光ディスク記録方法、光ディスク記録装置及び光ディスク
【課題】高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録されるマークのエッジ位置のずれを抑制して記録データの品質を向上させること。
【解決手段】発光パルス波形として、マークを形成する記録パルス1,2,3に先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルス4を印加する。そして、予熱パルスの立ち上り位置dTphまたはパワーレベルPpを、直前のスペースの長さに応じて変化させる。さらには、予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを、直後に形成するマークの長さに応じて変化させる。
【解決手段】発光パルス波形として、マークを形成する記録パルス1,2,3に先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルス4を印加する。そして、予熱パルスの立ち上り位置dTphまたはパワーレベルPpを、直前のスペースの長さに応じて変化させる。さらには、予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを、直後に形成するマークの長さに応じて変化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録可能な光ディスクに情報信号に基づくレーザビーム信号を照射し情報信号を記録する光ディスクの記録技術に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD−RAMやDVD−Rなどの記録可能な光ディスクの情報記録面には、反射率の異なる第1の状態と第2の状態とがあり、熱的な条件によって第1の状態から第2の状態へと可逆的あるいは不可逆的に状態変化できるように構成されている。特に状態変化が可逆的な光ディスクは書換型ディスクと、状態変化が不可逆的な光ディスクは追記型ディスクと呼ばれている。これらの光ディスクにおいては、レーザビームを微細な光スポットとして情報記録面に集光し局所的に加熱し、情報信号に応じて第1の状態(スペース)と第2の状態(マーク)を繰り返すパターンを形成することによって情報信号を記録している。
【0003】
記録する情報信号に対し、照射するレーザビームの発光波形(照射パワーレベルの時間的変化パターン)を記録ストラテジと呼ぶ。そして蓄熱によるマーク形状の歪みを抑制するため次のような記録ストラテジが提案されている。
【0004】
第1の方式は、記録マークを形成するマーク期間において、高パワーの第1のパワーレベル(記録レベル)と、低パワーの第2のパワーレベル(バイアスレベル)とを交互に繰り返す、複数個の連続パルス方式(マルチパルス方式とも呼ばれる)である。
【0005】
第2の方式は、記録マークを形成するマーク期間において、先頭部を高パワーの第1のパワーレベル期間(トップパルス期間)とし、それに続く期間を低パワーの第2のパワーレベル(中間バイアス期間)とした方式である。なお、マーク期間の後端部において、前記第1のパワーレベル期間(ラストパルス期間)を設けることもできる(キャッスル方式とも呼ばれる)。第2の方式においては短パルス幅の繰り返しがないので、高速記録の場合においても、発光波形の歪みを少なくできる利点がある。
【0006】
さらにスペース期間からマーク期間へ移行する際、切り替え位置での温度を早期に一定化するため、切り替え位置直前のスペース期間において記録レベルに至らない予熱パルス(プリヒートレベル)を与える予熱方式も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−29239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の光ディスク(CD、DVD)の大容量・高密度化を図るため、波長405nm帯の青色レーザを用いた大容量次世代光ディスク(Blu−ray Disc、以下BD)が開発・製品化されている。次世代光ディスクでは、1−7PP変調方式が採用され、マーク及びスペースのサイズが極小化されている。マーク長及びスペース長は、従来DVDでは3〜11Twであったのに対し、BDでは2〜8Twとなる。ここにTwはデータ検出窓幅であり、基準クロックの周期と等しい。その結果、周方向の最短マーク長及び最短スペース長は、DVDが約0.42μmであるのに対し、BDでは約0.15μmであって、隣接するマークが極めて近接して配置されることになる。
【0009】
一方記録の高速化に関しては、BDにおけるデータ検出窓幅Twは標準速で15ns程度であるから、2倍速記録時はTw=7.5ns程度、4倍速記録時はTw=4ns程度と短小化する。その際、レーザの過渡的な発光特性(スルーレイト)に起因するパルス波形の変形歪の問題が生じる。
【0010】
図2は、レーザ光源の一般的な発光特性を示したもので、発光パワーレベルが変化するのに所定の時間を要する。ボトム側10%レベルからトップ側90%レベルまで変化するのに要する時間を立ち上り時間、逆に90%から10%まで変化するのに要する時間を立ち下り時間と呼ぶと、これらの立ち上り時間及び立ち下り時間は共に1ns程度である。記録速度が高速化するほど、Twに対する立ち上り時間及び立ち下り時間の割合が大きくなり、レーザの発光波形は理想的な矩形波からずれた台形形状となる。更には発光波形が三角形状となり、発光パワーがトップレベルに到達せず、マーク形成が不完全となる。その結果、記録マークの先頭エッジ及び終端エッジ位置の精度が悪化し、データ品質が悪化(エラー増加)する要因となる。
【0011】
上記特許文献1には、予熱方式により立ち上り時の温度を早期に一定化させることが述べられている。しかし、上記次世代ディスク(BD)のように記録マークが極めて近接して配置される場合、隣接マークからの熱干渉がより顕著に現れる。ここでの熱干渉とは、あるマークを記録する際にレーザビームによって注入された熱が拡散し、隣接する前後のマークの形成に影響を与えることである。その結果、形成されるマークのエッジ位置(境界位置)が所望位置からずれることになる。熱干渉の度合は、隣接するマークからの距離、すなわちスペース長に依存する。よって予熱方式において、予熱パルスを一律に与えるのでは不十分で、隣接マークからの熱干渉を十分考慮して予熱パルスのレベルや期間を設定しなければならない。上記特許文献1では、熱干渉を考慮した予熱パルスの具体的な設定については触れられていない。
【0012】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を鑑みて、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録されるマークのエッジ位置のずれを抑制して記録データの品質を向上させることが可能な光ディスク記録方法、光ディスク装置、及びこれに用いる光ディスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光ディスク記録方法は、情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成するものであって、マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加し、予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて変化させる。
【0014】
さらには、前記予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを、直後に形成するマークの長さに応じて変化させる。
【0015】
また本発明の光ディスク記録装置は、光ディスクに照射する光ビームを発生するレーザ光源と、情報信号からレーザ光源の発生する光ビームのパルス波形を生成する信号処理部と、情報信号に応じて信号処理部を制御する制御部とを備える。そして、信号処理部の生成するパルス波形は、マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを含み、制御部は、予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて制御する。
【0016】
また本発明の光ディスクには、マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加する際に、直前のスペースの長さに対して予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルをどのように設定するかについての情報が予め記録されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高密度・高速記録において、記録されるマークのエッジ位置のずれを抑制して記録データの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光ディスク記録方法の一実施例としてその記録ストラテジを示す図(実施例1)。
【図2】レーザ光源の一般的な発光特性を示した図。
【図3】先頭パルスのみを照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図。
【図4】先頭パルスに先行して予熱パルスを照射した場合の温度変化を示す概念図。
【図5】予熱パルスの立ち上り位置を固定した場合の温度変化を示す概念図(スペース長が2Twの場合)。
【図6】予熱パルスの立ち上り位置を固定した場合の温度変化を示す概念図(スペース長が3Twの場合)。
【図7】予熱パルスの立ち上り位置を固定した場合の温度変化を示す概念図(スペース長が4Twの場合)。
【図8】予熱パルスの立ち上り位置を変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が2Twの場合)。
【図9】予熱パルスの立ち上り位置を変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が3Twの場合)。
