説明

光ディスク再生装置

【課題】光ピックアップを光ディスクの再生位置に配置したまま対物レンズと光ディスクとの接触を防止することができる光ディスク再生装置を提供する。
【解決手段】サーボ制御信号処理部が、対物レンズ4Aを光ディスク15と接離する方向に移動して、光ディスク15と対物レンズ4Aとの間を一定距離に保つフォーカス調整処理を行う。μCOMが、フォーカス調整処理の停止直前に光ピックアップ4が対物レンズ4Aと光ディスク15との接触の可能性が高い位置Bにあるとき、光ピックアップ4が対物レンズ4Aと光ディスク15との接触の可能性が低い位置Aに光ピックアップ4を移動させた後に、フォーカス調整処理を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述した光ディスク再生装置に使用される光学ピックアップの対物レンズは、電気制御によって光ディスクの再生中に該光ディスクとの距離が一定に保たれている。車載用などの光ディスク再生装置の場合、光ディスクを再生している状態から、例えばラジオ、TV等の他ソースに切り替えられると、光学ピックアップの対物レンズは通電しない状態となる。
【0003】
このような非通電状態では、上述した対物レンズと光ディスクとの間を一定距離に保つ制御がなされずに対物レンズは、機構的な設計によって定められた待機位置(以下、中立位置と称す)に保たれる。このため、対物レンズと光ディスク再生装置内にクランプされた光ディスクは、自動車の走行時などに生ずる振動などの外乱により、上下に動く状態となり、対物レンズ及び光ディスクの両者の相対位置が近くなり、ディスクとレンズが接触する、という問題があった。
【0004】
特に、最近のBlu−ray(BD)もしくは、BD/DVD/CDコンパチブルの再生装置においては、再生中の対物レンズと光ディスクとの距離(ワーキングディスタンス)が近い。このため、対物レンズの中立位置を光ディスクと接近させる設計となり、上記接触の危険性が増している。
【0005】
そこで、上述した問題を解決するために例えば他ソース切替や電源オフ時に光ピックアップを光ディスク外に移動させて振動などの外乱に起因する対物レンズと光ディスクとの接触を防止するものが提案されている。しかしながら、この場合、光ピックアップを光ディスク外まで移動させる駆動機構が必要となり、装置自体が大型化してしまう。また、他ソース切替や電源オフ時に光ピックアップと光ディスクとの距離を離して振動などの外乱に起因する対物レンズと光ディスクとの接触を防止するものが提案されている(例えば特許文献1、2)。この場合も、光ピックアップと光ディスクとの距離を離す機構が必要となり、装置自体が大型化してしまう、という問題があった。
【特許文献1】特開2004−158101号公報
【特許文献2】特開2004−158133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、例えば、光ピックアップを光ディスクの再生位置に配置したまま対物レンズと光ディスクとの接触を防止することができる光ディスク再生装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、光源及び前記光源からの光を光ディスクに焦点を合わせて照射するための対物レンズを設けて前記光ディスクの情報を再生する光ピックアップと、前記対物レンズを前記光ディスクに接離する方向に移動させる第1駆動手段と、前記光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させる第2駆動手段と、前記光ディスクからの反射光によって前記光ディスクと前記対物レンズとの間が一定距離になるように前記第1駆動手段を制御する第1駆動制御手段と、を備えた光ディスク再生装置において、前記第1駆動制御手段による制御が停止されるときに前記第2駆動手段を制御して前記光ピックアップを内周側に向けて移動させる第2駆動制御手段が、設けられていることを特徴とする光ディスク再生装置に存する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態に係る光ディスク再生装置を説明する。本発明の一実施の形態にかかる光ディスク再生装置は、光源及び光源からの光を光ディスクに焦点を合わせて照射するための対物レンズを設けて光ディスクの情報を再生する光ピックアップと、対物レンズを光ディスクに接離する方向に移動させる第1駆動手段と、光ピックアップを光ディスクの径方向に移動させる第2駆動手段と、光ディスクからの反射光によって光ディスクと対物レンズとの間が一定距離になるように第1駆動手段を制御する第1駆動制御手段と、を備えた光ディスク再生装置において、第1駆動制御手段による制御が停止されるときに第2駆動手段を制御して光ピックアップを内周側に向けて移動させる第2駆動制御手段が、設けられている。
