光データリンク
【課題】光コネクタを光レセプタクルに装着した状態ではケージから外れることがない光データリンクを提供することを目的とする。
【解決手段】光データリンク1は、光コネクタCが装着される光レセプタクル10と、光レセプタクル10に保持されホスト装置のケージに形成された係合孔と係合する突起33aを有するアクチュエータ30と、このアクチュエータ30にシーソ運動を起こし突起33aと係合孔との係合関係を解除するベール40とを備えたものである。ベール40は、一対の脚部と該脚部を連結する連結部とからなり、この連結部が光レセプタクル10に対してアクチュエータ30と同じ側に位置するように光レセプタクル10に保持され、脚部には、光コネクタが光レセプタクルに装着されている状態で光コネクタ本体部に突き当たってベールの回転を阻止するストッパ41cを有している。
【解決手段】光データリンク1は、光コネクタCが装着される光レセプタクル10と、光レセプタクル10に保持されホスト装置のケージに形成された係合孔と係合する突起33aを有するアクチュエータ30と、このアクチュエータ30にシーソ運動を起こし突起33aと係合孔との係合関係を解除するベール40とを備えたものである。ベール40は、一対の脚部と該脚部を連結する連結部とからなり、この連結部が光レセプタクル10に対してアクチュエータ30と同じ側に位置するように光レセプタクル10に保持され、脚部には、光コネクタが光レセプタクルに装着されている状態で光コネクタ本体部に突き当たってベールの回転を阻止するストッパ41cを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信に用いられ、ホスト装置のケージに挿脱される光データリンクに関し、特にケージに対する係脱機構に関する
【背景技術】
【0002】
光トランシーバ等の光データリンクは、光コネクタを介して信号光の送信及び/又は受信を行うもので、光電変換素子や回路基板が収納されるリンク本体部と、光コネクタが着脱可能に装着される光レセプタクルと、を備える。光データリンクのうち、SFP(Small Form-Factor Pluggable)と呼ばれる業界標準に準拠した小型のものでは、ホスト装置のケージに対して挿抜自在とする構造、すなわちプラガブル構造を採用しており、このプラガブル構造に関して様々なものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
従来の光データリンクでは、プラガブル構造とするために、図11(A)に示すように、光コネクタCが装着される光レセプタクル101にベール102とアクチュエータ103が取付けられている。ベール102は、光レセプタクル101に設けられた取付軸101a(図11Aに101aは未記)を中心に回転可能なものであり、ベール102をこの取付軸を中心として回転させることによりアクチュエータ103を連動させてシーソ運動させる。アクチュエータ103は、ホスト装置のケージに形成された係合孔に係脱する係合突起103aを有し、該係合突起103aとホスト装置のケージとの係合により、光データリンク100がケージから抜き出せないようになっている。
【0004】
また、光データリンク100がケージに装着された状態でベール102が操作されると、該ベール102と連動して動くアクチュエータ103の係合突起103aが上下し該突起103aとケージの係合孔との係合が解除され、光データリンク100がケージから抜き出せるようになっている。
【0005】
光データリンク100では、さらに、LCコネクタCが光レセプタクル101に装着されている状態で係合突起103aとケージとの係合が解除されるのを防ぐため、図11(B)に示すように、LCコネクタCがレセプタクル101に装着されている状態でベール102を回転させようとすると、ベール102の上側(光コネクタCのラッチ部C1側)の部分102aが、光コネクタCのラッチ部C1に当接し、ベール102がそれ以上回転しないようになっている。これにより、LCコネクタCが装着されている状態では、係合突起103aの上下運動が制限されるので、光データリンク100がケージから抜き出されることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−317540号公報
【特許文献2】特開2007−226039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにベール102の連結部102aは光コネクタCのラッチ部C1に突き当たるが、図11(A)のベール初期状態において、両者の間には隙間(クリアランス)が設けられている。このクリアランスは、LCコネクタCの寸法公差や、LCコネクタCのラッチ部C1の変形のしやすさ等を考慮して設定されている。
このクリアランスがあるため、LCコネクタCを光レセプタクル101に装着した状態でも、ベール102は僅かに回転し(がたつき)、アクチュエータ103の突起103aも僅かではあるが上下運動する。このため、係合突起103aがケージの係合孔から外れる可能性が残る。
【0008】
本発明は、上述のような実情に鑑み、光コネクタを光レセプタクルに装着した状態ではケージから外れることがない光データリンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の光データリンクは、光コネクタを受納し、ホスト装置に備えられたケージに装着され、光信号と電気信号との変換を行うものであって、光コネクタが装着される光レセプタクルと、該光レセプタクルに保持され、ケージに形成された係合孔と係合する突起を有するアクチュエータと、アクチュエータにシーソ運動を誘起し該突起を該係合孔から離脱させるベールと、を備え、ベールが、一対の脚部と、該一対の脚部を連結する連結部とからなり、該連結部は光レセプタクルが光コネクタを装着している状態で光レセプタクルに対してアクチュエータと同じ側に位置していることを特徴とする。
【0010】
ベールが、連結部が光レセプタクル前面を横切ることができる様に一対の脚部が光レセプタクル側面に保持されており、一対の脚部それぞれの前面には、光レセプタクルが光コネクタを装着している際に光コネクタに突き当たって連結部の光レセプタクル前面を横切る動きを阻止する第1のストッパを有しているとよい。
【0011】
ベールが、光コネクタが光レセプタクルに装着されていない状態で、ベールを回転しようとする際に光レセプタクルに突き当たってベール過回転することを防止する第2のストッパを有していてもよい。また、第1のストッパが、脚部を連結するように形成され、光データリンク用の識別情報を当該連結部に付すようにしてもよい。
