作業車両
【課題】本発明の課題は、車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる作業車両を提供することにある。
【解決手段】作業車両は、車体2と、複数の車輪6,32と、左右一対の第1電気モータ7と、左右一対の第2電気モータ33とを備える。車輪6,32は、車体2を支持し、四輪以上である。第1電気モータ7は、車輪6を駆動する。第2電気モータ33は、車輪32を駆動する。第1電気モータ7と第2電気モータ33との少なくとも一方は、車輪6,32内に配置される。第1電気モータ7のゼロから所定の出力回転数までの回転域での出力トルクは、第2電気モータ33の前記回転域での出力トルクよりも大きい。第2電気モータ33は、第1電気モータ7よりも高回転まで駆動可能である。
【解決手段】作業車両は、車体2と、複数の車輪6,32と、左右一対の第1電気モータ7と、左右一対の第2電気モータ33とを備える。車輪6,32は、車体2を支持し、四輪以上である。第1電気モータ7は、車輪6を駆動する。第2電気モータ33は、車輪32を駆動する。第1電気モータ7と第2電気モータ33との少なくとも一方は、車輪6,32内に配置される。第1電気モータ7のゼロから所定の出力回転数までの回転域での出力トルクは、第2電気モータ33の前記回転域での出力トルクよりも大きい。第2電気モータ33は、第1電気モータ7よりも高回転まで駆動可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両は、車体とエンジンと動力伝達機構と四輪以上の複数の車輪とを備えている。エンジンで発生した駆動力は、動力伝達機構を介して車輪に伝達される。これにより、車輪が回転駆動され、作業車両が走行する。動力伝達機構は、例えばトランスミッション、ドライブシャフト、デファレンシャルギアなどを有しており、車体内に配置される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−312393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような動力伝達機構は、車体において大きな設置スペースを占めるため、車体内のスペースを狭めてしまう。このため、動力伝達機構は、車両が大型化する要因となる。例えば、特許文献1に開示されている車両では、デファレンシャルギアが車両下部に配置されている。このため、車両下部の地上高を大きく確保するためには、車高を高くするか、或いは、車高を高くせずに車体内のスペースを狭める必要がある。
【0005】
一方、作業車両は、不整地や急斜面を走行することがあるため、低速走行時に高トルクを出力できることが求められる。また、作業車両は、高速で走行することも求められる。従って、作業車両は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能であると共に、高トルクでの低速走行が可能であることが求められる。
【0006】
本発明の課題は、車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる作業車両を提供することにある。また、本発明の他の課題は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能であると共に、高トルクでの低速走行が可能である作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業車両は、車体と、複数の車輪と、左右一対の第1電気モータと、左右一対の第2電気モータとを備える。車輪は、車体を支持し、四輪以上である。第1電気モータは、車輪を駆動する。第2電気モータは、車輪を駆動する。第1電気モータと第2電気モータとの少なくとも一方は、車輪内に配置される。第1電気モータのゼロから所定の出力回転数までの回転域での出力トルクは、第2電気モータの前記回転域での出力トルクよりも大きい。第2電気モータは、第1電気モータよりも高回転まで駆動可能である。
【0008】
本発明の第2の態様に係る作業車両は、第1の態様の作業車両であって、複数の車輪は、左右一対の第1車輪と左右一対の第2車輪とを有する。第1電気モータは、第1車輪内にそれぞれ配置され、第1車輪をそれぞれ駆動する。第2電気モータは、第2車輪内にそれぞれ配置され、第2車輪をそれぞれ駆動する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る作業車両は、第2の態様の作業車両であって、第1車輪は、第2車輪よりも前方に配置される。
【0010】
本発明の第4の態様に係る作業車両は、第2の態様の作業車両であって、第1車輪は、第2車輪よりも後方に配置される。
【0011】
本発明の第5の態様に係る作業車両は、第1の態様の作業車両であって、第1電気モータと第2電気モータとは、1つの共通の車輪を駆動する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る作業車両は、第5の態様の作業車両であって、第1電気モータと第2電気モータとの一方は車輪内に配置され、他方は車輪外に配置される。
【0013】
本発明の第7の態様に係る作業車両は、第6の態様の作業車両であって、第1電気モータの外径は、第2電気モータの外径よりも大きい。第1電気モータは車輪外に配置される。第2電気モータは車輪内に配置される。
【0014】
本発明の第8の態様に係る作業車両は、第1から第7の態様のいずれかの作業車両であって、第1電気モータ又は第2電気モータは、ロータとステータとを有する。ロータは、車輪に連結される。ステータは、コイルを有し、ロータの軸線方向に移動可能に設けられる。
【0015】
本発明の第9の態様に係る作業車両は、第1から第8の態様のいずれかの作業車両であって、第1電気モータと第2電気モータとを制御する制御部をさらに備える。制御部は、車速が所定の切換車速以下のときには、第1電気モータを駆動する。制御部は、車速が切換車速より高いときには、第1電気モータへの電気的な接続を遮断すると共に、第2電気モータを駆動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様に係る作業車両では、左右一対の第1電気モータと左右一対の第2電気モータとによって車輪が駆動される。また、左右一対の第1電気モータと左右一対の第2電気モータとの少なくとも一方は車輪内に配置される。従って、デファレンシャルギアなどの動力伝達機構が車体内に配置されない。また、第1電気モータと第2電気モータとの少なくとも一方も車体内に配置されない。このため、車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる。また、第1モータの低回転域での出力トルクは、第2電気モータの低回転域での出力トルクよりも大きい。このため、低速走行時には第1電気モータによって高トルクでの走行が可能である。また、第2電気モータは、第1電気モータよりも高回転まで駆動可能である。このため、第2電気モータによって高速走行が可能である。これにより、作業車両は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能である。
【0017】
本発明の第2の態様に係る作業車両では、第1電気モータと第2電気モータとがそれぞれ互いに異なる車輪を駆動する。また、第1電気モータは第1車輪内に配置され、第2電気モータは第2車輪内に配置される。このため、車体内のスペースをさらに拡大することができる。
【0018】
本発明の第3の態様に係る作業車両では、第1車輪は、第2車輪よりも前方に配置される。すなわち、第1電気モータは、第2車輪よりも前方に配置される第1車輪を駆動する。従って、例えば、作業車両が悪路で段差を乗り上げるときのように、前方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
【0019】
本発明の第4の態様に係る作業車両では、第1車輪は、第2車輪よりも後方に配置される。すなわち、第1電気モータは、第2車輪よりも後方に配置される第1車輪を駆動する。従って、例えば作業車両が急斜面を登るときのように、後方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
【0020】
本発明の第5の態様に係る作業車両では、第1電気モータと第2電気モータとは、1つの共通の車輪を駆動する。このため、各車輪が高速走行と低速走行との両方に適切に対応することができる。これにより、作業車両の走行性能を向上させることができる。
【0021】
