説明

作業管理方法、作業管理システム、作業管理用車載端末、および作業管理用プログラム

【課題】工程変更や車種追加、通信途絶など各種状況変化にも効率的に対応し、作業対象の車両ごとに必要な作業指示情報の提供や作業毎の詳細な作業実績の収集を実行できる技術を提供する。
【解決手段】可搬媒体の格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば車両情報を含む仕様データ要求をサーバ300に送信する仕様要求手段110と、サーバから作業仕様データを受信し格納する仕様格納手段111と、可搬媒体の格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば該当作業員の作業項目に該当する作業仕様データを特定し表示する仕様表示手段112とを備えた作業管理用車載端末100と、作業管理用車載端末100から仕様要求を受信し該当車両の作業仕様データを返信する仕様送信手段310を備えるサーバ300とから作業管理システム10を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業管理方法、作業管理システム、作業管理用車載端末、および作業管理用プログラムに関するものであり、具体的には、工程変更や車種追加、通信途絶など各種状況変化にも効率的に対応し、作業対象の車両ごとに必要な作業指示情報の提供や作業毎の詳細な作業実績の収集を実行できる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車組立工場の車体工程・塗装工程・組立工程などの各工程において、人が作業を行う場面は多い。作業対象の車両ごとに作業内容が異なるのであれば、作業員はこれに応じて作業内容を把握し、適切な作業を行う必要がある。その為には、例えば、作業場所ごとに作業指示を伝える作業コードを表示する指示画面(ディスプレイ等)を設けたり、車両ごとに作業指示書(紙媒体等)を発行して車両に貼り付け、作業者に作業内容を把握させるなどの措置がとられてきた。
【0003】
前記指示画面の表示処理を行う端末は、現在作業中の車両を把握し、適切なタイミングで車両ごとに異なるデータの表示切替えを行う必要がある。そのため、車両仕様を把握する上位システムに車両が到達するごとに問い合わせてデータを取得し、表示処理を行っている。また、前記作業指示書を利用した運用においては、複数の作業者を対象とした作業指示内容を1枚の作業指示書にて表示する必要が有り、ある作業地点では不要な作業内容のコードもまとめて表示する必要がある。
【0004】
こうした製造工程における作業指示の処理技術について、複数の仕様を持つ製品を製造する製造ラインで作業の内容を指示するための作業指示書として使用される表示媒体において、前記各仕様に対応する作業の内容を電子情報として記憶している記憶手段と、作業の内容を表示する表示手段と、外部からの指示を受け取る指示受け取り手段と、前記指示受け取り手段で受け取った外部からの指示に従って前記記憶手段に記憶されている仕様に対応する作業の内容を読み出して前記表示手段に表示させる表示制御手段を有することを特徴とする表示媒体(特許文献1参照)などが提案されている。
【0005】
また、自動搬送装置の周辺に配置されており、かつ、作業ステーションIDを保持している作業ステーションRF−IDタグから作業ステーションIDを読取るとともに、部品トレイに貼付されており、部品IDを保持している部品IDタグから部分IDを読取るID情報読取り手段と、標準作業情報を記憶している標準作業情報記憶手段と、重量変化値と重量変化値の発生時間とを計測して重量変化情報として検知する重量測定手段と、電動工具の作動回数と作動時間とを作動情報として検知する電動工具作動状況検知手段と、標準作業情報読取工程と、ID情報読取工程と、電動工具作動検知工程と、重量変化検知工程と、作業順番確定工程とを実施する制御手段とを備えている作業実績収集システム(特許文献2参照)なども提案されている。
【0006】
また、無線ICタグの格納情報と無線ICタグリーダ自身の情報とを取得しメモリに格納するタグ情報取得部と、格納情報を第1のテーブルに照合して該当製品の情報を取得し無線ICタグリーダの情報を第2のテーブルに照合して製造工程を特定しメモリに格納するトラッキング支援部と、製品の情報と製造工程の情報とを第3のテーブルに照合し該当製品の該当製造工程における作業指示書を特定し背景色または文字色に製品の色情報を設定し作業指示書データを作成してメモリに格納する指示書フォーム作成支援部と、作業指示書データを出力インターフェイスに出力処理する作業指示支援部とを備える作業指示管理装置から構成される作業指示管理システム(特許文献3参照)なども提案されている。
【0007】
また、複数の工程から成る生産ラインによりワークを加工する際に、個々のワークにIDタグを取り付け、その個々のワークのIDタグに書き込んだ加工情報に基づいて各工程での作業の指示を行う生産指示システムにおいて、生産ラインに入れる全てのワークの各工程での作業に必要な加工情報を記憶するとともに、その記憶した加工情報の中から、各工程での作業に必要とするものを工程別に抽出して編集する情報管理装置と、生産ラインの各工程の入口に配置され、それぞれの工程に入るワークのIDタグに対し、そのIDタグに予め設定されたワークの識別番号に基づいて、上記情報管理装置からそれぞれの工程での作業に必要な加工情報を読み出して書き込む情報書込み装置と、生産ラインの各工程に配置され、それぞれの工程内を流れるワークのIDタグから、上記情報書込み装置によって書き込まれた加工情報を読み出して、それぞれの工程での作業の指示を行う指示装置と、を備えたことを特徴とする生産指示システム(特許文献4参照)なども提案されている。
【特許文献1】特開2005−25336号公報
【特許文献2】特開2007−115134号公報
【特許文献3】特開2008−134734号公報
【特許文献4】特開平5−237749号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、作業指示によって行われた作業の時間や完了結果などの把握は詳細には行われておらず、重要な作業箇所毎に前記把握を行うための装置を導入し対応している。また、作業によって取り付けられる部品が重要保安部品等であれば、どの車両にどの部品が取り付けられたかを把握する必要があるが、こうした要求に対しても、必要箇所等に個別に装置を導入し対応している。こうした対応が必要となる対象部品は増加傾向にあり、前記個別対応の装置ばかり製造工程に増えていくのが現状である。
【0009】
結果として、従来技術では作業者の作業場所ごとに作業指示画面を用意したり、あるいは必要な作業指示書を用意する必要がある。したがって新車種対応や製造ラインの改善などによる作業工程変更に対応するためには、これら装置の追加設置や画面修正、指示書の修正等をシステムで行う必要が有り、多くの作業時間と費用をかけることとなる。
【0010】
また作業実績の収集については、収集したいポイントごとに対応する必要があったため、必要最小限のデータしか収集されていないか、収集されていても個別ポイント毎の対応となっていて統一的な把握が出来ていない。
【0011】
上述のように従来技術における作業者への指示処理は、作業者ごとにあるいは複数の作業をまとめた形で行うものであり、作業工程や内容の変更に対応するためには指示を行うシステム自体の設定変更が必要であった。また指示装置の設置場所もある程度固定されており、指示を行うべき場所が増えた場合には、それに応じた装置を増設し設置場所の確保も必要であった。
【0012】
また、作業の開始・終了時刻など細かな作業内容の把握は、個別の作業箇所や人員毎には行われておらず、作業効率の分析用データ等を収集するには、別途、人的対応や別システム導入を必要としていた。同様に、作業により車両に組付けた部品の記録を行う場合にも、個別に装置を準備して行う必要が有り、必要最小限の部品しか対応していなかった。また、そうして記録した情報を作業工程全体等で統合することもなく、有効活用できていないと言う問題もあった。
【0013】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、工程変更や車種追加、通信途絶など各種状況変化にも効率的に対応し、作業対象の車両ごとに必要な作業指示情報の提供や作業毎の詳細な作業実績の収集を実行できる技術の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決する本発明の作業管理方法は、他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段を備えて、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置された作業管理用車載端末と、他装置と通信する通信手段、および作業対象となる各車両の作業仕様のデータを格納する記憶手段を備えたサーバとが、以下の処理を実行するものである。
