説明

作業機械の制御装置

【課題】解体用作業装置に高い応力が発生することを防止できる作業機械の制御装置を提供する。
【解決手段】コントローラ19の入力側に、掘削作業モードと解体作業モードとを切換えるための作業モード切換スイッチ20と、クラッシャ用リモコン弁18の伸び側2次圧ポートに設けた破砕操作検出手段としての圧力スイッチ21と、クラッシャ6の破砕シリンダ9aのヘッド側の圧力を検出する破砕負荷検出手段としての圧力センサ22とを接続する。コントローラ19の出力側に、アーム用リモコン弁17の2次圧回路に設けたアーム操作を停止するアーム操作停止手段としての電磁切換弁23、24と、アームを動かすアームシリンダ5aのヘッド側回路に設けた低圧切換弁としての電磁切換弁25とを接続する。電磁切換弁25に、電磁切換弁25の励磁状態でアームシリンダ5aのヘッド側と連通する低圧回路35を接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解体用作業装置を備えた作業機械の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
破砕用アタッチメントを装着した解体作業用の作業機械では、破砕用アタッチメントと他の油圧アクチュエータとの良好な複合操作を可能とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の解体作業用の作業機械としては、図3に示されるように、構築物、例えば鉄骨鉄筋コンクリートおよび鉄筋コンクリートで作られた構造物等で比較的高い建物等を解体するための長尺型のフロント作業装置を備えた作業機械Aがある。この作業機械Aは、下部走行体1に機体としての上部旋回体2が回動自在に取付けられ、この上部旋回体2に搭載されたフロント作業装置としての解体用作業装置(以下、単に「フロント」という)Fは、ロアブーム3、アッパブーム4、アーム5および破砕用アタッチメント(以下、クラッシャという)6が順次連結され、これらは、ロアブームシリンダ3a、アッパブームシリンダ4a、アームシリンダ5aおよびバケットシリンダ6aにより、それぞれ回動されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-232301号公報(第6-8頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、破砕作業ではクラッシャ6が重いため、アームシリンダ5a、バケットシリンダ6aにはロッド側に圧力が発生している。ところが、鉄筋コンクリートが切断された瞬間にクラッシャ6が落下し、構造物などに衝突すると、アームシリンダ5a、バケットシリンダ6aのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じ、アーム5やアッパブーム4に高い応力が発生する。
【0006】
また、クラッシャ6で鉄筋コンクリートを噛み込んだ状態で、アームシリンダ5aを無理やり駆動すると、アーム5やアッパブーム4に過大な力が加わり、高い応力が発生する。
【0007】
その対策としてフロントFの強度を高めることが考えられるが、それに伴いフロントFの重量が重くなり、リーチの長い解体作業機では、安定性や操作性が低下する。安定性を確保するには、作業機械を大型化させなければならない。
【0008】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、解体用作業装置に高い応力が発生することを防止できる作業機械の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、アームの先端部に構造物を破砕する破砕用アタッチメントが設けられた解体用作業装置を備えた作業機械において、破砕用アタッチメントの破砕操作を検出する破砕操作検出手段と、破砕用アタッチメントの負荷を検出する破砕負荷検出手段と、アームを動かすアームシリンダを操作するアーム操作回路と、アーム操作回路のアーム操作を停止するアーム操作停止手段と、破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、アーム操作停止手段にアーム操作を停止する信号を出力するコントローラとを具備した作業機械の制御装置である。
【0010】
請求項2に記載された発明は、アームの先端部に構造物を破砕する破砕用アタッチメントが設けられた解体用作業装置を備えた作業機械において、破砕用アタッチメントの破砕操作を検出する破砕操作検出手段と、破砕用アタッチメントの負荷を検出する破砕負荷検出手段と、アームを動かすアームシリンダのヘッド側回路に設けられた低圧切換弁と、低圧切換弁の開状態でアームシリンダのヘッド側と連通される低圧回路と、破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、アームシリンダのヘッド側回路に設けられた低圧切換弁を開いて、アームシリンダのヘッド側を低圧回路に開放するコントローラとを具備した作業機械の制御装置である。
