説明

低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物およびその使用方法

撹拌すると安定化される低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物であって、揮発性溶媒、該組成物内に分散されている水相、少なくとも1種のシリコーンフィルム形成性ポリマーおよび少なくとも1種の乳化剤を含む組成物、およびスプレー可能な組成物としてのその使用方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキンケア化粧用組成物および方法に関する。特に、本発明は、新規の低粘性の不安定なシリコーン中水型化粧用組成物およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚および顔に対してメイクアップを施すことは多数の人々の日々の習慣的行為である。メイクアップは、皮膚の欠点を埋めるため、色のばらつきを隠すため、瘢痕またはしみ(blemishes)を隠すため、あるいは使用者(wearer)の特徴の一部を目立たせるために施される。不完全性を隠し、かつ使用者の特徴を目立たせるこのプロセスは、使用者の自信の向上に役立ち、それによって社会的交流を促進し、かつ彼らの生活の質を向上させる。
【0003】
種々の形式の各メイクアップは専用の道具で施される。例えば、手で、チューブから、ブラシで、スポンジで、あるいは化粧用ペンシルでメイクアップを施すことが一般的である。しかし、手によってメイクアップを施すことはヒューマンエラー(人為的ミス)を生じさせる。例えば、ファンデーション、アイシャドウまたは他の着色化粧品を施す場合、該組成物があまりにも濃厚であると、縞模様を残すことなく皮膚上に均一に塗布することが困難である。
【0004】
1日中、色または見た目を持続させるために、使用者は、典型的に、朝に、所望よりも多量のメイクアップを塗布することを余儀なくされる。これによってメイクアップの一部分が1日を通して徐々にはがれ落ちるようにし、同製品を絶え間なく再塗布する必要はない。メイクアップがより長時間の保持寿命を有すれば、ユーザーはより少量を塗布し、1日の後半に、依然としてメイクアップの効果を有することが可能になる。再塗布することなく、全日を通してメイクアップを施されている外観を有するために必要な過剰塗布は不必要になる。
【0005】
多くのタイプのメイクアップに伴う別の一般的な問題は、皮膚に対して有害であることである。多くのタイプのメイクアップは、皮膚の毛穴をふさぎ、吹き出物の生成を促進する傾向がある。さらに、メイクアップの成分、ならびに多数の非水ベースの化粧品に関して必要なメイクアップ除去剤は、皮膚の天然保湿物質を除去し、皮膚を乾燥させる傾向がある。
【0006】
上記多数の問題を克服するために、エアブラシ技術によってメイクアップを施すことが当技術分野において公知であり、該技術では、メイクアップの細かい液滴を皮膚上にスプレーする装置を使用する。例えば米国特許第4,742,963号(表題「Aerosol Airbrush」)および米国特許第4,309,119号(表題「Applicator Device for Cosmetic Preparations」)を参照されたい。しかし、そのような装置は、概して、水溶性化合物のスプレーにしか適していない。水溶性化合物は耐水性でなく、容易にこすれ落ちるか、あるいはすり減る傾向がある。しかし、水ベースでない組成物は、粘性が高すぎて、皮膚上への塗布にエアブラシ技術を使用できないことが多い。例えば、エマルジョン形式のシリコーンベースのメイクアップ化粧用組成物は、安定な組成物を維持するために必要とされる成分の種類および量によっては、非常に粘性でありうる。より具体的には、多くのシリコーンベースのエマルジョン組成物は、該組成物を安定なエマルジョン形式で保つ濃厚さ(thickness)を作り出すために強力な乳化剤(heavy emulsifiers)の使用を必要とする。しかし、そのような高い粘性によって、組成物を顔に均一に塗布して縞またはむらがないようにすることは困難であり、該組成物はエアブラシ技術を使用する塗布に適していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、耐水性および長時間の保持特性を示し、かつ粘性組成物に伴う問題を回避しつつ、ユーザーが、均一に、迅速に、かつ正確に塗布できる個人用のメイクアップ組成物が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明は、撹拌すると安定化される、低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物であって、揮発性溶媒、該組成物内で分散されている水相、少なくとも1種のシリコーンフィルム形成性ポリマーおよび少なくとも1種の乳化剤を含む組成物を含む。
