説明

光エネルギ吸収量測定方法及び測定装置、ならびに光エネルギ吸収量制御方法及び制御装置

【課題】光共振器に蓄えられた光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体に吸収させて、高感度で光吸収量を測定し、高精度で光吸収量を制御する。
【解決手段】光共振器に蓄えられた定在波状の光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体に吸収させるに際して、光吸収体を波長精度で位置決めすることにより、高感度で光吸収量を測定することができる。また、光共振器に蓄えられた定在波状の光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体に吸収させるに際して、入射光の波長よりも十分に薄い光吸収体を波長精度で位置決めすることにより、光吸収体による光吸収量を高精度で制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を測定する光エネルギ吸収量測定方法及び測定装置に関する。また、本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を制御する光エネルギ吸収量制御方法及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光吸収体の光吸収量を測定するための高感度な光吸収分光法としてキャビティ・リングダウン法(CRDS:Cavity ringdown spectroscopy)が知られている(例えば、非特許文献1参照)。この方法は、外部光共振器内の気相試料にパルス状のレーザを照射し、外部光共振器からの出力光を計測する方法である。しかし、この手法は光の反射、散乱のない気相試料を対象として開発されたため、固体試料への適用は困難であった。すなわち、キャビティ・リングダウン法では損失が極めて小さな光共振器を利用するため、セル中の溶液や固体表面上の吸着分子、クラスター等の試料では、数%にのぼる試料表面での反射損失が特に問題となり、光吸収の測定は一般に困難であった。
【0003】
また、非特許文献2,3のように、外部光共振器内の固体試料にパルス状のレーザを照射し、外部光共振器からの出力光を計測する方法が知られている。非特許文献2,3では、キャビティ・リングダウン法の固体試料への適用条件が検討され、光学的に平坦で透明な固体基板であれば、反射光を再び共振器モードに戻すように精密な調整を行って、基板表面での反射損失を充分に抑制することにより、固体試料の光吸収の測定が可能であることが示されている。しかし、この方法はパルス光源を用いるものであったため、連続光源を用いた場合の特性は未知であった。
【0004】
これに対し、非特許文献4では、光学的に平坦で透明な固体基板を挿入した光共振器の特性を理論的、実験的に詳細に調べ、固体試料への適用条件と連続光源を用いた場合の特性を明らかにし、フォトントラップ法として確立している。
【0005】
【非特許文献1】オキーフ(O’Keefe)ら、「レビュー・オブ・サイエンティフィック・インストゥルメンツ(Rev.Sci.Instrum.)」、1988年、59巻、12号、pp.2544−2551
【非特許文献2】エンゲルン(Engeln)ら、「ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J.Chem.Phys.)」、1997年、107巻、12号、pp.4458−4467
【非特許文献3】エンゲルン(Engeln)ら、「ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(J.Chem.Phys.)」、1999年、110巻、5号、pp.2732−2733
【非特許文献4】寺嵜ら、「ジャーナル・オブ・ジ・オプティカル・ソサエティ・オブ・アメリカ・B(J.Opt.Soc.Am.B)」、2005年、22巻、3号、pp.675−686
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、非特許文献4の報告段階では、光吸収体の光吸収量を実際に測定するには至っていなかった。特に、測定感度が十分か否かが未知であった。
【0007】
また、非特許文献4の報告段階では、光吸収体の光吸収を高精度で制御してON/OFFしたり、高精度で連続的に自由に制御したりすることはできなかった。
【0008】
本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体に吸収させて、高感度で光吸収量を測定することができる光エネルギ吸収量測定方法及び測定装置である。
【0009】
また、本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を高精度で制御することができる光エネルギ吸収量制御方法及び制御装置である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を測定する光エネルギ吸収量測定方法であって、外部光共振器中に連続光を入射して光エネルギを定在波状に蓄積する工程と、前記外部光共振器内に挿入した光吸収体を前記入射した光の波長の精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる工程と、前記入射した光を遮断後、前記外部光共振器からの出力光を計測する工程と、を含む。
