説明

住居の中の人物の遠隔人物追跡方法とその装置

【課題】一人暮らしのお年寄りなどの住居内での活動について、拘束感のない手段によって見守る、遠隔人物追跡方法とその装置を得る。
【解決手段】住居100の中にいる人物112が生活しており、配電網105に接続された複数の電気器具が、人物の活動に応じて通電されたり切られたりする。各通電電流の変化を検出装置110で検出する。この検出信号につき、それを何時、検出したのか、その信号の発信源にあった電気器具は何か、それに対応する電気的状態の変化はどのようなものかに関する情報を含む追跡データ発生させる。このデータは、通信ネットワーク50を介して処理サーバ150に送られ、所定の時間中に発生したそのような追跡データに基づき、その人物が行なった活動について、異常の有無を確率論的に評価をする。利用端末180は、システムの管理者190によって、操作される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物の活動を遠くから推し量り、見守る技術分野に関するものであり、さらに詳細には、住居の中にいる人物の活動を遠くから見守り追跡把握する遠隔人物追跡方法と、そのための装置に関するものである。
【0002】
この分野でこれまでに開発されてきたシステムは、ほとんどが、典型的には一人暮らしの老人のような「弱者」と思われる人物を見守るために構想されているものである。そのようなシステムの使命は、そのような人々の活動に異常な変化があれば、それをできるだけ早く検出し、それにより、必要な場合、緊急対応の係員、医師またはその人物の親族が駆けつけられるようにするということである。
【背景技術】
【0003】
現にあるシステムで既に知られているもので、ある人物が自分の住居にいるのを遠くから見守ることができるようにしているものには、その住居に応じて配置された一群のセンサが用いられている。そのようなシステムでは、例えば、ドアや窓、運動計測マットレス、感受性の床の接触センサや、レーザーや赤外線ビームで存在を感知する検出器や、日常生活の電気器具(コーヒーメーカー)にカウンタのような形で使用状況を検出する検出器など、専用のセンサを幾つも設置しなければならない。
【0004】
そのようなシステムは、設置に特に費用がかかり、そのようなものの設置を行うために大がかりな工事を必要とすることが多く、あるいは、何箇所も配電に手を加えることができることを前提にしていることが多い。また、そのようなシステムで用いられる検出器の中には、見守り追跡の対象となる人物とは別の人物や、ペット動物の存在、あるいは単に、隙間風や、その住居の一部を一時的に温める太陽光線があると、それに影響されて、監視対象の環境に混乱が生じてしまい、たちまち信頼性が損なわれるようなことになるものもある。
【0005】
そのようなシステムはさらに、検出手段が至る所にあるのが目に見えるということから、見守られている人物に「監視されている」というような不快感を引き起しかねず、それが、そのようなシステムを設置する上での主要な障害となる。
なお、この目的についての先行する発明としては、以下のような発明がある。
特開平06−078065号公報記載の発明では、ホームテレホンシステムを利用して、モニタしたい室内音を外線から確実に確認することができるテレコン/テレモニタシステムを提供する。
特開平07−146888号公報記載の発明では、依頼により独居老人等の健在確認対象者に対してセンタのサービス員が公衆回線を介して健在確認コールを行い、その結果を依頼者たる結果報告対象者に報告するシステムにおいて、サービス員による健在確認・結果報告業務を支援する。
特開2003−067494号公報記載の発明では、独居老人、家族同居老人等の様々な介護型集合住宅内の各入居者が、自由で自主的な社会生活を営むことができ、かつ、健康維持面で安心感のある生活を営むことができるように各居室にホームコントロールサーバを設けて遠隔監視する。
特開2004−086383号公報記載の発明では、監視対象者の生活状況に合わせた複数の家庭電気製品に簡単に設置可能で、監視対象者の精神的な圧迫感を軽減すると共に、多数の監視対象者の生活状況を情報のセキュリティを十分に考慮して一元管理できる生活状況モニタリングシステムを提供する。
特開2005−079957号公報記載の発明では、人感センサなどの防犯機器や、冷蔵庫などの家電機器を無線を介して制御する情報システムにおいて、家人が留守でセキュリティ機能が動作中の場合は、冷蔵庫などへの設定温度や運転モードの状態問合せ等の緊急性の低い状態問合せ処理を禁止する。この結果、情報機器の節電動作が可能となり、できるかぎり長時間のセキュリティ機能の動作が可能となる。
特開2005−217589号公報記載の発明では、在宅者に監視されていることを意識させずに、確実に在宅を確認する在宅監視装置を提供することを目的とする発見が提案されている。監視カメラにより室内の様子を撮影し、その画像データを、通信媒体を介して遠隔地の受信手段に送ることにより、確実に人の在宅とその様子を確認できる。
特開2005−277965号公報記載の発明では、留守モードにおいて家電機器を擬似的に動作させる防犯システムにおいて、家電機器と、ホームネットワークに接続され、家電機器の駆動制御を行なう機能を有するホームサーバと、在宅モードと留守モードとの切り換えをホームサーバに指示する操作端末とを備え、ホームサーバは、時刻を検知する手段を備え、動作情報収集手段で収集した家電機器の動作情報とそのときの時刻を、駆動履歴として記憶する。操作端末で留守モードに切り換えられたとき、駆動履歴を統計処理演算して、家電機器ごとの駆動予定時刻と動作方法を含む動作スケジュールを作成し、動作スケジュールに従って、家電機器に駆動指示を出力する。
【特許文献1】特開平06−078065号公報
【特許文献2】特開平07−146888号公報
【特許文献3】特開2003−067494号公報
【特許文献4】特開2004−086383号公報
【特許文献5】特開2005−079957号公報
【特許文献6】特開2005−217589号公報
【特許文献7】特開2005−277965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえ、本発明が提供することを目指す、住居の中にいる人物の活動を遠くから見守る方法と装置は、既に知られている先行技術による解決法についての上記の不都合がなく、そのような活動を見守るについて特に信頼性を確保することができ、しかも、その人物の住居の中に設置するのが簡単かつ安価であるようなものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
それを目指して、本発明が対象とする住居(100)の中で人物(112)の活動を遠くから見守る遠隔人物追跡方法は、要するに以下のステップからなるものである。
a)住居の配電網上で、それぞれ、その住居の電気器具の動作の電気的状態が変化する際に 、
その電気器具から生じる所定の電気信号を検出するステップ、
b)そのようにして検出された信号につき、それを何時、検出したのか、その信号の発信源
にあった電気器具は何か、それに対応する電気的状態の変化はどのようなものかに関する情報を含む追跡データを、発生させるステップ、
c)所定の時間中に発生したそのような追跡データに基づき、その人物が行なった活動の評
価を少なくとも一つ、決定するステップ。
【0008】
本発明は、部分的には、ある電気器具の作動中の電気状態の変化は、配電網上で発生する電気信号を検出することにより検出可能であるという事実に依拠している。そのような作動中の電気状態の変化が発生するのは、特に、ユーザーが、電気器具それ自体か、あるいは、その電気器具の電気系統の部分集合に通電したり、切ったりする時である。それゆえ、その電気器具を使用しているということは、配電網上に発生した電気信号に基づき、検出可能なのである。
【0009】
さらに電気信号の検出は、極めて簡単にできるのであって、例えば、単純な把握式変流器を使って行えばいいだけのことである。この検出技術により、その上さらに、その住居にある電気器具すべての使用確認をすることができるし、しかも、その電気的な検出を行う箇所は一箇所だけでいいのである。そういうわけで、本発明により、一人の人物の活動を遠くから見守るシステム一つの中にセンサを幾つも設置しなくてすむ。
【0010】
本発明の特徴の一つとして、活動の評価の決定は、具体的には、見守り追跡の対象となる人物が少なくとも一つのタイプの活動を行う確率を示す活動指標で行う。
【0011】
