説明

光ディスク装置、位置制御方法

【課題】フレキシブルディスクの製造コストの削減を図る。
【解決手段】フレキシブルディスクと共に回転駆動するターンテーブルに対して位置案内子を形成し、当該位置案内子が形成されたターンテーブルに照射した第2の光の戻り光に基づき、フレキシブルディスクに照射される第1の光の位置制御を行う。このようにすることで、フレキシブルディスク側に対して位置案内子を形成することなく、第1の光の位置制御、すなわちフレキシブルディスクに対する光照射位置の制御を行うことができる。フレキシブルディスクに対する位置案内子の形成工程を省略できることで、フレキシブルディスクの製造コストの削減を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、フレキシブルディスクについての少なくとも記録を行う光ディスク装置と、そのような光ディスク装置における照射光の位置制御方法とに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】特開2007−12213号公報
【特許文献2】特開2008−65928号公報
【背景技術】
【0003】
光の照射により信号の記録/再生が行われる光記録媒体として、例えばCD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc:登録商標)などのいわゆる光ディスク記録媒体(以下、単に光ディスクとも表記)が普及している。
【0004】
近年、光ディスクについての大記録容量化を図るための種々の手法が提案されており、中でも、その厚さを例えば0.1mm程度に薄くしたフレキシブルディスクが注目されている。
このフレキシブルディスクは、基板の厚さを薄くすることで体積当たりの記録容量を稼ぐものであり、例えば自重で撓む程度の可撓性を有するという意味においてのフレキシブル性を有する。
このようなフレキシブルディスクを用いた具体的な記録媒体の態様としては、カートリッジ型のものを挙げることができる。すなわち、フレキシブルディスクを多数格納したカートリッジ媒体とすることで、体積当たりの記録容量の増大化を図るというものである。
【0005】
ここで、フレキシブルディスクは、上述のような可撓性を有するディスク(いわゆるペラペラ状態のディスク)とされるので、通常の光ディスクのようにこれを単体で回転駆動してしまうと、適正に信号の記録/再生を行うことが困難となる。
そこで、例えば上記特許文献1や特許文献2に開示されるように、フレキシブルディスクについての記録/再生を行う従来の光ディスク装置としては、フレキシブルディスクと共に一体的に回転駆動されることで当該フレキシブルディスクを水平な状態に保つための機構(スタビライザ)を設けるようにされている。
【0006】
図28は、従来の光ディスク装置の構成例について説明するための図である。
図28Aは、従来の光ディスク装置の構成のうち、主にフレキシブルディスク101の回転駆動系の構成のみを抽出して示した断面図である。
また図28Bは、ターンテーブル102の平面図である。
【0007】
この図に示す光ディスク装置では、図中のターンテーブル102が上述のスタビライザとしての機能を担うものとなる。
具体的に、この場合の光ディスク装置は、フレキシブルディスク101が、スペーサ108を介してターンテーブル102により保持されるように構成されている。この場合、スペーサ108はターンテーブル102に対して一体的に形成されている。
図のようにスペーサ108は、フレキシブルディスク101の内周部分(データ記録領域よりも内周側となる部分)に位置するように形成されている。
また、スペーサ108の周囲には、複数の貫通孔105が形成されている。
【0008】
上記のようにフレキシブルディスク101がスペーサ108を介してターンテーブル102により保持された状態で、図中のクランパ103によってフレキシブルディスク101とターンテーブル102とがクランプされる。そしてその状態で、フレキシブルディスク101とターンテーブル102とが一体的に回転駆動されることになる。
このように回転駆動されるフレキシブルディスク101に対して、図中の光ピックアップ106により記録や再生のための光照射が行われる。
この場合、ターンテーブル102は、フレキシブルディスク101よりも光ピックアップ106に対して近い側に配置されているので、当該光ピックアップ106によるフレキシブルディスク101への光照射は、ターンテーブル102を介して行うことが前提とされている。このため、ターンテーブル102は、例えばガラス基板等の透明材料により構成される。
【0009】
ここで、上記のようにスペーサ108を介してフレキシブルディスク101がターンテーブル102に保持された状態として、回転駆動が行われる前の段階では、フレキシブルディスク101は自重によりその外周部が撓んでターンテーブル102と接することになる。つまりこの段階では、スペーサ108による作用はディスクの内周部分のみで得られているものである。
【0010】
一方、前述のようにターンテーブル102とフレキシブルディスク101とが一体的に回転駆動された場合には、図中の破線矢印で示すような空気の流れが生じることになる。これは、ターンテーブル102に形成された貫通孔105による作用である。
このような空気の流れが生じることで、フレキシブルディスク101における、スペーサ108に保持される以外の部分を押し上げる力(揚力)が生じ、結果、フレキシブルディスク101が全体にわたって水平に保持されることになる。換言すれば、ターンテーブル102との間隔が全体にわたって均一に保たれるものである。
この結果、フレキシブルディスク101に対して安定した記録又は再生を行うことが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ここで、フレキシブルディスク101は、その薄さのため、通常の光ディスクのように射出成形を利用した基板作製を行うことが極めて困難となる。
このため、フレキシブルディスク101は、そのディスク基板として、一定厚のシートをディスク状に打ち抜いて作成したシート状の基板を用いるようにされている。
【0012】
図29は、従来のフレキシブルディスク101の製造手法(図29A)、及びフレキシブルディスク101の断面構造(図29B)を示している。
図29Aに示されるように、従来のフレキシブルディスク101の製造手法では、先ずシート状の基板材料をディスク状に打ち抜いて、シート状の基板を作製する(図29Bにおける基板101-1)。
そして当該基板101-1上に対し、トラッキングサーボを可能とするための案内溝の形成を行う。案内溝の形成は、いわゆる2P法により行われる。具体的には、例えばUVレジンを塗布後、当該UVレジンに対して案内溝転写用のスタンパを押し当てた状態で紫外線照射による硬化処理を施すことなどで行う。
図29Bでは、このような案内溝の形成後のUVレジンをUVレジン101-2と示している。
【0013】
このように案内溝を形成したUVレジン101-2に対し、記録膜と保護膜の塗布を行う。これにより、図29Bに示される記録膜101-3、及び保護膜101-4が形成される。
【0014】
ここで、上記説明からも理解されるように、フレキシブルディスク101についても、CD,DVD,BD等と同様にトラッキングサーボを可能とするための案内溝を形成するようにされるが、前述のように、フレキシブルディスク101の基板については射出成形による作製が困難であるため、案内溝の形成は、上記のように2P法により行われている。
【0015】
しかしながら、2P法による案内溝形成工程は、比較的高コストとなることが問題となる。
特に、フレキシブルディスク101は、前述のように実際には多数をカートリッジ内に格納して製品とすることが想定されているので、ディスク1枚ごとに案内溝形成工程を要することは、製品の大幅なコストアップに繋がり、現実的ではない。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そこで、本技術では上記のような問題点に鑑み、光ディスク装置として以下のように構成することとした。
すなわち、所定の厚みを有するスペーサを介してフレキシブルディスクを保持すると共に、上記フレキシブルディスクとの間に空気を流入するための穴部が形成されたターンテーブルを備える。
また、上記フレキシブルディスクを上記ターンテーブルと共に回転駆動する回転駆動部を備える。
また、上記フレキシブルディスクを対象とした第1の光の照射と上記ターンテーブルを対象とした第2の光の照射とを行う共に、これら第1の光と第2の光の照射に応じてそれぞれ得られる戻り光の受光を行う光照射・受光部を備える。
その上で、本技術の光ディスク装置では、上記ターンテーブルに、上記光照射・受光部による光照射位置を案内するための位置案内子が形成される。
さらに、上記光照射・受光部で得られる上記第2の光の戻り光についての受光信号に基づき、上記第1の光の照射位置を制御する位置制御部を備えるものである。
【0017】
また本技術では、位置制御方法として以下のようにすることとした。
すなわち、所定の厚みを有するスペーサを介してフレキシブルディスクを保持すると共に、上記フレキシブルディスクとの間に空気を流入するための穴部と、光照射位置を案内するための位置案内子とが形成されたターンテーブルを、上記フレキシブルディスクと共に回転駆動する回転駆動手順を有する。
また、上記フレキシブルディスクを対象とした第1の光の照射と上記ターンテーブルを対象とした第2の光の照射とを行う共に、これら第1の光と第2の光の照射に応じてそれぞれ得られる戻り光の受光を行う光照射・受光手順を有する。
また、上記光照射・受光手順で得られる上記第2の光についての受光信号に基づき、上記第1の光の照射位置を制御する位置制御手順を有するものである。
【0018】
上記のように本技術では、ターンテーブルに対して位置案内子を形成し、当該位置案内子が形成されたターンテーブルに照射した第2の光の戻り光に基づき、フレキシブルディスクに照射される第1の光の位置制御を行うようにしている。
このようにすることで、フレキシブルディスク側に対して位置案内子を形成することなく、第1の光の位置制御、すなわちフレキシブルディスクに対する光照射位置の制御を行うことができる。
フレキシブルディスクに対する位置案内子の形成工程を省略できることで、フレキシブルディスクの製造コストの削減を図ることができる。
また、位置案内子の形成工程が不要となれば、その分、フレキシブルディスクの歩留まりを向上できる。つまりこの点でも、フレキシブルディスクの製造コスト削減が図られる。
【発明の効果】
【0019】
本技術によれば、フレキシブルディスクに対する位置案内子の形成工程を省略することができ、その結果、フレキシブルディスクの製造コスト削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態の光ディスク装置が記録又は再生の対象とするフレキシブルディスク1の断面構造図である。
【図2】第1の実施の形態としての光ディスク装置が有する主にディスクの回転駆動系の構成について説明するための図である。
【図3】ターンテーブルに形成される案内溝について説明するための図である。
【図4】記録用レーザ光と基準面サーボ用レーザ光とについて説明するための図である。
【図5】対物レンズのレンズシフトに伴い情報記録位置ずれが生じる原理について説明するための図である。
【図6】ATSについて説明するための図である。
【図7】ATSで生じるトラッキング誤差成分の発散のイメージを示した図である。
【図8】ATS+において照射すべき各レーザ光について説明するための図である。
【図9】ATS+の概念について説明するための図である。
【図10】実施の形態の光ディスク装置が備える主に光学系の構成について説明するための図である。
【図11】実施の形態の光ディスク装置の全体的な内部構成を示した図である。
【図12】基準面の表面を一部拡大して示した平面図である。
【図13】基準面全体におけるピットの形成態様について説明するための図である。
【図14】アドレス情報のフォーマットについて説明するための図である。
【図15】ターンテーブルの回転駆動に伴い基準面上をレーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるsum信号、sum微分信号、及びPP(プッシュプル)信号の波形との関係を模式的に示した図である。
【図16】ピークポジション検出の具体的手法について説明するための図である。
【図17】ピークタイミングを表すタイミング信号から生成されたクロックと、該クロックに基づき生成された各selector信号の波形と、基準面に形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示した図である。
【図18】チルトやレンズシフトに伴う反射光の受光スポット位置ずれについて説明するための図である。
【図19】各トラッキングエラー信号の生成手法について説明するための図である。
【図20】スポット位置が半径方向に変位する際に得られる各トラッキングエラー信号の波形を示した図である。
【図21】線形トラッキング誤差信号の生成イメージ図である。
【図22】線形トラッキング誤差信号の具体的な生成手法について説明するための図である。
【図23】実施の形態の光ディスク装置が備える信号生成部(基準面側トラッキング誤差信号生成部)の内部構成を主に示した図である。
【図24】クロック生成回路の内部構成を示した図である。
【図25】各位相トラッキング誤差信号生成回路の内部構成を示した図である。
【図26】第2の実施の形態としての光ディスク装置が有する主にディスクの回転駆動系の構成について説明するための図である。
【図27】第2の実施の形態で照射すべき各レーザ光の様子を示した図である。
【図28】従来の光ディスク装置の構成例について説明するための図である。
【図29】従来のフレキシブルディスクの製造手法(図29A)、及びフレキシブルディスクの断面構造(図29B)を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術に係る実施の形態について説明する。
なお、説明は以下の順序で行う。

<1.第1の実施の形態>
[1-1.フレキシブルディスクの構造]
[1-2.回転駆動系の構成]
[1-3.位置制御手法について]
[1-4.光ディスク装置の構成]
[1-5.まとめ]
[1-6.1/2トラック幅以上のスポット位置ずれが生じる場合への対策]
(1.スポット位置ずれに伴う問題点)
(2.基準面の構造)
(3.アドレス情報について)
(4.サーボ対象ピット列の選択手法)
(5.プッシュプル信号をサンプリングする手法の問題点とその対策)
(6.線形トラッキング誤差信号の生成手法)
(7.信号生成部の具体的構成例)
<2.第2の実施の形態>
<3.変形例>
【0022】
<1.第1の実施の形態>
[1-1.フレキシブルディスクの構造]

図1は、実施の形態の光ディスク装置が記録又は再生の対象とするフレキシブルディスク1の断面構造図である。
ここで、「フレキシブルディスク」とは、その厚さが通常の光ディスク記録媒体よりも薄く形成されたことで、例えば自重で撓む程度の可撓性を有するという意味においてフレキシブル性を有する光ディスク記録媒体を意味する。具体的には、例えばその厚さが少なくとも0.3mm程度以下の光ディスク記録媒体を指すものとする。
なお、光ディスク記録媒体とは、光の照射により信号の記録又は再生が行われる円盤状の記録媒体を意味するものである。
【0023】
図1に示すように、フレキシブルディスク1には、シート基板2、記録膜3、保護膜4が同順で形成されている。
シート基板2は、上記フレキシブル性を有する程度にその厚さが薄く形成された基板となる。当該シート基板2は、例えば先の図29Aにて説明したように所定の厚さに調整されたシート状材料をディスク状に打ち抜くことで形成することができる。
シート基板2の材料としては、例えばポリカーボネート等を挙げることができる。
【0024】
記録膜3は、記録パワーによる光照射に応じてその集光点近傍にマークが形成される記録材料層と、当該記録材料層を介した光を反射するための反射材料層とを有して構成される。
また、保護膜4は、上記記録膜3の保護のために設けられる。当該保護膜4は、例えばUVレジン等の樹脂材料をスピンコート法などで塗布することで形成することができる。
【0025】
なお、フレキシブルディスク1の厚さは特に限定されるべきものではないが、本例の場合、例えば0.1mm(100μm)程度に設定されているとする。
【0026】
[1-2.回転駆動系の構成]