【0011】
また、前記光エネルギ吸収量測定方法の前記出力光を計測する工程において、出力光の光減衰を計測することが好ましい。
【0012】
また、本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を測定する光エネルギ吸収量測定装置であって、連続光を発振する光発振手段と、入射された前記連続光の光エネルギを定在波状に蓄積する外部光共振器と、前記光吸収体を保持し、前記波長の精度で位置制御することが可能な光吸収体位置制御手段と、前記外部光共振器からの出力光を計測する光検出手段と、を有する。
【0013】
また、本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を制御する光エネルギ吸収量制御方法であって、外部光共振器中に連続光を入射して光エネルギを定在波状に蓄積する工程と、前記外部光共振器内に挿入した、前記入射した光の波長に比べて薄い光吸収体を前記波長の精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる工程と、を含む。
【0014】
また、前記光エネルギ吸収量制御方法において、前記入射した光の波長に比べて薄い光吸収体を前記波長の精度で位置制御することにより、前記光吸収体の光吸収量をオンオフすることが好ましい。
【0015】
また、前記光エネルギ吸収量制御方法において、前記入射した光の波長に比べて薄い光吸収体を前記波長の精度で位置制御することにより、前記光吸収体の光吸収量を連続的に制御することが好ましい。
【0016】
また、本発明は、光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を制御する光エネルギ吸収量制御装置であって、連続光を発振する光発振手段と、入射された前記連続光の光エネルギを定在波状に蓄積する外部光共振器と、前記入射された光の波長に比べて薄い光吸収体を保持し、前記波長の精度で位置制御することが可能な光吸収体位置制御手段と、前記外部光共振器からの出力光を計測する光検出手段と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、光共振器に蓄えられた定在波状の光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体に吸収させるに際して、光吸収体を波長精度で位置決めすることにより、高感度で光吸収量を測定することができる。
【0018】
また、本発明により、光共振器に蓄えられた定在波状の光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体に吸収させるに際して、入射光の波長よりも十分に薄い光吸収体を波長精度で位置決めすることにより、光吸収体による光吸収量を高精度で制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態について以下説明する。
【0020】
<光吸収量測定装置及び光吸収量測定方法>
本発明の実施形態に係る光吸収量測定装置の一例の概略を図1に示し、その構成について説明する。光吸収量測定装置1は、光発振手段であるレーザ発振器10と、光変調素子12と、外部光共振器14と、測定試料位置制御部16と、光検出手段である光検出器18とを備える。外部光共振器14は、一対の共振器ミラー20a,20bとを備え、共振器ミラー20bにはピエゾ素子22が設置されている。また、測定試料位置制御部16は、測定試料取付部(図示せず)と、光吸収体位置制御手段であるピエゾ素子24とを備える。なお、測定試料を位置制御するピエゾ素子24の代わりに、共振器ミラー20aにピエゾ素子を設置してもよい。
【0021】
図1の光吸収量測定装置1において、レーザ発振器10から発振される連続状のレーザ光26は、光変調素子12,ミラー28a,28bを経て、外部光共振器14へ入射される。また、外部光共振器14からの出力光は光検出器18で受光される。
【0022】
本実施形態では、図1に示した構成の光吸収量測定装置1を用いて、以下の手順で外部光共振器14内に挿入した光吸収体30に蓄えられた光の吸収量を測定する。
(1)外部光共振器14中に光エネルギを定在波状に蓄積する。
(2)光吸収体30を外部光共振器14内に挿入して波長精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる。
(3)光変調素子12で入射光を遮断後、光検出器18により外部光共振器14からの出力光を計測する。光吸収量の測定は例えば、光蓄積時間、すなわち出力光の減衰時定数(光閉じ込め寿命)等を計測し、光吸収体30の吸収の有無を判定することにより行われる。
【0023】
例えば、外部光共振器14に蓄えられた定在波状の光エネルギを光共振器内に挿入した光吸収体30に吸収させるに際して、光学位相が最適になるように光吸収体30の位置を波長精度で制御することにより、極微量の光吸収量を高感度で検出することができる。