【0009】
本発明は、さらに、スプレーガンおよび上記組成物を含む、スプレー可能なメイクアップ組成物を提供するためのキットおよびシステムを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
詳細な説明
実施例および比較例、または特に明記した箇所を除き、この説明中の、材料の量もしくは比または反応の条件、材料の物性および/または使用を示すすべての数は、単語「約」によって修飾されると理解されるものとする。特に指定しない限り、すべての量は最終組成物の重量に基づく。
【0011】
「低粘性」とは、組成物が全体として1200cps(センチポアズ)までの範囲、特に200〜1200cpsの範囲の粘性を有することを意味する。使用される粘度計は、好ましくはBrookfield LV、特にLV3/30/1(3はスピンドルタイプを示し、速度は30rpmであり、時間は1分である)である。センチポアズとは、粘度計を使用する絶対粘性の測定値である。粘度計では、既知の速度(剪断速度(sheer rate))で液体中のスピンドルを回転させるために必要な力(剪断応力(sheer stress))を測定する。粘性は、ダイヤル目盛に、使用される粘度計に関するスピンドル倍率(40)を乗算した値として測定される。本発明では、ダイヤル目盛は5〜30の範囲であり、200〜1200cpsが得られる。
【0012】
「不安定」とは、該組成物が、概して、視覚的に別個の層(該層の数は該組成物中に含まれる成分の種類および量に依存する)に分離するように、シリコーン中水型エマルジョン中の水相が部分的に合体していることを意味する。一般的に言って、特定の成分が各相に分配されている場合、最も高密度の成分(例えば酸化金属色素)は下層に沈み、低密度の成分は中間および上層内により多く分散すると考えられる。
【0013】
シリコーン中水型エマルジョンは、通常、安定なエマルジョンを作り出すために非常に粘性の乳化剤を必要とする。したがって、該エマルジョン全体の粘性は、典型的な水ベースのエマルジョンと比較して相対的に高い。皮膚上に均一にすべての成分を送達することを提供するためには、安定なエマルジョンを提供することが重要である。例えば、シリコーン中水型エマルジョン中で担体として使用される揮発性溶媒は、安定なエマルジョン中で支持されなければ蒸発し、その結果、該溶媒中に担持される多量の成分の移動が生じる。本発明では、驚くべきことに、撹拌すると安定化される、低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物が安定なシリコーン中水型エマルジョンより望ましいことが発見された。その理由は、それが、安定なエマルジョン形式で成分を皮膚上に送達しつつ、2相の安定なエマルジョンまたは懸濁物が生じさせる困難を回避する(下記実施例1に示す)からである。具体的に、本発明の組成物は、安定なエマルジョンでの結果と同様に、成分由来の化粧品としての利益(例えば、滑らかな皮膚感触、べとつかない(non-tacky)組成物、耐水性)が、成分の完全溶解によって弱まらないよう、不安定であるように設計される。そのかわりに、該不安定なエマルジョンは、成分をつなぎ合わせるゆるい結合によって、組成物が撹拌時に安定化されるまでは、組成物中であっても、成分がその元の状態でより良好に保存されることを可能にする。不安定なエマルジョンの成分は塗布時に均一に分配されないので、本発明は、皮膚への塗布前に機械的に安定化され、皮膚への成分のより均一な送達を提供する。したがって、成分は、驚くべきことに、より多くのその元の特性を保持し、塗布された組成物は、縞にならず、水に対する耐性を有し、移動に抵抗する特性(transfer resistant property)を有する。
【0014】
本発明の組成物は、撹拌すると安定化される、低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物であって、揮発性溶媒、該組成物内で分散されている水相、少なくとも1種のシリコーンフィルム形成性ポリマーおよび少なくとも1種の乳化剤を含む組成物を含む。水相構成要素、揮発性溶媒、シリコーンフィルム形成性ポリマーおよび乳化剤の濃度を適正に調節することによって、個々の相が撹拌/混合時にエマルジョンを形成する本発明の組成物が得られ、該エマルジョンは、該組成物の層の薄さおよび表面張力のせいで皮膚上への塗布時に寿命が短いが、容器/塗布器の振とうを反復することなく一定期間にわたって該組成物の塗布を可能にするほど、容器/塗布器内では十分に安定である。好ましい実施形態では、該組成物は、その不安定な形式では、機械的撹拌までは、少なくとも3つの視覚的に別個の層に分離する。
