説明

充電装置

【課題】回路構成が複雑化することなく、効率よく低ノイズで定電圧かつ定電流の充電制御を可能としつつ、充電電流である出力電流の可変範囲を広く設定することができる充電装置を提供する。
【解決手段】整流・平滑回路9の出力が充電池13に接続され、第1の共振部の要素である第1の共振コンデンサ6Aと共振コイル6Lの直列共振回路がスイッチングトランス7の1次側に接続され、スイッチングトランス7の1次側に第2の共振コンデンサ6Bが並列に接続され、第1の共振部の共振周波数より高い共振周波数を併せ持つことにより、これら共振回路6への入力となるハーフブリッジのスイッチング回路5のスイッチング周波数を制御回路14によって制御することで、広範囲な出力電流において、効率が良くかつスイッチングノイズの少ない共振動作で、充電池13に充電される充電電流の定電流制御あるいは充電電圧の定電圧制御を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば充電池に充電するための充電装置に係り、特に定電圧かつ定電流の充電を効率よく低ノイズで行える充電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の共振電源を用いた充電装置は、最大充電電流で動作している際には、効率がよく低ノイズであるが、充電電流を絞ったときには、共振条件が合わなくなって、逆に効率が悪くなったりノイズが増加し、場合によっては、制御不能になることがあった。
【0003】
そのような問題を解決するための従来技術として、図14に示すような2つのスイッチング素子、共振コンデンサ、共振コイルを具備して、スイッチング素子を交互にオンオフすることで直流入力を高周波出力に変換するプッシュプル共振回路を備えた通常の共振型電源を用い、2つのスイッチング素子がともにオフになる期間(以下、デッドタイムと記す)を一定とし、最大出力電流の場合には、図14の共振コンデンサC1、C2、共振コイルLe1、Le2の並列共振回路の共振周波数に近接した低い周波数で、電界効果トランジスタFET1、FET2をスイッチングし、図17に示すように、ドレイン〜ソース電圧Vds1,Vds2とドレイン電流Id1、Id2の波形について、ゼロ電圧スイッチングを行い、スイッチング損失およびノイズを低減する共振モードで制御していた。この動作状態のゲート電圧波形は図15(a)に示している波形となっている。
【0004】
また、出力電流が減少した場合には、スイッチング周波数が共振周波数より高くなり、電界効果トランジスタFET1、FET2のオン幅が狭くなるために、ゲート電圧波形は図15(b)に示している波形となる。
【0005】
そして、出力電流をより減少させる場合には、スイッチング周波数が高くなりすぎて、安定してスイッチングが出来なくなるために、従来技術として、前記共振コンデンサ、共振コイルによる共振周波数を整数倍にすることで、疑似共振動作を行うことにより、ゼロ電圧スイッチングを行い、スイッチング損失およびノイズを低減する共振モードで制御していた。その動作状態で、図18に示すように、ドレイン〜ソース電圧Vds1,Vds2とドレイン電流Id1、Id2の波形について、ドレイン〜ソース電圧が最低の部分でのゼロ電圧スイッチングを行い、スイッチング損失およびノイズを低減する擬似共振モードで制御していた。この動作状態のゲート電圧波形は、図16(b)に示している波形のように、デッドタイムの時間を、出力電流が大きな場合に図16(a)比べて長くしてドレイン〜ソース電圧が最低の部分で電界効果トランジスタをFET1、FET2をオフすることでソフトスイッチを行っていた。
【0006】
また、前記第1、第2のスイッチング素子がともにオフである期間が互いに異なる複数の非共振モードを設定しておき、定電圧充電時の充電電流に応じて、いずれかの非共振モードに切り換えることで、増加するスイッチング損失を低減することを行っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−230104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような従来の充電装置では、定電圧かつ定電流の充電を効率よく低ノイズで行うために、通常の共振モードを用いるか、疑似共振状態での擬似共振モードを用いるか、非共振モードでのスイッチング動作のように、出力電流である充電電流の値に応じて、複数の非共振モードを切り換える構成を用いるようにしているが、これらの制御回路ではソフトスイッチングする回路構成が複雑になるという課題を有していた。
【0009】
