説明

低級アルカンのカルボン酸およびニトリルへの転化のための改良された接触(アンモ)酸化方法

【課題】低級アルカンのカルボン酸およびニトリルへの転化のための改良された接触(アンモ)酸化方法
【解決手段】超臨界流体の存在下における、1以上のC〜Cアルカンの、1以上の(アンモ)酸化生成物、たとえば不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルへの転化のための、改良された一段階接触(アンモ)酸化方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界流体の存在下における、不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルをはじめとする1以上の(アンモ)酸化生成物への、1以上のC〜Cアルカンの転化についての改良された一段階(single−step)接触(アンモ)酸化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
不飽和カルボン酸、たとえばアクリル酸およびメタクリル酸は、様々な合成樹脂、コーティング物質、および可塑剤用の出発物質として工業的に重要である。ニトリル、たとえばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルは、繊維、合成樹脂、合成ゴムなどの調製のための工業的に重要な中間体である。このような不飽和カルボン酸およびニトリルは、低級(すなわちC〜C)アルカンおよびアルケン、たとえばプロパン、プロペン、ブタン(たとえばn−およびイソ−ブタン)、ブテン(たとえば1−、2−、およびイソ−ブテン)、ペンタン、およびペンテンの接触(アンモ)酸化によって生成することができる。
【0003】
アクリル酸の生成に現在実施されている商業的方法は、適切な混合金属酸化物触媒の存在下、2段階不均一接触蒸気相酸化反応におけるプロペンの転化を伴う。同様に、ニトリルを生成するための最も一般的な方法は、C〜Cアルケン、たとえばプロペンまたはイソブテンを、アンモニアおよび酸素とともに、適切な混合金属酸化物触媒の存在下、不均一蒸気相酸化反応に付すものである。大部分の場合、これらの方法において使用される触媒配合物は、触媒供給業者らが独自に開発したものであるが、この技術は十分に確立されている。
【0004】
対応するC〜Cアルケン(たとえばプロペンおよびイソブテン)と比較して、C〜Cアルカン(たとえばプロパンおよびイソブタン)の価格がより低いことを考えて、炭化水素出発物質として、より安価なC〜Cアルカンを使用した、不均一接触蒸気相(アンモ)酸化反応による、不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルの生成についての、触媒および方法の開発に注意が向けられてきた。たとえば、48%までの収率で、アクリル酸へのプロパンの一段階部分酸化を触媒することができる触媒(米国特許第5,380,933号参照)が開発されており、改良が続けられている。
さらには、酸化方法それ自体へのいくつかの洗練方法が開発されており、この酸化方法へのさらなる改良が産業界によって求められ、歓迎され続けている。たとえば、追加の反応体、たとえば分子酸素および/または蒸気、ならびに不活性物質、たとえば窒素および二酸化炭素を包含する追加の出発物質を、一段階酸化方法へ供給される炭化水素出発物質とともに、希釈剤または熱調節剤として作用させるように含めることが知られている。
【0005】
最近、炭化水素の酸化方法における反応媒体としての超臨界流体の使用が開発されて、ある程度の成功を収めている。超臨界流体は、液体様密度および気体様拡散率を有する。超臨界流体媒体、たとえば超臨界二酸化炭素、水、またはエタン中の、炭化水素から酸素化物を生成する不均一接触蒸気相酸化反応の実施により、より良好な酸素化物の選択率および収率を生じ、より少ない触媒損傷をともなう結果になることがあると証明されている。超臨界二酸化炭素は、超臨界流体について特に環境に優しい選択であると認められている。Kerler,B.ら、「Partial oxidation of propane in compressed carbon dioxide using CoO/SiO catalysts」、Applied Catalysis A:General 220、Elsevier Science B.V.、(2001)243−252参照。特に、Kerler,B.らは、連続およびバッチ反応方法におけるプロパンの部分酸化のために、超臨界二酸化炭素中にCoO/SiO触媒を使用した。Kerler,B.らは、超臨界流体媒体が、より良好な熱伝達を与え、これによって触媒「ホットスポット」の発生を減少させ、物質移動に改良を与え、これにより、触媒表面からこれらの生成物をより効率的に除去することによって、部分酸化生成物の過剰酸化を防ぐことを理論化した。しかしながら、Kerler,B.らによって報告された部分酸化生成物は主として、プロペンおよびメタノールを含み、アセトアルデヒドおよびアクロレインへの選択率がより小さく(たとえばそれぞれ、一般に5.3%未満)、およびアクリル酸、アセトン、酢酸、およびプロパノールへの選択率がはるかに小さい(たとえば集合的に4.4パーセント以下)。
【0006】
超臨界二酸化炭素を使用したプロパンの部分酸化に関して、追加の報告書が発行されている。たとえばKerler,B.ら、「Partial oxidation of alkanes to oxygenates in supercritical carbon dioxide」、Catalysis Today 61、Elsevier Science B.V.、(2000)9−17、およびMartin,A.ら、「Partial Oxidation of Propane Using Dense Carbon Dioxide」、Chem.Eng.Technology 24、Wiley−VCH Verlag GmbH、(2001年)41−44、および「the partial oxidation of isobutane using supercritical conditions」、たとえばFan,L.ら、「Air oxidation of supercritical phase isobutene to tert−butyl alcohol」、Chem.Commum.(1997年)1179−1180、およびFan,L.ら、「Reaction phase effect on tertiary butyl alcohol synthesis by air oxidation of isobutene」、Applied Catalysis A:General 158、Elsevier Science B.V.,(1997年)L41−L46を参照せよ。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,380,933号明細書
【非特許文献1】Kerler,B.ら、「Partial oxidation of propane in compressed carbon dioxide using CoOx/SiO2 catalysts」、Applied Catalysis A:General 220、Elsevier Science B.V.、(2001)243−252
【非特許文献2】Kerler,B.ら、「Partial oxidation of alkanes to oxygenates in supercritical carbon dioxide」、Catalysis Today 61、Elsevier Science B.V.、(2000)9−17