【図10】前スペース長と記録マーク長の組合せに対する予熱パルスの立ち上り位置を設定するための参照テーブルの一例を示す図。
【図11】本発明の光ディスク記録方法の他の実施例としてその記録ストラテジを示す図(実施例2)。
【図12】前スペース長に応じて予熱パルスのパワーレベルを変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が2Twの場合)。
【図13】前スペース長に応じて予熱パルスのパワーレベルを変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が3Twの場合)。
【図14】前スペース長と記録マーク長の組合せに応じて予熱パルスのパワーレベルを設定するための参照テーブルの一例を示す図。
【図15】図1または図11において、最終パルスを省略した場合の記録ストラテジを示す図。
【図16】本発明による光ディスク記録装置の一実施例を示すブロック図(実施例3)。
【図17】本実施例における光ディスクの記録領域のレイアウトの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の光ディスク記録方法の一実施例としてその記録ストラテジを示す図である。本実施例における変調方式は1−7PP変調とし、記録再生における基準クロックの周期(データ検出窓幅)をTwとすると、最短マークおよび最短スペースの長さは2Twであり、最長マークおよび最長スペースの長さは8Twとなる。
【0021】
(a)は、光ディスクに対して記録すべき情報を時系列的に表わすNRZI信号であり、ここでは、記録マーク長が8Tw、4Tw、2Twの場合を示す。これに対して、適当な信号処理回路にて、(b)のようにレーザビームのパワーレベルが時系列的に変化する発光パルス波形(記録ストラテジ)に変換する。
【0022】
パルス波形はいわゆるキャッスル型とし、パワーレベルとしては記録レベルPw、中間レベルPm、予熱レベルPp、バイアスレベルPbの4個のレベルを設定する。光ディスクの記録膜に記録レベルPwのレーザビームを照射することにより、第1の状態(本実施例ではスペースとする)から第2の状態(本実施例ではマークとする)に移行が可能である。中間レベルPmは、記録レベルPwと等しいか或はそれより低いパワーレベルであり、記録レベルPwに続けて照射することによって記録膜を第1の状態から第2の状態へ移行可能である。予熱レベルPpは記録レベルPwに先行し、中間レベルPmより低いか又は同等のパワーレベルとし、予熱レベルPpのレーザビーム照射による記録膜温度上昇のみでは第1の状態から第2の状態に移行しないものとする。またバイアスレベルPbは予熱レベルPpよりも低いパワーレベルである。
【0023】
記録膜にマークを形成する際に、マーク長が4Tw以上の場合には、マーク先頭エッジ側に記録レベルPwで照射期間Ttopの先頭パルス1と、それに続けて中間レベルPmの中間パルス2と、マーク後端エッジ側に記録レベルPwで照射期間Tlpの最終パルス3を設ける。一方、マーク長が2Tw或は3Twの場合には、上記中間レベルPmの照射期間を設けず、記録レベルPwを単一パルス状に照射する。便宜上、この単一パルスも先頭パルス1と称する。
【0024】
また、先頭パルス1に先行して、以下に述べる所定の長さの予熱レベルPpの照射期間(予熱パルス4)を設ける。さらにマーク終端に続いて、バイアスレベルPbの照射期間を設ける。
【0025】
ここで、本実施例における各パルスの時刻(位置)及び照射時間(幅)の定義について説明する。先頭パルス1の立ち上り時刻は、NRZIの立ち上り時刻から1Twだけ経過した時刻を基準に、変位時間dTtopだけ先行した時刻とする。なお、該基準時刻に対して遅れて立ち上る場合には変位時間dTtopは負の値とする。また、先頭パルス1の照射時間Ttopは先頭パルス1の立ち上り時刻から立ち下り時刻までの時間とする。一方、最終パルス3の立ち上り時刻はNRZIの立ち下り時刻から1Twだけ先行する時刻を基準に、変位時間dTlpだけ先行した時刻とする。なお、該基準時刻に対して遅れて立ち上る場合には変位時間dTlpは負の値とする。また、最終パルス3の照射時間Tlpは最終パルス3の立ち上り時刻から立ち下り時刻までの時間とする。予熱パルス4の立ち上り時刻は、NRZIの立ち上り時刻を基準に、変位時間dTphだけ先行した時刻とする。なお、該基準時刻に対して遅れて立ち上る場合には変位時間dTphは負の値とする。
【0026】
本実施例においては、dTtop、Ttop、dTlp、Tlp、dTphの各値は基準クロックTwに対する線形項と非線形項(定数項)との和で定義する。例えばdTtopを(1)式で定義する。
dTtop=a・Tw/n+b・t (1)
ここにnは所定の整数であり、Tw/nはパルス分解能を表わす。tはTwに依存しない所定の時間である。またa及びbは各項の係数であり、ここでは整数とする。
【0027】
ただし本発明はこれに限るものではなく、例えば基準クロックTwに対する線形項のみで定義してもよいし、逆に非線形項のみで定義しても構わない。また各パラメータのうち、線形項と非線形項の和で定義されるものと、線形項のみのものが混在してもよい。
【0028】
次に、追記型ディスクにおける予熱パルスの効果について説明する。一般的な追記型ディスクにおいては、第1の状態(スペース)にある記録膜にレーザビームを照射すると局所的に熱が加えられて温度が上昇し、記録膜の材料特性として固有の閾値温度を超えると第2の状態(マーク)に変化する。言い換えると、記録膜の各位置にて到達した最高温度の分布において、閾値温度を超えた部分がマーク、閾値温度を超えなかった部分がスペースと見なすことができる。即ち、マークの形状は記録膜の最高温度の分布と閾値温度の関係によって決まる。
【0029】
図3は、比較のために先頭パルス1のみを照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図である。図4は、先頭パルス1に先行して本実施例による予熱パルス4を照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図である。破線は、レーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は一定時間経過後の熱の拡散による温度上昇を考慮した最高温度を示す。なお、各パルスは理想的な矩形波と仮定する。
【0030】
両者を比較すると、図4のように予熱パルス4がある場合には、閾値温度近傍において、破線で示した照射直後の温度と実線で示した最高温度とのずれが小さい。このことは熱の拡散の影響が小さく、パルス照射からマーク形状が確定するまでの時間が短いことを示している。予熱パルスを照射することで、閾値温度を超える位置のばらつき、即ちマークの先頭エッジのばらつきを抑制する効果が認められる。
【0031】
また、予熱パルスがある場合は、記録膜の温度をある程度上昇させて閾値温度に近づけておくことにより、先頭パルスの記録レベルPw1を予熱パルスなしの場合の記録レベルPw0よりも低く設定できる。レーザの最高出力パワーに限界がある場合や、高速記録でレーザ発光波形が三角波形に近づいてきた場合に有効となる。
【0032】
なお実際のレーザの発光波形は上記図3や図4に示す理想的なパルス波形と異なり、前記図2に示した如く所定の立ち上り時間及び立ち下り時間(各々およそ1ns)を有する。よって温度変化についても、図3や図4に示したカーブよりもなだらかになる。またその傾向は、記録速度が速くなりTwが小さくなってもレーザの立ち上り時間及び立ち下り時間は短くならないため、Twに対し相対的に顕著になる。温度変化がなだらかであるほど、閾値温度を超える位置がばらつき、マークの先頭エッジの位置のばらつきを増大させる原因となる。
【0033】
そのような状況においても、予熱パルスがある場合には、先頭パルスの照射開始から閾値温度を超えるまでの時間が短く、比較的温度変化の大きい状態で閾値温度を超えることができる。よって、マークの先頭エッジの位置ばらつきを抑制する効果がある。
【0034】
今まで予熱パルス印加による効果を説明してきたが、さらに、隣接マークからの熱干渉を考慮し、より最適な予熱パルスを設定することについて説明する。
【0035】
図5〜図7は、隣接マークからの距離(すなわち先行するスペース長で、以下前スペースと呼ぶ)が異なる場合に、予熱パルス4の立ち上り位置dTphを固定した場合の各記録膜の温度変化を示す概念図である。図5は、2Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合、図6は3Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合、図7は4Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合である。破線はレーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は熱の拡散を考慮した最高温度を示す。なお、2Twのマークの先頭パルス1の位置は全て同じタイミングとする。
【0036】
熱干渉により、各スペースの前のマークを記録する際に注入した熱が拡散し、スペース区間の温度も上昇する。2Twマークの先頭パルス1の立ち上りエッジ部における温度上昇を比較すると、最もスペース長が短い2Twスペースの場合(図5)が最も温度上昇が大きく、次いで3Twスペース(図6)、4Twスペース(図7)の順となる。その結果、マーク形状は記録膜温度が閾値温度を越える位置で決まるので、2Twマークの先頭エッジの位置は所望の位置よりも前方へシフトする。シフト量は前スペースの長さに依存し、2Twスペースの場合(図5)が最も大きく、次いで3Twスペース(図6)、4Twスペース(図7)の順となる。シフト量が発生しそれがばらつくと、2Twマークの長さと位置の精度が悪化する。
【0037】
以上の結果をまとめると、熱干渉作用のため、前のマークに注入した熱の影響を受けて記録マークが前方に長くなる。熱干渉は熱の拡散に基づいて発生するため、スペース長が短いほど影響は顕著となり、シフト量は大きくなる。スペース長の長さによってシフト量が変化することは、記録信号の品質を悪化させる原因となる。
【0038】