また、大電流の充電電流にて充電を行う際には、図14に示すように、スイッチングトランスの交流出力を整流する整流ダイオードD1,D2での損失が増加して、整流ダイオードD1,D2の温度上昇及び効率が低下するという課題を有していた。
【0010】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、回路構成が複雑化することなく、効率よく低ノイズで定電圧かつ定電流の充電制御を可能としつつ、充電電流である出力電流の可変範囲を広く設定することができる充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の充電装置は、直流電源が得られる直流電源回路と、前記直流電源回路の直流電源出力を相補的にスイッチングする複数のスイッチング素子からなるスイッチング回路と、前記スイッチング回路の出力側に接続され第1の共振コンデンサと共振コイルとの直列回路からなる第1の共振部、および前記第1の共振部に接続されスイッチングトランスの1次巻き線と第2の共振コンデンサとの並列回路からなる第2の共振部を有する共振回路と、前記スイッチングトランスの2次巻き線の交流出力を整流および平滑し、得られた直流出力により充電池を充電する出力回路と、前記充電池への充電状態に基づいて前記スイッチング回路のスイッチング周波数を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記充電池への充電状態として前記出力回路からの直流電圧の値および前記充電池への充電電流の値に応じて、前記スイッチング回路のスイッチング周波数を、前記充電池への充電が定電圧かつ定電流で行われるように制御するよう構成されたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の充電装置は、直流電源が得られる直流電源回路と、前記直流電源回路の直流電源出力を相補的にスイッチングする複数のスイッチング素子からなるスイッチング回路と、前記スイッチング回路の出力側に接続され第1の共振コンデンサと共振コイルとの直列回路からなる第1の共振部、および前記第1の共振部に1次巻き線が接続されたスイッチングトランスの2次巻き線と第2の共振コンデンサとの並列回路からなる第2の共振部を有する共振回路と、前記スイッチングトランスの2次巻き線の交流出力を整流および平滑し、得られた直流出力により充電池を充電する出力回路と、前記充電池への充電状態に基づいて前記スイッチング回路のスイッチング周波数を制御する制御回路とを備え、前記制御回路は、前記充電池への充電状態として前記出力回路からの直流電圧の値および前記充電池への充電電流の値に応じて、前記スイッチング回路のスイッチング周波数を、前記充電池への充電が定電圧かつ定電流で行われるように制御するよう構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載の充電装置は、請求項1に記載の充電装置であって、前記共振回路は、前記第2の共振部の共振周波数が前記第1の共振部の共振周波数より高く設定され、前記充電電流が大きい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数に依存し、前記充電電流が小さい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数および前記第2の共振部の共振周波数の両方に依存するように構成されたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4に記載の充電装置は、請求項2に記載の充電装置であって、前記共振回路は、前記第2の共振部の共振周波数が前記第1の共振部の共振周波数より高く設定され、前記充電電流が大きい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数に依存し、前記充電電流が小さい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数および前記第2の共振部の共振周波数の両方に依存するように構成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5に記載の充電装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置であって、前記制御回路は、前記充電電流の検出値と基準値とを比較する比較器を有し、該比較結果に応じて前記スイッチング周波数を制御するように構成されたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6に記載の充電装置は、請求項5に記載の充電