【0024】
次に、上記(1)から(3)の手順と装置および本実施形態に係る光エネルギ吸収量測定方法の特長について、図1を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0025】
(1)外部光共振器14中に光エネルギを定在波状に蓄積する。
レーザ発振器10から、連続光源の出力光を反射率の高い一対のミラー20a,20bで構成された極低損失のFabry−Perot型の外部光共振器14に入射する。ここで、一方の共振器ミラー20bをピエゾ素子22で駆動し、共振器長を波長精度で微調整する。共鳴条件に達すると、外部光共振器14内に光が蓄積され定在波を形成する。
【0026】
レーザ発振器10から発振される光は、外部光共振器14内で定在波状態とするために連続状のレーザであるが、その波長は測定対象となる光吸収体(光吸収媒質)に応じて変えれば良い。また、レーザの波長は可変としてもよい。発振するレーザの強度は、例えば0.01mW〜100mWの範囲とすればよい。使用されるレーザの種類としては、使用するレーザの波長に応じて選択すればよく特に制限はないが、例えば、半導体レーザ、固体レーザ、気体レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ、自由電子レーザ等を使用することができる。また、光パラメトリック発振器、放射光等を用いてもよい。
【0027】
外部光共振器14のミラー20a,20bの反射率は、外部光共振器14中に光エネルギを蓄積するためには、99.9%以上であることが好ましい。また、共振器長は特に制限はないが、通常1cm〜200cmの範囲である。
【0028】
共振器ミラー20a,20bのうち一方を駆動する方法は、ピエゾ素子を使用する方法、ステッピングモータ、マイクロメータ等を用いる機械的方法等が挙げられるが、共振器長を波長精度で高速に微調整するためにはピエゾ素子を使用することが好ましい。ピエゾ素子としては公知のピエゾ素子を用いることができる。なお、本明細書において「波長精度」とは、使用する光の波長以下の精度、好ましくは使用する光の波長の0.01%〜1%の精度のことをいう。
【0029】
(2)光吸収体30を外部光共振器14内に挿入して波長精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる。
光吸収体30を外部光共振器14に挿入する際には、光吸収体30表面での反射や散乱による光損失を最低限に抑制する必要がある。そのために、(a)光吸収体30の両面を光学的に平坦(鏡面)に保つ。(b)光吸収体30表面が光学軸に垂直になるように精度良く角度調整し、反射光を再び共振器モードに戻す。(c)光吸収体30の両面を平行にし、双方の表面での反射光が同時に(b)を満足するようにする。さらに、測定試料取付部に装着した光吸収体30をピエゾ素子24で駆動し、外部光共振器14内の定在波の位相との相対位置を制御する。
【0030】
具体的には、上記(a)の「光学的に平坦」とは、光吸収体30の表面粗さが入射光の波長程度以下、(b)の「光学軸に垂直」とは、光吸収体30表面のずれが光学軸に対して0.01°以下、(c)の「両面を平行」とは、光吸収体30の両面の平行性が0.005°以下であることが好ましい。
【0031】
測定試料取付部に装着した光吸収体30を駆動する方法は、ピエゾ素子を使用する方法、ステッピングモータ、マイクロメータ等を用いる機械的方法等が挙げられるが、外部光共振器14内の光吸収体30の位置を波長精度で高速に微調整するためにはピエゾ素子を使用することが好ましい。ピエゾ素子としては公知のピエゾ素子を用いることができる。測定試料取付部に装着した光吸収体30をピエゾ素子24で駆動することにより、外部光共振器14内の光吸収体30の位置を波長精度、例えば1nm〜100nmのナノオーダーで制御することができる。
【0032】
上記(a)〜(c)の条件を満たすために、光吸収体30の形態としては、例えば、固体基板の形態、あるいは光学用途に研磨された透明な固体基板上の吸着分子や薄膜の形態等が挙げられる。光吸収体30の厚さは特に制限はないが、例えば、固体基板の形態であれば、ゆがみなく保持できる10μm程度以上の厚さ、薄膜の形態であれば、前記厚さの固体基板上に形成された単分子層の1/1000程度以上の被覆率のものである。
【0033】
吸着分子や薄膜等を載せる固体基板としては、使用するレーザ波長において、実質的に透明であれば良く、例えば、中赤外領域で実質的に透明な半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、ZnSe、KBr、サファイヤ等の基板、可視領域で実質的に透明なガラス材料等の基板、紫外領域、真空紫外領域で実質的に透明なLiF基板等が挙げられる。
【0034】
また、吸着分子や薄膜等を載せる固体基板の厚さは、ゆがみなく保持できる程度以上の厚さであることが好ましく、具体的には10μm程度以上の厚さであることが好ましい。
【0035】
