作業車両
【課題】ディーゼルパティキュレートフィルタ周辺やエンジンルーム内の温度上昇を抑制して、エンジンルーム内に配置している機器類に熱の影響が及ぶことを防止することを課題とする。
【解決手段】ディーゼルエンジンのシリンダーから排出される排気ガス中の粒状化物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタを設けるディーゼルエンジンを搭載した作業車両において、ディーゼルエンジンを搭載するエンジンルーム内であって、ラジエータ及びディーゼルエンジンに冷却風を送風する冷却ファンからの冷却風の一部が通過する場所にディーゼルパティキュレートフィルタを設ける構成とし、該ディーゼルパティキュレートフィルタの下側から冷却風送風方向下手側にかけて仕切板を設け、エンジンルームを覆うボンネットに排出口を設け、該排出口からDPFを通過後の冷却風を機外へ放出するように構成したことを特徴とする作業車両の構成とする。
【解決手段】ディーゼルエンジンのシリンダーから排出される排気ガス中の粒状化物質を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタを設けるディーゼルエンジンを搭載した作業車両において、ディーゼルエンジンを搭載するエンジンルーム内であって、ラジエータ及びディーゼルエンジンに冷却風を送風する冷却ファンからの冷却風の一部が通過する場所にディーゼルパティキュレートフィルタを設ける構成とし、該ディーゼルパティキュレートフィルタの下側から冷却風送風方向下手側にかけて仕切板を設け、エンジンルームを覆うボンネットに排出口を設け、該排出口からDPFを通過後の冷却風を機外へ放出するように構成したことを特徴とする作業車両の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車に関する。特に、粒状化物質を捕集するためのディーゼルパティキュレートフィルタを有するディーゼルエンジンを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)をエンジンルーム内に配置する構成は公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−31955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような技術では、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の再生時に発生する熱のため、エンジンルーム内の温度が上昇してしまい、この熱の影響を、エンジンルーム内に配置している機器類が受けてしまうという欠点があった。特に、発電機などはその発電量が低下してしまうなどの問題があった。
【0005】
本発明の課題は、前述のような不具合を解消する作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、ディーゼルエンジン(E)のシリンダー(5)から排出される排気ガス中の粒状化物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設けるディーゼルエンジン(E)を搭載した作業車両において、ディーゼルエンジン(E)を搭載するエンジンルーム内であって、ラジエータ(63)及びディーゼルエンジン(E)に冷却風を送風する冷却ファン(64)からの冷却風の一部が通過する場所にディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設ける構成とし、該ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)の下側から冷却風送風方向下手側にかけて仕切板(66)を設け、エンジンルームを覆うボンネット(62)に排出口(67)を設け、該排出口(67)からDPF(46b)を通過後の冷却風を機外へ放出するように構成したことを特徴とする作業車両としたものである。
【0007】
冷却ファン(64)から送風される冷却風の一部は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)方向に向かう。そして、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)通過後の冷却風は、仕切板(66)に案内されてボンネット(62)に形成している排出口(67)から機外へと排出される。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記仕切板(66)の冷却風送風方向上手側に、斜熱板(68)を連結して設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両としたものである。
冷却ファン(64)から送風される冷却風の一部は、斜熱板(68)に案内されてディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)方向へ向かう。また、斜熱板(68)は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)から発熱する熱の影響をディーゼルエンジン(E)方向に向かうのを抑制する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、冷却ファン(64)から送風される冷却風の一部は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)方向に向かい、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)通過後の冷却風は、仕切板(66)に案内されてボンネット(62)に形成している排出口(67)から効率良く機外へと排出されるので、DPF(46b)周辺やエンジンルーム内に熱が滞留するのを防止でき、エンジンルーム内の機器類への悪影響を防止できるようになる。
【0010】
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果に加え、冷却ファン(64)からの冷却風を斜熱板(68)で積極的に案内することで、DPF(46b)を冷却するための冷却風を確保可能となる。また、斜熱板(68)を設けることで、DPF(46b)から発生する熱が、ディーゼルエンジン(E)方向に向かうのを抑制するので、ディーゼルエンジン(E)に付属している機器類やエンジンルーム内の機器類に与える悪影響を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図
【図2】制御モードによるエンジン回転数と出力トルクの関係を示す線図
【図3】トラクタの左側面図
【図4】トラクタの平面図
【図5】吸気系と排気系の模式図
【図6】エンジンルームの断面図
【図7】エンジン周辺の斜視図
【図8】トラクタ前部の斜視図
【図9】エンジンルームの一部の斜視図
【図10】エンジンルームの断面の模式図
【図11】エンジン周辺の斜視図
【図12】エンジン周辺の一部の斜視図
【図13】(a)トラクタの一部の左側面図、(b)後輪フェンダーの断面図
【図14】トラクタの斜視図
【図15】エンジン周辺の斜視図
【図16】(a)トラクタの一部の左側面図、(b)ミッションケースの左側面図、 (c)トラクタの平面図
【図17】エンジンの正面図