【非特許文献3】Martin,A.ら、「Partial Oxidation of Propane Using Dense Carbon Dioxide」、Chem.Eng.Technology 24、Wiley−VCH Verlag GmbH、(2001年)41−44
【非特許文献4】Fan,L.ら、「Air oxidation of supercritical phase isobutene to tert−butyl alcohol」、Chem.Commum.(1997年)1179−1180
【非特許文献5】Fan,L.ら、「Reaction phase effect on tertiary butyl alcohol synthesis by air oxidation of isobutene」、Applied Catalysis A:General 158、Elsevier Science B.V.,(1997年)L41−L46
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記発見および研究にもかかわらず、超臨界条件下、不均一接触部分酸化を実施することによる、炭化水素出発物質(たとえば、プロパンおよびブタンを包含するアルカン)からの不飽和カルボン酸(たとえばアクリル酸およびメタクリル酸)または不飽和ニトリル(たとえばアクリロニトリルおよびメタクリルニトリル)の有意量を、成功裏に生成することについての報告はないように思われる。化学産業は、不飽和カルボン酸およびニトリルを包含する貴重な部分(アンモ)酸化生成物への、1以上のC〜Cアルカンの転化のための(アンモ)酸化方法の収率を増すためのさらなる改良を歓迎するであろう。本発明は、超臨界条件および適切な部分(アンモ)酸化触媒を使用することによって、このような改良された方法を提供すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は概して、1以上の(アンモ)酸化生成物を生成するための、1以上のC〜Cアルカンの一段階接触(アンモ)酸化方法であって、1以上の反応帯域を提供し、これらの帯域の各々が、一段階(アンモ)酸化反応を触媒することができる1以上の触媒を含む方法であって、(a)1以上の反応帯域へ少なくとも1つの超臨界流体を供給する工程;(b)1以上の反応帯域の各々を、少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに十分な温度および圧力に維持する工程;(c)1以上のC〜Cアルカンを、1以上の反応帯域の少なくとも1つへ供給する工程;および(d)1以上のC〜Cアルカンと、少なくとも1つの触媒とを接触させて、1以上の(アンモ)酸化生成物を形成する工程を含む方法に関する。
【0010】
本発明の方法の特定の実施態様において、1以上の触媒の少なくとも1つが、実験式:
MoVNb
(式中、Xは、Cr、P、Te、およびSbからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;Zは、W、Cr、Ta、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、Y、希土類元素、およびアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;a、b、c、d、およびnは、それぞれV、Nb、X、Z、およびOのモル比を表し、0.1≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、かつnは、その他の元素の酸化状態によって決定される)
を有する混合金属酸化物を含む。
【0011】
より詳しくは、1以上の(アンモ)酸化生成物が、不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を含み、超臨界流体が、二酸化炭素、水、アンモニア、プロパン、プロペン、i−ブタン、またはi−ブテンからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。
【0012】
特定の実施態様において、超臨界流体は二酸化炭素を含み、1以上のC〜Cアルカンが少なくともプロパンを含み、1以上の(アンモ)酸化生成物が、少なくとも(メタ)アクリル酸を含む。他の特定の実施態様において、本発明の方法はさらに、1以上の反応帯域へアンモニアを供給する工程も含み、少なくとも1つの超臨界流体が二酸化炭素を含み、1以上のC〜Cアルカンが少なくともプロパンを含み、1以上の(アンモ)酸化生成物が、少なくともアクリロニトリルを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルをはじめとする1以上の(アンモ)酸化生成物を生成するための、少なくとも1つの超臨界流体の存在下、1以上のC〜Cアルカンの一段階接触(アンモ)酸化についての改良された方法を提供する。
【0014】
本明細書において用いられている「(アンモ)酸化」という用語は、酸化およびアンモ酸化反応を包含し、本明細書において用いられている「酸化」という用語は、酸化および部分酸化の両方を包含することを意図する。本明細書において用いられている「(アンモ)酸化生成物」という用語は、特定の出発物質および選択された反応条件に応じて、酸化、部分酸化、およびアンモ酸化反応の生成物を意味し、これらを包含することを意図する。
【0015】
一般に本発明の方法は、1以上の反応帯域であって、各々が、1以上の(アンモ)酸化生成物を生成するために、1以上のC〜Cアルカンの(アンモ)酸化を触媒することができる1以上の触媒を含む帯域を提供する工程を含む。この方法はさらに、1以上のC〜Cアルカン、少なくとも1つの超臨界流体、および、任意に、酸素含有ガス、および/またはアンモニアを含む適切な出発物質を、1以上の反応帯域へ供給する工程、および1以上の反応帯域の各々を、少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに十分な温度および圧力に維持する工程も包含する。以後でさらに詳細に説明されるように、1以上のC〜Cアルカンはまた、超臨界流体としてもふるまうことができる。本発明による方法は、1以上の(アンモ)酸化生成物を生成するための、1以上の触媒および超臨界流体の存在下で、1以上のC〜Cアルカンを(アンモ)酸化する追加の工程を含む。1以上の(アンモ)酸化生成物は、不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を含む。
【0016】
本発明の方法は、バッチプロセスまたは連続プロセスとして操作することができ、これらの用語は関連技術分野における当業者によって理解されるところに従う。1以上の反応帯域および少なくとも1つの超臨界流体を含むのに適した1以上の反応容器の選択もまた、関連技術分野における当業者の知識および能力の十分な範囲内にある。たとえば非限定的に、本発明の方法をバッチ式に操作することが望まれる場合、撹拌されたバッチオートクレーブが適切であろうし、連続プロセスが望まれる場合、連続フローリアクターが適切であろう。どちらの場合も、適切な反応容器は、少なくとも1つの超臨界流体を、超臨界流体をこれらの超臨界状態に維持するのに十分な温度および圧力の範囲内に、安全に保持することができ、かつ含むことができるものでなければならないことに注意する。このような反応容器は、様々な化学方法の産業源から商品として入手することができる。さらには、本発明の方法が連続プロセスとして設計される場合、これは、単一パスモード(新鮮な供給物だけがリアクターへ供給される)で、または再循環モード(リアクター流出物の少なくとも一部分が、リアクターに戻される)で実施することができる。