本実施形態において、測定対象となる試料は、固体基板、あるいは固体基板表面上の吸着分子、クラスター、薄膜、自己組織化膜、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)による単分子膜等であるが、セル中の溶液についても使用する光の波長で透明な材料で製作された溶液セルを使用することにより測定することができる。
【0036】
(3)光変調素子12で入射光を遮断後、光検出器18により外部光共振器14からの出力光を計測する。
光吸収量の測定は例えば、光蓄積時間、すなわち出力光の減衰時定数(光閉じ込め寿命)等を計測し、光吸収体30の吸収の有無を判定することにより行われる。光吸収体30を挿入した外部光共振器14に連続光源であるレーザ発振器10からの光を入射する。外部光共振器14の共振器長をピエゾ素子22により掃引しながら、外部光共振器14からの出力光を光検出器18で受光する。外部光共振器14が共鳴条件に近づくと、光エネルギが蓄積され出力光強度が増加するので、最大出力時に、レーザ発振器10と外部光共振器14との間に配置した光変調素子12で入射光を遮断する。入射光遮断後に出力光強度が時間とともに指数関数的に減衰する様子をオシロスコープ32等で計測し、減衰時定数から光吸収量を算出する。
【0037】
外部光共振器14からの出力光を計測する方法としては、上記光の減衰(寿命)を検知する方法以外に、入射光を変調して出力光の位相シフトを検出する方法、出力光の積分強度を測定する方法等が挙げられるが、感度の高さと装置の簡便さの点等から光の減衰を検知することが好ましい。
【0038】
以上の手順で連続光を用いて、光学位相が最適になるように外部光共振器内の光吸収体の位置を波長精度で制御することにより、光吸収体の光エネルギ吸収量を高感度で測定することができる。また、従来の方法では困難であった、固体表面上の吸着分子、クラスター、薄膜等の固体試料について、極微量の光吸収量を高感度で検出することができる。さらに、光源の強度変化よりも小さな吸収を精度良く測定することができる。なお、測定感度は、測定の繰り返し頻度を上げて積算回数を増やしたり、光ヘテロダイン法などの変調検出法をさらに取り入れることにより、従来のパルス光を用いた場合に比べて、10倍程度以上とすることができる。
【0039】
<光吸収量制御装置及び光吸収量制御方法>
本発明の実施形態に係る光吸収量制御装置の一例の概略を図2に示し、その構成について説明する。光吸収量制御装置3は、光発振手段であるレーザ発振器10と、光変調素子12と、外部光共振器14と、測定試料位置制御部16と、光検出手段である光検出器18とを備える。外部光共振器14は、一対の共振器ミラー20a,20bとを備え、共振器ミラー20bにはピエゾ素子22が設置されている。また、測定試料位置制御部16は、測定試料取付部(図示せず)と、光吸収体位置制御手段であるピエゾ素子24とを備える。なお、測定試料を位置制御するピエゾ素子24の代わりに、共振器ミラー20aにピエゾ素子を設置してもよい。
【0040】
図2の光吸収量制御装置3において、レーザ発振器10から発振される連続状のレーザ光26は、光変調素子12,ミラー28a,28bを経て、外部光共振器14へ入射される。また、外部光共振器14からの出力光は光検出器18で受光される。
【0041】
本実施形態では、図2に示した構成の光吸収量制御装置3を用いて、以下の手順で外部光共振器14内に挿入した極薄光吸収体34に蓄えられた光の吸収量を制御する。
(1)外部光共振器14中に光エネルギを定在波状に蓄積する。
(2)極薄光吸収体34を外部光共振器14内に挿入して波長精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる。
(3)光変調素子12で入射光を遮断後、光検出器18により外部光共振器14からの出力光を計測しながら、外部光共振器14内の極薄光吸収体34の位置を微調整して極薄光吸収体34の光吸収量を制御する。光吸収量の測定は例えば、光蓄積時間、すなわち出力光の減衰時定数(光閉じ込め寿命)等を計測し、極薄光吸収体34の吸収の有無を判定することにより行われる。
【0042】
ここで、「極薄光吸収体」とは、(a)基板自体が極薄のもの、(b)基板の片面に極薄膜を形成したもの(ただし、基板の厚さには制限はない)、(c)波長より厚い基板の両面に極薄膜を形成したもの、等の形態のものをいう。
【0043】
極薄光吸収体34が入射光の波長に比べて厚い基板の両表面に設けられている場合、外部光共振器14において、図3に示すように、極薄光吸収体34の両方が定在波の節位置にあるとき(図3(b))には、光吸収がほとんどなく光閉じ込め寿命が長い。一方、極薄光吸収体34の一方が入射した定在波の腹位置、他方が節位置にあるとき(図3(a))には、光吸収量が多く光閉じ込め寿命は短い。極薄光吸収体34の両方が定在波の腹位置にあるとき(図3(c))には、光吸収量が2倍に増加し、光閉じ込め寿命はさらに短い。したがって、外部光共振器14に蓄えられた定在波状の光エネルギを外部光共振器14内に挿入した極薄光吸収体34に吸収させるに際して、光強度の強い定在波の腹位置に極薄光吸収体34の両方を位置させる図3(c)のステップと、光強度の弱い定在波の節位置に極薄光吸収体34の両方を位置させる図3(b)のステップとを切り替える、具体的には、極薄光吸収体34の位置を入射波の1/4波長ずらすことにより、極薄光吸収体34の光吸収を高精度で制御し、ON/OFFすることができる。また、光強度の強い定在波の腹位置に極薄光吸収体34の一方を位置させる図3(a)のステップと、光強度の弱い定在波の節位置に極薄光吸収体34の両方を位置させる図3(b)のステップとを入射光の波長を変えて切り替えることによって光吸収量を制御することもできる。なお、図3において、極薄光吸収体34が入射光の波長に比べて厚い基板の両表面に設けられていることは明示されていない。ここでは、極薄光吸収体34が基板の両表面に設けられている場合を例に説明したが、基板の片面に極薄光吸収体34を設けて光吸収量を制御してもかまわない。
