説明

保守装置、保守方法および保守プログラム

【課題】多数の保守対象装置の中から保守作業における優先度の高い機体を把握する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る保守装置は、読取部、通信部、外れ値度算出部および保守優先度算出部を備えることを特徴とする。読取部は、保守作業の対象となる機体のシリアル番号、モデル名、設定項目および設定値を含む設定情報を格納した記録媒体を読み取る。通信部は、ネットワーク接続されたサーバからモデル名ごとに、設定情報に関する統計情報を取得する。外れ値度算出部は、読取部が読み取った設定情報を通信部が取得した統計情報と比較して設定値に係る外れ値度を算出する。保守優先度算出部は、外れ値度算出部で算出された外れ値度をシリアル番号ごとに集計すると共に、集計の結果に基づいてシリアル番号ごとに保守作業における優先度を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置等の保守装置、保守方法および保守プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置の保守作業においては、画像形成装置に異常が発生した場合、ユーザからの電話によりサービスマンに状況が伝えられる。そして、サービスマンが設置先に出向き、画像形成装置の設定状況を確認している。
【0003】
また、最近では、更なるサービス性の向上を図るため、オンライン状態(インターネット等の通信回線に接続されている状態)の機体は、異常を検知した際、通信回線を利用して機体情報やエラー情報をサービスセンタに自動的に送信する方法が取られている。これにより、同時に機種、機番、発生時刻、機体状況、エラーメッセージなどの機体情報を連絡して、これらの情報を利用することで、サービス性を向上させることが可能になる。
【0004】
しかしながら、市場においては、オフライン状態(インターネット等の通信回線に接続されていない状態)の機体が、未だに相当数存在している。また、インターネット等の通信回線には接続されていてもセキュリティ上の問題から、機体情報を提供していない機体も多い(便宜上、この状態の機体についても以後“オフライン状態の機体”とする)。
【0005】
このようなオフライン状態の機体に対しては、サービスマンが所有するパソコンに画像形成装置の機体情報のデータを一旦格納し、サービスステーションに持ち帰った後、サーバを利用してデータの分析を行ったり、あるいは、データを格納した後にパソコンをオンライン状態にすることで、サーバに接続し、その場で分析を行ったりする手法が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−34447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来技術においては、サービスマンは数十から数百の機体を保守装置で管理するようになると、個々の機体の設定値を充分に把握することが困難になってくる。このため、状態を確認すべき機体の優先度を決めて、それに基づいて効率的に調べたいという要求が強かった。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題に鑑み、多数の保守対象装置の中から保守作業における優先度の高い機体をサービスマンが把握できる保守装置、保守方法および保守プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る保守装置は、読取部、通信部、外れ値度算出部および保守優先度算出部を備えることを特徴とする。読取部は、保守作業の対象となる機体のシリアル番号、モデル名、設定項目および設定値を含む設定情報を格納した記録媒体を読み取る。通信部は、ネットワーク接続されたサーバからモデル名ごとに、設定情報に関する統計情報を取得する。外れ値度算出部は、読取部が読み取った設定情報を通信部が取得した統計情報と比較して設定値に係る外れ値度を算出する。保守優先度算出部は、外れ値度算出部で算出された外れ値度をシリアル番号ごとに集計すると共に、集計の結果に基づいてシリアル番号ごとに保守作業における優先度を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る保守装置の構成の一例を示すブロック図。
【図2】図1に示す保守装置と画像形成装置との関係の一例を示す図。
【図3】画像形成装置と分析サーバとの関係の一例を示す図。
【図4】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される機体情報用テーブルT1の具体例を示す図。
【図5】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶されるエラー情報テーブルT2の具体例を示す図。
【図6】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶されるデータベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3の具体例を示す図。
【図7】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される機体設定リストT4の具体例を示す図。
【図8】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される統計データリストT5の具体例を示す図。
【図9】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される外れ値リストT6の具体例を示す図。
【図10】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される設定項目リストT7の具体例を示す図。
【図11】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される設定項目の重みテーブルT8の具体例を示す図。
【図12】図1に示す保守アプリケーション用データベースに記憶される保守優先度リストT9の具体例を示す図。
【図13】図1に示す保守装置の初期画面D1の具体例を示す図。
【図14】図1に示す保守装置における画面遷移の具体例を示す図。
【図15】図1に示す保守装置の機体情報の取得画面D2の具体例を示す図。
【図16】図1に示す保守装置のサーバへ接続画面D3の具体例を示す図。
【図17】図1に示す保守装置の機体情報の分析画面D4の具体例を示す図。
【図18】図1に示す保守装置の設定の外れ値表示画面D5の具体例を示す図。
【図19】図1に示す保守装置の保守優先度表示画面D6の具体例を示す図。
【図20】図1に示す保守装置の動作の概要の具体例を示すフローチャート。
【図21】図13に示す初期画面D1において『機体情報の取得』を選択した場合の保守装置の動作の具体例を示すフローチャート。
【図22】図21に示す『機体情報の取得』において実行される『データの取得処理』の具体例を示すフローチャート。
【図23】図22に示す『データの取得処理』の後に実行される『エラー情報の挿入処理』の具体例を示すフローチャート。
【図24】図13に示す初期画面D1において『機体情報の分析』を選択した場合の保守装置の動作の具体例を示すフローチャート。
【図25】図17に示す機体情報の分析画面D4において『設定の外れ値』を選択した場合の保守装置の動作の具体例を示すフローチャート。
【図26】図25のS102に示す『外れ値検出処理』の具体例を示すフローチャート。
【図27】図1に示す保守装置において現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図。
【図28】図13に示す初期画面D1において『サーバへ接続』を選択した場合の保守装置の動作の具体例を示すフローチャート。
【図29】図28のS82に示す『統計データ取得処理』の具体例を示すフローチャート。
【図30】図13に示す初期画面D1において『保守優先度』を選択した場合の保守装置の動作の具体例を示すフローチャート。
【図31】図30のS121に示す『保守優先度算出処理』の具体例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る保守装置10の全体構成例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態の保守装置10は、CPU等の演算部11と、メモリ等の主記憶部12と、HDD(Hard Disc Drive)やメモリ等の補助記憶部13と、ディスプレイ等の表示装置18に表示させるための画像情報を生成し供給する表示装置接続部14と、マウス、キーボード等の入力装置19とのインターフェースである入力装置接続部15と、USB(Universal Serial Bus)メモリ20等の外部記憶媒体のインターフェースである読取部16と、インターネット等のネットワークに接続して通信を行う通信部17を有している。
