光ピックアップ及びこれを用いた光ディスク装置
【課題】光ピックアップのカップリング効率のばらつきによる再生時の光源から出射される光ビームのパワーのばらつきを防止し、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、光源の寿命のばらつきを抑制できる光ピックアップ及び光ディスク装置を提供する。
【解決手段】光源31と、光源31から出射された光ビームを光ディスク2に集光させる対物レンズ32と、光源31と対物レンズ32との間に設けられ、光源31から出射される光ビームの光量を減衰させて対物レンズ32に導く光減衰器とを備え、光減衰器は、光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子34と、液晶素子34を経た光ビームが入射される偏光分離部35aとを有し、液晶素子34によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される。
【解決手段】光源31と、光源31から出射された光ビームを光ディスク2に集光させる対物レンズ32と、光源31と対物レンズ32との間に設けられ、光源31から出射される光ビームの光量を減衰させて対物レンズ32に導く光減衰器とを備え、光減衰器は、光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子34と、液晶素子34を経た光ビームが入射される偏光分離部35aとを有し、液晶素子34によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ及びこの光ピックアップを用いた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光ディスクは、高密度化、高転送化技術がめざましい。例えばBD(Blu-ray Disc(登録商標))のような紫色半導体レーザによる波長405nm程度の光ビームを用いて信号の記録再生を行う高密度記録が可能な光ディスク(以下、「高密度記録光ディスク」という。)が提案されている。
【0003】
また、高転送化としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)の例のようにどんどん高速化に移行しており、すでに2倍速については例えばプロフェッショナルディスクシステムXDCAM等においても実用化されている。今後は、4倍速・8倍速に移行する傾向にある。高速化になれば、そのときの必要な記録光パワーが増加するのは自明であり、また、2層以上の多層光ディスクなればなおさらである。
【0004】
このような高密度化、高転送化を可能とする光ディスクに対して記録及び/又は再生を行う光ピックアップにおいて、問題となるのは、レーザの信頼性、すなわち寿命である。
【0005】
レーザの信頼性は、レーザケース温度・出力光パワーに依存し、多層光ディスク、高転送化では信頼性が劣る傾向がある。ここで、レーザケース温度を低くしたり、出力パワーを小さくすることにより、信頼性が向上することが一般的に知られている。
【0006】
一方、光ディスクを再生する際のノイズの要因の一つであるレーザノイズは、出力パワーに依存し、出力パワーが大きいほどレーザノイズが小さくなる。この点について、図9を用いて説明する。図9中横軸は、光源から出射される光ビームのレーザパワー(以下、「元パワー」ともいう。)を示し、縦軸は、元パワー(元Power)に対応したRIN(dB/Hz)を示すものである。ここでRIN(Relative Intensity Noise)は、あるレーザパワーに対する揺らぎパワーの相対値の1Hz当たりの値を示すものである。このようなレーザパワーとRINとの関係を示す曲線を、以下では、「Power vs Rinカーブ」ともいう。図9によれば、レーザノイズは、出力パワーに依存し、出力パワーが大きいほどレーザノイズが小さくなることが確認できる。
【0007】
また、再生時は、レーザへの戻り光の影響をなくすために、高周波重畳をかけるのが一般的である。ここで、高周波重畳波形とレーザの元パワーとの関係について、図10及び図11を用いて説明する。尚、図10は、レーザ元パワーが2.5mWのときの高周波重畳波形を示し、図11は、レーザ元パワーが4.5mWのときの高周波重畳波形を示す。また、図10及び図11中縦軸は、対物レンズ出射パワー[mW]を示し、W10,W11は、それぞれ高周波重畳周波数を示すものであり、例えば300MHz程度である。高周波重畳波形は、元パワーが小さいときは、図10に示すように、単峰性(緩和振動の一発目)でピークパワーが大きくされている。しかし、この高周波重畳波形は、図10に示す状態から元パワーを上げてゆくと、図11に示すように緩和振動の2発目、3発目のいわゆるこぶ、すなわちパワーの立ち上がり部分が発生することになり、これによりピークパワーが下がるようになる。このようなこぶが出始めるのは、Power vs RINカーブでRINが単調減少から若干悪化するポイントであり、例えば図9では、3mW,5.5mW程度の部分である。このことは、図10及び図11に示す高周波重畳時の発光波形を参照すれば明らかである。
【0008】
高周波重畳時のピークパワーは、再生耐久性、すなわち同一トラックをスティルしているときの記録データの劣化具合に関係しており、BD規格にも規定されている。また、BDシステムのレーザは、波長405nmの青紫色レーザであり、レーザそのもののノイズがDVD等で用いられる波長650nm程度の赤色レーザと比較して大きいのが一般的である。
【0009】
高転送・多層光ディスクに対応するための記録時の高出力化と、再生時の低ノイズ化とを実現するシステムを構築する方法として、例えば液晶素子、NDフィルタ等からなる光減衰器を採用したものがある。これは、光学経路の途中に透過率、換言すると光減衰率の大きさの異なる素子を挿入し、記録時は、透過率を大にし、すなわち光減衰率を小にすることにより記録に必要な高パワーを得るものである。その一方で、再生時は、透過率を小にし、すなわち減衰率を大にすることによりレーザ元パワーを上げてレーザノイズを低減させるようにするものである。
【0010】
この光減衰器としては、例えば、2種類の透過率のNDフィルタをアクチュエータで機械的に切り替える方法や、液晶素子の印加電圧を切り替えることで減衰率を切り替える方法等により実現されている。
【0011】
機械式の光減衰器は、2種類の透過率切り替え、すなわち記録時には透過率大のものを用い、再生時には透過率小のものを用いる方式である。また、液晶素子からなる光減衰器は、一般的に、印加電圧により減衰率を変化するものを用いるが、再生時及び記録時の2モードに対応した2種類の電圧を切り替えて用いるものである。すなわち、両方式のいずれにおいても再生時及び記録時のそれぞれにおいては固定の減衰率とされていた。
【0012】
しかし、例えば再生時において固定減衰率であると、光ピックアップ固有の光学効率によって、同じ再生パワーを得るのでもレーザ元パワーが異なることとなる。この光ピックアップの光学効率は、カップリング効率ともよばれ、光源から出射されるレーザ光等の光ビームの発散角、光ピックアップを構成する光学部品の透過率や光学的ロス等によって決まるものである。すなわち、光源の元パワーがばらつけば、レーザノイズ、高周波重畳波形のピークパワー、寿命等がばらついてしまい、システム性能に影響を及ぼすといった問題があった。
【0013】
【特許文献1】特開2004−272962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、光ピックアップ固有のカップリング効率のばらつきによる再生時の光源から出射される光ビームのパワーの動作点をほぼ一定にでき、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、光源の寿命のばらつきを抑制できる光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するため、本発明に係る光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、上記光源から出射された光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズと、上記光ディスクで反射された反射光ビームを検出する光検出器と、上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射される光ビームの光量を減衰させて上記対物レンズに導く光減衰器とを備え、上記光減衰器は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子と、上記液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離部とを有し、上記液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される。
【0016】
また、本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクを保持して回転駆動する駆動手段と、上記駆動手段によって回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを備える光ディスク装置であり、この光ディスク装置に用いる光ピックアップとして、上述したようなものを用いたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、光ピックアップのカップリング効率に応じて光減衰器により光減衰率を変化させることにより、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、及び寿命のばらつきを抑えることを実現し、良好な記録再生特性を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した光ピックアップ及び光ディスク装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下で説明する実施の形態は、一具体例であり、本発明の範囲は、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
本発明を適用した光ディスク装置1は、図1に示すように、光記録媒体としての光ディスク2に対して情報の記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ4とを備える。また、この光ディスク装置1は、この光ピックアップ3の駆動手段として、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5を備えている。
【0020】
また、ここで用いられる光ディスク2は、例えば、発光波長が785nm程度の半導体レーザを用いたCD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、光ディスク2は、例えば、発光波長を655nm程度の半導体レーザを用いたDVD(Digital Versatile Disc)、DVD−R(Recordable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、光ディスク2は、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の高密度記録光ディスクである。
【0021】
光ディスク装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御される。このとき、光ディスク2は、所定の回転数で駆動される。
【0022】
光ピックアップ3は、光ディスク2の記録面に対して光ビームを照射し、この光ビームの記録面による反射光ビームを検出する。また、光ピックアップ3は、光ディスク2の記録面からの反射光ビームに基づいて、各光ビームに対応する信号をプリアンプ14に供給する。
【0023】
このプリアンプ14は、光検出器からの出力に基づいて、非点収差法等によってフォーカスエラー信号を生成し、また、3ビーム法、DPD法、DPP法等によってトラッキングエラー信号を生成する。更に、プリアンプ14は、RF信号を生成し、RF信号を、信号変調&ECCブロック15に出力する。また、プリアンプ14は、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とをサーボ制御部9に出力する。
【0024】
信号変調&ECCブロック15は、BD等の光ディスクに対して、データの記録を行うとき、インターフェース16又はD/A,A/D変換器18から入力されたディジタル信号に対して、次のような処理を行う。具体的に、信号変調&ECCブロック15は、LDC−ECC及びBIS等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、1−7PP方式等の変調処理を行う。また、信号変調&ECCブロック15は、DVD等の光ディスクに対してデータを記録するとき、PC(Product Code)等のエラー訂正方式に従ってエラー訂正処理を行い、次いで、8−16変調等の変調処理を行う。さらに、信号変調&ECCブロック15は、CD等の光ディスクに対してデータを記録するとき、CIRC等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、8−14変調処理等の変調処理を行う。そして、信号変調&ECCブロック15は、変調されたデータをレーザ制御部21に出力する。更に、信号変調&ECCブロック15は、各光ディスクの再生を行うとき、プリアンプ14から入力されたRF信号に基づいて復調処理を行い、更に、エラー訂正処理を行って、インターフェース16又はデータをD/A,A/D変換器18に出力する。
【0025】
なお、データ圧縮してデータ記録するときには、圧縮伸長部を信号変調&ECCブロック15とインターフェース16又はD/A,A/D変換器18との間に設けても良い。この場合、データは、MPEG2やMPEG4といった方式でデータが圧縮される。
【0026】
サーボ制御部9は、プリアンプ14からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が入力される。サーボ制御部9は、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカスサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号に基づいて、対物レンズを駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動部を駆動制御する。また、プリアンプ14からの出力より、同期信号等を検出して、CLV(Constant Linear Velocity)やCAV(Constant Angular Velocity)、更にはこれらの組み合わせの方式等で、スピンドルモータをサーボ制御する。また、サーボ制御部9は、記録及び/又は再生をしようとする光ディスク2の種類や後述のようなLCDモニタ結果等に応じて、光ピックアップ3における光減衰率を制御する。
【0027】
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行うように構成できる。この場合、レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
【0028】
ディスク種類判別部22は、光ディスク間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から反射光量の変化を検出し光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
【0029】
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
