説明

光ディスク装置、光ディスク、フォーカスサーボ方法およびプログラム

【課題】複数の記録・再生層を持つ多層構造の光ディスクにおいて、確実に焦点合わせを行う。
【解決手段】同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、内周付近の一定領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域12とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスク10をアクセスする。焦点合わせ制御回路40は、ディスクアクセスの初期化において、校正領域12にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するそれぞれのフォーカスサーボの補正バイアス値を保持し、記録再生領域のアクセス時に、所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせを、所定の波長のレーザ光に対応する補正バイアス値に基づいて行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置、光ディスク、フォーカスサーボ方法およびプログラムに関し、特に光ディスクからの反射光を基にした自動焦点合わせ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスク装置は、渦巻状または円周状に記憶・再生トラックが形成される光ディスクの所望のトラックにアクセスするために、光学ピックアップ(光ヘッド)を光ディスクの半径方向およびレンズの焦点方向に移動させて、リードライトを行う。この焦点方向の移動の際に、レンズの位置合わせを目的として、光ディスクの一部にフォーカスサーボ調整領域(校正領域)を設けて焦点ずれを補正する技術が知られている(特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1に記載の光ディスク装置は、単一波長の直線偏光レーザ光を光ディスク媒体に当て、その反射光を分離して二分割ホトセンサに入力し、その差信号と和信号を取り出し、その二つの信号を用いて自動焦点合わせを行う。和信号のうちの高域信号を通過させる高域フィルタと、高域フィルタを通過した信号を積分する積分器と、信号をデジタル信号に変換するA−D変換器と、変換された校正レベルデータとして以前の校正レベルデータと比較演算するマイクロプロセッサと、演算結果を基に対物レンズを焦点方向に移動させるアナログ信号に変換するD−A変換器と、アナログ信号の入力により電磁コイルを駆動する電力を出力する電力増幅器とを備える。なお、光ディスク媒体は、同心円状に形成されるトラックの溝とは別に光ディスク媒体の内周付近の一定領域に一定幅の半径方向の溝を形成している。
【0004】
特許文献2に記載の光ディスク装置は、半径方向に凹凸形状を配したフォーカスサーボ調整領域を含む光ディスクにフォーカスサーボを行う。単一のレンズによる回折限界を超えてレーザ光を光ディスクに集光照射する対物レンズを含む光ピックアップをフォーカスサーボ調整領域に移動させ、フォーカスサーボ調整領域においてフォーカス引き込みを行う。そして、対物レンズを光ディスクの半径方向に移動させ、凹凸形状に起因して検出した再生信号のピークを検出し、再生信号のピークが最大となるようにフォーカスサーボのオフセットを調整する。
【0005】
このような光ディスク装置によれば、光ディスクにフォーカスサーボ調整領域(校正領域)を設け、この領域にアクセスして焦点ずれのための補正値を求めて、この補正値によって焦点ずれを補正するので、正確な焦点合わせを行うことができる。
【0006】
【特許文献1】特開平6−60407号公報
【特許文献2】特開2001−93163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、光ディスクの記録密度が高められ、複数の記録層を設けた光ディスクが存在する。従来の光ディスク装置の焦点制御において、反射率がある一定の範囲(規格内)にある場合には、焦点合わせを正常に行うことが可能である。しかし、複数の記録層を持つ光ディスクでは、反射率が異なるために焦点合わせを確実に行うことが出来なくなってしまう。データの再生のみに供する場合、レンズが合焦点付近にあれば、データの再生処理にあまり影響を及ぼさない場合もある。一方、データの記録過程においては、記録面に対するエネルギー密度が分散したり、データピットの大きさ・形状が変わってしまったりする等の理由で、正常に記録が行えなくなる可能性が増大する。