【0012】
ただし、保守装置10は、サービスマンが機体設置先へ持ち運ぶことを前提としているため、サービスマンが持ち運びできる形態、例えば、ノートパソコンまたは同等の形態となっていることが望ましい。
【0013】
図2は、図1に示す保守装置10と画像形成装置Mとの関係の一例を示す図である。ここでは、画像形成装置Mの設定情報等の情報は、LAN等のネットワークを介してオンラインで保守装置10等へ供給されるのではなく、USB(Universal Serial Bus)メモリ20等の着脱可能な記録媒体を介してオフライン状態(インターネット等の通信回線に接続されていない状態)で保守装置10等へ供給される場合を想定している。これは、現在の市場において、オフライン状態の画像形成装置等が、未だ相当数存在しており、また、インターネット等の通信回線には接続されていてもセキュリティの問題から、機体情報を提供していない機体も多いことを考慮したものである。
【0014】
図3は、画像形成装置Mと分析サーバSとの関係の一例を示す説明図である。ここでは、画像形成装置Mは、ネットワークNにより接続された状態では、分析サーバSにより設定値を自動的に収集され、分析サーバS側で蓄積されることによって、分析サーバSにおいて統計データが更新されていくことが示されている。尚、サービスマンが保守作業を完了後にサービスセンタに帰り、保守装置10を分析サーバSにネットワークNを介して接続すると、上述した図2の作業によって保守装置10内に収集された設定情報が自動的に収集され、図3の場合と同様に分析サーバS側で蓄積される。
【0015】
また、保守装置10の補助記憶部13には、画像形成装置M用の保守アプリケーション131と、画像形成装置Mの保守アプリケーション用データベース132が格納されている。
【0016】
保守アプリケーション131は、画面遷移制御アプリケーション131A、機体情報取得アプリケーション131B、機体情報分析アプリケーション131C、サーバ接続アプリケーション131D、および保守優先度算出・表示アプリケーション131E等を含んでいる。これらのアプリケーションは、演算部11によって補助記憶部13から主記憶部12上に展開され、それぞれ実行される。
【0017】
画面遷移制御アプリケーション131Aは、ユーザからの要求に応じて初期画面D1からの画面遷移を制御すると共に、画面上での操作に応じて各種のアプリケーションを呼び出すプログラムである。
機体情報取得アプリケーション131Bは、USBメモリ20などの記録媒体が接続された際に、記録媒体に記録されている設定情報を読取部16で取得し、保守アプリケーション用データベース132に格納するプログラムである。
【0018】
機体情報分析アプリケーション131Cは、機体情報取得アプリケーション131Bによって保守アプリケーション用データベース132に格納された設定情報の分析を行うプログラムである。具体的には、機体情報分析アプリケーション131Cは、読取部16がUSBメモリ20から読み取った設定情報を通信部17が取得した統計情報と比較して設定値に係る外れ値度を算出(外れ値度算出ステップ)すると共に、算出された外れ値度と所定の閾値に基づいて設定項目ごとに外れ値の検出(外れ値検出ステップ)を行う。
【0019】
サーバ接続アプリケーション131Dは、ユーザからの要求に応じて通信部17と分析サーバSとの接続を確立し、保守装置10内に格納されている機体の設定情報を分析サーバSへアップロード、あるいは、分析サーバSから統計情報を分析サーバSから保守対象とする機体についての統計情報をダウンロードして保守アプリケーション用データベース132に格納するプログラムである。
【0020】
保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、ユーザからの要求に応じて保守対象機体に係る保守優先度を算出し、表示するプログラムである。具体的には、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、機体情報分析アプリケーション131Cの外れ値検出ステップにおいて算出された外れ値度をシリアル番号ごとに集計すると共に、この集計の結果をシリアル番号間で比較してシリアル番号ごとに保守作業における優先度の算出し(優先度算出ステップ)、算出した優先度に基づいた保守優先度表示画面D6を表示する(優先度表示ステップ)。
【0021】
また、保守アプリケーション用データベース132は、例えば、機体情報用テーブルT1、エラー情報テーブルT2、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3、機体設定リストT4、統計データリストT5、外れ値リストT6、評価対象となる設定項目リストT7、設定項目の重みテーブルT8および優先度ランキングリストT9により構成されている。以下、各テーブルについて詳細に説明する。
【0022】
図4は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される機体情報用テーブルT1の具体例を示す図である。ここでは、機体情報用テーブルT1は、一台一台の機体に固有の識別番号であって分析サーバSにより与えられるグローバルID、機体情報用テーブルT1内の整理番号であるローカルID、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、その機体で検出されたエラー情報をカラムとして構成されている。
【0023】
図5は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶されるエラー情報テーブルT2の具体例を示す図である。ここでは、エラー情報テーブルT2は、一台一台の機体に固有の識別番号であり分析サーバSにより与えられるグローバルID、機体情報用テーブルT1内の整理番号であるローカルID、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、その機体の駆動している時間である駆動時間、その機体が印刷した延べ印刷枚数または1日の印刷枚数である印刷枚数、その機体において用紙等がジャムを起こした発生回数を記録しているJam発生回数のカラムによって構成されている。
【0024】
図6は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶されるデータベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3の具体例を示す図である。ここでは、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3は、DB(データベース)カラム名と、ログデータタイトルのカラムによって構成されている。駆動時間は、実行時間または実動時間に対応し、印刷枚数は、プリント枚数またはプリントカウンタに対応している。
【0025】
図7は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される機体設定リストT4の具体例を示す図である。ここでは、機体設定リストT4は、機体設定リストT4内の整理番号であるローカルID、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、この設定項目に設定された値である設定値のカラムによって構成されている。
【0026】
図8は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される統計データリストT5の具体例を示す図である。ここでは、統計データリストT5は、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、統計を作成する際に使用したサンプルの数を意味するサンプル数、サンプルの値の平均値である平均値、サンプル中の最も多かった値を意味する最頻値、サンプルの標準偏差、その設定値を外れ値とするか否かの判断に用いる閾値のカラムによって構成されている。
【0027】