【0030】
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22で判別された光ディスク2の種類に応じて装置全体を制御する。また、システムコントローラ7は、ユーザからの操作入力に応じて、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録されたアドレス情報や目録情報(Table Of Contents;TOC)に基づいて制御する。ここで、システムコントローラ7は、記録再生を行う光ディスクの記録位置や再生位置を特定し、特定した位置に基づいて、各部を制御する。
【0031】
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御する。光ディスク装置1は、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
【0032】
具体的には、光ディスク装置1により記録再生するときには、サーボ制御部9は、CAVやCLVやこれらの組み合わせで光ディスク2を回転する。光ピックアップ3は、光源から光ビームを照射して光検出器により光ディスク2からの戻りの光ビームを検出し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成する。光ピックアップ3は、これらフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構により対物レンズを駆動してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
【0033】
また、光ディスク装置1により記録する際には、外部コンピュータ17からの信号がインターフェース16を介して信号変復調器&ECCブロック15に入力される。信号変復調器&ECCブロック15は、インターフェース16又はA/D変換器18から入力されたディジタルデータに対して上述したような所定のエラー訂正符号を付加し、更に所定の変調処理を行った後に記録信号を生成する。レーザ制御部21は、信号変復調器&ECCブロック15で生成された記録信号に基づいて、光ピックアップ3のレーザ光源を制御して、所定の光ディスクに記録する。
【0034】
また、光ディスク2に記録された情報を光ディスク装置1により再生する際には、光検出器で検出された信号に対して、信号変復調器&ECCブロック15が復調処理を行う。信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェース16を介して外部コンピュータ17に出力される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号に基づいて動作することができる。また、信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A変換器18でデジタルアナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオ・ビジュアル処理部19でオーディオ・ビジュアル処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部のスピーカやモニタに出力される。
【0035】
次に、上述した光ディスク装置に用いられる光ピックアップ3について、図2を用いて詳細に説明する。
【0036】
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子等の光源31と、光源31から出射された光ビームを光ディスク2に集光させる対物レンズ32とを備える。また、光ピックアップ3は、光源31と対物レンズ32との間に、コリメータレンズ33と、液晶素子(以下、「LCD」ともいう。)34と、偏光ビームスプリッタ膜面35aを有するアナモルフィックプリズム35とを備える。
【0037】
この偏光ビームスプリッタ膜面35aは、入射した光ビームの偏光状態に応じてその一部を透過させるとともに残りの光ビームを反射させるものであり、偏光分離部として機能する。また、液晶素子34は、光ビームの偏光状態を変化させるものである。そして、この液晶素子34と偏光ビームスプリッタ膜面35aとは、液晶素子34により光ビームの偏光状態を変化させ、偏光ビームスプリッタ膜面35aを介して光ディスク2側に進行させる光ビームの光量を調整する。すなわち、ここでは、偏光ビームスプリッタ膜面35aは、液晶素子34で偏光状態を変化された光ビームが入射されることにより、光ディスク2側に透過させる光ビームの光量を調整する。このように、液晶素子34及び偏光ビームスプリッタ膜面35aは、光源31から出射される光ビームの光量を減衰させる光減衰器として機能する。この光減衰器による減衰量の割合、すなわち光減衰率は、光源31から出射されて入射した光ビームの光量に対して、光ディスク2側に導かれる光ビームの光量の割合を1から減算したものである。そして、この減衰には、そのまま透過させる状態、すなわち光減衰率0の状態も含まれる場合があるものとする。また、換言すると、この光減衰器は、液晶素子34によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、所定の割合で減衰させることで光源31から出射される総光量に対する光ディスク2上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる。
【0038】
光減衰器は、記録モードにおいては液晶素子34を制御して光減衰率を小さくして、再生モードにおいては液晶素子34を制御して光減衰率を大きくする。
【0039】
また、この光減衰器は、再生時のレーザノイズを軽減することができるものであり、光減衰率が一定ではなく可変とされている。そして、この光減衰器は、後述のように、光ピックアップ3固有の個々のカップリング効率CEのばらつきに応じた光減衰率となるように制御される。すなわち、光減衰器は、光ピックアップ3固有のカップリング効率CEのばらつきによる再生時のレーザ元パワーのばらつきを抑えるように構成されている。すなわち、光減衰器は、後述のように1台毎のカップリング効率CEのばらつきに応じて光減衰率Rを可変にすることにより光源31から出射される光ビームのパワーを決定する光源31の駆動電圧の動作点を所望の範囲となるようにできる。かかる光減衰器は、CEに応じた光減衰率Rとすることで、すなわち光源31のパワーの動作点(元パワーP0)を略一定にすることができる。これにより、この光減衰器は、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、寿命等のばらつきを抑える。
【0040】
そして、光ピックアップ3は、この液晶素子34等からなる光減衰器の光減衰率を検出するための光減衰率検出部(以下、「LCDモニタ」ともいう。)として分岐量検出素子36を備える。すなわち、分岐量検出素子36は、偏光ビームスプリッタ膜面35aにより対物レンズ32及び光ディスク2側に導かれる光ビームから分岐された光ビームが入射される位置に配置される。そして、この分岐量検出素子36と偏光ビームスプリッタ膜面35aとの間には、拡散板37が設けられている。分岐量検出素子36は、偏光ビームスプリッタ膜面35aで反射され拡散板37を介した光ビームを検出することにより、偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過され光ディスク2に導かれる光ビームの光量を検出する。このように、分岐量検出素子36は、光分岐量をモニタするものであり、すなわち、光減衰器の光減衰率を検出する。
【0041】
また、光ピックアップ3は、例えば1/2波長板等である位相板38と、光分離素子となるビームスプリッタ39と、FPD(フロントフォトダイオード)等の発光パワー検出素子40と、1/4波長板41とを備える。発光パワー検出素子40は、光源31の発光パワーを検出するための素子である。尚、発光パワー検出素子40とビームスプリッタ39との間には、ビームスプリッタ39から導かれた光ビームを発光パワー検出素子40に集光する集光レンズを設けるように構成してもよい。また、ビームスプリッタ39と1/4波長板41との間には、ビームエキスパンダや立ち上げ用のミラーを配置するように構成してもよい。
【0042】
また、光ピックアップ3は、光ディスクで反射されビームスプリッタ39で往路の光ビームから分離された復路の光ビームを検出するための、検出レンズ群42と、シリンドリカルレンズ43と、光検出手段となる光検出器44とを備えている。この検出レンズ群42は、例えばコリメータレンズやホログラフィックプレートからなる。光ピックアップ3において、上述した各光学部品は、個別にマウントされて構成されている。
【0043】
また、この光ピックアップ3においては、液晶素子34を温度に応じて制御するために、温度センサ45を設けるようにしてもよい。温度センサ45により検出された検出結果を示す信号は、システムコントローラ7に送られる。温度センサ45を設けた場合には、後述のように、温度センサ45により検出された結果に応じて液晶素子34を駆動する。これにより、温度によって記録及び/又は再生パワーが変化しても、この変化に対応することができる。
【0044】
次に、この光ピックアップ3において、光源31から出射された光ビームの光路について図2を用いて説明する。光源31から出射された直線偏光の拡散状態の光ビームは、コリメータレンズ33に入射されて平行な光ビームとされ、液晶素子34に入射される。そして、この液晶素子34を通過した光ビームは、アナモルフィックプリズム35、位相板38及びビームスプリッタ39に順次入射される。
【0045】
このとき、アナモルフィックプリズム35は、光源31から出射された光ビームの断面形状を、楕円形から略々円形に整形する。すなわち、光源31から出射された光ビームは、直線偏光であって、図2中矢印Pで示す偏光状態を短径方向とする楕円形の断面形状を有している。そして、この光ビームは、断面形状の短径方向に対して傾斜されたアナモルフィックプリズム35の入射面から入射されることにより、この短径方向についてビーム径を拡げられて、略々円形の光ビームに整形される。
【0046】
このアナモルフィックプリズム35及び位相板38を経てビームスプリッタ39に入射した入射光ビームは、このビームスプリッタ39が有する入射光ビームの光軸に対して傾斜された平面状の反射面に対して略P偏光の状態となされている。なお、位相板38は、入射光ビームの偏光状態をビームスプリッタ39の反射面に対するP偏光とするように、光軸回りに回転調整されている。
【0047】
ビームスプリッタ39に入射した光ビームは、例えば95%以下程度の一定の比率で分離面39aを透過し、1/4波長板41に入射される。ここでビームスプリッタ39の分離面39aによって反射された光ビームは、発光パワー検出素子40に入射する。ビームスプリッタ39を透過された入射光ビームは、1/4波長板41を通過することによって円偏光となされて、対物レンズ32によって光ディスク2の記録面上に集光される。
【0048】
そして、光ディスク2の記録面で反射された反射光ビームは、対物レンズ32を経て、1/4波長板41を透過することによって、往光路の光ビームの偏光状態に対して直交する方向の直線偏光となされて、ビームスプリッタ39に戻る。このとき、反射光ビームは、ビームスプリッタ39の分離面39aに対して略々S偏光の状態となされており、この分離面39aによって略々全量が反射され、光源31からの光路に対して分離される。光源31からの光路に対して分離された反射光ビームは、検出レンズ群42で収束光に変換され、シリンドリカルレンズ43によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出器44に入射される。この反射光ビームを受光した光検出器44の出力する信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が生成される。
【0049】
この光ピックアップ3においては、光源31から出射された光ビームは、光減衰器である液晶素子34及びアナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aの作用により、光減衰率が適宜可変制御される。すなわち、光源31から出射された光ビームは、再生モード及び記録モードに応じて適切な透過率で透過されて光ディスク2側に導かれる。尚、記録モードのときには、再生モードのときよりも小さな光減衰率、すなわち大きな透過率で光ディスク2に導かれる。
【0050】
この光ピックアップ3において、光源31の半導体レーザ素子チップを駆動する電流は、レーザ制御部21から供給される。
【0051】
液晶素子34は、印加電圧(以下、「液晶印加電圧」ともいう。)に基づいて入射した光ビームの偏光状態を変化させて出射させる。液晶素子34に対する印加電圧は、サーボ制御部9によって制御される。液晶素子34を透過した光束は、偏光の状態が変化された状態で、アナモルフィックプリズム35に入射する。
【0052】
アナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aは、入射光束の光軸に対して所定の角度の傾斜を有する平面状となされ、P偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射するようになされている。したがって、例えば光ディスク2に対して記録を行う(以下、「記録モード」ともいう。)際には、液晶素子34から出射される光ビームの偏光状態が略P偏光方向に近い状態とされ、例えば95%程度の光量が偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過する。また、光ディスク2に対して再生を行う(以下、「再生モード」ともいう。)際には、液晶素子34から出射される光ビームの偏光状態がP偏光方向から偏光状態が変化され、例えば30%程度の光量が偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過する。このとき、残りの例えば70%程度の光量が偏光ビームスプリッタ膜面35aを反射され、分岐量検出素子36側に導かれる。ここで、偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過する割合は、液晶素子34により偏光状態が回転された角度によって決まる。
【0053】
アナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aにおいて反射された光ビームは、拡散板37を経て、光減衰率検出手段となる分岐量検出素子36に受光される。
【0054】
分岐量検出素子36の出力は、光源31の発光出力とアナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aにおける光分岐率との積に対応したものとなっており、この光ピックアップ3における光減衰率に略々対応したものとなっている。なお、この光ピックアップ3においては、光減衰率が小さいときには、分岐量検出素子36に入射される光量は減り、光減衰率が大きいときに、分岐量検出素子36に入射される光量が増える関係となっている。分岐量検出素子36に入射される光量は、100%−〔光結合効率可変手段の通過率(%)〕と「レーザ出射パワー」との積に比例した量である。この分岐量検出素子36の出力は、図2に示すように、プリアンプ14に送られる。
【0055】
