説明

健康美容機能性組成物、それを含有する飲食品および化粧品

【課題】安全性が高く、充分な酵素阻害効果を備えた、天然材料に由来する健康美容機能性組成物、それを含有する飲食品および化粧品を提供する。
【解決手段】健康美容機能性組成物として、アカギを原料として用いる。
また、健康美容機能性組成物として、アカギ抽出物を用いる。
飲食品または化粧品に、アカギまたはアカギ抽出物を、チロシナーゼ阻害成分として配合する。
飲食品または化粧品に、アカギまたはアカギ抽出物を、ウレアーゼ阻害成分として配合する。
飲食品または化粧品に、アカギまたはアカギ抽出物を、ヒアルロニダーゼ阻害成分として配合する。
飲食品または化粧品に、アカギまたはアカギ抽出物を、コラゲナーゼ阻害成分として配合する。
飲食品または化粧品に、アカギまたはアカギ抽出物を、抗菌成分として配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、健康美容機能性組成物、それを含有する飲食品および化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のバリア機能低下や加齢に伴う老化には、皮膚組織内および表皮に生育している細菌類が持つ酵素の作用が介在していると考えられている。
【0003】
チロシナーゼは、表皮と真皮の間にあるメラノサイト内に在る酵素で、メラニン色素の生成に寄与していて、色素沈着やシミ、ソバカスの発生に関連するものと考えられている。
【0004】
ウレアーゼは、微生物により産生される酵素で、尿素を分解してアンモニアを発生し、これが原因となってかぶれや肌荒れが誘発されると考えられている。
また、ウレアーゼは、胃の中に存在する細菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃潰瘍を誘発する機構の一部にも関連しているものと考えられている。
【0005】
ヒアルロニダーゼは、細胞内および細菌類が持つ酵素で、結合組織の間質物質の一つであるヒアルロン酸を分解する機能を持ち、従って皮膚の保湿性や皮膚のバリア機能の維持と関わる。ヒアルロニダーゼはまた、白血球の感染部位への到着や、受精現象の際の、精子の卵子への侵入、細菌類が結合組織を通って広がる過程、などに重要な役割を果たしている。
【0006】
コラゲナーゼは、細胞内および細菌類が持つ酵素で、結合組織のたんぱく質性の繊維の一つであるコラーゲンの分解に関与し、従って皮膚の弾性の低下やしわの発生などに関与する。
【0007】
上述のような、皮膚のバリア機能低下や、加齢に伴う老化に関与する酵素を阻害する組成物は、健康美容機能を有するものであるということができる。
そして、それぞれの酵素に対する阻害組成物は、これまでにも種々のものが提案されている。
【0008】
例えば、ウレアーゼに起因する疾患を抑制するため、合成のウレアーゼ阻害剤組成物として、これまで、ヒドロキサム酸(特許文献1)、カルボスチリル誘導体(特許文献2)などが提案されている。
【0009】
しかしながら、合成化合物は人体に対する安全性の確認に手間がかかり、確実に安全性を証明することは容易ではなく、特に、化粧品や飲食品などに健康美容機能性組成物を添加する場合には、より高い安全性が求められているのが実情である。
【0010】
また、色素沈着、シミ、ソバカスなどの予防・治療用に、ハイドロキノンなどの化学合成品を有効成分とする美白剤、例えば、化粧料全量に対して0.01〜10重量%のハイドロキノン配糖体の少なくとも1種と、美白作用を有する生薬または生薬エキスとを含む化粧料(特許文献3)も提案されている。
【0011】
しかしながら、ハイドロキノンなどの化学合成品は、皮膚刺激、アレルギーなどの副作用の危険性がある。そのため、安全性の高い天然原料を有効成分とする美白剤の開発が望まれている。
【0012】
また、天然材料を用いたウレアーゼ阻害剤組成物として、ルスカスなどの植物エキス(特許文献4)が提案されている。
【0013】
しかしながら、安全性の高い天然材料を用いたウレアーゼ阻害剤組成物の場合、十分なウレアーゼ阻害作用を得ることができず、さらに、効果の高いウレアーゼ阻害剤組成物の開発が望まれている。
【0014】
また、天然素材を用いた個々の酵素阻害剤組成物として、植物エキスなどが提案されているが、効果とコストのバランス、化粧品の差別化戦略上、などの理由から充分に実用的な機能性組成物とはなっていない。
【特許文献1】特開昭57−119997号公報
【特許文献2】特開平7−101862号公報
【特許文献3】特開平5−139950号公報
【特許文献4】特開平8−19595号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本願発明は上記課題を解決するものであり、安全性が高く、充分な酵素阻害効果を備えた、天然材料に由来する健康美容機能性組成物、それを含有する飲食品および化粧品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本願発明者らは、種々の植物に由来する物質について、調査検討を行うとともに、実験を行い、沖縄に自生するトウダイグサ科アカギ属の樹木であるアカギ(赤木)の葉の抽出物にチロシナーゼ阻害活性、ウレアーゼ阻害活性、ヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性および抗菌作用があることを見いだした。
【0017】
上述の結果は、アカギの葉の抽出物に4つの異なる酵素に対する阻害活性および抗菌作用が同時に含まれている事を意味する。この4つの酵素に対する阻害活性および抗菌性は何れも健康美容機能に関連しているので、健康美容機能性組成物として研究開発を行った。
【0018】
そして、さらに実験、検討を行って本願発明を完成した。
すなわち、本願発明(請求項1)の健康美容機能性組成物は、アカギを原料として用いることを特徴としている。
【0019】
また、請求項2の健康美容機能性組成物は、請求項1の発明の構成において、アカギの抽出物を含有することを特徴としている。
