説明

光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル及び光ファイバ接続方法

【課題】 曲げ剛性の方向性を低減し余長の収納作業性を兼ね備えた光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル及び光ファイバ接続方法を提供する。
【解決手段】光ファイバテープ心線10は、両端の第1光ファイバ心線17の中心A1と第4光ファイバ心線20の中心A4とを結ぶ中心軸線A0上からずれた位置に第2光ファイバ心線18の中心A2及び第3光ファイバ心線19の中心A3を配置した。これにより、両端の第1光ファイバ心線17及び第4光ファイバ心線20以外の第2光ファイバ心線18及び第3光ファイバ心線19が中心軸線A0からずらして配置されることでテープ幅L1を狭めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の単心光ファイバを集合させた光ファイバテープ心線とその光ファイバの接続方法、及び光ファイバテープ心線をさらに多数集合させた多心光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多心光ファイバケーブルの一例として、図9に示した多心光ファイバケーブル200は、4本の単心被覆光ファイバ201をストレートまたは撚り合わせて、識別糸202を巻きつけて一体化した後に、中心にテンションメンバ204を有するスペーサ203のスペーサ溝205内に集合させ、その外周に押さえテープ206を巻き、さらにその外周に外被207が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
また、図10に示した多心光ファイバケーブル210は、4心の光ファイバ211からなる複数の光ファイバテープ心線212をスペーサ溝205内に整列積層させたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−6943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された従来の多心光ファイバケーブル200では、ケーブル端末での接続作業が一括で行えず、例えば、1000心ケーブルの場合では、1000回の融着接続を行う必要があり、接続作業に長時間を要していた。
また、多心光ファイバケーブル210の光ファイバテープ心線212であれば、一括で複数本の光ファイバを接続可能である。しかしながら、幅を持ったテープ心線をクロージャ等の余長収納部に収納する際には、曲げ剛性の方向性により、曲げ方向をきちんと整列させてから収納する必要が有り、収納作業に時間を要するという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、前述した課題を解決するためになされたものであり、一括で接続できるテープ心線のメリットと、テープ幅を極力狭めることで曲げ剛性の方向性を低減し余長の収納作業性を兼ね備えた光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル及び光ファイバ接続方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することができる本発明に係る光ファイバテープ心線は、3心以上の光ファイバ心線の全周を被覆した光ファイバテープ心線であって、両端の前記光ファイバ心線の中心を結ぶ中心軸線上に、その他の前記光ファイバ心線の中心が無いように配置したことを特徴としている。
【0007】
このように構成された光ファイバテープ心線によれば、両端の光ファイバ心線を結ぶ中心軸線上からずれた位置にその他の光ファイバ心線の中心が配置されている。これにより、テープ心線のテープ幅を狭めることができるので、一括で接続できるテープ心線のメリットと、曲げ剛性の方向性を低減して余長収納作業が容易なメリットとを兼ね備えることができる。略テープ形状の心線形態によれば、押圧により従来の完全並列に配置されたテープ心線と同じ形状になるので、従来のテープ心線と同様の短時間で接続できる。
【0008】