確率を基準とするタイプの分析は、電気器具が発生する所定の電気信号の検出に関する情報の処理に適していることが判明している。そのような分析はさらに、見守り追跡の対象となる人物の行動の変化を検出することも十分なものである。
【0012】
本発明による方法の一つの実施態様によると、その方法の下ごしらえのステップは要するに以下のようなものである。
・各活動指標に、少なくとも一つの電気器具を関連づけるステップ、
・一つの活動指標に関連づけられた電気器具それぞれにつき、その電気器具の電気状態の
変化を引き起こす行動を、その人物がその電気器具に行なったときに、その活動指標が示すタイプの活動が行われる確率を表す重み係数を割り当て決定するステップ、
・その活動指標に関連づけられた電気器具について決定された重み係数に基づき一つの
活動指標を決定するステップ。
【0013】
ある電気器具をどのようなタイプの活動に関連づけることが可能かに応じて、その電気器具についての重み係数を生成することが、確率分析の一環として行われる。それにより、活動指標の決定方法を、考慮の対象となる様々な電気器具の性質に左右されないものにできるが、それは、そういう電気器具を、そのような電気器具に割り当てられた重み係数に応じて、計算に入れるからである。
【0014】
できれば、所定の電気器具と、所定のタイプの活動とに関する重み係数のバランスをとることは、以下に列挙するもののうちの少なくとも一つの基準に従って行うことが望ましい。
・一日のうちの時間帯、
・その活動指標に関連づけられた電気器具の総数、
・その活動指標に関連づけられ、検出された電気器具の総数、
・その電気器具の通電継続時間、
・その電気器具を通電したり切ったりした回数、
・外気温度、
・季節、
・曜日、
・本人確認データの信頼度、
・その人物の習慣、
・その活動指標に関連づけられた電気器具のうち、その電気器具の直前または直後に通電
した電気器具の数。
【0015】
本発明に係る遠隔人物追跡方法の一実施例では、
・前記環境の所定の二部屋の間の移動の数、
・いずれか二部屋の間の移動の総数、
・所定の一部屋を占有する継続時間、
の中から選んだ少なくとも一つの値に基づき、活動指標の決定を行うことを前記ステップc)に含むことを特徴とする。
このようにして、その住居の設備の程度、季節、一日の時間帯だけでなく、その電気設備の使用特性にも適合した形で、活動指標の決定を行うことができる。それゆえ、活動指標の決定を、見守られる人物と、その居住のタイプと、その生活様式に微調節で適合させたものにすることが可能である。そのようにして得られた活動指標は、その人物の活動に特に適合しており、的確に表現している。
【0016】
本発明の変形例の一つにおいては、本発明の遠隔人物追跡方法に、さらにもう一つのステップがあって、それは要するに、ある時間内のその住居におけるその一つの活動の通常の特性を表す相対的活動指標を少なくとも一つ決定することである。この決定は、同じだけの時間を取って決定された少なくとも一つの活動指標に基づき、同じ時間内のその人物の活動を表す参照データと比較して行われる。
【0017】
この相対的活動指標は、その人物の活動を総合的に測定する尺度となる。それにより、多数の人々を見守ることが容易にでき、この総合的な尺度の数値に基づき自動的に見守ることが可能になる。これにより、例えば、この相対的活動指標の数値を条件としてアラームを発生することが可能になる。
【0018】
本発明の一つの特徴として、その電気器具またはその電気器具の電気系統の部分集合に通電したり切ったりすることでもよいが、そのような行為をその人物がその電気器具に行なった行為に続いて電気的状態の変化が発生するというのがある。この場合には、追跡データに含まれるのは、その電気的状態の変化の源になる行為(通電したり、切ったり)の性質についての情報である。
【0019】
この情報を、検出時についての情報と組み合わせて用いることにより、(電気を切った日付と通電した日付との間の差によって)その電気器具の使用時間の合計に関する情報や、その電気器具を使用する時間帯に関する情報を容易に決定することができる。
【0020】
本発明は、また、本発明の遠隔人物追跡方法を活用するのに適合したデータ処理サーバをも対象としており、そのデータ処理サーバ(150)には、以下のものが備わっている。
・住居の配電網上で、それぞれ、その住居の電気器具の動作の電気的状態が変化する際に 、
その電気器具から生じる所定の電気信号を検出することのできる検出モジュール(110)で通信ネットワーク(50)を介して通信するための通信手段(152)と、
・検出された各電気信号を分析することにより生成され、検出時と、信号の発信源の電気
器具と、対応する電気的状態の変化とに関する情報を含む、追跡データを記録するためのデータ記録手段(153)と、
・所定の時間内に生成された前記追跡データに基づき、その人物が行なった活動の評価を
少なくとも一つ決定することのできるデータを処理する手段(151)。
【0021】
本発明は、また、住居の中にいる人物の活動を遠くから見守る遠隔人物追跡装置をも対象としており、その遠隔人物追跡装置には、以下のものが備わっている。
・住居の配電網上で、それぞれ、その住居の電気器具の動作の電気的状態が変化する際に 、
その電気器具から生じる所定の電気信号を検出することのできる検出モジュール(115)と、
・検出された各電気信号につき、検出時と、信号の発信源の電気器具と、対応する電気的
状態の変化とに関する情報を含む、追跡データを生成するための分析手段(116)と、
・所定の時間内に生成された前記追跡データに基づき、その人物が行なった活動の評価を
少なくとも一つ決定することのできるデータを処理する手段(151)。
本発明に係る遠隔人物追跡方法について先に簡潔に述べた各構成や利点は、本発明の範囲として、あらゆる相互の組み合わせができるものであり、また、このデータ処理サーバやこの遠隔人物追跡装置にも移しかえが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、上記の構成を有するので、検出手段が一箇所で済み、見守られている人物に対して拘束感がなく、そのような活動を見守るについて特に信頼性を確保することができ、しかも、その人物の住居の中に設置するのが簡単かつ安価である効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の他の目的、特徴及び利点は、以下の説明を手がかりとして明らかにしていくことになるが、その説明は、非限定的な例示としてのみ示すものであり、添付図面を参照しつつ行うものである。
図1は、本発明の方法を実施するために採用するシステムの一つの実施態様の概略を示すものであり、
図2a、2bは、電気器具の作動を検出可能にする手がかりとなる電気信号の例を幾つか示すものであり、
図3は、本発明に係る遠隔人物追跡方法の各ステップを示すフローチャートであり、
図4a〜4cは、本発明に係る遠隔人物追跡方法で人物の活動を示す幾つかの活動指標を計算し、活用する態様を示すものであり、図4aは、対象の人物が一日のうちで占有する部屋ごとの時間の例であり、図4bは、対象の人物が一日のうちで部屋間を移動する活動の時刻経過の例であり、図4cは、対象の人物の各活動ごとの活動指標の値の図解である。
【0024】
図1を参照しつつ、本発明の方法を活用するのに適合させた一つのシステムの実施態様を説明していく。図1に示すように、そのようなシステムにある通信ネットワーク50に接続されているのは、
・活動を見守らなければならない人物112の住居100の配電網105に接続され
た検出装置110と、
・通信ネットワーク50を介して検出装置110と通信するのに適した処理サーバ15
0と、
・通信ネットワーク50を処理サーバ150と通信させるのに適した利用端末180で
ある。
【0025】
例を選び、それを図示したものにおいては、検出装置、処理サーバ及び利用端末は、それぞれ別々の単位であるが、本発明の変形例の一つにおいては、処理サーバと利用端末を同じ位置で一まとめにして、処理サーバと利用端末の機能を統合した単一の情報装置に統合してもよい。同様に、本発明のもう一つの変形例においては、検出装置と処理サーバを単一の情報装置に融合し、そこで統合される機能がその処理サーバとその検出装置により確保されるようにすることも可能である。
【0026】