【0020】
また、請求項3の飲食品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、チロシナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0021】
また、請求項4の化粧品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、チロシナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0022】
また、請求項5の飲食品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ウレアーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0023】
また、請求項6の化粧品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ウレアーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0024】
また、請求項7の飲食品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ヒアルロニダーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0025】
また、請求項8の化粧品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ヒアルロニダーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0026】
また、請求項9の飲食品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、コラゲナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0027】
また、請求項10の化粧品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、コラゲナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴としている。
【0028】
また、請求項11の飲食品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、抗菌成分として配合されていることを特徴としている。
【0029】
また、請求項12の化粧品は、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、抗菌成分として配合されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0030】
本願発明(請求項1)の健康美容機能性組成物は、天然材料(維管束植物)であるアカギ(別名カタン)が原料として用いられている。このアカギは、民間療法では使用歴のある植物であり、このアカギを原料とする本願発明の健康美容機能性組成物は安全性に優れ、皮膚刺激やアレルギーなどの副作用のおそれも少なく、高い健康美容機能性を有している。
したがって、本願発明によれば、安全性の高い天然材料を原料として用いた、健康美容機能性に優れた、信頼性の高い健康美容機能性組成物を提供することが可能になる。
【0031】
請求項2の健康美容機能性組成物のように、アカギの抽出物を含有させることにより、より健康美容機能性の高い健康美容機能性組成物を得ることが可能になる。すなわち、アカギからその成分を抽出することにより、健康美容機能性を有する有効成分を高い純度で得ることが可能になり、本願発明をより実効あらしめることができる。
【0032】
また本願発明(請求項3)の飲食品のように、チロシナーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該飲食品を飲み、あるいは食した場合に、飲食品に含まれるチロシナーゼ阻害成分が、色素沈着、シミ、ソバカスなどを抑制、防止する機能を果たす、優れた健康美容機能性を有する飲食品を提供することが可能になる。
【0033】
また本願発明(請求項4)の化粧品のように、チロシナーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該化粧品を使用することにより、チロシナーゼ阻害成分が、色素沈着、シミ、ソバカスなどを抑制、防止する機能を果たす化粧品を提供することが可能になる。
【0034】
また本願発明(請求項5)の飲食品のように、ウレアーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該飲食品を飲み、あるいは食した場合に、飲食品に含まれるウレアーゼ阻害成分が、胃炎の発生を抑制、防止して、胃を良好な状態に保つ機能を果たす、優れた健康美容機能性を有する飲食品を提供することが可能になる。
【0035】
また本願発明(請求項6)の化粧品のように、ウレアーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、ウレアーゼ阻害成分が、かぶれや肌荒れの発生を抑制、防止する機能を果たし、肌を良好な状態に保つ化粧品を提供することが可能になる。
【0036】
また本願発明(請求項7)の飲食品のように、ヒアルロニダーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該飲食品を飲み、あるいは食した場合に、飲食品に含まれるヒアルロニダーゼ阻害成分が、肌の結合組織の間質物質の一つであるヒアルロン酸の分解を抑制、防止して、皮膚の保湿性や皮膚のバリア機能を高め、肌の良好な状態を維持をする機能を果たす、優れた健康美容機能性を有する飲食品を提供することが可能になる。
【0037】
