説明

充電装置

【課題】電気自動車や移動用電源など使用目的の異なる複数台の二次電池へ同時に並行して充電を行うことができるとともに、地上での設置スペースが大きく占有されない充電装置を提供する。
【解決手段】直流電源部22には、複数の直流安定化電源回路が備えられており、個々の直流安定化電源回路からそれぞれ要求される供給電力に応じた出力を別々に供給できるため、二次電池からの情報と、設定入力された設定部からの情報に基づいて、複数の直流安定化電源回路の中から1個又は複数個の直流安定化電源回路を選択し、選択された直流安定化電源回路と充電する二次電池までの供給する電力の供給回線構成及び選択された直流安定化電源回路の出力を調整することで、複数台の二次電池を個別の回線を構成し並行して充電を行えるとともに、個々の二次電池への供給する電力量を個々に調整することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数台の二次電池に個々の二次電池の要求に応じた電力を同時に供給できる充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを搭載した自動車は、排気される排ガス中のCO、NOx、黒煙、有害粒子状物質により環境を汚すことから、環境保全のために排ガスを放出しない電気自動車の実用化が期待されている。電気自動車に搭載されている二次電池は一般的に大型二次電池と称されており、鉛二次電池、ニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池などが上げられるが、電気自動車をはじめとする電気機器類を普及させるためにはこれら二次電池の小型化、軽量化、大容量化などの開発が急務とされている。現在、最も将来性を期待されている技術としてリチウムイオン二次電池が上げられる。
【0003】
一方、これら二次電池を電源としている電気機器類は、使用することにより二次電池の蓄電量が低下するため、充電が必要となる。これら二次電池の普及させるもうひとつの課題として充電時間が長いという欠点があり、充電時間を短くする技術も平行して開発に取り組まれている。JEVS(財)日本電動車両協会では最大50kwの出力で充電した場合30分以内に充電が完了するものを急速充電と定義しているが、二次電池と同様に充電設備に関する要求も高度化し、急速充電など容易に充電できる設備を充実させる技術の開発も重要な課題となっている。
【0004】
現在、二次電池の充電装置として、以下のような技術が提案されている。
【0005】
図8は従来の充電装置のブロック図である。
【0006】
変圧器6から交流電力が充電装置18に給電され、直流電力に整流されて二次電池へ充電を行う。一般的な充電装置は、交流の商用電力を受電するため、交流を整流する整流回路、電圧を上げる高周波トランス、交流を直流にする高周波インバータ、直流を整流する整流回路を備える構成となる。受電する電力に応じこの構成は変更されるが、二次電池の充電に適した直流電力に整流する回路を通常、直流安定化電源回路と称している。
【0007】
図8に示す充電装置は直流安定化電源回路からの出力が1箇所しかないため、1台の二次電池にしか充電できないが、複数台の二次電池に並行充電できる充電装置も提案されている。
【0008】
たとえば、特許文献1には、複数台の電気自動車に搭載される二次電池を深夜電力時間帯の電力で充電する充電制御装置が記載されている。この充電制御装置は、前記、二次電池それぞれの放電量を測定する放電量測定手段と、前記放電量に従って充電時間を決定する充電時間決定手段と、前記充電時間決定手段によって決定された前記、二次電池の充電時間の中で、充電時間のもっとも長い前記、二次電池が深夜電力時間帯の開始時刻に充電を開始し、かつ充電時間のもっとも短い前記、二次電池が深夜電力時間帯の終了時刻に充電を終了するよう充電時間帯を設定する充電時間帯整定手段とを備えていることが記載されている。
【0009】
また、特許文献2には、ひとつの充電装置で複数の電気自動車に搭載される二次電池を同時に充電する充電装置として、二次電池を搭載する自動車の本体に受電する受電口と二次電池をバイパスし、次の電気自動車へ電力を供給する給電口を設け、これらを車内に搭載された二次電池を充電する。一方側の受給電口を給電装置に接続すると共に、他方側の受給電口を他の電気自動車に接続して、両電気自動車に搭載される二次電池の充電を同時に行うことが記載されている。
