作業車両
【課題】従来の前進ペダルと後進ペダルは左右に並設され、しかも、左右平行状に配置されていたため、踏み替え時には足を左右に大きく移動させる必要があり、操作性が悪くなる問題があった。
【解決手段】本発明は、一方側の踏込み操作で機体の前進走行を行なう前進ペダル15と、他方側の踏込み操作で機体の後進走行を行なう後進ペダル16を備え、これら前後進ペダル15,16は、左右に並設すると共に、互いに前後に変位させて構成したことを特徴とする作業車両の構成とする。また、左右の前後進ペダル15,16は、足の踵付近Qを中心として描く円弧軌跡K圏内に配置するように設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】本発明は、一方側の踏込み操作で機体の前進走行を行なう前進ペダル15と、他方側の踏込み操作で機体の後進走行を行なう後進ペダル16を備え、これら前後進ペダル15,16は、左右に並設すると共に、互いに前後に変位させて構成したことを特徴とする作業車両の構成とする。また、左右の前後進ペダル15,16は、足の踵付近Qを中心として描く円弧軌跡K圏内に配置するように設けたことを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前後進操作装置を備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前進ペダルと後進ペダルの踏込み操作によって油圧式無段変速装置(HST)を制御して機体の前進及び後進を司る技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−180734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の前進ペダルと後進ペダルは左右に並設され、しかも、左右平行状に配置されているため、踏み替え時には足を左右に大きく移動させる必要があり、操作性が悪く誤操作を招く問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、一方側の踏込み操作で機体の前進走行を行なう前進ペダル(15)と、他方側の踏込み操作で機体の後進走行を行なう後進ペダル(16)を備え、これら前・後進ペダル(15),(16)は、左右に並設すると共に、互いに前後に変位させて構成したことを特徴とする作業車両としたものである。
【0005】
前進ペダル(15)を踏込み操作すると油圧式無段変速装置の制御によって機体は前進し、後進ペダル(16)を踏込み操作すると機体は後進する。前進ペダル(15)から後進ペダル(16)へ、また、後進ペダル(16)から前進ペダル(15)への踏み替え時には、左右の前後進ペダル(15),(16)が前後に変位しているため、足全体を左右に大きく移動させる必要がなく、足のつま先側を左右に振り回すだけで可能となり、操作性が良く、誤操作も招くことがない。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記左右の前後進ペダル(15),(16)は、足の踵付近(Q)を中心として描く円弧軌跡(K)圏内に配置するように設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両としたものである。
【0007】
左右の前後進ペダル(15),(16)への踏込み切替時は、足の踵(Q)を支点として左右に振り回すだけで、左右の前後進ペダルを確実に踏込み操作することができ、前後進の切り替えも素早く行え、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、左右の前後進ペダルが前後に変位しているため、左右のペダルを踏込み操作する時、従来のように足全体を左右に大きく移動させる必要がなく、足のつま先側を左右に振り回すだけで切り替えが可能となり、誤操作も招くことがなく、操作性が向上するものとなった。
【0009】