また、本発明に係る光ファイバテープ心線においては、少なくとも一対の前記光ファイバ心線間に該光ファイバ心線の外周を被覆する外被を含めた前記光ファイバ心線の外径寸法より薄いブリッジ部を設け、複数の前記光ファイバ心線を一体化していることが好ましい。
【0009】
このように構成された光ファイバテープ心線によれば、少なくとも一対の光ファイバ心線間のブリッジ部により一体化されているので、テープ心線の厚み方向からの押圧によりブリッジ部である連結部分を容易に分断させることができる。これにより、融着接続機の光ファイバホルダにテープ心線をセットして、複数の光ファイバ心線の中心を一平面内に並列状に整列させてから、一括融着接続を行うことができる。また、ブリッジ部によって隣り合う光ファイバ心線同士の相対位置が可動となり光ファイバケーブルに収納した際に歪を低減する方向に光ファイバ心線をずらすことができる。
【0010】
また、本発明に係る光ファイバテープ心線においては、前記両端の光ファイバ心線以外の複数の前記光ファイバ心線は、前記中心軸線に対して交互にずれて配置されていることが好ましい。
【0011】
このように構成された光ファイバテープ心線によれば、両端の光ファイバ心線以外の光ファイバ心線が中心軸線に対して交互にずれて配置されているので、各光ファイバ心線間を狭めることができ、幅方向に曲げられない従来の完全並列なテープ心線と比べて、曲げ剛性の方向性を低減させることができる。これにより、クロージャ内部の余長収納ケース内に光ファイバ心線を収納する際には、光ファイバ心線の曲げの方向性に配慮して丁寧に整列させる必要がなくなり、収納作業の短縮を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る光ファイバテープ心線においては、隣り合う前記光ファイバ心線の中心位置は、前記テープ心線の幅方向に順次ずれていることが好ましい。
【0013】
このように構成された光ファイバテープ心線によれば、光ファイバテープ心線の厚み方向から押圧を加えて平面テープ状に崩す際に、隣り合う光ファイバ心線の中心位置がテープ心線の幅方向に順次ずれているので、融着接続機の光ファイバホルダ内で光ファイバ心線の配列順番の入れ替わりを確実に回避することができる。
【0014】
上記課題を解決することができる本発明に係る光ファイバケーブルは、上記光ファイバテープ心線をスペーサ内に複数本集合させ、その外周に押さえ巻きを巻き、熱可塑性樹脂により外被を施したことを特徴としている。
【0015】
このように構成された光ファイバケーブルによれば、従来の並列の光ファイバテープ心線を用いたケーブル同様の安定した歪/伝送損失を維持したケーブルを製造することができる。また、光ファイバ接続時に、一括融着接続を行うことができる。
【0016】
上記課題を解決することができる本発明に係る光ファイバ接続方法は、上記光ファイバテープ心線の接続端部を、融着接続機の光ファイバホルダの光ファイバ整列溝上に配置し、前記ホルダの上部押さえ蓋で押しつけることにより複数の前記光ファイバ心線の中心を一平面内に並列状に整列させてから、一括融着接続することを特徴としている。
【0017】
このように構成された光ファイバ接続方法によれば、複数の光ファイバがまとまった光ファイバテープ心線の接続端部を光ファイバホルダの光ファイバ整列溝上に配置して上部押さえ蓋で押しつける。これにより、複数の光ファイバ心線の中心を一平面内に並列状に整列させることができるので、接続作業が容易となり作業時間を短縮することができる。なお、単心光ファイバの場合は、光ファイバホルダ内に複数本の光ファイバを平行に並べてセットする作業が煩雑で作業時間が掛かる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る光ファイバテープ心線、光ファイバケーブル及び光ファイバ接続方法によれば、一括で接続できるテープ心線のメリットと、曲げ剛性の方向性を低減して余長収納作業が容易なメリットとを兼ね備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光ファイバテープ心線の断面図である。
【図2】図1の光ファイバテープ心線を適用した光ファイバ接続方法を示す概略図であり、(A)は第1段階の断面図、(B)は第2段階の断面図である。