【0008】
本発明の目的は、複数の記録・再生層を持つ多層構造の光ディスクにおいて、確実に焦点合わせを行う焦点合わせ技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つのアスペクトに係る光ディスク装置は、同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスクをアクセスする光ディスク装置であって、校正領域における複数の記録層に対応するそれぞれ波長の異なるレーザ光を光ディスクに照射するレーザ光発生器と、光ディスクの記録層からの反射光を電気信号に変換する光センサと、ディスクアクセスの初期化において、校正領域にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するフォーカスサーボの補正バイアス値をそれぞれ保持し、記録再生領域のアクセス時に、所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせにおいて、所定の波長のレーザ光に対応する補正バイアス値に基づいて駆動信号を出力する焦点合わせ制御回路と、駆動信号によって、レンズの焦点を光ディスクの記録層に対して位置決めする焦点方向駆動コイルと、を備える。
【0010】
第1の展開形態の光ディスク装置において、焦点合わせ制御回路は、電気信号に含まれる焦点制御信号を分離出力する高域フィルタと、高域フィルタで分離された焦点制御信号の高周波成分の最大値を元に補正バイアス値を求めるレベル判定回路と、複数の記録層のそれぞれに対応する補正バイアス値を保持して要求に応じて出力する補正バイアス生成器と、補正バイアス値の供給を受けながら、焦点合わせを行うに要する電圧値を出力する焦点レベル生成器と、焦点レベル生成器が出力する電圧値に応じて焦点方向駆動コイルに駆動信号を出力する焦点方向駆動アンプと、を備えるようにしてもよい。
【0011】
第2の展開形態の光ディスク装置において、レベル判定回路は、分離された焦点制御信号成分の高周波成分の最大値を記憶するピークホールド回路と、ピークホールド回路の出力をデジタル数値に変換するAD変換器とを備え、補正バイアス生成器は、AD変換器の出力データを複数の記録層のそれぞれに対応させてそれぞれ記憶する複数の補正バイアス生成回路を備え、記録再生領域のアクセス時に、アクセス対象となる記録層に対応して複数の補正バイアス生成回路の一つを選択し、出力される出力値を焦点レベル生成器に供給するようにしてもよい。
【0012】
本発明の1つのアスペクトに係る光ディスクは、同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域に、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層を備える。
【0013】
第1の展開形態の光ディスクにおいて、複数の記録層にそれぞれ対応する記録層を記録再生領域に備えてもよい。
【0014】
本発明の1つのアスペクトに係るフォーカスサーボ方法は、同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスクを光ディスク装置がアクセスしてフォーカスサーボを行う方法であって、ディスクアクセスの初期化において、校正領域にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するそれぞれのフォーカスサーボの補正バイアス値を保持するステップと、記録再生領域のアクセス時に、所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせを、所定の波長のレーザ光に対応する補正バイアス値に基づいて行うステップと、を含む。
【0015】
第1の展開形態のフォーカスサーボ方法において、補正バイアス値を保持するステップにおいて、反射光を電気信号に変換して得たセンサ信号の振幅から反射光が合焦となる位置を判定し、電気信号の高周波成分の振幅が最大値となる時点のセンサ信号のレベルを元に補正バイアス値を求めるようにしてもよい。
【0016】
本発明の1つのアスペクトに係るプログラムは、同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスクをアクセスする光ディスク装置を構成するコンピュータに、校正領域にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するそれぞれのフォーカスサーボの補正バイアス値を保持するディスクアクセス初期化処理と、所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせのためのサーボ信号を、所定の波長のレーザ光に対応する補正バイアス値に基づいて生成する記録再生領域アクセス処理と、を実行させる。
