作業車
【課題】本発明では、前輪の増速機構を作動する増速切換モータに土塊や泥水等が付着し難くすることで、泥水による増速切換モータの作動不良を防ぐことを課題とする。
【解決手段】エンジン2の駆動力を前輪6と後輪7に伝動するミッションケース3に前輪6の回転を速くする前輪増速機構108を設け、この前輪増速機構108を増速駆動側に切り換える増速切換軸70を増速切換モータ82の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、前記ミッションケース3の上側に配置しているモータ支持部材165に前記増速切換モータ82を取り付けた作業車の構成とする。また、操縦用座席10の前に設けるステアリングハンドル8を支持するステアリングフレーム125を覆うハンドルコラムH内に前記増速切換モータ82を取り付けた作業車の構成とする。
【解決手段】エンジン2の駆動力を前輪6と後輪7に伝動するミッションケース3に前輪6の回転を速くする前輪増速機構108を設け、この前輪増速機構108を増速駆動側に切り換える増速切換軸70を増速切換モータ82の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、前記ミッションケース3の上側に配置しているモータ支持部材165に前記増速切換モータ82を取り付けた作業車の構成とする。また、操縦用座席10の前に設けるステアリングハンドル8を支持するステアリングフレーム125を覆うハンドルコラムH内に前記増速切換モータ82を取り付けた作業車の構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関し、特に農業機械であるトラクタや芝刈り機等の作業車における前輪増速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右前輪と左右後輪の四輪で走行装置を構成した作業車では、旋回時に前輪の周速を後輪の周速より速く駆動して急旋回する前輪増速装置を設けている。
例えば、特開2007−45177号公報に記載の作業車の前輪増速装置では、前輪と後輪の間に車体を構成するミッションケースが配置され、このミッションケースの側面に前輪増速装置を配置し、この前輪増速装置の前輪増速率を増速切換モータで変更制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の作業車の前輪増速装置は、後輪近くに配置されているために機体後部に装着する耕耘装置等から土塊や泥水等が飛来して付着し易く、増速切換モータや増速作動機構が作動不良になることがある。
【0005】
このために、本発明では、増速機構を作動する増速切換モータに土塊や泥水等が付着し難くすることで、泥水による増速切換モータの作動不良を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、エンジン2の駆動力を前輪6と後輪7に伝動するミッションケース3に前輪6の回転を速くする前輪増速機構108を設け、この前輪増速機構108を増速駆動側に切り換える増速切換軸70を増速切換モータ82の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、前記ミッションケース3の上側に配置しているモータ支持部材165に前記増速切換モータ82を取り付けたことを特徴とする作業車とした。
【0007】
この構成で、前輪6と後輪7や作業機が跳ね上げる土塊や泥水等がミッションケース3で遮られて増速切換モータ82に達することが無く、増速切換モータ82が汚れで故障することが無くなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、エンジン2の駆動力を前輪6と後輪7に伝動するミッションケース3に前輪6の回転を速くする前輪増速機構108を設け、この前輪増速機構108を増速駆動側に切り換える増速切換軸70を増速切換モータ82の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、操縦用座席10の前に設けるステアリングハンドル8を支持するステアリングフレーム125を覆うハンドルコラムH内に前記増速切換モータ82を取り付けたことを特徴とする作業車とした。
【0009】
この構成で、ハンドルコラムH内に増速切換モータ82を設けているので、増速切換モータ82が保護されて点検保守が容易となる。
請求項3に記載の発明は、前記ステアリングフレーム125に増速切換モータ82を取り付けたモータ支持フレーム126を立設したことを特徴とする請求項2に記載の作業車とした。
【0010】
この構成で、請求項2の作用に加えて、増速切換モータ82が操縦者の邪魔にならない位置に設置され、メンテナンス作業も行い易い。また、ステアリングフレーム125にモータ支持フレーム126を取り付けているので、増速切換モータ82が強固に保持できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記ステアリングハンドル8の油圧配管と増速切換モータ82をモータ支持フレーム126で仕切ったことを特徴とする請求項3に記載の作業車とした。
【0012】
この構成で、請求項3の作用に加えて、増速切換モータ82を支持するモータ支持フレーム126は、ステアリングハンドル8の油圧配管側と増速切換モータ82側とを仕切る仕切り部材に共用しているので、部品点数が少なくなり廉価な構成となり、さらに重量軽減となる。
【0013】
そして、ステアリングハンドル8のオイル配管と増速切換モータ82の電気配線やワイヤが直接接触することが無く、オイル配管と電気配線が接触して破損したり電気配線の漏電によってオイルが発火したりする等の虞が無い。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記増速切換モータ82の駆動で回転するクラッチギヤ109と増速切換軸70に固着のカム軸アーム92を直接ワイヤ157で連結して連動したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の作業車とした。
【0015】
この構成で、請求項3又は4の作用に加えて、増速切換モータ82による増速切換軸70の切換作動構成が従来よりも簡単になり、廉価となる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明乃至請求項2の発明で、増速切換モータ82に土塊や泥水等が付着してショート等の不具合の発生を少なく出来る。特に、請求項2では、ハンドルコラムH内に増速切換モータ82を設けることで、増速切換モータ82が保護されて点検保守が容易となる。
【0017】
請求項3の発明で、従来からある空間部に増速切換モータ82を設けたので、操縦者の邪魔にならない位置に設置され、メンテナンス作業も行い易い。また、増速切換モータ82が強固に保持できる。
【0018】
請求項4の発明で、ステアリングハンドル8のオイル配管と増速切換モータ82の電気配線ヤケーブルが直接接触することを防止できる。そして、オイル配管と電気配線が接触して破損したり電気配線の漏電によってオイルが発火したりする等の虞が無い。また、増速切換モータ82を支持するモータ支持フレーム126は、ステアリングハンドル8の油圧配管側と増速切換モータ82側とを仕切る仕切り部材に共用しているので、部品点数が少なくなり廉価な構成となり、さらに重量軽減となる。