【0015】
特定の成分が各相に分配されると、水相は水を含み、シリコーン相はフィルム形成性シリコーンポリマー、揮発性溶媒および乳化剤を含む。追加の成分は、その親和性に応じて、いずれかの相に存在する。撹拌は、外部から手によって、あるいは当業者に一般的に公知の機械的手段によって、あるいは、同様に当業者に周知のように、塗布器/容器内に設置された機械的混合手段によって行ってよい。
【0016】
本発明の組成物は、200〜1200cpsの範囲の粘性を有する必要があり、好ましくは200〜800cps、最も好ましくは200〜240cpsである。本発明の各成分は最終組成物の粘性に寄与する可能性があり、したがって、本発明の組成物の低粘性を妨げない種類および量の成分を選択することが必須である。
【0017】
揮発性溶媒
揮発性溶媒は、本発明の組成物の低粘性を妨げないように存在する。本明細書中で使用される「揮発性」とは、当業者に理解されるように、周囲条件下でかなりの量の蒸気圧を有する物質を表す。本発明において使用するための揮発性溶媒は、好ましくは、20以下の炭素鎖を有する溶媒に関して223Fまでの引火点(flash point)を有する。好ましくは、本発明において使用するための揮発性溶媒は、比較的無臭であり、ヒト皮膚に対する使用に関して安全である。好適な揮発性担体には、C−C20炭化水素およびその混合物が含まれる。好ましい揮発性担体はC−C12炭化水素である。より具体的には、揮発性担体は、揮発性ジメチコーン(すなわち26F〜223Fの範囲の引火点を有する)、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタン、シクロメチコーンおよびその混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、揮発性溶媒はイソドデカンである。
【0018】
10%〜95%、好ましくは15%〜80%、最も好ましくは30%〜50%の量の揮発性担体が使用される。
【0019】
水相
水相は、組成物が撹拌されて安定化された時に、揮発性溶媒内に分散される。該水相は、0.001〜45%、好ましくは1〜20%、最も好ましくは10〜15%の範囲の量の水を含む。不安定な状態では、多くの場合、該水相は組成物の下部に沈む傾向があり、したがって、部分的にしか揮発性溶媒内に分散されない。組成物の粘性が上記範囲を超えないように、本発明の組成物中の水の量をコントロールして、低粘性の組成物を維持することが必須である。
【0020】
シリコーンフィルム形成性ポリマー
本発明の組成物の全体の低粘性の特徴を妨げない任意のシリコーンフィルム形成性ポリマーを使用することができる。シリコーンポリマーは、皮膚上への塗布時に皮膚上でフィルムを形成することが知られていて、当業者に公知である。本発明では、シリコーンフィルム形成性ポリマーは、ジメチコーンおよびシロキサン誘導体からなるリストから選択される。具体的には、ジメチコーンまたはシロキサン誘導体は、好ましくは、シリカジオキシド(silica dioxide)、またはその誘導体と、約1,000〜約200,000cpsの粘性を有するシラノール末端ブロックポリジオルガノシロキサン液との反応産物である化合物である。任意のシリカ誘導体を使用できるが、ただし、シラノール末端ブロックジオルガノシロキサンと反応するために十分なヒドロキシ基密度を有することを条件とする。好ましい実施形態では、該誘導体はトリオルガノシリル末端ブロックシリカジオキシドであり、約10,000〜約15,000cpsの粘性を有するポリジオルガノシロキサンと反応させる。好ましい化合物は、室温で非流動性の固形物であり、十分に過剰の10,000,000の粘性を有する。これらの材料の製造例は米国特許第5,162,410号に見出せる。該文献の開示内容は参照により本明細書中に組み入れられる。米国特許第5,330,747号および第5,451,610号は、一定の個人の手入れ用製品におけるその使用を示唆する。しかし、本出願人らが知る限りでは、これらの材料は、低粘性の不安定なシリコーン中水型組成物における使用については以前には示唆されていない。