説明

作業車両

【課題】従来、この種のホイールバランスの検査を行う装置は、車両とは別に独立した装置から構成され、検査をする車輪は、車両に装着する前か、又は車両から取り外して検査しなければならない課題があった。
【解決手段】この発明は、上記課題を解決するために、車体1に装備した傾斜センサ2の検出情報に基づいて、該車体1もしくは該車体1に対してローリング自在に連結する作業機を自動的に水平制御する制御装置3を備えた作業車両において、前記傾斜センサ2は、車体1に軸装している車輪4のホイールバランスをチエックするモードを選択すると、前記検出情報を車輪4の偏芯等を判定するチエック情報として利用できる構成とした作業車両の構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車体に装備している自動水平制御装置に検出信号を入力するために設けた傾斜センサを利用して、該車体に軸架している車輪のホイールバランスを検査することのできる作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両に軸架している車輪は、走行中に異常振動の発生原因となる車軸に対する真円度、乃至は芯出し精度等のホイールバランスを検査して、異常値にある車輪は、許容範囲までホイールバランスの調整をして走行している。
【0003】
例えば、従来の公知技術として、特開2004−109132号公開特許公報(特許文献1参照)に示されているように、自動車用ホイールの幾何学的データを測定する方法及び装置が出願公開されている。
【0004】
該公報に記載されている技術は、自動車用のホイール(タイヤを装着したもの)を検査装置にセットして、間隔測定ユニットによって走査光ビームなどを照射して幾何学的データを計測し、ホイールバランス等の異常を検査する装置となっている。該公報の記載事項の中に、空気タイヤについて、「横向きのぐらつき若しくは横揺れ、又は半径方向のぐらつき若しくは横揺れのような幾何学的異常について、自動車用の空気タイヤを走査するために、間隔測定ユニットを用いることが出来る」と記載されている。
【特許文献1】特開2004−109132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、この種のホイールバランス等の検査を行う装置は、車両とは別に独立した検査装置として製作され、検査に際しては、車両に装着する前の車輪、又は車両から取り外した車輪を検査する構成で、車両に装備した状態のままでは検査ができない課題があった。そして、従来の検査装置は、全て検査専用の測定ユニットなどからなり、高価な検査装置になって、主として、自動車用の車輪についてはホイールバランスを精密に検査するが、トラクタ等の作業車両については、精密な検査を省略する傾向が強い課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、車体(1)に装備した傾斜センサ(2)の検出情報に基づいて、該車体(1)もしくは該車体(1)に対してローリング自在に連結する作業機を自動的に水平制御する制御装置(3)を備えた作業車両において、前記傾斜センサ(2)は、車体(1)に軸装している車輪(4)のホイールバランスをチエックするモードを選択すると、前記検出情報を車輪(4)の偏芯等を判定するチエック情報として利用できる構成とした作業車両とする。
【0007】
作業車両に軸架している車輪(4)のホイールバランス等の検査にあたり、車両に軸架した状態のまま検査ができるものとなった。
そして、請求項1の発明は、該車体(1)もしくは該車体(1)に対してローリング自在に連結する作業機の自動水平制御装置(3)に検出情報を入力するために装備している傾斜センサ(2)は、車輪(4)の偏芯状態をチエックするモードを選択すると、検出情報がチエック情報として利用することができる構成となっている。
【0008】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記車輪(4)には、マグネット(5)が設けられ、該マグネット(5)に対応させたリードスイッチ(6)を、車体(1)側のリヤアクスル(7)に装備して前記車輪(4)の回転に伴う位相の検出を可能な構成とし、前記傾斜センサ(2)の検出情報と車輪(4)の位相との関連を制御部で同期できる構成とした請求項1記載の車輪の作業車両とする。
【0009】
車輪(4)に取り付けたマグネット(5)を検出するリードスイッチ(6)を車体(1)のリヤアクスル(6)に設けて、車輪(4)の回転位置を計測し、一方、傾斜センサ(2)の計測に基づく傾斜度と対応する車輪(4)の位相を知ることができるものとしている。すなわち、傾斜センサ(2)による検出値と、車輪(4)の位相との対応関係が解る利点がある。