【0009】
これにより、光ピックアップを光ディスクの外乱による面ブレが少なく、接触の可能性の低い内周側に向けて移動させることができるため、光ピックアップを光ディスクの再生位置に配置したまま光ディスクと対物レンズとの衝突を防ぐことができる。
【0010】
また、光ディスク再生装置は、光ピックアップによる情報の再生中に対物レンズの接離方向の位置を検出する第1位置検出手段と、第1位置検出手段により検出された対物レンズの接離方向の位置が、第1駆動制御手段の制御停止時における対物レンズの待機位置である中立位置よりも光ディスクから離れた側に設定された所定位置に対して光ディスク側であれば、当該接離方向の位置検出が行われたときの光ピックアップの径方向の位置を、接触の可能性が低い位置として、検出する第2位置検出手段と、を備え、そして、第2駆動制御手段が、第1駆動制御手段による制御が停止されるときに第2駆動手段を制御して第2位置検出手段が検出した接触の可能性が低い位置に光ピックアップを移動させるように設けられていてもよい。
【0011】
このように、情報の再生中に検出した対物レンズの接離方向に位置に基づいて接触の可能性が低い位置を検出し、検出した接触の可能性が低い位置に光ピックアップを移動させることにより、より確実に光ディスクと対物レンズとの衝突を防ぐことができる。
【0012】
また、光ディスク再生装置は、第2位置検出手段が、検出した接触の可能性が低い位置のうち最新の位置を検出するように設けられ、そして、第2駆動制御手段が、第1駆動制御手段による制御が停止されるときに第2駆動手段を制御して第2位置検出手段により検出された接触の可能性が低い位置のうち最新の位置に光ピックアップを移動させるように設けられていてもよい。
【0013】
このように、最新に検出した接触の可能性の低い位置に光ピックアップを移動させることにより、第1駆動制御手段による制御停止直前の光ピックアップの位置からの移動距離を少なくすることができ、制御再開時に迅速に制御停止直前の光ピックアップの位置に戻ることができる。
【0014】
また、光ディスク再生装置は、第2位置検出手段が、第1位置検出手段によって検出される毎に検出された対物レンズの接離方向の位置が所定位置に対して光ディスク側であるか否かを判断し、所定位置に対して光ディスク側であると判断される毎に当該接離方向の位置検出が行われたときの光ピックアップの径方向の位置に最新の接触の可能性が低い位置を更新するように設けられていてもよい。これにより、簡単に最新の接触の可能性が低い位置を検出することができる。
【0015】
また、光ディスク再生装置は、第2駆動制御手段が、第1駆動制御手段による制御が停止されるとき光ピックアップの位置が光ピックアップの再生位置上の予め定めた接触の可能性が低い位置よりも外周側にあれば第2駆動手段を制御して予め定めた接触の可能性が低い位置に移動させるように設定されていてもよい。このように予め定めた接触の可能性が低い位置に光ピックアップを移動することにより、簡単にかつ確実に光ディスクと対物レンズとの衝突を防ぐことができる。
【実施例】
【0016】
次に、上述した光ディスク再生装置の実施例を以下説明する。なお、図1は本発明の光ディスク再生装置の一実施の形態を示す概要構成図である。図2は、図1に示す光ディスク再生装置の電気構成図である。
【0017】
光ディスク再生装置1は、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、BD(Blu-ray Disc)等の光ディスクが再生可能な装置であり、図1に示すように、ディスクモータ2と、シャーシ3と、光ピックアップ4と、一対のガイドレール5A、5Bとを備えている。
【0018】