また本願発明(請求項8)の化粧品のように、ヒアルロニダーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該化粧品に含まれるヒアルロニダーゼ阻害成分が、肌の結合組織の間質物質の一つであるヒアルロン酸の分解を抑制、防止して、皮膚の保湿性や皮膚のバリア機能を高め、肌の良好な状態を維持する機能を果たす化粧品を提供することが可能になる。
【0038】
また本願発明(請求項9)の飲食品のように、コラゲナーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該飲食品を飲み、あるいは食した場合に、飲食品に含まれるコラゲナーゼ阻害成分が、肌の結合組織のたんぱく質性の繊維の一つであるコラーゲンの分解を抑制、防止して、従って皮膚の弾性の低下やしわについて、より良好な状態を維持する機能を果たす、優れた健康美容機能性を有する飲食品を提供することが可能になる。
【0039】
また本願発明(請求項10)の化粧品のように、コラゲナーゼ阻害成分として請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を配合することにより、該飲食品を飲み、あるいは食した場合に、飲食品に含まれるコラゲナーゼ阻害成分が、肌の結合組織のたんぱく質性の繊維の一つであるコラーゲンの分解を抑制、防止して、従って皮膚の弾性の低下やしわについて、より良好な状態を維持する機能を果たす化粧品を提供することが可能になる。
【0040】
また、請求項11の飲食品のように、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を、抗菌成分として配合することにより、抗菌性に優れ、人工防腐剤などの添加を必要としない、安全性の高い飲食品を提供することが可能になる。
【0041】
また、請求項12の化粧品のように、請求項1または2記載の健康美容機能性組成物を、抗菌成分として配合することにより、抗菌性に優れ、人工防腐剤などの添加を必要としない、安全性の高い化粧品を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本願発明の健康美容機能性組成物は、沖縄県などに自生し、東南アジアから中国南方およびオーストラリアやポリネシアに分布するトウダイグサ科アカギ属の樹木であるアカギ(赤木)を原料としている。このアカギは、学名:Bischofia javanica,和名:アカギである。
【0043】
このアカギは、ポリネシアではその葉が民間療法で用いられてきている。その用途としては、乳幼児の強壮剤、利尿剤、局所の潰瘍やかゆみ腫れ物の治療、また潰瘍、寄生虫、赤痢の治療などの用途が知られている。
このように、アカギは、民間では長い間にわたって用いられており、アカギおよびその抽出物の安全性は広く認識されている。
したがって、本願発明によれば、チロシナーゼ阻害活性、ウレアーゼ阻害活性、ヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性の4つの異なる酵素に対する阻害活性を備え、かつ、抗菌性を備えた、天然材料に由来し、安全性の高い健康美容機能性組成物を提供することが可能になる。
【0044】
なお、本願発明においては、アカギとして葉、樹皮、幹、根、果実、種子の少なくとも一種類を用いることが可能であり、また全植物体をアカギの原料として用いることも可能である。ただし好ましくは葉部を用いる。これは、健康美容機能性、抗菌性を有する物質の含有率が高いことによる。
【0045】
また、アカギを原料として用いるにあたっては、例えばアカギを粉砕した状態で健康美容機能性組成物の原料として用いることが可能である。
なお、アカギを粉砕するにあたっては、例えば通風乾燥もしくは凍結乾燥した状態でブレンダーを利用して容易に微細な粉末にすることができる。
【0046】
また、本願発明においては、アカギから抽出したアカギ抽出物を用いることができる。抽出を行うことにより、アカギの有効成分(健康美容機能性、抗菌性を有する物質)を高い純度で得ることができる。そして、有効成分が濃縮された抽出物を原料として用いることにより、製品である健康美容機能性組成物の効果を高めることが可能になる。なお、アカギの有効成分を抽出して用いる場合にも、葉部を抽出原料として用いることが好ましい。
【0047】
本願発明において、「アカギ抽出物」とは、上述のように、アカギを抽出原料として得られる抽出物を意味する。
なお、「アカギ抽出物」には、アカギを抽出原料として得られる抽出液、該当抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、またはこれらの粗精製物もしくは精製物が含まれる。
【0048】
抽出溶媒としては、水、さらには塩酸、硫酸、クエン酸、酢酸などの酸もしくは水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができる。
また、アルコール類(例えば、無水エタノール、エタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなど)、アセトンなどのケトン類、ジエチルエーテル、ジオキサン、酢酸エチルエステルなどのエステル類などの有機溶媒を用いることができる。
これらの溶媒は単独で、または、2種類以上を任意に組み合わせて使用することができ、また、各々の溶媒による抽出物を組み合わせて、「アカギ抽出物」として使用することができる。
【0049】
なお、抽出温度や抽出時間などの抽出条件に特別の制約はないが、アカギを上記の抽出溶媒を用いて、常温で長時間浸漬することにより、アカギの抽出物を得ることができる。また、加熱することにより抽出に要する時間を短縮することが可能である。
【0050】
また、アカギ抽出物はそのままでも健康美容機能性組成物として用いることが可能であるが、濃縮を行って溶液状、ペースト状、粉末状にすることにより含有率を高め、健康美容機能性効果および抗菌性効果を高めることができる。
なお、アカギ抽出物の濃縮には、減圧濃縮や凍結乾燥などの一般的な種々の方法を用いることができる。
【0051】