【図3】図1の光ファイバテープ心線を適用した光ファイバケーブルの断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る光ファイバテープ心線の断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る光ファイバテープ心線の断面図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る光ファイバテープ心線の断面図である。
【図7】本発明の第5実施形態に係る光ファイバテープ心線の断面図である。
【図8】本発明の第6実施形態に係る光ファイバテープ心線の断面図である。
【図9】従来の光ファイバケーブルの断面図である。
【図10】従来の別の光ファイバケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の複数の実施形態に係る光ファイバテープ心線について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態である光ファイバテープ心線10は、第1光ファイバ心線17、第2光ファイバ心線18、第3光ファイバ心線19及び第4光ファイバ心線20の4心からなる変形タイプのテープ心線である。各光ファイバ心線17〜20は、中心にコアとクラッドからなるガラスファイバ11〜14を有し、このガラスファイバ14の外周を樹脂製の保護被覆15により被覆した構成になっている。そして、各光ファイバ心線17〜20は、その外周を外被16によって被われており、隣り合う光ファイバ心線間がブリッジ部21によって並列状に連結されている。
【0022】
光ファイバテープ心線10は、両端の第1光ファイバ心線17の中心A1と第4光ファイバ心線20の中心A4とを結ぶ中心軸線A0上に、その他の第2光ファイバ心線18の中心A2及び第3光ファイバ心線19の中心A3が無いように各光ファイバ心線17〜20が千鳥状に配置されている。
【0023】
光ファイバテープ心線10は、例えば、幅寸法L1が0.80mm、高さ寸法L2が0.53mmであり、外被16の厚さ寸法T1が0.015mmである。そのため、各第1光ファイバ心線17〜20の外周の外被16を含めた外径寸法H1は、例えば、0.28mmである。
【0024】
光ファイバテープ心線10は、第1光ファイバ心線17と第2光ファイバ心線18との間に所定間隔L4を設けている。この所定間隔L4は、第1光ファイバ心線17と第2光ファイバ心線18が外被16と一体のブリッジ部21によって連結されることで形成される。ブリッジ部21は、第1光ファイバ心線17の中心A1と第2光ファイバ心線18の中心A2を結ぶ中心軸線A5上で、第1光ファイバ心線17側の外被16と第2光ファイバ心線18側の外被16を連結している。
【0025】
同様に、第2光ファイバ心線18と第3光ファイバ心線19の間隔、及び第3光ファイバ心線19と第4光ファイバ心線20の間隔もブリッジ部21によって中心軸線A6及びA7上で連結されることにより所定間隔L4が形成されている。ブリッジ部21の寸法は、例えば、厚さ寸法L3が上述した外径寸法H1よりも薄い60μm、長さ寸法L4が50μmである。
なお、保護被覆15の外周に厚さ1μmから10μm程度の着色層が形成されていても良い。また、各ガラスファイバ11〜14の周囲に薄膜状のカーボン層がコーティングされていても良い。
【0026】
外被16及びブリッジ部21の材質としては、UVアクリレート樹脂を用いることができる。UVアクリレート樹脂のヤング率は0.5〜45MPaの範囲であり、伸びは75〜250%の範囲にあることが望ましい。これにより、ブリッジ部21の可撓性を確保することができる。また、伸びの大きいUVアクリレート樹脂を使用することで、ブリッジ部21を曲げた際の破断を防止することができる。
【0027】
次に、光ファイバテープ心線10を適用した光ファイバ接続方法について説明する。
図2(A)に示すように、光ファイバテープ心線10の接続には融着接続機が使用される。融着接続機にセットされる光ファイバホルダ30は、基台31の上面に光ファイバ整列溝32を備えており、光ファイバ整列溝32を閉塞するように基台31の端部にヒンジ33により連結された上部押え蓋34を備えている。
【0028】
