説明

体液中の物質の濃度の非侵襲性決定のための方法及び装置

本発明は主体の体液中のグルコースレベルを測定、特に主体の血液中の血液グルコースの非侵襲性測定に関する。この装置は、主体の組織、皮膚のインピーダンスを測定する複数の電極を有する導電プローブと、組織中の少なくとも1つのイオン濃度、酸度pHを感知する感知装置とを備えた装置が開示され、導電プローブと感知装置は同時に組織の前記電気インピーダンスと組織中のイオンの前記濃度を得るように構成される。装置はさらに組織の電気インピーダンスと組織のイオン濃度に基づいて血液グルコースの評価、濃度を決定する血液グルコース決定装置を備えている。さらに、主体の組織、皮膚の電気インピーダンスを測定する複数の電極を備えた導電プローブを有する装置が開示され、複数の電極のうち少なくとも1つは電圧モードのとき組織中のイオン濃度、酸度pHを表す信号を感知するように構成され、導電プローブは組織のインピーダンスと組織中の前記イオン濃度を同時に得るように構成され、組織の電気インピーダンスと組織中のイオン濃度に基づいて血液グルコースの評価、典型的には濃度を決定する血液グルコース決定装置を備えている。さらに主体の血液中の血液グルコースの評価の非侵襲性決定方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は主体の体液中の物質の濃度の非侵襲性決定のための方法及び装置に関し、特に組織が典型的に皮膚の場合、組織インピーダンスデータと主体の組織中のイオン濃度とに基づいた糖尿病患者のような主体の血液グルコースレベルの決定に関する。
【背景技術】
【0002】
主体の体液中のグルコース濃度を決定する非侵襲性方法は通常、侵襲性方法、即ち主体の身体からサンプルを取ることを含んでいる方法よりも望ましい。特に、本発明の文脈では、非侵襲性方法は身体組織のサンプルが必要とされない方法を意味していることが理解されよう。非侵襲性技術は通常、以下詳細に説明されるように、侵襲性技術よりも便利であり、例えばこれらは感染の危険性が少なく、痛みが少なく、実行が容易である。
【0003】
主体の体液中のグルコース濃度を決定する多くの理由が存在する。例えば糖尿病を患う患者では、投与を必要とされるインシュリンの量とその投与時間を知るために、通常患者の血液中のグルコース濃度を頻繁に、通常は一日に数回監視することが必要である。現在、患者は通常、血液の外部流を生じさせて幾つかの方法でそれを採取するために患者の皮膚を傷つけまたは切開することにより血液の少量のサンプルを採取し、このようにして集められた血液のサンプルから直接的にグルコース濃度を決定する血液グルコース計を使用した侵襲性方法を用いるグルコース濃度の自己監視に依存している。この方法は幾つかの欠点を与える。例えば患者は反復的に、一日に数回、規則的な間隔で血液のサンプルを採取しなければならない不快さを経験する。さらに患者は特定された時間に血液を取ることを忘れる可能性があり、それによって制御が困難なグルコース監視プロセスにエラーを導入し、したがってグルコース監視の正確さを低下させる。これによって非常に少量或いは非常に大量のインシュリンが糖尿病患者に投与されることになり、また、誤った時間に投与される可能性がある。したがって主体の身体の流体中、特に主体の血液中のグルコース濃度を決定する正確な非侵襲性方法が技術で必要とされており、これは従来技術に関連する問題を軽減またはなくし、特にグルコース濃度の決定についての良好な正確性を維持しながら、少なくとも周期的または1日をベースとした血液のサンプルを採取する必要性をなくす。
【0004】
血液中のグルコース濃度を連続して監視することができるグルコースの決定のための非侵襲性技術を開発する幾つかの試みが存在する。これらの技術の幾つかは身体組織の電気インピーダンスの測定を含んでおり、これも生体インピーダンスとして知られている。技術で知られているように、身体組織のインピーダンス測定は多数の状況を評価或いは診断するために従来行われている。全体的な身体組織インピーダンスは細胞構造と細胞内および細胞外流体の組成のような多数の要因に基づいており、それ故生物学的条件を決定する目的で有用な情報を提供することができる。
【0005】
身体組織インピーダンス測定はグルコース濃度の決定以外の多くの応用で使用されており、その例は異なる化学物質の皮膚の刺激の評価(“Electrical impedance related to experimentally induced changes of human skin and oral mucosa”、I. Nicander, PhD Thesis, Karolinska Institulet、ストックホルム(1998))と、心臓の監視(“Electrical impedance and cardiac monitoring-technology, potential, and application”、M. Min等、International journal of bioelectromagnetism volume 5、53-56頁(2003))と、皮膚癌の検出(“Differentiation among basal cell carcinoma, benign lesions, and normal skin using electric impedance”、D. G. Beetner等、IEEE Trans. Biomedical Eng、volume 50, issue 8、1020-1025頁(2003))と、“Minimally invasive electrical impedance spectroscopy of skin exemplified by skin cancer assessments”、P Aberg等、Proc. IEEE EMBS, Cancun (MX)、2003年9月17-21日、3212-3214頁、ISBN 07803-7709-7 (2003)である。
【0006】
身体組織のインピーダンス測定を使用するまたは使用しない体液中のグルコース濃度を決定するための種々の技術が知られている。組織のインピーダンス測定を使用しない技術は例えば米国特許第5,036,861号明細書に記載されており、これは皮膚表面上の汗に存在するグルコースを測定する電極を有する手首に取付けられた装置を開示しており、WO 01/26538号明細書も血液中のグルコースレベルを測定するための手首に取付けられた装置を開示しており、米国特許第5,222,496号明細書は手首、指等に取付けられることができる赤外線グルコースセンサを開示し、米国特許第5,433,197号明細書は近赤外線放射により主体の眼を照射することにより血液中のグルコース濃度の決定を開示しており、米国特許第5,115,133号、米国特許第5,146,091号、米国特許第5,197,951号明細書は吸光測定による主体の耳の鼓膜の血管中のグルコースレベルの決定を開示しており、WO 95/04496号、WO 97/39341号明細書はグルコースのような血液中の標的の化学物質の濃度を決定するために体内および体外で無線周波数分光計を使用することを開示している。
【0007】
さらに、体液のグルコース濃度を決定するためのツールとしての皮膚のインピーダンス測定は、例えばグルコース濃度を得るために体液中のインピーダンスの測定を開示しているWO 98/041908号およびWO 99/39627号明細書と、皮膚表面を貫通するための微小突起を有する電極装置の手段により皮膚のインピーダンスおよび血液のグルコース濃度との相関を測定するための最小に侵襲性の方法及び装置を開示しているEP 1,437,091号明細書と、身体組織の表面のインピーダンスの測定により身体組織中の表面現象を検出するための複数の電極を有するプローブを開示した米国特許第5,353,082号明細書に記載されている。
【0008】
例えば皮膚組織のインピーダンスの測定により主体の流体中のグルコースレベルを非侵襲的に決定するための方法と装置を開示したCA 2,318,735号明細書と、主体の流体中のグルコースレベルを非侵襲的に測定するための方法及び装置を開示した米国特許第6,517,482号明細書のような従来技術によれば、限定された時間量で数人の被験者で血液中のグルコース濃度と皮膚の電気的インピーダンスパラメータとの間の相関を観察することができることが証明されている。しかしながら、数人の被験者では、相関が全く発見されず、測定に影響を与えるパラメータが発見されていないことを示している。BirgerssonおよびNeiderud(“Bioelectrical parameters related to glucose level: measurement principles and data analysis”)と、U. Birgersson およびF. Neiderud、MSc Thesis, Royal Institute of Technology、ストックホルム(2004))による1研究は両者とも非侵襲的で皮下でのグルコース濃度と皮膚のインピーダンスデータとの間の相関を例証している。
【発明の概要】
【0009】
したがって迅速で実行が容易であり、血液のサンプルの採取を通常必要とする従来技術の欠点をなくし、或いは軽減し、同時に従来技術による侵襲性手順及び装置と比較すると同程度またはさらに良好な正確性を与える、主体の血液中の血液グルコースのような物質の濃度の非侵襲性決定のための手段が技術で必要とされている。
【0010】
したがって、本発明の目的は、典型的に主体の血液中の血液グルコースの濃度の正確で確実な評価を決定するための装置及び方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、実行が容易であり、主体の不快さまたは不便さを減少又は除去する主体の血液中の血液グルコースの評価を決定するための装置及び方法を提供することである。
