説明

充填包装機および包装容器の製造方法

【解決課題】充填された内容物が高温化に伴う悪影響を受け難い充填包装機および包装容器の製造方法を提供する。
【解決手段】充填包装機1は、フィルム包材10a、10bに成形されるポケット11に内容物を充填して包装容器3を製造する。充填部形成装置30で、ポケット11の周縁に第1シール面が形成されるとともに有底の充填部が形成され、充填装置40で充填部に内容物が充填され、封緘装置50で充填部の上方が封緘され、打ち抜き装置80でフィルム包材10a、10bから包装容器3が打ち抜かれる。封緘装置50の熱融着部52が、充填部の上方を熱融着して、第1シール面に連続する第2シール面を形成し、この熱融着の間、冷却部53が充填部を冷却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填包装機および包装容器の製造方法に関し、より詳しくは、対向するフィルム包材を重ね合わせ、このフィルム包材に成形されるポケットに内容物を充填して包装容器を製造する充填包装機および包装容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の充填包装機として、例えば特許文献1に記載されるものが知られている。上記充填包装機によれば、ポケットの成形から内容物の充填、打ち抜き等に至るまで各工程を連続して自動的におこない、所定の包装容器を製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−258506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記充填包装機によって製造される包装容器は、1回使用分程度の少量の内容物を収容するのに好適であり、携帯性や省資源性に優れ、陳列効果等も有することから、化粧品や医薬品をはじめとする様々な用途に活用されている。
【0005】
一方、上記充填包装機では通常、包装容器の密封性を確保するために、ポケットの周縁をヒートシールしているが、充填される内容物によっては、ヒートシール時の高温条件が好ましくないものもある。例えば、或る特定の薬剤等では、一定以上の温度になると主成分が分解等して、十分な効能を発揮できなくなる。従来の充填包装機によれば、ポケットの周縁をヒートシールする際に相当温度に加熱されることから、充填された内容物がこのような高温化に伴う悪影響を受ける場合があった。
【0006】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主な目的とするところは、充填された内容物が高温化に伴う悪影響を受け難い充填包装機および包装容器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の充填包装機は、フィルム包材を略垂直姿勢で対向搬送して重ね合わせるとともに、このフィルム包材に成形されたポケットに内容物を充填して包装容器を製造する充填包装機であって、ポケットの周縁に第1シール面を形成して、上方に開放された有底の充填部を形成する充填部形成装置と、該充填部に内容物を充填する充填装置と、該充填部の上方を封緘する封緘装置と、フィルム包材から所定形状の包装容器を打ち抜く打ち抜き装置と、を含み、該封緘装置が、該充填部の上方を熱融着して、該第1シール面に連続する第2シール面を形成する熱融着部と、該熱融着部による熱融着の間、該充填部を冷却する冷却部と、を備えて構成される。
【0008】
本発明の充填包装機は好ましくは、該熱融着部が、該フィルム包材を挟んで対設されるヒートシール型を備え、該冷却部が、該ヒートシール型の下方にそれぞれ空隙部を介して対設されるとともに、被覆部が凹設された冷却型を備え、該ヒートシール型と該冷却型とが一体駆動され、該ヒートシール型による熱融着の間、該被覆部が該充填部に接触ないし近接して該充填部を被覆し得るように構成される。
【0009】
本発明の充填包装機はさらに好ましくは、該ヒートシール型と該冷却型とが固着されるベース部を備え、該ヒートシール型および/または該冷却型と該ベース部との間に、該ヒートシール型から該冷却型への熱伝導を防ぐ断熱部材が設けられる。
【0010】
本発明の充填包装機はさらに好ましくは、該冷却型に、下段から上段へ向けて冷媒を導通させる冷却路が内設される。
【0011】
また、本発明の封緘装置は、フィルム包材を略垂直姿勢で対向搬送して重ね合わせるとともに、このフィルム包材に成形されたポケットに内容物を充填して包装容器を製造する充填包装機において、ポケットの周縁に第1シール面を形成して、上方に開放された有底の充填部を形成し、該充填部に内容物を充填したのちに、該充填部の上方を封緘する封緘装置であって、該充填部の上方を熱融着して、該第1シール面に連続する第2シール面を形成する熱融着部と、該熱融着部による熱融着の間、該充填部を冷却する冷却部と、を備えて構成される。