【0010】
つぎに、請求項3に記載した発明は、前記車輪(4)の回転に伴う位相の変化を示す表示と、前記傾斜センサ(2)による車体(1)の検出値とを、車輪(4)の位置と車体(1)の傾斜とを対応させて表示できる構成とし、該表示において、基準値から一定値までの範囲を作業走行が可能なホイールバランスの許容範囲(H)と定め、その許容範囲(H)を超えた検出値の位相部分について、車輪(4)のホイールバランスの調整を要する部位と判定する構成とした請求項1又は請求項2記載の作業車両とする。
【0011】
車輪(4)の位置と車体(1)の傾斜位置との対応関係を明らかにできるものであって、基準値に対する車体(1)の傾斜データを、基準値を基に許容範囲Hを設定してホイールバランスの調整部位を分かり易くするものである。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載した発明は、作業車両に軸架している車輪(4)のホイールバランス等の検査にあたり、従来の如く、車輪(4)を車両から取り外す必要はなく、車体(1)に軸架した状態のままで検査ができる特徴がある。
【0013】
そして、請求項1の発明は、車輪(4)のホイールバランスをチエックするモードを選択すると、車体(1)の自動水平制御装置(3)に検出情報を入力するために装備している傾斜センサ(2)を、利用することが出来て、その検出情報をチエック情報として使用できる特徴がある。
【0014】
そして、請求項2に記載した発明は、車輪(4)のマグネット(5)と、これを検出するリヤアクスル(7)のリードスイッチ(6)とによって、車輪(4)(4)の回転位置を計測し、一方、傾斜センサ(2)の計測に基づく傾斜値と対応する車輪(4)の位相を知ることができるものであって、傾斜センサ(2)による検出値と、車輪(4)の位相との対応関係を明らかにできる特徴がある。
【0015】
そして、請求項3に記載した発明は、車輪(4)の回転する位相と車体(1)の傾斜度との対応関係を明らかにできるものであって、設定した基準値に対する車体(1)の傾斜データを、前記基準値から許容範囲Hを設定してホイールバランスの調整部位を解り易くした特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、この発明を、図面に示す農業用トラクタに装備している車輪のホイールバランス検査装置の実施例について具体的に説明する。
まず、トラクタ10は、図1、及び図2に示すように、前部のボンネット11内にエンジン12を搭載し、このエンジン12の後部に主クラッチを内装するクラッチハウジング、ギヤ式変速装置を内装するミッションケース13を一体に連結して設けている。そして、前記ミションケース13の左右両側にトレッド調節可能なリヤアクスルケース7を設け、左右両側の同ケース7の端部に車輪4,4を軸架して設けている。
【0017】
また、前記エンジン12の下方には、フロントアクスルケースを前後軸心周りにローリング自在に設けると共に、この両側端に前輪15,15を操向自在に設けている。
そして、操縦席16は、車体1上に搭載されているキャビン17内に設けられ、前方には操作パネル18や表示パネル19、更にはステアリングハンドル20、その他、各操作レバー類を集中して配置した構成としている。そして、車体1の水平制御装置3は、図2に示すように、キャビン17の室内に搭載され、図1で解るように、左右のリヤアクセル7,7の上側に傾斜センサ2,2を設け、該傾斜センサ2,2から入力される検出情報に基づいて車体1の自動水平制御が行われる構成としている。
【0018】
なお、実施例の車体自動水平制御装置3は、従来から公知の機構を採用しているから、構成の詳細な説明は省略するが、この種作業車両に一般的に装備する車体ローリング制御機構を装備している。
【0019】
つぎに、車輪4のホイールバランス検査装置について、実施例を説明する。
まず、コントローラ25は、図3に示すように、入力側にモード切替スイッチ26と、左右リードスイッチ6,6と、左右傾斜センサ2,2とを接続し、モードの切替信号と、それぞれの検出情報を入力する構成としている。この場合、前記モード切替スイッチ26は、車体1に軸装している車輪4,4のホイールバランスをチエックするモードを選択するスイッチであって、左右いずれか一方側の車輪4を指定してON操作し、コントローラ25に入力する構成としている。つぎに、左右リードスイッチ6,6は、図1、及び図2に示すように、左右のリヤアクスル7,7にそれぞれ取り付けられ、前記車輪4,4の定位置に設けているマグネット5を検出する度にコントローラ25に検出信号を入力する構成としている。そして、左右の傾斜センサ2,2は、既に説明したとおり車体自動水平制御装置3のために設けたものであるが、前記のように、左右いずれか一方側の車輪4を指定してモード切替スイッチ26をON操作すると、該当する一方側の傾斜センサ2が計測を開始して車体1の傾斜度を計測してコントローラ25に入力する構成となっている。
