説明

住宅用RFIDシステム

【課題】 手操作によって情報の一部を可逆的に変更可能なRFIDを利用することで、複雑な操作無しに住宅内の機器を制御する。
【解決手段】 機器の選択が可逆的に変更可能なRFIDを個人が携帯し、該RFIDの情報を読み取るリーダーを個人または集合住宅の内部/エントランス部/エレベータ内に設置し、該RFIDリーダーからの情報を基に各種機器を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は個人住宅・集合住宅において個人が住宅に出入りする際の作業・動作や住宅内部での種々の機器の始動や設定に伴う作業・動作を支援するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
住居外から携帯電話を利用して住居内の各種機器を制御するシステムは広く知られている。例えば帰宅前に空調機を始動させる、風呂をわかすなどであり、非常に便利なシステムである。しかし、このシステムでは、制御する対象機器を選び、設定温度を指定するなど個人が複数の能動的な動作を行う必要がある。これは往々にして動作が複雑になり制御方法がわかりにくく使いにくいことが多かった。
【0003】
一方、住宅内では上記動作はいわゆるリモコンにより簡便な動作で行えるが、リモコンが動作できるのは住居内に限られており住居に入る前から各種機器を制御することはできない。
【0004】
また、住居のエントランス部で個人の携帯するRFIDを検知してオートロック・玄関の開錠などを行うRFIDシステムは広く知られている(例えば、特許文献1、特許文献2)。これらは、RFIDを携帯する個人がリーダーを通過するのみでシステムの動作が行われたり、個人がRFIDをリーダーにかざすのみで動作が行われるものであり、鍵での開錠や磁気カードを差し込むなど個人の能動的動作を必要とせず、非常に便利なシステムである。
【特許文献1】特開平2−183068号公報
【特許文献2】特開平9−270011号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしこれらのシステムではRFIDはリーダーからの質問電波に対して応答するといういわば受動的な動作を行うのみであり、能動的に種々の機器を選択してそれらの機器を制御することはできなかった。本発明は上記に述べた、携帯電話による複雑な動作・リモコンの使用場所の制限・RFIDの受動性による不便さを解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は能動的な機能と受動的な機能を同時にRFIDに持たせることにより至便性を実現する。そのために本発明のシステムは、手操作によって情報の一部を可逆的に変更可能なRFIDを個人が携帯し、該RFIDの情報を読み取るリーダーを個人または集合住宅の内部/エントランス部/エレベータ内に設置し、該RFIDリーダーからの情報を基に各種機器を制御する手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一つのRFIDで個人に合わせた機器制御が能動的動作を極力少なくして簡便に行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(実施例1)
図1は本発明の一実施例のシステムを模式的に表したものである。
【0009】
101は手操作によって内部情報の一部を変更することができるRFIDであり、これを個人が携帯する。このRFIDの模式図を図2に示す。202はRFIDリーダ/ライタと通信を行うためのアンテナであり、203は通信を制御する部分である。204は個人IDを保持するメモリ部分であり、205はその他の情報を収納するメモリである。208はスイッチでありこれを人が手で押すことによって内部の状態を変化させる。内部状態の変化は結線の短絡/切断などによって行われる。これにより機器選択部207は特定の機器IDまたは選択機器無しの状態を示すことになる。これらの情報をCPU206によって制御する。
【0010】
この情報可変なRFIDを携帯した個人が通信制御器103に近づくと、RFIDから情報が読み取られる。通信制御器103はRFIDリーダとRFIDから読み取った情報に基づき各種機器を制御する制御部・各種機器に制御情報を伝える通信部とからなり、住居内外の各所に設置される。設置場所として集合住宅の場合、集合住宅に外部から足を踏み入れる敷地境界部・エントランスに向かうアプローチ部・エントランスホールの入口部・オートロックの操作部・エレベータホール・エレベータの外側操作部・エレベータ内部・通路部・各戸の玄関外側部・玄関内部・住居内部の各室が好ましく、一戸建て住宅の場合は、外部から足を踏み入れる敷地境界部・門の内外・玄関に向かう途上・玄関外側部・玄関内部・住居内部の各室が好ましいが、それぞれの住宅事情・個人の予算などに応じて設置場所は選択できる。これら通信制御器のRFIDリーダ部は一定時間間隔で電波を発射し近傍にRFIDが存在するかどうかを判定している。
【0011】
住居内における本システムの動作を具体的な例をあげて説明する。
【0012】
