説明

信号処理装置、データ送信方法

【課題】 例えばIICバス通信において、マスターからデバイスへの送信データ量の削減を図り、通信速度の向上を図る。
【解決手段】同一デバイスに対する前回の送信データからの今回の送信データの変化部分を検出すると共に、検出した変化部分が1つのみである場合は、その変化部分のみを含む送信データを生成してこれを送信し、検出した変化部分が複数あって、それらの間に2つ以上連続した無変化部分がある場合は、上記2つ以上連続した無変化部分を境にそれぞれ分かれて形成されるデータ領域ごとに、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成してそれらを送信し、検出した変化部分が複数あってそれらの間に2つ以上連続した無変化部分がない場合は、検出された全ての変化部分を含む1つの送信データを生成してこれを送信する。これによって通常のIICバス通信を行う場合、及び変化部分のみを個別に送信する従来の手法と比較して、データ量を必ず同等以下に抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの送信先デバイスを指定するためのデバイス指定情報と、デバイスにおける送信データの書込開始アドレスを示す書込開始位置情報とを付加した送信データにより、所要のデバイスとの間でバス通信を行う信号処理装置と、そのデータ送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子機器における各デバイス間のデータ通信として、IIC(Inter IC)バス通信が知られている。
図5(a)は、IICバス通信における通信データ構造を模式的に示している。
周知のようにIICバス通信では、図中のスレーブアドレス(Slave Address)により、データの送信先デバイスを指定できるようになっている。具体的に、マスターである例えばマイクロコンピュータ等は、図中先頭のスタート(Start)によりバスの状態をスタートコンディションとした上で、スレーブアドレスの値として特定のデバイスを示す値をバスに送出する。このとき、送出されたスレーブアドレスはバスを介して全てのデバイスに供給されるが、その値に該当するデバイスのみが続くACK(aknowledge)においてマスターに返信を行うことで、当該デバイス(スレーブ)とマスターとの接続が確立される。
【0003】
マスターは、続くサブアドレスにより、デバイスにおけるデータの書込開始アドレスを指定する。つまり、例えばデバイス側がメモリであればデータの書込を開始すべきアドレスを指定する情報となり、他のデバイスであれば書込を開始すべきレジスタのアドレスを指定する情報となる。このサブアドレスの後にも、デバイス側でその情報が正常に受信された旨を返信するためのACKが設けられる。
なおこの際、スレーブアドレス、サブアドレスは共に1バイトとされ、またACKは共に1ビットとされる。従って、これらスレーブアドレス、サブアドレスの送信は、それぞれACKを加えた計9ビットの単位で行われる。
【0004】
このようなスレーブアドレス、サブアドレスの送信が完了した上で、マスター側から実際にデバイス側に書込を行わせる実データ(Data1〜Datan)の送信が行われる。実データの送信としても、1バイト+ACKの計9ビットを1ユニットとして行われる。
この場合マスターは、1バイトの実データの送信ごとにデバイス側からのACKを待機し、ACKが返信されることに応じて次の実データを送信するという動作を繰り返す。一方スレーブとしてのデバイス側は、送信されてくる実データをサブアドレスにより指定されたアドレス情報に従った位置から書込を開始し、書込完了ごとにACKをマスターに返信する。
そして、マスター側は、最後の実データの送信後、デバイス側からのACKの返信に応じ、図中ストップ(Stop)によりバスの状態をストップコンディションとすることで、通信を終了する。
このようにしてIICバス通信では、送信データに送信先デバイスを指定するためのスレーブアドレスと、デバイス側での書込開始位置を示すサブアドレスとを付加したデータ通信を行うことで、所望のデバイスにおける所望の書込位置にデータを書き込ませるようにしてデータ送信を行うことができる。
【0005】
ところで、このようなIICバス通信を行う場合としても、通信速度の向上は製品の品質を高める上で非常に重要となる。そこで、従来のIICバス通信においては、通信速度の向上を目的として、送信データ中の実データが変化した部分(変化部分)を検出し、この変化部分のみを個別に送信するといった技術が提案されている。
【0006】
図6は、先の図5(a)に示した通常のIICバス通信を行う場合の通信データ量と、上記のような変化部分のみを個別に送信する従来技術の場合での通信データ量とについて比較した図である。
なお、この図では説明の便宜上、各送信データの構造として先の図5(a)に示したStart、ACK、Stopをそれぞれ省略して示している。また、この図では、送信データに含まれる実データ領域が8バイト分である場合を例示している。
先ず、図示するようにして、この場合の送信データの変化部分としては、Data1〜Data8の実データ領域のうちのData1、Data3、Data8であったとする。
通常の通信を行う場合では、図6(a)に示されるように、通信データ量は10バイト分が必要となる。
【0007】
これに対し、変化部分のみを個別に送信する場合は、図6(b)に示されるように、送信データは「SLadd(スレーブアドレス)+SBadd(サブアドレス)+Data1」、「SLadd+SBadd+Data3」、「SLadd+SBadd+Data8」より、合計で9バイトとなる。
つまり、この場合は通常の通信を行った図6(a)の場合と比較して、1バイト分の通信データ量の削減を図ることができる。
【0008】
なお、関連する従来技術については下記の特許文献を挙げることができる。
【特許文献1】特開平6−97864号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記のような従来の手法は、変化部分が少ないときには有効な手法であると言えるが、変化部分が増加すると通信データ量を有効に削減できなくなってしまう場合もある。これは、図6(b)からも明らかなように、IICバス通信では送信データごとにスレーブアドレスとサブアドレスとを付加しなければならないという制約があるためである。
このことから、変化部分のみを個別に送信する従来の手法は、通信データ量削減のための最適な手法であるとは言い難い。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明では以上のような問題点に鑑み、信号処理装置として以下のように構成することとした。
つまり、データの送信先デバイスを指定するためのデバイス指定情報と、上記データのデバイスにおける書込開始アドレスを示す書込開始位置情報とを付加した送信データにより、所要のデバイスとの間でバス通信を行う信号処理装置において、