図2は、第1の実施の形態としての光ディスク装置(光ディスク装置10)が有する主にディスクの回転駆動系の構成について説明するための図である。
図2Aでは回転駆動系の構成を断面図により示し、図2Bは本実施の形態の光ディスク装置10が有するターンテーブル13の平面図を示している。
なお、図2Aでは、光ディスク装置10が備える光ピックアップ11も併せて示している。
【0027】
この図においては、回転駆動系の構成として、ターンテーブル13と、当該ターンテーブル13と光ディスク装置10に装填されたフレキシブルディスク1とを固定するクランパ12、クランパ12’とが示されている。
【0028】
図示するようにフレキシブルディスク1は、スペーサ13Aを介して、ターンテーブル13により保持される。スペーサ13Aは、ターンテーブル13に対し一体的に形成されている。
図のようにスペーサ13Aは、フレキシブルディスク1の内周部分(データ記録領域よりも内周側となる部分)に位置するように形成されている。
また、ターンテーブル13におけるスペーサ13Aの周囲となる部分には、図のように複数の貫通孔13Bが形成されている。
【0029】
上記のようにフレキシブルディスク1がスペーサ13Aを介してターンテーブル13により保持された状態で、クランパ12とクランパ12’とによってフレキシブルディスク1とターンテーブル13とが固定される。
この場合、クランパ12’は、後述するスピンドルモータ49(図11)の回転軸と接続されている。従って、上記のようにクランパ12とクランパ12’とにより固定が行われた状態でスピンドルモータ49が回転することで、ターンテーブル13とフレキシブルディスク1とが一体的に回転駆動されることになる。
なお、本例の場合、ターンテーブル13は、そのセンターホールにおいてクランパ12’と嵌合されるものであり、クランパ12’とは別体に形成されている。
【0030】
第1の実施の形態の場合、ターンテーブル13は、フレキシブルディスク1よりも光ピックアップ11に対して近い側に配置される。すなわち、光ピックアップ11によるフレキシブルディスク1への光照射は、ターンテーブル13を介して行うことが前提とされるものである。
【0031】
ここで、上記のようにスペーサ13Aを介してフレキシブルディスク1がターンテーブル13に保持された状態として、スピンドルモータ49による回転駆動が行われる前の段階では、フレキシブルディスク1は、自重によりその外周部が撓んでターンテーブル13と接することになる。つまりこの段階では、スペーサ13Aによる作用はディスクの内周部分のみで得られているものである。
【0032】
これに対し、ターンテーブル13とフレキシブルディスク1とが一体的に回転駆動された場合には、図中の破線矢印で示すような空気の流れが生じることになる。具体的には、ターンテーブル13の回転に伴い貫通孔13Bから吸入される空気が、当該ターンテーブル13とフレキシブルディスク1との間に流入するものである。
このような空気の流れが生じることで、フレキシブルディスク1における、スペーサ13Aに保持される以外の部分を押し上げる力(揚力)が生じ、結果、フレキシブルディスク1が全体にわたって水平に保持されることになる。換言すれば、ターンテーブル13とフレキシブルディスク1との間隔が全体にわたって均一に保たれるものである。
この結果、フレキシブルディスク1に対して安定した記録又は再生を行うことが可能となる。
【0033】
このとき、フレキシブルディスク1とターンテーブル13との間に形成される空気層の厚さ(厚さDairとする)は、100μm以上500μm以下であることが好ましい。本例の場合、厚さDairは100μm程度に設定されているとする。
なお確認のため述べておくと、当該厚さDairは、スペーサ13Aの厚さに応じた値となる。
【0034】
ここで、前述したように、フレキシブルディスクについては、その薄さから、案内溝の形成を射出成形を利用して行うことが非常に困難とされるため、2P法による案内溝形成を行うようにされている。
しかしながら、2P法による案内溝の形成工程は高コストであり、フレキシブルディスクの製造コストの増加を招いてしまう。
【0035】
そこで本実施の形態では、案内溝をフレキシブルディスク側に形成するものとはせず、ターンテーブル13側に形成するという手法を採る。
【0036】
図3は、ターンテーブル13に形成される案内溝について説明するための図である。
図3Aは、ターンテーブル13に形成される案内溝を平面図により模式的に示し、図3Bはターンテーブル13の断面構造を示している。なお図3Bにおいて、スペーサ13Aや貫通孔13Bの図示は省略している。
【0037】
図3Bに示されるように、ターンテーブル13には、保護膜13-1、反射膜13-2、案内溝転写膜13-3、基板13-4が同順で形成されている。
基板13-4は、例えばガラス等の透明材料で構成される。
また、案内溝転写膜13-3は、案内溝が転写された膜である。具体的に、この場合の案内溝転写膜13-3は、UVレジン等の紫外線硬化樹脂を用いて2P法により案内溝を転写して形成されたものとなる。
案内溝としては、グルーブ又はピット列によるものを形成することができる。本例の場合、当該案内溝の形成により、絶対位置情報(半径位置情報、回転角度情報)の記録が行われているとする。
【0038】
反射膜13-2は、光ピックアップ11より照射される後述の基準面サーボ用レーザ光を反射するために設けられる。
なお詳細については後述するが、当該反射膜13-2は、フレキシブルディスク1を対象として照射されるレーザ光は透過するように構成されるものとなる。つまり、先の図2Aを参照して分かるように、本実施の形態では光ピックアップ11から見てターンテーブル13の奥側にフレキシブルディスク1が配置されることになるので、当該反射膜13-2としては、フレキシブルディスク1を対象として照射される光を透過するように構成されるべきものとなる。
【0039】
ここで、後の説明により明らかとなるように、反射膜13-2に形成される反射面、すなわち、案内溝の形成に伴う凹凸が与えられた反射面は、フレキシブルディスク1を対象として照射される光の位置制御(特にトラッキングサーボ制御)を行うにあたって基準となる反射面となる。
この点より以下、反射膜13-2の反射面のことを、基準面Refと表記する。
【0040】
保護膜13-1は、反射膜13-2を保護するために設けられる。この保護膜13-1は、先の保護膜4と同様に、例えばUVレジン等の樹脂材料をスピンコート法などで塗布して形成することができる。
【0041】
ここで、ターンテーブル13の厚さについては特に限定されるべきものではないが、本例では、例えば500μm程度に設定されているとする。
【0042】
なお、図3Aにおいては、ターンテーブル13における案内溝を、模式的にスパイラル状の案内溝として示しているが、ターンテーブル13における案内溝の具体的な形成態様についてはスパイラル状に限定されるべきものではない。
【0043】
[1-3.位置制御手法について]

ここで、先の図1から明らかなように、本実施の形態では、フレキシブルディスク1に案内溝を形成していない。このため、未だ記録の行われていないフレキシブルディスク1について記録を行うとしたときは、ターンテーブル13に対して形成された案内溝を利用して、記録光についての位置制御を行うことになる。
【0044】
具体的に、ターンテーブル13に形成された案内溝を利用して記録光についての位置制御を行うとしたときは、図4に示すように、記録光(記録用レーザ光)の照射と、ターンテーブル13の基準面Refを対象とした基準面サーボ用レーザ光の照射とを、共通の対物レンズを介して行う。
本実施の形態では、ターンテーブル13の方がより対物レンズに対して近い側に配置されるので、図のように、基準面サーボ用レーザ光の合焦位置よりも、記録用レーザ光の合焦位置の方が奥側(対物レンズに対してより遠い側)となるように光学系を設計する。
具体的にこの場合は、対物レンズを介して照射される基準面サーボ用レーザ光が基準面Refに対して合焦しているときに、同じ対物レンズを介して照射される記録用レーザ光がフレキシブルディスク1の記録膜3に合焦する状態が得られるように、光学系を設計しておく。
またこのとき、これら基準面サーボ用レーザ光と記録用レーザ光の光軸は図のように一致させるものとしておく(図中一点鎖線)
【0045】
また、記録を行うためには、記録用レーザ光は基準面Refを通過してその奥側に位置する記録膜3に到達させる必要がある。このため本実施の形態では、記録用レーザ光と基準面サーボ用レーザ光の波長を異ならせるものとし、且つ、基準面Refとしての反射面を形成する反射膜13-2として、基準面サーボ用レーザ光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するという波長選択性を有する反射膜を用いるものとしている。
ここで、基準面サーボ用レーザ光の波長は650nm程度、記録用レーザ光の波長は405nm程度であるとする。
【0046】
このような態様により各レーザ光を照射するものとすれば、記録用レーザ光についての位置制御、特にトラッキング方向の位置制御は、以下のようにして行うことができる。
すなわち、基準面サーボ用レーザ光の反射光に基づき、当該基準面サーボ用レーザ光のスポット位置が基準面Ref上の案内溝に追従するように、対物レンズのトラッキング方向の位置制御を行うというものである。
このようにすることで、同じ対物レンズを介して照射される記録用レーザ光の照射スポットについても、そのトラッキング方向における位置を基準面サーボ用レーザ光と同様に制御することができる。
【0047】
但し、このように2つのレーザ光を共通の対物レンズを介してそれぞれ異なる深さ位置に合焦させ、基準面Refからの反射光に基づき対物レンズの位置制御を行うという手法を採る場合には、偏芯に伴う対物レンズのレンズシフトの発生等に起因して、2つのレーザ光の照射スポット間にトラッキング方向における位置ずれが生じることが分かっている。
すなわち、上記により説明したままの位置制御手法を採る場合には、例えば偏芯が大であると、基準面Refの案内溝に対して情報記録位置のトラッキング方向におけるずれが生じてしまい、結果、意図した位置への情報記録を行うことができなくなってしまう。
【0048】
図5は、対物レンズのレンズシフトに伴い情報記録位置ずれが生じる原理について説明するための図である。
図5において、図5(a)は、案内溝が形成されたターンテーブル13に偏芯が無く対物レンズのレンズシフトが生じていない理想的な状態を、また図5(b)は紙面左方向(外周方向であるとする)のレンズシフトが生じた場合(+方向の偏芯と称する)、図5(c)は紙面右方向(内周方向であるとする)のレンズシフトが生じた場合(−方向の偏芯と称する)をそれぞれ示している。
【0049】
先ず、図中の中心軸cは、光学系を設計する上で設定された中心軸であり、図5(a)に示す理想状態においては、対物レンズの中心は当該中心軸cに一致している。
【0050】
これに対し、図5(b)に示すような+方向のレンズシフトが生じた場合は、対物レンズの中心が光学系の中心軸cに対して+方向にシフトする。
このとき、基準面サーボ用レーザ光(図中の柄付きの光線)と記録用レーザ光(図中の白抜きの光線)は、前述のように共通の対物レンズを介して照射するが、それぞれの合焦位置は異ならせる必要があるので、例えば図のように基準面サーボ用レーザ光は対物レンズに平行光で入射させ、記録用レーザ光については対物レンズに発散光で入射させるなど、対物レンズに入射させる各レーザ光のコリメーション状態(収束/平行/発散)を異ならせるようにされている。
このため、同じレンズシフトに対し、基準面サーボ用レーザ光の照射スポットが移動する量と記録用レーザ光のスポット位置が移動する量とに差が生じるものとなり、結果、上記のような+方向への対物レンズのシフトに対しては、図のように、記録用レーザ光のスポット位置(つまり情報記録位置)が、基準面サーボ用レーザ光のスポット位置に対して、レンズシフト量に応じた分だけ+方向に変化してしまうこととなる(図中、ずれ量+d)。
【0051】
また、図5(c)に示すような−方向のレンズシフトが生じた場合には、記録用レーザ光による情報記録位置は、図のようにレンズシフト量に応じた分だけ−方向に変化することとなる(図中ずれ量−d)。
【0052】
ここで、上記では、情報記録位置のずれの要因として偏芯に起因する対物レンズのレンズシフトを主なものとして説明したが、情報記録位置のずれは、チルトの発生に応じても同様に生じるものである。
【0053】
上記のような情報記録位置ずれの問題を回避するための1つの対策としては、情報記録位置の変動以上に、基準面Refのトラックピッチを広げておくということを挙げることができる。
しかしながらこの手法では、レンズシフト等の最大発生量が不確定であるため、どの程度トラックピッチを広げるかも不確定であるという問題がある。また、何よりトラックピッチの拡大により記録容量の低下を招いてしまうことが問題となる。
【0054】
そこで、情報記録位置ずれの問題を回避するための有効な手法として、いわゆるATS(Adjacent Track Servo:隣接トラックサーボ)の手法を採ることが考えられる。このATSは、元々はハードディスクドライブにおけるセルフサーボトラックライタ(SSTW)として検討されていたものである。
【0055】
図6は、ATSについて説明するための図である。
図のようにATSでは、記録用スポットSrecと隣接トラックサーボ用スポットSatsとを光記録媒体上(本実施の形態ではフレキシブルディスク1上)に形成するようにされる。これらスポットSrecとスポットSatsは、それぞれその元となる光線を共通の対物レンズを介して光記録媒体に照射することで形成される。このとき、各スポットS間の距離は固定とする。
【0056】
ATSでは、記録用スポットSrecを先行スポット(つまり記録の進行方向が内周→外周である場合には外周側)とし、隣接トラックサーボ用スポットSatsを後行スポットとして、記録用スポットSrecによって形成したマーク列を対象として、隣接トラックサーボ用スポットSatsによりトラッキングサーボをかける。つまりは、記録用スポットSrecが形成した1本前のトラックに、隣接トラックサーボ用スポットSatsが追従するように対物レンズのトラッキングサーボ制御を行うというものである。
【0057】
このようなATSによれば、トラックピッチは各スポットS間の距離で一定とできるので、偏芯等の影響によってトラックが重なってしまう(情報記録位置が重なってしまう)という問題は生じないようにできる。すなわち、上述のように偏芯等に起因する情報記録位置のずれを考慮してトラックピッチを余分に広げたりするといった必要は無いものとできる。
【0058】
しかしながら、ATSにおいて、隣接トラックサーボ用スポットSatsを用いたトラッキングサーボを従来行われているトラッキングサーボの手法と同様の手法で行った場合には、周回を重ねるごとにトラッキング誤差成分が次第に増大し、発散してしまうことが判明した。
図7は、発散のイメージを示している。この図7に示すように、ATSを行うことによっては、トラッキング誤差成分(図中POSITION)が時間と共に発散してしまう。
【0059】
この点より、従来のATSでは、トラッキングサーボ制御を安定して行うことが非常に困難とされる。
【0060】
そこで本実施の形態では、記録光についての位置制御手法として、いわゆるATS+の手法を採用する。
図8は、ATS+において照射すべき各レーザ光について説明するための図である。
図のようにATS+を実現するにあたっては、案内溝が形成された基準面Refを対象とした基準面サーボ用レーザ光(図中柄付きの光線)と共に、記録用スポットSrecを形成するための記録用レーザ光、及び隣接トラックサーボ用スポットSatsを形成するためのATS光を、共通の対物レンズを介して照射する。
この場合も記録用レーザ光は、基準面サーボ用レーザ光が基準面Refに合焦している状態で、記録膜3に合焦するようにしておく。同様に、ATS光についても基準面サーボ用レーザ光が基準面Refに合焦している状態で、記録膜3に合焦するようにしておく。
なお確認のため述べておくと、この場合も記録用スポットSrecと隣接トラックサーボ用スポットSatsの配置関係は、先の図6で説明したものと同様である。
【0061】
図9は、ATS+の概念について説明するための図である。
この図9に示すように、ATS+では、先ず、基準面サーボ用レーザ光のトラッキングエラー信号にトラッキングサーボ制御のためのフィルタ処理を施す基準面側サーボフィルタと、当該ATS側サーボフィルタの出力に基づき対物レンズをトラッキング方向に変位可能に保持するアクチュエータを駆動するためのトラッキングドライバとが設けられる。
つまりATS+では、基準面サーボ用レーザ光のトラッキングエラー信号に基づき対物レンズのトラッキングサーボ制御を行うトラッキングサーボループ(基準面側サーボ制御系とする)が形成されていることになる。
【0062】
その上で、ATS+では、このような基準面側サーボ制御系と共に、ATSによるサーボ制御系が構成されるようにしている。具体的には、ATS光のトラッキングエラー信号にトラッキングサーボ制御のためのフィルタ処理を施すATS側サーボフィルタと、当該ATS側サーボフィルタにより生成されたトラッキングサーボ信号を、上記基準面側のトラッキングサーボループに対して与える加算部とを設けるようにしている。
これは、上記ATS側サーボフィルタによるトラッキングサーボ信号を、上記基準面側サーボ制御系の目標値(制御目標値)として与えるように構成しているものである。或いは、上記基準面側サーボ制御系としてのトラッキングサーボループをマイナーループとして、上記ATS側サーボフィルタによるトラッキングサーボ信号を当該マイナーループの目標値として入力していると換言することもできる。
【0063】
このような構成とした場合、ATS制御系のトラッキング誤差は、主に、対物レンズのレンズシフトやチルトによって生じる先の図5にて説明したようなスポット位置ずれに起因して生じることになる。
そして、このようなATS側のトラッキング誤差情報が、上記基準面側サーボ制御系の制御目標値として与えられることで、ATS光のスポットSatsが、マーク列に追従するように対物レンズが駆動されることになる。
このことからも理解されるように、ATS+としても、ATS単体とする場合と同様に、記録マーク列が隣接マーク列に重なったり交差するといった事態の発生を防止できるものとなる。
【0064】
ここで、上記説明からも理解されるように、基準面側サーボフィルタを含む上記基準面側サーボ制御系は、主に、通常の外乱成分(つまり上記のようなレンズシフト等に伴うスポット位置ずれの要因となるディスク偏芯成分等よりも高い周波数の外乱成分)に追従する機能を担わせるべきとなる。
この意味で、上記基準面側サーボ制御系の制御帯域は、通常のサーボ制御系とする場合と同等の制御帯域に設定する。具体的に本例の場合、上記基準面側サーボ制御系の制御帯域は10kHz程度に設定する。
【0065】
一方、ATS側サーボフィルタを含むATS制御系については、上記通常の外乱成分への追従はさせるべきではないので、その制御帯域は、少なくとも上記基準面側サーボ制御系の制御帯域よりも低い周波数帯域に設定する。具体的に本例の場合、ATS制御系の制御帯域(ATS側サーボフィルタのカットオフ周波数)としては1kHz程度に設定している。
【0066】
上記のように基準面側サーボ制御系としてのトラッキングサーボループ(マイナーループ)に対してATS制御系の制御信号を付与するようにしたATS+によれば、従来のATS制御系単体とした場合に生じていた、先の図7に示したような発散を防止することができる。すなわち、記録マーク列の重なりや交差の発生を防止することのできるトラッキングサーボ制御を、従来のATS単体とする場合よりも安定なものとして実現することができるものである。
【0067】
[1-4.光ディスク装置の構成]