本発明の第6の態様に係る作業車両では、第1電気モータと第2電気モータとの一方は車輪内に配置され、他方は車輪外に配置される。これにより、第1電気モータと第2電気モータとの両方が車輪内に配置される場合と比べて、車輪が大型化することを抑えることができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る作業車両では、外径の大きな第1電気モータが車輪外に配置され、外径の小さな第2電気モータが車輪内に配置される。このため、車輪の大型化をさらに抑えることができる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る作業車両では、ステータをロータの軸線方向に移動させることにより、ロータに対するコイルの相対位置を変化させることができる。従って、第1電気モータ又は第2電気モータのトルク特性を変化させることができる。これにより、走行状態に適した効率で第1電気モータ又は第2電気モータを駆動することができる。
【0024】
本発明の第9の態様に係る作業車両では、車速が所定の切換車速以下のときには、第1電気モータが駆動される。これにより、高トルクでの低速走行が可能である。また、車速が切換車速より高いときには、第1電気モータへの電気的な接続が遮断されると共に第2電気モータが駆動される。これにより、高速走行が可能である。また、高速走行時に第1電気モータの電圧を制御するためのインバータに過剰に高い電圧が印加されることが防止されるので、インバータの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態にかかる作業車両の斜視図。
【図2】作業車両の平面図。
【図3】車輪組立体の断面図。
【図4】第1電気モータと第2電気モータとの回転数−出力トルク特性を示す図。
【図5】作業車両の制御部及びバッテリーを示すブロック図。
【図6】作業車両の車速−出力トルク特性を示す図。
【図7】第2実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図8】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図9】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図10】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図11】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図12】他の実施形態に係る作業車両の制御部及びバッテリーを示すブロック図。
【図13】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図14】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図15】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図16】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図17】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る作業車両を図1及び図2に示す。図1は作業車両1の斜視図である。図2は作業車両1の平面図である。この作業車両1は、装甲車であり、車体2と複数の車輪組立体3,4とを備える。車体2は、図示しない車体フレームと鋼板とによって構成されている。作業車両1は、左右一対の第1車輪組立体3と、左右一対の第2車輪組立体4とを備える。すなわち、本実施形態では、左右一対の車輪組立体の組が2つ設けられている。従って、作業車両1は4輪の車輪を有している。第1車輪組立体3は、第2車輪組立体4よりも前方に配置されている。
【0027】
左右の第1車輪組立体3はそれぞれ同じ構造を有しており、左右対称に配置されている。従って、一方の第1車輪組立体3の構造についてのみ説明するが、他方の第1車輪組立体3も同じ構造である。図3に示すように、第1車輪組立体3は、第1タイヤ5と第1車輪6と第1電気モータ7と第1ブレーキ装置8と第1減速機9とを有する。第1タイヤ5は例えばゴム製であり、第1車輪6の外周部に取り付けられている。第1車輪6は、円筒状の本体部11を有している。本体部11は、第1電気モータ7と第1減速機9とが配置される内部空間を有している。本体部11の車幅方向における内方の側面は開口している。なお、本実施形態において、車幅方向における内方とは、車幅方向において車体の中心に向かう方向を意味しており、図3における左方に相当する。また、車幅方向における外方とは、車幅方向において車体の中心から離れる方向を意味しており、図3における右方に相当する。
【0028】
第1電気モータ7は、第1車輪6を駆動する。第1電気モータ7は、第1車輪6内に配置されている。第1電気モータ7は、モータハウジング12と、第1ステータ13と、第1ロータ14と、支持体15と、第1回転軸16とを有する。
【0029】
モータハウジング12は、概ね円筒状の形状を有する。モータハウジング12は、第1ロータ14と第1ステータ13とが配置される内部空間を有している。モータハウジング12の車幅方向における内方の側面は開口している。モータハウジング12の車幅方向における外方の側面には、軸線方向に貫通する孔が形成されている。
【0030】
第1ステータ13は、モータハウジング12の内部空間に配置されている。第1ステータ13は概ね円筒状の形状を有する。第1ステータ13は、モータハウジング12の内周面に固定されている。第1ステータ13は、軸方向に貫通する孔を有している。第1ステータ13の内周面には第1コイル17が設けられている。
【0031】
第1ロータ14は、第1ステータ13に対して回転可能に設けられている。第1ロータ14は概ね円筒状の形状を有する。第1ロータ14の外周面には永久磁石が設けられている。第1ロータ14は、第1ステータ13の孔内に配置されている。すなわち、第1電気モータ7は、いわゆるインナーロータ式のモータである。第1ロータ14は軸線方向に貫通する孔を有している。第1ロータ14は、第1減速機9を介して第1車輪6に接続されており、第1ロータ14の回転が第1減速機9を介して第1車輪6に伝達される。
【0032】
支持体15は、第1回転軸16及び第1ロータ14を回転可能に支持する。支持体15は、軸線方向に貫通する孔を有している。支持体15の内周面は、軸受18を介して第1回転軸16を回転可能に支持している。支持体15は、円筒部15aとフランジ部15bとを有する。円筒部15aは、第1ロータ14の孔内に配置されている。円筒部15aの外周面は軸受19を介して第1ロータ14を回転可能に支持している。フランジ部15bは、モータハウジング12に固定されている。フランジ部15bとモータハウジング12とは、後述するブレーキハウジング22を介して車体2に固定されている。
【0033】
第1回転軸16は、支持体15の孔内に配置されている。第1回転軸16の一端は、モータハウジング12の孔から車幅方向における外方に突出しており、第1車輪6の本体部11に固定されている。また、第1回転軸16の他端には、回転体21が固定されている。回転体21は円筒状の形状を有している。回転体21の車幅方向における内方の側面は開口している。
【0034】
第1ブレーキ装置8は、ブレーキハウジング22とブレーキ体23とを有する。ブレーキハウジング22は車体2に固定されている。また、ブレーキハウジング22は、支持体15のフランジ部15bとモータハウジング12とに固定されている。ブレーキハウジング22は、ブレーキ体23が配置される内部空間を有している。ブレーキ体23は、ブレーキハウジング22の内部空間に配置されている。ブレーキ体23は、ブレーキハウジング22に固定されている。ブレーキ体23の一部は、上述した回転体21の内部に配置されている。ブレーキ体23は、回転体21の内周面に接触することにより、第1回転軸16を制動する。これにより、第1ブレーキ装置8は第1車輪6を制動する。
【0035】
第1減速機9は、第1回転軸16の車幅方向における外方の端部の外周側に配置されている。第1減速機9は、第1ロータ14と第1車輪6との間に配置されている。第1減速機9は、複数のギアを有しており、第1ロータ14の回転を減速して第1車輪6に伝達する。
【0036】
次に、第2車輪組立体4について説明する。図2に示すように、第2車輪組立体4は、第2タイヤ31と第2車輪32と第2電気モータ33と第2減速機(図示せず)と第2ブレーキ装置34とを有する。第2タイヤ31と第2減速機と第2ブレーキ装置34とは、それぞれ上述した第1車輪組立体3の第1タイヤ5と第1減速機9と第1ブレーキ装置8と同じ構造であるため、説明を省略する。
【0037】
第2車輪32は、第1車輪6よりも後方に配置されている。言い換えれば、第1車輪6は、第2車輪32よりも前方に配置されている。第2車輪32は第1車輪6と同様の構造を有している。
【0038】
第2電気モータ33は、第2車輪32を駆動する。第2電気モータ33は、第2車輪32内に配置されている。第2電気モータ33は、ロータ及びステータの外径が第1電気モータ7の第1ロータ13及び第1ステータ14の外径よりも小さいことを除いて、第1電気モータ7と同様の構造を有している。従って、第2電気モータ33のステータのコイルは、第1電気モータ7の第1ロータ13の第1コイル17よりも小さな外径を有している。このため、第2電気モータ33の出力トルクは第1電気モータ7の出力トルクよりも小さい。
