる場合、結合剤は、好ましくは、未加工デンプン、マルトデキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される。
【0054】
従って、結合剤は、本発明のいくつかの実施態様において、活性成分の内部相だけに(すなわち内部に)、及び/又は粒状形態の表面上に存在すると理解されるべきである。本発明の他の実施態様においては、結合剤は、外部相、すなわち顆粒の外側にだけ存在する。更に他の実施態様においては、結合剤は、内部相並びに外部相に存在する。
【0055】
本発明の経口固形製剤は、超崩壊剤を添加せずに調製した。特定の理論に限定されることを望むものではないが、本発明の製剤の好ましい崩壊剤特性により、超崩壊剤の添加は必要ない。超崩壊剤の具体例としては、ナトリウムデンプングリコール酸塩、クロスカルメロース及び架橋ポリビニルピロリドンが挙げられる。従って、好ましい実施態様において、本発明の製剤は超崩壊剤を含まない。
【0056】
「崩壊剤」という用語は、崩壊過程を確実にする薬剤を規定することが意図されており、それにより製剤はフラグメント及び粒子へと崩壊し、活性成分の大きな表面積を胃液に曝露し、より急速に溶解が生じることを可能にする。「通常の」崩壊剤の典型的な例は、寒天;アルギン酸;アルギン酸塩;ベントナイト;ビーガム(veegum);セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム;ゼラチン;ペクチン;デンプンのポリメタクリル酸誘導体;未加工、加工並びに部分的に加工したデンプン;ポリマー糖誘導体、例えば大豆多糖類;ポリマーシクロデキストリン;及びキシランである。崩壊剤は、内部又は外部相に存在することができる。本発明の着目の実施態様においては、崩壊剤は、デンプン、例えば未加工デンプン及び加工デンプンの混合物である。
【0057】
固形製剤が錠剤の形態である場合、急速な崩壊を提供するのに考慮すべき追加の重要なパラメーターは、錠剤の硬度である。圧縮錠剤は、包装、輸送及び適用の間の物理的なストレスに耐えるために十分な硬度を示し得る。一方、硬度は錠剤の急速な崩壊を可能にすべきである。従って、本発明の1つの実施態様において、硬化剤を添加する。
【0058】
本明細書において、「硬化剤」という用語は、圧縮錠剤組成物に組み入れて、その硬度を増大させる賦形剤を意味する。硬化剤の例としては、炭酸カルシウム;ジ−及びトリ−リン酸カルシウム;硫酸カルシウム;微結晶性セルロース;粉末状セルロース;デキストレート(dextrate);デキストリン;糖類、例えばデキストロース、フルクトース、ラクトース、マンニトール、ソルビトール及びスクロース;グリセリルパルミトステアリン酸塩(palmitostearate);カオリン;炭酸マグネシウム;酸化マグネシウム;マルトデキストリン;塩化カリウム、塩化ナトリウム;デンプン;アルファ化デンプン;タルク及び硬化植物油が挙げられる。好ましい実施態様において、硬化剤は加工デンプンである。
【0059】
錠剤の「硬度」は、錠剤を破壊するのに必要な力(N(ニュートン))として測定される。着目の実施態様において、本発明の錠剤は、25N〜120Nの範囲、好ましくは、35N〜90Nの範囲、最も好ましくは40N〜80Nの範囲の硬度を有し、約80mgの重量の丸型の錠剤中心に対応する。錠剤の大きさ及び形に依存して適切な硬度範囲を規定することは、当業者に周知である。
【0060】
本発明の製剤は、更に追加の活性成分及び/又は賦形剤を含んでなることができる。従って、いくつかの実施態様において、製剤は、1つ以上のホルモン、例えばプロゲスチンを更に含んでなる。プロゲスチンは、ドロスピレノン(drospirenone)、レボノルゲストレル、ノルゲストレル、ゲストデン、ジエノゲスト、酢酸シプロテロン、ノルエチステロン、酢酸ノルエチステロン、デソルゲストレル(desorgestrel)又は3−ケト−デソルゲストレルから選択することができる。好ましくは、そのようなプロゲスチンは微粉化形態である。好ましくは、本発明の製剤はイソフラボンを含まない。
【0061】
更なる賦形剤の例としては、充填剤(糖類、例えばラクトース、スクロース、デキストロース及びデキストレート;糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール及びキシリトール;アルカリ土類金属の炭酸塩及びリン酸塩、例えば炭酸カルシウム及びリン酸カルシウム;セルロース、例えば粉末状セルロース及び微結晶性セルロース;コロイドシリカ;二酸化チタン;カオリン;タルク)、及び潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)が挙げられる。
【0062】
錠剤中心は、錠剤の飲み込みを容易にするためにフィルムコートを用いて調製することができる。フィルムコーティングは、フィルムコーティング剤、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、タルク、及び着色剤、例えば二酸化チタン、酸化鉄黄色色素を含むことができる。
【0063】
上記のとおり、本発明は、可溶化剤を適用せずに適切な経口固形製剤を調製することに成功した。しかしながら、本発明の製剤は、1つ以上の可溶化剤、そのような天然リン脂質、例えばレシチン(lechitin)又はダイズレシチン;エチレン酸化物の、例えば脂肪酸、長鎖脂肪アルコール、又は脂肪酸とヘキシトール又はヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど;又は、長鎖脂肪族リン酸塩、例えばラウリル硫酸ナトリウムを含むことができる。しかしながら、好ましい実施態様において、本発明の製剤は可溶化剤を含まない。
