説明

低誘電体膜の修復方法

【解決手段】低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置、システム、および、方法が開示されており、それらは、炭化水素基を有し、炭素欠乏した低誘電率材料を修復するよう構成された修復剤を特定することと、低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料が、低誘電率材料を実質的に修復する修復剤メニスカスに十分に曝露されるように、特定された修復剤メニスカスを低誘電体膜層に適用することと、を含む。修復された低誘電率材料は、低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、半導体基板処理に関するものであり、特に、加工作業中に損傷した半導体基板の低誘電体膜層を修復するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路(IC)のフィーチャ(形状特徴)は、この数十年の間に、サイズが縮小し続けており、ICチップの性能の驚異的な改善をもたらしてきた。これにより、チップデバイスの速度および密度が増大した。ICの電気信号速度は、個々のトランジスタの切替時間(トランジスタゲート遅延)およびトランジスタ間の信号伝搬時間(抵抗−容量遅延すなわちRC遅延)に依存する。フィーチャのサイズの縮小および密度の増加に伴って、RC遅延が、IC内での電気信号速度、ひいては、チップ性能に対して、より顕著な影響を及ぼすようになった。RC遅延は、抵抗を下げるために相互接続配線に導電性の高い金属を利用すること、および/または、静電容量を下げるために層間の誘電体層に低誘電率材料を利用すること、によって対処することができる。RC遅延の低減だけでなく、低誘電率材料は、電力消費の低減を可能にし、相互接続フィーチャの間の容量結合(クロストークとして知られる)を低減する。
【0003】
誘電率が2.5から4.0の間の誘電率を有するいくつかの低誘電率材料が利用可能である。低誘電率材料の誘電率は、炭素を低誘電率材料にドープすることによって、および/または、空孔の導入によって、さらに低減できる。しかしながら、空孔の導入は、特に、機械的強度、熱安定性、および、様々な基板層への接着性などの材料特性に影響することから新たな問題を生じる。これらの材料特性は、材料が、特に、化学機械研磨システム(CMP)など、さらなる基板処理の厳しさに耐えることができるか否かを左右する。
【0004】
時に材料特性が損なわれるために、フィーチャを分離する超低誘電率材料は、エッチング、剥離など、基板上にフィーチャを形成する際に用いられる様々な加工動作によって物理的および化学的に損傷されうる。例えば、剥離動作の際に、フィーチャの近くに形成された炭素系フォトレジスト層を剥離するために用いられる剥離プラズマが、低誘電率材料から炭素を欠乏させることによって、剥離プラズマに曝露される低誘電率材料を損傷しうる。低誘電率材料における炭素の欠乏は、低誘電体膜層の誘電率の増大を引き起こし、RC遅延の原因になる。
【0005】
以上から、基板上に形成されたフィーチャが保存されるように、あらゆる炭素欠乏した低誘電率材料を効果的に修復し、誘電体膜層の超低誘電率を回復させることが求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上述の要求を満たすために、基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための改良方法および装置を提供する。本発明は、装置および方法を含む種々の形態で実施できることを理解されたい。以下では、本発明の実施形態をいくつか説明する。
【0007】
一実施形態では、基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための方法が開示されている。この方法は、炭化水素基を有し、炭素欠乏した低誘電率材料を修復するよう構成された液剤を特定し、低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料が、低誘電率材料を実質的に修復する液剤メニスカスに十分に曝露されるように、特定された液剤メニスカスを低誘電体膜層に適用することを含む。修復された低誘電率材料は、低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す。
【0008】
別の実施形態では、基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置が開示されている。この装置は、基板を受けて支持するための基板支持装置と、基板の表面と近接ヘッドの対向する表面との間にガス剤メニスカスを受け入れて適用するよう構成された近接ヘッドとを備える。ガス剤メニスカスは、基板の表面の少なくとも一部を覆う領域内に実質的に閉じ込められる。ガス剤メニスカスの適用は、ガス剤メニスカスに対する基板の表面の等方的な曝露をもたらし、ガス剤メニスカスに曝露された炭素欠乏した低誘電率材料を実質的に修復する。修復された低誘電率材料は、低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す。
【0009】
本発明の別の実施形態では、基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置が開示されている。この装置は、基板を支持するよう構成された基板支持装置と、基板の表面と近接ヘッドの対向する表面との間にガス剤メニスカスを受け入れて適用するよう構成された近接ヘッドとを備える。ガス剤は、炭化水素基を含み、基板の表面の少なくとも一部を覆う領域内に実質的に閉じ込められる。ガス剤メニスカスの適用は、ガス剤に対する基板の表面の等方的な曝露をもたらし、ガス剤に曝露された炭素欠乏した低誘電率材料は実質的に修復される。修復された低誘電率材料は、低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す。基板支持装置は、基板の表面と近接ヘッドの対向する表面との間にガス剤メニスカスを実質的に維持するために、近接ヘッドの下で基板を移動させることが可能である。