さらに、ベールの内面に凸部を設け、該凸部がアクチュエータ又は光レセプタクルに突き当たってベールの初期位置を規定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の光データリンクの概略を説明する図である。
【図2】本発明の光データリンクの概略を説明する図である。
【図3】図1及び図2のアクチュエータについて説明する図である。
【図4】図1及び図2の光レセプタクルについて説明する図である。
【図5】図1及び図2のベールについて説明する図である。
【図6】図1及び図2の光データリンクを取り外す際のベールの回転運動とアクチュエータのシーソ運動との関係を説明する図である。
【図7】アクチュエータの係合突起を示す図である。
【図8】ベールの他の例を示す図である。
【図9】ベールの更に別の例を示す図である。
【図10】ベールの更に別の例を示す図である。
【図11】従来の光データリンクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2を用いて、本発明の光データリンクの概略を説明する。
図1(A)は光データリンクに光コネクタが装着された状態を示す斜視図であり、図1(B)は当該光コネクタが取り外され光コネクタ挿入部が露出されている状態を示す斜視図である。
図1(A)に示すように、光データリンク1は、例えば、光コネクタCが装着される光レセプタクル10の後部に、データリンク本体部20が連続する断面矩形の長方形体に形成される。光データリンク1内には、発光素子、受光素子等の光部品、光信号の送受信を行うための増幅素子等の電子部品等が備えられる。
【0014】
また、光レセプタクル10の前部には、図1(B)に示すように、光コネクタCが着脱自在に装着される一対の開口11a,11bが設けられている。図2は光コネクタCが光データリンク1の光レセプタクル10に装着された状態を示す側面図である。光コネクタCとして、例えば、図2に示すように、ラッチ部C1によりコネクタ本体部C2の光レセプタクル10への装着が係止される例えば、LCコネクタが用いられる。
【0015】
さらに、光レセプタクル10には図1(B)に示す様にアクチュエータ30とベール40とが取付けられている。アクチュエータ30は、光レセプタクル10に対してシーソ運動が可能となる様に保持されるものであり、ホスト装置のケージに形成された係合孔に係脱する係合突起33a(図2参照)を有する。また、ベール40は、一対の脚部とこれら脚部を連結する連結部が断面コの字形状を為す様に構成され、当該連結部が光レセプタクル10の開口11a、11bを横切ることができる様にその脚部が光レセプタクル10の側面に保持され、当該保持部を中心に回転可能となっている。また、該回転動作によってアクチュエータ30にシーソ運動を起し、その係合突起33aとケージの係合孔とを係合/解除させるものである。
また、後述するようにベール40の連結部がアクチュエータ30側に位置するようにその脚部が光レセプタクル10の側面に保持され、脚部の前方側に光コネクタCが光レセプタクル10に装着された状態で光コネクタ本体部C2に突き当たってベール10の回転を阻止するストッパ41c(第1のストッパ)を有している。
【0016】
続いて、図3〜図5を用いて、アクチュエータ30、光レセプタクル10及びベール40について詳細に説明する。
図3は、図1及び図2のアクチュエータ30について説明する図で、図3(A)及び(B)はそれぞれ、アクチュエータ30を上方及び下方から俯瞰した様子を示す斜視図である。アクチュエータ30は、本体部31、支点部32、係合部33及びバネ部34を含んで成り、光レセプタクル10に支持される。
【0017】
本体部31は、後述するベール40の脚部に設けられたカム面にその頂部が接する側壁部31aを両側に有し、また、これら側壁部31aを連結する連結部31bを有する。この連結部31bには後方に向かって延びるバネ部34が一体的に形成されている。
【0018】
支点部32は、アクチュエータ30に誘起されるシーソ運動の支点になる軸32aを有し、この軸32aは、例えば、略半円柱状に形成される。軸32aが後述する光レセプタクル10の軸受部に支持される。軸32aが上記軸受部に保持されスムーズに回転することで、アクチュエータ30に軸32aを支点としたシーソ運動が誘起される。
係合部33の先端(後方)には、図3(B)に示すように、ホスト装置のケージの係合孔に係合する係合突起33aが形成されている。軸32aを中心とするシーソ運動がこの係合突起33aに上下運動を起こさせる。
【0019】
バネ部34は、当該バネ部34が撓むことによる応力がアクチュエータ30の前端側を常に押し上げる力をもたらす。連結部31bから伸びだすバネ部34の主枝がアクチュエータ本体部31の主面に対してその組立前は有意な角度を有している。この角度を補償する様に(角度を無くす様に)アクチュエータ30は光レセプタクル10に組み付けられる。すなわち、アクチュエータ30をレセプタクルに装着する際、すなわち、その軸32aをレセプタクル10の軸受部11dにセットすると、バネ部34の主枝は常に撓んだ状態でレセプタクル10に対してセットされることとなる。バネ部34の後端は、連結部31bから後方に延び、支点部32を超え係合部33にまで達しており、該後端には、上方に向かって延び出す水平断面がT字状の突起34a(図3(A))が形成されている。このバネ部34先端の突起34aは、後述するように、光レセプタクル10の中央隔壁に形成されたポケットに収まることで、アクチュエータ30の前後方向の移動を制限する。
【0020】
図4は、図1及び図2の光レセプタクル10について説明する図で、図4(A)及び図4(B)はそれぞれ光レセプタクル10を前方/後方から見た様子を示す斜視図であり、図1及び図2とは上下逆に示されている。
光レセプタクル10は、前方から順にレセプタクル部11、搭載部12を有する。
【0021】
レセプタクル部11は、光コネクタ本体部C2(図2参照)が挿入される部分であり、その前方に上記本体部C2が挿入される送信/受信用の二つの開口11a、11bを有する。レセプタクル部11は、ベール40が取付けられる突起11cをその外側面上方に有する。後述のベール40の脚部に形成される孔に、この突起11cを挿入することにより、ベール40が光レセプタクル10に取付けられる。