【0015】
すなわち、前記作業管理用車載端末は、作業員の可搬媒体(例:RFID)に対する読み取りを実行したリーダ装置(例:RFIDリーダ)から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データ(例:格納情報のフラグ等と作業管理用車載端末が実行する処理との対応関係を定めたテーブル)に照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信する仕様要求処理を実行する。
【0016】
また、前記サーバは、前記作業管理用車載端末から前記通信手段を介して前記仕様要求を受信し、この仕様要求が含む車両情報をキーに前記記憶手段で該当車両の作業仕様データを検索し、ここで検索した作業仕様データを前記通信手段により前記作業管理用車載端末に送信する、仕様送信処理を実行する。
【0017】
また、前記作業管理用車載端末は、前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納する、仕様格納処理と、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示する、仕様表示処理とを実行する。
【0018】
なお、前記作業管理方法において、前記作業管理用車載端末が、前記仕様格納処理の実行後、前記リーダ装置から前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報が作業仕様の表示要求に対応すると判定する毎に、該当作業員の作業項目に応じた前記仕様表示処理を実行するとしてもよい。
【0019】
また、前記作業管理方法において、前記作業管理用車載端末が、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業開始記録に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、作業開始データとして記憶手段に格納する、作業時刻記録処理を実行するとしてもよい。
【0020】
また、この場合、前記作業管理用車載端末は、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段に格納されている前記作業開始データ群を読み出し、この作業開始データ群と前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データとし、前記通信手段により前記サーバに送信する、実績送信処理とを実行する。
【0021】
また、前記作業管理方法において、前記作業管理用車載端末が、前記作業時刻記録処理において、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業終了記録に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、作業終了データとして記憶手段に格納するとしてもよい。
【0022】
この場合、前記作業管理用車載端末は、前記実績送信処理において、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段に格納されている前記作業開始データ群および前記作業終了データ群を読み出し、この作業開始データ群および作業終了データ群と前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データとし、前記通信手段により前記サーバに送信する。
【0023】
また、前記作業管理方法において、前記作業管理用車載端末が、作業員の可搬媒体に対する読み取り動作を実行する前記リーダ装置を備えるとしてもよい。
【0024】
また、前記作業管理方法において、前記作業管理用車載端末が、車両取付けされる部品が付帯する記録媒体に対し、読み取り動作を行う他リーダ装置を備えるとしてもよい。この場合、前記作業管理用車載端末は、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が取付部品の登録記録に対応するものであれば、該当作業員が車両に取付けた取付部品に付帯する記録媒体に対する読み取り動作を、前記他リーダ装置に指示して、当該他リーダ装置から前記記録媒体の記録情報を取得し、当該記録情報に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、部品取付実績データとして記憶手段に格納する、取付実績記録処理を実行する。
【0025】
また、前記作業管理用車載端末は、前記実績送信処理において、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段に格納されている前記部品取付実績データ群を読み出し、この部品取付実績データ群と前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データとし、前記通信手段により前記サーバに送信する。
【0026】
また、本発明の作業管理システムは、作業管理用車載端末とサーバとから構成されるコンピュータシステムである。前記作業管理用車載端末は、他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段と、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信する仕様要求手段と、前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納する仕様格納手段と、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示する仕様表示手段とを備える。なお、前記作業管理用車載端末は、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置される。
【0027】
また、前記サーバは、他装置と通信する通信手段、および作業対象となる各車両の作業仕様のデータを格納する記憶手段と、前記作業管理用車載端末から前記通信手段を介して前記仕様要求を受信し、この仕様要求が含む車両情報をキーに前記記憶手段で該当車両の作業仕様データを検索し、ここで検索した作業仕様データを前記通信手段により前記作業管理用車載端末に送信する、仕様送信手段とを備える。
【0028】
また、本発明の作業管理用車載端末は、他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段と、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信する仕様要求手段と、前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納する仕様格納手段と、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示する仕様表示手段とを備え、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置されたことを特徴とする。
【0029】
また、本発明の作業管理用プログラムは、他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段とを備え、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置されたコンピュータ装置に、以下のステップを実行させるものである。
【0030】
すなわち、前記作業管理用プログラムは、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信するステップと、前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納するステップと、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示するステップと、をコンピュータに実行させる。
【0031】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、工程変更や車種追加、通信途絶など各種状況変化にも効率的に対応し、作業対象の車両ごとに必要な作業指示情報の提供や作業毎の詳細な作業実績の収集を実行できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
−−−システム構成−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態の作業管理システム10のネットワーク構成図である。図1に示す作業管理システム10は、構内無線LAN網などのネットワーク140を介して互いに接続された作業管理用車載端末100およびサーバ300から構成され、工程変更や車種追加、通信途絶など各種状況変化にも効率的に対応し、作業対象の車両ごとに必要な作業指示情報の提供や作業毎の詳細な作業実績の収集を実行するコンピュータシステムである。