また、アカギ抽出物を精製することにより、健康美容機能性効果および抗菌性効果を高めることができる。なお、本願発明において、アカギ抽出物を精製した精製物はアカギ抽出物に含まれる概念である。
【0052】
アカギ抽出物の精製には有機溶媒への転溶、吸着剤の使用など一般的な方法を用いることができる。例えば、アカギのエタノール抽出物を有機溶媒に転溶することにより、活性の高い抽出精製物を得ることができる。
【0053】
また、抽出物は吸着剤を用いて精製することが可能であり、吸着剤としては例えば、シリカゲル、ポリビニルポリピロリドン、ポリビニルピロリドン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、メタクリル酸エステル重合体、架橋デキストランゲル、親水性ビニルポリマーなどを用いることができる
【0054】
本願発明による健康美容機能性組成物におけるアカギ抽出物または精製物の含有濃度は、固形分として0.01〜100重量%の範囲とすることができる。アカギ抽出物または精製物の含有濃度の好ましい範囲は、0.5〜50重量%の範囲である。これは、アカギ抽出物または精製物の含有濃度を0.5〜50重量%程度の範囲とすることにより、良好な使用性および作用効果が得られることによる。
【0055】
以上のように、アカギおよびアカギ抽出物(あるいはその精製物)は、健康美容機能性を有するので、健康美容機能性組成物の有効成分として利用することができる。健康美容機能性としては、チロシナーゼ阻害活性、ウレアーゼ阻害活性、ヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性、抗菌性のいずれか一つだけを活用することもできるし、複数の活性を組み合わせて活用することもできる。また4つの酵素に対する阻害活性と抗菌性を同時に、総合的な健康美容機能性として活用することもできる。なお、本願発明において、健康美容機能性とは、特に明記する場合を除いて、健康美容に関する上記の諸性質の少なくとも1つを意味する概念であり、上記の諸性質のいずれか(個々であるか組み合わせるかを問わず)を備えた組成物が、本願発明における健康美容機能性組成物にあたる。
【0056】
また、本願発明の健康美容機能性組成物を適用することが可能な対象に特別の制約はなく、飲食品、化粧品以外にも、医薬品などに広く使用することが可能である。
【0057】
アカギ抽出物は、そのままでも健康美容機能性組成物として使用することができるが、常法に従って製剤化して使用することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリンなどの薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を添加することができる。アカギ抽出物は、製剤化により粉末状、顆粒状、錠剤状など、任意の剤形とすることができる。
【0058】
アカギ抽出物は経口摂取可能であるので、飲食品に配合するのに好適である。アカギ抽出物が配合された飲食品には健康美容機能性が付与され、健康美容機能性飲食品として使用することができる。「健康美容機能性飲食品」は、健康美容の増進の目的に用いられる飲食品であり、その種類は特に限定されるものではない。
【0059】
本願発明の健康美容機能性組成物は、以下の種々の飲食品の素材として使用することができる。
すなわち、本願発明の健康美容機能性組成物を配合して用いることが可能な飲食品としては、例えば、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓など)、麺類(そば、うどん、ラーメンなど)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルトなど)、調味料(味噌、醤油など)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料など)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセルなど)、栄養補助食品(栄養ドリンクなど)が挙げられる。
【0060】
アカギ抽出物は皮膚に適用した場合の安全性に優れているので、皮膚化粧料に配合するのに好適である。アカギ抽出物が配合された皮膚化粧料には健康美容作用が付与され、健康美容機能性化粧料として使用することができる。「健康美容機能性化粧料」は、健康美容機能性の増進の目的に用いられる皮膚化粧料であり、その種類は特に限定されるものではないが、例えば、ローション、クリーム、乳液、パック、リップ、皮膚洗浄料、消臭剤、ふきとり化粧水などをあげることができる。
【0061】
また、本願発明の健康美容機能性組成物には、通常化粧品や医薬品などの皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、その他の美白剤、保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤などを必要に応じて適宜配合することができる
【0062】
また、薬品(医薬品および医薬部外品を含む)の例としては、各種ドリンク剤、皮膚外用剤の形状にすることができる。薬品製剤用の原料に、有効成分であるアカギ、もしくは抽出物、望ましくは抽出物を精製・濃縮したものを適宜配合して製造することができる。
【0063】
また、本願発明のウレアーゼ阻害用組成物をピロリ菌除菌治療に用いる場合には、抗菌作用などを発揮する他の薬理剤と併用してもよい。例えばアカギ抽出物、望ましくはアカギ抽出物を精製・濃縮したものに、抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシンなど)、抗原虫剤(チニダゾール、メトロニダゾールなど)、抗腫瘍剤(ビスマス製剤、ソファルコン、プロウノトールなど)、プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ランソプラゾールなど)などを適宜配合してもよい。
【0064】