以上の前提を踏まえ、本実施の形態の光ディスク装置10の具体的な構成について説明する。
図10は、光ディスク装置10が備える主に光学系の構成について説明するための図である。具体的には、光ディスク装置10が備える光ピックアップ11の内部構成を主に示している。
なお図10では、ターンテーブル13に形成される基準面Refとフレキシブルディスク1が有する記録膜3も併せて示している。
【0068】
図10において、光ピックアップ11内には、記録用レーザ光の光源となる記録用レーザ15rと、記録時におけるATS光の照射及び再生時における記録信号の読み出し(及びサーボ制御)を行うためのレーザ光を照射するための光源であるATS・再生時用レーザ15apが設けられる。
また光ピックアップ11には、基準面サーボ用レーザ光の光源である基準面サーボ用レーザ28が設けられる。
ここで、先に述べたように記録用レーザ光とサーボ用レーザ光とはそれぞれ波長帯の異なる光を用いる。
また、ATS光や信号読み出しのための再生光として機能すべき、ATS・再生時用レーザ15apを光源とするレーザ光(以下、単にATS光と称する)としては、記録用レーザ光と同波長とする。つまり本例の場合は、405nm程度である。
【0069】
なお、上記のように本例の場合、ATS光は、記録用レーザ光とは別光源で照射するものとしているが、記録用レーザ光とATS光の光源は共通化することもできる。その場合、共通の光源からグレーティング等により記録用レーザ光とATS光とを生成するものとすればよい。
また、再生時における記録膜3についての信号読出やサーボ制御に用いるレーザ光についても、記録用レーザ光の光源と共通化することもできる。
【0070】
光ピックアップ11において、記録用レーザ15rより出射された記録用レーザ光及びATS・再生時用レーザ15apから出射されたATS光は、共にコリメーションレンズ16を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ17に入射する。
偏光ビームスプリッタ17は、このように光源側から入射した記録用レーザ光・ATS光を透過するように構成されている。
【0071】
偏光ビームスプリッタ17を透過した記録用レーザ光・ATS光は、固定レンズ18、可動レンズ19、及びレンズ駆動部20から成るエキスパンダに入射する。このエキスパンダは、光源に近い側が固定レンズ18とされ、光源に遠い側に可動レンズ19が配置され、レンズ駆動部20によって上記可動レンズ19が入射光の光軸に平行な方向に駆動されることで、記録用レーザ光・ATS光についての合焦位置の調整が可能とされる。このエキスパンダにより、図中の対物レンズ24のフォーカス制御とは別途に、記録用レーザ光・ATS光について独立したフォーカス制御を行うことができる。
後述もするように、当該エキスパンダにおけるレンズ駆動部20は、図11に示すコントローラ48の指示に応じて駆動されることになる。
【0072】
上記エキスパンダを構成する固定レンズ18及び可動レンズ19を介した各レーザ光は、図のようにミラー21にて反射された後、1/4波長板22を介してダイクロイックプリズム23に入射する。
ダイクロイックプリズム23は、その選択反射面が、記録用レーザ光・ATS光と同波長帯の光は反射し、それ以外の波長による光は透過するように構成されている。従って上記のようにして入射した各レーザ光は、ダイクロイックプリズム23にて反射される。
【0073】
ダイクロイックプリズム23で反射された各レーザ光は、図示するように対物レンズ24を介して記録膜3に照射(集光)される。
【0074】
ここで、このように記録用レーザ光・ATS光が対物レンズ24を介して照射されることによっては、記録膜3において、先の図6に示したような記録用スポットSrec、隣接トラックサーボ用スポットSatsが形成される。
この場合の光学系は、これら記録用スポットS_recと隣接トラックサーボ用スポットS_atsとの位置関係が、予め設定された位置関係で固定となるように設計されている。
【0075】
対物レンズ24に対しては、当該対物レンズ24をフォーカス方向(バルク型記録媒体1に対して接離する方向)、及びトラッキング方向(上記フォーカス方向に直交する方向:バルク型記録媒体1の半径方向に平行な方向)に変位可能に保持する2軸アクチュエータ25が設けられる。
この場合の2軸アクチュエータ25には、フォーカスコイル、トラッキングコイルが備えられ、それぞれに駆動信号(後述する駆動信号FD、TD)が与えられることで、対物レンズ24をフォーカス方向、トラッキング方向にそれぞれ変位させる。
【0076】
ここで、記録時や再生時においては、上記のように記録膜3に対してATS光が照射されることに応じて、当該ATS光の反射光が得られる。
このように得られたATS光の反射光は、対物レンズ24を介してダイクロイックプリズム23に導かれ、当該ダイクロイックプリズム23にて反射される。
ダイクロイックプリズム23で反射されたATS光の反射光は、1/4波長板22→ミラー21→エキスパンダ(可動レンズ19→固定レンズ18)を介した後、偏光ビームスプリッタ17に入射する。
【0077】
ここで、このように偏光ビームスプリッタ13に入射するATS光の反射光(復路光)は、1/4波長板22による作用と記録膜3での反射時の作用とにより、ATS・再生時用レーザ15ap側から偏光ビームスプリッタ17に入射した光(往路光)とはその偏光方向が90度異なるようにされる。この結果、上記のようにして入射したATS光の反射光は、偏光ビームスプリッタ17にて反射される。
【0078】
このように偏光ビームスプリッタ17にて反射されたATS光の反射光は、集光レンズ26を介して第1受光部27の受光面上に集光する。
ここで、図示による説明は省略するが、第1受光部27は複数の受光素子(この場合は4つであるとする)を備えて構成される。以下、第1受光部27としての複数の受光素子で得られる受光信号については、これらを総括して受光信号DT-apと表記する。
【0079】
また、光ピックアップ11内には、上記により説明した記録用レーザ光・ATS光についての光学系の構成に加えて、基準面サーボ用レーザ28より出射された基準面サーボ用レーザ光を対物レンズ24に導き且つ、当該対物レンズ24に入射した基準面サーボ用レーザ光の反射光を検出(受光)するための光学系が形成される。
【0080】
図示するように基準面サーボ用レーザ28より出射された基準面サーボ用レーザ光は、コリメーションレンズ29を介して平行光となるようにされた後、偏光ビームスプリッタ30に入射する。偏光ビームスプリッタ30は、このように基準面サーボ用レーザ28側から入射した基準面サーボ用レーザ光(往路光)は透過するように構成される。
【0081】
偏光ビームスプリッタ30を透過したサーボ用レーザ光は、1/4波長板31を介してダイクロイックプリズム23に入射する。
先に述べたように、ダイクロイックプリズム23は記録用レーザ光・ATS光と同波長帯の光は反射しそれ以外の波長による光は透過するように構成されているため、上記基準面サーボ用レーザ光はダイクロイックプリズム23を透過し、対物レンズ24を介して基準面Refに照射(集光)される。
【0082】
また、当該基準面サーボ用レーザ光の反射光(基準面Refからの反射光)は、対物レンズ24を介した後ダイクロイックプリズム23を透過し、1/4波長板31を介して偏光ビームスプリッタ30に入射する。
先のATS光の場合と同様に、このように対物レンズ24側から入射した基準面サーボ用レーザ光の反射光(復路光)は、1/4波長板31の作用と基準面Refでの反射時の作用とにより、往路光とはその偏光方向が90度異なるものとされ、従って復路光としての基準面サーボ用レーザ光の反射光は偏光ビームスプリッタ30にて反射される。
【0083】
偏光ビームスプリッタ30にて反射された基準面サーボ用レーザ光の反射光は、集光レンズ32を介して第2受光部33の受光面上に集光する。
この第2受光部33としても複数の受光素子(例えば4つ)を備え、以下、第2受光部33としての複数の受光素子で得られる受光信号を総括して受光信号DT-svと表記する。
【0084】
ここで、図示による説明は省略するが、実際において光ディスク装置には、上記により説明した光ピックアップ11全体をトラッキング方向にスライド駆動するスライド駆動部が設けられ、当該スライド駆動部による光ピックアップ11の駆動により、レーザ光の照射位置を広範囲に変位させることができるようにされている。
【0085】
図11は、光ディスク装置10の全体的な内部構成を示している。
なお図11において、光ピックアップ11の内部構成については、図10に示した構成のうち記録用レーザ15r、レンズ駆動部20、2軸アクチュエータ25のみを抽出して示している。
【0086】
図11において、光ディスク装置10の光ピックアップ11の外部には、スピンドルモータ49が設けられる。先の説明からも理解されるように、当該スピンドルモータ49によっては、ターンテーブル13とフレキシブルディスク1とが一体的に回転駆動されることになる。
【0087】
また、光ピックアップ11の外部においては、記録用レーザ光、ATS光に係る信号処理系として、図中の記録処理部35、マトリクス回路36、再生処理部37、再生時用サーボ回路38、及びATS側サーボフィルタ39が設けられている。
【0088】
記録処理部35には、フレキシブルディスク1に対して記録すべきデータ(記録データ)が入力される。記録処理部35は、入力された記録データに対してエラー訂正符号の付加や所定の記録変調符号化、アドレス情報の付加を行うなどして、フレキシブルディスク1(記録膜3)に実際に記録される例えば「0」「1」の2値データ列である記録変調データ列を得る。
そして、当該記録変調データ列に基づき生成した記録パルス信号RCPにより、光ピックアップ11内の記録用レーザ15rを発光駆動する。
【0089】
マトリクス回路36には、前述した第1受光部27からの受光信号DT-apが入力される。
マトリクス回路36は、受光信号DT-apに基づき、マトリクス演算処理により必要な各種の信号を生成する。
【0090】
ここで、本例の場合、記録膜3に対してマーク列により記録された信号の再生時(ユーザデータの再生時)には、ATS光を、再生用のレーザ光として使用するものとしている。なお且つ再生時には、ATS光の反射光に基づき既記録マーク列を対象としたフォーカスサーボ制御及びトラッキングサーボ制御を行うものとしている。
【0091】
このことに対応してマトリクス回路36では、受光信号DT-apに基づき、上述した記録変調データ列の再生信号に相当する高周波信号(和信号:以下、再生信号RFとする)、フォーカスサーボ制御のためのフォーカスエラー信号FE-ap(マーク列に対するフォーカス誤差を表す信号)、トラッキングサーボ制御のためのトラッキングエラー信号TE-ap(隣接トラックサーボ用スポットSatsの既記録マーク列に対する半径方向における位置誤差を表す信号)を生成するように構成される。