【0012】
また、本発明の包装容器の製造方法は、フィルム包材を略垂直姿勢で対向搬送して重ね合わせるとともに、このフィルム包材に成形されたポケットに内容物を充填して包装容器を製造する包装容器の製造方法であって、ポケットの周縁に第1シール面を形成して、上方に開放された有底の充填部を形成する工程と、該充填部に内容物を充填する工程と、該充填部の上方を熱融着して、該第1シール面に連続する第2シール面を形成するとともに、熱融着の間、該充填部を冷却することで、該充填部の上方を封緘する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の充填包装機および包装容器の製造方法によれば、上記したとおりの構成であるため、充填された内容物が高温化に伴う悪影響を受け難いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態に係る充填包装機の全体構成を示す概略平面図である。
【図2】実施形態に係る充填包装機による充填包装状況を示す図(正面図および端面図)である。
【図3】実施形態に係る封緘装置を示す側面図である。
【図4】図3のA−A矢視図である。
【図5】図3のB−B矢視図である。
【図6】変形例を示す図である。
【図7】他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図5を参照して詳細に説明する。図1は実施形態に係る充填包装機1の全体構成を示す概略平面図であり、図2は充填包装機1による充填包装状況を示している。図3は充填包装機1における封緘装置50を示す側面図であり、図4および図5はそれぞれ、図3のA−A矢視図およびB−B矢視図である。
【0016】
図1に示すように、充填包装機1は主として、成形装置20、充填部形成装置30、充填装置40、封緘装置50、打ち抜き装置80を備える。図1〜図2に示すように、フィルム包材10a、10bに成形されたポケット11、11に内容物5が充填されて包装容器3が製造されている。
【0017】
フィルム包材10a、10bは、シーラントフィルムを有する積層フィルムまたは単体フィルムからなる。シーラントフィルムとしては、例えばLDPE、LLDPE、HDPE、EVA、CPPその他ポリオレフィン系のプラスチックフィルム等が好ましく用いられる。本実施形態のフィルム包材10a、10bは、PET/Al(アルミニウム箔)/PET/LDPEの積層フィルムによってそれぞれ構成されている。
【0018】
図2(a)〜(d)に示すように、フィルム包材10a、10bのポケット11、11が対向して重ね合わせられ、充填部13および非充填部14が設けられる。充填部13の周縁に第1シール面16が形成され、非充填部14の周縁に第2シール面17が形成され、充填部13には内容物5が充填される。本実施形態の内容物5は、熱に弱く、高温条件下で変質し易い薬剤等であり、例えば約40℃以上になると主成分が分解等するような特定の内用液やゼリー製剤等が用いられる。図2(e)に示すように、包装容器3における第2シール面17の適宜位置には、非充填部14を横截可能な開封用のノッチ7が形成される。
【0019】
充填包装機1の構成について、具体的に説明する。図1に示すように、成形装置20、充填部形成装置30、充填装置40、封緘装置50、打ち抜き装置80は、包装容器3を製造する一連の工程に従って順に配設される。フィルム包材10a、10bは略垂直姿勢で、かつ長手方向を略水平にして搬送方向Dに搬送されている。
【0020】
成形装置20は、フィルム包材10a、10bにポケット11、11をそれぞれ成形する(図2(a)参照)ものであり、ポケット11の形状に応じた押し型22および成形型23を備える。
充填部形成装置30は、対向搬送されるフィルム包材10a、10bにおけるポケット11、11の周縁の約下半部を熱融着して第1シール面16を形成する(図2(b)参照)ものであり、第1シール面16と同一正面形状の圧着部を有するヒートシール用の熱板型32およびその受型33を備える。
【0021】
充填装置40は、充填部13に規定量の内容物5を充填する(図2(c)参照)ものであり、フィルム包材10a、10b間に上方から挿入可能な充填ノズル42を備える。
封緘装置50は、ポケット11、11の周縁の約上半部を熱融着して第2シール面17を形成する(図2(d)参照)ものであり、所定の熱融着部52および冷却部53等を備えるが、これについては後述する。