同一デバイスに対する前回の送信データからの今回の送信データの変化部分を検出すると共に、検出した変化部分が1つのみである場合は、その変化部分のみを含む送信データを生成してこれを送信し、
検出した変化部分が複数あって、それらの間に2つ以上連続した無変化部分がある場合は、上記2つ以上連続した無変化部分を境にそれぞれ分かれて形成されるデータ領域ごとに、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成してそれらを送信し、
検出した変化部分が複数あってそれらの間に2つ以上連続した無変化部分がない場合は、検出された全ての変化部分を含む1つの送信データを生成してこれを送信する送信手段を備えるようにした。
【0011】
ここで、上記のように本発明では、検出された変化部分が1つのみである場合にはその変化部分のみを含む送信データを生成するので、変化部分が1つのみのときは従来手法と同等の通信データ量とすることができる。
また、検出された変化部分が複数ある場合は、それらの変化部分の間に2以上連続する無変化部分があるときは、この無変化部分を境にそれぞれ分かれて形成されるデータ領域ごとに変化部分から変化部分までを含む送信データを生成し、上記2以上連続する無変化部分がない場合は、全ての変化部分を含む1つの送信データを生成するものとしている。つまり、このような本発明によれば、換言すると、無変化部分が2未満であるときは、これを挟む変化部分を別々の送信データに分けて送信しないものとなる。
このようにして、無変化部分が2未満であるときは送信データを分けないことで、通信データ量は、従来の変化部分のみを個別に送る場合よりも削減することが可能となる。
例えば、送信データ中にある2つの変化部分を抽出して考えた場合、従来手法では、これらを必ず分けて送信するので、通信データ量は、(デバイス指定情報+書込位置指定情報+変化部分)×2より、必ず6つ分が必要となる。
しかし、これら2つの変化部分としては、間の無変化部分の数が0(つまり2つの変化部分が連続している場合)〜1つとなる場合も想定でき、これらの場合、本発明では送信データを分けないようにしているものである。これによると、間の無変化部分が0のとき、送信データを分けないことで2つ分のデータ量が従来手法よりも削減される。つまり、上記もしているように従来の場合は2つの変化部分がある場合は必ずこれらの変化部分を分けて送信するので、通信データの増加分は(デバイス指定情報+書込位置指定情報+変化部分)の「3」であるのに対し、本発明の場合は1つの変化部分の増加のみの「1」とすることができるからである。同様に、間の無変化部分が1つのときは、1つ分のデータ量が削減されるものとなる。このようにして本発明の手法によれば、変化部分が複数あってそれらの間の無変化部分が2未満のときは、必ず従来手法よりも通信データ量を削減することができる。
ここで、上記もしたように変化部分が1つのみのときは従来手法と同等のデータ量となる。また、変化部分間の無変化部分が2以上あって送信データを分けたときにも、同様に通信データ量は同等以下となる。このことより、本発明によれば、通信データ量は常に従来手法以下に抑えることができる。
また、無変化部分も全て含んだ1つの送信データとする通常の手法との比較でも、本発明によれば必ず通信データ量を同等以下に抑えることができる。つまり、2つ以上連続する無変化部分があって送信データを分けたとしても、この2つ以上連続する無変化部分に相当する2以上の領域については必ず削除されることになるので、これによって通信データを分けたことによるデバイス指定情報+書込位置指定情報の2つ分の増加を相殺してなおそれ以上の削減ができる可能性があり、よって通信データ量は必ず同等以下に抑えることができる。また、2つ以上連続する無変化部分がない場合としても、本発明では1つの送信データにより全ての変化部分を送信するので、無変化部分も含む全てのデータを送信する通常の手法の場合よりもデータ量が増えることはない。
これらより、通常の通信を行う場合と比較しても、本発明によれば通信データ量を必ず同等以下に抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
上記のようにして本発明によれば、データの送信先デバイスを指定するためのデバイス指定情報と、上記データのデバイスにおける書込開始アドレスを示す書込開始位置情報とを付加した送信データにより、所要のデバイスとの間でバス通信を行う場合において、通信データ量を、従来の変化部分のみを個別に送信する場合、及び通常の通信を行う場合と比較して必ず同等以下に抑えることができる。
つまりは、本発明によれば、常に従来手法や通常手法以上に高速な通信速度を保つことができ、これによって通信時間としても従来手法以下に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明していく。

<第1の実施の形態>

図1は、本発明における第1の実施の形態としての信号処理装置を備えて構成されるテレビジョン受像機1の内部構成を示したブロック図である。
第1の実施の形態のテレビジョン受像機1としては、地上波デジタル放送に対応したテレビジョン受像機とされる。そして、図示する多画面生成部6を備えていることで、例えば図中メインチューナ部2Mとサブチューナ部2Sとによりそれぞれ選局された異なる放送局の放送内容を同一画面上に表示することが可能とされている。
また、このテレビジョン受像機1において、図中マイコン(マイクロコンピュータ)13と、バス16を介して接続された各デバイスとの間のデータ通信には、IIC(Inter IC)バス通信が採用される。なお、IICバス通信の手法については周知であるとしてここでの詳細な説明は省略する。
【0014】
図1において、先ず、地上波デジタル放送による放送信号は、図示するアンテナ19によって受信され、内蔵のLNB(Low Noize Block Down Converter)によって所定の高周波信号に変換され、テレビジョン受像機1内に設けられたメインチューナ部2Mとサブチューナ部2Sとに分岐して入力される。
メインチューナ部2M、サブチューナ部2Sは、フロントエンド部、デマルチプレクサ、MPEG2(Moving Picture Experts Group Layer2)デコーダなどを備え、上記のように所定の周波数に変換された受信信号としてマイコン13からの指示に基づき決定されるキャリア(受信周波数)を受信するようにされると共に、さらに、マイコン13からの指示に基づく選局動作も行うようにされる。
