光ディスク再生方法および光ディスク再生装置
【課題】簡単な制御で安定した高速再生を行えることを可能にした光ディスク再生方法および光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスクの再生方法で、N個(Nは3以上の整数)のレーザビームを、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向には所定間隔だけ離間させて照射し、前記N個のレーザビームを、ディスク半径方向に、前記光ディスクの1回転あたりの移動距離がTpよりも長くなるように移動させて、前記N個のそれぞれのレーザビームで前記データを再生するようにした。
【解決手段】トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスクの再生方法で、N個(Nは3以上の整数)のレーザビームを、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向には所定間隔だけ離間させて照射し、前記N個のレーザビームを、ディスク半径方向に、前記光ディスクの1回転あたりの移動距離がTpよりも長くなるように移動させて、前記N個のそれぞれのレーザビームで前記データを再生するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクの再生方法および光ディスク再生装置に関し、特に光ディスクの高速再生を可能とする光ディスク再生方法および光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DVDに代表される光ディスクの市場においては、記録情報の大容量化に適応するため高密度化が進んでおり、最近では光源として青色レーザを使用するBlu−ray、HD−DVDが製品化されている。このうちBlu−rayディスク規格では、現在のDVDにおけるレーザ波長660nm、対物レンズ開口数0.60に対し、青色レーザ(波長405nm)、対物レンズ開口数0.85を使用してDVDの約5倍の記録容量となる片面25GBを実現している。
【0003】
また、青色レーザの高出力化によって複数層媒体の記録も可能となり、たとえば2層ディスクでは片面で50GBの情報データを記録できる。この大記録容量化への開発は今後も多層化技術開発を中心として推進されると予測されている。
【0004】
これに対し、情報信号の記録再生高速化への要望も大きい。上述したように青色レーザの採用によって記録容量は大幅に増加したが、記録容量が増加した分、記録、および再生に要する処理時間が増すことになるからである。そのため現在は、大容量化とともに4倍速化などの高速記録再生技術開発が進められている。
【0005】
例えば、CD−ROMから記録データを高速に読み取る方法として、マルチビーム方式が知られている。
【0006】
下記特許文献1には、マルチビーム方式の例として、「CD−ROM1の隣接する5つのトラックに、光ピックアップ2から個別に5個の光ビーム31〜35を照射し、各戻りビームの受光出力から、記録データ再生系によりトラック別の記録データを同時に読み取り、記録順に出力するようにしたCD−ROM再生装置」が開示されている。また、「記録データ再生系で例えば、光ビーム35による記録データの読み取りが出来なくなったとき、残りの隣接する4つの光ビーム31〜34により記録データの読み取りを行うようにし、この際、CD−ROM1のほぼ1回転分の読み取りをし、光ビーム31〜34での読み取りデータに抜けが無くなったあと、トラック2本分だけフォワード方向にトラックジャンプし、このあと再び記録データの1回転分の読み取りをするという動作を繰り返す」ことが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−120576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述したBlu−rayではもともとの動作周波数が高く、たとえば最短記録信号である2T(Tはビット周期)の繰り返し周波数は2倍速で33MHz、6倍速で99MHz、12倍速で198MHz、ランダム信号再生では6倍速で約130MHz付近まで、12倍速で約260MHz付近まで信号スペクトルが存在することになる。これらの高周波信号をひずみ無く伝送するには、伝送回路として同等の周波数特性を確保しておく必要があり、限られたスペースに回路を実装するドライブ装置では大きな課題となっている。
【0009】
上記の特許文献1では、トラッキングは3〜5トラック毎のトラックジャンプで対応しており、ディスク1回転につき1回トラックジャンプを行う構成となっている。そのため、このようなトラックジャンプ方式では、ジャンプ時に再生データの欠落を避けるために高速でトラッキングを引き込む必要がある。
【0010】
しかし、再生データが高速化されるほどトラックオン時間遅延によるデータ欠落確率は増すことになる。また、常にトラックジャンプを行うため、ピックアップサーボ系の消費電力が増すとともに機構部の信頼性を低下させやすい。
【0011】
本発明の目的は、簡単な制御で安定した高速再生を行えることを可能にした光ディスク再生方法および光ディスク再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、例えば、3つ以上のレーザビームのそれぞれを別のトラック上に照射し、光ディスクが1回転する間に、前記3つ以上のレーザビームを、ディスク半径方向に、トラックピッチよりも移動距離が長くなるように移動させて、複数のトラックのデータを同時に再生する方法によって解決することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な制御で安定に光ディスクに対する再生速度を高速化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図を用いて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明によるディスク記録再生装置のブロック図であり、1はディスク、2はモータ、3はサーボ回路、4はピックアップ、5a、5b、5c、5dはRFアンプ、6a、6b、6c、6dはイコライザ回路、7a、7b、7c、7dはA/D変換器、8はバッファメモリ、9は再生系信号処理回路、10は記録系信号処理回路、11は信号処理回路、12は光ディスク記録再生装置、13はドライブ制御装置、14はレーザ駆動回路、15a、15b、15c、15dはレーザビームである。
【0016】
まず、光ディスク記録再生装置12の基本的な動作について説明する。通常はピックアップ4から照射されるレーザビームは15aの1ビームだけであり、たとえばBlu−Ray方式の1回書きディスクであるBD−Rディスク1が挿入されるとモータ2、サーボ回路3によってディスク1を回転させ、ピックアップ4から照射されるレーザビーム15a、RFアンプ5a、イコライザ回路6a、信号処理回路11中のA/D変換器7a、再生系信号処理回路9によってディスク1上に記録されたコントロール信号などの情報を読み取り、ディスク媒体判別が行われる。ここで挿入されたディスク1がBD−Rと判別されると光ディスク記録再生装置12は動作待ち状態となり、その後はたとえばホストコンピュータで構成されるドライブ制御装置13の指令に基づきデータの記録または再生状態に制御される。
【0017】
記録時には、サーボ回路3はディスク1を所定のスピードで回転させるとともにレーザビーム15aのフォーカスおよびトラッキング制御を行う。次に信号処理回路11中の記録系信号処理回路10から出力される直列ディジタルデータがレーザ駆動回路14に送出され、レーザ駆動回路14は記録データ信号のパワー値を所定の値に変換して情報データを順次ディスク1のトラック上に記録していく。
【0018】
同様に再生時もサーボ回路3はディスク1を所定のスピードで回転させるとともに、レーザビーム15aのフォーカス制御およびトラッキング制御を行い、記録されている情報データを順次再生していく。
【0019】
たとえばCAV(Constant Angular Velocity)方式で外周6倍速を実現するには、サーボ回路3によってモータ2の回転数を毎分4860回転に制御し、ピックアップ4から出力されるレーザビーム15aの反射光を検出して、内周から外周に向かってらせん状に形成される1本の記録トラックを走査して直列再生信号をRFアンプ5aから得る。外周部分で再生速度が最も速い6倍速になり、そのときの信号周波数は前述したように2Tの繰り返し信号で99MHzの高周波信号となる。また、内周部はモータ2の回転数が毎分4860回転であるので2.5倍速になる。
【0020】
CAV方式では内周時の回転数によって最大倍速数が決定し、モータ2の回転数を毎分10000回転以下(9720回転)と決めると、内周で5倍速、外周で12倍速が最大倍速となる。
【0021】
RFアンプ5aからの出力信号はイコライザ回路6aに送られ、イコライザ回路6aによって波形等化を行った後、信号処理回路11に送られる。
【0022】
信号処理回路11では、まず入力したアナログ信号をA/D変換器7aによってディジタル信号に変換し、再生された信号から伝送クロックを検出するPLL回路、伝送系をパーシャルレスポンスに適合させるパーシャルレスポンス再生回路などによってデータ再生が行われた後に、再生されたデータは一旦バッファメモリ8に格納される。再生系信号処理回路9では、バッファメモリ8に格納されているデータを順次読み出し、同期信号検出回路、復調回路、誤り検出訂正回路などの回路動作(図示せず)によってディスク1に記録されている情報データを再生する。
