説明

偏光撮像

基板の種々の欠陥を検査するためのシステムおよび方法において、偏光フィルタを用いて、焦点ずれおよび露光欠陥のような偏光依存性の欠陥のコントラストを改善し、一方で、ピット、空隙、クラック、チッピング、および粒子のような偏光非依存性の欠陥に対しても同じ感度を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、第35編米国法典119条(e)(1)の下で、2006年9月12日に出願された、名称が「Polarization Imaging」(偏光撮像)であり、および代理人整理番号A126.199.101である、米国仮特許出願第60/844,297号に対する優先権を主張するものであり、その教示は、参照することにより本願明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、半導体デバイスの製造プロセスにおいて、品質の確保および収率の改善に使用するための検査および計測ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
リソグラフ半導体デバイスの製作プロセスでは、ステッパが、レチクルの画像を半導体基板またはウエハ上に正確に合焦させることが不可欠である。レチクルの画像の焦点が外れた場合(焦点ずれとしても知られる状態)、得られる半導体デバイスの構造体は、サイズおよび形状が不適切なものとなり得る。例えば、得られる構造体の周縁部は、比較的散乱し、不明瞭なものとなり、丸みを帯びた、またはアンダーカットの生じた表面を有し、多くの場合に望まれる直線的なジオメトリを有しない場合がある。この焦点ずれの状態は、問題の半導体デバイスにおいて、しばしば機能不良および/または動作不能をもたらす。したがって、焦点ずれの測定は、半導体デバイスの製造者が、ステッパがレチクル画像をウエハ上に常に合焦させることができるようにし、それによって、製造プロセスからのより大きく、より有益な収率を可能にするための重要な手段である。
【0004】
半導体デバイスの形成に共通する別の問題は、露光欠陥である。フォトレジスト層の光への露光が、許容可能な光の適用量の範囲外である場合、半導体基板上に形成されるべきフィーチャが不正確に形成される場合がある。したがって、それらが存在する露光欠陥を識別することも重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
基板またはウエハの露光または焦点ずれ欠陥の検査に加えて、一般に「マクロ」欠陥と称される、基板およびウエハのプロセスまたは材料関連の欠陥に対する検査も重要である。マクロ欠陥は、基板上に現れる、寸法が約0.5u乃至10uのサイズである、チッピング、クラック、スクラッチ、ピット、層間剥離、および/または粒子としてしばしば定義される。このような欠陥は、半導体デバイスの不具合を容易に生じさせ、当該のデバイスの製造者の収率を著しく低下させる可能性がある。マクロ欠陥のサイズは、上述したサイズ範囲より大きくなることも、小さくなることもあり、上述のサイズは、単にそのような欠陥の名目上のサイズを定義したものに過ぎないことに留意されたい。
【0006】
従来、マクロ欠陥は、専用の検査システムを使用して検査されているが、露光または焦点ずれ欠陥の存在を容易に、または確実に識別することができなかった。露光および焦点ずれ欠陥は、通常、偏光解析器、反射率計、および散乱計のような、多数の精密計測ツールのうちのいずれかにおいて、光学的限界寸法(Optical Critical Dimension:OCD)手法を使用して識別される。露光および焦点ずれ欠陥の存在を識別する機能と、基板のマクロ欠陥を検査する機能とを組み合わせることが望ましく、同じ光学システムが両方の機能に使用されることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
基板上の欠陥を識別するための検査システムの一実施形態は、検査する基板上に光を導く光源を含む。第1の偏光フィルタまたは偏光子は、光源と基板との間に位置する。第2の偏光フィルタまたは分析器は、基板と、基板から反射された光を受ける光センサとの間に位置する。偏光子および分析器は、光センサによって捕捉された画像の画像強度が、試験中の基板上の偏光依存性の欠陥の存在と少なくとも部分的に相関されるように、互いに対して角度を付けて配置される。偏光依存性の欠陥は、とりわけ、焦点ずれおよび露光欠陥を含む。焦点ずれまたは露光欠陥ではない、ほぼ入射光の波長以下の主要寸法を有する欠陥も識別することができる。
【0008】
光源は、これに限定されないが、広帯域の白熱光またはレーザを含む、あらゆる有用なタイプのものとすることができる。これらの光源のいずれも、ストロボ発光させることができ、また、直角の入射角度を含む、あらゆる有用な入射角度で基板の表面上に光を導くように設置することができる。レーザは、固定、モノクロ各種のものとするか、または複数の異なる公称波長で光を出力するように配置することができる。
【0009】
ストロボ照明を使用した場合、ストロボは、検査システムに対して基板が移動する速度に少なくとも部分的に相関されて、連続的に閃光する。これによって、検査システムは、適切な場所で確実に基板の画像を捕捉することができる。
【0010】
光センサまたは撮像装置は、モノクロの電荷結合素子(チャージ・キャパシタンス・デバイス)(CCD)とすることができる。いくつかの場合では、光センサは、ベイヤ型または3チップ設計のカラー撮像装置とすることができる。さらに他の場合では、1つ以上の光源および/またはカラーフィルタをモノクロ光センサとともに使用して、基板から色データを得ることができる。領域走査光センサおよび線走査光センサの両方を使用することができる。
【0011】
焦点ずれおよび露光欠陥に加えて、他のタイプの欠陥も識別することができる。これらの他の欠陥には、ピット、空隙、チッピング、クラック、粒子、およびスクラッチが挙げられる。
【0012】