そこで本実施例においては、スペース長に応じて予熱パルスの立ち上り位置を制御した記録ストラテジとし、記録マーク形状の変化を抑制するように構成した。
【0039】
図8と図9は、スペース長が異なる場合に、予熱パルス4をその立ち上り位置dTphを変えて与えた場合の各記録膜の温度変化を示す概念図である。図8は2Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合、図9は3Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合である。なお、4Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合は、前記図7に示した通りである。破線はレーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は熱の拡散を考慮した最高温度を示す。
【0040】
本実施例においては、予熱パルスの立ち上り位置dTphについて、4Twスペースの場合(図7)が最も早く立ち上るようにし、次いで3Twスペース(図9)、2Twスペース(図8)の順とした(dTph4>dTph3>dTph2)。すなわち、スペース長が長いほど予熱パルス幅Tphを大きくし、スペース長が短ければ予熱パルス幅を小さくする。その結果、記録膜温度が閾値温度を越える位置はいずれの場合でもほぼ同一位置となり、よって2Twマークの先頭エッジの位置の精度を向上することができる。
【0041】
マーク記録開始時点での温度状態は、前マークからの熱拡散(熱干渉)と予熱パルスにより注入したエネルギーとによって決まる。前述したように熱干渉はスペースの長さによって異なり、スペース長が短いほど熱干渉は大きい。そこで熱干渉による温度上昇を補償するように、予熱パルスによって与えるエネルギーを変化させる。これは、上記したように、スペース長が短いほど予熱パルス幅を小さくし、スペース長が長いほど予熱パルス幅を大きくすることで実現できる。
【0042】
ところで熱干渉は熱の拡散に基づくものであるため、干渉の大きさはスペース長に対して線形に生じるわけではない。2Twスペースにおける温度上昇と3Twスペースにおける温度上昇との差分と、3Twスペースにおける温度上昇と4Twスペースにおける温度上昇との差分とを比較すると、スペース長がより短い側にある前者の方が差は大きい。さらにスペース長が長くなった、例えば5Twスペースと6Twスペースとでは、温度上昇の差はほとんどなくなってくる。
【0043】
そこで本実施例においては、前スペース長が短い領域を対象に、例えば2Tw、3Tw、4Tw、及び5Tw以上の4種類に分類し、前スペース長の値に応じて予熱パルスの立ち上り位置を制御する。さらには、マークを記録する先頭パルス1の立ち上り位置dTtop及び期間Ttopは記録マーク長に応じて異なる場合があり、よって予熱パルスの立ち上り位置dTph(即ち注入するエネルギー)も記録マーク長に応じて最適化するのが好ましい。
【0044】
図10は、前スペース長と記録マーク長の両者の組合せに応じて予熱パルスの立ち上り位置dTphを設定するための参照テーブルの一例を示す図である。ここでは、前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw、5Tw以上の4種類に分類し、さらに記録マーク長を2Tw、3Tw、4Tw以上の3種類に分類し、これらの組合せにおける予熱パルスの立ち上り位置dTphの最適値の例を示す。
【0045】
前スペース長と記録マーク長の分類の仕方、及び最適値dTphについては、図10の例に限らないことは言うまでもない。例えば前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw以上の3種類に分類してもよいし、逆に2Tw、3Tw、4Tw、5Tw、6Tw以上の5種類に分類してもよい。分類の仕方や熱干渉に対する補償量は、使用する光ディスク媒体の熱特性に応じて適宜決定すればよい。
【0046】
また図10では、前スペース長と記録マーク長の両者を考慮して予熱パルスの立ち上り位置を制御するものであるが、記録マーク長の影響を省略して前スペース長のみを考慮して制御することによっても、実用的には支障がない場合がある。その場合には、参照テーブルに保持すべきパラメータを減らすことができ、またNRZIのパターンの判定に係わる回路規模を縮小し判定のための時間を短縮できるという利点がある。
【0047】
本実施例に示した記録ストラテジによれば、予熱パルスの立ち上り位置を、前スペースの長さに応じて、あるいは前スペースの長さと記録マークの長さの組合せに応じて制御することによって、熱干渉によるマークの先頭エッジ位置のシフトを抑制することができる。よって、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録データの品質を向上させる効果がある。
【実施例2】
【0048】
次に図11は、本発明の光ディスク記録方法の他の実施例としてその記録ストラテジを示す図である。(a)は光ディスクに対して記録するNRZI信号であり、記録マーク長が8Tw、4Tw、2Twの場合を示す。(b)は発光パルス波形(記録ストラテジ)を示す。本実施例においても予熱パルス4を含むが、隣接マークからの熱干渉の補償を行うため、予熱パルス4のエネルギーをそのパワーレベルPpにより制御する構成とした。すなわち、前スペース長の長さに応じて、予熱パルス4のパワーレベルPpを最適に変化させるものである。なおこの例では、予熱パルス4の立ち上り位置dTphは、前スペース長に依らず一定としている。
【0049】
図12と図13は、前スペース長に応じてパワーレベルを変えた予熱パルス4を照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図である。図12は、2Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合を、また図13は、3Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合である。破線はレーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は熱の拡散を考慮した最高温度を示す。なお4Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合は前記図7に示した通りである。
【0050】
本実施例においては、4Twスペースの場合(図7)の予熱パルス4を最も高いパワーレベルPp4に設定し、次いで3Twスペース(図13)のレベルPp3、2Twスペース(図12)のレベルPp2の順とした(Pp4>Pp3>Pp2)。つまり、スペース長が長いほどパワーレベルPpを高くし、スペース長が短いほどパワーレベルを低くする。その結果、記録膜温度が閾値温度を越える位置はいずれの場合でもほぼ同一位置となり、よって2Twマークの先頭エッジの位置の精度を向上することができる。このように本実施例では、熱干渉による温度上昇の補償を、予熱パルスのパワーレベルを制御することで実現するものである。
【0051】
本実施例においても、前記実施例1と同様に、前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw、及び5Tw以上と4種類に分類し、各前スペース長の値に対して予熱パルスのパワーレベルを制御する。さらには、前記実施例1と同様に、記録マーク長に応じて最適化するのが好ましい。
【0052】
図14は、前スペース長と記録マーク長の両者の組合せに応じて予熱パルスのパワーレベルPpを設定するための参照テーブルの一例を示す図である。ここでは、前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw、5Tw以上の4種類に分類し、さらに記録マーク長を2Tw、3Tw、4Tw以上の3種類に分類し、これらの組合せにおける予熱パルスのパワーレベルPpの最適値の例を示す。
【0053】
ここに前スペース長と記録マーク長の分類の仕方、及び最適値Ppについては、図14の例に限らないことは言うまでもない。また、記録マーク長の影響を省略して前スペース長のみを考慮して制御することによっても、実用的には支障がない場合がある。
【0054】
本実施例に示した記録ストラテジによれば、予熱パルスのパワーレベルを、前スペースの長さに応じて、あるいは前スペースの長さと記録マークの長さの組合せに応じて制御することによって、熱干渉によるマークの先頭エッジ位置のシフトを抑制することができる。よって、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録データの品質を向上させる効果がある。
【0055】
上記実施例1では予熱パルスの立ち上り位置を制御する構成を示し、実施例2では予熱レベルを制御する構成を示したが、さらに両者を組み合わせて予熱パルスの立ち上り位置と予熱レベルとを共に制御する構成とすれば、より高精度の制御が可能となる。
【0056】
上記実施例1および実施例2においては、前スペース長の違いによるマーク先頭エッジ位置のシフトに焦点を絞って説明してきた。一方、該先頭エッジのシフトほど顕著ではないが、マーク終端エッジにおいても後スペース長の違いによってエッジ位置のシフトが発生する。この対策としては、後スペース長に応じて最終パルス3の立ち上り位置dTlpや立ち下り位置を制御すればよい。ただし最終パルスの立ち下り位置を変更することによって記録面の温度状態が変わり、次のマーク形成時に及ぼす熱干渉の状態も変わってしまう。よって、次の予熱パルスの立ち上り位置やそのパワーレベルについても合わせて最適化するのが望ましい。例えば、2Twスペース前の最終パルスの立ち下り位置が前方にシフトすると、次の予熱パルスおよび先頭パルスまでの間隔が広がるので、熱干渉の影響が減少する。そのような場合、予熱パルスの立ち上り位置も前方にシフトすれば、次に形成されるマーク先頭エッジ位置の変化を抑えることができる。
【0057】