【0019】
請求項5の発明で、増速切換モータ82による増速切換軸70の切換作動構成が従来よりも簡単になり、廉価となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例作業車(トラクタ)の全体側面図である。
【図2】実施例作業車の全体平面図である。
【図3】実施例作業車のミッションケースの側断面図である。
【図4】増速ケースの平断面図である。
【図5】増速ケースの一部拡大側面図である。
【図6】フロントアクスルハウジングの拡大平面図である。
【図7】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの平面図である。
【図8】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの背面図である。
【図9】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの側面図である。
【図10】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの平面図である。
【図11】増速切換モータと増速切換軸の連動部の一部を示す拡大側断面図である。
【図12】ミッションケースのミッドケース内の一部拡大側断面図である。
【図13】エンジン側ケースの拡大側断面図である。
【図14】本発明実施例の拡大左側断面図である。
【図15】本発明実施例の一部拡大平面図である。
【図16】一部の拡大斜視図である。
【図17】一部の拡大平面図である。
【図18】ミッションケースの一部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に示す実施例に基づいて、本発明の実施例を説明する。
図1と図2は、本発明でいう作業車の一例として示すトラクタの全体図で、機体の前部のボンネット1内に搭載したエンジン2の動力をミッションケース3内で適宜に変速して前輪軸4と後輪軸5に伝動して前輪6と後輪7の両方或は後輪7のみを駆動し、機体上に設ける座席10に座った作業者が中央に立設するステアリングフレーム125上のステアリングハンドル8で前輪6を操向しながら走行する。
【0022】
なお、前輪6と後輪7で支持する機体は、ミッションケース3と後述するエンジン側ケース13と繋ぎカバー21と左右サイドフレーム80R,Lとで構成している。
機体の後方へ突出するヒッチ9には、ロータリ耕運機などの作業機を装着し、ミッションケース3から後方へ向かって突出するリアPTO軸11でヒッチ9に装着する作業機を駆動し、ミッションケース3の後部から前方へ向かって突出するミッドPTO軸12で前輪6と後輪7の間に装着する芝刈り機などの作業機を駆動する。
【0023】
図3は、動力伝動機構の断面図で、エンジン側ケース13から後方へ突出するメイン出力軸18とミッションケース3から前方へ突出する入力軸20をジョイント19で連結し、繋ぎカバー21で上側を覆っている。
【0024】
エンジン側ケース13の内部では、エンジン2の動力をメインクラッチ14で断続可能に第一出力軸15へ伝動し、第一ギヤ16と第二ギヤ17でやや減速してメイン出力軸18に伝動している。
【0025】
図13は、エンジン側ケース13の別実施例を示し、メイン出力軸18の第二ギヤ17の隣にオイル跳ね上げギヤ142を軸支し、その上部のエンジン側ケース13内にオイルガイド突起140を形成し、オイル跳ね上げギヤ142が跳ね上げるオイルを第一ギヤ16の中心に設けたオイル孔16aに導き、オイルシール141を通して第二ギヤ17へ流すようにして潤滑している。
【0026】
ミッションケース3は、前からフロントケース36とミッドケース37とリアケース45の三つの中空ケースを一体に連結して構成している。
フロントケース36内では、入力軸20の回転が第三ギヤ22と第四ギヤ23で第一伝動軸25に伝動する。
【0027】
ミッドケース37内では、第一伝動軸25の回転がそのまま第二ジョイント40でPTO伝動軸41に伝動され、さらに、第一伝動軸25に固着の第一変速ギヤ27と第二変速ギヤ29と第三変速ギヤ31が噛み合う走行軸24に嵌合した第四変速ギヤ26と第五変速ギヤ28と第六変速ギヤ30と逆転ギヤ50(この逆転ギヤ50が図示省略のギヤで第一変速ギヤ27と噛み合っている)がキーシフトクラッチ46で適宜に軸に固定されて一速から三速及び逆回転まで変速して走行軸24に伝動される。
【0028】
キーシフトクラッチ46は、図12に示す如く、二個のシフトキー129,130を走行軸24に形成するキー溝に枢支し、このシフトキー129,130の開き側の内部に大小圧縮バネ133,134を介在させている。小圧縮バネ133は大圧縮バネ134よりも小径で短く、ギヤのキー溝をスライドする際にまず大圧縮バネ134が軽くキーシフトクラッチ46を開いてスライドし易く、やがて小圧縮バネ133が作用してキー溝から外れないようにしている。
【0029】
走行軸24の回転は、第十四ギヤ57で第一伝動軸25に遊嵌したギヤ筒69の大ギヤ部59へ伝動され、ベベルギヤ軸121にスプライン嵌合した高低クラッチギヤ32が第十四ギヤ57に噛み合ったりギヤ筒69の小ギヤ部68と噛み合ったりすることでベベルギヤ軸121が高低に変速して伝動され、ベベルギヤ軸121の回転がベベルギヤ38と車軸ベベルギヤ39で後輪軸5に伝動され、さらに、ベベルギヤ軸121にスプライン嵌合する第十五ギヤ122と第五ギヤ33とクラッチギヤ34で前輪駆動軸35に伝動され、この前輪駆動軸35の回転が図4に示すフロントアクスルハウジング60の第二前輪駆動軸101に伝動する。
【0030】
前記のPTO伝動軸41の回転は、後輪軸5よりも後側に設けるリアPTO軸11とミッドPTO軸12の伝動部に伝動される。
PTO伝動軸41には第十ギヤ55がスプライン嵌合し第一カウンタギヤ42が遊嵌し、リアPTO軸11には第十一ギヤ48がスプライン嵌合し第一クラッチギヤ56が遊嵌し、この第一クラッチギヤ56にPTOクラッチギヤ43が遊嵌し第十二ギヤ58がスプライン嵌合している。そして、第十一ギヤ48に常時に噛み合い第一クラッチギヤ56とPTOクラッチギヤ43に適宜噛み合うコンスタントメッシュ方式のクラッチ切換ギヤ47が外嵌している。第二クラッチギヤ43と第十一ギヤ48とクラッチ切換ギヤ47でPTOクラッチ150を構成し、このPTOクラッチ150のシフト操作は、座席10の近傍に設ける一本のPTO切換レバー107で行う。
【0031】
第一カウンタギヤ42の回転は、第一カウンタ軸50の第二カウンタギヤ49と第二カウンタ軸51の第三カウンタギヤ44と第三カウンタ軸53の第四カウンタギヤ52を介してミッドPTO軸12に形成した第十三ギヤ54に伝動されてミッドPTO軸12を駆動する。
【0032】
図4は、フロントアクスルハウジング60の断面図で、フロントアクスルハウジング60の後側に増速ケース61をボルト77で取り付け、フロントアクスルハウジング60と増速ケース61を一体として前ピポットケース96と後ピポットケース62で支持し、左右揺動可能にしている。フロントアクスルハウジング60と増速ケース61を一体化することで、軽量化出来て、トラクタ全体の前後バランスを良くしている。
【0033】