【0011】
請求項3に記載された発明は、請求項2記載の作業機械の制御装置における低圧切換弁が電磁切換弁であり、低圧回路は、この電磁切換弁の励磁状態でアームシリンダのヘッド側が連通されるアキュームレータを備えたものである。
【0012】
請求項4に記載された発明は、請求項3記載の作業機械の制御装置における低圧回路が、アキュームレータに蓄圧される圧の上限を設定値に制御するリリーフ弁を備えたものである。
【0013】
請求項5に記載された発明は、アームの先端部に構造物を破砕する破砕用アタッチメントが設けられた解体用作業装置を備えた作業機械において、破砕用アタッチメントの破砕操作を検出する破砕操作検出手段と、破砕用アタッチメントの負荷を検出する破砕負荷検出手段と、アームを動かすアームシリンダを操作するアーム操作回路と、アーム操作回路のアーム操作を停止するアーム操作停止手段と、アームシリンダのヘッド側回路に設けられた電磁切換弁と、電磁切換弁の励磁状態でアームシリンダのヘッド側が連通されるアキュームレータと、アキュームレータに蓄圧される圧の上限を設定値に制御するリリーフ弁と、破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、アーム操作停止手段にアーム操作を停止する信号を出力するとともに、アームシリンダのヘッド側回路に設けられた電磁切換弁を励磁して、アームシリンダのヘッド側をアキュームレータおよびリリーフ弁に連通させるコントローラとを具備した作業機械の制御装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載された発明によれば、解体用作業装置の破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、コントローラが、アーム操作回路に操作を停止する手段によりアーム操作を停止するので、破砕用アタッチメントで構造物を噛み込んだ状態で無理やりアームを動かすことができず、アームなどに生じていた高い応力を緩和でき、疲労寿命を延ばすことができる。これにより、解体作業用の作業機械を大型化させることなく解体用作業装置に高い応力が発生することを防止でき、解体用作業装置を軽量設計することができ、作業機械をコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【0015】
請求項2に記載された発明によれば、解体用作業装置の破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、コントローラが、アームシリンダのヘッド側に設けられた低圧切換弁を開いて、アームシリンダのヘッド側を低圧回路に開放し、解体用作業装置に無理な荷重が加わらないようにしたので、破砕用アタッチメントの破砕物が構造物などに衝突した瞬間に反動でアームシリンダのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じることがなく、アームなどに生じていた高い応力を緩和でき、疲労寿命を延ばすことができる。これにより、解体作業用の作業機械を大型化させることなく解体用作業装置に高い応力が発生することを防止でき、解体用作業装置を軽量設計することができ、作業機械をコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【0016】
請求項3に記載された発明によれば、解体用作業装置の破砕用アタッチメント負荷が規定値以上に達すると、コントローラが、アームシリンダのヘッド側に設けられた電磁切換弁を励磁して、アームシリンダのヘッド側をアキュームレータに連通することで、アームシリンダのヘッド側で発生したピーク圧をアキュームレータにより吸収するので、構造物が破砕された瞬間に反動でアームシリンダのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じる現象を防止できるとともに、アキュームレータに蓄圧された圧をアームシリンダのヘッド側に有効利用できる。
【0017】