アナモルフィックプリズム35を透過した光ビームは、ビームスプリッタ39に入射する。ビームスプリッタ39は、光源31から出射された光ビームを、対物レンズ32を介して光ディスクの記録面に導かれる光ビームと、記録面に導かれる光ビームの光量をモニタするための発光パワー検出素子40に入射する光ビームとに一定の比率で分離させる。この発光パワー検出素子40の出力は、レーザ制御部21に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部21は、発光パワー検出素子40からの出力が所定の値となるように、光源31の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク2の記録面上における照射光量が一定となされる。なお、光ディスク2の記録面上において所定の値となされる照射光量は、後述するように、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる。
【0056】
このビームスプリッタ39を透過した光ビームは、上述したように、対物レンズ32に入射される。対物レンズ32は、入射された光ビームを光ディスク2の記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ32は、図示しない二軸アクチュエータ等によって、フォーカス方向及びトラッキング方向に駆動される。これにより、対物レンズ32は、光ディスク2の記録面上で焦点が合うように、この光ビームを集束するとともに、この集束された光ビームを光ディスク2の記録面上のトラックに追従させる。
【0057】
また、システムコントローラ7は、温度センサ45より送られた温度を示す信号に基づいて、サーボ制御部9を介して、後述のように光源31のパワーの動作点が一定となるように所定の光減衰率となるように制御する。
【0058】
上述した光ピックアップ3は、光ディスク再生時のレーザノイズ軽減のための光減衰器に液晶素子34を使用したものである。また、この光ピックアップ3は、液晶印加電圧を記録モード及び再生モードにおける2値固定ではなく、再生時等に光ピックアップ3のカップリング効率CEに応じて可変させて制御する点に特徴を有するものである。この光ピックアップ3は、この特徴により再生時レーザ元パワーのばらつきを抑え、レーザノイズ・高周波重畳時のピークパワー、信頼性、寿命のばらつきを抑えることができるが、以下この点について詳細に説明する。また、この光ピックアップ3は、光減衰率をモニタする分岐量検出素子36の出力に基づいて、クローズループ制御を可能にするものである。また、この光ピックアップ3は、任意の光減衰率に設定できるので、再生時のみでなく記録時にも制御可能である。以下では併せてクローズループ制御の利点と、モード切替時のオーバードライブによりLCD(液晶素子)応答速度を高めてモード切替時間を短縮できる等の利点についても説明する。
【0059】
まず、図3を用いて液晶素子34の印加電圧と、この液晶素子及び偏光ビームスプリッタ膜面35aからなる光減衰器の光減衰率特性との関係について説明する。図3中横軸は、液晶印加電圧(「LCDDRV」ともいう。)を示し、縦軸は、光減衰率(「ATT率」ともいう。)を示す。そして、図3中L1は、液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示すものである。
【0060】
ここではまず、本発明と比較するための従来の2値固定制御について説明する。再生モード及び記録モードからなる2モードのそれぞれの値を固定する2値固定制御においては、例えば、図3中Paに示すように再生時に0.5Vとし、図3中Pbに示すように記録時に9Vとしてこの電圧を印加するようにされている。そして、かかる場合に、図3に示すように、再生時減衰率が0.3であり、記録時減衰率が0.95程度として得られることとなる。
【0061】
次に、図3のような関係としたときの液晶素子34の印加電圧と、減衰率モニタとしての分岐量検出素子36の電圧の特性、及び発光パワー検出素子40の電圧の特性との関係について図4を用いて説明する。図4中L2は、液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性(「VMON」ともいう。)、すなわち光減衰率のモニタ電圧特性を示し、具体的には、分岐量検出素子36を構成するフォトディテクタ出力をI/V変換したものである。また、図4中L3は、液晶素子34の印加電圧に対する発光パワー検出素子40の電圧の特性(「VFPD」ともいう。)、すなわち、対物レンズ32への照射パワーをモニタする電圧特性を示す。このL3は、具体的には、発光パワー検出素子40を構成するフロントフォトダイオード(FPD)のI/V出力を示したものである。また、図4中横軸は、液晶印加電圧(「LCDDRV」ともいう。)を示す。また、図4中縦軸は、L2に対しては、分岐量検出素子36の電圧(VMON)の特性を示し、L3に対しては、発光パワー検出素子40の電圧(VFPD)の特性を示す。
【0062】
分岐量検出素子36は、上述したように、減衰率モニタとして機能するものであり、この減衰率モニタである分岐量検出素子36は、2値制御においても状態確認用として用い、記録/再生動作をさらに安定にするものである。
【0063】
すなわち、減衰率モニタとしての分岐量検出素子36の電圧を常に監視するとともに、これと比較するための閾値を設けることで状態確認を可能にする。具体的には、分岐量検出素子36の電圧が閾値以上であるか以下であるかの判断により、液晶素子34の状態確認をし、状態確認後、再生・記録モードに移行させることができる。
【0064】
特に、減衰率大(以下、「LCD CLOSE」ともいう。)から減衰率小(以下、「LCD OPEN」ともいう。)にする再生モードから記録モードへの切替動作では、この監視が必要となる。すなわち、液晶素子34の応答速度が有限であり、液晶素子34自体の切り替え時間が0でないため、この再生から記録への切替動作において、完全にLCDOPEN状態にならないまま記録パワーにするレーザを破壊してしまう可能性がある。これは、減衰率大のため光源31において必要以上のパワーを出させることになるからである。上述したような分岐量検出素子36は、液晶素子34の状態を検出することができ、この状態確認の後に、記録時のレーザパワーに切り替えることでレーザ破壊を防止できる。以上のような従来の2値固定制御においても、モード切り替え時の問題等を解消することができるが、上述したようなレーザ元パワーのばらつきによる問題点を解消することが困難であった。
【0065】
本発明を適用した光ピックアップ3は、以上のような2値固定制御の利点を備えるとともに、2値固定制御の問題点を解消するべく、光減衰率を再生時等では固定ではなく可変制御するものである。これにより、光ピックアップ3は、レーザノイズ・高周波重畳時のピークパワー・レーザ寿命のばらつきを抑え安定した光ディスクドライブシステムを構築するものであるがこの点について、以下に詳細に説明する。
【0066】
この光ピックアップ3における、光源31から出射される出射パワー制御は、光路途中に配置された発光パワー検出素子40のI/V変換で得られた電圧を基準としている。この得られる電圧は、パワーに比例した電圧となっている。以下、この発光パワー検出素子40の出力を用いた制御のことをオートパワーコントロール(APC)ともいう。
【0067】
一般的に、光ピックアップ1台毎に出射パワーと発光パワー検出素子40との関係を測定している。具体的には、出射パワーと、発光パワー検出素子40を構成するフロントフォトダイオード(FPD)出力電圧との関係をki(V/mW)として記憶している。これは、発光パワー検出素子40の素子感度や、光ピックアップのカップリング効率が個々の光ピックアップ毎に全く同じではないからである。
【0068】
そして、具体的には、発光パワー検出素子40を構成するFPD(フロントフォトダイオード)のI/Vアンプのゲインを調整して、k1(V/mW)を固定値に調整するのが一般的である。その一方で、APCとしてのレーザ制御部21は、設定したいパワーが、例えばP1(mW)のときは、発光パワー検出素子40のFPD出力がP1×k1(V)になるように制御する。
【0069】
次に、この関係を示すk1についてさらに具体的に説明する。このk1(V/mW)の測定は、最低2点のパワー(P1,P2)で、オートパワーコントロールではなく、定電流駆動発光(以下、「CC発光」ともいう。)させて行う。そして、光パワーメータで対物レンズ32の出射パワーP1,P2と、そのときの発光パワー検出素子40を構成するフォントフォトダイオード(FPD)のI/Vアンプ出力V1,V2を測定する。さらに、そのときの光源31のレーザ電流I1,I2も測定しておく。
【0070】
このように得られた出射パワーP1,P2、出力電圧V1,V2から次式(1)によりk1を算出することができる。また、レーザ電流I1,I2から次式(2)により、光学系としたときの光源31によるレーザの微分効率η1を算出することができる。さらに、レーザ単体としての微分効率をη0(mW/mA)とすれば、このη0及び得られたη1と、カップリング効率CEとは、次式(3)の関係を有している。
k1=(V2−V1)/(P2−P1)(V/mW) ・・・(1)
η1=(P2−P1)/(I2−I1)(mW/mA) ・・・(2)
CE=η1/η0 ・・・(3)
【0071】
ところで、光ピックアップ3におけるカップリング効率CEは、光源31から出射される光ビームのレーザ発散角、光ピックアップ3を構成する光学部品の透過率、光学ロス等で決定され、必要最大出射パワー、光スポット形状等を考慮して決定される。
【0072】
次に、光源31から出射されるレーザを同様に、CC発光で、あるパワーで発光させ、液晶素子34の印加電圧をあるステップ毎に変化させる。このとき、発光パワー検出素子40のFPD出力電圧を測定すると、上述した図4のL3のような特性が得られ、液晶印加電圧に対する光減衰率がわかる。
【0073】
一般的な光減衰制御では、光減衰率が一様範囲で、温度変化の影響を受けずらい2点の電圧、例えば図3に示すPa,Pb部分のような位置において、固定値を採用する手法が選ばれる。ここで具体的な減衰比としては、図3に示すPaにおけるLCDClose時の減衰比が0.3程度であり、図3に示すPbにおけるLCDOpen時の減衰比が0.95程度である。
【0074】
再生時(LCDClose)の光減衰率が0.3固定の場合、再生パワー0.3mW時のレーザの元パワーP0は、カップリング効率CEと、光減衰率Rとを用いれば、P0=0.3/(CE×R)の関係式を満たしている。R=0.3とすると、P0=0.3/(CE×0.3)=1/CEとなる。
【0075】
ここで、ばらつきを考慮して、カップリング効率CEをCE=0.10〜0.20とすると、レーザ元パワーP0は、P0=1/(0.10〜0.20)=5.0〜10mWとなり、動作点が異なることになる。このように、動作点が異なると、レーザノイズ(RIN)、高周波重畳時のピークパワー、寿命等が一様でなくなることになる。尚、この点が上述した従来の2値固定制御の具体的な問題点である。
【0076】
これに対し、レーザ元パワーの動作点をほぼ同じにするには、光減衰率を可変にすればよい。動作点は、使用するレーザのPower vs RINカーブ、システム上許容されるレーザノイズ、高周波重畳波形のピークパワー等を考慮して決める必要がある。また、寿命の観点からは動作点のパワーは小さい方がよい。
【0077】
上述した図9の例では、重畳波形の2発目のこぶが出始める前の5mWが動作点として妥当であると考えられる。また、上述の関係式からR=0.3/(P0×CE)の関係が得られる。これらのことから、動作点を5mWにするには、CEmax=0.20のとき、光減衰率が0.3mW/5mW×0.20(CEmax)=0.3であり、CEmin=0.10のとき、光減衰率が0.3mW/5mW×0.10(CEmin)=0.6である。すなわち、動作点を5mWにするためには、光減衰率を0.3〜0.6の範囲で可変にすればよい。具体的には、光ピックアップ個々のカップリング効率CEに応じた光減衰率を決定し、この光減衰率となるように液晶素子34を駆動することにより、動作点を一定にすることが可能となる。
【0078】
液晶素子34の印加電圧と、光減衰率との関係は、上述のように光源31を定電流(CC)駆動であるパワーで発光させ、液晶(LCD)印加電圧をあるステップで可変することで得られる。すなわち、当該関係は、液晶印加電圧を例えば0〜9V間のあるステップで可変させ、そのときの発光パワー検出素子40のFPD電圧、分岐量検出素子36のモニタ電圧を測定することでわかる。
【0079】
分岐量検出素子36のモニタ電圧は、光減衰率が大きい場合に、モニタとしての分岐量検出素子36側に分岐される光が増大することで、電圧が増加するので、発光パワー検出素子40のFPD電圧とは逆の特性になる。
【0080】
ここで説明する例において、以下のようにVFPD9、VMON9、VFPDn、VMONnを設定したときに、以下のような関係が得られる。すなわち、液晶印加電圧9Vである光減衰率の最小時の発光パワー検出素子40のFPD電圧をVFPD9とし、そのときの、分岐量検出素子36のモニタ電圧をVMON9とする。また、液晶印加電圧nVであるときの発光パワー検出素子40のFPD電圧をVFPDnとし、そのときの、分岐量検出素子36のモニタ電圧をVMONnとする。このように設定したとき、nVであるときの光減衰率ATTnは、関係式ATTn=0.95×VFPDn/VFPD9=0.95×VMON9/VMONnを満たすこととなる。このとき、「0.95」とあるのは、最小光減衰率が1でなく0.95であるからである。
【0081】
このように、液晶印加電圧を0〜9V間の許されるステップで可変させ上記測定を行えば、液晶印加電圧と光減衰率との関係(LCD印加電圧vs光減衰率)が判明する。
【0082】
以上のように、光ピックアップ1台毎の、カップリング効率CEと、液晶(LCD)印加電圧と、光減衰率との関係が得られるので動作点、すなわち再生時のレーザ元パワーをほぼ同一にすることが可能となる。具体的には、サーボ制御部9は、サーボ制御部9自体やシステムコントローラ7に記憶された固有のカップリング効率CEに基づいて、液晶素子36からなる光減衰器を制御することで、レーザ元パワーを同一にできる。
【0083】
本発明を適用した光ピックアップ3は、光源31と、対物レンズ32と、光検出器44と、光減衰器とを備え、この光減衰器が、液晶素子34と、偏光分離部としての偏光ビームスプリッタ膜面35aとを有することに特徴を有している。この光ピックアップ3は、光検出器が、光ピックアップ3固有のカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される構成により、以下の効果を有するものである。すなわち、光ピックアップ3は、カップリング効率に応じて光減衰率を変化させることにより、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー及びレーザの寿命のばらつきを抑えることを実現し、安定した記録再生特性を実現する。このように、本発明は、安定な記録再生システムを実現する。
【0084】
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、光減衰器が、光ピックアップのカップリング効率のばらつきによる再生時の光源31から出射される光ビームのパワーのばらつきを抑えるように構成されている点に特徴を有するものである。そして、光ピックアップ3は、個々のカップリング効率のばらつきに応じて光減衰率を可変にすることにより光源31のパワーの動作点を一定にするものである。光ピックアップ3は、この構成により、確実にレーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー及びレーザの寿命のばらつきを抑えることを実現する。
【0085】
尚、以上では、オープン制御を採用した例について説明したが、LCDモニタである分岐量検出素子36のモニタ電圧を一定にするようなクローズループ制御を行うことも可能である。さらに、このクローズループ制御により、温度変化による減衰率変化を抑制することも可能にできる。一般的に、液晶素子は温度の影響を受けやすく、上述した光ピックアップ3を構成する液晶素子34も例外ではない。
【0086】