増速ケース61の後ピポットケース62側に軸支した第二前輪駆動軸101に、図3で説明した前輪駆動軸35からの動力が入力する構成である。増速ケース61内に第一増速ギヤ63を形成し、この第一増速ギヤ63の端面に形成したクラッチ爪63aに前輪ベベル軸78にスプライン嵌合した第一クラッチ66がクラッチばね67で押圧されて係合して第二前輪駆動軸101の回転を前輪ベベル軸78に伝動する(等速4輪駆動)。
【0034】
前輪ベベル軸78の前小ベベルギヤ74とフロントアクスルハウジング60内の前大ベベルギヤ75が噛み合ってデフギヤ組76を回転し、前輪駆動軸4R,4Lを駆動する。
増速ケース61内の前輪増速機構108は、前輪ベベル軸78と平行に増速軸64を軸支し、前記第一増速ギヤ63と噛み合う第二増速ギヤ65をスプライン嵌合し、湿式クラッチ71を装着してこの湿式クラッチ71のクラッチギヤ72を前輪ベベル軸78へスプライン嵌合した第三増速ギヤ73と噛み合わせている。第二増速ギヤ65と湿式クラッチ71との間にクラッチ押圧リング102を増速軸64に嵌合し、このクラッチ押圧リング102と前記第一クラッチ66の両方係合するクラッチ切換プレート103を設け、クラッチ切換プレート103を移動させる増速切換軸70を設けている。クラッチ切換プレート103は、ガイドピン91に増速軸64の軸方向へスライド可能に支持している(図5)。即ち、増速切換軸70が回転するとクラッチ切換プレート103を介してクラッチ押圧リング102が湿式クラッチ71方向に移動すると共に、第一クラッチ66のクラッチ爪63aが切り状態となる。その後、クラッチ押圧リング102が湿式クラッチ71に当接して該湿式クラッチ71を入り状態にする。これにより、等速4輪駆動から前輪が増速する増速4輪駆動となる。
【0035】
前輪増速機構108は、増速切換軸70を増速切換モータ82で回動させると、第一クラッチ66が第一増速ギヤ63から離れて前輪ベベル軸78の回転伝動を断ち、クラッチ押圧リング102が湿式クラッチ71を押して増速軸64の回転をクラッチギヤ72から第三増速ギヤ73に伝動して前輪ベベル軸78を増速駆動し、前輪6,6が増速して駆動される。
【0036】
前輪ベベル軸78には、軸中心を通る第一潤滑孔97を設け、増速軸64には、湿式クラッチ71にオイルを供給する第二潤滑孔98を設けて、増速機構の潤滑性と冷却性を良くしている。
【0037】
図18には、エンジン側ケース13に設ける給油口134に差し込む給油フィルター132を示し、この給油フィルター132の全長を囲う囲い壁133を形成している。囲い壁133が有ることで、機体が傾いて内部のオイルが揺動した場合に、そのオイルが給油フィルター132で掻き混ぜられて気泡が発生するのを囲い壁133で防ぐようになる。囲い壁133内のオイルは揺動し難く、空気を噛み込むことが少なく、例え空気を噛み込んでもその気泡を含んだオイルは囲い壁133内に収められるので支障が無い。囲い壁133はケースの内壁とで給油フィルター132を包むように形成するが、ケースの内壁から離れた位置に給油口134を設ける場合には、給油フィルター132を囲んで筒状に形成する。
【0038】
図6に示す如く、増速切換軸70は増速ケース61から上方に突出しており、突出した増速切換軸70の軸端にカム軸アーム92を固着し、このカム軸アーム92に増速切換モータ82に連結する増速入切ワイヤ95のインナーワイヤ95aを引張バネ99を介して連結している。この増速入切ワイヤ95のアウターワイヤは、増速ケース61のボス部93に取り付けたワイヤ取付プレート94に取り付けている。引張バネ99の引張力でクラッチ押圧リング102を湿式クラッチ71に押しつけることで湿式クラッチ71が摩耗しても押圧力が持続してクラッチの入り状態として伝動する。
【0039】
なお、カム軸アーム92とインナーワイヤ95aとの連結部は、図16に示す如く、カム軸アーム92に立設のピン116にインナーワイヤ95aの端部を差し込み、インナーワイヤ95aと逆方向に引く戻しバネ118を連結プレート119を介してピン116に回動可能に外嵌し、ワッシャ120で押えてヘアーピンで抜け止めとすると、戻しバネ118が折れ難く耐久性が良くなる。
【0040】
図7に、フロントアクスルハウジング60のトラクタ機体への装着構成を示している。 トラクタ機体の前後方向に設ける左右サイドフレーム80L,80Rにフロントアクスルハウジング60を取り付ける。
【0041】
この構成では、前記フロントアクスルハウジング60の前上側で左右サイドフレーム80L,80Rの間に板状の支持台81を取り付け、この支持台81上に増速切換モータ82を搭載し、この増速切換モータ82の回転をギヤ減速機構84とロッド83や引張バネ99を介して前記の増速切換軸70に伝動して前輪増速クラッチの切換を行えるようにしている。前述した図6の増速入切ワイヤ95については、ロッド83の替わりに増速入切ワイヤ95をギヤ減速機構84に連結する構成である。
【0042】
なお、左右前輪6,6のナックルアーム86,86をタイロッド87で連結して操向シリンダ109の作動で左右前輪6,6を操向するが、いずれか片方のナックルアーム86に取り付けるセンサロッド88とセンサプレート89で支持台81上に取り付けた前輪切れ角センサ90を回動して前輪切れ角を検出するようにしている。センサロッド88の長さは調節可能にし、前輪切れ角センサ90のセンサプレート89への取付を長孔で調整可能にする。
【0043】
前輪切れ角センサ90で検出する切れ角を見て前輪増速機構108を前輪増速にするタイミングを変更出来るように旋回方法をソフト的に制御することが出来る。
次に、ロッド83と増速切換軸70の連動構成を図7〜図9で詳しく説明する。
【0044】
前記ギヤ減速機構84から出力される軸84aに第一プレート84bが固着しているので、軸84aが回転すると、第一プレート84bも回転する。第一プレート84bには第一ロッド83が遊嵌しており、第一プレート84bが回転すると第一ロッド83は前後に動く。これらの部材は支持台81の下方にあるので、図7では点線で示し、第一ロッド83の後側は支持台81の後方まで延びているので実線で示している。
【0045】
第一ロッド83の後端は第二プレート110に遊嵌している。第二プレート110はフロントアクスルハウジング60上に立設した回動支点軸111を中心に回動する構成としている。そして、第二プレート110には第二ロッド112が遊嵌しており、第二ロッド112の他端には第三プレート113が遊嵌している。第三プレート113には軸114が連結されている。軸114はフロントアクスルハウジング60の中を通過する構成として操向シリンダ109と干渉しないようにしている。軸114の他端にはプ第四プレート115が連結しており、第四プレート115には引張バネ99が設けられており、引張バネ99の他端は第五プレート117に掛けられている。そして、第五プレート117に増速切換軸70が連結している。
【0046】
これにより、増速切換モータ82が回転して第一ロッド83が前後に動くと、第二プレート110が回動支点軸111を中心にして回動し、第二ロッド112が左右方向に動き、第三プレート113を介して軸114が回動する。軸114が回動すると、第四レート115が左右方向に動き、引張バネ99を経由し、第五プレート117を介して増速切換軸70が回転する。
【0047】
増速切換モータ82の駆動を停止すると、引張バネ99により増速切換軸70は元の位置に戻る。
