説明

低電圧検出装置、低電圧検出方法、及びプログラム

【課題】携帯端末の電池の低電圧状態を高精度に検出できる低電圧検出装置、低電圧検出方法、及びプログラムを提供すること。
【解決手段】低電圧検出装置10は、携帯端末100の電池101の温度を検出する温度検出手段1と、携帯端末100の電池101の電圧を検出する電圧検出手段2と、携帯端末100の使用状態毎に設定された、電池101の低電圧状態を検出するための基準閾値と、電池101の低温状態を判定するための判定温度と、を夫々記憶する記憶手段3と、温度検出手段1により検出された電池101の温度が記憶手段3に記憶された判定温度以下となるとき、電圧検出手段2により検出された電池101の電圧と、記憶手段3に記憶された基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、電池101の低電圧状態を判定する低電圧判定手段4と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、携帯端末の電池の低電圧状態を検出することができる低電圧検出装置、低電圧検出方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末において、待受け状態や通信状態などの使用状態に応じて、電池の残量を判定する電池残量検出装置が知られている(例えば、特許文献1及び2)。当該電池残量検出装置は、携帯端末の使用状態に応じて、電池残量を判定するためのテーブルを切替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−92721号公報
【特許文献2】特開2001−126778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、例えば、電池が低温状態のときは常温状態のときと比較して、電池セル内の内部抵抗が増加し電池電圧の降下量が増加する。このため、図8に示すように、電池温度が常温状態(実線(1))と低温状態(点線(2))とでは電池電圧の降下量に差が生じる。これにより、電池の低電圧状態の検出に誤差が生じ得る。なお、上記電池残量検出装置は、電池の温度変化に応じてテーブルを切替えているが、その切替えタイミングによっては(例えば、常温に切替え後、低温になった場合等)、電池残量の判定が適切に行えない可能性がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、携帯端末の電池の低電圧状態を高精度に検出できる低電圧検出装置、低電圧検出方法、及びプログラムを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一態様は、携帯端末の電池の温度を検出する温度検出手段と、前記携帯端末の電池の電圧を検出する電圧検出手段と、前記携帯端末の使用状態毎に設定された、前記電池の低電圧状態を検出するための基準閾値と、前記電池の低温状態を判定するための判定温度と、を夫々記憶する記憶手段と、前記温度検出手段により検出された前記電池の温度が前記記憶手段に記憶された前記判定温度以下となるとき、前記電圧検出手段により検出された電池の電圧と、前記記憶手段に記憶された基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、前記電池の低電圧状態を判定する低電圧判定手段と、 を備えることを特徴とする低電圧検出装置である。
【0007】
また、上記目的を達成するための本発明の一態様は、携帯端末の電池の温度を検出する工程と、前記携帯端末の電池の電圧を検出する工程と、前記携帯端末の使用状態毎に、前記電池の低電圧状態を検出するための基準閾値と、前記電池の低温状態を判定するための判定温度と、を設定する工程と、前記検出された前記電池の温度が前記設定された判定温度以下となるとき、前記検出された電池の電圧と、前記基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、前記電池の低電圧状態を判定する工程と、を含むことを特徴とする低電圧検出方法であってもよい。
【0008】
さらに、上記目的を達成するための本発明の一態様は、携帯端末の使用状態毎に、電池の低電圧状態を検出するための基準閾値と、前記電池の低温状態を判定するための判定温度と、が設定されており、前記電池の温度が前記設定された判定温度よりも低いとき、前記電池の電圧と、前記基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、前記電池の低電圧状態を判定する処理をコンピュータに実行させること特徴とするプログラムであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、携帯端末の電池の低電圧状態を高精度に検出できる低電圧検出装置、低電圧検出方法、及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る低電圧検出装置の機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る低電圧検出装置の概略的なシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る制御部の概略的なシステム構成の一例を示すブロック図である。