【0017】
さらには本発明によれば、本発明の方法は、1以上の反応容器であって、これらの各々が1以上の反応帯域を含むことができる反応容器を使用することができる。1以上の反応帯域の各々は、少なくとも1つの適切な触媒を含み、触媒は、希釈してもよく、または希釈しなくともよく、これは当該技術分野における当業者によく知られている。
【0018】
本発明の方法に関連した使用に適した触媒は、1以上の(アンモ)酸化生成物、たとえば不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルを生成するための、1以上のC〜Cアルカンの(アンモ)酸化反応を触媒することができる触媒である。たとえば非限定的に、モリブデンおよびバナジウムを含む混合金属酸化物触媒(以後、「Mo/V−ベースの触媒」)は、このような反応に対して特に活性があり、かつ選択性があることが知られているが、上記(アンモ)酸化反応を触媒することができる唯一の触媒ではない。
【0019】
より詳しくは、たとえば非限定的に、本発明の方法への使用に適した触媒は、次いで次の基本的実験式:
MoVNb
(式中、Xは、Cr、P、Te、およびSbからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;Zは、W、Cr、Ta、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、Y、希土類元素、およびアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;a、b、c、d、およびnは、それぞれV、Nb、X、Z、およびOのモル比を表し、0.1≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、かつnは、その他の元素の酸化状態によって決定される)
を有する混合金属酸化物を含む触媒を包含する。他の適切な触媒としては、これらに限定されないが、上記触媒の変形例である混合金属酸化物触媒が挙げられる。追加の適切な触媒としては、これらに限定されないが、次の特許文献(これらの各々は、参照して本明細書に組み込まれる)のいずれか1つに開示されている触媒が挙げられる:米国特許第5,498,588号、第5,675,057号、第5,693,857号、第5,696,047号、第6,383,978号、第6,403,525号、第6,407,031号、第6,407,280号、第6,461,996号、第6,472,552号、第6,504,053号、第6,589,907号、第6,624,111号、第6,642,174号、および第6,646,158号。
【0020】
一般に、本発明の一段階(アンモ)酸化方法に関連した使用に適した出発物質は、これらに限定されないが、1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物、少なくとも1つの超臨界流体、および任意に、アンモニアを含む。適切な出発物質はまた任意に、蒸気、酸素含有ガス、および希釈材料を含むことができる。
【0021】
本明細書において用いられている「1以上のC〜Cアルカン」という用語は、1アルカン分子あたり3〜5個の炭素原子を有する、1以上の直鎖または分岐鎖アルカン、たとえばプロパン、ブタン、およびペンタンを意味する。「1以上のC〜Cアルケン」という用語は、1アルケン分子あたり3〜5個の炭素原子を有する、1以上の直鎖または分岐鎖アルケン、たとえばプロペン、ブタンおよびペンテンを意味する。本明細書に用いられている「1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物」という用語は、1アルカン分子あたり3〜5個の炭素原子を有する1以上の直鎖または分岐鎖アルカン、および1アルケン分子あたり3〜5個の炭素原子を有する、対応する直鎖または分岐鎖アルケンの1以上を含む混合物、たとえば非限定的に、プロパンとプロペンとの混合物、またはn−ブタンとn−ブテンとの混合物などを意味する。
【0022】
本発明に関連した使用のための出発物質として選択される特定の1以上のC〜Cアルカンは、当然ながら特定の所望の1つまたは複数の(アンモ)酸化生成物に依存するであろう。たとえばプロパンまたはイソブタンが出発物質アルカンとして使用される場合、アクリル酸またはメタクリル酸が、それぞれ良好な収率で得られるであろう。
【0023】
出発物質として使用される1以上のC〜Cアルカンの純度は、特に限定されているわけではなく、低級アルカン、たとえばメタンまたはエタン、空気または二酸化炭素を不純物として含有する1以上のC〜Cアルカンを、なんら特別な問題なく使用することができる。さらには、出発物質のアルカンは、様々なアルカンの混合物であってもよい。同様に、1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物が出発物質として使用される場合、出発物質混合物の純度は、特に制限されるわけではなく、低級アルケンたとえばエテン、低級アルカンたとえばメタンまたはエタン、空気または二酸化炭素を不純物として含有するアルカンとアルケンとの混合物を、なんら特別な問題なく使用することができる。さらには、出発物質混合物は、様々なアルカンとアルケンとの混合物であってもよい。
【0024】
1以上のC〜Cアルカン源には制限がない。これらはそれ自体で、または、上記のようなアルケンおよび/または他の不純物との混合物で、購入することができる。さらには、源にかかわらず、1以上のC〜Cアルカンと、源にかかわらず、1以上のC〜Cアルケンとを、所望によりブレンドすることができる。たとえば非限定的に、1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物において、1以上の対応するC〜Cアルケンが、少なくとも0.1容量%の量、少なくとも1.0容量%〜99容量%、または3容量%〜90容量%の量で存在してもよい。
【0025】
一般に、および本発明のこの説明の目的として、「超臨界流体」という用語が使用され、物質の臨界温度(T)および臨界圧力(P)またはそれ以上の状態にある物質を意味する。超臨界流体化学の分野に従事する人々に知られているように、既にその臨界温度以上にある気相物質の圧力を等温的に増加させると、超臨界流体を生成する。同様に、既にその臨界圧力以上にある液相物質の温度を等圧的に増加させると、超臨界流体を生成する。このような超臨界流体は、気体および液体の両方の特性を示し、従って時々、様々な化学反応およびプロセスに有利に使用される。本発明の方法において、超臨界流体は、1以上の(アンモ)酸化生成物を生成するために、1以上のC〜Cアルカンの一段階接触(アンモ)酸化用反応媒体として有利に使用される。たとえば非限定的に、超臨界二酸化炭素、水、アンモニア、プロパン、プロペン、i−ブタン、またはi−ブテンが、本発明の方法に関連した超臨界流体としての使用に適するであろう。本発明の目的のためには、1以上の反応体出発物質、たとえば1以上のC〜Cアルカンを、その超臨界状態で供給し、1以上の反応帯域へ供給することができ、これによって、本発明に従って、反応体の1以上、ならびに超臨界流体の両方としてふるまう。超臨界二酸化炭素(T=304K(31℃)およびP=7.37MPa(1069psia))は、実質的に不活性な性質および他の環境に優しい特徴から考えて、超臨界流体として使用するのに特に適している。
【0026】