【0064】
理解されるように、本明細書中に記載する様々な実施態様は組み合わせることができる。従って、好ましい実施態様において、本発明の経口固形製剤は、以下のものを含んでなる
i)0.01mg〜0.25mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体;
ii)50〜90重量%、例えば55〜85重量%の量の充填剤。充填剤は、糖(典型的には、ラクトース、グルコース又はスクロース)、糖アルコール(典型的には、マンニトール)、デンプン(典型的には、トウモロコシ又はジャガイモデンプン)又はそれらの混合物であることができる;
iii)6〜18重量%の量のアルファ化(加工)デンプン;及び
iv)1〜5重量%の量の結合剤。結合剤は、典型的にはデンプン、デンプン誘導体、部分的又は完全にアルファ化したデンプン、セルロース、セルロース誘導体である。
【0065】
特に好ましい実施態様において、本発明の経口固形製剤は、以下のものを含んでなる
i)0.1mg〜0.2mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体。最も好ましくは、エストラジオールはエストラジオール半水和物の形態である。
ii)50〜90重量%、例えば55〜85重量%の量の充填剤、好ましくはトウモロコシデンプン。
iii)10〜26重量%の量のデンプン、好ましくはラクトース一水和物
iv)6〜18重量%の量のアルファ化(加工)デンプン;及び
v)1〜5重量%の量の結合剤、好ましくはヒドロキシプロピルセルロース。
【0066】
上記のとおり、着目の実施態様において、本発明は粒状形態である。
【0067】
「粒状形態」という用語は、活性成分の粉末状混合物及び1つ以上の賦形剤を、部分的に凝集粒子及び/又は顆粒へと変換する場合に、得られる物理的形態が、未処理粉末状混合物よりも大きな粒径を有することを示す。当業者に知られた任意に適切な装置を用いて、好ましくは適切な顆粒化装置(例えば、流動層顆粒化)を用いて粉末状混合物を顆粒化液と接触させることにより、変換は生じ得る。
【0068】
従って、更なる側面において、本発明は、以下の段階を含んでなる、0.01mg〜0.25mgの用量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の経口固形製剤を製造するための方法に関する
a)エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体、及び少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤の粉末状混合物を調製すること;
b)結合剤を添加することにより、当該粉末状混合物を顆粒へと顆粒化すること(ただし、ポリビニルピロリドンを用いる場合、ポリビニルピロリドンとエストラジオールの重量比は、10:1未満である);及び、任意に
c)得られた顆粒を、追加の医薬として許容される賦形剤と混合すること;及び
d)得られた混合物を、固形投与単位形態へと変換すること。
【0069】
「顆粒化」という用語により、活性成分及び賦形剤を含んでなる粉末を、未処理粉末より大きな粒径を有する粒子及び/又は顆粒へと部分的に凝集させる機械的工程が理解される。1つの実施態様において、エストラジオール及び賦形剤の粉末状混合物を、顆粒化液(これは、顆粒化液中で膨張、部分的に溶解又は完全に溶解した結合剤を含んでなることができる)と接触させる。顆粒化液は任意の適切な溶媒であることができるが、一般的に水溶液又は単なる水が適用可能である。1つの実施態様において、粉末状混合物は、湿潤顆粒化に適した装置、例えば流動層装置を用いて、顆粒化液と接触させる。更に、高せん断顆粒化は、流動層顆粒化の代わりに用いることができる。
【0070】
本発明の別の適切な実施態様において、顆粒化液は結合剤を含まない。結合剤は、その後、顆粒化液と同時にエストラジオールの粉末状混合物に乾燥形態で添加する。
【0071】
好ましい実施態様、例えば好ましい製剤、好ましい結合剤など、例えば好ましいこのような賦形剤の濃度に関する上記の全ての記述は、本発明の製造側面に準用される。
【0072】
更なる側面において、本発明は、不十分な内因性濃度のエストロゲン、例えばエストラジオールによりもたらされる女性の身体状態を処置又は予防するための薬剤の調製のための、本発明の経口固形製剤の使用に関する。これらの状態としては、骨粗しょう症、頭痛、吐き気、うつ、ほてり、骨密度の減少、及び骨折の危険性の増大又は発生、例えば脊椎骨折及び/又は股関節骨折が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、女性は閉経後の女性である。従って、より詳細には、本発明は、閉経後の女性における骨密度の減少を予防するための薬剤の調製のための本発明の経口固形製剤の使用にも関する。更に、本発明は、女性における、不十分な内因性濃度のエストロゲン、例えばエストラジオールの症状を処置するための薬剤の調製のための本発明の経口固形製剤の使用にも関する。
【0073】