【特許文献1】特開平10−80071号公報
【特許文献2】特開平10−117444号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図8に示す充電装置では電気自動車までの充電出力が1本であることから1台しか充電できないため、複数の車両が来た場合、後から来た電気自動車は、充電量が少ないにかかわらず長い待ち時間が発生する。また、一般的に電気自動車に搭載されているリチウムイオン電池などの二次電池に急速充電を行うためには、30kW以上の大容量直流電源装置が必要と考えられ、充電装置は大型となり、総重量も300kg以上となる。また、充電装置の設置のための敷地が大きく占有され、しかも設置コストも高いことから、地価の高い環境や狭いスペースでは設置できない現状もある。
【0011】
特許文献1の方法で複数台充電する場合の電力供給回線の構成は、直流電源部からの電力供給は1箇所であり、複数の二次電池を並列に接続した回線としただけであり、充電量の多い二次電池の充電が優先して開始され、充電量が少ない二次電池は、優先して充電が開始された二次電池の残充電量が等しくなるまで後回しにされた後充電が開始される。また、1台目の充電が開始されてから順次充電が開始されることとなるが、複数台の充電となった状態においては、個々の二次電池への出力は、直流電源部からの電力供給量を均等に分配されることとなる。更に、充電の終了時刻は充電時間のもっとも長い充電時間に依存する。その他、深夜電力を利用するものであるため、日中には充電装置として十分に機能しない。大容量直流電源装置が必要になることに加えて、電気自動車の放電量を測定して充電時間帯を整定するための手段が必要となるなど、設置する充電装置が大型になる。
【0012】
また、特許文献2の充電装置では、電気自動車の車体に受電口と給電口を設ける必要があるだけでなく、複数台充電する場合の電力供給回線の構成は、特許文献1と同様であり、大容量直流電源装置が必要となるため充電装置が大型となり、さらに、残量の異なる複数台の電気自動車を接続して充電するため、充電時間が長くなり、すべての電気自動車の充電が完了するまで、充電が短時間の残量の少ない電気自動車も給電のために待たなくてはならなくなるという欠点がある。
【0013】
そこで、本発明は、複数台の二次電池を並行して充電を行うとともに、個々の二次電池への供給電力を個々に調整可能としたことで、平行して充電する二次電池に依存することなく独立した充電が可能な充電装置を提供するものである。また、直流電源部の直流安定化電源回路を大容量化することなく急速充電が可能であり、地上での設置スペースが大きく占有されない充電装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、複数台の二次電池に個々の要求する電力を供給する接続部を有する充電装置であって、個々に接続された二次電池からの情報を入手する通信手段と、個々の充電条件を設定入力する入力部と、外部からの電力を受電し充電可能な直流電力を供給する複数の直流安定化電源回路を有する直流電源部と、前記、通信手段からの情報と、前記、入力部からの情報に基づき、個々の二次電池への電力を供給する直流安定化電源回路の選定,供給電力の出力調整及び電力を供給する回線の構成を制御する制御部からなることを特徴とする。
【0015】
直流電源部には、複数の直流安定化電源回路が備えられており、個々の直流安定化電源回路からそれぞれ要求される供給電力に応じた出力を別々の回線で供給できるため、二次電池からの情報と、設定入力された情報に基づいて、複数の直流安定化電源回路の中から電力供給可能な直流安定化電源回路を選択し、選択された直流安定化電源回路と個々の二次電池まで供給する電力の供給回線構成及び選択された直流安定化電源回路の出力を調整することで、複数台の二次電池を個別の回線を構成し並行して充電を行えるとともに、個々の二次電池への供給する電力量を個々に調整することが可能となる。
【0016】
