説明

体液、細胞および組織中のリパーゼおよび/またはホスホリパーゼを阻害するための因子およびそれを含む組成物

本発明は、代謝症候群、心臓血管障害及び炎症性疾患の予防及び治療のための体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するタンパク質、及び前記タンパク質を含む組成物に関する。前記タンパク質は、植物種から分離されるか或いは組換えDNA技術により合成又は生成される。最も好ましい実施形態において、本発明のタンパク質は、5〜100個のアミノ酸残基を含有し、分子量が0.5〜10kDであり、グリコシル化を有するかまたは有さない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ酵素を阻害又は軽減するタンパク質及びその組成物に関する。本発明に記載のタンパク質及びその組成物は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及びホスホリパーゼ酵素活性がもたらす臨床的な症状発現及び疾患の予防又は治療に有用である。本発明は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ酵素の阻害剤であるタンパク質の分離、精製、特徴付けに関する。本発明は、トリプシン不活化に対して精製タンパク質の安定な組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
(先行技術の説明)
リパーゼ及びホスホリパーゼは、哺乳動物の代謝の重要な制御要素である。これらは他の代謝酵素クラスとは区別される共通の特徴を数多く共有しており、中でも最も重要なのが、これらの「二次元」基質、即ち、脂肪の小滴、リポタンパク質、リン脂質層、生体膜との結合であり、結果として開裂機序及び調節に影響を及ぼしている。
【0003】
膵リパーゼ(PL)は、トリグリセリドを部分的に加水分解し、胆汁酸と共に複合体を形成し、腸粘膜を経て吸収される脂肪酸とモノグリセリドとを得るのに効果的であると考えられている。肝リパーゼ(HL)及びリポタンパク質リパーゼ(LPL)の2つは、循環血漿リポタンパク質中に存在するトリグリセリド及びリン脂質の加水分解を担う主な脂肪分解酵素である。何れのリパーゼも細胞表面プロテオグリカンを介して血管内皮に付着する。HLは主にカイロミクロンレムナント、中間密度リポタンパク質及び高密度リポタンパク質の代謝に関与しているのに対して、LPLはカイロミクロン及び超低密度リポタンパク質からのトリグリセリドの加水分解を触媒する。こうした脂肪分解酵素としての従来の機能に加えて、HL及びLPLは、細胞表面受容体及び/又はプロテオグリカンへのリポタンパク質の相互作用を媒介するリガンドとして働くようである。
【0004】
肝臓外の部位でのトリグリセリドリッチリポタンパク質結合脂肪酸の蓄積及び分布はLPLにより促進される。この酵素は又、全リポタンパク質粒子及び親油性ビタミンの細胞の取り込みを含めた幾つかの非脂肪分解に関連する機能に関与している。種々の脂質障害、肥満及びアテローム硬化症の病因には、LPL発現の組織特異的な変異が関わっている。血管壁の細胞、特にマクロファージにより発現したLPLには、泡沫細胞形成及びアテローム硬化症の促進に寄与する酵素の作用が更に確認された。コレステロールエステル転移タンパク質及びリポタンパク質リパーゼ系に特異的に作用する薬剤の開発が進められている。
【0005】
過去数年間にわたり、HL及びLPLがリポタンパク質代謝及びin vivoのアテローム硬化症の発症を調節する新規の代替機序についての本発明者の理解において大きな進歩を遂げた。又、トリグリセリドリッチリポタンパク質の血管内代謝についての本発明者等の理解にも進歩が見られた。今では、トリグリセリドリッチリポタンパク質結合アポリポタンパク質E、リポタンパク質リパーゼ及び肝リパーゼと、ヘパラン硫酸プロテオグリカン及びリポタンパク質受容体との複雑な細胞外相互作用が、トリグリセリドリッチリポタンパク質の肝細胞内への取り込みを促進することが知られている。最近の研究では、取り込まれたトリグリセリドリッチリポタンパク質の細胞内運命が極めて複雑であることも明らかになった。細胞内エンドソーム区画内部のトリグリセリドリッチリポタンパク質成分の単離には、アポリポタンパク質Eの再循環が含まれるのに対して、アポリポタンパク質Bと結びついている残りの脂質コアは、リソソームによる分解の影響を受けやすい。
【0006】
糖尿病患者におけるアテローム硬化症の高い発症率は、マクロファージのLPL活性と相関している。多くの証拠が集まったことにより、血管壁でマクロファージがLPLを生成すると、病変内部では脂質の蓄積が促進され、アテローム硬化症の発症が助長される場合があることが示唆されている。
【0007】
代謝症候群及び心臓血管障害を治療する薬剤標的としてのリパーゼの可能性がますます認められている。現在、脂質の吸収及び代謝に関する疾患の最先端療法は、体液、細胞及び組織のリパーゼ活性を阻害又は軽減すべきであると考えられている。
【0008】
リパーゼ阻害剤は、種々の天然産物、特に微生物供給源に由来するものが報告されている。このような阻害剤の例には、トリグリセリド及びコレステロールエステルの加水分解を阻害するストレプトマイセス種由来のリプスタチン及びパンクリシンA−E又はこれらの合成誘導体が含まれており(Hochuliら、Lipstatin,and Inhibitor of Pancreatic Lipase,Produced by Streptomyces Toxytricini,II.Chemistry and Structure Elucidation,J.Antibiot.(Tokyo),1987 Aug.,40(8):1086−91;Fernandezら、Effects of Tetrahydrolipstatin,a Lipase Inhibitor,on Absorption of Fat from the Intestine of the Rat,Biochim.Biophys.Acta.,1989 Feb.20,1001(3):249−55;Yoshinariら、Panclicins,Novel Pancreatic Lipase Inhibitors,II.Structural elucidation,J.Antibiot.