【0044】
次に、上記(1)から(3)の手順と装置および本実施形態に係る光エネルギ吸収量制御方法の特長について、図2を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0045】
(1)外部光共振器14中に光エネルギを定在波状に蓄積する。
レーザ発振器10から、連続光源の出力光を反射率の高い一対のミラー20a,20bで構成された極低損失のFabry−Perot型の外部光共振器14に入射する。ここで、一方の共振器ミラー20bをピエゾ素子22で駆動し、共振器長を波長精度で微調整する。共鳴条件に達すると、外部光共振器14内に光が蓄積され定在波を形成する。
【0046】
レーザ発振器10から発振される光は、外部光共振器14内で定在波状態とするために連続状のレーザであるが、その波長は測定対象となる光吸収体(光吸収媒質)に応じて変えれば良い。また、レーザの波長は可変としてもよい。発振するレーザの強度は、例えば0.01mW〜100mWの範囲とすればよい。使用されるレーザの種類としては、使用するレーザの波長に応じて選択すればよく特に制限はないが、例えば、半導体レーザ、固体レーザ、気体レーザ、色素レーザ、エキシマレーザ、自由電子レーザ等を使用することができる。また、光パラメトリック発振器、放射光等を用いてもよい。
【0047】
外部光共振器14のミラー20a,20bの反射率は、外部光共振器14中に光エネルギを蓄積するためには、99.9%以上であることが好ましい。また、共振器長は特に制限はないが、通常1cm〜200cmの範囲である。
【0048】
共振器ミラー20a,20bのうち一方を駆動する方法は、ピエゾ素子を使用する方法、ステッピングモータ、マイクロメータ等を用いる機械的方法等が挙げられるが、共振器長を波長精度で高速に微調整するためにはピエゾ素子を使用することが好ましい。ピエゾ素子としては公知のピエゾ素子を用いることができる。なお、本明細書において「波長精度」とは、使用する光の波長以下の精度、好ましくは使用する光の波長の0.01%〜1%の精度のことをいう。
【0049】
(2)極薄光吸収体34を外部光共振器14内に挿入して波長精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる。
薄膜状の極薄光吸収体34を外部光共振器14に挿入する際には、極薄光吸収体34表面での反射や散乱による光損失を最低限に抑制する必要がある。そのために、(a)極薄光吸収体34の両面を光学的に平坦(鏡面)に保つ。(b)極薄光吸収体34表面が光学軸に垂直になるように精度良く角度調整し、反射光を再び共振器モードに戻す。(c)極薄光吸収体34の両面を平行にし、双方の表面での反射光が同時に(b)を満足するようにする。さらに、測定試料取付部に装着した極薄光吸収体34をピエゾ素子24で駆動し、外部光共振器14内の定在波の位相との相対位置を制御する。
【0050】
具体的には、上記(a)の「光学的に平坦」とは、極薄光吸収体34の表面粗さが入射光の波長程度以下、(b)の「光学軸に垂直」とは、極薄光吸収体34表面のずれが光学軸に対して0.01°以下、(c)の「両面を平行」とは、極薄光吸収体34の両面の平行性が0.005°以下であることが好ましい。
【0051】
測定試料取付部に装着した極薄光吸収体34を駆動する方法は、ピエゾ素子を使用する方法、ステッピングモータ、マイクロメータ等を用いる機械的方法等が挙げられるが、外部光共振器14内の極薄光吸収体34の位置を波長精度で高速に微調整するためにはピエゾ素子を使用することが好ましい。ピエゾ素子としては公知のピエゾ素子を用いることができる。測定試料取付部に装着した極薄光吸収体34をピエゾ素子24で駆動することにより、外部光共振器14内の極薄光吸収体34の位置を波長精度、例えば1nm〜100nmのナノオーダーで制御することができる。
【0052】
上記(a)〜(c)の条件を満たすために、極薄光吸収体34の形態としては、例えば、極薄固体基板の形態、あるいは光学用途に研磨された透明な固体基板上の吸着分子や薄膜の形態等が挙げられる。
【0053】
高いコントラストで光吸収量の制御を行うために、極薄光吸収体34の膜厚は、使用する光(入射光)の波長よりも薄いことが必要であり、使用する光の波長よりも十分に薄いこと、すなわち使用する光の波長の50%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。極薄光吸収体34の膜厚が使用する光の波長よりも大きいと高いコントラストでの光吸収量制御が困難となり、使用する光の波長の50%を越えると光吸収量の変化を検知しにくくなる場合がある。