【0092】
マトリクス回路36にて生成された再生信号RFは、再生処理部37に供給される。
また、フォーカスエラー信号FE-apは、再生時用サーボ回路38に対して供給される。
また、トラッキングエラー信号TE-apは、再生時用サーボ回路38に対して供給されると共に、記録時における前述したATS+としての位置制御に用いられるべく、ATS側サーボフィルタ39に対しても供給される。
【0093】
再生処理部37は、再生信号RFについて2値化処理や記録変調符号の復号化・エラー訂正処理など、上述した記録データを復元するための再生処理を行い、上記記録データを再生した再生データを得る。
また再生処理部37はマーク列により記録されたデータ中に埋め込まれたアドレス情報の検出も行う。図示は省略しているが、検出されたアドレス情報はコントローラ48に供給される。
【0094】
再生時用サーボ回路38は、コントローラ48からの指示に応じて、フォーカスエラー信号FE-ap、トラッキングエラー信号TE-apのそれぞれに基づき、フォーカスサーボ信号FS-ap、トラッキングサーボ信号TS-apを生成する。ここでフォーカスサーボ信号FS-apは、ATS光の合焦位置を記録膜3に追従させる(つまりフォーカス誤差をキャンセルする)ための信号となる。またトラッキングサーボ信号TS-apは、ATS光のスポット位置をマーク列に追従させる(トラッキング誤差をキャンセルする)ための信号となる。
これらフォーカスサーボ信号FS-ap、トラッキングエラー信号TS-apは、再生時において使用されるものである。
図示するようにフォーカスサーボ信号FS-apはセレクタ44に供給され、トラッキングエラー信号TS-apはセレクタ45に対して供給される。
【0095】
ATS側サーボフィルタ39は、先の図9に示したATS側サーボフィルタに相当する。
ATS側サーボフィルタ39は、コントローラ48からの指示に応じて、トラッキングエラー信号TE-apに基づきトラッキングサーボ信号TS-atsを生成する。
具体的に、ATS側サーボフィルタ39は、トラッキングエラー信号TE-apに対し位相補償等のトラッキングサーボのためのフィルタ処理を施して、上記トラッキングエラー信号TE-apが表すトラッキング誤差をキャンセルするための上記トラッキングサーボ信号TS-atsを生成する。
このとき、ATS側フィルタ39としては、例えば全積分や一次のLPF(ローパスフィルタ)など、ATSのループにピークを生じさせない構成とする。
図示するようにトラッキングサーボ信号TS-atsは、加算部43に対して供給される。
なお先の図9の説明からも理解されるように、本例の場合、ATS側サーボフィルタ39のカットオフ周波数は例えば1kHz程度に設定されるものである。
【0096】
また、光ディスク装置10には、基準面サーボ用レーザ光の反射光についての信号処理系として、信号生成部40、基準面側サーボフィルタ41、及び記録時用フォーカスサーボ回路42が設けられる。
【0097】
信号生成部40は、図10に示した第2受光部33における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、必要な信号を生成する。
具体的に信号生成部40は、受光信号DT-svに基づき、基準面Refに形成された位置案内子(トラック)に対するサーボ用レーザ光の照射スポット位置の半径方向における位置誤差を表すトラッキングエラー信号TE-svを生成する。
また信号生成部40は、記録時におけるフォーカスサーボ制御を行うための信号として、基準面Ref(選択反射膜3)に対するサーボ用レーザ光のフォーカス誤差を表すフォーカスエラー信号FE-svを生成する。
【0098】
なお、後の説明より明らかとなるように、本例の光ディスク装置10には、実際には、基準面Refに記録された位置情報を検出するための構成(図23におけるselector信号選択回路56、アドレス検出回路57)が設けられ、これに対応して信号生成部40は、位置情報検出用の信号も生成することになる。
図11では説明の便宜上、これら基準面Refの位置情報検出のための構成については省略しているが、その具体的説明については後に改めて行うこととする。
【0099】
信号生成部40により生成されたフォーカスエラー信号FE-svは、記録時用フォーカスサーボ回路42に対して供給される。
記録時用フォーカスサーボ回路42は、コントローラ48からの指示に応じ、フォーカスエラー信号FE-svに基づいてフォーカスサーボ信号FS-svを生成し、これを上述したセレクタ44に対して出力する。
【0100】
ここで、セレクタ44は、コントローラ48から指示に応じて、記録時には記録時用フォーカスサーボ回路42からのフォーカスサーボ信号FS-sv(つまり基準面サーボ用レーザ光の焦点位置を基準面Refに追従させるためのサーボ制御信号)を選択するようにされ、再生時には、再生時用サーボ回路38からのフォーカスサーボ信号FS-ap(ATS光の焦点位置を記録膜3に追従させるためのサーボ制御信号)を選択するようにされる。
【0101】
セレクタ44により選択されたフォーカスサーボ信号FSは、フォーカスドライバ46に供給される。
フォーカスドライバ46は、供給されたフォーカスサーボ信号FSに基づき生成したフォーカス駆動信号FDにより2軸アクチュエータ25のフォーカスコイルを駆動する。
これにより、記録時に対応しては、対物レンズ24が、基準面サーボ用レーザ光の焦点位置を基準面Refに追従させるようにして駆動され、また再生時に対応しては、対物レンズ24がATS光の焦点位置を記録膜3に追従させるようにして駆動されるようになる。
【0102】
なお、先の図4や図8にて説明したように、本例の場合、基準面サーボ用レーザ光が基準面Refに合焦する際に、記録用レーザ光及びATS光の合焦位置が記録膜3に合致するように光学系が設計されているものとしている。
従って、上記のように記録時に対応して基準面サーボ用レーザ光の焦点位置を基準面Refに追従させるように対物レンズ24のフォーカスサーボ制御が行われる状態では、記録用レーザ光・ATS光の合焦位置が記録膜3に一致するようにされる。
なおこのとき、前述のエキスパンダによって、記録用レーザ光・ATS光の合焦位置の微調整を行うことが可能とされる。
【0103】
また、信号生成部40により生成されたトラッキングエラー信号TE-svは、基準面側サーボフィルタ41に供給される。
基準面側サーボフィルタ41は、コントローラ48からの指示に応じ、トラッキングエラー信号TE-svに基づいて、基準面サーボ用レーザ光のスポット位置を基準面Ref上の案内溝に追従させる(トラッキング誤差をキャンセルする)ためのトラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
基準面側サーボフィルタ41は、トラッキングエラー信号TE-svに対して位相補償等のトラッキングサーボのためのフィルタ処理を施して上記トラッキングサーボ信号TS-svを生成する。
なお先の図9による説明から理解されるように、本例の場合、基準面側サーボ制御系の制御帯域は例えば10kHz程度に設定されるものである。
【0104】
基準面側サーボフィルタ41により生成されたトラッキングサーボ信号TS-svは、加算部43に対して供給される。
加算部43は、トラッキングサーボ信号TS-svと、前述のようにATS側サーボフィルタ39から供給されるトラッキングサーボ信号TS-atsとを加算し、その結果をトラッキングサーボ信号TS-arfとしてセレクタ45に出力する。
【0105】
セレクタ45は、コントローラ48からの指示に応じ、記録時には加算部43からのトラッキングサーボ信号TS-arfを選択し、再生時には再生時用サーボ回路38からのトラッキングサーボ信号TS-apを選択する。
【0106】
セレクタ45により選択されたトラッキングサーボ信号TSは、トラッキングドライバ47に供給される。
トラッキングドライバ47は、供給されたトラッキングサーボ信号TSに基づき生成したトラッキング駆動信号TDにより、2軸アクチュエータ25のトラッキングコイルを駆動する。
これにより、再生時に対応しては、対物レンズ24が上記トラッキングサーボ信号TS-apに基づき、ATS光のスポット位置がマーク列に追従するように駆動されることとなる。
そして、記録時に対応しては、対物レンズ24が、上記トラッキングサーボ信号TS-arfとしての、ATS光のトラッキング誤差成分とサーボ用レーザ光のトラッキング誤差成分との双方を反映したサーボ制御信号に基づき駆動されることになる。すなわち、先に述べたATS+としてのトラッキングサーボ制御が実現されるものである。
【0107】
コントローラ48は、例えばCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリ(記憶装置)を備えたマイクロコンピュータで構成され、例えば上記ROM等に記憶されたプログラムに従った制御・処理を実行することで、光ディスク装置10の全体制御を行う。
例えばコントローラ48は、記録時と再生時とで、それぞれ対応する手法でのフォーカスサーボ、トラッキングサーボが行われるようにするための制御を行う。
具体的に本例の場合、フォーカスサーボ側については、記録時において、基準面サーボ用レーザ光の反射光に基づき対物レンズ24のフォーカスサーボ制御が実行されるように、記録時用フォーカスサーボ回路42にフォーカスサーボ信号FS-svを生成させ且つ、セレクタ44により当該フォーカスサーボ信号FS-svを選択させる。
また再生時には、ATS光のマーク列からの反射光に基づき対物レンズ24のフォーカスサーボ制御を実行させるべく、再生時用サーボ回路38にフォーカスサーボ信号FS-apを生成させ且つ、セレクタ44により当該フォーカスサーボ信号FS-apを選択させる。
また、トラッキングサーボ側については、記録時には、前述のATS+としてのトラッキングサーボ制御が実行されるように、基準面側サーボフィルタ41、ATS側サーボフィルタ39にトラッキングサーボ信号TS-sv、トラッキングサーボ信号TS-atsの生成をそれぞれ実行させ且つ、セレクタ45に、これらの合成成分としてのトラッキングサーボ信号TS-arfを選択させる。
また再生時には、ATS光の反射光に基づく対物レンズ24のトラッキングサーボ制御が実行されるべく、再生時用サーボ回路38にトラッキングサーボ信号TS-apを生成させ且つ、セレクタ45に当該トラッキングサーボ信号TS-apを選択させる。
【0108】
またコントローラ48は、レンズ駆動部20に対して駆動信号Dlnを供給することで、可動レンズ19の位置制御、すなわち記録用レーザ光・ATS光の合焦位置の調整を実行させることができる。
【0109】
[1-5.まとめ]