また、レセプタクル部11の下面には、アクチュエータ30のシーソ運動の軸32aが収まる軸受部11dが形成されている。
【0022】
搭載部12は、二つの空間12a,12bを有し、これら空間12a,12bに発光デバイス、受光デバイスが搭載される。空間12a,12bは、一対の側壁12cと中央隔壁12d等により区画されている。中央隔壁12dには、その前方端にポケット12eを備え、このポケット12eにアクチュエータ30のバネ部34の後端に形成されている突起34aが収まる。
さらに、側壁12cの外面には突起12fが形成されており、この突起12fが光リンク本体部20の側面の開口に係合することにより、光レセプタクル10はリンク本体部20に取付けられる。
【0023】
図5は、ベール40について説明する図である。ベール40は一対の脚部41とこれら脚部41を接続する連結部42を有する断面コの字状の部品である。
一対の脚部41のそれぞれには、光レセプタクル10の側面突起11cが挿入される開口41aが形成されていて、ベール40はこの突起11cを中心として回転運動を行う。また、脚部41は、その後端41bがカム状に形成されており、ベール40の回転運動に同期して、このカム面41bが、アクチュエータ30の側壁部31aの先端面をなぞることでアチュエータ30にシーソ運動を起こし、このシーソ運動によりケージの係合孔とアクチュエータ30の係合突起33aとの間の係合除関係が解除される。
【0024】
さらに、脚部41は、その前端にストッパ(第1のストッパ)41cが形成されている。第1のストッパ41cは、光レセプタクル10に光コネクタCが装着された状態でベール40を回転しようとする際に、このストッパ41cが光コネクタ本体部C2(図2参照)の段差に突き当りベール40の回転運動を阻止する機能を有する。
さらに、ベール40の前端面には、後述の過回転防止するためのストッパ41d(第2のストッパ)も形成されている。
【0025】
続いて、図6を用いて、光データリンク1とケージとの係合を解除する際におけるベール40の回転運動とアクチュエータ30のシーソ運動との関係を説明する。
光データリンク1をケージから取り外す際は、図6(A)に示すように、光コネクタCを予め取り外しておく。図6(A)の状態は、ベール40の初期状態であって、その連結部42は光レセプタクル10の下方にセットされており、アクチュエータ30の係合突起33aは最も外側に突き出されケージの係合孔に納まっている状態である。
【0026】
この状態から、所定の治具もしくは手動でベール40を突起11cを中心として図の時計回りに回転すると、カム面41bがアクチュエータ30の側壁頂部31a上をなぞる(図6(A)→図6(B)→図6(C))。カム面41bは、側壁頂部31aとの接触点からアクチュエータ30の回転中心(突起11cの中心)までの距離がベール40の回転に連動して次第に大きくなる形状を有する。したがって、カム面41bはそれだけアクチュエータ本体部31(図3参照)を下方に押し出すことになり、シーソ運動により係合突起33aが次第に光レセプタクル10側に引き寄せられ、最終的にケージとの係合状態が解除される(図6(D))。この状態になると、ベール40を、例えばその連結部をつまんで前方に引っ張ると光データリンク1をケージから取り外すことができる。
【0027】
また、図6(D)に示すような位置までベール40を回転させた場合、ベール40の過回転防止ストッパ41dが光レセプタクル10の上部に突き当たるので、ベール40のそれ以上の回転が規制される。
なお、アクチュエータ30の係合部33がこの様にベール40の回転に合わせて一連の動作を行ったとしても、そのバネ部34(図3参照)は常に光レセプタクル10に対してベール40を押し付ける様に作用する。したがって、ベール40から手を離すと、このバネ部34の有する弾性力により、ベール40は図6(A)の位置に自動的に戻る。すなわち、図6(C)において、アクチュエータ10からレセプタクル10へ向かう力のベクトルは矢印Aの方向にある。このベクトルはレセプタクルの回転突起11cの中心からはオフセットされているのでベール42に対して回転モーメントを与えることになり、ベール42を初期状態(図6(A))に戻す様に作用する。
【0028】
このような構造を有する光データリンク1では、図2に示すように、光コネクタCが装着された状態でベール40を回転しようとするときに該ベール40のストッパ41cと光コネクタ本体部C2とが突き当たる構造を採用している。従来の回転ストッパは光コネクタCのラッチ部C1に突き当たる構成であった。ラッチ部C1はコネクタCとレセプタクル10との係合を解除するためのもので、それ自身変形必要があり、その幾何学的形状の固体差が大きい。一方。光コネクタ本体部C2は、ラッチ部C1に比べ寸法ばらつきが小さく変形しにくい。従って、本発明では、回転ストッパとして機能するベール40の第1のストッパ41cとLCコネクタC(の本体部C2)との間のクリアランスを小さくできる。
【0029】
そのため、光データリンク1では、光コネクタCがレセプタクルに装着されている状態では、ベール40を微動させたときの係合突起33aの上下運動がほとんどない。光データリンク1は、光コネクタCが光レセプタクル10に装着された状態では外れることがないので、意図せずケージから抜き取られることがない。
【0030】
本発明さらに以下の効果も奏する。
従来の光データリンクでは、光コネクタラッチ部C1とベール40との間のクリアランス(すなわち係合状態におけるベールのがたつき)に起因する、係合突起の上下運動により、ケージの係合孔との係合が外れることがないように、図7の係合突起103の前端部103aの曲率半径がケージを構成する金属板の厚みより小さく設定されている。例えば、ケージはステンレスで作られ、その厚みは0.2mmまたは0.25mmであるので、上記曲率半径は0.2mm以下とされている。
【0031】
しかし、例えば、アクチュエータを廉価な板金で合成した場合、上述の曲率半径は板金の板厚以下にすることはできない。曲げ半径を0.2mm以下とするには厚さ0.2mm以下の板金を採用する必要がある。これは、コスト面及び機械的強度の面から選択肢足り得ない。実際は厚さ0.3mm以上の板金を採用せざるを得ない。この場合、光コネクタが装着された状態でのアクチュエータのガタツキで係合突起と係合孔との係合が簡単に外れてしまうことがあった。
【0032】