本発明の好ましいフィルム形成性ポリマーは、商品名BIO−PSA(登録商標)の下にDow Corningから市販されている。BIO−PSA(登録商標)は標準およびアミン適合性の二形式で入手でき、種々の溶媒中で、ならびに種々の樹脂対ポリマー比で提供される。いずれのBIO−PSA(登録商標)材料も本発明における使用に好適である;しかし、標準形式接着剤が好ましく、製品番号7−4405によって特定されるBIO−PSA(登録商標)が特に好ましい。該材料は60/40の樹脂対ポリマー比およびイソドデカン溶媒を有し、ジメチコーン/シリラートイソドデカン(silylate isododecane)として知られている。ポリ(ジメチルシロキサン)−g−ポリ(イソブチルメタクリラート)(商品名Polysilicone−6(登録商標)の下に販売されている)、イソドデカン/アクリラートコポリマー(商品名Giovarez(登録商標)AC−5099Mの下に販売されている)もまた好ましい。
【0021】
本発明では、フィルム形成性ポリマーを、単独で、あるいは組み合わせて使用し、向上した滑らかな感触を提供し、最終組成物の移動抵抗性(transfer resistance)を改善することができる。フィルム形成性ポリマーは、1%〜60%、好ましくは2%〜20%、最も好ましくは3%〜10%の量で使用される。留意すべきは、フィルム形成性ポリマーの量を、上で規定される範囲内で、かつ通常の実験法によって本組成物の他の成分との関係で調節し、本発明の組成物全体の粘性が本明細書中で規定されるパラメータを超えないようにすることである。
【0022】
乳化剤
本組成物は、さらに、本発明の組成物を部分的に乳化する乳化剤を含む。用語「部分的に乳化する」とは、上記のように、組成物全体の撹拌の支援がなければ、該組成物は安定な2相エマルジョン形式のままではないことを意味する。具体的に、乳化剤がエマルジョンを安定な2相系のままにできず、そのかわりに、組成物が、概して、視覚的に別個の層に分離する(該層の数は該組成物内に含まれる具体的成分の種類および量に依存する)ような量および粘性範囲の乳化剤が使用される。上記のように、安定な2相系では、乳化剤は組成物の成分、例えばシリコーンポリマーの完全な溶解/乳化を助長して、安定なシリコーン中水系を作り出す。結果として、そのようなシリコーンフィルム形成性ポリマーの元の状態における特性、例えばとりわけ移動抵抗性および軟化性は、皮膚上への移動中には弱められる。本発明では、シリコーンポリマーは完全には乳化されず、そのかわりに、本組成物の視覚的に別個の数層内にゆるく保持されるので、該シリコーンポリマーの特性はより保存され易い。本発明の組成物は撹拌によって安定化され、本発明の他の成分に関して均一に、シリコーンポリマーを皮膚に送達するために十分に安定な送達媒体を提供する。したがって、本発明の部分的乳化は、塗布時の組成物の耐水性/移動抵抗性に貢献する。
【0023】
水中油型乳化剤以外でも、4cps〜1600cpsの範囲、好ましくは100cps〜700cpsの範囲の粘性を有する、組み合わせまたは単独の任意の乳化剤を使用することができる。留意すべきことは、当業者は、他の成分にしたがって粘性を調節して、組成物全体の粘性が本明細書中で指定される値、具体的には1200cpsの最大粘性を超えないようにすることである。本発明の乳化剤には、油中水型乳化剤およびシリコーンベースの乳化剤が含まれる。典型的な油中水型乳化剤は、当技術分野において周知のように約4〜約6のHLB値を有する;しかし、この「ルール」は多数の例外を有することも知られている。好適な油中水型乳化剤の選択は製剤化技術分野において周知である。特に、乳化剤は、セチルPEG 10ジメチコーンの混合物、ならびにセチルジメチコーンコポリオール、ポリグリセリル4−イソステアラートおよびラウリン酸ヘキシルの混合物(商品名ABIL WE−09の元に販売されている)からなる群から選択される。
【0024】
乳化剤は、0.001%〜30%、好ましくは0.01%〜15%、最も好ましくは0.1%〜1%の量で使用される。留意すべきは、乳化剤の量を、上で規定される範囲内で、かつ通常の実験法によって本組成物の他の成分との関係で調節し、本発明の組成物全体の粘性が本明細書中で規定されるパラメータを超えないようにすることである。
【0025】
色素