通信ネットワーク50を介して通信可能にするために、検出装置110、処理サーバ150と利用端末180の中に、それぞれ、例えば電話交換ネットワーク(RTC)の場合の従来のRTCモデムのように、通信ネットワーク50の性質に適合された通信手段117、通信手段152及び通信手段181がある。通信ネットワーク50は、インターネット型の通信ネットワークでも、私的通信ネットワークでも、携帯電話通信ネットワークでも、WFI型のワイヤレス通信ネットワーク等でもよい。そのシステムの様々な単位の間で情報を伝送する方法もまたその通信ネットワークの性質に適合させる。携帯電話通信ネットワークの場合には、この伝送を、例えば、SMS(ショート・メッセージ・サービス)型の短いメッセージを介して行う。
【0027】
住居100にある一群の電気器具は配電網105に接続されている。図1に示すように、そのような電気器具は、電灯101、コーヒーメーカー102、あるいはその他一切の電気器具103である。
【0028】
本発明によって住居100に備えつける検出装置110の中には、配電網105上で生成された電気信号を検出し、捕捉する検出モジュール115がある。検出された電気信号のそれぞれは、その住居100にある、そのような電気器具、電灯101、コーヒーメーカー102、あるいはその他一切の電気器具103、のいずれかが、その電気器具が作動中に電気的状態を変えたときに、生成した電気信号である。大抵の場合、そのような電気的状態の変化は、その使用対象の電気器具に通電したり、切ったりしたことによるものである。
【0029】
事実、実際に確認したところでは、ある電気器具を通電したり、切ったりすると、その電気器具が接続されている配電網上に、その電気器具特有の、その信号のきっかけとなった行為の性質を表す高周波(HF)電気信号が発生する。このHF信号は、しかも、その使用対象の電気器具の電気の消費量には左右されないのである。
【0030】
そのような電気信号の幾つかの例を時間の経過に応じて示したのが図2aと図2bである。このような図はそれぞれ、電気コーヒーメーカーを通電したときに得られた電気信号と、そのコーヒーメーカーを切ったときに得られた電気信号を示している。
【0031】
そのような信号は、それぞれの高周波成分を比較すると、互いの違いを十分に備えているので、その電気器具と、その信号のきっかけとなった行為とを、そのような信号を記録したものに基づき、識別することが可能である。それゆえ、通電したり、切ったりする電気器具は、その通電したり、切ったりしたときに、その配電網上に発生する電気信号を分析することにより、識別可能である。
【0032】
電球のような単純な電気器具は、通電したことを示すサインと、切ったことを示すサインとの二つのサインしかないことが多い。
【0033】
洗濯機のような、もっと複雑な電気器具になると、循環的な過程に沿って作動するのが典型的である。それゆえ、そのような洗濯機である電気器具には、使用に係る同一のサイクル(下洗い、洗濯、すすぎ、排水、脱水等)を通じて、特に、各段階で、その電気器具の中に存在し、作用する様々な電気的要素のせいで、その周期の段階に応じて電磁的サインが異なることがある。
【0034】
冷凍庫や冷蔵庫のようなタイプの電気器具の場合には、電気器具そのものを通電したり、切ったりすることを検出するのではなく、その電気器具の扉の開閉によって起動される内部の照明システムを通電したり、切ったりすることを検出する。この場合、活動を測定するために考慮すべき行為は、扉の開閉であり、それぞれが、内部照明システムを通電したり、切ったりすることになる。冷凍庫や冷蔵庫のような電気器具の冷気調節システムを始動させたり、停止させたりすることにより引き起こされる電気信号は、それら自体が、本発明との関連で想定されているような活動の分析に直接、関係するものではない。
【0035】
一つの実施例においては、検出モジュール115を製作する材料は、HF電気信号測定用の把握式変流器を、その把握式変流器を介して測定した高周波電気信号をデジタル化し、記録することのできる電子回路と連結したものである。
【0036】
そのような検出装置の実施例の一つが仏国特許発明第2806806号明細書に記載されている。このモジュールは、具体的にはケースの形になっていて、例えば、その住居の電気メーターのところで、配電網上に、単純に電気接続されている必要がある。そのため、特に控えめであり、見守り追跡の対象となる人物に、侵入されている感じを与えないようになっている。結局のところ、複数のセンサを設置する必要はなくなるが、それは、そのようなケースただ一つを介して、その住居の電気器具全ての起動、すなわち使用を検出することができるからである。
【0037】
検出モジュール115は、また、検出された電気信号のそれぞれにつき、その検出時についての日付と時刻の情報を記録するのに適したものになっている。
【0038】
図1に戻ると、検出装置110にはさらに、データ処理モジュール116があり、それは、例えばマイクロプロセッサーの周りに設計されたものである。データ処理モジュール116は、HF電気信号を分析し、前述の高周波信号の検出と採取の後、以下の情報を含む追跡データを生成するように適合させられている。
・その電気信号を検出した日付と時刻、
・その電気信号を発生させた電気器具の識別データ、
・その電気信号のきっかけとなった動作の電気的状態の変化を特徴づけるデータ。
【0039】
実施変形例の一つによると、追跡データにさらに含まれるのは、信頼度の評点、つまり、識別データを通して得られた電気器具の識別の信頼度を示す数値である。
【0040】
その電気信号を検出した日付と時刻は、例えば、その検出装置の中にある時計信号に基づいて得られるものであり、その日付と時刻の記録の開始するきっかけとなるのは、その電気信号の検出である。
【0041】
特性化用データにより、その電気信号のきっかけとなった電気器具についての行為を特性化することが可能になる。この行為は、その電気器具に通電したり切ったりすることでも、あるいはまた、その電気器具の電気系統の部分集合に通電したり切ったりすることでもよい。その場合には、特性化用データが、その電気信号を分析することにより通電したり切ったりされているかを知らせる合図となる。
【0042】
その電気器具の識別データ並びにその電気信号のきっかけとなった各行為の識別データとは、検出して、前もってデジタル化し、ハイパスフィルタを用いてフィルタした高周波信号と、検出装置110の試運転段階で予め記録しておいた対応する基準信号とを比較して得られる。
【0043】
そういうわけで、基準信号を前もって記録しておくのは、電気信号のきっかけとなる各行為と対象となる電気器具のそれぞれについての試運転段階に際して行われる。特に、各電気器具については、予め記録されるのは、少なくとも二つの基準信号で、それぞれが、その電気器具に通電したり切ったりすること、あるいは、その電気器具の電気系統の部分集合に通電したり切ったりすることに対応する信号である。
【0044】
一つの実施例においては、検出した信号と予め記録された基準信号とを比較するには、複数の信号の相関関係のアルゴリズムを用いる。このようにして、相関関係の最大値を求めることにより、一方では、検出により当該電気器具を、他方では、その信号のきっかけとなる行為(通電したり切ったりする)を決定することができる。
【0045】
追跡データに含ませてよい信頼度の評点については前述したが、その信頼度の評点を規定するのは、例えば、検出した電気信号と、その相関関係が最良となる基準信号との間で求められる相関関係のレベルに基づき、行う。事実、そういわけで、相関関係が弱いのに対応して、相関関係のレベルが低いと、その電気器具の識別について疑念があるということになる。
【0046】
前述したように、検出装置110にある通信手段117の用途は、検出後に得られた追跡データを処理サーバ150に伝送することである。この処理サーバ150がそこで、受信したデータの分析を行う。
【0047】
追跡データの分析を処理サーバ150に振り分けるということで見守り追跡の対象となる人物のところに設置された検出装置110を簡易なものにすることができる一方で、他方では、その処理サーバ150に振り分けられた、データを処理するさらに強力な処理手段を活用することができる。
【0048】
さらに、その処理サーバ150は、その処理能力に応じて、異なる人物のところに設置した複数の検出装置110と、通信ネットワーク50を介して通信出来るようにしてもよい。
【0049】
変形例においては、追跡データの一部を生成することは、その検出装置でではなく、その処理サーバ自体で行うようにしている。この場合には、その検出装置が、その処理サーバに、検出するたびに伝送するのは、デジタル化した電気信号と検出の日付と時刻だけである。電気器具の識別データ並びに、あるタイプの行為でそこから引き出される使い方の特徴を示すデータは、その場合、その処理サーバが各電気器具と検出対象の各行為の基準信号を使えるなら、その処理サーバで決定可能である。