【図18】(a)エンジンの左側面図、(b)エンジンの左側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図である。蓄圧式燃料噴射装置は、例えば、多気筒ディーゼル機関に適用されるものであるが、ガソリン機関でもよい。そして、蓄圧式燃料噴射装置は、噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール1と、このコモンレール1に取り付けられる圧力センサ2と、燃料タンク3より汲み上げた燃料を加圧してコモンレール1に圧送する高圧ポンプ4と、コモンレール1に蓄圧された高圧燃料をエンジンEのシリンダー5内に噴射する燃料噴射ノズル6と、前記高圧ポンプ4と燃料噴射ノズル6等の動作を制御する制御装置(ECU)等から構成される。ECUとは、エンジンコントロールユニットの略称である。ECU100には本機側のCPU200が接続しており、互いに情報交換をしている。
【0013】
このように、コモンレール1は、エンジンEの各シリンダー5へ燃料を噴射するものであり、燃料供給を要求された圧力とするものである。
前記燃料タンク3内の燃料は吸入通路により燃料フィルタ7を介してエンジンEで駆動される高圧ポンプ4に吸入され、この高圧ポンプ4によって加圧された高圧燃料は吐出通路8によりコモンレール1に導かれて蓄えられる。
【0014】
コモンレール1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路9により気筒数分の燃料噴射ノズル6に供給され、ECU100からの指令に基づき、各シリンダーに燃料噴射ノズル6が作動して、高圧燃料がエンジンEの各シルンダー5室内に噴射供給され、各燃料噴射ノズル6での余剰燃料(リターン燃料)は各リターン通路10により共通のリターン通路10へ導かれ、このリターン通路10によって燃料タンク3へ戻される。
【0015】
また、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するため高圧ポンプ4に圧力制御弁11が設けられており、この圧力制御弁11はECU100からのデューティ信号によって、高圧ポンプ4から燃料タンク3への余剰燃料のリターン通路10の流路面積を調整するものであり、これによりコモンレール1側への燃料吐出量を調整してコモンレール圧を制御することができる。
【0016】
具体的には、エンジン運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧力センサ2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する構成としている。
【0017】
作業車(農作業機)におけるコモンレール1を有するディーゼルエンジンEのECU100は、図2に示すように、回転数と出力トルクの関係において走行モードAと通常作業モードB及び重作業モードCの三種類の制御モードを有する構成としている。
【0018】
走行モードAは、エンジン回転数の変動で出力も変動するドループ制御である。農作業を行わず移動走行する場合に使用するものである。例えば、ブレーキを掛けて走行速度を減速したり停止したりすると、この走行負荷の増大に伴ってエンジン回転数が低下するため走行速度の減速や停止を安全に行うことができるものである。
【0019】
通常作業モードBは、負荷が変動してもエンジン回転数が一定で出力を負荷に応じて変更するアイソクロナス制御である。通常の農作業を行う場合に使用するものである。例えば、トラクターであれば耕耘作業時に耕地が固く耕耘刃に抵抗が掛かるときであり、コンバインであれば収穫作業時に収穫物が多く負荷が増大したときでも、出力が変動して回転数を維持するときである。
【0020】
重作業モードCは、通常作業モードBと同様に負荷が変動してもエンジン回転数一定で出力を負荷に応じて変更するアイソクロナス制御に加え、負荷限界近くになると回転数を上昇させて出力を上げる重負荷制御を加えた制御である。特に、負荷限界近くで農作業を行う場合に使用するものである。例えば、トラクターで耕耘作業を行っている際に、特に、固い耕地に遭遇してもエンジン出力が通常の限界を越えて増大するので作業を中断することがなく、効率の良い作業が可能となる。
【0021】
これらの作業モードA,B,Cは、各作業モードA,B,Cを切り替え可能な作業モード切替スイッチの操作、又は農作業車(トラクター、コンバイン、田植機等)の走行変速レバーの変速操作、又は作業クラッチ(トラクターであればロータリであり、コンバインであれば刈取部、脱穀部である)の入り切り操作等によって切り替わるように構成する。
【0022】
ディーゼルエンジンEでは、メイン噴射に先立って少量の燃料をパルス的に噴射するパイロット噴射を行うことにより、着火遅れを短縮してディーゼルエンジンE特有のノック音を低減し、騒音を低減することが可能な構成としている。
【0023】
このパイロット噴射は、メイン噴射の前に1回又は2回に限定して行われるものであったが、前記コモンレール1の蓄圧式燃料噴射装置を用いることで、エンジンEの状況に応じてパイロット噴射の状態を変化させ、騒音の低減や不完全燃焼による白煙又は黒煙の発生を抑制できるようになる。また、メイン噴射に先立って少量の燃料をパルス的に噴射するパイロット噴射を行うことにより、排ガス中の窒素酸化物の量が減少するようになる。
【0024】
図3は、前述のようなコモンレール1を有するディーゼルエンジンを搭載したトラクターの側面図を示し、図4はその平面図を示している。平面図においては、図3に示すキャビン14を省いた状態を示している。
【0025】
トラクターは、機体の前後部に前輪12、12と後輪13、13を備え、機体前部のエンジンルーム61内に搭載したエンジンEの回転動力をトランスミッションケースT内の変速装置によって適宜減速して、これら前輪12、12と後輪13、13に伝えるように構成している。前記エンジンルーム61はボンネット62で覆う構成である。
【0026】
機体中央であってキャビン14内のハンドルポスト15にはステアリングハンドル16が支持され、その後方にはシート17が設けられている。ステアリングハンドル16の下方には、機体の進行方向を前後方向に切り換える前後進レバー18が設けられている。この前後進レバー18を前側に移動させると機体は前進し、後方へ移動させると後進する構成である。
【0027】
また、ハンドルポスト15を挟んで前後進レバー18の反対側にはエンジン回転数を調節するアクセルレバー25が設けられ、またステップフロア19の右コーナー部には、同様にエンジン回転数を調節するアクセルペダル23と、左右の後輪13、13にブレーキを作動させる左右のブレーキペダル24L、24Rが設けられている。ステップフロア19の左コーナー部にはクラッチペダル20が設けられている構成である。
【0028】
また、主変速レバー26はシート17の左前方部にあり、低速、中速、高速及び中立のいずれかの位置を選択できる副変速レバー27はその後方にあり、さらにその右側にPTO変速レバー28を設けている。さらに、シート17の右側には作業機21(ロータリ等)の高さを設定するポジションレバー29と圃場の耕耘深さを自動的に設定する自動耕深レバー30、これらのレバーの後に作業機21の右上げスイッチ31と右下げスイッチ32が配置され、さらにその後に作業機21の自動水平スイッチ33とバックアップスイッチ34が配置されている。バックアップスイッチ34は、機体が後進時において、作業機21を自動的に上昇させるものである。作業機21は、機体の後方にリンク22で連結されている構成である。トラクターは作業機21を駆動させて機体を走行させることで、圃場内の耕耘等の作業を行なうものである。21aは作業機21を昇降する油圧シリンダーである。
【0029】