【0020】
そして、コントローラ25は、出力側に表示パネル19を接続して設け、各検出情報を総合して基準データと対比しながら演算して車輪4の位相に対応する検出値の変化をグラフ化して表示できる構成としている。
【0021】
そして、コントローラ25は、車輪4,4のホイールバランスをチエックするモードに切り替えたときには、オペレーターがトラクタ10を超低速で、ゆっくり走行させながら、回転する車輪4の高さ(車体の傾斜度)位置を、前記した一方の傾斜センサ2が計測し、その計測値が入力される。そのとき、車体1は、図6に示すように、仮に、車輪4が高く、或いは中程度の位置に、又は低位置に上下に変化しながら回転、走行すると、その傾斜度を傾斜センサ2が計測することになる。そのとき、左右のリードスイッチ6は、一方側(左右いずれか一方のホイールバランスを計測している車輪4側、図1参照)のリードスイッチ6が、ゆっくり回転している車輪4に取り付けられているマグネット5が接近するごとに検出してコントローラ25に信号を入力する。
【0022】
このようにして、コントローラ25は、各スイッチ26,6やセンサ2から入力された信号(検出情報)に基づいて、図4に示すように、回転する車輪4の位相に対応させながら測定値(検出値)を電気信号に代えて表示して、車輪4の位置に対応する測定値を同期させることができる。なお、図4において、周期的に凸出した図形Pは、リードスイッチ6がマグネット5を検出した位置を表示している。したがって、傾斜センサ2による計測値は、図4に示す如く、凸出した図形Pと次の凸出した図形Pとの間が車輪4の1周(360度)に相当し、車輪4の位相ごとに当て嵌めて表示することが出来る。
【0023】
そして、図5に示したグラフは、上記した車輪4の1回転(360度)中に傾斜センサ2が検出した傾斜度の数値を絶対値で表示したグラフである。
そして、図4に示すグラフは、2、5Vのラインを基準値として、それから上下0、2Vの範囲を作業走行が可能なホイールバランスの許容範囲Hと定め、その許容範囲Hを超えた検出値の位相部分について、車輪4のホイールバランスの調整を要する部位と判定する構成としているものである。
【0024】
以上述べたように、実施例は、トラクタ10に軸架している車輪4,4のホイールバランス等の検査にあたり、従来のように、煩わしい手間をかけて、車輪4を車体1から取り外す必要はなく、車体1に軸架した状態のままで、検査ができる点で優れており、更に、実施例の場合、車輪4,4のホイールバランスをチエックするモードを選択すると、車体1の自動水平制御装置3に検出情報を入力するために装備している傾斜センサ2を、利用することが出来て、その検出情報をチエック情報として使用できる点でも優れ、低コストで製作できる検査装置となっている。
【0025】
そして、実施例の場合、コントローラ25によって、車輪4,4に設けているマグネット5を、1周ごとに1度リードスイッチ6によって検出させて車輪4の回転周期を計測し、一方、傾斜センサ2の計測に基づく傾斜値と対応する車輪4の位相とを同期させて、傾斜センサ2による検出値と、車輪4の位相との対応関係を明らかに表示できるものとしている。
【0026】
そして、コントローラ25は、実施例の場合、車輪4の回転する位相と車体1の傾斜度との対応関係を明らかにした上で、表示パネル19上に表示して、設定した基準値に対する車体1の傾斜データを、前記基準値を中心にして許容範囲Hを設定してホイールバランスの調整部位を解り易くしたものである。
【0027】
以上のように、実施例に係るホイールバランス検査装置は、トラクタ10において新しいタイヤの組み換え等に応じて芯振れ精度の確認を容易に行うことができるものとなった。
【0028】
つぎに、上記検査結果に基づいて、ホイールバランスの調整を比較的容易に行うことができる車輪4,4について、2〜3の実施例を説明する。
まず、車輪4は、図7、及び図8に示すように、円形状のホイールリム30の内側にホイールディスク31をボルト32によって締め付け固定した構成としている。この場合、ホイールリム30は、外側にタイヤ33を取り付け、内周面には前記ボルト32を支持する取付座34を設けて構成している。そして、ホイールディスク31は、ボルト32の挿通孔を軸芯(車軸)に対して傾斜させて形成した長孔35に形成して前記ボルト32によってホイールリム30側に取り付けて車輪4を構成している。