着色組成物では、場合により少なくとも1種の色素を組成物に加えてよい。色素は、概して、水相に含まれ、組成物の撹拌前には下層内に沈む。色素は当業者に公知の任意の色素であってよく、それには、非限定的に、ブロンザー、雲母、酸化鉄、カーボンブラック、二酸化チタン、アルミニウムフレーク、ブロンズフレーク、コーティングされた雲母(coated mica)、ニッケルフレーク、スズフレーク、銀フレーク、銅フレークおよび色素(dyes)からなる群が含まれる。別の例は、International Cosmetic Ingredient Dictionary,CTFA,第9版,2003に見出せる。本発明の組成物中の色素量は、上記指定範囲を超える最終組成物の濃厚化を回避して、本発明の組成物の低粘性を維持するために5%〜25%である。
【0026】
本発明の組成物は多種多様な製品タイプに製剤化することができ、それには、クリーム、ローションおよびスプレーが含まれる。好ましい組成物は化粧用スプレーに製剤化される。これらの製品形式は、多数の用途に使用してよく、それには、非限定的に、メイクアップ組成物/化粧品、セルフタンニング組成物、日焼け止め組成物および保湿剤が含まれる。そのような製品を製剤化するために必要な任意の追加の成分は製品タイプに応じて変化し、当業者は通常の方法によってそれを選択することができる。
【0027】
他の成分
製剤には、組成物全体の粘性が本明細書中での指定範囲内で維持される限り、製剤の担体および/または目的の用途に応じて選択される他の成分を含ませることもできる。追加の成分には、非限定的に、酸化防止剤(例えばBHT);キレート剤(例えばEDTA二ナトリウム);保存料(例えばメチルパラベン);香料(例えばピネン);皮膚軟化剤(例えばジメチコーンおよびその誘導体、ジオクチルマラート、オクチルドデシル/PPG−3ミリスチルエーテルジマージリノレアート(octyldodecyl/PPG-3 myristyl ether dimmer dilinoleate));湿潤剤(例えばグリセリン、ブチレングリコール、カプリルグリコール/フェノキシタノール/ヘキシレングリコール(capryl glycol/phenoxythanol/hexylene glycol));保湿剤(例えばコレステロール、ブチレングリコール);皮膚コンディショニング剤(例えばトリシロキサン)、光拡散剤(optical diffusers)(例えばシリカ);日焼け止め(例えばオクチルメトキシシンナマート、二酸化チタン、酸化亜鉛、カンファー誘導体、シンナマート、サリチラート、ベンゾフェノン、トリアジン、PABA誘導体、ジフェニルアクリラート誘導体、およびジベンゾイルメタン誘導体)等が含まれる。
【0028】
本組成物には、さらに、1以上の追加の活性成分を包含させることができ、したがって、該組成物は、着色化粧品に加えて化粧用または医薬組成物、例えばアンチエイジング剤でありえ、当業者は、本発明において考察される製品の有効性を決定するために濃度を決定してよい。そのような追加の活性成分はまた、組成物の全体の粘性が上で規定される制限を超えないように選択されるべきであろう。有用な活性物質の例には、非限定的に、しみ(age spots)、角化症およびしわを改善または根絶する活性物質、鎮痛剤、麻酔剤、抗ざ瘡剤、抗菌剤、抗酵母剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗皮膚炎剤、鎮痒剤、制吐剤、過角質溶解防止剤(antihyperkeratolytic agents)、皮膚乾燥防止剤、抗乾癬剤、抗脂漏剤、アンチエイジング剤、しわ抑制剤、抗ヒスタミン剤、創傷治癒剤、ビタミン、コルチコステロイド、追加の日焼け剤またはホルモンが含まれる。有用な活性物質のさらに具体的な例には、レチノイド、例えばレチノール、およびそのエステル、酸、およびアルデヒド;アスコルビン酸、およびそのエステルおよび金属塩、トコフェロールおよびそのエステルおよびアミド誘導体;サメ軟骨;乳タンパク質;αまたはβ−ヒドロキシ酸;DHEAおよびその誘導体;局所心血管作動薬;クロトリマゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール(miconozole)、グリセオフルビン、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、プラモキシン、リドカイン、プロカイン、メピバカイン、モノベンゾン、エリスロマイシン、テトラサイクリン、クリンダマイシン、メクロサイリン(meclocyline)、ヒドロキノン、ミノサイクリン、ナプロキセン、イブプロフェン、テオフィリン、クロモリン、アルブテロール、ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン21−アセタート、ヒドロコルチゾン17−バレラート、ヒドロコルチゾン17−ブチラート、吉草酸ベタメタゾン、ベタメタゾンジプロプリオナート(betamethasone diproprionate)、トリアミノロンアセトニド(triaminolone acetonide)、フルオシノニド、クロベタゾール、プロプリオナート、過酸化ベンゾイル、クロタミトン、プロプラノール(propranol)、プロメタジン、およびその混合物が含まれる。