図5はエンジンのシリンダー5内への吸気と排気の模式図であり、4サイクルのディーゼルエンジンの実施例である。過給器TBの吸気タービン36により過給された空気は、エアクリーナー35から吸気タービン36、インタークーラー37を通過して吸気マニホールド38からシリンダー5内へ送られる構成である。39は吸気バルブであり、40はピストンである。48はカムでありロッカーアーム49を介して吸排気バルブ39、41を開閉させるものである。
【0030】
シリンダー5内で燃焼した排ガスは、排気バルブ41から排気マニホールド42を通過した後、過給器TBの排気タービン45で過給器TBを駆動して排出される構成である。
このディーゼルエンジンは、排気ガスの一部を吸気側に混入させるためのEGR(排気再循環装置)回路44を有している。EGR回路で排気ガスの一部を吸気側に混入させることで酸素量(O2)を減らして、窒素酸化物Noxの発生を低減させるように構成している。ただし、EGR率が上昇しすぎると、逆に酸素量が少なくなって不完全燃焼になるので、燃焼状態によりEGR率を調節する必要がある。この調節は、EGRバルブ43にて行う。EGR回路44は、後述する後処理装置46下流側の排気管55と過給器TBの吸気タービン36上流側の吸入管56との間を接続している。また、EGR回路44の途中にはEGRクーラ57を設ける構成としている。このEGRバルブ43の開閉具合でシリンダー5内への排気ガスの還元量が変化する。
【0031】
排気タービン45を通過後の排気ガスは、後処理装置46を通過してマフラー50から大気中に排出される。後処理装置46は、酸化触媒(DOC)46aとディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)46bとから構成されている。
【0032】
酸化触媒(DOC)は不燃物室を燃焼させるものであり、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)は粒状化物室(PM)を捕集するためのものである。前記EGRバルブ43と絞り弁47については、ECU100により制御される構成である。後処理装置46はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)46bのみで構成してもよい、酸化触媒(DOC)46aを設けると不燃物質が燃焼するので、よりクリーンな排気ガスとなる。
【0033】
DPF46bは、排気ガスの温度が低い状態(低負荷)が長時間続くと、PMが溜まってきて能力の低下が懸念される。そこで、後処理装置46の下手側に絞り弁47を設け、この絞り弁47を絞るとDPF46b内の圧力が高く保持されるので温度も高くなる。これにより、高い温度の影響により、DPF46bの再生が可能となる。即ち、高い温度の排気ガスがDPF46bを通過すると、DPF46b内に存在しているPMが焼き飛ばされることでDPF46bが再生される。
【0034】
DPF46bを再生させるためのDPF再生運転としては、EGRバルブ43と絞り弁47の両方を絞る。そして、燃料噴射タイミングのリタード(遅角)と合わせてDPF46b内のガス温度を上昇させ、DPF46bが再生に入るようにする。これにより、燃料のアフター噴射(排気ガス温度を上昇させるため)が不要となったり、アフター噴射の回数を減らすことができるようになるので、燃料消費量を抑制できて環境にもよい。
【0035】
このようなDPF再生運転を行うための条件としては、後処理装置46の上手側に圧力センサ52を設けておいて、この圧力センサ52の値が所定値以上になるとDPF46b内にPMが蓄積して抵抗となっている状態なので、DPF再生運転を行うようにする。
【0036】
また、DPF再生運転に入った状態が長時間続くと、過熱状態となってしまいDPF46bが損傷してしまう。そこで、後処理装置46の下手側に温度センサ53を設け、この温度センサ53の値が所定値を超えるとDPF再生運転を止めて通常運転に戻るようにする。
【0037】
通常の運転は、EGRバルブ43と絞り弁47を同時に制御してEGR量を適宜コントロールするようにする。特に、絞り弁47を有することで、DPF46b内のガス温度を高く保持することができるようになる。
【0038】
前述のような構成としたことで、吸気スロットルが不要となる。即ち、過給器付き機関では吸気側圧力が高いので、EGRガス量を確保するために排気絞り弁または吸気スロットルを設け、EGRバルブと連動した制御が必要となるが、このようなシステムが不要となる。
【0039】
また、DPF46b下流の排気ガスを取り出すために、過給器TBの汚れに伴う性能劣化を生じることを防止できるようになる。そして、EGRガスはEGRクーラ57で冷却されるため、NOx低減に対して効果が大きくなる。
【0040】
前述したように、DPFの再生運転を行なうDPF強制再生モードにおいては、排気絞り弁47を絞り、ON−OFF制御によってEGRバルブ43を全閉とするように構成する。したがって、排気ガスの還元が行なわれないのでNOが増加し、このNOが酸化触媒(DOC)46aによってNO2に転換され、DPF46bの再生が促進されるようになる。
【0041】
また、DPF46bの強制再生中において、エンジン回転がローアイドルに移行した場合は、前記EGRバルブ43を全開とする。DPF46bの下流側には温度センサ53を設けているので、この温度センサ53による検出値が所定値以上に上昇したことも条件に加えるようにしてもよい。
【0042】
前述のように構成している後処理装置46において、トラクターのどこに搭載するかが問題となる。そこで、図6に示すような配置とする。具体的にはボンネット62で覆っているエンジンルーム61内に搭載しているエンジンEの上方に配置する構成とする。この場合、後処理装置46は前下がり状態で搭載する構成とする。これに合わせて、ボンネット62についても前下がりの形状とする。これにより、シート17に着座している運転者からの目線Sによりトラクター前方の視界が確保できて、良好な作業が可能となる。
【0043】
図6はエンジンルーム61内の側面を示している。63はラジエータ、64は冷却ファン、65はエアクリーナを示している。69はエアコン用のコンプレッサーである。前述したDPF46bはディーゼルエンジンE上方に横向きに配置する構成としている。
【0044】
DPF46bは、その性質上高熱状態となるので、エンジンルーム61内が高温状態となってしまい、機器類に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、冷却ファンからの風をDPF46bに当てて、その風を機外へと排気することが望まれる。
【0045】
そこで、図6及び図7に示すように、冷却ファン64からの風を案内する仕切板66を、DPF46bの下方から下手側の上方にかけて設ける構成とする。そして、図8に示すように、前記仕切板66から案内されてくる風を機外に排出するための排出口67を、ボンネット62に設ける構成とする。これにより、エンジンルーム61内の雰囲気温度の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0046】
前記DPF46bについては、冷却し過ぎるとその性能が低下してしまうが、冷却ファン64からの冷却風は、ラジエータ63を通過後の風であるために、冷却風そのものの温度は比較的高いので問題はない。また、温度の高い空気が停滞すると、逆にエンジンルーム61内の雰囲気温度は上昇してしまうが、温度が高くても流れがあると雰囲気温度の上昇は抑制されるので問題はない。また、エンジンルーム内の温度上昇を抑制可能となることで、エンジンの付属品やエンジンルーム内の機器類や電装品への熱害を防止できるようになる。発電機などは、温度が上昇すると発電量が低下してしまうが、このような不具合も防止できるようになる。
【0047】
次に図9について説明する。