【0039】
図4において実線L1は、第1電気モータ7の出力回転数と出力トルクとの関係を示している。また、破線L2は、第2電気モータ33の出力回転数と出力トルクとの関係を示している。第1電気モータ7のゼロから所定の出力回転数N1までの低回転域での出力トルクは、第2電気モータ33の低回転域での出力トルクよりも大きい。第2電気モータ33の出力回転数N1以上の高回転域での出力トルクは、第1電気モータ7の高回転域での出力トルクよりも大きい。また、第2電気モータ33の最大駆動回転数Nm2は、第1電気モータ7の最大駆動回転数Nm1よりも大きい。すなわち、第2電気モータ33は、第1電気モータ7よりも高回転まで駆動可能である。
【0040】
また、図5に示すように、作業車両1は、制御部41とバッテリー42とを有する。制御部41は、第1電気モータ7と第2電気モータ33とを制御する。具体的には、制御部41は、車速検知部43と第1インバータ44とスイッチ部45と第2インバータ46とを有する。車速検知部43は、第1電気モータ7の出力回転数を検知することにより、車速を検知する。第1インバータ44は、第1電気モータ7に供給される電圧を制御する。スイッチ部45は、電気回路上において第1電気モータ7と第1インバータ44との間に配置されている。スイッチ部45は、第1インバータ44からの指令信号に基づいて、第1インバータ44と第1電気モータ7との間の電気的な接続と遮断とを切り換える。第2インバータ46は、第2電気モータ33に供給される電圧を制御する。第2インバータ46及び第2電気モータ33は、第1インバータ44とスイッチ部45と第1電気モータ7とに対して並列に設けられている。バッテリー42は、車体2に収容されている。バッテリー42は、第1電気モータ7と第2電気モータ33とに電力を供給する。
【0041】
第1インバータ44は、車速が所定の切換車速V1(図6参照)以下のときには、第1電気モータ7を駆動する。また、第1インバータ44は、車速が切換車速V1より高いときには、第1電気モータ7への電気的な接続を遮断するように、スイッチ部45へ指令信号を送る。第2インバータ46は、車速に関わらず、第2電気モータ33を駆動する。なお、切換車速V1は、図4に示す第1電気モータ7の出力トルクと、第2電気モータ33の出力トルクとが一致する回転数、すなわち図4に示す出力回転数N1に対応した車速である。これにより、作業車両1全体としてみると、図6に示すような車速−出力トルク特性が得られる。この車速−出力トルク特性では、低速高トルクの走行と高速低トルクの走行との両方が可能となる。
【0042】
第1実施形態に係る作業車両1は、次のような特徴を有する。
【0043】
第1電気モータ7が第1車輪6内に配置される。また、第2電気モータ33が第2車輪32内に配置される。このため、車体2を大型化させずに車体2内のスペースを拡大することができる。
【0044】
車速が切換車速V1以下のときには、第1電気モータ7が駆動される。このため、高トルクでの低速走行が可能である。また、車速が切換車速V1より高いときには、第2電気モータ33のみが駆動されることによって作業車両1が走行する。このため、高速走行が可能である。これにより、作業車両1は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能である。また、車速が切換車速V1より高いときには、スイッチ部45によって第1インバータ44と第1モータとの間の電気的な接続が遮断される。これにより、第1電気モータ7の第1インバータ44に過剰に高い電圧が印加されることが防止されるので、第1インバータ44の劣化を抑えることができる。
【0045】
第1車輪6は、第2車輪32よりも前方にそれぞれ配置される。すなわち、低速高トルクの第1電気モータ7は前輪を駆動する。また、高速低トルクの第2電気モータ33は後輪を駆動する。従って、例えば、作業車両1が悪路で段差を乗り上げるときのように、前方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態に係る作業車両が備える車輪組立体50を模式的に示している。第2実施形態に係る作業車両は、全ての車輪が図7に示すような車輪組立体50によって構成されている。この車輪組立体50は、タイヤ51と車輪52と第1電気モータ53と第2電気モータ54とブレーキ装置55とを有する。
【0046】
タイヤ51は例えばゴム製であり、車輪52の外周部に取り付けられている。車輪52は、円筒状の本体部56を有している。本体部56は、第2電気モータ54が配置される内部空間を有している。本体部56の車幅方向における内方の側面は開口している。
【0047】
第1電気モータ53は、第1実施形態の第1電気モータ7と同様に、図4の実線L1で示すような、回転数−出力トルク特性を有している。また、第2電気モータ54は、第1実施形態の第2電気モータ33と同様に、図4の破線L2で示すような、回転数−出力トルク特性を有している。第1電気モータ53と第2電気モータ54とは、1つの共通の車輪52を駆動する。第1電気モータ53と第2電気モータ54とは車幅方向に並んで配置されている。第1電気モータ53は、第2電気モータ54に対して車幅方向における内方に位置している。第1電気モータ53の外径は、第2電気モータ54の外径よりも大きい。第1電気モータ53は車輪52外に配置されている。第2電気モータ54は、車輪52内に配置されている。
【0048】
第1電気モータ53は第1ステータ57を有する。第2電気モータ54は第2ステータ58を有する。第1ステータ57と第2ステータ58とは軸線方向に並んで配置されており、一体化されている。第1ステータ57と第2ステータ58とは図示しない取付部材を介して車体2に固定されている。第1ステータ57の内周面には、第1コイル61が設けられている。第2ステータ58の内周面には、第2コイル62が設けられている。第1ステータ57の外径は第2ステータ58の外径よりも大きい。また、第1コイル61の外径は第2コイル62の外径よりも大きい。また、第1電気モータ53は第1ロータ63を有する。第2電気モータ54は第2ロータ64を有する。第1ロータ63と第2ロータ64とは、軸線方向に並んで配置されており、一体化されている。第1ロータ63は、第1ステータ57の孔内に配置されている。第2ロータ64は、第2ステータ58の孔内に配置されている。すなわち、第1電気モータ53及び第2電気モータ54は、共に、インナーロータ方式の構造を有する。第1ロータ63及び第2ロータ64は、第1ステータ57及び第2ステータ58に対して回転可能に支持されている。また、第2ロータ64は、車輪52に固定されている。ブレーキ装置55は、車輪52に接触することにより、車輪52を制動する。
【0049】
また、第2実施形態に係る作業車両1は、第1実施形態に係る作業車両1と同様に、図5に示す制御部41とバッテリー42とを有している。従って、車速が切換車速V1以下の低速域であるときには、第1電気モータ53が駆動される。このため、高トルクでの低速走行が可能である。また、車速が切換車速V1より高い高速域であるときには、第1電気モータ53への電気的な接続が遮断されると共に第2電気モータ54が駆動される。これにより、低速から高速までの広範囲での走行が可能となる。第2実施形態に係る作業車両の他の構成は、第1実施形態に係る作業車両1の構成と同様であり、説明を省略する。
【0050】
第2実施形態に係る作業車両では、第1電気モータ53と第2電気モータ54とは、1つの共通の車輪52を駆動する。このため、各車輪52が高速走行と低速走行との両方に適切に対応することができる。これにより、作業車両の走行性能を向上させることができる。
【0051】
また、外径の小さい第2電気モータ54は車輪52内に配置されるが、外径の大きい第1電気モータ53は車輪52外に配置される。これにより、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方が車輪52内に配置される場合と比べて、車輪52が大型化することを抑えることができる。
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
本発明は、上述した装甲車に限らず他の種類の作業車両に適用されてもよい。例えば、本発明は、パワーショベルやホイールローダなどの建設機械に適用されてもよい。或いは、本発明は、林業機械や農業機械に適用されてもよい。
【0053】
第1実施形態では、前輪が低速高トルクの第1電気モータ7で駆動され、後輪が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動されている。しかし、図8に示すように、第1車輪6が第2車輪32よりも後方に配置されてもよい。すなわち、後輪が低速高トルクの第1電気モータ7で駆動され、前輪が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動されてもよい。この場合、作業車両1が急斜面を登るときのように、後方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