【0029】
本製剤の特に好ましい実施形態は、メイクアップ組成物または着色化粧品として使用されるスキンケア製剤である。
【0030】
組成物の製造方法
本発明の組成物は、まずシリコーンフィルム形成性ポリマーをビーカーに入れることによって製造することができる。次いで該ポリマーに揮発性溶媒を加える。混合物が均一になったら、場合により、得られる組成物に関する感触の好みに応じて、別のシリコーンフィルム形成性ポリマーを加えてよい。次いで該混合物に乳化剤を加え、均一になるまで混合する。
【0031】
場合により、色素分散用のイソドデカン(isodedecane)およびジメチコーンコポリオールを含む小さいビーカーに、色素および微粒化色素(micronized pigments)を入れ、ボールミルにかける(ball milled)(追加のイソドデカンをすすぎに使用する)。未分散色素が認められないことをスライドガラスで確認したら、小ビーカーの内容物をメインビーカーに加える。均一になるまで約5分間混合した後、シリカおよび酸化防止剤を加える。
【0032】
水および任意の他の所望の水相用の選択成分を使用して、分散水相を作成する。混合物が均一になったら、プロペラを使用して水相全体の10%をシリコーン組成物に加える。水相の10%を加えたら、得られた組成物を5分間混合する。次いで水相の残りを全部で15分間かけて加える。得られた組成物をさらに15分間混合する。次いで、プロペラから組成物を取り出し、場合により、4.8〜5.2rpmで5分間ホモジナイザーを加える。
【0033】
使用方法
本発明の組成物は、メイクアップ、着色組成物またはセルフタンニング組成物で皮膚の見た目を改善する方法、ならびに皮膚上のすじ(line)およびしわ(wrinkle)の見た目を軽減する方法のための製品として特に有用である。
【0034】
そのような方法は、安全かつ有効な量の本発明の組成物を皮膚に施すか、あるいは局所的に塗布するステップを含む。組成物中の成分の量は、所望の被覆性のレベルおよび個別の皮膚タイプに応じて変動する。
【0035】
美容的または医薬的に皮膚を処置する好ましい方法は、皮膚への本発明の組成物の塗布時にエアブラシ様となる空気ポンプシステムにより、安全かつ有効な量の新規組成物を局所的に塗布することに基づく。該空気ポンプシステムは、空気圧縮機に取り付けられているスプレーガンを有し、それにより、一定量の該組成物がガンに注がれ、皮膚の所望の領域にスプレーされる。スプレーガンは任意の市販のガンであってよい(例えばIwataによって販売されているSide Feed Gun ECL3500 IWATA ECLIPSE SBS SIDE FEED)。エアブラシガンのモデルは、ガンの上部に1つのオリフィス有する固定カップ、取り外し可能なサイドフィードカップを受け入れるための両側の2つのオリフィス、または本発明の組成物に直接的に連結するためのサイドフィードアダプタを有しうる。皮膚に対する組成物の所望の流れに応じて、当業者は所望の数のオリフィスおよび使用対象のスプレーガンのタイプを選択可能である。留意すべきは、従来の方法、例えばユーザーの手、スポンジ、またはブラシの使用によって本発明の組成物を塗布してもよいことである。
【0036】
局所塗布は、約月1回〜約毎日1回、好ましくは約毎週1回〜約週2回、最も好ましくは約1日1回または2回の範囲であることが例として示唆される。0.001g〜20gの量の本組成物が空気ポンプにアプライされる。該量は該ポンプの収容力に依存する。皮膚に塗布される組成物の量は所望の被覆性に応じて変動する。
【0037】
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに例証するが、本発明はそれに限定されない。
【実施例】
【0038】
実施例1
実施例で使用される本発明の組成物を以下に挙げる。以下に挙げる組成中では、選択的成分、例えば色素、皮膚軟化剤、酸化防止剤および皮膚コンディショニング剤を開示する。
【表1】

【0039】
実施例2