なお、複数台連結された鉛二次電池やニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池二次電池、たとえば、移動用電源や電気自動車などの二次電池には、個々の情報を管理する過充電防止回路などのCPUが搭載されており、装置毎に通信方式は異なるが、一般的な双方向通信、たとえばRS−232CやCAN、無線LAN、PLCなど既存の通信装置を保有するものであれば、接続するだけで簡単に二次電池の情報が入手可能であり、充電電圧や通信手段の違う二次電池でも同時に接続して、個々の二次電池の要求に応じた充電を実施できる特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、二次電池の充電に関するインフラ整備として、直流電源部の直流安定化電源回路を複数備え、回線の構成を独立させることを可能としたことにより、個々の二次電池への供給電力を個々に調整することが可能となることから、電気自動車や移動用電源など使用目的の異なる複数台の二次電池を同時に平行充電でき、かつ充電装置側の条件に依存されることなく、急速充電などあらかじめ任意に入力した充電方法に応じ充電をさせることができる。
【0018】
並行して充電する二次電池の個数や条件に見合った直流安定化電源回路の個数や出力を個別に調整できる。
【0019】
大容量の直流安定化電源回路は必要なく、個々の直流安定化電源回路に最適な効率的出力を維持することができる。
【0020】
個々の二次電池毎の急速充電も可能なうえ、複数台の急速充電も可能であり、充電効率の効率化、充電時間の効率化、設置コストの効率化を図ることができる。
【0021】
更には、直流安定化電源回路に起因するトラブルが発生した場合でも、別の直流安定化電源回路をバックアップとして使用できるほか、直流電源部を分割し遠隔操作も可能であり、直流電源部を柱上、地下部、または別の敷地に配置するなど、充電エリアには二次電池への接続部と設定を入力する操作装置だけを設置すれだけで良いため、充電エリアを有効に使用することができる。その結果、電気自動車に搭載されている二次電池を充電する場合においては、設置スペースの狭い場所でも複数台の電気自動車を駐車するスペースがあれば、充電時間を有効に使用できるなど、並行充電できる充電装置の設置が可能となる。
【0022】
その他、充電操作装置に情報通信システムにアクセスできる機能を持たせることにより、利用者は料金のカードによる支払いも可能となるほか、充電中の待ち時間でインターネットなどの情報通信を利用可能にすることも可能であり、情報サービスを提供できるようにして待ち時間の有効化を図ることができるなど、サービスステーションとしての設備を有効に充実させることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の実施例について図を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の充電装置の動作を示すブロック図、図2は本発明の充電装置を利用できる二次電池の例を示す図である。
【0025】
二次電池(a)〜(n)は接続部(1)〜(n)により充電装置と接続され、通信手段19により制御部21と接続され、それぞれの二次電池(a)〜(n)に搭載されるCPUが保有する二次電池情報により、電池電圧(V)、電池温度(℃)、入力許容電力値(W)等が送信される。
【0026】
二次電池としては、例えば、電気自動車用:使用電圧が350V前後で定格容量10〜25KWh程度、移動用電源:使用電圧100〜200Vで定格容量5〜20KWh程度の移動用電源装置、ポータブル電源:使用電圧10〜15Vはパソコン、携帯電話などの小型電子機器、また、使用電圧100〜200Vで定格容量1〜5KWh程度の電源装置については、家庭用非常電源や土木建築作業,電気工事作業などの工事電源がある。
【0027】
入力部20では、充電器利用者がニーズに合った充電パターンなどの入力情報を選択して充電開始を指示する。これにより、制御部21では通信手段19で得られた二次電池情報と入力部20の入力情報に基づく演算を行い、直流電源部22に複数設けられている待機中の直流安定化電源回路(I)〜(X)の中から最も適した直流安定化電源回路を選択し、選択された直流安定化電源回路から充電する二次電池までの電力供給回路の構成及び供給電力の電圧(V)並びに出力(kw)を決定し、直流電源部22へ充電指令を出す。
【0028】
直流電源部22では、制御部21からの充電指令を受け、交流電力もしくは直流電力により受電した電力を選択された直流安定化電源回路において、充電指令に見合った電力に調整するとともに、選択された直流安定化電源回路から充電する二次電池までの電力供給回路の構成を行い、充電を開始する。
【0029】
