説明

作業車両のロプスフレーム

【課題】作業効率を向上させた作業車両を提供する
【解決手段】アッパーフレーム10Aの機体左右の下部にそれぞれ少なくとも2の防振部材16,17を備えるとともに、機体左右のロアフレーム10Bの上部にそれぞれ少なくとも3の段付ボス13a,14a,15aおよび段付ナット13b,14b,15b(連結部材)を備え、機体左右それぞれ少なくとも2のボルト22およびハンドル付ボルト23により、機体左右のそれぞれ少なくとも2の防振部材16,17を、ウレタンからなるリング形状である防振パッド21を介して挟むように押圧して、アッパーフレーム10Aとロアフレーム10Bとを連結固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機体中央に設けた運転席と、この運転席を保護するため運転席前部に設けた、前方に倒伏可能に備えるアッパーフレームおよびアッパーフレームを支持するロアフレームから成る、フロントロプスフレームとを備える作業車両に関し、より詳細には、アッパーフレームの機体左右の下部にそれぞれ少なくとも2の防振部材を備えるとともに、機体左右のロアフレームの上部にそれぞれ少なくとも3の連結部材を備え、機体左右それぞれ少なくとも2のボルトにより、機体左右のそれぞれ少なくとも2の防振部材を、防振パッドを介して挟むように押圧して、アッパーフレームとロアフレームとを連結固定することに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車両の一例であるホイール式トラクタには、図8に示すように、前輪32と後輪33およびボンネット34とを有する機体31中央に設けた運転席35後部に、機体31転倒時の安全確保のため、ロプス上体36とロプス脚体37とから構成される正面視門形状のロプスフレーム38を備え、機体31の格納などの際、ロプス上体36を後向きに回動させるものがあり、このロプス上体36の屈曲姿勢を後上方に向けて傾斜状として、該ロプス上体36が後方側からの荷重によって作用姿勢へともどるようにしているので、後方側から荷重が作用しても、該荷重がロプス脚体37とロプス上体36との連結部分に、もろに衝撃が加わらず、該連結部分の損傷を回避できる、という(特許文献1)。
また、特許文献1同様に運転席後部に立設した安全フレームにおける上部フレームの回動支点を、後輪を覆うフェンダの内側かつフェンダ上面よりも下位に配置する構成としたため、トラクタ生産時やフェンダ下方の機器のメンテナンス時などに、上部フレームを後方側に倒伏状態にすることで、フェンダ着脱作業が容易になる、という(特許文献2)。さらには、果樹園などでの作業時に機体の前進に伴い、果樹の枝などから運転者を保護するために、運転席前部に、上部が前方向に倒伏可能なロプスフレームを備えるものもある。
【0003】
【特許文献1】特開平07−009928号公報
【特許文献2】特開2004−284467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなロプスフレームでは、例えば機体左右に配設される下部フレームの上部内側面と、機体を囲むように設けられる正面視門形状の上部フレームの下部外側面とが対向状とされ、上部フレームと下部フレームとに設けられたボスに、頭付きボルトなどからなり、ナットが螺合される枢軸が貫通され、このボルトとナットとの締結により上部フレームが回動自在に下部フレームに連結固定されるので、ロプスフレームの下方近傍に設置されるエンジンからの振動が、下部フレームからボルトとナットを介して上部フレームに伝播する際、互いに金属であるボルトと、上下部フレームのボスとの当接部を振動させることにより騒音が発生し、作業者に不快を与えていた。また、前記ボスは前記上部フレームの回動支点となるボスの略垂直上方および回動させて伏せる方向である側方との少なくとも三箇所に設けられており、例えば上部フレームを立てた姿勢から伏せた姿勢にするときは、回動支点となるボスおよびこの略垂直上方のボスに有するボルトを緩めて上部フレームを伏せた姿勢にした後、回動支点となるボスおよび側方のボスに有するボルトを締めて上部フレームを固定する必要があり、上部フレームの回動前後にそれぞれ少なくとも二箇所のボルトの開閉を機体左右に配設されるそれぞれのフレームで行わなければならず、作業に時間と手間を要していた。
従って、作業効率を低下させるという問題があった。