前述した仕切板66の前方に斜熱板68を連結して設ける構成とする。そして、エアコン用のコンプレッサー69にファン70を設ける構成とする。図6の側面図に示しているように、冷却ファン64自体は側面視においてDFP46bとオーバーラップしていないので、冷却ファン64により起風された一部の風のみがDPF46b方向に向かう構成である。このため、DPF46bの温度上昇抑制機能は低いものとなっている。
【0048】
そこで、前述したように、エアコン用コンプレッサー69の駆動用プーリにファン70を設け、このファン70で起風された風をDPF46b方向に向かわせる構成とする。ファン70で起風された風は、斜熱板68により案内されてDPF46bに向かうようになる。
【0049】
このように、エンジンEとDPF46bとの間に斜熱板を設けることで、エンジンEがDPF46bからの熱を受けることを抑制可能となる。そして、DPF46bの熱を積極的にボンネット62の排出口67から排熱することで、エンジンルーム内の温度上昇を抑えることが可能となり、エンジンルーム内の電装品等を保護可能となる。また、エアコン用コンプレッサー69を駆動するプーリを利用してファン70を設けることで、構成部品が少なく構成可能となる。
【0050】
また、過給器TBのコンプレッサーハウジング82をDPF46bと反対方向の下向きに向けて配置することで、過給器TBとDFP46bとの間に隙間L1を開けることが可能となり、これによりDPF46bからの熱害を防止できるようになる。
【0051】
次に、図10について説明する。
エンジンEの上方にDPF46bを配置するにあたり、機体進行方向に対して横置き構成とし、DPF46bは覆い板71に設けるマウントゴム72で支持する構成としている。ボンネット62上には、吸気口74と排気口75を設けていいて、エンジンルーム内の吸気口74の近傍には、DPFファン73を設ける構成とする。64はエンジンEとラジエータ63を冷却する冷却ファンである。
【0052】
これにより、DPF46bの熱を効率よく機外へ排出可能になり、また、エンジンEやラジエータ63の冷却効率を低下させることを防止できるようになる。
図11は、エンジンEの上方にDOC46aとDPF46bを搭載する場所について示している。過給器TBをエンジンEの前方に配置し、過給器TBの下流側であって後方にDOC46aを配置し、該DOC46aの下流側であってボンネットの後方(運転席側)にDPF46bを横置き状態で配置する構成とする。これにより、狭いエンジンルーム内に効率的に配置可能となる。
【0053】
また、図11の構成でDOC46aを設けない仕様については、図12に示すように、DPF46bのケーシング76に設けているパイプ76aに対して、直接過給器TBを接続して設ける構成とする。パイプ76aには多数の穴が開いており、排気ガスが均一化するようにしている。これにより、過給器TBとDFP46bとの間の連結管等が不要となる。また、排気ガス温度の低下を招くことなく排気ガスはDPF46b内に入っていくようになる。そして、DPF46bを横向きで配置し、過給器TBをエンジン前後方向に配置する構成としたので、コンパクトな構成となる。
【0054】
図13(a)に示す矢印は、エンジンEからの排気ガスの経路を示している。途中、後輪13を覆うフェンダー77内を通過するが、このフェンダー77の断面を図13(b)に示している。即ち、フェンダー77内には、DOC46aとDPF46bを設けており、形状としては楕円形状を構成している。これにより、DOC46aとDPF46bの搭載が容易となる。また、DOC46aとDPF46bを、キャビン14のフロント部14aとエンジンEとの間に配置するようにしてもよい。図14に示すように、フェンダーを上下2段の上側フェンダー77aと下側フェンダー77bに構成し、この上下2段のフェンダー77aと77bとの間にDFP46bを配置するように構成してもよい。
【0055】
図15は水平線Hに対して傾斜角度θ傾けてDPF46bを設ける構成とする。そして、DPF46bの一側にドレンパイプ78とドレンバルブ79を設ける構成とする。これにより、DPF46b内に水が溜っても、水はDPF担体等には飛散しないのでDPF46bの劣化防止となる。また、ドレンパイプ78とドレンバルブ79を設けているので、水抜きが容易となる。
【0056】
図16の(a),(b),(c)に示すように、DFP46bをキャビン14の後方に設ける構成とする。このため、エンジンEからDPF46bまでの排気管80は、キャビン14とミッションケース81との間を通過させて配管する構成とする。これにより、車両の地上高を確保可能となる。そして、雨水や泥水が排気管80にかからなくなるので、DFP46bに入る前の排気ガス温度の低下を防止できるようになるとともに、作物に対しても排気管80の高熱をさらすのを防止できるようになる。
【0057】
図17はDPF46bを前後方向に配置する場合の例を示している。83は発電機であるが、発電機83の特性として熱を持つと発電量が低下してしまうという問題がある。特に、エンジンルーム内にDPF46bを配置する場合には、DPF46bからの輻射熱により発電機83が悪影響を受けてしまう。そこで、エンジンEに対してDPF46bの反対側に発電機83を配置することで、熱害の影響を防止できて、適正な発電量を確保することが可能となる。
【0058】
次に、図18について説明する。
エンジンEの上部において、車体の前後方向に対して直行する向きにDPF46bを配置する構成とする。そして、DPF46b自体は断熱構造としているが、遮蔽板84で覆う構成とする。また、DPF46bの上部位置におけるボンネット62において、冷却風の出口となるスリット85を設ける構成とする。また、DPF46b後部の86は、冷却風を案内するガイドプレートである。
【0059】
これにより、冷却ファン64からの冷却風が直接DPF46bに当たらないので、DPF46b内部の温度を高温に維持でき、再生時において捕集している粒状化物質(PM)の燃焼が促進されるようになる。また、DPF46bを通過の冷却風は遮蔽板84の外側を流れ、ガイドプレート86に案内されてボンネット62のスリット85から機外へと排出されるので、特にDPF46bが熱くなるときの再生時に、周囲に及ぼす熱害を防止できるようになる。
【0060】
また、87はシャッターであるが、前記スリット85の出口部分に設けている温度センサー88が所定値を越えると、図18(b)に示すように、シャッター87を開状態とする。これにより、DPF46bの周辺に対流が起こり、DPF46bの熱害を防止できるようになる。前記温度センサー88については、DPF46b内に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
トラクターやコンバイン等の農作業機を始め一般車両にも利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
5 ディーゼルエンジンのシリンダー
46b ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
62 ボンネット
63 ラジエータ
64 冷却ファン
66 仕切板
67 排出口
68 斜熱板
E ディーゼルエンジン
PM 粒状化物質
【技術分野】
【0001】