超臨界流体の性質および源には特別な制限はない。ただしこれは、最も多くの場合、当初から非超臨界条件において入手し、次いで、本発明の方法の1以上の反応帯域へ供給する前に、超臨界状態を得るために、必要に応じて加熱または加圧する。さらには超臨界流体は、1以上の反応帯域に直接供給することができることに注意する。代替的に、超臨界流体を、他の出発物質、たとえば1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物と混合またはブレンドし、ブレンドした超臨界流体供給物ストリームを形成することができ、次いでこれを、1以上の反応帯域へ供給する。本発明の(アンモ)酸化方法へ供給する二酸化炭素の全部または一部分を、(アンモ)酸化方法の下流ユニットから再循環させることができ、またはこれを、他の関連または非関連プロセスから得ることができ、またはこれを購入し、他のプロセスとは独立して供給することができる。
【0027】
以後にさらに詳細に考察されるように、1以上のC〜Cアルカンからの不飽和ニトリルの生成が望まれる場合、出発物質はまた、1以上のC〜Cアルカンおよび超臨界流体に加えてアンモニアを含有しなければならない。アンモニアは、1以上のC〜Cアルカンおよび超臨界流体のどちらかまたはその両方から別々に、または少なくとも一部これらとブレンドして、1以上の反応帯域へ供給することができる。
【0028】
本発明の方法の(アンモ)酸化反応の詳細なメカニズムは、明確に理解されているわけではないが、(アンモ)酸化反応は、1以上の反応帯域の各々において1以上の触媒中に存在する酸素原子によって、または出発物質中に存在する分子酸素によって実施される。分子酸素を(アンモ)酸化プロセスへ供給することが望まれる場合、酸素含有ガス、たとえば空気を、1以上の反応帯域へ供給する出発物質の中に含むことができる。
【0029】
本明細書において用いられている「酸素含有ガス」という用語は、0.01%〜100%までの酸素を含む任意のガス、たとえば純粋酸素ガス、オゾンガス、および空気、ならびに酸素および/またはオゾンと1以上の他のガス、たとえば窒素、アルゴン、およびヘリウムとのブレンドを意味する。「酸素含有ガス」の他の例としては、これらに限定されないが、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO)、および亜酸化窒素(NO)、ならびに1以上の他のガス、たとえば酸素、オゾン、窒素、アルゴン、およびヘリウムとこれらとのブレンドが挙げられる。純度は特に要求されないので、本発明の方法のための出発物質中の酸素含有ガスとして空気を使用することが適切であり、最も経済的であることが多い。
【0030】
たとえば、不飽和カルボン酸が所望の(アンモ)酸化生成物であり、出発物質の中に分子酸素を含めることが望まれる場合、1以上の反応帯域の各々へ供給される出発物質の割合は、たとえば次のとおりであってもよい。すなわち、1以上の反応帯域の各々へ供給される出発物質の総容積を基準にして、0.1容量%〜50容量%、たとえば1容量%〜25容量%の量である、1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物;0容量%〜95容量%、たとえば10容量%〜90容量%の量である超臨界流体;0.1容量%〜50容量%、たとえば1容量%〜25容量%の量である酸素;および0容量%〜50容量%、たとえば5容量%〜25容量%の量である水(蒸気)である。
【0031】
不飽和ニトリルが所望の(アンモ)酸化生成物であり、分子酸素を出発物質中に含めることが望まれる場合、1以上の反応帯域の各々へ供給される出発物質の割合は、たとえば非限定的に次のとおりであってもよい:すなわち、1以上の反応帯域の各々へ供給される出発物質の総容積を基準にして、0.1容量%〜50容量%、たとえば1容量%〜25容量%の量である1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物;0容量%〜95容量%、たとえば10容量%〜90容量%の量の超臨界流体;1容量%〜50容量%、たとえば1容量%〜25容量%の量であるアンモニア;0.1容量%〜50容量%、たとえば1容量%〜25容量%の量である酸素;および0容量%〜50容量%、たとえば5容量%〜25容量%の量である水(蒸気)である。
【0032】
少なくとも1つの超臨界流体とともに、しかし酸素含有ガスを用いずに(換言すれば、実質的に分子酸素の不存在下に)、本発明による(アンモ)酸化プロセスのための出発物質として、1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物のみを使用することも可能である。このような場合、各反応帯域の1以上の触媒の少なくとも一部分が、各反応帯域から時々適切に引き出され、次いで酸化再生器に送られ、再生され、次いで再使用のために反応帯域に戻される触媒再生方法を採用することが好ましい。たとえば、触媒再生は、酸化性ガス、たとえば酸素、オゾン、空気、または酸化窒素と触媒とを、再生器において通常300℃〜600℃(573〜873K)の温度で接触させる工程を含むことができる。
【0033】
当然ながら、本発明の(アンモ)酸化方法において、供給ガス中の炭化水素(すなわちC〜Cアルカン)および酸素濃度が、1以上の反応帯域の各々の中において、または特に1以上の反応帯域の各々の出口において引火性領域(flammable regime)に入るのを最小限にするかまたは避けるのに適切なレベルに維持されることが重要である。一般に、出口の酸素レベルは、(アンモ)酸化生成物の後燃えを最小限にするため、および特に再循環モードの操作において、再循環された気体流出物ストリーム中の酸素の量を最小限にするためのどちらのためにも、低くすることが好ましい。さらには反応帯域温度の各々を低温(たとえば450℃(723K)未満)に維持することは、非常に魅力的であるが、その理由は、(アンモ)酸化生成物の後燃えがそれほど問題ではなくなり、これによって、所望の(アンモ)酸化生成物へのより高い選択率の達成を可能にするからである。本発明の方法への使用に適した触媒は典型的に、上記のより低い温度範囲においてより効率的に操作され、副生物としての酢酸および酸化炭素の形成を有意に減少させ、所望の(アンモ)酸化生成物、たとえばアクリル酸への選択率を増加させる。
【0034】
空間速度および酸素分圧を調節するための希釈剤として、不活性物質、たとえば窒素、アルゴン、二酸化炭素、またはヘリウムも、たとえば出発物質の1つとして、1以上の反応帯域へ供給することができる。さらに、選択された超臨界流体が(アンモ)酸化反応に対して不活性(たとえば二酸化炭素はプロパンのアクリル酸への部分酸化に対して実質的に不活性である)である場合、選択された超臨界流体はまた、反応系中の希釈剤としても機能することができることに注意する。
【0035】
1以上のC〜Cアルカンからの不飽和カルボン酸の生成が望まれる場合、このプロセスへ供給される出発物質の中に蒸気を含めることが有用である。このような場合、反応系へ供給されるべき出発物質ガスとして、蒸気含有C〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの蒸気含有混合物、および酸素含有ガスを含むガス混合物が使用されることが多い。しかしながら前記蒸気含有アルカン、またはアルカンとアルケンとの前記蒸気含有混合物、および酸素含有ガスを、交互に(すなわち別々に)反応系へ供給することができる。使用されるべき蒸気は、反応系において蒸気ガス形態で存在してもよく、その導入方法は特に制限されているわけではない。
【0036】