【0017】
第1の展開形態のプログラムにおいて、ディスクアクセス初期化処理において、反射光を電気信号に変換して得たセンサ信号の振幅から反射光が合焦となる位置を判定し、電気信号の高周波成分の振幅が最大値となる時点のセンサ信号のレベルを元に補正バイアス値を求めるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数の記録層を持つ光ディスクのアクセスに際し、記録層毎に焦点ずれ校正領域を設けた光ディスクを用いて記録層毎に補正値を求め、この補正値を用いて焦点ずれを補正することで正確に焦点合わせを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る光ディスクの構造を模式的に示す図である。図1において、光ディスク10は、同心円もしくはスパイラル状に形成されるトラック方向の溝を有する記録再生領域11と、光ディスクの所定の領域、例えば内周付近の一定領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域12とを備える。さらに、光ディスク10は、複数の記録層、例えば、波長λa用の記録層A、波長λb用の記録層B、波長λc用の記録層Cを備える。
【0020】
校正領域12は、例えば内周付近の幅3mmの区間に、半径方向の溝の深さがそれぞれの記録層に対応して照射されるレーザ光の波長λの1/4となるように形成され、また溝の間隔をレーザ光の波長λと同じかもしくは波長λに近い間隔で形成される。このような構造としたことにより、照射したレーザ光は、光ディスク記録面の溝の部分凹部からの反射光と、凸部からの反射光との位相差はλ/4×2=λ/2となり、凹部と凸部との境界では加算効果が生じ、焦点制御用の反射光が得られる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。図2において、光ディスク装置は、光ヘッド20、前置増幅器30、焦点合わせ制御回路40、トラック制御回路60を備える。また、光ヘッド20は、レーザ光発生器21、回析格子22、ハーフミラー23、コリメータレンズ24、対物レンズ25、光センサ26、焦点方向駆動コイル27、トラック方向駆動コイル28を備える。
【0022】
レーザ光発生器21は、複数の波長のレーザ光A、B、Cを選択的に出力する。回析格子22は、レーザ光発生器21によって照射されたレーザ光の偏光面を通過させ、あるいは反射光をレーザ光発生器21に帰還させないように機能する。ハーフミラー23は、レーザ光を光ディスク面に照射し、反射光を光センサ26に透過させる。コリメータレンズ24は、拡散された光を平行光に変換する。対物レンズ25は、焦点方向あるいは光ディスク10の半径方向に可動し、光ディスク10の記録面に照射光の焦点を一致させたり照射光をトラック軌道に合わせたりする。光センサ26は、光ディスク10の記録面の反射光を受光して電気信号に変換する。また、前置増幅器30は、光センサ26によって電気信号に変換された信号を増幅して光センサ信号Vsを焦点合わせ制御回路40に出力する。焦点合わせ制御回路40は、光センサ信号Vsを元に駆動信号を生成して焦点方向駆動コイル27を動作させる。焦点方向駆動コイル27は、駆動信号に基づいて対物レンズ25を駆動する。さらに、トラック制御回路60は、光センサ信号Vsを元にトラック方向駆動コイル28を駆動し、対物レンズ25を光ディスクの半径方向に移動させる。
【0023】
図3は、焦点合わせ制御回路40の構成を表すブロック図である。焦点合わせ制御回路40は、低域フィルタ41、高域フィルタ42、反射光ピークレベル判定器43、焦点位置補正バイアス生成器44、焦点レベル生成器45、レンズ位置判定回路46、マイクロコンピュータ47、初期焦点合わせ回路48、アナログスイッチ49、焦点方向駆動アンプ50を備える。
【0024】
焦点合わせ制御回路40は、ディスクアクセスの初期化において、校正領域12にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するフォーカスサーボの補正バイアス値を焦点位置補正バイアス生成器44にそれぞれ保持する。この初期位置制御の状態では、レンズ位置判定回路46、マイクロコンピュータ47、初期焦点合わせ回路48、アナログスイッチ49、焦点方向駆動アンプ50の経路によって発生する駆動信号で焦点方向駆動コイル27が駆動される。