【0054】
作業車両1が備える車輪は、第1実施形態のように4輪に限らず、それ以上の車輪を備えてもよい。例えば、図9及び図10に示すように、作業車両1が6輪の車輪6,32を備えてもよい。この場合、図9に示すように、前方から2番目までの車輪32が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動され、最も後方の車輪6が低速高トルクの第1電気モータ7によって駆動されてもよい。或いは、図10に示すように、最も前方の車輪32が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動され、前方から2番目より後方の車輪6が低速高トルクの第1電気モータ7によって駆動されてもよい。さらに、図11に示すように、作業車両が8輪の車輪6,32を備えてもよい。
【0055】
第1実施形態では、第1電気モータ7に対してのみスイッチ部45が設けられている。しかし、第1電気モータ7と第2電気モータ33との両方に対してスイッチ部が設けられてもよい。例えば、図12に示すように、制御部41は、第2スイッチ部47と第2車速検知部48とをさらに有してもよい。第2スイッチ部47は、第2インバータ46からの指令信号により、第2インバータ46と第2電気モータ33との間の電気的な接続と遮断とを切り換える。第2車速検知部48は、第2電気モータ33の出力回転数から車速を検知する。車速が切換車速V1以下のときには、第1インバータ44は、第1電気モータ7との間を電気的に接続して、第1電気モータ7を駆動する。このとき、第2インバータ46は、第2電気モータ33との間の電気的な接続を遮断する。また、車速が切換車速V1より高いときには、第1インバータ44は、第1電気モータ7への電気的な接続を遮断する。このとき、第2インバータ46は、第2電気モータ33との間を電気的に接続して、第2電気モータ33を駆動する。
【0056】
上記の第2実施形態では、全ての車輪52が、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方を有する車輪組立体50によって構成されている。しかし、一部の車輪52のみが車輪組立体50によって構成されてもよい。例えば、操舵用の車輪には電気モータが設けられず、他の車輪が車輪組立体50によって構成されてもよい。この場合、全ての車輪が車輪組立体50によって構成される場合と比べて、操舵安定性を向上させることができる。
【0057】
上記の第2実施形態では、外径の大きな第1電気モータ53が車輪52外に配置され、外径の小さな第2電気モータ54が車輪52内に配置されている。しかし、図13に示すように、第1電気モータ53が車輪52内に配置され、第2電気モータ54が車輪52外に配置されてもよい。なお、図13において、第2実施形態の車輪組立体50と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。後述する図14から図17についても同様である。
【0058】
上記の第2実施形態では、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方がインナーロータ方式の構造を有している。しかし、第1電気モータ53と第2電気モータ54との一方がインナーロータ方式の構造を有し、他方がアウターロータ方式の構造を有してもよい。例えば、図14に示すように、第1電気モータ53がアウターロータ方式の構造を有しており、第2電気モータ54がインナーロータ方式の構造を有してもよい。具体的には、第1電気モータ53の第1ロータ63は、概ね円筒状の形状を有している、第1ロータ63は、第1電気モータ53の第1ステータ57が配置される内部空間を有しており、第1ロータ63の車幅方向における内方の側面は開口している。第1ステータ57は、外周面に第1コイル61を有しており、第1ロータ63の内部空間に配置される。
【0059】
また、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方がアウターロータ方式の構造を有してもよい。例えば、図15では、第1ロータ63は、概ね円筒状の形状を有しており、第1ステータ57が配置される内部空間を有している。第2ロータ64は、概ね円筒状の形状を有しており、第2ステータ58が配置される内部空間を有している。第1ステータ57の外周部には第1コイル61が設けられており、第1ステータ57は、第1ロータ63の内部空間に配置される。第2ステータ58の外周部には第2コイル62が設けられており、第2ステータ58は、第2ロータ64の内部空間に配置される。なお、図15では、第1電気モータ53が車輪52外に配置され、第2電気モータ54が車輪52内に配置されているが、図16に示すように、第2電気モータ54が車輪52外に配置され、第1電気モータ53が車輪52内に配置されてもよい。
【0060】
第1電気モータ53の第1ステータ57又は第2電気モータ54の第2ステータ58が軸線方向に移動可能に設けられてもよい。例えば、図17に示すように、第1電気モータ53が車輪52外に配置されている場合において、第1ステータ57が第1ロータ63の軸線方向に移動可能に設けられてもよい。このように、第1ステータ57を第1ロータ63の軸線方向に移動させることにより、第1ロータ63に対する第1コイル61の相対位置を変化させることができる。従って、第1電気モータ53のトルク特性を変化させることができる。これにより、走行状態に適した効率で第1電気モータ53を駆動することができる。或いは、第2ステータ58が第2ロータ64の軸線方向に移動可能に設けられてもよい。例えば、第2電気モータ54が車輪52外に配置されている場合において、第2ステータ58が第2ロータ64の軸線方向に移動可能に設けられてもよい。なお、図17では、第1電気モータ53がアウターロータ方式の構造を有し、第2電気モータ54がインナーロータ方式の構造を有しているが、第1電気モータ53及び第2電気モータ54の構造はこれに限らない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、作業車両の車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる。また、本発明は、作業車両において、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行を可能とすると共に、高トルクでの低速走行を可能とすることができる。従って、本発明は、作業車両として有用である。
【符号の説明】
【0062】
2 車体
7,53 第1電気モータ
33,54 第2電気モータ
41 制御部
52 車輪
57 ステータ
61 コイル
63 ロータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業車両は、車体とエンジンと動力伝達機構と四輪以上の複数の車輪とを備えている。エンジンで発生した駆動力は、動力伝達機構を介して車輪に伝達される。これにより、車輪が回転駆動され、作業車両が走行する。動力伝達機構は、例えばトランスミッション、ドライブシャフト、デファレンシャルギアなどを有しており、車体内に配置される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−312393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような動力伝達機構は、車体において大きな設置スペースを占めるため、車体内のスペースを狭めてしまう。このため、動力伝達機構は、車両が大型化する要因となる。例えば、特許文献1に開示されている車両では、デファレンシャルギアが車両下部に配置されている。このため、車両下部の地上高を大きく確保するためには、車高を高くするか、或いは、車高を高くせずに車体内のスペースを狭める必要がある。
【0005】
一方、作業車両は、不整地や急斜面を走行することがあるため、低速走行時に高トルクを出力できることが求められる。また、作業車両は、高速で走行することも求められる。従って、作業車両は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能であると共に、高トルクでの低速走行が可能であることが求められる。
【0006】
本発明の課題は、車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる作業車両を提供することにある。また、本発明の他の課題は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能であると共に、高トルクでの低速走行が可能である作業車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る作業車両は、車体と、複数の車輪と、左右一対の第1電気モータと、左右一対の第2電気モータとを備える。車輪は、車体を支持し、四輪以上である。第1電気モータは、車輪を駆動する。第2電気モータは、車輪を駆動する。第1電気モータと第2電気モータとの少なくとも一方は、車輪内に配置される。第1電気モータのゼロから所定の出力回転数までの回転域での出力トルクは、第2電気モータの前記回転域での出力トルクよりも大きい。第2電気モータは、第1電気モータよりも高回転まで駆動可能である。