二次電池は、それぞれの残容量や充電パターンに応じて充電されるが、二次電池(a)には、直流安定化電源回路(I)(II)(III)の3個の直流安定化電源回路が選択され急速充電が行われている。また、二次電池(b)は、2個の直流安定化電源回路(IV)(V)が選択され充電が行われている。この時、最適な組合せが構成されることから、充電装置の稼動効率を高めることができる。演算結果から急速充電が必要である場合は複数の直流安定化電源回路が選択され充電を開始することができる。
【0030】
二次電池(a)〜(n)の充電が完了すると、二次電池(a)〜(n)は、二次電池情報により、充電完了を送信し、制御部21は、通信手段19によりその情報を入手し、当該の充電の停止指令を直流電源部22に指示する。
【0031】
なお、二次電池には、充電に必要な固有の情報を有しており、それぞれ通信手段が異なることや、受電する電力により直流安定化電源回路の整流回路の構成が異なることなどから、直流安定化電源回路における整流回路の構成、容量、本数、または、通信手段、充電する回線の構成手段及び直流安定化電源回路の選択手段は、受電する電力、充電を可能とする二次電池の個数や種類により設定されるものであって、設置する充電装置の規模や構成など設置者が既存の技術から選択し決定されるものである。
【0032】
たとえば、直流安定化電源回路1個の出力を決定する場合、6kw〜25kwの直流安定化電源回路から選定し複数個設置することが適当と考えられるが、急速充電に必要な最大出力を50kwとして設定すると、12kwの直流安定化電源回路を選定した場合4個の直流安定化電源回路を設置すれば、ほぼ満足のいく出力が得られることとなる。また、この場合において、充電可能な接続部を3箇所設置したい場合は、12kwの直流安定化電源回路を12個設置すれば、3箇所同時に急速充電が可能な出力が得られることとなる。
【0033】
ただし、3箇所同時に急速充電が必要でない場合には、利用率やコストの面を考慮し、直流安定化電源回路の個数を削減すればよい。
【実施例2】
【0034】
図3は本発明の電気自動車用充電装置の概略を示す全体図である。
【0035】
電気自動車用充電装置(以下「充電装置」という。)は、敷地内に立設した直流電源部設置用の柱2の上に設置された直流電源部1と地上に設置された充電操作装置3とで構成される。充電操作装置3の充電用給電ケーブル4を電気自動車の二次電池接続して充電を行う。直流電源部1へは電柱5の変圧器6あるいは地中変圧器から架空引込線あるいは地中ケーブル線などの給電ケーブル7により電力が供給、もしくは太陽光、風力発電設備などの蓄電電源により電力を供給できる。
【0036】
充電用給電ケーブル4、給電ケーブル7は、通信線を内蔵しており、利用者は、電気自動車の通信線、充電用給電ケーブル4、給電ケーブル7、電柱上の通信線を利用して、充電の待ち時間にインターネットや予約の専用回線などに接続して情報通信システムを利用することができる。複数の充電操作装置3へは、直流電源部1の出力分配ユニット8を介してそれぞれに直流が給電される。
【0037】
直流電源部1は、電源部設置用の柱2の上に設置するので、敷地のすみなどに電源部設置用柱2を立てるスペースさえあればよい。したがって、従来の地上に設置して電源部、その付帯設備で大きく占有されていた設置スペースが不要となるので、直流電源部を地上に設置するのに比べて設置スペースを大幅に低減させることができる。その結果、地上設備がコンパクトになる。
【0038】
図4は本発明の電気自動車用充電装置の直流電源部1と充電操作装置3のブロック図である。
【0039】
直流電源部1には、変圧器6より交流電力や直流電力が供給される。直流電源部1には直流電源を発生させる複数の直流安定化電源回路と出力調整を指示するマスタースレーブユニットおよび充電出力を調整する出力コントロールユニット、充電操作装置への出力を配分する出力分配ユニットが設けられる。直流安定化電源回路は図6に示す充電装置と同様に、整流回路、高周波トランス、高周波インバータ、整流回路を備えている。出力分配ユニットは、規模に応じて複数設けることができる。
【0040】
充電操作装置3は、タッチパネルを有し、利用者の操作指示により通信ユニットからCPUユニットを通じて直流電源部1の出力コントロールユニットを制御する。出力コントロールユニットは、マスタースレーブユニットに直流電力の出力指令を行い、複数の直流安定化電源回路の各回路から車両の二次電池へ直流電力を供給し、充電を行う。このように、充電の操作は、充電操作装置3と直流電源部1が遠隔通信で対話できることから、直流電源部1は充電操作装置3と距離を離して設置できる。その結果、装置外観は小型でコンパクトになり、都市景観、環境に配慮した装置となる。