以下に本願発明の実施例を示して本願発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0065】
<アカギの抽出物を含有する健康美容機能性組成物の製造>
沖縄および大阪で採集した、アカギの新鮮な葉100gを裁断し、表1に示す条件で抽出を行った。
なお、表1には、上記アカギの葉100gについて抽出を行った抽出液を、減圧濃縮乾燥することにより得られる抽出物(固形分)の量を併せて示している。
【0066】
【表1】

【0067】
溶媒の量は各々400mlで加熱還流して抽出液を得た。そして、この抽出液を減圧濃縮し、乾燥抽出物を得た。
【0068】
なお、沖縄および大阪で採集したアカギの葉は、各採集時期によって別々に処理した。そして、以下の各実施例において示した表2〜5においては、各採集時期の違いによりそれぞれ、沖縄(1)、沖縄(2)、沖縄(3)、沖縄(4)、大阪(1)、大阪(2)として区別して示した。なお、上述のそれぞれのアカギの葉からの抽出物の量は、いずれの場合も、表1に示した値とほぼ同様の値となることが確認されている。
そして、上述のようにして得た各々の抽出物を十分に溶解する溶媒にアカギ抽出物の固形分濃度として100mg/mlとなるように溶解し、以下の実施例2、3、4、5の方法で各酵素の阻害活性を測定した。
【実施例2】
【0069】
<チロシナーゼ阻害率の測定>
実施例1で得られた抽出物のうち、沖縄(1),(2)、大阪(1)の抽出物を、該抽出物を十分に溶解させることが可能な溶媒に溶解し、以下の方法でチロシナーゼ阻害活性を測定した。
【0070】
なお、評価にあたって、チロシナーゼ活性は、50U/mlのmushroom由来チロシナーゼの25mMリン酸緩衝液(pH6.9)溶液0.1mlと、0.5mg/mlのL−Dopa25mMリン酸緩衝液(pH6.9)溶液0.5mlを配合した溶液に、試験サンプル液0.4mlを混合し、5分間の吸光度(475nm)変化を測定することにより調べた。
また、チロシナーゼ活性阻害率はコントロール(抽出物無添加)の吸光度変化を100%として計算した。
なお、チロシナーゼ阻害率は、その値が大きいほどチロシナーゼ阻害活性が大きいことを示す。
上述のようにして求めたチロシナーゼ阻害率を表2に示す。
【0071】
【表2】

【0072】
表2に示すように、No.2−1〜No.2−3のいずれの場合にも、チロシナーゼ阻害率として有意性のある値が得られた。なお、沖縄(1),(2)では、大阪(1)に比べて高いチロシナーゼ阻害率が得られることが確認された。
【実施例3】
【0073】
<ウレアーゼ阻害率の測定>
実施例1で得られた抽出物のうち、沖縄(1)、(2)、(3)、大阪(1)の抽出物について、以下の方法でウレアーゼ阻害率について調べた。
【0074】
ウレアーゼ活性はJack Bean由来のウレアーゼを使用し、尿素を基質として、ウレアーゼにより生じたアンモニアをアンモニア測定キット(和光純薬)で定量することにより測定した。ウレアーゼ阻害率は、アカギの葉の抽出物無添加のときの反応を基準として、アカギの葉の抽出物が共存するときの活性の減少率から求めた。
上述のようにして求めたウレアーゼ阻害率を表3に示す。
【0075】
【表3】

【0076】
表3に示すように、抽出物の濃度やアカギの葉の産地、採取時期などにより、いくらかのばらつきはあるが、有意性のあるウレアーゼ阻害率が得られることが確認された。
【実施例4】
【0077】
<ヒアルロニダ−ゼ阻害率の測定>
実施例1で得られた抽出物のうち、沖縄(1),(2)、(3)、大阪(1)、(2)の抽出物について、以下の方法でヒアルロニダ−ゼ阻害率について調べた。
【0078】
(測定用試薬の準備)
ヒアルロン酸ナトリウム溶液は、緩衝液中に5.5mg/5mlで準備する。
Compound48/80溶液は、緩衝液中に3.5mg/5mlで準備する。
ヒアルロニダ−ゼ溶液は、緩衝液中に31.2mg/5mlで準備する。このヒアルロニダ−ゼ溶液は、冷蔵保存する。
p−DAB溶液は、0.5gに対して620マイクロリットルの10規定塩酸、4.2mlの酢酸を加えて調整し、これを10倍希釈したものを使用する。
試料は10重量%DMSO溶液中に調整する。
【0079】
(ヒアルロニダ−ゼ阻害率の測定)
適量の試料を緩衝液に加えて合計量を100マイクロリットルとし、これに酵素液50マイクロリットルを加えて37℃で20分間保温する。これにCompound48/80溶液を100マイクロリットル加え、37℃で20分間保温した後、ヒアルロン酸ナトリウム溶液250マイクロリットルを加え、37℃でさらに40分間保温する。
【0080】
次いで、0.4規定の水酸化ナトリウム溶液100マイクロリットルを加えて氷冷後、ホウ酸緩衝液100マイクロリットルを加えて3分間煮沸する。氷冷後、p−DAB溶液3mlを加えて、37℃で20分間保温した後、585nmの吸光度を測定した。
【0081】
対照には試料溶液の代わりに上記酢酸緩衝液を用いた。また、それぞれのブランクとして、酵素溶液の代わりに上記酢酸緩衝液を用いた。阻害活性は次の式から求められる阻害率(%)で表した。
[(A−B)−(C−D)]/(A−B)
A:対照溶液のA585
B:対照溶液のブランクのA585
C:試料溶液のA585
D:試料溶液のブランクのA585
【0082】
上述のようにして求めたヒアルロニダ−ゼ阻害率を表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
表4に示すように、No.4−6の、大阪(2)の抽出物の試験濃度が0.1mg/ml)の場合、ヒアルロニダ−ゼ阻害率は0%であったが、その他の場合には、抽出物の濃度やアカギの葉の産地、採取時期などによりばらつきはあるが、有意性のあるヒアルロニダ−ゼ阻害率が得られることが確認された。
【実施例5】
【0085】
<コラゲナ−ゼ阻害率の測定>
実施例1で得られた抽出物のうち、沖縄(1),(2)、(4)、大阪(1)の抽出物について、以下の方法でコラゲナ−ゼ阻害率について調べた。
【0086】
(測定用試薬の準備)