それに対し、光データリンク1では、光コネクタ装着状態での光データリンク1の抜き取り防止のため、ベール40を回転させたときにストッパ41c(図2参照)と光コネクタ本体部C2とが突き当たる構造を採用している。光コネクタ本体部C2は、そのラッチ部C1に比べ寸法ばらつきが小さくかつ変形させる必要もないため、光コネクタ本体部42とストッパ41cとの間のクリアランスは小さく設定できる。したがって、光コネクタCが装着されている状態では、ベール40を動かそうとしたときのアクチュエータ30の係合突起33aの上下運動がほとんどない。
【0033】
そのため、アクチュエータ30の材料として0.2mmより厚い板金を使った場合でも、光データリンク1は、光コネクタCが光レセプタクル10に装着された状態では外れることがないので、不用意に抜き取られることがない。
【0034】
また、光データリンク1において、ストッパ41cを光コネクタ本体部C2ではあってもラッチ部C1側と反対側の段差部に突き当てる構造を採用した理由は以下の通りである。すなわち、突き当て箇所を従来の様にラッチ部側の段差に突き当てる構造では、当接部の周辺にラッチ部C1があるため、当該当接部を0.5mm程度の幅でしか形成できないが、本発明のように上記ラッチ部C1側の段差部と当接させる構造では、1mm以上の幅で形成することができるため、その機械的強度を高くすることができるからである。たとえば、当該ストッパ41cを連結部の全長に渡って設けることも可能である(図8)。
なお、過回転防止ストッパ41dは、光コネクタラッチ部C1との干渉を防ぐとともに機械的強度を確保するため、当接部41cより短く且つ幅狭に形成されている。
【0035】
以下では、本発明の光データリンクに用いるベールの他の例について説明する。なお、各例において他の例と同様な部分については、同じ符号を付すことにより、その説明を省略する。
図8のベール50は、図5のベール40とは異なり、脚部51を連結する連結部52が脚部51の前面に形成されている。ベール50では、この連結部52が、光コネクタ装着時のベールの回転ストッパとして機能する。言い換えれば、ベール50は、図4のストッパ41cが、脚部51の前面に形成された連結部52により構成されている。
このようにすることにより、この連結部52にカラーラベルを貼ることができる。カラーラベルは、例えばWDM用光トランシーバにおいて、その波長種を表すため等に用いられるものである。
【0036】
図9のベール60は、脚部61の内側面に凸部61aが形成されている点で、図8のベール50と異なる。この凸部61aは、図6(A)に示すような初期状態(イニシャル位置)で、アクチュエータ30の側面と当接することにより、ベール60を当該イニシャル位置から容易に動かなくさせるためのものである。
【0037】
図10のベール70は、連結部71の内側面に凸部71aが形成されている点で、図5のベール40と異なる。この凸部71aは、上記イニシャル位置でアクチュエータ30の下面と当接することにより、ベール70を当該イニシャル位置から容易に動かなくさせるためのものである。
【0038】
なお、ベールは、図4のように脚部41の下方に連結部42を設けておき、その上で、ストッパを脚部41を連結するように幅広に形成しておき、カラーラベルが貼れるような構成でもよい。
また、図9の上記凸部61aは、図5のベール40のように、脚部を連結する連結部が下面に形成されているものに設けても良い。凸部61aは両方の脚部に設けても良いし一方のみに設けても良い。
【0039】
また、図9のようにベールの内側面に上述の凸部を設ける場合は、ベール60をイニシャル位置から容易に動かなくさせるために、当該凸部61aを、アクチュエータ30ではなく、光レセプタクル10の側面と当接するように形成してもよい。
ベールに上述の凸部61aや凸部71aを設ける場合は、イニシャル位置において、これら凸部61a,71aと当接する部分(アクチュエータ30の側面または下面、光レセプタクル10の側面)に窪みを設けて、両者を嵌合させる構成にしてもよい。
【0040】
また、ベールは、光コネクタと干渉しないように図5の過回転防止ストッパ41dと当接部ストッパ41cとを連結させる構造でもよい。この構造では、イニシャル位置から奥方向にベール40を回転させようとしたときに当該連結部と光レセプタクルの側壁とが突き当たるので、イニシャル位置から奥方向にベール40が回転するのを防ぐストッパとなる。
【0041】
なお、本発明の光データリンクでは、カム形状がシンプルになるため、ベールの回転動作とアクチュエータと上下運動が設計しやすくなる(遊びの部分を設計しやすくなる)。
【符号の説明】
【0042】
1…光データリンク、10…光レセプタクル、11…レセプタクル部、11c…突起、11d…保持部、12…搭載部、12c…側壁、12d…中央隔壁、12e…ポケット、12f…突起、20…リンク本体部、30…アクチュエータ、31…本体部、31a…側壁部、31b…連結部、32…支点、32a…軸、33…係合部、33a…係合突起、34…バネ部、34a…突起、40,50,60,70…ベール、41,51,61…脚部、41a…挿通孔、41b…カム面、41c…第1のストッパ、41d…第2のストッパ、42,52,71…連結部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバ通信に用いられ、ホスト装置のケージに挿脱される光データリンクに関し、特にケージに対する係脱機構に関する
【背景技術】
【0002】
光トランシーバ等の光データリンクは、光コネクタを介して信号光の送信及び/又は受信を行うもので、光電変換素子や回路基板が収納されるリンク本体部と、光コネクタが着脱可能に装着される光レセプタクルと、を備える。光データリンクのうち、SFP(Small Form-Factor Pluggable)と呼ばれる業界標準に準拠した小型のものでは、ホスト装置のケージに対して挿抜自在とする構造、すなわちプラガブル構造を採用しており、このプラガブル構造に関して様々なものが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
従来の光データリンクでは、プラガブル構造とするために、図11(A)に示すように、光コネクタCが装着される光レセプタクル101にベール102とアクチュエータ103が取付けられている。ベール102は、光レセプタクル101に設けられた取付軸101a(図11Aに101aは未記)を中心に回転可能なものであり、ベール102をこの取付軸を中心として回転させることによりアクチュエータ103を連動させてシーソ運動させる。アクチュエータ103は、ホスト装置のケージに形成された係合孔に係脱する係合突起103aを有し、該係合突起103aとホスト装置のケージとの係合により、光データリンク100がケージから抜き出せないようになっている。