【0023】
ここで光ディスク記録再生装置12では、RFアンプ5aは可動部であるピックアップ4上に設けられ、イコライザ回路6a以降はメイン基板に実装される。このときピックアップ4からメイン基板へはRF信号の他にサーボ信号なども伝送する必要があるため伝送信号数が多く、また可動部と固定部との信号伝送になることから、ピックアップ4とメイン基板はフレキシブルシート上に印刷された導体配線で接続されることが多い。
【0024】
しかしこのフレキシブルシートによる配線では上記のような可動部と固定部の接続に適しているものの、配線間隔が狭くなると線間容量が増し、伝送線のインピーダンスと低周波領域で共振して伝送帯域が狭くなる虞がある。フレキシブルシートの設計(線長、線幅、線間隔)にもよるが伝送帯域はおよそ150MHz程度である。これは前述したBlu−Ray方式の6倍速における周波数スペクトル分布帯域に相当し、従来の装置構成では8倍速以上の転送レート実現が難しいことになる。以上述べてきたようにモータ2の回転数、および伝送回路の周波数特性から考えると、安定して実現できる再生倍速は6倍速ということになる。
【0025】
以上述べてきた1ビーム方式に対し、本発明では図1に示すように再生時に4個のマルチビーム15a、15b、15c、15dを生成する。そして、マルチビーム15a、15b、15c、15dを、ディスク半径方向に、光ディスク1の1回転あたりの移動距離がトラックピッチよりも長くなるように移動させ、隣接するトラックを同時に再生する。すなわち、ディスクが1回転する間に、マルチビームがトラックを横切るように制御して、ディスク1回転で複数のトラックの情報を再生する。これにより、通常再生方法に比べ2倍の再生高速化を実現する。
【0026】
まず、従来のマルチビームによる高速再生化について説明する。図2は2本のレーザビーム15a、15bと、らせん形状トラックの位置関係を模式化して示したものである。
【0027】
図1に示したドライブ制御装置13がたとえば12倍速再生モードを指令すると通常1ビームであったレーザビームに対して2つのレーザビーム15a、15bをピックアップ4から発生させ、それぞれを隣接する2トラックにオントラックするようにトラックピッチ(以下Tpと記す)分だけオフセットを与える。ここで記録トラックは実際には、らせん形状の1本のトラックが内周から外周に向かって形成されているが、説明の便宜上、隣り合うトラックという表現としており、図中Bに示したトラック2(以下TR2と記す)の最終部分とTR3の最初の部分は実際にはつながっているものとする。
【0028】
最初レーザビーム15aはTR2に、レーザビーム15bはTR1にオントラックさせ、1回転分のデータを再生する(レーザビーム15aはAからBに移動する)。次に1トラック分、トラックジャンプを行い、レーザビーム15aはTR4の先頭部分であるB‘に、レーザビーム15bはTR3の先頭部にオントラックさせる。これを順次繰り返すことにより、2本ずつのトラックを読み取る。
【0029】
一方でモータ2の回転は前述したCAV方式6倍速に対応した回転数毎分4860回転とし、トラッキングはディスク1回転につき、2倍のTp進むようにトラックジャンプ制御される。
【0030】
図3にデータ再生タイミングチャートを示す。1ビーム方式に対して2ビーム方式では、モータの回転数を1/2にするため再生信号周波数帯域を1/2に低減でき、その状態で12倍速相当の再生倍速が得られる。しかし、前述したようにトラックジャンプ方式は機構系の信頼性を下げる虞がある。
【0031】
そこで、本発明では、図1に示したように4本のレーザビーム15a〜15dを使用し、その配置をディスク半径方向に0.5×Tpずつオフセットさせる構成とした。
【0032】
図4にレーザビーム配置の一例を示す。4本のレーザビーム15a〜15dは、それぞれディスク半径方向に0.5×Tpずつオフセットしてインライン状に形成されている。たとえば、レーザビーム15aはTR3に、レーザビーム15bはTR3とTR2の中間に、レーザビーム15cはTR2に、15dはTR2とTR1の中間にそれぞれ位置するものとする。
【0033】
このような4本のレーザビームを生成する方法としては、1個のレーザダイオードから出射したビームを、グレーティングを用いて4ビーム化する方法、あるいは4個のレーザダイオードを独立して使用する方法を用いることができる。本発明では、3本以上のレーザビームを生成することができれば、生成方法は特に限定されない。情報データをマルチビームで記録する動作を行うためには2個以上のレーザダイオードが必要になるが、本発明のような再生装置においては、グレーティングを使用して多ビーム化する構成が好ましく、これによりコストが低くなるという効果が得られる。
【0034】
図5にデータ再生時の各レーザビーム15a〜15dの走査軌跡および再生信号順序を示す。図においては、レーザビーム15b、15cはトラックの長手方向に対して離れて示されているが、これは表現上の都合によるもので実際には図4に示したように近接してインライン状に生成されている。またBlu−Ray方式の場合、レーザビーム15a〜15dのビームスポット径は0.476μm、トラックピッチTpは0.32μmであり、トラックピッチに対しスポット径は約1.5倍となっている。
【0035】
図中A位置から再生がスタートし、TR3にオントラックしていたレーザビーム15aは回転が進行するにつれてオフトラックし、回転開始から180°(1/2回転)、ディスクの回転が進行すると、TR4とTR3の中間に位置するようになる。この時レーザビーム15aでは、TR4とTR3の記録信号が同一レベルで再生されることになり、お互いのクロストークによって正しいデータ再生が行えない(図中TR表示のない部分)。次に走査が進むと徐々にTR4にオントラックし、回転開始から360°(1回転)位置で完全にTR4(TR5の先頭)にオントラックする。
【0036】
このようにディスク1が1回転するとレーザビーム15a〜15dは内周側から外周側方向に2トラック分進み、図中Bの位置に示したようにレーザビーム15aはTR4、レーザビーム15bはTR4、3の中間、レーザビーム15cはTR3、15dはTR3とTR2の中間のそれぞれトラック最終部に位置する。さらに1回転するとレーザビーム15aはTR6、レーザビーム15bはTR6、5の中間、レーザビーム15cはTR5、15dはTR5とTR4の中間のそれぞれトラック最終部に位置する。
【0037】
以上のようにレーザビーム15b、15dは、レーザビーム15a、15cがオフトラックして再生できない領域を確実にトレースし、データ再生漏れをなくす動作を行う。
【0038】
レーザビーム15a〜15dの反射光はそれぞれに接続されているRFアンプ5a〜5dによって電圧変換され、図5に示したように各トラックの記録信号を部分的に分割再生する。この方法によってトラック上に記録された4トラック分の情報データをディスク1の2回転で再生することができる。
【0039】
図1中、レーザビームのフォーカスおよびトラッキング用にRFアンプ5a、5dの信号をサーボ回路3に入力しているが、これは他のRFアンプの組み合わせまたは単独のRFアンプの出力信号を使用してもかまわない。
【0040】
図1において、RFアンプ5a〜5dのそれぞれの出力信号はイコライザ回路6a〜6dによって符号間干渉を取り除き、A/D変換器7a〜7dによってディジタル信号に変換される。
【0041】
図5に示したようにRFアンプ5a〜5dの出力信号は必ずしも時系列とはならないため、バッファメモリ8ではA/D変換器7a〜7dの出力ディジタルデータを順次並列に記憶して行き、読み出し時にはデータのデータIDコードなどからデータアドレス番号を検出してこの信号を基に直列データ列に並び替える。
【0042】
データ順序決定後は信号処理回路11は12倍速動作を行う。つまり、バッファメモリ8の読み出し以降、同期信号検出回路、復調回路、誤り検出訂正回路などは12倍速モード(基本伝送クロック周波数792MHz)で動作させる。この構成により、レーザビーム15a〜15d、RFアンプ5a〜5d、イコライザ回路6a〜6d、A/D変換器7a〜7dのアナログ信号動作領域は6倍速相当の伝送帯域でよく、従来使用しているフレキシブルシートによる信号伝送を使用しても12倍速のデータ再生が可能となる。また、信号処理回路11の動作クロック周波数についても処理の一部を並列化して低減することは可能である。
【0043】
本実施形態により、トラックジャンプを使用せずにリニア動作で再生速度の高速化が実現でき、ディスク1の回転数も1ビーム方式に対し、1/2でよいので再生装置の省電力が図れるという効果がある。
【0044】
図14に本発明に使用するサーボ信号の一実施形態を示す。
【0045】
サーボ回路3は図14に示した偏芯用ドライブ信号と2xTp用ドライブ信号をピックアップ4のレンズアクチュエータ部20に、ピックアップドライブ信号をピックアップ移動機構部21にそれぞれ伝送する。ピックアップ4はピックアップ移動機構部21上に設けられ、図14に示したようなピックアップドライブ信号によってステップ状に移動する。
【0046】
図15は本発明におけるサーボ回路の一実施形態を示すブロック図である。
【0047】
図15において、図1に示した部品と同一部品には同一番号で示し、17はディスク偏芯検出回路、18は2xTpトラッキング制御回路、19はディスク回転制御回路、20はレンズアクチュエータ部、21はピックアップ移動機構部、22はFG出力回路、である。
【0048】