上記実施例1(図1)及び実施例2(図11)では、記録ストラテジとして先頭パルス1と最終パルス3の両方を有する発光パルス波形を前提に説明した。その変形として、最終パルス3を省略し、先頭パルス1と中間パルス2だけとすることもできる。図15は、最終パルスを省略した場合の記録ストラテジを示す図である。この場合マークの終端エッジは、中間パルス2により形成されることになる。その結果、終端位置での熱拡散の条件が変わり、媒体の熱特性によっては、マークの終端エッジ位置のばらつきを低減できることが期待できる。
【0058】
上記実施例1(図1)及び実施例2(図11)では、記録ストラテジとして先頭パルスと最終パルス及び中間パルスを有する発光パルス波形(いわゆるキャッスル方式)を前提に説明した。本発明はこれに限らず、高パワーレベルと低パワーレベルとを交互に繰り返す複数個の連続パルス方式(いわゆるマルチパルス方式)においても、予熱パルスを採用することで、同様にマークエッジ位置のばらつきを低減することができる。
【実施例3】
【0059】
次に本発明による光ディスク記録装置およびこれに用いる光ディスクについて説明する。
【0060】
図16は、本発明による光ディスク記録装置の一実施例を示すブロック図である。本実施例においては再生も可能な構成を示す。記録可能な光ディスク100(例えば高密度記録用Blu−ray Disc)は、スピンドルモータ110に備えられたチャッキング機構112により保持されている。スピンドルモータ110を駆動させることにより、光ディスク100が回転し、光ピックアップ117からレーザビームを回転する光ディスク100に照射する。光ピックアップ117は送りモータ116を駆動させることで、ガイドレール115に沿って、光ディスク100の半径方向に移動する。
【0061】
光ピックアップ117には、光ビーム発生器である半導体レーザ131が備えられている。該半導体レーザ131から出射した光ビームはコリメートレンズ132及びビームスプリッタ133を透過し、対物レンズ136により集光する。対物レンズ136は対物レンズアクチュエータ121に保持され、光ディスク100の記録面に垂直な方向(フォーカス方向)並びにディスク半径方向(トラッキング方向)に変位・位置決め可能な構成となっており、光ビームを光ディスク100の所定の位置に集光させる。
【0062】
光ディスク100の記録面に集光された光ビームの一部は、反射されて再び対物レンズ136を透過し、ビームスプリッタ133にて反射され、検出レンズ134で集光されて光検出器135で光強度を検出する。光検出器135は、受光領域が複数に分割されており、各々の受光領域で検出された光強度はアンプ152で増幅されると共に演算され、対物レンズ136で集光された光スポットと光ディスク100との相対的な位置関係の情報(サーボ情報)と情報再生信号とに分離される。サーボ信号はサーボコントローラ151に送られ、再生信号はデコーダ153に送られる。
【0063】
光ディスク記録装置に光ディスク100が取付けられ、チャッキング機構112が光ディスク100を固定すると、検出器140が作動し、その信号をシステムコントローラ150に送る。システムコントローラ150はそれを受けて、スピンドルモータ110を制御して光ディスク100を所定の回転数となるように回転させる。また、システムコントローラ150は、送りモータ118を制御して、光ピックアップ117を所定の位置に位置決めする。また、システムコントローラ150は、半導体レーザ131を発光させると共に、サーボコントローラ151を介して送りモータ116を制御し、対物レンズアクチュエータ121を駆動して対物レンズ136の形成する焦点スポットを光ディスク100の所定の位置に位置決めする。次いでサーボコントローラ151は、焦点スポットが光ディスク100上の記録面に形成された旨の信号をシステムコントローラ150に送る。システムコントローラ150はデコーダ153を作動し、再生信号をデコードする。
【0064】
その際システムコントローラ150は、サーボコントローラを介して、焦点スポットが光ディスク100のコントロールゾーンの情報トラックに位置決めされるようにする。上記動作の結果、システムコントローラ150は光ディスク100のコントロールゾーンの情報トラックを再生し、当該光ディスク100に関する記録ストラテジを含む記録に関するディスク情報(DI)を読み出す。
【0065】
図17は、本実施例における光ディスク100の記録領域のレイアウトの一例を示す図である。当該ディスクの記録ストラテジに関する情報は、2つのコントロールゾーンに格納されている。1つは、内周側のPIC領域(Permanent Information & Control data zone)201であり、もう1つは、ユーザエリア202のADIP(Adress in Pre−groove:ウォブルによるアドレス情報)に埋め込まれ、領域全面に分散されて繰り返し記録されている。
【0066】
これらのコントロールゾーンには、記録に関するディスク情報として、前記図1または図11に示した各実施例の記録ストラテジの各パラメータ、及び前記図10または図14に示した参照テーブルの値が記録されている。参照テーブルの値については、そのタイプ(値が係数値か差分値か)を示すフラグも添付される。これらの情報により、本実施例の光ディスクの記録動作を最適に設定することが可能となる。
【0067】
システムコントローラ150はこれら記録に関する情報、すなわち記録パワーレベル、各記録パルスの時間的な関係、各参照テーブル、及びフラグの情報を読み取り、信号処理回路154のパラメータテーブル、遅延回路155のパラメータテーブル、及び電流シンク156の電流シンク量パラメータテーブルに書き込む。
【0068】
入力コネクタ159を介して図示しない上位コントローラから情報記録の指示が送られてきた場合、システムコントローラ150はサーボコントローラ151に指示を与えて焦点スポットを光ディスク100の上の所定の位置に位置決めする。また記録すべき情報は信号処理回路161によりNRZI信号に変換され、さらに信号処理回路154により複数の最適なパルス波形(パルス列)に変換される。その際システムコントローラ150は、情報信号の各マーク長及び各スペース長を随時検出し、上記参照テーブルに基づいて印加する予熱パルスの立ち上り位置あるいはパワーレベルを変化させる。これらのパルス列は遅延回路155を通って各々所定の遅延を与えられ、電流シンク156へと伝えられる。
【0069】
定電流源157には半導体レーザ131と複数の電流シンク156が接続されており、これらで消費される電流の合計は一定である。電流シンク156が動作して電流を吸収すると、その分半導体レーザ131へ供給する電流量が低下する。これにより、半導体レーザで発光する光ビームのパワーレベルを変化させる。信号処理回路154と遅延回路155で生成した信号により、複数の電流シンク156を適当なタイミングで吸収動作させ、前記実施例(図1または図11)に示したような記録ストラテジ(発光パルス波形)を実現する。
【0070】
ここに信号処理回路154と遅延回路155と電流シンク156と定電流源157は、他のブロックと独立して1個の集積回路(レーザドライバIC)として構成することもできる。その場合、前記実施例で述べた記録ストラテジの制御パラメータ(予熱パルスの立ち上り位置または予熱レベルを前スペース長さに応じて制御する)を、レーザドライバICの機能として組み込むことが可能である。
【0071】
本実施例の光ディスク記録装置によれば、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際の記録データの品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…先頭パルス、2…中間パルス、3…最終パルス、4…予熱パルス、100…光ディスク、110…スピンドルモータ、116…送りモータ、117…光ピックアップ、131…半導体レーザ、135…光検出器、136…対物レンズ、150…システムコントローラ、151…サーボコントローラ、154…信号処理回路、155…遅延回路、156…電流シンク、157…定電流源、161…信号処理回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録可能な光ディスクに情報信号に基づくレーザビーム信号を照射し情報信号を記録する光ディスクの記録技術に関する。
【背景技術】
【0002】
DVD−RAMやDVD−Rなどの記録可能な光ディスクの情報記録面には、反射率の異なる第1の状態と第2の状態とがあり、熱的な条件によって第1の状態から第2の状態へと可逆的あるいは不可逆的に状態変化できるように構成されている。特に状態変化が可逆的な光ディスクは書換型ディスクと、状態変化が不可逆的な光ディスクは追記型ディスクと呼ばれている。これらの光ディスクにおいては、レーザビームを微細な光スポットとして情報記録面に集光し局所的に加熱し、情報信号に応じて第1の状態(スペース)と第2の状態(マーク)を繰り返すパターンを形成することによって情報信号を記録している。
【0003】
記録する情報信号に対し、照射するレーザビームの発光波形(照射パワーレベルの時間的変化パターン)を記録ストラテジと呼ぶ。そして蓄熱によるマーク形状の歪みを抑制するため次のような記録ストラテジが提案されている。
【0004】
第1の方式は、記録マークを形成するマーク期間において、高パワーの第1のパワーレベル(記録レベル)と、低パワーの第2のパワーレベル(バイアスレベル)とを交互に繰り返す、複数個の連続パルス方式(マルチパルス方式とも呼ばれる)である。
【0005】
第2の方式は、記録マークを形成するマーク期間において、先頭部を高パワーの第1のパワーレベル期間(トップパルス期間)とし、それに続く期間を低パワーの第2のパワーレベル(中間バイアス期間)とした方式である。なお、マーク期間の後端部において、前記第1のパワーレベル期間(ラストパルス期間)を設けることもできる(キャッスル方式とも呼ばれる)。第2の方式においては短パルス幅の繰り返しがないので、高速記録の場合においても、発光波形の歪みを少なくできる利点がある。
【0006】