(Tokyo),1994 Dec.,47(12):1376−84)、肥満の治療に使用されている(特許文献1)。しかも、幾つかの分子がCassia nomameから分離したタンニンを含む植物供給源から同定されている(特許文献2)。LPLはアテローム硬化症の病因に関与していることが明らかにされている(Meadら、Lipoprotein Lipase,a Key Role in Atherosclerosis?,FEBS Lett.,1999 Nov.26,462(1−2):1−6)。LPLの阻害はアテローム硬化の進行を予防すると考えられている(Zimmermanら、Lipoprotein Lipase Mediates the Uptake of Glycated LDL in Fibroblasts,Endothelial Cells,and Macrophages,Diabetes,50,1643−1653,2001)。
【0009】
ホスホリパーゼは、膜リン脂質に特異的に作用して加水分解し、シグナル伝達及び炎症プロセスに関わるメディエーターを産生する。アラキドン酸の産生では、ホスホリパーゼA2(PLA2)の役割は周知であり、ロイコトリエン及びプロスタグランジン合成を担っている。PLA2阻害剤は、種々の炎症性疾患及び変性疾患の薬剤として提唱されている。リポタンパク質関連ホスホリパーゼA2がアテローム硬化症に関与することが明らかにされており、アテローム硬化症の治療のためにリポタンパク質関連ホスホリパーゼA2を阻害することが提唱されている(Leachら、Lipoprotein−Associated PLA2 Inhibition−A Novel,Non−Lipid Lowering Strategy for Atherosclerosis Therapy,Farmaco,2001 Jan−Feb,56(l−2):45−50)。
【特許文献1】米国特許第5,540,917号明細書
【特許文献2】米国特許第5,629,338号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(要旨)
本発明は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ酵素を阻害又は軽減するタンパク質、及び前記タンパク質を含む組成物に関する。本発明に記載のタンパク質及び前記タンパク質を含む組成物は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ酵素活性がもたらす臨床的な症状発現及び疾患の予防又は治療に有用である。
【0011】
好ましい実施形態において、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼ阻害活性を有するタンパク質は、組換え技術により合成、生成するか又は天然の供給源から分離することができる。
【0012】
最も好ましい実施形態において、タンパク質は、Moringa属に属する植物種の種子から分離される。
【0013】
好ましい実施形態において、タンパク質は、簡潔で、効果的であり、費用効率が高いプロセスにより精製される。
【0014】
最も好ましい実施形態において、タンパク質は、トリプシン阻害剤と合わせることによりトリプシン不活化から保護される。
【0015】
好ましい実施形態において、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するための組成物は、本発明に記載のタンパク質の治療有効量及び薬学的に不活性なアジュバント、希釈剤又は担体を含む。
【0016】
好ましい実施形態において、本発明に記載のタンパク質を含むリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するための組成物は、他の有効成分と合わせられ得る。
【0017】
本発明に記載のタンパク質又は前記タンパク質を含む組成物は、生理的条件下でリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害する能力があると考えられており、それによって代謝症候群、心臓血管障害及び炎症性疾患の予防又は治療に即した有効性があると考えられる。
【0018】
好ましい実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、代謝症候群、心臓血管障害及び炎症性疾患の予防及び治療のために、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するのに有用である。
【0019】
別の実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、肥満、糖尿病及びアテローム硬化症のような代謝障害の予防又は治療に使用することができる。
【0020】
更に別の実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、単球系細胞、血管細胞、肝細胞及び脂肪組織に脂質が蓄積するのを阻害又は軽減するのに使用することができる。
【0021】
更に別の実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、ホスホリパーゼの活性化及び/又は作用によって引き起こされる関節炎、アテローム硬化症及び敗血症性ショック等の炎症性疾患の予防又は治療に使用することができる。
【0022】
更に別の実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、皮膚及び頭髪の手入れ用及び美容調製物(cosmetic preparation)のために使用することができる。
【0023】