本発明による検査システムは、最初に、光を基板上に導くように光源を配置することによって動作させる。第1の偏光フィルタは、光源と基板との間に設置し、光センサは、基板から反射された光を受けるように設置される。第2の偏光フィルタは、基板と光センサとの間に設置され、第1および第2の偏光フィルタが、互いに選択された相対角度となるように設置される。次いで、検査システムを使用して基板の画像を捕捉し、これらの画像から比較データを生成して、もしあれば、基板上の露出および/または焦点ずれ欠陥の存在を識別する。必要な画像を捕捉するように偏光フィルタを配置するステップは、第1および第2の偏光フィルタを一緒に所望の検査角度まで回転させ、一方で、該フィルタ間の選択した相対角度を維持するステップを伴うことができる。
【0013】
比較データは、最初に、捕捉画像ごとに差分画像を生成し、次いで、差分画像の全てにわたって差分画像のそれぞれの画素強度差を平均して、差分画像ごとに平均画像強度を得ることによって、得ることができる。各捕捉画像の平均画像強度は、所定の閾値に対して評価され、もしあれば、基板上の露光および焦点ずれ欠陥のうちの少なくとも1つの存在を判断する。
【0014】
基板内の既知のレベルの露光および焦点ずれ欠陥のうちの少なくとも1つに対する、光センサの出力の較正を使用して、適切な焦点ずれおよび露光欠陥レベルを決定する。一実施形態では、較正は、較正基板の複数の画像を捕捉するステップであって、各画像は、既知の程度の焦点ずれおよび露光欠陥を受けるステップを伴う。上述のように、捕捉画像ごとに差分画像を生成し、差分画像の全てにわたって差分画像の画素強度差を平均して、平均画像強度を得る。既知の程度の焦点ずれおよび露光欠陥を有する捕捉画像ごとに、平均画像強度値を記録する。ユーザは、特定の程度または大きさの焦点ずれおよび/または露光欠陥を示す、いずれかの記録された平均画像強度値を、閾値として選択するか、当該の記録された値の間に補間するか、または単に、記録された値を、製品に特有の変更子が適用される出発点として使用することができる。それは、専ら、焦点ずれおよび/または露光欠陥の好適な閾値を定義する、検査システムのユーザ次第である。
【0015】
差分画像を生成するステップは、複数の捕捉画像を画素単位で平均して、平均画像を得るステップを伴うことができる。この平均画像は、次いで、画素単位で各捕捉画像から差し引いて、画素強度値のアレイとして、または画素強度値の差のアレイとしても考えることができる、差分画像を形成する。
【0016】
基板の焦点ずれおよび/または露光欠陥の検査は、ピット、空隙、チッピング、クラック、粒子、およびスクラッチのような他の欠陥の検査と同時に行うことができる。代替的に、これらのそれぞれのタイプの欠陥の検査は、連続的に行うか、または時間移動した様態、すなわち互いに相当な間隔を置いた時間に行うこともできる。
【0017】
本発明の別の実施形態では、空間的パターン認識(Spatial Pattern Recognition:SPR)法のような画像分析法を使用して、差分画像を分析し、基板上の層の境界を識別することができる。上述したような層境界は、基板の意図的な部分である層の一部であるか、または基板の意図的な部分ではない残余部分に関連するもの、すなわちあるタイプ、または別のタイプの混入物となり得る層となる場合があることに留意されたい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、基板の種々の欠陥を検査するためのシステムおよび方法において、偏光フィルタを用いて、焦点ずれおよび露光欠陥のような偏光依存性の欠陥のコントラストを改善し、一方で、ピット、空隙、クラック、チッピング、および粒子のような偏光非依存性の欠陥に対しても同じ感度を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】90°以外の公称入射角度を有する本発明の撮像システムの一実施形態の概略図である。
【図2】実質的に90°の公称入射角度を有する本発明の撮像システムの一実施形態の概略図である。
【図3】基板から反射された反射光の関連する構成要素をベクトル形式で示した図である。
【図4】適切に配置された分析器を通過する前の、反射光の関連する構成要素を示したチャートである。
【図5】適切に配置された分析器を通過した後の、反射光の関連する構成要素を示したチャートである。
【図6】検査システムを検査のために設定する方法を例示したフローチャートである。
【図7】基板を検査する方法を例示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の本発明を実施するための形態では、本発明の一部を形成し、本発明を実施することが可能な特定の実施形態を例証するために示される添付図面を参照する。図面中、複数の図にわたって、同じ参照番号は、実質的に同様の構成要素を示す。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように、十分詳細に説明される。本発明の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を用いることが可能であり、また構造的、論理的、および電気的な変更を行うことが可能である。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的に取り入れられるものではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲およびその同等物によってのみ定義される。
【0021】
本発明は、基板の表面から反射された光の偏光の変化を測定することによって、半導体基板内の露光および焦点ずれリソグラフ欠陥の存在を判断するための方法および装置に関する。以下の説明を平易にするために、「焦点ずれ」という用語は、本願明細書では、露光および焦点ずれ欠陥を意味するように使用されるが、所与の基板が、一方の欠陥、他方の欠陥、またはその両方を受ける場合があるものと理解されたい。さらに、「焦点ずれ」という用語は、露光および/または焦点ずれ欠陥と同様の特徴的な結果を有し、本発明の検査システムによって識別または特徴付けることができる、検査中の基板のあらゆる欠陥および望ましくないフィーチャを包含するように広く解釈されるべきである。概して、焦点ずれ欠陥は、偏光依存性の特徴であり、すなわち、焦点ずれ欠陥は、そこから反射された光の偏光状態に変化を生じさせるが、当業者には、焦点ずれ欠陥の他の側面が、当該の偏光の変化における性質および程度に影響を及ぼす場合もあると理解されよう。
【0022】