【0012】
本発明のさらに別の目的は、迅速で効率的な方法で主体の血液中の血液グルコースの評価を決定する装置及び方法を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、糖尿病の早期検出を可能にする主体の血液中の血液グルコースの評価を決定する装置及び方法を提供することである。
【0014】
これらの目的および以下の説明と添付図面から明白になるさらに別の目的は、本発明による装置及び方法により実現される。
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、主体の血液中の血液グルコース、典型的にはグルコース濃度の評価を非侵襲的に決定する装置が提供され、この装置は主体の組織、典型的には皮膚のインピーダンスを測定するように構成された複数の電極を具備する導電プローブと、主体の組織中の少なくとも1つのイオン濃度、典型的には酸度(pH)を感知するように構成された少なくとも1つのセンサまたは感知装置とを具備し、ここで導電プローブと感知装置はそれぞれ実質的に同時に組織のインピーダンスを測定し、組織中のイオンの濃度を感知し、さらに前記装置は測定された組織のインピーダンスとイオン濃度、典型的には酸度に基づいて主体の血液グルコースレベルの評価を決定するように構成された血液グルコース決定装置を具備している。
【0016】
本発明の文脈では、「実質的に同時に」は例えば組織インピーダンスを測定し、組織、典型的には皮膚中のイオン濃度、典型的には酸度の少なくとも1つの値を感知するステップが短い間隔でのみ行われることを意味し、したがって測定プロセスが実際的で実現可能に恐らくプローブの特定の構造に依存する。これは組織インピーダンスの測定と組織中のイオン濃度の少なくとも1値を感知するステップが非常に類似した外部状態下、例えば基本的に組織の表面の同じ測定位置等で実行されることを確実にし、このようにして得られたインピーダンスとイオン濃度データに欠陥が導入されない利点を有する。
【0017】
本発明の第2の特徴によれば、主体の血液中の血液グルコース、典型的にはグルコース濃度の評価の非侵襲性決定のための装置が提供され、この装置は主体の組織、典型的には皮膚のインピーダンスを測定するための複数の電極を具備する導電プローブを具備し、ここで複数の電極のうち少なくとも1つは電圧モードにあるとき主体の組織中のイオン濃度の値、典型的には酸度(pH)を表す信号を感知するように構成されており、導電プローブは実質的に同時に主体の組織のインピーダンス値と主体の組織中のイオン濃度の値を獲得するように構成されている。さらに本発明の第2の特徴による装置は組織のインピーダンス値と組織中のイオン濃度の値とに基づいて、主体の血液グルコースの評価、典型的にはグルコースの濃度を決定するように構成されている血液グルコース決定装置を具備している。
【0018】
したがって、本発明は電気インピーダンスを使用して、組織中の酸度(pH)が血液グルコースを評価するときに、結果に大きな影響を与えるという洞察に基づいている。それ故、本発明の第1及び第2の特徴による装置は多くの利点を与え、その1つは従来技術の欠点、典型的には患者に危険又は不快を与える可能性がある、体液(血液)中の物質(グルコース)の濃度を決定するための血液サンプルの採取の必要性をなくすことである。さらに、本発明の第1及び第2の特徴による装置は、以下詳細に説明するように、組織の酸度が組織のインピーダンスの獲得と同時に感知されることができ、その組織の酸度の知識がインピーダンスデータと血液グルコースとの間の相関を改良するために必要とされるので、従来技術と比較して物質、例えばグルコースの濃度の決定の正確性を増加する。したがって、本発明の第1及び第2の特徴による装置は従来技術の血液グルコース決定装置と比較して、血液グルコースと組織インピーダンスデータとの間の相関を増加して示すことができる。本発明の第1及び第2の特徴による装置に関するさらに別の利点は、健康施設、病院等での糖尿病患者のスクリーニングにおいて、本発明の第1及び第2の特徴による装置が、各主体の血液のサンプルを必要とする侵襲性の血液グルコース計を使用したスクリーニングと比較して非常に高速のスクリーニングプロセスを与えることができることである。したがって健康管理における大きな価格の節約が得られる。
【0019】
本発明の第2の特徴による装置は組織中のイオン濃度、典型的には酸度(pH)を感知するために別々の感知装置又はセンサを必要としないので、これがさらに小さいサイズを有するように製造されることが可能であり、したがって持ち運び可能な策に最適であり、恐らく製造が廉価になる点で本発明の第1の特徴による装置と比較して付加的な利点を有する。
【0020】
以下、本発明の理解に役立つ方法において順番に行われる多数のディスクリートなステップとして種々の動作を説明する。しかしながら、説明の順序はこれらが与えられた順序で必ずしも行われること、またはこれらが与えられた順序に基づいていることを示唆していると解釈されてはならない。また「1実施形態」は必ずしも同じ実施形態を指しているわけではない。さらに「本発明の1実施形態」は特に特定されていなければ本発明の異なる特徴を指す可能性がある。
【0021】
本発明の第3の特徴によれば、主体の体液(血液)中の物質(血液グルコース)の評価、典型的には濃度の非侵襲性決定方法が提供され、その方法では、主体の組織表面、典型的には皮膚表面に対して導電性プローブを位置付けるステップを含み、ここでプローブは主体の組織のインピーダンスを測定するための複数の電極と、主体の組織中の少なくとも1つのイオン濃度、典型的には酸度(pH)を感知するように構成された少なくとも1つの感知装置又はセンサとを具備し、さらに組織のインピーダンス値を得るために電極に電流を通過させ、組織中のイオン濃度の少なくとも1値を得るために感知装置又はセンサを使用するステップを含み、ここで組織のインピーダンス値と組織中のイオンの濃度値は同時又はほぼ同時に得られ、このようにして得られたインピーダンス値とイオン濃度の少なくとも1つの値に基づいて体液(血液)中の物質(血液グルコース)の濃度を決定する。
【0022】
本発明の第4の特徴によれば、主体の体液(血液)中の物質(血液グルコース)の評価、典型的には濃度の非侵襲性決定を行う方法が与えられ、ここで方法は主体の組織表面、典型的には皮膚表面に対して導電性プローブを位置付けるステップを含み、ここでプローブは主体の組織のインピーダンスを測定するための複数の電極を具備し、複数の電極の少なくとも1つは電圧が電圧モードにあるとき主体の組織中のイオン濃度の値、典型的には酸度(pH)を表す信号を感知するように構成されており、さらに組織のインピーダンス値を得るために電極に電流を通過させ、組織中のイオン濃度の少なくとも1値を得るために感知主体の組織中のイオン濃度の値を表す信号を感知するように適合された少なくとも1つの電極を使用するステップを含み、ここで組織のインピーダンス値と組織中のイオンの濃度値は同時又はほぼ同時に得られ、このようにして得られたインピーダンス値とイオン濃度の少なくとも1値に基づいて体液(血液)中の物質(血液グルコース)の評価、典型的には濃度を決定する。
【0023】
本発明の第3及び第4の特徴による方法は人間の主体および他の動物の主体との両者に適用されることができると考えられる。
【0024】
本発明の第3及び第4の特徴による方法の利点は、健康施設、病院等における糖尿病主体のスクリーニングにおいて、本発明の第1及び第2の特徴による方法が各主体の血液のサンプルが必要とされる場合に非侵襲性血液グルコース計を使用する方法を用いたスクリーニングと比較して非常に高速度のスクリーニングプロセスを与えることができることである。
【0025】
本発明の第5の特徴によれば、本発明の第1の特徴による装置と関連して使用されるように構成されたイオン感知電界効果トランジスタ(ISFET)が与えられる。
【0026】
本発明の第6の特徴によれば、本発明の第2の特徴による装置と共に使用されるように構成されたイオン感知電界効果トランジスタ(ISFET)が提供される。
【0027】
本発明の実施形態によれば、これらはさらに測定ステップの期間中に電極と組織表面との導電接触を強化するために、組織インピーダンスの測定ステップの前に組織表面を食塩水または導電性ゲル中に浸すステップを含んでいる。
【0028】
本発明の実施形態によれば、導電性プローブは1対の電極を具備し、ここで一方の電極は電流注入電極であり、他方は電圧感知電極である。本発明の第1及び第2の特徴のさらに別の実施形態によれば、導電性プローブは2対の電極を具備し、各対は電流注入電極と電圧感知電極である。これは電流と電圧の電極を分けることにより結果的に生じるインピーダンス測定の接触欠陥を最小にする利点を有する。インピーダンスシステムは2、3、4極システムであることができる。
【0029】
本発明の実施形態によれば、複数の電極は主体の組織表面、典型的には皮膚表面上に位置付けられるように構成されてマトリックスまたはアレイで配置され、ここで本発明の第1の特徴による装置は、さらにインピーダンスドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像またはスペクトルを発生するように構成された処理装置を具備し、または複数の電極と少なくとも1つのセンサが主体の組織表面上に位置付けられるように構成されてマトリックス又はアレイで配置されており、ここで本発明の第1の特徴による装置はさらにインピーダンス及びイオン濃度ドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像又はスペクトルを発生するように構成された処理装置を具備している。このようにして得られた映像またはスペクトルは、例えば組織の構造及び組成とこのような組織の変化、例えば腫瘍についての情報を提供するために、主体の組織表面の下に位置する組織構造に関することが考えられている。前述の処理装置は好ましくは血液グルコース決定装置と一体化される。