更に別の実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼを分泌する微生物病原体によって引き起こされる細胞及び組織の損傷の予防又は治療に使用することができる。
【0024】
リパーゼの阻害特性に基づく更に別の実施形態において、タンパク質を含む組成物は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ活性によって引き起こされるか、または悪化させる疾患を治療及び予防する動物薬において使用することができる。
【0025】
好ましい実施形態において、本発明は、代謝症候群、心臓血管障害及び炎症性疾患を予防及び治療するための体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼの阻害に有用な、タンパク質を単独でか、又は薬学的に許容される適切なアジュバントを含む薬学的処方物も提供する。
【0026】
好ましい実施形態において、本発明は、トリプシン阻害から保護するための安定したタンパク質の送達にも関する。好ましい実施形態において、本発明は、分離したタンパク質の経口送達も提供する。
【0027】
本発明は又、本発明に記載のタンパク質の治療有効量を単独でか、又は薬学的に許容されるアジュバントと組み合わせて医薬品を製造する方法も提供する。本発明に記載のタンパク質は、他の有効成分と合わせられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(本発明の説明)
本発明は、5〜100個のアミノ酸残基を含有し、分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さないタンパク質に関する。このタンパク質は、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼの酵素活性に対する阻害作用又は軽減作用を有する。このタンパク質は組換えDNA技術により合成又は生成される場合もあれば、植物材料から分離される場合もある。
【0029】
本発明に開示されるタンパク質は、Moringa属に属する種から分離され、更に好ましくはMoringa植物の種子から分離される。このタンパク質は、本明細書の以下の実施例に開示する方法により分離することができる。次に、分離したタンパク質は、適切な技術により精製される。次に、精製タンパク質は、以下の配列について、SDS PAGE及びLC−MS技術によって特徴付けられる。
【0030】
上記タンパク質は、以下の配列番号1:CGQQLRNISPPQRCPSLRQAVQLAHQQQGQGPQQVRQMYRの部分的な配列番号を有する。
【0031】
更に、このタンパク質を、リパーゼ阻害活性について合成基質及び天然基質の存在下で試験した。
【0032】
トリプシン存在下で、Moringa種子タンパク質の活性について前記タンパク質を更に解析した。
【0033】
Moringa種子タンパク質は、トリプシン存在下ではリパーゼ阻害活性を失うことが明らかにされた。そこで、トリプシン不活化に対するタンパク質保護に関する試験を実施した。トリプシン阻害剤の存在下では、このタンパク質がリパーゼ阻害剤として有効であることが明らかにされた。
【0034】
本発明のリパーゼ/ホスホリパーゼ阻害剤との組み合わせのために、天然に存在するトリプシン阻害剤の内、ダイズ(Glycine max)、ライマメ(Phaseolus limensis)、Prosopis julifioraの種子、ヒマワリ種子(Helianthus annus)等及びこれらの組み合わせを選択した。ダイズタンパク質存在下で、リパーゼ阻害についてタンパク質を試験した。
【0035】
本発明は、本発明に記載のタンパク質の治療有効量及び薬学的に不活性なアジュバント、希釈剤又は担体を含む、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するための組成物にも関する。本発明に記載のタンパク質を含む、リパーゼ又はホスホリパーゼを阻害するための組成物は又、別の有効成分と合わせられ得る。
【0036】
本発明に記載のタンパク質又は前記タンパク質を含む組成物は、生理的条件下でリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害する能力を有すると考えられており、それによって代謝症候群、心臓血管障害及び炎症性疾患の予防又は治療に即した有効性があると考えられる。
【0037】
本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、代謝症候群、心臓血管障害及び炎症性疾患を予防及び治療するために、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するのに有用である。
【0038】
好ましい実施形態において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、肥満、糖尿病及びアテローム硬化症のような代謝障害の予防又は治療に使用することができる。
【0039】
更なる態様において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、単球系細胞、血管細胞、肝細胞及び脂肪組織に脂質が蓄積するのを阻害又は軽減するのに使用することができる。
【0040】
更に他の態様において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、ホスホリパーゼの活性化及び/又は作用によって引き起こされる関節炎、アテローム硬化症及び敗血症性ショック等の炎症性疾患の予防及び治療に使用することができる。
【0041】
更に別の態様において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼを分泌する微生物病原体によって引き起こされる細胞及び組織の損傷を予防又は治療するために使用することができる。
【0042】
更に別の態様において、本発明に記載のタンパク質又はタンパク質を含む組成物は、皮膚及び頭髪の手入れ用及び美容調製物のために使用することができる。