蒸気が出発物質ガスとして、1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物とともに供給される場合、不飽和カルボン酸に対する選択率は明らかに改良され、不飽和カルボン酸は、単に1つの反応帯域における接触によって(すなわち1段階において)、良好な収率で、出発物質ガスとしての1以上のC〜Cアルカン、または1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物から得ることができる。しかしながら従来技術は、出発物質を希釈する目的で、希釈剤、たとえば窒素、アルゴン、二酸化炭素、またはヘリウムを利用する。選択された超臨界流体が、(アンモ)酸化反応に対して不活性である(たとえば二酸化炭素は、プロパンのアクリル酸への部分酸化に対して実質的に不活性である)場合、これはまた、反応系における希釈剤としても作用することができる。このような希釈剤を蒸気とともに使用して、様々なプロセス操作パラメーター、たとえばこれらに限定されないが、空間速度、酸素分圧、および蒸気分圧を調節することができる。
【0037】
さらには、希釈剤として、不活性物質、たとえば窒素、二酸化炭素、アルゴン、またはヘリウムを供給することができる。出発物質(アルカンまたはアルカンとアルケンとの混合物):(酸素):(希釈剤):(HO)のモル比は、1以上の反応帯域へ供給される出発物質の総モルを基準にして、適切には(1):(0.1〜10):(0〜20):(0.2〜70)であり、たとえば非限定的に(1):(1〜5.0):(0〜10):(5〜40)である。
【0038】
本発明の方法によれば、出発物質は、次のようにして1以上の反応帯域へ供給される。少なくとも1つの超臨界流体が、1以上の反応帯域へ供給され、各反応帯域が、その中に含まれている1以上の触媒と接触している超臨界流体を含む。1以上の反応帯域の各々は、従来のよく知られた手段、たとえば、これらに限定されないが、熱交換器、計量容器、および高圧ポンプ、および圧縮機を用いて、少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに十分な温度および圧力に維持される。少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに必要とされる特定の温度および圧力は、使用される特定の超臨界流体に依存するであろう。たとえば二酸化炭素が超臨界流体として使用される場合、必要とされる温度は、少なくとも304K(31℃)であり、必要とされる圧力は、少なくとも7.37MPa(1069psia)であろう。ある一定の流体についての臨界温度および圧力点は、経験的に、または計算によって、または(純粋な非混合流体については)利用可能な情報源、たとえばCRCプレスによって出版されている「CRC Handbook of Chemistry and Physics」を調べて決定することができ、このような決定方法は当該技術分野において通常の知識を有している人々によく知られている。たとえばKerler,B.ら、「Partial oxidation of propane in compressed carbon dioxide using CoO/SiO catalysts」、Applied Catalysis A:General 220、Elsevier Science B.V.,(2001)243−252の246−247のところを参照のこと。
【0039】
超臨界流体の供給と同時に、または逐次的に、1以上のC〜Cアルカンが、1以上の反応帯域へ供給される。その時、1以上のC〜Cアルカンが、1以上の触媒と接触し、1以上の(アンモ)酸化生成物に転化する。既に上で考察されているように、1以上のC〜Cアルカンは、超臨界流体とは別に、これから独立して、臨界未満または超臨界条件下で別々の供給物ストリームとして供給することができ、またはこれらは、これらを1以上の反応帯域の少なくとも1つへ供給する前に、少なくとも部分的に互いにブレンドすることができる。さらには1以上のC〜Cアルカンは、超臨界条件で供給することができ、これによってこれらはまた、この方法のための超臨界流体としても役立つ。
【0040】
さらには、1以上のC〜Cアルカンは、1より多い反応帯域へ供給することができ、このような反応帯域は、互いに接触している必要もなく、隣接する必要もない。同様に、ニトリルを生成することが意図され、かつアンモニアが出発物質の中に含まれている場合、アンモニアは、超臨界流体および1以上のC〜Cアルカンとは別に、これから独立して、臨界未満または超臨界条件下で、別個の供給物ストリームとして供給することができ、またはアンモニアは、出発物質を1より多い反応帯域の少なくとも1つへ供給する前に、1以上のその他の出発物質と少なくとも一部ブレンドすることができる。さらにはアンモニアは、その他の出発物質とともに、またはこれらから独立して、1つ以上の反応帯域へ供給することができ、このような反応帯域は、互いに接触している必要もなく、隣接する必要もない。
【0041】
超臨界流体が反応体出発物質の中から選択されず、1以上のC〜Cアルカンが超臨界流体とは別に供給される場合、1以上のC〜Cアルカンを、1以上の反応帯域へ供給することができる。たとえば互いに直列に設計されている全部で3つの反応帯域が提供されている実施態様において、1以上のC〜Cアルカンは、最初の反応帯域および最後の(すなわち第三)反応帯域へ供給することができるであろう。あるいはまた、1以上のC〜Cアルカンは、第二反応帯域へのみ、または3つの反応帯域全部へ供給することができるであろう。上記考察はまた、アンモニアの1以上の反応帯域への供給にも当てはまる。
【0042】
さらには、超臨界流体は、少なくとも当初、超臨界流体が、1以上のC〜Cアルカンの供給と同時に、または以前に、1以上の反応帯域の各々へ供給され、超臨界流体が(アンモ)酸化反応用の反応媒体として利用可能であるかぎり、1以上の反応帯域の1つに、または複数の反応帯域に供給することができる。当然ながら、反応帯域の数および設計に関して、ならびに様々な出発物質が、ともにまたは互いに別々に、どの帯域へ供給されるかに関して、多くの変形例がある。このような変形例のすべては、当該技術分野における当業者の開発能力の範囲内にあり、各々のこのような変形例は、本発明の考察および範囲内にある。
【0043】
1以上の反応帯域の各々へ供給される出発物質の組成および割合は、本発明の効果を実現するために、互いに同じである必要はなく、実際、当該技術分野において通常のスキルを有する人々によって容易に理解され、決定可能であるように、互いに異なる必要があってもよいことに注意する。
【0044】
本発明の方法の一般的条件は、次のとおりである:すなわち、反応温度は、200℃〜700℃(473K〜973K)、たとえば非限定的に300℃〜400℃(573K〜673K)であってもよく;蒸気相反応におけるガス空間速度SVは通常、100〜10,000時−1、好ましくは300〜6,000時−1、より好ましくは300〜2,000時−1の範囲内にあり;触媒との平均接触時間は、0.01〜10秒以上であるが、通常、0.1〜10秒、好ましくは0.2〜6秒の範囲内にある。1以上の反応帯域の各々に適切な圧力範囲は、選択された超臨界流体の特性によって決定されるであろうし、当該技術分野において通常のスキルを有する人々によって決定可能である。単一パスモード方法において、酸素が、酸素含有ガス、たとえば空気から供給されることが好ましい。単一パスモード方法はまた、酸素ガスの添加を用いて実施することができる。再循環モード方法の実施において、酸素ガスはそれ自体、1以上の反応帯域における不活性ガスの蓄積を避けるための好ましい源である。
【0045】