【0008】
本発明の第2の態様に係る作業車両は、第1の態様の作業車両であって、複数の車輪は、左右一対の第1車輪と左右一対の第2車輪とを有する。第1電気モータは、第1車輪内にそれぞれ配置され、第1車輪をそれぞれ駆動する。第2電気モータは、第2車輪内にそれぞれ配置され、第2車輪をそれぞれ駆動する。
【0009】
本発明の第3の態様に係る作業車両は、第2の態様の作業車両であって、第1車輪は、第2車輪よりも前方に配置される。
【0010】
本発明の第4の態様に係る作業車両は、第2の態様の作業車両であって、第1車輪は、第2車輪よりも後方に配置される。
【0011】
本発明の第5の態様に係る作業車両は、第1の態様の作業車両であって、第1電気モータと第2電気モータとは、1つの共通の車輪を駆動する。
【0012】
本発明の第6の態様に係る作業車両は、第5の態様の作業車両であって、第1電気モータと第2電気モータとの一方は車輪内に配置され、他方は車輪外に配置される。
【0013】
本発明の第7の態様に係る作業車両は、第6の態様の作業車両であって、第1電気モータの外径は、第2電気モータの外径よりも大きい。第1電気モータは車輪外に配置される。第2電気モータは車輪内に配置される。
【0014】
本発明の第8の態様に係る作業車両は、第1から第7の態様のいずれかの作業車両であって、第1電気モータ又は第2電気モータは、ロータとステータとを有する。ロータは、車輪に連結される。ステータは、コイルを有し、ロータの軸線方向に移動可能に設けられる。
【0015】
本発明の第9の態様に係る作業車両は、第1から第8の態様のいずれかの作業車両であって、第1電気モータと第2電気モータとを制御する制御部をさらに備える。制御部は、車速が所定の切換車速以下のときには、第1電気モータを駆動する。制御部は、車速が切換車速より高いときには、第1電気モータへの電気的な接続を遮断すると共に、第2電気モータを駆動する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の態様に係る作業車両では、左右一対の第1電気モータと左右一対の第2電気モータとによって車輪が駆動される。また、左右一対の第1電気モータと左右一対の第2電気モータとの少なくとも一方は車輪内に配置される。従って、デファレンシャルギアなどの動力伝達機構が車体内に配置されない。また、第1電気モータと第2電気モータとの少なくとも一方も車体内に配置されない。このため、車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる。また、第1モータの低回転域での出力トルクは、第2電気モータの低回転域での出力トルクよりも大きい。このため、低速走行時には第1電気モータによって高トルクでの走行が可能である。また、第2電気モータは、第1電気モータよりも高回転まで駆動可能である。このため、第2電気モータによって高速走行が可能である。これにより、作業車両は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能である。
【0017】
本発明の第2の態様に係る作業車両では、第1電気モータと第2電気モータとがそれぞれ互いに異なる車輪を駆動する。また、第1電気モータは第1車輪内に配置され、第2電気モータは第2車輪内に配置される。このため、車体内のスペースをさらに拡大することができる。
【0018】
本発明の第3の態様に係る作業車両では、第1車輪は、第2車輪よりも前方に配置される。すなわち、第1電気モータは、第2車輪よりも前方に配置される第1車輪を駆動する。従って、例えば、作業車両が悪路で段差を乗り上げるときのように、前方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
【0019】
本発明の第4の態様に係る作業車両では、第1車輪は、第2車輪よりも後方に配置される。すなわち、第1電気モータは、第2車輪よりも後方に配置される第1車輪を駆動する。従って、例えば作業車両が急斜面を登るときのように、後方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
【0020】
本発明の第5の態様に係る作業車両では、第1電気モータと第2電気モータとは、1つの共通の車輪を駆動する。このため、各車輪が高速走行と低速走行との両方に適切に対応することができる。これにより、作業車両の走行性能を向上させることができる。
【0021】
本発明の第6の態様に係る作業車両では、第1電気モータと第2電気モータとの一方は車輪内に配置され、他方は車輪外に配置される。これにより、第1電気モータと第2電気モータとの両方が車輪内に配置される場合と比べて、車輪が大型化することを抑えることができる。
【0022】
本発明の第7の態様に係る作業車両では、外径の大きな第1電気モータが車輪外に配置され、外径の小さな第2電気モータが車輪内に配置される。このため、車輪の大型化をさらに抑えることができる。
【0023】
本発明の第8の態様に係る作業車両では、ステータをロータの軸線方向に移動させることにより、ロータに対するコイルの相対位置を変化させることができる。従って、第1電気モータ又は第2電気モータのトルク特性を変化させることができる。これにより、走行状態に適した効率で第1電気モータ又は第2電気モータを駆動することができる。
【0024】
本発明の第9の態様に係る作業車両では、車速が所定の切換車速以下のときには、第1電気モータが駆動される。これにより、高トルクでの低速走行が可能である。また、車速が切換車速より高いときには、第1電気モータへの電気的な接続が遮断されると共に第2電気モータが駆動される。これにより、高速走行が可能である。また、高速走行時に第1電気モータの電圧を制御するためのインバータに過剰に高い電圧が印加されることが防止されるので、インバータの劣化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態にかかる作業車両の斜視図。
【図2】作業車両の平面図。
【図3】車輪組立体の断面図。
【図4】第1電気モータと第2電気モータとの回転数−出力トルク特性を示す図。
【図5】作業車両の制御部及びバッテリーを示すブロック図。
【図6】作業車両の車速−出力トルク特性を示す図。
【図7】第2実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図8】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図9】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図10】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図11】他の実施形態に係る作業車両の平面図。
【図12】他の実施形態に係る作業車両の制御部及びバッテリーを示すブロック図。
【図13】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図14】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図15】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図16】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【図17】他の実施形態に係る車輪組立体の構造を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.第1実施形態
本発明の第1実施形態に係る作業車両を図1及び図2に示す。図1は作業車両1の斜視図である。図2は作業車両1の平面図である。この作業車両1は、装甲車であり、車体2と複数の車輪組立体3,4とを備える。車体2は、図示しない車体フレームと鋼板とによって構成されている。作業車両1は、左右一対の第1車輪組立体3と、左右一対の第2車輪組立体4とを備える。すなわち、本実施形態では、左右一対の車輪組立体の組が2つ設けられている。従って、作業車両1は4輪の車輪を有している。第1車輪組立体3は、第2車輪組立体4よりも前方に配置されている。
【0027】