【0043】
本発明に記載のタンパク質又は前記タンパク質を含む組成物は、従来の任意の経口、頬側、鼻内、単位投薬形態の吸入スプレーによってか、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、皮下、胸骨内(intrastemal)又は注入技術による)、局所(例えば、粉末、軟膏又はドロップ)、経皮、槽内、膣内、腹腔内、膀胱内又は直腸に投与することができる。本発明の別の態様において、本発明の化合物及び少なくとも1つの他の薬学的に活性な因子を、個別に投与する場合もあれば、両方を含む薬学的組成物で投与する場合もある。このような投与には、一般的に経口が好まれる。しかし、治療されている患者が嚥下することができないか、経口投与が困難であるか望ましくなければ、非経口又は経皮投与が妥当な場合がある。
【0044】
本発明に記載のタンパク質又は前記タンパク質を含む組成物は、任意の改変放出処方物、制御放出処方物又は持続放出処方物の形態で投与することができる。
【0045】
従って、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ活性を軽減するための本発明にしたがう処方物は、必須有効成分として、本発明のタンパク質を含む。
【0046】
好ましい実施形態において、本発明は、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ活性を軽減するための、本発明のタンパク質を含む処方物を提供し、このタンパク質は、単独でか、或いは既知の薬学的に許容される不活性なアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせて処方され得る。
【0047】
本発明によるタンパク質を含む処方物は、1つ以上の常用添加剤、担体、助剤等と共に配合することができる。これは、経口投与用に配合することができ、医薬分野で使用することができる。経口投与に適切な形態の例には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、球状体、シロップ剤及び飲料が挙げられる。好ましい実施形態において、これは球状体の形態で処方される。最も好ましい実施形態において、この球状体は腸溶性コーティングされる。
【0048】
適切な担体材料の例は、水、ゼラチン、アラビアゴム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルク、植物油、ポリアルキレングリコール、ワセリン等である。薬学的処方物は、固体形態(例えば、錠剤、糖衣剤、坐剤又はカプセル剤として)又は液体形態(例えば、溶液、懸濁物又はエマルジョンとして)で調合され得る。医薬調製物は滅菌される場合もあれば、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧を変えるための塩又は緩衝剤等のアジュバントを含有する場合もある。これらは治療上価値がある物質を含有することができる。
【0049】
本発明による処方物を調製するため、必須成分は、1つ以上の薬学的に許容されるビヒクル、担体、賦形剤、結合剤、防腐剤、酸化防止剤、安定化剤、矯味剤、緩衝剤等と混合され、続いて所望の単位投薬形態に形成される。
【0050】
本発明にしたがう処方に際して、錠剤、カプセル剤等に混合することができるアジュバントの例には、アラビアゴム、コーンスターチ及びゼラチン等の結合剤、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤、結晶セルロース等の賦形剤、α化デンプン及びアルギン酸等の膨潤剤、ショ糖、ラクトース及びサッカリン等の甘味剤及びペパーミント及びチェリー等の矯味剤が挙げられる。カプセル剤への処方に際して、油等の液体担体も上述のアジュバントと共に混合することができる。
【0051】
更に、コーティング剤としてか、或いは調製物の物理的形態を変えるために、他の材料を加えることもできる。例えば、錠剤は、シュラック、糖又は任意の酸性pH耐性ポリマーでコーティングすることができる。シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤としてショ糖を、防腐剤としてメチルパラベン又はプロピルパラベンを、及び/又は矯味剤としてペパーミント又はオレンジ風味を共に添加することができる。
【0052】
本発明によれば、上記処方物は、総血清脂質コレステロールを下げる医薬として、そして肥満、虚血性心疾患、動脈硬化症、脳血管性痴呆、糖尿病、血管障害性パーキンソン病、炎症性疾患等の治療のために使用することができる。
【0053】
本発明に記載の処方物は、乾燥重量に換算して約10〜2000mg/日の量で1日1回又は数回投与してもよい。
【0054】
本発明による処方物の有効成分は、血清脂質レベル又は血中総コレステロールレベル或いは組織中の脂肪の蓄積を軽減するために種々の食物に添加することができる。本発明による有効成分を添加することができる食物の例には、茶飲料、ジュース、コーヒー、飲料、炭酸飲料、チューイングガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート及びアイスクリームが挙げられる。
【0055】
更なる態様において、本発明に記載のタンパク質又はこのタンパク質を含む組成物は、動物の体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ活性によって引き起こされるか、または悪化される疾患を治療及び予防するための動物薬として有用な場合がある。
【0056】
本発明は更に、上記タンパク質を含む処方物の投与により体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ活性を阻害又は軽減するための方法にも関する。本発明は、本明細書で以下に開示する特異的な酵素検定を使用した、このタンパク質がリパーゼ及び/又はホスホリパーゼの強力な阻害剤であるという本発明者等の発見に基づく。更に、本発明は、処方の間、このタンパク質が安定なままであり、それによってこのタンパク質の活性が維持されるという本発明者等の観察にも基づく。in vitroの結果を確認した後、そのリパーゼ活性について動物試験を実施した。