ここで、図3及び図4を用いて説明した液晶印加電圧に対する光減衰率特性(L1)及び分岐量検出素子36の電圧特性(L2)の温度毎の特性例を図5及び図6に示す。図5及び図6中横軸は、液晶印加電圧(LCDDRV)を示す。また、図5中L10は、0℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示す。L11は、25℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示す。L12は、50℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示す。図5中縦軸は、光減衰率(ATT率)を示す。また、図6中L20は、0℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性を示す。L21は、25℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性を示す。L22は、50℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性を示す。図6中縦軸は、分岐量検出素子36の電圧(VMON)の特性を示す。
【0087】
上述したように、通常行われている記録/再生の2値固定制御を用いた方法の場合には、光減衰率(ATT率)が温度変化を受けないフラットな領域、例えば図3に示すPa、Pb部分に2値を設定されている。これに対して、光ピックアップ3では、カップリング効率によっては、光減衰率(ATT率)が温度変化の影響を受ける動作点になる場合がある。尚、カップリング効率が0.1〜0.2の2倍の変化よりは少ない。このようにオープン制御では、温度変化による光減衰率(ATT率)変化を受ける可能性があるが、分岐量検出素子36のLCDモニタ電圧VMONを検出値とした、クローズループ制御を採用することにより、温度変化の影響を抑制できる。これは、分岐量検出素子36は、フォトディテクタを用いるので、温度特性は液晶素子34よりはるかに小さいからである。
【0088】
具体的に、クローズループ制御を可能とする光ピックアップ3は、上述したシステムコントローラ7、サーボ制御部9及びプリアンプ14が図7に示すように構成される。システムコントローラ7は、光減衰率とLCDモニタとしての分岐量検出素子36のモニタ電圧VMONとの関係(光減衰率vsVMON)を示す光減衰率vsVMONテーブル7aを有する。また、システムコントローラ7は、基準となるリファレンス電圧を決定するためのリファレンス電圧決定部7bを有する。光減衰率vsVMONテーブル7aには、上述したLCD印加電圧vs光減衰率の関係から得られた光減衰率とモニタ電圧VMONとの関係(光減衰率vsVMON)がテーブルとして記憶されている。そして、システムコントローラ7のレファレンス電圧決定部7bは、再生時に設定したい光減衰率でのLCDモニタ出力電圧と比較するための基準となるリファレンス電圧(「Ref電圧」ともいう。)を決定し、後述する比較器9aに供給する。
【0089】
プリアンプ14には、LCDモニタとしての分岐量検出素子36のフォトディテクタからの出力をI/V変換するためI/Vアンプ14aが設けられている。I/Vアンプ14aは、分岐量検出素子36で検出された結果をモニタ電圧VMONとして生成し、後述する比較器9aに供給する。
【0090】
サーボ制御部9は、比較器9aと、方形波発振器9bと、液晶素子電圧制御アンプ(「VCA」ともいう。)9cとを有する。尚、ここでは、液晶素子34の印加電圧は、DCではなくAC駆動で、1kHzの方形波駆動としている。
【0091】
比較器9aには、上述したように、レファレンス電圧決定部7bからリファレンス電圧と、I/Vアンプ14aからモニタ電圧VMONとが入力される。比較器9aは、モニタ電圧VMONからリファレンス電圧を減算する演算(VMON−Ref電圧)を行い、この結果を液晶素子電圧制御アンプ9cに供給する。液晶素子電圧制御アンプ9cは、液晶素子34を駆動するための液晶印加電圧(LCD駆動電圧)を液晶素子34に供給する。液晶素子電圧制御アンプ9cは、比較器9aの出力が+の場合、すなわちLCDモニタ電圧が大きい場合には、光減衰率が目標より大きいことを意味するので、LCD印加電圧を上げる極性となるように設定する。一方、液晶素子電圧制御アンプ9cは、比較器9aの出力が−の場合。すなわちLCDモニタ電圧が小さい場合には、光減衰率が小さいことを意味するので、LCD印加電圧を下げる極性となるように設定する。液晶素子電圧制御アンプ9cには、比較器9aの出力が制御電圧として入力され、液晶素子電圧制御アンプ9cは、この制御電圧に応じた増幅度を与える。また、液晶素子電圧制御アンプ9cには、方形波発振器9bから1kHz方形波が入力される。そして、液晶素子電圧制御アンプ9cは、この比較器9aからの出力電圧と極性に応じて、方形波発振器9bからの入力信号である1kHzのAc信号振幅が変化することとなり、それが液晶素子34に供給され、所定の光減衰率が得られることになる。このように、液晶素子電圧制御アンプ9c等を有するサーボ制御部9は、分岐量検出素子36及びシステムコントローラ7からの信号に基づいて液晶素子36からなる光減衰器を制御する。
【0092】
光ピックアップ3は、このようなクローズループ制御でLCDモニタ電圧VMONを一定にするように制御することにより、温度変化による光減衰率(ATT率)の変化を抑制できる。
【0093】
以上のように本発明を適用した光ピックアップ3は、クローズ制御されることにより、温度変化による減衰率変化を抑制するように構成されることを特徴とする。具体的に光ピックアップ3は、リファレンス電圧とモニタ電圧とを比較してこの結果に応じて液晶素子34の印加電圧を決定することにより、温度変化による光減衰率の変化を抑制することができる。これにより、光ピックアップ3は、温度変化によらず、安定した記録再生特性を実現する。
【0094】
尚、クローズループ制御を行うことにより、切り替え時の液晶応答速度の改善を実現することができる。すなわち、上述と同様に、LCDモニタ電圧を基準となるリファレンス電圧と比較したクローズループ制御を行うことにより、任意の光減衰比に設定可能にでき、再生時だけでなく記録時も制御することでモード遷移時間の短縮を可能にする。
【0095】
具体的に、図8に示すように、クローズループ制御のダイナミックレンジとして、液晶素子34の許容電圧まで液晶印加電圧がかかるように、比較器9a及び液晶素子電圧制御アンプ9cを設定するように構成してもよい。尚、図8(a)は、再生時の印加電圧V1を示し、図8(b)は、記録時の印加電圧V2を示す。図8(b)中破線部は、オーバードライブされている状態を示し、V3は、最大許容印加電圧を示す。
【0096】
これにより、再生モードから記録モードに切り替える切り替え時にオーバードライブ、すなわち記録時印加電圧V2よりも大きな最大許容印加電圧V3程度まで印加させることにより、図8(c)に示すように、液晶(LCD)応答速度を改善することができる。尚、図8(c)の実線LRは、再生時における液晶印加電圧を示し、実線LWは、記録時における液晶印加電圧を示し、実線LRWは、再生時から記録時に移行する際の液晶印加電圧の変化を示す。そして、図8(c)の破線LODは、オーバードライブされたときの液晶印加電圧の変化を示す。また、図8(c)中横軸は、時間を示し、縦軸は、モニタ電圧VMONを示す。図8(c)によれば、図8(b)の破線部で示すようなオーバードライブを行うことにより、再生時から記録時への以降時間を短縮化できることが示されている。
【0097】
これは、一般的に、液晶応答速度は、液晶印加電圧(LCDDRV電圧)に依存し、高電圧であるほど速くなるためである。また、液晶応答速度は、周囲温度にも依存し低温であるほど応答速度が遅くなる。このようなクローズループ制御でオーバードライブ状態でのモード切り替えでは、通常の切り替えよりモード切り替わり時間が短縮される。これにより、実際の記録開始までのメモリ容量が少なくて済み、特にリアルタイム性が要求されるAVレコーダ等において、コストダウンが図れる。
【0098】
本発明を適用した光ピックアップ3は、クローズループ制御され、再生モードから記録モードに切り替えるモード切り替え時に、液晶素子34の印加電圧が記録モードにおける印加電圧V2よりも大きな最大許容印加電圧V3が印加される構成とされる。これにより光ピックアップ3は、液晶応答速度を速くすることができ、モード切り替え時間を短縮化することを実現する。すなわち、光ピックアップ3は、光ディスク装置としてのリアルタイム性を実現するとともに、メモリ容量等を削減し、コストダウンを実現する。
【0099】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ3は、光学カップリングのばらつきによる再生時のレーザ元パワーの動作点をほぼ一定にでき、レーザノイズ・高周重畳時のピークパワー・寿命のばらつきが抑制され、安定な記録再生を達成できる。すなわち、光ピックアップ3によれば、レーザノイズが、パワー依存性だけではなく、個々の差もあるが、動作点を同じにしておく構成により、ばらつき要因を減少させる点にメリットを有し、良好な記録再生特性を実現できる。
【0100】
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、光減衰率をモニタ可能な分岐量検出素子36によりLCDモニタ電圧と、リファレンス電圧とを比較するクローズループ制御が可能となり、任意の光減衰率に設定可能である。
【0101】
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、クローズループ制御する事により、温度変化による光減衰率(ATT率)の変化の抑制ができる。さらに、光ピックアップ3は、モード切り替え時に液晶印加電圧がオーバードライブされ、モード切り替え時間が短縮され、切り替え遷移時に必要なメモリ容量を小さくできる。
【0102】
また、本発明を適用した光ディスク装置1は、駆動手段と光ピックアップとを備え、光ピックアップとして上述した光ピックアップ3を備える点に特徴を有する。この光ディスク装置1は、ピックアップのカップリング効率に応じて光減衰器により光減衰率を変化させることにより、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、及び寿命のばらつきを抑えることを実現し、良好な記録再生特性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明を適用した光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した光ピックアップの光学系を示す光路図である。
【図3】液晶素子の印加電圧LCDDRVと、光減衰率(ATT率)特性との関係を示す図である。
【図4】液晶素子の印加電圧LCDDRVと、光ディスクへの照射パワーのモニタとしての発光パワー検出素子の電圧特性VFPD及び液晶モニタとしての分岐量検出素子の電圧特性VMONとの関係を示す図である。
【図5】温度が0℃、25℃、50℃としたときの、液晶素子の印加電圧LCDDRVと、光減衰率(ATT率)特性との関係を示す図である。
【図6】温度が0℃、25℃、50℃としたときの、液晶素子の印加電圧LCDDRVと、液晶モニタとしての分岐量検出素子の電圧特性VMONとの関係を示す図である。
【図7】本発明を適用した光ピックアップのクローズループ制御を可能とする例におけるクローズループ制御を可能とする構成を示すブロック図である。
【図8】モード切り替え時にオーバードライブを行うことについて説明するための図であり、(a)は、再生モードにおける印加電圧を示し、(b)は、記録モードにおける印加電圧及び最大許容印加電圧を示す。(c)は、オーバードライブを行うことによりモード切り替え時間が短縮されることを示す図である。
【図9】レーザ光源の元パワーとレーザノイズとの関係を説明するための図であり、元パワーとRIN値との関係を示す図である。
【図10】一般的なレーザ光源において、高周波重畳をかけたときのピークパワーが大きい状態とされた高周波重畳波形を示す図である。
【図11】図10に示す状態に対してレーザ光源の元パワーを上げることにより、緩和振動の第2及び第3の立ち上がり部が発生し、ピークパワーが下がってしまうことを示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 光ディスク装置、2 光ディスク、3 光ピックアップ、4 スピンドルモータ、5 送りモータ、7 システムコントローラ、9 サーボ制御部、31 光源、32 対物レンズ、33 コリメータレンズ、34 液晶素子、35 アナモルフィックプリズム、35a 偏光ビームスプリッタ膜面、36 分岐量検出素子、37 拡散板、38 位相板、39 ビームスプリッタ、39a 分離面、40 発光パワー検出素子、41 1/4波長板、42 検出レンズ群、43 シリンドリカルレンズ、44 光検出器、45 温度センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップ及びこの光ピックアップを用いた光ディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光ディスクは、高密度化、高転送化技術がめざましい。例えばBD(Blu-ray Disc(登録商標))のような紫色半導体レーザによる波長405nm程度の光ビームを用いて信号の記録再生を行う高密度記録が可能な光ディスク(以下、「高密度記録光ディスク」という。)が提案されている。
【0003】
また、高転送化としては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)の例のようにどんどん高速化に移行しており、すでに2倍速については例えばプロフェッショナルディスクシステムXDCAM等においても実用化されている。今後は、4倍速・8倍速に移行する傾向にある。高速化になれば、そのときの必要な記録光パワーが増加するのは自明であり、また、2層以上の多層光ディスクなればなおさらである。
【0004】
このような高密度化、高転送化を可能とする光ディスクに対して記録及び/又は再生を行う光ピックアップにおいて、問題となるのは、レーザの信頼性、すなわち寿命である。
【0005】
レーザの信頼性は、レーザケース温度・出力光パワーに依存し、多層光ディスク、高転送化では信頼性が劣る傾向がある。ここで、レーザケース温度を低くしたり、出力パワーを小さくすることにより、信頼性が向上することが一般的に知られている。
【0006】
一方、光ディスクを再生する際のノイズの要因の一つであるレーザノイズは、出力パワーに依存し、出力パワーが大きいほどレーザノイズが小さくなる。この点について、図9を用いて説明する。図9中横軸は、光源から出射される光ビームのレーザパワー(以下、「元パワー」ともいう。)を示し、縦軸は、元パワー(元Power)に対応したRIN(dB/Hz)を示すものである。ここでRIN(Relative Intensity Noise)は、あるレーザパワーに対する揺らぎパワーの相対値の1Hz当たりの値を示すものである。このようなレーザパワーとRINとの関係を示す曲線を、以下では、「Power vs Rinカーブ」ともいう。図9によれば、レーザノイズは、出力パワーに依存し、出力パワーが大きいほどレーザノイズが小さくなることが確認できる。
【0007】