打ち抜き装置80は、フィルム包材10a、10bから包装容器3を打ち抜く(図2(e)参照)ものであり、包装容器3の輪郭に応じた刃型が適宜周設されたダイロール82を備える。
【0022】
上記の封緘装置50について、さらに詳細に説明する。封緘装置50は、図3〜図5に示す如くの熱融着部52と冷却部53とを備えたものである。
【0023】
本実施形態の熱融着部52は、図3〜図5に示すように、一対のヒートシール型56a、56bによって構成される。ヒートシール型56a、56bは、搬送されるフィルム包材10a、10bを挟んで、かつフィルム包材10a、10bと平行状態となるようにして配設される。ヒートシール型56a、56bには、フィルム包材10a、10bのポケット11(非充填部14の部分)と同一正面形状の凹部57、57が形成される。凹部57、57の周囲にはさらに、第2シール面17と同一正面形状の圧着部58と、それを受けるシール受部59と、がそれぞれ面状に突設されている。シール受部59を、適度の弾力性および耐熱性を有するような素材(例えば耐熱シリコンゴム等)で構成する場合には、密封性の良好なヒートシールが可能となる。
【0024】
ヒートシール型56a、56bの適宜位置には、図3〜図5に示すように、ヒーター装入部60が設けられており、熱源としてのカートリッジヒーター(図示せず)等を装入して、ヒートシール型56a、56bを所要温度に加熱できるようになっている。ヒートシール型56a、56bの片方のみにヒーター装入部60を設ける構成としてもよい。
【0025】
また、本実施形態の冷却部53は、図3〜図5に示すように、一対の冷却型62a、62bによって構成される。冷却型62a、62bは、ヒートシール型56a、56bと同様、搬送されるフィルム包材10a、10bを挟んで、かつフィルム包材10a、10bと平行状態となるようにして配設されるが、それぞれヒートシール型56a、56bの下方に断熱効果を有する空隙部69a、69bを介して連設されている。 冷却型62a、62bは、フィルム包材10a、10bに平行する対向壁面64、64を備え、これらの所定位置に、フィルム包材10a、10bのポケット11(充填部13の部分)を模った被覆部63、63が、それぞれ凹設されている。
【0026】
冷却型62a、62bの適宜位置には、図3〜図5に示すように、冷却路65、65が内設されている。冷却路65は流入口67および流出口68を備えており、冷媒66を、流入口67から流入させて冷却路65内を通過させ、流出口68から流出させることができるようになっている。流入口67および流出口68には、可撓性の冷媒配管(図示せず)等が接続される。冷媒66を、冷却型62a、62b内で適宜循環させるような構成としてもよい。冷媒66としては、水や圧縮エア、冷媒用ガスその他の液体・気体等の適宜の流体が用いられる。
【0027】
上記したヒートシール型56aと冷却型62a、ヒートシール型56bと冷却型62bは、図3〜図5に示すように、取付ブロック71、72を介して、それぞれベース部54、54に固着されている。ベース部54は、駆動ロッド55(図1参照)に接続され、さらに駆動ロッド55は、図示しない駆動源に適宜接続されている。これにより、ヒートシール型56aと冷却型62a、ヒートシール型56bと冷却型62bがそれぞれ一体化されるとともに、同一のタイミングで、フィルム包材10a、10bに対して接離方向に往復駆動されるようになっている。ヒートシール型56a(56b)と冷却型62a(62b)とを別個に駆動させることもできるが、このようにヒートシール型56a(56b)と冷却型62a(62b)とを一体駆動させるのがより好ましい。
なお、ヒートシール型56a、56bや冷却型62a、62bに、図示しない温度検知手段や温度制御手段等を適宜付設するようにしてもよい。
【0028】
上記の如く構成される充填包装機1を用いて、包装容器3を製造する方法について説明する。
【0029】
図1に示すように、まず成形装置20にフィルム包材10a、10bが供給されると、成形装置20の押し型22および成形型23によって、フィルム包材10a、10bにそれぞれポケット11、11が成形される(図2(a)参照)。必要により、フィルム包材10a、10bは成形前に加熱軟化される。真空成形法や圧空成形法等によってポケット11を成形することもできる。供給されるフィルム包材10a、10bは、別個の原反ロール(図示せず)から別々に引き出されたものであってもよいし、単一の原反ロール(図示せず)から引き出されたものを長手方向に沿って二分割して用いるようにしてもよい。また、1枚のフィルム包材の所定箇所にポケット11を成形し、これを折線が下になるように幅方向に二つ折りしたものを、フィルム包材10a、10bとして搬送するようにしてもよい。