【0050】
処理サーバ150には、通信手段152の他にも、データ処理手段151、典型的には一つまたは複数の計算プロセッサー、そしてデータ記録手段153、典型的には一つまたは複数の情報ハード・ディスクがある。
【0051】
処理サーバ150は、利用端末180と、機能に関して通信接続されている。利用端末180には、通信手段181の他にも、データ処理手段183、典型的には一つまたは複数の計算プロセッサーそしてデータのディスプレイ手段182、典型的には一つの表示スクリーンがある。
【0052】
図3を参照しつつ、ここからは、本発明により、一人の人物の活動を見守る方法を説明していく。図3のフローチャートに示すように、見守る方法の始まりは、初期化ステップS200であり、その後に続くのが、S210からS260のステップである。その方法には、それぞれがもう一つとは無関係に、そして循環的に実行できる別々の段階が二つあり、
・第一の段階つまりステップS210とS220に対応して、追跡データを検出して採取
する段階と、
・第二の段階つまりS230からS260のステップに対応して、追跡データを分析して
利用する段階とがある。
同一の周期でその方法を活用するについては、第一の段階を何度も繰り返したあとで、第二の段階を実行してもよく、そして第二の段階の実行は、第一の段階を少なくとも一回、実行することを前提とする。
【0053】
できれば、第二の段階の実行は、定期的に、例えば、対象となる期間を通じて生成される追跡データに基づき、毎時間実行するのが望ましく、
【0054】
一方、第一の段階は、配電網上で電気信号が一つ検出されたことをきっかけにして行い、その実行は、どの時間帯でもよく、第二の段階のいずれか一つのステップと並行して行ってよい。
【0055】
前述の二つの段階の実行は、できれば、通信ネットワーク50の周りに配分されたそれぞれ独立の二つの装置、すなわち一方は検出装置110、そして他方は処理サーバ150で行うことが望ましい。
【0056】
ステップS210では、検出装置110が配電網105上で高周波電気信号を一つ検出する。
【0057】
続くステップS220では、検出装置110が、検出した電気信号を分析することにより、以下のデータを含む追跡データを生成する。
・検出を実行した時間帯に関する(日付及び時刻の)データ、
・その電気信号のきっかけとなった電気器具の識別データ並びに、
・その電気信号のきっかけとなった使い方の特徴づけデータ。
【0058】
検出装置110が生成した追跡データは、そこから、通信ネットワーク50を介して、処理サーバ150に伝送され、そこで記録される。その処理サーバに蓄えられたデータの集合が、所定の期間内に行われた様々な検出作業の履歴となる。
【0059】
以下の表1は、12時50分から16時55分を例にとり、所定の時間内で記録された追跡データの一例を提供するものである。すなわち、記録ごとに、日付と時刻、識別された電気器具の識別状況と、その電気器具を通電したり切ったりすることから生じる電気器具の作動状態(オンか、オフか)が記載されている。
【0060】
【表1】

【0061】
その方法の第二の段階は、追跡データを分析して利用するステップS230−S260に対応して、できれば定期的に、検出されたデータがない場合でも開始され、それにより、特に、そのような状況でアラームを発生することができるようにしておくことが望ましい。
【0062】
しかしながら、一人の人物の活動の時間割は、変動しがちなものであり、その方法のこの第二段階の実行期間は、所定の閾値をずっと上回るような値に調節しておく必要がある。その閾値というのは、例えば、15分を越える値であり、その値を下回ると、この期間だけに関して追跡データの分析を行っても意味がない。
【0063】
選択肢として、データの分析を行う時間間隔をもっと密にしてもよいが、例えば、1時間、6時間または24時間に固定した所定の幅の時間帯で、その時間がスライドしていくように行う。変形例としては、データの分析を時間がスライドする幾つかの時間帯、例えば、一時間を通じてどうか、6時間を通じてどうか、24時間を通じてどうか、で行ってもよい。このようにすれば、活動の一時的な変動(例えば起床時間が普段とは違っていたとか、最近の一時間には検出が全く行われなかったとか)と、一日当たりの平均的な変動(例えば最近24時間で食事は一回だけだったとか最近24時間でほとんど移動していないとか)とを同時に検出することができる。
【0064】
ステップS230で、処理サーバ150は、追跡データに基づき、その人物の様々なタイプの活動に関する活動指標を決定する。そのような活動指標は、できれば、例えばKatzスケールに沿ったADL活動指標("Activity of Daily Living", 日常生活の活動)か、Lawtonスケールに沿ったIADL活動指標("Instrumental Activity of Daily Living", 日常生活の電気器具を用いた活動)のような医療環境で用いられる活動指標であることが望ましい。ADL活動指標は、体を洗う、服を着る、トイレに行く、移動する、節制する、食事をとるなどの様々なタイプの基礎的活動に関わるものである。
【0065】
IADL活動指標の方は、電話する、買い物をする、食事の準備をする、家事をする、洗濯をする、交通機関を用いる、薬を飲む、家計を預かるというような補足的なタイプの活動に関するものである。そのような活動指標のそれぞれにつき、その人物がそのようなタイプの活動のそれぞれにつきどの程度、自立しているか、依存しているかの度合いを特性化する3つから7つのレベルによって必要に応じて区別する。
【0066】
実施例の一つにおいては、関連づけ規則232と重み係数の基準231を表すパラメーターの所定の集合に応じて活動指標の決定が行われる。そのようなパラメーターは、ある人物について、その人物の住居の電気器具のレベルに応じて及び/またはその人物の習慣に合わせて、手直しをする。
【0067】
その人物の習慣を決定するのは、例えば医師が、前もって整備をする際に、行う。電気器具のレベルの方は、検出装置を設置する際に、そして、検出の際に計算に入れることになる様々な電気器具を識別したあとで、決定する。そのようなパラメーターの決定は、できれば、その方法を用いる前に行い、つぎに、その方法を反復するごとに再使用するように記録しておくことが望ましい。
【0068】
関連づけ規則は、ある電気器具があるタイプの活動を象徴しているかどうかを明らかにするためのものである。検出可能な電気器具それぞれに、一つまたは複数の活動指標を、そのようにして関連づけ、しかもそれを、電気器具の性質に応じて、且つ/またはその住居のどこにいるかに応じて、行う。一つの電気器具に関連づけられた活動指標は、その活動指標が象徴するタイプの活動がその電気器具を使用する際に実行されることとなる確率が、有意に高いか、あるいは単にないこともないかに関するものである。
【0069】
実施変形例の一つにおいては、各電気器具が、住居の中でその電気器具が置かれている部屋に関連づけられている。つぎに、各部屋に、その部屋の専用の用途である活動の性質に応じて、一つまたは複数の活動指標を関連づける。例えば、キッチンに属する電気器具はすべて、この方法でキッチンに関連づけられることになり、それゆえ、「食べる」または「食事を作る」という活動に関連づけられることになる。そのようにして、ある活動について通常は無意味な電気器具でも、この活動に関する活動指標の決定には、考慮に入れられる。例えば、キッチンの中の電灯をオンすることは、その人物がこれから食事をしようとしているとか、食事中であるとかの限りでは、意味はない。しかしながら、キッチンの中の電灯をオンすることは、ホットプレートに通電することと同時に行われているなら、その人物がこれから食事をしようとしているとか、食事中であるとかの確率を強めるものである。
【0070】
以下の表2は、電気器具、住居の部屋及び活動指標の間の関連づけを明らかにする一例である。この例において、「食べる」または「料理をする」という活動が、キッチンと結びついており、そのキッチンの電気器具の一覧表に関連づけられている。「服を着る」という活動は、寝室及びその寝室の電気器具の一覧表に関連づけられている。「家事をする」という活動は、すべての部屋及び掃除機やアイロンを含む電気器具一覧表に関連づけられている。「移動する」という活動は、すべての部屋及びすべての部屋の電気器具、特にすべての部屋の電球に関連づけられている。