請求項2の本発明によれば、左右の前後進ペダルは、足の踵付近を中心として描く円弧軌跡圏内に配置するので、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、左右の前後進ペダルへの踏込み切替時は、足の踵を支点として左右に振り回すだけで、左右の前後進ペダルを確実に踏込み操作することができ、前後進の切り替えも素早く行い得て操作性がより向上するものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、作業車両の一例としてトラクタを示すものであり、このトラクタTは、車体前部のボンネット1内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力を油圧式無段変速装置(HST)10を介してミッションケ−ス2内の変速装置3に伝え、この変速装置3で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。ミッションケ−ス2の後上部には油圧シリンダケース8が搭載され、このシリンダケース8の左右両側部には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム9,9が回動自在に枢支されている。シリンダケース8内に収容されている作業機昇降用油圧シリンダに作動油を供給するとリフトアーム9,9が上方に回動し、排出するとリフトアーム9,9は下降するようになっている。
【0011】
車体後部にはトップリンクやロワリンク11等からなる3点リンク機構を介してロータリ耕耘装置などの作業機を装着するようになっている。また、車体の腹部には芝草を刈り取るミッドモーア12を着脱自在に装着して、前記ミッションケース2内の伝動機構を介して動力伝達する構成としている。操作ボックス13の右側におけるステップフロア14上には、左側の踏込み操作で機体の前進走行を司る前進ペダル15と、右側の踏込み操作で機体の後進走行を司る後進ペダル16を備え、左側の前進ペダル15及び右側の後進ペダル16の踏込み操作によってHST10のトラニオン軸17を回動制御して中立位置から前進増速位置と後進増速位置とに無段変速するように連動構成している。なお、ペダルにポテンショメータを設け、サーボ式HSTに連動させて制御する方式をとることもできる。
【0012】
そして、これらの前後進ペダル15,16は、左右に並設してあると共に、足踏み頻度の高い前進ペダル15を(足の位置が正面となるよう)前位とし、後進ペダル16はそれよりも後位となるよう所定の角度に後退変位させた配置構成としている。また、この両ペダルの配置関係は、踏込み操作する足(右足)Fの踵部Qを中心として描く半径Rの円弧軌跡(K)圏内に配置しておくと、足の踵を支点として左右に所定角度振り回すだけで、左右の前後進ペダルの切替踏込操作を確実に行うことができる。
【0013】
前進ペダル15は、左右横方向に平行な軸18a回りに回動自在に軸支する構成であり、後進ペダル16は、進行方向に対し左右斜め後方に向けて傾斜する軸18b回りに回動自在に軸支してある。このペダル軸18a,18bは、図2のように一体軸としてもよく、また、別軸に構成することもでき、ミッションケース2又はミッションケースに組付けられるベースプレートに軸受保持する。
【0014】
図2に示すペダル軸18a,18bは、元々は一本の軸であり、曲げ部18cを構成して前後進ペダル15,16の向きを変更している構成である。
トラクタのクラッチペダルには、トラクタを長期保管する場合、クラッチの張り付き防止のため、クラッチを切った状態に保つカットオフ機構が設けられている。通常は、クラッチペダル21を踏み込んでクラッチ切り状態とし、J字型の係止フック22にて係止固定するだけの構成であるため、操作が非常にしづらいものであった。本例では、図4に示すように、係止フック22を係脱操作する操作アーム23を運転位置からオペレータの手の届く操作可能範囲まで延出させて、オペレータが容易にカットオフできるように構成している。また、図5に示すように、運転席7近くに設けられた操作レバー24の操作でワイヤー25を引き、カットオフアーム26の作動により、クラッチペダル21を強制的にクラッチ「切」方向に押し下げてロックする構成としてもよく、操作ロッド27を踏み込んでリンク28、ワイヤー25a、カットオフアーム26を介してクラッチペダル21を上記同様にクラッチ「切」方向に押し下げてロックする手段を採用してもよい。
【0015】
図6に示す実施例は、ミッションケース2をフロントミッションケース2Fとリヤミッションケース2Rの二つに分割構成し、リヤミッションケース2Rは、フロントミッションケース2FがHST10付きであっても、非HST付きであっても共用できる構成とし、部品点数の低減化を図っている。
【0016】
また、図7に示す実施例は、ミッションケース2のクラッチハウジング部2aの後方上部に空間を設け、この空間内にウオームギヤ30,31を組み入れ、ステアリング軸29からこのウオームギヤ30,31を介して前方の操舵機構に至る連動軸32を駆動し、ステアリングハンドル6の操作で左右の前輪4を操向操舵するよう連動連結した構成としている。