ディスク1が光ディスク記録再生装置に挿入されると、サーボ回路3はトラッキングサーボをかけない状態でディスク1を回転し、信号処理回路11内のディスク偏芯検出回路17がRFアンプ5の出力信号をモニタして、この時レーザビームが横断するトラックの本数から当該ディスクに対する偏芯量を測定する。この場合、検出はFG出力回路22の出力である位相情報が含まれたFGパルス発生タイミングで実行され、この動作によってディスク1回転分の偏芯量が偏芯検出回路17のメモリに記憶される。
【0049】
2xTpトラッキング制御回路18は、ディスク1回転毎に2xTpずつリニアにレーザビーム15a〜15dを移動するための制御回路であり、ディスク回転制御回路19は通常のディスク回転数を制御するためのものである。
【0050】
まず、ピックアップ4のレンズアクチュエータ部20は伝送された偏芯用ドライブ信号と2xTp用ドライブ信号との2信号で制御され、レンズアクチュエータの動作によりレーザビーム15a〜15dの位置をディスク偏芯に追随させながら、ディスク1回転につき2倍のトラックピッチ分リニアに移動させていく。
【0051】
次にレンズアクチュエータ部20の移動距離がある規定量に近づいた場合に、レーザビーム15a〜15dのうち一つのレーザビーム(たとえば15a)に瞬時にトラッキングサーボをかけ、その直後にピックアップドライブ信号をピックアップ移動機構部21に伝送してピックアップ4をステップ状に移動させる。この時、2xTp用ドライブ信号は瞬間的に逆極性に振れるが、レーザビーム15aはレンズアクチュエータ部20にトラッキングサーボがかかっているため、オフトラッキングすること無く現在オントラックしているトラックの情報データを読み続けることが可能となる。
【0052】
ピックアップ4が移動した後は、レーザビーム15aのトラッキング制御を解除し、レーザビーム15a〜15dの位置をディスク偏芯に追随させながら、ディスク1回転につき2倍のトラックピッチ分リニアに移動させていく最初の制御状態に復帰させる。
【0053】
本発明の場合、正確なデータ再生を行うためにディスク偏芯検出回路17の精度を上げる必要があり、たとえばモータ2に設けられているFGの波数をできる限り増すことが望ましい。また、2xTpトラッキングが規定どおり行われないと、未再生データ部が発生することになるが、4つのビームから再生されバッファメモリ8に記憶された情報データのアドレスを参照すれば、未再生部のブロックアドレスは特定できるため、リードリトライなどの動作により簡単に修復可能である。
【0054】
以上、図1に示した4系統のRFアンプ5a〜5d、イコライザ回路6a〜6d、A/D変換器7a〜7dを使用した実施形態の動作について説明したが、RFアンプ5a〜5dの切換タイミングを選択設定することにより、イコライザ回路6a〜6d、A/D変換器7a〜7dの回路規模を1/2に低減できる。
【0055】
図6は、回路規模を低減した本発明における実施形態を示すブロック図である。図6において図1と同一部品は同一番号で示し、16a、16bはアンプ切換回路である。また、イコライザ回路6a、6b、A/D変換器7a、7bはそれぞれ2個としている。
【0056】
図5に示したようにRFアンプ5a、5b、およびRFアンプ5c、5dは同一タイミングで所望するトラックに記録されている情報データを再生することは無い。したがって、たとえばRFアンプ5aと5bとを、RFアンプ5cと5dとを図中に示した切換信号でスイッチングして選択的に伝送し、以降の回路であるイコライザ回路、A/D変換器は2系統備えておけばよい。
【0057】
図6ではRFアンプ5aと5bの出力信号をアンプ切換回路16aで、RFアンプ5c、5dの出力信号をアンプ切換回路16bで切り換えるようにしている。アンプ切換タイミングは現在再生中のデータブロックの終了時点とするが、切り換え直後の再生信号はデータブロック先頭とはならないため当該データブロックはエラーとなるが、先頭を検出できないデータブロック数は切換毎に1データブロックずつであるから信号処理回路11中の誤り訂正回路の動作によって問題ないレベルに修復できる。
【0058】
本実施形態により、図1に示した回路構成に対して、回路規模、消費電力を低減できるという効果がある。
【実施例2】
【0059】
図7に本発明による第2の実施形態ブロック図を示す。
【0060】
図7は図1と同一部品で構成され、レーザビームが3個になった例を示している。
【0061】
レーザビームの3ビーム化により、RFアンプ5a〜5c、イコライザ回路6a〜6c、A/D変換器7a〜7cがそれぞれ3系統となっている。各回路ブロックの動作は図1、図6に示した実施形態と同一である。
【0062】
図8にレーザビーム配置の一例を示す。3本のレーザビーム15a〜15cは、それぞれディスク半径方向に0.5×Tpずつオフセットしてインライン状に形成されている。たとえば、レーザビーム15aはTR3に、レーザビーム15bはTR3とTR2の中間に、レーザビーム15cはTR2にそれぞれ位置しているものとする。また、レーザビーム15a〜15cの半径方向への送り速度はディスク1の1回転あたり1.5×Tpとする。
【0063】
図9にデータ再生時の各レーザビーム15a〜15cの走査軌跡および再生信号順序を示す。図9においては、レーザビーム15b、15cはトラックの長手方向に対して離れて示されているが、これも表現上の都合によるもので実際には図8に示したように近接してインライン状に生成される。
【0064】
図中A位置から再生がスタートし、TR3にオントラックしていたレーザビーム15aは回転が進行するにつれてオフトラックし、ディスクが1回転したところでTR4とTR3の中間に位置するようになる。この時レーザビーム15aでは、TR4とTR3の記録信号が同一レベルで再生されることになり、お互いのクロストークによって正しいデータ再生が行えない(図中TR表示のない部分)。次に走査が進むと徐々にTR5にオントラックし、回転開始から2回転終了した位置で完全にTR5(TR6の先頭)にオントラックする。この動作を順次繰り返すことにより、図9に示した再生信号順を得る。
【0065】
レーザビーム15a〜15cの反射光はそれぞれに接続されているRFアンプ5a〜5cによって電圧変換され、図9に示したように各トラックの記録信号を部分的に分割再生する。この方法によってトラック上に記録された4トラック分の情報データをディスク1の3回転で再生することができる。
【0066】
この構成により、実現できる転送速度倍数は前述した4ビーム構成の2倍に対し、1.5倍(たとえば9倍速相当)と小さくなるが、各レーザビームが再生ターゲットとするトラックにオントラックしている時間が長くなるため、結果的に前述した隣接トラックのクロストークによるデータ再生不能領域を低減でき、再生データの信頼性を向上できる。また、RFアンプ5a〜5c、イコライザ回路6a〜6c、A/D変換器7a〜7cがそれぞれ3系統でよいため、回路規模、消費電力を低減できるという効果もある。
【実施例3】
【0067】
図10にレーザビーム配置の一例を示す。
【0068】
図9で説明した実施形態においてはそれぞれのレーザビーム15a〜15cが再生できるトラックデータは一部重複しているが、本実施形態はこれを解消し、再生速度をさらに高速化するものである。
【0069】
図10に示した実施形態では、3本のレーザビーム15a〜15cが、それぞれディスク半径方向に0.58×Tpずつオフセットしてインライン状に形成されている点と、レーザビーム15a〜15cの半径方向への送り速度をディスク1の1回転あたり1.75×Tpとし図9に示した実施形態に対して速くしている点が異なっている。レーザビームの配置は、各レーザビームがディスク1を均等に走査するように1.75×Tpを3分割した0.58×Tpとしている。
【0070】
図11に本発明による第3の実施形態を示すデータ再生時の各レーザビーム15a〜15cの走査軌跡および再生信号順序を示す。図中A位置から再生がスタートし、TR3にオントラックしていたレーザビーム15aは回転が進行するにつれてオフトラックし、ディスクが240°分回転したところでTR4とTR3の中間に位置するようになる。この時レーザビーム15aでは、TR4とTR3の記録信号が同一レベルで再生されることになり、お互いのクロストークによって正しいデータ再生が行えない(図中TR表示のない部分)。
【0071】
次に走査が進むと徐々にTR4、TR5にオントラックし、回転開始からおよそ450°回転した位置で完全にTR5にオントラックする。この動作を順次繰り返すことにより、図11に示した再生信号順を得る。この方法によってトラック上に記録された6トラック分の情報データをディスク1の4回転で再生することができる。
【0072】
この構成により、3ビーム方式ではもっとも速い1.75倍の転送速度、たとえば10.5倍速の再生高速化を実現することができる。
【0073】
図12に4本レーザビームの他の配置例を示す。
【0074】
図4に示した配置例は外周方向から順に4本のレーザビーム15a〜15dを配置したが、これは図12に示したように内周方向から順に15a〜15dを配置してもかまわない。この時、データ再生順序は図4とは異なったものとなる。
【0075】
図13に3本レーザビームの他の配置例を示す。
【0076】
図8に示した配置例は外周方向から順に3本のレーザビーム15a〜15cを配置したが、これは図13に示したように内周方向から順に15a〜15cを配置してもかまわない。この時、データ再生順序は図8とは異なったものとなる。
【0077】