本願明細書で使用される「基板」という用語は、本発明の検査システムによって検査することができる、あらゆる材料または構造を含むものと解釈されるべきである。具体的には、「基板」という用語は、これに限定されないが、全ウエハ、未パターン化ウエハ、パターン化ウエハ、部分パターン化ウエハ、完全または部分的にパターン化された分割ウエハ、パターン化されていない分割ウエハ、フィルムフレーム、JEDECトレイ、Auerボート、ゲル中またはワッフルパック中ダイ、しばしばMCMと呼ばれるマルチチップモジュール等を含むあらゆる形態内およびあらゆる支持機構上の切断ウエハを含む、とりわけ、あらゆる構造、形態、または材料の半導体ウエハを含むものと解釈されたい。「基板」および「ウエハ」という用語は、本願明細書において代替可能に使用することができる。
【0023】
本願明細書で使用される「マクロ欠陥」という用語は、本質的に偏光非依存性である基板上に現れる、全ての意図的でない特徴を含む。上述のように、マクロ欠陥は、従来、チッピング、クラック、ピット、粒子、スクラッチ等であると述べられている。場合によっては、マクロ欠陥のサイズは、検査目的に使用される入射放射線の波長に近づく場合があることに留意されたい。これらの場合には、マクロ欠陥は、そこから反射される光の偏光状態に影響を及ぼす場合がある。
【0024】
図1を参照すると、撮像システム8の一実施形態は、照明器10と、偏光子12と、分析器14と、光センサ16とを含む。照明器10は光学経路Pに沿って偏光子12上へ光を導くが、実質的に、所定の偏光角度を有する光だけを伝送する。偏光子12によって伝送された光は、次いで、基板S上に入射する。一実施形態では、基板Sは、シリコンウエハであるか、または、その上に形成された構造体を有するその一部分である。いくつかの実施形態では、これらの構造体は、基板S上に1つ以上の半導体デバイスを形成する。他の機構および構造体を、基板S上に形成することもできる。
【0025】
図1から分かるように、光学経路Pは、基板Sに対して非直角の入射角度である。いくつかの実施形態では、照明器10、偏光子12、分析器14、および光センサ16、ならびに対物レンズ等のような他の関連した光学要素は、基板S上への光の入射角度を変更できるように取り付けることができる。システム8における光の入射角度の変更に有用なタイプの取り付け機構は、当業者には既知であり、システム8の光学要素が取り付けられる取付板を含むことができ、該取付板は、1つ以上のアクチュエータとすることができる回転手段によって回転させることができる。入射角度は、(図示されるように)本質的に固定するか、または各製品の設定ごとに変更することができる。さらに、いくつかの実施形態では、入射角度は、必要に応じて検査中に変更することができる。
【0026】
照明器10は、広帯域白色光、固定波長出力を有するレーザ、多波長を出力するように配置されたレーザ、または光学経路Pに沿って光を導くように配置された複数のレーザを含む、あらゆる有用なタイプのものとすることができる。照明器に必要とされる強度は、システム8の目的とする用途によって異なる場合がある。いくつかの用途では、高強度の照明を必要とし、逆に、他の用途では、比較的低強度の照明を必要とする。照明器10は、実質的に一定の出力を提供するように配置するか、または、システム8内の基板Sの動きをフリーズさせるようにストロボ発光させるように配置することができ、それによって、基板Sの画像を迅速に捕捉できる。
【0027】
基板S上に入射した光は、そこから反射され、この反射光は、分析器14上に入射するが、該分析器は、偏光子12と同様の偏光光学要素であり、所定の偏光角度を有する光だけを通過させる。分析器14を通過した光は、光センサ16上に入射し、該センサは基板Sの画像を捕捉する。光センサ16は、一実施形態では、荷電結合素子(CCD)のような2次元の電子光センサであるが、線走査または時間遅延積分(Time Delay Integration:TDI)撮像デバイス、またはCMOS光センサアレイのような、グレースケールまたはカラー単位で、画素強度値の2次元アレイを形成することができるあらゆるデバイスを使用することができる。
【0028】
一実施形態では、光センサ16は、モノクロ光センサであり、光センサの2次元画素アレイの各画素は、0乃至256のグレースケール値を示し、これらの画素をもとに、基板Sの画像を表す。モノクロ光センサを使用した場合、1つ以上のカラーフィルタ18を、照明器10と光センサ16との間の光学経路P内に設置して、カラーフィルタが対応する波長の範囲内の光だけを通過させることができる。
【0029】
別の実施形態では、光センサは、ベイヤ型のカラー光センサまたは別個の光センサを有する3チップカラーセンサとすることができ、各センサは別個の色に専用で、例えば、1つのセンサが赤色光に、1つのセンサが青色光に、1つのセンサが緑色光に専用である。
【0030】
当業者は、本願明細書に記載されたシステム8の基本要素は、これに限定されないが、光フィルタ、レンズ、鏡、リターダ、および変調器を含む、他の光学要素とともに、またはこれらとは別に使用することができるものと理解されよう。本発明を実行するように適合させることができる1つの検査システムは、WaferViewTMという商標名で、Rudolph Technologies社(Flanders、New Jersey)によって販売されている。さらに、システム8は、複数の機能を実行するように配置することができ、これらの複数の機能は、同時に、または時間的に間隔を置いて実行されるものと理解されたい。例えば、システム8は、焦点ずれ欠陥の検査、ならびにマクロ欠陥の検査を行うように適合させることができる。さらに、システム8は、マクロ欠陥の検査を行い、その後に焦点ずれ欠陥の検査を行うか、またはこの逆に行うように配置するか、または両方の検査を同時に行うことができる。
【0031】
カラーフィルタ18は、図1に模式的に示すように、システム8内で使用することができる。1つ以上のカラーフィルタ18は、偏光器12と基板Sとの間に、基板Sと分析器14との間に、照明器10と偏光器12との間に、または、分析器14と光センサ16との間に設置することができる。一実施形態では、カラーフィルタ18は、従来技術において既知のタイプのフィルタホイールとすることができ、一群のカラーフィルタのうちの1つは、カラーフィルタ18が光学経路P全体に選択的に位置するように、光学経路P内に設置された回転ホイールに取り付けられる。別の実施形態では、異なるカラーフィルタを光学経路P内に設置できるように、取り外し可能なフィルタホルダを光学経路P内に設置することができる。さらに別の実施形態では、固定カラーフィルタを光学経路P内に取り付けることができる。所定の波長または波長範囲を選択的に通過させるのに好適なあらゆるフィルタ媒体または機構を、カラーフィルタとして使用することができるものと理解されたい。