装置であって、前記制御回路は、前記比較器で前記充電電流の検出値と比較する基準値を可変し、定電流充電電流値を可変制御するように構成されたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の請求項7に記載の充電装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置であって、前記制御回路は、前記出力回路からの出力電圧と基準値とを比較する比較器を備え、該比較結果に応じて前記スイッチング周波数を制御するように構成されたことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の請求項8に記載の充電装置は、請求項7に記載の充電装置であって、前記制御回路は、前記比較器で前記出力電圧と比較する基準値を可変し、前記出力電圧の上限値を可変制御するように構成されたことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の請求項9に記載の充電装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置であって、前記制御回路は、前記スイッチング回路に入力される直流電圧の変動に応じて前記スイッチング周波数を制御するように構成されたことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の請求項10に記載の充電装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置であって、前記制御回路は、電源の投入時に、前記充電電池に出力される電圧が、異常に上昇しないように、前記スイッチング周波数を制御するように構成されたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項11に記載の充電装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置であって、前記スイッチングトランスの2次巻き線の交流出力を電界効果トランジスタにより同期整流するよう構成されたことを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項12に記載の充電装置は、請求項11に記載の充電装置であって、前記電界効果トランジスタによる同期整流動作を、前記充電池への充電電流が減少した場合に停止するよう構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の充電装置によれば、共振周波数が2つある直並列共振回路により共振インバータを構成することにより、回路構成が複雑化することなく、効率よく低ノイズで定電圧かつ定電流の充電制御を可能としつつ、スイッチングの周波数を制御するだけで、充電電流である出力電流の可変範囲を広く設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1の充電装置の構成を示す回路図
【図2】同実施の形態1の充電装置の他の構成を示す回路図
【図3】同実施の形態1の充電装置における共振周波数特性の一例を示す波形図
【図4】本発明の実施の形態2の充電装置の構成を示す回路図
【図5】本発明の実施の形態1の充電装置における制御回路の具体的な回路図
【図6】図5の制御回路においてスイッチング周波数を制御する発振部分の動作波形
【図7】本発明の実施の形態3の充電装置の構成を示す回路図
【図8】各実施の形態の充電装置における鉛蓄電池の充電制御方法の説明図
【図9】各実施の形態の充電装置において充電電流制御基準電圧源にて充電電流を可変する回路図
【図10】本発明の実施の形態4の充電装置の構成を示す回路図
【図11】各実施の形態の充電装置において押し込み充電状態で過電圧保護電圧の設定電圧を切り換える回路図
【図12】各実施の形態の充電装置におけるNi−Cd充電池、Ni−H充電池の充電制御方法の説明図
【図13】各実施の形態の充電装置におけるリチウム充電池の充電制御方法の説明図
【図14】従来の充電装置の構成を示す回路図
【図15】従来の充電装置における共振モード時のスイッチング素子のゲート電圧波形図
【図16】従来の充電装置における非共振モード(疑似共振)時のスイッチング素子のゲート電圧波形図
【図17】従来の充電装置における共振モード時のスイッチング素子のソースドレイン電圧とドレイン電流波形図
【図18】従来の充電装置における非共振モード(疑似共振)時のスイッチング素子のソースドレイン電圧とドレイン電流波形図
【図19】本発明の実施の形態5の充電装置の構成を示す回路図