図9は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される外れ値リストT6の具体例を示す図である。ここでは、外れ値リストT6は、一台一台の機体に固有の識別番号でありメーカーから与えられるシリアル番号、その機種を特定するモデル名、評価の対象となる画像形成装置の設定項目に割り振られたコードである設定コード、この設定項目に設定された値である設定値、サンプルの値の平均値である平均値、サンプル中の最も多かった値を意味する最頻値、設定値が他の機体の設定値から外れている度合いを意味する外れ値度のカラムによって構成されている。
【0028】
図10は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される設定項目リストT7の具体例を示す図である。同図に示されるように、評価対象となる設定項目リストT7には、分類上、プロセスに関する設定項目、スキャナに関する設定項目、プリンタに関する設定項目、システムに関する設定項目がある。
【0029】
すなわち、プロセスに関する設定項目としては、
『帯電グリッドバイアス調整、高圧手動調整 帯電、高圧手動調整 カラー現像、高圧手動調整 1次転写定電圧、高圧手動調整 2次転写定電圧、高圧手動調整 除電ブレード、高圧手動調整 2次転写定電流、帯電グリッド校正電圧値、現像バイアス校正電圧値、レーザパワー校正光量値、レーザパワー校正光基準D/A値、Voセンサ出力、Voセンサシャッター閉時の電位センサ出力、レーザパワー出力調整、1次転写バイアス標準モード実行値、1次転写抵抗検知オフセット、1次転写先後端バイアス実行値、1次転写先後端バイアス補正係数、2次転写バイアスカラー実行値、2次転写バイアスモノクロ実行値、用紙表面バイアスオフセット、用紙表面 2次先後端バイアス補正係数、用紙裏面 2次先後端バイアス補正係数、1次転写定電流トランス調整値、1次転写定電圧トランス調整値、2次転写定電流トランス調整値、2次転写定電圧トランス調整値、除電バイアス調整値、高圧手動調整 除電ブレード(高)、高圧手動調整 1次転写定電流、定着温度(ヒートローラ)、ヒータ強制ON時間、定着温度(プレスローラ)、1stプリントプレラン動作時間、異常処理開始定着温度設定、強制ヒータON枚数閾値、レディ許可温度範囲、Readyプレラン 定着モータ減速、レディ時プレラン動作時間、レディ時定着温度、レディ温度降下切替時間、プリント開始許可温度範囲、プリント終了時プリント動作温度保持時間設定、定着制御温度下限値、プリント温度降下切替時間、予熱復帰時レディ許可温度補正、スリープ/予熱復帰時時間制限設定、プリント速度切替え温度、電力可変下限値、電力可変幅、電力降下時下限保持温度幅、予熱時加熱時間、スリープ復帰時制御温度保持時間、予熱時定着温度移行時間、予熱移行時定着温度増分』が存在する。
【0030】
また、スキャナに関する設定項目としては、
『CCD主走査ずれ、スキャナ副走査ずれ、スキャナ副走査倍率、ディストーション、シェーディング位置調整、ADFアライニング量、ADF搬送速度微調整、ADF横ずれ、ADF先端位置調整、ADF読取時のキャリッジ位置調整』が存在する。
【0031】
プロセスプリンタに関する設定項目は、
『ポリゴンモータ回転微調整、レーザ打ち出し位置、ADU搬送モータ速度微調整、カセット横ずれ調整、ADU横ずれ調整、トップマージン、レフトマージン、ライトマージン、ボトムマージン、トップマージン、レフトマージン、ライトマージン、ボトムマージン、先端位置調整 CST1調整値、先端位置調整 CST2調整値、先端位置調整 CST3調整値、先端位置調整 CST4調整値、先端位置調整 手差し調整値、先端位置調整 ADU調整値、先端位置調整 TLCF調整値、先端位置調整 OLCF調整値、第1カセット アライニング量、第2カセット アライニング量、手差し給紙アライニング量、第3カセット アライニング量、第4カセット アライニング量、ADU給紙アライニング量、タンデムLCF給紙アライニング量、手差し後押し量調整、ドラムモータ速度微調整、レジストモータ速度微調整、転写ベルトモータ速度微調整、ヒートローラ速度微調整、給紙モータ速度微調整、定着排紙モータ速度微調整、スキューズレ量調整値、ポリゴンモータ停止時間、給紙リトライ回数設定値、マニュアルステイプルタイムアウト時間、位置合わせ用 連続印字中断指定時間[分]』が存在する。
また、システムに関する設定項目は、『電源投入時の白紙判定調整閾値のデフォルト設定値』が存在する。
【0032】
図11は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される設定項目の重みテーブルT8の具体例を示す図である。ここでは、設定項目の重みテーブルT8は、モデル名、設定コード、エラーの起こりやすさの度合いを表す重みのカラムによって構成されている。
【0033】
図12は、図1に示す保守アプリケーション用データベース132に記憶される保守優先度リストT9の具体例を示す図である。ここでは、保守優先度リストT9は、シリアル番号、モデル名、外れ値検出によって検出された設定値の外れ値の個数を意味する個数、優先的に保守されるべき度合いを表す優先度のカラムによって構成されている。本実施形態において、この保守優先度リストT9は、上述の保守優先度算出・表示アプリケーション131Eによって保守アプリケーション用データベース132内への登録・更新が行われる。
【0034】
なお、上述した本発明の一実施形態の構成は、あくまで一例であり、実際の実装はこの構成に限るものではない。例えば、保守アプリケーション用データベース132は、単一のテーブルによって構成されても、複数のテーブルから(リレーショナルデータモデルに基づいて)構成されても、csvファイルなど保守アプリケーション用データベース132の代替となるもので構成されてもよい。
【0035】
また、シリアル番号とモデル名を主キーとすることで、分析サーバSを含めた管理下にある画像形成装置を自社製品・他社製品にかかわらず、一意に決定することができる。このほかの組み合わせとしては、シリアル番号とメーカー名などが可能である。
【0036】
≪保守装置の操作画面≫
次に、保守装置10の操作画面について説明する。
【0037】
図13は、図1に示す保守装置10の初期画面D1の具体例を示す図である。ここでは、初期画面D1には、“機体情報の取得”ボタン50、“機体情報の分析”ボタン51、“サーバへ接続”ボタン52、“保守優先度表示”ボタン53のそれぞれ対応付けられた4つメニューが用意され、ユーザはこの中から実行したいメニューを入力装置19を操作して選択する。操作情報は、入力装置接続部15を通して保守装置10へ入力される。また、“終了”ボタンが押下されると初期画面D1が閉じられ、処理が終了する。なお、ここでいう『機体』とは画像形成装置Mを指し、画像形成装置Mは複合機、プリンタ、スキャナ、ファックス等により成っている。
【0038】
図14は、図1に示す保守装置における画面遷移の具体例を示す図である。同図に示されるように、保守装置10は、初期画面D1から遷移する複数の操作画面を有している。ここでは、初期画面D1からは機体情報の取得画面D2、サーバへ接続画面D3へ、機体情報の分析画面D4、保守優先度画面D6へとそれぞれ遷移でき、遷移先から戻れることが示されている。同様に、機体情報の分析画面D4からは設定の外れ値表示画面D5へ遷移でき、設定の外れ値表示画面D5から戻れる。また、保守優先度表示画面D6から機体情報の分析画面D4に遷移する場合もある。
【0039】
図15は、図1に示す保守装置10の機体情報の取得画面D2の具体例を示す図である。ここでは、機体のデータを格納した外部記録装置を指定する“ドライブ選択”コンボボックス54と、どの機体のデータを保守アプリケーション用データベース132に入力するかを指定させる“機体選択”リスト55と、“初期画面D1に戻る”ボタン56を備える。
【0040】
図16は、図1に示す保守装置10の分析サーバSへ接続画面D3の具体例を示す図である。この画面においては、“サーバへ接続”ボタン61、“統計データ取得”ボタン62があり、ボタンが押下されるとそれぞれの処理を実行する。また、“初期画面D1へ戻る”ボタン63が押下されると初期画面D1へ遷移する。
【0041】
図17は、図1に示す保守装置10の機体情報の分析画面D4の具体例を示す図である。この画面においては、“表示”ボタン72が押下されると“機体選択”コンボボックス71のリストで選択された機体のエラー情報や印刷枚数などのカウンタ情報を分析・集計し、機体のエラーの傾向や利用状況をエラー分析結果部73に図表で提示する。“初期画面D1へ戻る”ボタン74が押下されると初期画面D1へ遷移する。“設定の外れ値”ボタン75が押下されると、設定の外れ値表示画面D5へと遷移する。表示できる機体が複数ある場合は、“機体選択”コンボボックス71のリストから選択させる。