以上本発明の詳細をBlu−ray ディスク装置を例として説明してきたが記録媒体はこれに限らず、HD−DVD装置、DVD装置、CD装置に対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明によるディスク記録再生装置のブロック図。
【図2】レーザビームと、らせん形状トラックの位置関係の模式図。
【図3】データ再生タイミングチャート図。
【図4】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図5】データ再生時の各レーザビームの走査軌跡および再生信号順序を示す図。
【図6】本発明における実施形態を示すブロック図。
【図7】本発明による第2の実施形態を示すブロック図。
【図8】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図9】データ再生時の各レーザビームの走査軌跡および再生信号順序を示す図。
【図10】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図11】本発明による第3の実施形態によるデータ再生時の各レーザビームの走査軌跡および再生信号順序を示す図。
【図12】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図13】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図14】図14に本発明に使用するサーボ信号の一実施形態を示す図。
【図15】本発明におけるサーボ回路の一実施形態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0079】
1‥ディスク、2‥モータ、3‥サーボ回路、4‥ピックアップ、5a〜5d‥RFアンプ、6a〜6d‥イコライザ回路、7a〜7d‥A/D変換器、8‥バッファメモリ、9‥再生系信号処理回路、10‥記録系信号処理回路、11‥信号処理回路、12‥光ディスク記録再生装置、13‥ドライブ制御装置、14‥レーザ駆動回路、15a〜15d‥レーザビーム、16a、16b‥アンプ切換回路、17‥ディスク偏芯検出回路、18‥2xTpトラッキング制御回路、19‥ディスク回転制御回路、20‥レンズアクチュエータ部、21‥ピックアップ移動機構部、22‥FG出力回路
【技術分野】
【0001】
本発明は光ディスクの再生方法および光ディスク再生装置に関し、特に光ディスクの高速再生を可能とする光ディスク再生方法および光ディスク再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DVDに代表される光ディスクの市場においては、記録情報の大容量化に適応するため高密度化が進んでおり、最近では光源として青色レーザを使用するBlu−ray、HD−DVDが製品化されている。このうちBlu−rayディスク規格では、現在のDVDにおけるレーザ波長660nm、対物レンズ開口数0.60に対し、青色レーザ(波長405nm)、対物レンズ開口数0.85を使用してDVDの約5倍の記録容量となる片面25GBを実現している。
【0003】
また、青色レーザの高出力化によって複数層媒体の記録も可能となり、たとえば2層ディスクでは片面で50GBの情報データを記録できる。この大記録容量化への開発は今後も多層化技術開発を中心として推進されると予測されている。
【0004】
これに対し、情報信号の記録再生高速化への要望も大きい。上述したように青色レーザの採用によって記録容量は大幅に増加したが、記録容量が増加した分、記録、および再生に要する処理時間が増すことになるからである。そのため現在は、大容量化とともに4倍速化などの高速記録再生技術開発が進められている。
【0005】
例えば、CD−ROMから記録データを高速に読み取る方法として、マルチビーム方式が知られている。
【0006】
下記特許文献1には、マルチビーム方式の例として、「CD−ROM1の隣接する5つのトラックに、光ピックアップ2から個別に5個の光ビーム31〜35を照射し、各戻りビームの受光出力から、記録データ再生系によりトラック別の記録データを同時に読み取り、記録順に出力するようにしたCD−ROM再生装置」が開示されている。また、「記録データ再生系で例えば、光ビーム35による記録データの読み取りが出来なくなったとき、残りの隣接する4つの光ビーム31〜34により記録データの読み取りを行うようにし、この際、CD−ROM1のほぼ1回転分の読み取りをし、光ビーム31〜34での読み取りデータに抜けが無くなったあと、トラック2本分だけフォワード方向にトラックジャンプし、このあと再び記録データの1回転分の読み取りをするという動作を繰り返す」ことが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平11−120576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前述したBlu−rayではもともとの動作周波数が高く、たとえば最短記録信号である2T(Tはビット周期)の繰り返し周波数は2倍速で33MHz、6倍速で99MHz、12倍速で198MHz、ランダム信号再生では6倍速で約130MHz付近まで、12倍速で約260MHz付近まで信号スペクトルが存在することになる。これらの高周波信号をひずみ無く伝送するには、伝送回路として同等の周波数特性を確保しておく必要があり、限られたスペースに回路を実装するドライブ装置では大きな課題となっている。
【0009】
上記の特許文献1では、トラッキングは3〜5トラック毎のトラックジャンプで対応しており、ディスク1回転につき1回トラックジャンプを行う構成となっている。そのため、このようなトラックジャンプ方式では、ジャンプ時に再生データの欠落を避けるために高速でトラッキングを引き込む必要がある。
【0010】
しかし、再生データが高速化されるほどトラックオン時間遅延によるデータ欠落確率は増すことになる。また、常にトラックジャンプを行うため、ピックアップサーボ系の消費電力が増すとともに機構部の信頼性を低下させやすい。
【0011】
本発明の目的は、簡単な制御で安定した高速再生を行えることを可能にした光ディスク再生方法および光ディスク再生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題は、例えば、3つ以上のレーザビームのそれぞれを別のトラック上に照射し、光ディスクが1回転する間に、前記3つ以上のレーザビームを、ディスク半径方向に、トラックピッチよりも移動距離が長くなるように移動させて、複数のトラックのデータを同時に再生する方法によって解決することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、簡単な制御で安定に光ディスクに対する再生速度を高速化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図を用いて説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【実施例1】
【0015】
図1は本発明によるディスク記録再生装置のブロック図であり、1はディスク、2はモータ、3はサーボ回路、4はピックアップ、5a、5b、5c、5dはRFアンプ、6a、6b、6c、6dはイコライザ回路、7a、7b、7c、7dはA/D変換器、8はバッファメモリ、9は再生系信号処理回路、10は記録系信号処理回路、11は信号処理回路、12は光ディスク記録再生装置、13はドライブ制御装置、14はレーザ駆動回路、15a、15b、15c、15dはレーザビームである。
【0016】
まず、光ディスク記録再生装置12の基本的な動作について説明する。通常はピックアップ4から照射されるレーザビームは15aの1ビームだけであり、たとえばBlu−Ray方式の1回書きディスクであるBD−Rディスク1が挿入されるとモータ2、サーボ回路3によってディスク1を回転させ、ピックアップ4から照射されるレーザビーム15a、RFアンプ5a、イコライザ回路6a、信号処理回路11中のA/D変換器7a、再生系信号処理回路9によってディスク1上に記録されたコントロール信号などの情報を読み取り、ディスク媒体判別が行われる。ここで挿入されたディスク1がBD−Rと判別されると光ディスク記録再生装置12は動作待ち状態となり、その後はたとえばホストコンピュータで構成されるドライブ制御装置13の指令に基づきデータの記録または再生状態に制御される。
【0017】
記録時には、サーボ回路3はディスク1を所定のスピードで回転させるとともにレーザビーム15aのフォーカスおよびトラッキング制御を行う。次に信号処理回路11中の記録系信号処理回路10から出力される直列ディジタルデータがレーザ駆動回路14に送出され、レーザ駆動回路14は記録データ信号のパワー値を所定の値に変換して情報データを順次ディスク1のトラック上に記録していく。
【0018】
同様に再生時もサーボ回路3はディスク1を所定のスピードで回転させるとともに、レーザビーム15aのフォーカス制御およびトラッキング制御を行い、記録されている情報データを順次再生していく。
【0019】
たとえばCAV(Constant Angular Velocity)方式で外周6倍速を実現するには、サーボ回路3によってモータ2の回転数を毎分4860回転に制御し、ピックアップ4から出力されるレーザビーム15aの反射光を検出して、内周から外周に向かってらせん状に形成される1本の記録トラックを走査して直列再生信号をRFアンプ5aから得る。外周部分で再生速度が最も速い6倍速になり、そのときの信号周波数は前述したように2Tの繰り返し信号で99MHzの高周波信号となる。また、内周部はモータ2の回転数が毎分4860回転であるので2.5倍速になる。