【図20】同実施の形態5の充電装置における同期整流制御回路をSTマイクロ社のIC STSR30にて構成を示した回路図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を示す充電装置について、図面とともに詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1の充電装置の構成を示す回路図である。
【0026】
図1において、AC整流部3はノイズフィルタ2を介して商用交流電源1に接続されており、このAC整流部3から整流された出力は平滑コンデンサ4により平滑されている。この平滑コンデンサ4により得られた直流出力は、相補的にスイッチング動作するスイッチング素子(トランジスタ)5A,5Bを有するスイッチング回路5に供給される。このスイッチング回路5の出力は、変圧器であるスイッチングトランス7の1次巻き線7A、2つの共振コンデンサ6A,6B、及び共振コイル6Lで構成されている共振回路6に供給される。
【0027】
スイッチングトランス7の2次巻き線7B、7Cには、整流ダイオード8A,8B、平滑コンデンサ10、及び電圧検出回路である分圧抵抗11A,11Bと電流検出用の抵抗12により構成された整流・平滑回路9が接続されている。この整流・平滑回路9には上記スイッチング回路5のスイッチング動作を制御する制御回路14が接続されている。また、整流・平滑回路9には外部の充電池13が接続され、その充電池13に対して整流・平滑回路9から充電電流が供給される。
【0028】
図1の共振回路6においては、第1の共振コンデンサ6Aに共振コイル6Lを介して第2の共振コンデンサ6Bが接続され、この第2の共振コンデンサ6Bはスイッチングトランス7の1次巻き線7Aに並列接続されている。
【0029】
図3に示すように、直列接続された第1の共振コンデンサ6Aと共振コイル6Lの値は、主に出力としての充電電流が大きい場合に、本実施の形態1の充電装置(共振型スイッチング電源装置)において使用するスイッチング周波数範囲における低いスイッチング周波数に対応して設定され、また、スイッチングトランス7の1次巻き線7Aに並列に接続された第2の共振コンデンサ6Bの値は、主に出力としての充電電流が小さい場合に、本実施の形態1の充電装置(共振型スイッチング電源装置)において使用するスイッチング周波数範囲における高いスイッチング周波数に対応して設定される。
【0030】
なお、商用交流電源1の電圧が変動すると、整流・平滑回路9の出力電圧が変動するので、平滑コンデンサ4の両端の電圧を制御回路14に入力して、商用交流電源1における電圧変動の補正を行う。
【0031】
また、図2は本実施の形態1の充電装置の他の構成を示す回路図であり、図1の実施例に対して、第2の共振コンデンサ6Bをスイッチングトランス7の2次巻き線7Bに並列に接続した場合の実施例を示す。出力である充電電流を絞った際に、共振周波数の決定要素として、第1の共振コンデンサ6Aと共振コイル6Lとスイッチングトランス7の2次巻き線7Bとその2次巻き線7Bに並列に接続した第2の共振コンデンサ6Bが作用するのは、図1で説明した実施例と同じである。
【0032】
図5は本実施の形態1の充電装置における制御回路の具体的な回路図であり、定電圧かつ定電流のための制御回路14の詳細構成を示した回路図である。また、図6は図5の制御回路14においてスイッチング周波数を制御する発振部分の動作波形を示す。
【0033】
抵抗14J、14K、14Mに流れるNPNトランジスタ14Acのエミッタ電流と、基準電圧源14ZにてNPNトランジスタ14Acのコレクタ電流である電流源14Iを流れる電流値とが設定され、その電流値と同じ値の電流が、コンデンサ14Fの充電電流の電流源14Gと放電電流の電流源14Hに流れるように構成されている。
【0034】
また、電流制御は、抵抗14Kを流れる電流についてPNPトランジスタ14Lにて行い、電圧制御は、抵抗14Mを流れる電流について電界効果トランジスタ14Nにて行い、それぞれ独立して制御が可能な構成の回路になっている。
【0035】
まず、制御回路14の電源が投入された際には、基準電圧源14Aaよりコンデンサ14Fの電圧は低く、ヒステリシスコンパレータ14Eの出力はHレベルとなり、コンデンサ14Fの充放電スイッチ14Abは電流源14Gにてコンデンサ14Fを充電する状態となる。コンデンサ14Fが基準電圧源14Aaより高いヒステリシスコンパレータ14Eの上限しきい電圧に充電されるまで、ヒステリシスコンパレータ14Eの出力電圧はHレベルが維持され、T−フリップフロップ14Dの入力端子に入力される。その後、コンデンサ14Fがヒステリシスコンパレータ14Eの上限しきい電圧以上の電圧に充電されると、ステリシスコンパレータ14Eの出力はLレベルに切り替わり、充放電スイッチ14Abは電流源14Gにてコンデンサ14Fを放電する状態に切り替わり、ヒステリシスコンパレータ14Eの下限しきい値までは、ヒステリシスコンパレータ14Eの出力電圧は、Lレベルが維持され、T−フリップフロップ14Dに入力される。