【0071】
【表2】

【0072】
そのような関連づけ規則の利点は、電気器具の所在を示す正確な地図を作成する必要がないことである。そのような電気器具がある部屋に割り当てられていることだけが、記録されていて、それにより、その装置のパラメーター化の作業が相当に簡単になる。
【0073】
そのようなデータ表を用いることにより、処理サーバ150のメモリーに、ある電気器具について、ある部屋またはある活動指標について規定されている関連づけを記録することができる。そのような関連づけの記録に用いるのは、例えば、表とか、あるいは、関係データベースで、その中に記録するのは、使用可能な電気器具一覧表、部屋の一覧表、活動指標一覧表並びにそのような様々な単位の間の関連づけの関係である。他のどのような記録形式も検討に値する。
【0074】
一部屋しかない住居の場合(ワンルーム・マンションの場合)には、通常の部屋の代わりに用いられるその住居の区域に対応する「仮想の」部屋を規定することも可能である。例えば、ワンルーム・マンションでは、「キッチン」の部屋は、そのワンルームの中に設けられたミニキッチンや「キッチンコーナー」が占める、その住居の空間として定義することができる。それゆえ、本発明との関連で、部屋というのは、必ずしも、対象となる住居の部分を壁や仕切りで区分けしたものに限らず、ある機能性に割り当てられた、その住居の一部に対応するものである。
【0075】
予め規定した関連づけ規則に基づき、本発明の方法のステップS230の実行に先立ち、重み係数を決定する。検出可能な電気器具のそれぞれと、その電気器具が関連づけられる活動指標のそれぞれについて、その活動指標が象徴するタイプの活動が、その電気器具を使用する際に行われる確率を表す重み係数を決定する。換言すれば、その電気器具を使えば使うほど、その人物が、あるタイプの活動を行っていることが確認できるし、その活動を行うためにその電気器具に関連づけられる重み係数がさらに大きくなることになる。
【0076】
例えば、「キッチン」という部屋の性質である「食べる」という活動の活動指標については、「ホットプレート」という電気器具の重み係数は、キッチンの中の「電球」という電気器具よりも大きくなるのである。事実、その人物がキッチンの電気をオンするよりは、ホットプレートを使う場合の方が、その人物が食事をする確率は高くなる。
【0077】
できれば、ある電気器具とある活動タイプとに関する重み係数は、以下のいずれかの少なくとも一つの基準に従ってバランスを取るのが望ましい。
・一日のうちの時間帯、
・そのタイプの活動に関連づけられた電気器具の総数、
・そのタイプの活動に関連づけられ、検出された電気器具の総数、
・その電気器具の通電継続時間、
・その電気器具を通電したり切ったりした回数、
・外気温度、
・季節、
・曜日、
・本人確認データの信頼度、
・その人物の習慣、
・その同じタイプの活動に関連づけられた電気器具のうち、その電気器具の直前または直
後に通電したものの数。
【0078】
一日のうちの時間帯は、あるタイプの活動を達成するまで通常の時間を特性化するために用いられる重みを与える基準である。その電気器具を普通の時間帯で使用する場合には、活動指標並びにその電気器具に割り当てられた重み係数は、その時間帯を外れて使用した場合よりも高くなることになる。例えば、ホットプレートが11時30分と14時30分の間か18時と21時の間で通電した場合には、「食べる」活動指標は、それが午前4時に通電した場合よりも大きくなることになる。
【0079】
活動指標は、また、同じ部屋の中にある一覧表に記載された他の電気器具の状態(オンかオフか)にも左右される。事実、幾つかが同時にオンしていれば、その人物がそのタイプの活動を達成している確率は大きくなり、活動指標も高くなる。例えば、換気用フードをホットプレートと同時に始動させると、「食べる」活動を達成している確率は、換気用フードだけしかなかった場合よりも大きい。それゆえ、ある活動指標は、できれば、その活動指標に関連づけられた電気器具に割り当てられた重み係数全てに基づき、決定することが望ましい。
【0080】
さらに、電気器具の数とタイプは住居それぞれによって異なるのであり、活動指標の計算も、様々な重み係数に応じてできなければならない。例えば、Aという人物は、キッチンにホットプレートしか装備しておらず、Bという人物は、電気器具を10台も装備している場合には、活動指標の計算には、電気器具の数を勘定に入れなければならない。事実、二人の人物の電気器具に同じ重み係数を割り当てると、確かに達成したにもかかわらず、「食べる」という活動の達成を有効と認めるに足りるだけの高さの活動指標をAという人物の方は得られないことになってしまう。
【0081】
また、活動指標は、その電気器具がオンしている時間によって変化しうるものであるが、
それは電気器具がオンしているということが適切なのは、前もって規定しておくべき一定の最短使用時間に基づいている場合に限られるという意味である。例えば、オーブンが30分間作動させられるなら、それは活動指標の計算に組み入れられることになる。しかし、それが一分間オンしていただけで、消えてしまったら、そのような使用は活動の計算には勘定されない(重み係数ゼロ)あるいはより小さな重み係数をもってのみ勘定されることになる。
【0082】
検出されたある電気器具をオンしたりオフしたりした数が、その電気器具の通常の使用に対応するものなら、その場合には、その電気器具に関連づけられた重み係数と、それゆえに、そこから導き出される活動指標はその分だけ高くなることになる。
【0083】
さらに、ある電気器具に関連づけられた重み係数には、季節だけでなく、気候と外気の温度とを勘定にいれるべきであり、しかも余分なセンサを付け加えるべきでない。例えば、真夏には、よく晴れた日の正午には、部屋の中の日当たりが十分なので、電灯を点けずに部屋の中で料理をして食事をする人物も出てくることが考えられる。ある電気器具の起動を検出した日付を用いて、あるいは日の出と日没または日照時間に応じて、あるいは季節かその季節について算定された平均温度に応じて、照明器具の重み係数を調整する。
【0084】
一つの電気器具に関連づけられた重み係数、そしてそれゆえに、そこから導き出される活動指標は、検出が行われたという信頼度の評点にも左右される。検出された電気器具について不確実な場合には、それが起動したことは、活動の計算に勘定に入れないか、あるいは、より小さな重み係数をもってのみ勘定に入れる。
【0085】
できれば、様々な重み係数の決定は、見守りの対象となる人物の習慣について医師が知る情報を勘定に入れ、且つ/または患者のところで前もって行われ、その人物の生活習慣、例えば、移動の回数、食事の時間割、もっとも居ることの多い部屋、使われることのない電気器具、様々な時間の使い方をする曜日などについても参考に入れる、試運転の段階に応じて、行われるのが望ましい。
【0086】
活動指標は、同時に使用される電気器具だけである、同じ部屋で、他のもう一つの電気器具の直前または直後に使用される電気器具や、一定の時間帯を通じて使用される電気器具に応じて、より精緻なものにすることもできる。例えば、ホットプレートを消した後、オーブンを始動させると、食事をする確率は、オーブンだけしかない場合よりも、大きくなる。
【0087】
以下の表3は、ある電気器具に割り当てられた重み係数において一日の時間帯を勘定に入れる一例を示している。この例において、「食べる」活動指標の決定の際に、対象となる電気器具の所定の一覧表に記載されるのは、電球、ホットプレート、電子レンジ、湯沸かし、コーヒーメーカー、トースター、冷凍庫、換気用フード及び冷蔵庫である。トースターを通電するのを検出するのが午前5時から9時の時間帯に起きれば、その検出が他の時間帯で生じるよりも、重み係数が高くなる。同様に、冷凍庫の使用を検出するのが、11時から14時の時間帯に生じるなら、その検出が他の時間帯で生じるよりも、重み係数が高くなる。対象となる時間帯はさらに、曜日にも応じて変化する。
【0088】
【表3】

【0089】
以下の表4は、ある電気器具に割り当てられた重み係数において、もう一つの重み係数基準、即ち使用継続時間を勘定に入れる一例を示している。各電気器具につき、適切な最短使用継続時間が規定されており、それを下回る時間では、ある電気器具の使用を検出しても、それは、所定の活動について勘定に入れられることはない。そのような最小のデータは例えば以下のように選択される。
【0090】
【表4】

【0091】