【0054】
吸着分子や薄膜等を載せる固体基板としては、使用するレーザ波長において、実質的に透明であれば良く、例えば、中赤外領域で実質的に透明な半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、ZnSe、KBr、サファイヤ等の基板、可視領域で実質的に透明なガラス材料等の基板、紫外領域、真空紫外領域で実質的に透明なLiF基板等が挙げられる。
【0055】
また、吸着分子や薄膜等を載せる固体基板の厚さは、ゆがみなく保持できる程度以上の厚さであることが好ましく、具体的には10μm程度以上の厚さであることが好ましい。
【0056】
本実施形態において、光吸収量の制御対象となる試料は、固体基板、あるいは固体基板表面上の吸着分子、クラスター、薄膜、自己組織化膜、ラングミュア・ブロジェット法(LB法)による単分子膜等であるが、セル中の溶液についても使用する光の波長で透明な材料で製作された極薄溶液セルを使用することにより光吸収量の制御をすることができる。
【0057】
(3)光変調素子12で入射光を遮断後、光検出器18により外部光共振器14からの出力光を計測しながら、外部光共振器14内の極薄光吸収体34の位置を微調整して極薄光吸収体34の光吸収量を制御する。
光吸収量の測定は例えば、光蓄積時間、すなわち出力光の減衰時定数(光閉じ込め寿命)等を計測し、極薄光吸収体34の吸収の有無を判定することにより行われる。極薄光吸収体34を挿入した外部光共振器14に連続光源であるレーザ発振器10からの光を入射する。外部光共振器14の共振器長をピエゾ素子22により掃引しながら、外部光共振器14からの出力光を光検出器18で受光する。外部光共振器14が共鳴条件に近づくと、光エネルギが蓄積され出力光強度が増加するので、最大出力時に、レーザ発振器10と外部光共振器14との間に配置した光変調素子12で入射光を遮断する。入射光遮断後に出力光強度が時間とともに指数関数的に減衰する様子をオシロスコープ32等で計測し、減衰時定数から光吸収量を算出する。
【0058】
外部光共振器14からの出力光を計測する方法としては、上記光の減衰(寿命)を検知する方法以外に、入射光を変調して出力光の位相シフトを検出する方法、出力光の積分強度を測定する方法等が挙げられるが、感度の高さと装置の簡便さの点等から光の減衰を検知することが好ましい。なお、検出感度は、測定の繰り返し頻度を上げて積算回数を増やしたり、光ヘテロダイン法などの変調検出法をさらに取り入れることにより、さらに向上することができる。
【0059】
以上の手順で連続光を用いて光吸収体の光エネルギ吸収量を計測しながら、外部光共振器14内の極薄光吸収体34の位置を微調整すると、図3に示すように、極薄光吸収体34が定在波の腹に位置する場合には光が強く吸収されるが、節位置の場合にはほとんど吸収されないように制御することができる。
【0060】
すなわち、入射光の波長に比べて厚い基板の両面に極薄光吸収体34を設け、図3(a)に示すように、位相条件φ=(m+1/2)πで基板の片面が定在波の節、他面では腹になるようにすると、少なくともどちらかの表面で電場Eは有限値であり、表面分子は光吸収を起こす。一方、図3(b)のようにφ=mπの条件で両面が節になるようにすると、表面での光強度はゼロであり、吸収体との相互作用が実質的に無いものとなる。また、図3(c)のようにφ=mπの条件で両面が腹になるようにすると、図3(a)のφ=(m+1/2)πの場合のちょうど2倍の吸収量が得られる。
【0061】
したがって、外部光共振器14に蓄えられた定在波状の光エネルギを外部光共振器14内に挿入した極薄光吸収体34に吸収させるに際して、光強度の強い定在波の腹位置に極薄光吸収体34の両方を位置させるステップと、光強度の弱い定在波の節位置に極薄光吸収体34の両方を位置させるステップとを切り替える、具体的には、極薄光吸収体34の位置を入射波の1/4波長ずらすことにより、極薄光吸収体34の光吸収を高精度で制御し、ON/OFFすることができる。また、極薄光吸収体34の位置を、例えば光強度の強い定在波の腹位置と光強度の弱い定在波の節位置との間で微調整することにより、極薄光吸収体34の光吸収量を高精度で連続的に自由に制御することができる。基板の両面に極薄光吸収体34を設けた場合は、入射光の波長を切り替えて光吸収量の制御を行うことができる。なお、ここでは、基板の両面に極薄光吸収体34を設けた例を示したが、基板の片面に極薄光吸収体34を設けて光吸収量の制御を行ってもかまわない。
【0062】
また、極薄光吸収体34の位置を固定した場合には入射光の波長により吸収体位置での定在波の位相が変化するので、波長による吸収の有無を制御できる。一方で、極薄光吸収体34として光導電性など光機能性を示す物質の極薄膜を用いると、定在波の位相を制御して光機能をON/OFFすることができる。
【0063】
このような光吸収量制御方法は、例えば、光導電性素子、光起電力素子、発光素子、光熱変換素子、光磁性素子、非線形光学素子等の光機能性素子の制御あるいはON/OFFに応用することができる。
【実施例】