【0017】
前記油圧シリンダケース8には、副変速レバー34を装着する支軸35用の軸穴36が設けられている。この軸穴36は、ケース8のバルブのスプール部分を副変速レバーの支点として利用できるように該ケースと一体成型された構成になっている(図8、図9参照)。
【0018】
ミッドモーア12を駆動するミッドPTO出力軸38を備えたミッドPTO伝動ケース39とミッションケース2との間に、ミッドPTO用中間伝動ケース40を介装してミッドモーアの最低地上高を高くし、伝動効率の向上並びに低刈り作業の容易化を図るようにしている。
【0019】
ミッドモーア装着時、ミッドPTO出力軸がミッションケースに近いと、低刈り時にモアデッキが下がっている状態では、ユニバーサルジョイントの折れ角が大きくなり、短時間で破損を招く問題がある。ここで、上記のようにミッドPTO伝動ケースが縦方向に長くなることから、アグリ仕様での最低地上高を高くでき、芝刈り仕様でのミッドモア作業が容易にできる。
【0020】
また、前記ミッドPTO中間伝動ケース40において、ギヤ41の軸42を受けるためのリーマ加工をケース外側から行い、ギヤ組付後、メクラ蓋43で蓋をするようにする。これによると、ケースをコンパクトに構成できて、コストトダウンとなる。
【0021】
更に、インプット軸44上にあるミッドPTO入力ギヤ45を、組み入れ、取り外しが容易にできる程度の隙間(L)を、インプット軸44とドライブピニオン軸46との間に確保(図10参照)しておくことで、分解、組立の容易化を図ることができる。
【0022】
図11に示す実施例は、通常、使用頻度の低い4WD(4駆)レバーとミッドPTOレバー1本のレバーに集約し、オペレータスペースの有効活用を図るようにしたものである。操作レバー(4WDレバー及びミッドPTOレバー)50の操作で、揺動アーム51、ロッド52、4WDアーム53aを経て作動する4WD(ON・OFF)切替軸54と、4WDアーム53b、ロッド55、ミッドアーム56を経て作動するミッドPTO(ON・OFF)切替軸57を連動してON・OFF制御する構成としている。つまり、4WD→ONでミッドPTO→OFFのパターンと、4WD→ONでミッドPTO→ONのパターンと、4WD→OFFでミッドPTO→ONのパターンと、4WD→OFFでミッドPTO→OFFのパターンとの4パターンのON・OFF制御が選択できるようになっている。
【0023】
車体後部に突設するグランドPTO軸60のON・OFF制御が運転席近くに設置されたPTOクラッチレバー61の操作で切り替えが可能な構成のものにおいて、PTOクラッチレバー61を回動操作すると、クラッチレバー61側のアーム62、リンク63、PTO側アーム64を介してPTO切替軸65が回動し、グランドPTO軸60がON・OFFに切り替えられるが、図11に示す実施例では、PTO側アーム64を上方に延長してグリップ66を設けてレバー化し、機体後方側からでも操作ができるように構成している。
【0024】
なお、本機完成後に後から取り付けるOPTの4WD、ミッドPTO等のレバーにおいて、上記図11に示すように、4WDアーム53aを押し引き式プレート67で押し引き操作すべく後付け可能に連動構成し、フェンダーを取り外すことなく簡単に取り付けできる構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】トラクタの側面図
【図2】前後進ペダルの配置平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】クラッチペダルを備えたトラクタ要部の側面図
【図5】クラッチペダルのロック機構を備えたトラクタ要部の側面図
【図6】ミッションケースの側断面図
【図7】トラクタの一部の側面図
【図8】油圧シリンダケースの平面図
【図9】同上一部の破断正面図
【図10】トラクタミッション部要部の切断側面図
【図11】各種操作連動機構を示すトラクタ要部の側面図
【符号の説明】
【0026】
10 HST(油圧式無段変速装置)
15 前進ペダル
16 後進ペダル
17 トラニオン軸
18 ペダル軸
Q 踵中心部
K 円弧軌跡圏
【技術分野】
【0001】