そこで、この発明の目的は、作業効率を向上させた作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため、請求項1に記載の発明は、機体中央に設けた運転席と、該運転席を保護するため前記運転席前部に設けた、前方に倒伏可能に備えるアッパーフレームおよび該アッパーフレームを支持するロアフレームから成る、フロントロプスフレームとを備える作業車両において、前記アッパーフレームの前記機体左右の下部にそれぞれ少なくとも2の防振部材を備えるとともに、前記機体左右の前記ロアフレームの上部にそれぞれ少なくとも3の連結部材を備え、前記機体左右それぞれ少なくとも2のボルトにより、前記機体左右のそれぞれ前記少なくとも2の防振部材を、防振パッドを介して挟むように押圧して、前記アッパーフレームと前記ロアフレームとを連結固定することを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記防振部材は、前記機体左右それぞれのアッパーフレーム下部に設けた少なくとも2のボスのそれぞれ内周部に備えるとともに、金属層間に弾性材層を有する軸心部が穴であることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の作業車両において、前記金属層は鉄であり、前記弾性材層は硬質ゴムである。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記防振パッドは、ウレタンからなるリング形状であることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の作業車両において、前記2のボルトの一方は、ハンドル付ボルトであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、機体中央に設けた運転席と、この運転席を保護するため運転席前部に設けた、前方に倒伏可能に備えるアッパーフレームおよび、このアッパーフレームを支持するロアフレームから成る、フロントロプスフレームとを備える作業車両において、アッパーフレームの機体左右の下部にそれぞれ少なくとも2の防振部材を備えるとともに、機体左右のロアフレームの上部にそれぞれ少なくとも3の連結部材を備え、機体左右それぞれ少なくとも2のボルトにより、機体左右のそれぞれ少なくとも2の防振部材を、防振パッドを介して挟むように押圧して、アッパーフレームとロアフレームとを連結固定するので、連結部の金属接触が防振部材および防振パッドにより遮断されるため、エンジンからの振動による共鳴を引き起こさず、騒音の発生を防止することができるとともに、簡単な作業でアッパーフレームを回動させることができる。従って、低騒音かつ作業効率を向上させた作業車両を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、防振部材は、機体左右それぞれのアッパーフレーム下部に設けた少なくとも2のボスのそれぞれ内周部に備えるとともに、金属層間に弾性材層を有する軸心部が穴であるので、ボルトに接触する防振部材の金属層と、ボスに接触する防振部材の金属層とを弾性材層で遮断することができ、エンジンからの振動による共鳴を引き起こさず、騒音の発生を防止することができる。従って、低騒音の作業車両を提供することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、金属層は鉄であり、弾性材層は硬質ゴムであるので、
簡単な構成でボスの内周部に防振部材を設けることができるとともに、連結部の金属接触を遮断することができる。従って、簡単な構成で低騒音を実現した作業車両を提供することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、防振パッドは、ウレタンからなるリング形状であるので、ボルトの外周上であって、連結部材の金属部と防振部材の金属部との接触を遮断することができる。従って、簡単な構成で低騒音を実現した作業車両を提供することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明によれば、2の連結部材の一方は、ハンドル付ボルトであるので、このハンドル付ボルトのみの開閉による簡単な操作でアッパーフレームを回動し、固定させることができる。従って、作業効率を向上させた作業車両を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、この発明を実施するための最良の形態について詳述する。
図1は、本発明の作業車両の一例としてのホイール式トラクタの側面図を示す。この例のトラクタ1は、前輪2および後輪3を備え、前輪2の上方にボンネット4を形成し、その内側には原動機部としてのエンジン5を備える。そして、ボンネット4の後部に連続して運転席8が設けられ、この運転席8内には、ハンドル6やシート7などが設けられる。なお、符号9は、運転席8の下方に設けられた昇降ステップである。
【0016】
そして、運転席8前後部それぞれに、機体の傾斜や転倒時および樹木などの障害物から運転席8の運転者を保護するための、正面視門形状を有する鉄材などからなるフロントロプスフレーム10およびリアロプスフレーム11が設けられる。このフロントロプスフレーム10は、上部のアッパーフレーム10Aと、下部のロアフレーム10Bとから構成され、エンジン5に近い車体フレーム12に固設された前方に開いた平面視略コの字形状を有する左右ロアフレーム10B上に正面視門形状の四角形などのアッパーフレーム10Aが地面に対して垂直方向の起立姿勢から前方向に倒伏する姿勢まで回動自在に設けられる。