左右の第1車輪組立体3はそれぞれ同じ構造を有しており、左右対称に配置されている。従って、一方の第1車輪組立体3の構造についてのみ説明するが、他方の第1車輪組立体3も同じ構造である。図3に示すように、第1車輪組立体3は、第1タイヤ5と第1車輪6と第1電気モータ7と第1ブレーキ装置8と第1減速機9とを有する。第1タイヤ5は例えばゴム製であり、第1車輪6の外周部に取り付けられている。第1車輪6は、円筒状の本体部11を有している。本体部11は、第1電気モータ7と第1減速機9とが配置される内部空間を有している。本体部11の車幅方向における内方の側面は開口している。なお、本実施形態において、車幅方向における内方とは、車幅方向において車体の中心に向かう方向を意味しており、図3における左方に相当する。また、車幅方向における外方とは、車幅方向において車体の中心から離れる方向を意味しており、図3における右方に相当する。
【0028】
第1電気モータ7は、第1車輪6を駆動する。第1電気モータ7は、第1車輪6内に配置されている。第1電気モータ7は、モータハウジング12と、第1ステータ13と、第1ロータ14と、支持体15と、第1回転軸16とを有する。
【0029】
モータハウジング12は、概ね円筒状の形状を有する。モータハウジング12は、第1ロータ14と第1ステータ13とが配置される内部空間を有している。モータハウジング12の車幅方向における内方の側面は開口している。モータハウジング12の車幅方向における外方の側面には、軸線方向に貫通する孔が形成されている。
【0030】
第1ステータ13は、モータハウジング12の内部空間に配置されている。第1ステータ13は概ね円筒状の形状を有する。第1ステータ13は、モータハウジング12の内周面に固定されている。第1ステータ13は、軸方向に貫通する孔を有している。第1ステータ13の内周面には第1コイル17が設けられている。
【0031】
第1ロータ14は、第1ステータ13に対して回転可能に設けられている。第1ロータ14は概ね円筒状の形状を有する。第1ロータ14の外周面には永久磁石が設けられている。第1ロータ14は、第1ステータ13の孔内に配置されている。すなわち、第1電気モータ7は、いわゆるインナーロータ式のモータである。第1ロータ14は軸線方向に貫通する孔を有している。第1ロータ14は、第1減速機9を介して第1車輪6に接続されており、第1ロータ14の回転が第1減速機9を介して第1車輪6に伝達される。
【0032】
支持体15は、第1回転軸16及び第1ロータ14を回転可能に支持する。支持体15は、軸線方向に貫通する孔を有している。支持体15の内周面は、軸受18を介して第1回転軸16を回転可能に支持している。支持体15は、円筒部15aとフランジ部15bとを有する。円筒部15aは、第1ロータ14の孔内に配置されている。円筒部15aの外周面は軸受19を介して第1ロータ14を回転可能に支持している。フランジ部15bは、モータハウジング12に固定されている。フランジ部15bとモータハウジング12とは、後述するブレーキハウジング22を介して車体2に固定されている。
【0033】
第1回転軸16は、支持体15の孔内に配置されている。第1回転軸16の一端は、モータハウジング12の孔から車幅方向における外方に突出しており、第1車輪6の本体部11に固定されている。また、第1回転軸16の他端には、回転体21が固定されている。回転体21は円筒状の形状を有している。回転体21の車幅方向における内方の側面は開口している。
【0034】
第1ブレーキ装置8は、ブレーキハウジング22とブレーキ体23とを有する。ブレーキハウジング22は車体2に固定されている。また、ブレーキハウジング22は、支持体15のフランジ部15bとモータハウジング12とに固定されている。ブレーキハウジング22は、ブレーキ体23が配置される内部空間を有している。ブレーキ体23は、ブレーキハウジング22の内部空間に配置されている。ブレーキ体23は、ブレーキハウジング22に固定されている。ブレーキ体23の一部は、上述した回転体21の内部に配置されている。ブレーキ体23は、回転体21の内周面に接触することにより、第1回転軸16を制動する。これにより、第1ブレーキ装置8は第1車輪6を制動する。
【0035】
第1減速機9は、第1回転軸16の車幅方向における外方の端部の外周側に配置されている。第1減速機9は、第1ロータ14と第1車輪6との間に配置されている。第1減速機9は、複数のギアを有しており、第1ロータ14の回転を減速して第1車輪6に伝達する。
【0036】
次に、第2車輪組立体4について説明する。図2に示すように、第2車輪組立体4は、第2タイヤ31と第2車輪32と第2電気モータ33と第2減速機(図示せず)と第2ブレーキ装置34とを有する。第2タイヤ31と第2減速機と第2ブレーキ装置34とは、それぞれ上述した第1車輪組立体3の第1タイヤ5と第1減速機9と第1ブレーキ装置8と同じ構造であるため、説明を省略する。
【0037】
第2車輪32は、第1車輪6よりも後方に配置されている。言い換えれば、第1車輪6は、第2車輪32よりも前方に配置されている。第2車輪32は第1車輪6と同様の構造を有している。
【0038】
第2電気モータ33は、第2車輪32を駆動する。第2電気モータ33は、第2車輪32内に配置されている。第2電気モータ33は、ロータ及びステータの外径が第1電気モータ7の第1ロータ13及び第1ステータ14の外径よりも小さいことを除いて、第1電気モータ7と同様の構造を有している。従って、第2電気モータ33のステータのコイルは、第1電気モータ7の第1ロータ13の第1コイル17よりも小さな外径を有している。このため、第2電気モータ33の出力トルクは第1電気モータ7の出力トルクよりも小さい。
【0039】
図4において実線L1は、第1電気モータ7の出力回転数と出力トルクとの関係を示している。また、破線L2は、第2電気モータ33の出力回転数と出力トルクとの関係を示している。第1電気モータ7のゼロから所定の出力回転数N1までの低回転域での出力トルクは、第2電気モータ33の低回転域での出力トルクよりも大きい。第2電気モータ33の出力回転数N1以上の高回転域での出力トルクは、第1電気モータ7の高回転域での出力トルクよりも大きい。また、第2電気モータ33の最大駆動回転数Nm2は、第1電気モータ7の最大駆動回転数Nm1よりも大きい。すなわち、第2電気モータ33は、第1電気モータ7よりも高回転まで駆動可能である。
【0040】
また、図5に示すように、作業車両1は、制御部41とバッテリー42とを有する。制御部41は、第1電気モータ7と第2電気モータ33とを制御する。具体的には、制御部41は、車速検知部43と第1インバータ44とスイッチ部45と第2インバータ46とを有する。車速検知部43は、第1電気モータ7の出力回転数を検知することにより、車速を検知する。第1インバータ44は、第1電気モータ7に供給される電圧を制御する。スイッチ部45は、電気回路上において第1電気モータ7と第1インバータ44との間に配置されている。スイッチ部45は、第1インバータ44からの指令信号に基づいて、第1インバータ44と第1電気モータ7との間の電気的な接続と遮断とを切り換える。第2インバータ46は、第2電気モータ33に供給される電圧を制御する。第2インバータ46及び第2電気モータ33は、第1インバータ44とスイッチ部45と第1電気モータ7とに対して並列に設けられている。バッテリー42は、車体2に収容されている。バッテリー42は、第1電気モータ7と第2電気モータ33とに電力を供給する。
【0041】
第1インバータ44は、車速が所定の切換車速V1(図6参照)以下のときには、第1電気モータ7を駆動する。また、第1インバータ44は、車速が切換車速V1より高いときには、第1電気モータ7への電気的な接続を遮断するように、スイッチ部45へ指令信号を送る。第2インバータ46は、車速に関わらず、第2電気モータ33を駆動する。なお、切換車速V1は、図4に示す第1電気モータ7の出力トルクと、第2電気モータ33の出力トルクとが一致する回転数、すなわち図4に示す出力回転数N1に対応した車速である。これにより、作業車両1全体としてみると、図6に示すような車速−出力トルク特性が得られる。この車速−出力トルク特性では、低速高トルクの走行と高速低トルクの走行との両方が可能となる。
【0042】
第1実施形態に係る作業車両1は、次のような特徴を有する。
【0043】
第1電気モータ7が第1車輪6内に配置される。また、第2電気モータ33が第2車輪32内に配置される。このため、車体2を大型化させずに車体2内のスペースを拡大することができる。
【0044】
車速が切換車速V1以下のときには、第1電気モータ7が駆動される。このため、高トルクでの低速走行が可能である。また、車速が切換車速V1より高いときには、第2電気モータ33のみが駆動されることによって作業車両1が走行する。このため、高速走行が可能である。これにより、作業車両1は、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行が可能である。また、車速が切換車速V1より高いときには、スイッチ部45によって第1インバータ44と第1モータとの間の電気的な接続が遮断される。これにより、第1電気モータ7の第1インバータ44に過剰に高い電圧が印加されることが防止されるので、第1インバータ44の劣化を抑えることができる。
【0045】