同様に、本発明は、不十分な内因性濃度のエストロゲン、例えばエストラジオールによりもたらされる女性の身体症状を予防又は処置するための方法であって、本発明の経口固形製剤を、それを必要とする女性に経口投与することを含んでなる前記方法にも関する。これらの状態としては、骨粗しょう症、頭痛、吐き気、うつ、ほてり、骨密度の減少、及び骨折の危険性の増大又は発生、例えば脊椎骨折及び/又は股関節骨折が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、女性は、閉経後の女性である。従って、より詳細には、本発明は、本発明の経口固形製剤を、それを必要とする女性に経口投与することを含んでなる、閉経後の女性の骨密度の減少を予防するための方法にも関する。更に、本発明は、本発明の経口固形製剤を、それを必要とする女性に経口投与することを含んでなる、女性における不十分な濃度のエストロゲン、例えばエストラジオールの症状を処置するための方法にも関する。
【0074】
本発明は、主にエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体との関連で論じてきたが、当業者は、本明細書中に記載した原理が他のエストロゲン、特にポリビニルピロリドンに対して感受性の高い、すなわち、ポリビニルピロリドンの存在下で化学的に不安定であるエストロゲンも包含するように、容易に拡張することができることを理解するだろう。従って、更に別の側面において、本発明は、0.01mg〜0.5mgの量のエストラジオール半水和物と治療上同等な量のエストロゲン;及び、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含んでなる経口固形製剤に関する(ただし、ポリビニルピロリドンが存在する場合には、ポリビニルピロリドンとエストラジオールの重量比は、10:1未満である)。
【0075】
「エストロゲン」という用語は、エストロゲン活性を示す全ての化合物(天然又は合成のステロイド化合物又は非ステロイド化合物)を包含することが意図されている。そのような化合物は、天然及び合成のエストラジオール及びその誘導体;結合型エストロゲン;エストロゲン受容体特異的アゴニスト;及びエストロゲン活性を示す非ステロイド化合物を包含する。この用語は、更に、エストロゲンの全ての異性体及び物理的形態、例えば水和物、例えば半水和物;溶媒和物;塩;及び複合体、例えばシクロデキストリンとの複合体を包含することが意図されている。好ましくは、エストロゲンは、ポリビニルピロリドンに対して感受性が高い、すなわちエストロゲンはポリビニルピロリドンの存在下で化学的に不安定である。そのようなエストロゲンは、ポリビニルピロリドンの存在下及び非存在下で製剤を製造することにより検出することができ、40℃の温度、75% の相対湿度、暗所での3ヶ月間にわたる製剤の保管の間のエストロゲンの化学安定性を測定する。
【0076】
「結合型エストロゲン」という用語により、天然の結合型エストロゲン、例えばエストロン、エキリン及び妊馬尿から得られる他のものが意味される。結合型エストロゲンは、合成によっても生成される。合成により生成されるエストロゲンの例としては、エストロピペート及びエチニルエストラジオールが挙げられる。更に、「結合型エストラジオール」という用語は、そのような化合物のエステル、例えば硫酸エステル、そのような化合物の塩、例えばナトリウム塩、及びそのような化合物の塩のエステル、例えば硫酸エステルのナトリウム塩、並びに当業界で知られた他の誘導体を指す。いくつかの具体的な例としては、17−α及びβ−ジヒドロエキリン、エキレニン、17−α及びβ−ジヒドロエキレニン、エストロン、及びそれらのナトリウム硫酸エステルが挙げられる。
【0077】
従って、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体をカバーする側面との関連の上記の全ての記述は、エストロゲンに関する側面に対して準用される。従って、「エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体」という用語が本明細書中で用いられる場合はいつでも、この用語は、「エストロゲン」の用語により置換されることができると理解されるだろう。
【0078】
本発明は、更に、以下の非限定的な実施例により説明する。
【実施例】
【0079】
実施例1−微粉化エストラジオールのインビトロでの溶解
微粉化エストラジオール及び微粉化エストラジオールとポリビニルピロリドンの混合物の溶解特性を、それぞれ、インビトロでの溶解試験系において調べた。溶解試験装置は、溶解媒体として37℃の温度の900mlの精製水及び回転速度として50rpmを用いるUSP装置2(パドルシステム)(USP27の<711>を参照のこと)。粉末状形態のエストラジオール及び混合物を、100μgの微粉化エストラジオール半水和物に対応する量の溶解容器中に置いた。
【0080】
【表1】

【0081】
この結果は、ポリビニルピロリドンの微粉化エストラジオールの溶解への顕著な影響を実証する。
【0082】
実施例2−低用量エストラジオールを含む経口固形製剤の調製
以下の組成を有する80mgの錠剤中心を調製した:
【表2】

【0083】
「V」のトウモロコシデンプンは、別の「第二選択肢」の結合剤、例えば1.6mgのヒドロキシプロピルセルロース(低置換)で置換することができる。
【0084】
経口固形製剤は、流動層顆粒化機を、成分I〜IV(エストラジオール、ラクトース一水和物、トウモロコシデンプン及び加工デンプン)で充填し、流動層を活性化することにより調製した。その後、80mgの錠剤中心あたり2mgを適用するように、流動層の気流を加熱することにより乾燥させながら、成分V(トウモロコシデンプン)の水溶液を、流動層上に連続的にスプレーした。工程の終わりに、ステアリン酸マグネシウムを顆粒化機中に吸収させ、流動層を保持することにより顆粒と混合した。或いは、ステアリン酸マグネシウムは、ブレンダーを用いて添加することができる。得られた顆粒は、錠剤プレスを用いて圧縮することにより、錠剤中心に圧縮した。