この発明は、前後進操作装置を備えた作業車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前進ペダルと後進ペダルの踏込み操作によって油圧式無段変速装置(HST)を制御して機体の前進及び後進を司る技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−180734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の前進ペダルと後進ペダルは左右に並設され、しかも、左右平行状に配置されているため、踏み替え時には足を左右に大きく移動させる必要があり、操作性が悪く誤操作を招く問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、一方側の踏込み操作で機体の前進走行を行なう前進ペダル(15)と、他方側の踏込み操作で機体の後進走行を行なう後進ペダル(16)を備え、これら前・後進ペダル(15),(16)は、左右に並設すると共に、互いに前後に変位させて構成したことを特徴とする作業車両としたものである。
【0005】
前進ペダル(15)を踏込み操作すると油圧式無段変速装置の制御によって機体は前進し、後進ペダル(16)を踏込み操作すると機体は後進する。前進ペダル(15)から後進ペダル(16)へ、また、後進ペダル(16)から前進ペダル(15)への踏み替え時には、左右の前後進ペダル(15),(16)が前後に変位しているため、足全体を左右に大きく移動させる必要がなく、足のつま先側を左右に振り回すだけで可能となり、操作性が良く、誤操作も招くことがない。
【0006】
請求項2記載の本発明は、前記左右の前後進ペダル(15),(16)は、足の踵付近(Q)を中心として描く円弧軌跡(K)圏内に配置するように設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両としたものである。
【0007】
左右の前後進ペダル(15),(16)への踏込み切替時は、足の踵(Q)を支点として左右に振り回すだけで、左右の前後進ペダルを確実に踏込み操作することができ、前後進の切り替えも素早く行え、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、左右の前後進ペダルが前後に変位しているため、左右のペダルを踏込み操作する時、従来のように足全体を左右に大きく移動させる必要がなく、足のつま先側を左右に振り回すだけで切り替えが可能となり、誤操作も招くことがなく、操作性が向上するものとなった。
【0009】
請求項2の本発明によれば、左右の前後進ペダルは、足の踵付近を中心として描く円弧軌跡圏内に配置するので、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、左右の前後進ペダルへの踏込み切替時は、足の踵を支点として左右に振り回すだけで、左右の前後進ペダルを確実に踏込み操作することができ、前後進の切り替えも素早く行い得て操作性がより向上するものとなった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、作業車両の一例としてトラクタを示すものであり、このトラクタTは、車体前部のボンネット1内部にエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力を油圧式無段変速装置(HST)10を介してミッションケ−ス2内の変速装置3に伝え、この変速装置3で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの後方に前輪4,4を操舵するステアリングハンドル6が装備され、更に、その後方には運転席7が設置されている。ミッションケ−ス2の後上部には油圧シリンダケース8が搭載され、このシリンダケース8の左右両側部には、油圧昇降機構の一部を構成するリフトアーム9,9が回動自在に枢支されている。シリンダケース8内に収容されている作業機昇降用油圧シリンダに作動油を供給するとリフトアーム9,9が上方に回動し、排出するとリフトアーム9,9は下降するようになっている。
【0011】
車体後部にはトップリンクやロワリンク11等からなる3点リンク機構を介してロータリ耕耘装置などの作業機を装着するようになっている。また、車体の腹部には芝草を刈り取るミッドモーア12を着脱自在に装着して、前記ミッションケース2内の伝動機構を介して動力伝達する構成としている。操作ボックス13の右側におけるステップフロア14上には、左側の踏込み操作で機体の前進走行を司る前進ペダル15と、右側の踏込み操作で機体の後進走行を司る後進ペダル16を備え、左側の前進ペダル15及び右側の後進ペダル16の踏込み操作によってHST10のトラニオン軸17を回動制御して中立位置から前進増速位置と後進増速位置とに無段変速するように連動構成している。なお、ペダルにポテンショメータを設け、サーボ式HSTに連動させて制御する方式をとることもできる。