【0032】
いくつかの実施形態では、光センサ16の出力を所定のカラーチャネルに対して分離することが望ましいが、「カラーチャネル」とは、所定の波長または波長範囲と定義される。カラーチャネルの分離は、上記に示唆したように、カラーフィルタを使用することによって、または、3チップ光センサおよびベイヤ型光センサが行うように、それぞれのカラーチャネルを区別する能力を直接組み込んだカラー光センサを使用することによって、あるいは、予め選択した波長範囲内の光を出力する照明器10を使用することによって、達成することができる。いくつかの基板Sは、特定の波長範囲または色に対して部分的または全体的な透過性を有することができるものと理解されたい。単なる一例として、所与の基板Sは、約475nmを中心とする波長を有する全ての青色入射光の大部分を伝送するか、または破壊的に妨害することができるが、基板S上に入射した約700nmを中心とする波長を有する赤色光の大部分を反射することができる。
【0033】
本実施例では、その後、光センサ16上への赤色光の入射に起因する、光センサ16によって出力された信号を使用できることが有用となり得る。それぞれのカラーチャネルに関するデータの使用は、システム8によって行われている検査でどのような特徴が調べられているのかに依存する。いくつかの実施形態では、特定の半導体基板(製品としても既知である)は、既知の様態で光を反射する特徴を有する傾向があり、したがって、検査システム8を、特に所与の製品に対して設定して、製品の検査を最適化することができる。
【0034】
図2は、本発明の別の実施形態を例示した図であり、図中、検査システム30は、直角の配列で、偏向器36、フィルタ40(任意選択)、およびビーム分割器42を通じて光学経路Pに沿って、基板S上に光を導く照明器32を有する。基板Sから経路P上に反射された光は、ビーム分割器42によって、フィルタ40(任意選択)および分析器38を通じて光センサ34に導かれる。システム8および30は、ビーム分割器の存在および入射角度の違いを除いて、実質的に同様である。本実施形態では、光学経路Pは、基板Sに対して実質的に直角である。
【0035】
焦点ずれ欠陥が、基板S上に形成された構造体のジオメトリを変えるので、焦点ずれ欠陥が、基板Sの反射率を変えることが観察された。基板Sの反射率を変える他の要因は、他のフィルム層の特性、および基板上に入射する光の波長、偏光、および角度である。本発明の種々の実施形態による検査システム(例えば、システム8または30)を用いることで、焦点ずれ欠陥に起因する反射率の変化を区別すること、およびその区別を迅速かつ信頼性のある様態で行うことが可能である。
【0036】
概して、照明器10、32からの光は、偏光器12、36によって所定の角度Pに偏光されて、基板S上に特定の角度θで入射する。反射すると、基板Sは、その多数の特徴、特に焦点ずれに関連して、入射光の偏光状態を変える。この偏光の変化によって、基板S内の焦点ずれ欠陥に関する情報を得ることができる。反射光は、分析器14を通過して、光センサ16上に入射する。分析器14は、本願明細書にて以下に詳述するように配置したときに、光センサ16から得られたデータが、反射光の振幅および偏光の両方の変化に関する情報、および、特に基板S上の焦点ずれ欠陥の存在に関する情報を含むようにするのを補助する。
【0037】
一実施形態では、基板S上に入射した光は、偏光器12、36によって直線偏光される。それは、当面の検査の問題に対する最も簡潔な解決法を提供するからである。他の実施形態では、入射光は、必要に応じて、楕円形または円形に偏光される。分析器14、38を、偏光器12、36に対して角度Aに設定することによって、光センサ16、34に到達する光を調節することができる。偏光器12、36と分析器14、38との間の角度は、P−Aで与えられる。
【0038】
以下、図3を参照すると、概して、光が基板Sから反射されるときに、入射光の一部(E)は、入射光の他の部分とは異なって反射される。入射光の一部Eは、図3にEおよびEで示されるように、その偏光にいかなる著しい変化もなく、基板Sの表面上の偏光非依存性の特徴から反射される。半導体基板S上に見出すことができるこのような特徴のいくつかの実施例には、これに限定されないが、チッピング、クラック、スクラッチ、ピット、空隙、および粒子のような、基板S内に明暗として現れる欠陥が挙げられる。反射された入射光の別の一部(E)は、入射光の極性を変化させるように配置された、基板S上に形成された偏光依存性の特徴から反射される。
【0039】
半導体基板S上に見出される偏光依存性の特徴または構造のいくつかの実施例には、これに限定されないが、線構造、導電体、相互接続部、ビア、およびストリートが挙げられる。基板Sの表面から反射された入射光のさらなる他の一部は、反射光の偏光を変更し、焦点ずれ欠陥も受ける、特徴または構造によって反射される。この光(E)は、Eとは異なる偏光状態を有する。光Eを反射する構造は、それらが焦点ずれ欠陥を受け、その大きさが光Eの強度に影響を及ぼすという事実を除いて、上述した光Eが反射される公称構造に構造的に類似するか、または同一なものとなり得る。
【0040】
図4を参照すると、分析器14、38を通過しなかった光に関しては、反射光EとEとの間の強度にはほとんどコントラストが無いことが分かる。明らかなように、これらの状況の下で焦点ずれ欠陥を識別することは困難である。しかしながら、反射光E、E、E、およびEを、適切に配置した分析器14、38を通過させて、光信号E´、E´、E´、およびE´を得ると、光信号E´とE´との間のコントラストレベルは、焦点ずれ欠陥の存在に関する有用な情報を得るのに十分なものである。図5を参照されたい。
【0041】