【0042】
図18は、図1に示す保守装置10の設定の外れ値表示画面D5の具体例を示す図である。この画面においては、外れ値リストT6の内容をリスト表示する外れ値表示部76と、“戻る”ボタン77があり、ユーザは、シリアル番号、モデル名、設定コード、設定値および同一モデルにおける設定値の平均値の関係を把握可能になっている。また、“戻る”ボタン77が押下されると機体情報の分析画面D4へ遷移する。
【0043】
図19は、図1に示す保守装置10の保守優先度表示画面D6の一例を示す説明図である。この画面においては、保守優先度リストTの内容をリスト表示する保守優先度表示部81と、“初期画面へ戻る”ボタン82があり、ユーザは、保守優先度(順位)、シリアル番号、モデル名、外れ値の個数および保守優先度の関係を把握可能になっている。また、“初期画面D1へ戻る”ボタン82が押下されると初期画面D1へ遷移する。
【0044】
≪保守装置全体の動作≫
以下、本実施形態の保守装置10の動作について、図20乃至図31を用いて詳細に説明する。図20は、保守装置10の動作の概要の具体例を示すフローチャートである。
S11において、画面遷移制御アプリケーション131Aは、初期画面D1を表示装置接続部14を介して表示装置18に表示し、ユーザの入力装置19からの入力を待つ。
S12において、画面遷移制御アプリケーション131Aは、初期画面D1において、“機体情報の取得”ボタン50が押下されたか否かを判定する。ここで、初期画面D1において、“機体情報の取得”ボタン50が押下されたと判定した場合(S12:YES)は、機体情報取得アプリケーション131Bを起動し、“機体情報の取得”を実行する(後述する図21)。これに対し、初期画面D1において、“機体情報の取得”ボタン50が押下されていないと判定した場合(S12:NO)は、S13へ進む。
【0045】
S13において、画面遷移制御アプリケーション131Aは、初期画面D1において、“機体情報の分析”ボタン51が押下されたか否かを判定する。ここで、初期画面D1において、“機体情報の分析”ボタン51が押下されたと判定した場合(S13:YES)は、機体情報分析アプリケーション131Cを起動し、“機体情報の分析”を実行する(後述する図24)。これに対し、初期画面D1において、“機体情報の分析”ボタン51が押下されていないと判定した場合(S13:NO)は、S14へ進む。
【0046】
S14において、画面遷移制御アプリケーション131Aは、初期画面D1において、“サーバへ接続”ボタン52が押下されたか否かを判定する。ここで、初期画面D1において、“サーバへ接続”ボタン52が押下されたと判定した場合(S14:YES)は、サーバ接続アプリケーション131Dを起動し、“サーバへ接続”を実行する(後述する図28)。これに対し、初期画面D1において、“サーバへ接続”ボタン52が押下されていないと判定した場合(S14:NO)は、S15へ進む。
【0047】
S15において、画面遷移制御アプリケーション131Aは、初期画面D1において、“保守優先度表示”ボタン53が押下されたか否かを判定する。ここで、初期画面D1において、“保守優先度表示”ボタン53が押下されたと判定した場合(S15:YES)は、優先度算出・表示アプリケーション131Eを起動し、“保守優先度表示”を実行する(後述する図30)。これに対し、初期画面D1において、“保守優先度表示”ボタン53が押下されていないと判定した場合(S15:NO)は、S16へ進む。
【0048】
S16において、画面遷移制御アプリケーション131Aは、初期画面D1において、“終了”ボタンが押下されたか否かを判定する。ここで、初期画面D1において、“終了”ボタンが押下されたと判定した場合(S16:YES)は、初期画面D1を閉じ、処理を終了する。これに対し、初期画面D1において、“終了”ボタンが押下されていないと判定した場合(S16:NO)は、S12へ戻る。
【0049】
≪機体情報の取得≫
図21は、『機体情報の取得』を説明するフローチャートである。この処理は、上述した図20のフローチャートに示すように、ユーザが初期画面D1において“機体情報の取得”ボタン50を押下した場合(図20のS12:YES)に画面遷移制御アプリケーション131Aから機体情報取得アプリケーション131Bが起動されることで実行される。
【0050】
S21において、機体情報取得アプリケーション131Bは、機体情報の取得画面D2を表示する。
S22において、機体情報取得アプリケーション131Bは、機体情報の取得画面D2において“初期画面へ戻る”ボタン56が押下されたか否かを判定する。ここで、“初期画面へ戻る”ボタン56が押下されたと判定した場合(S22:YES)、画面遷移制御アプリケーション131Aを起動し、初期画面D1へ戻る。これに対し、“初期画面へ戻る”ボタン56が押下されていないと判定した場合(S22:NO)は、機体情報取得アプリケーション131Bは、“ドライブ選択”コンボボックス54で外部記録装置を指定させると共に、読取部16にUSBメモリ等の外部記録装置の接続を促し(S23)、外部記録装置が接続されるとS24へ進む。
【0051】
S24において、機体情報取得アプリケーション131Bは、外部記録装置の中に保守アプリケーション用データベース132に追加できるデータがあるか否かを判定する。データは機体ごとに取り出せるように格納されており、データ取得は各機体のデータごとに行う。ここで、追加できるデータが存在すると判定した場合(S24:YES)は、機体情報取得アプリケーション131Bは、データ取得できるデータをもつ機体のシリアル番号とモデル名を機体選択リスト55へ追加し(S25)、S27へ進む。これに対し、追加できるデータが存在しないと判定した場合(S24:NO)は、S26へ進む。
【0052】
S26において、機体情報取得アプリケーション131Bは、取得できるデータがないことをポップアップ表示すると、初期画面D1へ戻る。
S27において、機体情報取得アプリケーション131Bは、取得できるデータが他にも存在するか否かを判定する。ここで、取得できるデータが他にも存在すると判定した場合(S27:YES)は、S25へ戻り、取得できるデータが存在する間は同様の処理を繰り返す。これに対し、取得できるデータが他には存在しないと判定した場合(S27:NO)は、機体情報の取得画面D2に取得リスト(機体選択リスト55)を提示し(S28)、S29へ進む。
【0053】
S29において、機体情報取得アプリケーション131Bは、機体情報の取得画面D2の取得リスト(機体選択リスト55)において“取り込む”ボタンが押下され、取得データが選択されたか否かを判定する。ここで、取得データが選択されたと判定した場合(S29:YES)は、機体情報取得アプリケーション131Bは、後述する図22のデータ取得処理へ進む。これに対し、取得データが選択されていないと判定した場合(S29:NOは、選択されるまで待機状態が維持される。
【0054】
[データの取得処理]
図22は、図21に示す『機体情報の取得』において実行される『データの取得処理』の具体例を示すフローチャートである。この処理は、上述のように取得したいデータが決定(図21のS29:YES)されると開始される。
【0055】
S31において、機体情報取得アプリケーション131Bは、選択された機体のシリアル番号、モデル名、エラー情報を取得する。具体的には、機体情報取得アプリケーション131Bは、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を用い、機体間の誤差を吸収しながらエラー情報を取得する。エラー情報はモデルやメーカーによって異なることが想定されるものの、データの規格化も進んでおり、ある程度の情報は各機体共通で取得できるものと思われる。そこで、より多くの情報を取得するため、ここではデータベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を用いている。なお、エラー情報とはシリアル番号、モデル名以外のデータを指し、駆動時間や印刷枚数などエラーとは直接関係のないデータも含まれる可能性がある。また、エラー情報はタイトル(データの種類)とデータ(値)で構成されるものとする。
【0056】
S32において、機体情報取得アプリケーション131Bは、S31で取得されたシリアル番号およびモデル名をもとに、保守アプリケーション用データベース132内の機体情報用テーブルT1を走査する。
【0057】