【0064】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
<シリコン(100)表面上に作製した長鎖アルキル単分子膜を吸収体とした中赤外光吸収の制御>
(背景)
発明に至る経緯として、まず、シリコン基板上の極微量吸着物質の光吸収を測定する手法の開発に着手した。半導体シリコンのバンドギャップが約1.1eVであり中赤外域で透明であることに着目し、透過型配置で光吸収を感度良く捉えることのできるキャビティ・リングダウン法(上記非特許文献1〜3参照)を応用することを考えた。但し、この手法は光の反射、散乱のない気相試料を対象として開発されたため、固体試料への適用可能性は自明ではなかった。しかも、従来の方法はパルス光源を用いるものであったため、連続光源を用いた場合の特性も未知であった。そこで、透明な固体基板を挿入した光共振器の特性を理論的、実験的に詳細に調べ、固体試料への適用条件と連続光源を用いた場合の特性を明らかにし、フォトントラップ法として確立した(上記非特許文献4参照)。その過程で、定在波と固体基板との間の位相関係が重要であるとの認識を得て、本発明に至った。
【0066】
(試料調製)
半導体シリコンウェハSi(100)を15mm角程度の大きさに切り出して基板とし、オクタデシルトリクロロシラン(C1837SiCl)の4mMメシチレン溶液を用い、オクタデシルトリクロロシラン分子を反応させ、オクタデシル鎖(C1837)単分子膜を基板両面に作製し、極薄膜吸収体とした。
【0067】
なお、以下の測定に先立って、基板自身の光学特性を調べるために、垂直入射条件でシリコン基板の透過光強度を波長掃引しながら測定して図4のように干渉フリンジを描いた。透過率極大の波長(○)では基板厚が半波長の整数倍であり、基板の光学位相φはφ=mπ(mは自然数)を満たす。一方、透過率極小(●)はφ=(m+1/2)πの条件である。極大、極小は2.10cm−1毎にそれぞれ現れ、これらの結果から、シリコン基板厚は694±6μm、屈折率は3.43±0.03であった。
【0068】
(測定装置)
図2に示す光吸収量制御装置3を使用して測定を行った。光源には、中赤外領域で波長可変な単一モード連続発振レーザをレーザ発振器10として用いた。このレーザでは、単一モード連続発振Nd:YAGレーザを励起光源として、周期分極型ニオブ酸リチウム(PPLN)結晶を非線型光学媒質とする光パラメトリック発振を誘起する。PPLN結晶の分極周期と温度を制御して、2.5〜3.8μmの波長可変領域を得た。出力光強度は約40mWであった。出力レーザ光を光変調素子12(ゲルマニウム製音響光学素子)で変調し、外部光共振器14(共振器長約20cm)へ入射した。測定波長領域(3.4〜3.6μm)において共振器ミラー20a,20bの反射率は約99.95%であった。一方の共振器ミラー20bにピエゾ素子22を取り付けて共振器長を精度良く制御し、外部光共振器14への光の導入を促した。さらに、外部光共振器14からの出力光を光検出器18である中赤外光検出器(InSb光起電力素子)で受光した。共振器長が共鳴条件に近づくと、外部光共振器14内に蓄積された光エネルギに比例して、光検出器18の信号強度が増加する。光が十分に蓄積された時点で、光変調素子12へのrf入力を止めて光を遮断し、その後、信号強度が指数関数的に減衰する様子をオシロスコープ32で計測した。この減衰曲線の時定数τが共振器内の光閉じ込め寿命であり、減衰レートτ−1が吸収係数に比例する量である。外部光共振器14内に試料がある場合とない場合での減衰レートの差から試料自身の光吸収量を算出した。
【0069】
(測定結果)
シリコン基板のフリンジ測定結果に基づいて、位相条件φ=(m+1/2)πの波長を選んで測定を行ってスペクトルを描いた結果が図5(a)である。2854cm−1と2924cm−1を中心とする幅約20cm−1の吸収ピークを捉えることができ、それぞれC−H対称および反対称伸縮振動に帰属された。一方、位相条件φ=mπでシリコン基板の両面が節の測定では、図5(b)のように前者で見られた吸収ピークがどちらもほぼ完全に消失する結果を得た。また、位相条件φ=mπで膜の両面が腹の測定では、図6に示すように、位相条件φ=(m+1/2)πのときに比べてほぼ2倍の強度のスペクトルを得ることができた。なお、図6において相対信号強度(横軸)は、定在波と試料基板との相対位相に対応し、相対信号強度1.0はφ=mπで両面が節、約0.2は両面が腹の条件に相当する。「両面が節」から「両面が腹」へ位相条件が変化するに伴って光吸収量が増加し、「両面が腹」のときにφ=(m+1/2)πの場合の吸収量の約2倍に達することを示す。
【0070】
位相条件φ=(m+1/2)πでは図3(a)に示すように、基板の片面が定在波の節の場合には他面では腹になる。つまり、少なくともどちらかの表面で電場Eは有限値であり、表面分子は光吸収を起こす。一方、図3(b)のようにφ=mπの条件で両面が節の場合には、表面での光強度はゼロであり、吸収体との相互作用が実質的に無いものと考えられる。また、図3(c)のようにφ=mπの条件で両面が腹の場合にはφ=(m+1/2)πの場合のちょうど2倍の吸収量が得られると予想されるが、強い信号を選択的に捉える実際の測定条件では(b)の状況が実現される。さらに、コヒーレンス長約1cmのパルス光源を用いて行った同様の実験では特定波長での吸収消失は観測されず、この現象が十分にコヒーレントな光源で共振器内に定在波が形成される場合にだけ起きることが確認された。