【0085】
実施例3−低用量エストラジオール製剤の安定性
3つの異なる錠剤製剤(A、B及びC)を、40℃の温度、75%の相対湿度、暗所での12ヶ月間の保管の間、エストラジオール(半水和物形態及び微粉化)の化学安定性を試験した。錠剤は、保管の間、密閉容器中に保持した。
【0086】
全ての錠剤製剤(A、B及びC)は、名目上、安定性試験の開始時に、0.05mgの微粉化エストラジオール半水和物を含み、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール、タルク、二酸化チタン及び酸化鉄黄色色素を含むフィルムコートを用いて調製した。80mgの錠剤中心は、以下の組成を有する(「+」は、所定の成分の存在を示す):
【0087】
【表3】

【0088】
錠剤製剤Aは、実施例2に示した組成物(0.05mgのエストラジオール及び2mgのトウモロコシデンプン(V)を含む)と同一である。錠剤製剤B及びCは、それぞれ2mgのトウモロコシデンプン(成分V)が4mgのポリビニルピロリドン及び1.6mgのヒドロキシプロピルセルロースに置換されていることを除いて、錠剤製剤Aと同一である。
【0089】
【表4】

【0090】
得られたデータは、ポリビニルピロリドンがエストラジオールに対して不安定化効果を有することを明確に示す。
【0091】
実施例4−高含有量のエストラジオール及びポリビニルピロリドンの存在下での錠剤の安定性
錠剤製剤(R)を、40℃の温度、75%の相対湿度、暗所での6ヶ月間の保管の間、エストラジオール(半水和物形態及び微粉化)の化学安定性に関して試験した。錠剤を、保管の間、密閉容器中で保持した。
【0092】
錠剤製剤Rは、名目上、安定性試験の開始時に、1mgの微粉化エストラジオール半水和物を含んでいた。必要条件は、錠剤あたり0.9〜1.050mgである。錠剤製剤Rは、錠剤製剤Rが1mgの微粉化エストラジオール半水和物を含むこと以外、実施例3に記載の錠剤製剤B(4mgのPVP)と同一である。
【0093】
無傷のエストラジオールの量は、それぞれ、40℃、75%の相対湿度での1、3及び6ヶ月間の保管後に、98%であることが見出された。これらのデータは、エストラジオールが、錠剤製剤R中で調製される場合、化学的に安定であることを示す。錠剤製剤Rの有効期間は、約4年であると推測することができる。
【0094】
実施例5−低用量エストラジオール製剤の溶解特性
錠剤製剤A、B、C及びDの溶解プロファイルは、USP装置2(パドルシステム)(USP27の<711>を参照のこと)、溶解媒体として37℃の温度の900mlの精製水及び回転速度として50rpmを用いて、インビトロでの溶解試験系により決定した。
【0095】
錠剤製剤A、B及びCは実施例3に記載の通りであり、錠剤製剤Dは、フィルムコーティングがマクロゴールを含まないという変更を含む錠剤製剤Aと同一である。
【0096】
【表5】

【0097】
表3の結果は、全ての4つの錠剤製剤A、B、C及びDが水中で同一の溶解プロファイルを示すことを示す。
【0098】
実施例6−低用量エストラジオール錠剤製剤に関する、薬物動態学的エンドポイント(end point)(生物学的利用能)
生物学的利用能試験は、それぞれ190μg及び100μgの微粉化エストラジオール半水和物を含む実施例2に記載のものと同一の製剤錠剤の単回投与後のエストラジオールの血清濃度を測定するために実施した。試験設計は、非盲検、3つの期間、3つの処置、各処置の単回投与を含むクロスオーバー(cross−over)設計、及び各期間の間の2週間のウオッシュアウト(washout)であった。試験集団は、55〜75歳の24人の健康な閉経後の女性であった。絶食条件にした。
【0099】
図1は、48時間までの期間の、エストラジオールの平均血清濃度(pg/ml)を示す。完全な線は、試験集団への190μgの単回投与により達成されるエストラジオールの平均血清濃度を示し、点線は、試験集団への100μgの単回投与により達成されるエストラジオールの平均血清濃度を示す。内因性エストラジオールの平均血清濃度は、3〜3.5pg/mlであった。
【0100】
この結果は、100μg又は190μgの微粉化エストラジオールの経口投与が、長期の5〜20pg/mlの所望の範囲内の平均血清濃度をもたらすことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、48時間までの間の、エストラジオールの平均血清濃度(pg/ml)を示す。Y軸は、エストラジオールの血清濃度(pg/ml)を示し、X軸は、エストラジオールの単回投与後の時間(時)を示す。完全な線及び点線は、それぞれ、190μg及び100μgのエストラジオール半水和物の経口単回投与後の血清プロファイルを示す。内因性エストラジオールの平均血清濃度(基準線)は、3〜3.5pg/mlであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01mg〜0.5mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体;及び、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含んでなり、ポリビニルピロリドンが存在する場合には、ポリビニルピロリドンとエストラジオールの重量比が10:1未満である、経口固形製剤。