これらメインチューナ部2M、サブチューナ部2Sでは、上記フロントエンド部により、マイコン13からの指示に基づき決定されるキャリア(受信周波数)を受信し、これにビタビ復調処理等の復調処理や誤り訂正処理等を施すことで、TS(Transport Stream)を得る。そして、上記デマルチプレクサにより、このように得られたTSからマイコン13により設定されたフィルタ条件に従って必要なTSパケットを分離することで、目的とする1つのプログラムについてのTSパケットとして、例えば映像番組としての、MPEG2方式により圧縮されたビデオデータのTSパケットと、MPEG2方式により圧縮されたオーディオデータのTSパケットを得る。
その上で、上記MPEG2デコーダによりこれら圧縮されたビデオデータとオーディオデータとについてのデコード処理を行って、それぞれデジタルビデオデータとデジタルオーディオデータとを得る。
このようにしてメインチューナ部2M、サブチューナ部2Sにて得られたそれぞれのデジタルビデオデータ、デジタルオーディオデータは、AVスイッチ3に供給される。
【0015】
AVスイッチ3は、図示する外部入力端子Tinと、上記メインチューナ部2Mとサブチューナ部2Sとから供給される、それぞれ3系統のビデオデータとオーディオデータとの入力について、ビデオデータについては3入力2出力、オーディオデータについては3入力1出力の選択切り換えを行う。
3入力のうちから選択された2出力のビデオデータについては、図示するようにVideo1、Video2として、第1映像信号処理部4、第2映像信号処理部5に対して供給される。
また、3入力のうちから選択された1出力のオーディオデータは、音声信号処理部9に供給される。
このAVスイッチ3の切り換え制御は、バス16を介して接続されたマイコン13により行われる。
【0016】
音声信号処理部9に供給されたデジタルオーディオデータは、ここにおいて所要の音声信号処理が施され、アナログオーディオ信号に変換されて図示するアンプ10を介した後スピーカ11より音声出力される。
【0017】
また、第1映像信号処理部4、第2映像信号処理部5に供給された上記Video1、Video2としてのデジタルビデオデータは、それぞれにおいて垂直・水平同期信号検出や各種映像信号処理が施されて多画面生成部6に供給される。
なお、これら第1映像信号処理部4、第2映像信号処理部5、及び上記音声信号処理部9は、バス16を介して接続されたマイコン13の制御に基づき各種信号処理を実行するようにされる。
【0018】
多画面生成部6では、第1映像信号処理部4、第2映像信号処理部5のそれぞれから供給されるビデオデータ及び垂直・水平同期信号に基づき、それぞれのビデオデータとしての画像が、バス16を介して接続されたマイコン13からの指示に基づく態様により同一画面上に合成されて表示されるように合成処理を行う。そして、この結果得られたビデオ信号及び垂直・水平同期信号を、表示駆動部7に対して供給する。
【0019】
表示駆動部7は、上記多画面生成部6からの出力と、バス16を介し接続されたマイコン13からの制御とに基づき、例えばCRT(Cathode Ray Tube)、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)などとされる表示部8を表示駆動する。
なお、例えば表示部6がLCDとされる場合、表示部8には液晶表示パネルと共にバックライトが含まれるものとなる。この場合、表示駆動部7は液晶表示パネルについての表示駆動と共にバックライトの発光駆動も行うように構成される。
【0020】
マイコン13は、当該テレビジョン受像機1の全体制御を行う。
メモリ部14は、マイコン13が備えるROM、RAM等のメモリを包括的に示してる。マイコン13はこのメモリ部14内に格納されたプログラムに従って各部を制御するようにされる。
【0021】
ここで、特にこの場合において、AVスイッチ3、第1映像信号処理部4、第2映像信号処理部5、多画面生成部6、表示駆動部7、音声信号処理部9、不揮発性メモリ12の各デバイスに対する制御については、マスターとしてのマイコン13が、IICバスとしてのバス16を介して制御データを送信して行うようにされる。
本例においては、後述するようにマイコン13が同一デバイスに対して送信するデータについて、前回の送信データからの変化部分を検出し、その結果に基づいて送信データを生成するようにされる。このような送信データの変化部分の検出を可能とするために、この場合のマイコン13は、各デバイスに対して送信したデータの内容を、例えばメモリ14内のRAM等に保持しておくようにされる。つまり、このように送信したデータ内容を保持しておくことで、次回に同一デバイスに対して送信すべきとされたデータの内容との比較を行うことで、前回からの変化部分を検出することができるようにされている。
【0022】
また、マイコン13に対しては、ユーザが当該テレビジョン受像機1に対する各種動作指示を行うことを可能とするためのユーザインタフェース(I/F)15が設けられる。このユーザインタフェース15は、当該テレビジョン受像機1の筐体外部に表出するようにして設けられた各種操作キーや、図示されないリモートコントローラからのコマンド信号を受信するためのコマンド受信部を含む。
マイコン13は、ユーザインタフェース15を介して得られた操作情報に応じて各部を制御するようにされ、これによってユーザの指示に応じた動作が実行されるようになっている。
【0023】
また、この場合のテレビジョン受像機1に対しては、不揮発性メモリ12が設けられる。この不揮発性メモリ12としてもバス16に接続され、これによってバス16に対して接続されたデバイスが情報の書込/読出を行うことができるようにされている。
【0024】
ここで、この図1に示したテレビジョン受像機1では、マイコン13を中心として各デバイスの間のデータ通信をIICバス通信により行うものとしているが、このようなIICバス通信では、先の図5(a)に示したような通信データ構造によりデータ通信を行うようにされている。
図5(b)は、このようなIICバス通信において、マスターであるマイコン13がスレーブとなるデバイス側に送信するデータのみを抽出して示したものである(但しStart、Stopは除く)。
この図5(b)に示されるようにマスターであるマイコン13としては、データの送信先デバイスを指定して当該デバイスとの通信を確立するためのスレーブアドレス(Slave Address)と、さらに、実際にデバイス側に受信させて書き込ませる実データについて、そのデバイス側での書込開始位置を指示するためのサブアドレス(Sub Address)とを付加した上で、実データの送信を行うことになる。
先にも説明したように、これら実データの送信は、1バイト(実際にはACK:acknowledgeを含む9ビット)を1ユニットとして行うようにされる。また、スレーブアドレス、サブアドレスとしてもそれぞれ1バイトが割り当てられ、この場合としてもそれぞれの後にACKの領域が設けられることで同様に9ビットを1ユニットとして送信が行われる。
なお、この図5(b)にも示しているように、以下では、送信データ中におけるスレーブアドレスとサブアドレスとに続く実データの送信領域のことを、データ領域(実データ領域)と呼ぶこととする。