【0020】
CAV方式では内周時の回転数によって最大倍速数が決定し、モータ2の回転数を毎分10000回転以下(9720回転)と決めると、内周で5倍速、外周で12倍速が最大倍速となる。
【0021】
RFアンプ5aからの出力信号はイコライザ回路6aに送られ、イコライザ回路6aによって波形等化を行った後、信号処理回路11に送られる。
【0022】
信号処理回路11では、まず入力したアナログ信号をA/D変換器7aによってディジタル信号に変換し、再生された信号から伝送クロックを検出するPLL回路、伝送系をパーシャルレスポンスに適合させるパーシャルレスポンス再生回路などによってデータ再生が行われた後に、再生されたデータは一旦バッファメモリ8に格納される。再生系信号処理回路9では、バッファメモリ8に格納されているデータを順次読み出し、同期信号検出回路、復調回路、誤り検出訂正回路などの回路動作(図示せず)によってディスク1に記録されている情報データを再生する。
【0023】
ここで光ディスク記録再生装置12では、RFアンプ5aは可動部であるピックアップ4上に設けられ、イコライザ回路6a以降はメイン基板に実装される。このときピックアップ4からメイン基板へはRF信号の他にサーボ信号なども伝送する必要があるため伝送信号数が多く、また可動部と固定部との信号伝送になることから、ピックアップ4とメイン基板はフレキシブルシート上に印刷された導体配線で接続されることが多い。
【0024】
しかしこのフレキシブルシートによる配線では上記のような可動部と固定部の接続に適しているものの、配線間隔が狭くなると線間容量が増し、伝送線のインピーダンスと低周波領域で共振して伝送帯域が狭くなる虞がある。フレキシブルシートの設計(線長、線幅、線間隔)にもよるが伝送帯域はおよそ150MHz程度である。これは前述したBlu−Ray方式の6倍速における周波数スペクトル分布帯域に相当し、従来の装置構成では8倍速以上の転送レート実現が難しいことになる。以上述べてきたようにモータ2の回転数、および伝送回路の周波数特性から考えると、安定して実現できる再生倍速は6倍速ということになる。
【0025】
以上述べてきた1ビーム方式に対し、本発明では図1に示すように再生時に4個のマルチビーム15a、15b、15c、15dを生成する。そして、マルチビーム15a、15b、15c、15dを、ディスク半径方向に、光ディスク1の1回転あたりの移動距離がトラックピッチよりも長くなるように移動させ、隣接するトラックを同時に再生する。すなわち、ディスクが1回転する間に、マルチビームがトラックを横切るように制御して、ディスク1回転で複数のトラックの情報を再生する。これにより、通常再生方法に比べ2倍の再生高速化を実現する。
【0026】
まず、従来のマルチビームによる高速再生化について説明する。図2は2本のレーザビーム15a、15bと、らせん形状トラックの位置関係を模式化して示したものである。
【0027】
図1に示したドライブ制御装置13がたとえば12倍速再生モードを指令すると通常1ビームであったレーザビームに対して2つのレーザビーム15a、15bをピックアップ4から発生させ、それぞれを隣接する2トラックにオントラックするようにトラックピッチ(以下Tpと記す)分だけオフセットを与える。ここで記録トラックは実際には、らせん形状の1本のトラックが内周から外周に向かって形成されているが、説明の便宜上、隣り合うトラックという表現としており、図中Bに示したトラック2(以下TR2と記す)の最終部分とTR3の最初の部分は実際にはつながっているものとする。
【0028】
最初レーザビーム15aはTR2に、レーザビーム15bはTR1にオントラックさせ、1回転分のデータを再生する(レーザビーム15aはAからBに移動する)。次に1トラック分、トラックジャンプを行い、レーザビーム15aはTR4の先頭部分であるB‘に、レーザビーム15bはTR3の先頭部にオントラックさせる。これを順次繰り返すことにより、2本ずつのトラックを読み取る。
【0029】
一方でモータ2の回転は前述したCAV方式6倍速に対応した回転数毎分4860回転とし、トラッキングはディスク1回転につき、2倍のTp進むようにトラックジャンプ制御される。
【0030】
図3にデータ再生タイミングチャートを示す。1ビーム方式に対して2ビーム方式では、モータの回転数を1/2にするため再生信号周波数帯域を1/2に低減でき、その状態で12倍速相当の再生倍速が得られる。しかし、前述したようにトラックジャンプ方式は機構系の信頼性を下げる虞がある。
【0031】
そこで、本発明では、図1に示したように4本のレーザビーム15a〜15dを使用し、その配置をディスク半径方向に0.5×Tpずつオフセットさせる構成とした。
【0032】
図4にレーザビーム配置の一例を示す。4本のレーザビーム15a〜15dは、それぞれディスク半径方向に0.5×Tpずつオフセットしてインライン状に形成されている。たとえば、レーザビーム15aはTR3に、レーザビーム15bはTR3とTR2の中間に、レーザビーム15cはTR2に、15dはTR2とTR1の中間にそれぞれ位置するものとする。
【0033】
このような4本のレーザビームを生成する方法としては、1個のレーザダイオードから出射したビームを、グレーティングを用いて4ビーム化する方法、あるいは4個のレーザダイオードを独立して使用する方法を用いることができる。本発明では、3本以上のレーザビームを生成することができれば、生成方法は特に限定されない。情報データをマルチビームで記録する動作を行うためには2個以上のレーザダイオードが必要になるが、本発明のような再生装置においては、グレーティングを使用して多ビーム化する構成が好ましく、これによりコストが低くなるという効果が得られる。
【0034】
図5にデータ再生時の各レーザビーム15a〜15dの走査軌跡および再生信号順序を示す。図においては、レーザビーム15b、15cはトラックの長手方向に対して離れて示されているが、これは表現上の都合によるもので実際には図4に示したように近接してインライン状に生成されている。またBlu−Ray方式の場合、レーザビーム15a〜15dのビームスポット径は0.476μm、トラックピッチTpは0.32μmであり、トラックピッチに対しスポット径は約1.5倍となっている。
【0035】
図中A位置から再生がスタートし、TR3にオントラックしていたレーザビーム15aは回転が進行するにつれてオフトラックし、回転開始から180°(1/2回転)、ディスクの回転が進行すると、TR4とTR3の中間に位置するようになる。この時レーザビーム15aでは、TR4とTR3の記録信号が同一レベルで再生されることになり、お互いのクロストークによって正しいデータ再生が行えない(図中TR表示のない部分)。次に走査が進むと徐々にTR4にオントラックし、回転開始から360°(1回転)位置で完全にTR4(TR5の先頭)にオントラックする。
【0036】
このようにディスク1が1回転するとレーザビーム15a〜15dは内周側から外周側方向に2トラック分進み、図中Bの位置に示したようにレーザビーム15aはTR4、レーザビーム15bはTR4、3の中間、レーザビーム15cはTR3、15dはTR3とTR2の中間のそれぞれトラック最終部に位置する。さらに1回転するとレーザビーム15aはTR6、レーザビーム15bはTR6、5の中間、レーザビーム15cはTR5、15dはTR5とTR4の中間のそれぞれトラック最終部に位置する。
【0037】
以上のようにレーザビーム15b、15dは、レーザビーム15a、15cがオフトラックして再生できない領域を確実にトレースし、データ再生漏れをなくす動作を行う。
【0038】
レーザビーム15a〜15dの反射光はそれぞれに接続されているRFアンプ5a〜5dによって電圧変換され、図5に示したように各トラックの記録信号を部分的に分割再生する。この方法によってトラック上に記録された4トラック分の情報データをディスク1の2回転で再生することができる。
【0039】
図1中、レーザビームのフォーカスおよびトラッキング用にRFアンプ5a、5dの信号をサーボ回路3に入力しているが、これは他のRFアンプの組み合わせまたは単独のRFアンプの出力信号を使用してもかまわない。
【0040】
図1において、RFアンプ5a〜5dのそれぞれの出力信号はイコライザ回路6a〜6dによって符号間干渉を取り除き、A/D変換器7a〜7dによってディジタル信号に変換される。
【0041】
図5に示したようにRFアンプ5a〜5dの出力信号は必ずしも時系列とはならないため、バッファメモリ8ではA/D変換器7a〜7dの出力ディジタルデータを順次並列に記憶して行き、読み出し時にはデータのデータIDコードなどからデータアドレス番号を検出してこの信号を基に直列データ列に並び替える。
【0042】
データ順序決定後は信号処理回路11は12倍速動作を行う。つまり、バッファメモリ8の読み出し以降、同期信号検出回路、復調回路、誤り検出訂正回路などは12倍速モード(基本伝送クロック周波数792MHz)で動作させる。この構成により、レーザビーム15a〜15d、RFアンプ5a〜5d、イコライザ回路6a〜6d、A/D変換器7a〜7dのアナログ信号動作領域は6倍速相当の伝送帯域でよく、従来使用しているフレキシブルシートによる信号伝送を使用しても12倍速のデータ再生が可能となる。また、信号処理回路11の動作クロック周波数についても処理の一部を並列化して低減することは可能である。
【0043】
本実施形態により、トラックジャンプを使用せずにリニア動作で再生速度の高速化が実現でき、ディスク1の回転数も1ビーム方式に対し、1/2でよいので再生装置の省電力が図れるという効果がある。