【0034】
想定する状況例としては、例えば、車両の生産工場に設置された生産ラインにおいて、組み立て対象の車両が流れている状況がある。前記生産工場には、前記車両毎の作業仕様や生産実績に関する情報を管理するサーバ300が備わり、一方、前記生産ラインを流れる車両一台一台には前記作業管理用車載端末100が予め設置してある。また、前記車両に対して部品の組み付けなど各種作業を行う作業員は、自身の担当作業について情報が記憶された可搬媒体、例えば、RFIDカード25を所持している(勿論、生産ラインでの受け持ち箇所に、リーダ装置から読み取り可能に載置されているとしてもよい)。前記作業員は、作業開始・終了、部品組み立て終了時など、所定のタイミングで当該タイミングに応じたRFIDカード25を、リーダ装置たるRFIDリーダ20に読み取らせる。作業管理用車載端末100ではこのRFIDカード25からの読み取り情報に応じて必要な処理を選択的に実行する。
【0035】
次に、本実施形態における作業管理システム10を構成する各装置について説明する。前記作業管理システム10(以下システム10)を構成する作業管理用車載端末100は、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶手段101に格納されたプログラム102をRAM103に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。また、前記作業管理用車載端末100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス105、ディスプレイなどの出力インターフェイス106(表示手段)を備える。また、前記サーバ300などとの間のデータ授受を担う通信手段107を有している。作業管理用車載端末100が設置された車両が流れる生産ラインにおける前記ネットーワーク140が無線LANであれば、前記通信手段107は、無線LAN用の通信装置となる。
【0036】
また、この作業管理用車載端末100の具体的な構成例としては、例えば、液晶ディスプレイ等の表示手段を備えたポケットPCやパネルコンピュータに、RFIDリーダ20やバーコードリーダ30が装備された装置を想定できる。また、この作業管理用車載端末100は、生産ライン上を流れる車両一台一台に設置されるものであるから、好ましくはバッテリーを備えてバッテリー駆動する端末である。
【0037】
続いて、前記システム10を構成する前記作業管理用車載端末100が、例えばプログラム102に基づき前記記憶手段101にて構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記作業管理用車載端末100は、記憶手段において、選択基準テーブル127(例:格納情報のフラグ等と作業管理用車載端末が実行する処理との対応関係を定めたテーブル)を格納している。
【0038】
こうした前記作業管理用車載端末100は、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段101に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバ300に送信する仕様要求手段110を備える。
【0039】
また、前記作業管理用車載端末100は、前記サーバ300から送信されてきた作業仕様データを前記通信手段107により受信し、記憶手段101においてスペックデータ125として格納する、仕様格納手段111を備える。
【0040】
また、前記作業管理用車載端末100は、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段101の作業仕様データ、つまりスペックデータ125を検索し、前記作業項目に該当するスペックデータ125を特定し、ここで特定したスペックデータ125を表示手段106に表示する、仕様表示手段112を備える。
【0041】
なお、前記仕様表示手段112は、前記仕様格納手段111での処理が終了後、前記RFIDリーダ20から前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報が作業仕様の表示要求に対応すると判定する毎に、該当作業員の作業項目に応じた前記スペックデータ125の表示処理を実行する。
【0042】
また、前記作業管理用車載端末100は、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が作業開始記録に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目に時計機能(作業管理用車載端末100=コンピュータ装置、が一般に備える時計機能)から取得した現在時刻を対応付けて、作業開始データとして記憶手段101に格納する、作業時刻記録手段113を備える。
【0043】
また、前記作業管理用車載端末100は、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段101に格納されている前記作業開始データの群れを読み出し、この作業開始データの群れと前記記憶手段101に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データ126とし、前記通信手段107により前記サーバ300に送信する、実績送信手段114を備える。
【0044】
なお、前記作業時刻記録手段113が、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が作業終了記録に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、作業終了データとして記憶手段101に格納するとしてもよい。
【0045】
この場合、前記実績送信手段114は、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段101に格納されている前記作業開始データ群および前記作業終了データ群を読み出し、この作業開始データ群および作業終了データ群と前記記憶手段101に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データ126とし、前記通信手段107により前記サーバ300に送信する。
【0046】
また、前記作業管理用車載端末100が、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が取付部品の登録記録に対応するものであれば、該当作業員が車両に取付けた取付部品に付帯する記録媒体、ここではバーコードに対する読み取り動作を、前記バーコードリーダ30に指示して、当該バーコードリーダ30から前記バーコードの記録情報を取得し、当該記録情報に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、部品取付実績データとして記憶手段101に格納する、取付実績記録手段115を備えるとしてもよい。
【0047】
この場合、前記実績送信手段114は、作業員のRFIDカード25に対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段101に格納されている前記部品取付実績データ群を読み出し、この部品取付実績データ群と前記記憶手段101に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データ126とし、前記通信手段107により前記サーバ300に送信する。
【0048】
また、前記作業管理システム10を作業管理用車載端末100らと共に構成するのがサーバ300である。このサーバ300は、例えば、車両生産工場等に設置されているサーバ装置であり、本発明を実現する機能を備えるべくハードディスクドライブなどの不揮発性の記憶手段301に格納されたプログラム302をRAM303に読み出し、演算装置たるCPU304により実行する。また、前記サーバ300は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス305、ディスプレイなどの出力インターフェイス306を必要に応じて備えることができる。また、作業管理用車載端末100らとの間のデータ授受を担う通信手段307を有している。
【0049】
続いて、前記サーバ300が、例えばプログラム302に基づき前記記憶手段301にて構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記サーバ300は、作業対象となる各車両の作業仕様のデータを格納するスペックデータベース325と、前記作業管理用車載端末100から送信されてくる実績データ126の格納先となる実績データベース326とを記憶手段301に格納している。
【0050】