請求項4に記載された発明によれば、リリーフ弁によって、低圧回路のアキュームレータを、アームシリンダのヘッド側に生じたピーク圧から保護できる。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、解体用作業装置の破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、コントローラが、アームシリンダのヘッド側に設けられた電磁切換弁を励磁して、アームシリンダのヘッド側をアキュームレータに連通し、アームシリンダのヘッド側で発生したピーク圧をリリーフ弁で設定値に制御してアキュームレータにより吸収することで、破砕用アタッチメントの破砕物が切断されて落下し構造物などに衝突した瞬間に、反動でアームシリンダのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じる現象を防止できるので、また、コントローラが、アーム操作停止手段にアーム操作を停止する信号を出力することで、破砕用アタッチメントで構造物を噛み込んだ状態で無理やりアームを動かすことができないので、要するに、アームなどの解体用作業装置に無理な荷重が加わらないようにしたので、解体用作業装置に生じていた高い応力を緩和でき、疲労寿命を延ばすことができる。これにより、解体作業用の作業機械を大型化させることなく解体用作業装置に高い応力が発生することを防止でき、解体用作業装置を軽量設計することができ、作業機械をコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る作業機械の制御装置の一実施の形態を示す回路図である。
【図2】同上作業機械におけるコントローラの制御ブロック図である。
【図3】同上作業機械の側面図である。
【図4】同上作業機械の破砕用アタッチメントを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を、図1乃至図4に示された一実施の形態を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図3は、破砕用の作業機械Aを示し、下部走行体1に機体としての上部旋回体2が回動自在に取付けられ、この上部旋回体2にフロント作業装置として設けられた解体用作業装置(以下、単に「フロント」という)Fが搭載されている。
【0022】
このフロントFは、上部旋回体2にロアブーム3の基端が回動自在に軸支され、このロアブーム3の先端にアッパブーム4が回動自在に軸支され、これらのロアブーム3およびアッパブーム4により長尺ブームが形成されている。さらに、アッパブーム4の先端にアーム5が回動自在に軸支され、このアーム5の先端にバケット代替の破砕用アタッチメント(以下、クラッシャという)6が回動自在に軸支されている。ロアブーム3はロアブームシリンダ3aにより、アッパブーム4はアッパブームシリンダ4aにより、アーム5はアームシリンダ5aにより、クラッシャ6はバケットシリンダ6aにより、それぞれ回動されるように構成されている。
【0023】
図4はクラッシャ6の構造を示し、このクラッシャ6は、1対の破砕シリンダ9aと、旋回モータ9bとを備えており、1対の破砕シリンダ9aにより開閉駆動される1対の破砕刃としてのロッカビーム9cが、旋回モータ9bにより旋回可能の旋回ブラケット9dにそれぞれ回動自在に軸支され、旋回ブラケット9dを旋回自在に保持する基体ブラケット9eには、その中心部に各破砕シリンダ9aに圧油を供給するためのスイベルジョイント9fが設置されている。
【0024】
そして、このスイベルジョイント9fを介し1対の破砕シリンダ9aに圧油を供給して1対のロッカビーム9cを開閉し、鉄筋コンクリートなどの構造物Bを破砕する。また、旋回モータ9bに圧油を供給して旋回ブラケット9dを旋回させ、ロッカビーム9cの向きを調整する。
【0025】
図1は作業機械の油圧制御装置を示し、上部旋回体2に搭載されたエンジン10に、メインポンプ11a,11bと、クラッシャ6の旋回モータ9bを駆動するためのポンプ12とが接続されている。
【0026】
ロアブームシリンダ3a、アッパブームシリンダ4a、アームシリンダ5a、バケットシリンダ6a、下部走行体1の履帯駆動用の走行モータ7a,7b、上部旋回体旋回用の旋回モータ8および1対の破砕シリンダ9aには、これらを方向制御および速度制御するメインコントロールバルブ13内の対応する切換弁(スプール弁)がそれぞれ接続されている。
【0027】
例えば、アームシリンダ5aにはアーム用切換弁14が、破砕シリンダ9aにはクラッシャ用切換弁15が接続されている。クラッシャ6の旋回モータ9bは、クラッシャ旋回用切換弁16により制御される。
【0028】
アーム用切換弁14は、アーム5を動かすアームシリンダ5aを操作するアーム操作回路としてのアーム用パイロット回路14a,14b中に設けられた手動式のアーム用リモコン弁17によりパイロット操作され、このアーム用リモコン弁17は、シリンダ伸び側リモコン弁17aおよびシリンダ縮み側リモコン弁17bを備えている。
【0029】