【0029】
このように構成した車輪4は、その中心部に車軸が位置するように合わせて車体1に取り付けるものである。
そして、車輪4は、既に説明した検査結果に基づいて、ホイールバランスの調整を行う場合には、ホイールディスク31の長孔35を利用して、ホイールリム30との関係位置を調節しながらバランスの微調整ができる。
【0030】
このように実施例は、外側のホイールリム30に対して内側のホイールディスク31を回転させながらガタを殺して芯出しができるものである。
つぎに、図9、及び図10に示す実施例は、ホイールリム30の内周面で取付座34のすぐ横に板ばね36を設け、この板ばね36によってホイールディスク31を中心方向(中心にある車軸の方向)に張圧する構成としている。したがって、ホイールディスク31は、取付ける時点で上記板ばね36に弾圧されて中心部側に自動的に送られて芯出しができる実用的なものとなっている。
【0031】
つぎに、図11、乃至図15に示す実施例は、ホイールディスク31の全周に4箇所設けた取付用のボルト孔37のすぐ外側縁に傾斜面38を形成し、対応するホイールリム30側に傾斜案内面39を形成し、傾斜面38と傾斜案内面39とを合わせて取付座34にボルト32によって締め付けて固定した構成としている。
【0032】
そして、実施例は、図11、及び図13(A)(B)に示すように、前記傾斜面38と傾斜案内面39とにメモリを設けてホイールバランスの調整幅を目視することが出来る構成としている。
【0033】
この実施例の場合、ホイールディスク31は、ホイールリム30に対する調整幅を、図13(A)(B)に示すように、メモリによって確認しながら調整できる利点がある。そして、図14、及び図15に示す実施例は、ホイールデイスク31の前記傾斜面38の後部を外側に折り曲げて殴打面40を形成し、ハンマー41で叩いて調整できる構成としている。
【0034】
そして、実施例は、ホイールバランスを調整するとき、ホイールデイスク31の殴打面40を外側からハンマー41で叩くと、ホイールデイスク31に形成している傾斜面38が、ホイールリブ30の傾斜案内面39に更に深く嵌合して調整を完了できる。この種ホイールバランスの調整は、わずかな調整代で充分に調整ができる。
【0035】
つぎに、図16、及び図17に基づいて、ステアリングシャフト45の実施例を説明する。
まず、ステアリングシャフト45は、図面に示すように、上端部をステアリングハンドル46に連結し、下端部を、パワーステアリングを構成するオ−ビットロール47に接続して、ハンドル46の切り角を伝達する構成としている。そして、ステアリングシャフト45は、図面に示すように、上下の中間部分に防振ゴム装置48を介装して伝達振動を吸収して、その伝達を中断できる構成としている。なお、49はジョイントを示している。
【0036】
以上のように構成したから、実施例は、作業走行、又は路上の走行において、操向のためにステアリングハンドル46を切り操作すると、その切り角度がシャフト45を介してオービットロール47に伝達されて油圧機構によって操向操作が行われ、舵取りができる。
【0037】
このようにして、オペレータは、ステアリングハンドル46を握ったまま操縦を続けていても、操向作動に伴ってオービットロール47から逆に伝わる振動が、シャフト45の途中にある前記防振ゴム装置48によって吸収され、ハンドル46側に伝達されず、不快感を受けることなく運転することができる。
【0038】
つぎに、エンジンフードを上方に回動させて、エンジンルームを開放したとき支持するロックステーについて、実施例を説明する。
まず、ロックステー50は、図18、及び図19に示すように、エンジンルーム51の前枠に前部を支点にしたエンジンフード52を、上方に開いた位置で支え、開放状態を保持する機能を有するが、フード52を上方に開放した状態で支えるときには、長いステー50が必要であるが、フード52を折り畳んでエンジンルーム51をカバーするときには長いステー50のまま真っ直ぐには収納できず、トラクタの前進方向に対して斜めに収納することができる構成としている。
【0039】
具体的に説明すると、ロックステー50は、図18、及び図19に示すように、基部を支持部材53に緩く軸装して回動自由に枢着して設け、実線で示すように、前方へ起立状態に回動して開放したフード52を支える時と、仮想線で示すように、後方に倒伏させて回動した収納位置では、斜めの方向に回動した状態になる構成としている。この場合、ロックステー50は、図20に示すように、エンジンルーム51の上方にある補強部材55に沿わせて斜めに収納する構成としている。
【0040】