【0030】
ポケット11、11が成形されたフィルム包材10a、10bは、ポケット11、11の位置を合わせて対向搬送され、充填部形成装置30に送られる。充填部形成装置30では、熱板型32および受型33が所要温度(例えば150〜170℃程度)に加熱されており、ポケット11、11を収容状態にして挟着することで、フィルム包材10a、10bに第1シール面16が形成されると同時に、上方に開放された有底の充填部13が形成される(図2(b)参照)。第1シール面16を、インパルスシール法や高周波シール法、超音波シール法等を用いて形成するようにしてもよい。充填包装機1では、図1に示すように、冷却用の金型37を備えた冷却装置35が付設されており、充填部形成装置30によって高温化したフィルム包材10a、10bが、内容物5の充填に先立ち常温程度に冷却されるようになっている。
【0031】
次に、このフィルム包材10a、10bは充填装置40に送られる。フィルム包材10a、10bにおける充填部13の上方は未だ封緘されていないことから、充填ノズル42を用いて充填部13に内容物5を充填できる(図2(c)参照)。このとき図示しないガイド片によりフィルム包材10a、10bの上辺側を離間させるようにすれば、充填ノズル42を挿入し易い。
【0032】
充填部13に内容物5が充填されたフィルム包材10a、10bは、さらに封緘装置50に送られ、充填部13の上方が熱融着によって封緘される。封緘装置50では、ヒートシール型56a、56bが所要温度(例えば150〜170℃程度)に加熱されており、ポケット11、11(非充填部14の部分)を凹部57、57に収容しながら、圧着部58とシール受部59との間にフィルム包材10a、10bを挟着することで、充填部13上方における非充填部14の周縁に、第1シール面16に連続する第2シール面17が形成される(図2(d)参照)。このとき第2シール面17が第1シール面16とオーバーラップして形成されるようにすれば、密封性が良好となる。
【0033】
封緘装置50の冷却型62a、62bは、上記したとおり、ヒートシール型56a、56bとそれぞれ一体駆動されるが、ヒートシール型56a、56bによるフィルム包材10a、10bの挟着時、冷却型62a、62bの対向壁面64、64がフィルム包材10a、10bに近接するとともに、被覆部63、63が、充填部13にちょうど接触ないし近接して、充填部13の表面を略全体的に被覆し得るようになされている。そして、冷却路65内を通過する冷媒66の熱交換作用により、とりわけ被覆部63、63を介して充填部13が冷却され、充填部13に充填された内容物5の温度上昇が防止(または著しく緩和)されている。冷媒66として例えば約15〜20℃の冷却用水を用いた場合には、充填部13に充填された内容物5の温度を20〜25℃程度に維持できる。
また、本実施形態では冷却路65を、冷却型62a、62b内のそれぞれ所定位置に図3〜図5に示す如くの形態(横幅の広い鉛直路に流入口67、流出口68へと繋がる小径路を連穿したもの)にて内設し、冷却用水等の冷媒66を下段から上段に向けて上昇させながら導通させるように構成したため、冷却路65内におけるエア溜り等が防止され、冷却効果が非常に高くなっている。
【0034】
封緘装置50のヒートシール型56a、56bによってフィルム包材10a、10bの一部(第2シール面17等)が高温化するが、充填包装機1では、図1に示すように、冷却用の金型77を備えた冷却装置75が付設されており、フィルム包材10a、10bの全体が、常温程度に再度冷却されるようになっている。
そして、このフィルム包材10a、10bが打ち抜き装置80に送られ、ダイロール82の回転に伴って所定形状の包装容器3が打ち抜かれている(図2(e)参照)。包装容器3が打ち抜かれた残りのフィルム包材10a、10bは巻き取られ、スクラップ等として排出される。
なお、必要に応じて、第1シール面16や第2シール面17上に重ねて線状・ドット状等の二次シール加工を施す二次シール装置を充填包装機1に適宜付設し、シール強度やデザイン効果を高めるようにしてもよい。
【0035】
以上説明した充填包装機1によれば、封緘装置50の冷却型62a、62bによって、充填部13が冷却されるため、充填部13に充填された内容物5が、ヒートシール型56a、56bによるヒートシール時の高温化に伴う悪影響を受け難い。
【0036】