例えば風呂を沸かしたくなった場合、情報可変なRFIDを携帯する個人はこのRFID上の「風呂」に該当するスイッチを押下する。すると住居内の各所に取り付けられている通信制御器がスイッチの押下を検知する。更にスイッチ押下の検知されたRFIDの個人IDを読み取る。制御部はスイッチの状態から「風呂」が選ばれたことを判断し、また個人IDからその個人に最適な湯量・湯温を決定し、風呂沸かし装置にデータを送り込む。風呂沸かし装置はこのデータを基にスイッチを押した個人に最適な状態で風呂を焚き上げる。本実施例では個人に最適な湯量・湯温のデータは通信制御器内のメモリに保持されているが、RFID内のメモリに保持されても良い。また風呂沸かし装置のメモリに保持されていても良い。
【0013】
住居内において個人が制御する機器として上記では風呂沸かし装置を上げたが、この他に照明機器・空調機・TV・各種オーディオ機器・調理器具/装置など各種の機器が制御できる。例えば照明機器に対しては「照明」スイッチの押下と共に個人IDが読み込まれ、その個人の動線に合った照明機器が点灯するなどという制御が行える。空調機に対しては適切な温度やモードの設定が行える。またTVやオーディオ機器に対しては電源ONを行うと同時にその個人がいつも見るチャンネルを選んだり、好みの画質や音質・音量に設定したりすることができる。同様に、コーヒーメーカーなどの調理器具/装置に対しても動作開始の指示とともにその個人の好みに応じた動作を行わせることができる。
【0014】
本発明のRFIDを持つ複数の個人が住居内に存在しそれぞれの好みが異なり両者からる短時間の間隔で機器の制御の要求がだされた場合には、優先順位をあらかじめ決めそれに従う方法、それぞれの好みの間の値に設定する方法などにより機器を制御する。
【0015】
本システムのRFIDを携帯して住居外に出る場合の動作は以下の通りである。
【0016】
玄関から外に出ると通信制御器がこれを検知して住居内の照明などの電気機器をOFF・またガスを止める。住居内に他の人がいる場合にはこれを検知し、機器のOFFは行わないことをあらかじめ選ぶこともできる。
【0017】
玄関を閉めると、通信制御器は個人IDと玄関の閉じた状態を検知し玄関を施錠する。来客などが玄関外に出た場合・個人がRFIDを持たないで玄関外に出た場合には玄関の施錠は行われない。玄関を施錠すると同時に通信制御器はエレベータが住居階に向かうようエレベータ制御機器に通信を行う。エレベータに乗り込むと行き先階は自動的に1階に設定されるが、他の階に行きたい場合は手動で行き先階を押下すれば変更することが可能である。オートロック部では個人IDが自動的に読み取られチェックの上、開錠・開扉される。
【0018】
外出から住居に帰ってきた場合には、携帯しているRFIDが敷地境界線部などに設置された通信制御器で読み取られ、オートロックの開錠・エレベータの1階への呼び出し・行き先階の自動設定・住居内の照明機器の自動点灯・空調機のONなどが個人に合わせた設定で行われる。
【0019】
(実施例2)
図3は本発明の別の実施例のシステムを模式的に表したものである。
【0020】
本実施例では住居内外に設置された通信制御器に各種機器からの情報を読み取る部分・その情報をRFIDに書き込むRFIDライタが搭載されている。これにより、個人が行った種々の動作(入出門・各種機器に対する直接の動作)をRFIDに記録する。例えば個人が空調機に対して温度変更を与えた場合、これを記録することによりその個人の好みの温度をRFIDに蓄積することができる。他の機器に対する動作も同様にRFIDに記録することによりその個人の好みを蓄積していくことができる。
【0021】
この実施例では実施例1に比べ個人の好みをリアルタイムでかつより細かくシステムに反映させることができるという利点を有している。一方、一般的にRFIDへの書き込み時間はRFIDからの読み取り時間より長くかかるので、人が通過する間にデータが書き込めず書き込み不良がおきる可能性があるという欠点がある。また、ライタの分コストが高くなるという問題もある。両者の実施例は種々の事情を勘案の上選ぶことができる。
【0022】
(実施例3)
実施例1および実施例2のシステムは自家用車にも適用できる。
【0023】
個人IDの書き込まれたRFIDによる車の施錠・開錠、エンジンスタートの制御などは既に知られているが、本システムによると更に運転ポジションの個人に合わせた変更・空調機の個人に合わせた温度制御・オーディオ機器/ナビゲーションシステムの個人に合わせた制御が行える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例のシステムを模式的に表した図である。
【図2】本発明の一実施例のRFIDの模式図である。
【図3】本発明の一実施例のシステムを模式的に表した図である。
【符号の説明】
【0025】
101 手操作により情報可変なRFID
102 制御される各種機器
103 RFIDの情報を読み取り、制御情報を各種機器に通信する通信制御器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手操作によって情報の一部を可逆的に変更可能なRFIDを個人が携帯し、
該RFIDの情報を読み取るリーダーを個人または集合住宅の内部/エントランス部/エレベータ内に設置し、
該RFIDリーダーからの情報を基に各種機器を制御する手段を有する個人住宅用RFIDシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−60471(P2006−60471A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239452(P2004−239452)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】