クラッシャ用切換弁15は、クラッシャ用リモコン弁18によりパイロット操作され、このクラッシャ用リモコン弁18は、シリンダ伸び側リモコン弁18aおよびシリンダ縮み側リモコン弁18bを備えている。
【0030】
コントローラ19の入力側には、掘削作業モードと解体作業モードとを切換えるための作業モード切換スイッチ20と、クラッシャ用リモコン弁18の伸び側2次圧ポートに設けられた破砕操作検出手段としての圧力スイッチ21と、クラッシャ6の破砕シリンダ9aのヘッド側の圧力を検出する破砕負荷検出手段としての圧力センサ22とが接続されている。圧力スイッチ21は、クラッシャ6の破砕操作を検出する検出器であり、圧力センサ22は、クラッシャ6の負荷を検出する検出器である。
【0031】
コントローラ19の出力側には、アーム用リモコン弁17の2次圧回路に設けられたアーム操作を停止するアーム操作停止手段としての電磁切換弁23、24と、アーム5を動かすアームシリンダ5aのヘッド側回路に設けられた低圧切換弁としての電磁切換弁25とが接続されている。
【0032】
電磁切換弁25の非励磁位置には、アームシリンダ5aのヘッド側からの作動油流出を止める逆止弁が設けられ、励磁位置には、アームシリンダ5aのヘッド側からの作動油流出を可能とする通路が設けられている。
【0033】
電磁切換弁25に、この電磁切換弁25の励磁状態でアームシリンダ5aのヘッド側と連通される低圧回路35が接続されている。この低圧回路35は、電磁切換弁25の励磁状態でアームシリンダ5aのヘッド側が連通されるアキュームレータとしての低圧アキュームレータ26を備え、電磁切換弁25とこの低圧アキュームレータ26との間から引出された通路は、低圧アキュームレータ26に蓄圧される圧の上限を設定値に制御するリリーフ弁27を経て、タンク28に接続されている。
【0034】
アーム用リモコン弁17およびクラッシャ用リモコン弁18の1次圧回路には、パイロット圧力源29が接続されている。
【0035】
図2は、コントローラ19の制御ブロック図を示し、コントローラ19には、作業モード切換スイッチ20、クラッシャ用リモコン弁18の伸び側2次圧ポートに設けられた圧力スイッチ21、およびクラッシャ6の破砕シリンダ9aのヘッド側(ロッカビーム閉じ側)の圧力を検出する圧力センサ22の信号が入力される。一方、コントローラ19から電磁切換弁23,24,25の駆動信号が出力される。
【0036】
コントローラ19は、圧力センサ22の信号に基づきオン/オフ信号を出力する信号判定器30と、論理積演算器31と、オフ信号設定器32と、作業モード切換スイッチ20によって信号を切換える信号切換器33,34とを備えている。
【0037】
コントローラ19は、圧力スイッチ21で検出されたクラッシャ6の破砕操作があり、かつ圧力センサ22で検出されたクラッシャ6の負荷が規定値以上に達すると、電磁切換弁23,24にアーム操作を停止する信号を出力する機能と、同様に、クラッシャ6の破砕操作があり、かつクラッシャ6の負荷が規定値以上に達すると、アームシリンダ5aのヘッド側回路に設けられた電磁切換弁25を励磁して、アームシリンダ5aのヘッド側を低圧回路35に開放し、低圧アキュームレータ26およびリリーフ弁27に連通させる機能とを備えている。
【0038】
次に、図1に示す油圧制御装置および図2に示すコントローラ19の制御ブロック図に基づいて、作用を説明する。
【0039】
(1) 掘削作業
掘削作業を行う場合は、作業モード切換スイッチ20を「掘削」側に入れる。したがって、図2において信号切換器33,34は、オフ信号設定器32の信号を選択し、電磁切換弁23,24,25は全てオフに設定され、通常の作業ができる。
【0040】
すなわち、電磁切換弁23,24がオフであるから、アーム用リモコン弁17をレバー操作すると、操作方向および操作量に応じたパイロット圧が、アーム用パイロット回路14a,14bの一方を経てアーム用切換弁14に供給されるので、このアーム用切換弁14によりアームシリンダ5aを任意に作動できるとともに、電磁切換弁25がオフであるので、アームシリンダ5aのヘッド側が低圧回路35に連通することもなく、高圧で掘削作業できる。
【0041】
(2) 解体作業
解体作業を行うときは、作業モード切換スイッチ20を「解体」側に入れる。
【0042】
解体作業において、クラッシャ6で鉄筋コンクリートなどの構造物Bを破砕すると、図2において、クラッシャ用リモコン弁18の伸び側2次圧ポートに圧力が立ち、圧力スイッチ21がオンになる。さらに、クラッシャ6の破砕シリンダ9aの負荷が上がると、圧力センサ22の信号が立ち、信号判定器30からオン信号が出力される。したがって、論理積演算器31の出力がオンになり、信号切換器33,34を介して、電磁切換弁23,24,25が励磁される。
【0043】