これまでの説明のように、本実施の形態の光ディスク装置10では、ターンテーブル13に対して案内溝を形成し、このように案内溝が形成されたターンテーブル13に照射した基準面サーボ用レーザ光の戻り光に基づき、フレキシブルディスク1に照射される記録用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御を行うようにしている。
このようにすることで、フレキシブルディスク1側に案内溝を形成することなく、記録用レーザ光についてのトラッキングサーボ制御を行うことができる。
フレキシブルディスク1に対する案内溝の形成工程を省略できることで、フレキシブルディスク1の製造コストの削減を図ることができる。
【0110】
また、案内溝の形成工程が不要となれば、その分、フレキシブルディスク1の歩留まりを向上できる。つまりこの点でも、フレキシブルディスク1の製造コスト削減が図られる。
【0111】
[1-6.1/2トラック幅以上のスポット位置ずれが生じる場合への対策]
(1.スポット位置ずれに伴う問題点)

ここで、前述もしたように、ATS+では、ATS側のトラッキング誤差情報が基準面側サーボ制御系の制御目標値として与えられることで、ATS光のスポット位置がマーク列に対して追従するように制御されることになる。
すなわち、このことを裏返すと、基準面サーボ用レーザ光のスポット位置は、上記ATS側のトラッキング誤差情報としての、図5に示したようなスポット位置ずれ(情報記録位置のずれ)に応じた分だけ、基準面Ref上のサーボ対象とするトラックからオフセットされる場合があるということになる。
【0112】
この場合において、図5に示したようなスポット位置ずれ量は、場合によっては複数トラック幅分に及ぶ可能性がある。すなわち、例えばターンテーブル13やフレキシブルディスク1の作製精度が比較的低く、偏芯やチルトの発生量が比較的大となる場合には、スポット位置ずれ量としてもその分大となり、これに伴って基準面Refの1トラック幅以上のスポット位置ずれが生じる可能性もある。
【0113】
このようにスポット位置ずれ量が大であると、基準面側サーボ制御系におけるエラー信号も大となり、これに伴ってトラッキングサーボが外れてしまう可能性がある。これは、例えばプッシュプル信号等の通常のトラッキングエラー信号では、スポット位置が対象とするトラックから1/2トラック分以上離間してしまうとその波形に折り返しが生じ、これに伴ってトラッキングサーボ制御を適正に行うことが不能となるためである。
【0114】
そこで以下では、スポット位置ずれ量が基準面Ref上のトラック幅換算で1/2トラック分以上に生じる場合にも、トラッキングサーボ制御状態を維持できるようにするための対策の一例について説明しておく。
具体的に、この場合の対策としては、トラッキングエラー信号TE-svとして、1/2トラック幅以上のトラッキング誤差が生じた場合にも波形の折り返しを生じさせずその誤差量を線形に表すことのできる、線形トラッキング誤差信号を生成するという手法を挙げる。
【0115】
(2.基準面の構造)

先ず、線形トラッキング誤差信号の生成にあたっては、基準面Refに形成される案内溝として、以下で説明するようなピット列を形成することになる。
図12及び図13を参照して、ターンテーブル13の基準面Ref上におけるピット列の形成態様について説明する。
図12は、基準面Refの表面を一部拡大した平面図である。
この図12においては、紙面の左側から右側に向かう方向をピット列の形成方向、つまりはトラックの形成方向(線方向)としている。この場合、基準面サーボ用レーザ光の照射スポットは、ターンテーブル13の回転駆動に伴い、紙面の左側から右側に移動するものとする。
また、上記ピット列の形成方向と直交する方向(紙面の縦方向)は、ターンテーブル13の半径方向である。
【0116】
また図12において、図中の白丸で示すA〜Fは、ピットの形成可能位置を表す。すなわち、基準面Refにおいて、ピットは、当該ピットの形成可能位置においてのみ形成されるものであって、ピットの形成可能位置以外にはピットの形成が行われない。
また、図中のA〜Fの符号の別はピット列の別(半径方向において配列されるピット列の別)を表し、これらA〜Fの符号に付される数字はピット列上におけるピットの形成可能位置の別を表す。
【0117】
ここで、図中の黒太線で表す間隔は、対物レンズ24の基準面サーボ用レーザ光についての実効的な開口数(NA)と、基準面サーボ用レーザ光の波長との関係で実現可能な最小トラックピッチ(従来限界トラックピッチ)を表している。このことからも理解されるように、この場合の基準面Refでは、A〜Fの計6本のピット列が、従来限界の1トラック幅内に形成されている、すなわち半径方向における光学限界を超えるピッチで配列されていることになる。
【0118】
但し、従来限界の1トラック幅内にこれら複数のピット列を単純に配列したのみでは、ピット列形成方向においてピットの形成位置が重なってしまう虞があり、つまりはピット列形成方向におけるピットの間隔が光学限界を超えてしまう虞がある。
【0119】
そこで、本例においては、従来限界の1トラック幅内に配列される上記A〜Fの複数のピット列間で、ピット列形成方向におけるピット同士の間隔が光学限界を超えないようにするべく、以下のような条件を定めている。
すなわち、

1)A〜Fの各ピット列において、ピットの形成可能位置の間隔を所定の第1の間隔に制限する。
2)このようにピットの形成可能位置の間隔が制限されたA〜Fの各ピット列を、それぞれのピットの形成可能位置がピット列形成方向において所定の第2の間隔ずつずれたものとなるようにして配列する(つまり上記第2の間隔で各ピット列の位相をずらす)。

というものである。
【0120】
ここで、半径方向に配列されるA〜Fのピット列におけるそれぞれのピットの形成可能位置のピット列形成方向における間隔(上記第2の間隔)をnとおく。このとき、上記2)の条件が満たされるようにA〜Fの各ピット列が配列されることで、ピット列A−B、ピット列B−C、ピット列C−D、ピット列D−E、ピット列E−F、及びピット列F−Aの各ピット形成可能位置間の間隔は、図示するように全てnとなる。
また、A〜Fの各ピット列におけるピット形成可能位置の間隔(上記第1の間隔)は、この場合はA〜Fまでの計6つのピット列位相を実現するものとしているので、6nとなる。
【0121】
本例において、基準面Refにおけるサーボ用レーザ光による情報再生及びサーボ制御は、DVD(Digital Versatile Disc)の場合と同様の波長λ=650nm程度、開口数NA=0.65程度の条件で行うものとしている。このことに対応して本例では、各ピット形成可能位置の区間長はDVDにおける最短マークと同じ3T分(Tはチャネルビット)の区間長とし、またピット列形成方向におけるA〜Fの各ピット形成可能位置のエッジ間の間隔も、同様の3T分の長さに設定している。つまりこのことによると、n=6Tとなる。
この結果、上記1)2)の条件が満たされるものとなっている。
【0122】
ここで、基準面Ref全体におけるピットの形成態様について理解するために、図13を参照してより具体的なピット列の形成手法について説明する。
なお図13では、図示の都合上、ピット列の種類(位相)がA〜Cの3種のみとされた場合を例示している。
また図中において、黒丸はピット形成可能位置を表す。
【0123】
この図13を参照して分かるように、基準面Refにおいては、それぞれ位相の異なる複数種のピット列(図13ではA〜Cの3種としているが実際にはA〜Fの6種となる)を1セットとし、該複数種のピット列の1セットがスパイラル状に形成されている。
このことで、上記複数種のピット列のうちの所要の1種のピット列を対象としたトラッキングサーボをかけ続けることで、スポット位置はスパイラル状の軌跡を描くことになる。
【0124】
また、基準面Refにおいて、ピットは、CAV(Constant Angular Velocity)方式により形成されたものとなる。このことから、図示するように複数種のピット列の個々は、半径方向において、そのピットの形成位置(ピットの形成可能位置)が同じ角度位置に揃えられるものとなる。
【0125】
ここで、このように基準面RefにてピットをCAV方式で記録するのは、ディスク上のどの領域においても図12に示したようなA〜Fの各ピット列の位相関係が保たれるようにするためである。
【0126】
(3.アドレス情報について)

続いて、図14により、基準面Refに記録されるアドレス情報のフォーマットの一例について説明する。
なお、以下、図17までの説明においては、便宜上、トラッキングエラー信号(個々のトラッキングエラー信号)としてはプッシュプル信号に基づく信号を生成することを前提とする。
後の説明により明らかとなるように、実際の構成では、トラッキングエラー信号としてsum信号(和信号)に基づく信号を生成することになる。
【0127】
図14において、先ず図14(a)は、それぞれ異なるピット列位相を有するようにされた各ピット列(A〜F)のピット形成可能位置の関係を模式化して示している。なお図14(a)においては「*」マークによりピット形成可能位置を表している。
【0128】
ここで、後述もするように、本例では、これらA〜Fのピット列のうちから1つのピット列を選択し、該選択した1つのピット列を対象としてトラッキングサーボをかけるようにされている。
但し、このとき問題となるのは、A〜Fの各ピット列は半径方向において光学限界を超えたピッチで配列されているという点である。すなわち、この場合において基準面サーボ用レーザ光の照射スポットがトラック上を移動(走査)して得られるトラッキングエラー信号(プッシュプル信号)としては、A〜Fの全てのピットを反映したものとなってしまうので、該トラッキングエラー信号に基づきトラッキングサーボをかけたとしても、選択した1つのピット列を追従することはできない。
このため、本例では、選択したピット列におけるピット形成可能位置のタイミングにおけるトラッキングエラー信号をサンプルし、該サンプルしたトラッキングエラー信号の値に基づいて(いわば間欠的に)トラッキングサーボをかけるということをその基本概念とする。
【0129】
そして、これと同様に、アドレス情報を読む場合にも、選択したピット列に記録される情報のみが選択的に読み出されるように、該選択したピット列のピット形成可能位置のタイミングにおける和信号(sum信号)をサンプルし、その値に基づいてアドレス情報を検出するという手法を採る。
【0130】
このような情報検出の手法に対応するため、本例では、ピット形成可能位置におけるピットの形成有無により、チャネルビット(記録符号)の「0」「1」を表現するフォーマットを採用するものとしている。すなわち、1つのピット形成可能位置が、1チャネルビット分の情報を担うものである。
【0131】
その上で、このようなチャネルビットの複数個による「0」「1」のデータパターンにより、データビットの1ビットを表現するものとしている。
具体的に本例では、図14(b)に示されるように、チャネルビット4つ分でデータビットの「0」「1」を表現するものとし、例えば4チャネルビットのパターン「1011」がデータビット「0」、4チャネルビットのパターン「1101」がデータビット「1」を表すものとしている。
【0132】
このとき重要であるのは、チャネルビット「0」が連続しないという点である。つまり、チャネルビット「0」が連続してしまうということは、上述のようにトラッキングエラー信号を間欠的に用いてサーボを行うということを基本としたときに、エラー信号が得られない期間が連続してしまうということ意味するので、これに伴い、トラッキングサーボの精度を確保することが非常に困難となってしまうためである。
このため本例では、例えば上記のようなデータビットの定義により、チャネルビット「0」が連続しないという条件が満たされるようにしている。すなわち上記のようなデータビットの定義により、トラッキングサーボの精度低下が最小限に抑えられるようにしているものである。
【0133】
図14(c)は、シンクパターンの一例を示している。
例えばシンクパターンについては、図示するように12チャネルビットで表現するものとし、前半の8ビットを上記データビットの定義に当てはまらないチャネルビットパターン「11111111」とし、その後の4チャネルビットのパターンでシンクの別(種類)を表すものとしている。具体的に、上記8ビットに続く4チャネルビットのパターンが「1011」であればSync1、「1101」であればSync2としている。
【0134】
基準面Refにおいては、アドレス情報が、上記のようなシンクの後に続けて記録されているものとする。
ここで前述もしたように、アドレス情報としては、ディスク上の絶対位置情報(半径位置の情報、及び回転角度情報)を記録する。
なお確認のために述べておくと、本例では従来限界の1トラック幅内にA〜Fの複数本のピット列を配列するものとしているが、アドレス情報の記録は、各ピット列の半径位置が個別に表されるように(各ピット列の識別が可能となるように)、ピット列ごとに個別の情報が割り振られるようにして行う。すなわち、従来限界の1トラック幅内に配列されるA〜Fの各ピット列に対し同じアドレス情報を記録するものではない。
【0135】
なお、図14の説明からも理解されるように、基準面Refに対しては、ピットがポジション記録されていることになる。ポジション記録とは、ピット(或いはマーク)の形成部分をチャネルデータ「1」、それ以外の部分をチャネルデータ「0」とする記録手法を指すものである。
【0136】
(4.サーボ対象ピット列の選択手法)

上記のように従来の1トラック幅内に複数配列されるようにして形成されたピット列のうちから、任意のピット例を対象としてトラッキングサーボをかけるための手法は、具体的には以下で説明する手法をその基本とする。
【0137】
図15は、回転駆動に伴い基準面Ref上を基準面サーボ用レーザ光のスポットが移動する様子と、その際に得られるsum信号、sum微分信号、及びプッシュプル信号PP(PP信号とも表記する)の波形との関係を模式的に示している。
上記sum信号は、図10に示した第2受光部33としての複数の受光素子からの受光信号DT-svの和信号であり、上記sum微分信号はsum信号を微分して得られる信号である。
ここで、この図では説明の便宜上、図中の各ピット形成可能位置の全てにピットが形成されているものとする。
【0138】
図示するようにして、ターンテーブル13の回転に伴い基準面サーボ用レーザ光のビームスポットが移動することに伴っては、sum信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における配置間隔に応じた周期でその信号レベルがピークを迎えることになる。つまりこのsum信号は、A〜Fの各ピットのピット列形成方向における間隔(形成周期)を表していることになる。
【0139】
ここで、この図の例では基準面サーボ用レーザ光のスポットがピット列A上に沿って移動するものとしているので、上記sum信号は、ピット列形成方向におけるピットAの形成位置の通過時にピーク値が最大(絶対値)となり、またピットB〜ピットDの各形成位置にかけて徐々にピーク値が減少していく傾向となる。そしてその後、ピットEの形成位置→ピットFの形成位置の順でピーク値は上昇傾向に転じ、再びピットAの形成位置に至ることでピーク値が最大となる。すなわち、ピット列形成方向における上記ピットE、Fの形成位置においては、外周側に隣接するピット列E、Fにおけるピットの影響を受けるので、sum信号のピーク値はピットE、Fの形成位置ごとで順に上昇することになる。
【0140】
また、上記sum信号を微分して生成されるsum微分信号、及びトラッキング誤差信号としてのPP信号としては、それぞれ図示するような波形が得られる。
上記sum微分信号は、各ピット列A〜Fのピット形成位置(厳密にはピット形成可能位置である)のピット列形成方向における間隔に応じたクロックCLKを生成するために用いられることになる。
【0141】
具体的に、クロックCLKとしては、sum微分信号を用いることで、各ピットのセンター位置(ピークポジション)に相当する位置(タイミング)を立ち上がり位置(タイミング)とする信号を生成する。
クロックCLKの生成手法としては、次の図16に示されるように、先ずは所定の閾値Th1でsum信号をスライスした信号と、同様に所定の閾値Th2でsum微分信号をスライスした信号とを生成する。そして、これらのANDをとることで、上記ピークポジションに相当する立ち上がりタイミングを有するタイミング信号を生成する。
クロックCLKは、このように生成したタイミング信号を入力信号(参照信号)としたPLL(Phase Locked Loop)処理を行うことで生成する。
【0142】
図17は、上記の手順により生成されたクロックCLKと、該クロックCLKに基づき生成された各selector信号の波形と、基準面Refに形成された各ピット列(の一部)との関係を模式化して示している。
この図からも明らかなように、クロックCLKとしては、ピットA〜Fの形成間隔に応じた周期を有する信号となる。具体的には、ピットA〜Fのピークポジションにその立ち上がりタイミングを有する信号となる。
【0143】
このようなクロックCLKから、A〜Fの個々のピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。
具体的にこれらselector信号としては、それぞれ上記クロックCLKを1/6に分周して生成されたものとなっており、且つそれぞれの位相が1/6周期ずつずれたものとなっている。換言すれば、これら各selector信号は、それぞれの立ち上がりタイミングが1/6周期ずつずれたものとなるように、クロックCLKをそれぞれのタイミングで1/6に分周して生成されるものである。
【0144】
これらselector信号は、それぞれ、A〜Fの対応するピット列のピット形成可能位置のタイミングを表す信号となる。従って、これらselector信号を生成した上で、任意のselector信号を選択し、該選択したselector信号が表すタイミングでトラッキングエラー信号(プッシュプル信号)をサンプルホールドすることで、A〜Fのうちの1つのピット列に追従するためのトラッキングエラー信号を得ることができる。すなわち、このように生成したトラッキングエラー信号に基づき対物レンズ24についてのトラッキングサーボ制御を行うことで、A〜Fのピット列のうちの任意のピット列(つまりトラック)上に基準面サーボ用レーザ光のスポットをトレースさせることが可能となる。
【0145】
(5.プッシュプル信号をサンプリングする手法の問題点とその対策)