また、再生時は、レーザへの戻り光の影響をなくすために、高周波重畳をかけるのが一般的である。ここで、高周波重畳波形とレーザの元パワーとの関係について、図10及び図11を用いて説明する。尚、図10は、レーザ元パワーが2.5mWのときの高周波重畳波形を示し、図11は、レーザ元パワーが4.5mWのときの高周波重畳波形を示す。また、図10及び図11中縦軸は、対物レンズ出射パワー[mW]を示し、W10,W11は、それぞれ高周波重畳周波数を示すものであり、例えば300MHz程度である。高周波重畳波形は、元パワーが小さいときは、図10に示すように、単峰性(緩和振動の一発目)でピークパワーが大きくされている。しかし、この高周波重畳波形は、図10に示す状態から元パワーを上げてゆくと、図11に示すように緩和振動の2発目、3発目のいわゆるこぶ、すなわちパワーの立ち上がり部分が発生することになり、これによりピークパワーが下がるようになる。このようなこぶが出始めるのは、Power vs RINカーブでRINが単調減少から若干悪化するポイントであり、例えば図9では、3mW,5.5mW程度の部分である。このことは、図10及び図11に示す高周波重畳時の発光波形を参照すれば明らかである。
【0008】
高周波重畳時のピークパワーは、再生耐久性、すなわち同一トラックをスティルしているときの記録データの劣化具合に関係しており、BD規格にも規定されている。また、BDシステムのレーザは、波長405nmの青紫色レーザであり、レーザそのもののノイズがDVD等で用いられる波長650nm程度の赤色レーザと比較して大きいのが一般的である。
【0009】
高転送・多層光ディスクに対応するための記録時の高出力化と、再生時の低ノイズ化とを実現するシステムを構築する方法として、例えば液晶素子、NDフィルタ等からなる光減衰器を採用したものがある。これは、光学経路の途中に透過率、換言すると光減衰率の大きさの異なる素子を挿入し、記録時は、透過率を大にし、すなわち光減衰率を小にすることにより記録に必要な高パワーを得るものである。その一方で、再生時は、透過率を小にし、すなわち減衰率を大にすることによりレーザ元パワーを上げてレーザノイズを低減させるようにするものである。
【0010】
この光減衰器としては、例えば、2種類の透過率のNDフィルタをアクチュエータで機械的に切り替える方法や、液晶素子の印加電圧を切り替えることで減衰率を切り替える方法等により実現されている。
【0011】
機械式の光減衰器は、2種類の透過率切り替え、すなわち記録時には透過率大のものを用い、再生時には透過率小のものを用いる方式である。また、液晶素子からなる光減衰器は、一般的に、印加電圧により減衰率を変化するものを用いるが、再生時及び記録時の2モードに対応した2種類の電圧を切り替えて用いるものである。すなわち、両方式のいずれにおいても再生時及び記録時のそれぞれにおいては固定の減衰率とされていた。
【0012】
しかし、例えば再生時において固定減衰率であると、光ピックアップ固有の光学効率によって、同じ再生パワーを得るのでもレーザ元パワーが異なることとなる。この光ピックアップの光学効率は、カップリング効率ともよばれ、光源から出射されるレーザ光等の光ビームの発散角、光ピックアップを構成する光学部品の透過率や光学的ロス等によって決まるものである。すなわち、光源の元パワーがばらつけば、レーザノイズ、高周波重畳波形のピークパワー、寿命等がばらついてしまい、システム性能に影響を及ぼすといった問題があった。
【0013】
【特許文献1】特開2004−272962号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、光ピックアップ固有のカップリング効率のばらつきによる再生時の光源から出射される光ビームのパワーの動作点をほぼ一定にでき、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、光源の寿命のばらつきを抑制できる光ピックアップ及び光ディスク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するため、本発明に係る光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、上記光源から出射された光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズと、上記光ディスクで反射された反射光ビームを検出する光検出器と、上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射される光ビームの光量を減衰させて上記対物レンズに導く光減衰器とを備え、上記光減衰器は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子と、上記液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離部とを有し、上記液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される。
【0016】
また、本発明に係る光ディスク装置は、光ディスクを保持して回転駆動する駆動手段と、上記駆動手段によって回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを備える光ディスク装置であり、この光ディスク装置に用いる光ピックアップとして、上述したようなものを用いたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、光ピックアップのカップリング効率に応じて光減衰器により光減衰率を変化させることにより、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、及び寿命のばらつきを抑えることを実現し、良好な記録再生特性を実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を適用した光ピックアップ及び光ディスク装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下で説明する実施の形態は、一具体例であり、本発明の範囲は、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
本発明を適用した光ディスク装置1は、図1に示すように、光記録媒体としての光ディスク2に対して情報の記録再生を行う光ピックアップ3と、光ディスク2を回転操作する駆動手段としてのスピンドルモータ4とを備える。また、この光ディスク装置1は、この光ピックアップ3の駆動手段として、光ピックアップ3を光ディスク2の径方向に移動させる送りモータ5を備えている。
【0020】
また、ここで用いられる光ディスク2は、例えば、発光波長が785nm程度の半導体レーザを用いたCD(Compact Disc)、CD−R(Recordable)、CD−RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、光ディスク2は、例えば、発光波長を655nm程度の半導体レーザを用いたDVD(Digital Versatile Disc)、DVD−R(Recordable)、DVD−RW(ReWritable)、DVD+RW(ReWritable)等の光ディスクである。また、光ディスク2は、さらに発光波長が短い405nm程度(青紫色)の半導体レーザを用いた高密度記録が可能なBD(Blu-ray Disc(登録商標))等の高密度記録光ディスクである。
【0021】
光ディスク装置1において、スピンドルモータ4及び送りモータ5は、ディスク種類判別手段ともなるシステムコントローラ7からの指令に基づいて制御されるサーボ制御部9によりディスク種類に応じて駆動制御される。このとき、光ディスク2は、所定の回転数で駆動される。
【0022】
光ピックアップ3は、光ディスク2の記録面に対して光ビームを照射し、この光ビームの記録面による反射光ビームを検出する。また、光ピックアップ3は、光ディスク2の記録面からの反射光ビームに基づいて、各光ビームに対応する信号をプリアンプ14に供給する。
【0023】
このプリアンプ14は、光検出器からの出力に基づいて、非点収差法等によってフォーカスエラー信号を生成し、また、3ビーム法、DPD法、DPP法等によってトラッキングエラー信号を生成する。更に、プリアンプ14は、RF信号を生成し、RF信号を、信号変調&ECCブロック15に出力する。また、プリアンプ14は、フォーカスエラー信号とトラッキングエラー信号とをサーボ制御部9に出力する。
【0024】
信号変調&ECCブロック15は、BD等の光ディスクに対して、データの記録を行うとき、インターフェース16又はD/A,A/D変換器18から入力されたディジタル信号に対して、次のような処理を行う。具体的に、信号変調&ECCブロック15は、LDC−ECC及びBIS等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、1−7PP方式等の変調処理を行う。また、信号変調&ECCブロック15は、DVD等の光ディスクに対してデータを記録するとき、PC(Product Code)等のエラー訂正方式に従ってエラー訂正処理を行い、次いで、8−16変調等の変調処理を行う。さらに、信号変調&ECCブロック15は、CD等の光ディスクに対してデータを記録するとき、CIRC等のエラー訂正方式によってエラー訂正処理を行い、次いで、8−14変調処理等の変調処理を行う。そして、信号変調&ECCブロック15は、変調されたデータをレーザ制御部21に出力する。更に、信号変調&ECCブロック15は、各光ディスクの再生を行うとき、プリアンプ14から入力されたRF信号に基づいて復調処理を行い、更に、エラー訂正処理を行って、インターフェース16又はデータをD/A,A/D変換器18に出力する。
【0025】
なお、データ圧縮してデータ記録するときには、圧縮伸長部を信号変調&ECCブロック15とインターフェース16又はD/A,A/D変換器18との間に設けても良い。この場合、データは、MPEG2やMPEG4といった方式でデータが圧縮される。
【0026】
サーボ制御部9は、プリアンプ14からフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が入力される。サーボ制御部9は、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号が0となるようなフォーカスサーボ信号やトラッキングサーボ信号を生成し、これらのサーボ信号に基づいて、対物レンズを駆動する2軸アクチュエータ等の対物レンズ駆動部を駆動制御する。また、プリアンプ14からの出力より、同期信号等を検出して、CLV(Constant Linear Velocity)やCAV(Constant Angular Velocity)、更にはこれらの組み合わせの方式等で、スピンドルモータをサーボ制御する。また、サーボ制御部9は、記録及び/又は再生をしようとする光ディスク2の種類や後述のようなLCDモニタ結果等に応じて、光ピックアップ3における光減衰率を制御する。
【0027】
レーザ制御部21は、光ピックアップ3のレーザ光源を制御する。特に、この具体例では、レーザ制御部21は、記録モード時と再生モード時とでレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行っている。また、光ディスク2の種類に応じてもレーザ光源の出力パワーを異ならせる制御を行うように構成できる。この場合、レーザ制御部21は、ディスク種類判別部22によって検出された光ディスク2の種類に応じて光ピックアップ3のレーザ光源を切り換えている。
【0028】
ディスク種類判別部22は、光ディスク間の表面反射率、形状的及び外形的な違い等から反射光量の変化を検出し光ディスク2の異なるフォーマットを検出することができる。
【0029】
光ディスク装置1を構成する各ブロックは、ディスク種類判別部22における検出結果に応じて、装着される光ディスク2の仕様に基づく信号処理ができるように構成されている。
【0030】
システムコントローラ7は、ディスク種類判別部22で判別された光ディスク2の種類に応じて装置全体を制御する。また、システムコントローラ7は、ユーザからの操作入力に応じて、光ディスク最内周にあるプリマスタードピットやグルーブ等に記録されたアドレス情報や目録情報(Table Of Contents;TOC)に基づいて制御する。ここで、システムコントローラ7は、記録再生を行う光ディスクの記録位置や再生位置を特定し、特定した位置に基づいて、各部を制御する。
【0031】
以上のように構成された光ディスク装置1は、スピンドルモータ4によって、光ディスク2を回転操作し、サーボ制御部9からの制御信号に応じて送りモータ5を駆動制御する。光ディスク装置1は、光ピックアップ3を光ディスク2の所望の記録トラックに対応する位置に移動することで、光ディスク2に対して情報の記録再生を行う。
【0032】
具体的には、光ディスク装置1により記録再生するときには、サーボ制御部9は、CAVやCLVやこれらの組み合わせで光ディスク2を回転する。光ピックアップ3は、光源から光ビームを照射して光検出器により光ディスク2からの戻りの光ビームを検出し、フォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号を生成する。光ピックアップ3は、これらフォーカスエラー信号やトラッキングエラー信号に基づいて対物レンズ駆動機構により対物レンズを駆動してフォーカスサーボ及びトラッキングサーボを行う。
【0033】
また、光ディスク装置1により記録する際には、外部コンピュータ17からの信号がインターフェース16を介して信号変復調器&ECCブロック15に入力される。信号変復調器&ECCブロック15は、インターフェース16又はA/D変換器18から入力されたディジタルデータに対して上述したような所定のエラー訂正符号を付加し、更に所定の変調処理を行った後に記録信号を生成する。レーザ制御部21は、信号変復調器&ECCブロック15で生成された記録信号に基づいて、光ピックアップ3のレーザ光源を制御して、所定の光ディスクに記録する。
【0034】
また、光ディスク2に記録された情報を光ディスク装置1により再生する際には、光検出器で検出された信号に対して、信号変復調器&ECCブロック15が復調処理を行う。信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がコンピュータのデータストレージ用であれば、インターフェース16を介して外部コンピュータ17に出力される。これにより、外部コンピュータ17は、光ディスク2に記録された信号に基づいて動作することができる。また、信号変復調器&ECCブロック15により復調された記録信号がオーディオ・ビジュアル用であれば、D/A変換器18でデジタルアナログ変換され、オーディオ・ビジュアル処理部19に供給される。そしてオーディオ・ビジュアル処理部19でオーディオ・ビジュアル処理が行われ、オーディオ・ビジュアル信号入出力部20を介して、図示しない外部のスピーカやモニタに出力される。
【0035】
次に、上述した光ディスク装置に用いられる光ピックアップ3について、図2を用いて詳細に説明する。
【0036】
本発明を適用した光ピックアップ3は、図2に示すように、所定の波長のレーザ光を出射する半導体レーザ素子等の光源31と、光源31から出射された光ビームを光ディスク2に集光させる対物レンズ32とを備える。また、光ピックアップ3は、光源31と対物レンズ32との間に、コリメータレンズ33と、液晶素子(以下、「LCD」ともいう。)34と、偏光ビームスプリッタ膜面35aを有するアナモルフィックプリズム35とを備える。
【0037】