【0004】
また、光データリンク100がケージに装着された状態でベール102が操作されると、該ベール102と連動して動くアクチュエータ103の係合突起103aが上下し該突起103aとケージの係合孔との係合が解除され、光データリンク100がケージから抜き出せるようになっている。
【0005】
光データリンク100では、さらに、LCコネクタCが光レセプタクル101に装着されている状態で係合突起103aとケージとの係合が解除されるのを防ぐため、図11(B)に示すように、LCコネクタCがレセプタクル101に装着されている状態でベール102を回転させようとすると、ベール102の上側(光コネクタCのラッチ部C1側)の部分102aが、光コネクタCのラッチ部C1に当接し、ベール102がそれ以上回転しないようになっている。これにより、LCコネクタCが装着されている状態では、係合突起103aの上下運動が制限されるので、光データリンク100がケージから抜き出されることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−317540号公報
【特許文献2】特開2007−226039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようにベール102の連結部102aは光コネクタCのラッチ部C1に突き当たるが、図11(A)のベール初期状態において、両者の間には隙間(クリアランス)が設けられている。このクリアランスは、LCコネクタCの寸法公差や、LCコネクタCのラッチ部C1の変形のしやすさ等を考慮して設定されている。
このクリアランスがあるため、LCコネクタCを光レセプタクル101に装着した状態でも、ベール102は僅かに回転し(がたつき)、アクチュエータ103の突起103aも僅かではあるが上下運動する。このため、係合突起103aがケージの係合孔から外れる可能性が残る。
【0008】
本発明は、上述のような実情に鑑み、光コネクタを光レセプタクルに装着した状態ではケージから外れることがない光データリンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の光データリンクは、光コネクタを受納し、ホスト装置に備えられたケージに装着され、光信号と電気信号との変換を行うものであって、光コネクタが装着される光レセプタクルと、該光レセプタクルに保持され、ケージに形成された係合孔と係合する突起を有するアクチュエータと、アクチュエータにシーソ運動を誘起し該突起を該係合孔から離脱させるベールと、を備え、ベールが、一対の脚部と、該一対の脚部を連結する連結部とからなり、該連結部は光レセプタクルが光コネクタを装着している状態で光レセプタクルに対してアクチュエータと同じ側に位置していることを特徴とする。
【0010】
ベールが、連結部が光レセプタクル前面を横切ることができる様に一対の脚部が光レセプタクル側面に保持されており、一対の脚部それぞれの前面には、光レセプタクルが光コネクタを装着している際に光コネクタに突き当たって連結部の光レセプタクル前面を横切る動きを阻止する第1のストッパを有しているとよい。
【0011】
ベールが、光コネクタが光レセプタクルに装着されていない状態で、ベールを回転しようとする際に光レセプタクルに突き当たってベール過回転することを防止する第2のストッパを有していてもよい。また、第1のストッパが、脚部を連結するように形成され、光データリンク用の識別情報を当該連結部に付すようにしてもよい。
さらに、ベールの内面に凸部を設け、該凸部がアクチュエータ又は光レセプタクルに突き当たってベールの初期位置を規定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の光データリンクの概略を説明する図である。
【図2】本発明の光データリンクの概略を説明する図である。
【図3】図1及び図2のアクチュエータについて説明する図である。
【図4】図1及び図2の光レセプタクルについて説明する図である。
【図5】図1及び図2のベールについて説明する図である。
【図6】図1及び図2の光データリンクを取り外す際のベールの回転運動とアクチュエータのシーソ運動との関係を説明する図である。
【図7】アクチュエータの係合突起を示す図である。
【図8】ベールの他の例を示す図である。
【図9】ベールの更に別の例を示す図である。
【図10】ベールの更に別の例を示す図である。
【図11】従来の光データリンクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2を用いて、本発明の光データリンクの概略を説明する。
図1(A)は光データリンクに光コネクタが装着された状態を示す斜視図であり、図1(B)は当該光コネクタが取り外され光コネクタ挿入部が露出されている状態を示す斜視図である。
図1(A)に示すように、光データリンク1は、例えば、光コネクタCが装着される光レセプタクル10の後部に、データリンク本体部20が連続する断面矩形の長方形体に形成される。光データリンク1内には、発光素子、受光素子等の光部品、光信号の送受信を行うための増幅素子等の電子部品等が備えられる。
【0014】
また、光レセプタクル10の前部には、図1(B)に示すように、光コネクタCが着脱自在に装着される一対の開口11a,11bが設けられている。図2は光コネクタCが光データリンク1の光レセプタクル10に装着された状態を示す側面図である。光コネクタCとして、例えば、図2に示すように、ラッチ部C1によりコネクタ本体部C2の光レセプタクル10への装着が係止される例えば、LCコネクタが用いられる。
【0015】
さらに、光レセプタクル10には図1(B)に示す様にアクチュエータ30とベール40とが取付けられている。アクチュエータ30は、光レセプタクル10に対してシーソ運動が可能となる様に保持されるものであり、ホスト装置のケージに形成された係合孔に係脱する係合突起33a(図2参照)を有する。また、ベール40は、一対の脚部とこれら脚部を連結する連結部が断面コの字形状を為す様に構成され、当該連結部が光レセプタクル10の開口11a、11bを横切ることができる様にその脚部が光レセプタクル10の側面に保持され、当該保持部を中心に回転可能となっている。また、該回転動作によってアクチュエータ30にシーソ運動を起し、その係合突起33aとケージの係合孔とを係合/解除させるものである。