上記の作用により、アーム用リモコン弁17の2次圧回路に設けられた電磁切換弁23,24によってアーム用切換弁14のパイロット圧はタンク28に解放され、アームシリンダ5aの操作を停止する。
【0044】
同時に電磁切換弁25によってアームシリンダ5aのヘッド側が低圧アキュームレータ26に導かれる。したがってアームシリンダ5aを縮める方向の衝撃力が吸収され、鉄筋コンクリートが切断された瞬間に反動でヘッド側に瞬間的にピーク圧が発生することを防止できる。
【0045】
要するに、クラッシャ6で破砕作業しているときは、アーム操作を禁止し、かつアームシリンダ5aのヘッド側を低圧回路35に開放してフロントFに無理な荷重が加わらないようにする。
【0046】
次に、上記実施の形態の効果を説明する。
【0047】
フロントFのクラッシャ6が破砕操作され、かつクラッシャ6の負荷が規定値以上に達すると、コントローラ19が、アーム用パイロット回路14a,14bに設けられた電磁切換弁23、24を切換えることによりアーム操作を停止するので、クラッシャ6で構造物Bを噛み込んだ状態で無理やりアーム5を動かすことができず、アーム5などに生じていた高い応力を緩和でき、疲労寿命を延ばすことができる。これにより、解体作業用の作業機械Aを大型化させることなくフロントFに高い応力が発生することを防止でき、フロントFを軽量設計することができ、作業機械Aをコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【0048】
フロントFのクラッシャ6が破砕操作され、かつクラッシャ6の負荷が規定値以上に達すると、コントローラ19が、アームシリンダ5aのヘッド側に設けられた電磁切換弁25を励磁して、アームシリンダ5aのヘッド側を低圧回路35に開放して、フロントFに無理な荷重が加わらないようにしたので、クラッシャ6の破砕物が構造物Bなどに衝突した瞬間に反動でアームシリンダ5aのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じることを防止でき、アーム5などに生じていた高い応力を緩和でき、疲労寿命を延ばすことができる。これにより、解体作業用の作業機械Aを大型化させることなくフロントFに高い応力が発生することを防止でき、フロントFを軽量設計することができ、作業機械Aをコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【0049】
例えば、鉄筋コンクリートが切断された瞬間に反動でアームシリンダ5aのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じることを防止でき、また、クラッシャ6で鉄筋コンクリートなどの構造物Bを噛み込んだ状態で無理やりアームシリンダ5aによりアーム5を動かすことができなくなるので、アームシリンダ5aが設けられたアーム5やアッパブーム4に生じていた高い応力が緩和され、疲労寿命を延ばすことができる。さらに、フロントFを軽量設計することができ、作業機械Aをコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【0050】
クラッシャ6の負荷が規定値以上に達すると、コントローラ19が、アームシリンダ5aのヘッド側に設けられた電磁切換弁25を励磁して、アームシリンダ5aのヘッド側をアキュームレータ26に連通することで、アームシリンダ5aのヘッド側で発生したピーク圧をアキュームレータ26により吸収するので、構造物Bが破砕された瞬間に反動でアームシリンダ5aのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じる現象を防止できるとともに、アキュームレータ26に蓄圧された圧をアームシリンダ5aのヘッド側に有効利用できる。さらに、リリーフ弁27によって、低圧回路のアキュームレータ26を、アームシリンダ5aのヘッド側に生じたピーク圧から保護できる。
【0051】
フロントFのクラッシャ6が破砕操作され、かつクラッシャ6の負荷が規定値以上に達すると、コントローラ19が、アームシリンダ5aのヘッド側に設けられた電磁切換弁25を励磁して、アームシリンダ5aのヘッド側をアキュームレータ26に連通し、アームシリンダ5aのヘッド側で発生したピーク圧をリリーフ弁27で設定値に制御してアキュームレータ26により吸収することで、クラッシャ6で構造物本体から切り離した構造物Bが落下して他の構造物などに衝突した瞬間に、反動でアームシリンダ5aのヘッド側に瞬間的にピーク圧が生じる現象を防止できるので、また、コントローラ19が、電磁切換弁23、24にアーム操作を停止する信号を出力することで、クラッシャ6で構造物Bを噛み込んだ状態で無理やりアーム5を動かすことができないので、要するに、アーム5などのフロントFに無理な荷重が加わらないようにしたので、フロントFに生じていた高い応力を緩和でき、疲労寿命を延ばすことができる。これにより、解体作業用の作業機械Aを大型化させることなくフロントFに高い応力が発生することを防止でき、フロントFを軽量設計することができ、作業機械Aをコンパクトにでき、輸送や分解組立などが容易になる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、解体作業と他の作業とを切換えることが可能な作業機械に利用できる。