【0057】
本発明の更なる態様及び特徴を、以下の非限定的な実施例に例示する。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
Moringa種子からのリパーゼ阻害タンパク質の分離
粉末状にした種子100gmを、MQ水1リットルに室温にて48時間浸漬した。その抽出液をWhatman濾紙で濾過した。凍結乾燥器(−50℃)を使用して濾液を2日間濃縮し、適切な技法で精製したタンパク質単離物を得た。Bradford法を使用してタンパク質を評価した。
【0059】
結果:粉末10mgには、タンパク質が494μg含まれていた。
【0060】
(実施例2)
分離したタンパク質の精製
Moringa種子の粉末試料を水に浸漬した。抽出液を濾過した後、清澄な抽出液を0.1Mリン酸緩衝液(1:1)と混合した。次に、その溶液を遠心分離し、上清を回収して、室温にて30分間アセトン沈殿(冷アセトン)に供した。得られた溶液を遠心分離し、沈殿物を回収してpH8.0の0.1Mリン酸緩衝液に溶解した。この溶液をよく混合してTCA沈殿に供した。その溶液を再び遠心分離した。最後に、粘着性のある沈殿物をpH8.0の0.1Mリン酸緩衝液に撹拌することによって溶解した。次に、上のタンパク質溶液をゲル濾過クロマトグラフィーで精製し、50mM、pH8.0のリン酸緩衝液で平衡化したSephadex G−50カラムを使用して純粋なタンパク質を得た。Bradfordマイクロプレート検定により、回収した画分のタンパク質活性について検討し、タンパク質の純度を、クマシーブリリアントブルーで染色した17%SDS−PAGE(Laemmli,1970)ゲルで泳動(run)することによって確認した。
【0061】
(実施例3)
タンパク質の特徴付け
Moringa種子から分離したタンパク質を用いて、SDS−PAGE(17%)を実行し、クマシーブルーで染色した。5+/−1kDバンドを切り出し、シリコン処理したチューブに移して50%メタノール200μLで一晩洗浄、脱色した。ゲル片をアセトニトリル中で脱水し、0.1M炭酸水素アンモニウム中の10mMジチオールスレイトール30μLで再水和し、室温にて0.5時間還元した。DTT溶液を除去し、0.1M炭酸水素アンモニウム中の50mMヨードアセトアミド30μLで、試料を室温にて0.5時間アルキル化した。試薬を除去し、アセトニトリル100μL中でゲル片を脱水した。アセトニトリルを除去し、0.1M炭酸水素アンモニウム100μL中でゲル片を再水和した。その断片をアセトニトリル100μL中で脱水し、アセトニトリルを除去して、真空遠心分離により断片を完全に乾燥させた。氷上の50mM炭酸水素アンモニウム中の20ng/μLトリプシンで、ゲル片を10分間再水和した。余分なトリプシン溶液を除去し、50mM炭酸水素アンモニウム20μLを添加した。試料を37℃にて一晩消化し、ポリアクリルアミドから形成されたペプチドを50%アセトニトリル/5%ギ酸の30μLアリコート2つで抽出した。これらの抽出液を合わせて、MS分析のために25μLまで蒸発させた。
【0062】
Finnigan LCQイオントラップ型質量分析計装置と、Protanaナノスプレーイオン源を、自己充填式8cm×内径75μm Phenomenex Jupiter 10μm C18逆相キャピラリーカラムで接続して、LC−MS装置を構成した。抽出液を0.5〜5μL容量注入し、流速0.25μL/分で、アセトニトリル/0.1M酢酸勾配によりペプチドをカラムから溶出した。ナノスプレーイオン源を2.8kVで操作した。フルスキャン質量スペクトルを取得する機器の倍化動作(double play)能力を使用して、消化液を分析してペプチド分子量及びプロダクトイオンスペクトルを決定し、連続的なスキャンでアミノ酸配列を決定した。
【0063】
以下に示す通り、タンパク質の部分的な配列番号を確認した。
CGQQLRNISPPQRCPSLRQAVQLAHQQQGQGPQQVRQMYR
(実施例3)
合成基質の存在下におけるMoringa種子タンパク質のリパーゼ阻害活性
リパーゼ検定
膵リパーゼを使用するという変更を伴って、Winkler and Stuckmann,1979に記載の方法により酵素検定を実施した。96ウェル形式を使用して検定を計画した。この検定で使用した基質はパルチミン酸p−ニトロフェノール(Sigma、カタログ番号N−2752)であった。パルチミン酸p−ニトロフェノール4.5mgをN,N−ジメチルホルムアミド(Sigma、カタログ番号D−4551)200μL中に溶解し、容積をPh8.0の0.1Mリン酸緩衝液で10mLとした。0.1M−リン酸緩衝液中で、酵素を5mg/mL濃度で溶解することによりリパーゼ(Sigma、カタログ番号L−3126)試料を調製した。反応混合物は基質溶液−150μL、リン酸緩衝液(pH8.0、0.1M)−40μL及びリパーゼ溶液−10μLからなった。反応混合物を37℃にてインキュベートし、インキュベート後に光学密度を405nmで測定した。酵素活性を国際単位(IU)の形で表した。標準的な検定条件下で、基質(パルチミン酸p−ニトロフェノール)/mL/分から遊離フェノール1nmを放出する量をリパーゼの1酵素単位と定義した(Winkler K.W.and Stuckman M,1979 Glycogen hyaluronate and some other polysaccharides greatly enhances the formation of exolipase by Serratia marcescens,J.of Bacteriology 138:663−670)。これはp−ニトロフェノールの標準グラフから導き出したものである。
【0064】
Moringa種子タンパク質によるリパーゼ阻害