S33において、機体情報取得アプリケーション131Bは、取得したデータと同じ機体のデータが存在するか否か判定する。ここで、取得したデータと保守アプリケーション用データベース132内のデータそれぞれのシリアル番号とモデル名をキーとして走査した結果、この2項目が取得するデータと保守アプリケーション用データベース132内のデータで一致するものが存在すると判定した場合(S33:YES)は、これを上記“同じ機体”と判定し、下記“同じ機体が存在する場合”の処理を行うべくS34へ進む。これに対し、一致するものが存在しないと判定した場合(S33:NO)は、下記“同じ機体が存在しない場合”の処理を行うべくS39へ進む。
【0058】
S34において、機体情報取得アプリケーション131Bは、グローバルIDおよびローカルIDを取得し、S31で取得したデータに既存のデータと同じグローバルIDおよびローカルIDを発行する。そして、既存のレコードを削除(S35)した後、新たなレコードを作成し(S36)、取得するレコードのローカルID、グローバルID、シリアル番号、モデル名を機体情報用テーブルT1へ挿入し(S37、S38)、図23を用いて後述するエラー情報の挿入処理へ進む。
【0059】
S39において、機体情報取得アプリケーション131Bは、同じ機体のデータが存在しないことから、新たにローカルIDを発行する。このとき、ローカルIDは、データベース内で重複することがないように決定する。例えば、ローカルIDは正の整数値を取り、新たにローカルIDが発行される場合そのローカルIDは、発行したローカルIDのうち最大のものに+1とする。この手法ではローカルIDは発行するたびに1ずつ増えていくことになり、ローカルIDが重複することは無い。そして、機体情報用テーブルT1に新たなレコードを作成後(S40)、取得するデータのローカルID、シリアル番号、モデル名を挿入し(S41、S38)、後述する図23のエラー情報の挿入処理を行う。
【0060】
[エラー情報の挿入処理]
図23は、図22に示す『データの取得処理』の後に実行される『エラー情報の挿入処理』の具体例を示すフローチャートである。この処理は、上述のように既存データの有無の判定とレコード操作が完了した後に開始される。
【0061】
S51において、機体情報取得アプリケーション131Bは、エラー情報の中でチェックしていないデータが存在するか否かを判定する。これは、エラー情報の配列の長さに対する自身の位置などから判断する。ここで、チェックしていないデータが存在すると判定した場合(S51:YES)は、そのデータのタイトルを取得(チェック)し(S52)、S53へ進む。これに対し、チェックしていないデータが存在しないと判定した場合(S52:NO)は、エラー情報のチェックを終了し、初期画面D1へ戻る。
【0062】
S53において、機体情報取得アプリケーション131Bは、S52で取得したタイトルがエラー情報テーブルT2のカラム名に存在するタイトルと同一か否かを判定する。ここで、取得したタイトルがエラー情報テーブルT2のカラム名に存在するタイトルと同一と判定した場合(S53:YES)は、S54へ進む。これに対し、取得したタイトルがエラー情報テーブルT2のカラム名に存在するタイトルと同一でないと判定した場合(S53:NO)は、データベースカラム名・ログデータタイトル対応テーブルT3を参照し(S56)、S57へ進む。
【0063】
S57において、機体情報取得アプリケーション131Bは、対応テーブルT3に当該タイトルが存在するか否かを判定する。ここで、対応テーブルT3にタイトルが存在すると判定した場合(S57:YES)は、データの挿入先を対応するカラムに変更(S58)し、S54へ進む。これに対し、対応テーブルにタイトルが存在しないと判定した場合(S57:NO)は、S51に戻る。なお、上記対応テーブルには保守アプリケーション用データベース132のカラム名と、それに対応するエラー情報のタイトルが記録されており、これを参照することでエラー情報のタイトルの違いを修正することができる。
【0064】
S54において、機体情報取得アプリケーション131Bは、データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致するか否かを判定する。ここで、データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致すると判定した場合(S54:YES)は、データを挿入して(S55)、S51へ戻り、再度チェックしていないデータが存在するかどうかの判定を行う。これに対し、データの型がデータ挿入先のカラムのデータ型と一致しないと判定した場合(S54:NO)は、取得したデータをデータ挿入先のカラムのデータ型に変換(S59)した後に、データを挿入する(S55)。そして、S51に戻り、再度チェックしていないデータが存在するか否かの判定を行う。
【0065】
≪機体情報の分析≫
図24は、図13に示す初期画面D1において『機体情報の分析』を選択した場合の保守装置10の動作の具体例を示すフローチャートである。この処理は、上述した図20のフローチャートに示すように、ユーザが初期画面D1において“機体情報の分析”ボタン51を押下した場合(図20のS13:YES)に画面遷移制御アプリケーション131Aから機体情報分析アプリケーション131Cが起動されることで実行される。
【0066】
S61において、機体情報分析アプリケーション131Cは、図17に示すような機体情報の分析画面D4を表示する。
S62において、機体情報分析アプリケーション131Cは、保守アプリケーション用データベース132内の機体情報用テーブルT1を走査する。
【0067】
S63において、機体情報分析アプリケーション131Cは、分析可能なデータが存在するか否かを判定する。ここで、分析可能なデータが1件以上あると判定した場合(S63:YES)は、S65へ進む。これに対し、分析可能なデータは存在しないと判定した場合(S63:NO)は、S64へ進む。
【0068】
S64において、機体情報分析アプリケーション131Cは、分析できるデータがないことをポップアップで機体情報の分析画面D4に表示し、初期画面D1へ戻る。
【0069】
S65において、機体情報分析アプリケーション131Cは、機体情報の分析画面D4において“表示”ボタン72が押下されたか否かを判定する。ここで、“表示”ボタン72が押下されたと判定した場合(S65:YES)は、機体情報分析アプリケーション131Cは、選択されているリスト71の値を取得し(S66)、選択された機体のデータを分析し(S67)、選択された機体の分析結果を表示し(S68)、S70へ進む。これに対し、“表示”ボタン72が押下されていないと判定した場合(S65:NO)は、機体情報分析アプリケーション131Cは、S69へ進む。
【0070】
S69において、機体情報分析アプリケーション131Cは、機体情報の分析画面D4において“初期画面D1へ戻る”ボタン74が押下されたか否かを判定する。ここで、“初期画面D1へ戻る”ボタン74が押下されたと判定した場合(S69:YES)は、初期画面D1へ戻る。これに対し、“初期画面D1へ戻る”ボタン74が押下されていないと判定した場合(S69:NO)は、S70へ進む。
【0071】
S70において、機体情報分析アプリケーション131Cは、機体情報の分析画面D4において“設定の外れ値”ボタン75が押下されたか否かを判定する。ここで、機体情報の分析画面D4で設定の外れ値ボタン75が押下されたと判定した場合は(S70:YES)は、後述する図25の外れ値表示処理に進み、図18に示す設定の外れ値表示画面D5へ遷移する。これに対し、設定の外れ値ボタン75が押下されていないと判定した場合は(S70:NO)は、S65へ戻る。
【0072】
≪設定の外れ値表示≫
[設定の外れ値表示処理]
図25は、図17に示す機体情報の分析画面D4において『設定の外れ値』を選択した場合の保守装置10の動作の具体例を示すフローチャートである。
【0073】
S101において、機体情報分析アプリケーション131Cは、設定の外れ値表示画面D5を表示する。
【0074】
S102において、機体情報分析アプリケーション131Cは、外れ値検出処理を実行する。外れ値検出処理の詳細は図26を用いて後述する。
【0075】
S103において、機体情報分析アプリケーション131Cは、機体情報の分析画面D4において“戻る”ボタン74が押下されたか否かを判定する。ここで、“戻る”ボタン74が押下されたと判定した場合(S103:YES)は、機体情報分析アプリケーション131Cは、機体情報の分析画面D4へと復帰する。これに対し、“戻る”ボタン74が押下されていないと判定した場合(S103:NO)は、ボタンが押下されるまで待機状態が維持される。