コラゲナ−ゼ溶液は緩衝液中に0.005mg/mlになるように調整する。
基質ペプチド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg)は緩衝液中に0.5mg/mlになるように調整する。
【0087】
(コラゲナ−ゼ阻害率の測定)
コラゲナ−ゼは基質ペプチド(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg)を加水分解反応でPz−Pro−LeuとGly−Pro−D−Argに分解する。この活性を320nmの吸光値の上昇で測定する。この反応中に適当量の試料溶液を加えて、コラゲナ−ゼ阻害率を測定する。
コラゲナ−ゼ20マイクロリットル、基質ペプチド溶液250マイクロリットルに対し試料溶液を適量加え、残りは緩衝液を加えて反応液全体で500マイクロリットルとなるようにした。
攪拌後、37℃で保温し、30分後に25mMのクエン酸1ml、エチル酢酸5mlを加え攪拌する。その後、遠心分離し、上澄み液のA320(320nmの吸光度)を測定する。ブランクとしては基質溶液を加えないものを用いた。
阻害活性は次の式から求められる阻害率(%)で表した。
[(A−B)−(C−D)]/(A−B)
A:対照溶液のA320
B:対照溶液のブランクのA320
C:試料溶液のA320
D:試料溶液のブランクのA320
【0088】
上述のようにして求めたコラゲナーゼ阻害率を表5に示す。
【0089】
【表5】

【0090】
表5に示すように、抽出物の濃度やアカギの葉の産地、採取時期などにより、わずかにばらつきはあるが、有意性のあるコラゲナーゼ阻害率が得られることが確認された。
表2,表3,表4,および表5に示した結果から、アカギ抽出物はチロシナーゼ阻害活性、ウレアーゼ阻害活性、ヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性を有していることが確認された。なお、上記実施例1の表1に示した条件の中では、新鮮なアカギの葉を35重量%エタノールを用いて抽出したアカギ抽出物が、総合的な健康美容機能性組成物として最も有用性が高いことが分かった。
【実施例6】
【0091】
<抗菌作用の評価>
上記実施例1で得た表1のNo.1−1、No.1−2、No.1−3の各抽出物を十分に溶解する溶媒に溶解し、この水溶液を用いて液体培地法によりその抗菌作用を評価した。
【0092】
供試菌としてBacillus subtilisを植菌したソイビーン・カゼイン・ダイジェスト・ブロス培地に、段階的に濃度を変化させた試料溶液を加えて培養し、24時間後の生育阻止を肉眼で確認した。
この試験において、培地1ml中の抗菌剤組成物(表1の各抽出物の固形分)0.5mgで増殖を阻止することが確認された。これは同じ条件においてメチルパラベン4mg以上の増殖阻止能力に相当する。
【実施例7】
【0093】
<安全性の評価>
実施例1で得た各々のアカギ抽出物を水溶液とし、アカギ抽出物の固形分濃度が1重量%の溶液を試料とし、各試料を塗布または経口摂取した場合の安全性を検査した。
【0094】
20歳から60歳の男女10名を対象に、急性の反応を目視でまたは申告により確認し、また、1週間の経過観察をアンケート調査により行った。
その結果、全ての被験者において、急性の反応は認められなかった。
また、試験期間中、被験者の皮膚トラブル、健康美容上のトラブルの発生は全く認められなかった。
この結果から、安全上の問題がないことが確認された。
【実施例8】
【0095】
(1)ステアリン酸 8.0重量%
(2)ステアリルアルコール 4.0重量%
(3)ステアリン酸ブチル 6.0重量%
(4)プロピレングリコール 5.0重量%
(5)モノステアリン酸グリセリン 2.0重量%
(6)水酸化カリウム 0.4重量%
(7)精製水 72.1重量%
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が2.5重量%となるような割合で加え、必要に応じて防腐、酸化防止処置の上、定法により乳化作業を経てクリーム(美容機能性用クリーム)とした。
【0096】
この実施例の美容機能性用クリームを、被験者が皮膚に塗布して使用したところ、美容機能性作用の効果が認められることが確認された。
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような美容機能性作用を有するクリーム(美容機能性用クリーム)を得ることができる。
【実施例9】
【0097】
(1)ジプロピレングリコール 7.0重量%
(2)PEG1500 8.0重量%
(3)カルボキシビニルポリマー 0.4重量%
(4)メチルセルロース 0.2重量%
(5)POE(15)オレイルアルコールエーテル 1.0重量%
(6)水酸化カリウム 0.1重量%
(7)精製水 80.3重量%
以上の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が3.0重量%となるような割合で加え、必要に応じて防腐、酸化防止処置の上、定法によりキレート剤を添加してジェル(美容機能性用ジェル)とした。
【0098】
この実施例の美容機能性用ジェルを、被験者が皮膚に塗布して使用したところ、美容機能性作用の効果が認められることが確認された。
【0099】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような美容機能性作用効果を有するジェル(美容機能性用ジェル)を得ることができる。
【実施例10】
【0100】
(1)豆乳 200g
(2)ココア 10g
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が5.0重量%となるように加えて可溶化し、必要に応じて防腐処置の上、飲料とした。
【0101】
この実施例の飲料を、被験者が継続して飲用したところ、美容機能性作用が認められることが確認された。