さらにスペース期間からマーク期間へ移行する際、切り替え位置での温度を早期に一定化するため、切り替え位置直前のスペース期間において記録レベルに至らない予熱パルス(プリヒートレベル)を与える予熱方式も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−29239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の光ディスク(CD、DVD)の大容量・高密度化を図るため、波長405nm帯の青色レーザを用いた大容量次世代光ディスク(Blu−ray Disc、以下BD)が開発・製品化されている。次世代光ディスクでは、1−7PP変調方式が採用され、マーク及びスペースのサイズが極小化されている。マーク長及びスペース長は、従来DVDでは3〜11Twであったのに対し、BDでは2〜8Twとなる。ここにTwはデータ検出窓幅であり、基準クロックの周期と等しい。その結果、周方向の最短マーク長及び最短スペース長は、DVDが約0.42μmであるのに対し、BDでは約0.15μmであって、隣接するマークが極めて近接して配置されることになる。
【0009】
一方記録の高速化に関しては、BDにおけるデータ検出窓幅Twは標準速で15ns程度であるから、2倍速記録時はTw=7.5ns程度、4倍速記録時はTw=4ns程度と短小化する。その際、レーザの過渡的な発光特性(スルーレイト)に起因するパルス波形の変形歪の問題が生じる。
【0010】
図2は、レーザ光源の一般的な発光特性を示したもので、発光パワーレベルが変化するのに所定の時間を要する。ボトム側10%レベルからトップ側90%レベルまで変化するのに要する時間を立ち上り時間、逆に90%から10%まで変化するのに要する時間を立ち下り時間と呼ぶと、これらの立ち上り時間及び立ち下り時間は共に1ns程度である。記録速度が高速化するほど、Twに対する立ち上り時間及び立ち下り時間の割合が大きくなり、レーザの発光波形は理想的な矩形波からずれた台形形状となる。更には発光波形が三角形状となり、発光パワーがトップレベルに到達せず、マーク形成が不完全となる。その結果、記録マークの先頭エッジ及び終端エッジ位置の精度が悪化し、データ品質が悪化(エラー増加)する要因となる。
【0011】
上記特許文献1には、予熱方式により立ち上り時の温度を早期に一定化させることが述べられている。しかし、上記次世代ディスク(BD)のように記録マークが極めて近接して配置される場合、隣接マークからの熱干渉がより顕著に現れる。ここでの熱干渉とは、あるマークを記録する際にレーザビームによって注入された熱が拡散し、隣接する前後のマークの形成に影響を与えることである。その結果、形成されるマークのエッジ位置(境界位置)が所望位置からずれることになる。熱干渉の度合は、隣接するマークからの距離、すなわちスペース長に依存する。よって予熱方式において、予熱パルスを一律に与えるのでは不十分で、隣接マークからの熱干渉を十分考慮して予熱パルスのレベルや期間を設定しなければならない。上記特許文献1では、熱干渉を考慮した予熱パルスの具体的な設定については触れられていない。
【0012】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を鑑みて、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録されるマークのエッジ位置のずれを抑制して記録データの品質を向上させることが可能な光ディスク記録方法、光ディスク装置、及びこれに用いる光ディスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の光ディスク記録方法は、情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成するものであって、マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加し、予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて変化させる。
【0014】
さらには、前記予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを、直後に形成するマークの長さに応じて変化させる。
【0015】
また本発明の光ディスク記録装置は、光ディスクに照射する光ビームを発生するレーザ光源と、情報信号からレーザ光源の発生する光ビームのパルス波形を生成する信号処理部と、情報信号に応じて信号処理部を制御する制御部とを備える。そして、信号処理部の生成するパルス波形は、マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを含み、制御部は、予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて制御する。
【0016】
また本発明の光ディスクには、マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加する際に、直前のスペースの長さに対して予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルをどのように設定するかについての情報が予め記録されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高密度・高速記録において、記録されるマークのエッジ位置のずれを抑制して記録データの品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光ディスク記録方法の一実施例としてその記録ストラテジを示す図(実施例1)。
【図2】レーザ光源の一般的な発光特性を示した図。
【図3】先頭パルスのみを照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図。
【図4】先頭パルスに先行して予熱パルスを照射した場合の温度変化を示す概念図。
【図5】予熱パルスの立ち上り位置を固定した場合の温度変化を示す概念図(スペース長が2Twの場合)。
【図6】予熱パルスの立ち上り位置を固定した場合の温度変化を示す概念図(スペース長が3Twの場合)。
【図7】予熱パルスの立ち上り位置を固定した場合の温度変化を示す概念図(スペース長が4Twの場合)。
【図8】予熱パルスの立ち上り位置を変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が2Twの場合)。
【図9】予熱パルスの立ち上り位置を変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が3Twの場合)。
【図10】前スペース長と記録マーク長の組合せに対する予熱パルスの立ち上り位置を設定するための参照テーブルの一例を示す図。
【図11】本発明の光ディスク記録方法の他の実施例としてその記録ストラテジを示す図(実施例2)。
【図12】前スペース長に応じて予熱パルスのパワーレベルを変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が2Twの場合)。
【図13】前スペース長に応じて予熱パルスのパワーレベルを変えた場合の温度変化を示す概念図(スペース長が3Twの場合)。
【図14】前スペース長と記録マーク長の組合せに応じて予熱パルスのパワーレベルを設定するための参照テーブルの一例を示す図。
【図15】図1または図11において、最終パルスを省略した場合の記録ストラテジを示す図。
【図16】本発明による光ディスク記録装置の一実施例を示すブロック図(実施例3)。
【図17】本実施例における光ディスクの記録領域のレイアウトの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の光ディスク記録方法の一実施例としてその記録ストラテジを示す図である。本実施例における変調方式は1−7PP変調とし、記録再生における基準クロックの周期(データ検出窓幅)をTwとすると、最短マークおよび最短スペースの長さは2Twであり、最長マークおよび最長スペースの長さは8Twとなる。
【0021】
(a)は、光ディスクに対して記録すべき情報を時系列的に表わすNRZI信号であり、ここでは、記録マーク長が8Tw、4Tw、2Twの場合を示す。これに対して、適当な信号処理回路にて、(b)のようにレーザビームのパワーレベルが時系列的に変化する発光パルス波形(記録ストラテジ)に変換する。
【0022】
パルス波形はいわゆるキャッスル型とし、パワーレベルとしては記録レベルPw、中間レベルPm、予熱レベルPp、バイアスレベルPbの4個のレベルを設定する。光ディスクの記録膜に記録レベルPwのレーザビームを照射することにより、第1の状態(本実施例ではスペースとする)から第2の状態(本実施例ではマークとする)に移行が可能である。中間レベルPmは、記録レベルPwと等しいか或はそれより低いパワーレベルであり、記録レベルPwに続けて照射することによって記録膜を第1の状態から第2の状態へ移行可能である。予熱レベルPpは記録レベルPwに先行し、中間レベルPmより低いか又は同等のパワーレベルとし、予熱レベルPpのレーザビーム照射による記録膜温度上昇のみでは第1の状態から第2の状態に移行しないものとする。またバイアスレベルPbは予熱レベルPpよりも低いパワーレベルである。
【0023】
記録膜にマークを形成する際に、マーク長が4Tw以上の場合には、マーク先頭エッジ側に記録レベルPwで照射期間Ttopの先頭パルス1と、それに続けて中間レベルPmの中間パルス2と、マーク後端エッジ側に記録レベルPwで照射期間Tlpの最終パルス3を設ける。一方、マーク長が2Tw或は3Twの場合には、上記中間レベルPmの照射期間を設けず、記録レベルPwを単一パルス状に照射する。便宜上、この単一パルスも先頭パルス1と称する。
【0024】
また、先頭パルス1に先行して、以下に述べる所定の長さの予熱レベルPpの照射期間(予熱パルス4)を設ける。さらにマーク終端に続いて、バイアスレベルPbの照射期間を設ける。
【0025】