【図4】携帯端末の使用状態毎に設定された、基準閾値と、補正値と、判定温度と、を含む参照テーブル情報の一例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る低電圧検出装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図6】携帯端末の使用状態毎に、複数の種類設定された判定温度及び補正値を含む参照テーブル情報の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る低電圧検出装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【図8】常温状態と低温状態とにおける電池電圧の降下状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る低電圧検出装置の機能ブロック図である。
【0012】
本実施形態に係る低電圧検出装置10は、携帯端末100の電池101の温度Tを検出する温度検出手段1と、携帯端末100の電池101の電圧Vを検出する電圧検出手段2と、携帯端末100の使用状態毎に設定された、電池101の低電圧状態を検出するための基準閾値と、電池101の温度Tを判定するための判定温度と、を夫々記憶する記憶手段3と、温度検出手段1により検出された電池101の温度Tが記憶手段4に記憶された判定温度以下となるとき、電圧検出手段2により検出された電池101の電圧Vと、記憶手段3に記憶された基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、電池101の低電圧状態を判定する低電圧判定手段4と、を備えている。
【0013】
低電圧判定手段4は、電池101の温度Tが携帯端末100の使用状態毎に設定された判定温度以下となり電池101が低温状態にあると判断すると、その低温状態及び使用状態に応じて補正した補正閾値と、電池101の電圧Vとを比較して、電池101の低温状態を判定する。これにより、携帯端末100の電池101の低電圧状態を高精度に検出できる。
【0014】
本発明の実施形態1.
図2は、本発明の実施形態1に係る低電圧検出装置の概略的なシステム構成の一例を示すブロック図である。本実施形態1に係る低電圧検出装置10は、例えば、携帯電話等の携帯端末100に搭載され、その携帯端末100を駆動する電池101の低電圧状態を高精度に検出することができる。また、本実施形態1に係る低電圧検出装置10は、温度センサ11と、電圧センサ12と、制御部13と、報知部14と、キー操作部15と、を備えている。
【0015】
温度センサ11は、温度検出手段1の一具体例であり、携帯端末100を駆動する電池101に対して間接的又は直接的に設けられており、電池101の温度Tを検出することができる。温度センサ11には、例えば、サーミスタ等を用いることができる。温度センサ11は、検出した電池101の温度Tを示す温度信号を、制御部13に対して出力する。
【0016】
電圧センサ12は、電圧検出手段2の一具体例であり、電池101に並列的に接続されており、電池101の電圧Vを検出することができる。電圧センサ12は、検出した電池101の電圧Vを示す電圧信号を、制御部13に対して出力する。
【0017】
制御部13は、電池101の低電圧状態を検出するための各種の処理を行う。制御部13は、例えば、制御処理、演算処理等と行うCPU(Central Processing Unit)13aと、CPU13aによって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)13bと、処理データ等を記憶するRAM(Random Access Memory)13cと、を有するマイクロコンピュータを中心にしてハードウェア構成されている。
【0018】
また、制御部13は、温度センサ11から出力されるアナログの温度信号をデジタルの温度信号に変換する電池温度A/D変換部13dと、電圧センサ12から出力されるアナログの電圧信号をデジタルの電圧信号に変換する電池電圧A/D変換部13eと、を有している。
【0019】
報知部14は、報知手段の一具体例であり、制御部13からの制御信号に応じて、電池101が低電圧状態であることを、ユーザに対して報知する。報知部14は、音声を用いて報知を行う音声出力部141と、メッセージ等を表示させて報知を行う表示部142と、を有している。
【0020】