【0030】
腫瘍のこのような診断は本発明による装置および/または方法を使用し、したがって組織の酸度(pH)を考慮して、インピーダンス測定を使用する従来技術の癌検出装置及び方法の手段による診断よりも非常に正確であることが予測される。癌性組織は健康な組織とは異なる代謝を有し、したがって健康な組織と比べて異なる酸度レベルを有することに注意すべきである。
【0031】
本発明の実施形態によれば、複数の電極が主体の組織表面上に位置されるように構成されてマトリックス又はアレイとして配置され、ここで本発明の第2の特徴による装置はさらにインピーダンスドメインで、またはイオン濃度ドメインで、或いはインピーダンスおよびイオン濃度ドメインで電気インピーダンストモグラフィ映像またはスペクトルを発生するように構成された処理装置を具備している。このようにして得られた映像またはスペクトルは、例えば組織の構造及び組成とこのような組織の変化、例えば腫瘍についての情報を提供するために、主体の組織表面の下に位置する組織構造に関する可能性があることが考えられている。前述の処理装置は好ましくは血液グルコース決定装置と一体化されることができる。例えば酸度は体内よりも皮膚でより変化するので、インピーダンス測定を使用して皮膚の腫瘍を探すとき酸度を考慮に入れることが特に重要である。
【0032】
本発明の実施形態によれば、血液グルコース決定装置はそれぞれ本発明の第1又は第2の特徴による装置により得られた血液グルコース評価が予め定められた基準グルコースレベルよりも低いか高いならば信号、例えば警報信号を送信するように構成される。このような基準グルコースレベルは例えば非侵襲性または侵襲性技術を使用して追加的グルコース測定によって得られる患者特定グルコース基準データからなることができる。このような追加的測定等は基準グルコースレベルを設定する目的で、その目的とする使用において本発明による装置による血液グルコース決定数と比較して必要とされる回数が実質的に少ないことが考えられている。血液グルコース決定装置により送信される信号は恐らく同時ではないが複数の異なる通信ネットワークで受信機または局により受信されることができるように構成されることができることが理解されよう。例えば血液グルコース決定装置からの信号は当業者に明白であるように、移動体電話でテキストメッセージとして、施術者のラップトップまたは静止コンピュータでeメールまたは幾つかの他の容易に目に見えるメッセージとして、或いは別の適切な通信装置で警報として受信されることができることが考えられている。血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルよりも低いか高い場合に血液グルコース決定装置から送信されるこのような警報信号は例えば血液グルコースレベルが非常に高い場合にインシュリンを投与するように患者に催促するのに非常に有効である。よく知られているように、長期間の高い血液グルコースレベルは多くの深刻な面倒な事態につながる可能性がある。
【0033】
本発明の実施形態によれば、装置はさらに少なくとも1つの通信ネットワークを介して少なくとも1つの外部装置と通信するように構成されている通信装置を具備している。このような装置は、例えば患者が施術者を訪問する必要なしに患者の血液グループコースレベルを測定および/または監視するために患者上または患者体内に位置されている血液グルコース決定装置と施術者が通信することを可能にする。幾つかの実施形態では、これは前述したように、血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルより低いか高い場合に例えば警報のような信号を送信するように構成されている血液グルコース決定装置と有効に組み合わせられる。さらにこのような装置は患者へ血液グルコースの評価を表示するためおよび/または患者へ警告するために、本発明による装置とラップトップ、移動体電話等との間で通信、例えばブルートュースのような無線パーソナル・エリア・ネットワークでの無線通信を可能にする。勿論、当業者に考えられる他の通信ネットワークも可能である。
【0034】
本発明の実施形態によれば、装置はさらにそれぞれ本発明の第1又は第2の特徴による装置により得られるような血液グルコースの評価に基づいてインシュリンの一回分を転送するように適合されたインシュリン放出装置を具備している。さらに、血液グルコース決定装置は、血液グルコースの評価信号をインシュリン放出装置へ送信するように構成されており、その信号に応答してインシュリン放出装置は患者へのインシュリンの一回分の投与を開始する。インシュリン放出装置は例えばインシュリンポンプ等であってもよい。このようなインシュリン放出装置はインシュリンシリンジまたはペンによるインシュリンの多数の連日注射に対する有効な代替であり、徹底的なインシュリン治療を可能にする。いくつかの実施形態では、インシュリン放出装置の特徴は前述したように、血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルより低いか高い場合に信号を送信するように適合された血液グルコース決定装置と、および/または前述したように通信装置をさらに具備している本発明による装置とそれぞれ有効に組合せられる。
【0035】
本発明の実施形態によれば、装置は主体の組織と連続的な接触を維持するように構成されることができ、随意選択的に血液グルコースの評価の周期的な決定に適合されてもよい。さらに別の実施形態によれば、直ぐ前に述べた実施形態の特徴は前述したように、血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルより低いか高い場合に例えば警報のような信号を送信するように構成された血液グルコース決定装置、および/または前述したようにさらに通信装置を具備しているそれぞれ本発明の第1又は第2の特徴による装置、および/または前述のインシュリン放出装置をさらに具備する装置と組み合わせられることができる。したがって装置は例えば、手首、腕、足首に取付けられるように設計されることができ、血液グルコースの評価の周期的または時間間隔を有する決定が得られ、さらに通信ネットワークを介して患者または施術者により行われる外部装置へ通信され、および/または恐らく低血糖が生じたときに患者および/または施術者へ警告する。装置はフック・アンド・ループ(ベルクロ)材料から作られたストラップ、ベルト、ブレスレット等のような固定手段により手首、腕、足首に取付けられることができる。
【0036】
本発明の実施形態によれば、装置はさらに電磁誘導、例えば無線周波数誘導によるエネルギ転送に適合された内部エネルギ源又は手段を具備する。内部エネルギ源は例えばバッテリ等である。このような装置は患者の生活様式に対する侵害を最小にして血液グルコースの評価を非侵襲的決定するための完全に埋め込まれた装置を可能にする。装置は好ましくは皮下組織に埋め込まれる。便宜的に、装置は糖尿病患者が通常インシュリンを注射する十分なスペースが存在する腹部領域の脂肪領域、臀部領域または必要ならばペースメーカーが通常埋め込まれている鎖骨の丁度下に位置付けられる。さらに別の実施形態によれば、すぐ前に述べた実施形態の特性は前述したように、血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルより低いか高い場合に例えば警報のような信号を送信するように適合された血液グルコース決定装置、および/または前述したようにさらに通信装置を具備しているそれぞれ本発明の第1又は第2の特徴による装置、および/または前述のインシュリン放出装置をさらに具備する装置と組み合わせられる。
【0037】
本発明のさらに別の実施形態によれば、センサはイオン選択電極を具備し、そのイオン選択電極は技術でよく知られており市販されているような板状pHガラス電極であり、これは良好な感度と、H、H、Na、Agのような一価のイオンに対する感知性を有する。このような電極は水溶液でヒドロニウム、Hの濃度の測定に特に有用であり、(pH値はヒドロニウムを形成するために水と反応する陽子数の尺度であるので)そこからpH値が決定される。
【0038】
本発明のさらに別の実施形態によれば、センサはイオン感知電界効果トランジスタ(ISFET)を具備する。ISFETは、溶液中のイオン濃度、典型的にはpHを測定するための技術で知られた装置である。イオン濃度が変化するときトランジスタを流れる電流は、それにしたがって変化する。ISFETを使用する利点は、これらが小型であり、丈夫で、動作が確実であり、インピーダンスの測定に使用される電極システムと一体化可能であり、したがって移動体応用として便利な小さい寸法を有するプローブを与え、例えばユーザがプローブを患者まで運び、これをその箇所に適合することを可能にする。米国特許第6,863,792号明細書はこのようなISFETの1例を開示している。
【0039】
本発明の1実施形態によれば、複数の電極の各電極は少なくとも1つのスパイクまたは針を具備する、スパイクまたは針とは、特に特定されていなければ、ここではそれぞれ少なくとも貫通孔を有する少なくとも1つの固体の微細構造または細長い微細構造を意味する。このような針またはスパイクは例えばそのスパイク又は針が位置される電極のベースとインシュリンディスペンサまたはコンテナとの間に流体接続を構成することにより患者へインシュリンを投与するために有効に使用されることができる。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態によれば、複数の電極の各電極は主体の皮膚の少なくとも1つの相を貫通するのに十分な長さを有し、または主体の皮膚の表面下から表皮を貫通するための十分な長さを有する少なくとも1つのスパイクまたは針を具備している。
【0041】