光ファイバ接続工程の第1段階では、光ファイバテープ心線10を光ファイバホルダ30の光ファイバ整列溝32内に配置する。このとき、光ファイバテープ心線10は、光ファイバ整列溝32よりも十分大きい高さ寸法を有しているため、光ファイバ整列溝32から突出している。
【0029】
光ファイバ接続工程の第2段階では、上部押さえ蓋34を閉塞方向に回動することで突出した光ファイバテープ心線10の上部を押圧しながら光ファイバ整列溝32を閉塞する。これにより、光ファイバテープ心線10の高さ寸法L2は潰されて、一平面内に並列状に変形する。即ち、上部押さえ蓋34による押圧力によりブリッジ部21が崩され、高さ寸法L2から上述した外径寸法H1になる。なお、ブリッジ部21は潰されたときに、変形されても良いし、切断されても良い。
【0030】
次に、光ファイバホルダ30の先端部側から突き出た光ファイバテープ心線10の各保護被覆15及び外被16を所定箇所から被覆除去具を用いて除去し、先端部側のガラスファイバ11〜14を露出させる。その後、露出されたガラスファイバ11〜14を所定長さに切断して接続端部を揃える。これらの被覆除去及びファイバカットは、光ファイバテープ心線10がホルダ先端部で、所定ピッチで整列保持されているため、効率良く作業を行うことができる。
【0031】
次に、光ファイバテープ心線10を、不図示の相手側光ファイバテープ心線の接続端部に突き合わせて保持させた状態で一括融着接続を行う。
【0032】
図3に示すように、上記光ファイバテープ心線10を複数本、例えば、2本の光ファイバテープ心線10を中心にテンションメンバ3を有するスペーサ2のスペーサ溝4内に集合させてから、その外周上に押さえ巻き5を巻く。そして、さらに外周に熱可塑性樹脂よりなる外被6を施して光ファイバケーブル1を形成する。
【0033】
上述したように第1実施形態の光ファイバテープ心線10によれば、両端の第1光ファイバ心線17の中心A1と第4光ファイバ心線20の中心A4とを結ぶ中心軸線A0上からずれた位置に第2光ファイバ心線18の中心A2及び第3光ファイバ心線19の中心A3を配置した。これにより、両端の第1光ファイバ心線17及び第4光ファイバ心線20以外の第2光ファイバ心線18及び第3光ファイバ心線19が中心軸線A0からずらして配置されることでテープ幅L1を狭めることができる。
したがって、光ファイバテープ心線10は、一括で接続できるテープ心線のメリットと、曲げ剛性の方向性を低減して収納作業を容易にしたメリットを兼ね備えている。略テープ形状の心線形態によって、押圧により従来の完全並列に配置されたテープ心線と同じ形状になるので、従来のテープ心線と同様の短時間で接続できる。
【0034】
また、第1光ファイバ心線17と第2光ファイバ心線18との間、第2光ファイバ心線18と第3光ファイバ心線19との間、及び第3光ファイバ心線19と第4光ファイバ心線20との間に光ファイバ心線17〜20の外周を被覆する外被16を含めた光ファイバ心線17〜20の外径寸法H1より薄いブリッジ部21を設け、複数の光ファイバ心線17〜20を一体化した。これにより、光ファイバホルダ30にテープ心線10をセットして、テープ心線10の厚み方向からの押圧によりブリッジ部21である連結部分を容易に分断させることができる。
したがって、複数の光ファイバ心線17〜20の中心を一平面内に並列状に整列させてから、一括融着接続を行うことができる。また、ブリッジ部21によって隣り合う光ファイバ心線同士の相対位置が可動となり光ファイバケーブル1に収納した際に歪を低減する方向に光ファイバ心線17〜20をずらすことができる。
【0035】
また、両端の光ファイバ心線17,20以外の複数の光ファイバ心線18,19は、中心軸線A0に対して交互にずれて配置されている。これにより、各光ファイバ心線17〜20間を狭めることができ、従来の完全並列なテープ心線と比べて、各光ファイバ心線17〜20を密集させることができ、曲げ剛性の方向性を低減することができる。この光ファイバテープ心線10により多心光ファイバケーブル1を形成した場合、テープ心線10については可撓性を有するブリッジ部21を支点に各光ファイバ心線17〜20が動くことができる。これにより、低歪で安定した伝送性能を維持した多心光ファイバケーブル1を実現できる。
【0036】