図11の如く、第三プレート113の先端にセンサピン106を設け、このセンサピン106の動きでモータストップセンサ104のセンサアーム105に接触して増速切換モータ82の回転を止める。モータストップセンサ104が増速切換軸70の近くに設けられているので、増速切換軸70の回動を正確に検出する。
【0048】
図示を省略しているが、第一プレート84bにエンジン2のガバナに連結するワイヤを設けて、第一プレート84bの回動時即ち前輪増速時にエンジン2の回転を低下させるようにする。
【0049】
なお、増速切換モータ82を接点内蔵式のモータとして、2パルスを検出して1.5回転すると停止するようにしても良い。この場合に、最初の2パルスで正転させ次の2パルスで逆回転させるが、それぞれ正逆回転信号として不揮発メモリに記憶しておき、突然の停電が有っても通電再開時に記憶した正逆回転信号を読み出して回転させることで、正常に増速切換軸70を回転させる。
【0050】
さらに、増速切換モータ82の回転を制御する別実施例として、増速切換軸70の回転を直接検出するポテンショセンサを設けて、増速切換制御の出力調整に利用しても良い。
また、増速切換軸70を増速に切換えると増速切換モータ82の出力軸に戻りバネ力が作用するのでチャタリングが生じるのを防ぐために増速に切換っても所定時間通電を継続し、増速を解除する場合には切換と共に通電を停止する。
【0051】
また、増速切換モータ82への通電電流値を検出するセンサを設けて、電流値が所定電流値に達すると切換終了として通電を停止する制御を行っても良い。
エンジン出力軸の回転数と左右前輪駆動軸4R,4Lの回転数をそれぞれ検出して、左右前輪駆動軸4R,4Lの回転が増速切換時に増速率に応じた回転数に達することで増速切換が行われたとして増速切換モータ82への出力を停止する制御を行っても良い。
【0052】
また、エンジン出力軸の回転数と左右前輪駆動軸4R,4Lの回転数をそれぞれ検出して、前輪スリップ検出手段が左右前輪6,6のスリップを検出すると前輪増速になるように制御しても良い。
【0053】
また、増速切換モータ82で湿式クラッチ71の押し圧力を制御すると共に、湿式クラッチ71の伝動前後の第二増速ギヤ65とクラッチギヤ72の回転数をそれぞれ検出してその回転比でスリップ率を算出するようにすると、その算出スリップ率が最適値となるように湿式クラッチ71の押し圧力を変更することが増速切換モータ82の駆動電力を変更して行え、出力側のクラッチギヤ72に動力伝動しないようにして路上走行時に二輪駆動に変更することも出来る。この構成で、算出スリップ率をモニタに表示することも出来る。
【0054】
図1と図2のように、モータ支持部材165はミッションケース3の上側に配置しており、このモータ支持部材165に増速切換モータ82設けている。これにより、増速切換モータ82に土塊や泥水等が付着してショート等の不具合の発生を少なく出来る。
【0055】
図14と図15に本発明による増速切換モータ82の取り付構成を示しているので、これについて説明する。
車体を構成するエンジン側ケース13上に座席10側へ向けて傾けてステアリングフレーム125を立設し、その上部にステアリングハンドル8を装着している。このステアリングフレーム125は前側が開いた断面コ字状で、内部にステアリングハンドル8の操舵バルブ8aとボンネット1内に設ける油圧操舵分流器(図示省略)と繋ぐ操舵用パイプ124を通している。
【0056】
ステアリングハンドル8を支持するステアリングフレーム125を覆うハンドルコラムH内に前記増速切換モータ82を取り付けている。これにより、ハンドルコラムH内に増速切換モータ82を設けることで、増速切換モータ82が保護されて点検保守が容易となる。
【0057】
このステアリングフレーム125の前側に、操舵用パイプ124を仕切る立壁を有するモータ支持フレーム126をエンジン側ケース13に取り付けている。モータ支持フレーム126には増速切換モータ8を取り付けると共に、増速切換モータ82の出力軸に固着のピニオンギヤ129と噛み合う扇型ギヤ128を枢支軸127で回動可能に軸支し、扇型ギヤ128に前記増速入切ワイヤ95のインナーワイヤ95aを連結している。このために、増速切換モータ82を駆動すると前輪増速機構108の前輪増速を作動するようになっている。
【0058】
また、ステアリングフレーム125に増速切換モータ82を取り付けたモータ支持フレーム126を立設しているので、増速切換モータ82が強固に保持できる。
また、増速切換モータ82を支持するモータ支持フレーム126は、ステアリングハンドル8の油圧配管側と増速切換モータ82側とを仕切る仕切り部材に共用しているので、部品点数が少なくなり廉価な構成となり、さらに重量軽減となる。
【0059】
また、速切換モータ82の駆動で回転するクラッチギヤ109と増速切換軸70に固着のカム軸アーム92を直接ワイヤ157で連結して連動したので、増速切換モータ82による増速切換軸70の切換作動構成が従来よりも簡単になり、廉価となる。
【0060】
図17には、フロントパネルに増速切換モータ82の駆動電流を設定する電流ダイヤル130に設けた場合で、電流ダイヤル130の周囲に作業メニュー131を表示し、指示マーク130aを作業に合わせることで、増速切換モータ82の駆動電流を増減する。
【0061】
例えば、畑作業では増速切換負荷が軽いので電流値を小さくし、水田作業では増速切換負荷が重いので電流値を大きくする。
【符号の説明】
【0062】
H ハンドルコラム
2 エンジン
3 ミッションケース
6 前輪
7 後輪
8 ステアリングハンドル
10 操縦用座席
70 増速切換軸
82 増速切換モータ
92 カム軸アーム
108 前輪増速機構
109 クラッチギヤ
157 ワイヤ
125 ステアリングフレーム
126 モータ支持フレーム
165 モータ支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車に関し、特に農業機械であるトラクタや芝刈り機等の作業車における前輪増速装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右前輪と左右後輪の四輪で走行装置を構成した作業車では、旋回時に前輪の周速を後輪の周速より速く駆動して急旋回する前輪増速装置を設けている。
例えば、特開2007−45177号公報に記載の作業車の前輪増速装置では、前輪と後輪の間に車体を構成するミッションケースが配置され、このミッションケースの側面に前輪増速装置を配置し、この前輪増速装置の前輪増速率を増速切換モータで変更制御するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−45177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来の作業車の前輪増速装置は、後輪近くに配置されているために機体後部に装着する耕耘装置等から土塊や泥水等が飛来して付着し易く、増速切換モータや増速作動機構が作動不良になることがある。
【0005】