【0010】
本発明の別の実施形態では、基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置が開示されている。この装置は、基板支持装置とブラシ装置とを備える。基板支持装置は、その上に配置された基板を支持するよう構成されており、ブラシ装置は、液剤を受けて基板の表面に供給するよう構成されている。液剤は、炭化水素基を含む。ブラシを通した液剤の供給は、液剤に対する基板の表面の均一な曝露をもたらし、液剤に曝露された炭素欠乏した低誘電率材料は実質的に修復される。修復された低誘電率材料は、低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す。基板支持装置およびブラシ装置は、基板の表面に曝露された実質的な量の液剤が低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料を修復できるように、基板およびブラシを互いに相対的に移動させるよう構成されている。
【0011】
本発明のその他の態様および利点については、本発明を例示した添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料を示す概略図。
【図1B】本発明の一実施形態において、フォトレジスト動作中に、形成されたフィーチャの周りの領域に形成された炭素系フォトレジスト層を示す概略図。
【図2A】本発明の一実施形態において、近接ヘッドを用いてガス剤を供給する装置を示す断面図。
【図2B】図2Aに示した高濃度ガス供給領域の拡大図。
【図2C】ガス剤/液剤を供給するための一対の傾斜ノズルを有する装置の一実施形態を示す図。
【図2D】垂直ノズルを用いる近接ヘッドを備えた図2Cの装置の別の実施形態を示す図。
【図2E】少なくとも1つの傾斜ノズルと1つの垂直ノズルとを有する近接ヘッドを備えた図2Cおよび図2Dの装置の別の実施形態を示す図。
【図3A】低誘電体膜層の組成構造を単純化して示す図。
【図3B】炭素欠乏した低誘電率材料の組成構造を単純化して示す図。
【図3C】炭素欠乏した低誘電率材料の組成構造を単純化して示す図。
【図3D】メチル基を含む低誘電体膜層の組成構造を単純化して示す図。
【図4A】本発明の一実施形態において、2つの近接ヘッドを用いて、制御剤を基板に供給する様子を示す断面図。
【図4B】図4Aに示した装置の別の実施形態を示す図。
【図4C】図4Aおよび4Bに示した装置の別の実施形態を示す図。
【図5】本発明の一実施形態において、近接ヘッドを用いて制御剤を供給するシステムを示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態において、炭素欠乏した低誘電体膜層を修復する処理に含まれる動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、基板の低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料の修復を改善および効率化するためのいくつかの実施形態について説明する。しかしながら、本発明が、これらの詳細の一部または全てがなくとも実施可能であることは、当業者にとって明らかである。また、本発明が不必要に不明瞭となることを避けるため、周知の処理動作の説明は省略した。
【0014】
低誘電体層の低い誘電率は、低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料を修復することによって回復できる。フィーチャサイズの縮小およびフィーチャ密度の増大という最近の技術的進歩の傾向によって、低誘電体膜層から炭素欠乏した低誘電率材料を除去することが課題となっている。炭素欠乏した低誘電率材料を除去するいくつかの方法は、炭素欠乏した低誘電率材料の近くに形成されたフィーチャへの損傷、下層の銅配線への損傷、または、低誘電体膜層へのより大きな損傷をもたらし、それにより、フィーチャを動作不能にする。しかし、炭素リッチな化学剤で炭素欠乏した低誘電率材料を慎重に処理することによって、低誘電率材料を大幅に修復し、修復された低誘電率材料が低誘電体膜層の特性とかなり同等の性質を示すように、修復された低誘電率材料の低誘電体特性を回復させることができる。
【0015】
低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料を慎重に処理することで、基板上に形成されるフィーチャ、ひいては、半導体製品(マイクロチップなど)の品質を保持することが可能になる。本発明の一実施形態において、低誘電体膜層に形成される炭素欠乏した低誘電率材料は、ガス剤を供給することによって修復される。ガス剤は、炭化水素基を含むと共に、炭素欠乏した低誘電率材料を修復するよう構成されるよう選択される。ガス剤は、低誘電体膜層における炭素欠乏した低誘電率材料が、ガス剤メニスカスに対して十分に曝露されることで、低誘電率材料が実質的に修復されるように、近接ヘッドを通してガス剤メニスカスとして低誘電体膜層に適用される。修復された低誘電率材料は、低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す。ガス剤を制御下で供給し曝露させることによって、ガス剤メニスカスからの炭素を、炭素欠乏した低誘電率材料に誘導して、低誘電率材料を実質的に修復することが可能になる。修復された低誘電率材料は、実質的に、低誘電体膜層の低誘電率特性を示す。
【0016】