こうした前記サーバ300は、前記作業管理用車載端末100から前記通信手段307を介して前記仕様要求を受信し、この仕様要求が含む車両情報をキーに前記記憶手段301のスペックデータベース325で該当車両の作業仕様データを検索し、ここで検索した作業仕様データをスペックデータ125として前記通信手段307により前記作業管理用車載端末100に送信する、仕様送信手段310を備える。
【0051】
また、前記サーバ300は、前記通信手段307を介して作業管理用車載端末100から、前記実績データ126を受信し、この実績データ126を前記実績データベース326に格納する実績取得手段311を備えるとしてもよい。
【0052】
これまで示した前記システム10における各手段110〜115、310〜311、はハードウェアとして実現してもよいし、メモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現するとしてもよい。この場合、各装置のCPUがプログラム実行に合わせて記憶装置より該当プログラムをRAMに読み出して、これを実行することとなる。
【0053】
−−−データベース構造例−−−
次に、本実施形態の前記システム10が利用するデータベースの例について説明する。図2は、本実施形態における(a)スペックデータベース325、(b)実績データベース326、の各構成例を示す図である。
【0054】
前記スペックデータベース325は、前記サーバ300が記憶手段301において格納しているデータベースであり、生産ラインを流れる作業対象の各車両の作業仕様データを格納している(この作業仕様のデータをスペックデータと称す)。図に示すスペックデータベース325は、例えば、車両情報である車両IDをキーとして、該当車両についての作業仕様たる、シートのタイプ、ハンドル取付位置、などの各項目の仕様データを対応付けたレコードの集合体となっている。例えば、製造予定の車両毎に前記レコードがこのスペックデータベース325に登録されている。
【0055】
また、前記実績データベース326は、前記サーバ300が前記作業管理用車載端末100より受信した実績データ126を格納するデータベースである。この実績データベース326は、例えば、前記実績データ126が含む車両IDをキーとして、サブID1、2、およびデータ(前記作業開始データおよび作業終了データが含む時刻データ、組付けたエアバッグ等の部品番号)が対応付けされたレコードの集合体となっている。なお、前記サブID1のデータとしては、例えば作業種類の情報を格納する。
【0056】
図の例であれば、車両ID“AAAA0001”の車両に対し、“WK1”なる作業、および“AIRBAG”(=エアバッグ)の取付、といった作業の種類が設定されている。また、前記サブID2のデータとしては、例えば前記サブID1の作業種類についてなされた作業内容の情報を格納する。図の例であれば、車両ID“AAAA0001”の車両に対する“WK1”なる作業について、“START”(=作業開始)、“END”(=作業終了)といった作業内容が、また、“AIRBAG”の取付作業について、部品ID“PART1”(=部品番号“XXXXYYYYZZZZ0001”のエアバッグ取付)、部品ID“PART2”(=部品番号“XXXXYYYYZZZZ0002”のエアバッグ取付)、部品ID“PART3”(=部品番号“XXXXYYYYZZZZ0003”のエアバッグ取付)といった作業内容が設定されている。
【0057】
従って、前記データの欄には、例えば、車両ID“AAAA0001”の車両に対する“WK1”なる作業について“START”(=作業開始した)時刻である“2008/8/1/12:59:40”、同様に“END”(=作業終了した)時刻である“2008/8/1/12:59:55”、が設定されている。また同様に、“AIRBAG”の取付作業について“PART1”(=部品番号“XXXXYYYYZZZZ0001”のエアバッグ取付)が取付された時刻の“2008/8/1/13:00:05”、“PART2”(=部品番号“XXXXYYYYZZZZ0002”のエアバッグ取付)が取付された時刻の“2008/8/1/13:01:24”、“PART3”(=部品番号“XXXXYYYYZZZZ0003”のエアバッグ取付)が取付された時刻の“2008/8/1/13:02:11”が設定されている。
【0058】
図3は本実施形態における(a)スペックデータ125、(b)実績データ126、(c)選択基準テーブル127の各構成例を示す図である。前記スペックデータ125は、前記作業管理用車載端末100が車両IDを含む前記仕様データ要求をサーバ300に送信した結果、前記サーバ300から取得して記憶手段101に格納している作業仕様データである。このスペックデータ125は、前記車両IDに対応する車両の作業仕様を示すものであり、例えば、作業仕様の項目No.および項目名(シート、タイヤ、ハンドル、など)をキーとして、各項目に対応する仕様データ(“シート”のタイプ“TYPE-1”、“ハンドル”の取付位置“左”など)が対応付けされたレコードの集合体となっている。
【0059】
また、前記実績データ126は、前記作業管理用車載端末100が前記サーバ300に送信するために記憶手段101に蓄積しているデータであり、例えば、所定の生産ラインでの各作業員の各作業が全て終了した時点で、前記生産ラインで最後に(つまりライン最下流の)作業を行う作業員のRFIDカード25から作業終了の格納情報が取得された時点で、作業管理用車載端末100から前記サーバ300に送信される。図に示す実績データ126の例では、車両ID“AAAA0001”なる車両に対し、“WK1”なる作業が“2008/8/1/12:59:40”に“START”(=作業開始)し、“2008/8/1/12:59:55”に“END”(=作業終了)した旨のデータ、また、複数のAIRBAGの取り付け作業について、1個目の部品として部品ID"1"の"AIRBAG"(=部品番号"XXXXYYYYZZZZ0001")の取付が"2008/8/1/13:00:05"に、2個目の部品として部品ID"2"の"AIRBAG"(=部品番号"XXXXYYYYZZZZ0002")の取付が"2008/8/1/13:01:24"に、3個目の部品として部品ID"3"の"AIRBAG"(=部品番号"XXXXYYYYZZZZ0003")の取付が"2008/8/1/13:02:11"に実施された旨の実績データとなっている。
【0060】
このように各作業工程ごとに行われた作業の開始・終了や組みつけられた部品の情報が実績データとして各作業管理用車載端末100に蓄積され、一連の工程が終了するたびに前記サーバ300に送信され、最終的に、生産されたすべての車両の実績データがサーバ300の実績データベース326に格納される。こうした実績データベース326の格納情報は、品質管理や改善事項の洗い出しなど様々な事後検討に用いることが可能である。
【0061】
また、前記選択基準テーブル127は、格納情報のフラグ等と作業管理用車載端末100が実行する処理との対応関係を定めたテーブルである。前記選択基準テーブル127は、例えば、前記格納情報のフラグ等としての作業区分(RFIDカード25の格納情報が含む「作業区分」に対応)をキーとして、作業管理用車載端末100が実行する処理を示す「実行処理」を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0062】
図に示す例では、作業区分として、「SPEC:ALL」、「START」、「END」、「END:ALL」、「PART_START」、「PART_END」が設定されている。またこれら作業区分に対応付いた実行処理としては、例えば、「SPEC:ALL」に「仕様データ要求」(サーバ300に作業仕様データの要求を実行)、「START」に「仕様データ表示・作業開始データ格納」(表示手段に作業仕様データを表示し、作業開始データを格納)、「END」に「作業終了データ格納」、「END:ALL」に「実績送信」(サーバ300に実績データ送信)、「PART_START」に「作業開始データ格納・取付部品の登録」、「PART_END」に「作業終了データ格納・取付部品の登録」が設定されている。
【0063】
−−−格納情報の設定例−−−
図4は、本実施形態のRFIDカード25における格納情報の、(a)設定内容1、(b)設定内容2、(c)設定内容3、(d)設定内容4、(e)設定内容5、(f)設定内容6の各例を示す図である。ここでは、前記RFIDカード25の格納情報の例について説明する。前記RFIDカード25は、例えば、無線ICチップ26をプラスティック筐体27などの適宜な収納ケースに格納した形態が想定され、前記作業管理用車載端末100のRFIDリーダ20との間で無線通信可能である。前記無線ICチップ26は、プログラム2(RFIDリーダ20からの要求に応じて格納情報を返信処理するプログラムなど、RFIDカード25が実行する処理に対応するプログラム)を格納するROM1、RAM3、前記プログラム2をROM1からRAM3に読み出して実行するCPU4、前記格納情報を記憶するEEPROM5、前記RFIDリーダ20との無線通信処理を担う通信手段7(アンテナも含む)とから構成される。前記格納情報は、作業管理用車載端末100が実行すべき処理に対応するものであり、例えば、作業管理用車載端末100が備えるID設定装置40により前記EEPROM5へ書込・更新等がなされる。前記ID設定装置40は、無線ICチップ26のライターと言える。