ディスクモータ2は、光ディスク再生装置1にセットされた光ディスク15を回転させるためのモータであり、スピンドルモータなどで構成されている。
【0019】
シャーシ3は、薄板状の金属から構成され、上記ディスクモータ2、光ピックアップ4、一対のガイドレール5A、5Bが搭載されている。
【0020】
光ピックアップ4は、光ディスク15に照射する光としてのレーザ光を発生させる図示しない光源としてのレーザダイオードや、レーザダイオードからのレーザ光を光ディスク15上に焦点を合わせて照射するための対物レンズ、フォーカスを合わせるために対物レンズを光ディスク15に接離する方向に移動させる第1駆動手段としてのフォーカシングアクチュエータ、トラッキングを合わせるために対物レンズを光ディスク15の径方向に移動させるトラッキングアクチュエータ、及び、光ディスク15から反射された反射光を受ける受光器とを備え、受光器の出力から光ディスク15に記録されている映像や音楽などを含む信号やフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号など各種制御信号を生成して出力する。
【0021】
一対のガイドレール5A、5Bは、光ディスク15の径方向に沿ってシャーシ3上に搭載されている。一対のガイドレール5A、5Bは、上記光ピックアップ4をガイドレール5A、5Bに沿って移動可能に支持している。そして、光ピックアップ4は、第2駆動手段としての図示しないキャリッジモータを駆動すると一対のガイドレール5A、5Bに案内されて光ディスク15の径方向に移動する。
【0022】
光ディスク再生装置1は、さらに図2に示すように、RFアンプ6と、サーボ信号処理部7と、ドライバ8と、音声/映像信号処理部9と、DAコンバータ10と、音声信号/映像信号出力端子11と、ローパスフィルタ(LPF)12と、アンプ13と、マイクロコンピュータ14(以下μCOM)と、を備えている。
【0023】
RFアンプ6は、光ピックアップ4から入力される信号を所定の値に増幅し、サーボ信号処理部7へ出力する。
【0024】
サーボ信号処理部7は、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Randam Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを内蔵している。また、サーボ信号処理部7は、RFアンプ6から入力されるフォーカスエラー信号を基に対物レンズを接離方向に移動させるためのフォーカスドライブ電圧を上記光ピックアップ4のフォーカシングアクチュエータに出力するフォーカス制御を行ったり、トラッキングエラー信号を基に対物レンズを径方向に移動させるためのトラッキングドライブ電圧を光ピックアップ4のトラッキングアクチュエータに出力するトラッキング制御を行ったり、光ピックアップ4を径方向に移動させるためのキャリッジドライブ電圧をキャリッジモータに出力するキャリッジ制御を行う。また、サーボ信号処理部7は、面ブレ量に応じた対物レンズの移動速度の設定などを行い、光ディスク15に記録された情報を正確に読めるようにする。さらに、光ディスク15に記録された映像や音楽などを含む信号をアナログ/デジタル変換して音声/映像信号処理部9へ出力する。
【0025】
ドライバ8は、サーボ信号処理部7から入力された信号を増幅し、ディスクモータ2および光ピックアップ4へ出力する。
【0026】
音声/映像信号処理部9は、サーボ信号処理部7から入力された信号を音声または映像信号に復調しエラー訂正などを行った後DAコンバータ10へ出力する。
【0027】
DAコンバータ10は、音声/映像信号処理部9から入力されたデジタル信号をアナログ信号に変換し音声出力端子11Aおよび映像出力端子11Bから出力する。
【0028】
LPF12は、サーボ信号処理部7から入力されたフォーカスドライブ電圧の高周波ノイズを除去してアンプ13に出力する。
【0029】
アンプ13は、LPF12から入力されたフォーカスドライブ電圧を増幅し、マイクロコンピュータ(以下、μCOMと称す)14に出力する。
【0030】
μCOM14は、CPUと、RAMと、ROMとを内蔵し、光ディスク15の挿入や排出、再生や停止などの各操作における光ディスク再生装置1全体の制御を行う。
【0031】