図1Aは、低誘電体膜層領域の炭素欠乏した低誘電率材料部分を示す概略図である。図に示すように、低誘電体膜層110が、基板100上に形成されている。低誘電体膜層110は、スピンコーティング、ディップコーティングのいずれか、もしくは、化学蒸着技術によって形成される。低誘電体膜層の形成に用いられる材料は、SiCOH、多孔質SiCOHなどの内の1つであってよい。低誘電率材料は、炭素をドープされており、さらに誘電率を低くするために、複数のサブミクロン空孔が、低誘電率材料内に導入される。空孔は、周知の技術を用いて導入されてよいため、本明細書では詳細に説明しない。低誘電体膜層110は、基板表面の上、エッチング停止層などの事前に加工された層の上、または、複数の加工される層の間に、直接形成されてよい。低誘電体膜層110は、低誘電体膜層110内に形成された1または複数のフィーチャ、または、基板100上に形成されたトランジスタに接続する銅配線などの下層のフィーチャに対して、絶縁を提供する。低誘電体膜層を用いて基板上に形成されたフィーチャを隔離することは、フィーチャ間の結合容量を低減して回線遅延を低減する助けとなる。したがって、低誘電体膜層110の機能と、フィーチャ130および構造の機能とを保持するように、低誘電体膜層の特性を保持することが重要である。
【0017】
加工処理中に、さらなるフィーチャまたは構造を形成するために、1または複数の加工層が、低誘電体膜層110上に形成される。図1Bに示すように、フィーチャ130が、低誘電体膜層110を貫通して形成される。低誘電体膜層110およびフィーチャ130の上には、炭素系フォトレジスト層120が形成される。フォトレジスト層の蒸着に続くエッチング動作の際に、フィーチャ130またはその付近にある炭素系フォトレジスト層の一部を剥離するために用いられるエッチングプラズマが、エッチングプラズマに曝露された低誘電体膜層110に損傷を与える場合がある。この損傷は、低誘電体膜層110の材料特性がサブミクロン空孔の存在によって損なわれることに起因しうる。結果として、低誘電体膜層110にドープされた炭素は、エッチングプラズマに曝露された低誘電体膜層110の部分から容易に欠乏しうる。一実施形態において、基板100上に形成されたフィーチャおよび構造の機能性を保持するために、損傷された低誘電率材料115の修復が実行される。図1Bは、一実施形態を示しており、そこでは、エッチング動作が低誘電体膜層110から炭素を欠乏させているが、他の加工動作が、低誘電体膜層110に対する同様の損傷を引き起こす場合もある。炭素欠乏した低誘電率材料115は、損傷された部分では、低誘電体膜層110の残りの部分よりも高い誘電率を示し、その結果、回線遅延の原因となる。回線遅延は、RC遅延としても知られており、相互接続に用いられる材料の抵抗および/または中間誘電体層の容量によって引き起こされうるトランジスタ間の信号伝搬の遅延として定義される。この実施形態において、低誘電体膜層110の化学組成は、Sixyzwの形態を取り、炭素欠乏した低誘電率材料115の組成は、炭素の欠乏によってSixywの組成に似たものとなる。
【0018】
図2Aは、本発明の一実施形態において、炭素欠乏した(損傷した)低誘電率材料115を修復するためのガス剤メニスカス210の適用(形成)に用いられる装置を示す概略図である。図に示すように、基板100が、キャリア215に取り付けられる。キャリア215は、基板を所定の位置に受けて保持すると共に、基板100における異なる部分がガス剤メニスカス210に曝露されるように、基板100を移動軸に沿って移動させるよう構成される。キャリア215は、基板100をキャリア215内に平面に沿って受けて保持するためにピンを備えている。一実施形態では、図2Bに示すように、モータが、移動軸に沿って基板を運ぶキャリア215を移動させる。本装置は、基板100の表面と、それに対向する近接ヘッド200の表面との間に、ガス剤メニスカス210を適用するよう構成された近接ヘッド200をさらに備える。「メニスカス」という用語は、「ガス剤メニスカス」の文脈においては、基板100の表面とそれに対向する近接ヘッド200の表面との間に適用された「ガス」の体積を指す。ガス剤メニスカスは、実質的にガスであるが、蒸気の状態の液体を含んでもよい。流体メニスカスと比較して、ガス剤メニスカスのガスは、流体の界面活性を示さなくてもよい。したがって、ガス剤メニスカスの閉じ込めは、比較的、適用点に局所的なものとなり、より自由に流動しうる。結果として、適用されたガス剤メニスカスは、閉じ込め領域内に完全に閉じ込められることはできないが、一実施形態にでは、その局所的な適用によって、(近接ヘッドの)1または複数のノズルから流れるガスに曝露される領域に対して高濃度のガスが供給される。図2Bに示すように、ガス剤メニスカスは、高濃度ガス供給領域250を提供する。一部の例では、ガス剤の一部が、ガス供給領域250を回避しうるが、ガス流は、所望の処理レベルを満たすために、ガス供給領域250における化学剤の濃度レベルを維持するよう構成可能である。
【0019】
本明細書に記載のように、近接ヘッド200は、基板100の表面に近接して配置された時に、処理対象の基板100の表面に正確な体積の化学剤を供給すると共に表面から化学剤を除去することができる基板処理装置である。一例では、近接ヘッド200は、対向するヘッド表面(対向面)を有し、その対向面は、基板100の表面と実質的に平行に配置される。対向面と基板100の表面との間に、メニスカスが形成される。近接ヘッド200は、複数の化学剤を供給するよう構成されてもよく、供給された複数の化学剤を除去するための真空ポート235を備えるよう構成される。
【0020】
メニスカスへの化学剤の供給および除去を制御することよって、基板100の表面上で、メニスカスを制御しつつ移動させることができる。処理中に、一部の実施形態においては、近接ヘッド200が静止した状態で、基板100を移動させてもよいし、他の実施形態においては、基板100が静止した状態で、近接ヘッド200を移動させてもよい。さらに補足すると、処理は任意の方向で実行可能であり、例えば、水平でない表面(例えば、垂直基板または斜めに保持された基板)にメニスカスを適用することも可能であることを理解されたい。
【0021】
近接ヘッドに関する詳細については、2003年9月9日発行の米国特許第6,616,772号「Methods for wafer proximity cleaning and drying」に記載されたような近接ヘッドの一例を参照できる。この米国特許出願は、本願の出願人であるラムリサーチコーポレーションに譲渡されている。
【0022】