阻害検定を用量依存的な様式で実施した。タンパク質の濃度は、40μg〜0.156μg/mL反応混合物と照合した。検定は、対照のリン酸緩衝液の代わりに阻害剤溶液40μLを使用したことを除き、上に記載した検定とほぼ同じであった。放出したp−ニトロフェノールを405nmで記録した。単純に国際単位(IU)の変化に基づいて、阻害率換算で酵素阻害を表したが、これは標準グラフから算出したものである。
【0065】
結果:
(表−1)
【0066】
【表1】

結論:Moringaタンパク質は、極めて低い濃度でも膵リパーゼを阻害することができた。
【0067】
(実施例4)
天然基質の存在下におけるMoringa種子タンパク質の阻害活性
Ishiia Cら、1988,Inhibition of lipase by proteins and their inhibitory mechanism,Nippon Shokuhin Kogyo Gakkaishi,35(6),430−439の変法にしたがうことにより、反応混合物中に遊離した遊離脂肪酸を滴定することによりリパーゼ活性を測定した。試験管内で、37℃にて30分間振盪させて反応を実施した。反応混合物を、pH−7.0のMcllvaine緩衝液1.5mL、オリーブオイル0.24mL及び阻害剤溶液0.5mLで調製し、水を入れて最終容積を5.5mLとした。5分間のプレインキュベーション後、酵素溶液0.5mL(5.0mg)を添加して反応を開始した。次に、n−プロピルアルコール:石油エーテル(1:4)の混合溶液10mLを添加して反応を停止し、次に混合物を2分間勢いよく振盪した。上層を1mLピペットで取り、指示薬としてフェノールフタレインを使用して0.02Mのアルコール性KOHで滴定した。阻害剤溶液を緩衝液に置き換えたことを除き、標準反応混合物を、記載したように調製した。標準検定条件下でμM/分放出した脂肪酸を酵素の1国際単位(IU)とみなした。
【0068】
結果:
(表−2)
【0069】
【表2】

結論:Moringa種子タンパク質は、天然基質であるオリーブオイルを加水分解している間に、膵リパーゼを阻害することができた。
【0070】
(実施例5)
Moringa種子タンパク質のリパーゼ阻害活性に対するトリプシンの影響
Moringa種子タンパク質のトリプシン開裂後に、リパーゼ阻害活性を実施した。分離したタンパク質(500μg/mL Bradford法により評価した)を、pH−9.0の50mMトリス緩衝液中のトリプシン(0.5%)及び試料緩衝液と共に1:1:2の割合で、37℃にて24時間インキュベートした。インキュベーション後、全試料を70℃にて10分間熱失活させた。対照におけるリン酸緩衝液の代わりに試験溶液(トリプシン処理済/未処理)40μLを使用したことを除き、先に記載の通りリパーゼ阻害検定を実施した。放出したp−ニトロフェノールを405nmで記録した。単純に国際単位(IU)の変化に基づいて、阻害率換算でリパーゼ活性を表したが、これは標準グラフから算出したものである。
【0071】
結果:トリプシン開裂後に、Moringa種子タンパク質がリパーゼ阻害活性を失ったことが観察されたが、これはタンパク質にリパーゼ阻害活性が存在することを示唆するものである。
【0072】
(表−3)
【0073】
【表3】

(実施例6)
ダイズタンパク質を用いての、トリプシンからのMoringa種子タンパク質の保護
安定した形態でMoringa種子タンパク質を存在させるためには、トリプシン阻害からこのタンパク質を保護することが必須であった。それゆえ、保護のためにダイズタンパク質を選択した。
【0074】
ダイズ種子からのダイズタンパク質の分離
2リットルのガラスビーカー内で、ダイズ種子500gmとMilli Q水1.5リットルとを装填し、水浴でビーカーを65℃にて(外部温度)90分間加熱した。90分後、ダイズ種子抽出液を濾過し室温に冷却した。凍結乾燥器(−50℃)を使用して濾液を2日間濃縮した。粗タンパク質が丸底フラスコの壁面に張り付き、これを、スパチュラを使用して擦過し粉末を細かくした。得られた総固体粉末タンパク質は12.5gmであり、吸湿性を備えていた。Bradford法を使用してタンパク質を評価した。
【0075】
結果:固体10mgにはタンパク質が18.52μg含有されていた。
【0076】
タンパク質保護検定
種々の濃度のダイズタンパク質を使用して、トリプシンからMoringa種子タンパク質を保護することを実施した。Moringa種子タンパク質(Bradford法による評価で49.1μg/100μL)を、トリプシン(0.5%)溶液100μL及びpH−9.0、50mMの緩衝液中の種々の濃度のダイズタンパク質100μL及び試料緩衝液と共に1:1:1:1の比で、370℃にて24時間インキュベートした。インキュベーション後、全試料を70℃にて10分間熱失活させた。対照におけるリン酸緩衝液の代わりに試験溶液(処理済/未処理)40μLを使用したことを除き、先に記載の通り検定を実施した。放出したp−ニトロフェノールを405nmでのODとして記録した。単純に国際単位(IU)の変化に基づいて、阻害率換算でリパーゼ活性を表したが、これは標準グラフから算出したものである。
【0077】
(表−4)
【0078】
【表4】

(実施例7)
タンパク質の組成物
Moringa種子タンパク質(50.0gms)、微結晶性セルロース(336.0gms)及びラクトース(84.0gms)を個別に40#を通過させ、適切なミキサー内で15分間幾何学的(geometrical)に撹拌した。トウモロコシデンプン(30.0gms)と必要量の水を使用して、10%デンプンペーストを調製した。ミキサーにデンプンペーストを加え、押し出しに適切な粘稠度の生地が形成されるまで混合を続けた。0.8mm放射状スクリーンを装着したFuji Paudal EXDS−60押し出し機内に、生地混合物を装填した。乾燥オーブンを使用して、押し出された生地(extrude)を40℃にて8時間乾燥させた。Fuji Paudal Q230を使用して球状体化し、これらを40℃にて一晩乾燥させる。乾燥した球状体を篩いにかけ、24番を通過し、メッシュn0.40上に保持された球状体を更に加工した。
【0079】