【0044】
図14に本発明に使用するサーボ信号の一実施形態を示す。
【0045】
サーボ回路3は図14に示した偏芯用ドライブ信号と2xTp用ドライブ信号をピックアップ4のレンズアクチュエータ部20に、ピックアップドライブ信号をピックアップ移動機構部21にそれぞれ伝送する。ピックアップ4はピックアップ移動機構部21上に設けられ、図14に示したようなピックアップドライブ信号によってステップ状に移動する。
【0046】
図15は本発明におけるサーボ回路の一実施形態を示すブロック図である。
【0047】
図15において、図1に示した部品と同一部品には同一番号で示し、17はディスク偏芯検出回路、18は2xTpトラッキング制御回路、19はディスク回転制御回路、20はレンズアクチュエータ部、21はピックアップ移動機構部、22はFG出力回路、である。
【0048】
ディスク1が光ディスク記録再生装置に挿入されると、サーボ回路3はトラッキングサーボをかけない状態でディスク1を回転し、信号処理回路11内のディスク偏芯検出回路17がRFアンプ5の出力信号をモニタして、この時レーザビームが横断するトラックの本数から当該ディスクに対する偏芯量を測定する。この場合、検出はFG出力回路22の出力である位相情報が含まれたFGパルス発生タイミングで実行され、この動作によってディスク1回転分の偏芯量が偏芯検出回路17のメモリに記憶される。
【0049】
2xTpトラッキング制御回路18は、ディスク1回転毎に2xTpずつリニアにレーザビーム15a〜15dを移動するための制御回路であり、ディスク回転制御回路19は通常のディスク回転数を制御するためのものである。
【0050】
まず、ピックアップ4のレンズアクチュエータ部20は伝送された偏芯用ドライブ信号と2xTp用ドライブ信号との2信号で制御され、レンズアクチュエータの動作によりレーザビーム15a〜15dの位置をディスク偏芯に追随させながら、ディスク1回転につき2倍のトラックピッチ分リニアに移動させていく。
【0051】
次にレンズアクチュエータ部20の移動距離がある規定量に近づいた場合に、レーザビーム15a〜15dのうち一つのレーザビーム(たとえば15a)に瞬時にトラッキングサーボをかけ、その直後にピックアップドライブ信号をピックアップ移動機構部21に伝送してピックアップ4をステップ状に移動させる。この時、2xTp用ドライブ信号は瞬間的に逆極性に振れるが、レーザビーム15aはレンズアクチュエータ部20にトラッキングサーボがかかっているため、オフトラッキングすること無く現在オントラックしているトラックの情報データを読み続けることが可能となる。
【0052】
ピックアップ4が移動した後は、レーザビーム15aのトラッキング制御を解除し、レーザビーム15a〜15dの位置をディスク偏芯に追随させながら、ディスク1回転につき2倍のトラックピッチ分リニアに移動させていく最初の制御状態に復帰させる。
【0053】
本発明の場合、正確なデータ再生を行うためにディスク偏芯検出回路17の精度を上げる必要があり、たとえばモータ2に設けられているFGの波数をできる限り増すことが望ましい。また、2xTpトラッキングが規定どおり行われないと、未再生データ部が発生することになるが、4つのビームから再生されバッファメモリ8に記憶された情報データのアドレスを参照すれば、未再生部のブロックアドレスは特定できるため、リードリトライなどの動作により簡単に修復可能である。
【0054】
以上、図1に示した4系統のRFアンプ5a〜5d、イコライザ回路6a〜6d、A/D変換器7a〜7dを使用した実施形態の動作について説明したが、RFアンプ5a〜5dの切換タイミングを選択設定することにより、イコライザ回路6a〜6d、A/D変換器7a〜7dの回路規模を1/2に低減できる。
【0055】
図6は、回路規模を低減した本発明における実施形態を示すブロック図である。図6において図1と同一部品は同一番号で示し、16a、16bはアンプ切換回路である。また、イコライザ回路6a、6b、A/D変換器7a、7bはそれぞれ2個としている。
【0056】
図5に示したようにRFアンプ5a、5b、およびRFアンプ5c、5dは同一タイミングで所望するトラックに記録されている情報データを再生することは無い。したがって、たとえばRFアンプ5aと5bとを、RFアンプ5cと5dとを図中に示した切換信号でスイッチングして選択的に伝送し、以降の回路であるイコライザ回路、A/D変換器は2系統備えておけばよい。
【0057】
図6ではRFアンプ5aと5bの出力信号をアンプ切換回路16aで、RFアンプ5c、5dの出力信号をアンプ切換回路16bで切り換えるようにしている。アンプ切換タイミングは現在再生中のデータブロックの終了時点とするが、切り換え直後の再生信号はデータブロック先頭とはならないため当該データブロックはエラーとなるが、先頭を検出できないデータブロック数は切換毎に1データブロックずつであるから信号処理回路11中の誤り訂正回路の動作によって問題ないレベルに修復できる。
【0058】
本実施形態により、図1に示した回路構成に対して、回路規模、消費電力を低減できるという効果がある。
【実施例2】
【0059】
図7に本発明による第2の実施形態ブロック図を示す。
【0060】
図7は図1と同一部品で構成され、レーザビームが3個になった例を示している。
【0061】
レーザビームの3ビーム化により、RFアンプ5a〜5c、イコライザ回路6a〜6c、A/D変換器7a〜7cがそれぞれ3系統となっている。各回路ブロックの動作は図1、図6に示した実施形態と同一である。
【0062】
図8にレーザビーム配置の一例を示す。3本のレーザビーム15a〜15cは、それぞれディスク半径方向に0.5×Tpずつオフセットしてインライン状に形成されている。たとえば、レーザビーム15aはTR3に、レーザビーム15bはTR3とTR2の中間に、レーザビーム15cはTR2にそれぞれ位置しているものとする。また、レーザビーム15a〜15cの半径方向への送り速度はディスク1の1回転あたり1.5×Tpとする。
【0063】
図9にデータ再生時の各レーザビーム15a〜15cの走査軌跡および再生信号順序を示す。図9においては、レーザビーム15b、15cはトラックの長手方向に対して離れて示されているが、これも表現上の都合によるもので実際には図8に示したように近接してインライン状に生成される。
【0064】
図中A位置から再生がスタートし、TR3にオントラックしていたレーザビーム15aは回転が進行するにつれてオフトラックし、ディスクが1回転したところでTR4とTR3の中間に位置するようになる。この時レーザビーム15aでは、TR4とTR3の記録信号が同一レベルで再生されることになり、お互いのクロストークによって正しいデータ再生が行えない(図中TR表示のない部分)。次に走査が進むと徐々にTR5にオントラックし、回転開始から2回転終了した位置で完全にTR5(TR6の先頭)にオントラックする。この動作を順次繰り返すことにより、図9に示した再生信号順を得る。
【0065】
レーザビーム15a〜15cの反射光はそれぞれに接続されているRFアンプ5a〜5cによって電圧変換され、図9に示したように各トラックの記録信号を部分的に分割再生する。この方法によってトラック上に記録された4トラック分の情報データをディスク1の3回転で再生することができる。
【0066】
この構成により、実現できる転送速度倍数は前述した4ビーム構成の2倍に対し、1.5倍(たとえば9倍速相当)と小さくなるが、各レーザビームが再生ターゲットとするトラックにオントラックしている時間が長くなるため、結果的に前述した隣接トラックのクロストークによるデータ再生不能領域を低減でき、再生データの信頼性を向上できる。また、RFアンプ5a〜5c、イコライザ回路6a〜6c、A/D変換器7a〜7cがそれぞれ3系統でよいため、回路規模、消費電力を低減できるという効果もある。
【実施例3】
【0067】
図10にレーザビーム配置の一例を示す。
【0068】
図9で説明した実施形態においてはそれぞれのレーザビーム15a〜15cが再生できるトラックデータは一部重複しているが、本実施形態はこれを解消し、再生速度をさらに高速化するものである。
【0069】
図10に示した実施形態では、3本のレーザビーム15a〜15cが、それぞれディスク半径方向に0.58×Tpずつオフセットしてインライン状に形成されている点と、レーザビーム15a〜15cの半径方向への送り速度をディスク1の1回転あたり1.75×Tpとし図9に示した実施形態に対して速くしている点が異なっている。レーザビームの配置は、各レーザビームがディスク1を均等に走査するように1.75×Tpを3分割した0.58×Tpとしている。
【0070】
図11に本発明による第3の実施形態を示すデータ再生時の各レーザビーム15a〜15cの走査軌跡および再生信号順序を示す。図中A位置から再生がスタートし、TR3にオントラックしていたレーザビーム15aは回転が進行するにつれてオフトラックし、ディスクが240°分回転したところでTR4とTR3の中間に位置するようになる。この時レーザビーム15aでは、TR4とTR3の記録信号が同一レベルで再生されることになり、お互いのクロストークによって正しいデータ再生が行えない(図中TR表示のない部分)。
【0071】
次に走査が進むと徐々にTR4、TR5にオントラックし、回転開始からおよそ450°回転した位置で完全にTR5にオントラックする。この動作を順次繰り返すことにより、図11に示した再生信号順を得る。この方法によってトラック上に記録された6トラック分の情報データをディスク1の4回転で再生することができる。