【0012】
そして、これらの前後進ペダル15,16は、左右に並設してあると共に、足踏み頻度の高い前進ペダル15を(足の位置が正面となるよう)前位とし、後進ペダル16はそれよりも後位となるよう所定の角度に後退変位させた配置構成としている。また、この両ペダルの配置関係は、踏込み操作する足(右足)Fの踵部Qを中心として描く半径Rの円弧軌跡(K)圏内に配置しておくと、足の踵を支点として左右に所定角度振り回すだけで、左右の前後進ペダルの切替踏込操作を確実に行うことができる。
【0013】
前進ペダル15は、左右横方向に平行な軸18a回りに回動自在に軸支する構成であり、後進ペダル16は、進行方向に対し左右斜め後方に向けて傾斜する軸18b回りに回動自在に軸支してある。このペダル軸18a,18bは、図2のように一体軸としてもよく、また、別軸に構成することもでき、ミッションケース2又はミッションケースに組付けられるベースプレートに軸受保持する。
【0014】
図2に示すペダル軸18a,18bは、元々は一本の軸であり、曲げ部18cを構成して前後進ペダル15,16の向きを変更している構成である。
トラクタのクラッチペダルには、トラクタを長期保管する場合、クラッチの張り付き防止のため、クラッチを切った状態に保つカットオフ機構が設けられている。通常は、クラッチペダル21を踏み込んでクラッチ切り状態とし、J字型の係止フック22にて係止固定するだけの構成であるため、操作が非常にしづらいものであった。本例では、図4に示すように、係止フック22を係脱操作する操作アーム23を運転位置からオペレータの手の届く操作可能範囲まで延出させて、オペレータが容易にカットオフできるように構成している。また、図5に示すように、運転席7近くに設けられた操作レバー24の操作でワイヤー25を引き、カットオフアーム26の作動により、クラッチペダル21を強制的にクラッチ「切」方向に押し下げてロックする構成としてもよく、操作ロッド27を踏み込んでリンク28、ワイヤー25a、カットオフアーム26を介してクラッチペダル21を上記同様にクラッチ「切」方向に押し下げてロックする手段を採用してもよい。
【0015】
図6に示す実施例は、ミッションケース2をフロントミッションケース2Fとリヤミッションケース2Rの二つに分割構成し、リヤミッションケース2Rは、フロントミッションケース2FがHST10付きであっても、非HST付きであっても共用できる構成とし、部品点数の低減化を図っている。
【0016】
また、図7に示す実施例は、ミッションケース2のクラッチハウジング部2aの後方上部に空間を設け、この空間内にウオームギヤ30,31を組み入れ、ステアリング軸29からこのウオームギヤ30,31を介して前方の操舵機構に至る連動軸32を駆動し、ステアリングハンドル6の操作で左右の前輪4を操向操舵するよう連動連結した構成としている。
【0017】
前記油圧シリンダケース8には、副変速レバー34を装着する支軸35用の軸穴36が設けられている。この軸穴36は、ケース8のバルブのスプール部分を副変速レバーの支点として利用できるように該ケースと一体成型された構成になっている(図8、図9参照)。
【0018】
ミッドモーア12を駆動するミッドPTO出力軸38を備えたミッドPTO伝動ケース39とミッションケース2との間に、ミッドPTO用中間伝動ケース40を介装してミッドモーアの最低地上高を高くし、伝動効率の向上並びに低刈り作業の容易化を図るようにしている。
【0019】
ミッドモーア装着時、ミッドPTO出力軸がミッションケースに近いと、低刈り時にモアデッキが下がっている状態では、ユニバーサルジョイントの折れ角が大きくなり、短時間で破損を招く問題がある。ここで、上記のようにミッドPTO伝動ケースが縦方向に長くなることから、アグリ仕様での最低地上高を高くでき、芝刈り仕様でのミッドモア作業が容易にできる。
【0020】
また、前記ミッドPTO中間伝動ケース40において、ギヤ41の軸42を受けるためのリーマ加工をケース外側から行い、ギヤ組付後、メクラ蓋43で蓋をするようにする。これによると、ケースをコンパクトに構成できて、コストトダウンとなる。
【0021】