次に、上述した構成の光ディスク再生装置の動作を、図3〜図7を参照して説明する。電源オフ時や他ソースに切り替えられていて、後述するフォーカス調整処理が行われていない間、光ピックアップ4の対物レンズ4Aは、図3(A)に示すように、その接離方向の位置が予め定めた中立位置に保持される。次に、光ディスク再生装置1に対する光ディスク15の充填や、再生操作が行われると、μCOM14は、サーボ信号処理部7、音声/映像信号処理部9、DAコンバータ10を制御して光ディスク15の再生を行わせる。
【0032】
サーボ信号処理部7は、μCOM14からの制御に応じて再生処理を開始する。この再生処理においてサーボ信号処理部7は、図3(B)に示すように、第1駆動制御手段として働き、RFアンプ6から出力されたフォーカスエラー信号に基づいて光ピックアップ4からのレーザ光Bが光ディスク15上で合焦するように、対物レンズ4Aを光ディスク15に接離する方向に移動するフォーカスドライブ電圧をフォーカシングアクチュエータに出力してフォーカス調整処理を行う。
【0033】
このフォーカス調整処理により、光ディスク15と対物レンズ4Aとの間が一定距離になるように、対物レンズ4Aの接離方向の位置が制御される。よって、例えば図3(C)に示すように、面ブレにより光ディスク15が対物レンズ4Aに近づくと、対物レンズ4Aは光ディスク15から離れる方向に移動されて、振動などの外乱や光ディスク15の反りによる面ブレに追従する。
【0034】
一般的に光ディスク15は、図4に示すように、外周側に向かうほど振動などの外乱や反りによる面ブレの影響が大きく、内周側に向かうほど振動などの外乱や反りによる面ブレの影響が小さい。よって、図4に示すように、フォーカスドライブ電圧は、光ピックアップ4が外周側にあるほど振幅が大きくなり、光ピックアップ4が内周側にあるほど振幅が小さくなる。
【0035】
また、再生処理においてサーボ信号処理部7は、RFアンプ6から出力されたトラッキングエラー信号に基づいて光ピックアップ4からのレーザ光Bが光ディスク15のトラックを追従できるように、対物レンズを光ディスク15の径方向に移動するトラッキングドライブ電圧をトラッキングアクチュエータに出力し、さらに光ピックアップ4を光ディスク15の径方向に移動するキャリッジドライブ電圧をキャリッジモータに出力して、トラッキング調整処理を行う。
【0036】
そして、サーボ信号処理部7は、上記フォーカス、トラックが調整された光ピックアップ4を用いて光ディスク15から音声または映像信号を読み取る。読み取られた音声または映像信号は、音声/映像信号処理部9によって復調、エラー訂正などが行われ、DAコンバータ10によってアナログ信号に変換された後、音声または映像出力端子11から出力されて、音楽や映像が再生される。
【0037】
上述した再生処理に並行してμCOM14内のCPUは位置検出処理を行う。この位置検出処理を図5に基づいて参照して説明する。図5は、位置検出処理におけるμCOM14内のCPUの処理手順を示すフローチャートである。まず、μCOM14内のCPUは、上述したサーボ信号処理部7が行うフォーカス調整処理の開始と同時に位置検出処理を開始する。最初にμCOM14内のCPUは、サーボ信号処理部7から出力されるフォーカスドライブ信号を読み取る(ステップS1)。フォーカスドライブ電圧は、対物レンズ4Aの接離方向に位置に応じた値となる。フォーカスドライブ電圧が0のときは、対物レンズ4Aの接離方向の位置が中立位置となる。よって、ステップS1の動作においてμCOM14は、請求項中の第1位置検出手段として働き、対物レンズ4Aの接離方向の位置を検出することができる。
【0038】
次に、μCOM14内のCPUは、上述したフォーカスドライブ電圧が設定電圧を超えたか否かを判断する(ステップS2)。設定電圧は、例えば図3(C)に示すように中立位置まで面ブレした光ディスク15に追従した対物レンズ4Aの位置(=所定位置)に応じたフォーカスドライブ電圧に設定されている。μCOM14内のCPUは、フォーカスドライブ電圧が設定電圧以下と判断すると(ステップS2でN)、そのときの光ピックアップ4の接離方向の位置が所定位置に対して光ディスク15側であると判断する。即ち、μCOM14のCPUは、そのときの光ピックアップ4の再生位置が対物レンズ4Aと光ディスク15との接触の可能性が低い位置であると判断して、その再生位置における光ディスク15のアドレス情報にADR値を更新した後(ステップS3)、ステップS1に戻る。