【0071】
以上より、波長に比べて十分に薄い吸収体が共振器内の定在波の節に位置する場合、光と吸収体との相互作用が抑制され、実質的に透明体として振舞うことを実証した。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る光吸収量測定装置の構成の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光吸収量制御装置の構成の一例を示す概略図である。
【図3】本発明における定在波と基板表面との関係を示す模式図である((a)は位相条件φ=(m+1/2)π、(b)は位相条件φ=mπで両面が節、(c)は位相条件φ=mπで両面が腹)。
【図4】本発明の実施例におけるシリコン基板の干渉フリンジを示す図である。
【図5】本発明の実施例におけるシリコン表面上オクタデシル鎖単分子膜の光吸収スペクトルを示す図である((a)は位相条件φ=(m+1/2)π、(b)は位相条件φ=mπ)。
【図6】本発明の実施例におけるシリコン表面上オクタデシル鎖単分子膜の光吸収強度(位相条件:φ=(m+1/2)π、φ=mπ)を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 光吸収量測定装置、3 光吸収量制御装置、10 レーザ発振器、12 光変調素子、14 外部光共振器、16 測定試料位置制御部、18 光検出器、20a,20b 共振器ミラー、22,24 ピエゾ素子、26 レーザ光、28a,28b ミラー、30 光吸収体、32 オシロスコープ、34 極薄光吸収体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を測定する光エネルギ吸収量測定方法であって、
外部光共振器中に連続光を入射して光エネルギを定在波状に蓄積する工程と、
前記外部光共振器内に挿入した光吸収体を前記入射した光の波長の精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる工程と、
前記入射した光を遮断後、前記外部光共振器からの出力光を計測する工程と、
を含むことを特徴とする光エネルギ吸収量測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光エネルギ吸収量測定方法であって、
前記出力光を計測する工程において、出力光の光減衰を計測することを特徴とする光エネルギ吸収量測定方法。
【請求項3】
光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を測定する光エネルギ吸収量測定装置であって、
連続光を発振する光発振手段と、
入射された前記連続光の光エネルギを定在波状に蓄積する外部光共振器と、
前記光吸収体を保持し、前記波長の精度で位置制御することが可能な光吸収体位置制御手段と、
前記外部光共振器からの出力光を計測する光検出手段と、
を有することを特徴とする光エネルギ吸収量測定装置。
【請求項4】
光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を制御する光エネルギ吸収量制御方法であって、
外部光共振器中に連続光を入射して光エネルギを定在波状に蓄積する工程と、
前記外部光共振器内に挿入した、前記入射した光の波長に比べて薄い光吸収体を前記波長の精度で位置制御し、蓄積した光と相互作用させる工程と、
を含むことを特徴とする光エネルギ吸収量制御方法。
【請求項5】
請求項4に記載の光エネルギ吸収量制御方法であって、
前記入射した光の波長に比べて薄い光吸収体を前記波長の精度で位置制御することにより、前記光吸収体の光吸収量をオンオフすることを特徴とする光エネルギ吸収量制御方法。
【請求項6】
請求項4に記載の光エネルギ吸収量制御方法であって、
前記入射した光の波長に比べて薄い光吸収体を前記波長の精度で位置制御することにより、前記光吸収体の光吸収量を連続的に制御することを特徴とする光エネルギ吸収量制御方法。
【請求項7】
光共振器に蓄えられた光エネルギの光吸収体による光吸収量を制御する光エネルギ吸収量制御装置であって、
連続光を発振する光発振手段と、
入射された前記連続光の光エネルギを定在波状に蓄積する外部光共振器と、
前記入射された光の波長に比べて薄い光吸収体を保持し、前記波長の精度で位置制御することが可能な光吸収体位置制御手段と、
前記外部光共振器からの出力光を計測する光検出手段と、
を有することを特徴とする光エネルギ吸収量制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−192680(P2007−192680A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11423(P2006−11423)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(598014814)株式会社コンポン研究所 (24)
【Fターム(参考)】