第1車輪6は、第2車輪32よりも前方にそれぞれ配置される。すなわち、低速高トルクの第1電気モータ7は前輪を駆動する。また、高速低トルクの第2電気モータ33は後輪を駆動する。従って、例えば、作業車両1が悪路で段差を乗り上げるときのように、前方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
2.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、第2実施形態に係る作業車両が備える車輪組立体50を模式的に示している。第2実施形態に係る作業車両は、全ての車輪が図7に示すような車輪組立体50によって構成されている。この車輪組立体50は、タイヤ51と車輪52と第1電気モータ53と第2電気モータ54とブレーキ装置55とを有する。
【0046】
タイヤ51は例えばゴム製であり、車輪52の外周部に取り付けられている。車輪52は、円筒状の本体部56を有している。本体部56は、第2電気モータ54が配置される内部空間を有している。本体部56の車幅方向における内方の側面は開口している。
【0047】
第1電気モータ53は、第1実施形態の第1電気モータ7と同様に、図4の実線L1で示すような、回転数−出力トルク特性を有している。また、第2電気モータ54は、第1実施形態の第2電気モータ33と同様に、図4の破線L2で示すような、回転数−出力トルク特性を有している。第1電気モータ53と第2電気モータ54とは、1つの共通の車輪52を駆動する。第1電気モータ53と第2電気モータ54とは車幅方向に並んで配置されている。第1電気モータ53は、第2電気モータ54に対して車幅方向における内方に位置している。第1電気モータ53の外径は、第2電気モータ54の外径よりも大きい。第1電気モータ53は車輪52外に配置されている。第2電気モータ54は、車輪52内に配置されている。
【0048】
第1電気モータ53は第1ステータ57を有する。第2電気モータ54は第2ステータ58を有する。第1ステータ57と第2ステータ58とは軸線方向に並んで配置されており、一体化されている。第1ステータ57と第2ステータ58とは図示しない取付部材を介して車体2に固定されている。第1ステータ57の内周面には、第1コイル61が設けられている。第2ステータ58の内周面には、第2コイル62が設けられている。第1ステータ57の外径は第2ステータ58の外径よりも大きい。また、第1コイル61の外径は第2コイル62の外径よりも大きい。また、第1電気モータ53は第1ロータ63を有する。第2電気モータ54は第2ロータ64を有する。第1ロータ63と第2ロータ64とは、軸線方向に並んで配置されており、一体化されている。第1ロータ63は、第1ステータ57の孔内に配置されている。第2ロータ64は、第2ステータ58の孔内に配置されている。すなわち、第1電気モータ53及び第2電気モータ54は、共に、インナーロータ方式の構造を有する。第1ロータ63及び第2ロータ64は、第1ステータ57及び第2ステータ58に対して回転可能に支持されている。また、第2ロータ64は、車輪52に固定されている。ブレーキ装置55は、車輪52に接触することにより、車輪52を制動する。
【0049】
また、第2実施形態に係る作業車両1は、第1実施形態に係る作業車両1と同様に、図5に示す制御部41とバッテリー42とを有している。従って、車速が切換車速V1以下の低速域であるときには、第1電気モータ53が駆動される。このため、高トルクでの低速走行が可能である。また、車速が切換車速V1より高い高速域であるときには、第1電気モータ53への電気的な接続が遮断されると共に第2電気モータ54が駆動される。これにより、低速から高速までの広範囲での走行が可能となる。第2実施形態に係る作業車両の他の構成は、第1実施形態に係る作業車両1の構成と同様であり、説明を省略する。
【0050】
第2実施形態に係る作業車両では、第1電気モータ53と第2電気モータ54とは、1つの共通の車輪52を駆動する。このため、各車輪52が高速走行と低速走行との両方に適切に対応することができる。これにより、作業車両の走行性能を向上させることができる。
【0051】
また、外径の小さい第2電気モータ54は車輪52内に配置されるが、外径の大きい第1電気モータ53は車輪52外に配置される。これにより、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方が車輪52内に配置される場合と比べて、車輪52が大型化することを抑えることができる。
3.他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0052】
本発明は、上述した装甲車に限らず他の種類の作業車両に適用されてもよい。例えば、本発明は、パワーショベルやホイールローダなどの建設機械に適用されてもよい。或いは、本発明は、林業機械や農業機械に適用されてもよい。
【0053】
第1実施形態では、前輪が低速高トルクの第1電気モータ7で駆動され、後輪が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動されている。しかし、図8に示すように、第1車輪6が第2車輪32よりも後方に配置されてもよい。すなわち、後輪が低速高トルクの第1電気モータ7で駆動され、前輪が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動されてもよい。この場合、作業車両1が急斜面を登るときのように、後方の車輪に大きなトルクが必要な状況での走行性能を向上させることができる。
【0054】
作業車両1が備える車輪は、第1実施形態のように4輪に限らず、それ以上の車輪を備えてもよい。例えば、図9及び図10に示すように、作業車両1が6輪の車輪6,32を備えてもよい。この場合、図9に示すように、前方から2番目までの車輪32が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動され、最も後方の車輪6が低速高トルクの第1電気モータ7によって駆動されてもよい。或いは、図10に示すように、最も前方の車輪32が高速低トルクの第2電気モータ33によって駆動され、前方から2番目より後方の車輪6が低速高トルクの第1電気モータ7によって駆動されてもよい。さらに、図11に示すように、作業車両が8輪の車輪6,32を備えてもよい。
【0055】
第1実施形態では、第1電気モータ7に対してのみスイッチ部45が設けられている。しかし、第1電気モータ7と第2電気モータ33との両方に対してスイッチ部が設けられてもよい。例えば、図12に示すように、制御部41は、第2スイッチ部47と第2車速検知部48とをさらに有してもよい。第2スイッチ部47は、第2インバータ46からの指令信号により、第2インバータ46と第2電気モータ33との間の電気的な接続と遮断とを切り換える。第2車速検知部48は、第2電気モータ33の出力回転数から車速を検知する。車速が切換車速V1以下のときには、第1インバータ44は、第1電気モータ7との間を電気的に接続して、第1電気モータ7を駆動する。このとき、第2インバータ46は、第2電気モータ33との間の電気的な接続を遮断する。また、車速が切換車速V1より高いときには、第1インバータ44は、第1電気モータ7への電気的な接続を遮断する。このとき、第2インバータ46は、第2電気モータ33との間を電気的に接続して、第2電気モータ33を駆動する。
【0056】
上記の第2実施形態では、全ての車輪52が、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方を有する車輪組立体50によって構成されている。しかし、一部の車輪52のみが車輪組立体50によって構成されてもよい。例えば、操舵用の車輪には電気モータが設けられず、他の車輪が車輪組立体50によって構成されてもよい。この場合、全ての車輪が車輪組立体50によって構成される場合と比べて、操舵安定性を向上させることができる。
【0057】
上記の第2実施形態では、外径の大きな第1電気モータ53が車輪52外に配置され、外径の小さな第2電気モータ54が車輪52内に配置されている。しかし、図13に示すように、第1電気モータ53が車輪52内に配置され、第2電気モータ54が車輪52外に配置されてもよい。なお、図13において、第2実施形態の車輪組立体50と同じ構成には同一の符号を付して説明を省略する。後述する図14から図17についても同様である。
【0058】
上記の第2実施形態では、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方がインナーロータ方式の構造を有している。しかし、第1電気モータ53と第2電気モータ54との一方がインナーロータ方式の構造を有し、他方がアウターロータ方式の構造を有してもよい。例えば、図14に示すように、第1電気モータ53がアウターロータ方式の構造を有しており、第2電気モータ54がインナーロータ方式の構造を有してもよい。具体的には、第1電気モータ53の第1ロータ63は、概ね円筒状の形状を有している、第1ロータ63は、第1電気モータ53の第1ステータ57が配置される内部空間を有しており、第1ロータ63の車幅方向における内方の側面は開口している。第1ステータ57は、外周面に第1コイル61を有しており、第1ロータ63の内部空間に配置される。