【0025】
また、焦点合わせ制御回路40は、記録再生領域11のアクセス時に、所定の波長のレーザ光を記録再生領域11に照射して得られる反射光の焦点合わせにおいて、所定の波長のレーザ光に対応する補正バイアス値に基づいて駆動信号を出力する。この自動焦点合わせ状態では、低域フィルタ41、焦点レベル生成器45、アナログスイッチ49、焦点方向駆動アンプ50の経路によって発生する駆動信号で焦点方向駆動コイル27が駆動される。
【0026】
高域フィルタ42は、光センサ信号Vsの高周波成分の電圧Vacを通過させて反射光ピークレベル判定器43に出力する。反射光ピークレベル判定器43は、光センサ信号Vsの高周波成分の電圧Vacの最大レベル値(ピーク値)を保持し、AD変換して焦点位置補正バイアス生成器44に出力する。焦点位置補正バイアス生成器44は、対物レンズ25の合焦点位置を制御するための焦点レベル生成器45に対し、光ディスク10の反射率の違いを反映した反射光ピークレベル判定器43のデータから、補正バイアスを焦点レベル生成器45に対して供給する。
【0027】
次に、光ディスク装置の動作について説明する。図4は、本発明の実施形態に係る光ディスク装置の動作を表すフローチャートである。
【0028】
光ディスク装置の電源が投入されると(ステップS1)、マイクロコンピュータ47にプログラムされている制御により、装置の初期状態を認識し(ステップS2)、光ディスク10の装填待ちとなる(ステップS3)。
【0029】
光ディスク10が装填されると、光ディスク10を回転させ(ステップS4)、焦点の引込み動作を実行する(ステップS5)。この焦点引込み動作では、焦点合わせ制御回路40によって次のような焦点合わせが行われる。
【0030】
図5は、対物レンズ25の位置と光センサ信号Vsの電位の関係を示す図である。合焦位置の電位をVsj、焦点引込み位置の電位(自動焦点合わせ開始電位)をVsp、焦点引込み位置より遠位置の電位をVsf、合焦位置付近の電位をVsx、Vsy、合焦位置付近よりレンズ側の位置の電位をVszとする。各々の電位は、Vsf>Vsp>Vsx>Vsj>Vsy>Vszの関係にある。また光センサ信号Vsは、記録データの高周波成分の電圧Vacと焦点ずれ量を示す電圧Vdcとの加算電圧であり、Vs=Vac+Vdcの関係にある。
【0031】
初期焦点合わせ回路48の出力は、マイクロコンピュータ47の制御により、アナログスイッチ49を介し、対物レンズ25を遠位置から徐々に近位置に駆動する電位を焦点方向駆動アンプ50に出力し、焦点方向駆動アンプ50は、対物レンズ25を焦点方向に移動させる。これに伴い、図5に示すように、対物レンズ25の位置に応じて光センサ信号Vsが変化する。合焦点付近では、特に偏心によってレーザビームスポットを横断するデータトラックの凹凸が高域フィルタ42によって光センサ信号Vsの高周波成分の電圧Vacとして大きく捉えられるようになる。
【0032】
焦点引き込みに成功すれば、次に、レーザビームのスポットをデータトラック軌道上に載せるトラック制御回路60を作動させる(ステップS6)。さらに、トラック方向駆動コイル28を通じて対物レンズ25を制御し、データトラック軌道上にレーザビームスポットが維持されるようにする。
【0033】
次に、データの記録または再生を行う目的のトラックまで移動し(ステップS7)、データの記録・再生処理を行い(ステップS8)、同一光ディスクでのデータ記録・再生が終わるまで(ステップS9)、ステップS7からステップS9を繰り返す。
【0034】
データの記録・再生が終了した後は、光ディスクが取り出されたかどうかを確認し(ステップS10)、新たな光ディスク装填を待ち受ける(ステップS3)。
【0035】
次に、焦点合わせの動作について詳述する。図6は、焦点ずれ校正と焦点引込みを行うステップS5の詳細を示すフローチャートである。
【0036】
対物レンズ25の位置が図5に示す遠位置VsfになるデータDfを初期焦点合わせ回路48に入力する(ステップS51)。初期焦点合わせ回路48の出力が焦点方向駆動アンプ50に入力されるようにアナログスイッチ49を切り換える(ステップS52)。
【0037】
対物レンズ25を遠位置から近位置方向に駆動するデータDf+1を初期焦点合わせ回路48に入力し(ステップS53)、「光センサ信号Vs≧自動焦点合わせ開始電位Vsp」となったか否かを監視する(ステップS54、S55)。「Vs<Vsp」の場合は、「Vs≧Vsp」となるまでステップS53、S54を繰り返す。