このように、ロックステー50は、図18、及び図19に示すように、開放したフード52を支える起立状態の位置(実線位置)では前進方向に対して直線状に前方に回動し、フード52をエンジンルーム51の上方に閉めたとき、倒伏した収納位置(仮想線位置)では、前進方向に対して斜め後方に折り畳んで、前記補強部材55に沿わせて収納することが出来るものとしている。
【0041】
つぎに図21、乃至図23に示す実施例について説明する。
エンジンフード52は、図21に示すように、エンジンルーム51から上方に回動して開いたとき、バランス点(起立状態で前後バランスが保たれた位置)で停止すると、ロック装置57にほとんど力を必要とせず保持できる箇所がある。実施例のロック装置57は、エアクリーナー58の側部に図22、及び図23に示すように、スプリング59に抗して側方に引き出せる保持具60を設け、バランス点に達したフード52を係止して保持する構成としている。
【0042】
このように、ロック装置57は、図面に示すように、エンジンフード52を開いてバランス点に達した位置で保持具60を引き出して係止することができる。この場合、実施例は、エンジンフード52がバランス点に達した位置でロック装置57で保持するから弱い保持力でも充分耐えながら、確実に保持することが出来る特徴がある。
【0043】
つぎに、図24、乃至図26に示す実施例は、エンジンフード52の内側に設けた鍵形状の係止溝62を、フード補強枠63を延長してこれに形成したものである。
実施例は、図面に示すように、起立状態に開放したエンジンフード52を支えるロックステー50の先端部を係止する係止溝62を、フード補強枠63の延長部分に形成し、強度を強くして支持する構成としている。
【0044】
つぎに、図27に示す実施例は、小型トラクタにおいて、前部にフロントローダを装着した場合、これの油圧操作をするために、油路に接続したコントロールバルブ65を搭載して装備し、このコントロールバルブ65を運転席から操作するために、ジョイスチックレバー66を連結して構成している。
【0045】
従来のこの種装置は、ジョイスチックレバー66がステアリングハンドル67近傍に配置されているため、運送時の梱包にあたり、そのレバー66が障害になって梱包サイズがアップする課題があった。
【0046】
そこで、実施例は、ジョイスチックレバー66の下部にねじ部68を設けて連結部材69に着脱自在に連結できる構成とし、取外し自在としたものである。そして、コントロールバルブ65は、クイックカプラ70を着脱可能に設けて、フロントローダの油圧シリンダに接続した構成としている。
【0047】
以上のように構成すると、実施例は、油圧機構の送油ホースの配索が容易になって、作業現場での組み立てが楽にできる特徴がある。
つぎに、図28に示すアクセルワイヤーの自動操作に関する実施例を説明する。
【0048】
まず、アクセル自動操作装置75は、一方側を図外のアクセルレバーに接続し、他方側を燃料の供給調節をするエンジンガバナーに接続した操作ワイヤー76の途中部位に設け、自動的にワイヤー76を緩ませてエンジン回転を低下させることができる構成としている。この場合、アクセル自動操作装置75は、図面に示すように、取付機枠77に支持した制御モーター78に、駆動に伴って回転する作動アーム79が設けられ、この作動アーム79によって、基部を回動支点Pとして軸装したV字型アーム80を作動する構成としている。そして、該V字型アーム80は、図面に示すように、基部の回動支点Pを中心にして、一方を上記の通り作動アーム79に接触させ、他方に前記操作ワイヤー76のアウター部81を連結した構成としている。
【0049】
実施例の場合、上記V字型アーム80は、操作ワイヤー76(アウター部81)の張力によって作動アーム79側に張圧されており、一方側が、駆動される制御モーター78の作動アーム79によって押圧されると、基部の回動支点Pを中心にして、他方側が一体に揺動し、アウター部81を移動させることができる構成となっている。
【0050】
そして、回動ストッパー82は、図面に示すように、上記V字型アーム80の作動圏内に設けられ、調節ナットの回動を可能として作動範囲の調節ができる構成とし、アクセル作動時のエンジン回転数を決定できる構成としている。
【0051】
以上のように、実施例は、制御モーター78によって操作ワイヤー76の途中でアウター部81を操作してエンジン回転を自動的に低下できるものとなっている。この場合、V字型アーム80は、制御モーター78の作動アーム79をカムとして回動して自動的に燃料を調節し、回転制御が出来るものとなっている。更に、実施例の場合、回動ストッパー82は、V字型アーム80の作動圏内に設けて、しかも、調節自在にしているから、前述の通り、アクセル作動時のエンジン回転数を決定することが出来る特徴がある。
【0052】