一実施形態では、偏光器12と分析器14との間の角度P−Aは、実験的に決定される。ここで、図6を参照すると、検査のために試験基板Sがシステム8内に設置され(ステップ50)、照明器10(一実施形態ではストロボ照明器)は、所定の照明レベルに設定され(ステップ52)、該照明レベルは、その最高強度出力付近に設定することが好ましいが、あらゆる好適な強度とすることができる。照明器または光源10からの光Eは、偏光器12を通じて基板S上へ導かれる。次に、偏光器12を角度Pに設定する(ステップ54)。
【0042】
一実施形態では、偏光器12は、基板S上に存在するあらゆる線形構造体に対して実質的に垂直に、角度を付けて配向される。当然のことながら、基板Sが、半導体デバイスをその上に(あらゆる完成状態で)形成した半導体ウエハである場合、そのような構造体は、必ずしもそうではないが、一般的に著しい線状の特徴を有する。反射光(E、E、E、およびE)は、分析器14を通過して、光センサ16上で光信号E´、E´、E´、およびE´を得る。基板S上の線状構造に対するいかなる識別可能な配向も無い場合、または基板Sの上にいかなる線状構造も形成されていない場合、任意の角度Pを偏光器12に対して選択することができる。
【0043】
次に、米国特許第6,324,298号、第6,487,307号、および第6,826,298号に記載されているように(これらは、本願明細書とともに共同所有され、参照することにより本願明細書に組み込まれる)、十分な照明が光センサ16に到達するように、分析器14を角度Aまで回転させて(ステップ56)、基板Sのマクロまたは偏光非依存性の欠陥の検査を行えるようにする。照明によって、基板Sの欠陥の検査が可能になるときだけでなく、誤判定および欠陥の見落としのような重大なエラーが検査中に生じない、システム8のエンドユーザを満足させるのに十分な品質の検査を行うことができる、信号対雑音比によって検査を行うときに、分析器14が正しい角度Aにあるとみなされることに留意されたい。システム8の信号対雑音比は、既知の仕方で光センサ16の出力を分析することによって決定される。
【0044】
偏光器および分析器が位置する角度PおよびAが分かると、偏光器および分析器を、偏光器と分析器との間の相対角度(P−A)を実質的に一定に保持しながら、上述の、光信号E´とE´との間に必要なコントラストを提供する、基板Sに対する所望の角度位置まで、一連の検査角度を通じて一緒に回転させる(ステップ58)。偏光器12および分析器14の回転中に、光センサ16上への光の入射強度が記録される。光センサ16での光強度は、偏光器12および分析器14がそれを通じて回転される、検査角度または位置ごとに記録される。一実施形態では、偏光器および分析器14は、ほぼ連続した様態で回転され、偏光器および分析器の位置、および光センサ16に存在する光強度は、偏光器および分析器の回転を細かく増加させながら記録される。偏光器および分析器の回転中に得られたデータの分析を行って、反射光E´とE´との間のコントラストに関して偏光器および分析器の最適な検査角度または位置を識別する。
【0045】
角度PおよびAの最適な設定を識別するプロセスは、手動で行うことができ、システム8のユーザは、選択された角度範囲で偏光器12および分析器14を回転させ、一方で、光センサ16は、画像データを記録し、該データは、好適なタイプのコンピュータCによって処理され、最適な角度P−Aを決定する。代替的に、および好ましくは、偏光器12および分析器14は、上述のコンピュータが、それらの回転を制御することができ、一方で、種々の角度P−Aでの最適な光センサ16からのデータを記録できるように自動化される。偏光器および分析器の自動化は、当業者に既知である。上記示唆したように、偏光器と分析器との間の最適な角度P−Aを決定するプロセスには、このすぐ後に説明するステップの前および後の両方に、複数の繰り返しが必要になる場合がある。例えば、較正/設定プロセスの全てが完了すると、較正/設定プロセスの全てをさらに複数回実行して、得られるシステム設定が最適であるどうかを判断することが有用となり得る。
【0046】
図6を参照して説明したように、システム8が適切に設定されると、焦点ずれ欠陥、および必要に応じて、他の欠陥の検査を行うことができる。しかしながら、最初に、システム8を較正しなければならない。較正は、焦点露光マトリクス(Focus Exposure Matrix:FEM)ウエハを使用して行われることが好ましい。FEMは、基板であり、その上に複数のパターンまたは構造が形成され、それぞれが異なる焦点位置および露光時間を有する。FEMは、通常、半導体デバイス製造に用いるフォトリソグラフィー機器の較正過程の一部として作製される。FEMは、焦点位置および露光の変化によって生じる、基板S上に形成されたパターンまたは構造体の構造的変化を組み込む。FEMから得られた焦点ずれおよび露光データは、基板Sの検査中にコンパレータとして使用される。FEM上に形成されるパターンは、試験中の基板S上に形成されたものと異なる場合があるが、同じであることが好ましいことに留意されたい。
【0047】
焦点ずれデータを得る方法は、較正目的の場合と検査目的の場合とでは、実質的に同じであるので、較正目的の場合の焦点ずれデータを得る方法を、検査プロセスの一部として説明する。較正手順と検査手順との差異は、必要に応じて注記する。
【0048】
検査中に、検査されるタイプの基板Sが得られ、既知の仕方で、検査システム8の光学要素に対して基板Sを移動させるウエハ支持体または上部プレート(図示せず)上に設置される。基板S(製品またはFEM)は、いくつかの実施形態では、区分的に検査される。基板Sが、半導体デバイスがその上に形成されたウエハである場合の一実施形態では、基板Sの検査は、ダイレベル単位で行われ、すなわち、基板S上の個々のダイの画像がセンサ16によって撮像され、それらの画像は、以下に説明するように処理される。
【0049】
他の実施形態では、検査は、視野単位で行われる。システム8の光学要素は、視野の画像を捕捉するように配置され、該視野のサイズは、個々のダイのもの、または個々のステッパショットのものとは異なる場合がある。システム8の視野が個々のダイよりも小さい場合は、複数の視野をつなぎ合わせて、個々のダイの合成画像を形成する。同じつなぎ合わせ手法を用いて、全てのステッパショットの合成画像を形成することができる。画像のつなぎ合わせによる合成画像の形成は、当技術分野において既知の手法であるものと理解されたい。