ここで、上記による説明では、サーボ対象として任意のピット列を選択するにあたり、そのためのトラッキングエラー信号としてプッシュプル信号をサンプルホールドした信号を用いるものとしたが、このようにプッシュプル信号を用いる場合には、いわゆるチルト(skew)や対物レンズ24のレンズシフトに起因して、正確なトラッキング誤差情報を得ることができない虞がある。
【0146】
図18は、チルトやレンズシフトに伴う反射光の受光スポット位置ずれについて説明するための図であり、図18(a)はチルト・レンズシフトが生じていない理想状態における第2受光部33上の反射光スポット(受光スポット)を示し、図18(b)はチルト・レンズシフトが生じた場合における第2受光部33上の反射光スポットを示している。
なおこれら図18(a)(b)において、反射光スポット内に示した斜線部は、ディスク上に形成されたピットからの一次回折光成分の重畳領域(プッシュプル信号成分重畳領域)を表している。
【0147】
先ず前提として、プッシュプル信号(PP)は、図中の受光素子A,Bの組及び受光素子C,Dの組がそれぞれディスクの半径方向に対応する方向に隣接する組であるとした場合、

PP=(Ai+Bi)−(Ci+Di) ・・・[式1]

により計算されるものである。但し[式1]において、Ai,Bi,Ci,Diはそれぞれ受光素子A,B,C,Dの受光信号である。
【0148】
ここで、サーボ用レーザ光の照射スポットは、対象とするピット列上を正確にトレースしていると仮定する。その場合において、チルト・レンズシフトが生じていない図18(a)の理想状態であれば、上記[式1]に従って計算されるプッシュプル信号PPの値は「0」となる。
これに対し、図18(b)に示すようなチルト・レンズシフトに伴う反射光スポット位置ずれが生じている場合、[式1]により計算されるプッシュプル信号PPの値は、本来得られるべき「0」とは異なる値となってしまい、誤差が生じるものとなる。
【0149】
このことからも理解されるように、プッシュプル信号PPには、チルトやレンズシフトに伴うオフセットが生じる。
【0150】
このようなチルトやレンズシフトに伴うオフセット成分が無視できる程度であれば、上記で説明したままのトラッキングエラー信号の生成手法は有効であるが、トラッキングサーボ制御の安定性の向上を図るにあたっては、トラッキングエラー信号には上記のようなオフセット成分が重畳しないことが望ましい。
【0151】
従来、チルトやレンズシフトに伴うオフセットの影響を回避するためのトラッキングエラー検出手法としては、いわゆる3スポット法が知られているが、該3スポット法は、グレーティング等の光学部品の追加が必要であり、その分、部品コストや調整コストの増加を招く。
また、上記オフセットの影響を回避するためのトラッキングエラー検出手法としてはDPP(Differential Push Pull)法も知られているが、該DPP法としても同様にグレーティング等の追加が必要であり、部品コスト、調整コストの増加を招く。
【0152】
これら従来のトラッキングエラー検出手法が有する問題点の解決を図りつつ、チルト・レンズシフトに伴うオフセット成分の影響を回避するために、本例では、以下で説明するようなsum信号を用いる手法によりトラッキングエラー信号を生成するものとしている。
【0153】
図19は、ピット列ごとの各トラッキングエラー信号の生成手法について説明するための図である。
なおこの図19では、基準面Refに形成された各ピット列A〜Fと、そのうちのピット列D上をトレースするようにトラッキングサーボがかけられている状態での基準面サーボ用レーザ光のスポット位置の移動軌跡(斜線部)と、該サーボ用レーザ光の移動に伴い得られるsum信号の波形とを示している。
【0154】
例えばこの図19に示されるように、基準面サーボ用レーザ光のスポットがピット列D上を正確にトレースしている場合、sum信号の値としては、ピット列D上のピット形成位置と一致するタイミング(図中n)において最小値をとり、該ピット列Dに対する位相差が大となるピット列ほど、そのピット形成位置での値が徐々に大となる傾向となる。
このとき、sum信号の値は、ピット列Dに対しそれぞれ隣接する(つまり同じ位相差を有する)ピット列C、ピット列Eのそれぞれのピット形成位置と一致するタイミング(図中n−1、n+1)にて同じ値をとり、また、ピット列Dに対しそれぞれ同じ距離(半径方向における距離)だけ離間した(つまり同じ位相差を有する)ピット列B、ピット列Fのそれぞれのピット形成位置と一致するタイミング(図中n−2、n+2)においても同じ値をとることになる。
【0155】
ここで、図中に示す状態とは異なり、基準面サーボ用レーザ光のスポットがピット列D上から半径方向にずれた位置をトレースしたとすると、上記ピット列Dに対する位相差が等しいそれぞれのピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値には、ずれが生じることが分かる。
つまりこのことからも理解されるように、トラッキングサーボの対象とするピット列に対する位相差が等しい各ピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値は、上記トラッキングサーボの対象とするピット列に対するトラッキング方向の誤差を反映していることになる。具体的に、トラッキング誤差情報は、上記位相差が等しい各ピット列の組における各ピット形成位置でのsum信号の値の差分を計算することで得ることができる。
【0156】
この点を踏まえ本例では、具体的に以下のようにしてsum信号に基づくトラッキングエラー信号の生成を行う。
すなわち、先ずはトラッキング誤差の検出対象としたいピット列に対して位相差が等しい2つのピット列を選出する。具体的に本例の場合は、対象とするピット列にそれぞれ隣接するピット列を選出するものとする。
その上で、これら選出した各ピット列のピット形成可能位置に対応するタイミング(図12におけるn−1とn+1が該当)で、sum信号の値をサンプリングし、それらサンプリングしたsum信号の値の差分を計算する。該計算結果が、トラッキング誤差の検出対象としたいピット列についてのトラッキングエラー信号となる。
【0157】
(6.線形トラッキング誤差信号の生成手法)

上記のような手法により、ピット列A〜Fの各ピット列ごとのトラッキングエラー信号を生成することができる。
ここで、本例では、これらピット列A〜Fが従来の1トラック幅内に形成されていることから、ピット列A〜Fとしての各位相のピット列ごとのトラッキングエラー信号は、同時並行的に生成することができる。つまり、ピット列A〜Fの個々について、上記手法によるトラッキングエラー信号の生成を個々に行うトラッキングエラー信号生成部を設けることで、ピット列A〜Fの個々についてのトラッキングエラー信号を同時並行して得ることができるものである。
以下、このように同時並行的に得ることのできる、ピット列A,B,C,D,E,Fについての個々のトラッキングエラー信号のことを、それぞれトラッキングエラー信号TE_A,TE_B,TE_C,TE_D,TE_E,TE_Fと表記する。
【0158】
本例では、これらトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fを同時並行的に得るようにした上で、前述したスポット位置ずれに伴ってサーボ用レーザ光のスポット位置が半径方向に変位する際に、これらトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fのゼロクロス点近傍の波形を順次繋ぎ合わせるようにすることで、線形トラッキング誤差信号を得る。
【0159】
図20は、基準面サーボ用レーザ光のスポット位置が半径方向に変位する際に得られるトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの各波形を示している。
この図20を参照して分かるように、前述したスポット位置ずれに起因して基準面サーボ用レーザ光のスポット位置が半径方向に変位される際には、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの個々は、正弦波状に変化する。この場合、ピット列は1トラック幅内に6つ配列されるので、これらトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの位相は、図のように60°ずつずれた関係となる。
【0160】
ここで、仮に、ピット列Aを対象としたトラッキングサーボがかけられているとすると、スポット位置は、図中に示すトラッキングエラー信号TE_A上において、その負→正のゼロクロス点にあると表現することができる。
そしてその状態から、前述のスポット位置ずれに伴う制御目標値の変化によりスポット位置が徐々に半径方向に変位していくとすると、トラッキングエラー信号TE_Aの振幅が徐々に上昇していくことになる。
このとき、図中時点t1としての、スポット位置がピット列A上から1/12トラック分(30°)移動した時点では、ピット列Aに隣接するピット列Bに対するトラッキング誤差を表すトラッキングエラー信号TE_Bの振幅値(絶対値)が、トラッキングエラー信号TE_Aの振幅値(絶対値)と一致することが分かる。つまりこの時点t1は、スポット位置が、半径方向におけるピット列Aとピット列Bとの中間点に至った時点となる。
以降も同様に、図中の時点t2はピット列Bとピット列Cとの中間点、時点t3はピット列Cとピット列Dとの中間点、時点t4はピット列Dとピット列Eとの中間点、時点t5はピット列Eとピット列Fとの中間点、時点t6はピット列Fとピット列Aとの中間点を表すものとなる。
【0161】
この点からも理解されるように、スポット位置が半径方向に変位していく状態では、図中の黒太線で表すように、スポット位置が各エラー信号TE_A〜TE_Fの直線区間(ゼロクロス点近傍の区間)を順次通過していくことになる。
【0162】
本実施の形態ではこの点に着目して、次の図21に示すように、スポット位置が半径方向に移動していく際の各トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fのゼロクロス点近傍の波形を繋ぎ合わせることで、1/2トラック幅以上のトラッキング誤差を線形に表すことのできる線形トラッキング誤差信号を生成する。
なお、図21では、最初にサーボONとしたピット列(つまりサーボ対象とするピット列)がピット列Dとされた場合での線形トラッキング誤差信号の生成イメージを示している。
【0163】
図22は、図21に示したような線形トラッキング誤差信号(以下、リニアエラー信号とも称する)の具体的な生成手法について説明するための図である。
なお、この図22においては、基準面サーボ用レーザ光のスポット位置が半径方向に移動している際に得られるトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの波形を示している。
【0164】
先ず、図22を参照して分かるように、スポット位置が半径方向に移動することに応じては、時間経過と共に、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅の大小関係に変化が生じる。
リニアエラー信号の生成にあたっては、予め、これらトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅の大小関係の別ごとにcase分けをしておく。具体的にこの場合は、ピット列位相が6種とされることに応じ、caseとしてはcase1〜case12に分けられることになる。
これらcase1〜case12の定義は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅をA〜Fとすると、以下に表すものとなる。

case1:E<F<D<A<C<B
case2:E<D<F<C<A<B
case3:D<E<C<F<B<A
case4:D<C<E<B<F<A
case5:C<D<B<E<A<F
case6:C<B<D<A<E<F
case7:B<C<A<D<F<E
case8:B<A<C<F<D<E
case9:A<B<F<C<E<D
case10:A<F<B<E<C<D
case11:F<A<E<B<D<C
case12:F<E<A<D<B<C
【0165】
本例では、各トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅を逐次モニタし、上記のように定義される各caseの別を判定する。そして、このように判定したcaseごとに、以下で示す計算を行うことにより、リニアエラー信号を生成する。
なお、以下で示す計算例は、図22に示されるように最初にサーボONとしたピット列がピット列Dとされた場合を前提としている。換言すれば、当該ピット列D上にスポットが位置している状態がリニアエラー信号のゼロ点であることを前提としている。
ここで、下記計算例において、P(n)は各時刻におけるリニアエラー信号の出力値を表し、A〜Fはそれぞれトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fの振幅値を表す。
また、Pprevは、直前のcaseからの切り替わりタイミングにおける、当該直前のcaseで選択されていたトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_Fの何れか)の振幅値を表すものである。
さらに、HPKは、caseの切り替わりタイミングにおける、当該caseの切り替わりに応じて新たに選択されたトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_Fの何れか)の振幅値を表すものである。

case1・・・P(n)=Pprev+D
case2・・・P(n)=Pprev−HPK+C
case3・・・P(n)=Pprev+C
case4・・・P(n)=Pprev−HPK+B
case5・・・P(n)=Pprev+B
case6・・・P(n)=Pprev−HPK+A
case7・・・P(n)=Pprev+A
case8・・・P(n)=Pprev−HPK+F
case9・・・P(n)=Pprev+F
case10・・・P(n)=Pprev−HPK+E
case11・・・P(n)=Pprev+E
case12・・・P(n)=Pprev−HPK+D
【0166】
この計算例を参照して分かるように、本例では、スポット位置が半径方向に移動する際の各位相のトラッキング誤差信号TE_A〜TE_Fの振幅の大小関係が変化する所定のタイミングごとに、スポット位置の移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキング誤差信号TEを順次繋ぎ合わせていくことで、リニアエラー信号を生成するようにされている。
具体的に、本例では、上記所定のタイミングが、case1/case2の切り替わりタイミング、case3/case4の切り替わりタイミング、case5/case6の切り替わりタイミング、case7/case8の切り替わりタイミング、case9/case10の切り替わりタイミング、case11/case12の切り替わりタイミングとされた上で、これら所定のタイミングごとに、スポット位置の移動方向側に隣接するピット列についてのトラッキングエラー信号TEを順次選択するようにされる。そしてこれと共に、上記所定のタイミングごとに、その時点でリニアエラー信号として出力していた値(Pprev)から新たに選択したトラッキングエラー信号TEの上記所定のタイミングでの値(HPK)を減算して得た値を基準値(Pprev−HPK)とし、当該基準値に対して、上記新たに選択したトラッキングエラー信号の値を加算して得た値(P(n))を、リニアエラー信号の値として順次出力するようにされている。
【0167】
このような手法によって、スポット位置が半径方向(外周方向、内周方向の双方)に移動している状態において、先の図21に示したような各位相のトラッキングエラー信号TEのゼロクロス点近傍の波形を繋ぎ合わせたものとしてのリニアエラー信号を生成することができる。換言すれば、サーボONしたピット列(トラック)からのトラッキング誤差量が、トラッキングエラー信号TEの折り返しが生じるような誤差量であっても、そのトラッキング誤差量をほぼ線形な形で表すトラッキング誤差信号を生成できるものである。
【0168】
このようなリニアエラー信号(トラッキングエラー信号TE-sv)に基づくトラッキングサーボ制御が行われることで、前述のスポット位置ずれが1/2トラック幅以上に生じるような場合でも、トラッキングサーボが外れないようにすることができる。
【0169】
(7.信号生成部の具体的構成例)