また、後述するようにベール40の連結部がアクチュエータ30側に位置するようにその脚部が光レセプタクル10の側面に保持され、脚部の前方側に光コネクタCが光レセプタクル10に装着された状態で光コネクタ本体部C2に突き当たってベール10の回転を阻止するストッパ41c(第1のストッパ)を有している。
【0016】
続いて、図3〜図5を用いて、アクチュエータ30、光レセプタクル10及びベール40について詳細に説明する。
図3は、図1及び図2のアクチュエータ30について説明する図で、図3(A)及び(B)はそれぞれ、アクチュエータ30を上方及び下方から俯瞰した様子を示す斜視図である。アクチュエータ30は、本体部31、支点部32、係合部33及びバネ部34を含んで成り、光レセプタクル10に支持される。
【0017】
本体部31は、後述するベール40の脚部に設けられたカム面にその頂部が接する側壁部31aを両側に有し、また、これら側壁部31aを連結する連結部31bを有する。この連結部31bには後方に向かって延びるバネ部34が一体的に形成されている。
【0018】
支点部32は、アクチュエータ30に誘起されるシーソ運動の支点になる軸32aを有し、この軸32aは、例えば、略半円柱状に形成される。軸32aが後述する光レセプタクル10の軸受部に支持される。軸32aが上記軸受部に保持されスムーズに回転することで、アクチュエータ30に軸32aを支点としたシーソ運動が誘起される。
係合部33の先端(後方)には、図3(B)に示すように、ホスト装置のケージの係合孔に係合する係合突起33aが形成されている。軸32aを中心とするシーソ運動がこの係合突起33aに上下運動を起こさせる。
【0019】
バネ部34は、当該バネ部34が撓むことによる応力がアクチュエータ30の前端側を常に押し上げる力をもたらす。連結部31bから伸びだすバネ部34の主枝がアクチュエータ本体部31の主面に対してその組立前は有意な角度を有している。この角度を補償する様に(角度を無くす様に)アクチュエータ30は光レセプタクル10に組み付けられる。すなわち、アクチュエータ30をレセプタクルに装着する際、すなわち、その軸32aをレセプタクル10の軸受部11dにセットすると、バネ部34の主枝は常に撓んだ状態でレセプタクル10に対してセットされることとなる。バネ部34の後端は、連結部31bから後方に延び、支点部32を超え係合部33にまで達しており、該後端には、上方に向かって延び出す水平断面がT字状の突起34a(図3(A))が形成されている。このバネ部34先端の突起34aは、後述するように、光レセプタクル10の中央隔壁に形成されたポケットに収まることで、アクチュエータ30の前後方向の移動を制限する。
【0020】
図4は、図1及び図2の光レセプタクル10について説明する図で、図4(A)及び図4(B)はそれぞれ光レセプタクル10を前方/後方から見た様子を示す斜視図であり、図1及び図2とは上下逆に示されている。
光レセプタクル10は、前方から順にレセプタクル部11、搭載部12を有する。
【0021】
レセプタクル部11は、光コネクタ本体部C2(図2参照)が挿入される部分であり、その前方に上記本体部C2が挿入される送信/受信用の二つの開口11a、11bを有する。レセプタクル部11は、ベール40が取付けられる突起11cをその外側面上方に有する。後述のベール40の脚部に形成される孔に、この突起11cを挿入することにより、ベール40が光レセプタクル10に取付けられる。
また、レセプタクル部11の下面には、アクチュエータ30のシーソ運動の軸32aが収まる軸受部11dが形成されている。
【0022】
搭載部12は、二つの空間12a,12bを有し、これら空間12a,12bに発光デバイス、受光デバイスが搭載される。空間12a,12bは、一対の側壁12cと中央隔壁12d等により区画されている。中央隔壁12dには、その前方端にポケット12eを備え、このポケット12eにアクチュエータ30のバネ部34の後端に形成されている突起34aが収まる。
さらに、側壁12cの外面には突起12fが形成されており、この突起12fが光リンク本体部20の側面の開口に係合することにより、光レセプタクル10はリンク本体部20に取付けられる。
【0023】
図5は、ベール40について説明する図である。ベール40は一対の脚部41とこれら脚部41を接続する連結部42を有する断面コの字状の部品である。
一対の脚部41のそれぞれには、光レセプタクル10の側面突起11cが挿入される開口41aが形成されていて、ベール40はこの突起11cを中心として回転運動を行う。また、脚部41は、その後端41bがカム状に形成されており、ベール40の回転運動に同期して、このカム面41bが、アクチュエータ30の側壁部31aの先端面をなぞることでアチュエータ30にシーソ運動を起こし、このシーソ運動によりケージの係合孔とアクチュエータ30の係合突起33aとの間の係合除関係が解除される。
【0024】
さらに、脚部41は、その前端にストッパ(第1のストッパ)41cが形成されている。第1のストッパ41cは、光レセプタクル10に光コネクタCが装着された状態でベール40を回転しようとする際に、このストッパ41cが光コネクタ本体部C2(図2参照)の段差に突き当りベール40の回転運動を阻止する機能を有する。
さらに、ベール40の前端面には、後述の過回転防止するためのストッパ41d(第2のストッパ)も形成されている。
【0025】
続いて、図6を用いて、光データリンク1とケージとの係合を解除する際におけるベール40の回転運動とアクチュエータ30のシーソ運動との関係を説明する。
光データリンク1をケージから取り外す際は、図6(A)に示すように、光コネクタCを予め取り外しておく。図6(A)の状態は、ベール40の初期状態であって、その連結部42は光レセプタクル10の下方にセットされており、アクチュエータ30の係合突起33aは最も外側に突き出されケージの係合孔に納まっている状態である。
【0026】
この状態から、所定の治具もしくは手動でベール40を突起11cを中心として図の時計回りに回転すると、カム面41bがアクチュエータ30の側壁頂部31a上をなぞる(図6(A)→図6(B)→図6(C))。カム面41bは、側壁頂部31aとの接触点からアクチュエータ30の回転中心(突起11cの中心)までの距離がベール40の回転に連動して次第に大きくなる形状を有する。したがって、カム面41bはそれだけアクチュエータ本体部31(図3参照)を下方に押し出すことになり、シーソ運動により係合突起33aが次第に光レセプタクル10側に引き寄せられ、最終的にケージとの係合状態が解除される(図6(D))。この状態になると、ベール40を、例えばその連結部をつまんで前方に引っ張ると光データリンク1をケージから取り外すことができる。