近接蒸気洗浄・乾燥システムに関する詳細については、2002年12月3日発行の米国特許第6,488,040号「Capillary Proximity Heads for Single Wafer Cleaning and Drying」に記載されたシステムの一例を参照できる。この米国特許は、本願の出願人であるラムリサーチコーポレーションに譲渡されている。
【0023】
図2Aは、基板100の表面にガス剤メニスカス210を適用するための単一の近接ヘッド200を示しているが、炭素欠乏した低誘電率材料を効果的に修復するために、2以上の近接ヘッドが、基板100の片面または両面にガス剤メニスカス210を適用するために用いられてよい。
【0024】
ガス剤メニスカス210は、基板100の表面の少なくとも一部がガス剤メニスカス210に曝露されるように、近接ヘッドの1または複数のノズルを通して適用される。ガス剤メニスカス210の曝露は、本質的に等方的であり、ガス剤メニスカス210に曝露された炭素欠乏した低誘電率材料が実質的に修復されるように、基板100の表面の一部に対するガス剤メニスカス210の均一な適用を可能にする。
【0025】
図2Cに示した一実施形態において、近接ヘッド200が備えるノズル230aの内の少なくとも1つは、基板100の表面に対して垂直および平行の間の角度でガス剤メニスカス210が適用されるように配置される。ガス剤メニスカス210は、基板100の表面に実質的に平行に流れ、損傷された低誘電率材料115へ効果を与えるように適用される。ガス剤メニスカス210の流れは、基板100の表面と近接ヘッド200の対向するヘッドとの間のギャップ240によって制御されてよい。一実施形態において、ギャップ240は、約0.1mmから約5mmの間に設定されてよく、約0.3mmから約1.5mmの間であることがより好ましい。さらに、ノズルの角度調整により、基板100の流れすなわち動きに対して基板100の一部分の範囲内に、ガス剤メニスカス210を適用して閉じ込めることができる。
【0026】
一実施形態において、近接ヘッド200の中央に向かってガスを方向付けることにより、近接ヘッド200の下から流れ出さずに、ガス流が近接ヘッド200の下に留まるよう促してよい。この実施形態において、角度θは、0°(基板100の表面に対して垂直)から90°(基板100の表面に平行)の間であることが好ましい。より具体的な実施形態において、θは、(近接ヘッドの中央に向かって)約20°から45°の間に選択される。図に示したθの角度を有するノズルと対向して配置されるノズルに対しても、同様に角度が選択される。
【0027】
図2Dに示す別の実施形態において、近接ヘッド200のノズル230bの内の少なくとも1つは、基板100の表面に対して実質的に垂直にガス剤メニスカス210が適用されるように、基板100の表面に対して垂直に配置される。ガス剤メニスカス210の流量は、炭素欠乏した低誘電率材料115の効果的な修復を促進するよう基板100の表面上に適切な効果を提供するために、基板100の表面と近接ヘッド200の対向面との間のギャップ240に基づいて調整されてよい。
【0028】
図2Eに示す本発明の別の実施形態において、近接ヘッド200は、基板100の表面に対して垂直と水平との間の角度に配置された少なくとも1つのノズル230aと、基板100の表面に実質的に垂直である少なくとも1つのノズル230bとを備える。基板100の表面に対するガス剤メニスカス210の等方的な曝露を提供するために、ノズルに関して他の角度および位置を用いてもよい。
【0029】
1または複数のノズルに加えて、近接ヘッド200は、ガス剤メニスカス210内に新しいガス剤が十分に補充されるように、ガス剤メニスカス210の流量を操作するための制御部を備える。それにより、基板100の表面は、適切な量及び質のガス剤メニスカス210に曝露され、炭素欠乏した低誘電率材料115の効果的な修復がなされる。
【0030】
図3Aは、フィーチャ、構造、および、他の層の絶縁に用いられる低誘電体膜層110を示す単純化したSixyzw鎖状構造が、エッチング/剥離動作などの1または複数の加工動作で用いられる化学剤によって炭素の欠乏を受ける前の状態を示す図である。この実施形態において、図に示すように、メチル基は、構造内の各ケイ素と直接結合している。図3Bは、本発明の一実施形態において、加工動作後、低誘電体膜層110内で炭素欠乏によって損傷された低誘電率材料の組成を示している。この実施形態に見られるように、損傷された低誘電率材料115の組成は、Sixyz-mw-nの形態であり、1または複数の加工化学剤に曝露された低誘電体膜層110から炭素を含有するメチル基が欠乏したことを示している。加工動作における1または複数の加工化学剤の反応によって、低誘電体膜層110のケイ素−メチル基の結合が切断され、メチル基は、エッチングプラズマまたは加工化学剤によって取り除かれる。ヒドロキシル基が、ケイ素と結合することで、メチル基と置き換わる。炭素欠乏した低誘電率材料115は、低誘電体膜層110の他の部分よりも、高い誘電率と低い親水性を示す。
【0031】
ガス剤メニスカス210内のガス剤は、炭素欠乏した低誘電率材料115に炭素を供給できる炭化水素基を少なくとも含むように選択される。一実施形態において、ガス剤の炭化水素基は、メチル基である。炭素欠乏した低誘電率材料の修復は、例えば、図3Bに示した炭素欠乏した低誘電率材料115内で、メチル基などの炭化水素基を含むガス剤が、ヒドロキシル基の酸素−水素結合と相互作用した時に実現される。図3Cに示す一実施形態において、損傷された低誘電率材料115のヒドロキシル基の水素イオンは、ガス剤のメチル含有基によって置換される。この実施形態では、トリメチルシリカン基が、損傷された低誘電率材料115の炭素を補充するために用いられる。トリメチルシリカン基のケイ素イオンは、ヒドロキシル基の水素イオンと置換して、ヒドロキシル基の酸素イオンと結合を形成する。結果として生じる低誘電率材料115の構造が、図3Dに示されており、ヒドロキシル基の水素イオンは、ガス剤のトリメチルシリカン基によって置換されている。