この発明は、作業車に関する。特に、粒状化物質を捕集するためのディーゼルパティキュレートフィルタを有するディーゼルエンジンを備えた作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)をエンジンルーム内に配置する構成は公知である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−31955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような技術では、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)の再生時に発生する熱のため、エンジンルーム内の温度が上昇してしまい、この熱の影響を、エンジンルーム内に配置している機器類が受けてしまうという欠点があった。特に、発電機などはその発電量が低下してしまうなどの問題があった。
【0005】
本発明の課題は、前述のような不具合を解消する作業車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は次の構成によって達成される。
すなわち、請求項1記載の発明では、ディーゼルエンジン(E)のシリンダー(5)から排出される排気ガス中の粒状化物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設けるディーゼルエンジン(E)を搭載した作業車両において、ディーゼルエンジン(E)を搭載するエンジンルーム内であって、ラジエータ(63)及びディーゼルエンジン(E)に冷却風を送風する冷却ファン(64)からの冷却風の一部が通過する場所にディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設ける構成とし、該ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)の下側から冷却風送風方向下手側にかけて仕切板(66)を設け、エンジンルームを覆うボンネット(62)に排出口(67)を設け、該排出口(67)からDPF(46b)を通過後の冷却風を機外へ放出するように構成したことを特徴とする作業車両としたものである。
【0007】
冷却ファン(64)から送風される冷却風の一部は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)方向に向かう。そして、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)通過後の冷却風は、仕切板(66)に案内されてボンネット(62)に形成している排出口(67)から機外へと排出される。
【0008】
請求項2記載の発明では、前記仕切板(66)の冷却風送風方向上手側に、斜熱板(68)を連結して設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両としたものである。
冷却ファン(64)から送風される冷却風の一部は、斜熱板(68)に案内されてディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)方向へ向かう。また、斜熱板(68)は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)から発熱する熱の影響をディーゼルエンジン(E)方向に向かうのを抑制する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は上述のごとく構成したので、請求項1記載の発明においては、冷却ファン(64)から送風される冷却風の一部は、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)方向に向かい、ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)通過後の冷却風は、仕切板(66)に案内されてボンネット(62)に形成している排出口(67)から効率良く機外へと排出されるので、DPF(46b)周辺やエンジンルーム内に熱が滞留するのを防止でき、エンジンルーム内の機器類への悪影響を防止できるようになる。
【0010】
請求項2記載の発明においては、請求項1の効果に加え、冷却ファン(64)からの冷却風を斜熱板(68)で積極的に案内することで、DPF(46b)を冷却するための冷却風を確保可能となる。また、斜熱板(68)を設けることで、DPF(46b)から発生する熱が、ディーゼルエンジン(E)方向に向かうのを抑制するので、ディーゼルエンジン(E)に付属している機器類やエンジンルーム内の機器類に与える悪影響を防止できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図
【図2】制御モードによるエンジン回転数と出力トルクの関係を示す線図
【図3】トラクタの左側面図
【図4】トラクタの平面図
【図5】吸気系と排気系の模式図
【図6】エンジンルームの断面図
【図7】エンジン周辺の斜視図
【図8】トラクタ前部の斜視図
【図9】エンジンルームの一部の斜視図
【図10】エンジンルームの断面の模式図
【図11】エンジン周辺の斜視図
【図12】エンジン周辺の一部の斜視図
【図13】(a)トラクタの一部の左側面図、(b)後輪フェンダーの断面図
【図14】トラクタの斜視図
【図15】エンジン周辺の斜視図
【図16】(a)トラクタの一部の左側面図、(b)ミッションケースの左側面図、 (c)トラクタの平面図
【図17】エンジンの正面図
【図18】(a)エンジンの左側面図、(b)エンジンの左側面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、蓄圧式燃料噴射装置の全体構成図である。蓄圧式燃料噴射装置は、例えば、多気筒ディーゼル機関に適用されるものであるが、ガソリン機関でもよい。そして、蓄圧式燃料噴射装置は、噴射圧力に相当する高圧燃料を蓄圧するコモンレール1と、このコモンレール1に取り付けられる圧力センサ2と、燃料タンク3より汲み上げた燃料を加圧してコモンレール1に圧送する高圧ポンプ4と、コモンレール1に蓄圧された高圧燃料をエンジンEのシリンダー5内に噴射する燃料噴射ノズル6と、前記高圧ポンプ4と燃料噴射ノズル6等の動作を制御する制御装置(ECU)等から構成される。ECUとは、エンジンコントロールユニットの略称である。ECU100には本機側のCPU200が接続しており、互いに情報交換をしている。
【0013】
このように、コモンレール1は、エンジンEの各シリンダー5へ燃料を噴射するものであり、燃料供給を要求された圧力とするものである。
前記燃料タンク3内の燃料は吸入通路により燃料フィルタ7を介してエンジンEで駆動される高圧ポンプ4に吸入され、この高圧ポンプ4によって加圧された高圧燃料は吐出通路8によりコモンレール1に導かれて蓄えられる。
【0014】
コモンレール1内の高圧燃料は各高圧燃料供給通路9により気筒数分の燃料噴射ノズル6に供給され、ECU100からの指令に基づき、各シリンダーに燃料噴射ノズル6が作動して、高圧燃料がエンジンEの各シルンダー5室内に噴射供給され、各燃料噴射ノズル6での余剰燃料(リターン燃料)は各リターン通路10により共通のリターン通路10へ導かれ、このリターン通路10によって燃料タンク3へ戻される。
【0015】
また、コモンレール1内の燃料圧力(コモンレール圧)を制御するため高圧ポンプ4に圧力制御弁11が設けられており、この圧力制御弁11はECU100からのデューティ信号によって、高圧ポンプ4から燃料タンク3への余剰燃料のリターン通路10の流路面積を調整するものであり、これによりコモンレール1側への燃料吐出量を調整してコモンレール圧を制御することができる。
【0016】
具体的には、エンジン運転条件に応じて目標コモンレール圧を設定し、レール圧力センサ2により検出されるコモンレール圧が目標コモンレール圧と一致するよう、圧力制御弁11を介してコモンレール圧をフィードバック制御する構成としている。
【0017】