【0064】
こうしたRFIDカード25が前記EEPROM5に保持している前記格納情報の設定例としては、例えば、図4(a)のRFIDカード25aに示すように、作業区分の「SPEC:ALL」が含まれるものがある。この設定内容の格納情報をEEPROM5に保持しているRFIDカード25aは、生産ラインの例えば最上流、つまり一番最初の工程を行う作業員が所持している。そして作業開始に先だってこのRFIDカード25aをRFIDリーダ20にかざし、格納情報をRFIDリーダ20に読み取らせる。RFIDリーダ20は前記作業管理用車載端末100にこの格納情報を送信する。作業区分が「SPEC:ALL」であるから、該当車両についての作業仕様データを前記サーバ300に要求する処理が必要であると前記作業管理用車載端末100は特定する。つまり、該当車両に関する全スペックデータの要求処理に対応したRFIDカード25の格納情報となる。
【0065】
また、同図(b)のRFIDカード25bに示す例のように、作業IDと作業区分の「START」、および要求データが含まれるものがある。この設定内容の格納情報をEEPROM5に保持しているRFIDカード25bは、生産ライン中の各作業員が所持している。そして作業開始に先だってこのRFIDカード25bをRFIDリーダ20にかざし、格納情報をRFIDリーダ20に読み取らせる。RFIDリーダ20は前記作業管理用車載端末100にこの格納情報を送信する。作業区分が「START」であるから、該当作業ID(図の例では“WK1”)についての作業仕様データを記憶手段101のスペックデータ125から検索して表示手段に表示し、更に、作業開始データの格納処理が必要であると前記作業管理用車載端末100は特定する。
【0066】
また、同図(c)のRFIDカード25cに示す例のように、作業IDと作業区分の「END」が含まれるものがある。この設定内容の格納情報をEEPROM5に保持しているRFIDカード25cは、生産ライン中の各作業員が所持している。そして作業終了時にこのRFIDカード25cをRFIDリーダ20にかざし、格納情報をRFIDリーダ20に読み取らせる。RFIDリーダ20は前記作業管理用車載端末100にこの格納情報を送信する。作業区分が「END」であるから、該当作業ID(図の例では“WK1”)についての作業終了データの格納処理が必要であると前記作業管理用車載端末100は特定する。
【0067】
また、同図(d)のRFIDカード25dに示す例のように、作業IDと作業区分の「PART_START」、および部品IDが含まれるものがある。この設定内容の格納情報をEEPROM5に保持しているRFIDカード25dは、生産ライン中の各作業員が所持している。そして部品取付作業の開始に先だってこのRFIDカード25dをRFIDリーダ20にかざし、格納情報をRFIDリーダ20に読み取らせる。RFIDリーダ20は前記作業管理用車載端末100にこの格納情報を送信する。作業区分が「PART_START」であるから、該当作業ID(図の例では“AIRBAG”=エアバッグ取付作業)に関して部品ID“PART1”(のエアバッグ)ついて部品取付実績データの格納処理が必要であると前記作業管理用車載端末100は特定する。
【0068】
また、同図(e)のRFIDカード25eに示す例のように、作業IDと作業区分の「PART_END」、および部品IDが含まれるものがある。この設定内容の格納情報をEEPROM5に保持しているRFIDカード25eは、生産ライン中の各作業員が所持している。そして部品取付作業の終了時にこのRFIDカード25eをRFIDリーダ20にかざし、格納情報をRFIDリーダ20に読み取らせる。RFIDリーダ20は前記作業管理用車載端末100にこの格納情報を送信する。作業区分が「PART_END」であるから、該当作業ID(図の例では“AIRBAG”=エアバッグ取付作業)に関して部品ID“PART1”(のエアバッグ)ついて部品取付実績データの格納処理が必要であると前記作業管理用車載端末100は特定する。
【0069】
また、同図(f)のRFIDカード25fに示す例のように、作業区分の「END:ALL」が含まれるものがある。この設定内容の格納情報をEEPROM5に保持しているRFIDカード25fは、生産ライン最下流の作業員が所持している。そしてこの作業員の全ての作業終了時にこのRFIDカード25fをRFIDリーダ20にかざし、格納情報をRFIDリーダ20に読み取らせる。RFIDリーダ20は前記作業管理用車載端末100にこの格納情報を送信する。作業区分が「END:ALL」であるから、前記サーバ300に対する実績データの送信処理が必要であると前記作業管理用車載端末100は特定する。
【0070】
各作業員は、上記で説明した図4(a)〜(e)の各RFIDカード25a〜25eを所持していて、作業タイミング、内容にあわせて該当カードを選択して利用する。また、生産ライン最下流の作業員は前記RFIDカード25fを所持して、最終的に実績データ126を前記サーバ300に送る際に使用する。
【0071】
−−−処理フロー例1−−−
以下、本実施形態における作業管理方法の実際手順について、図に基づき説明する。なお、以下で説明する作業管理方法に対応する各種動作は、前記システム10を構成する各装置のRAMに読み出して実行するプログラムによって実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0072】
図5は本実施形態の作業管理方法の全体概要図を示している。ここで想定する状況としては、例えば、生産ライン上を流れていく車両は、第1〜第nまでの各ステーション(各工程とも言える)にて該当ステーション担当の作業員A〜Nにより各種作業が実行される。また前記車両一台一台には前記作業管理用車載端末100が設置されている。更に、前記各作業員A〜Nは、それぞれに担当ステーション用のRFIDカードセット(RFIDカード25のセット)を所持している。
【0073】
図6は本実施形態における作業管理方法の処理フロー例を示す図である。こうした状況において、まず、生産ライン最上流の第1ステーションを担当している前記作業員Aが、自ら所持するRFIDカードセットのうち、RFIDカード25a(図4(a)参照)をRFIDリーダ20にかざしたとする。上述のようにRFIDカード25aは、格納情報として作業区分“SPEC:ALL”を保持しているカードである。
【0074】
前記RFIDリーダ20は、生産ライン上を第1ステーションまで流れてきた車両に設置されている作業管理用車載端末100が備えるものである。このRFIDリーダ20は、前記RFIDカード25aに対する読み取り動作を実行し、前記格納情報を取得する(s100)。また、この格納情報、つまり作業区分“SPEC:ALL”のデータを作業管理用車載端末100に送信し(s101)、その後は前記ステップs100に処理を戻し、RFIDカード25に対する読み取り動作に備える。
【0075】
一方、前記作業管理用車載端末100の仕様要求手段110は、前記作業員AのRFIDカード25aに対する読み取りを実行した前記RFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25aの格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合する(s102)。
【0076】
前記格納情報である作業区分“SPEC:ALL”のデータと、前記選択基準テーブル127とを照合すれば、「SPEC:ALL」のデータから、前記作業管理用車載端末100が実行すべき処理は、「仕様データ要求」であると判定できる(図3(c)参照)。そこで、前記作業管理用車載端末100の仕様要求手段110は、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであると判定し(s103:仕様取得)、前記記憶手段101に予め保持している設置車両の車両ID“AAAA0001”を含む仕様データ要求をサーバ300に送信する(s104)。
【0077】
他方、前記サーバ300の仕様送信手段310は、前記作業管理用車載端末100から前記通信手段307を介して前記仕様データ要求を受信し、この仕様データ要求が含む車両ID“AAAA0001”をキーに前記記憶手段301のスペックデータベース325で該当車両の作業仕様データを検索する(s105)。また前記仕様送信手段310は、ここで検索した作業仕様データをスペックデータ125として前記通信手段307により前記作業管理用車載端末100に送信する(s106)。
【0078】