このために、本発明では、増速機構を作動する増速切換モータに土塊や泥水等が付着し難くすることで、泥水による増速切換モータの作動不良を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、エンジン2の駆動力を前輪6と後輪7に伝動するミッションケース3に前輪6の回転を速くする前輪増速機構108を設け、この前輪増速機構108を増速駆動側に切り換える増速切換軸70を増速切換モータ82の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、前記ミッションケース3の上側に配置しているモータ支持部材165に前記増速切換モータ82を取り付けたことを特徴とする作業車とした。
【0007】
この構成で、前輪6と後輪7や作業機が跳ね上げる土塊や泥水等がミッションケース3で遮られて増速切換モータ82に達することが無く、増速切換モータ82が汚れで故障することが無くなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、エンジン2の駆動力を前輪6と後輪7に伝動するミッションケース3に前輪6の回転を速くする前輪増速機構108を設け、この前輪増速機構108を増速駆動側に切り換える増速切換軸70を増速切換モータ82の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、操縦用座席10の前に設けるステアリングハンドル8を支持するステアリングフレーム125を覆うハンドルコラムH内に前記増速切換モータ82を取り付けたことを特徴とする作業車とした。
【0009】
この構成で、ハンドルコラムH内に増速切換モータ82を設けているので、増速切換モータ82が保護されて点検保守が容易となる。
請求項3に記載の発明は、前記ステアリングフレーム125に増速切換モータ82を取り付けたモータ支持フレーム126を立設したことを特徴とする請求項2に記載の作業車とした。
【0010】
この構成で、請求項2の作用に加えて、増速切換モータ82が操縦者の邪魔にならない位置に設置され、メンテナンス作業も行い易い。また、ステアリングフレーム125にモータ支持フレーム126を取り付けているので、増速切換モータ82が強固に保持できる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記ステアリングハンドル8の油圧配管と増速切換モータ82をモータ支持フレーム126で仕切ったことを特徴とする請求項3に記載の作業車とした。
【0012】
この構成で、請求項3の作用に加えて、増速切換モータ82を支持するモータ支持フレーム126は、ステアリングハンドル8の油圧配管側と増速切換モータ82側とを仕切る仕切り部材に共用しているので、部品点数が少なくなり廉価な構成となり、さらに重量軽減となる。
【0013】
そして、ステアリングハンドル8のオイル配管と増速切換モータ82の電気配線やワイヤが直接接触することが無く、オイル配管と電気配線が接触して破損したり電気配線の漏電によってオイルが発火したりする等の虞が無い。
【0014】
請求項5に記載の発明は、前記増速切換モータ82の駆動で回転するクラッチギヤ109と増速切換軸70に固着のカム軸アーム92を直接ワイヤ157で連結して連動したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の作業車とした。
【0015】
この構成で、請求項3又は4の作用に加えて、増速切換モータ82による増速切換軸70の切換作動構成が従来よりも簡単になり、廉価となる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明乃至請求項2の発明で、増速切換モータ82に土塊や泥水等が付着してショート等の不具合の発生を少なく出来る。特に、請求項2では、ハンドルコラムH内に増速切換モータ82を設けることで、増速切換モータ82が保護されて点検保守が容易となる。
【0017】
請求項3の発明で、従来からある空間部に増速切換モータ82を設けたので、操縦者の邪魔にならない位置に設置され、メンテナンス作業も行い易い。また、増速切換モータ82が強固に保持できる。
【0018】
請求項4の発明で、ステアリングハンドル8のオイル配管と増速切換モータ82の電気配線ヤケーブルが直接接触することを防止できる。そして、オイル配管と電気配線が接触して破損したり電気配線の漏電によってオイルが発火したりする等の虞が無い。また、増速切換モータ82を支持するモータ支持フレーム126は、ステアリングハンドル8の油圧配管側と増速切換モータ82側とを仕切る仕切り部材に共用しているので、部品点数が少なくなり廉価な構成となり、さらに重量軽減となる。
【0019】
請求項5の発明で、増速切換モータ82による増速切換軸70の切換作動構成が従来よりも簡単になり、廉価となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例作業車(トラクタ)の全体側面図である。
【図2】実施例作業車の全体平面図である。
【図3】実施例作業車のミッションケースの側断面図である。
【図4】増速ケースの平断面図である。
【図5】増速ケースの一部拡大側面図である。
【図6】フロントアクスルハウジングの拡大平面図である。
【図7】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの平面図である。
【図8】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの背面図である。
【図9】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの側面図である。
【図10】本発明とは別の構成を示すフロントアクスルハウジングの平面図である。
【図11】増速切換モータと増速切換軸の連動部の一部を示す拡大側断面図である。
【図12】ミッションケースのミッドケース内の一部拡大側断面図である。
【図13】エンジン側ケースの拡大側断面図である。
【図14】本発明実施例の拡大左側断面図である。
【図15】本発明実施例の一部拡大平面図である。
【図16】一部の拡大斜視図である。
【図17】一部の拡大平面図である。
【図18】ミッションケースの一部拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に示す実施例に基づいて、本発明の実施例を説明する。
図1と図2は、本発明でいう作業車の一例として示すトラクタの全体図で、機体の前部のボンネット1内に搭載したエンジン2の動力をミッションケース3内で適宜に変速して前輪軸4と後輪軸5に伝動して前輪6と後輪7の両方或は後輪7のみを駆動し、機体上に設ける座席10に座った作業者が中央に立設するステアリングフレーム125上のステアリングハンドル8で前輪6を操向しながら走行する。
【0022】
なお、前輪6と後輪7で支持する機体は、ミッションケース3と後述するエンジン側ケース13と繋ぎカバー21と左右サイドフレーム80R,Lとで構成している。
機体の後方へ突出するヒッチ9には、ロータリ耕運機などの作業機を装着し、ミッションケース3から後方へ向かって突出するリアPTO軸11でヒッチ9に装着する作業機を駆動し、ミッションケース3の後部から前方へ向かって突出するミッドPTO軸12で前輪6と後輪7の間に装着する芝刈り機などの作業機を駆動する。
【0023】
図3は、動力伝動機構の断面図で、エンジン側ケース13から後方へ突出するメイン出力軸18とミッションケース3から前方へ突出する入力軸20をジョイント19で連結し、繋ぎカバー21で上側を覆っている。