また、隣り合う光ファイバ心線17〜20の中心A1〜A4は、テープ心線10の幅方向に互いにずれている。これにより、光ファイバホルダ30内でテープ心線10の厚み方向から押圧を加える場合、光ファイバ心線17〜20の配列順番の入れ替わりを確実に回避することができる。
【0037】
また、第1実施形態の光ファイバケーブル1によれば、光ファイバテープ心線10をスペーサ溝4内に複数本集合させ、その外周に押さえ巻き5を巻き、熱可塑性樹脂により外被6を施している。これにより、従来のスペーサ型ケーブルと同等の安定した歪/伝送損失を維持することができる。また、光ファイバ接続時に、一括融着接続を行うことができる。
【0038】
更に、第1実施形態の光ファイバ接続方法によれば、光ファイバテープ心線10の接続端部を、光ファイバホルダ30の光ファイバ整列溝32上に配置し、光ファイバホルダ30の上部押さえ蓋34で押しつける。これにより、複数の光ファイバ心線17〜20の中心A1〜A4を一平面内に並列状に整列させてから一括融着接続する。したがって、接続作業が容易となり作業時間を短縮することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る光ファイバテープ心線について説明する。なお、以下の各実施形態において、上述した第1実施形態と同一な構成要素については、同一又は類似符号を付すことによって構成及び作用効果の説明を省略する。
【0040】
図4に示すように、本発明の第2実施形態である光ファイバテープ心線40は、第1光ファイバ心線51、第2光ファイバ心線52、第3光ファイバ心線53、第4光ファイバ心線54、第5光ファイバ心線55、第6光ファイバ心線56、第7光ファイバ心線57及び第8光ファイバ心線58の8心からなる変形タイプのテープ心線である。
【0041】
光ファイバテープ心線40は、両端の第1光ファイバ心線51の中心B1と第8光ファイバ心線58の中心B8を結ぶ中心軸線B0に対して、第2光ファイバ心線52の中心B2、第3光ファイバ心線53の中心B3、第4光ファイバ心線54の中心B4、第5光ファイバ心線55の中心B5、第6光ファイバ心線56の中心B6、第7光ファイバ心線57の中心B7を交互にずらしてジグザグ状に配置されている。
【0042】
各光ファイバ心線51〜58は、中心にコアとクラッドからなるガラスファイバ41〜48を有し、このガラスファイバ41〜48の外周を樹脂製の保護被覆49により被覆した構成になっている。そして、各光ファイバ心線51〜58は、その外周を外被50によって被われており、隣り合う光ファイバ心線間がブリッジ部59によって並列状に連結されている。
【0043】
光ファイバテープ心線40は、中心軸線B9上に設けられたブリッジ部59によって第1光ファイバ心線51と第2光ファイバ心線52が所定間隔を形成して一体化されている。同様に、第2光ファイバ心線52と第3光ファイバ心線53の間、第3光ファイバ心線53と第4光ファイバ心線54の間及び第4光ファイバ心線54と第5光ファイバ心線55の間が、中心軸線B10〜B12上に設けられたブリッジ部59によって所定間隔を形成している。更に、第5光ファイバ心線55と第6光ファイバ心線56の間、第6光ファイバ心線56と第7光ファイバ心線57の間及び第7光ファイバ心線57と第8光ファイバ心線58の間が、中心軸線B13〜B15上に設けられたブリッジ部59によって所定間隔を形成している。
【0044】
上述したように第2実施形態の光ファイバテープ心線40によれば、両端の第1光ファイバ心線51及び第8光ファイバ心線58以外の各光ファイバ心線52〜57が中心軸線B0に対して交互配列されている。これにより、光ファイバテープ心線40の曲げ剛性の方向性を低減することができ、余長収納作業時にテープ心線を丁寧に整列させる必要がなくなり、余長収納作業の時間短縮を図ることができる。
【0045】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る光ファイバテープ心線について説明する。
図5に示すように、本発明の第3実施形態である光ファイバテープ心線60は、第1光ファイバ心線67、第2光ファイバ心線68、第3光ファイバ心線69及び第4光ファイバ心線70の4心からなる変形タイプのテープ心線である。
【0046】