【0039】
一方、μCOM14内のCPUは、フォーカスドライブ電圧が設定電圧を超えていると判断すると(ステップS2でY)、そのときの光ピックアップ4の接離方向の位置が所定位置に対して光ディスク15から離れた側にあると判断する。即ち、μCOM14内のCPUは、そのときの光ピックアップ4の再生位置が対物レンズ4Aと光ディスク15との接触の可能性が高い位置であると判断して、ADR値を更新することなく、ステップS1に戻る。このステップS2、3によりμCOM14は、請求項中の第2位置検出手段として働き、接触の可能性が低い位置を検出することができる。そして、ADR値には、常に最新の接触の可能性が低い位置のアドレスが格納される。
【0040】
その後、μCOM14は、ディスクソースの切替操作や電源オフ操作が行われると、サーボオフ制御処理を開始する。このサーボオフ制御処理を図6に基づいて説明する。図6は、サーボオフ制御処理におけるμCOM14内のCPUの処理手順を示すフローチャートである。最初にμCOM14は、サーボ信号処理部7を制御して、ADR値に格納されたアドレス情報に光ピックアップ4を移動させる(ステップS5)。その後、μCOM14内のCPUは、サーボ信号処理部7を制御してトラッキングドライブ電圧、フォーカスドライブ電圧の出力を停止して、フォーカス調整処理、トラッキング調整処理を終了してサーボ系をオフした後(ステップS6)、処理を終了する。
【0041】
上述したようにADR値に格納されたアドレスに光ピックアップ4を移動させることにより、図7に示すように、例えば面ブレが大きく中立位置に保たれた対物レンズ4Aと光ディスク15との接触の可能性が高い外周側の位置Bに光ピックアップ4があるときは、接触の可能性が低い位置のうち最新の位置Aに移動された後、フォーカス調整処理、トラッキング調整処理が終了されて、対物レンズ4Aは中立位置に保たれる。また、光ディスク15の再生は内周から外周に向かって行われるため、ADR値には光ピックアップ4の現在の再生位置か現在の再生位置よりも内周側のアドレスが記憶される。よって、フォーカス調整処理を停止させる直前に光ピックアップ4の径方向の位置を内周側に向けて移動させることができる。
【0042】
上述した光ディスク再生装置1によれば、光ピックアップ4が、レーザダイオード及びレーザダイオードからの光を光ディスク15に焦点を合わせて照射するための対物レンズ4Aを設けて光ディスク15の情報を再生し、光ピックアップ4内のフォーカシングアクチュエータが、対物レンズ4Aを光ディスク15に接離する方向に移動させ、光ピックアップ4内のトラッキングアクチュエータが、光ピックアップ4を光ディスク15の径方向に移動させ、サーボ信号処理部7が、光ディスク15からの反射光によって光ディスク15と対物レンズ4Aとの間が一定距離になるようにフォーカシングアクチュエータを制御する。そして、μCOM14が、サーボ信号処理部7によるフォーカス調整処理を停止させる直前にトラッキングアクチュエータを制御して光ピックアップ4の径方向の位置を内周側に向けて移動させた後、サーボ信号処理部7によるフォーカス調整処理を停止させる。
【0043】
これにより、光ピックアップ4を光ディスク15の外乱による面ブレが少なく、接触の可能性の低い内周側に向けて移動させることができるため、光ピックアップ4を光ディスク15の再生位置に配置したまま光ディスク15と対物レンズ4Aとの衝突を防ぐことができる。
【0044】
また、光ディスク再生装置1によれば、μCOM14が、光ピックアップ4による情報の再生中にフォーカスドライブ電圧に基づいて対物レンズ4Aの接離方向の位置を検出し、フォーカスドライブ電圧及び設定電圧との比較によって対物レンズの接離方向の位置が中立位置よりも光ディスク15から離れた側に設定された所定位置に対して光ディスク15側であるか否かを判断し、所定位置に対して光ディスク15側であれば当該接離方向の位置検出が行われたときの光ピックアップ4の再生位置を接触の可能性が低い位置として検出する。そして、μCOM14が、上記検出された接触の可能性が低い位置に光ピックアップ4を移動させるようにサーボ信号処理部7を介してトラッキングアクチュエータを制御した後、フォーカス調整処理を停止させている。