【0059】
また、第1電気モータ53と第2電気モータ54との両方がアウターロータ方式の構造を有してもよい。例えば、図15では、第1ロータ63は、概ね円筒状の形状を有しており、第1ステータ57が配置される内部空間を有している。第2ロータ64は、概ね円筒状の形状を有しており、第2ステータ58が配置される内部空間を有している。第1ステータ57の外周部には第1コイル61が設けられており、第1ステータ57は、第1ロータ63の内部空間に配置される。第2ステータ58の外周部には第2コイル62が設けられており、第2ステータ58は、第2ロータ64の内部空間に配置される。なお、図15では、第1電気モータ53が車輪52外に配置され、第2電気モータ54が車輪52内に配置されているが、図16に示すように、第2電気モータ54が車輪52外に配置され、第1電気モータ53が車輪52内に配置されてもよい。
【0060】
第1電気モータ53の第1ステータ57又は第2電気モータ54の第2ステータ58が軸線方向に移動可能に設けられてもよい。例えば、図17に示すように、第1電気モータ53が車輪52外に配置されている場合において、第1ステータ57が第1ロータ63の軸線方向に移動可能に設けられてもよい。このように、第1ステータ57を第1ロータ63の軸線方向に移動させることにより、第1ロータ63に対する第1コイル61の相対位置を変化させることができる。従って、第1電気モータ53のトルク特性を変化させることができる。これにより、走行状態に適した効率で第1電気モータ53を駆動することができる。或いは、第2ステータ58が第2ロータ64の軸線方向に移動可能に設けられてもよい。例えば、第2電気モータ54が車輪52外に配置されている場合において、第2ステータ58が第2ロータ64の軸線方向に移動可能に設けられてもよい。なお、図17では、第1電気モータ53がアウターロータ方式の構造を有し、第2電気モータ54がインナーロータ方式の構造を有しているが、第1電気モータ53及び第2電気モータ54の構造はこれに限らない。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、作業車両の車体を大型化させずに車体内のスペースを拡大することができる。また、本発明は、作業車両において、低速から高速まで幅広い速度範囲での走行を可能とすると共に、高トルクでの低速走行を可能とすることができる。従って、本発明は、作業車両として有用である。
【符号の説明】
【0062】
2 車体
7,53 第1電気モータ
33,54 第2電気モータ
41 制御部
52 車輪
57 ステータ
61 コイル
63 ロータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、
前記車体を支持する四輪以上の複数の車輪と、
前記車輪を駆動する左右一対の第1電気モータと、
前記車輪を駆動する左右一対の第2電気モータと、
を備え、
前記第1電気モータと前記第2電気モータとの少なくとも一方は、前記車輪内に配置され、
前記第1電気モータのゼロから所定の出力回転数までの回転域での出力トルクは、前記第2電気モータの前記回転域での出力トルクよりも大きく、
前記第2電気モータは、前記第1電気モータよりも高回転まで駆動可能である、
作業車両。
【請求項2】
複数の前記車輪は、左右一対の第1車輪と左右一対の第2車輪とを有し、
前記第1電気モータは、前記第1車輪内にそれぞれ配置され、前記第1車輪をそれぞれ駆動し、
前記第2電気モータは、前記第2車輪内にそれぞれ配置され、前記第2車輪をそれぞれ駆動する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1車輪は、前記第2車輪よりも前方に配置される、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記第1車輪は、前記第2車輪よりも後方に配置される、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第1電気モータと前記第2電気モータとは、1つの共通の前記車輪を駆動する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第1電気モータと前記第2電気モータとの一方は前記車輪内に配置され、他方は前記車輪外に配置される、
請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第1電気モータの外径は、前記第2電気モータの外径よりも大きく、
前記第1電気モータは前記車輪外に配置され、
前記第2電気モータは前記車輪内に配置される、
請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記第1電気モータ又は前記第2電気モータは、
前記車輪に連結されるロータと、
コイルを有し、前記ロータの軸線方向に移動可能に設けられるステータと、
を有する、
請求項1から7のいずれかに記載の作業車両。
【請求項9】
前記第1電気モータと前記第2電気モータとを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、車速が所定の切換車速以下のときには、前記第1電気モータを駆動し、車速が前記切換車速より高いときには、前記第1電気モータへの電気的な接続を遮断すると共に前記第2電気モータを駆動する、
請求項1から8のいずれかに記載の作業車両。
【請求項1】
車体と、
前記車体を支持する四輪以上の複数の車輪と、
前記車輪を駆動する左右一対の第1電気モータと、
前記車輪を駆動する左右一対の第2電気モータと、
を備え、
前記第1電気モータと前記第2電気モータとの少なくとも一方は、前記車輪内に配置され、
前記第1電気モータのゼロから所定の出力回転数までの回転域での出力トルクは、前記第2電気モータの前記回転域での出力トルクよりも大きく、
前記第2電気モータは、前記第1電気モータよりも高回転まで駆動可能である、
作業車両。
【請求項2】
複数の前記車輪は、左右一対の第1車輪と左右一対の第2車輪とを有し、
前記第1電気モータは、前記第1車輪内にそれぞれ配置され、前記第1車輪をそれぞれ駆動し、
前記第2電気モータは、前記第2車輪内にそれぞれ配置され、前記第2車輪をそれぞれ駆動する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記第1車輪は、前記第2車輪よりも前方に配置される、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記第1車輪は、前記第2車輪よりも後方に配置される、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項5】
前記第1電気モータと前記第2電気モータとは、1つの共通の前記車輪を駆動する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記第1電気モータと前記第2電気モータとの一方は前記車輪内に配置され、他方は前記車輪外に配置される、
請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
前記第1電気モータの外径は、前記第2電気モータの外径よりも大きく、
前記第1電気モータは前記車輪外に配置され、
前記第2電気モータは前記車輪内に配置される、
請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記第1電気モータ又は前記第2電気モータは、
前記車輪に連結されるロータと、
コイルを有し、前記ロータの軸線方向に移動可能に設けられるステータと、
を有する、
請求項1から7のいずれかに記載の作業車両。
【請求項9】
前記第1電気モータと前記第2電気モータとを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、車速が所定の切換車速以下のときには、前記第1電気モータを駆動し、車速が前記切換車速より高いときには、前記第1電気モータへの電気的な接続を遮断すると共に前記第2電気モータを駆動する、
請求項1から8のいずれかに記載の作業車両。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−91687(P2012−91687A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240970(P2010−240970)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【Fターム(参考)】
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