【0025】
ところで、先にも述べたように、このようなIICバス通信を行う場合としても、通信速度の向上は製品の品質を高める上で非常に重要となる。そこで、従来のIICバス通信においては、通信速度の向上を目的として、同一デバイスに対する送信データ中の実データについて、前回の送信データ内容と今回の送信データ内容とを比較して前回からの変化部分を検出し、この変化部分のみを個別に送信するといった技術が提案されている。
【0026】
図2(a)は、このような送信データ中の実データが変化した部分を模式的に示している。なお、この図2としても、先の図5(b)のようにしてデバイス側に送信するデータのみを抽出して示している。また、データ領域としては、図示するようにData1〜Data8までの8ユニット分とされる場合を例示する。
この図2(a)に示されるように、この場合は、データ領域中のData1、Data3、Data7が、前回の送信データからの変化部分であったとする。
【0027】
この際、上記のように変化部分を個別に送信する従来の手法によっては、図2(b)に示されるようにして、この場合の3つの変化部分を個別に含んだ3つの送信データが生成される。すなわち、「スレーブアドレス(SLadd)+サブアドレス(SBadd)+Data1」「SLadd+SBadd+Data3」「SLadd+SBadd+Data7」による送信データが生成される。この場合の通信データ量は合計9バイト分であり、これによって図2(a)に示す通常の通信を行う場合では合計10バイト分必要であることと比較すれば、1バイト分のデータ量の削減が図られることになる。
【0028】
但し、IICバス通信のように、データの送信先デバイスを指定するための情報(スレーブアドレス)と、デバイス側での実データの書込開始位置を指示するための情報(サブアドレス)とを付加した上で、実データの送信を行う通信方式が採用される場合においては、送信データごとに、必ずこれらスレーブアドレスとサブアドレスの情報を付加しなければならない。
このことから、上記のように変化部分を個別に送信する従来手法では、変化部分の数が増加するにつれて、これらスレーブアドレスとサブアドレスとの追加が嵩み、結果として有効に通信データ量の削減を図ることができない場合がある。
【0029】
そこで、本実施の形態では、このような従来の通信手法を改善し最適に通信データ量の削減が図られるように、次のような手法を提案する。
すなわち、従来と同様に同一デバイスに対する送信データにおける前回の送信データからの変化部分を検出した上で、検出した変化部分の間に2つ以上連続する無変化部分がある場合は、この2つ以上連続する無変化部分を境にそれぞれ分かれて形成されるデータ領域ごとに、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成してこれを送信するというものである。
【0030】
このような本例の手法を、図2を用いて説明する。
先ず、図2(a)に示されるように、Data1、Data3、Data7が前回の送信データからの変化部分であるとすると、Data3〜Data7の間に、Data4〜Data6までの2つ以上連続する無変化部分が存在する。従ってこの場合は、上記Data4〜Data6の無変化部分を境に分かれるData1〜Data3、及びData7〜Data8のデータ領域ごとに、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成する。
つまり、Data1〜Data3のデータ領域では、変化部分から変化部分はそのままData1〜Data3となるので、図2(c)に示されるように、これらData1〜Data3までを含む送信データを生成する。
また、一方のData7〜Data8のデータ領域については、変化部分から変化部分としてはData7を指すものとなるので、同じく図2(c)に示されるようにこのData7のみを含む送信データを生成する。
なお、このとき、Data1〜Data3を含む送信データについては、先頭がData1であることからサブアドレスとしてはData1(つまり1番目のアドレス)に対応した値を格納すればよいが、一方のData7を含む送信データについては先頭がData7となるので、デバイス側で適正なアドレスに書き込まれるように、サブアドレスとしてはこのData7(つまり7番目のアドレス)に対応する値を格納するようにされる。
【0031】
このようにして生成された本例の場合の送信データによれば、合計の通信データ量は8バイト分となる。すなわち、これによって従来の通信手法を採る場合よりも1バイト分のデータ量の削減が図られることがわかる。
【0032】
ここで、以下では、上記のような本例の送信手法を採用した場合と、従来の変化部分のみを個別に送信する手法を採用した場合とでの通信データ量について、さらに考察してみる。なお、先にも用いたが、以下の「SLadd」「SBadd」は、それぞれスレーブアドレス、サブアドレスを示すものであるとする。
先ず、この場合は、上述のようにして変化部分と変化部分との間に2以上連続する無変化部分があるという条件が設定されているので、少なくとも変化部分が2つあり、その間に2つ以上連続する無変化部分が1箇所ある場合が最低限の条件となる。
【0033】
先ず、このような最低限の条件のときにおける、考えられ得るデータ領域の組み合わせとしては、
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜m」となる。
このとき、従来のように個別に変化部分を送信する場合では、変化部分が2つであることより、(SLadd・SBadd+1)×2=6バイトとなる。
【0034】
一方、本例の手法を採用する場合では、(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1)と、この場合も(SLadd・SBadd+1)×2となり、同様の6バイトとなる。
【0035】
次に、変化部分が3つあるとしたときは、最低でも5データ領域以上のときであり、この場合、2以上連続の無変化部分は最大で2箇所存在し得る。
先ず、2以上連続の無変化部分が、1箇所のみである場合を想定すると、データ領域の組み合わせは、
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜m」となる。
この際、個別に変化部分を送信する従来の場合には、変化部分が3つであることより、(SLadd・SBadd+1)×3=9バイトとなる。
一方、本例の手法の場合は、(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)=3+4+0〜1=7〜8バイトとなる。すなわち、このことから、必ず従来よりも通信データ量を削減できることがわかる。
【0036】
また、2以上連続の無変化部分が2箇所あるときは、データ領域の組み合わせは、