ここで、本実施例における各パルスの時刻(位置)及び照射時間(幅)の定義について説明する。先頭パルス1の立ち上り時刻は、NRZIの立ち上り時刻から1Twだけ経過した時刻を基準に、変位時間dTtopだけ先行した時刻とする。なお、該基準時刻に対して遅れて立ち上る場合には変位時間dTtopは負の値とする。また、先頭パルス1の照射時間Ttopは先頭パルス1の立ち上り時刻から立ち下り時刻までの時間とする。一方、最終パルス3の立ち上り時刻はNRZIの立ち下り時刻から1Twだけ先行する時刻を基準に、変位時間dTlpだけ先行した時刻とする。なお、該基準時刻に対して遅れて立ち上る場合には変位時間dTlpは負の値とする。また、最終パルス3の照射時間Tlpは最終パルス3の立ち上り時刻から立ち下り時刻までの時間とする。予熱パルス4の立ち上り時刻は、NRZIの立ち上り時刻を基準に、変位時間dTphだけ先行した時刻とする。なお、該基準時刻に対して遅れて立ち上る場合には変位時間dTphは負の値とする。
【0026】
本実施例においては、dTtop、Ttop、dTlp、Tlp、dTphの各値は基準クロックTwに対する線形項と非線形項(定数項)との和で定義する。例えばdTtopを(1)式で定義する。
dTtop=a・Tw/n+b・t (1)
ここにnは所定の整数であり、Tw/nはパルス分解能を表わす。tはTwに依存しない所定の時間である。またa及びbは各項の係数であり、ここでは整数とする。
【0027】
ただし本発明はこれに限るものではなく、例えば基準クロックTwに対する線形項のみで定義してもよいし、逆に非線形項のみで定義しても構わない。また各パラメータのうち、線形項と非線形項の和で定義されるものと、線形項のみのものが混在してもよい。
【0028】
次に、追記型ディスクにおける予熱パルスの効果について説明する。一般的な追記型ディスクにおいては、第1の状態(スペース)にある記録膜にレーザビームを照射すると局所的に熱が加えられて温度が上昇し、記録膜の材料特性として固有の閾値温度を超えると第2の状態(マーク)に変化する。言い換えると、記録膜の各位置にて到達した最高温度の分布において、閾値温度を超えた部分がマーク、閾値温度を超えなかった部分がスペースと見なすことができる。即ち、マークの形状は記録膜の最高温度の分布と閾値温度の関係によって決まる。
【0029】
図3は、比較のために先頭パルス1のみを照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図である。図4は、先頭パルス1に先行して本実施例による予熱パルス4を照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図である。破線は、レーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は一定時間経過後の熱の拡散による温度上昇を考慮した最高温度を示す。なお、各パルスは理想的な矩形波と仮定する。
【0030】
両者を比較すると、図4のように予熱パルス4がある場合には、閾値温度近傍において、破線で示した照射直後の温度と実線で示した最高温度とのずれが小さい。このことは熱の拡散の影響が小さく、パルス照射からマーク形状が確定するまでの時間が短いことを示している。予熱パルスを照射することで、閾値温度を超える位置のばらつき、即ちマークの先頭エッジのばらつきを抑制する効果が認められる。
【0031】
また、予熱パルスがある場合は、記録膜の温度をある程度上昇させて閾値温度に近づけておくことにより、先頭パルスの記録レベルPw1を予熱パルスなしの場合の記録レベルPw0よりも低く設定できる。レーザの最高出力パワーに限界がある場合や、高速記録でレーザ発光波形が三角波形に近づいてきた場合に有効となる。
【0032】
なお実際のレーザの発光波形は上記図3や図4に示す理想的なパルス波形と異なり、前記図2に示した如く所定の立ち上り時間及び立ち下り時間(各々およそ1ns)を有する。よって温度変化についても、図3や図4に示したカーブよりもなだらかになる。またその傾向は、記録速度が速くなりTwが小さくなってもレーザの立ち上り時間及び立ち下り時間は短くならないため、Twに対し相対的に顕著になる。温度変化がなだらかであるほど、閾値温度を超える位置がばらつき、マークの先頭エッジの位置のばらつきを増大させる原因となる。
【0033】
そのような状況においても、予熱パルスがある場合には、先頭パルスの照射開始から閾値温度を超えるまでの時間が短く、比較的温度変化の大きい状態で閾値温度を超えることができる。よって、マークの先頭エッジの位置ばらつきを抑制する効果がある。
【0034】
今まで予熱パルス印加による効果を説明してきたが、さらに、隣接マークからの熱干渉を考慮し、より最適な予熱パルスを設定することについて説明する。
【0035】
図5〜図7は、隣接マークからの距離(すなわち先行するスペース長で、以下前スペースと呼ぶ)が異なる場合に、予熱パルス4の立ち上り位置dTphを固定した場合の各記録膜の温度変化を示す概念図である。図5は、2Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合、図6は3Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合、図7は4Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合である。破線はレーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は熱の拡散を考慮した最高温度を示す。なお、2Twのマークの先頭パルス1の位置は全て同じタイミングとする。
【0036】
熱干渉により、各スペースの前のマークを記録する際に注入した熱が拡散し、スペース区間の温度も上昇する。2Twマークの先頭パルス1の立ち上りエッジ部における温度上昇を比較すると、最もスペース長が短い2Twスペースの場合(図5)が最も温度上昇が大きく、次いで3Twスペース(図6)、4Twスペース(図7)の順となる。その結果、マーク形状は記録膜温度が閾値温度を越える位置で決まるので、2Twマークの先頭エッジの位置は所望の位置よりも前方へシフトする。シフト量は前スペースの長さに依存し、2Twスペースの場合(図5)が最も大きく、次いで3Twスペース(図6)、4Twスペース(図7)の順となる。シフト量が発生しそれがばらつくと、2Twマークの長さと位置の精度が悪化する。
【0037】
以上の結果をまとめると、熱干渉作用のため、前のマークに注入した熱の影響を受けて記録マークが前方に長くなる。熱干渉は熱の拡散に基づいて発生するため、スペース長が短いほど影響は顕著となり、シフト量は大きくなる。スペース長の長さによってシフト量が変化することは、記録信号の品質を悪化させる原因となる。
【0038】
そこで本実施例においては、スペース長に応じて予熱パルスの立ち上り位置を制御した記録ストラテジとし、記録マーク形状の変化を抑制するように構成した。
【0039】
図8と図9は、スペース長が異なる場合に、予熱パルス4をその立ち上り位置dTphを変えて与えた場合の各記録膜の温度変化を示す概念図である。図8は2Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合、図9は3Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合である。なお、4Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合は、前記図7に示した通りである。破線はレーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は熱の拡散を考慮した最高温度を示す。
【0040】
本実施例においては、予熱パルスの立ち上り位置dTphについて、4Twスペースの場合(図7)が最も早く立ち上るようにし、次いで3Twスペース(図9)、2Twスペース(図8)の順とした(dTph4>dTph3>dTph2)。すなわち、スペース長が長いほど予熱パルス幅Tphを大きくし、スペース長が短ければ予熱パルス幅を小さくする。その結果、記録膜温度が閾値温度を越える位置はいずれの場合でもほぼ同一位置となり、よって2Twマークの先頭エッジの位置の精度を向上することができる。
【0041】
マーク記録開始時点での温度状態は、前マークからの熱拡散(熱干渉)と予熱パルスにより注入したエネルギーとによって決まる。前述したように熱干渉はスペースの長さによって異なり、スペース長が短いほど熱干渉は大きい。そこで熱干渉による温度上昇を補償するように、予熱パルスによって与えるエネルギーを変化させる。これは、上記したように、スペース長が短いほど予熱パルス幅を小さくし、スペース長が長いほど予熱パルス幅を大きくすることで実現できる。
【0042】
ところで熱干渉は熱の拡散に基づくものであるため、干渉の大きさはスペース長に対して線形に生じるわけではない。2Twスペースにおける温度上昇と3Twスペースにおける温度上昇との差分と、3Twスペースにおける温度上昇と4Twスペースにおける温度上昇との差分とを比較すると、スペース長がより短い側にある前者の方が差は大きい。さらにスペース長が長くなった、例えば5Twスペースと6Twスペースとでは、温度上昇の差はほとんどなくなってくる。
【0043】
そこで本実施例においては、前スペース長が短い領域を対象に、例えば2Tw、3Tw、4Tw、及び5Tw以上の4種類に分類し、前スペース長の値に応じて予熱パルスの立ち上り位置を制御する。さらには、マークを記録する先頭パルス1の立ち上り位置dTtop及び期間Ttopは記録マーク長に応じて異なる場合があり、よって予熱パルスの立ち上り位置dTph(即ち注入するエネルギー)も記録マーク長に応じて最適化するのが好ましい。
【0044】
図10は、前スペース長と記録マーク長の両者の組合せに応じて予熱パルスの立ち上り位置dTphを設定するための参照テーブルの一例を示す図である。ここでは、前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw、5Tw以上の4種類に分類し、さらに記録マーク長を2Tw、3Tw、4Tw以上の3種類に分類し、これらの組合せにおける予熱パルスの立ち上り位置dTphの最適値の例を示す。
【0045】