【0032】
近接ヘッド200の制御部は、炭素欠乏した低誘電率材料115において炭素の導入が実現されるよう、ガス剤の流量を調節するために用いられてよい。低誘電率材料115における炭素の導入は、低誘電率材料の誘電率を下げることに寄与することで、損傷された低誘電率材料において、低誘電体膜層110の特性と実質的に同等な低誘電率特性を回復させる。
【0033】
図3Bに示した実施形態では、ガス剤はヒドロキシル結合と反応しているが、ガス剤は、他のタイプの結合と反応して、その結合における適切なイオンの1つをメチル基または他の炭化水素基からの炭素で置換してもよく、それにより、損傷された低誘電率材料115の低誘電率特性は、低誘電体膜層110と実質的に同等のレベルまで回復される。さらに、ガス剤は、トリメチルシリカン基を含むよう限定されず、炭素欠乏した低誘電率材料115に炭素を導入して、損傷された低誘電率材料115を実質的に修復し、損傷された低誘電率材料115に低誘電率特性を回復させることができる他の炭素またはメチル含有炭化水素基を含んでもよい。
【0034】
ガス剤の供給は、独立した処理動作であってもよいし、洗浄または蒸着前準備動作など、他の動作と組み合わされてもよい。本発明の一実施形態において、ガス剤は、洗浄剤と交互に用いられ、それら2つは、単一の近接ヘッドを用いて洗浄動作中に交互に供給される。
【0035】
図4に示す本発明の別の実施形態において、装置は、2つの近接ヘッド405および410を備える。この実施形態では、炭素欠乏した低誘電率材料(損傷された低誘電率材料)115の修復は、洗浄動作と統合されており、洗浄剤が、第1の近接ヘッド405を通して基板100の表面に供給されると同時に、ガス剤メニスカス210が、第2の近接ヘッド410を用いて、損傷された低誘電率材料115に適用される。ガス剤と洗浄剤は、真空ポート235によって基板の表面から除去される。ガス剤メニスカス210の同時適用は、洗浄動作に限定されない。ガス剤メニスカス210は、蒸着前準備など、他の加工動作中に同時に、損傷された低誘電率材料115に適用されてもよい。
【0036】
図4Aを参照して説明した装置の別の実施形態を、図4Bに示す。この実施形態において、2つの近接ヘッド405および410は、高濃度ガス供給領域250へガス剤210を集中的に供給できるように構成される。基板100の表面にガス剤を高度に集中させて供給することを可能にするために、近接ヘッドは、図4Bに示すように、ガス剤の供給先となるポケットを形成するように延長されている。近接ヘッド表面の延長は、効果的な洗浄のために、より集中的にガス剤を基板の表面に供給することができるように、ガス剤の漏れを実質的に防ぐ部分的な壁を提供する。
【0037】
図4Cは、図4Aおよび4Bに示した装置の別の実施形態を示している。この実施形態では、近接ヘッド405が、基板の表面に修復剤を供給するために用いられる。この実施形態では、脱イオン水(または他の流体)のメニスカスが、ガスメニスカス150の両側に適用され、適用された水メニスカスが、障壁として機能し、ガス剤の漏れを実質的に防止する。供給されたガス剤は、損傷された低誘電率材料115の効果的な修復に役立つ。この実施形態では単一の近接ヘッドを用いているが、2以上の近接ヘッドを用いて、ガス剤メニスカスの両側に水メニスカスを適用してもよい。図4Cに示した本発明の一実施形態において、近接ヘッドは、図4Bを参照して説明したように、ポケットを提供するために延長されてもよい。この延長された近接ヘッドにより、ガス供給領域250における基板へのガス剤の供給をより集中させることで、損傷された低誘電率材料115の効果的な修復が可能になる。
【0038】
図5は、本発明の一実施形態に従って、ガス剤メニスカスの適用に用いられる近接ヘッドを利用するクリーンルーム600内のシステムの断面図であり、壁602および床604が示されている。クリーンルーム(クリーンシステム)600内のシステムは、ハウジングチャンバ610を備えており、その中に複数の近接ヘッド645が配置される。ハウジングチャンバ610内に図示した近接ヘッド645は、ハウジングチャンバ610内で基板100が移動する処理領域618の両側に配置された2つの近接ヘッド645を含む。近接ヘッドの数および位置は様々であってよい。図6は、処理領域618の両側に配置された2つの近接ヘッド、3つの近接ヘッド、および、5つの近接ヘッドなど、変形例の一部を示しており、炭素欠乏した低誘電率材料105を有する基板100は、処理領域618を通って搬送される。基板100は、基板搬入領域615を通してハウジングチャンバ610内に導入され、基板搬出領域660から取り出される。処理領域615に位置するキャリア650は、基板搬入領域615を通して基板を受けて、近接ヘッド645の間を通り抜けるようシステム600を横切って基板100を搬送し、基板搬出領域660において基板を受け渡すよう機能する。システム600は、損傷を受けた低誘電率材料115の修復に用いられるガス剤を含む複数の化学剤を収容するための1組の容器625、630、635などをさらに備える。このシステムは、1または複数の近接ヘッドを用いて、ガス剤、洗浄剤、および、脱イオン水などを供給するために利用可能である。一実施形態において、システム600は、1)基板100を軽く洗浄するための脱イオン水、2)微量汚染物質を除去するための希フッ化水素酸、および、3)炭素欠乏した低誘電率材料115を修復するためのガス剤、を供給するために用いられる。本発明の別の実施形態では、システム600は、1および3のみ、または、3のみを供給するために用いられてもよい。
【0039】
ガス剤および洗浄剤は、修復すべき炭素欠乏した低誘電率材料115と、炭素欠乏した低誘電率材料115の上下に形成された対応する薄膜層とに対してなされた分析に基づいて、供給制御機構620を用いて制御されつつ、基板100の表面に供給される。ガス剤および洗浄剤を制御下で基板100に供給できるように供給制御機構620内の制御部を調整するために、ソフトウエアを実行するコンピュータ605が、供給制御機構620と通信可能に接続されてよい。図に示したように、コンピュータ605は、クリーンルーム内に配置されているが、クリーンルームの外側の任意の場所に配置されて、ハウジングチャンバ610内の供給制御機構620と通信可能に接続される構成も可能である。