【0050】
視野が個々のダイよりも大きいか、またはステッパショットよりも大きい場合の他の実施形態では、得られる画像を切り取って、1つ以上のダイまたはステッパショットを示すことができる。概して、第1のステッパショットによって形成されたダイが許容可能なものとなり、一方で、第2のステッパショットによって形成されたダイが欠陥品となる場合があるので、別個のステッパショットによって複数のダイを含むように大きな画像を切り取らないことが有用である。画像の切り取りは、当業者に既知の手法である。
【0051】
さらに他の実施形態では、基板Sの検査は、最初に基板S全体の画像を捕捉することによって達成される。基板Sが比較的小さい場合は、領域走査原理のもとで動作するシステム8を使用して捕捉することができる。基板が領域走査システム8の視野よりも大きい場合は、上記に示唆したように基板Sの複数の画像を得て、互いにつなぎ合わせることができる。つなぎ合わせは、当業者には容易に理解されるように、線走査タイプおよび領域走査タイプの検査システム8とともに用いることができる。
【0052】
上述のように適切な偏光器/分析器の角度P−Aが得られると、基板S上の個々のダイの画像が、光センサ16によって捕捉される(ステップ60)。図7を参照されたい。以下に説明する較正および検査プロセスは、ダイ単位で行われるものとして説明するが、他の基準を用いる場合もあるものと理解されたい。撮像された基板S上のダイは、モデルの形成に対して、そのダイにチッピング、クラック、ピット、色変化、粒子等が実質的に無いことを判定するユーザによって選択することができる。この判定は、完全にシステム8のユーザ次第であり、基板S上の製品の性質および用途によって大きく異なり得る。例えば、ペースメーカでの使用を意図した半導体デバイスをその上に形成した基板Sを検査するユーザは、モデルを形成するために使用されるダイ上の欠陥の数に関して、非常に厳しい基準を課す可能性がある。逆に、安価で実質的に使い捨ての消費財での使用を意図した、同一の半導体デバイスをその上に形成した基板Sを検査するユーザは、モデルを形成するために使用されるダイにおける欠陥の数が多くても容易に許容する可能性がある。
【0053】
要するに、モデルを形成する目的に対して、何を「良品の」ダイと定義するのかに関しては、システム8のユーザの判断次第である。基板S上の全ての「良品の」ダイの画像は、モデルを形成する目的のために得られるものと想定されるが、それは、一般的には、統計的に有意な数の「良品の」ダイだけの場合となり、この数は、概して、「良品の」ダイの総数よりも少なく、約10乃至15である。少なくとも、適度な数を超えない、小さいランダムな欠陥として選択されるべきランダムで比較的目立たない欠陥を有するダイは、そのようなダイの統計的に有意なサンプルがサンプリングされた場合に、検査に大きな影響を及ぼす可能性は低くなるが、大きい非ランダムな欠陥は、検査プロセスを歪曲する可能性が高くなるものと理解されよう。
【0054】
自動化された方法を用いて、有用なモデルを得ることもできる。例えば、システム8を制御するコンピュータCは、統計的に有意な数のダイをランダムに選択して、それらの画像を捕捉することができる。次いで、これらの画像を使用して、モデルを形成した個々の画像の検査に使用するモデルを形成する。選択したダイが、ユーザが選択した基準の下で欠陥品であることが分かった場合、その欠陥品の画像は、別のランダムに選択されたダイの画像と置き換えられる。このプロセスは、好適なモデルが形成されるまで繰り返される。手動または自動で形成されたモデルは、変化しないままの場合、すなわち、経時的に変化しない場合か、または、検査が進むにつれて、新しい良品のダイをそのモデルに加えることによって、経時的に変更する場合があることに留意されたい。
【0055】
「モデル」という用語は、当業者によって異なる意味を有する場合があるので、本願明細書で使用する場合は明確にしておかなければならない。「ゴールデンダイ」または「ゴールデンリファレンス」という用語は、画像を指すものであり、その構成画素は、複数のダイの対応する画素値を合計し、それらの値の平均を得ることによって得られる強度値を有する。したがって、ゴールデンダイは、単に平均ダイの画像である。「モデル」という用語は、「ゴールデンダイ」または「ゴールデンリファレンス」という用語よりも広義であり、場合によっては、ゴールデンダイまたはゴールデンリファレンス情報を組み込まないか、または使用しない。
【0056】
ゴールデンダイは、一実施形態では、焦点ずれ検査に使用される(ステップ62)。同様に、ゴールデンダイは、マクロ欠陥の検査に使用されるモデルの基準の少なくとも一部を形成することができる。しかしながら、概して、マクロ欠陥の検査に使用されるモデルは、画像内の画素ごとに画素強度の閾値を定義することによって、単純なゴールデンダイを越えて移動する。マクロ欠陥の検査において、評価時に画素強度値が、閾値によって定義された範囲から外れていることが見出された場合、それらの画素は、欠陥があるとみなされる。閾値自体は、ゴールデンダイから算出される標準偏差と同じくらい単純なものとなり得るが、大抵は、基板Sの種々の特徴、変形例、および特性、およびその上に形成される製品に適用されるユーザ定義の標準を考慮する、重み因子を含む場合がある。
【0057】
欠陥検査に使用されるモデルは、無数の方法で形成することができ、また、多少なりともゴールデンダイに基づく場合、また基づかないがあり、マクロ欠陥の検査モデルに対する唯一の要件は、結果として生じる検査が、システム8のユーザを満足させる結果をもたらすことであると理解されたい。マクロ欠陥の検査が行われる場合、そのような検査に好適なモデルは、ゴールデンダイが生成されるのとほぼ同時に得ることができる(ステップ64)。矢印65で示されるように、モデルの形成には、場合によっては、ゴールデンダイ情報を使用することができる。モデルが形成されると、その後、捕捉画像をモデルと比較して欠陥を識別する(ステップ72)。
【0058】