【0076】
[外れ値検出処理]
図26は、図25のS102に示す『外れ値検出処理』の具体例を示すフローチャートである。この外れ値検出処理は、機体設定リストT4に含まれるすべてのデータを対象として実施する。外れ値検出処理は、USBメモリ20などの外部記録装置から機体情報を取り込むのと平行して実行してもよいし、既に取り込んでいるデータに対してユーザが任意に実行してもよい。ここでは後者の場合について説明する。
【0077】
S111において、機体情報分析アプリケーション131Cは、図7に示す機体設定リストT4からローカルIDとモデル名と設定コードと設定値を取り出す。
S112において、機体情報分析アプリケーション131Cは、図8に示す統計データリストT5から、モデル名と設定コードが一致する設定値を検索する。
【0078】
S113において、機体情報分析アプリケーション131Cは、モデル名と設定コードが一致する設定値が存在するか否かを判定する。ここで、一致する設定値が存在すると判定した場合(S113:YES)は、平均値、標準偏差および閾値を取得し、外れ値検出手法を適用する(S114)し、S115へ進む。
【0079】
尚、S114では、もし設定項目が名義尺度で平均値が計算されていなければ最頻値を取得し、設定値が最頻値に一致しなければ、これを外れ値とする。名義尺度の場合の外れ値度は、外れ値である(=1)、外れ値でない(=0)の2値で表す。これに対し、一致する行がないと判定した場合は(S113:NO)、S111へ戻り、次の設定コードの処理に移る。具体的な外れ値検出手法については後述する。
【0080】
S115において、機体情報分析アプリケーション131Cは、設定値が外れ値か否かを判定する。ここで、設定値が外れ値であると判定した場合(S115:YES)は、機体情報用テーブルT1からローカルIDに一致する行を検索し、シリアル番号を取得し、シリアル番号とモデル名と設定コードと設定値と最頻値と外れ値度とを図9に示すような外れ値リストT6に追加し(S116)、S117へ進む。これに対し、設定値は外れ値ではないと判定した場合(S115:NO)は、S117へ進む。
【0081】
S117において、機体情報分析アプリケーション131Cは、未処理の設定値の有無を判定する。ここで、未処理の設定値が有ると判定した場合(S117:YES)は、ステップ111へ戻り、同様の処理を未処理の設定値がなくなるまで継続する。すなわち、機体設定リストT4に登録されているすべてのモデル名と設定コードについて実施する。これに対し、未処理の設定値は無いと判定した場合S117:NO)は、処理を終了する。
【0082】
以下、外れ値の検出方法について詳細に説明するが、基本的には設定値に関する外れ値度を計算して、それが閾値を超えたら外れ値と判定する。
例えば、設定値が正規分布に従うと仮定して、設定値が平均値より標準偏差の3倍より大きければ外れ値とみなす方法がある。設定値をx、平均をμ、標準偏差をσとすると、外れ値度は |x−μ|/σ であり、閾値を3とすれば、次の条件式(1)を満たせば外れ値である。
【0083】
|x−μ|/σ>3 ・・・(1)
この手法は外れ値検出として一般的であり、通常はこの手法を用いる。標準偏差の3倍ではなく、2倍にすることもある。この場合、より多くの設定値を外れ値として取り出すことができる。
【0084】
また、マハラノビス距離Dを外れ値度として外れ値検出を行ってもよい。マハラノビス距離Dは次の式(2)ように定義される。
【数1】

ここで、Σは分散共分散行列を表す。複数の設定値に互いに関係があり、分散共分散行列を予め分析サーバSで計算していた場合はこの式を使うと良い。互いに関係のある設定値はなく、単独の設定値を評価するときのマハラノビス距離Dは下記の式(3)で表され、このマハラノビス距離Dが所定の閾値を超えたら、xを外れ値と決定する。
【数2】

各設定項目には設計段階で決まる推奨設定の範囲があり、この範囲を超えたものを外れ値とみなすことができる。閾値の下限をθl、閾値の上限をθhとすると、次の式(4)を満たす設定値xが外れ値となる。
【0085】
x<θl, θh<x ・・・(4)
この場合の外れ値度は、外れ値である(=1)、外れ値でない(=0)の2値で表される。
【0086】
以上、3種類の外れ値検出手法を例示したが、手法はこれだけに限定されるものではない。例えば、スミルノフ・グラブス検定のような、統計的に外れ値を選択する手法を採用することも可能である。
【0087】
外れ値検出処理が終わったら、外れ値リストT6の内容を外れ値表示部76に表示して、ユーザに注意を促す。このとき、平均値を持たない設定コードは、代わりに最頻値を表示する。例えば、図18に示す設定の外れ値表示画面D5のように、機体ごとに一般的でない設定をした設定項目を列挙し、設定の参考となる指標を示すことで、ユーザに設定値を見直すことを促すことで、潜在的なエラーを未然に防ぐことができる。
【0088】
図27は、図1に示す保守装置10の現像バイアス電位設定の設定値が不適切な場合の説明図である。図27において、(1)現像バイアス電位、(2)中間長の露光電位、また、(2)ベタ画像の露光電位としたとき、(1)<(2)の場合は現像が行われるが、(1)>(2)となれば現像されない場合が生じる。このような設定値が不適切であると不具合を生じる場合があるが、これを未然に防ぐために、機体の設定値がどのくらい一般的な設定方法から外れているかをユーザに示すものとする。
【0089】
機体の設定情報は保守装置10の保守アプリケーション用データベース132では、図7に示す機体設定リストT4のようなテーブル構造で保存される。機体設定リストT4は、ローカルIDとモデル名と設定コードと設定値で構成される。また、個々の設定項目は設定コードで表現され、ある設定項目はモデル名と設定コードで一意に定まる。
【0090】
設定の外れ値を決定するためには、先ず、平均的な設定値を知る必要があり、これは分析サーバSから統計データとして取得する。分析サーバSは、図3に示すように市場の画像形成装置MとネットワークNで接続されており、設置先の許可が得られている画像形成装置Mについて、エラー情報および設定情報を機体のグローバルIDとともに定期的に収集している。統計データは、ネットワークN経由で収集した市場の機体データと、保守装置10を用いてネットワーク非接続の機体から収集したデータに基づいて、分析サーバS上で予め計算しておくものであり、定期的に更新される。
【0091】
統計データは機体の種別ごとの設定コードごとに、平均値、標準偏差、サンプル数を集計したものが基本である。他に、設定値が連続値でない場合、例えば属性が名義尺度であるときは、平均値は求められないので、最頻値を求めておく。また、外れ値を判定するために、設定ごとに予め指定された閾値(上限、下限)がある。これは画像形成装置の設計時に想定した設定範囲であるか、経験的に決められる値である。平均値は設定項目の性質によっては算術平均でなく中央値であってもよい。複数の設定が互いに関連を持つなら、設定値間の共分散を求めて統計データに含めることで、後述するマハラノビス距離による外れ値検出に利用することも可能である。
【0092】
また、外れ値の検出精度を上げるために、統計データでなく、集約する前の膨大な生データなど、より多くのデータをサーバSから取得することはもちろん可能である。しかし、保守装置10はサービスマンが持ち運ぶモバイル端末を想定しており、CPUや記憶容量などの機能に制限があることを考えると、分析サーバSからダウンロードして保管するデータはより少ないほうが好ましい。
【0093】
≪サーバへ接続≫
図28は、図13に示す初期画面D1において『サーバへ接続』を選択した場合の保守装置の具体例を示すフローチャートである。この処理は、上述した図20のフローチャートに示すように、ユーザが初期画面D1において“サーバへ接続”ボタン52を押下した場合(図20のS14:YES)に画面遷移制御アプリケーション131Aからサーバ接続アプリケーション131Dが起動されることで実行される。
【0094】
S71において、サーバ接続アプリケーション131Dは、サーバSへ接続画面D3を表示する。
S72において、サーバ接続アプリケーション131Dは、サーバへ接続画面D3において“サーバへ接続”ボタン61が選択されたか否かを判定する。ここで、“サーバへ接続”ボタン61が選択されたと判定した場合(S72:YES)は、S72へ進む。これに対し、“サーバへ接続”ボタン61が選択されていないと判定した場合(S72:NO)は、S81へ進む。
【0095】