【0040】
本発明の実施形態は、ガス剤の供給に限定されるものではない。本発明の別の実施形態では、液剤が、ガス剤の代わりに用いられてもよい。一実施形態において、液剤は、近接ヘッド200を用いて、液剤メニスカス210’として適用される。本明細書で液剤と関連して用いられているように、「メニスカス」という用語は、近接ヘッド200の対向面と基板100の表面との間に、部分的には液剤の表面張力によって、境界を維持され閉じ込められた液剤の体積を意味する。このように形成されたメニスカスも制御可能であり、閉じ込められた形状で表面上を移動されることができ、基板100の表面から汚染物質を除去するために用いられる。具体的な実施形態において、コンピュータシステムをさらに備えてよい正確な液剤供給・除去システムによって、メニスカスの形状を制御することができる。液剤は、ガス剤の炭化水素基と同様に作用する炭化水素基を含んでよい。本発明の一実施形態において、液剤の炭化水素基はメチル基であり、メチル基内の炭素は、低誘電率材料115内で欠乏した炭素を補充するために用いられ、低誘電率材料115の低誘電率特性を低誘電体膜層110と実質的に同等のレベルまで回復させる。
【0041】
液体形態のメニスカスの形成に関する情報については、以下を参照できる:(1)2003年9月9日発行の米国特許第6,616,722号「Methods for wafer proximity cleaning and drying」、(2)2002年12月24日出願の米国特許出願第10/330,843号「Meniscus, Vacuum, IPA Vapor, Drying Manifold」、(3)2005年1月24日発行の米国特許第6,988,327号「METHODS AND SYSTEMS FOR PROCESSING A SUBSTRATE USING A DYNAMIC LIQUID MENISCUS」、(4)2005年1月24日発行の米国特許第6,988,326号「PHOBIC BARRIER MENISCUS SEPARATION AND CONTAINMENT」、(5)2002年12月3日発行の米国特許第6,488,040号「Capillary Proximity Heads for Single Wafer Cleaning and Drying」、これらは、各々、本願の出願人であるラムリサーチコーポレーションに譲渡されている。上面および下面メニスカスに関するさらなる情報については、2002年12月24日出願の米国特許出願第10/330,843号「Meniscus, Vacuum, IPA Vapor, Drying Manifold」に開示したような、メニスカスの一例を参照できる。この米国特許出願は、本願の出願人であるラムリサーチコーポレーションに譲渡されている。
【0042】
さらに別の実施形態では、スピンアプリケータ(SRDと同等のもの)が、基板を受けて保持するために用いられてもよい。スピンアプリケータは、過剰な液剤を保持するための容器として機能するタンク内に組み込まれる。スピンアプリケータは、基板の様々な部分を液剤に曝露させるために、軸を中心に回転するよう構成される。さらに別の実施形態において、液剤は、回転する基板上で、近接ヘッドを用いて基板表面に供給されてもよい。したがって、基板の保持方法は、キャリアに限定されず、ガス剤または液剤での処理が実現される限りは、別の方法を用いてもよい。
【0043】
本発明の別の実施形態では、近接ヘッドの代わりにブラシ装置を用いてもよい。この実施形態においては、液剤が特定され、特定された液剤はブラシ内に導入される。液剤を含んだブラシは、炭素欠乏した低誘電率材料115が実質的に修復されるように、低誘電体膜層110の炭素欠乏した低誘電率材料115に適用される。炭素欠乏した低誘電率材料115が、液剤に実質的に曝露されて、炭素欠乏した低誘電率材料115が効果的に修復されるように、ブラシ装置内の制御部を用いて、液剤の流量およびその他のパラメータを制御してよい。
【0044】
以下では、基板100の低誘電体膜層110における炭素欠乏した低誘電率材料(損傷された材料)115を修復するための方法について、図6を参照しつつ詳細に説明する。その方法は、動作670に示すように、損傷された材料115を修復するために基板100に供給される修復剤を特定する動作から始まる。先に述べたように、修復剤は、炭化水素基を含むガス剤または液剤のいずれかであってよい。本発明の一実施形態において、修復剤の炭化水素は、メチル基である。低誘電体膜層110の一部が、フィーチャ130、構造、または、層を加工する際に用いられるCMP、エッチング、フォトリソグラフィ、蒸着など、1または複数の加工動作によって損傷される場合がある。これらの動作で用いられる化学剤は、形成されたフィーチャ130の周辺の領域で低誘電体膜層110にドープされた炭素と反応して、低誘電体膜層110から炭素を欠乏させうる。フィーチャ130周辺の領域の炭素欠乏した低誘電体膜層110は、低誘電体膜層110の残り部分よりも誘電率が高くなり、結果として回線遅延を引き起こす。したがって、損傷された材料115は、誘電体膜層110の低誘電率特性を実質的に保持するために、修復される必要がある。
【0045】
修復剤は、周辺のフィーチャ、構造、および、層を損傷することなく、損傷された材料115を選択的に修復できるよう選択される。損傷された材料115を選択的に修復するために用いられる修復剤は、Cxyの形態の炭化水素基を含む。
【0046】
動作675において、修復剤は、基板100上の低誘電体膜層110に供給される。修復剤の供給は、近接ヘッド200またはブラシ装置を通してなされてよく、近接ヘッド200またはブラシ装置で利用可能な制御部を用いて制御されてよい。修復剤の供給の制御は、流量、温度、種類など、修復剤の1または複数のパラメータに依存してよい。修復剤の供給は、さらに、基板100の表面と近接ヘッドの対向面との間のギャップ240、または、修復剤を修復剤メニスカス210として導入するための近接ヘッド200の1または複数のノズルの角度、に依存してもよい。