【0024】
エンジン側ケース13の内部では、エンジン2の動力をメインクラッチ14で断続可能に第一出力軸15へ伝動し、第一ギヤ16と第二ギヤ17でやや減速してメイン出力軸18に伝動している。
【0025】
図13は、エンジン側ケース13の別実施例を示し、メイン出力軸18の第二ギヤ17の隣にオイル跳ね上げギヤ142を軸支し、その上部のエンジン側ケース13内にオイルガイド突起140を形成し、オイル跳ね上げギヤ142が跳ね上げるオイルを第一ギヤ16の中心に設けたオイル孔16aに導き、オイルシール141を通して第二ギヤ17へ流すようにして潤滑している。
【0026】
ミッションケース3は、前からフロントケース36とミッドケース37とリアケース45の三つの中空ケースを一体に連結して構成している。
フロントケース36内では、入力軸20の回転が第三ギヤ22と第四ギヤ23で第一伝動軸25に伝動する。
【0027】
ミッドケース37内では、第一伝動軸25の回転がそのまま第二ジョイント40でPTO伝動軸41に伝動され、さらに、第一伝動軸25に固着の第一変速ギヤ27と第二変速ギヤ29と第三変速ギヤ31が噛み合う走行軸24に嵌合した第四変速ギヤ26と第五変速ギヤ28と第六変速ギヤ30と逆転ギヤ50(この逆転ギヤ50が図示省略のギヤで第一変速ギヤ27と噛み合っている)がキーシフトクラッチ46で適宜に軸に固定されて一速から三速及び逆回転まで変速して走行軸24に伝動される。
【0028】
キーシフトクラッチ46は、図12に示す如く、二個のシフトキー129,130を走行軸24に形成するキー溝に枢支し、このシフトキー129,130の開き側の内部に大小圧縮バネ133,134を介在させている。小圧縮バネ133は大圧縮バネ134よりも小径で短く、ギヤのキー溝をスライドする際にまず大圧縮バネ134が軽くキーシフトクラッチ46を開いてスライドし易く、やがて小圧縮バネ133が作用してキー溝から外れないようにしている。
【0029】
走行軸24の回転は、第十四ギヤ57で第一伝動軸25に遊嵌したギヤ筒69の大ギヤ部59へ伝動され、ベベルギヤ軸121にスプライン嵌合した高低クラッチギヤ32が第十四ギヤ57に噛み合ったりギヤ筒69の小ギヤ部68と噛み合ったりすることでベベルギヤ軸121が高低に変速して伝動され、ベベルギヤ軸121の回転がベベルギヤ38と車軸ベベルギヤ39で後輪軸5に伝動され、さらに、ベベルギヤ軸121にスプライン嵌合する第十五ギヤ122と第五ギヤ33とクラッチギヤ34で前輪駆動軸35に伝動され、この前輪駆動軸35の回転が図4に示すフロントアクスルハウジング60の第二前輪駆動軸101に伝動する。
【0030】
前記のPTO伝動軸41の回転は、後輪軸5よりも後側に設けるリアPTO軸11とミッドPTO軸12の伝動部に伝動される。
PTO伝動軸41には第十ギヤ55がスプライン嵌合し第一カウンタギヤ42が遊嵌し、リアPTO軸11には第十一ギヤ48がスプライン嵌合し第一クラッチギヤ56が遊嵌し、この第一クラッチギヤ56にPTOクラッチギヤ43が遊嵌し第十二ギヤ58がスプライン嵌合している。そして、第十一ギヤ48に常時に噛み合い第一クラッチギヤ56とPTOクラッチギヤ43に適宜噛み合うコンスタントメッシュ方式のクラッチ切換ギヤ47が外嵌している。第二クラッチギヤ43と第十一ギヤ48とクラッチ切換ギヤ47でPTOクラッチ150を構成し、このPTOクラッチ150のシフト操作は、座席10の近傍に設ける一本のPTO切換レバー107で行う。
【0031】
第一カウンタギヤ42の回転は、第一カウンタ軸50の第二カウンタギヤ49と第二カウンタ軸51の第三カウンタギヤ44と第三カウンタ軸53の第四カウンタギヤ52を介してミッドPTO軸12に形成した第十三ギヤ54に伝動されてミッドPTO軸12を駆動する。
【0032】
図4は、フロントアクスルハウジング60の断面図で、フロントアクスルハウジング60の後側に増速ケース61をボルト77で取り付け、フロントアクスルハウジング60と増速ケース61を一体として前ピポットケース96と後ピポットケース62で支持し、左右揺動可能にしている。フロントアクスルハウジング60と増速ケース61を一体化することで、軽量化出来て、トラクタ全体の前後バランスを良くしている。
【0033】
増速ケース61の後ピポットケース62側に軸支した第二前輪駆動軸101に、図3で説明した前輪駆動軸35からの動力が入力する構成である。増速ケース61内に第一増速ギヤ63を形成し、この第一増速ギヤ63の端面に形成したクラッチ爪63aに前輪ベベル軸78にスプライン嵌合した第一クラッチ66がクラッチばね67で押圧されて係合して第二前輪駆動軸101の回転を前輪ベベル軸78に伝動する(等速4輪駆動)。
【0034】
前輪ベベル軸78の前小ベベルギヤ74とフロントアクスルハウジング60内の前大ベベルギヤ75が噛み合ってデフギヤ組76を回転し、前輪駆動軸4R,4Lを駆動する。
増速ケース61内の前輪増速機構108は、前輪ベベル軸78と平行に増速軸64を軸支し、前記第一増速ギヤ63と噛み合う第二増速ギヤ65をスプライン嵌合し、湿式クラッチ71を装着してこの湿式クラッチ71のクラッチギヤ72を前輪ベベル軸78へスプライン嵌合した第三増速ギヤ73と噛み合わせている。第二増速ギヤ65と湿式クラッチ71との間にクラッチ押圧リング102を増速軸64に嵌合し、このクラッチ押圧リング102と前記第一クラッチ66の両方係合するクラッチ切換プレート103を設け、クラッチ切換プレート103を移動させる増速切換軸70を設けている。クラッチ切換プレート103は、ガイドピン91に増速軸64の軸方向へスライド可能に支持している(図5)。即ち、増速切換軸70が回転するとクラッチ切換プレート103を介してクラッチ押圧リング102が湿式クラッチ71方向に移動すると共に、第一クラッチ66のクラッチ爪63aが切り状態となる。その後、クラッチ押圧リング102が湿式クラッチ71に当接して該湿式クラッチ71を入り状態にする。これにより、等速4輪駆動から前輪が増速する増速4輪駆動となる。
【0035】
前輪増速機構108は、増速切換軸70を増速切換モータ82で回動させると、第一クラッチ66が第一増速ギヤ63から離れて前輪ベベル軸78の回転伝動を断ち、クラッチ押圧リング102が湿式クラッチ71を押して増速軸64の回転をクラッチギヤ72から第三増速ギヤ73に伝動して前輪ベベル軸78を増速駆動し、前輪6,6が増速して駆動される。
【0036】
前輪ベベル軸78には、軸中心を通る第一潤滑孔97を設け、増速軸64には、湿式クラッチ71にオイルを供給する第二潤滑孔98を設けて、増速機構の潤滑性と冷却性を良くしている。
【0037】
図18には、エンジン側ケース13に設ける給油口134に差し込む給油フィルター132を示し、この給油フィルター132の全長を囲う囲い壁133を形成している。囲い壁133が有ることで、機体が傾いて内部のオイルが揺動した場合に、そのオイルが給油フィルター132で掻き混ぜられて気泡が発生するのを囲い壁133で防ぐようになる。囲い壁133内のオイルは揺動し難く、空気を噛み込むことが少なく、例え空気を噛み込んでもその気泡を含んだオイルは囲い壁133内に収められるので支障が無い。囲い壁133はケースの内壁とで給油フィルター132を包むように形成するが、ケースの内壁から離れた位置に給油口134を設ける場合には、給油フィルター132を囲んで筒状に形成する。