低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョンを含み、3相になる、上記実施例1の表1に記載の本発明の組成物を、シリコーン中水型2相エマルジョンおよび懸濁物と比較する。2相エマルジョンは以下の表2の組成を含む。懸濁物は表1の組成を含むが、乳化剤を含まない。組成物をエアブラシスプレーガン中にアプライして、皮膚上に塗布する。エアブラシスプレーガン中にアプライする前に、粘性および安定性に関して各組成物を試験する。そして皮膚上への塗布を被覆性および感触に関して視覚的に分析する。2相組成物を以下の表2に挙げ、試験結果を以下の表3に示す。
【表2】

【表3】

【0040】
上記表3からわかるように、本発明の系は、2相系および懸濁物と比較して耐水性および移動抵抗性を提供するために撹拌までは不安定のままでありつつ、塗布のためのエアブラシを通過するために十分に低い粘性を有する。
【0041】
実施例2:乳化剤の比較例
乳化剤を変化させて表1の対照組成物を試験する。乳化剤1はセチルPEG/PPG−10/1ジメチコーン/ポリグリセリル−4イソステアラート/ヘキシルラウラート(Abil WE−09、本発明の乳化剤)であり、乳化剤2はセチルPEG/PPG10/ジメチコーン(Abil EM−90)であり、乳化剤3はシクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG−18/18(DC5225C)である。4サンプルを作成する。組成物Aは1%の乳化剤1を含有し(本発明の組成物)、組成物Bは1%の乳化剤1および6%の乳化剤2を含有し、組成物Cは1%の乳化剤1および15%の乳化剤3を含有する。
【表4】

【0042】
上記表4の結果からわかるように、1%の乳化剤しか含まない本発明の組成物は不安定な低粘性エマルジョンを生じさせる。該エマルジョンは、良好な感触、良好な被覆性および撹拌時の安定性という所望の特性を示す。対照的に、安定な組成物を作り出すために十分な乳化剤の組み合わせを含む組成物Bは、その高い粘性のせいで、所望の感触を提供しない。さらに、組成物C中の異なる組み合わせの乳化剤では不安定な組成物が得られ、該組成物は、撹拌時に安定せず、皮膚を均一に被覆せず、油性でありしたがって望ましくない感触を有する。
【0043】
理解すべきことは、本明細書中で例証および記載されている本発明の具体的形式は代表例でしかないと意図されることである。開示内容の明瞭な教示から逸脱することなく、例証されている実施形態には、本明細書中で示唆されている変更を含むがそれらに限定されない変更を施してよい。したがって、本発明の全範囲を決定するには、特許請求の範囲を参照すべきであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌時に安定化される低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物であって、以下の成分を含む組成物:
揮発性溶媒;
該組成物内に分散されている水相;
少なくとも1種のシリコーンフィルム形成性ポリマー;および
少なくとも1種の乳化剤。
【請求項2】
シリコーンフィルム形成性ポリマーが、ジメチコーン/シリラートイソドデカンおよびポリ(ジメチルシロキサン)−g−ポリ(イソブチルメタクリラート)から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
乳化剤が、セチルPEG/PPG−10/ジメチコーン、ならびにセチルジメチコーンコポリオール、ポリグリセリル4−イソステアラートおよびラウリン酸ヘキシルの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
揮発性溶媒が、揮発性ジメチコーン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタン(isoctane)、シクロメチコーン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
スプレー可能なメイクアップ組成物を提供するためのキットであって、以下の成分を含むキット:
スプレー塗布器;および
請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
スプレー塗布器がスプレーガンであり、空気圧縮機に取り付けられている空気ポンプを含み、スプレーガンが組成物を皮膚にスプレーできるようになっている、請求項5に記載のキット。
【請求項7】
シリコーンフィルム形成性ポリマーが、ジメチコーン/シリラートイソドデカンおよびポリ(ジメチルシロキサン)−g−ポリ(イソブチルメタクリラート)から選択される、請求項5に記載のキット。
【請求項8】