S73において、サーバ接続アプリケーション131Dは、通信部17を通して、データ収集用の分析サーバSへアクセスできることを確認する。ここで、分析サーバSに接続できると判定した場合(S73:YES)は、サーバ接続アプリケーション131Dは、保守アプリケーション用データベース132内の機体情報用テーブルT1を検索し(S74)、S75へ進む。これに対し、分析サーバSに接続できないと判定した場合(S73:NO)は、S80へ進む。
【0096】
S75において、サーバ接続アプリケーション131Dは、グローバルIDがまだ割り振られていないデータが存在するか否かを判定する。ここで、グローバルIDがまだ割り振られていないデータが存在すると判定した場合(S75:YES)は、S76へ進む。これに対し、当該データが存在しないと判定した場合(S75:NO)は、S78へ進む。
【0097】
S76において、サーバ接続アプリケーション131Dは、分析サーバSへシリアル番号とモデル名をアップロードするとともに、グローバルIDの発行を要求する。このS76においては、アプリケーション自身にIDが振られている場合、あるいは、MACアドレスなど何らかの方法で分析サーバSが分析サーバSにアクセスしているアプリケーションを識別できる場合、サーバ接続アプリケーション131Dは、シリアル番号とモデル名をアップロードする代わりに、ローカルID(とアプリケーションを認識するための情報)をアップロードすることでもグローバルIDを要求することができる。
【0098】
しかし、同一機体を複数のサービスマンが訪問した場合などを考慮すると、シリアル番号とモデル名など、アプリケーションに依存せず機体を特定できる情報をアップロードすることが好ましい。
【0099】
S77において、サーバ接続アプリケーション131Dは、分析サーバSからグローバルIDが発行されたら、それを受信して、グローバルIDカラムへ挿入し、S74へ戻る。
【0100】
S78において、サーバ接続アプリケーション131Dは、全ての機体にグローバルIDが振られたら、アップロードしていない機体が存在するか否かを判定する。ここで、アップロードしていない機体が残っていると判定した場合(S78:YES)は、グローバルIDとエラー情報を分析サーバSへアップロードし(S79)、S78へ戻る。これに対し、アップロードしていない機体が残っていないと判定した場合(S78:NO)は、初期画面D1へ戻る。
【0101】
尚、上述のS79において、サーバ接続アプリケーション131Dは、エラー情報のほかに、機体の設定情報も保守アプリケーション用データベース132に取り込むことができる。「機体の設定」とは、例えばスキャン位置の調整、用紙の上下左右のマージン調整、モータの速度調整などの、画像形成装置の動作に関わる設定項目である。あるいは、ファームウェアのバージョンのような、機体の状態を表す項目も含む。ユーザは、機体の利用頻度や用途に合わせて、これらの設定値を工場出荷時の状態から変更することができる。
【0102】
このとき、誤って意図していない設定値に設定してしまったり、あまり一般的でない設定値に設定したりしてしまうことがある。どのような値でも設定として反映されてしまった以上、これ自体はエラーとはいえず、設定した当人は気付きにくい。しかし、その状態で動作させ続けることで、設定値の組合せによっては結果として、潜在的に機体がエラーを引き起こす可能性が高まっていく。本実施形態では、このような設定値については、後述する外れ値検出処理で対処する。
【0103】
S81において、サーバ接続アプリケーション131Dは、“統計データを取得”ボタン62が選択されたか否かを判定する。ここで、“統計データを取得”ボタン62が選択されたと判定した場合(S81:YES)は、統計データ取得処理を行い(S82)、S72へ戻る。統計データ取得処理の詳細については図29を用いて後述する。これに対し、“統計データを取得”ボタン62が選択されていないと判定した場合(S81:NO)は、S83へ進む。
【0104】
S83において、サーバ接続アプリケーション131Dは、“初期画面へ戻る”ボタン63が選択されたか否かを判定する。ここで、“初期画面へ戻る”ボタン63が選択されたと判定した場合(S83:YES)は、初期画面D1へ戻る。これに対し、“初期画面へ戻る”ボタン63が選択されていないと判定した場合(S83:NO)は、S72へ戻る。
【0105】
[統計データ取得処理]
図29は、図28のS82に示す『統計データ取得処理』の具体例を示すフローチャートである。
S91において、サーバ接続アプリケーション131Dは、“サーバSへ接続画面D3において統計データ取得ボタン62が入力されると、統計データ取得処理を開始する。最初に機体設定リストT4に含まれるすべてのモデル名を、重複を除いてリストとして取得する。
【0106】
S92において、サーバ接続アプリケーション131Dは、通信部17を介して、モデル名リストと統計データ取得要求を分析サーバSに送信する。
S93において、サーバ接続アプリケーション131Dは、分析サーバSは受信したモデル名リストに該当するモデル名について、予め計算されている統計データリストを送信し、保守装置10でこれを受信する。
【0107】
S94において、サーバ接続アプリケーション131Dは、既存の統計データリストT5を新たに取得した統計データリストで更新し、統計データ取得処理を終了する。なお、設定項目の重みテーブルT8は、頻繁に更新する必要はないものの、統計データリストT5と同時にサーバから取得して更新することは可能である。
【0108】
≪保守優先度表示≫
[保守優先度表示処理]
図30は、図13に示す初期画面D1において『保守優先度表示』を選択した場合の保守装置の具体例を示すフローチャートである。この処理は、上述した図20のフローチャートに示すように、ユーザが初期画面D1において“サーバへ接続”ボタン52を押下した場合(図20のS15:YES)に画面遷移制御アプリケーション131Aから保守優先度算出・表示アプリケーション131Eが起動されることで実行される。
【0109】
S121において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、保守優先度算出処理を実行する。この保守優先度算出処理の詳細については図31を用いて後述する。
S122において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、アプリケーション用データベース132に格納されている保守優先度リストT9を保守優先度表示画面D6に表示する。
【0110】
S123において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、保守優先度表示画面D6において“初期画面へ戻る”ボタン82が押下されたか否かを判定する。ここで、“初期画面へ戻る”ボタン82が押下されたと判定した場合(S123:YES)は、初期画面D1へ戻る。これに対し、“初期画面へ戻る”ボタン82が押下されていないと判定した場合(S123:NO)は、S124へ進む。
【0111】
S124において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、保守優先度表示画面D6の優先度リストにおいて機体の行が選択されたか否かを判定する。ここで、機体の行が選択されたと判定した場合(S124:YES)は、当該機体に関する機体情報の分析画面D4に遷移する。これに対し、機体の行が選択されていないと判定した場合(S124:NO)は、S123へ戻る。
【0112】
[保守優先度算出処理]
図31は、図30のS121に示す『保守優先度算出処理』の具体例を示すフローチャートである。この処理は、少なくとも1機体以上のデータが外れ値リストT6に格納されていなければ実行されないものとする。
【0113】
S131において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、最初に外れ値リストT6をシリアル番号とモデル名に関してソートする。
S132において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、外れ値リストT6に取得できるデータが存在するか否かを判定する。ここで、取得できるデータが存在すると判定した場合(S132:YES)は、シリアル番号とモデル名を取り出し(S133)、S134へ進む。これに対し、取得できるデータが存在しないと判定した場合(S132:NO)は、S140へ進む。
【0114】