重み係数についての様々な重み係数基準の影響や、あるいは、活動指標の計算は、点いている時間や使用時間帯について説明したのと同様に、勘定に入れてよい。
【0092】
一般的に、実際に行われた検出に左右されない基準(例えば、その人物の習慣、時間帯、季節、住居の電気器具レベルに結びついた基準)に関連づけられた重み係数は、できれば、表により、予め規定されていることが望ましい。実際に行われた検出に左右される、その他の重み係数(例えば、検出された電気器具の数、その検出の信頼度の評点、その電気器具がオンしている時間に結びついた基準)の方は、記録された追跡データに基づいて動的に決定される。
【0093】
複数の重み係数基準を勘定に入れるについては、幾つもの方法が考えられる。
【0094】
第一の方法によると、ある活動指標を決定する上での電気器具の使用の適切さを、そのような基準により、象徴する総合的な重み係数を決定する。このような総合的な重み係数は、例えば、重み係数化した平均により、あるいは、(重み係数が0と1の間で標準化されている場合には)個別に考慮された基準のそれぞれにより得られた重み係数を掛け合わせることにより、得られる。
【0095】
この第一の方法を活用する変形例の一つによると、様々な時間帯、ある曜日や暦の上の様々な期間に関連づけられた重み係数は、様々な表の中に保存され、一つの表が、毎回、一つの時間帯、一つの曜日、そして、暦の上のある一つの期間に対応している。
【0096】
第二の方法によると、様々な重み係数基準を適用するために、連続的に反復して処理する。例えば、午前の5時から9時の時間帯(朝食)について「食べる」活動指標を決定するためには、以下のステップを実行する。
・記録された追跡データの中から、この時間帯で検出された電気器具についてのデータの
みを取り上げ、
・選択した電気器具の中から、「食べる」活動について適切なもののみ、つまり、キッチ
ンに関連づけられたもののみを取り上げ、
・それらのうちから、使用継続時間が最短使用継続時間を上回るもののみを取り上げる。
【0097】
取り上げたの重み係数は所定のものであり、それは例えば1と3の間に固定されていて、3という重み係数は最も高いレベルの確率に対応するものである。その場合、以下の三つの場合が示される。
a)電気器具のうちの一つの重み係数が少なくとも3なら、活動指標は少なくとも75%で
あり、
b)そうでなければ、電気器具のうちの一つの重み係数が少なくとも2なら、活動指標は少
なくとも60%であり、
c)キッチンの中にいるということが示されているだけで、活動指標は0から60%の間に
設定され、0%という値と60%という値の間の重み係数の付加は、その活動指標と、その時間帯に関連づけられた電気器具の間で、検出された電気器具のうち、重み係数が1のものの割合に応じたものである。
【0098】
ステップa)では、活動指標の値は75%と100%の間に含まれるものになり、100%という値は、その活動指標とその時間帯に関連づけられた電気器具すべての検出に対応するものである。75%という値と100%という値との間の均衡化は、この活動指標とこの時間帯について検出された電気器具の数によって、そして、そのような電気器具のそれぞれの重み係数に左右される。75%と100%の間に残る25%は、できれば、ステップa)で重み係数3で検出されたものは別にして、その活動指標に関連づけられた電気器具の重み係数に比例して割り当てられるのが望ましい。したがって、例えば、残る25%について対象となる電気器具が重み係数3ならば、そのうちの二つの重み係数は2で、一つの重み係数は1で、最初の二つはそれぞれ10%ずつの確率を示し、最後のものの確率は5%である(2×10%+1×5%=25%)。そのため、重み係数が2の電気器具一つに割り当てられた確率は、重み係数1の電気器具一つの確率の倍であると考えられる。
【0099】
それゆえ、ステップa)で重み係数2の電気器具が一つだけ検出されるなら、最終的に得られる活動指標は、
75%+10%=85%である。
【0100】
重み係数2の電気器具が一つと重み係数1の電気器具一つが検出されるなら、最終的に得られる活動指標は、
75%+10%+5%=90%である。
【0101】
ケースb)では、その活動指標の値は60%と75%の間に含まれるものとなり、75%という値は、重み係数が3のものは別として、その活動指標とその時間帯に関連づけられた電気器具すべてを検出したことに対応するものである。60%という値と75%という値との間の均衡化は、この活動指標とこの時間帯について検出された電気器具の数、そしてそのような電気器具のそれぞれの重み係数に左右されるものである。60%と75%の間に残る15%は、できれば、ステップb)で重み係数2で検出されたものは別として、そして、重み係数が3のものは別として、この活動指標に関連づけられた電気器具の重み係数に比例して配分されるのが望ましい。
【0102】
一般的な原則は、要するに、重み係数により処理するということで、それにより、一連の均衡化基準の活動指標を計算上、統合することができるだけでなく、さらに活動指標の決定を個々人に合わせて行う上での大きな柔軟性を可能にできる。重み係数は実際、見守り追跡の対象となる人物の生活様式及びその住居の電気器具のレベルに適合させることが可能であり、それにより、様々な活動指標を完全に個々人に合わせて決定することができる。
【0103】
図3のステップS230では、処理サーバ150が、ある一つの期間に関する各活動指標の決定を、この期間内に検出され、この活動指標に関連づけられた電気器具について決定された重み係数に基づき、行う。そのようにして決定された活動指標は、事実、その活動指標が象徴するタイプの活動を行う確率である。この活動指標の値は、できれば、例えば、0から100%の間、0から10%の間、0と1%の間に含まれる所定の尺度に応じて規定されるのが望ましいが、さもなければ、他のどのような尺度に従ってもかまわない。
【0104】
実施変形例の一つにおいては、「移動する」活動についての活動指標の決定は、以下のいずれかから選んだ少なくとも一つの値に基づき、行われる。
・前記環境の所定の二部屋の間の移動の数、
・いずれか二部屋の間の移動の総数、
・所定の一部屋を占有する継続時間。
【0105】
「移動する」活動は、実際、相応しい決定方法が活動指標に必要な、特殊な活動である。一つの電気器具を通電したり切ったりするのが検出されるたびに、検出されたばかりの電気器具の所在が確認される部屋と、先に検出された電気器具の所在が確認される部屋とを比較し、二つの部屋の間で移動があったかどうかを決定することが可能である。例えば、浴室で電動髭剃りを通電したのに続いて、キッチンで電灯を通電したことを検出することにより、キッチンと浴室の間で移動があったこと、その移動の出発点は浴室であると結論づけることが可能である。到着した部屋と出発した部屋とが同一なら、移動は記録されない。逆の場合には、一対の部屋ごとに移動のカウンタが増分されていく。
【0106】
出発点となる所定の部屋と到達点となる所定の部屋とが、別々の二部屋である場合、その間の移動に対応するタイプの移動の観念を、本発明の趣旨と矛盾しない限りにおいて、導入する。それゆえ、各一対の部屋に、一つのタイプの移動が対応する。
【0107】
「移動する」活動指標については、固定された各電気器具のそれぞれに、その電気器具の配置される部屋を関連づけ、そして各一対の部屋に、あるタイプの活動を関連づける。それゆえ、他の活動指標を決定するために、そのような電気器具と部屋との間で規定される関連づけは、移動の回数を移動のタイプにより両立可能なものにするためにも用いられる。
【0108】
所定の期間を通じて検出された移動の数を、例えば、各タイプの移動について移動の数を示すマトリックスの形で、表の中に記録する。以下の表5はそのような記録の一例である。
【0109】
【表5】

【0110】
一つの変形例においては、各部屋を占有する時間を移動の数の測定と相関関係をもたせつつ、測定する。このような二つの測定値の間の相関関係を図4aと図4bとに示す。図4aは一日のうちで幾つかの部屋を占有する時間を示す図の一例である。(寝室、トイレ、浴室、キッチン、ダイニングルームの)各部屋を、その図の凡例に従って、一つのタイプの模様または所定の線影を示す長方形により識別している。その人物が居た部屋は、時系列で示すと、(ピエス(部屋)の頭文字Pをもって表示する)、
・寝室P1、
・浴室P2、
・キッチンP3、
・ダイニングルームP4、
・トイレP5、
・その他
【0111】