音声出力部141は、音声データの処理を行う音声処理回路141aと、音声処理回路141aからの出力信号に応じて音声を出力するスピーカ141bと、を有している。また、表示部142には、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ等を用いることができる。なお、報知部14として、音声出力部141と表示部142とを具体例として挙げたが、これに限らず、例えば、ライトを点灯/点滅させてもよく、振動モータにより振動させてもよく、これらを任意に組み合わせてもよく、ユーザに報知できる任意の方法を用いることができる。
【0021】
キー操作部15は、複数のキーを有しており、ユーザによる各種の入力操作に応じて、操作信号を制御部13に対して出力する。制御部13は、例えば、キー操作部15からの操作信号に応じて各種の処理を実行する。
【0022】
図3は、本実施形態1に係る制御部の概略的なシステム構成の一例を示すブロック図である。本実施形態1に係る制御部13は、データを記憶する記憶部131と、電池101の低電圧状態を判定する低電圧判定部132と、経過時間を計測するタイマ部133と、を有している。
【0023】
記憶部131は、記憶手段3の一具体例であり、例えば、RAM13b又はROM13cを用いることができる。また、記憶部131は、図4に示すような、携帯端末100の使用状態毎に、電池101の低電圧状態を検出するための基準閾値Vaと、基準閾値Vaを補正するための補正値ΔV1と、電池101の低温状態を判定するための判定温度T1と、を設定した参照テーブル情報を記憶している。
【0024】
ここで、基準閾値Vaには、例えば、常温状態で一定時間継続して、報知部14によりその電池101の低電圧状態を報知できるだけの電圧が設定されている。また、補正値ΔV1には、常温状態から低温状態になったときの電池101の電圧降下量に相当する値が設定されている。さらに、判定温度T1は、携帯端末100のその使用状態で低温と判定される温度が設定されている。
【0025】
また、携帯端末100の使用状態とは、例えば、携帯端末100の電源がオン状態となる電源オン時、キー操作部15が操作されていない無操作かつ待受け状態、キー操作部15が操作されている操作中かつ待受け状態、通話やデータなどの送受信を行っている通信中、等の状態を指す。
【0026】
このように携帯端末100の使用状態毎に、上記基準閾値Va、補正値ΔV1、及び判定温度T1を設定するのは、各使用状態によって消費電流が大きく変動し、その変動により電池101の電圧自体も変動するからである。例えば、通信中は、電源オン時と比較して消費電流が大きくなるため、図4に示すように、上記基準閾値Va、及び補正値ΔV1を高く設定している。
【0027】
さらに、図8に示すように、電池101の温度が常温状態(実線(1))と低温状態(点線(2))とでは電池電圧Vの降下量に差が生じる。このため、低電圧判定部132は、記憶部131に記憶された参照テーブル情報を用いて、携帯端末100の使用状態及び電池101の温度Tに応じて基準閾値Vaを変更し、電池101の低電圧状態をより高精度に判定する。
【0028】
低電圧判定部132は、まず、携帯端末100の使用状態を判断し、その使用状態に対応する判定温度T1、基準閾値Va、及び補正値ΔV1を記憶部131の参照テーブル情報から抽出する。そして、低電圧判定部132は、温度センサ11により検出された電池101の温度Tがその使用状態に対応する判定温度T1以下となるとき、対応する基準閾値Vaに補正値ΔV1を加算した補正閾値Vb1を算出する。さらに、低電圧判定部132は、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vと、算出した補正閾値Vb1と、を比較し、電池101の電圧Vが補正閾値Vb1以下になったと判定すると、電池101が低電圧状態であると判定する。
【0029】
このように、携帯端末100の使用状態及び電池101の温度Tに応じて基準閾値Vaを補正した補正閾値Vb1を用いることで、電池101の低電圧状態を高精度に判定することができる。
【0030】
低電圧判定部132は、電池101の低電圧状態を判定し検出すると、その電池101の低電圧状態を報知するための制御信号を、報知部14に対して送信する。報知部14は、低電圧判定部132から制御信号を受信すると所定の報知をユーザに対して行う。
【0031】
例えば、報知部14の音声出力部141は、スピーカ141bから、電池101が低電圧状態である旨の音声出力を行う。同様に、表示部142は、表示画面に電池101が低電圧状態である旨のメッセージを表示させる。これにより、ユーザは、携帯端末100の電池101が低電圧状態にあることを確実に認識することができる。
【0032】
タイマ部133は、低電圧判定部132により電池101が低電圧状態にあると判定されたときからの経過時間を計測する。例えば、低電圧判定部132は、電池101が低電圧状態にあると判定すると、経過時間の計測を開始させるための開始信号を、タイマ部133に対して送信する。そして、タイマ部133は、低電圧判定部132から開始信号を受信すると経過時間の計測を開始し、所定時間経過すると計測を停止し、その停止を通知するための停止信号を低電圧判定部132に対して送信する。低電圧判定部132は、タイマ部133から停止信号を受信すると携帯端末100の電源をオフ状態にする制御を開始すると共に、報知部14の報知を停止させるための制御信号を報知部14に対して送信する。このようにして、電池101の低電圧状態が一定時間継続すると、自動的に携帯端末100の電源をオフ状態にすることができる。