【符号の説明】
【0053】
A 作業機械
B 構造物
F 解体用作業装置としてのフロント
5 アーム
5a アームシリンダ
6 破砕用アタッチメントとしてのクラッシャ
14a,14b アーム操作回路としてのアーム用パイロット回路
19 コントローラ
21 破砕操作検出手段としての圧力スイッチ
22 破砕負荷検出手段としての圧力センサ
23,24 アーム操作停止手段としての電磁切換弁
25 低圧切換弁としての電磁切換弁
26 アキュームレータとしての低圧アキュームレータ
27 リリーフ弁
35 低圧回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アームの先端部に構造物を破砕する破砕用アタッチメントが設けられた解体用作業装置を備えた作業機械において、
破砕用アタッチメントの破砕操作を検出する破砕操作検出手段と、
破砕用アタッチメントの負荷を検出する破砕負荷検出手段と、
アームを動かすアームシリンダを操作するアーム操作回路と、
アーム操作回路のアーム操作を停止するアーム操作停止手段と、
破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、アーム操作停止手段にアーム操作を停止する信号を出力するコントローラと
を具備したことを特徴とする作業機械の制御装置。
【請求項2】
アームの先端部に構造物を破砕する破砕用アタッチメントが設けられた解体用作業装置を備えた作業機械において、
破砕用アタッチメントの破砕操作を検出する破砕操作検出手段と、
破砕用アタッチメントの負荷を検出する破砕負荷検出手段と、
アームを動かすアームシリンダのヘッド側回路に設けられた低圧切換弁と、
低圧切換弁の開状態でアームシリンダのヘッド側と連通される低圧回路と、
破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、アームシリンダのヘッド側回路に設けられた低圧切換弁を開いて、アームシリンダのヘッド側を低圧回路に開放するコントローラと
を具備したことを特徴とする作業機械の制御装置。
【請求項3】
低圧切換弁は、電磁切換弁であり、
低圧回路は、
この電磁切換弁の励磁状態でアームシリンダのヘッド側が連通されるアキュームレータを備えた
ことを特徴とする請求項2記載の作業機械の制御装置。
【請求項4】
低圧回路は、
アキュームレータに蓄圧される圧の上限を設定値に制御するリリーフ弁を備えた
ことを特徴とする請求項3記載の作業機械の制御装置。
【請求項5】
アームの先端部に構造物を破砕する破砕用アタッチメントが設けられた解体用作業装置を備えた作業機械において、
破砕用アタッチメントの破砕操作を検出する破砕操作検出手段と、
破砕用アタッチメントの負荷を検出する破砕負荷検出手段と、
アームを動かすアームシリンダを操作するアーム操作回路と、
アーム操作回路のアーム操作を停止するアーム操作停止手段と、
アームシリンダのヘッド側回路に設けられた電磁切換弁と、
電磁切換弁の励磁状態でアームシリンダのヘッド側が連通されるアキュームレータと、
アキュームレータに蓄圧される圧の上限を設定値に制御するリリーフ弁と、
破砕用アタッチメントが破砕操作され、かつ破砕用アタッチメントの負荷が規定値以上に達すると、アーム操作停止手段にアーム操作を停止する信号を出力するとともに、アームシリンダのヘッド側回路に設けられた電磁切換弁を励磁して、アームシリンダのヘッド側をアキュームレータおよびリリーフ弁に連通させるコントローラと
を具備したことを特徴とする作業機械の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−203207(P2010−203207A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−52998(P2009−52998)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000190297)キャタピラージャパン株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】