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化領域1+無変化部分0〜m」となる。
これに応じた本例の場合での通信データ量は、(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1)、すなわち(SLadd・SBadd+1)×3=9バイトであり、従って従来と同等の通信データ量となる。
【0037】
さらに、変化部分が4つであるときを想定すると、2以上連続の無変化部分は、最大で3箇所存在し得る。
2以上連続の無変化部分が1箇所のみとすると、データ領域の組み合わせは、
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜m」
「無変化部分0〜n+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜m」
「無変化部分0〜n+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜m」
「無変化部分0〜n+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜m」となる。
この際、変化部分を個別に送信する場合は、変化部分が4つであることより(SLadd・SBadd+1)×4=12バイトとなる。
【0038】
一方、本例の場合では、(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1)
または、(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)
または、(SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1)+(SLadd・SBadd+1)より、
通信データ量としては(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1)=3+5+0〜2=8+0〜2=8〜10バイト
となり、必ず従来よりも通信データ量を削減することができる。
【0039】
また、3以上連続の無変化部分が2箇所とすると、データ領域の組み合わせは、
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜m」
「無変化部分0〜n+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜m」
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜m」となる。
これに応じた本例の場合での通信データ量は、
(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)
または、(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)+(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1)
または、(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)+(SLadd・SBadd+1)より、
(SLadd・SBadd+1)×2+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)=6+4+0〜1=10〜11バイト
となり、この場合としても必ず従来よりも通信データ量を削減できる。
【0040】
さらに、2以上連続の無変化部分が3箇所とすると、データ領域の組み合わせは、
「無変化部分0〜n+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+2以上連続の無変化部分+変化部分1+無変化部分0〜m」
となる。
これに応じた本例の場合での通信データ量は、
(SLadd・SBadd+1)×4=12バイトと、従来と同等の通信データ量となる。
【0041】
また、変化部分が5つの場合では、従来の変化部分のみを送信する手法では、(SLadd・SBadd+1)×5=15バイトである。
一方、このように変化部分が5つの場合で、2以上連続の無変化部分が1箇所のとき、本例の場合での通信データ量は、
(SLadd・SBadd+1)+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1+0〜1+1)=3+6+0〜3=9+0〜3=9〜12バイトとなる。
さらに、2以上連続の無変化部分が2箇所のときは、
(SLadd・SBadd+1)×2+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1=6+5+0〜2=11+0〜2=11〜13バイト
2以上連続の無変化部分が3箇所のときは、
(SLadd・SBadd+1)×3+(SLadd・SBadd+1+0〜1+1)=9+4+0〜1=13+0〜1=13〜14バイトとなる。
また、この場合も2以上連続の無変化部分が、変化部分の数よりも1つ少ない4箇所となると、
(SLadd・SBadd+1)×5より、従来と同様の15バイトとなる。
【0042】
以降、変化部分が6以上(例えば”x”とする)とされる場合としても、2以上連続の無変化部分の数が「x−1」のときは従来と同等の通信データ量となるが、2以上連続の無変化部分の数が「1〜x−2」のときは、上記による説明と同様に、変化部分間の無変化部分の数(0〜1)に応じて、通信データ量は必ず従来よりも削減することができる。すなわち、このことから変化部分が6以上(例えば”x”とする)とされる場合としても、必ず通信データ量は従来以下に抑えることができる。
【0043】
このようにして、本実施の形態によれば、検出された変化部分の間に2つ以上連続する無変化部分がある場合には、必ず従来以下の通信データ量とすることができる。
【0044】
ここで、本例のように、変化部分の間に2以上連続の無変化部分がある場合に、この2以上連続の無変化部分を境に送信データを分けるということは、換言すれば、2つの変化部分の間の無変化部分が2未満のときは、送信データを分けないようにされていることになる。
例えば、従来のように変化部分ごとに送信データを分けて送信する場合では、このような2つの変化部分の間の変化部分が2未満のときとして、2つの変化部分が連続するとき、及び2つの変化部分が1つの無変化部分を介して存在するときにも、それぞれの変化部分を分けて送信するようにされる。つまりは、これらの場合は、送信データを分けずともデータ量の増加分は0又は1つ分であり、結果的に送信データを分けたことにより増加されるスレーブアドレス・サブアドレスの2つ分の増加よりも少ないにもかかわらず、送信データが分けられてしまうものとなる。