前記作業管理用車載端末100の仕様格納手段111は、前記サーバ300から送信されてきたスペックデータ125を前記通信手段107により受信し、記憶手段101において格納し(s107)、処理を前記ステップs102に戻し、RFIDリーダ20からの格納情報と選択基準テーブル127との照合処理に備える。
【0079】
また、前記作業員Aは、自ら所持するRFIDカードセットのうち、RFIDカード25b(図4(b)参照)をRFIDリーダ20にかざしたとする。上述のようにRFIDカード25bは、格納情報として作業IDの「WK1」、作業区分の「START」、および要求データ1の「シート」、要求データ2の「ハンドル」を保持しているカードである。
【0080】
前記RFIDリーダ20は、前記RFIDカード25bに対する読み取り動作を実行し、前記格納情報を取得する(s100)。また、この格納情報、つまり作業IDの「WK1」、作業区分の「START」、および要求データ1の「シート」、要求データ2の「ハンドル」のデータを作業管理用車載端末100に送信し(s101)、その後は前記ステップs100に処理を戻し、RFIDカード25に対する読み取り動作に備える。
【0081】
一方、前記作業管理用車載端末100の仕様表示手段112は、前記作業員AのRFIDカード25bに対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25bの格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合する(s102)。
【0082】
前記格納情報である、作業IDの「WK1」、作業区分の「START」、および要求データ1の「シート」、要求データ2の「ハンドル」の各データと、前記選択基準テーブル127とを照合すれば、「START」のデータから、前記作業管理用車載端末100が実行すべき処理は、「仕様データ表示・作業開始データ格納」であると判定できる(図3(c)参照)。 そこで、前記作業管理用車載端末100の仕様表示手段112は、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものと判定し(s103:仕様表示)、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目、つまり前記要求データ1の「シート」および要求データ2の「ハンドル」の情報をキーに、前記記憶手段101のスペックデータ125を検索する(s108)。
【0083】
前記仕様表示手段112は、前記ステップs108にて、前記作業項目に該当するスペックデータ125を特定し、ここで特定したスペックデータ125を表示手段106に表示する(s109)。スペックデータ群が図3(a)の例であれば、前記要求データ1の「シート」に該当する「TYPE-1」および要求データ2の「ハンドル」に該当する「左」のスペックデータ125が当該ステップ109で特定される。よってここで特定したスペックデータを表示手段106に表示すると、図8に示す表示画面例の如くなる。この画面800では、該当車両ID“AAAA0001”、および前記作業ID“WK1”と共に、前記要求データ1の「シート」および要求データ2の「ハンドル」にそれぞれ対応するスペックデータが、「TYPE-1」、「左」として表示されている。つまり、第1ステーションで前記作業員Aが行うべき作業に必要な作業仕様は、この画面800に示された情報のとおりである。
【0084】
なお、前記仕様表示手段112は、前記仕様格納手段111での処理(前記ステップs107まで)が終了後、前記各ステーションの作業員がRFIDカード25を前記RFIDリーダ20にかざすことに伴い、このRFIDリーダ20から前記RFIDカード25の格納情報を受信し、この格納情報が作業仕様の表示要求に対応すると判定する毎に、該当作業員の作業項目に応じた前記スペックデータ125の表示処理を同様に実行する。つまり、前記各ステーションで作業員による作業が開始される毎に上記の作業仕様の画面表示処理が実行される。
【0085】
また、前記作業管理用車載端末100の作業時刻記録手段113は、前記前記仕様表示手段112による前記ステップs103(s103:仕様表示)の判定により、前記作業員のRFIDカード25bの格納情報が、作業開始記録に対応するものであると判定できる。そこで前記作業時刻記録手段113は、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目、つまり、前記作業ID“WK1”等に時計機能(作業管理用車載端末100=コンピュータ装置、が一般に備える時計機能)から取得した現在時刻を対応付けて、作業開始データとして記憶手段101に格納する(s110)。その後、前記作業時刻記録手段113は、処理を前記ステップs102に戻し、RFIDリーダ20からの格納情報と選択基準テーブル127との照合処理に備える。
【0086】
その後、前記第1ステーションの前記作業員Aにより、前記作業ID“WK1”に関する作業が終了したとする。この時、前記作業員Aは、自ら所持するRFIDカードセットのうち、RFIDカード25c(図4(c)参照)をRFIDリーダ20にかざしたとする。上述のようにRFIDカード25cは、格納情報として作業IDの「WK1」、作業区分の「END」を保持しているカードである。
【0087】
前記RFIDリーダ20は、前記RFIDカード25cに対する読み取り動作を実行し、前記格納情報を取得する(s100)。また、この格納情報、つまり作業IDの「WK1」、作業区分の「END」のデータを作業管理用車載端末100に送信し(s101)、その後は前記ステップs100に処理を戻し、RFIDカード25に対する読み取り動作に備える。
【0088】
一方、前記作業管理用車載端末100の前記作業時刻記録手段113は、前記作業員AのRFIDカード25cに対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25cの格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合する(s102)。
【0089】
前記格納情報である、作業IDの「WK1」、作業区分の「END」の各データと、前記選択基準テーブル127とを照合すれば、「END」のデータから、前記作業管理用車載端末100が実行すべき処理は、「作業終了データ格納」であると判定できる(s103:終了格納)。そこで前記作業時刻記録手段113は、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目、つまり、前記作業ID“WK1”等に時計機能(作業管理用車載端末100=コンピュータ装置、が一般に備える時計機能)から取得した現在時刻を対応付け、作業終了データとして記憶手段101に格納する(s111)。その後、前記作業時刻記録手段113は、処理を前記ステップs102に戻し、RFIDリーダ20からの格納情報と選択基準テーブル127との照合処理に備える。
【0090】
前記車両ID“AAAA0001”の車両について、前記第1ステーションでの作業が終わって生産ラインを流れ、次の第2ステーションに到着したとする。この時、当該第2ステーションの担当者である作業員Bは、前記作業員Aと同様に第2ステーション用のRFIDカードのうちからRFIDカード25bを取り出して、RFIDリーダ20にかざす。以後の作業管理用車載端末100での処理は前記第1ステーションでのものと同様であり、表示手段106にて前記作業員BがかざしたRFIDカード25bに対応する作業仕様のデータが表示されることになる。
【0091】
例えば、この第2ステーションにおいて、前記車両ID“AAAA0001”の車両に対して、ある部品、例えばエアバッグの取付作業が行われるとする。この時、前記作業員Bは、自ら所持する第2ステーション用のRFIDカードセットのうち、RFIDカード25d(図4(d)参照)をRFIDリーダ20にかざしたとする。上述のようにRFIDカード25dは、格納情報として作業IDの「AIRBAG」、作業区分の「PART_START」、および部品ID“PART1”を保持しているカードである。
【0092】
前記RFIDリーダ20は、前記RFIDカード25dに対する読み取り動作を実行し、前記格納情報を取得する(s100)。また、この格納情報、つまり作業IDの「AIRBAG」、作業区分の「PART_START」、および部品ID“PART1”のデータを作業管理用車載端末100に送信し(s101)、その後は前記ステップs100に処理を戻し、RFIDカード25に対する読み取り動作に備える。
【0093】
一方、前記作業管理用車載端末100の取付実績記録手段115は、前記作業員BのRFIDカード25dに対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25dの格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合する(s102)。
【0094】