【0038】
図6に示す如く、増速切換軸70は増速ケース61から上方に突出しており、突出した増速切換軸70の軸端にカム軸アーム92を固着し、このカム軸アーム92に増速切換モータ82に連結する増速入切ワイヤ95のインナーワイヤ95aを引張バネ99を介して連結している。この増速入切ワイヤ95のアウターワイヤは、増速ケース61のボス部93に取り付けたワイヤ取付プレート94に取り付けている。引張バネ99の引張力でクラッチ押圧リング102を湿式クラッチ71に押しつけることで湿式クラッチ71が摩耗しても押圧力が持続してクラッチの入り状態として伝動する。
【0039】
なお、カム軸アーム92とインナーワイヤ95aとの連結部は、図16に示す如く、カム軸アーム92に立設のピン116にインナーワイヤ95aの端部を差し込み、インナーワイヤ95aと逆方向に引く戻しバネ118を連結プレート119を介してピン116に回動可能に外嵌し、ワッシャ120で押えてヘアーピンで抜け止めとすると、戻しバネ118が折れ難く耐久性が良くなる。
【0040】
図7に、フロントアクスルハウジング60のトラクタ機体への装着構成を示している。 トラクタ機体の前後方向に設ける左右サイドフレーム80L,80Rにフロントアクスルハウジング60を取り付ける。
【0041】
この構成では、前記フロントアクスルハウジング60の前上側で左右サイドフレーム80L,80Rの間に板状の支持台81を取り付け、この支持台81上に増速切換モータ82を搭載し、この増速切換モータ82の回転をギヤ減速機構84とロッド83や引張バネ99を介して前記の増速切換軸70に伝動して前輪増速クラッチの切換を行えるようにしている。前述した図6の増速入切ワイヤ95については、ロッド83の替わりに増速入切ワイヤ95をギヤ減速機構84に連結する構成である。
【0042】
なお、左右前輪6,6のナックルアーム86,86をタイロッド87で連結して操向シリンダ109の作動で左右前輪6,6を操向するが、いずれか片方のナックルアーム86に取り付けるセンサロッド88とセンサプレート89で支持台81上に取り付けた前輪切れ角センサ90を回動して前輪切れ角を検出するようにしている。センサロッド88の長さは調節可能にし、前輪切れ角センサ90のセンサプレート89への取付を長孔で調整可能にする。
【0043】
前輪切れ角センサ90で検出する切れ角を見て前輪増速機構108を前輪増速にするタイミングを変更出来るように旋回方法をソフト的に制御することが出来る。
次に、ロッド83と増速切換軸70の連動構成を図7〜図9で詳しく説明する。
【0044】
前記ギヤ減速機構84から出力される軸84aに第一プレート84bが固着しているので、軸84aが回転すると、第一プレート84bも回転する。第一プレート84bには第一ロッド83が遊嵌しており、第一プレート84bが回転すると第一ロッド83は前後に動く。これらの部材は支持台81の下方にあるので、図7では点線で示し、第一ロッド83の後側は支持台81の後方まで延びているので実線で示している。
【0045】
第一ロッド83の後端は第二プレート110に遊嵌している。第二プレート110はフロントアクスルハウジング60上に立設した回動支点軸111を中心に回動する構成としている。そして、第二プレート110には第二ロッド112が遊嵌しており、第二ロッド112の他端には第三プレート113が遊嵌している。第三プレート113には軸114が連結されている。軸114はフロントアクスルハウジング60の中を通過する構成として操向シリンダ109と干渉しないようにしている。軸114の他端にはプ第四プレート115が連結しており、第四プレート115には引張バネ99が設けられており、引張バネ99の他端は第五プレート117に掛けられている。そして、第五プレート117に増速切換軸70が連結している。
【0046】
これにより、増速切換モータ82が回転して第一ロッド83が前後に動くと、第二プレート110が回動支点軸111を中心にして回動し、第二ロッド112が左右方向に動き、第三プレート113を介して軸114が回動する。軸114が回動すると、第四レート115が左右方向に動き、引張バネ99を経由し、第五プレート117を介して増速切換軸70が回転する。
【0047】
増速切換モータ82の駆動を停止すると、引張バネ99により増速切換軸70は元の位置に戻る。
図11の如く、第三プレート113の先端にセンサピン106を設け、このセンサピン106の動きでモータストップセンサ104のセンサアーム105に接触して増速切換モータ82の回転を止める。モータストップセンサ104が増速切換軸70の近くに設けられているので、増速切換軸70の回動を正確に検出する。
【0048】
図示を省略しているが、第一プレート84bにエンジン2のガバナに連結するワイヤを設けて、第一プレート84bの回動時即ち前輪増速時にエンジン2の回転を低下させるようにする。
【0049】
なお、増速切換モータ82を接点内蔵式のモータとして、2パルスを検出して1.5回転すると停止するようにしても良い。この場合に、最初の2パルスで正転させ次の2パルスで逆回転させるが、それぞれ正逆回転信号として不揮発メモリに記憶しておき、突然の停電が有っても通電再開時に記憶した正逆回転信号を読み出して回転させることで、正常に増速切換軸70を回転させる。
【0050】
さらに、増速切換モータ82の回転を制御する別実施例として、増速切換軸70の回転を直接検出するポテンショセンサを設けて、増速切換制御の出力調整に利用しても良い。
また、増速切換軸70を増速に切換えると増速切換モータ82の出力軸に戻りバネ力が作用するのでチャタリングが生じるのを防ぐために増速に切換っても所定時間通電を継続し、増速を解除する場合には切換と共に通電を停止する。
【0051】
また、増速切換モータ82への通電電流値を検出するセンサを設けて、電流値が所定電流値に達すると切換終了として通電を停止する制御を行っても良い。
エンジン出力軸の回転数と左右前輪駆動軸4R,4Lの回転数をそれぞれ検出して、左右前輪駆動軸4R,4Lの回転が増速切換時に増速率に応じた回転数に達することで増速切換が行われたとして増速切換モータ82への出力を停止する制御を行っても良い。
【0052】
また、エンジン出力軸の回転数と左右前輪駆動軸4R,4Lの回転数をそれぞれ検出して、前輪スリップ検出手段が左右前輪6,6のスリップを検出すると前輪増速になるように制御しても良い。
【0053】
また、増速切換モータ82で湿式クラッチ71の押し圧力を制御すると共に、湿式クラッチ71の伝動前後の第二増速ギヤ65とクラッチギヤ72の回転数をそれぞれ検出してその回転比でスリップ率を算出するようにすると、その算出スリップ率が最適値となるように湿式クラッチ71の押し圧力を変更することが増速切換モータ82の駆動電力を変更して行え、出力側のクラッチギヤ72に動力伝動しないようにして路上走行時に二輪駆動に変更することも出来る。この構成で、算出スリップ率をモニタに表示することも出来る。
【0054】
図1と図2のように、モータ支持部材165はミッションケース3の上側に配置しており、このモータ支持部材165に増速切換モータ82設けている。これにより、増速切換モータ82に土塊や泥水等が付着してショート等の不具合の発生を少なく出来る。
【0055】