【0017】
さらに、リアロプスフレーム11も、上部のアッパーフレーム11Aと、下部のロアフレーム11Bとから構成され、フェンダ13に固設された左右ロアフレーム11B上に正面視門形状のアッパーフレーム11Aが、後方向に倒伏する姿勢まで回動自在に設けられる。
【0018】
次に、本願発明の特徴であるフロントロプスフレームのアッパーフレームとロアフレームとの固定方法について説明する。図2は、アッパーフレームを起立姿勢にしたフロントロプスフレームの正面図、図3は同左側面図、図4は機体左側のアッパーフレームとロアフレームとの取付部分を拡大した正面断面図を示す。
【0019】
フロントロプスフレーム10は、左右ロアフレーム10Bの上部に設けられた左右ロアフレーム10Bと一体の左右回動固定板12内側面と、運転席8を囲むように設けられる正面視門形状のアッパーフレーム10Aの左右下部外側面とが対向状とされ、図3および図5に示すように、回動固定板12とアッパーフレーム10Aとの同じ水平位置に、ボス10a,10bがアッパーフレーム10A下部に、これらボス10a,10bを挟むようにして回動固定板12の外側に連結部材である段付ボス13a,14aと、回動固定板12の内側に連結部材である段付ナット13b,14bとが、それぞれ溶接により設けられる。
【0020】
このボス10a,10bは、下方のボス10bをアッパーフレーム10Aの回動支点とし、ボス10bの垂直上方であって、ボス10bから適当な位置に有するボス10aは、アッパーフレーム10Aの起立姿勢の固定位置とする。
【0021】
また、ボス10bおよび段付ボス14aを回動支点としてアッパーフレーム10Aのボス10aを前方に、例えば100度程度回動させた位置であって、段付ボス14aから適当な位置である回動固定板12の外側と内側とに、ボス10bや段付ボス14aなどと同じ穴径を有する連結部材である段付ボス15aおよび段付ナット15bが設けられる。この段付ボス15aおよび段付ナット15bは、アッパーフレーム10Aの倒伏姿勢の固定位置とする。なお、段付ボス13a,15aと段付ナット13b,15bとは、同じ穴径を有しており、段付ボス14aおよび段付ナット14bもこれら穴径と等しいことが好ましい。
【0022】
次いで、ボス10a,10bの内側部には、さらに中心部の穴径が段付ボス13aや段付ナット13bなどに等しく、かつボス10a,10bと同形状の防振部材16,17を嵌合させ、溶接などにより固定する。図5は、防振部材の一つを拡大した正面断面図、図6は防振パッドの拡大斜視図である。この防振部材16,17は、最外周部から順に、鉄などからなる薄い金属層18、内側に凹形状を有する硬質ゴムなどからなる弾性材層19、鉄などからなる薄い金属層20などから構成される。なお、弾性材層19は硬質ゴムに限定されるものではなく、非金属の弾性体であればよい。
【0023】
また、段付ボス13a,14a,15aおよび段付ナット13b,14b,15bのそれぞれ内側端には、これら段付ボス13a,14a,15aおよび段付ナット13b,14b,15bと同じ直径の穴を有し、図7に示すように、ウレタン樹脂などからなるリング状の防振パッド21が、熱溶着などにより設けられている。なお、防振パッド21はウレタン樹脂に限定されるものではなく、非金属の材質であればよい。
【0024】
そして、水平方向に配列する段付ボス14aと、ボス10b内の防振部材17と、段付ナット14bとのそれぞれ同じ径の穴に同じ径を有するボルト22を機体外側から嵌入させ、このボルト22と段付ナット14bとを締結させることで、回動固定板12両端部からの段付ボス14aおよび段付ナット14bによる押圧と同時に、防振部材17の両端部からの段付ボス14aおよび段付ナット14bによる押圧で、アッパーフレーム10Aの回動支点軸となる下端に有するボス10b内の防振部材17と、ロアフレーム12Bの上端となる回動固定板12とを固定させる。このとき、防振部材17の最内周部である金属層20の両端部が、防振パッド21を介して段付ボス14aと段付ナット14bとの内側端で押圧されるため、ボルト22を緩めることなくアッパーフレーム10Aを回動させることができる。
【0025】