また、充填包装機1によれば、ヒートシール型56a、56bと冷却型62a、62bとの間に断熱効果を有する空隙部69a、69bが設けられるとともに、所定構成をなす被覆部63、63によって、充填部13の表面が略全体的に被覆され得ることから、充填部13および充填部13に充填された内容物5を非常に効率よく冷却できる。しかも、ベース部54、54を介して、ヒートシール型56aと冷却型62a、ヒートシール型56bと冷却型62bが、それぞれ一体駆動されることから、ヒートシール型56a、56bのヒートシール動作と容易に同期して、充填部13および充填部13に充填された内容物5を確実に冷却できる。ヒートシール型56a、56bおよび/または冷却型62a、62bとベース部54、54との間に設けられる取付ブロック71および/または取付ブロック72を、ヒートシール型56a、56bから冷却型62a、62bへの各熱伝導を防ぐ断熱部材(例えばPEEK樹脂等)によって設けることとすれば、上記冷却効果をさらに高めることが可能となる。空隙部69a、69bに、このような断熱部材を挿設するようにしてもよい。
【0037】
また、充填包装機1によれば、フィルム包材10a、10bを略垂直姿勢で搬送方向Dに搬送しながら包装容器3を製造するものであるため、内容物5が液体等の場合であっても規定量を溢さずに充填部13に充填することが容易であり、機械全体を背の低いコンパクトな構成とすることも可能となる。
【0038】
なお、冷却部53は、熱融着部52による熱融着の間、充填部13を冷却する冷却手段を有するようなものであれば、他の構成を採用してもよい。例えば、冷却型62a、62bに替えて、ヒートシール型56a、56bと連動して充填部13の表面に冷媒用ガスを噴射する噴射ノズル(図示せず)等を冷却手段とすることもできる。これに対して、上記のような冷却型62a、62bを用いた場合には、冷却部53の構造を簡易にできる上に、熱融着部52による熱融着動作を妨害することなく、より確実な冷却効果をあげることが可能となる。
【0039】
上記実施形態の変形例について、図6を参照して説明する。図6(a)は変形例に係る包装容器103を示し、図6(b)(c)は変形例に係る封緘装置50’を示している(上記同様の構成には同一符号を付している)。
【0040】
図6(a)に示すように、包装容器103は、個装容器104がミシン目107を介して連成された5連包形態をなす。連包数が任意に設定可能であることは言うまでもない。各個装容器104の下端には、製品名や使用期限・製造番号等の文字、図形、記号等を刻印可能な刻印部106が設けられている。個装容器104ごとに内容物5の充填量や薬剤濃度・種類等を異ならせて充填するようなものであってもよい。
【0041】
この変形例でも、基本的には上記同様の各装置(成形装置20、充填部形成装置30…)を用いることができるが、上記包装容器103の形態に合わせて、各装置のサイズや形状、部品点数等が変更される。例えば、図6(b)(c)に示すように、封緘装置50’は、ヒートシール型56a’、 56b’と冷却型62a’、62b’とを備え、凹部57、圧着部58、シール受部59および被覆部63等が包装容器103の各個装容器104に対応する態様にて設けられている。
【0042】
以上の実施形態の記述は、本発明をこれに限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の修正や設計変更等が可能である。
【0043】
例えば、包装容器3(103)は、上記以外にも様々な形態で構成することができる。内容物5は、液体やゲル状・ペースト状の流動体の他、粉粒体、固形状物等であってもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、フィルム包材10a、10bの両方にポケット11、11を成形して包装容器3(103)を製造するようにしたが、一方のフィルム包材10aまたは10bのみにポケット11を成形する場合にも本発明は適用できる。
【0045】
図7(a)はこのような場合のフィルム包材10a、10bの端面図を示し、図7(b)は封緘装置150の一部構成を示している(上記実施形態と同様の構成には同一符号を付している)。封緘装置150は、ヒートシール型56bおよび冷却型62b(図3、図5参照)の替わりに、図7(b)に示す如くのヒートシール型156bおよび冷却型162bを備えて構成され、これらをヒートシール型56aおよび冷却型62a(図3、図4参照)と組み合わせて用いるものである。ヒートシール型56aおよび冷却型62aの側のフィルム包材10aにはポケット11が成形されるが、ヒートシール型156bおよび冷却型162bの側のフィルム包材10bにはポケット11が成形されず、フィルム包材10bは平面状のままフィルム包材10aに重ね合わせられる(図7(a)参照)。そのため、図7(b)に示すように、ヒートシール型156bには凹部を有しない平坦なシール受部159が設けられ、冷却型162bの被覆部163も冷却型162bの対向壁面64と面一をなす平坦状に形成されている。