図14と図15に本発明による増速切換モータ82の取り付構成を示しているので、これについて説明する。
車体を構成するエンジン側ケース13上に座席10側へ向けて傾けてステアリングフレーム125を立設し、その上部にステアリングハンドル8を装着している。このステアリングフレーム125は前側が開いた断面コ字状で、内部にステアリングハンドル8の操舵バルブ8aとボンネット1内に設ける油圧操舵分流器(図示省略)と繋ぐ操舵用パイプ124を通している。
【0056】
ステアリングハンドル8を支持するステアリングフレーム125を覆うハンドルコラムH内に前記増速切換モータ82を取り付けている。これにより、ハンドルコラムH内に増速切換モータ82を設けることで、増速切換モータ82が保護されて点検保守が容易となる。
【0057】
このステアリングフレーム125の前側に、操舵用パイプ124を仕切る立壁を有するモータ支持フレーム126をエンジン側ケース13に取り付けている。モータ支持フレーム126には増速切換モータ8を取り付けると共に、増速切換モータ82の出力軸に固着のピニオンギヤ129と噛み合う扇型ギヤ128を枢支軸127で回動可能に軸支し、扇型ギヤ128に前記増速入切ワイヤ95のインナーワイヤ95aを連結している。このために、増速切換モータ82を駆動すると前輪増速機構108の前輪増速を作動するようになっている。
【0058】
また、ステアリングフレーム125に増速切換モータ82を取り付けたモータ支持フレーム126を立設しているので、増速切換モータ82が強固に保持できる。
また、増速切換モータ82を支持するモータ支持フレーム126は、ステアリングハンドル8の油圧配管側と増速切換モータ82側とを仕切る仕切り部材に共用しているので、部品点数が少なくなり廉価な構成となり、さらに重量軽減となる。
【0059】
また、速切換モータ82の駆動で回転するクラッチギヤ109と増速切換軸70に固着のカム軸アーム92を直接ワイヤ157で連結して連動したので、増速切換モータ82による増速切換軸70の切換作動構成が従来よりも簡単になり、廉価となる。
【0060】
図17には、フロントパネルに増速切換モータ82の駆動電流を設定する電流ダイヤル130に設けた場合で、電流ダイヤル130の周囲に作業メニュー131を表示し、指示マーク130aを作業に合わせることで、増速切換モータ82の駆動電流を増減する。
【0061】
例えば、畑作業では増速切換負荷が軽いので電流値を小さくし、水田作業では増速切換負荷が重いので電流値を大きくする。
【符号の説明】
【0062】
H ハンドルコラム
2 エンジン
3 ミッションケース
6 前輪
7 後輪
8 ステアリングハンドル
10 操縦用座席
70 増速切換軸
82 増速切換モータ
92 カム軸アーム
108 前輪増速機構
109 クラッチギヤ
157 ワイヤ
125 ステアリングフレーム
126 モータ支持フレーム
165 モータ支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(2)の駆動力を前輪(6)と後輪(7)に伝動するミッションケース(3)に前輪(6)の回転を速くする前輪増速機構(108)を設け、この前輪増速機構(108)を増速駆動側に切り換える増速切換軸(70)を増速切換モータ(82)の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、前記ミッションケース(3)の上側に配置しているモータ支持部材(165)に前記増速切換モータ(82)を取り付けたことを特徴とする作業車。
【請求項2】
エンジン(2)の駆動力を前輪(6)と後輪(7)に伝動するミッションケース(3)に前輪(6)の回転を速くする前輪増速機構(108)を設け、この前輪増速機構(108)を増速駆動側に切り換える増速切換軸(70)を増速切換モータ(82)の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、操縦用座席(10)の前に設けるステアリングハンドル(8)を支持するステアリングフレーム(125)を覆うハンドルコラム(H)内に前記増速切換モータ(82)を取り付けたことを特徴とする作業車。
【請求項3】
前記ステアリングフレーム(125)に増速切換モータ(82)を取り付けたモータ支持フレーム(126)を立設したことを特徴とする請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記ステアリングハンドル(8)の油圧配管と増速切換モータ(82)をモータ支持フレーム(126)で仕切ったことを特徴とする請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記増速切換モータ(82)の駆動で回転するクラッチギヤ(109)と増速切換軸(70)に固着のカム軸アーム(92)を直接ワイヤ(157)で連結して連動したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の作業車。
【請求項1】
エンジン(2)の駆動力を前輪(6)と後輪(7)に伝動するミッションケース(3)に前輪(6)の回転を速くする前輪増速機構(108)を設け、この前輪増速機構(108)を増速駆動側に切り換える増速切換軸(70)を増速切換モータ(82)の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、前記ミッションケース(3)の上側に配置しているモータ支持部材(165)に前記増速切換モータ(82)を取り付けたことを特徴とする作業車。
【請求項2】
エンジン(2)の駆動力を前輪(6)と後輪(7)に伝動するミッションケース(3)に前輪(6)の回転を速くする前輪増速機構(108)を設け、この前輪増速機構(108)を増速駆動側に切り換える増速切換軸(70)を増速切換モータ(82)の駆動力で切り換えるべく構成した作業車において、操縦用座席(10)の前に設けるステアリングハンドル(8)を支持するステアリングフレーム(125)を覆うハンドルコラム(H)内に前記増速切換モータ(82)を取り付けたことを特徴とする作業車。
【請求項3】
前記ステアリングフレーム(125)に増速切換モータ(82)を取り付けたモータ支持フレーム(126)を立設したことを特徴とする請求項2に記載の作業車。
【請求項4】
前記ステアリングハンドル(8)の油圧配管と増速切換モータ(82)をモータ支持フレーム(126)で仕切ったことを特徴とする請求項3に記載の作業車。
【請求項5】
前記増速切換モータ(82)の駆動で回転するクラッチギヤ(109)と増速切換軸(70)に固着のカム軸アーム(92)を直接ワイヤ(157)で連結して連動したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の作業車。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−136068(P2012−136068A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288008(P2010−288008)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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