ここで、樹木などの障害物から運転席8の運転者を保護するために、アッパーフレーム10Aを地面に対して垂直方向に立てて、起立姿勢に固定させる場合は、機体の左右それぞれにおいて、水平方向に配列させた防振部材16と、段付ボス13aと、段付ナット13bとの穴に機体外側からハンドル付ボルト23を嵌入させ、このハンドル付ボルト23を手で回し、ハンドル付ボルト23と段付ナット13bとを締結させることで、上述同様に段付ボス13aと段付ナット13bにより、回動固定板12と防振部材16とを押圧するため、上述した下方のボルト22および段付ボス14a、段付ナット14bによる回動固定板12と防振部材17とを押圧する上下二点の締結作用により、アッパーフレーム10Aと、ロアフレーム10Bの上端である回動固定板12とを固定させることができる。なお、この固定は、上下二点の締結作用に限られず、新たに防振部材やハンドル付ボルトなどを設けて、三点以上複数の締結作用にしてもよい。
【0026】
そして、エンジン5の駆動中においては、車体フレーム12を介してロアフレーム10Bの回動固定板12に伝播されてくるエンジン5の振動は、段付ボス13a,14aおよび段付ナット13b,14bそれぞれの内側部に設けられた防振パッド21が、段付ボス13a,14aおよび段付ナット13b,14bと金属層20との金属部分の接触を遮断し、さらに、弾性材層19が金属層18と金属層20との金属部分の接触を遮断するので、共鳴を引き起こすことなく、騒音の発生を防止することができる。
【0027】
次に、低い樹木などの障害物から運転席8の運転者を保護するためや、機体を格納する際に、アッパーフレーム10Aを起立姿勢から倒伏姿勢にする方法を説明する。図7は、アッパーフレームを倒伏姿勢にしたフロントロプスフレームの左側面図である。まず、図3に示す機体の左右それぞれにおいて、ハンドル付ボルト23を手で回し、ハンドル付ボルト23と段付ナット13bとを緩めることで、段付ボス13aと段付ナット13bによる回動固定板12と防振部材16との押圧を解除し、段付ボス13aおよび段付ナット13bと防振部材16とを離間させ、ハンドル付ボルト23を抜き取る。そして図7に示すように、アッパーフレーム10Aを、防振部材17を回動支点として防振部材16の穴と、段付ボス15aおよび段付ナット15bの穴とが水平方向に一致する位置まで前方に回動させる。なお、アッパーフレーム10Aの倒伏姿勢の位置は起立姿勢から前方に100度の位置に限定されるものではなく、段付ボス15aおよび段付ナット15bの位置決めにより適宜設計を変更することができる。
【0028】
そして、抜き取ったハンドル付ボルト23を段付ボス15aの穴から段付ナット15bの穴まで嵌入させ、このハンドル付ボルト23を手で回すことにより、段付ボス15a、段付ナット15bによる回動固定板12と防振部材16とを押圧して、後方のボルト19および段付ボス14a、段付ナット14bによる回動固定板12と防振部材17とを押圧する前後二点の作用により、倒伏姿勢のアッパーフレーム10Aと、ロアフレーム10Bの上端である回動固定板12とを固定させることができる。このため、アッパーフレーム10Aを回動させる際、作業者は別途工具を準備する必要がなく、作業効率が向上する。
【0029】
また、このようにアッパーフレーム10Aを倒伏姿勢にした場合でも、エンジン5の駆動中においては、アッパーフレーム10Aの起立姿勢同様にエンジン5の振動は、段付ボス14a,15aおよび段付ナット14b,15bそれぞれの内側部に設けられた防振パッド18により、段付ボス14a,15aおよび段付ナット14b,15bと金属層20との金属部分の接触が遮断され、さらに、弾性材層19が金属層18と金属層20との金属部分の接触を遮断するので、共鳴を引き起こすことなく、騒音の発生を防止することができる。
【0030】
上述した構成を有するアッパーフレーム10Aとロアフレーム10Bとの連結方法は、エンジン5近傍に立設されるフロントロプスフレーム10におけるアッパーフレーム10Aとロアフレーム10Bとの連結部の騒音防止に最適であるが、リアロプスフレームのアッパーフレームとロアフレームとの連結部に適用してもよい。
【0031】
さらには、アッパーフレーム10Aにかかる荷重に対する、防振部材16,17の弾性材層19の変形を防止するとともに、弾性材層19での弾性応力を調製することもできる。この場合、図6に示すように、ボス10a,10bの生産時もしくはメンテナンス時に、ボス10a,10bの穴周りにおける外側端部Sの半径rを、段付ボス13a,14a,15aに接触させない範囲で適宜長短に設計または調整する。
【0032】
そして、例えば、その半径rを長く設定すると、ボス10a,10bの外側端部Sと段付ボス13a,14a,15aとがアッパーフレーム10Aにかかる任意の荷重のうち、少しの荷重で接触するため、弾性材層19の弾性応力を小さくすることができる。そして、ボス10a,10bの外側端部Sが支柱となるため、弾性材層19の変形を防止するとともに、小さくした弾性材層19の応力を超える荷重分は、アッパーフレーム10Aの弾性または塑性変形で対応することができる。このようにアッパーフレーム10Aに大きな荷重が頻繁にかかる場合は、ボス10a,10bの外側端部Sの半径rを大きくすることにより弾性材層19の変形を防止でき、防振部材16,17の交換頻度を少なくすることができる。