【0041】
また、タッチパネルは通信ユニットを通じて車両の二次電池を充電した際の充電料金を支払う機能、装置自体のセキュリティ機能も持たせることができる。
【0042】
CPUユニットは充電機能以外に通信ユニットを通じて通信線と接続され、インターネットなどの情報サービスを提供できる機能を持たせる。
【0043】
充電操作装置3のタッチパネルは、ICカードや携帯端末を認識させることで電気自動車への充電を許可する。CPUユニットはタッチパネルからの指令を受け、充電の開始を柱上直流電源部1の出力コントロールユニットに指示する。このときCPUユニットは他に接続されている車輌の充電出力を検出し、並行充電を行うための出力演算を実施、それぞれの車輌が適正に充電できる出力を選択し、急速充電を行う。
【0044】
図5は本発明の充電装置の出力分配方式について3台の電気自動車を充電操作装置に接続した例を示すブロック図である。
【0045】
出力分配ユニット8は、スイッチ9、選択スイッチ10及び開閉スイッチ11を介してそれぞれの充電操作装置に直流が給電される。
【0046】
スイッチ9および選択スイッチ10、開閉スイッチ11は、接続された電気自動車A,B,Cの通信で送られてきた電池残量と直流安定化電源A〜Dの可能出力を演算したCPUユニットの指示により、適正な回路構成にするため、スイッチングユニットの指令により、ON・OFFを行う。充電時間の経過において電気自動車A,B,Cの充電容量の変化に応じてスイッチングユニットはスイッチ9および選択スイッチ10を切り替えて、充電装置の性能を最大限に活用した最適な並行充電を実施する。
【0047】
スイッチングユニットの指令によるスイッチ9a〜c、選択スイッチ10、開閉スイッチ11a〜dの切り替えの一例について、図3により、例えば、直流安定化電源A〜Dがそれぞれ15KVA、電気自動車Aに30KVA、電気自動車Bに15KV、電気自動車Cに30KVAとした例で説明する。二次電池の残量は、充電用給電ケーブル4を電気自動車に接続すると、通信により充電操作装置に送られるようになっている。
【0048】
電気自動車Aに対してスイッチ9aをON、開閉スイッチ11aをONにして直流安定化電源給電AおよびBから30KVAで給電する。電気自動車Bに対してスイッチ9bをON、選択スイッチ10を直流安定化電源C側にONにして直流安定化電源Cから15KVAで給電する。電気自動車Cに対してスイッチ9cをONにして、直流安定化電源給電Dから15KVAで給電する。
【0049】
電気自動車Bの充電が完了すると、充電中の電気自動車に対して、スイッチ9bをOFF、選択スイッチ10をOFF、開閉スイッチ11cをON直流安定化電源C側にONにして直流安定化電源Cから15KVAで給電する。
【0050】
こうして出力分配ユニットの各スイッチのON・OFFをスイッチングユニットの指令により、切り替えて効率よく給電することができる。
【0051】
図6は本発明の出力分配方式と従来の方式との比較事例を示す図である。
【0052】
本発明の出力分配方式が複数台の電気自動車に充電するのに対して、従来の方式は図6に示すように充電出力が1本で一台ずつ充電するもので、電気自動車Aは電池残量50%で1番目に急速充電装置を利用、次に電気自動車Bが電池残量80%で2番目に利用、最後に電池残量20%の電気自動車Cが3番目に利用したと仮定して従来の方式と出力分配方式を比較したものである。
【0053】
従来の方式の充電装置では1台ずつしか充電できないことから、複数の電気自動車が来た場合、待ち時間が発生し、充電器自体の出力効率も悪い。しかし、本発明の出力分配方式では、充電操作装置に接続された車両の電池残量と充電器自体の充電能力を適正に分配し、効率的な最適充電を実現、トータル充電時間の短縮を図ることができる。また、充電装置自体の利用効率も大幅に上がることから、コスト効果にも貢献する。
【0054】
図7は本発明の充電操作装置及び操作画面を示す図である。
【0055】