この偏光ビームスプリッタ膜面35aは、入射した光ビームの偏光状態に応じてその一部を透過させるとともに残りの光ビームを反射させるものであり、偏光分離部として機能する。また、液晶素子34は、光ビームの偏光状態を変化させるものである。そして、この液晶素子34と偏光ビームスプリッタ膜面35aとは、液晶素子34により光ビームの偏光状態を変化させ、偏光ビームスプリッタ膜面35aを介して光ディスク2側に進行させる光ビームの光量を調整する。すなわち、ここでは、偏光ビームスプリッタ膜面35aは、液晶素子34で偏光状態を変化された光ビームが入射されることにより、光ディスク2側に透過させる光ビームの光量を調整する。このように、液晶素子34及び偏光ビームスプリッタ膜面35aは、光源31から出射される光ビームの光量を減衰させる光減衰器として機能する。この光減衰器による減衰量の割合、すなわち光減衰率は、光源31から出射されて入射した光ビームの光量に対して、光ディスク2側に導かれる光ビームの光量の割合を1から減算したものである。そして、この減衰には、そのまま透過させる状態、すなわち光減衰率0の状態も含まれる場合があるものとする。また、換言すると、この光減衰器は、液晶素子34によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、所定の割合で減衰させることで光源31から出射される総光量に対する光ディスク2上に集光される光量の比率である光結合効率を変化させる。
【0038】
光減衰器は、記録モードにおいては液晶素子34を制御して光減衰率を小さくして、再生モードにおいては液晶素子34を制御して光減衰率を大きくする。
【0039】
また、この光減衰器は、再生時のレーザノイズを軽減することができるものであり、光減衰率が一定ではなく可変とされている。そして、この光減衰器は、後述のように、光ピックアップ3固有の個々のカップリング効率CEのばらつきに応じた光減衰率となるように制御される。すなわち、光減衰器は、光ピックアップ3固有のカップリング効率CEのばらつきによる再生時のレーザ元パワーのばらつきを抑えるように構成されている。すなわち、光減衰器は、後述のように1台毎のカップリング効率CEのばらつきに応じて光減衰率Rを可変にすることにより光源31から出射される光ビームのパワーを決定する光源31の駆動電圧の動作点を所望の範囲となるようにできる。かかる光減衰器は、CEに応じた光減衰率Rとすることで、すなわち光源31のパワーの動作点(元パワーP0)を略一定にすることができる。これにより、この光減衰器は、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、寿命等のばらつきを抑える。
【0040】
そして、光ピックアップ3は、この液晶素子34等からなる光減衰器の光減衰率を検出するための光減衰率検出部(以下、「LCDモニタ」ともいう。)として分岐量検出素子36を備える。すなわち、分岐量検出素子36は、偏光ビームスプリッタ膜面35aにより対物レンズ32及び光ディスク2側に導かれる光ビームから分岐された光ビームが入射される位置に配置される。そして、この分岐量検出素子36と偏光ビームスプリッタ膜面35aとの間には、拡散板37が設けられている。分岐量検出素子36は、偏光ビームスプリッタ膜面35aで反射され拡散板37を介した光ビームを検出することにより、偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過され光ディスク2に導かれる光ビームの光量を検出する。このように、分岐量検出素子36は、光分岐量をモニタするものであり、すなわち、光減衰器の光減衰率を検出する。
【0041】
また、光ピックアップ3は、例えば1/2波長板等である位相板38と、光分離素子となるビームスプリッタ39と、FPD(フロントフォトダイオード)等の発光パワー検出素子40と、1/4波長板41とを備える。発光パワー検出素子40は、光源31の発光パワーを検出するための素子である。尚、発光パワー検出素子40とビームスプリッタ39との間には、ビームスプリッタ39から導かれた光ビームを発光パワー検出素子40に集光する集光レンズを設けるように構成してもよい。また、ビームスプリッタ39と1/4波長板41との間には、ビームエキスパンダや立ち上げ用のミラーを配置するように構成してもよい。
【0042】
また、光ピックアップ3は、光ディスクで反射されビームスプリッタ39で往路の光ビームから分離された復路の光ビームを検出するための、検出レンズ群42と、シリンドリカルレンズ43と、光検出手段となる光検出器44とを備えている。この検出レンズ群42は、例えばコリメータレンズやホログラフィックプレートからなる。光ピックアップ3において、上述した各光学部品は、個別にマウントされて構成されている。
【0043】
また、この光ピックアップ3においては、液晶素子34を温度に応じて制御するために、温度センサ45を設けるようにしてもよい。温度センサ45により検出された検出結果を示す信号は、システムコントローラ7に送られる。温度センサ45を設けた場合には、後述のように、温度センサ45により検出された結果に応じて液晶素子34を駆動する。これにより、温度によって記録及び/又は再生パワーが変化しても、この変化に対応することができる。
【0044】
次に、この光ピックアップ3において、光源31から出射された光ビームの光路について図2を用いて説明する。光源31から出射された直線偏光の拡散状態の光ビームは、コリメータレンズ33に入射されて平行な光ビームとされ、液晶素子34に入射される。そして、この液晶素子34を通過した光ビームは、アナモルフィックプリズム35、位相板38及びビームスプリッタ39に順次入射される。
【0045】
このとき、アナモルフィックプリズム35は、光源31から出射された光ビームの断面形状を、楕円形から略々円形に整形する。すなわち、光源31から出射された光ビームは、直線偏光であって、図2中矢印Pで示す偏光状態を短径方向とする楕円形の断面形状を有している。そして、この光ビームは、断面形状の短径方向に対して傾斜されたアナモルフィックプリズム35の入射面から入射されることにより、この短径方向についてビーム径を拡げられて、略々円形の光ビームに整形される。
【0046】
このアナモルフィックプリズム35及び位相板38を経てビームスプリッタ39に入射した入射光ビームは、このビームスプリッタ39が有する入射光ビームの光軸に対して傾斜された平面状の反射面に対して略P偏光の状態となされている。なお、位相板38は、入射光ビームの偏光状態をビームスプリッタ39の反射面に対するP偏光とするように、光軸回りに回転調整されている。
【0047】
ビームスプリッタ39に入射した光ビームは、例えば95%以下程度の一定の比率で分離面39aを透過し、1/4波長板41に入射される。ここでビームスプリッタ39の分離面39aによって反射された光ビームは、発光パワー検出素子40に入射する。ビームスプリッタ39を透過された入射光ビームは、1/4波長板41を通過することによって円偏光となされて、対物レンズ32によって光ディスク2の記録面上に集光される。
【0048】
そして、光ディスク2の記録面で反射された反射光ビームは、対物レンズ32を経て、1/4波長板41を透過することによって、往光路の光ビームの偏光状態に対して直交する方向の直線偏光となされて、ビームスプリッタ39に戻る。このとき、反射光ビームは、ビームスプリッタ39の分離面39aに対して略々S偏光の状態となされており、この分離面39aによって略々全量が反射され、光源31からの光路に対して分離される。光源31からの光路に対して分離された反射光ビームは、検出レンズ群42で収束光に変換され、シリンドリカルレンズ43によってフォーカスエラー信号を非点収差法によって得るための非点収差を付与され、光検出器44に入射される。この反射光ビームを受光した光検出器44の出力する信号に基づいて、RF信号、フォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号等が生成される。
【0049】
この光ピックアップ3においては、光源31から出射された光ビームは、光減衰器である液晶素子34及びアナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aの作用により、光減衰率が適宜可変制御される。すなわち、光源31から出射された光ビームは、再生モード及び記録モードに応じて適切な透過率で透過されて光ディスク2側に導かれる。尚、記録モードのときには、再生モードのときよりも小さな光減衰率、すなわち大きな透過率で光ディスク2に導かれる。
【0050】
この光ピックアップ3において、光源31の半導体レーザ素子チップを駆動する電流は、レーザ制御部21から供給される。
【0051】
液晶素子34は、印加電圧(以下、「液晶印加電圧」ともいう。)に基づいて入射した光ビームの偏光状態を変化させて出射させる。液晶素子34に対する印加電圧は、サーボ制御部9によって制御される。液晶素子34を透過した光束は、偏光の状態が変化された状態で、アナモルフィックプリズム35に入射する。
【0052】
アナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aは、入射光束の光軸に対して所定の角度の傾斜を有する平面状となされ、P偏光を略々100%透過させ、S偏光を略々100%反射するようになされている。したがって、例えば光ディスク2に対して記録を行う(以下、「記録モード」ともいう。)際には、液晶素子34から出射される光ビームの偏光状態が略P偏光方向に近い状態とされ、例えば95%程度の光量が偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過する。また、光ディスク2に対して再生を行う(以下、「再生モード」ともいう。)際には、液晶素子34から出射される光ビームの偏光状態がP偏光方向から偏光状態が変化され、例えば30%程度の光量が偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過する。このとき、残りの例えば70%程度の光量が偏光ビームスプリッタ膜面35aを反射され、分岐量検出素子36側に導かれる。ここで、偏光ビームスプリッタ膜面35aを透過する割合は、液晶素子34により偏光状態が回転された角度によって決まる。
【0053】
アナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aにおいて反射された光ビームは、拡散板37を経て、光減衰率検出手段となる分岐量検出素子36に受光される。
【0054】
分岐量検出素子36の出力は、光源31の発光出力とアナモルフィックプリズム35の偏光ビームスプリッタ膜面35aにおける光分岐率との積に対応したものとなっており、この光ピックアップ3における光減衰率に略々対応したものとなっている。なお、この光ピックアップ3においては、光減衰率が小さいときには、分岐量検出素子36に入射される光量は減り、光減衰率が大きいときに、分岐量検出素子36に入射される光量が増える関係となっている。分岐量検出素子36に入射される光量は、100%−〔光結合効率可変手段の通過率(%)〕と「レーザ出射パワー」との積に比例した量である。この分岐量検出素子36の出力は、図2に示すように、プリアンプ14に送られる。
【0055】
アナモルフィックプリズム35を透過した光ビームは、ビームスプリッタ39に入射する。ビームスプリッタ39は、光源31から出射された光ビームを、対物レンズ32を介して光ディスクの記録面に導かれる光ビームと、記録面に導かれる光ビームの光量をモニタするための発光パワー検出素子40に入射する光ビームとに一定の比率で分離させる。この発光パワー検出素子40の出力は、レーザ制御部21に送られ、オートパワーコントロールの動作が実行される。すなわち、レーザ制御部21は、発光パワー検出素子40からの出力が所定の値となるように、光源31の発光出力を制御する。この制御により、光ディスク2の記録面上における照射光量が一定となされる。なお、光ディスク2の記録面上において所定の値となされる照射光量は、後述するように、記録モードと再生モードとでは異なる値であり、光ディスクの種類等によっても異なる。
【0056】
このビームスプリッタ39を透過した光ビームは、上述したように、対物レンズ32に入射される。対物レンズ32は、入射された光ビームを光ディスク2の記録面のある一点に収束させて照射する。この対物レンズ32は、図示しない二軸アクチュエータ等によって、フォーカス方向及びトラッキング方向に駆動される。これにより、対物レンズ32は、光ディスク2の記録面上で焦点が合うように、この光ビームを集束するとともに、この集束された光ビームを光ディスク2の記録面上のトラックに追従させる。
【0057】
また、システムコントローラ7は、温度センサ45より送られた温度を示す信号に基づいて、サーボ制御部9を介して、後述のように光源31のパワーの動作点が一定となるように所定の光減衰率となるように制御する。
【0058】
上述した光ピックアップ3は、光ディスク再生時のレーザノイズ軽減のための光減衰器に液晶素子34を使用したものである。また、この光ピックアップ3は、液晶印加電圧を記録モード及び再生モードにおける2値固定ではなく、再生時等に光ピックアップ3のカップリング効率CEに応じて可変させて制御する点に特徴を有するものである。この光ピックアップ3は、この特徴により再生時レーザ元パワーのばらつきを抑え、レーザノイズ・高周波重畳時のピークパワー、信頼性、寿命のばらつきを抑えることができるが、以下この点について詳細に説明する。また、この光ピックアップ3は、光減衰率をモニタする分岐量検出素子36の出力に基づいて、クローズループ制御を可能にするものである。また、この光ピックアップ3は、任意の光減衰率に設定できるので、再生時のみでなく記録時にも制御可能である。以下では併せてクローズループ制御の利点と、モード切替時のオーバードライブによりLCD(液晶素子)応答速度を高めてモード切替時間を短縮できる等の利点についても説明する。
【0059】
まず、図3を用いて液晶素子34の印加電圧と、この液晶素子及び偏光ビームスプリッタ膜面35aからなる光減衰器の光減衰率特性との関係について説明する。図3中横軸は、液晶印加電圧(「LCDDRV」ともいう。)を示し、縦軸は、光減衰率(「ATT率」ともいう。)を示す。そして、図3中L1は、液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示すものである。
【0060】
ここではまず、本発明と比較するための従来の2値固定制御について説明する。再生モード及び記録モードからなる2モードのそれぞれの値を固定する2値固定制御においては、例えば、図3中Paに示すように再生時に0.5Vとし、図3中Pbに示すように記録時に9Vとしてこの電圧を印加するようにされている。そして、かかる場合に、図3に示すように、再生時減衰率が0.3であり、記録時減衰率が0.95程度として得られることとなる。
【0061】
次に、図3のような関係としたときの液晶素子34の印加電圧と、減衰率モニタとしての分岐量検出素子36の電圧の特性、及び発光パワー検出素子40の電圧の特性との関係について図4を用いて説明する。図4中L2は、液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性(「VMON」ともいう。)、すなわち光減衰率のモニタ電圧特性を示し、具体的には、分岐量検出素子36を構成するフォトディテクタ出力をI/V変換したものである。また、図4中L3は、液晶素子34の印加電圧に対する発光パワー検出素子40の電圧の特性(「VFPD」ともいう。)、すなわち、対物レンズ32への照射パワーをモニタする電圧特性を示す。このL3は、具体的には、発光パワー検出素子40を構成するフロントフォトダイオード(FPD)のI/V出力を示したものである。また、図4中横軸は、液晶印加電圧(「LCDDRV」ともいう。)を示す。また、図4中縦軸は、L2に対しては、分岐量検出素子36の電圧(VMON)の特性を示し、L3に対しては、発光パワー検出素子40の電圧(VFPD)の特性を示す。
【0062】
分岐量検出素子36は、上述したように、減衰率モニタとして機能するものであり、この減衰率モニタである分岐量検出素子36は、2値制御においても状態確認用として用い、記録/再生動作をさらに安定にするものである。
【0063】
すなわち、減衰率モニタとしての分岐量検出素子36の電圧を常に監視するとともに、これと比較するための閾値を設けることで状態確認を可能にする。具体的には、分岐量検出素子36の電圧が閾値以上であるか以下であるかの判断により、液晶素子34の状態確認をし、状態確認後、再生・記録モードに移行させることができる。