前記格納情報である、作業IDの「AIRBAG」、作業区分の「PART_START」、および部品ID“PART1”の各データと、前記選択基準テーブル127とを照合すれば、「PART_START」のデータから、前記作業管理用車載端末100が実行すべき処理は、「作業開始データ格納・取付部品の登録」であると判定できる(図3(c)参照)。 そこで、前記作業管理用車載端末100の取付実績記録手段115は、前記格納情報が取付部品の登録記録に対応するものと判定し(s103:取付部品登録)、該当作業員Bが前記車両“AAAA0001”に取付けた取付部品“PART1”に付帯する記録媒体、ここではバーコードに対する読み取り動作を、前記バーコードリーダ30に指示する(s112)。バーコードリーダ30は、前記バーコードに対する読み取り動作を実行し、この動作で得た記録情報を作業管理用車載端末100に返信する(s113)。
【0095】
そして、当該バーコードリーダ30から前記バーコードの記録情報を取得した前記取付実績記録手段115は、当該記録情報に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、部品取付実績データとして記憶手段101に格納する(s114)。また、その後は処理を前記ステップs102に戻し、RFIDリーダ20からの格納情報と選択基準テーブル127との照合処理に備える。このように、車両への部品取付が開始された時点で前記部品取付実績データを格納処理するとしてもよいし、下記のように、車両への部品取付が終了した時点で部品取付実績データの格納処理を行うとしてもよい。
【0096】
その後、この第2ステーションにおける、前記車両ID“AAAA0001”の車両に対するエアバッグの取付作業が終了としたとする。この時、前記作業員Bは、自ら所持する第2ステーション用のRFIDカードセットのうち、RFIDカード25e(図4(e)参照)をRFIDリーダ20にかざしたとする。上述のようにRFIDカード25eは、格納情報として作業IDの「AIRBAG」、作業区分の「PART_END」、および部品ID“PART1”を保持しているカードである。
【0097】
前記RFIDリーダ20は、前記RFIDカード25eに対する読み取り動作を実行し、前記格納情報を取得する(s100)。また、この格納情報、つまり作業IDの「AIRBAG」、作業区分の「PART_END」、および部品ID“PART1”のデータを作業管理用車載端末100に送信し(s101)、その後は前記ステップs100に処理を戻し、RFIDカード25に対する読み取り動作に備える。
【0098】
一方、前記作業管理用車載端末100の取付実績記録手段115は、前記作業員BのRFIDカード25eに対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25eの格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合する(s102)。
【0099】
前記格納情報である、作業IDの「AIRBAG」、作業区分の「PART_END」、および部品ID“PART1”の各データと、前記選択基準テーブル127とを照合すれば、「PART_END」のデータから、前記作業管理用車載端末100が実行すべき処理は、「作業終了データ格納・取付部品の登録」であると判定できる(図3(c)参照)。そこで、前記作業管理用車載端末100の取付実績記録手段115は、前記格納情報が取付部品の登録記録に対応するものと判定し(s103:取付部品登録)、該当作業員Bが前記車両“AAAA0001”に取付けた取付部品“PART1”に付帯する記録媒体、ここではバーコードに対する読み取り動作を、前記バーコードリーダ30に指示する(s112)。バーコードリーダ30は、前記バーコードに対する読み取り動作を実行し、この動作で得た記録情報を作業管理用車載端末100に返信する(s113)。
【0100】
そして、当該バーコードリーダ30から前記バーコードの記録情報を取得した前記取付実績記録手段115は、当該記録情報に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、部品取付実績データとして記憶手段101に格納する(s114)。また、その後は処理を前記ステップs102に戻し、RFIDリーダ20からの格納情報と選択基準テーブル127との照合処理に備える。
【0101】
以上のような処理が前記生産ラインの各ステーションで実行され、生産ライン最下流の第nステーションに至ったとする。この時、当該第nステーションの担当者である前記作業員Nは、自ら所持する第nステーション用のRFIDカードセットのうち、RFIDカード25f(図4(f)参照)をRFIDリーダ20にかざしたとする。上述のようにRFIDカード25fは、格納情報として、作業区分の「END:ALL」を保持しているカードである。
【0102】
前記RFIDリーダ20は、前記RFIDカード25fに対する読み取り動作を実行し、前記格納情報を取得する(s100)。また、この格納情報、つまり、作業区分の「END:ALL」のデータを作業管理用車載端末100に送信し(s101)、その後は前記ステップs100に処理を戻し、RFIDカード25に対する読み取り動作に備える。
【0103】
一方、前記作業管理用車載端末100の前記実績送信手段114は、前記作業員NのRFIDカード25fに対する読み取りを実行したRFIDリーダ20から、前記通信手段107により前記RFIDカード25fの格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段101の選択基準テーブル127に照合する(s102)。
【0104】
前記格納情報である、作業区分の「END:ALL」のデータと、前記選択基準テーブル127とを照合すれば、「END:ALL」のデータから、前記作業管理用車載端末100が実行すべき処理は、「実績送信」であると判定できる(図3(c)参照)。そこで前記実績送信手段114は、前記格納情報が実績報告要求に対応するものと判定し(s103:実績送信)、前記記憶手段101に格納されている実績データ126(作業開始データ群、作業終了データ群、前記部品取付実績データ群)を読み出し、この実績データ126と前記記憶手段101に予め保持している設置車両の車両ID“AAAA0001”とを対応付けて、前記通信手段107により前記サーバ300に送信する(s115)。
【0105】
一方、前記サーバ300の実績取得手段311は、前記通信手段307を介して作業管理用車載端末100から、前記実績データ126を受信し、この実績データ126を前記実績データベース326に格納する(s116)。
【0106】
本実施形態によれば、作業管理用車載端末とサーバとの間での通信を必要最小限に抑制することが可能であり、生産ラインでの工程進行途中では通信処理を必要としない。したがって例えば、生産ラインの構内通信が途絶する状況となっても、作業管理用車載端末がすでにサーバから必要情報を得た後であれば支障なく処理を進めることが可能となる。
【0107】
また、作業工程での使用データや実績収集項目などが変更されたり、作業工程の場所やレイアウトが変更になったとしても、作業管理用車載端末は「車載」されたものであり、こうした状況変化に影響を受けにくい。
【0108】
したがって、工程変更や車種追加、通信途絶など各種状況変化にも効率的に対応し、作業対象の車両ごとに必要な作業指示情報の提供や作業毎の詳細な作業実績の収集を実行できる。
【0109】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本実施形態の作業管理システムのネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態における(a)スペックデータベース、(b)実績データベース、の各構成例を示す図である。
【図3】本実施形態における(a)スペックデータ、(b)実績データ、(c)選択基準テーブルの各構成例を示す図である。
【図4】本実施形態のRFIDにおける格納情報の、(a)設定内容1、(b)設定内容2、(c)設定内容3、(d)設定内容4、(e)設定内容5、(f)設定内容6の各例を示す図である。
【図5】本実施形態における作業管理方法の概念図である。
【図6】本実施形態における作業管理方法の処理フロー例を示す図である。
【図7】本実施形態における表示画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0111】
1 ROM
2 プログラム
3 RAM
4 CPU
5 EEPROM
7 通信手段
10 作業管理システム
20 RFIDリーダ
25 RFIDカード
26 無線ICチップ
27 プラスティック筐体
30 バーコードリーダ
40 ID設定装置
100 作業管理用車載端末
101 記憶手段
102 プログラム
103 RAM(Random Access Memory)
104 CPU(Central Processing Unit)
105 入力インターフェイス