【0033】
次に、本実施形態1に係る低電圧検出装置10における低電圧検出方法について詳細に説明する。図5は、本実施形態1に係る低電圧検出装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0034】
まず、低電圧判定部132は、携帯端末100の使用状態を判断し(ステップS101)、その使用状態に対応した判定温度T1、基準閾値Va、及び補正値ΔV1を記憶部131の参照テーブル情報から読み込む(ステップS102)。
【0035】
次に、低電圧判定部132は、温度センサ11により検出された電池101の温度Tが判定温度T1以下であるか否かを判断する(ステップS103)。低電圧判定部132は、電池101の温度Tが判定温度T1以下であると判断したとき(ステップS103のYES)、基準閾値Vaに補正値ΔV1を加算して補正閾値Vb1を算出する(ステップS104)。
【0036】
その後、低電圧判定部132は、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vが算出した補正閾値Vb1以下であるか否かを判断する(ステップS105)。低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが算出した補正閾値Vb1以下であると判断したとき(ステップS105のYES)、タイマ部133に開始信号を送信し、タイマ部133に経過時間の計測を開始させる(ステップS106)。一方で、低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが算出した補正閾値Vb1以下でないと判断したとき(ステップS105のNO)、上記(ステップS101)の処理に移行する。
【0037】
さらに、低電圧判定部132は、報知部14に制御信号を送信し、ユーザに対する報知を開始させる(ステップS107)。次に、低電圧判定部132は、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vに基づいて、電池101に対する充電開始の有無を判断する(ステップS108)。
【0038】
低電圧判定部132は、電池101に対して充電が開始されたと判断すると(ステップS108のYES)、上記(ステップS101)の処理に移行する。一方、低電圧判定部132は、電池101に対して充電が開始されていないと判断すると(ステップS108のNO)、タイマ部133から停止信号を受信し、計測開始から所定時間経過したか否かを判断する(ステップS109)。
【0039】
低電圧判定部132は、タイマ部133から停止信号を受信し、計測開始から所定時間経過したと判断したとき(ステップS109のYES)、携帯端末100の電源をオフ状態にする制御を開始すると共に、報知部14の報知を停止させるための制御信号を報知部14に対して送信する(ステップS110)。一方、低電圧判定部132は、タイマ部133の計測開始から所定時間経過していないと判断したとき(ステップS109のNO)、上記(ステップS108)の処理に移行する。
【0040】
なお、上記(ステップS103)において、低電圧判定部132は、電池101の温度Tが判定温度T1以下でないと判断したとき(ステップS103のNO)、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vが基準閾値Va以下であるか否かを判断する(ステップS111)。
【0041】
低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが基準閾値Va以下であると判断したとき(ステップS111のYES)、上記(ステップS106)の処理に移行する。一方、低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが基準閾値Va以下でないと判断したとき(ステップS111のNO)、上記(ステップS101)の処理に移行する。
【0042】
以上、本実施形態1に係る低電圧検出装置において、低電圧判定部132は、温度センサ11により検出された電池101の温度Tがその使用状態に対応する判定温度T1以下となるとき、対応する基準閾値Vaに補正値ΔV1を加算した補正閾値Vb1を算出する。さらに、低電圧判定部132は、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vが補正閾値Vb1以下になったと判定すると、電池101が低電圧状態であると判定する。これにより、携帯端末100の使用状態及び電池101の温度Tに応じて補正閾値Vb1を最適に設定することができるため、電池101の低電圧状態を高精度に検出できる。
【0043】
本発明の実施形態2.