本発明の第一実施態様を、ここでさらに詳細に記載する。この実施態様において、プロパン(1以上のC〜Cアルカンとして)、超臨界二酸化炭素(超臨界流体として)、および空気(酸素含有ガスとして)が、出発物質として供給され、プロパンが部分酸化されて、アクリル酸を生成する。この方法は、バッチプロセスまたは連続プロセスであってもよく、触媒を、反応系装置において固定床または流動床として含有してもよく、希釈されていても、希釈されていなくともよい。
【0046】
本発明の方法によるプロパンからのアクリル酸の生成において、1以上の反応帯域の各々へ供給される出発物質の割合は、適切には、1以上のC〜Cアルカンの1以上のカルボン酸への転化に適用される一般的な方法と関連して上記されているものと同じである。
【0047】
このプロセスへ供給されるべき空気の割合は、アクリル酸を形成するための部分酸化反応の選択率にとって重要であり、これは通常、プロパン1モルあたり多くても25モル、好ましくは0.2〜18モルであり、これによってアクリル酸に対する高い選択率を得ることができる。他のC〜Cアルカン、たとえばイソブタンに関して、またはC〜Cアルカンと対応するC〜Cアルケンとの混合物、たとえばプロパンとプロペンに関して、供給ガスの組成は、プロパンについての条件に従って選択することができる。
【0048】
プロパンまたはイソブタンの、それぞれアクリル酸またはメタクリル酸への部分酸化についての上記のような、当該技術分野における当業者に知られる典型的な反応条件を、本発明に従って利用することができる。たとえば反応温度を、200℃〜700℃(473K〜973K)まで変化させることができ、通常、200℃〜550℃(473K〜823K)、より好ましくは250℃〜480℃(523K〜753K)、最も好ましくは300℃〜400℃(573K〜673K)の範囲内であり;蒸気相反応におけるガス空間速度SVは通常、100〜10,000時−1、好ましくは300〜6,000時−1、より好ましくは300〜2,000時−1の範囲内にあり;触媒との平均接触時間は、0.01〜10秒以上でありうるが、通常、0.1〜10秒、好ましくは0.2〜6秒の範囲内にあり;1以上の反応帯域の各々に適切な圧力範囲は、選択された超臨界流体の性質によって決定され、当該技術分野における当業者によって決定可能である。
【0049】
プロパンの部分酸化反応、および特にプロパンとプロペンの部分酸化反応が、本発明の方法によって実施される場合、一酸化炭素、二酸化炭素、酢酸などが、アクリル酸に加えて、副生成物として生成する場合がある。さらには本発明の方法において、不飽和アルデヒドが、時には反応条件に応じて形成する場合がある。たとえば、プロパンが出発物質混合物中に存在する場合、アクロレインが形成される場合があり;イソブタンが出発物質混合物中に存在する場合、メタクロレインが形成される場合がある。このような場合、このような不飽和アルデヒドは、上で考察されているように適切な酸化触媒、または不飽和アルデヒドについての従来の酸化反応触媒の存在下、これを再び接触酸化に付すことによって、所望の不飽和カルボン酸に転化することができる。
【0050】
本発明の方法の第二実施態様を、ここでより詳細に記載する。この実施態様において、プロパン(1以上のC〜Cアルカンとして)、超臨界二酸化炭素(超臨界流体として)、アンモニア、および空気(酸素含有ガスとして)が、出発物質として提供され、プロパンがアンモ酸化されて、アクリロニトリルになる。この反応系装置は、流動床または固定床接触リアクター系を含むことができる。
【0051】
不飽和ニトリル、たとえば、これらに限定されないが、アクリロニトリルの生成において、出発物質中の1以上のC〜Cアルカンとして、C〜Cアルカン、たとえばプロパン、ブタン、イソブタン、またはペンタンを使用することが好ましい。しかしながら生成されるべきニトリルの工業的用途から考えて、3または4個の炭素原子を有する低級アルカン、特にプロパンまたはイソブタンを使用することが特に有利である。
【0052】
同様に、出発物質中に、1以上のC〜Cアルカンと1以上の対応するC〜Cアルケンとの混合物を使用することが望まれる場合、C〜Cアルカンと対応するC〜Cアルケンとの混合物、たとえば非限定的に、プロパンとプロペン、ブタンとブテン、イソブタンとイソブテン、およびペンタンとペンテンとの混合物を使用することが好ましい。しかしながら、生成されるべきニトリルの工業的用途から考えて、3または4個の炭素原子を有する低級アルカンと3または4個の炭素原子を有する対応する低級アルケンとの混合物、たとえば非限定的にプロパンとプロペン、またはイソブタンとイソブテンとの混合物を使用することが特に有利である。好ましくはアルカンとアルケンとの混合物において、アルケンは、少なくとも0.1容量%、たとえば少なくとも1.0容量%〜99容量%、またはさらに3容量%〜90容量%の量において存在する。
【0053】
アンモ酸化反応のために供給されるべき空気の割合は、結果として生じるアクリロニトリルに対する選択率に関して重要である。たとえばアクリロニトリルに対する高い選択率は、空気が、プロパン1モルあたり多くても25モル、特に1〜15モルの範囲内で供給される場合に得られる。この反応のために供給されるべきアンモニアの割合は好ましくは、プロパン1モルあたり0.2〜5モル、特に0.5〜3モルの範囲内にある。反応圧力は、利用される特定の超臨界流体の性質によって決定され、当該技術分野において通常のスキルを有する人々によって容易に決定可能である。他のC〜Cアルカン、たとえばイソブタン、またはC〜Cアルカンと対応するC〜Cアルケンとの混合物、たとえばプロパンとプロペンとに関して、供給ガスの組成は、プロパンに対する条件に従って選択することができる。
【0054】
上で考察されたような本発明に従って、プロパンからのアクリロニトリルのこの生成方法は、たとえば250℃〜600℃(523K〜873K)、たとえば350℃〜550℃(623K〜823K)で実施することができる。気相反応におけるガス空間速度SVは通常、100〜10,000時−1、好ましくは300〜6,000時−1、より好ましくは300〜2,000時−1の範囲内にある。空間速度および酸素分圧を調節するための希釈剤として、不活性ガス、たとえば窒素、アルゴン、二酸化炭素、またはヘリウムを使用することができる。さらには、選択された超臨界流体は、(アンモ)酸化反応に対して不活性である(たとえば二酸化炭素は、プロパンのアクリル酸への部分酸化に対して実質的に不活性である)場合、これはまた、反応系において希釈剤としても機能することができることに注意する。プロパンのアンモ酸化が本発明の方法によって実施される場合、アクリロニトリルに加えて、一酸化炭素、二酸化炭素、アセトニトリル、シアン化水素酸、アクリル酸、およびアクロレインが、副生成物として形成する場合がある。
【0055】
本明細書において示された考察および記載は、本発明、その原理、およびその実際的用途を他の当業者に公示することを目的とする。それらの当業者は、特定の用途の必要条件に最もよく適合するように、本発明をその多くの形態において適合させ、応用することができる。従って、示されている本発明の具体的な実施態様は、網羅的なものではなく、本発明を限定するものでもない。従って本発明の範囲は、上記説明により決定すべきでなく、その代わり、添付されている特許請求の範囲を参照し、このような特許請求の範囲が権利を有する同等物の完全な範囲とともに決定されるべきである。
【実施例】
【0056】
次の実施例において使用するべき適した触媒を、米国特許第6,642,174号に開示されている合成手順と同様な方法で調製する。より詳しくは、公称組成:
Mo1.00.3Te0.23Nb0.17Pd0.01