106 出力インターフェイス
107 通信手段
110 仕様要求手段
111 仕様格納手段
112 仕様表示手段
113 作業時刻記録手段
114 実績送信手段
115 取付実績記録手段
125 スペックデータ
126 実績データ
127 選択基準テーブル
140 ネットワーク
300 サーバ
310 仕様送信手段
311 実績取得手段
325 スペックデータベース
326 実績データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段を備えて、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置された作業管理用車載端末が、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信する仕様要求処理を実行し、
他装置と通信する通信手段、および作業対象となる各車両の作業仕様のデータを格納する記憶手段を備えたサーバが、
前記作業管理用車載端末から前記通信手段を介して前記仕様要求を受信し、この仕様要求が含む車両情報をキーに前記記憶手段で該当車両の作業仕様データを検索し、ここで検索した作業仕様データを前記通信手段により前記作業管理用車載端末に送信する、仕様送信処理を実行し、
前記作業管理用車載端末が、
前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納する、仕様格納処理と、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示する、仕様表示処理とを実行する、
ことを特徴とする作業管理方法。
【請求項2】
前記作業管理用車載端末が、
前記仕様格納処理の実行後、前記リーダ装置から前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報が作業仕様の表示要求に対応すると判定する毎に、該当作業員の作業項目に応じた前記仕様表示処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の作業管理方法。
【請求項3】
前記作業管理用車載端末が、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業開始記録に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、作業開始データとして記憶手段に格納する、作業時刻記録処理と、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段に格納されている前記作業開始データ群を読み出し、この作業開始データ群と前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データとし、前記通信手段により前記サーバに送信する、実績送信処理とを実行する、
ことを特徴とする請求項2に記載の作業管理方法。
【請求項4】
前記作業管理用車載端末が、
前記作業時刻記録処理において、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業終了記録に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、作業終了データとして記憶手段に格納し、
前記実績送信処理において、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段に格納されている前記作業開始データ群および前記作業終了データ群を読み出し、この作業開始データ群および作業終了データ群と前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データとし、前記通信手段により前記サーバに送信する、
ことを特徴とする請求項3に記載の作業管理方法。
【請求項5】
前記作業管理用車載端末が、
作業員の可搬媒体に対する読み取り動作を実行する前記リーダ装置を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の作業管理方法。
【請求項6】
前記作業管理用車載端末が、
車両取付けされる部品が付帯する記録媒体に対し、読み取り動作を行う他リーダ装置を備え、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が取付部品の登録記録に対応するものであれば、該当作業員が車両に取付けた取付部品に付帯する記録媒体に対する読み取り動作を、前記他リーダ装置に指示して、当該他リーダ装置から前記記録媒体の記録情報を取得し、当該記録情報に時計機能から取得した現在時刻を対応付けて、部品取付実績データとして記憶手段に格納する、取付実績記録処理を実行し、
前記実績送信処理において、作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が実績報告要求に対応するものであれば、前記記憶手段に格納されている前記部品取付実績データ群を読み出し、この部品取付実績データ群と前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報とを対応付けて実績データとし、前記通信手段により前記サーバに送信する、
ことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の作業管理方法。
【請求項7】
他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段と、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信する仕様要求手段と、
前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納する仕様格納手段と、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示する仕様表示手段とを備え、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置された作業管理用車載端末と、
他装置と通信する通信手段、および作業対象となる各車両の作業仕様のデータを格納する記憶手段と、前記作業管理用車載端末から前記通信手段を介して前記仕様要求を受信し、この仕様要求が含む車両情報をキーに前記記憶手段で該当車両の作業仕様データを検索し、ここで検索した作業仕様データを前記通信手段により前記作業管理用車載端末に送信する、仕様送信手段とを備えるサーバと、
を含むことを特徴とする作業管理システム。
【請求項8】
他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段と、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信する仕様要求手段と、
前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納する仕様格納手段と、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示する仕様表示手段とを備え、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置されたことを特徴とする作業管理用車載端末。
【請求項9】
他装置と通信する通信手段、処理の選択基準データを格納する記憶手段、およびデータを表示する表示手段とを備え、製造工程における各作業員の作業対象となる各車両に設置されたコンピュータ装置に、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様のデータ要求に対応するものであれば、前記記憶手段に予め保持している設置車両の車両情報を含む仕様データ要求をサーバに送信するステップと、
前記サーバから送信されてきた作業仕様データを前記通信手段により受信し、記憶手段に格納するステップと、
作業員の可搬媒体に対する読み取りを実行したリーダ装置から、前記通信手段により前記可搬媒体の格納情報を受信し、この格納情報を前記記憶手段の選択基準データに照合し、前記格納情報が作業仕様の表示要求に対応するものであれば、前記格納情報が示す該当作業員の作業項目の情報をキーに、前記記憶手段の作業仕様データを検索し、前記作業項目に該当する作業仕様データを特定し、ここで特定した作業仕様データを表示手段に表示するステップと、
を実行させることを特徴とする作業管理用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−170334(P2010−170334A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−12307(P2009−12307)
【出願日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】