作業車(農作業機)におけるコモンレール1を有するディーゼルエンジンEのECU100は、図2に示すように、回転数と出力トルクの関係において走行モードAと通常作業モードB及び重作業モードCの三種類の制御モードを有する構成としている。
【0018】
走行モードAは、エンジン回転数の変動で出力も変動するドループ制御である。農作業を行わず移動走行する場合に使用するものである。例えば、ブレーキを掛けて走行速度を減速したり停止したりすると、この走行負荷の増大に伴ってエンジン回転数が低下するため走行速度の減速や停止を安全に行うことができるものである。
【0019】
通常作業モードBは、負荷が変動してもエンジン回転数が一定で出力を負荷に応じて変更するアイソクロナス制御である。通常の農作業を行う場合に使用するものである。例えば、トラクターであれば耕耘作業時に耕地が固く耕耘刃に抵抗が掛かるときであり、コンバインであれば収穫作業時に収穫物が多く負荷が増大したときでも、出力が変動して回転数を維持するときである。
【0020】
重作業モードCは、通常作業モードBと同様に負荷が変動してもエンジン回転数一定で出力を負荷に応じて変更するアイソクロナス制御に加え、負荷限界近くになると回転数を上昇させて出力を上げる重負荷制御を加えた制御である。特に、負荷限界近くで農作業を行う場合に使用するものである。例えば、トラクターで耕耘作業を行っている際に、特に、固い耕地に遭遇してもエンジン出力が通常の限界を越えて増大するので作業を中断することがなく、効率の良い作業が可能となる。
【0021】
これらの作業モードA,B,Cは、各作業モードA,B,Cを切り替え可能な作業モード切替スイッチの操作、又は農作業車(トラクター、コンバイン、田植機等)の走行変速レバーの変速操作、又は作業クラッチ(トラクターであればロータリであり、コンバインであれば刈取部、脱穀部である)の入り切り操作等によって切り替わるように構成する。
【0022】
ディーゼルエンジンEでは、メイン噴射に先立って少量の燃料をパルス的に噴射するパイロット噴射を行うことにより、着火遅れを短縮してディーゼルエンジンE特有のノック音を低減し、騒音を低減することが可能な構成としている。
【0023】
このパイロット噴射は、メイン噴射の前に1回又は2回に限定して行われるものであったが、前記コモンレール1の蓄圧式燃料噴射装置を用いることで、エンジンEの状況に応じてパイロット噴射の状態を変化させ、騒音の低減や不完全燃焼による白煙又は黒煙の発生を抑制できるようになる。また、メイン噴射に先立って少量の燃料をパルス的に噴射するパイロット噴射を行うことにより、排ガス中の窒素酸化物の量が減少するようになる。
【0024】
図3は、前述のようなコモンレール1を有するディーゼルエンジンを搭載したトラクターの側面図を示し、図4はその平面図を示している。平面図においては、図3に示すキャビン14を省いた状態を示している。
【0025】
トラクターは、機体の前後部に前輪12、12と後輪13、13を備え、機体前部のエンジンルーム61内に搭載したエンジンEの回転動力をトランスミッションケースT内の変速装置によって適宜減速して、これら前輪12、12と後輪13、13に伝えるように構成している。前記エンジンルーム61はボンネット62で覆う構成である。
【0026】
機体中央であってキャビン14内のハンドルポスト15にはステアリングハンドル16が支持され、その後方にはシート17が設けられている。ステアリングハンドル16の下方には、機体の進行方向を前後方向に切り換える前後進レバー18が設けられている。この前後進レバー18を前側に移動させると機体は前進し、後方へ移動させると後進する構成である。
【0027】
また、ハンドルポスト15を挟んで前後進レバー18の反対側にはエンジン回転数を調節するアクセルレバー25が設けられ、またステップフロア19の右コーナー部には、同様にエンジン回転数を調節するアクセルペダル23と、左右の後輪13、13にブレーキを作動させる左右のブレーキペダル24L、24Rが設けられている。ステップフロア19の左コーナー部にはクラッチペダル20が設けられている構成である。
【0028】
また、主変速レバー26はシート17の左前方部にあり、低速、中速、高速及び中立のいずれかの位置を選択できる副変速レバー27はその後方にあり、さらにその右側にPTO変速レバー28を設けている。さらに、シート17の右側には作業機21(ロータリ等)の高さを設定するポジションレバー29と圃場の耕耘深さを自動的に設定する自動耕深レバー30、これらのレバーの後に作業機21の右上げスイッチ31と右下げスイッチ32が配置され、さらにその後に作業機21の自動水平スイッチ33とバックアップスイッチ34が配置されている。バックアップスイッチ34は、機体が後進時において、作業機21を自動的に上昇させるものである。作業機21は、機体の後方にリンク22で連結されている構成である。トラクターは作業機21を駆動させて機体を走行させることで、圃場内の耕耘等の作業を行なうものである。21aは作業機21を昇降する油圧シリンダーである。
【0029】
図5はエンジンのシリンダー5内への吸気と排気の模式図であり、4サイクルのディーゼルエンジンの実施例である。過給器TBの吸気タービン36により過給された空気は、エアクリーナー35から吸気タービン36、インタークーラー37を通過して吸気マニホールド38からシリンダー5内へ送られる構成である。39は吸気バルブであり、40はピストンである。48はカムでありロッカーアーム49を介して吸排気バルブ39、41を開閉させるものである。
【0030】
シリンダー5内で燃焼した排ガスは、排気バルブ41から排気マニホールド42を通過した後、過給器TBの排気タービン45で過給器TBを駆動して排出される構成である。
このディーゼルエンジンは、排気ガスの一部を吸気側に混入させるためのEGR(排気再循環装置)回路44を有している。EGR回路で排気ガスの一部を吸気側に混入させることで酸素量(O2)を減らして、窒素酸化物Noxの発生を低減させるように構成している。ただし、EGR率が上昇しすぎると、逆に酸素量が少なくなって不完全燃焼になるので、燃焼状態によりEGR率を調節する必要がある。この調節は、EGRバルブ43にて行う。EGR回路44は、後述する後処理装置46下流側の排気管55と過給器TBの吸気タービン36上流側の吸入管56との間を接続している。また、EGR回路44の途中にはEGRクーラ57を設ける構成としている。このEGRバルブ43の開閉具合でシリンダー5内への排気ガスの還元量が変化する。
【0031】
排気タービン45を通過後の排気ガスは、後処理装置46を通過してマフラー50から大気中に排出される。後処理装置46は、酸化触媒(DOC)46aとディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)46bとから構成されている。
【0032】
酸化触媒(DOC)は不燃物室を燃焼させるものであり、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)は粒状化物室(PM)を捕集するためのものである。前記EGRバルブ43と絞り弁47については、ECU100により制御される構成である。後処理装置46はディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)46bのみで構成してもよい、酸化触媒(DOC)46aを設けると不燃物質が燃焼するので、よりクリーンな排気ガスとなる。
【0033】
DPF46bは、排気ガスの温度が低い状態(低負荷)が長時間続くと、PMが溜まってきて能力の低下が懸念される。そこで、後処理装置46の下手側に絞り弁47を設け、この絞り弁47を絞るとDPF46b内の圧力が高く保持されるので温度も高くなる。これにより、高い温度の影響により、DPF46bの再生が可能となる。即ち、高い温度の排気ガスがDPF46bを通過すると、DPF46b内に存在しているPMが焼き飛ばされることでDPF46bが再生される。