本発明のさらに他の実施形態によれば、複数の電極の各電極は少なくとも20μm、又は少なくとも30μm、又は少なくとも40μm、又は少なくとも50μm、又は少なくとも60μm、又は少なくとも70μm、又は少なくとも80μm、又は少なくとも90μmの長さを有する少なくとも1つのスパイクまたは針を具備している。
【0042】
本発明のさらに他の実施形態によれば、複数の電極の各電極は250μmまで、または
240μmまで、または230μmまで、または220μmまで、または210μmまで、または200μmまで、または190μmまで、または180μmまで、または170μmまで、または160μmまで、または150μmまで、または140μmまで、または130μmまで、または120μmまで、または110μmまで、または100μmまでの長さを有する少なくとも1つのスパイクまたは針を具備している。
【0043】
本発明の1実施形態によれば、プローブは3つの電極を具備し、ここで第1及び第2の電極のスパイク又は針は横方向で相互に第1の距離離されており、第1及び第3の電極のスパイクまたは針は横方向で相互に第2の距離離されており、組織のインピーダンス値を得るために電流に電極を通過させるステップは、組織の第1及び第2のインピーダンス値を得るために第1と第2の電極間および第1と第3の電極間で電流を別々に通過させるステップを含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、第1及び第2の距離は相互に異なっている。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態によれば、プローブは前述の実施形態による3つの電極を具備し、さらに第1の距離は約0.1mmと40mmの間、または約0.1mmと30mmの間、または約0.1mmと25mmの間、または約0.1mmと20mmの間、または約0.1mmと15mmの間、または約0.2mmと10mmの間、または約0.2mmと8mmの間、または約0.2mmと5mmの間、または約0.2mmと3mmの間、または約0.2mmと1.5mmの間、または約0.2mmと1mmの間、または約0.2mmと0.5mmの間であり、第2の距離は約1mmと50mmの間、または約1mmと40mmの間、または約1mmと30mmの間、または約1mmと25mmの間、または約1mmと20mmの間、または約1mmと15mmの間、または約1mmと10mmの間、または約1mmと9mmの間、または約1mmと8mmの間、または約1mmと7mmの間、または約2mmと8mmの間、または約3mmと7mmの間、または約4mmと7mmの間、または約4mmと6mmの間、または約5mmである。
【0045】
本発明のさらに別の実施形態によれば、複数の電極の各電極は少なくとも2つのスパイク又は針、または少なくとも3つのスパイク又は針、または少なくとも4つのスパイク又は針、または少なくとも5つのスパイク又は針、または少なくとも6つのスパイク又は針、または少なくとも7つのスパイク又は針、または少なくとも8つのスパイク又は針、または少なくとも9つのスパイク又は針、または少なくとも10つのスパイク又は針、または少なくとも12つのスパイク又は針、または少なくとも15つのスパイク又は針、または少なくとも18つのスパイク又は針、または少なくとも20つのスパイク又は針、または少なくとも22つのスパイク又は針、または少なくとも30つのスパイク又は針、または少なくとも40つのスパイク又は針、または少なくとも50つのスパイク又は針を具備している。
【0046】
本発明の他の実施形態によれば、電極を通過される電流は交流電流である。
【0047】
本発明のさらに他の実施形態によれば、インピーダンス測定に使用される電流は約10Hzと約10MHzとの間の周波数を有する交流電流である。例えば周波数の数はインピーダンススペクトルを生成するために使用されることができ、例えば複数の対数的に分布された周波数が使用される。別の実施形態では、約40Hzと約4MHzとの間の周波数が使用され、例えば複数の対数的に分布された周波数が使用されることができる。更に別の実施形態では、周波数は約1kHzから約1MHzまでの範囲を有する。
【0048】
本発明の第2の特徴のさらに別の実施形態によれば、複数の電極はイオン感知材料、特に酸度に対して良好な選択性を有する酸度感知材料から作られる。本発明の第2の特徴のさらに別の実施形態によれば、前記複数の電極の少なくとも1つはイリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマスまたはジルコニウム、或いはイリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマスまたはジルコニウムの酸化物から作られる。
【0049】
このようなプローブは特定のケースにおける問題のイオンによる前述の説明によるイオン感知材料を選択することによって特定のイオンの濃度を感知する正確さを増加するように設計されることができ、それによってプローブは良好な感度および問題とするイオンの感知性を有する。米国特許第6,863,792号明細書は酸化イリジウムに基づいた電子化学的検出器の1例を開示している。また本発明の第2の特徴のさらに別の実施形態では、複数の電極の少なくとも1つはイリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマスまたはジルコニウムの組成、またはイリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマスまたはジルコニウムの組成から作られる。
【0050】
本発明の第1又は第2の特徴の実施形態によれば、本発明の第1又は第2の特徴による装置はそれぞれ電流を複数の電極の少なくとも1つを通るように構成され、電流は約10Hzと10NHzの間の周波数を有する。
【0051】
図面に示されているように本発明の例示的な実施形態は単に例示の目的であることが理解されよう。本発明のさらに別の実施形態は以下の詳細な説明と添付の請求項と共に考えると明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の1つの例示的な実施形態によるスパイクを有する電極プローブの概略図である。
【図2】本発明の1つの例示的な実施形態によるスパイクを有する電極プローブの概略クローズアップ図である。
【図3】本発明の別の例示的な実施形態による電極プローブの表面の概略図である。
【図4a】板状pHガラス電極を具備する本発明のさらに別の例示的な実施形態による電極プローブの表面の概略図である。
【図4b】複数のイオン感知電界効果トランジスタを具備する本発明のさらに別の例示的な実施形態による電極プローブの表面概略図である。
【図4c】本発明のさらに別の例示的な実施形態による電極プローブの表面概略図である。
【図5a】本発明の第1又は第2の特徴によるプローブのさらに別の例示的な実施形態の概略図である。
【図5b】本発明の第1又は第2の特徴によるプローブのさらに別の例示的な実施形態の概略図である。
【図6a】インシュリン放出装置を具備する本発明の例示的な実施形態の概略図である。
【図6b】埋設されたインシュリン放出装置を具備する本発明の例示的な実施形態の概略図である。
【図7】本発明の第1又は第2の特徴による装置が装着者の組織と連続して接触するための手首に取付けられた装置の構成要素である本発明の例示的な実施形態の概略図である。
【図8】本発明の第1又は第2の特徴による装置が通信ネットワークを介して外部装置と通信するように適合された通信装置をさらに具備している本発明の第1又は第2の特徴の1つの例示的な実施形態の概略図である。
【図9】本発明の第1又は第2の特徴による装置が電気インピーダンストモグラフィ映像又はスペクトルを発生するための処理装置を具備している本発明の第1又は第2の特徴の例示的な実施形態の概略図である。
【図10】電磁誘導によるエネルギ転送用に構成された手段を具備している本発明の例示的な実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
生理的食塩水で正確なインピーダンス計を使用する予備インピーダンス測定は周波数とグルコース濃度の関数としてアクリルポリマーから作られる4極検査室で行われた。生理的食塩水中のグルコース濃度は7つのステップでゼロから約1600mg/dlまで変化され、インピーダンスは6桁の段階で40Hzから4MHzの周波数で測定された(表1参照)。表1に示されているように、測定されたインピーダンスは生体適合性周波数範囲においてグルコースからでも酸度からでも目に見える分散は示さなかった。しかしながら表1に見られるように、塩化水素の付加により6.1から2.8への酸度の大きなシフトがグルコースによるインピーダンス変化をリセットするのに十分である。
【0054】
その後、組織中の酸度の影響が調査され、以下詳細に説明するように酸度はグルコース−インピーダンスの関係の強いモジュレータであることが明らかにされている。グルコースの応答は皮膚、即ち角質層で非侵襲性電極を使用して観察されたので、BirgerssonとNeiderudによる研究(“Bioelectrical parameters related to glucose level: measurement principles and data analysis”、U. BirgerssonとF. Neiderud、MSc. Thesis, Royal Institute of Technology、ストックホルム(2004))では、インピーダンス測定が行われる細胞構造はグルコース応答を引出すために生きている必要はないと考えられる。したがって、角質層は高い絶縁性であり死んでいる角質化された扁平な細胞であるが、BirgerssonとNeiderudによる研究によれば依然としてグルコース応答を与える。