1)密封(seal)コーティング、2)腸溶性コーティングの2つの工程でコーティングを行った。
【0080】
フィルム形成ポリマーとしてHPMCを使用することにより密封コーティングを行い、腸溶性ポリマーとしてEudragit L30D55を、着色剤として黄色酸化鉄を補って腸溶性コーティングを行った。サイズ0の透明な硬ゼラチンカプセルに、球状体を充填した。Bradford法を使用して、コーティングした球状体並びに充填カプセルに関するin−vitroタンパク質分析を行った。
【0081】
分析データ:
(表−5)
【0082】
【表5】

試料A*=球状体試料
試料B**=充填カプセル試料
グラフには濃度に対する吸光度をプロットした
R=0.950458
得られた方程式:Y=1.13616×X+0.0682681
式中、Yは吸光度であり、Xは濃度(μg/μL)である
計算結果:
試料A*=0.3990μg/μL
試料B**=0.3668μg/μL
上述のデータから、処方プロセス中は、タンパク質は破壊されていないことが推測できる。
【0083】
(実施例8)
動物試験
4群のWistar雄ラットにおいて、Moringa種子タンパク質にダイズタンパク質(先に分離した)を添えたものと添えないものを用いて、短期動物実験を実施した。雄Wistarを一晩絶食させ、脂質エマルジョン(水中ヒマワリ油10mL)1.2mL、あるいは脂質エマルジョン1.2mLに、群ごとに定めた種々の処方物(群:対照、群1:Moringa固体抽出物50mg(タンパク質2.5mg)、群2:タンパク質92.6μgを含有するダイズ固体抽出物50mg及び群3:Moringa固体抽出物50mg(タンパク質2.5mg)及びダイズ固体抽出物50mg(タンパク質92.6μg))をあわせてラットに経口投与した。血液試料を採取し、血漿トリアシルグリセロール濃度を決定した。
トリグリセリド濃度(mg/dl)
平均値:
【0084】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
5〜100個のアミノ酸残基を含み、分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さないタンパク質であって、リパーゼ及び/又はホスホリパーゼ酵素活性に対する阻害作用又は軽減作用を有する、タンパク質。
【請求項2】
前記タンパク質が、以下の配列番号1:CGQQLRNISPPQRCPSLRQAVQLAHQQQGQGPQQVRQMYRの部分的な配列番号を有する、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
天然の供給源から、又は合成経路により、或いは組換えDNA技術により分離される、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項4】
前記好ましい分離方法が天然の供給源からの分離である、請求項3に記載のタンパク質。
【請求項5】
前記天然の供給源が植物材料である、請求項4に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記植物材料がMoringa種に由来する、請求項5に記載のタンパク質。
【請求項7】
前記タンパク質が、抽出、濾過、アセトン及びTCAでの沈殿に続いて、ゲル濾過クロマトグラフィーの工程を含むプロセスにより精製される、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項8】
前記タンパク質がトリプシン阻害剤と合わせることによりトリプシン不活化から保護される、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項9】
前記トリプシン阻害剤が、ダイズ(Glycine max)、ライマメ(Phaseolus limensis)、Prosopis juliflora種子、ヒマワリ種子(Helianthus annuus)及び/又はこれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載のタンパク質。
【請求項10】
前記好ましく選択されるトリプシン阻害剤が、ダイズタンパク質である、請求項9に記載のタンパク質。
【請求項11】
体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するためのタンパク質を治療有効量含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項12】
肥満、糖尿病、アテローム硬化症又は別の代謝症候群を予防又は治療するためのタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項13】
心臓血管障害を予防又は治療するためのタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項14】
ホスホリパーゼの活性化及び/又は作用によって引き起こされる関節炎、アテローム硬化症、敗血症性ショック及び他の炎症性疾患を予防又は治療するためのタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項15】
単球系細胞、血管細胞、肝細胞及び脂肪組織に脂質が蓄積するのを阻害又は軽減するためのタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ0.5〜10kDの範囲の分子量を有し、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項16】
リパーゼ及びホスホリパーゼを分泌する微生物病原体によって引き起こされる細胞及び組織の損傷を予防又は治療するためのタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ0.5〜10kDの範囲の分子量を有し、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項17】