検出された移動もまた、それら自体が、図4bに時間の経過と共に示されていて、各移動は、時間軸の上に、垂直の線で示されている。相次いで滞在した複数の部屋は、図4aに記載されており、そのような部屋に対応して行われた移動を時系列で示すと、
(デプラスモン(移動)の頭文字dをもって表示する)、
・寝室から浴室への移動d1、
・浴室からキッチンへの移動d2、
・キッチンからダイニングルームへの移動d3、
・ダイニングルームからトイレへの移動d4、
・その他
【0112】
一つの変形例においては、「移動する」活動指標の測定については、対象となる時間帯とそこで通常展開される活動に密接な関連のある移動しか取り上げない。
【0113】
それゆえ、そのような移動と、そのような移動の日付と時刻との検出結果に基づき、各部屋の滞在時間並びに各部屋の滞在の時間割を推論することは容易である。できれば、各部屋に最短滞在時間を割り当て、それを下回れば、その部屋には滞在しなかったと考えることにするのが望ましい。その場合には、滞在は記憶されず、相関関係の上で発生した滞在も取り上げない。
【0114】
「移動する」活動指標全体の決定は、例えば、移動の総数を決定して行われる。一つの変形例においては、この値の重み係数の付与は各部屋の滞在時間の平均に応じて行われる。実際、このような滞在時間が短く、そして、移動の頻度が高ければそれだけ、それが、可動性がより大きいことの指標となる。
【0115】
移動もしくは部屋での滞在に関する活動指標及びその他の数値を含む、利用データを、つぎに、図3のステップS240で基準データの集合あるいは全体集合である集合データ241と比較し、それにより、ステップS250で、その環境を所定の期間にわたって調べる場合に、その人物がその環境の中で行う活動の通常の特性を表す総合的な相対的活動指標を決定する。このような総合的な情報により、異常が生じた場合には、ステップS260で、アラームを発生するか、あるいは、通信ネットワーク50を介して、緊急係員、医師、親族その他の、介入してくれそうな人物にメッセージを送ることができる。
【0116】
処理サーバ150により決定される総合的な相対的活動指標が利用端末180に伝送される。利用端末180は、この活動指標に基づき、アラームを発生すべきかどうかを決定する。実施変形例の一つにおいては、利用データは、その利用端末のディスプレイ手段182の上に表示され、活動指標を見守ることを任され、表示された利用データに鑑み、アラームを発生すべきかどうかを評価するのは、例えば医師のような自然人であるシステムの管理者190である。
【0117】
ステップS240で用いられる全体集合データは、各基準値で構成され、これら各基準値は、日常の大きさの数値が決定される期間と同じ、(24時間、1時間、所定の時間区分についての)所定の期間を通じて得られた利用データに対応する様々な大きさの平均値に対応することが望ましい。そのような大きさに含まれるのは、例えば、
・上記に説明したさまざまな活動指標、
・各タイプの移動について実行された移動の数、
・移動の総数、
・各部屋の滞在時間、
・各部屋に滞在する一つまたは複数の時間帯、
・移動及び活動の時間割、
・さまざまな部屋での滞在の時間割、
・各電気器具について通電したり切ったりする時間割、
・電気器具すべてをひっくるめての通電したり切ったりする時間割である。
【0118】
そのような全体集合データに基づき、以下のような、幾つかの、そのタイプの異常な状況を検出することが可能である。
・ある部屋の滞在がなくなっているか、控えられている、
・移動の頻度が低下または上昇している、
・所定の時間帯での異常な移動の数、
・活動指標が低下しているか、異常に低い。
【0119】
ある人物について、活動指標の平均が低くなることがあるが、対象となる人物にとってはそれが異常になるとは限らない。全体集合データを構成するにつき、見守り追跡の対象となる人物にとって「正常」なこと、つまり、統計上の平均に対応することを測定する。その全体集合データは、できれば、その参照データの各数値の平均値だけであく、その数値の分布の一つの標準偏差も計算して得られることが望ましい。その状況の特性が異常となるのは、対象となる期間について決定された移動の総数が、対応する標準偏差と釣り合った値を差し引いた全体集合データの平均値、例えば、標準偏差の二倍を下回る場合である。
【0120】
異常な特性を検出する、その同じ原則は、全体集合の他の数値、例えば、所定のタイプの移動についての移動の数、一つの部屋に滞在する時間区分、活動指標の数値などに、適用可能である。
【0121】
できれば、測定によって得られた平均値を、その見守り追跡の対象となる人物との面接で補完し、それにより、その人物の習慣を知り、場合によっては、そのような習慣に応じて、その全体集合のデータの均衡化を行うのが望ましい。このような面接は、また、その人物がその週のうちのまたは、その日のうちの所定の時刻に住居に不在であるかどうかを決定することを目的とするものでもあって、それにより、そのような時刻に検出がない場合にもアラームを発生しないようにする。できれば、その週のうちののことなる曜日に関する大きさの数値の間で、全体集合データの区別を確立するのが望ましい。予め決定しておく重み係数もまた、既に説明したように、そのような面接の結果に応じて調節可能である。
【0122】
できれば、全体集合を、例えば毎月、六ヶ月ごと、あるいはその他の周期性で、定期的に、検出した新しい平均値に応じて、更新するのが望ましい。従って、その人物の活動の変遷を追跡し、時間の経過とともに進行するその人物の活動の正常な変遷であるものと、その活動のその時点での異常な変化から来るものとの間の区別をつけることが可能になるような再調整を恒常的かつ自動的に行うことができる。
【0123】
その目的に沿って、総合的な相対的活動指標の決定を、算定された大きさの数値と、対応する大きさの基準値との間の違いのすべてを拡大して行う。一切の変化は、たとえそれが全体集合によって規定された正常な特性に比べて小さいものでも、拡大される。例えば、基準の活動指標の平均値が75%で標準偏差が10%で、算定された活動指標が50%だけなら、その算定された活動指標と正常な状態の閾値との間の差は、
(75%−2×10%)−50%=5%である。
【0124】
この差を拡大するのは、100%の総合的な相対的活動指標(正常な特性を示す相対的活動指標)を与えるためではなく、例えば、80%の総合的な相対的活動指標のような、少なくとも5%だけ減少した総合的な相対的活動指標を与えるためである。さらに他の幾つかの活動指標の値が異常である場合には、その総合的な相対的活動指標は非常に急速に低下していく。それが低下して0%に近づいていけばそれだけ一層、異常な特性が強調される。
【0125】
一つしかない測定値の形で、総合的な相対的活動指標を生成することにより、利用端末が、すべての人物について決定されたデータを集める限りは、同一の利用端末を用いて、大勢の人物を自動的に見守ることができる。それにより、この総合的な活動指標の値に基づいて、アラームを発生することができる。
【0126】
その総合的な相対的活動指標について、そのようにして、閾値を規定し、その値のそれぞれがアラームのレベルに対応している。例えば、
・80%の閾値を下回る総合的な相対的活動指標の値が第一のアラームレベルを生ぜし
め、それが例えば、その見守られる人物の近くにいる人物に電子メールや電話での伝言を送ることになり、
・50%の閾値を下回る総合的な相対的活動指標の値が第二のアラームレベルを生ぜし
め、それが例えば、主治医に通報することになり、
・20%の閾値を下回る総合的な相対的活動指標の値が第三のアラームレベルを生ぜし
め、それが例えば、救急隊に通報することになる。
【0127】
選択肢として、利用データをそのまま全部、利用端末180に伝送し、それにより、そのようなデータの利用を任されたシステムの管理者190が,非常に迅速に、その総合的な相対的活動指標が知られる異常は要するに何なのかを確認し、そして特に異常に低下している一つまたは複数の活動指標はどれなのかを確認できるようにするというのもある。そのような利用データは、できれば、図4a〜図4cに示されたものと類似の、目に見える形で、利用端末180に表示し、それにより、利用データの素早く解釈するのをやりやすくするのが望ましい。図4aと図4bは既に説明した。図4cは、以下のさまざまな活動指標について決定された数値を目に見える形で示した一例である(アクティヴィティ(活動)の頭文字Aをもって表示する)。
・「服を着る」活動A1の活動指標の数値が92%、
・「トイレに行く」活動A2の活動指標の数値が92%、
・「体を洗う」活動A3の活動指標の数値が99%、
・「食べる」活動A4の活動指標の数値が34%。