更に、インプット軸44上にあるミッドPTO入力ギヤ45を、組み入れ、取り外しが容易にできる程度の隙間(L)を、インプット軸44とドライブピニオン軸46との間に確保(図10参照)しておくことで、分解、組立の容易化を図ることができる。
【0022】
図11に示す実施例は、通常、使用頻度の低い4WD(4駆)レバーとミッドPTOレバー1本のレバーに集約し、オペレータスペースの有効活用を図るようにしたものである。操作レバー(4WDレバー及びミッドPTOレバー)50の操作で、揺動アーム51、ロッド52、4WDアーム53aを経て作動する4WD(ON・OFF)切替軸54と、4WDアーム53b、ロッド55、ミッドアーム56を経て作動するミッドPTO(ON・OFF)切替軸57を連動してON・OFF制御する構成としている。つまり、4WD→ONでミッドPTO→OFFのパターンと、4WD→ONでミッドPTO→ONのパターンと、4WD→OFFでミッドPTO→ONのパターンと、4WD→OFFでミッドPTO→OFFのパターンとの4パターンのON・OFF制御が選択できるようになっている。
【0023】
車体後部に突設するグランドPTO軸60のON・OFF制御が運転席近くに設置されたPTOクラッチレバー61の操作で切り替えが可能な構成のものにおいて、PTOクラッチレバー61を回動操作すると、クラッチレバー61側のアーム62、リンク63、PTO側アーム64を介してPTO切替軸65が回動し、グランドPTO軸60がON・OFFに切り替えられるが、図11に示す実施例では、PTO側アーム64を上方に延長してグリップ66を設けてレバー化し、機体後方側からでも操作ができるように構成している。
【0024】
なお、本機完成後に後から取り付けるOPTの4WD、ミッドPTO等のレバーにおいて、上記図11に示すように、4WDアーム53aを押し引き式プレート67で押し引き操作すべく後付け可能に連動構成し、フェンダーを取り外すことなく簡単に取り付けできる構成としている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】トラクタの側面図
【図2】前後進ペダルの配置平面図
【図3】同上要部の側面図
【図4】クラッチペダルを備えたトラクタ要部の側面図
【図5】クラッチペダルのロック機構を備えたトラクタ要部の側面図
【図6】ミッションケースの側断面図
【図7】トラクタの一部の側面図
【図8】油圧シリンダケースの平面図
【図9】同上一部の破断正面図
【図10】トラクタミッション部要部の切断側面図
【図11】各種操作連動機構を示すトラクタ要部の側面図
【符号の説明】
【0026】
10 HST(油圧式無段変速装置)
15 前進ペダル
16 後進ペダル
17 トラニオン軸
18 ペダル軸
Q 踵中心部
K 円弧軌跡圏
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方側の踏込み操作で機体の前進走行を行なう前進ペダル(15)と、他方側の踏込み操作で機体の後進走行を行なう後進ペダル(16)を備え、これら前後進ペダル(15),(16)は、左右に並設すると共に、互いに前後に変位させて構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記左右の前後進ペダル(15),(16)は、足の踵付近(Q)を中心として描く円弧軌跡(K)圏内に配置するように設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【請求項1】
一方側の踏込み操作で機体の前進走行を行なう前進ペダル(15)と、他方側の踏込み操作で機体の後進走行を行なう後進ペダル(16)を備え、これら前後進ペダル(15),(16)は、左右に並設すると共に、互いに前後に変位させて構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記左右の前後進ペダル(15),(16)は、足の踵付近(Q)を中心として描く円弧軌跡(K)圏内に配置するように設けたことを特徴とする請求項1記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−247237(P2008−247237A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91751(P2007−91751)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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