前スペース長と記録マーク長の分類の仕方、及び最適値dTphについては、図10の例に限らないことは言うまでもない。例えば前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw以上の3種類に分類してもよいし、逆に2Tw、3Tw、4Tw、5Tw、6Tw以上の5種類に分類してもよい。分類の仕方や熱干渉に対する補償量は、使用する光ディスク媒体の熱特性に応じて適宜決定すればよい。
【0046】
また図10では、前スペース長と記録マーク長の両者を考慮して予熱パルスの立ち上り位置を制御するものであるが、記録マーク長の影響を省略して前スペース長のみを考慮して制御することによっても、実用的には支障がない場合がある。その場合には、参照テーブルに保持すべきパラメータを減らすことができ、またNRZIのパターンの判定に係わる回路規模を縮小し判定のための時間を短縮できるという利点がある。
【0047】
本実施例に示した記録ストラテジによれば、予熱パルスの立ち上り位置を、前スペースの長さに応じて、あるいは前スペースの長さと記録マークの長さの組合せに応じて制御することによって、熱干渉によるマークの先頭エッジ位置のシフトを抑制することができる。よって、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録データの品質を向上させる効果がある。
【実施例2】
【0048】
次に図11は、本発明の光ディスク記録方法の他の実施例としてその記録ストラテジを示す図である。(a)は光ディスクに対して記録するNRZI信号であり、記録マーク長が8Tw、4Tw、2Twの場合を示す。(b)は発光パルス波形(記録ストラテジ)を示す。本実施例においても予熱パルス4を含むが、隣接マークからの熱干渉の補償を行うため、予熱パルス4のエネルギーをそのパワーレベルPpにより制御する構成とした。すなわち、前スペース長の長さに応じて、予熱パルス4のパワーレベルPpを最適に変化させるものである。なおこの例では、予熱パルス4の立ち上り位置dTphは、前スペース長に依らず一定としている。
【0049】
図12と図13は、前スペース長に応じてパワーレベルを変えた予熱パルス4を照射した場合の記録膜の温度変化を示す概念図である。図12は、2Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合を、また図13は、3Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合である。破線はレーザビーム照射直後の温度状態を示し、実線は熱の拡散を考慮した最高温度を示す。なお4Twのスペースの後に2Twのマークを記録する場合は前記図7に示した通りである。
【0050】
本実施例においては、4Twスペースの場合(図7)の予熱パルス4を最も高いパワーレベルPp4に設定し、次いで3Twスペース(図13)のレベルPp3、2Twスペース(図12)のレベルPp2の順とした(Pp4>Pp3>Pp2)。つまり、スペース長が長いほどパワーレベルPpを高くし、スペース長が短いほどパワーレベルを低くする。その結果、記録膜温度が閾値温度を越える位置はいずれの場合でもほぼ同一位置となり、よって2Twマークの先頭エッジの位置の精度を向上することができる。このように本実施例では、熱干渉による温度上昇の補償を、予熱パルスのパワーレベルを制御することで実現するものである。
【0051】
本実施例においても、前記実施例1と同様に、前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw、及び5Tw以上と4種類に分類し、各前スペース長の値に対して予熱パルスのパワーレベルを制御する。さらには、前記実施例1と同様に、記録マーク長に応じて最適化するのが好ましい。
【0052】
図14は、前スペース長と記録マーク長の両者の組合せに応じて予熱パルスのパワーレベルPpを設定するための参照テーブルの一例を示す図である。ここでは、前スペース長を2Tw、3Tw、4Tw、5Tw以上の4種類に分類し、さらに記録マーク長を2Tw、3Tw、4Tw以上の3種類に分類し、これらの組合せにおける予熱パルスのパワーレベルPpの最適値の例を示す。
【0053】
ここに前スペース長と記録マーク長の分類の仕方、及び最適値Ppについては、図14の例に限らないことは言うまでもない。また、記録マーク長の影響を省略して前スペース長のみを考慮して制御することによっても、実用的には支障がない場合がある。
【0054】
本実施例に示した記録ストラテジによれば、予熱パルスのパワーレベルを、前スペースの長さに応じて、あるいは前スペースの長さと記録マークの長さの組合せに応じて制御することによって、熱干渉によるマークの先頭エッジ位置のシフトを抑制することができる。よって、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際に、記録データの品質を向上させる効果がある。
【0055】
上記実施例1では予熱パルスの立ち上り位置を制御する構成を示し、実施例2では予熱レベルを制御する構成を示したが、さらに両者を組み合わせて予熱パルスの立ち上り位置と予熱レベルとを共に制御する構成とすれば、より高精度の制御が可能となる。
【0056】
上記実施例1および実施例2においては、前スペース長の違いによるマーク先頭エッジ位置のシフトに焦点を絞って説明してきた。一方、該先頭エッジのシフトほど顕著ではないが、マーク終端エッジにおいても後スペース長の違いによってエッジ位置のシフトが発生する。この対策としては、後スペース長に応じて最終パルス3の立ち上り位置dTlpや立ち下り位置を制御すればよい。ただし最終パルスの立ち下り位置を変更することによって記録面の温度状態が変わり、次のマーク形成時に及ぼす熱干渉の状態も変わってしまう。よって、次の予熱パルスの立ち上り位置やそのパワーレベルについても合わせて最適化するのが望ましい。例えば、2Twスペース前の最終パルスの立ち下り位置が前方にシフトすると、次の予熱パルスおよび先頭パルスまでの間隔が広がるので、熱干渉の影響が減少する。そのような場合、予熱パルスの立ち上り位置も前方にシフトすれば、次に形成されるマーク先頭エッジ位置の変化を抑えることができる。
【0057】
上記実施例1(図1)及び実施例2(図11)では、記録ストラテジとして先頭パルス1と最終パルス3の両方を有する発光パルス波形を前提に説明した。その変形として、最終パルス3を省略し、先頭パルス1と中間パルス2だけとすることもできる。図15は、最終パルスを省略した場合の記録ストラテジを示す図である。この場合マークの終端エッジは、中間パルス2により形成されることになる。その結果、終端位置での熱拡散の条件が変わり、媒体の熱特性によっては、マークの終端エッジ位置のばらつきを低減できることが期待できる。
【0058】
上記実施例1(図1)及び実施例2(図11)では、記録ストラテジとして先頭パルスと最終パルス及び中間パルスを有する発光パルス波形(いわゆるキャッスル方式)を前提に説明した。本発明はこれに限らず、高パワーレベルと低パワーレベルとを交互に繰り返す複数個の連続パルス方式(いわゆるマルチパルス方式)においても、予熱パルスを採用することで、同様にマークエッジ位置のばらつきを低減することができる。
【実施例3】
【0059】
次に本発明による光ディスク記録装置およびこれに用いる光ディスクについて説明する。
【0060】
図16は、本発明による光ディスク記録装置の一実施例を示すブロック図である。本実施例においては再生も可能な構成を示す。記録可能な光ディスク100(例えば高密度記録用Blu−ray Disc)は、スピンドルモータ110に備えられたチャッキング機構112により保持されている。スピンドルモータ110を駆動させることにより、光ディスク100が回転し、光ピックアップ117からレーザビームを回転する光ディスク100に照射する。光ピックアップ117は送りモータ116を駆動させることで、ガイドレール115に沿って、光ディスク100の半径方向に移動する。
【0061】
光ピックアップ117には、光ビーム発生器である半導体レーザ131が備えられている。該半導体レーザ131から出射した光ビームはコリメートレンズ132及びビームスプリッタ133を透過し、対物レンズ136により集光する。対物レンズ136は対物レンズアクチュエータ121に保持され、光ディスク100の記録面に垂直な方向(フォーカス方向)並びにディスク半径方向(トラッキング方向)に変位・位置決め可能な構成となっており、光ビームを光ディスク100の所定の位置に集光させる。
【0062】
光ディスク100の記録面に集光された光ビームの一部は、反射されて再び対物レンズ136を透過し、ビームスプリッタ133にて反射され、検出レンズ134で集光されて光検出器135で光強度を検出する。光検出器135は、受光領域が複数に分割されており、各々の受光領域で検出された光強度はアンプ152で増幅されると共に演算され、対物レンズ136で集光された光スポットと光ディスク100との相対的な位置関係の情報(サーボ情報)と情報再生信号とに分離される。サーボ信号はサーボコントローラ151に送られ、再生信号はデコーダ153に送られる。
【0063】
光ディスク記録装置に光ディスク100が取付けられ、チャッキング機構112が光ディスク100を固定すると、検出器140が作動し、その信号をシステムコントローラ150に送る。システムコントローラ150はそれを受けて、スピンドルモータ110を制御して光ディスク100を所定の回転数となるように回転させる。また、システムコントローラ150は、送りモータ118を制御して、光ピックアップ117を所定の位置に位置決めする。また、システムコントローラ150は、半導体レーザ131を発光させると共に、サーボコントローラ151を介して送りモータ116を制御し、対物レンズアクチュエータ121を駆動して対物レンズ136の形成する焦点スポットを光ディスク100の所定の位置に位置決めする。次いでサーボコントローラ151は、焦点スポットが光ディスク100上の記録面に形成された旨の信号をシステムコントローラ150に送る。システムコントローラ150はデコーダ153を作動し、再生信号をデコードする。
【0064】
その際システムコントローラ150は、サーボコントローラを介して、焦点スポットが光ディスク100のコントロールゾーンの情報トラックに位置決めされるようにする。上記動作の結果、システムコントローラ150は光ディスク100のコントロールゾーンの情報トラックを再生し、当該光ディスク100に関する記録ストラテジを含む記録に関するディスク情報(DI)を読み出す。