【0027】
また、図6(D)に示すような位置までベール40を回転させた場合、ベール40の過回転防止ストッパ41dが光レセプタクル10の上部に突き当たるので、ベール40のそれ以上の回転が規制される。
なお、アクチュエータ30の係合部33がこの様にベール40の回転に合わせて一連の動作を行ったとしても、そのバネ部34(図3参照)は常に光レセプタクル10に対してベール40を押し付ける様に作用する。したがって、ベール40から手を離すと、このバネ部34の有する弾性力により、ベール40は図6(A)の位置に自動的に戻る。すなわち、図6(C)において、アクチュエータ10からレセプタクル10へ向かう力のベクトルは矢印Aの方向にある。このベクトルはレセプタクルの回転突起11cの中心からはオフセットされているのでベール42に対して回転モーメントを与えることになり、ベール42を初期状態(図6(A))に戻す様に作用する。
【0028】
このような構造を有する光データリンク1では、図2に示すように、光コネクタCが装着された状態でベール40を回転しようとするときに該ベール40のストッパ41cと光コネクタ本体部C2とが突き当たる構造を採用している。従来の回転ストッパは光コネクタCのラッチ部C1に突き当たる構成であった。ラッチ部C1はコネクタCとレセプタクル10との係合を解除するためのもので、それ自身変形必要があり、その幾何学的形状の固体差が大きい。一方。光コネクタ本体部C2は、ラッチ部C1に比べ寸法ばらつきが小さく変形しにくい。従って、本発明では、回転ストッパとして機能するベール40の第1のストッパ41cとLCコネクタC(の本体部C2)との間のクリアランスを小さくできる。
【0029】
そのため、光データリンク1では、光コネクタCがレセプタクルに装着されている状態では、ベール40を微動させたときの係合突起33aの上下運動がほとんどない。光データリンク1は、光コネクタCが光レセプタクル10に装着された状態では外れることがないので、意図せずケージから抜き取られることがない。
【0030】
本発明さらに以下の効果も奏する。
従来の光データリンクでは、光コネクタラッチ部C1とベール40との間のクリアランス(すなわち係合状態におけるベールのがたつき)に起因する、係合突起の上下運動により、ケージの係合孔との係合が外れることがないように、図7の係合突起103の前端部103aの曲率半径がケージを構成する金属板の厚みより小さく設定されている。例えば、ケージはステンレスで作られ、その厚みは0.2mmまたは0.25mmであるので、上記曲率半径は0.2mm以下とされている。
【0031】
しかし、例えば、アクチュエータを廉価な板金で合成した場合、上述の曲率半径は板金の板厚以下にすることはできない。曲げ半径を0.2mm以下とするには厚さ0.2mm以下の板金を採用する必要がある。これは、コスト面及び機械的強度の面から選択肢足り得ない。実際は厚さ0.3mm以上の板金を採用せざるを得ない。この場合、光コネクタが装着された状態でのアクチュエータのガタツキで係合突起と係合孔との係合が簡単に外れてしまうことがあった。
【0032】
それに対し、光データリンク1では、光コネクタ装着状態での光データリンク1の抜き取り防止のため、ベール40を回転させたときにストッパ41c(図2参照)と光コネクタ本体部C2とが突き当たる構造を採用している。光コネクタ本体部C2は、そのラッチ部C1に比べ寸法ばらつきが小さくかつ変形させる必要もないため、光コネクタ本体部42とストッパ41cとの間のクリアランスは小さく設定できる。したがって、光コネクタCが装着されている状態では、ベール40を動かそうとしたときのアクチュエータ30の係合突起33aの上下運動がほとんどない。
【0033】
そのため、アクチュエータ30の材料として0.2mmより厚い板金を使った場合でも、光データリンク1は、光コネクタCが光レセプタクル10に装着された状態では外れることがないので、不用意に抜き取られることがない。
【0034】
また、光データリンク1において、ストッパ41cを光コネクタ本体部C2ではあってもラッチ部C1側と反対側の段差部に突き当てる構造を採用した理由は以下の通りである。すなわち、突き当て箇所を従来の様にラッチ部側の段差に突き当てる構造では、当接部の周辺にラッチ部C1があるため、当該当接部を0.5mm程度の幅でしか形成できないが、本発明のように上記ラッチ部C1側の段差部と当接させる構造では、1mm以上の幅で形成することができるため、その機械的強度を高くすることができるからである。たとえば、当該ストッパ41cを連結部の全長に渡って設けることも可能である(図8)。
なお、過回転防止ストッパ41dは、光コネクタラッチ部C1との干渉を防ぐとともに機械的強度を確保するため、当接部41cより短く且つ幅狭に形成されている。
【0035】
以下では、本発明の光データリンクに用いるベールの他の例について説明する。なお、各例において他の例と同様な部分については、同じ符号を付すことにより、その説明を省略する。
図8のベール50は、図5のベール40とは異なり、脚部51を連結する連結部52が脚部51の前面に形成されている。ベール50では、この連結部52が、光コネクタ装着時のベールの回転ストッパとして機能する。言い換えれば、ベール50は、図4のストッパ41cが、脚部51の前面に形成された連結部52により構成されている。
このようにすることにより、この連結部52にカラーラベルを貼ることができる。カラーラベルは、例えばWDM用光トランシーバにおいて、その波長種を表すため等に用いられるものである。
【0036】
図9のベール60は、脚部61の内側面に凸部61aが形成されている点で、図8のベール50と異なる。この凸部61aは、図6(A)に示すような初期状態(イニシャル位置)で、アクチュエータ30の側面と当接することにより、ベール60を当該イニシャル位置から容易に動かなくさせるためのものである。
【0037】
図10のベール70は、連結部71の内側面に凸部71aが形成されている点で、図5のベール40と異なる。この凸部71aは、上記イニシャル位置でアクチュエータ30の下面と当接することにより、ベール70を当該イニシャル位置から容易に動かなくさせるためのものである。