【0045】
このように、情報の再生中に検出した対物レンズ4Aの接離方向に位置に基づいて接触の可能性が低い位置を検出し、検出した接触の可能性が低い位置に光ピックアップ4を移動させることにより、より確実に光ディスク15と対物レンズ4Aとの衝突を防ぐことができる。
【0046】
また、光ディスク再生装置1によれば、μCOM14が、検出した接触の可能性が低い位置のうち最新の位置を検出し、光ピックアップ4による情報の再生中に検出された接触の可能性が低い位置のうち最新の位置に光ピックアップ4を移動させるようにサーボ制御信号処理部7を制御した後、フォーカシング調整処理を停止させている。
【0047】
このように、最新に検出した接触の可能性の低い位置に光ピックアップ4を移動させることにより、フォーカス調整処理の停止直前の光ピックアップ4の位置からの移動距離を少なくすることができ、再生再開時に迅速にフォーカス調整処理の停止直前の光ピックアップ4の位置に戻ることができる。
【0048】
また、光ディスク再生装置1によれば、μCOM14が、フォーカスドライブ電圧を読み取る毎に設定電圧と比較して対物レンズの接離方向の位置が所定位置に対して光ディスク側であるか否かを判断し、所定位置に対して光ディスク側であると判断される毎に当該フォーカスドライブ電圧の読み取りが行われたときの光ピックアップ4の再生位置におけるアドレスにADRを更新している。これにより、簡単に最新の接触の可能性が低い位置を検出することができる。
【0049】
なお、上述した実施形態によれば、所定位置は図3(C)に示すように中立位置まで面ブレした光ディスク15に追従した対物レンズ4Aの位置に設定していたが、本発明はこれに限ったものではない。より確実に光ディスク15と対物レンズ4Aとの接触を防止するために、所定位置をより中立位置の近くに設定しても良い。
【0050】
また、上述した実施形態によれば、再生中のフォーカスドライブ電圧から接触の可能性が低い位置を検出していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、光ピックアップ4の再生位置において接触の可能性の低い位置を確保できる設計を行えば、接触の可能性が低い位置を予め定めておいても良い。この場合、ソース切替時もしくは電源オフ時に、光ピックアップ4の再生位置が予め定めた接触の可能性が低い位置よりも外周側にあるときに光ピックアップ4を予め定めた接触の可能性が低い位置に移動させれば、内周側に移動させることができ、簡単にかつ確実に光ディスク15と対物レンズ4Aとの衝突を防ぐことができる。
【0051】
また、上述した実施形態によれば、検出した又は予め定めた接触の可能性が低い位置に光ピックアップ4を移動させていたが、本発明はこれに限ったものではない。確実に接触を防ぐには上述したように接触の可能性が低い位置に光ピックアップ4を移動させるのが最適であるが、単に再生位置よりも所定距離だけ内周側に移動させるようにしても接触の可能性を低減することができる。
【0052】
また、上述した実施形態によれば、検出した接触の可能性が低い位置のうち最新の位置に光ピックアップを移動させていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、接触の可能性が低い位置であれば、最新の位置でなくてもよい。
【0053】
また、上述した実施形態によれば、光ディスク15を内周側に向けて移動した後にフォーカス調整処理を終了していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、フォーカス調整処理を終了する直後に光ディスク15を内周側に向けて移動してもよい。
【0054】
また、上述した実施形態によれば、位置検出処理、サーボオフ制御処理をμCOM14が行っていたが、本発明はこれに限ったものではなく、例えば、サーボ信号処理部7が行っても良い。
【0055】
また、前述した実施例は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の光ディスク再生装置の一実施の形態を示す概要構成図である。
【図2】図1に示す光ディスク再生装置の電気構成図である。