【0034】
DPF46bを再生させるためのDPF再生運転としては、EGRバルブ43と絞り弁47の両方を絞る。そして、燃料噴射タイミングのリタード(遅角)と合わせてDPF46b内のガス温度を上昇させ、DPF46bが再生に入るようにする。これにより、燃料のアフター噴射(排気ガス温度を上昇させるため)が不要となったり、アフター噴射の回数を減らすことができるようになるので、燃料消費量を抑制できて環境にもよい。
【0035】
このようなDPF再生運転を行うための条件としては、後処理装置46の上手側に圧力センサ52を設けておいて、この圧力センサ52の値が所定値以上になるとDPF46b内にPMが蓄積して抵抗となっている状態なので、DPF再生運転を行うようにする。
【0036】
また、DPF再生運転に入った状態が長時間続くと、過熱状態となってしまいDPF46bが損傷してしまう。そこで、後処理装置46の下手側に温度センサ53を設け、この温度センサ53の値が所定値を超えるとDPF再生運転を止めて通常運転に戻るようにする。
【0037】
通常の運転は、EGRバルブ43と絞り弁47を同時に制御してEGR量を適宜コントロールするようにする。特に、絞り弁47を有することで、DPF46b内のガス温度を高く保持することができるようになる。
【0038】
前述のような構成としたことで、吸気スロットルが不要となる。即ち、過給器付き機関では吸気側圧力が高いので、EGRガス量を確保するために排気絞り弁または吸気スロットルを設け、EGRバルブと連動した制御が必要となるが、このようなシステムが不要となる。
【0039】
また、DPF46b下流の排気ガスを取り出すために、過給器TBの汚れに伴う性能劣化を生じることを防止できるようになる。そして、EGRガスはEGRクーラ57で冷却されるため、NOx低減に対して効果が大きくなる。
【0040】
前述したように、DPFの再生運転を行なうDPF強制再生モードにおいては、排気絞り弁47を絞り、ON−OFF制御によってEGRバルブ43を全閉とするように構成する。したがって、排気ガスの還元が行なわれないのでNOが増加し、このNOが酸化触媒(DOC)46aによってNO2に転換され、DPF46bの再生が促進されるようになる。
【0041】
また、DPF46bの強制再生中において、エンジン回転がローアイドルに移行した場合は、前記EGRバルブ43を全開とする。DPF46bの下流側には温度センサ53を設けているので、この温度センサ53による検出値が所定値以上に上昇したことも条件に加えるようにしてもよい。
【0042】
前述のように構成している後処理装置46において、トラクターのどこに搭載するかが問題となる。そこで、図6に示すような配置とする。具体的にはボンネット62で覆っているエンジンルーム61内に搭載しているエンジンEの上方に配置する構成とする。この場合、後処理装置46は前下がり状態で搭載する構成とする。これに合わせて、ボンネット62についても前下がりの形状とする。これにより、シート17に着座している運転者からの目線Sによりトラクター前方の視界が確保できて、良好な作業が可能となる。
【0043】
図6はエンジンルーム61内の側面を示している。63はラジエータ、64は冷却ファン、65はエアクリーナを示している。69はエアコン用のコンプレッサーである。前述したDPF46bはディーゼルエンジンE上方に横向きに配置する構成としている。
【0044】
DPF46bは、その性質上高熱状態となるので、エンジンルーム61内が高温状態となってしまい、機器類に悪影響を及ぼす可能性がある。そこで、冷却ファンからの風をDPF46bに当てて、その風を機外へと排気することが望まれる。
【0045】
そこで、図6及び図7に示すように、冷却ファン64からの風を案内する仕切板66を、DPF46bの下方から下手側の上方にかけて設ける構成とする。そして、図8に示すように、前記仕切板66から案内されてくる風を機外に排出するための排出口67を、ボンネット62に設ける構成とする。これにより、エンジンルーム61内の雰囲気温度の温度上昇を抑制することが可能となる。
【0046】
前記DPF46bについては、冷却し過ぎるとその性能が低下してしまうが、冷却ファン64からの冷却風は、ラジエータ63を通過後の風であるために、冷却風そのものの温度は比較的高いので問題はない。また、温度の高い空気が停滞すると、逆にエンジンルーム61内の雰囲気温度は上昇してしまうが、温度が高くても流れがあると雰囲気温度の上昇は抑制されるので問題はない。また、エンジンルーム内の温度上昇を抑制可能となることで、エンジンの付属品やエンジンルーム内の機器類や電装品への熱害を防止できるようになる。発電機などは、温度が上昇すると発電量が低下してしまうが、このような不具合も防止できるようになる。
【0047】
次に図9について説明する。
前述した仕切板66の前方に斜熱板68を連結して設ける構成とする。そして、エアコン用のコンプレッサー69にファン70を設ける構成とする。図6の側面図に示しているように、冷却ファン64自体は側面視においてDFP46bとオーバーラップしていないので、冷却ファン64により起風された一部の風のみがDPF46b方向に向かう構成である。このため、DPF46bの温度上昇抑制機能は低いものとなっている。
【0048】
そこで、前述したように、エアコン用コンプレッサー69の駆動用プーリにファン70を設け、このファン70で起風された風をDPF46b方向に向かわせる構成とする。ファン70で起風された風は、斜熱板68により案内されてDPF46bに向かうようになる。
【0049】
このように、エンジンEとDPF46bとの間に斜熱板を設けることで、エンジンEがDPF46bからの熱を受けることを抑制可能となる。そして、DPF46bの熱を積極的にボンネット62の排出口67から排熱することで、エンジンルーム内の温度上昇を抑えることが可能となり、エンジンルーム内の電装品等を保護可能となる。また、エアコン用コンプレッサー69を駆動するプーリを利用してファン70を設けることで、構成部品が少なく構成可能となる。
【0050】
また、過給器TBのコンプレッサーハウジング82をDPF46bと反対方向の下向きに向けて配置することで、過給器TBとDFP46bとの間に隙間L1を開けることが可能となり、これによりDPF46bからの熱害を防止できるようになる。
【0051】
次に、図10について説明する。
エンジンEの上方にDPF46bを配置するにあたり、機体進行方向に対して横置き構成とし、DPF46bは覆い板71に設けるマウントゴム72で支持する構成としている。ボンネット62上には、吸気口74と排気口75を設けていいて、エンジンルーム内の吸気口74の近傍には、DPFファン73を設ける構成とする。64はエンジンEとラジエータ63を冷却する冷却ファンである。
【0052】
これにより、DPF46bの熱を効率よく機外へ排出可能になり、また、エンジンEやラジエータ63の冷却効率を低下させることを防止できるようになる。
図11は、エンジンEの上方にDOC46aとDPF46bを搭載する場所について示している。過給器TBをエンジンEの前方に配置し、過給器TBの下流側であって後方にDOC46aを配置し、該DOC46aの下流側であってボンネットの後方(運転席側)にDPF46bを横置き状態で配置する構成とする。これにより、狭いエンジンルーム内に効率的に配置可能となる。
【0053】