【0038】
「Vs≧Vsp」となった時点から、ピークホールドデータPdを反射光ピークレベル判定器43によって監視し(ステップS56〜S60)、Pdが変化しなくなった時点における初期焦点合わせ回路48の出力電圧Vfを記憶する(ステップS61)。
【0039】
焦点位置補正バイアス生成器44の一つの回路、例えば補正バイアス回路44aにピークホールドデータPdを取り込み、焦点レベル生成器45にバイアス電圧を出力し(ステップS62)、「焦点レベル生成器の出力電圧Vo=初期焦点合わせ回路48の出力電圧Vf」となることを確認する(ステップS63)。
【0040】
「Vo=Vf」となった時点で、焦点レベル生成器45と焦点方向駆動アンプ50とを接続するようにアナログスイッチ49を切り換える(ステップS64)。
【0041】
以上のように動作する焦点合わせ制御回路40の動作によって、対物レンズ25→光センサ26→前置増幅器30→低域フィルタ41→焦点レベル生成器45→アナログスイッチ49→焦点方向駆動アンプ50→焦点方向駆動コイル27→対物レンズ25からなる閉回路が形成され、所望の記録層に対する合焦位置の電位Vsjを維持するように制御される。
【0042】
なお、ステップS60において、ピークホールドデータPdが変化しない場合、あるいは近似データを得られない場合には、光ディスク担体または光ディスク装置の異常を示すエラーを表示し(ステップS65)、終了する。
【0043】
以上のように、光ディスク装置は、媒質の異なる複数の記録層を持つ光ディスクのアクセスに際し、記録層毎に焦点ずれ校正領域を設けた光ディスクを用いて補正値を求め、記憶した補正値を元に焦点合わせを行うように動作する。したがって、複数の記録層を持つ光ディスクのアクセスであっても、より正確な焦点合わせを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態に係る光ディスクの構造を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図3】焦点合わせ制御回路の構成を表すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態に係る光ディスク装置の動作を表すフローチャートである。
【図5】対物レンズの位置と光センサ信号の電位の関係を示す図である。
【図6】焦点ずれ校正と焦点引込みを行うステップの詳細を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0045】
10 光ディスク
11 記録再生領域
12 校正領域
20 光ヘッド
21 レーザ光発生器
22 回析格子
23 ハーフミラー
24 コリメータレンズ
25 対物レンズ
26 光センサ
27 焦点方向駆動コイル
28 トラック方向駆動コイル
30 前置増幅器
40 焦点合わせ制御回路
41 低域フィルタ
42 高域フィルタ
43 反射光ピークレベル判定器
44 焦点位置補正バイアス生成器
44a〜44c 補正バイアス回路
45 焦点レベル生成器
46 レンズ位置判定回路
47 マイクロコンピュータ
48 初期焦点合わせ回路
49 アナログスイッチ
50 焦点方向駆動アンプ
60 トラック制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスクをアクセスする光ディスク装置であって、
前記校正領域における複数の記録層に対応するそれぞれ波長の異なるレーザ光を前記光ディスクに照射するレーザ光発生器と、
前記光ディスクの記録層からの反射光を電気信号に変換する光センサと、
ディスクアクセスの初期化において、前記校正領域にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するフォーカスサーボの補正バイアス値をそれぞれ保持し、記録再生領域のアクセス時に、所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせにおいて、前記所定の波長のレーザ光に対応する前記補正バイアス値に基づいて駆動信号を出力する焦点合わせ制御回路と、
前記駆動信号によって、レンズの焦点を光ディスクの記録層に対して位置決めする焦点方向駆動コイルと、
を備えることを特徴とする光ディスク装置。
【請求項2】
前記焦点合わせ制御回路は、
前記電気信号に含まれる焦点制御信号を分離出力する高域フィルタと、
前記高域フィルタで分離された焦点制御信号の高周波成分の最大値を元に前記補正バイアス値を求めるレベル判定回路と、