本発明の実施形態2に係る低電圧検出装置10において、記憶部131は携帯端末100の使用状態毎に、複数種類の判定温度及び補正値を記憶する構成でもよい。例えば、記憶部131は、図6に示すように、携帯端末100の使用状態毎に、判定温度T1、補正値ΔV1、判定温度T2(T2<T1)、補正値ΔV2(ΔV2>ΔV1)、及び基準閾値Va、を夫々記憶している。
【0044】
図7は、本実施形態2に係る低電圧検出装置の制御処理フローの一例を示すフローチャートである。
【0045】
まず、低電圧判定部132は、携帯端末100の使用状態を判断し(ステップS201)、その使用状態に対応した判定温度T1、T2、基準閾値Va、及び補正値ΔV1、V2を記憶部133の参照テーブル情報から読み込む(ステップS202)。
【0046】
次に、低電圧判定部132は、温度センサ11により検出された電池101の温度Tが判定温度T1以下であるか否かを判断する(ステップS203)。低電圧判定部132は、電池101の温度Tが判定温度T1以下であると判断したとき(ステップS203のYES)、さらに、電池101の温度Tが判定温度T2以下であるか否かを判断する(ステップS204)。
【0047】
低電圧判定部132は、電池101の温度Tが判定温度T2以下であると判断したとき(ステップS204のYES)、基準閾値Vaに補正値ΔV2を加算して補正閾値Vb2を算出する(ステップS205)。一方、低電圧判定部132は、電池101の温度Tが判定温度T2以下でないと判断したとき(ステップS204のNO)、基準閾値Vaに補正値ΔV1を加算して補正閾値Vb1を算出する(ステップS206)。
【0048】
その後、低電圧判定部132は、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vが算出した補正閾値Vb1、Vb2以下であるか否かを判断する(ステップS207)。低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが算出した補正閾値Vb1、Vb2以下であると判断したとき(ステップS207のYES)、タイマ部133に開始信号を送信し、タイマ部133に経過時間の計測を開始させる(ステップS208)。一方で、低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが算出した補正閾値Vb1、Vb2以下でないと判断したとき(ステップS207のNO)、上記(ステップS201)の処理に移行する。
【0049】
さらに、低電圧判定部132は、報知部14に制御信号を送信し、ユーザに対する報知を開始させる(ステップS209)。次に、低電圧判定部132は、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vに基づいて、電池101に対する充電開始の有無を判断する(ステップS210)。
【0050】
低電圧判定部132は、電池101に対して充電が開始されたと判断すると(ステップS210のYES)、上記(ステップS201)の処理に移行する。一方、低電圧判定部132は、電池101に対して充電が開始されていないと判断すると(ステップS210のNO)、タイマ部133から停止信号を受信し、計測から所定時間経過したか否かを判断する(ステップS211)。
【0051】
低電圧判定部132は、タイマ部133から停止信号を受信し、計測開始から所定時間経過したと判断したとき(ステップS211のYES)、携帯端末100の電源をオフ状態にする制御を開始すると共に、報知部14の報知を停止させるための制御信号を報知部14に対して送信する(ステップS212)。一方、低電圧判定部132は、タイマ部133の計測開始から所定時間経過していないと判断したとき(ステップS211のNO)、上記(ステップS210)の処理に移行する。
【0052】
なお、上記(ステップS203)において、低電圧判定部132は、電池101の温度Tが判定温度T1以下でないと判断したとき(ステップS203のNO)、電圧センサ12により検出された電池101の電圧Vが基準閾値Va以下であるか否かを判断する(ステップS213)。低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが基準閾値Va以下であると判断したとき(ステップS213のYES)、上記(ステップS208)の処理に移行する。一方、低電圧判定部132は、電池101の電圧Vが基準閾値Va以下でないと判断したとき(ステップS213のNO)、上記(ステップS201)の処理に移行する。