S134において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、保守優先度リストT9を参照し、取得したシリアル番号とモデル名が新しいシリアル番号とモデル名であるか否かを判定する。ここで、新しいシリアル番号とモデル名であると判定した場合(S134:YES)は、すなわち、データを取得したときにシリアル番号とモデル名が変わったら、シリアル番号とモデル名と個数と優先度を保守優先度リストに出力し(S135)、優先度と個数を0に初期化(S136)して、S137へ進む。これに対し、新しいシリアル番号とモデル名ではないと判定した場合(S134:NO)は、S137へ進む。
【0115】
S137において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、モデル名と設定コードに関する重みを設定項目の重みテーブルT8から取得する。そして、外れ値度と重みの積を求め、優先度に加算し(S138)、外れ値の個数に1を加算する(S139)と、S132へ戻り、取得できるデータが存在する間、同様の処理を繰り返す。
【0116】
S140において、保守優先度算出・表示アプリケーション131Eは、取得できるデータがなくなったことから、最後の機体の情報を保守優先度リストT9に出力して、保守優先度算出処理を終了する。
【0117】
このように、本実施形態に係る保守装置10においては、分析サーバSで収集した市場データの統計情報に基づいて、機体設定の統計値と機体設定を比較して外れ値を検出し、保守装置10の画面に提示する。そして、外れ値に基づいて機体の保守優先度を算出することにより、保守装置で管理する機体数が増加しても、優先的に設定値を確認すべき機体が分かるため、エラーの発生を未然に防止できる効果を奏する。すなわち、オンライン時に予め統計情報を分析サーバSから保守装置10内にダウンロードしておくことで、現場において優先度の高い機体から保守作業を順次行うことが可能となる。また、サービスマンがサービスセンタに帰った後、保守装置10を分析サーバSにオンライン接続すれば、保守装置10内の設定情報で分析サーバSを更新できると共に、保守装置10内に最新の統計情報が得られるため、サービスマンは自己の担当する多数の機体間における保守優先度を更に高い精度で得ることも可能となり、後の保守作業の効率化に寄与できる。
【0118】
また、本実施形態では、保守優先度を外れ値度と設定項目ごとに予め定義された重みとの積の総和に基づいて算出したが、外れ値の個数に基づいて決定してもよい。例えば、分析サーバSから取得した統計情報と比較して、機体Aに外れ値が20項目、機体Bに外れ値が25項目、機体Cに外れ値が8項目において検出された場合には、機体B、機体A、機体Cの順に保守優先度を決定することもできる。これは、設定項目間で重みを予め定義することが難しい場合に有用である。
【0119】
更に、本実施形態で示した各種の処理は、ハードウェアにより実現されてもよいし、CPU等の演算部11がメモリ等の補助記憶部13に格納されたコンピュータプログラムを実行することでも実現することができる。従って、本発明の実施形態は、電子回路等のハードウェアとして捉えることも可能であるし、コンピュータプログラムとして捉えることも可能となる。
【0120】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
10…保守装置
11…演算部
12…主記憶部
13…補助記憶部
14…表示装置接続部
15…入力装置接続部
16…読取部
17…通信部
18…表示装置
19…入力装置
131…保守アプリケーション
131A…画面遷移制御アプリケーション
131B…機体情報取得アプリケーション
131C…機体情報分析アプリケーション
131D…サーバ接続アプリケーション
131E…保守優先度算出・表示アプリケーション
132…保守アプリケーション用データベース
M…画像形成装置
N…ネットワーク
S…分析サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
保守作業の対象となる機体のシリアル番号、モデル名、設定項目および設定値を含む設定情報を格納した記録媒体を読み取る読取部と、
ネットワーク接続されたサーバから前記モデル名ごとに、前記設定情報に関する統計情報を取得する通信部と、
前記読取部が読み取った前記設定情報を前記通信部が取得した前記統計情報と比較して前記設定値に係る外れ値度を算出する外れ値度算出部と、
前記外れ値度算出部で算出された前記外れ値度を前記シリアル番号ごとに集計すると共に、前記集計の結果に基づいて前記シリアル番号ごとに前記保守作業における優先度を算出する保守優先度算出部と、
を具備することを特徴とする保守装置。
【請求項2】
前記保守優先度算出部は、前記設定項目ごとに予め定義した重みと、前記外れ値度との積の総和に基づいて前記優先度を前記シリアル番号ごとに算出することを特徴とする請求項1記載の保守装置。
【請求項3】
前記保守優先度算出部は、前記外れ値の個数の総和に基づいて前記優先度を前記シリアル番号ごとに算出することを特徴とする請求項1記載の保守装置。
【請求項4】
前記読取部が読み取る前記記録媒体は、USBメモリであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載の保守装置。
【請求項5】
保守作業の対象となる機体のシリアル番号、モデル名、設定項目および設定値を含む設定情報を格納した記録媒体を読み取る読取ステップと、
ネットワーク接続されたサーバから前記モデル名ごとに、前記設定情報に関する統計情報を取得する通信ステップと、
前記読取ステップで読み取った前記設定情報を前記通信ステップで取得した前記統計情報と比較して前記設定値に係る外れ値度を算出する外れ値度算出ステップと、
前記外れ値度算出ステップで算出された前記外れ値度を前記シリアル番号ごとに集計すると共に、前記集計の結果に基づいて前記シリアル番号ごとに前記保守作業における優先度を算出する保守優先度算出ステップと、
を具備することを特徴とする保守方法。
【請求項6】
前記保守優先度算出ステップは、前記設定項目ごとに予め定義した重みと、前記外れ値度との積の総和に基づいて前記優先度を前記シリアル番号ごとに算出することを特徴とする請求項5記載の保守方法。
【請求項7】
前記保守優先度算出ステップは、前記外れ値の個数の総和に基づいて前記優先度を前記シリアル番号ごとに算出することを特徴とする請求項5記載の保守方法。
【請求項8】
前記読取ステップにおいて読み取られる前記記録媒体は、USBメモリであることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか一項記載の保守方法。
【請求項9】
保守作業の対象となる機体のシリアル番号、モデル名、設定項目および設定値を含む設定情報を格納した記録媒体を読み取る読取ステップと、
ネットワーク接続されたサーバから前記モデル名ごとに、前記設定情報に関する統計情報を取得する通信ステップと、
前記読取ステップで読み取った前記設定情報を前記通信ステップで取得した前記統計情報と比較して前記設定値に係る外れ値度を算出する外れ値度算出ステップと、
前記外れ値度算出ステップで算出された前記外れ値度を前記シリアル番号ごとに集計すると共に、前記集計の結果に基づいて前記シリアル番号ごとに前記保守作業における優先度を算出する保守優先度算出ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする保守プログラム。
【請求項10】
前記保守優先度算出ステップは、前記設定項目ごとに予め定義した重みと、前記外れ値度との積の総和に基づいて前記優先度を前記シリアル番号ごとに算出することを特徴とする請求項9記載の保守プログラム。
【請求項11】
前記保守優先度算出ステップは、前記外れ値の個数の総和に基づいて前記優先度を前記シリアル番号ごとに算出することを特徴とする請求項9記載の保守プログラム。
【請求項12】
前記読取ステップにおいて読み取られる前記記録媒体は、USBメモリであることを特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか一項記載の保守プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate


【公開番号】特開2013−69038(P2013−69038A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205904(P2011−205904)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】