の触媒を次のように調製する:すなわち、アンモニウムヘプタモリブデート四水和物(1.0M Mo)、アンモニウムメタバナデート(0.3M V)、およびテルル酸(0.23M Te)を含有する水溶液200mLを、これらの塩を70℃で水中に溶解して形成し、2000mLロータリーエバポレーター用(rotavap)フラスコに添加する。次いで、アンモニウムニオブオキサレート(0.17M Nb)、パラジウムニトレート水和物(0.01M Pd)、シュウ酸(0.155M)、および硝酸(0.24M)の水溶液200mLを、これに添加する。50℃および28mmHgで、温水浴でのロータリーエバポレーターによって水を除去した後、固体物質をさらに、真空オーブンにおいて25℃で一晩乾燥し、次いで焼成する。
【0057】
焼成は、次のようにして実施する。すなわち、固体物質を空気雰囲気中に入れ、次いでこれらを10℃/分で275℃に加熱し、これらを1時間空気雰囲気下に275℃に保持し;次いでこの雰囲気をアルゴンに変え、この材料を2℃/分で275℃から600℃に加熱し、この材料をアルゴン雰囲気下に2時間600℃に保持する。
【0058】
このようにして得られた触媒を、フリーザー/ミル(Freezer/Mill)(Spex CertiPrep(商標)からの6750型)で粉砕し、プレスし、リアクター評価のために14〜20メッシュ顆粒まで篩った。
【0059】
実施例1
上記のような本発明の1つの特定の実施態様に従って、超臨界二酸化炭素(CO)中の一段階接触部分酸化による、プロパンのアクリル酸への転化のためのバッチプロセスの一例を、次のように実施する。
【0060】
撹拌バッチオートクレーブリアクターが提供され、前記触媒(公称組成Mo1.00.3Te0.23Nb0.17Pd0.01)を、ワイヤバスケット中に充填し、オートクレーブリアクターの中に固定する。この触媒を、希釈して、または、希釈せずに使用する。
【0061】
出発物質のプロパンおよび超臨界COを、各々別々にオートクレーブリアクターへ供給する。必要とされる各々の分圧まで、プロパンをガスシリンダーから供給し、かつ超臨界COを低温保持装置およびHPLCポンプによって投与する。
【0062】
オートクレーブリアクターを、所望の反応温度に加熱する。次いで酸化反応を、規定された容積の計量管からリアクター中へ、所望量の空気(自然発生空気か、または約80%窒素と20%酸素との合成混合物)を圧抜きすることによって開始させる。
【0063】
バッチ反応は、圧力2MPa〜15MPa、反応時間1〜5時間、温度473〜723K、超臨界(CO):(空気):(プロパン)モル比=(90〜130):(2〜10):(1)で実施する。
【0064】
上記プロセスは、アクリル酸を包含する1以上の酸化生成物を生成する。
【0065】
実施例2
上記のような本発明の他の特定の実施態様に従って、超臨界二酸化炭素(CO)中の一段階接触酸化による、プロパンのアクリル酸への転化のための連続プロセスの一例を、次のように実施する。
【0066】
連続フローリアクターを提供し、これは、その中の固定床または流動床設計に、前記触媒(公称組成Mo1.00.3Te0.23Nb0.17Pd0.01)を含む。この触媒を、希釈して、または、希釈せずに使用する。
【0067】
出発物質の超臨界COおよびプロパンを、CO中に1%プロパンを含有するガスシリンダーから、低温保持装置を介してHPLCポンプによって、組合わされた液体供給物ストリーム中に投与する(すなわち連続フローリアクターへ供給する)。空気(自然発生空気か、または約80%窒素と20%酸素との合成混合物)を、組合わされた供給物ストリームから別々に、質量フロー制御器によって連続フローリアクターへ供給する。両方のストリームを予熱し、リアクターオーブンモジュールにおいて混合し、その後さらに、空気圧駆動されたマルチポートバルブを介して、バイパスまたはリアクターのどちらかを通して流す。一定の反応濃度を達成した後、マルチポートバルブをバイパスからリアクターモードに切り替えることによって反応を開始させ、従って出発物質をリアクターへ供給し、触媒と接触させる。生成物ストリームを、バルブによって圧抜きする。このバルブはまた、背圧調節器としても使用される。
【0068】
連続フロー反応を、圧力2MPa〜15MPa、滞留時間0.1〜5秒、温度473〜723K、および(CO):(空気):(プロパン)のモル比=(90〜130):(2〜10):(1)で実施する。
【0069】
上記プロセスは、アクリル酸を包含する1以上の酸化生成物を生成する。
【0070】
実施例3
上記のような本発明の1つの特定の実施態様に従って、超臨界二酸化炭素(CO)中の一段階接触部分酸化による、プロパンのアクリロニトリルへの転化のためのバッチプロセスの一例を、次のように実施する。
【0071】
撹拌バッチオートクレーブリアクターを提供し、前記触媒(公称組成Mo1.00.3Te0.23Nb0.17Pd0.01)を、ワイヤバスケット中に充填し、オートクレーブリアクターの中に固定する。この触媒を、希釈して、または、希釈せずに使用する。
【0072】
出発物質のプロパン、アンモニア、および超臨界COを、各々別々にオートクレーブリアクターへ供給する。プロパンをガスシリンダーから供給し、アンモニアおよび超臨界COを、必要とされる各々の分圧まで、低温保持装置およびHPLCポンプによって投与する。
【0073】
オートクレーブリアクターを、所望の反応温度に加熱する。次いで酸化反応を、規定された容積の計量管からリアクター中へ、所望量の空気(自然発生空気か、または約80%窒素と20%酸素との合成混合物)を圧抜きすることによって開始させる。
【0074】
バッチ反応を、圧力2MPa〜15MPa、反応時間1〜5時間、温度473〜823K、および超臨界(CO):(空気):(プロパン):(アンモニア)のモル比=(90〜130):(2〜10):(1):(1〜5)で実施する。
【0075】
上記プロセスは、アクリロニトリルを包含する1以上の(アンモ)酸化生成物を生成する。
【0076】
実施例4
上記のような本発明の他の特定の実施態様に従って、超臨界二酸化炭素(CO)中の一段階接触酸化による、プロパンのアクリロニトリルへの転化のための連続プロセスの一例を、次のように実施する。
【0077】
連続フローリアクターを提供し、これは、その中に、固定床または流動床設計中にある前記触媒(公称組成Mo1.00.3Te0.23Nb0.17Pd0.01)を含む。この触媒を、希釈して、または、希釈せずに使用する。
【0078】
出発物質の超臨界COおよびプロパンを、CO中に1%プロパンを含有するガスシリンダーから、低温保持装置を介してHPLCポンプによって、組合わされた液体供給物ストリーム中に投与する(すなわち連続フローリアクターへ供給する)。空気(自然発生空気か、または約80%窒素と20%酸素との合成混合物)およびアンモニアを、組合わされた供給物ストリームとは別々に、個々の質量フロー制御器によって連続フローリアクターへ供給する。これらのストリームを予熱し、リアクターオーブンモジュールにおいて混合し、その後さらに、空気圧駆動されたマルチポートバルブを介して、バイパスまたはリアクターのどちらかを通して流す。一定の反応濃度を達成した後、マルチポートバルブをバイパスからリアクターモードに切り替えることによって反応を開始させ、従って出発物質をリアクターへ供給し、触媒と接触させる。生成物ストリームを、バルブによって圧抜きする。このバルブはまた、背圧調節器としても使用される。
【0079】
連続フロー反応は、圧力2MPa〜15MPa、滞留時間0.1〜5秒、温度473〜823K、および(CO):(空気):(プロパン):アンモニアのモル比=(90〜130):(2〜10):(1):(1〜5)で実施する。
【0080】