【図3】対物レンズと光ディスクとの位置関係を説明するための図である。
【図4】対物レンズの位置とフォーカスドライブ電圧との関係を説明するための図である。
【図5】位置検出処理におけるμCOM内のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】サーボオフ制御処理におけるμCOM内のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示す光ディスク再生装置の動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0057】
4 光ピックアップ
7 サーボ信号処理部(第1駆動制御手段)
11 光ディスク
14 マイクロコンピュータ(第1位置検出手段、第2位置検出手段、第2駆動制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源及び前記光源からの光を光ディスクに焦点を合わせて照射するための対物レンズを設けて前記光ディスクの情報を再生する光ピックアップと、前記対物レンズを前記光ディスクに接離する方向に移動させる第1駆動手段と、前記光ピックアップを前記光ディスクの径方向に移動させる第2駆動手段と、前記光ディスクからの反射光によって前記光ディスクと前記対物レンズとの間が一定距離になるように前記第1駆動手段を制御する第1駆動制御手段と、を備えた光ディスク再生装置において、
前記第1駆動制御手段による制御が停止されるときに前記第2駆動手段を制御して前記光ピックアップを内周側に向けて移動させる第2駆動制御手段が、設けられていることを特徴とする光ディスク再生装置。
【請求項2】
前記光ピックアップによる情報の再生中に前記対物レンズの前記接離方向の位置を検出する第1位置検出手段と、
前記第1位置検出手段により検出された前記対物レンズの接離方向の位置が、前記第1駆動制御手段の制御停止時における前記対物レンズの待機位置である中立位置よりも前記光ディスクから離れた側に設定された所定位置に対して前記光ディスク側であれば、当該接離方向の位置検出が行われたときの前記光ピックアップの径方向の位置を、接触の可能性が低い位置として、検出する第2位置検出手段と、
を備え、そして、
前記第2駆動制御手段が、前記第1駆動制御手段による制御が停止されるときに前記第2駆動手段を制御して前記第2位置検出手段が検出した前記接触の可能性が低い位置に前記光ピックアップを移動させるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。
【請求項3】
前記第2位置検出手段が、前記検出した前記接触の可能性が低い位置のうち最新の位置を検出するように設けられ、そして、
前記第2駆動制御手段が、前記第1駆動制御手段による制御が停止されるときに前記第2駆動手段を制御して前記第2位置検出手段により検出された前記接触の可能性が低い位置のうち最新の位置に前記光ピックアップを移動させるように設けられていることを特徴とする請求項2に記載の光ディスク再生装置。
【請求項4】
前記第2位置検出手段が、前記第1位置検出手段によって検出される毎に検出された対物レンズの前記接離方向の位置が前記所定位置に対して前記光ディスク側であるか否かを判断し、前記所定位置に対して前記光ディスク側であると判断される毎に当該接離方向の位置検出が行われたときの前記光ピックアップの径方向の位置に前記最新の接触の可能性が低い位置を更新するように設けられていることを特徴とする請求項3に記載の光ディスク再生装置。
【請求項5】
前記第2駆動制御手段が、前記第1駆動制御手段による制御が停止されるとき前記光ピックアップの位置が前記光ピックアップの再生位置上の予め定めた接触の可能性が低い位置よりも外周側にあれば前記第2駆動手段を制御して前記予め定めた接触の可能性が低い位置に移動させるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−243330(P2008−243330A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85719(P2007−85719)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】