また、図11の構成でDOC46aを設けない仕様については、図12に示すように、DPF46bのケーシング76に設けているパイプ76aに対して、直接過給器TBを接続して設ける構成とする。パイプ76aには多数の穴が開いており、排気ガスが均一化するようにしている。これにより、過給器TBとDFP46bとの間の連結管等が不要となる。また、排気ガス温度の低下を招くことなく排気ガスはDPF46b内に入っていくようになる。そして、DPF46bを横向きで配置し、過給器TBをエンジン前後方向に配置する構成としたので、コンパクトな構成となる。
【0054】
図13(a)に示す矢印は、エンジンEからの排気ガスの経路を示している。途中、後輪13を覆うフェンダー77内を通過するが、このフェンダー77の断面を図13(b)に示している。即ち、フェンダー77内には、DOC46aとDPF46bを設けており、形状としては楕円形状を構成している。これにより、DOC46aとDPF46bの搭載が容易となる。また、DOC46aとDPF46bを、キャビン14のフロント部14aとエンジンEとの間に配置するようにしてもよい。図14に示すように、フェンダーを上下2段の上側フェンダー77aと下側フェンダー77bに構成し、この上下2段のフェンダー77aと77bとの間にDFP46bを配置するように構成してもよい。
【0055】
図15は水平線Hに対して傾斜角度θ傾けてDPF46bを設ける構成とする。そして、DPF46bの一側にドレンパイプ78とドレンバルブ79を設ける構成とする。これにより、DPF46b内に水が溜っても、水はDPF担体等には飛散しないのでDPF46bの劣化防止となる。また、ドレンパイプ78とドレンバルブ79を設けているので、水抜きが容易となる。
【0056】
図16の(a),(b),(c)に示すように、DFP46bをキャビン14の後方に設ける構成とする。このため、エンジンEからDPF46bまでの排気管80は、キャビン14とミッションケース81との間を通過させて配管する構成とする。これにより、車両の地上高を確保可能となる。そして、雨水や泥水が排気管80にかからなくなるので、DFP46bに入る前の排気ガス温度の低下を防止できるようになるとともに、作物に対しても排気管80の高熱をさらすのを防止できるようになる。
【0057】
図17はDPF46bを前後方向に配置する場合の例を示している。83は発電機であるが、発電機83の特性として熱を持つと発電量が低下してしまうという問題がある。特に、エンジンルーム内にDPF46bを配置する場合には、DPF46bからの輻射熱により発電機83が悪影響を受けてしまう。そこで、エンジンEに対してDPF46bの反対側に発電機83を配置することで、熱害の影響を防止できて、適正な発電量を確保することが可能となる。
【0058】
次に、図18について説明する。
エンジンEの上部において、車体の前後方向に対して直行する向きにDPF46bを配置する構成とする。そして、DPF46b自体は断熱構造としているが、遮蔽板84で覆う構成とする。また、DPF46bの上部位置におけるボンネット62において、冷却風の出口となるスリット85を設ける構成とする。また、DPF46b後部の86は、冷却風を案内するガイドプレートである。
【0059】
これにより、冷却ファン64からの冷却風が直接DPF46bに当たらないので、DPF46b内部の温度を高温に維持でき、再生時において捕集している粒状化物質(PM)の燃焼が促進されるようになる。また、DPF46bを通過の冷却風は遮蔽板84の外側を流れ、ガイドプレート86に案内されてボンネット62のスリット85から機外へと排出されるので、特にDPF46bが熱くなるときの再生時に、周囲に及ぼす熱害を防止できるようになる。
【0060】
また、87はシャッターであるが、前記スリット85の出口部分に設けている温度センサー88が所定値を越えると、図18(b)に示すように、シャッター87を開状態とする。これにより、DPF46bの周辺に対流が起こり、DPF46bの熱害を防止できるようになる。前記温度センサー88については、DPF46b内に設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
トラクターやコンバイン等の農作業機を始め一般車両にも利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
5 ディーゼルエンジンのシリンダー
46b ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)
62 ボンネット
63 ラジエータ
64 冷却ファン
66 仕切板
67 排出口
68 斜熱板
E ディーゼルエンジン
PM 粒状化物質
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジン(E)のシリンダー(5)から排出される排気ガス中の粒状化物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設けるディーゼルエンジン(E)を搭載した作業車両において、ディーゼルエンジン(E)を搭載するエンジンルーム内であって、ラジエータ(63)及びディーゼルエンジン(E)に冷却風を送風する冷却ファン(64)からの冷却風の一部が通過する場所にディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設ける構成とし、該ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)の下側から冷却風送風方向下手側にかけて仕切板(66)を設け、エンジンルームを覆うボンネット(62)に排出口(67)を設け、該排出口(67)からDPF(46b)を通過後の冷却風を機外へ放出するように構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記仕切板(66)の冷却風送風方向上手側に、斜熱板(68)を連結して設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項1】
ディーゼルエンジン(E)のシリンダー(5)から排出される排気ガス中の粒状化物質(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設けるディーゼルエンジン(E)を搭載した作業車両において、ディーゼルエンジン(E)を搭載するエンジンルーム内であって、ラジエータ(63)及びディーゼルエンジン(E)に冷却風を送風する冷却ファン(64)からの冷却風の一部が通過する場所にディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)を設ける構成とし、該ディーゼルパティキュレートフィルタ(46b)の下側から冷却風送風方向下手側にかけて仕切板(66)を設け、エンジンルームを覆うボンネット(62)に排出口(67)を設け、該排出口(67)からDPF(46b)を通過後の冷却風を機外へ放出するように構成したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
前記仕切板(66)の冷却風送風方向上手側に、斜熱板(68)を連結して設けたことを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−126488(P2011−126488A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289242(P2009−289242)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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