【0036】
T−フリップフロップ14Dは、入力される信号の立ち上がりエッジで出力Q,反転出力/Q(ここでは便宜上、反転出力を出力Qの反転信号として/Qで表す)がそれぞれ反転するので、図6に示すように、T−フリップフロップ14Dに入力される信号(ヒステリシスコンパレータ14Eの出力電圧)の半分の周波数に分周した出力Qと反転出力/Qの出力信号が得られる。
【0037】
T−フリップフロップ14Dの出力Qとその反転出力/Qにその立ち上がりエッジを遅らせてデッドタイムを付加するデッドタイム付加回路14B,14Cの出力信号を、駆動トランス14Aの入力端子にそれぞれ入力し、駆動トランス14Aからスイッチング回路5のスイッチング素子5A,5Bを交互に駆動するパルスを出力する。
【0038】
このパルスによって駆動されたスイッチング回路5の出力信号は、変圧器であるスイッチングトランス7の1次巻き線7A、2つの共振コンデンサ6A,6B、及び共振コイル6Lで構成されている共振回路6に供給され、スイッチングトランス7の2次巻き線7B,7Cから整流ダイオード8A,8Bにて整流され、その出力電圧は、充電池13の電圧を検出する分圧抵抗11A,11Bで分圧され、PNP型トランジスタ14T,14Uにて構成される差動増幅器により、電圧制御基準電圧源14Vと比較される。
【0039】
この比較出力が、トランジスタ14Uのコレクタに出力されて、MOSトランジスタ14Nのゲート電圧を制御し、定電圧制御のスイッチング周波数を制御し、抵抗14Mに流れる電流値を制御することで、スイッチング周波数を可変させて、整流・平滑回路9からの出力電圧を制御する。
【0040】
一方、充電池13の充電電流を検出する抵抗12の両端の電圧が、NPN型トランジスタ14N,14Pで構成された差動増幅器に入力されることにより、充電電流が増加すると、トランジスタ14Pが急速にオフする一方でトランジスタ14Nが急速にオンし、トランジスタ14Nのコレクタ電位が低下して、トランジスタ14Lのベース電圧が低下し、スイッチング周波数を制御する抵抗14Kに流れる電流値が増加する。これにより、コンデンサ14Fの充放電の電流源14G,14Hと同じ電流値が流れる電流源14Iの電流値が増加することで、スイッチング周波数を増加し、充電電流を減少させて一定化する方向に制御する。
【0041】
また、一方、充電電流が減少すると、上記回路は逆に作用し、トランジスタ14Pが急速にオンする一方でトランジスタ14Nが急速にオフし、トランジスタ14Nのコレクタ電位が上昇して、トランジスタ14Lのベース電圧が上昇し、スイッチング周波数を制御する抵抗14Kに流れる電流値が減少する。これにより、コンデンサ14Fの充放電の電流源14G,14Hと同じ電流値が流れる電流源14Iの電流値が減少することで、スイッチング周波数が低下し、充電電流を増加させて一定化する方向に制御する。
【0042】
また、充電電流の設定値は、抵抗12の両端の電圧をオペアンプ14Q,14Rにより差動増幅し、オペアンプ14Sで充電電流制御基準電圧源14Wの電圧と比較した出力を前記トランジスタ14Nのエミッタに混合させて、トランジスタ14Nが急速にオンする際の充電電流を、充電電流制御基準電圧の値にて可変することにより、充電電流値の設定を可変することが可能となる。
【0043】
このようにして、充電池13への充電が定電流で、なおかつ充電電流値の可変が可能な制御を行うことができる。
(実施の形態2)
図4は本実施の形態2の充電装置の構成を示す回路図であり、図2の実施例に対して商用交流電源1を整流したあとに力率改善制御回路19を追加したものである。
【0044】
力率改善制御回路19は、商用交流電源1を整流ダイオード3で整流し、全波整流されたコンデンサ4Aの両端の電圧をスイッチングトランジスタ4Cにてスイッチングさせて、スイッチングトランジスタ4Cがオンの際には、コイル4Bに電流が流れ誘導エネルギーとして一時的に蓄積され、スイッチングトランジスタ4Cがオフの際には、コイル4Bの自己誘導作用により、ダイオード4Dを介して、コイル4Bに蓄積されたエネルギーを電解コンデンサ4Eに放出する昇圧コンバータとして動作し、出力電圧としての電解コンデンサ4Eの両端の電圧は、商用交流電源1の波高値よりも高い値に設定することにより、この力率改善回路19は安定して動作させることが出来る。例えば、出力電圧を400Vに設定すると入力交流電圧は240Vでも問題なく動作させることが可能である。