【0064】
特に、減衰率大(以下、「LCD CLOSE」ともいう。)から減衰率小(以下、「LCD OPEN」ともいう。)にする再生モードから記録モードへの切替動作では、この監視が必要となる。すなわち、液晶素子34の応答速度が有限であり、液晶素子34自体の切り替え時間が0でないため、この再生から記録への切替動作において、完全にLCDOPEN状態にならないまま記録パワーにするレーザを破壊してしまう可能性がある。これは、減衰率大のため光源31において必要以上のパワーを出させることになるからである。上述したような分岐量検出素子36は、液晶素子34の状態を検出することができ、この状態確認の後に、記録時のレーザパワーに切り替えることでレーザ破壊を防止できる。以上のような従来の2値固定制御においても、モード切り替え時の問題等を解消することができるが、上述したようなレーザ元パワーのばらつきによる問題点を解消することが困難であった。
【0065】
本発明を適用した光ピックアップ3は、以上のような2値固定制御の利点を備えるとともに、2値固定制御の問題点を解消するべく、光減衰率を再生時等では固定ではなく可変制御するものである。これにより、光ピックアップ3は、レーザノイズ・高周波重畳時のピークパワー・レーザ寿命のばらつきを抑え安定した光ディスクドライブシステムを構築するものであるがこの点について、以下に詳細に説明する。
【0066】
この光ピックアップ3における、光源31から出射される出射パワー制御は、光路途中に配置された発光パワー検出素子40のI/V変換で得られた電圧を基準としている。この得られる電圧は、パワーに比例した電圧となっている。以下、この発光パワー検出素子40の出力を用いた制御のことをオートパワーコントロール(APC)ともいう。
【0067】
一般的に、光ピックアップ1台毎に出射パワーと発光パワー検出素子40との関係を測定している。具体的には、出射パワーと、発光パワー検出素子40を構成するフロントフォトダイオード(FPD)出力電圧との関係をki(V/mW)として記憶している。これは、発光パワー検出素子40の素子感度や、光ピックアップのカップリング効率が個々の光ピックアップ毎に全く同じではないからである。
【0068】
そして、具体的には、発光パワー検出素子40を構成するFPD(フロントフォトダイオード)のI/Vアンプのゲインを調整して、k1(V/mW)を固定値に調整するのが一般的である。その一方で、APCとしてのレーザ制御部21は、設定したいパワーが、例えばP1(mW)のときは、発光パワー検出素子40のFPD出力がP1×k1(V)になるように制御する。
【0069】
次に、この関係を示すk1についてさらに具体的に説明する。このk1(V/mW)の測定は、最低2点のパワー(P1,P2)で、オートパワーコントロールではなく、定電流駆動発光(以下、「CC発光」ともいう。)させて行う。そして、光パワーメータで対物レンズ32の出射パワーP1,P2と、そのときの発光パワー検出素子40を構成するフォントフォトダイオード(FPD)のI/Vアンプ出力V1,V2を測定する。さらに、そのときの光源31のレーザ電流I1,I2も測定しておく。
【0070】
このように得られた出射パワーP1,P2、出力電圧V1,V2から次式(1)によりk1を算出することができる。また、レーザ電流I1,I2から次式(2)により、光学系としたときの光源31によるレーザの微分効率η1を算出することができる。さらに、レーザ単体としての微分効率をη0(mW/mA)とすれば、このη0及び得られたη1と、カップリング効率CEとは、次式(3)の関係を有している。
k1=(V2−V1)/(P2−P1)(V/mW) ・・・(1)
η1=(P2−P1)/(I2−I1)(mW/mA) ・・・(2)
CE=η1/η0 ・・・(3)
【0071】
ところで、光ピックアップ3におけるカップリング効率CEは、光源31から出射される光ビームのレーザ発散角、光ピックアップ3を構成する光学部品の透過率、光学ロス等で決定され、必要最大出射パワー、光スポット形状等を考慮して決定される。
【0072】
次に、光源31から出射されるレーザを同様に、CC発光で、あるパワーで発光させ、液晶素子34の印加電圧をあるステップ毎に変化させる。このとき、発光パワー検出素子40のFPD出力電圧を測定すると、上述した図4のL3のような特性が得られ、液晶印加電圧に対する光減衰率がわかる。
【0073】
一般的な光減衰制御では、光減衰率が一様範囲で、温度変化の影響を受けずらい2点の電圧、例えば図3に示すPa,Pb部分のような位置において、固定値を採用する手法が選ばれる。ここで具体的な減衰比としては、図3に示すPaにおけるLCDClose時の減衰比が0.3程度であり、図3に示すPbにおけるLCDOpen時の減衰比が0.95程度である。
【0074】
再生時(LCDClose)の光減衰率が0.3固定の場合、再生パワー0.3mW時のレーザの元パワーP0は、カップリング効率CEと、光減衰率Rとを用いれば、P0=0.3/(CE×R)の関係式を満たしている。R=0.3とすると、P0=0.3/(CE×0.3)=1/CEとなる。
【0075】
ここで、ばらつきを考慮して、カップリング効率CEをCE=0.10〜0.20とすると、レーザ元パワーP0は、P0=1/(0.10〜0.20)=5.0〜10mWとなり、動作点が異なることになる。このように、動作点が異なると、レーザノイズ(RIN)、高周波重畳時のピークパワー、寿命等が一様でなくなることになる。尚、この点が上述した従来の2値固定制御の具体的な問題点である。
【0076】
これに対し、レーザ元パワーの動作点をほぼ同じにするには、光減衰率を可変にすればよい。動作点は、使用するレーザのPower vs RINカーブ、システム上許容されるレーザノイズ、高周波重畳波形のピークパワー等を考慮して決める必要がある。また、寿命の観点からは動作点のパワーは小さい方がよい。
【0077】
上述した図9の例では、重畳波形の2発目のこぶが出始める前の5mWが動作点として妥当であると考えられる。また、上述の関係式からR=0.3/(P0×CE)の関係が得られる。これらのことから、動作点を5mWにするには、CEmax=0.20のとき、光減衰率が0.3mW/5mW×0.20(CEmax)=0.3であり、CEmin=0.10のとき、光減衰率が0.3mW/5mW×0.10(CEmin)=0.6である。すなわち、動作点を5mWにするためには、光減衰率を0.3〜0.6の範囲で可変にすればよい。具体的には、光ピックアップ個々のカップリング効率CEに応じた光減衰率を決定し、この光減衰率となるように液晶素子34を駆動することにより、動作点を一定にすることが可能となる。
【0078】
液晶素子34の印加電圧と、光減衰率との関係は、上述のように光源31を定電流(CC)駆動であるパワーで発光させ、液晶(LCD)印加電圧をあるステップで可変することで得られる。すなわち、当該関係は、液晶印加電圧を例えば0〜9V間のあるステップで可変させ、そのときの発光パワー検出素子40のFPD電圧、分岐量検出素子36のモニタ電圧を測定することでわかる。
【0079】
分岐量検出素子36のモニタ電圧は、光減衰率が大きい場合に、モニタとしての分岐量検出素子36側に分岐される光が増大することで、電圧が増加するので、発光パワー検出素子40のFPD電圧とは逆の特性になる。
【0080】
ここで説明する例において、以下のようにVFPD9、VMON9、VFPDn、VMONnを設定したときに、以下のような関係が得られる。すなわち、液晶印加電圧9Vである光減衰率の最小時の発光パワー検出素子40のFPD電圧をVFPD9とし、そのときの、分岐量検出素子36のモニタ電圧をVMON9とする。また、液晶印加電圧nVであるときの発光パワー検出素子40のFPD電圧をVFPDnとし、そのときの、分岐量検出素子36のモニタ電圧をVMONnとする。このように設定したとき、nVであるときの光減衰率ATTnは、関係式ATTn=0.95×VFPDn/VFPD9=0.95×VMON9/VMONnを満たすこととなる。このとき、「0.95」とあるのは、最小光減衰率が1でなく0.95であるからである。
【0081】
このように、液晶印加電圧を0〜9V間の許されるステップで可変させ上記測定を行えば、液晶印加電圧と光減衰率との関係(LCD印加電圧vs光減衰率)が判明する。
【0082】
以上のように、光ピックアップ1台毎の、カップリング効率CEと、液晶(LCD)印加電圧と、光減衰率との関係が得られるので動作点、すなわち再生時のレーザ元パワーをほぼ同一にすることが可能となる。具体的には、サーボ制御部9は、サーボ制御部9自体やシステムコントローラ7に記憶された固有のカップリング効率CEに基づいて、液晶素子36からなる光減衰器を制御することで、レーザ元パワーを同一にできる。
【0083】
本発明を適用した光ピックアップ3は、光源31と、対物レンズ32と、光検出器44と、光減衰器とを備え、この光減衰器が、液晶素子34と、偏光分離部としての偏光ビームスプリッタ膜面35aとを有することに特徴を有している。この光ピックアップ3は、光検出器が、光ピックアップ3固有のカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される構成により、以下の効果を有するものである。すなわち、光ピックアップ3は、カップリング効率に応じて光減衰率を変化させることにより、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー及びレーザの寿命のばらつきを抑えることを実現し、安定した記録再生特性を実現する。このように、本発明は、安定な記録再生システムを実現する。
【0084】
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、光減衰器が、光ピックアップのカップリング効率のばらつきによる再生時の光源31から出射される光ビームのパワーのばらつきを抑えるように構成されている点に特徴を有するものである。そして、光ピックアップ3は、個々のカップリング効率のばらつきに応じて光減衰率を可変にすることにより光源31のパワーの動作点を一定にするものである。光ピックアップ3は、この構成により、確実にレーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー及びレーザの寿命のばらつきを抑えることを実現する。
【0085】
尚、以上では、オープン制御を採用した例について説明したが、LCDモニタである分岐量検出素子36のモニタ電圧を一定にするようなクローズループ制御を行うことも可能である。さらに、このクローズループ制御により、温度変化による減衰率変化を抑制することも可能にできる。一般的に、液晶素子は温度の影響を受けやすく、上述した光ピックアップ3を構成する液晶素子34も例外ではない。
【0086】
ここで、図3及び図4を用いて説明した液晶印加電圧に対する光減衰率特性(L1)及び分岐量検出素子36の電圧特性(L2)の温度毎の特性例を図5及び図6に示す。図5及び図6中横軸は、液晶印加電圧(LCDDRV)を示す。また、図5中L10は、0℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示す。L11は、25℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示す。L12は、50℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する光減衰器の光減衰率特性を示す。図5中縦軸は、光減衰率(ATT率)を示す。また、図6中L20は、0℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性を示す。L21は、25℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性を示す。L22は、50℃のときの液晶素子34の印加電圧に対する分岐量検出素子36の電圧の特性を示す。図6中縦軸は、分岐量検出素子36の電圧(VMON)の特性を示す。
【0087】
上述したように、通常行われている記録/再生の2値固定制御を用いた方法の場合には、光減衰率(ATT率)が温度変化を受けないフラットな領域、例えば図3に示すPa、Pb部分に2値を設定されている。これに対して、光ピックアップ3では、カップリング効率によっては、光減衰率(ATT率)が温度変化の影響を受ける動作点になる場合がある。尚、カップリング効率が0.1〜0.2の2倍の変化よりは少ない。このようにオープン制御では、温度変化による光減衰率(ATT率)変化を受ける可能性があるが、分岐量検出素子36のLCDモニタ電圧VMONを検出値とした、クローズループ制御を採用することにより、温度変化の影響を抑制できる。これは、分岐量検出素子36は、フォトディテクタを用いるので、温度特性は液晶素子34よりはるかに小さいからである。
【0088】
具体的に、クローズループ制御を可能とする光ピックアップ3は、上述したシステムコントローラ7、サーボ制御部9及びプリアンプ14が図7に示すように構成される。システムコントローラ7は、光減衰率とLCDモニタとしての分岐量検出素子36のモニタ電圧VMONとの関係(光減衰率vsVMON)を示す光減衰率vsVMONテーブル7aを有する。また、システムコントローラ7は、基準となるリファレンス電圧を決定するためのリファレンス電圧決定部7bを有する。光減衰率vsVMONテーブル7aには、上述したLCD印加電圧vs光減衰率の関係から得られた光減衰率とモニタ電圧VMONとの関係(光減衰率vsVMON)がテーブルとして記憶されている。そして、システムコントローラ7のレファレンス電圧決定部7bは、再生時に設定したい光減衰率でのLCDモニタ出力電圧と比較するための基準となるリファレンス電圧(「Ref電圧」ともいう。)を決定し、後述する比較器9aに供給する。
【0089】
プリアンプ14には、LCDモニタとしての分岐量検出素子36のフォトディテクタからの出力をI/V変換するためI/Vアンプ14aが設けられている。I/Vアンプ14aは、分岐量検出素子36で検出された結果をモニタ電圧VMONとして生成し、後述する比較器9aに供給する。
【0090】
サーボ制御部9は、比較器9aと、方形波発振器9bと、液晶素子電圧制御アンプ(「VCA」ともいう。)9cとを有する。尚、ここでは、液晶素子34の印加電圧は、DCではなくAC駆動で、1kHzの方形波駆動としている。
【0091】
比較器9aには、上述したように、レファレンス電圧決定部7bからリファレンス電圧と、I/Vアンプ14aからモニタ電圧VMONとが入力される。比較器9aは、モニタ電圧VMONからリファレンス電圧を減算する演算(VMON−Ref電圧)を行い、この結果を液晶素子電圧制御アンプ9cに供給する。液晶素子電圧制御アンプ9cは、液晶素子34を駆動するための液晶印加電圧(LCD駆動電圧)を液晶素子34に供給する。液晶素子電圧制御アンプ9cは、比較器9aの出力が+の場合、すなわちLCDモニタ電圧が大きい場合には、光減衰率が目標より大きいことを意味するので、LCD印加電圧を上げる極性となるように設定する。一方、液晶素子電圧制御アンプ9cは、比較器9aの出力が−の場合。すなわちLCDモニタ電圧が小さい場合には、光減衰率が小さいことを意味するので、LCD印加電圧を下げる極性となるように設定する。液晶素子電圧制御アンプ9cには、比較器9aの出力が制御電圧として入力され、液晶素子電圧制御アンプ9cは、この制御電圧に応じた増幅度を与える。また、液晶素子電圧制御アンプ9cには、方形波発振器9bから1kHz方形波が入力される。そして、液晶素子電圧制御アンプ9cは、この比較器9aからの出力電圧と極性に応じて、方形波発振器9bからの入力信号である1kHzのAc信号振幅が変化することとなり、それが液晶素子34に供給され、所定の光減衰率が得られることになる。このように、液晶素子電圧制御アンプ9c等を有するサーボ制御部9は、分岐量検出素子36及びシステムコントローラ7からの信号に基づいて液晶素子36からなる光減衰器を制御する。