【0053】
なお、上記説明は一例であり、記憶部131は、携帯端末100の使用状態毎に、任意の数の判定温度T1〜Tn及び補正値ΔV1〜ΔVnを夫々記憶し、低電圧判定部132は任意の数の補正閾値Vb1〜Vbnを用いて、電池101の低電圧状態をより詳細に判定してもよい。
【0054】
以上、本実施形態2に係る低電圧検出装置10において、記憶部131は携帯端末100の使用状態毎に、複数種類の判定温度及び補正値を記憶する。これにより、電池101の低温状態を判定するための判定温度、及び、電池101の電圧の基準閾値を補正するための補正値をより詳細に設定することができるため、電池101の低電圧状態をより高精度に検出できる。
【0055】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0056】
例えば、上記実施形態において、報知部14は、低電圧判定部132により電池101の温度Tが記憶部131に記憶された判定温度T1、T2以下であると判断されたとき、その電池101の低温状態をユーザに対して報知してもよい。具体的には、低電圧判定部132は、温度センサ11により検出された電池101の温度Tが記憶部131に記憶された判定温度T1、T2以下であると判断したとき、その電池101の低温状態を報知させるための制御信号を報知部14に対して送信する。報知部14は、低電圧判定部132からの制御信号に応じて、例えば、「低温状態のため電池持ちが悪い環境下である」等のメッセージを、音声出力部141により音声出力し、もしくは表示部142により表示させる。
【0057】
また、上記実施形態において、携帯端末100の使用状態は、着信振動モータの駆動状態、ゲーム機能の実行状態、カメラ機能の実行状態、表示照明の実行状態、メロディー鳴動機能の実行状態等の消費電流の大きい状態を含むこととしてもよい。これにより、携帯端末100の使用状態をより詳細に設定できるため、電池101の低電圧状態をより高精度に検出できる。
【0058】
さらに、上記実施形態において、低電圧判定部132は、温度センサ11により検出された電池101の温度Tがその使用状態に対応する判定温度T1、T2以下となるとき、対応する基準閾値Vaに補正係数を乗算して補正閾値Vb1、Vb2を算出してもよく、基準閾値Vaをパラメータとした補正関数f(Va)を用いて補正閾値Vb1、Vb2を算出してもよい。
【0059】
なお、本発明は、任意の処理を、CPU13aにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。この場合、コンピュータプログラムは、記録媒体に記録して提供することも可能であり、また、インターネットその他の通信媒体を介して伝送することにより提供することも可能である。また、記憶媒体には、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD、ROMカートリッジ、バッテリバックアップ付きRAMメモリカートリッジ、フラッシュメモリカートリッジ、不揮発性RAMカートリッジ等が含まれる。また、通信媒体には、電話回線等の有線通信媒体、マイクロ波回線等の無線通信媒体等が含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1 温度検出手段
2 電圧検出手段
3 記憶手段
4 低電圧判定手段
10 低電圧検出装置
11 温度センサ
12 電圧センサ
13 制御部
14 報知部
15 キー操作部
100 携帯端末
101 電池
131 記憶部
132 低電圧判定部
133 タイマ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末の電池の温度を検出する温度検出手段と、
前記携帯端末の電池の電圧を検出する電圧検出手段と、
前記携帯端末の使用状態毎に設定された、前記電池の低電圧状態を検出するための基準閾値と、前記電池の低温状態を判定するための判定温度と、を夫々記憶する記憶手段と、
前記温度検出手段により検出された前記電池の温度が前記記憶手段に記憶された前記判定温度以下となるとき、前記電圧検出手段により検出された電池の電圧と、前記記憶手段に記憶された基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、前記電池の低電圧状態を判定する低電圧判定手段と、
を備えることを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の低電圧検出装置であって、