図7において、操作ボックス12には図2の充電操作装置3に示すタッチパネル、通信ユニット、CPUユニットを収納され、操作ボックス12は支柱13に支持される。支柱13の下部から充電用給電ケーブル4が引き出されており、支柱13には不使用時に充電用給電ケーブル4の先端の充電用プラグを受けるプラグ受け口14が設けられている。操作ボックス12にはタッチパネル15、カード読み取り装置16、非常停止ボタン17などが配設される。
【0056】
充電操作装置3のタッチパネル15には、利用料金精算、利用者セキュリティ、装置メンテナンス、インターネット、予約・情報、利用者サービスのメニューが表示されている。表示されるメニューを選択することにより、充電料金の自動精算や車内インターネット・映画館・コンサートなどの予約等により、充電待ち時間の有効活用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の充電装置の動作を示すブロック図である。
【図2】本発明の充電装置を利用できる二次電池の例を示す図である。
【図3】本発明の電気自動車用充電装置の概略を示す全体図である。
【図4】本発明の電気自動車用充電装置の柱上直流電源部と充電操作装置のブロック図である。
【図5】本発明の充電装置の出力分配方式について3台の電気自動車を充電操作装置に接続した例を示すブロック図である。
【図6】本発明の出力分配方式と従来の方式との比較事例を示す図である。
【図7】本発明の充電操作装置及び操作画面を示す図である。
【図8】従来の充電装置のブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1:直流電源部 2:柱
3:充電操作装置 4:充電用給電ケーブル
5:電柱 6:変圧器
7:給電ケーブル 8:出力分配ユニット
9:スイッチ 10:選択スイッチ
11:開閉スイッチ 12:操作ボックス
13:支柱 14:プラグ受け口
15:タッチパネル 16:カード読み取り装置
17:非常停止ボタン 18:充電装置
19:通信手段 20:入力部
21:制御部 22:直流電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の二次電池に個々の要求する電力を供給する接続部を有する充電装置であって、
個々に接続された二次電池からの情報を入手する通信手段と、
個々の充電条件を設定入力する入力部と、
外部からの電力を受電し充電可能な直流電力を供給する複数の直流安定化電源回路を有する直流電源部と、
前記通信手段からの情報と、前記入力部からの情報に基づき、個々の二次電池への電力を供給する直流安定化電源回路の選定、供給電力の出力調整及び電力を供給する回線の構成を制御する制御部からなることを特徴とする充電装置。
【請求項2】
電気自動車や移動用電源など用途や適用電圧、電池特性の違う二次電池を有する装置を同時に充電できる請求項1記載の充電装置。
【請求項3】
二次電池を搭載した複数台の電気自動車のそれぞれの二次電池を並行して充電する電気自動車用充電装置が、地上に設置される複数の充電操作装置と電気自動車用充電装置を配置する敷地内に設置される直流電源部とからなり、
充電操作装置が、直流電源部を介して電気自動車の二次電池に接続し、直流を充電するとともに、電気自動車と通信可能な通信線を有する充電用給電ケーブルと、通信により直流電源部の出力分配を制御するCPUを備え、
直流電源部が、供給される交流電力や直流電力を電気自動車の二次電池に適合する、あらかじめ設定された直流に変換する複数の直流安定化電源回路、充電操作装置からの信号によりマスタースレーブユニットに直流電力の出力指令を行う出力コントロールユニット、充電する電気自動車の二次電池の残量に応じて充電操作装置への出力を配分する出力分配ユニットを備えていることを特徴とする電気自動車用充電装置。
【請求項4】
充電している電気自動車、充電操作装置、直流電源部を接続する通信線を備え、充電操作装置が通信線を利用したインターネットや料金精算、給電セキュリティなどの情報通信にアクセスできる機能を有することを特徴とする請求項3記載の電気自動車用充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−199752(P2008−199752A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−31180(P2007−31180)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【Fターム(参考)】