【0092】
光ピックアップ3は、このようなクローズループ制御でLCDモニタ電圧VMONを一定にするように制御することにより、温度変化による光減衰率(ATT率)の変化を抑制できる。
【0093】
以上のように本発明を適用した光ピックアップ3は、クローズ制御されることにより、温度変化による減衰率変化を抑制するように構成されることを特徴とする。具体的に光ピックアップ3は、リファレンス電圧とモニタ電圧とを比較してこの結果に応じて液晶素子34の印加電圧を決定することにより、温度変化による光減衰率の変化を抑制することができる。これにより、光ピックアップ3は、温度変化によらず、安定した記録再生特性を実現する。
【0094】
尚、クローズループ制御を行うことにより、切り替え時の液晶応答速度の改善を実現することができる。すなわち、上述と同様に、LCDモニタ電圧を基準となるリファレンス電圧と比較したクローズループ制御を行うことにより、任意の光減衰比に設定可能にでき、再生時だけでなく記録時も制御することでモード遷移時間の短縮を可能にする。
【0095】
具体的に、図8に示すように、クローズループ制御のダイナミックレンジとして、液晶素子34の許容電圧まで液晶印加電圧がかかるように、比較器9a及び液晶素子電圧制御アンプ9cを設定するように構成してもよい。尚、図8(a)は、再生時の印加電圧V1を示し、図8(b)は、記録時の印加電圧V2を示す。図8(b)中破線部は、オーバードライブされている状態を示し、V3は、最大許容印加電圧を示す。
【0096】
これにより、再生モードから記録モードに切り替える切り替え時にオーバードライブ、すなわち記録時印加電圧V2よりも大きな最大許容印加電圧V3程度まで印加させることにより、図8(c)に示すように、液晶(LCD)応答速度を改善することができる。尚、図8(c)の実線LRは、再生時における液晶印加電圧を示し、実線LWは、記録時における液晶印加電圧を示し、実線LRWは、再生時から記録時に移行する際の液晶印加電圧の変化を示す。そして、図8(c)の破線LODは、オーバードライブされたときの液晶印加電圧の変化を示す。また、図8(c)中横軸は、時間を示し、縦軸は、モニタ電圧VMONを示す。図8(c)によれば、図8(b)の破線部で示すようなオーバードライブを行うことにより、再生時から記録時への以降時間を短縮化できることが示されている。
【0097】
これは、一般的に、液晶応答速度は、液晶印加電圧(LCDDRV電圧)に依存し、高電圧であるほど速くなるためである。また、液晶応答速度は、周囲温度にも依存し低温であるほど応答速度が遅くなる。このようなクローズループ制御でオーバードライブ状態でのモード切り替えでは、通常の切り替えよりモード切り替わり時間が短縮される。これにより、実際の記録開始までのメモリ容量が少なくて済み、特にリアルタイム性が要求されるAVレコーダ等において、コストダウンが図れる。
【0098】
本発明を適用した光ピックアップ3は、クローズループ制御され、再生モードから記録モードに切り替えるモード切り替え時に、液晶素子34の印加電圧が記録モードにおける印加電圧V2よりも大きな最大許容印加電圧V3が印加される構成とされる。これにより光ピックアップ3は、液晶応答速度を速くすることができ、モード切り替え時間を短縮化することを実現する。すなわち、光ピックアップ3は、光ディスク装置としてのリアルタイム性を実現するとともに、メモリ容量等を削減し、コストダウンを実現する。
【0099】
以上のように、本発明を適用した光ピックアップ3は、光学カップリングのばらつきによる再生時のレーザ元パワーの動作点をほぼ一定にでき、レーザノイズ・高周重畳時のピークパワー・寿命のばらつきが抑制され、安定な記録再生を達成できる。すなわち、光ピックアップ3によれば、レーザノイズが、パワー依存性だけではなく、個々の差もあるが、動作点を同じにしておく構成により、ばらつき要因を減少させる点にメリットを有し、良好な記録再生特性を実現できる。
【0100】
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、光減衰率をモニタ可能な分岐量検出素子36によりLCDモニタ電圧と、リファレンス電圧とを比較するクローズループ制御が可能となり、任意の光減衰率に設定可能である。
【0101】
また、本発明を適用した光ピックアップ3は、クローズループ制御する事により、温度変化による光減衰率(ATT率)の変化の抑制ができる。さらに、光ピックアップ3は、モード切り替え時に液晶印加電圧がオーバードライブされ、モード切り替え時間が短縮され、切り替え遷移時に必要なメモリ容量を小さくできる。
【0102】
また、本発明を適用した光ディスク装置1は、駆動手段と光ピックアップとを備え、光ピックアップとして上述した光ピックアップ3を備える点に特徴を有する。この光ディスク装置1は、ピックアップのカップリング効率に応じて光減衰器により光減衰率を変化させることにより、レーザノイズ、高周波重畳時のピークパワー、及び寿命のばらつきを抑えることを実現し、良好な記録再生特性を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明を適用した光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明を適用した光ピックアップの光学系を示す光路図である。
【図3】液晶素子の印加電圧LCDDRVと、光減衰率(ATT率)特性との関係を示す図である。
【図4】液晶素子の印加電圧LCDDRVと、光ディスクへの照射パワーのモニタとしての発光パワー検出素子の電圧特性VFPD及び液晶モニタとしての分岐量検出素子の電圧特性VMONとの関係を示す図である。
【図5】温度が0℃、25℃、50℃としたときの、液晶素子の印加電圧LCDDRVと、光減衰率(ATT率)特性との関係を示す図である。
【図6】温度が0℃、25℃、50℃としたときの、液晶素子の印加電圧LCDDRVと、液晶モニタとしての分岐量検出素子の電圧特性VMONとの関係を示す図である。
【図7】本発明を適用した光ピックアップのクローズループ制御を可能とする例におけるクローズループ制御を可能とする構成を示すブロック図である。
【図8】モード切り替え時にオーバードライブを行うことについて説明するための図であり、(a)は、再生モードにおける印加電圧を示し、(b)は、記録モードにおける印加電圧及び最大許容印加電圧を示す。(c)は、オーバードライブを行うことによりモード切り替え時間が短縮されることを示す図である。
【図9】レーザ光源の元パワーとレーザノイズとの関係を説明するための図であり、元パワーとRIN値との関係を示す図である。
【図10】一般的なレーザ光源において、高周波重畳をかけたときのピークパワーが大きい状態とされた高周波重畳波形を示す図である。
【図11】図10に示す状態に対してレーザ光源の元パワーを上げることにより、緩和振動の第2及び第3の立ち上がり部が発生し、ピークパワーが下がってしまうことを示す図である。
【符号の説明】
【0104】
1 光ディスク装置、2 光ディスク、3 光ピックアップ、4 スピンドルモータ、5 送りモータ、7 システムコントローラ、9 サーボ制御部、31 光源、32 対物レンズ、33 コリメータレンズ、34 液晶素子、35 アナモルフィックプリズム、35a 偏光ビームスプリッタ膜面、36 分岐量検出素子、37 拡散板、38 位相板、39 ビームスプリッタ、39a 分離面、40 発光パワー検出素子、41 1/4波長板、42 検出レンズ群、43 シリンドリカルレンズ、44 光検出器、45 温度センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長の光ビームを出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズと、
上記光ディスクで反射された反射光ビームを検出する光検出器と、
上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射される光ビームの光量を減衰させて上記対物レンズに導く光減衰器とを備え、
上記光減衰器は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子と、上記液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離部とを有し、上記液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、
上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される光ピックアップ。
【請求項2】
上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきによる再生時の上記光源から出射される光ビームのパワーのばらつきを抑えるように、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じて光減衰率を可変にすることにより上記光源のパワーの動作点を略一定にする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】
さらに、上記光減衰器の光減衰率を検出する光減衰率検出部を備え、
上記光減衰器は、上記光減衰率検出部の出力に基づいてクローズループ制御される請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項4】
上記偏光分離部は、上記液晶素子を経た光ビームの偏光状態に応じた割合でその一部を上記対物レンズに光ビームを導くとともに、残りの光ビームを上記対物レンズに導かれた光ビームから分岐させ、
上記光減衰率検出部は、上記偏光分離部により上記対物レンズに導かれた光ビームから分岐された光ビームを受光することにより上記光減衰器の光減衰率を検出する請求項3記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記光減衰器は、クローズループ制御されることにより、温度変化による減衰率変化を抑制する請求項3記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記光減衰器は、クローズループ制御され、再生モードから記録モードに切り替えるモード切り替え時に、上記液晶素子の印加電圧が記録モードにおける印加電圧よりも大きな最大許容印加電圧が印加され、モード切り替え時間を短縮化する請求項3記載の光ピックアップ。
【請求項7】
光ディスクを保持して回転駆動する駆動手段と、
上記駆動手段によって回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを備え、
上記光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズと、
上記光ディスクで反射された反射光ビームを検出する光検出器と、
上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射される光ビームの光量を減衰させて上記対物レンズに導く光減衰器とを備え、
上記光減衰器は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子と、上記液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離部とを有し、上記液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、
上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される光ディスク装置。
【請求項1】
所定の波長の光ビームを出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズと、
上記光ディスクで反射された反射光ビームを検出する光検出器と、
上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射される光ビームの光量を減衰させて上記対物レンズに導く光減衰器とを備え、
上記光減衰器は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子と、上記液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離部とを有し、上記液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、
上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される光ピックアップ。
【請求項2】
上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきによる再生時の上記光源から出射される光ビームのパワーのばらつきを抑えるように、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じて光減衰率を可変にすることにより上記光源のパワーの動作点を略一定にする請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項3】
さらに、上記光減衰器の光減衰率を検出する光減衰率検出部を備え、
上記光減衰器は、上記光減衰率検出部の出力に基づいてクローズループ制御される請求項1記載の光ピックアップ。
【請求項4】
上記偏光分離部は、上記液晶素子を経た光ビームの偏光状態に応じた割合でその一部を上記対物レンズに光ビームを導くとともに、残りの光ビームを上記対物レンズに導かれた光ビームから分岐させ、
上記光減衰率検出部は、上記偏光分離部により上記対物レンズに導かれた光ビームから分岐された光ビームを受光することにより上記光減衰器の光減衰率を検出する請求項3記載の光ピックアップ。
【請求項5】
上記光減衰器は、クローズループ制御されることにより、温度変化による減衰率変化を抑制する請求項3記載の光ピックアップ。
【請求項6】
上記光減衰器は、クローズループ制御され、再生モードから記録モードに切り替えるモード切り替え時に、上記液晶素子の印加電圧が記録モードにおける印加電圧よりも大きな最大許容印加電圧が印加され、モード切り替え時間を短縮化する請求項3記載の光ピックアップ。
【請求項7】
光ディスクを保持して回転駆動する駆動手段と、
上記駆動手段によって回転駆動される光ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光ピックアップとを備え、
上記光ピックアップは、所定の波長の光ビームを出射する光源と、
上記光源から出射された光ビームを光ディスクに集光させる対物レンズと、
上記光ディスクで反射された反射光ビームを検出する光検出器と、
上記光源と上記対物レンズとの間に設けられ、上記光源から出射される光ビームの光量を減衰させて上記対物レンズに導く光減衰器とを備え、
上記光減衰器は、上記光ビームの偏光状態を変化させる液晶素子と、上記液晶素子を経た光ビームが入射される偏光分離部とを有し、上記液晶素子によって光ビームの偏光状態を変化させることによって、光減衰率を可変に減衰させ、
上記光減衰器は、当該光ピックアップのカップリング効率のばらつきに応じた光減衰率となるように制御される光ディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−9727(P2010−9727A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171255(P2008−171255)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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