【0047】
動作680では、図3Cに示したように、修復剤が、損傷された低誘電率材料115と反応して、酸素−水素結合を酸素−炭素結合で置換する。修復剤の炭化水素基内の炭素は、損傷された低誘電率材料115内の酸素−水素結合と反応し、酸素−水素結合における水素を、酸素−炭素結合を形成する炭化水素基からの炭素で置換する。損傷された低誘電率材料115を修復剤に対して制御下で曝露させることによって、損傷された低誘電率材料115を実質的に修復して、基板上に形成されるフィーチャ、構造、および、層の機能を保存することができる。
【0048】
損傷された低誘電率材料115の修復において望ましい結果を示した修復剤は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリメチルジシラザン(TMDS)などのメチル基含有炭化水素、トリメチルクロロシラン(TMCS)、ジメチルジクロロシラン(DMDCS)、トリメチルクロロシラン((CH33)Si−Cl)、n−ポリトリメチルシラン(n−PTMS)などのクロロシラン、これらの化学剤の組み合わせ、または、これらの化学剤を他の化学剤と混合した組み合わせ、を含む。望ましい結果を示した修復剤の流量は、約0.2標準リットル毎分(slm)から約2.5slmの間であり、約1.0slmから約1.5slmの間であることがより好ましく、最適流量は約1.5slmである。修復剤の他のパラメータは、温度、濃度、曝露時間などを含んでよい。修復剤の温度は、約20℃から約90℃の間であり、約40℃から約80℃であることがより好ましい。修復後に、随時、高温ベーキングを行ってよい。修復後のベーキングの温度は、約50℃から約450℃の間であり、約200℃から約400℃の間であることがより好ましい。損傷された低誘電率材料115の修復において望ましい結果を示した修復剤の濃度は、脱イオン水に対する修復剤の割合が約50%から約100%の間であり、脱イオン水に対する修復剤の割合が約80%から99%の間であることがより好ましい。損傷された低誘電率材料の修復において望ましい結果を示した曝露時間は、約0.5秒から約30秒の間であり、約1秒から約10秒の間であることがより好ましい。
【0049】
次いで、処理は動作685に移行し、集積回路チップ(ICチップ)を規定するために、さらなる層およびフィーチャが、低誘電体膜層110上に形成されてよい。形成可能なさらなる層の一部は、メタライゼーション配線および低誘電体膜層などを規定するために、バリア層、銅フィルム蒸着層を含んでよい。処理は、ICチップが基板上に形成されるまで、または、ある加工段階に到達するまで、繰り返されてよい。
【0050】
理解を深めるために、本発明について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内でいくらかの変更と変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、この実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、本発明は、本明細書に示した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲および等価物の範囲内で変形されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の低誘電体膜層において炭素が欠乏した低誘電率材料を修復するための装置であって、
前記基板を受けて支持するための基板支持装置と、
近接ヘッドであって、前記基板の表面と前記近接ヘッドの対向する表面との間にガス剤メニスカスを受け入れて適用させるよう構成された近接ヘッドと、
を備え、
前記ガス剤は、前記基板表面の少なくとも一部を覆う領域内に実質的に閉じ込められ、
前記ガス剤メニスカスの適用は、前記ガス剤に対する前記基板の前記表面の等方的な曝露をもたらし、前記ガス剤に曝露された前記炭素が欠乏した低誘電率材料を実質的に修復し、
前記修復された低誘電率材料は、前記低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示す、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、前記ガス剤は、前記基板の前記表面と前記近接ヘッドの前記表面との間の制御された空間内に供給され、前記制御された空間は、前記基板の前記表面上の様々な位置に制御可能に移動されることができるガス供給領域を確立する、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、前記ガス剤は、1または複数のノズルを通して、前記基板の前記表面と前記近接ヘッドの前記表面との間に導入される、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、少なくとも1つのノズルは、前記ガス剤が前記基板の前記表面に対して実質的に垂直に供給されるように方向付けられる、装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置であって、少なくとも1つのノズルは、前記ガス剤が前記基板の前記表面に対して垂直および平行の間の角度で供給されるような角度に配置される、装置。
【請求項6】
請求項3に記載の装置であって、前記ガス剤は、少なくとも炭化水素基を含む、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記炭化水素基はメチル基を含む、装置。
【請求項8】