【0046】
このような封緘装置150によれば、一方のフィルム包材10aのみにポケット11を成形するような場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することが可能となる。上記実施形態の如くフィルム包材10a、10bの両方にポケット11、11を成形する場合には、同一消費包材量での内容物5の充填可能量が増大し、また、充填ノズル42の充填芯の設定等が容易になる。
【符号の説明】
【0047】
1 充填包装機
3 包装容器
5 内容物
10a、10b フィルム包材
11 ポケット
13 充填部
14 非充填部
16 第1シール面
17 第2シール面
20 成形装置
30 充填部形成装置
40 充填装置
50 封緘装置
52 熱融着部
53 冷却部
54 ベース部
56a、56b ヒートシール型
62a、62b 冷却型
63 被覆部
65 冷却路
66 冷媒
69 空隙部
80 打ち抜き装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム包材を略垂直姿勢で対向搬送して重ね合わせるとともに、このフィルム包材に成形されたポケットに内容物を充填して包装容器を製造する充填包装機であって、
ポケットの周縁に第1シール面を形成して、上方に開放された有底の充填部を形成する充填部形成装置と、
該充填部に内容物を充填する充填装置と、
該充填部の上方を封緘する封緘装置と、
フィルム包材から所定形状の包装容器を打ち抜く打ち抜き装置と、を含み、
該封緘装置が、
該充填部の上方を熱融着して、該第1シール面に連続する第2シール面を形成する熱融着部と、
該熱融着部による熱融着の間、該充填部を冷却する冷却部と、を備えた充填包装機。
【請求項2】
該熱融着部が、該フィルム包材を挟んで対設されるヒートシール型を備え、
該冷却部が、該ヒートシール型の下方にそれぞれ空隙部を介して対設されるとともに、被覆部が凹設された冷却型を備え、
該ヒートシール型と該冷却型とが一体駆動され、該ヒートシール型による熱融着の間、該被覆部が該充填部に接触ないし近接して該充填部を被覆し得るようになされた請求項1に記載の充填包装機。
【請求項3】
該ヒートシール型と該冷却型とが固着されるベース部を備え、
該ヒートシール型および/または該冷却型と該ベース部との間に、該ヒートシール型から該冷却型への熱伝導を防ぐ断熱部材が設けられた請求項2に記載の充填包装機。
【請求項4】
該冷却型に、下段から上段へ向けて冷媒を導通させる冷却路が内設された請求項3に記載の充填包装機。
【請求項5】
フィルム包材を略垂直姿勢で対向搬送して重ね合わせるとともに、このフィルム包材に成形されたポケットに内容物を充填して包装容器を製造する充填包装機において、ポケットの周縁に第1シール面を形成して、上方に開放された有底の充填部を形成し、該充填部に内容物を充填したのちに、該充填部の上方を封緘する封緘装置であって、
該充填部の上方を熱融着して、該第1シール面に連続する第2シール面を形成する熱融着部と、
該熱融着部による熱融着の間、該充填部を冷却する冷却部と、を備えた封緘装置。
【請求項6】
フィルム包材を略垂直姿勢で対向搬送して重ね合わせるとともに、このフィルム包材に成形されたポケットに内容物を充填して包装容器を製造する包装容器の製造方法であって、
ポケットの周縁に第1シール面を形成して、上方に開放された有底の充填部を形成する工程と、
該充填部に内容物を充填する工程と、
該充填部の上方を熱融着して、該第1シール面に連続する第2シール面を形成するとともに、熱融着の間、該充填部を冷却することで、該充填部の上方を封緘する工程と、を含む包装容器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−105356(P2011−105356A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263479(P2009−263479)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000137904)株式会社ミューチュアル (37)
【Fターム(参考)】