【0102】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような美容機能性作用を有する飲料を得ることができる。
【実施例11】
【0103】
(1)そば粉 100g
(2)小麦粉 100g
(3)卵 適量
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が10.0重量%となるように加えて麺(食品)を作製した。
【0104】
この実施例の麺を、被験者が継続して食したところ、美容機能性作用が認められることが確認された。
【0105】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような美容機能性作用を有する麺(食品)を得ることができる。
【実施例12】
【0106】
(1)砂糖 60g
(2)ダイズたんぱく質 1g
(3)ペクチン 1g
(4)オリ―ブ油 1g
(5)りんご酸 1g
(6)寒天 1g
(7)増粘剤、乳化剤 適量
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が4.0重量%となるように加えてゼリー状食品を作製した。
【0107】
この実施例のゼリー状食品を、被験者が継続して食したところ、美容機能性作用が認められることが確認された。
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような美容機能性作用を有するゼリー状食品を得ることができる。
【実施例13】
【0108】
以下の処方例に示す成分に、アカギ抽出物を配合することにより、皮膚外用剤(美容液)を作製した。
(1)ソルビトール 8.0重量%
(2)1,3ブチレングリコール 5.0重量%
(3)PEG1500 7.0重量%
(4)ヒアルロン酸 0.1重量%
(5)エタノール 7.0重量%
(6)POEオレイルアルコールエーテル 1.0重量%
(7)オリーブ油 0.2重量%
(8)精製水 69.7重量%
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が2.0重量%となるように加え、必要に応じて防腐、酸化防止処置の上、定法により可溶化して美容液とした。
この実施例の美容液を、被験者が皮膚に塗布して使用したところ、美容機能性作用が認められることが確認された。
【0109】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような美容機能性作用を有する美容液を得ることができる。
【実施例14】
【0110】
(1)豆乳 200g
(2)ココア 10g
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が10.0重量%となるように加えて可溶化し、特に防腐処置をせずに、飲料とした。
【0111】
この実施例の飲料を、温度4℃、相対湿度30%の条件下で保管したところ、少なくとも100時間が経過するまでは、腐敗が認められなかった。
また、100時間保管後の飲料を被験者が継続して飲用したところ、美容機能性作用が認められることが確認された。
【0112】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような抗菌作用および美容機能性作用を有する飲料を得ることができる。
【実施例15】
【0113】
(1)そば粉 100g
(2)小麦粉 100g
(3)卵 適量
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が10.0重量%となるように加え、特に防腐処理をしない麺(食品)を作製した。
【0114】
この実施例の麺を、温度4℃、相対湿度30%の条件下で保管したところ、少なくとも100時間が経過するまでは、腐敗が認められなかった。
また、100時間保管後の麺を被験者が継続して食したところ、美容機能性作用が認められることが確認された。
【0115】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような抗菌作用および美容機能性作用を有する麺を得ることができる。
【実施例16】
【0116】
(1)ステアリン酸 8.0重量%
(2)ステアリルアルコール 4.0重量%
(3)ステアリン酸ブチル 6.0重量%
(4)プロピレングリコール 5.0重量%
(5)モノステアリン酸グリセリン 2.0重量%
(6)水酸化カリウム 0.4重量%
(7)精製水 72.1重量%
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が5.0重量%となるような割合で加え、定法により乳化作業を経てクリーム(美容機能性用クリーム)とした。
【0117】
この実施例16の美容機能性用クリームの安定性を評価するために、防腐剤を種々の割合で上記美容機能性用クリームに配合し、温度40℃、相対湿度75%の条件下で、1500時間が経過するまで腐敗を生じさせないようにするために必要な防腐剤の量を計測した。
また、比較のため、アカギ抽出物を加えていない美容機能性用クリームについても、同様の条件で、1500時間が経過するまで腐敗を生じさせないようにするために必要な防腐剤の量を計測した。
その結果、アカギ抽出物を加えた美容機能性用クリームの場合、安定性を確保する(すなわち、上記条件で、1500時間が経過するまで腐敗が生じないようにする)ために必要な防腐剤の量は、アカギ抽出物を加えない美容機能性用クリームと比較した場合、明らかに少なくなることが確認された。
また、1500時間保管後の美容機能性用クリームを、被験者が皮膚に塗布して使用したところ、美容機能性作用の効果が認められることが確認された。
【0118】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような抗菌作用および美容機能性作用を有するクリーム(美容機能性用クリーム)を得ることができる。
【実施例17】
【0119】
(1)ジプロピレングリコール 7.0重量%
(2)PEG1500 8.0重量%
(3)カルボキシビニルポリマー 0.4重量%