前のステップで得られたゴールデンダイの画像を使用して、焦点ずれ欠陥の検査中に捕捉した画像の背景を取り除くことで、差分画像と称される画像がもたらされる(ステップ66)。差分画像は、ゴールデンダイの画像の個々の対応する画素値と、検査中のダイの画像との差で構成される。差分画像を形成する画素強度値は、正、負、またはゼロとなり得るもので、差分画像の全てにわたって合計および平均される(ステップ68)。得られた平均値は、次いで、FEMの検査によって得られた類似の平均と比較して、平均値が、システムのユーザによって設定された所定の閾値を超えるかどうかを判定する。いくつかの実施形態では、FEM由来の差分画像の平均値を、検査由来の差分画像の平均値と直接比較して、許容できないレベルの焦点ずれ欠陥がダイ内に存在するかどうかを判断することも可能である。
【0059】
当業者に理解されるように、偏光器12および分析器14は、実質的に全ての光の通過を阻止するか、または実質的に全ての光の通過を可能にするように、互いに角度を付けて配置することができる。本発明の一実施形態では、偏光器12および分析器14は、実質的に全ての光EおよびEの通過を阻止するように、互いに角度を付けて配置される。本実施形態、および基板Sが反射光の偏光状態に影響を及ぼさなかった場合、光センサ16は実質的にいかなる画像も登録しない。しかしながら、極性を変化させる特徴は、概して基板S上に存在し、かつ一般的に少なくともある程度の焦点ずれ欠陥が存在するので、光EおよびEは、光センサ16上に入射する。
【0060】
分析器14に対する偏光器12の角度位置は、検査する基板Sの性質に最も依存するが、これに限定されないが、光源12の性質、光学システムの物理的性質等を含む、他の因子を使用することもできる。一実施形態では、偏光器12の偏光角度は、検査される基板S上に存在する線形構造に対して約45°である。したがって、いくつかの実施形態では、分析器14の偏光角度は、検査される基板の性質によって変化する場合があるものと認識されたい。
【0061】
いくつかの実施形態では、複数の走査検査を用いて、基板S上の欠陥の存在を判断する。一実施形態では、第1のパスは、マクロ欠陥の検査に対する不十分な光を通過させる設定で、偏光器12および分析器14によって行われる。この第1のパスは、単に、焦点ずれまたは露光欠陥が、基板の、概して1つ以上のダイまたはステッパショットの撮影領域内に存在するかどうかの判定を意図したものである。第2のパスは、チッピング、クラック、粒子、空隙、およびスクラッチのようなマクロ欠陥を見出すステップを伴い、より大きな量の光がそれらを通過することができるように配置された、偏光器12および分析器14によって行われる。
【0062】
別の実施形態では、システム8を使用して、基板上の薄膜の厚さの変化、またはその存在を検出することができる。場合によっては、処理ステップの後に、不要な残余の膜が、基板Sの全部または一部に残存する。適切に配置された場合、基板8の差分画像は、残余の膜の場所および大きさを識別する。
【0063】
本発明の特定の実施形態を本願明細書にて図示および説明したが、当業者は、同じ目的を達成するように意図されたあらゆる機構が、示された特定の実施形態の代替物になり得るものと理解されよう。本発明の多数の適合例は、当業者には明らかである。したがって、本出願は、本発明のあらゆる適合例または変形例を対象とすることを意図する。以下の特許請求の範囲およびその同等物によってのみ本発明が限定されることを明白に意図する。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、基板の種々の欠陥を検査するためのシステムおよび方法において、偏光フィルタを用いて、焦点ずれおよび露光欠陥のような偏光依存性の欠陥のコントラストを改善し、一方で、ピット、空隙、クラック、チッピング、および粒子のような偏光非依存性の欠陥に対しても同じ感度を保持することにより、半導体デバイスの製造工程における品質の確保および収率の改善に有用である。
【符号の説明】
【0065】
8 撮像システム
10 照明器
12 偏光子
14 分析器
16 光センサ
18 カラーフィルタ
P 光学経路
S 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の欠陥を識別するための検査システムであって、
基板上へ光を向けるように配置された光源と、
前記光源と前記基板との間に配置された第1の偏光フィルタと、
前記基板から反射された光を受けるように配置された光センサと、
前記基板と前記光センサとの間に配置された第2の偏光フィルタと、
を備え、
前記第1および第2の偏光フィルタは、前記光センサによって捕捉された画像の画像強度が前記基板上の偏光依存性の欠陥の存在と少なくとも部分的に相関されるように、互いに対して角度を付けて配置されていることを特徴とする、検査システム。
【請求項2】
前記光源は、ストロボ光源である、請求項1に記載の検査システム。
【請求項3】
前記光源は、レーザと白色光源から成る群から選択される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項4】
前記レーザ光源は、モノクロレーザである、請求項3に記載の検査システム。
【請求項5】
前記レーザ光源は、それぞれが異なる公称波長出力を有する複数のレーザである、請求項3に記載の検査システム。
【請求項6】
前記光センサは、カラー光センサである、請求項1に記載の検査システム。
【請求項7】
前記カラー光センサは、それに関連付けられたカラーフィルタを有するモノクロ光センサ、ベイヤ型カラー光センサ、3チップ型カラー光センサから成る群から選択される、請求項6に記載の検査システム。
【請求項8】
前記光源と前記光センサとの間に配置された少なくとも1つの光カラーフィルタをさらに含む、請求項1に記載の検査システム。
【請求項9】
前記光センサは、ピット、空隙、チッピング、クラック、粒子、およびスクラッチから成る群から選択される欠陥の識別を可能にするのに十分な質の画像を捕捉する、請求項1に記載の検査システム。
【請求項10】
前記光センサは、領域走査光センサと線走査光センサから成る群から選択される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項11】
前記光源は、前記検査システムに対して前記基板が移動する速度に少なくとも部分的に相関する速さで、前記基板を照明するストロボである、請求項1に記載の検査システム。
【請求項12】
前記偏光依存性の欠陥は、焦点ずれ欠陥と露光欠陥からなる群から選択される、請求項1に記載の検査システム。
【請求項13】