【0045】
これにより、スイッチング素子5A、5Bに入力される電圧が安定するために、出力電圧、充電電流の安定させるための、スイッチング周波数の可変範囲が限定され、スイッチング周波数の制御が容易になる。
(実施の形態3)
図7は本実施の形態3の充電装置の構成を示す回路図であり、図5の実施例に対してソフトスタート回路15を追加したものである。
【0046】
図7に示すように、スイッチング周波数を制御する制御回路14にトランジスタ15A、抵抗15Bを追加して、電源オン時に抵抗15B及び抵抗14Jに流れる電流の合計でコンデンサ14Fが充放電するためのソフトスタート機能を、制御回路14に付加することで、電源オン時のスイッチング周波数が第1の共振周波数より高くなり、出力電圧が異常に上昇せず、安定に起動させることが可能となる。
(実施の形態4)
図10は本実施の形態4の充電装置の構成を示す回路図であり、図1の実施例に対して力率改善制御回路4Fを追加し、さらにスイッチング素子(トランジスタ)5C,5Dを追加してフルブリッジ方式のスイッチング回路5に変更したものである。
【0047】
大電力の充電装置の場合には、図10に示すように、スイッチング回路5を、スイッチング素子5C,5Dを追加することにより、ハーフブリッジ方式からフルブリッジ方式へ変更することで、共振回路6の入力電圧振幅が2倍になり、出力電力が同一なら、入力電流がほぼ半分するために、共振コイル6L、6K及びスイッチングトランスの1次側巻線の直流抵抗成分での発熱による銅損が半減するとともに、共振コイル6L、6Kのインダクタンス値が図1と同じで、スイッチング周波数を同じ周波数で動作させる場合には、第1の共振コンデンサ6Cを追加することにより、共振コンデンサ6A及び6Cの容量が2倍に倍増するために、共振コンデンサ6A及び6Cに流すことが出来る高周波電流は、使用されるフィルムコンデンサの特性上倍増して、高周波電流が流れることによるコンデンサの発熱を抑制することが可能となる。
(実施の形態5)
図19は本実施の形態5の充電装置の構成を示す回路図であり、図2の実施例に対して、整流ダイオード8A、8Bを、ダイオードを内蔵した電界効果トランジスタ15A、15Bに置き換え、同期整流制御回路15Cを追加したものである。
【0048】
大電流の充電電流を出力する場合には、図2の整流ダイオード8A、8Bでの発熱による損失の増加、効率の低下を抑制することが可能となる。
また、図20は本実施の形態5の充電装置における電界効果トランジスタ15Aの同期整流制御回路をSTマイクロ社のIC STSR30にて構成した回路図であり、充電電流を減少させた場合で、スイッチング回路5のスイッチング周波数が高くなって、電界効果トランジスタ15A、15Bを同期整流する際のスイッチング損失が、電界効果トランジスタ15A、15Bをオフさせて内蔵ダイオードのみで整流させた場合の損失に比べて大きくなった場合、同期整流をする効果がないために、制御回路14より、同期整流制御回路15Cの動作を停止する制御を行う。
【0049】
例えば、前記STマイクロ社のIC STSR30の接続ピン6のディザイアブル端子に同期整流を動作させる場合はHレベル、停止させる場合はLレベル信号を、それぞれ制御回路14より入力する。
(充電制御方法)
ここで、各種充電池に対して充電の具体的な制御方法について図面を用いて説明する。
【0050】
まず、鉛蓄電池の充電方法の例を図8に示す。放電された充電池に、最初に最大電流で定電流充電を行い、充電池電圧が電流切り換え電圧に達すると、充電電流を段階的に減少させて、充電を行う。この場合、図9に示すように、充電電流制御基準電圧源をDAコンバータにて可変することにより、充電電流を可変する。
【0051】
最初の最大電流での充電時間T1に応じて、最少の充電電流での充電時間T2を算出して、充電時間を終了させる。この最少の充電電流での充電は「押し込み充電」と呼ばれ、前記の充電池電圧の電流切り換え電圧より高い電圧となる。
【0052】
そのために、充電装置の出力の過電圧保護の設定電圧は、図8に示すように、押し込み充電の期間では、高く設定する必要がある。
以上に対して、図11に示す回路のように、充電電圧制御基準電圧源がシャントレギュレータのような固定した基準電圧発生手段であれば、充電制御マイコンより、押し込み充電状態でトランジスタ15Cをオンさせて過電圧保護する際の設定電圧である定電圧制御の設定電圧の設定を、充電池電圧の分圧比を切り換えることにより、可変することを実現できる。
【0053】