これに対し、上記のように無変化部分が2未満では送信データを分けないようにした本例によれば、このように各変化部分間の無変化部分の数が0か1つのときは、送信データにおける増加分としても0か1となって、結果として送信データを分けてしまう(つまりSLadd・SBaddにより2つ増加してしまう)従来手法よりも、通信データ量を削減することができる。
このことから、先の考察のようにして送信データ中に変化部分が複数あって、それらのうち何れかの変化部分の間に2未満の無変化部分がある場合には、これらの変化部分については送信データが分けられないことで、必ず従来手法よりも通信データ量を削減することができるものである。
【0045】
また、逆に言えば、本例では変化部分の間の無変化部分の数が2以上である場合には送信データを分けるので、それぞれの変化部分の間の無変化部分の数が全て2以上連続するものであったときには、先の考察のように従来手法と同等のデータ量となるようにされることになる。
【0046】
なお、確認のために述べておくと、ここでは2以上連続する無変化部分がある場合において、従来手法との比較で必ず通信データ量を同等以下に抑えることができることについて説明したが、先の図2(a)に示したように無変化部分も含めた全てのデータを送信する通常の手法との比較でも、本例の手法によれば通信データ量を必ず同等以下に抑えることができる。
つまり、このようにして変化部分間の2つ以上連続の無変化部分を境に送信データを分けていることで、最低でも2以上の無変化部分を削減することができ、これによって最低でも送信データが分けられたことに依るスレーブアドレス・サブアドレスの増加分を相殺することができるようにされているからである。
このようにして本例によれば、2以上連続する無変化部分がある場合においては、通常手法が採られる場合との比較でも必ず通信データ量を同等以下に抑えることができる。
【0047】
ところで、上記説明では、変化部分と変化部分との間に2以上連続する無変化部分がある場合についてのみ言及したが、変化部分と変化部分との間に2以上連続する無変化部分がない場合には、以下のような考えに基づいて、例えば最初の変化部分から最後の変化部分までを含む1つの送信データを生成するものとすればよい。
先ず、例えば変化部分が3つ存在する場合を想定してみると、2以上連続の無変化部分がない場合のデータ領域の組み合わせとしては、
「無変化部分0〜n+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜m」となる。
この際、変化部分を個別に送信する場合は、変化部分が3つであることより(SLadd・SBadd+1)×3=9バイトとなる。
一方、上記のようにして、最初の変化部分から最後の変化部分までを含む1つの送信データとしたとき、そのデータ量としては、
SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1
=2+3+0〜2=5〜7バイト
となり、必ず従来手法よりも通信データ量を削減することができる。
【0048】
また、例えば変化部分が4つであるとき、2以上連続の無変化部分がない場合のデータ領域の組み合わせは、
「無変化部分0〜n+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜1+変化部分1+無変化部分0〜m」となる。
この場合、変化部分を個別に送信する従来の場合は、変化部分が4つであることより(SLadd・SBadd+1)×4=12バイトとなる。
一方、上記した本例の手法のように最初の変化部分から最後の変化部分までを含む1つの送信データとしたときは、
SLadd・SBadd+1+0〜1+1+0〜1+1+0〜1+1
=2+4+0〜3=6〜9バイト
となり、この場合としても必ず従来よりも通信データ量を削減できることがわかる。
【0049】
つまり、このように送信データ中の変化部分間に2以上連続の無変化部分がない場合としても、各変化部分間の無変化部分が2つ以下では送信データを分けていないことになることから、各変化部分間の無変化部分の数(0〜1)に応じて、データ量を減らすことができる。つまり、この場合も同様に、増加するデータ量は、最大で送信データを分ける場合に追加される2バイト(スレーブアドレス・サブアドレス)分よりも抑えることができるので、データ量は従来の手法よりも削減することができるものである。
【0050】
また、このように送信データ中の変化部分間に2以上連続の無変化部分がない場合において、無変化部分を含む全てのデータを送信する通常の送信手法との比較では、上記のようにして最初の変化部分から最後の変化部分までとしたことで、最初の変化部分までに無変化部分がある場合、また最後の変化部分以後に無変化部分がある場合に、これらの無変化部分を省略できることから、必ずデータ量は同等以下にすることができる。すなわち、通常の通信よりも通信データ量が増加するようなことがないようにすることができる。
これらのことから、上記本例の手法によれば、変化部分の間に2以上連続の無変化部分がない場合としても、必ず通信データ量は従来手法及び通常手法以下に抑えることができる。
【0051】
なお、ここまででは、変化部分が2つ以上ある場合を想定したが、変化部分が1箇所のみである場合も考えられる。
このように変化部分が1箇所のみである場合は、その変化部分のみを含む送信データを生成すればよい。つまり、この場合の通信データ量は、従来の手法と同等となるようにされる。
【0052】
これまでの説明のようにして、本例では、変化部分が1箇所のみであるときは、その変化部分のみを含む送信データを生成し、これによって従来の手法と同等の通信データ量とすることができるようにしている。
そして、変化部分が2つ以上のとき、各変化部分の間に2以上連続する無変化部分がある場合には、この無変化部分を境に分かれて形成されるデータ領域ごとに変化部分から変化部分までを含む送信データを生成し、2以上連続の無変化部分がない場合には最初の変化部分から最後の変化部分までを含む1つの送信データを生成するようにしたことで、必ず、従来の通信手法とする場合の通信データ量以下、及び通常の通信手法とする場合の通信データ量以下に通信データ量を抑えることができる。
すなわち、これによってデバイスとの間の通信速度としても、常に従来手法及び通常手法以下に抑えることができ、通信効率の向上が図られる。
【0053】
続いて、図3のフローチャートには、上記により説明した本例としての動作を実現するための処理動作を示す。
なお、この図に示される処理動作は、図1に示したマイコン13がメモリ14内の例えばROM等に格納されるプログラムに従って実行するものである。
先ず、ステップS101では、デバイスへのデータ送信処理の発生を待機する。つまり、具体的には図1に示したバス16を介して接続された各デバイス(AVスイッチ3、第1映像信号処理部4、第2映像信号処理部5、多画面生成部6、表示駆動部7、音声信号処理部9、不揮発性メモリ12)のうちの何れかのデバイスに対するデータ送信処理の発生を待機する。