乳化剤が、セチルPEG/PPG−10/ジメチコーン、ならびにセチルジメチコーンコポリオール、ポリグリセリル4−イソステアラートおよびラウリン酸ヘキシルの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載のキット。
【請求項9】
揮発性溶媒が、揮発性ジメチコーン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタン、シクロメチコーン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項5に記載のキット。
【請求項10】
すじ(line)およびしわ(wrinkle)の見た目を軽減する方法であって、以下の成分を含む低粘性組成物を皮膚に塗布するステップを含む方法:
少なくとも1種のシリコーンフィルム形成性ポリマー;
乳化剤;
少なくとも1種の揮発性溶媒;および
水。
【請求項11】
シリコーンフィルム形成性ポリマーが、ジメチコーン/シリラートイソドデカンおよびポリ(ジメチルシロキサン)−g−ポリ(イソブチルメタクリラート)から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
乳化剤が、セチルPEG/PPG−10/ジメチコーンの混合物、ならびにセチルジメチコーンコポリオール、ポリグリセリル4−イソステアラートおよびラウリン酸ヘキシルの混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
揮発性溶媒が、揮発性ジメチコーン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタン、シクロメチコーン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
スプレーガン、ブラシ、スポンジおよび手からなる群から選択される塗布器で組成物を塗布する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
組成物が撹拌によって安定化されるまで不安定である、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
乳化剤が1600cps以下の粘性を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
スキンケア組成物をヒト皮膚に塗布するためのシステムであって、以下の成分を含むシステム:
撹拌によって安定化される低粘性の不安定なシリコーン中水型エマルジョン化粧用組成物であって、以下の成分を含む組成物:
揮発性溶媒;
水;
少なくとも1種のシリコーンフィルム形成性ポリマー;および
乳化剤;ならびに
組成物を皮膚に塗布するための塗布器。
【請求項18】
シリコーンフィルム形成性ポリマーが、ジメチコーン/シリラートイソドデカンおよびポリ(ジメチルシロキサン)−g−ポリ(イソブチルメタクリラート)から選択される、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
乳化剤が、セチルPEG/PPG−10/ジメチコーン、ならびにセチルジメチコーンコポリオール、ポリグリセリル4−イソステアラートおよびラウリン酸ヘキシルの混合物からなる群から選択される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
揮発性担体が、揮発性ジメチコーン、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソエイコサン、イソオクタン、シクロメチコーン、およびその混合物からなる群から選択される、請求項17に記載のシステム。
【請求項21】
塗布器がスプレーガンである、請求項17に記載のシステム。

【公表番号】特表2009−500450(P2009−500450A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521427(P2008−521427)
【出願日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/025630
【国際公開番号】WO2007/008458
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(508008728)メイク−アップ アート コスメティクス インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】