(4)メチルセルロース 0.2重量%
(5)POE(15)オレイルアルコールエーテル 1.0重量%
(6)水酸化カリウム 0.1重量%
(7)精製水 80.3重量%
の処方に、実施例1における、表1のNo.1−2のアカギ抽出物(沖縄(1)のアカギを35重量%エタノールで、80℃、1時間抽出した抽出物)を固形物としての最終濃度が4.0重量%となるような割合で加え、定法によりキレート剤を添加してジェル(美容機能性用ジェル)とした。
【0120】
この実施例17の美容機能性用ジェルの安定性を評価するために、防腐剤を種々の割合で上記美容機能性用ジェルに配合し、温度40℃、相対湿度75%の条件下で、1500時間が経過するまで腐敗を生じさせないようにするために必要な防腐剤の量を計測した。
また、比較のため、アカギ抽出物を加えていない美容機能性用ジェルについても、同様の条件で、1500時間が経過するまで腐敗を生じさせないようにするために必要な防腐剤の量を計測した。
その結果、アカギ抽出物を加えた美容機能性用ジェルの場合、安定性を確保する(すなわち、上記条件で、1500時間が経過するまで腐敗が生じないようにする)ために必要な防腐剤の量は、アカギ抽出物を加えない美容機能性用ジェルと比較した場合、明らかに少なくなることが確認された。
また、1500時間保管後の美容機能性用ジェルを、被験者が皮膚に塗布して使用したところ、美容機能性作用の効果が認められることが確認された。
【0121】
なお、上記表1のNo.1−2のアカギ抽出物以外のアカギ抽出物を用いた場合にも、上記No.1−2のアカギ抽出物を用いた場合に準じるような抗菌作用および美容機能性作用効果を有するジェル(美容機能性用ジェル)を得ることができる。
【0122】
なお、本願発明は、上記の各実施例に限定されるものではなく、飲食品、化粧品における、アカギおよびアカギ抽出物の少なくとも1種と共存する物質の種類や、割合などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0123】
上述のように、本願発明によれば、植物を原料とし、優れたチロシナーゼ阻害活性、ウレアーゼ阻害活性、ヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性、抗菌作用を有し、人体に対する安全性の高い物質を得ることが可能になるとともに、該物質が、チロシナーゼ阻害活性、ウレアーゼ阻害活性、ヒアルロニダーゼ阻害活性、コラゲナーゼ阻害活性、抗菌作用を果たす、飲食品、化粧品を提供することが可能になる。
したがって、本願発明は、飲食品や化粧品の分野に広く適用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカギを原料として用いることを特徴とする健康美容機能性組成物。
【請求項2】
アカギの抽出物を含有することを特徴とする請求項1記載の健康美容機能性組成物。
【請求項3】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、チロシナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする飲食品。
【請求項4】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、チロシナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする化粧品。
【請求項5】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ウレアーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする飲食品。
【請求項6】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ウレアーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする化粧品。
【請求項7】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ヒアルロニダーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする飲食品。
【請求項8】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、ヒアルロニダーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする化粧品。
【請求項9】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、コラゲナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする飲食品。
【請求項10】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、コラゲナーゼ阻害成分として配合されていることを特徴とする化粧品。
【請求項11】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、抗菌成分として配合されていることを特徴とする飲食品。
【請求項12】
請求項1または2記載の健康美容機能性組成物が、抗菌成分として配合されていることを特徴とする化粧品。

【公開番号】特開2007−332081(P2007−332081A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166598(P2006−166598)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2006年3月5日 社団法人 日本農芸化学会発行の「日本農芸化学会2006年度(平成18年度)大会講演要旨集」に発表
【出願人】(500326994)バイオ21株式会社 (4)
【Fターム(参考)】