【0072】
この構成により、3ビーム方式ではもっとも速い1.75倍の転送速度、たとえば10.5倍速の再生高速化を実現することができる。
【0073】
図12に4本レーザビームの他の配置例を示す。
【0074】
図4に示した配置例は外周方向から順に4本のレーザビーム15a〜15dを配置したが、これは図12に示したように内周方向から順に15a〜15dを配置してもかまわない。この時、データ再生順序は図4とは異なったものとなる。
【0075】
図13に3本レーザビームの他の配置例を示す。
【0076】
図8に示した配置例は外周方向から順に3本のレーザビーム15a〜15cを配置したが、これは図13に示したように内周方向から順に15a〜15cを配置してもかまわない。この時、データ再生順序は図8とは異なったものとなる。
【0077】
以上本発明の詳細をBlu−ray ディスク装置を例として説明してきたが記録媒体はこれに限らず、HD−DVD装置、DVD装置、CD装置に対しても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明によるディスク記録再生装置のブロック図。
【図2】レーザビームと、らせん形状トラックの位置関係の模式図。
【図3】データ再生タイミングチャート図。
【図4】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図5】データ再生時の各レーザビームの走査軌跡および再生信号順序を示す図。
【図6】本発明における実施形態を示すブロック図。
【図7】本発明による第2の実施形態を示すブロック図。
【図8】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図9】データ再生時の各レーザビームの走査軌跡および再生信号順序を示す図。
【図10】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図11】本発明による第3の実施形態によるデータ再生時の各レーザビームの走査軌跡および再生信号順序を示す図。
【図12】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図13】レーザビーム配置の一例を示す図。
【図14】図14に本発明に使用するサーボ信号の一実施形態を示す図。
【図15】本発明におけるサーボ回路の一実施形態を示すブロック図。
【符号の説明】
【0079】
1‥ディスク、2‥モータ、3‥サーボ回路、4‥ピックアップ、5a〜5d‥RFアンプ、6a〜6d‥イコライザ回路、7a〜7d‥A/D変換器、8‥バッファメモリ、9‥再生系信号処理回路、10‥記録系信号処理回路、11‥信号処理回路、12‥光ディスク記録再生装置、13‥ドライブ制御装置、14‥レーザ駆動回路、15a〜15d‥レーザビーム、16a、16b‥アンプ切換回路、17‥ディスク偏芯検出回路、18‥2xTpトラッキング制御回路、19‥ディスク回転制御回路、20‥レンズアクチュエータ部、21‥ピックアップ移動機構部、22‥FG出力回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスクの再生方法であって、
N個(Nは3以上の整数)のレーザビームを、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向には所定間隔だけ離間させて照射し、
前記N個のレーザビームを、ディスク半径方向に、前記光ディスクの1回転あたりの移動距離がTpよりも長くなるように移動させて、前記N個のそれぞれのレーザビームで前記データを再生する光ディスク再生方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク再生方法において、
それぞれの前記レーザビームによって再生されたデータをメモリに並列に記憶させ、
前記メモリに記憶されたデータを、順次直列に読み出してデータを再生することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスク再生方法において、
前記N個の前記レーザビームのディスク半径方向の間隔が、略0.5×Tpであり、
前記N個のレーザビームを、ディスク1回転につき略N/2×Tpの移動距離になるように移動させることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光ディスク再生方法において、
前記レーザビームの個数N=4であり、
前記レーザビームをディスク半径方向へディスク1回転につき略2×Tpの移動距離になるように移動させることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光ディスク再生方法において、
前記レーザビームの個数N=3であり、
前記レーザビームをディスク半径方向へディスク1回転につき略1.5×Tpの移動距離となるように移動させることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項6】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスクの再生方法であって、
3個のレーザビームを前記光ディスクの半径方向には略0.58×Tp間隔でインライン状に並べて同時に発光させ、
前記3個のレーザビームをディスク半径方向へディスク1回転につき略1.75×Tpの移動距離で移動させ、
それぞれの前記レーザビームによって再生されたデータをメモリに並列に記憶させ、
前記メモリに記憶されたデータを順次直列に読み出す光ディスク再生方法。
【請求項7】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置であって、
N個(Nは3以上の整数)のレーザビームを生成して、前記光ディスクに、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向には所定間隔だけ離間させて照射するためのマルチビーム生成手段と、
前記N個のレーザビームをディスク半径方向へ移動させる移動手段と、
前記N個のレーザビームがディスク半径方向に、ディスク1回転につきN/2×Tpの送り速度で移動するように前記移動手段を制御するサーボ回路と、
前記光ディスクで反射されるそれぞれの前記レーザビームの反射光の強度を電圧に変換するN個のアンプと、
前記アンプの出力信号の符号間干渉を補正する少なくとも2個の波形等化回路と、
前記波形等化回路の出力信号をディジタル信号化する少なくとも2個のA/D変換器と、
前記A/D変換器から出力されるそれぞれのデータを並列に記憶させるメモリと、
前記メモリに記憶されたデータを順次直列に読み出してデータを再生する再生信号処理回路とを備える光ディスク再生装置。
【請求項8】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記レーザビーム数N=4であり、
前記サーボ回路は、4個のレーザビームがディスク半径方向へディスク1回転につき略2×Tpの移動距離で移動するように前記移動手段を制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項9】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
4個の前記アンプをそれぞれ第1アンプ、第2アンプ、第3アンプ及び第4アンプとしたときに、更に、前記第1アンプ及び前記第2アンプからの出力信号を切り換えるための第1アンプ切換回路と、前記第3アンプ及び前記第4アンプからの出力信号を切り換えるための第2アンプ切換回路とを備え、
前記少なくとも2個の波形等化回路は、第1波形等化回路と第2波形等化回路とから構成され、
前記少なくとも2個のA/D変換器は、第1A/D変換器と第2A/D変換器とから構成され、
前記第1アンプ切換回路の出力信号が、前記第1波形等化回路と前記第1A/D変換器とを介して前記メモリに伝送され、
前記第2アンプ切換回路の出力信号が、前記第2波形等化回路と前記第2A/D変換器とを介して前記メモリに伝送されることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項10】
請求項7又は8記載の光ディスク再生装置において、
前記波形等化回路及びA/D変換器の個数がN個である光ディスク再生装置。
【請求項11】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記レーザビーム数N=3であり、
前記サーボ回路は、前記レーザビームがディスク半径方向へディスク1回転につき略1.5×Tpの移動量となるようにように、前記移動手段を制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項12】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記マルチビーム生成手段と前記移動手段とを搭載する光ピックアップをディスク半径方向に移動させるためのピックアップ移動機構を有し、
前記サーボ回路は、前記光ディスクの偏芯を補正するための補正信号と、前記レーザビームをディスク半径方向に移動させるための制御信号とを前記アクチュエータ部に伝送して前記アクチュエータ部を動作させ、前記レンズアクチュエータ部の移動量が規定値を超える前に前記N個のレーザビームのうち少なくとも1つのレーザビームにトラッキング制御をかけ、前記少なくとも1つのレーザビームが前記トラックにオントラックした後に、前記ピックアップを移動させるための駆動信号を前記ピックアップ移動機構に伝送して動作させることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項13】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置であって、