また、充電電圧制御基準電圧源をD/Aコンバータに置き換えれば、図11の実施例のように充電池電圧の分圧比を切り換えなくても、充電電圧制御基準電圧源の出力電圧を可変することに対して、その切り換えは可能になる。
【0054】
次にNi−Cd充電池、Ni−H充電池に対する充電方法を図12に示す。
この場合の充電は一定の充電電流で行うために、充電電流制御基準電圧源として、ツェナーダイオードもしくはシャントレギュレータのような固定基準電圧源を使用する。密閉型Ni−Cd充電池では、充電終期に充電池電圧が一旦ピークに達したのちに、負極の酸素ガス吸収反応による充電池の温度上昇に伴って充電池電圧が降下する。この降下電圧を検出して、充電電流を充電池の自己放電分を補う程度のトリクル電流に切り換えて充電を終了させる。この充電終期の検出方法が−ΔV方式である。尚、−ΔVの値は、Ni−Cd充電池に比べて、Ni−H充電池のほうが小さな電圧差となる。
【0055】
そのために、Ni−H充電池では、充電池の温度上昇の検出をサーミスタなどの素子により行い充電終期とする方法も併用されている。充電開始時からの温度上昇値(ΔT)あるいは温度上昇速度(dT/dt)を検出するものである。定電圧制御は、充電池の過電圧保護として設定する。
【0056】
次に、リチウム充電池の充電方法を図13に示す。
この充電池は規定の電圧を超えて充電を行うと特性の劣化が大きく、安全性も劣化するために、上限電圧を規定した定電流かつ定電圧方式の充電装置が必要である。
【0057】
定電流充電領域では、充電がすすむにつれて徐々に充電池の電圧が上昇し、設定電圧に達した後、定電圧充電となり、充電電流を徐々に減衰させて充電が完了する。よって、本発明の充電装置の定電流、定電圧の設定をそれぞれ独立して行うことができ、自動的にリチウム充電池の充電が可能な充電装置を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明にかかる充電装置は、回路構成が複雑化することなく、効率よく低ノイズで定電圧かつ定電流の充電制御を可能としつつ、充電電流である出力電流の可変範囲を広く設定することができるもので、充電池の急速充電の充電器として有用であり、特に、鉛蓄電池の充電末期に充電電流を絞った際の充電池電圧が上昇する押し込み充電に対して、スイッチングトランスの1次巻き線と2次巻き線の巻き線比率を上げる必要がなく、出力電圧が上昇させることができ、この機能により、特に鉛蓄電池の充電装置などの用途には2次巻き線に使用される電線の断面積を大きくでき、大電流の充電電流を流すための2次巻き線を限られたスイッチングトランスのボビンの巻き窓に収納可能となり、スイッチングトランスの小型化に非常に有用である。
【符号の説明】
【0059】
1 商用交流電源
2 ノイズフィルタ
3 AC整流部
4 平滑コンデンサ
5 スイッチング回路
5A、5B、5C、5D スイッチング素子
6 共振回路
6A、6B、6C 共振コンデンサ
6L、6K 共振コイル
7 スイッチングトランス
7A 1次巻き線
7B、7C 2次巻き線
8A、8B 整流ダイオード
9 整流・平滑回路
10 平滑コンデンサ
11A、11B 分圧抵抗
12 (電流検出用の)抵抗
13 充電池
14 制御回路
19、4F 力率改善制御回路
15A、15B 電界効果トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源が得られる直流電源回路と、
前記直流電源回路の直流電源出力を相補的にスイッチングする複数のスイッチング素子からなるスイッチング回路と、
前記スイッチング回路の出力側に接続され第1の共振コンデンサと共振コイルとの直列回路からなる第1の共振部、および前記第1の共振部に接続されスイッチングトランスの1次巻き線と第2の共振コンデンサとの並列回路からなる第2の共振部を有する共振回路と、
前記スイッチングトランスの2次巻き線の交流出力を整流および平滑し、得られた直流出力により充電池を充電する出力回路と、
前記充電池への充電状態に基づいて前記スイッチング回路のスイッチング周波数を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記充電池への充電状態として前記出力回路からの直流電圧の値および前記充電池への充電電流の値に応じて、
前記スイッチング回路のスイッチング周波数を、
前記充電池への充電が定電圧かつ定電流で行われるように制御するよう構成された
ことを特徴とする充電装置。
【請求項2】
直流電源が得られる直流電源回路と、
前記直流電源回路の直流電源出力を相補的にスイッチングする複数のスイッチング素子からなるスイッチング回路と、