【0065】
図17は、本実施例における光ディスク100の記録領域のレイアウトの一例を示す図である。当該ディスクの記録ストラテジに関する情報は、2つのコントロールゾーンに格納されている。1つは、内周側のPIC領域(Permanent Information & Control data zone)201であり、もう1つは、ユーザエリア202のADIP(Adress in Pre−groove:ウォブルによるアドレス情報)に埋め込まれ、領域全面に分散されて繰り返し記録されている。
【0066】
これらのコントロールゾーンには、記録に関するディスク情報として、前記図1または図11に示した各実施例の記録ストラテジの各パラメータ、及び前記図10または図14に示した参照テーブルの値が記録されている。参照テーブルの値については、そのタイプ(値が係数値か差分値か)を示すフラグも添付される。これらの情報により、本実施例の光ディスクの記録動作を最適に設定することが可能となる。
【0067】
システムコントローラ150はこれら記録に関する情報、すなわち記録パワーレベル、各記録パルスの時間的な関係、各参照テーブル、及びフラグの情報を読み取り、信号処理回路154のパラメータテーブル、遅延回路155のパラメータテーブル、及び電流シンク156の電流シンク量パラメータテーブルに書き込む。
【0068】
入力コネクタ159を介して図示しない上位コントローラから情報記録の指示が送られてきた場合、システムコントローラ150はサーボコントローラ151に指示を与えて焦点スポットを光ディスク100の上の所定の位置に位置決めする。また記録すべき情報は信号処理回路161によりNRZI信号に変換され、さらに信号処理回路154により複数の最適なパルス波形(パルス列)に変換される。その際システムコントローラ150は、情報信号の各マーク長及び各スペース長を随時検出し、上記参照テーブルに基づいて印加する予熱パルスの立ち上り位置あるいはパワーレベルを変化させる。これらのパルス列は遅延回路155を通って各々所定の遅延を与えられ、電流シンク156へと伝えられる。
【0069】
定電流源157には半導体レーザ131と複数の電流シンク156が接続されており、これらで消費される電流の合計は一定である。電流シンク156が動作して電流を吸収すると、その分半導体レーザ131へ供給する電流量が低下する。これにより、半導体レーザで発光する光ビームのパワーレベルを変化させる。信号処理回路154と遅延回路155で生成した信号により、複数の電流シンク156を適当なタイミングで吸収動作させ、前記実施例(図1または図11)に示したような記録ストラテジ(発光パルス波形)を実現する。
【0070】
ここに信号処理回路154と遅延回路155と電流シンク156と定電流源157は、他のブロックと独立して1個の集積回路(レーザドライバIC)として構成することもできる。その場合、前記実施例で述べた記録ストラテジの制御パラメータ(予熱パルスの立ち上り位置または予熱レベルを前スペース長さに応じて制御する)を、レーザドライバICの機能として組み込むことが可能である。
【0071】
本実施例の光ディスク記録装置によれば、次世代BDディスクの如き高密度光ディスクに対し、最短マーク長及び最短スペース長の小さい信号を、狭いデータ検出窓幅Twにて高速で記録する際の記録データの品質を向上させることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…先頭パルス、2…中間パルス、3…最終パルス、4…予熱パルス、100…光ディスク、110…スピンドルモータ、116…送りモータ、117…光ピックアップ、131…半導体レーザ、135…光検出器、136…対物レンズ、150…システムコントローラ、151…サーボコントローラ、154…信号処理回路、155…遅延回路、156…電流シンク、157…定電流源、161…信号処理回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録方法において、
上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加し、
該予熱パルスの立ち上り位置を直前のスペースの長さに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項2】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録方法において、
上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加し、
該予熱パルスのパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ディスク記録方法において、
前記予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを、直後に形成するマークの長さに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項4】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録装置において、
上記光ディスクに照射する光ビームを発生するレーザ光源と、
上記情報信号から該レーザ光源の発生する光ビームのパルス波形を生成する信号処理部と、
上記情報信号に応じて該信号処理部を制御する制御部とを備え、
上記信号処理部の生成するパルス波形は、上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを含み、
上記制御部は、該予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて制御することを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項5】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを照射してマーク及びスペースを形成することが可能な光ディスクであって、
該光ディスクには、上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加する際に、直前のスペースの長さに対して該予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルをどのように設定するかについての情報が予め記録されていることを特徴とする光ディスク。
【請求項1】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録方法において、
上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加し、
該予熱パルスの立ち上り位置を直前のスペースの長さに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項2】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録方法において、
上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加し、
該予熱パルスのパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光ディスク記録方法において、
前記予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを、直後に形成するマークの長さに応じて変化させることを特徴とする光ディスク記録方法。
【請求項4】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを光ディスクに照射してマーク及びスペースを形成する光ディスク記録装置において、
上記光ディスクに照射する光ビームを発生するレーザ光源と、
上記情報信号から該レーザ光源の発生する光ビームのパルス波形を生成する信号処理部と、
上記情報信号に応じて該信号処理部を制御する制御部とを備え、
上記信号処理部の生成するパルス波形は、上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを含み、
上記制御部は、該予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルを直前のスペースの長さに応じて制御することを特徴とする光ディスク記録装置。
【請求項5】
情報信号に応じたパルス波形の光ビームを照射してマーク及びスペースを形成することが可能な光ディスクであって、
該光ディスクには、上記マークを形成する記録パルスに先行する直前のスペースの区間において該記録パルスのパワーレベルよりも低い予熱パルスを印加する際に、直前のスペースの長さに対して該予熱パルスの立ち上り位置またはパワーレベルをどのように設定するかについての情報が予め記録されていることを特徴とする光ディスク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−118148(P2010−118148A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48576(P2010−48576)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【分割の表示】特願2005−335341(P2005−335341)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【分割の表示】特願2005−335341(P2005−335341)の分割
【原出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(501009849)株式会社日立エルジーデータストレージ (646)
【Fターム(参考)】
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