【0054】
そして、デバイスに対するデータ送信処理が発生したとされた場合は、ステップS102において格納データを生成する。すなわち、発生したデータ送信処理の内容に応じて、先の図2(a)(図6(a))に示したような構造による送信データ中のデータ領域内の各Dataに格納すべきデータが生成される。
【0055】
ステップS103では、同じデバイスに前回送信したデータ内容と比較して今回の変化部分を検出する。このステップS103の処理としては、先の図1にて説明したように例えばメモリ部14内のRAM等に保持された同一デバイスへの前回の送信データのDataごとのデータ内容と、上記ステップS102にて生成されたDataごとのデータ内容とを比較した結果に基づき、今回送信すべきデータにおける前回からの変化部分を検出する処理となる。
なお、同一デバイスに対する送信データであるか否かはスレーブアドレスの値に基づき判別することができる。
【0056】
続くステップS104では、変化部分が1箇所のみであったか否かを判別する。
変化部分が1箇所のみであった場合には、ステップS105において変化部分のみを含む送信データを生成する。すなわち、ここで生成される送信データとしては、スレーブアドレス・サブアドレスと、さらに検出された変化部分としての実データを付加したものを生成するようにされる。
【0057】
また、ステップS104において、変化部分が1箇所のみでないとされて否定結果が得られた場合は、ステップS106において、さらに変化部分の間に2つ以上連続する無変化部分があるか否かについて判別を行う。
変化部分の間に2つ以上連続する無変化部分があるとして肯定結果が得られた場合は、ステップS107において、2つ以上連続する無変化部分を境に分かれたデータ領域ごとに変化部分から変化部分までを含む送信データを生成するようにされる。
つまり、例えば先の図2(a)→図2(c)の遷移により示したようにして、2つ以上連続する無変化部分を境に分かれて形成されるそれぞれのデータ領域について、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成するものである。
なお、この際、先にも述べたように、それぞれ分かれて形成されたデータ領域について、その中にある変化部分が1つのみとなるような場合には、変化部分から変化部分まではこの1つの変化部分のみを指すものとなるので、その変化部分のみを含む送信データを生成することになる。
【0058】
一方、ステップS106において、2つ以上連続する無変化部分がないとして否定結果が得られた場合は、ステップS108に進み、最初の変化部分から最後の変化部分までを含む送信データを生成するようにされる。
【0059】
そして、ステップS109においては、送信データをバス16に送出する。
すなわち、生成された送信データが1つのみである場合には、この送信データについてIICバス通信方式に従ってバス16に送出し、また、生成された送信データが複数ある場合には、それらの送信データを順次1つずつIICバス通信方式に従ってバス16に送出する。
ここで、確認のために述べておくと、本例の場合において生成される送信データでは、データ領域の先頭が必ずしもData1の部分となるとは限らない。従ってサブアドレスに格納すべきアドレス値としては、実際に生成された送信データのデータ領域先頭に位置するDataのナンバに応じた適切なアドレス値を格納するようにされる。
なお先にも述べたように、これは従来の変化部分のみを個別に送信する手法においても同じことが行われているものである。
【0060】
<第2の実施の形態>

続いては、第2の実施の形態としての信号処理装置について説明する。
図4は、第2の実施の形態の形態としての信号処理装置を備えて構成された、テレビジョン受像機20の内部構成について示している。
なお、この図では既に図1にて説明した部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図4に示される第2の実施の形態としてのテレビジョン受像機20では、図1に示したマイコン13から、本例としての通信動作を実現するための構成を省略したものとされるマイコン21(マスターマイコン21とも言う)を備え、さらにこのマスターマイコン21とバス16を介して接続したスレーブマイコン22を設けた上で、このスレーブマイコン22に本例としての動作を実現するための機能を持たせるようにしたものである。
すなわち、このような構成とすることによって、装置の全体制御を行うマスターマイコン21としては、通常のIICバス通信を行う通常のマイクロコンピュータを使用することができるものである。
【0061】
このような第2の実施の形態において、上記スレーブマイコン22としては、図示するメモリ部23として例えばROM、RAM等のメモリを備えており、このメモリ部23に対して、上記のようにマスターマイコン21から送信される通常の通信手法による送信データの内容を保持できるように構成されている。
つまり、このスレーブマイコン22としては、このようにマスターマイコン21から送信されてきたデータ内容を保持しておくことで、次回に同一デバイスに対して送信すべきとしてマスターマイコン21から送信されてきた送信データの内容との比較を行うことで、前回からの変化部分を検出することができるようにされている。
そして、スレーブマイコン22としては、このように同一デバイスに対する前回の送信データからの今回の送信データの変化部分を検出した上で、第1の実施の形態の場合のマイコン13と同様の動作を行うようにされる。
すなわち、変化部分が1箇所のみであるときは、その変化部分のみを含む送信データを生成する。
また、変化部分が2つ以上のときは、検出された変化部分の間に2以上連続する無変化部分がある場合には、この無変化部分を境に分かれて形成されるデータ領域ごとに変化部分から変化部分までを含む送信データを生成し、2以上連続の無変化部分がない場合には最初の変化部分から最後の変化部分までを含む1つの送信データを生成する。その上で、生成された送信データをバス16を介して送信するものである。
【0062】
具体的に、この場合のスレーブマイコン22が行うべき処理動作としては、先の図3に示した処理動作におけるステップS101及びステップS102に代わる処理として、マスターマイコン21から通常の送信手法により送信される送信データの受信を待機する。
そして、マスターマイコン21からの送信データが受信された場合には、続くステップS103の処理として、メモリ部23にて保持しておいた同一デバイスに対する前回の送信データ内容と、上記受信された今回の送信データの内容とを比較し、今回の変化部分を検出する処理を実行するものとすればよい。