前記スイッチング回路の出力側に接続され第1の共振コンデンサと共振コイルとの直列回路からなる第1の共振部、および前記第1の共振部に1次巻き線が接続されたスイッチングトランスの2次巻き線と第2の共振コンデンサとの並列回路からなる第2の共振部を有する共振回路と、
前記スイッチングトランスの2次巻き線の交流出力を整流および平滑し、得られた直流出力により充電池を充電する出力回路と、
前記充電池への充電状態に基づいて前記スイッチング回路のスイッチング周波数を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記充電池への充電状態として前記出力回路からの直流電圧の値および前記充電池への充電電流の値に応じて、
前記スイッチング回路のスイッチング周波数を、
前記充電池への充電が定電圧かつ定電流で行われるように制御するよう構成された
ことを特徴とする充電装置。
【請求項3】
前記共振回路は、
前記第2の共振部の共振周波数が前記第1の共振部の共振周波数より高く設定され、
前記充電電流が大きい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数に依存し、
前記充電電流が小さい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数および前記第2の共振部の共振周波数の両方に依存するように構成された
ことを特徴とする請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記共振回路は、
前記第2の共振部の共振周波数が前記第1の共振部の共振周波数より高く設定され、
前記充電電流が大きい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数に依存し、
前記充電電流が小さい場合の共振周波数特性が前記第1の共振部の共振周波数および前記第2の共振部の共振周波数の両方に依存するように構成された
ことを特徴とする請求項2に記載の充電装置。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記充電電流の検出値と基準値とを比較する比較器を有し、
該比較結果に応じて前記スイッチング周波数を制御するように構成された
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記比較器で前記充電電流の検出値と比較する基準値を可変し、定電流充電電流値を可変制御するように構成された
ことを特徴とする請求項5に記載の充電装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記出力回路からの出力電圧と基準値とを比較する比較器を備え、
該比較結果に応じて前記スイッチング周波数を制御するように構成された
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項8】
前記制御回路は、
前記比較器で前記出力電圧と比較する基準値を可変し、前記出力電圧の上限値を可変制御するように構成された
ことを特徴とする請求項7に記載の充電装置。
【請求項9】
前記制御回路は、
前記スイッチング回路に入力される直流電圧の変動に応じて前記スイッチング周波数を制御するように構成された
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項10】
前記制御回路は、
電源の投入時に、前記充電電池に出力される電圧が、異常に上昇しないように、
前記スイッチング周波数を制御するように構成された
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項11】
前記スイッチングトランスの2次巻き線の交流出力を電界効果トランジスタにより同期整流するよう構成された
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の充電装置。
【請求項12】
前記電界効果トランジスタによる同期整流動作を、前記充電池への充電電流が減少した場合に停止するよう構成された
ことを特徴とする請求項11に記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−263683(P2010−263683A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−111701(P2009−111701)
【出願日】平成21年5月1日(2009.5.1)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】