つぎに、図29、及び図30に示す実施例を説明する。
通常、トラクタは、例えば、プラウ作業のように、牽引力を必要とする農作業では、ホイールベースが長い方が強い牽引力が発揮でき、ロータリー耕耘装置等による耕耘作業では旋回性能が要求されるから、ホイールベースが短い方が作業性が良くなり、適していることが知られている。
【0053】
実施例は、1台のトラクタでホイールベースの調節をした場合、4WDの伸縮可能な伝動軸90を提案するものである。実施例の伝動軸90は、図30に示すように、中央にスプリング91を内装したカップリング92を配置して、その両側から駆動シャフト(後部軸)93と、従動シャフト(前部軸)94を挿し込んで伸縮自在の構成としている。
【0054】
なお、上記伝動軸90は、短いシャフトと長いシャフトを、予め用意しておき軸全部を交換する方法もある。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】トラクタの背面図
【図2】トラクタの側面図
【図3】制御機構を示すブロック図
【図4】車輪の回転位相に傾斜度の検出値を対応させて示したグラフ
【図5】車輪の1回転(360度)に対応する傾斜度を表示したグラフ
【図6】説明用に表示した車輪とその偏芯した例示図
【図7】ホイールバランスを調整可能にしたホイールの側面図
【図8】ホイールバランスを調整可能にしたホイールの正断面図
【図9】ホイールバランスを調整可能にしたホイールの側面図
【図10】ホイールバランスを調整可能にしたホイールの正断面図
【図11】ホイールバランスを調整可能にしたホイールの側面図
【図12】前図11の一部の断面図
【図13】(A)(B)作用図
【図14】ホイールの正断面図
【図15】ホイールバランスを調整可能にしたホイールの側面図
【図16】ステアリングフャフトとエンジンの側面図
【図17】ステアリングシャフトを接続する防振ゴムの側面図
【図18】ロックステーの作用平面図
【図19】ロックステの作用側面図
【図20】エンジンルームとロックステーを示す平面図
【図21】エンジンフードを開いた状態を示す側面図
【図22】ロック装置の保持具を収納した状態の正断面図
【図23】ロック装置の保持具を引き出した状態の正断面図
【図24】エンジンフードを開いた位置の側面図
【図25】フード補強枠と係止溝を示す斜面図
【図26】係止溝にロックステーの上部を係合させた斜面図
【図27】ジヨイスチックレバーとコントロールバルブとの側面図
【図28】アクセル自動操作装置の斜面図
【図29】トラクタの側面図
【図30】4WDの伸縮する前輪伝動軸の分解図
【符号の説明】
【0056】
1 車体 2 傾斜センサ
3 水平制御装置 4、4 車輪
5 マグネット 6 リードスイッチ
7 リヤアクスル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(1)に装備した傾斜センサ(2)の検出情報に基づいて、該車体(1)もしくは該車体(1)に対してローリング自在に連結する作業機を自動的に水平制御する制御装置(3)を備えた作業車両において、前記傾斜センサ(2)は、車体(1)に軸装している車輪(4)のホイールバランスをチエックするモードを選択すると、前記検出情報を車輪(4)の偏芯等を判定するチエック情報として利用できる構成とした作業車両。
【請求項2】
前記車輪(4)には、マグネット(5)が設けられ、該マグネット(5)に対応させたリードスイッチ(6)を、車体(1)側のリヤアクスル(7)に装備して前記車輪(4)の回転に伴う位相の検出を可能な構成とし、前記傾斜センサ(2)の検出情報と車輪(4)の位相との関連を制御部で同期できる構成とした請求項1記載の車輪の作業車両。
【請求項3】
前記車輪(4)の回転に伴う位相の変化を示す表示と、前記傾斜センサ(2)による車体(1)の検出値とを、車輪(4)の位置と車体(1)の傾斜とを対応させて表示できる構成とし、該表示において、基準値から一定値までの範囲を作業走行が可能なホイールバランスの許容範囲(H)と定め、その許容範囲(H)を超えた検出値の位相部分について、車輪(4)のホイールバランスの調整を要する部位と判定する構成とした請求項1又は請求項2記載の作業車両。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate


【公開番号】特開2009−156847(P2009−156847A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338788(P2007−338788)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】