【0055】
したがって、本発明は主体の組織インピーダンスデータと主体の血液中のグルコース濃度との相関関係を改良するために、主体の組織の酸度(pH)の同時的またはほぼ同時的な測定が必須であることを確立するために組織モデルでの研究所の実現可能性検査により以下示されている。これは生きた組織と、皮膚の角質のような死んだ組織に対して正しいと考えられる。皮膚中の他の多くのイオン、例えばイオン化ナトリウム、ポタシウム、塩素、カルシウム、アミノ酸、乳酸、ウロカニン酸、ケトン等は全ての酸が潜在的な陽子供与体であるが、pHよりも重要性が少ないと考えられる。
【0056】
正確なインピーダンス分光計を使用するインピーダンスの測定は、生きた均質の細胞組織のモデル構造を意図している酵母構造からなる制御された組織モデルで実行された。この理由で、基礎液が準備され、食塩水に酵母を溶解することによる、スウェーデンで市販されている銘柄“Bla kronjast”(この製品には砂糖は添加されていない)の3kgの酵母と、400mlの生理的食塩水からなる。この基礎液の酸度は技術で知られるように正確な酸度測定手段により測定されるとき約4.10と4.15の間であった。NaOHを基礎液に付加することは基礎液の酸度を変化し、それによって1つのケースの酸度は約5.3と5.5の間であり、別のケースでは約6.8と7.8の間であった。測定期間中、酸度のドリフトが観察され、これが大きい程、酸度が高くなり、このことは酵母液中の酸度が基礎液の酸素のもとのレベルの方向へ調節することを示している。基礎液中にグルコースを溶解すると組織モデル中のグルコース濃度が変化した。
【0057】
人間の血液の正常な酸度範囲は約7.38−7.42である。軽い糖尿病性アシドーシスを患う主体からの血液の酸度(pH)は約7.2−7.3の範囲にあり、中程度から深刻な糖尿病性アシドーシスを患う主体からの血液の酸度はそれぞれ約7.0−7.2の範囲および7.0未満である。糖尿病ではない主体では、細胞内酸度は約5であり、過剰な細胞酸度は前述の説明によれば同じ血液である。糖尿病ではない主体では、皮膚の酸度は約6である。糖尿病を患う主体では、この値はそれより低い値である。
【0058】
酵母液の種々のインピーダンスパラメータは以下詳細に説明するように、周波数の関数として正確なインピーダンス分光計を使用して、異なる酸度レベル及びグルコース濃度で測定された。
【0059】
第1に、総インピーダンス、相、組織モデルのインピーダンスの実数部および虚数部は異なる酸度(pH)レベルとグルコース濃度に対して周波数関数として測定され、その結果が添付の表2に示されている。
【0060】
組織モデルでは、生体内で早期に観察されたもののレベルにおいてほとんど高いグルコース濃度によりインピーダンスパラメータの相対的な変化が存在する。ある状態期間に観察された皮膚のインピーダンス測定とグルコースとの良好な相関を考慮すると、例えばカナダ特許第2,318,735号明細書および米国特許第6,517,482号明細書を参照すると、幾つかの被験体では数日間の多数の測定において相関が観察され、一方、他の被験体では被験者の相関は最初は相関が観察されたが数時間のうちに減少または消滅された事実と、グルコース応答は非侵襲性および皮下の両者で引出された事実により、インピーダンス測定に影響する要素はまだ発見されておらず、その1つの可能性のある有力な候補は組織、例えば皮膚の酸度である。別の可能性のある要因は温度であり、これは通常主体の体内では安定レベルにあるが、皮膚ではより変化を示す可能性がある。しかしながら、任意の特定の理論により拘束されることを望むわけではないが、酸度は有力な候補であると出願人は考えている。
【0061】
表2から明白なように、引き締まった生体組織よりも約1桁高いが、例えば血液の特徴周波数の約半分の約1MHzの分散が存在する。これらの結果もグルコース濃度−インピーダンス関係が非線形であることを示している。
【0062】
表3は表2で与えられたデータの部分を提示している。
【0063】
表4と5は以下の定義によるインピーダンスパラメータである長い指数L−MIX、L−PIX、L−RIX、L−IMIXと、酸度とグルコース濃度の関数として長い指数の変化を示している。表4と5に示されている長い指数は例えばカナダ特許第2,318,735号明細書と米国特許第6,517,482号明細書の教示に類似して以下のように決定された。
L−MIX(大きさ指数)=abs(Z20 kHz)/abs(Z5 MHz)、
L−PIX(位相指数)=arg(Z20 kHz)/arg(Z5 MHz)、
L−RIX(実数部指数)=Re(Z20 kHz)/abs(Z5 MHz)、
L−IMIX(虚数部指数)=Im(Z20 kHz)/abs(Z5 MHz
ここでabs(Z)は周波数iにおける複素数電気インピーダンスの大きさ(率)であり、arg(Z)は度で示されるアーギュメント(位相角度)であり、Re(Z)は複素数電気インピーダンスの実数部であり、Im(Z)は複素数電気インピーダンスの虚数部である。実数部と虚数部はRe(Z)=abs(Z)cos[arg(Z)]、Im(Z)=abs(Z)sin[arg(Z)]のように大きさと位相角度から計算される。
【0064】
L−RIX指数は導電度の変化を主に示し、L−IMIXは複雑なスペースのインピーダンスを記述するベクトル長に沿った変化を示し、これは実数部と虚数部が同じ方向と割合で変化するならば強調され、L−PIX指数は実数部と虚数部が異なる方向および/または割合で変化するならば強調される。
【0065】
表6は異なる周波数、グルコースの異なる濃度、異なる酸度値について100mg/mlのグルコース当りまたは単位酸度(pH)当りの総インピーダンス、位相、組織モデルのインピーダンスの実数部及び虚数部の絶対値の変化を示している。
【0066】
生理学的範囲に正規化されて、最良のグルコース応答は低周波数と長い指数L−IMIXにおけるインピーダンスの虚数部からのものである。表5と6から分かるように、この応答は100mg/dlのグルコース当り約5乃至10パーセントの範囲にある。したがって酵母組織モデルは数人の主体についての早期の体内検査で観察されたものと類似のグルコース応答を与える。表5と6はまた概して同じ数の選択されたインピーダンスパラメータに対する酸度応答、即ち単位pH0.2当りに関して約5乃至10パーセントを示している。人間の血液の酸度は約±0.1で変化し、皮膚の酸度は約±0.5で変化することと、およびこの変化は糖尿病患者でさらに大きくなることを考慮するとき、与えられた結果から、酸度とグルコース濃度は組織のインピーダンス測定の結果の変調においてほぼ等しい重み係数であり、したがって酸度はグルコース濃度と組織のインピーダンスデータとの相関を改良しようとするときに必然的に考慮されなければならないという結論が得られる。
【0067】
組織の酸度と主体の血液中のグルコースの濃度の両者は、主体の食習慣、健康状態等に基づいて、予測不能に制御可能ではない方法で変化していることに注意すべきである。したがって組織インピーダンスデータと血液中のグルコース濃度のこのような良好な相関は多数の被験者の早期の研究で得られていることが注目すべきであり、このことは他の被験者よりも数人の被験者で組織の酸度レベルが安定であることを示唆している。さらに、組織の酸度レベルは糖尿病の被験者では安定ではないように見える。
【0068】
さらに、本発明による装置および/または方法を使用し、したがって組織の酸度(pH)を考慮する腫瘍の診断はインピーダンス測定を使用する従来技術の癌検出装置と方法による診断よりも正確であることが予想されることに注意すべきである。癌組織は健康な組織とは異なる代謝を有し、したがって一般的に健康な組織と比較して異なる酸度レベルを有することに注意する。
【0069】
本発明の好ましい実施形態を添付図面を参照して例示の目的で説明し、ここでは同じ符合は全体の図を通して同じ素子を示している。本発明は以下説明されているような特徴の組合せを含む他の例示的な実施形態を含むことを理解すべきである。さらに、本発明の他の例示的な実施形態は添付の請求項で規定されている。
【0070】
図1は本発明の第1又は第2の特徴の1つの例示的な実施形態を概略的に示しており、ここではプローブの1端部に位置されているパネル1上に配置された複数の電極はそれぞれスパイク又は針の形状の少なくとも1つの微細構造を具備している。本発明の文脈では、スパイク及び針については、これは少なくとも1つの貫通孔を具備する固体の微細構造と細長い微細構造をそれぞれ意味している。このような針またはスパイクは例えばそのスパイク又は針が位置されている電極のベースとインシュリンディスペンサまたはコンテナとの間に流体接続を構成することによって、インシュリンを患者に投与するために有効に使用されることができる。
【0071】
図2は本発明の第1又は第2の特徴の1実施形態の概略的なクローズアップ図であり、プローブは複数のスパイク3をそれぞれ有する3個の電極2を具備している。電極は基板4により支持されている。
【0072】
図3は本発明の第1又は第2の特徴の例示的な1実施形態の表面を概略的に示しており、ここで導電性プローブは同心円の形状の2対の電極を具備し、各対は電流注入電極5と電圧感知電極k6である。したがって例示的な電極5と6は図3に示されているように必ずしも同心円の形状で構成される必要はなく、設計または製造の要件にしたがって任意の幾何学形状を採用するように構成されることができる。
【0073】
図1−3は本発明のグルコース決定装置を示していない。しかしながら図1−3による実施形態がグルコース決定装置を欠いているように解釈されてはならない。グルコース決定装置は以下示す例示的な実施形態に示されている。
【0074】
図4a、4b、4cは、本発明の第1及び第2の特徴による例示的な実施形態を示している。
【0075】