【請求項2】
医薬として許容される誘導体が、吉草酸エストラジオール、酢酸エストラジオール、プロピオン酸エストラジオール、エストラジオールエナンタート、ウンデシレン酸エストラジオール、安息香酸エストラジオール、エストラジオールシピオナート、硫酸エストラジオール及びスルファミン酸エストラジオール、又はそれらの塩からなる群から選択されるエストラジオールのエステルである、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
エストラジオールの水和物が、エストラジオール半水和物である、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、微粉化形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
70%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、溶解媒体として37℃の900mlの水及び回転速度として50rpmを用いるUSP27(パドルシステム)により測定した場合に、30分以内に製剤から溶解する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
80%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、30分以内に製剤から溶解する、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
90%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、30分以内に製剤から溶解する、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
70%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、溶解媒体として37℃の900mlの水及び回転速度として50rpmを用いるUSP27(パドルシステム)により測定した場合に、15分以内に製剤から溶解する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
80%超のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体が、15分以内に製剤から溶解する、請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
経口固形製剤が、0.05mg〜0.4mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
経口固形製剤が、0.05mg〜0.3mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項10に記載の製剤。
【請求項12】
経口固形製剤が、0.05mg〜0.25mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項11に記載の製剤。
【請求項13】
経口固形製剤が、0.1mg〜0.2mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
経口固形製剤が、0.15mg〜0.2mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
経口固形製剤が、約0.2mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
経口固形製剤が、約0.19mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項14に記載の製剤。
【請求項17】
経口固形製剤が、約0.15mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項14に記載の製剤。
【請求項18】
経口固形製剤が、約0.1mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体を含んでなる、請求項13に記載の製剤。
【請求項19】
40℃、75% の相対湿度(RH)、暗所での3ヶ月間の保管後に、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の初期量の少なくとも95重量%が製剤中に存在する、請求項1〜18のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
40℃、75% の相対湿度(RH)、暗所での12ヶ月間の保管後に、エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の初期量の少なくとも85重量%が製剤中に存在する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤が、デンプン、デンプン誘導体、部分的又は完全に加工又はアルファ化したデンプン、セルロース、セルロース誘導体、及びそれらの混合物からなる群から選択される結合剤である、請求項1〜20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
デンプンが、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、コメデンプン、タピオカデンプン及びコムギデンプンからなる群から選択される、請求項21に記載の製剤。