【0033】
以上詳述したように、この例のトラクタ1は、機体中央に設けた運転席8と、この運転席8を保護するため運転席8前部に設けた、前方に倒伏可能に備えるアッパーフレーム10Aおよび、このアッパーフレーム10Aを支持するロアフレーム10Bから成る、フロントロプスフレーム10とを備え、アッパーフレーム10Aの機体左右の下部にそれぞれ少なくとも2の防振部材16,17を備えるとともに、機体左右のロアフレーム10Bの上部にそれぞれ少なくとも3の段付ボス13a,14a,15aおよび段付ナット13b,14b,15b(連結部材)を備え、機体左右それぞれ少なくとも2のボルト22およびハンドル付ボルト23により、機体左右のそれぞれ少なくとも2の防振部材16,17を、ウレタンからなるリング形状である防振パッド21を介して挟むように押圧して、アッパーフレーム10Aとロアフレーム10Bとを連結固定するものである。加えて、防振部材は、機体左右それぞれのアッパーフレーム下部に設けた少なくとも2のボス10a,10bのそれぞれ内周部に備えるとともに、鉄である金属層18,20間に硬質ゴムである弾性材層19を有する軸心部が穴である。
【0034】
なお、上述の例では、作業車両の一例としてホイール式トラクタについて説明したが、この発明はこれに限定されるものではなく、クローラ式トラクタのほか、コンバイン、また、建設作業機として、パワーショベル、ブルトーザなど、さらには、搬送作業機として、フォークリフトなどフロントロプスフレームを備えたあらゆる作業車両に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の作業車両の一例としてのホイール式トラクタの側面図である。
【図2】アッパーフレームを起立姿勢にしたフロントロプスフレームの正面図である。
【図3】アッパーフレームを起立姿勢にしたフロントロプスフレームの左側面図である。
【図4】機体左側のアッパーフレームとロアフレームとの取付部分を拡大した正面断面図である。
【図5】防振部材の一つを拡大した正面断面図である。
【図6】防振パッドの拡大斜視図である。
【図7】アッパーフレームを倒伏姿勢にしたフロントロプスフレームの左側面図である。
【図8】従来のトラクタの側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 トラクタ
8 運転席
10 フロントロプスフレーム
10A アッパーフレーム
10B ロアフレーム
10a,10b ボス
12 回動固定板
13a,14a,15a 段付ボス
13b,14b,15b 段付ナット
16,17 防振部材
18,20 金属層
19 弾性材層
21 防振パッド
22 ボルト
23 ハンドル付ボルト
S 外側端部
r 半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体中央に設けた運転席と、
該運転席を保護するため前記運転席前部に設けた、前方に倒伏可能に備えるアッパーフレームおよび該アッパーフレームを支持するために前記機体左右に設けたロアフレームから成る、フロントロプスフレームと、
を備える作業車両において、
前記アッパーフレームの前記機体左右の下部にそれぞれ少なくとも2の防振部材を備えるとともに、前記機体左右の前記ロアフレームの上部にそれぞれ少なくとも3の連結部材を備え、前記機体左右それぞれ少なくとも2のボルトにより、前記機体左右のそれぞれ前記少なくとも2の防振部材を、防振パッドを介して挟むように押圧して、前記アッパーフレームと前記ロアフレームとを連結固定することを特徴とする、作業車両。
【請求項2】
前記防振部材は、前記機体左右それぞれのアッパーフレーム下部に設けた少なくとも2のボスのそれぞれ内周部に備えるとともに、金属層間に弾性材層を有する軸心部が穴であることを特徴とする、請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記金属層は鉄であり、前記弾性材層は硬質ゴムである、請求項1または2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記防振パッドは、ウレタンからなるリング形状であることを特徴とする、請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記2のボルトの一方は、ハンドル付ボルトであることを特徴とする、請求項1に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−320463(P2007−320463A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−154136(P2006−154136)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】