図4aは、本発明の第1の特徴の例示的な実施形態による導電プローブの表面を概略的に示しており、ここでは板状pHガラス電極7が主体の組織、典型的には皮膚のイオン濃度、典型的には酸度を測定するために表面上に配置されており、2つの電極8は主体の組織の電気インピーダンスを測定するために使用されることができる。勿論、複数の板状pHガラス電極7が表面上に配置されることができ、それぞれ組織中の特定のイオン濃度を感知するように構成され、さらに組織インピーダンスを測定するための電極8は同様にプローブの表面上に取付けられることができる。プローブはさらに組織のインピーダンスと組織のイオン濃度に基づいて主体の血液グルコースの評価を決定するように構成されたグルコース決定装置28を具備している。
【0076】
図4bは、本発明の第1の特徴の例示的な実施形態による導電性プローブの表面を概略的に示しており、ここでは複数のイオン感知電界効果トランジスタ9、ISFETが主体の組織、典型的には皮膚のイオン濃度、典型的には酸度(pH)を測定するために表面上に配置されており、ここでISFET9は組織中の異なるイオンの濃度を感知するように構成されることができる。また図3に類似の2対の電極8は組織インピーダンスを測定するために表面上に配置されている。図4bに示されているプローブはさらに組織インピーダンスと組織中のイオン濃度に基づいて主体の血液グルコースの評価を決定するように構成されているグルコース決定装置28を具備している。
【0077】
図4cは、本発明の第2の特徴の例示的な実施形態による導電性プローブの表面を概略的に示しており、ここでは少なくとも1つの電極10は電圧モードにあるとき主体の組織のイオン濃度の値、典型的には酸度を表す信号を感知するように構成されている。これは本発明の第2の特徴の1つの例示的な実施形態によればイオン感知材料から作られている複数のうち少なくとも1つの電極10により補助される。本発明の第2の特徴のさらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの電極は酸度感知材料、イリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマスまたはジルコニウム等、またはその酸化物或いはその組成から作られる。同時に、電極10はイオン濃度の値、典型的には酸度を得る前または得た後に組織インピーダンスの測定に使用されることができる。また図4cに示されているプローブは組織インピーダンスと組織中のイオン濃度に基づいて主体の血液グルコースの評価を決定するように構成されたグルコース決定装置28を具備している。
【0078】
図4a、4b、4cに示されているようなグルコース決定装置28は、本発明による装置の他のコンポーネントと一体化されることができ、或いは以下説明するように外部にあることができる。
【0079】
電極および/または感知装置は異なる形態で配置されることができ、任意の幾何学的形状を有し、例えば電極の表面および/または感知装置は方形、円形、断面、楕円等の形状を有し、或いは針、スパイク、バーまたはロッド等による3次元形状を有し、前述の例示的な実施形態に限定されないことが理解されよう。本発明の第1又は第2の特徴による導電性プローブは、主体の皮膚または主体の皮膚下(皮下)、例えば糖尿病患者が通常インシュリンを注射する十分なスペースが存在する腹部領域の脂肪部または臀部領域付近に位置付けられるように構成されることができることが理解されよう。例えばプローブはインピーダンスを測定するためのISFET9と複数の同心電極(5、6)を具備する針、または酸度感知材料から作られる複数の電極(10)として構成されることができ、したがってこの明細書の他の箇所で説明したようにISFETを必要としない。
【0080】
したがって図5aは、本発明によるプローブの例示的な実施形態を示しており、ハンドル11と先端部13を具備している。先端部13は組織のインピーダンスおよび/または組織のイオン濃度、典型的にはpHを測定するための複数の電極を具備している。電極構成の幾つかの構造の例を前述した。また先端部13は随意選択的に板状pHガラス電極7またはISFET8を具備し、或いは複数のうち少なくとも1つの電極が前述したようにイオン感知材料或いは酸度感知材料から作られる。図5aに示されている装置はさらに、図5に示されているように例えば先端部13の直ぐ下に位置されている好ましくは他のコンポーネントと一体化されている血液グルコース決定装置28を具備している。その代わりに、血液グルコース決定装置28は外部にあるか、図5bに示されているように例えば接続ワイヤ29により接続されている接続手段により残りのコンポーネントに接続されることができる。図5aまたは5bで示されているような装置は血液グルコースの自己監視について糖尿病患者により使用されるのに適しているが、健康施設、病院等での糖尿病主体のスクリーニングまたは前述したように皮下測定にも適している。
【0081】
グルコース決定装置28は特に実施形態を伴って必然的に述べることなく、先に例示したように外部又は内部であることができることが理解されよう。
【0082】
図6aは本発明の第1又は第2の特徴による装置が、この特定のケースではインシュリンポンプ14で例示されているインシュリン放出装置を具備する本発明の例示的な実施形態を示している。インシュリンはポンプ14から注入セット16へフレキシブルなチューブ15により転送され、この注入セット16は典型的に患者へインシュリンを転送するため皮膚下に挿入されるカニューレ(図示せず)を具備している。この例では、本発明の第1又は第2の特徴による装置は患者の皮膚表面に対して位置されている注入セット16中に配置されている。装置は本発明の第1又は第2の特徴による装置によって得られるように血液グルコースの評価に基づいてインシュリンの一回分を転送するように適合される。さらに、血液グルコース決定装置は血液グルコース評価信号をインシュリン放出装置(この場合ではインシュリンポンプ14)へ送るように構成され、その信号に応答して、インシュリン放出装置14は患者へのインシュリンの一回分の投与を開始する。
【0083】
図6bは、本発明の第1又は第2の特徴による装置が、この特定のケースではインシュリンポンプ14で例示されているインシュリン放出装置を具備する本発明の別の実施形態を示しており、本発明の第1又は第2の特徴によるインシュリンポンプ14と装置29が埋め込まれている。装置29とインシュリンポンプ14または他のインシュリン放出装置は好ましくは図6bに示されているように接続ワイヤにより接続されるか、或いは一体化されている。この例では、インシュリン放出装置は患者の皮膚上に位置される入口30、例えばカテーテルに接続されているチューブを通してインシュリンを補充されることができる。本発明を説明する目的で、前述のコンポーネントは図6bで可視である。装置29により得られるような血液グルコース評価に基づいて装置29はインシュリン一回分を転送するように構成されている。さらに、血液グルコース決定装置は血液グルコース評価信号をインシュリン放出装置(この場合ではインシュリンポンプ14)へ送信するように構成され、その信号に応答して、インシュリン放出装置14は患者へのインシュリン一回分の投与を開始する。幾つかの実施形態では、これは以下説明するように例えば電磁誘導手段によるエネルギ転送に適合されている内部エネルギ源又は手段をさらに具備する装置29と有効に組み合わせられる。
【0084】
使用において、本発明の第1又は第2の特徴による装置は、装着者の皮膚との連続的な接触による例えばグルコースの連続的監視のための図7に例示されているような腕時計のように例えば手首に取付けられる装置、または装着者の聴覚管の外端部で皮膚と連続的に接触するようにヘッドセットに本発明による導電性プローブを有する移動体電話の構成要素として設計されることができる。図7は、本発明の第2の特徴による装置17を示しており、これは患者の手首、足首等上に装置を取付けるためのストラップ18と、図4cの先に開示された例による電極構造とを有し、ここで電極10の少なくとも1つは先に説明したように装着者の血液の血液グルコースの評価を決定する目的で、電圧モードにあるとき主体の皮膚のイオン濃度の値、典型的には酸度を表す信号を感知するように構成されており、さらに装置は血液グルコース決定装置28を有している。本発明のさらに別の応用が前述したことに加えて当業者に考えられることが理解されよう。
【0085】
図8は、本発明の第1又は第2の特徴の例示的な実施形態を概略的に示しており、本発明の第1又は第2の特徴による装置19はさらに通信装置20を具備し、これは少なくとも1つの通信ネットワーク22を介して少なくとも1つの外部装置21と通信するように構成されている。外部装置21は移動体電話、ラップトップ等であることができる。このような構成は例えば患者が施術者を訪問する必要なしに患者の血液グルコースレベルを測定および/または監視するために患者に装着されている血液グルコース決定装置と施術者が通信することを可能にする。幾つかの実施形態では、これは血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルより低いか高い場合に例えば警報のような信号23を送信するように構成されている血液グルコース決定装置と有効に組み合わせられる。さらにこのような装置は患者または施術者へ血液グルコースの評価を表示するためおよび/または患者または施術者へ警告するために、本発明による装置とラップトップ、移動体電話等との間で通信、例えばブルートュースのような無線パーソナル・エリア・ネットワーク22での無線通信を可能にする。勿論、当業者に考えられる他の通信ネットワーク22も可能である。また図8に示されているのは血液グルコース測定装置28である。電極および随意選択的に少なくとも1つの感知装置は図8に示されていない。
【0086】