基板上の欠陥を識別するための検査システムであって、
基板上へ光を向けるように配置された光源と、
前記光源と前記基板との間に配置された第1の偏光フィルタと、
前記基板から反射された光を受けるように配置された光センサと、
前記基板と前記光センサとの間に配置された第2の偏光フィルタと、
を備え、
前記第1および第2の偏光フィルタは、前記光センサによって捕捉した画像を使用して、少なくとも第1のタイプおよび第2のタイプの欠陥を同時に識別し得るように、互いに対して角度を付けて配置されていることを特徴とする、検査システム。
【請求項14】
前記識別された第1のタイプの欠陥は、焦点ずれ欠陥と露光欠陥から成る群のうちの少なくとも1つである、請求項13に記載の検査システム。
【請求項15】
前記識別された第2のタイプの欠陥は、もしあれば、前記基板上のピット、空隙、チッピング、クラック、粒子、およびスクラッチから成る群のうちの少なくとも1つである、請求項13に記載の検査システム。
【請求項16】
前記光源は、ストロボ光源である、請求項13に記載の検査システム。
【請求項17】
前記光源は、レーザと白色光源から成る群から選択される、請求項13に記載の検査システム。
【請求項18】
前記レーザ光源は、モノクロレーザである、請求項17に記載の検査システム。
【請求項19】
前記レーザ光源は、それぞれが異なる公称波長出力を有する複数のレーザである、請求項17に記載の検査システム。
【請求項20】
前記光センサはカラー光センサである、請求項13に記載の検査システム。
【請求項21】
前記カラー光センサは、それに関連付けられたカラーフィルタを有するモノクロ光センサ、ベイヤ型カラー光センサ、および3チップ型カラー光センサから成る群から選択される、請求項20に記載の検査システム。
【請求項22】
前記光源と前記光センサとの間に配置された少なくとも1つの光カラーフィルタをさらに含む、請求項13に記載の検査システム。
【請求項23】
前記光センサは、領域走査光センサと線走査光センサから成る群から選択される、請求項13に記載の検査システム。
【請求項24】
前記光源は、前記基板が運動する速度に少なくとも部分的に相関する速さで、前記基板を照明するストロボである、請求項13に記載の検査システム。
【請求項25】
基板の露光および焦点ずれ欠陥を検査する方法であって、
基板上に光を向けるように配置された光源と、前記光源と前記基板との間に配置された第1の偏光フィルタと、前記基板から反射された光を受けるように配置された光センサと、前記基板と前記光センサとの間に配置された第2の偏光フィルタと、を備える検査システムを提供するステップと、
前記第1および第2の偏光フィルタを、互いに対して、選択された相対角度に配置するステップと、
前記基板の画像を捕捉するステップと、
前記画像から比較データを生成して、前記基板上の露光および焦点ずれ欠陥のうちの少なくとも1つの存在を識別するステップと、
を含む、基板を検査する方法。
【請求項26】
前記第1および第2の偏光フィルタを、該フィルタ間の前記選択した相対角度を維持しながら、一緒に検査角度まで回転させるステップをさらに含む、請求項25に記載の基板を検査する方法。
【請求項27】
前記画像を処理するステップは、
捕捉画像ごとに差分画像を生成するステップと、
前記差分画像の全てにわたって前記差分画像のそれぞれの画素強度差を平均して、差分画像ごとに平均画像強度を得るステップと、
各捕捉画像の前記平均画像強度を所定の閾値に対して評価して、もしあれば、前記基板上の露光および焦点ずれ欠陥のうちの少なくとも1つの存在を判定するステップと、を含む、請求項25に記載の基板を検査する方法。
【請求項28】
基板内の既知のレベルの露光および焦点ずれ欠陥のうちの少なくとも1つに対して、前記光センサの出力を較正するステップを含む、請求項25に記載の基板を検査する方法。
【請求項29】
前記較正するステップは、
各画像が既知の程度の焦点ずれおよび露光欠陥を受けている、複数の較正基板の画像を捕捉するステップと、
捕捉画像ごとに差分画像を生成するステップと、
前記差分画像の全てにわたって前記差分画像の画素強度差を平均して、平均画像強度を得るステップと、
既知の程度の焦点ずれおよび露光欠陥を有する捕捉画像ごとに、前記平均画像強度値を記録するステップと、を含む、請求項28に記載の基板を検査する方法。
【請求項30】
前記差分画像を生成するステップは、複数の捕捉画像を画素単位で平均して、平均画像を得て、該平均画像を、画素単位で各捕捉画像から差し引いて、差分画像を得るステップを含む、請求項27に記載の基板を検査する方法。
【請求項31】
各捕捉画像について、ピット、空隙、チッピング、クラック、粒子、およびスクラッチから成る群から選択される欠陥を検査するステップをさらに含む、請求項25に記載の基板を検査する方法。
【請求項32】
前記ピット、空隙、チッピング、クラック、粒子、およびスクラッチから成る群から選択される欠陥を検査するステップは、前記露光および焦点ずれ欠陥のうちの少なくとも1つの検査と実質的に同時に行う、請求項31に記載の基板を検査する方法。
【請求項33】
前記差分画像を検査して、その中の層境界を識別するステップをさらに含む、請求項30に記載の基板を検査する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−503862(P2010−503862A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528415(P2009−528415)
【出願日】平成19年9月10日(2007.9.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/078063
【国際公開番号】WO2008/033779
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(507103868)ルドルフテクノロジーズ  インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】Rudolph Technologies, Inc.
【住所又は居所原語表記】One Rudolph Road, Flanders, NJ 07836 United States of America
【Fターム(参考)】