【0128】
結論として、本発明により、人物の活動を遠くから、その住居の配電網上に発生する電気信号に基づき、しかも、数多くのセンサを設置したりする必要もなく、見守ることができる。検出を行なった後に記録した追跡情報の利用は、見守り追跡の対象となる人物の活動の正常な特性を示す基準データと比較することにより、行われる。活動指標の算定は、検出された電気器具に応じて、そして、その人物の活動の統計的知識(参照データ、その人物の習慣)と、一つの電気器具を一つの活動に関連づける規則とに基づき、決定アルゴリズムを、その人物の電気器具のレベルに、その人物の生活習慣に、検出条件などに適合させることのできる重み係数基準に基づいて、行われる。そういうわけで、本発明により、非常に簡単な検出手段と、重み係数により処理する方法に基づき、その人物を見守る上での高度の精密さと信頼性を達成することができる。さらに、本発明は、総合的な相対的活動指標を一つ決定することにより、大勢の人々を同時に見守るのに適しており、その総合的な相対的活動指標に基づき、予防措置を完全に自動的に開始することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明に係る遠隔人物追跡方法を実施するためのシステムの一実施例
【図2a】電気器具の作動を検出可能にする手がかりとなる電気信号の例
【図2b】電気器具の作動を検出可能にする手がかりとなる電気信号の例
【図3】本発明に係る遠隔人物追跡方法のフローチャートの例
【図4a】対象の人物が一日のうちで占有する部屋ごとの時間の例
【図4b】対象の人物が一日のうちで部屋間を移動する活動の時刻経過の例
【図4c】対象の人物の各活動ごとの活動指標の値の図解
【符号の説明】
【0130】
50 通信ネットワーク
100 住居
101 電灯
102 コーヒーメーカー
103 電気器具
105 配電網
110 検出装置
112 人物
115 検出モジュール
116 データ処理モジュール
117 通信手段
150 処理サーバ
151 データ処理手段
152 通信手段
153 データ記録手段
180 利用端末
181 通信手段
182 ディスプレイ手段
183 データ処理手段
190 システムの管理者
231 重み係数の基準
232 関連づけ規則
241 データ集合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
住居の中にいる人物の活動を遠くから見守り追跡する遠隔人物追跡方法であって、下記のステップ、
a)住居の配電網上で、それぞれ、その住居の電気器具の動作の電気的状態が変化する際その電気器具から生じる所定の電気信号を検出するステップ、
b)そのようにして検出された信号につき、それを何時、検出したのか、その信号の発信源にあった電気器具は何か、それに対応する電気的状態の変化はどのようなものかに関する情報を含む追跡データを、発生させるステップ、
c)所定の時間中に発生したそのような追跡データに基づき、その人物が行なった活動の評価を決定するステップ、
からなることを特徴とする、遠隔人物追跡方法。
【請求項2】
前記活動の評価の決定は、前記所定の時間中にその人物があるタイプの活動を行っている確率を示す活動指標の形で行う、請求項1記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項3】
遠隔人物追跡方法であって、下記のステップ、
・各活動指標に、ある電気器具を関連づけるステップ、
・ 一つの活動指標に関連づけられた電気器具それぞれにつき、その電気器具の電気状態の変化を引き起こす行動を、その人物がその電気器具に行なったときに、その活動指標が示すタイプの活動が行われる確率を表す重み係数を決定するステップ、
・ その活動指標に関連づけられた電気器具について決定された重み係数に基づき一つの活動指標を割り当てるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項4】
前記住居の中での、ある時間を通じての、その人物の活動の正常な特性を示す相対的活動指標の決定を、同一の時間について決定された活動指標に基づき、その人物の同じ時間を通じての活動を示す基準データと比較することにより行うステップをさらに含むことを特徴とする、請求項2記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項5】
前記相対的活動指標の値を条件として、アラームを発生することをさらに含むことを特徴とする、請求項4記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項6】
遠隔人物追跡方法であって、
所定の電気器具と、所定のタイプの活動とに関する重み係数の調整を、
・一日のうちの時間帯、
・その活動指標に関連づけられた電気器具の総数、
・その活動指標に関連づけられ、検出された電気器具の総数、
・その電気器具の通電継続時間、
・その電気器具に通電したり切ったりした回数、
・外気温度、
・季節、
・曜日、
・本人確認データの信頼度、
・その人物の習慣、
・ その同じ活動指標に関連づけられた電気器具のうち、その電気器具の直前または直後に通電した電気器具の数、のうちのいずれかから選ばれる基準に従って行うことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一つに記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項7】
遠隔人物追跡方法であって、
・前記の二部屋の間の移動の数、
・いずれか二部屋の間の移動の総数、
・所定の一部屋を占有する継続時間、
の中から選んだ少なくとも一つの値に基づき、活動指標の決定を行うことをステップc)に含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一つに記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項8】
遠隔人物追跡方法であって、
一つの電気器具の電気的状態の変化が、その人物がその電気器具に行なった行為の結果として生じるのであり、その行為は、その電気器具またはその電気器具の電気系統の部分集合に通電したり切ったりすることを含むもの一群の行為に属するものであり、その追跡データに含まれるのは、対象となる電気器具のその電気的状態の変化の源になる行為の性質を含む、請求項1〜7のいずれか一つに記載の遠隔人物追跡方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一つに記載の遠隔人物追跡方法を活用するのに適したデータ処理サーバであって、
・住居の配電網上で、それぞれ、その住居の電気器具の動作の電気的状態が変化する際に
その電気器具から生じる所定の電気信号を検出することのできる検出装置で通信ネットワークを介して通信するための通信手段と、
・検出された各電気信号を分析することにより生成され、検出時と、信号の発信源の電気
器具と、対応する電気的状態の変化とに関する情報を含む、追跡データを記録するためのデータ記録手段と、
・所定の時間内に生成された前記追跡データに基づき、その人物が行なった活動の評価を
少なくとも一つ決定することのできるデータ処理手段と、
を含むことを特徴とする、データ処理サーバ。
【請求項10】
住居の中にいる人物の活動を遠くから見守る遠隔人物追跡装置であって、
・住居の配電網上で、それぞれ、その住居の電気器具の動作の電気的状態が変化する際に 、
その電気器具から生じる所定の電気信号を検出することのできる検出モジュールと、
・検出された各電気信号につき、検出時と、信号の発信源の電気器具と、対応する電気的
状態の変化とに関する情報を含む、追跡データを生成するための分析手段と、
・所定の時間内に生成された前記追跡データに基づき、その人物が行なった活動の評価を
少なくとも一つ決定することのできるデータ処理手段と、
を備えた、遠隔人物追跡装置。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公開番号】特開2007−48265(P2007−48265A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78176(P2006−78176)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(591034154)フランス・テレコム (290)
【Fターム(参考)】