【0038】
なお、ベールは、図4のように脚部41の下方に連結部42を設けておき、その上で、ストッパを脚部41を連結するように幅広に形成しておき、カラーラベルが貼れるような構成でもよい。
また、図9の上記凸部61aは、図5のベール40のように、脚部を連結する連結部が下面に形成されているものに設けても良い。凸部61aは両方の脚部に設けても良いし一方のみに設けても良い。
【0039】
また、図9のようにベールの内側面に上述の凸部を設ける場合は、ベール60をイニシャル位置から容易に動かなくさせるために、当該凸部61aを、アクチュエータ30ではなく、光レセプタクル10の側面と当接するように形成してもよい。
ベールに上述の凸部61aや凸部71aを設ける場合は、イニシャル位置において、これら凸部61a,71aと当接する部分(アクチュエータ30の側面または下面、光レセプタクル10の側面)に窪みを設けて、両者を嵌合させる構成にしてもよい。
【0040】
また、ベールは、光コネクタと干渉しないように図5の過回転防止ストッパ41dと当接部ストッパ41cとを連結させる構造でもよい。この構造では、イニシャル位置から奥方向にベール40を回転させようとしたときに当該連結部と光レセプタクルの側壁とが突き当たるので、イニシャル位置から奥方向にベール40が回転するのを防ぐストッパとなる。
【0041】
なお、本発明の光データリンクでは、カム形状がシンプルになるため、ベールの回転動作とアクチュエータと上下運動が設計しやすくなる(遊びの部分を設計しやすくなる)。
【符号の説明】
【0042】
1…光データリンク、10…光レセプタクル、11…レセプタクル部、11c…突起、11d…保持部、12…搭載部、12c…側壁、12d…中央隔壁、12e…ポケット、12f…突起、20…リンク本体部、30…アクチュエータ、31…本体部、31a…側壁部、31b…連結部、32…支点、32a…軸、33…係合部、33a…係合突起、34…バネ部、34a…突起、40,50,60,70…ベール、41,51,61…脚部、41a…挿通孔、41b…カム面、41c…第1のストッパ、41d…第2のストッパ、42,52,71…連結部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光コネクタを受納し、ホスト装置に備えられたケージに装着され、光信号と電気信号との変換を行う光データリンクであって、
該光コネクタが装着される光レセプタクルと、
該光レセプタクルに保持され、該ケージに形成された係合孔と係合する突起を有するアクチュエータと、
該アクチュエータにシーソ運動を誘起し該突起を該係合孔から離脱させるベールと、を備え、
該ベールは、一対の脚部と、該一対の脚部を連結する連結部とからなり、該連結部は該光レセプタクルが該光コネクタを装着している状態で該光レセプタクルに対して該アクチュエータと同じ側に位置していることを特徴とする光データリンク。
【請求項2】
該ベールは該連結部が該光レセプタクル前面を横切ることができる様に該一対の脚部が該光レセプタクル側面に保持されており、
該一対の脚部それぞれの前面には、該光レセプタクルが該光コネクタを装着している際に該光コネクタに突き当たって該連結部の該光レセプタクル前面を横切る動きを阻止する第1のストッパを有していることを特徴とする請求項1の光データリンク。
【請求項3】
該ベールは、該光レセプタクルに該光コネクタが装着されていない状態で、該光レセプタクルに突き当たって該ベールの過回転を防止するストッパをさらに有していることを特徴とする請求項1および2に記載の光データリンク。
【請求項4】
該第1のストッパは、該一対の脚部を連結していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光データリンク。
【請求項5】
該ベールは該脚部内面に凸部を有し、該凸部は該アクチュエータ又は該光レセプタクルに突き当たり該ベールの初期位置を規定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光データリンク。
【請求項1】
光コネクタを受納し、ホスト装置に備えられたケージに装着され、光信号と電気信号との変換を行う光データリンクであって、
該光コネクタが装着される光レセプタクルと、
該光レセプタクルに保持され、該ケージに形成された係合孔と係合する突起を有するアクチュエータと、
該アクチュエータにシーソ運動を誘起し該突起を該係合孔から離脱させるベールと、を備え、
該ベールは、一対の脚部と、該一対の脚部を連結する連結部とからなり、該連結部は該光レセプタクルが該光コネクタを装着している状態で該光レセプタクルに対して該アクチュエータと同じ側に位置していることを特徴とする光データリンク。
【請求項2】
該ベールは該連結部が該光レセプタクル前面を横切ることができる様に該一対の脚部が該光レセプタクル側面に保持されており、
該一対の脚部それぞれの前面には、該光レセプタクルが該光コネクタを装着している際に該光コネクタに突き当たって該連結部の該光レセプタクル前面を横切る動きを阻止する第1のストッパを有していることを特徴とする請求項1の光データリンク。
【請求項3】
該ベールは、該光レセプタクルに該光コネクタが装着されていない状態で、該光レセプタクルに突き当たって該ベールの過回転を防止するストッパをさらに有していることを特徴とする請求項1および2に記載の光データリンク。
【請求項4】
該第1のストッパは、該一対の脚部を連結していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光データリンク。
【請求項5】
該ベールは該脚部内面に凸部を有し、該凸部は該アクチュエータ又は該光レセプタクルに突き当たり該ベールの初期位置を規定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光データリンク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−33698(P2011−33698A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177775(P2009−177775)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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