図23は、上記の対策を施すとした際に光ディスク装置10が備えるべき信号生成部40の内部構成を主に示した図である。
なお図23では、先に述べた位置情報(アドレス情報)検出のために光ディスク装置10に備えられる構成として、selector信号選択回路56とアドレス検出回路57を併せて示している。また、先の図11に示したコントローラ48も併せて示している。
【0170】
図示するように信号生成部40内には、マトリクス回路50、クロック生成回路51、selector信号生成回路52、エラー信号生成回路53、case判定回路54、及びリニアエラー信号生成回路55が設けられている。
【0171】
マトリクス回路50は、図10に示した第2受光部33における複数の受光素子からの受光信号DT-svに基づき、前述したフォーカスエラー信号FE-sv、及び和信号としてのsum信号を生成する。
先に説明したように、フォーカスエラー信号FE-svは記録時用フォーカスサーボ回路42に対して供給される。
sum信号は、図示するようにクロック生成回路51、エラー信号生成回路53、及びアドレス検出回路57に対して供給される。
【0172】
クロック生成回路51は、先に説明した手順に従ってクロックCLKを生成する。
図24は、クロック生成回路51の内部構成を示している。
図24において、クロック生成回路51内にはスライス回路51A、sum微分回路51B、スライス回路51C、ANDゲート回路51D、及びPLL回路51Eが設けられる。
sum信号は、図示するようにスライス回路51Aとsum微分回路51Aとに入力される。スライス回路51Aは、設定された閾値Th1に基づき上記sum信号をスライスし、その結果を上記ANDゲート回路51Dに出力する。
上記sum微分回路51Bは、sum信号を微分して先に説明したsum微分信号を生成する。上記スライス回路51Cは、設定された閾値Th2に基づき、上記sum微分回路51Bにより生成されたsum微分信号をスライスし、その結果を上記ANDゲート回路51Dに出力する。
ANDゲート回路51Dは、上記スライス回路51Aからの出力と上記スライス回路51Cからの出力とのANDをとり、これによって先に説明したタイミング信号を生成する。
PLL回路51Eは、このようにANDゲート回路51Dで得られたタイミング信号を入力信号としてPLL処理を行って、クロックCLKを生成する。
【0173】
図23に戻り、クロック生成回路51により生成されたクロックCLKは、selector信号生成回路52に対して供給される。
selector信号生成回路52は、クロックCLKに基づき、A〜Fの各ピット列のそれぞれのピット形成可能位置のタイミングを表す6種のselector信号を生成する。具体的にselector信号生成回路52は、クロックCLKを1/6に分周した信号として、それぞれ位相が1/6周期ずつずれた信号を生成することで、上記6種のselector信号を得る。
以下、これら6種のselector信号についてはそれぞれselector信号S_A,S_B,S_C,S_D,S_E,S_Fと表記する。
【0174】
selector信号S_A〜S_Fは、エラー信号生成回路53に供給されると共に、selector信号選択回路56に対しても供給される。
【0175】
エラー信号生成回路53は、上記selector信号S_A〜S_Fとsum信号とに基づき、ピット列A〜Fのそれぞれについてのトラッキングエラー信号TE(TE_A〜TE_F)を生成する。
【0176】
図25は、エラー信号生成回路53の内部構成を示している。
この図25を参照して分かるように、エラー信号生成回路53内には、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fとしての6種のエラー信号TEを生成するために、2つのサンプルホールド回路と減算部とによるエラー信号生成部がsum信号に対して6つ並列に設けられている。
具体的には、サンプルホールド回路SH-A1とサンプルホールド回路SH-A2と減算部53Aとによりトラッキングエラー信号TE_Aを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-B1とサンプルホールド回路SH-B2と減算部53Bとによりトラッキングエラー信号TE_Bを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-C1とサンプルホールド回路SH-C2と減算部53Cとによりトラッキングエラー信号TE_Cを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-D1とサンプルホールド回路SH-D2と減算部53Dとによりトラッキングエラー信号TE_Dを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-E1とサンプルホールド回路SH-E2と減算部53Eとによりトラッキングエラー信号TE_Eを生成するエラー信号生成部と、サンプルホールド回路SH-F1とサンプルホールド回路SH-F2と減算部53Fとによりトラッキングエラー信号TE_Fを生成するエラー信号生成部とが設けられている。
【0177】
サンプルホールド回路SH-A1はselector信号S_Fが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-A2はselector信号S_Bが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部53Aはサンプルホールド回路SH-A1の出力からサンプルホールド回路SH-A2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Aを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-B1はselector信号S_Aが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-B2はselector信号S_Cが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部53Bはサンプルホールド回路SH-B1の出力からサンプルホールド回路SH-B2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Bを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-C1はselector信号S_Bが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-C2はselector信号S_Dが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部53Cはサンプルホールド回路SH-C1の出力からサンプルホールド回路SH-C2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Cを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-D1はselector信号S_Cが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-C2はselector信号S_Eが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部53Dはサンプルホールド回路SH-D1の出力からサンプルホールド回路SH-D2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Dを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-E1はselector信号S_Dが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-E2はselector信号S_Fが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部53Eはサンプルホールド回路SH-E1の出力からサンプルホールド回路SH-E2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Eを生成する。
また、サンプルホールド回路SH-F1はselector信号S_Eが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、サンプルホールド回路SH-F2はselector信号S_Aが表すタイミングでsum信号をサンプルホールドし、減算部53Fはサンプルホールド回路SH-F1の出力からサンプルホールド回路SH-F2の出力を減算することで、トラッキングエラー信号TE_Fを生成する。
【0178】
説明を図23に戻す。
エラー信号生成回路53により生成されたトラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fは、case判定回路54に供給されると共に、リニアエラー信号生成回路55にも供給される。
【0179】
case判定回路54は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fに基づき、先に説明したcase1〜case12の別を判定し、その判定結果を表す判定信号Dcsをリニアエラー信号生成回路55、及びselector信号選択回路56に供給する。
具体的にこの場合は、各caseの切り替わりタイミングを検出し、上記判定信号Dcsとしてはcaseの切り替わりタイミングとcaseの別とを表す信号を生成・出力する。
【0180】
リニアエラー信号生成回路55は、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fと判定信号Dcsとに基づき、前述したリニアエラー信号を生成する。具体的には、先に計算例として示した各caseごとの計算式のうち、上記判定信号Dcsが表すcaseに対応する計算式に従った計算を行うことで、リニアエラー信号としてのトラッキングエラー信号TE-svを生成する。
なお、リニアエラー信号生成回路55に対しては、コントローラ48より、基準面側サーボ制御系のトラッキングサーボがONとされるタイミングに応じてリセット信号が与えられ、リニアエラー信号生成回路55は当該リセット信号に応じて、上記リニアエラー信号としてのトラッキングエラー信号TE-svの値を0リセットする。
リニアエラー信号生成回路55により生成されたトラッキングエラー信号TE-svは、図11に示される基準面側サーボフィルタ41に供給される。
【0181】
selector信号選択回路56は、selector信号生成回路52から供給されるselector信号S_A〜S_Fのうちから、判定信号Dcsに基づく1つのselector信号をselector信号S_Adとして選択し、当該selector信号S_Adをアドレス検出回路57に出力する。
具体的に、selector信号選択回路56は、判定信号Dcsにより表されるcase1〜case12についての各切り替わりタイミングのうちの所定のタイミングで、selector信号S_Adとして出力するselector信号Sを、それまで出力していたselector信号Sに隣接するselector信号S(つまりそれまで出力していたselector信号Sがそのピット形成可能位置のタイミングを表すピット列に対して、スポットの移動方向側に隣接するピット列に対応するselector信号S)に切り替える。つまり本例の場合は、case1/case2の切り替わりタイミング、case3/case4の切り替わりタイミング、case5/case6の切り替わりタイミング、case7/case8の切り替わりタイミング、case9/case10の切り替わりタイミング、及びcase11/case12の切り替わりタイミングにおいて、selector信号S_Adとして出力するselector信号Sを、それまで出力していたselector信号Sに隣接するselector信号Sに切り替える。
【0182】
アドレス検出回路57は、selector信号S_Adが表すピット形成可能位置のタイミング(この場合はselector信号S_AdがHレベルの区間)で、sum信号の値をサンプリングした結果に基づき、基準面Refに記録されたアドレス情報を検出する。
ここで、先の図14を参照して説明したように、本例の場合、各ピット列のアドレス情報は、そのピット列におけるピット形成可能位置でのピット形成有無を1チャネルビットの情報として記録されるものである。これに応じアドレス検出回路57は、上記selector信号S_Adの立ち上がりタイミングでsum信号の値を識別することで、1チャネルビットの「0」「1」のデータ識別を行い、その結果に基づき、先の図14で説明したフォーマットに従ったアドレスデコード処理を行うことで、記録されたアドレス情報の検出(再生)を行う。
アドレス検出回路57で検出されたアドレス情報は、コントローラ48に対して供給される。
【0183】
ここで、上記のselector信号選択回路56の動作によれば、selector信号S_Adとしては、スポット位置に最寄りのピット列についてのselector信号Sが選択されることになる。
これによりアドレス検出回路57は、スポット位置に最寄りのピット列に記録されたアドレス情報を適正に検出することができる。
【0184】
コントローラ48は、上記のような信号処理部40の構成に対応して、以下の処理も行うようにされる。
すなわち、コントローラ48は、基準面サーボ用レーザ光についてのトラッキングサーボに関して、サーボ対象とするピット列をピット列A〜Fの何れかに選択する(つまりサーボONとするピット列を選択する)としたときは、リニアエラー信号生成回路55に対し、トラッキングエラー信号TE_A〜TE_Fのうちサーボ対象とすべきとして選択したピット列についてのトラッキングエラー信号TEを選択出力するように指示を行う。
また、前述もしたように、このように或るピット列を対象にサーボONしたことに応じては、リニアエラー信号(TE-sv)の振幅を0リセットするための指示をリニアエラー信号生成回路55に対して行うことになる。
【0185】
上記のような構成により、基準面側サーボ制御系によるトラッキングサーボ制御が、線形トラッキング誤差信号に基づき行われるようにすることができる。これにより、前述したレンズシフト等に伴うスポット位置ずれが1/2トラック幅以上に生じるような場合でもトラッキングサーボが外れないようにできる。つまりその結果、偏芯等の抑制のために要求されるターンテーブル13やフレキシブルディスク1の作製精度の緩和が図られるようにでき、その結果、コスト削減を図ることができる。
【0186】
なお、1/2トラック幅以上のスポット位置ずれが生じる場合への対策例としては、上記により説明した手法に限定されるべきものではない。
例えば、偏芯やチルトに起因するスポット位置ずれ量を対物レンズ24の位置センサ等の検出手段を用いて検出できる場合には、当該検出手段で検出されるスポット位置ずれ量に応じたオフセット信号を基準面側サーボ制御系のトラッキングエラー信号TE-sv(もちろんリニアエラー信号ではない)に対して加算する等の構成を採ることで、同様に1/2トラック幅以上のスポット位置ずれが生じる場合への対策となる。
【0187】
<2.第2の実施の形態>