これによって以降は、この検出された変化部分の情報に基づいて、第1の実施の形態のマイコン13と同様の処理(ステップS104以降の処理)を行うことができ、よって第1の実施の形態の場合と同様に、各デバイスに送信するデータ量が必ず従来手法及び通常手法以下に抑えられるようにすることができる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明としてはこれまでに説明した実施の形態に限定されるべきものではない。
例えば実施の形態では、テレビジョン受像機1、20が地上波デジタル放送のみに対応する構成とされる場合を例示したが、その他、地上波アナログ放送、BSデジタル放送、BSアナログ放送等の他のテレビジョン放送に対応する構成とすることもできる。
また、実施の形態のテレビジョン受像機1、20では複数のチューナ部と多画面生成部6を設けた上で、同一放送波について多画面出力を行うように構成したが、上記のように異なる放送波について対応可能に構成される場合には、異なる放送波について多画面出力が可能となるように構成することもできる。
或いは、チューナ部は1つとし、多画面生成部6は省略した構成として多画面出力を行わない構成とすることもできる。
【0064】
また、実施の形態では、本発明をテレビジョン受像機の全体制御を行う信号処理装置に適用する場合を例示したが、本発明としては、データの送信先デバイスを指定するためのデバイス指定情報と、デバイスにおける送信データの書込開始アドレスを示す書込開始位置情報とを付加した送信データによりデバイスとの間でバス通信を行うものであって、バス通信におけるマスターとなり得る信号処理装置に対して広く好適に適用することができる。
【0065】
また、実施の形態では、検出された変化部分の間に2以上連続の無変化部分がない場合においては、最初の変化部分から最後の変化部分までを含む1つの送信データを生成するようにし、これによって最初の変化部分までに無変化部分がある場合、また最後の変化部分以後に無変化部分がある場合にこれらの無変化部分を省略できるようにして、データ量が通常の手法を採用する場合の同等以下に抑えるようにした。
しかしながら、このように検出された変化部分の間に2以上連続の無変化部分がない場合において、通常の通信を行う場合との比較で通信データ量が同等以下となることを目的とする範囲では、例えば最後の変化部分までの全てのデータを含む1つの送信データとする、或いは最初の変化部分からの全てのデータを含む1つの送信データとすることもできる。
何れにせよ、検出された変化部分の間に2以上連続の無変化部分がない場合においては、全ての変化部分を含む1つの送信データを生成してこれを送信するものとすることで、通常手法を採用する場合との比較でデータ通信量は必ず同等以下に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明における第1の実施の形態としての信号処理装置を備えて構成されるテレビジョン受像機の内部構成を示したブロック図である。
【図2】IICバス通信における通常手法、従来手法、本実施の形態の手法のそれぞれの場合で生成される送信データについて模式的に示した図である。
【図3】第1の実施の実施としての動作を実現するために信号処理装置において行われるべき処理動作を示したフローチャートである。
【図4】本発明における第1の実施の形態としての信号処理装置を備えて構成されるテレビジョン受像機の内部構成を示したブロック図である。
【図5】IICバス通信における通信データ構造を模式的に示した図である。
【図6】変化部分のみを個別に送信する従来の通信手法について説明するための図である。
【符号の説明】
【0067】
1,20 テレビジョン受像機、2M メインチューナ部、2S サブチューナ部、3 AVスイッチ、4 第1映像信号処理部、5 第2映像信号処理部、6 多画面生成部、7 表示駆動部、8 表示部、9 音声信号処理部、10 アンプ、11 スピーカ、12 不揮発性メモリ、13 マイコン(マイクロコンピュータ)、14 メモリ部、15 ユーザインタフェース(I/F)16 バス、19 アンテナ、21 (マスター)マイコン、22 スレーブマイコン、23 メモリ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データの送信先デバイスを指定するためのデバイス指定情報と、上記データのデバイスにおける書込開始アドレスを示す書込開始位置情報とを付加した送信データにより、所要のデバイスとの間でバス通信を行う信号処理装置において、
同一デバイスに対する前回の送信データからの今回の送信データの変化部分を検出すると共に、検出した変化部分が1つのみである場合は、その変化部分のみを含む送信データを生成してこれを送信し、
検出した変化部分が複数あって、それらの間に2つ以上連続した無変化部分がある場合は、上記2つ以上連続した無変化部分を境にそれぞれ分かれて形成されるデータ領域ごとに、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成してそれらを送信し、
検出した変化部分が複数あってそれらの間に2つ以上連続した無変化部分がない場合は、検出された全ての変化部分を含む1つの送信データを生成してこれを送信する送信手段を備える、
ことを特徴とする信号処理装置。
【請求項2】
上記送信手段は、
上記2つ以上連続する無変化部分がない場合には、検出した最初の変化部分から最後の変化部分までを含む送信データを生成してこれを送信するようにされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の信号処理装置。
【請求項3】
データの送信先デバイスを指定するためのデバイス指定情報と、上記データのデバイスにおける書込開始アドレスを示す書込開始位置情報とを付加した送信データにより、所要のデバイスとの間でバス通信を行う信号処理装置におけるデータ送信方法であって、
同一デバイスに対する前回の送信データからの今回の送信データの変化部分を検出すると共に、検出した変化部分が1つのみである場合は、その変化部分のみを含む送信データを生成してこれを送信し、
検出した変化部分が複数あって、それらの間に2つ以上連続した無変化部分がある場合は、上記2つ以上連続した無変化部分を境にそれぞれ分かれて形成されるデータ領域ごとに、変化部分から変化部分までを含む送信データを生成してそれらを送信し、
検出した変化部分が複数あってそれらの間に2つ以上連続した無変化部分がない場合は、検出された全ての変化部分を含む1つの送信データを生成してこれを送信するようにした、
ことを特徴とするデータ送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−350899(P2006−350899A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179110(P2005−179110)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】