請求項6に記載の装置であって、前記近接ヘッドは、新しいガス剤が前記基板の前記表面と前記近接ヘッドの前記対向する表面との間に十分に補充されるように、前記ガス剤の流量を操作するための制御部を備える、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、前記近接ヘッドは、前記基板の前記表面において洗浄剤メニスカスを生成するための別個の部分をさらに備え、前記洗浄剤は、前記炭素欠乏した低誘電率材料を修復する前に1または複数の製造工程によって生じた残留物を実質的に除去する、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、第2の近接ヘッドをさらに備え、前記第2の近接ヘッドは、前記基板の前記表面において洗浄剤メニスカスを生成し、前記洗浄剤は、前記炭素欠乏した低誘電率材料を修復する前に1または複数の製造工程によって生じた残留物を実質的に除去する、装置。
【請求項11】
請求項3に記載の装置であって、前記近接ヘッドは、前記ノズルの両側に延長部をさらに備え、前記近接ヘッドの前記延長部は、前記供給されたガス剤が実質的に閉じ込められるポケットを提供し、前記ポケットは、前記基板の前記表面に前記ガス剤をより集中的に供給するような処理領域を規定する、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、前記近接ヘッドは、さらに、
前記基板の前記表面に脱イオン水メニスカスを適用するための別個の部分を備え、
前記適用された脱イオン水メニスカスは、前記適用されたガス剤メニスカスが実質的に閉じ込められる処理領域を提供し、
前記閉じ込められたガス剤メニスカスは、前記基板の前記表面を前記ガス剤に等方的に曝露させて、前記ガス剤に曝露された前記炭素欠乏した低誘電率材料を実質的に修復させる、装置。
【請求項13】
基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための方法であって、
炭化水素基を有し、前記炭素欠乏した低誘電率材料を修復するよう構成された修復剤を特定し、
前記低誘電体膜層における前記炭素欠乏した低誘電率材料が、前記低誘電率材料を実質的に修復する前記修復剤に十分に曝露されるように、前記低誘電体膜層に対して前記修復剤をメニスカスとして適用すること、
とを備え、
前記修復された低誘電率材料は、前記低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示し、前記修復剤は、近接ヘッドを通じてメニスカスとして適用される、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための方法であって、前記炭化水素基はメチル基を含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための方法であって、前記修復剤の供給は、前記修復剤の流量を調節することによってなされ、前記流量は、前記基板の前記表面上で前記修復メニスカスを実質的に維持するように、前記修復剤の供給および除去を行うよう構成される、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための方法であって、前記修復剤の前記流量は、前記近接ヘッドの表面と前記基板の表面との間のギャップに基づく、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための方法であって、前記修復剤の流れは、前記基板の前記表面と十分に平行である、方法。
【請求項18】
基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置であって、
その上に配置された基板を支持するよう構成された基板支持装置と、
近接ヘッドであって、前記基板の表面と前記近接ヘッドの対向する表面との間にガス剤メニスカスを受け入れて適用するよう構成された近接ヘッドと、
を備え、
前記ガス剤は、炭化水素基を含み、前記基板の表面の少なくとも一部を覆う領域内に実質的に閉じ込められ、
前記ガス剤メニスカスの適用は、前記ガス剤に対する前記基板の前記表面の等方的な曝露をもたらし、前記ガス剤に曝露された前記炭素欠乏した低誘電率材料を実質的に修復し、
前記修復された低誘電率材料は、前記低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示し、
前記基板支持装置は、前記基板の前記表面と前記近接ヘッドの前記対向する表面との間にガス剤メニスカスを実質的に維持するために、前記近接ヘッドに対して前記基板を相対的に移動させることが可能である、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置であって、前記炭化水素基はメチル基を含む、装置。
【請求項20】
基板の低誘電体膜層において炭素欠乏した低誘電率材料を修復するための装置であって、
その上に配置された基板を支持するよう構成された基板支持装置と、
液剤を受け入れ、前記基板の表面上に適用するよう構成されたブラシを備えたブラシ装置と、
を備え、
前記液剤は炭化水素基を含み、
前記ブラシを通した前記液剤の前記供給は、前記液剤に対する前記基板の前記表面の均一な曝露をもたらし、前記液剤に曝露された前記炭素欠乏した低誘電率材料を実質的に修復し、
前記修復された低誘電率材料は、前記低誘電体膜層と実質的に同等の低誘電率特性を示し、
前記基板支持装置および前記ブラシ装置は、前記液剤が前記低誘電体膜層における前記炭素欠乏した低誘電率材料を修復できるように、前記基板および前記ブラシを互いに相対的に移動させるよう構成されている、装置。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図4C】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2010−519766(P2010−519766A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−550869(P2009−550869)
【出願日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/001058
【国際公開番号】WO2008/103223
【国際公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】