続いて、第2の実施の形態について説明する。
図26は、第2の実施の形態としての光ディスク装置が有する主にディスクの回転駆動系の構成について説明するための図である。
先の図2の場合と同様、図26Aでは回転駆動系の構成を断面図により示し、図26Bはターンテーブル13の平面図を示している。
なお図26Aでは、この場合の光ディスク装置が備える光ピックアップ11も併せて示している。
【0188】
ここで、第2の実施の形態の光ディスク装置は、第1の実施の形態の光ディスク装置10との比較で回転駆動系の構成が主に異なるものである。従って、第2の実施の形態の光ディスク装置の構成に関して、光ピックアップ11の内部構成や光ディスク装置全体の内部構成については改めての図示による説明は省略する。
なお、光ピックアップ11についてはその一部が第1の実施の形態の場合と異なるものとなるが、これについては後に説明する。
また、第2の実施の形態において、既に第1の実施の形態で説明した部分と同様となる部分については同一符号を付して説明を省略する。
【0189】
図26と先の図2とを比較して分かるように、第2の実施の形態は、フレキシブルディスク1とターンテーブル13の配置関係を第1の実施の形態とは逆転したものとなる。具体的に、この場合のターンテーブル13は、フレキシブルディスク1よりも光ピックアップ11に遠い側に配置され、フレキシブルディスク1が光ピックアップ11により近い側に配置されるものである。
図2と比較して分かるように、この場合のターンテーブル13は、第1の実施の形態とはその上下を逆向きに配置することになる。つまり、この場合はフレキシブルディスク1が下側に配置されるので、スペーサ13Aが下側に凸となるようにターンテーブル13を配置するものである。
【0190】
このような構成によっても、フレキシブルディスク1とターンテーブル13とが一体的に回転駆動されることで、図中の破線矢印で表すような空気の流れが生じることとなり、第1の実施の形態の場合と同様、フレキシブルディスク1を水平に保つことができる。
【0191】
図27は、第2の実施の形態で照射すべき各レーザ光の様子を示している。
第2の実施の形態の光ディスク装置としても、記録時にはATS+による位置制御を行う。このため、図のように基準面サーボ用レーザ光(図中の柄付きの光線)と、記録用スポットSrecを形成する記録用レーザ光と、隣接トラックサーボ用スポットSatsを形成するATS光とを照射するようにされる。
【0192】
但し、この場合は、第1の実施の形態の場合とはフレキシブルディスク1とターンテーブル13の配置関係が逆となるので、図のように、基準面サーボ用レーザ光はより奥側に、また記録用レーザ光及びATS光はより手前側に合焦するように照射することになる。つまりこの場合の光ピックアップ11は、このような合焦位置関係が得られるように設計されることになる。
なおこの場合も、基準面サーボ用レーザ光が基準面Refに合焦する際に、記録用レーザ光及びATS光が記録膜3に合焦するように光学系を設計するという点については同様となる。
【0193】
ここで、この図27によると、第2の実施の形態の場合は、基準面サーボ用レーザ光が、フレキシブルディスク1の記録膜(反射膜)3を透過するように構成する必要があることが分かる。
つまり第2の実施の形態においては、当該記録膜3に形成すべき反射膜として、半透明膜、或いは波長選択膜(記録用レーザ光・ATS光を選択的に反射)を形成するものとなる。
但し、図27によると、ターンテーブル13に形成される反射膜13-2については、第1の実施の形態の場合のような波長選択膜を設ける必要性は無いものとできる。0
【0194】
<3.変形例>

以上、本技術に係る各実施の形態について説明してきたが、本技術は、これまでで説明した具体例に限定されるべきものではない。
例えば、フレキシブルディスク1の構造や形成材料、ターンテーブル13の構造や形成材料については、例示したものに限定されるべきものでなく、実際の実施形態に応じて適宜最適とされるものが採用されればよい。
例えば、ターンテーブル13に対してスペーサ13Aが一体的に形成されるものとしたが、スペーサ13Aはターンテーブル13と別体に形成することもできる。
【0195】
また、これまでの説明では、記録時における対物レンズ24のフォーカスサーボ制御は、基準面サーボ用レーザ光の反射光に基づき行うものとしたが、これに代えて、ATS光の反射光に基づく対物レンズ24のフォーカスサーボ制御を行うようにしてもよい。
【0196】
また、フレキシブルディスク1を対象とした照射光についての位置制御の具体的な手法としては、ATS+の手法に限定されるべきものではなく、もちろん他の手法を採ることができる。例えば、偏芯やチルトの発生を十分に抑えることができる場合等には、先の図4にて説明したような基準面サーボ用レーザ光と記録用レーザ光の2ビームのみによる位置制御手法を採用することもできる。
【0197】
また、これまでの説明では、フレキシブルディスク1を対象とした照射光についての位置制御として、記録時においてのみターンテーブル13に形成された案内溝に基づく位置制御を行うものとしたが、再生時においても上記案内溝に基づく位置制御を行うようにすることもできる。
【0198】
また、これまでの説明では、フレキシブルディスク1を、記録膜3が1つのみのいわゆる単層ディスクとする場合を例示したが、記録膜を複数形成した多層ディスクとすることもできる。
その場合、フレキシブルディスク1を対象とした照射光についての合焦位置の選択(記録/再生対象とする記録膜3の選択)は、前述のエキスパンダにより行うものとすればよい。
【0199】
また、これまでの説明では、基準面Refにトラッキングサーボのために形成する位置案内子として、案内溝を形成することとしたが、位置案内子としては、溝によるもの以外にも、例えばマークの記録によるものとすることもできる。
【0200】
また、本技術は、以下に示す構成とすることもできる。
(1)
所定の厚みを有するスペーサを介してフレキシブルディスクを保持すると共に、上記フレキシブルディスクとの間に空気を流入するための穴部が形成されたターンテーブルと、
上記フレキシブルディスクを上記ターンテーブルと共に回転駆動する回転駆動部と、
上記フレキシブルディスクを対象とした第1の光の照射と上記ターンテーブルを対象とした第2の光の照射とを行う共に、これら第1の光と第2の光の照射に応じてそれぞれ得られる戻り光の受光を行う光照射・受光部と
を備えると共に、
上記ターンテーブルに、上記光照射・受光部による光照射位置を案内するための位置案内子が形成され、
上記光照射・受光部で得られる上記第2の光の戻り光についての受光信号に基づき、上記第1の光の照射位置を制御する位置制御部を備える
光ディスク装置。
(2)
上記光照射・受光部は、
上記第1の光と上記第2の光とを共通の対物レンズを介して照射するように構成されており、
上記位置制御部は、
上記第2の光についての受光信号に基づいて上記対物レンズの位置を制御することで、上記第1の光についての位置制御を行う
上記(1)に記載の光ディスク装置。
(3)
上記ターンテーブルは、
上記フレキシブルディスクよりも上記光照射・受光部に対して近い側に配置されている
上記(1)又は(2)に記載の光ディスク装置。
(4)
上記第1の光と上記第2の光は波長が異なり、上記位置案内子に応じた戻り光を得るための反射膜が上記第2の光を選択反射する波長選択膜で構成されている
上記(3)に記載の光ディスク装置。
(5)
上記ターンテーブルは、
上記フレキシブルディスクよりも上記光照射・受光部に対して遠い側に配置されている
上記(1)又は(2)に記載の光ディスク装置。
(6)
上記光照射・受光部は、
上記フレキシブルディスクに記録を行うための記録光を上記第1の光として照射すると共に、隣接トラックサーボ用のATS光をさらに照射するように構成され、
上記位置制御部は、
上記対物レンズを上記フレキシブルディスクの半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に駆動するトラッキング機構と、
上記第2の光についての受光信号に基づき、上記位置案内子に対する上記第2の光の照射スポット位置の誤差を表す基準面側トラッキング誤差信号を生成する基準面側トラッキング誤差信号生成部と、
上記基準面側トラッキング誤差信号に対してトラッキングサーボのためのフィルタ処理を施して、上記基準面側トラッキング誤差信号が表すトラッキング誤差をキャンセルするための基準面側トラッキングサーボ信号を生成する基準面側トラッキングサーボ信号生成部と、
上記基準面側トラッキングサーボ信号に基づき上記トラッキング機構を駆動するトラッキング駆動部と、
上記光照射・受光部により得られる上記ATS光についての受光信号に基づき、上記フレキシブルディスクに上記記録光の照射に応じて記録されたマーク列に対する上記ATS光の照射スポット位置の誤差を表すATS側トラッキング誤差信号を生成するATS側トラッキング誤差信号生成部と、
上記ATS側トラッキング誤差信号に対してトラッキングサーボのためのフィルタ処理を施して、上記ATS側トラッキング誤差信号が表すトラッキング誤差をキャンセルするためのATS制御信号を生成するATS制御信号生成部と、
上記ATS制御信号を、上記基準面側トラッキングサーボ信号生成部を含むトラッキングサーボループに対して与える信号付与部とを有する
上記(2)〜(5)に記載の光ディスク装置。
【符号の説明】
【0201】
1 フレキシブルディスク、2 シート基板、3 記録膜、4 保護膜、10 光ディスク装置、11 光ピックアップ、12,12’ クランパ、13 ターンテーブル13、13A スペーサ、13B 貫通孔、13-1 保護膜、13-2 反射膜、13-3 案内溝転写膜、13-4 基板、15r 記録用レーザ、15ap ATS・再生時用レーザ、16,29 コリメーションレンズ、17,30 偏光ビームスプリッタ、18 固定レンズ、19 可動レンズ、20 レンズ駆動部、21 ミラー、22,31 1/4波長板、23 ダイクロイックプリズム、24 対物レンズ、25 2軸アクチュエータ、26,32 集光レンズ、27 第1受光部、28 基準面サーボ用レーザ、33 第2受光部、35 記録処理部、36 マトリクス回路、37 再生処理部、38 再生時用サーボ回路、39 ATS側サーボフィルタ、40 信号生成部、41 基準面側サーボフィルタ、42 記録時用フォーカスサーボ回路、43 加算部、44,45 セレクタ、46 フォーカスドライバ、47 トラッキングドライバ、48 コントローラ、49 スピンドルモータ(SPM)、51 クロック生成回路、51A,51C スライス回路、51B sum微分回路、51D ANDゲート回路、51E PLL回路、52 selector信号生成回路、53 エラー信号生成回路、SH-A1〜SH-F2 サンプルホールド回路、53A〜53F 減算部、54 case判定回路、55 リニアエラー信号生成回路、56 selector信号選択回路、57 アドレス検出回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の厚みを有するスペーサを介してフレキシブルディスクを保持すると共に、上記フレキシブルディスクとの間に空気を流入するための穴部が形成されたターンテーブルと、
上記フレキシブルディスクを上記ターンテーブルと共に回転駆動する回転駆動部と、
上記フレキシブルディスクを対象とした第1の光の照射と上記ターンテーブルを対象とした第2の光の照射とを行う共に、これら第1の光と第2の光の照射に応じてそれぞれ得られる戻り光の受光を行う光照射・受光部と
を備えると共に、
上記ターンテーブルに、上記光照射・受光部による光照射位置を案内するための位置案内子が形成され、
上記光照射・受光部で得られる上記第2の光の戻り光についての受光信号に基づき、上記第1の光の照射位置を制御する位置制御部を備える
光ディスク装置。
【請求項2】
上記光照射・受光部は、
上記第1の光と上記第2の光とを共通の対物レンズを介して照射するように構成されており、
上記位置制御部は、
上記第2の光についての受光信号に基づいて上記対物レンズの位置を制御することで、上記第1の光についての位置制御を行う
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項3】
上記ターンテーブルは、
上記フレキシブルディスクよりも上記光照射・受光部に対して近い側に配置されている
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項4】
上記第1の光と上記第2の光は波長が異なり、上記位置案内子に応じた戻り光を得るための反射膜が上記第2の光を選択反射する波長選択膜で構成されている
請求項3に記載の光ディスク装置。
【請求項5】
上記ターンテーブルは、
上記フレキシブルディスクよりも上記光照射・受光部に対して遠い側に配置されている
請求項1に記載の光ディスク装置。
【請求項6】
上記光照射・受光部は、
上記フレキシブルディスクに記録を行うための記録光を上記第1の光として照射すると共に、隣接トラックサーボ用のATS光をさらに照射するように構成され、
上記位置制御部は、
上記対物レンズを上記フレキシブルディスクの半径方向に平行な方向であるトラッキング方向に駆動するトラッキング機構と、
上記第2の光についての受光信号に基づき、上記位置案内子に対する上記第2の光の照射スポット位置の誤差を表す基準面側トラッキング誤差信号を生成する基準面側トラッキング誤差信号生成部と、
上記基準面側トラッキング誤差信号に対してトラッキングサーボのためのフィルタ処理を施して、上記基準面側トラッキング誤差信号が表すトラッキング誤差をキャンセルするための基準面側トラッキングサーボ信号を生成する基準面側トラッキングサーボ信号生成部と、
上記基準面側トラッキングサーボ信号に基づき上記トラッキング機構を駆動するトラッキング駆動部と、
上記光照射・受光部により得られる上記ATS光についての受光信号に基づき、上記フレキシブルディスクに上記記録光の照射に応じて記録されたマーク列に対する上記ATS光の照射スポット位置の誤差を表すATS側トラッキング誤差信号を生成するATS側トラッキング誤差信号生成部と、
上記ATS側トラッキング誤差信号に対してトラッキングサーボのためのフィルタ処理を施して、上記ATS側トラッキング誤差信号が表すトラッキング誤差をキャンセルするためのATS制御信号を生成するATS制御信号生成部と、
上記ATS制御信号を、上記基準面側トラッキングサーボ信号生成部を含むトラッキングサーボループに対して与える信号付与部とを有する
請求項2に記載の光ディスク装置。
【請求項7】
所定の厚みを有するスペーサを介してフレキシブルディスクを保持すると共に、上記フレキシブルディスクとの間に空気を流入するための穴部と、光照射位置を案内するための位置案内子とが形成されたターンテーブルを、上記フレキシブルディスクと共に回転駆動する回転駆動手順と、
上記フレキシブルディスクを対象とした第1の光の照射と上記ターンテーブルを対象とした第2の光の照射とを行う共に、これら第1の光と第2の光の照射に応じてそれぞれ得られる戻り光の受光を行う光照射・受光手順と、
上記光照射・受光手順で得られる上記第2の光についての受光信号に基づき、上記第1の光の照射位置を制御する位置制御手順と
を有する位置制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2013−20660(P2013−20660A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150590(P2011−150590)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】