上記プロセスは、アクリロニトリルを包含する1以上の(アンモ)酸化生成物を生成すると予想される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の(アンモ)酸化生成物を生成するための、1以上のC〜Cアルカンの一段階接触(アンモ)酸化方法であって、
1以上の反応帯域が提供され、該帯域の各々が、一段階(アンモ)酸化反応を触媒することができる1以上の触媒を含み、
該方法が
(a)1以上の反応帯域へ少なくとも1つの超臨界流体を供給する工程;
(b)1以上の反応帯域の各々を、少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに十分な温度および圧力に維持する工程;
(c)1以上のC〜Cアルカンを、1以上の反応帯域の少なくとも1つへ供給する工程;および
(d)1以上のC〜Cアルカンと少なくとも1つの触媒とを接触させて、1以上の(アンモ)酸化生成物を形成する工程
を含む方法。
【請求項2】
1以上の触媒の少なくとも1つが、実験式:
MoVNb
(式中、Xは、Cr、P、Te、およびSbからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;Zは、W、Cr、Ta、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、Y、希土類元素、およびアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;a、b、c、d、およびnは、それぞれV、Nb、X、Z、およびOのモル比を表し、0.1≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、かつnは、他の元素の酸化状態によって決定される)
を有する混合金属酸化物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1以上の(アンモ)酸化生成物が、不飽和カルボン酸および不飽和ニトリルからなる群から選択される少なくとも1つの生成物を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの超臨界流体が、二酸化炭素、水、アンモニア、プロパン、プロペン、i−ブタン、またはi−ブテンからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの超臨界流体と1以上のC〜Cアルカンとが、1以上の反応帯域への供給前に、少なくとも部分的に一緒にブレンドされる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
少なくとも1つの超臨界流体が、1以上のC〜Cアルカンを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
1以上の反応帯域へ酸素含有ガスを供給する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの超臨界流体が二酸化炭素を含み、1以上のC〜Cアルカンが少なくともプロパンを含み、1以上の(アンモ)酸化生成物が、少なくとも(メタ)アクリル酸を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
1以上の反応帯域へアンモニアを供給する工程をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの超臨界流体が二酸化炭素を含み、1以上のC〜Cアルカンが少なくともプロパンを含み、1以上の(アンモ)酸化生成物が、少なくともアクリロニトリルを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1以上のC〜Cアルカンの一段階接触部分酸化による、1以上の不飽和カルボン酸の生成方法であって、
1以上の反応帯域が提供され、該帯域の各々が、一段階部分酸化反応を触媒することができる1以上の触媒を含み、前記1以上の触媒の各々が、実験式:
MoVNb
(式中、Xは、Cr、P、Te、およびSbからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;Zは、W、Cr、Ta、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、Y、希土類元素、およびアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;a、b、c、d、およびnは、それぞれV、Nb、X、Z、およびOのモル比を表し、0.1≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、かつnは、他の元素の酸化状態によって決定される)
を有する混合金属酸化物を含み、
該方法が、
(a)1以上の反応帯域へ少なくとも1つの超臨界流体を供給する工程;
(b)1以上の反応帯域の各々を、少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに十分な温度および圧力に維持する工程;
(c)1以上のC〜Cアルカンを、1以上の反応帯域の少なくとも1つへ供給する工程; および
(d)1以上のC〜Cアルカンと少なくとも1つの触媒とを接触させて、1以上のカルボン酸を形成する工程
を含む方法。
【請求項12】
1以上のC〜Cアルカンが少なくともプロパンを含み、1以上のカルボン酸が、少なくとも(メタ)アクリル酸を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
1以上のC〜Cアルカンの一段階接触アンモ酸化による、1以上の不飽和ニトリルの生成方法であって、
1以上の反応帯域が提供され、該帯域の各々が、一段階アンモ酸化反応を触媒しうる1以上の触媒を含み、前記1以上の触媒の各々が、実験式:
MoVNb
(式中、Xは、Cr、P、Te、およびSbからなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;Zは、W、Cr、Ta、Ti、Zr、Hf、Mn、Re、Fe、Ru、Co、Rh、Ni、Pd、Pt、Ag、Zn、B、Al、Ga、In、Ge、Sn、Pb、P、Bi、Y、希土類元素、およびアルカリ土類元素からなる群から選択される少なくとも1つの元素であり;a、b、c、d、およびnは、それぞれV、Nb、X、Z、およびOのモル比を表し、0.1≦a≦1.0、0.01≦b≦1.0、0.01≦c≦1.0、0≦d≦1.0であり、かつnは、他の元素の酸化状態によって決定される)
を有する混合金属酸化物を含み、
該方法が、
(a)1以上の反応帯域へ少なくとも1つの超臨界流体を供給する工程;
(b)1以上の反応帯域の各々を、少なくとも1つの超臨界流体をその超臨界状態に保持するのに十分な温度および圧力に維持する工程;
(c)1以上のC〜Cアルカンを、1以上の反応帯域の少なくとも1つへ供給する工程;
(d)1以上の反応帯域の少なくとも1つへ、アンモニアを供給する工程;および
(e)1以上のC〜Cアルカンおよびアンモニアと、少なくとも1つの触媒とを接触させて、1以上の不飽和ニトリルを形成する工程
を含む方法。
【請求項14】
1以上のC〜Cアルカンが少なくともプロパンを含み、1以上の不飽和ニトリルが、少なくとも(メタ)アクリロニトリルを含む、請求項13に記載の方法。

【公開番号】特開2006−45225(P2006−45225A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2005−212323(P2005−212323)
【出願日】平成17年7月22日(2005.7.22)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】