3個のレーザビームを生成して、前記光ディスクに、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向に略0.58×Tpの間隔で離間させて照射するためのマルチビーム生成手段と、
前記3個のレーザビームをディスク半径方向へ移動させる移動手段と、
前記3個のレーザビームがディスク半径方向に、ディスク1回転につき略1.75×Tpの移動量になるように前記移動手段を制御するサーボ回路と、
前記光ディスクで反射されるそれぞれの前記レーザビームの反射光の強度を電圧に変換する3個のアンプと、
前記アンプの出力信号の符号間干渉を補正する3個の波形等化回路と、
前記波形等化回路の出力信号をディジタル信号化する3個のA/D変換器と、
前記A/D変換器から出力されるそれぞれのデータを並列に記憶させるメモリと、
前記メモリに記憶されたデータを順次直列に読み出してデータを再生する再生信号処理回路とを備える光ディスク再生装置。
【請求項1】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスクの再生方法であって、
N個(Nは3以上の整数)のレーザビームを、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向には所定間隔だけ離間させて照射し、
前記N個のレーザビームを、ディスク半径方向に、前記光ディスクの1回転あたりの移動距離がTpよりも長くなるように移動させて、前記N個のそれぞれのレーザビームで前記データを再生する光ディスク再生方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光ディスク再生方法において、
それぞれの前記レーザビームによって再生されたデータをメモリに並列に記憶させ、
前記メモリに記憶されたデータを、順次直列に読み出してデータを再生することを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の光ディスク再生方法において、
前記N個の前記レーザビームのディスク半径方向の間隔が、略0.5×Tpであり、
前記N個のレーザビームを、ディスク1回転につき略N/2×Tpの移動距離になるように移動させることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光ディスク再生方法において、
前記レーザビームの個数N=4であり、
前記レーザビームをディスク半径方向へディスク1回転につき略2×Tpの移動距離になるように移動させることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載の光ディスク再生方法において、
前記レーザビームの個数N=3であり、
前記レーザビームをディスク半径方向へディスク1回転につき略1.5×Tpの移動距離となるように移動させることを特徴とする光ディスク再生方法。
【請求項6】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスクの再生方法であって、
3個のレーザビームを前記光ディスクの半径方向には略0.58×Tp間隔でインライン状に並べて同時に発光させ、
前記3個のレーザビームをディスク半径方向へディスク1回転につき略1.75×Tpの移動距離で移動させ、
それぞれの前記レーザビームによって再生されたデータをメモリに並列に記憶させ、
前記メモリに記憶されたデータを順次直列に読み出す光ディスク再生方法。
【請求項7】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置であって、
N個(Nは3以上の整数)のレーザビームを生成して、前記光ディスクに、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向には所定間隔だけ離間させて照射するためのマルチビーム生成手段と、
前記N個のレーザビームをディスク半径方向へ移動させる移動手段と、
前記N個のレーザビームがディスク半径方向に、ディスク1回転につきN/2×Tpの送り速度で移動するように前記移動手段を制御するサーボ回路と、
前記光ディスクで反射されるそれぞれの前記レーザビームの反射光の強度を電圧に変換するN個のアンプと、
前記アンプの出力信号の符号間干渉を補正する少なくとも2個の波形等化回路と、
前記波形等化回路の出力信号をディジタル信号化する少なくとも2個のA/D変換器と、
前記A/D変換器から出力されるそれぞれのデータを並列に記憶させるメモリと、
前記メモリに記憶されたデータを順次直列に読み出してデータを再生する再生信号処理回路とを備える光ディスク再生装置。
【請求項8】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記レーザビーム数N=4であり、
前記サーボ回路は、4個のレーザビームがディスク半径方向へディスク1回転につき略2×Tpの移動距離で移動するように前記移動手段を制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項9】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
4個の前記アンプをそれぞれ第1アンプ、第2アンプ、第3アンプ及び第4アンプとしたときに、更に、前記第1アンプ及び前記第2アンプからの出力信号を切り換えるための第1アンプ切換回路と、前記第3アンプ及び前記第4アンプからの出力信号を切り換えるための第2アンプ切換回路とを備え、
前記少なくとも2個の波形等化回路は、第1波形等化回路と第2波形等化回路とから構成され、
前記少なくとも2個のA/D変換器は、第1A/D変換器と第2A/D変換器とから構成され、
前記第1アンプ切換回路の出力信号が、前記第1波形等化回路と前記第1A/D変換器とを介して前記メモリに伝送され、
前記第2アンプ切換回路の出力信号が、前記第2波形等化回路と前記第2A/D変換器とを介して前記メモリに伝送されることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項10】
請求項7又は8記載の光ディスク再生装置において、
前記波形等化回路及びA/D変換器の個数がN個である光ディスク再生装置。
【請求項11】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記レーザビーム数N=3であり、
前記サーボ回路は、前記レーザビームがディスク半径方向へディスク1回転につき略1.5×Tpの移動量となるようにように、前記移動手段を制御することを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項12】
請求項7記載の光ディスク再生装置において、
前記マルチビーム生成手段と前記移動手段とを搭載する光ピックアップをディスク半径方向に移動させるためのピックアップ移動機構を有し、
前記サーボ回路は、前記光ディスクの偏芯を補正するための補正信号と、前記レーザビームをディスク半径方向に移動させるための制御信号とを前記アクチュエータ部に伝送して前記アクチュエータ部を動作させ、前記レンズアクチュエータ部の移動量が規定値を超える前に前記N個のレーザビームのうち少なくとも1つのレーザビームにトラッキング制御をかけ、前記少なくとも1つのレーザビームが前記トラックにオントラックした後に、前記ピックアップを移動させるための駆動信号を前記ピックアップ移動機構に伝送して動作させることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項13】
トラックピッチTpで、らせん状にトラックが形成された光ディスクに記録されているデータを再生する光ディスク再生装置であって、
3個のレーザビームを生成して、前記光ディスクに、インライン状に並べ、かつ、前記光ディスクの半径方向に略0.58×Tpの間隔で離間させて照射するためのマルチビーム生成手段と、
前記3個のレーザビームをディスク半径方向へ移動させる移動手段と、
前記3個のレーザビームがディスク半径方向に、ディスク1回転につき略1.75×Tpの移動量になるように前記移動手段を制御するサーボ回路と、
前記光ディスクで反射されるそれぞれの前記レーザビームの反射光の強度を電圧に変換する3個のアンプと、
前記アンプの出力信号の符号間干渉を補正する3個の波形等化回路と、
前記波形等化回路の出力信号をディジタル信号化する3個のA/D変換器と、
前記A/D変換器から出力されるそれぞれのデータを並列に記憶させるメモリと、
前記メモリに記憶されたデータを順次直列に読み出してデータを再生する再生信号処理回路とを備える光ディスク再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−204518(P2008−204518A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37293(P2007−37293)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
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