【請求項23】
デンプンがトウモロコシデンプンである、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
デンプン誘導体がマルトデキストリンである、請求項21に記載の製剤。
【請求項25】
セルロースが微結晶性セルロースである、請求項21に記載の製剤。
【請求項26】
セルロース誘導体が、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロースからなる群から選択される、請求項21に記載の製剤。
【請求項27】
セルロース誘導体が、ヒドロキシプロピルセルロースである、請求項26に記載の製剤。
【請求項28】
製剤がポリビニルピロリドンを含まない、請求項1〜27のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項29】
製剤がイソフラボンを含まない、請求項1〜28のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項30】
製剤が可溶化剤を含まない、請求項1〜29のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項31】
製剤が超崩壊剤を含まない、請求項1〜30のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項32】
製剤が、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、顆粒、小袋又は丸剤の形態である、請求項1〜31のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項33】
製剤が錠剤の形態である、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
錠剤がフィルムコートされている、請求項33に記載の製剤。
【請求項35】
以下の段階
a)エストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体、及び少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤の粉末状混合物を調製すること;
b)結合剤を添加することにより、当該粉末状混合物を顆粒へと顆粒化すること、ただし、ポリビニルピロリドンを用いる場合は、ポリビニルピロリドンとエストラジオールの重量比は、10:1未満である;及び、任意に
c)得られた顆粒を、更なる医薬として許容される賦形剤と共に混合すること;及び
d)得られた混合物を固形投与単位形態へと変換すること
を含んでなる、0.01mg〜0.25mgの用量のエストラジオール、又はその水和物、塩若しくは医薬として許容される誘導体の経口固形製剤を製造するための方法。
【請求項36】
請求項35に規定された方法により得られる経口固形製剤。
【請求項37】
薬剤としての使用のための、請求項1〜34又は36のいずれか一項に規定された経口固形製剤。
【請求項38】
不十分な内因性濃度のエストロゲンによりもたらされる女性の身体状態を処置又は予防するための薬剤の調製のための、請求項1〜34又は36のいずれか一項に規定された経口固形製剤の使用。
【請求項39】
エストロゲンがエストラジオールである、請求項38に記載の使用。
【請求項40】
身体症状が、骨粗しょう症、頭痛、吐き気、うつ、ほてり、骨密度の減少、又は骨折の危険性の増大若しくは発生である、請求項38又は39に記載の使用。
【請求項41】
女性が閉経後の女性である、請求項38〜40のいずれか一項に記載の使用。
【請求項42】
請求項1〜34又は36のいずれか一項に規定された経口固形製剤を、それを必要とする女性に経口投与することを含んでなる、不十分な内因性濃度のエストロゲンによりもたらされる女性の身体状態を処置又は予防するための方法。
【請求項43】
エストロゲンがエストラジオールである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
身体症状が、骨粗しょう症、頭痛、吐き気、うつ、ほてり、骨密度の減少、又は骨折の危険性の増大若しくは発生である、請求項42又は43に記載の方法。
【請求項45】
女性が閉経後の女性である、請求項42〜44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
0.01mg〜0.5mgの量のエストラジオール半水和物に治療上同等な量のエストロゲン;及び、少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含んでなり、ポリビニルピロリドンが存在する場合には、ポリビニルピロリドンとエストロゲンの重量比が10:1未満である、経口固形製剤。

【図1】
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【公表番号】特表2008−518895(P2008−518895A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538360(P2007−538360)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011726
【国際公開番号】WO2006/048261
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】