前記記憶手段は、前記携帯端末の使用状態毎に、前記基準閾値を補正するための補正値を更に記憶しており、
前記低電圧判定手段は、前記温度検出手段により検出された前記電池の温度が前記記憶手段に記憶された前記判定温度以下となるとき、前記電圧検出手段により検出された電池の電圧と、前記記憶手段に記憶された前記基準閾値に前記補正値を加算した補正閾値と、を比較して、前記電池の低電圧状態を判定する、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項3】
請求項2記載の低電圧検出装置であって、
前記記憶手段は、前記携帯端末の使用状態毎に設定された、複数種類の前記補正値及び前記判定温度を記憶し、
前記低電圧判定手段は、前記基準閾値に前記複数種類の前記補正値を夫々加算して複数の補正閾値を夫々算出して、前記電池の低電圧状態を判定する、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちいずれか1項記載の低電圧検出装置であって、
前記低電圧判定手段により前記電池が低電圧状態にあると判定されたとき、該電池の低電圧状態を報知する報知手段を更に備える、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項5】
請求項4記載の低電圧検出装置であって、
前記報知手段は、前記温度検出手段により検出された電池の温度が、前記記憶手段に記憶された判定温度以下となるとき、該電池の低温状態を報知する、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちいずれか1項記載の低電圧検出装置であって、
前記低電圧判定手段により前記電池が低電圧状態にあると判定されたときからの経過時間を計測するタイマ手段を更に備え、
前記低電圧判定手段は、前記タイマ手段により所定時間の経過が計測されると、前記携帯端末の電源をオフ状態にする、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちいずれか1項記載の低電圧検出装置であって、
前記低電圧判定手段は、前記電池が低電圧状態にあると判定した後、前記電池に対する充電開始の有無を確認する、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のうちいずれか1項記載の低電圧検出装置であって、
前記低電圧判定手段は、前記温度検出手段により検出された前記電池の温度が前記記憶手段に記憶された前記判定温度より大きいとき、前記電圧検出手段により検出された電池の電圧と、前記記憶手段に記憶された基準閾値と、を比較して、前記電池の低電圧状態を判定する、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1項記載の低電圧検出装置であって、
前記携帯端末の使用状態は、電源のオン時、無操作かつ待受け状態、操作中かつ待受け状態、及び通信中、のうち少なくとも1つの状態を含む、ことを特徴とする低電圧検出装置。
【請求項10】
携帯端末の電池の温度を検出する工程と、
前記携帯端末の電池の電圧を検出する工程と、
前記携帯端末の使用状態毎に、前記電池の低電圧状態を検出するための基準閾値と、前記電池の低温状態を判定するための判定温度と、を設定する工程と、
前記検出された前記電池の温度が前記設定された判定温度以下となるとき、前記検出された電池の電圧と、前記基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、前記電池の低電圧状態を判定する工程と、
を含むことを特徴とする低電圧検出方法。
【請求項11】
携帯端末の使用状態毎に、電池の低電圧状態を検出するための基準閾値と、前記電池の低温状態を判定するための判定温度と、が設定されており、
前記電池の温度が前記設定された判定温度よりも低いとき、前記電池の電圧と、前記基準閾値を補正した補正閾値と、に基づいて、前記電池の低電圧状態を判定する処理をコンピュータに実行させること特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−64646(P2011−64646A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217602(P2009−217602)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】