前記複数の記録層のそれぞれに対応する前記補正バイアス値を保持して要求に応じて出力する補正バイアス生成器と、
前記補正バイアス値の供給を受けながら、焦点合わせを行うに要する電圧値を出力する焦点レベル生成器と、
前記焦点レベル生成器が出力する電圧値に応じて前記焦点方向駆動コイルに駆動信号を出力する焦点方向駆動アンプと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の光ディスク装置。
【請求項3】
前記レベル判定回路は、
前記分離された焦点制御信号成分の高周波成分の最大値を記憶するピークホールド回路と、
前記ピークホールド回路の出力をデジタル数値に変換するAD変換器と
を備え、
前記補正バイアス生成器は、
前記AD変換器の出力データを複数の記録層のそれぞれに対応させてそれぞれ記憶する複数の補正バイアス生成回路を備え、
前記記録再生領域のアクセス時に、アクセス対象となる記録層に対応して前記複数の補正バイアス生成回路の一つを選択し、出力される出力値を前記焦点レベル生成器に供給することを特徴とする請求項2記載の光ディスク装置。
【請求項4】
同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、
所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、
該校正領域に、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層を備えることを特徴とする光ディスク。
【請求項5】
前記複数の記録層にそれぞれ対応する記録層を前記記録再生領域に備えることを特徴とする請求項4記載の光ディスク。
【請求項6】
同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスクを光ディスク装置がアクセスしてフォーカスサーボを行う方法であって、
ディスクアクセスの初期化において、前記校正領域にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するそれぞれのフォーカスサーボの補正バイアス値を保持するステップと、
前記記録再生領域のアクセス時に、所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせを、前記所定の波長のレーザ光に対応する前記補正バイアス値に基づいて行うステップと、
を含むことを特徴とするフォーカスサーボ方法。
【請求項7】
前記補正バイアス値を保持するステップにおいて、反射光を電気信号の変換して得たセンサ信号の振幅から反射光が合焦となる位置を判定し、前記電気信号の高周波成分の振幅が最大値となる時点のセンサ信号のレベルを元に前記補正バイアス値を求めることを特徴とする請求項6記載のフォーカスサーボ方法。
【請求項8】
同心円状に形成される溝を有する記録再生領域と、所定の領域に一定幅の半径方向の溝を形成した校正領域とを有し、該校正領域には、少なくともそれぞれ波長の異なるレーザ光に対応する複数の記録層が存在する光ディスクをアクセスする光ディスク装置を構成するコンピュータに、
前記校正領域にそれぞれ波長の異なるレーザ光を順次照射して得られる反射光が合焦となるそれぞれの位置に対応するそれぞれのフォーカスサーボの補正バイアス値を保持するディスクアクセス初期化処理と、
所定の波長のレーザ光を記録再生領域に照射して得られる反射光の焦点合わせのためのサーボ信号を、前記所定の波長のレーザ光に対応する前記補正バイアス値に基づいて生成する記録再生領域アクセス処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項9】
前記ディスクアクセス初期化処理において、反射光を電気信号の変換して得たセンサ信号の振幅から反射光が合焦となる位置を判定し、前記電気信号の高周波成分の振幅が最大値となる時点のセンサ信号のレベルを元に前記補正バイアス値を求めることを特徴とする請求項8記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−305226(P2007−305226A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−132620(P2006−132620)
【出願日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(000232140)NECフィールディング株式会社 (373)
【Fターム(参考)】