図9は、本発明の第1の特徴の1つの例示的な実施形態を示しており、ここで本発明の第1の特徴による装置24はさらにインピーダンスドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像又はスペクトル26を生成するように構成された、またはインピーダンス及びイオン濃度ドメインで電気インピーダンストモグラフィ映像またはスペクトル26を生成するように構成されている処理装置25を具備しており、ここで複数の電極または複数の電極と感知装置は主体の組織表面上に位置されるように構成されたマトリックス又はアレイとして配置されている。このような映像またはスペクトル26は主体の組織表面の下に位置する組織構造に関連されることができることが考えられる。さらに処理装置25は好ましくは血液グルコース決定装置28と一体化される。その代わりに、血液グルコース決定装置は図9に示されているように処理装置28と分離されることができる。
【0087】
図9はさらに本発明の第2の特徴の1つの例示的な実施形態を示しており、ここで本発明の第2の特徴による装置24はさらにインピーダンスドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像26を発生するように構成された、またはインピーダンス及びイオン濃度ドメインで電気インピーダンストモグラフィ映像26を発生するように構成されている処理装置25を具備しており、ここで複数の電極は主体の組織表面上に位置されるように構成されたマトリックス又はアレイで構成されている。このような映像26は主体の組織表面の下に位置する組織構造に関連されることができることが考えられる。処理装置25は好ましくは血液グルコース決定装置と一体化される。その代わりに、血液グルコース決定装置は図9に示されているように処理装置28とは分離されることができる。
【0088】
図10は、本発明の第1又は第2の特徴の1つの例示的な実施形態を示しており、ここで本発明の第1又は第2の特徴による装置27は、装置27が電界E(図10参照)を受けるとき電磁誘導、例えば無線周波数誘導によるエネルギ転送を行うように構成された手段を具備している。このような構成は患者の生活様式に対する侵害を最小にして血液グルコースの評価を時折又は周期的に非侵襲的決定することができる完全に埋め込まれた装置27を可能にする。本発明を説明する目的で、埋め込まれた装置は図10で可視状態で示されている。装置は好ましくは皮下組織に埋め込まれる。便宜的に、装置は糖尿病患者が通常インシュリンを注射する十分なスペースが存在する腹部領域の脂肪領域、または臀部領域または必要ならばペースメーカーが通常埋め込まれている鎖骨の丁度下に位置付けられる。装置27を埋め込むために、バッテリのような内部エネルギ源を具備することもできる。限定されない例によれば、装置27は好ましくはこれが患者の身体に埋め込むのに適している長さ約40mm、厚さ約4mmのカプセルの形状を有するように構成される。
【0089】
最後に、本発明の第1又は第2の特徴による装置は技術で知られているように主体の体液中の物質の評価の決定を助けるためにインピーダンス測定、感知、解析を行うための必要な電気系を具備する。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
主体の血液中の血液グルコースの評価を非侵襲的に決定する装置において、
前記主体の組織、典型的には前記主体の皮膚のインピーダンスを測定するように構成された複数の電極を具備する導電プローブと、
前記主体の組織中に設置され、少なくとも1つのイオン濃度、典型的には酸度(pH)を感知するように構成された少なくとも1つのセンサまたは感知装置とを具備し、
前記導電プローブと前記感知装置はそれぞれ実質的に同時に前記組織のインピーダンスを測定し前記組織中のイオンの濃度を感知するように構成され、
前記装置はさらに、前記組織のインピーダンスと前記イオン濃度とに基づいて前記主体の血液グルコースの評価を決定するように構成された血液グルコース決定装置(28)を具備している装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの感知装置はイオン選択電極、好ましくは板状pHガラス電極(7)を具備している請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの感知装置はイオン感知電界効果トランジスタ(9)を具備している請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記導電プローブは1対の電極を具備し、一方の電極は電流注入電極(5)であり、他方は電圧感知電極(6)であり、または前記導電プローブは2対の電極を具備し、各対は電流注入電極(5)と電圧感知電極(6)である請求項1乃至3のいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記複数の電極は主体の組織表面上に位置されるように構成されてマトリックスまたはアレイで配置され、前記装置はさらにインピーダンスドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像(26)を発生するように構成された処理装置(25)を具備し、または前記複数の電極と前記少なくとも1つの感知装置は主体の組織表面上に位置されるように構成されてマトリックス又はアレイで配置されており、前記装置は前記主体の組織表面の下に位置する組織構造に関係されるようにさらに前記インピーダンス及びイオン濃度ドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像を発生するように構成された処理装置を具備し、前記処理装置(25)は好ましくは前記血液グルコース決定装置(28)と一体化されている請求項1乃至4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記複数の電極の各電極は少なくとも1つのスパイク又は針(3)を具備している請求項1乃至5のいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのスパイク又は針(3)は主体の前記皮膚の前記表面の下から表皮までを貫通できるのに十分な長さを有している請求項6記載の装置。
【請求項8】
前記プローブは3個の前記電極(2)を具備し、前記第1の電極と前記第2の電極の前記スパイク又は針(3)は横方向で相互から第1の距離離されており、前記第1及び第3の電極の前記スパイクまたは針(3)は横方向で相互から第2の距離離されている請求項6または7記載の装置。
【請求項9】
前記血液グルコース決定装置(28)は前記血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルよりも低いか高いならば警報信号(23)を送信するように構成されている請求項1乃至8のいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
さらに、少なくとも1つの通信ネットワーク(22)を介して少なくとも1つの外部装置(21)と通信するように構成された通信装置(20)を具備している請求項1乃至9のいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
さらに、前記血液グルコースの評価に基づいてインシュリンの一回分の放出量を転送するように構成されたインシュリン放出装置(14)を具備し、前記血液グルコース決定(28)装置は、前記インシュリンの一回分の放出量の転送を開始するために血液グルコースの評価信号を前記インシュリン放出装置へ送信するように構成されている請求項1乃至10のいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記装置(17)は前記主体の前記組織と連続的に接触を維持するように構成され、前記装置は随意選択的に血液グルコースの前記評価の周期的な決定を行うように構成されている請求項1乃至11のいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
さらに、電磁誘導によるエネルギを転送するように構成された内部エネルギ源又は手段を具備している請求項1乃至12のいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記装置は電流が前記複数の電極の少なくとも1つを通過するように構成され、前記電流は約10Hz乃至10MHzの範囲の周波数を有している請求項1乃至13のいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
主体の血液中の血液グルコースの評価の非侵襲性決定のための装置において、
主体の組織、典型的には主体の皮膚のインピーダンスの値を測定するように構成された複数の電極を具備する導電プローブを具備し、
前記複数の電極(10)のうち少なくとも1つは電圧モードにあるとき主体の組織中のイオン濃度の値、典型的には酸度(pH)を表す信号を感知するように構成されており、
前記導電プローブは実質的に同時に主体の組織のインピーダンスの前記値と主体の組織中の前記イオン濃度の値を獲得するように構成され、
前記装置はさらに、前記組織のインピーダンスと前記イオン濃度とに基づいて、前記主体の血液グルコースの評価を決定するように構成されている血液グルコース決定装置(28)を具備している装置。
【請求項16】
前記複数の電極(10)の少なくとも1つは、イオン感知材料から作られている請求項15記載の装置。
【請求項17】
前記複数の電極(10)の少なくとも1つは、酸度感知材料から作られている請求項16記載の装置。
【請求項18】