タンパク質を含む皮膚及び頭髪の手入れ及び美容調製物のためのタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項18】
体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼ活性によって引き起こされるか、または悪化される疾患を治療及び予防するための動物薬で使用するタンパク質を含む組成物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、組成物。
【請求項19】
前記タンパク質が、天然の供給源から、又は合成経路により、或いは組換えDNA技術により分離される、請求項11〜18に記載の組成物。
【請求項20】
前記好ましいタンパク質分離方法が、天然の供給源からの分離である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記天然の供給源が植物材料である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記植物材料がMoringa種に由来する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記タンパク質が、抽出、濾過、アセトン及びTCAでの沈殿に続いて、ゲル濾過クロマトグラフィーの工程を含むプロセスにより精製される、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記タンパク質がトリプシン阻害剤と合わせることによりトリプシン不活化から保護される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記トリプシン阻害剤が、ダイズ(Glycine max)、ライマメ(Phaseolus limensis)、Prosopis julifloraの種子、ヒマワリ種子(Helianthus annuus)及び/又はこれらの組み合わせから選択される、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記好ましく選択されるトリプシン阻害剤が、ダイズタンパク質である、請求項25による組成物。
【請求項27】
タンパク質を単独でか、又は既知の薬学的に許容され且つ不活性なアジュバント、希釈剤又は担体と組み合わせて含む処方物であって、該タンパク質が、5〜100個のアミノ酸残基を含み、且つ分子量が0.5〜10kDの範囲であり、グリコシル化を有するかまたは有さない、処方物。
【請求項28】
請求項1に記載のタンパク質を単独でか、又は少なくとも1つの追加の有効成分と組み合わせて含む処方物。
【請求項29】
乾燥重量に換算して約10〜2000mg/日の量で1日1回又は数回投与され得る、請求項1に記載のタンパク質を含む処方物。
【請求項30】
前記処方物が、経口、静脈内、鼻腔内及び経皮からなる群から選択される経路を介して投与されるように適合される、請求項27に記載の処方物。
【請求項31】
経口投与に適切な形態が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤、球状体、シロップ剤及び飲料を含み、更に好ましくは、球状体の形態である、請求項27に記載の処方物。
【請求項32】
前記処方物を、従来の投薬レジメンにしたがうことによって投与することができる、請求項27に記載の処方物。
【請求項33】
前記処方物を、任意の改変放出処方物、制御放出処方物又は持続放出処方物により投与することができる、請求項27に記載の処方物。
【請求項34】
体液、細胞及び組織中のリパーゼ及びホスホリパーゼを阻害するための方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項35】
体液、細胞及び組織中のリパーゼ及びホスホリパーゼを阻害するための方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項36】
体液、細胞及び組織中のリパーゼ及びホスホリパーゼを阻害する方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項37】
単球系細胞、血管細胞、肝細胞及び脂肪組織に脂質が蓄積するのを阻害又は軽減するための方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項38】
肥満、糖尿病、アテローム硬化症又は別の代謝症候群を予防又は治療するための方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項39】
ホスホリパーゼの活性化及び/又は作用によって引き起こされる関節炎、敗血症性ショック及び他の炎症性疾患を予防又は治療するための方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項40】
リパーゼ及びホスホリパーゼを分泌する微生物病原体によって引き起こされる細胞及び組織の損傷を予防又は治療するための方法であって、請求項1に記載のタンパク質の有効量を含む組成物を必要とする患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項41】
実施例を参照して実質的に本明細書に記載された上記の請求項に記載の、体液、細胞及び組織中のリパーゼ及び/又はホスホリパーゼを阻害するためのタンパク質、及びそれを含む組成物。

【公表番号】特表2009−511466(P2009−511466A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534146(P2008−534146)
【出願日】平成17年10月5日(2005.10.5)
【国際出願番号】PCT/IN2005/000330
【国際公開番号】WO2007/039911
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(506383722)リライアンス ライフ サイエンシーズ プライベイト リミテッド (9)
【Fターム(参考)】