前記複数の電極(10)の少なくとも1つはイリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマス、またはジルコニウムまたはイリジウム、アンチモン、パラジウム、ルテニウム、ビスマスまたはジルコニウムの酸化物、或いはジルコニウムとイリジウムとアンチモンとパラジウムとルテニウムとビスマスまたはジルコニウムの組成から作られる請求項15乃至17のいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
前記導電性プローブは1対の電極を具備し、その一方の電極は電流注入電極(5)であり、他方は電圧感知電極(6)であり、または前記導電性プローブは2対の電極を具備し、各対は電流注入電極(5)と電圧感知電極(6)である請求項15乃至18のいずれか1項記載の装置。
【請求項20】
前記複数の電極は主体の組織表面上に位置されるように構成されてマトリックスまたはアレイで配置され、前記装置はさらにインピーダンスドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像(26)を発生するように構成されている処理装置625、または前記主体の組織表面の下に位置する組織構造に関係されるようにさらに前記インピーダンス及びイオン濃度ドメインにおいて電気インピーダンストモグラフィ映像(26)を発生するように構成されている処理装置(25)を具備し、前記処理装置(25)は好ましくは前記血液グルコース決定装置(28)と一体化されている請求項15乃至19のいずれか1項記載の装置。
【請求項21】
前記複数の電極の各電極は、少なくとも1つのスパイク又は針(3)を具備している請求項15乃至20のいずれか1項記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つのスパイク又は針(3)は、主体の前記皮膚の前記表面の下から表皮までを貫通できるのに十分な長さを有している請求項18記載の装置。
【請求項23】
前記プローブは3個の前記電極(2)を具備し、前記第1の電極と前記第2の電極の前記スパイク又は針(3)は横方向で相互から第1の距離離されており、前記第1及び第3の電極の前記スパイクまたは針(3)は横方向で相互から第2の距離離されている請求項21または22記載の装置。
【請求項24】
前記血液グルコース決定装置(28)は前記血液グルコースの評価が予め定められた基準グルコースレベルよりも低いか高いならば警報信号(23)を送信するように構成されている請求項15乃至23のいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
さらに、少なくとも1つの通信ネットワーク(22)を介して少なくとも1つの外部装置(21)と通信するように構成されている通信装置(20)を具備している請求項15乃至24のいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
さらに、前記血液グルコースの評価に基づいてインシュリンの一回分の放出量を転送するように構成されたインシュリン放出装置(14)を具備し、前記血液グルコース決定装置(28)は、前記インシュリンの一回分の放出量の転送を開始するために血液グルコースの評価信号を前記インシュリン放出装置(14)へ送信するように構成されている請求項15乃至25のいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
前記装置(17)は、前記主体の前記組織と連続的に接触を維持するように構成され、前記装置は随意選択的に血液グルコースの前記評価の周期的な決定を行うように適合されている請求項15乃至26のいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
さらに、電磁誘導によりエネルギを転送するように構成された内部エネルギ源又は手段を具備している請求項15乃至17のいずれか1項記載の装置。
【請求項29】
前記装置は、電流が前記複数の電極の少なくとも1つを通過するように構成され、前記電流は約10Hz乃至10MHzの範囲の周波数を有している請求項15乃至28のいずれか1項記載の装置。
【請求項30】
主体の血液中の血液グルコースの評価の非侵襲性決定方法において、
(a)前記主体の組織表面、典型的には前記主体の前記皮膚表面に対して導電性プローブを位置させ、ここで前記プローブは複数の電極と、前記組織中のイオン濃度、典型的には酸度(pH)を感知するように構成された少なくとも1つの感知装置又はセンサとを具備し、
(b)前記組織のインピーダンスの値を得るために前記電極に電流を通過させ、
(c)前記組織中のイオン濃度の少なくとも1つの値を得るために前記少なくとも1つの感知装置又はセンサを使用し、
(d)ここで前記組織の前記インピーダンス値と前記少なくとも1つの前記組織中のイオンの濃度値は実質的に同時に得られ、
(e)イオン濃度の少なくとも1値と前記インピーダンスの値とに基づいて主体の血液中の血液グルコースの評価を決定するステップを含んでいる方法。
【請求項31】
さらに、前記組織表面を食塩水または生理食塩水に浸すか、または前記組織表面を導電性ゲル中に浸すステップを含んでいる請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記導電性プローブは、請求項1乃至14のいずれか1項記載の構成である請求項30または31記載の方法。
【請求項33】
前記複数の電極の各電極は少なくとも1つのスパイク又は針(3)を具備している請求項30乃至32のいずれか1項記載の方法。
【請求項34】
前記プローブは3個の前記電極(2)を具備し、前記第1の電極と前記第2の電極の前記スパイク又は針(3)は横方向で相互から第1の距離離されており、前記第1及び第3の電極の前記スパイクまたは針(3)は横方向で相互から第2の距離離されており、請求項30記載のステップ(b)は前記組織の第1及び第2のインピーダンスの値を得るために前記第1と第2の電極の間および前記第1と第3の電極の間で別々に電流を通過させるステップを含んでいる請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記電流は約10Hz乃至10MHzの範囲の周波数を有している請求項30乃至34のいずれか1項記載の方法。
【請求項36】
さらに、約10Hz乃至10MHzの範囲の複数の周波数で前記組織の前記インピーダンスを測定するステップを含んでいる請求項30乃至35のいずれか1項記載の方法。
【請求項37】
主体の血液中の血液グルコースの評価の非侵襲性決定方法において、
(f)前記主体の組織表面、典型的には前記主体の前記皮膚表面に対して導電性プローブを位置させ、ここで前記プローブは複数の電極を具備し、前記複数の電極の少なくとも1つは電圧モードにあるとき主体の組織中のイオン濃度の値、典型的には酸度(pH)を表す信号を感知するように構成されており、
(g)前記組織の前記インピーダンスの値を得るために前記電極に電流を通過させ、
(h)前記組織中のイオン濃度の少なくとも1つの値を得るために前記主体の前記組織中のイオン濃度の値を表す信号を感知するように構成された前記少なくとも1つの電極を使用し、
(i)ここで前記組織の前記インピーダンスの値と前記組織中のイオンの濃度の値の前記少なくとも1値は実質的に同時に得られ、
(j)前記イオン濃度の少なくとも1つの値と前記インピーダンスの値に基づいて主体の血液中の血液グルコースの評価を決定するステップを含んでいる方法。
【請求項38】
さらに、前記組織表面を食塩水または生理食塩水に浸すか、前記組織表面を導電性ゲル中に浸すステップを含んでいる請求項37記載の方法。
【請求項39】
前記導電性プローブは請求項15乃至29のいずれか1項記載の構成である請求項37または38記載の方法。
【請求項40】
前記複数の電極の各電極は、少なくとも1つのスパイク又は針(3)を具備している請求項37乃至39のいずれか1項記載の方法。
【請求項41】
前記プローブは3個の前記電極(2)を具備し、前記第1の電極と前記第2の電極の前記スパイク又は針(3)は横方向で相互から第1の距離離されており、前記第1及び第3の電極の前記スパイクまたは針(3)は横方向で相互から第2の距離離されており、請求項37記載のステップ(g)は前記組織の第1及び第2のインピーダンス値を得るために前記第1と第2の電極の間および前記第1と第3の電極の間で別々に電流を通過させるステップを含んでいる請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記電流は約10Hz乃至10MHzの範囲の周波数を有している請求項37乃至41のいずれか1項記載の方法。
【請求項43】
さらに、約10Hz乃至10MHzの範囲の複数の周波数で前記組織の前記インピーダンスを測定するステップを含んでいる請求項37乃至42のいずれか1項記載の方法。
【請求項44】
請求項1乃至29のいずれか1項記載の装置と共に使用されるように適合されているイオン感知性で、典型的には酸度(pH)を感知する電界効果トランジスタISFET。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−516128(P2011−516128A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−502232(P2011−502232)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/053811
【国際公開番号】WO2009/121392
【国際公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(510261049)オナブラブ・エービー (1)
【氏名又は名称原語表記】ONABLAB AB
【住所又は居所原語表記】c/o Ollmar, Solvagen 21, 141 46 Huddinge, Sweden
【Fターム(参考)】