光ファイバテープ心線60は、両端の第1光ファイバ心線67の中心C1と第4光ファイバ心線70の中心C4を結ぶ中心軸線C0に対して、第2光ファイバ心線68の中心C2と第3光ファイバ心線69の中心C3を同方向側にずらして山形状に配置している。
【0047】
各光ファイバ心線67〜70は、中心にコアとクラッドからなるガラスファイバ61〜64を有し、このガラスファイバ61〜64の外周を樹脂製の保護被覆65により被覆した構成になっている。そして、各光ファイバ心線67〜70は、その外周を外被66によって被われている。
【0048】
光ファイバテープ心線60は、隣り合う第1光ファイバ心線67と第2光ファイバ心線68の間、及び第3光ファイバ心線69と第4光ファイバ心線70の間には、所定間隔を形成するためのブリッジ部71が中心軸線C5及びC6上に設けられている。一方、第2光ファイバ心線68と第3光ファイバ心線69の間には、ブリッジ部71は設けられておらず、第2光ファイバ心線68と第3光ファイバ心線69はフラット状に直接接触している。したがって、光ファイバテープ心線60は、第1光ファイバ心線67と第2光ファイバ心線68、及び第3光ファイバ心線69と第4光ファイバ心線70がブリッジ部71により連結されており、第2光ファイバ心線68と第3光ファイバ心線69が外被66により連結されており、全体的には並列状に一体化されている。
【0049】
上述した第3実施形態の光ファイバテープ心線60によれば、両端の第1光ファイバ心線67の中心C1と第4光ファイバ心線70の中心C4を結ぶ中心軸線C0のいずれか一方側に、第2光ファイバ心線68の中心C2と第3光ファイバ心線69の中心C3をずらして山形状に配置されている。これにより、光ファイバホルダ30の光ファイバ整列溝32に光ファイバテープ心線60を配置して、光ファイバホルダ30により上方から押圧して平面テープ状に崩す際に、各光ファイバ心線67〜70の順番入れ替わりを確実に回避することができる(図2参照)。
【0050】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る光ファイバテープ心線について説明する。
図6に示すように、本発明の第4実施形態である光ファイバテープ心線80は、上記実施形態の光ファイバテープ心線60の構成に類似しており、第1光ファイバ心線87、第2光ファイバ心線88、第3光ファイバ心線89及び第4光ファイバ心線90の4心からなる変形タイプのテープ心線である。
【0051】
光ファイバテープ心線80は、両端の第1光ファイバ心線87の中心D1と第4光ファイバ心線90の中心D4を結ぶ中心軸線D0に対して、第2光ファイバ心線88の中心D2と第3光ファイバ心線89の中心D3を同方向側にずらして山形状に配置している。
【0052】
光ファイバテープ心線80は、隣り合う第1光ファイバ心線87と第2光ファイバ心線88の間、及び第3光ファイバ心線89と第4光ファイバ心線90の間には、所定間隔を形成するためのブリッジ部91が中心軸線D5及びD7上に設けられている。
【0053】
加えて、光ファイバテープ心線80は、上記光ファイバテープ心線60と異なり、第2光ファイバ心線88と第3光ファイバ心線89の間に、比較的長い所定間隔L5を形成するためのブリッジ部91が中心軸線D6上に設けられている。したがって、第2光ファイバ心線88と第3光ファイバ心線89は、このブリッジ部91によってフラット状に連結されており、全体的には並列状に連結されている。
【0054】
上述した第4実施形態の光ファイバテープ心線80によれば、第2光ファイバ心線88と第3光ファイバ心線89の間に、他のブリッジよりも比較的長い所定間隔L5を形成するブリッジ部91が設けられている。これにより、光ファイバホルダ30により上方から押圧して平面テープ状に崩す際に、第2光ファイバ心線88と第3光ファイバ心線89との間の剛性が他のブリッジ部分よりも大きくなっている。したがって、第2光ファイバ心線82と第3光ファイバ心線83との間で過度の変形を起こすことなく、各光ファイバ心線87〜90の順番入れ替わりを確実に回避することができる。
【0055】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る光ファイバテープ心線について説明する。
図7に示すように、本発明の第5実施形態である光ファイバテープ心線100は、上記実施形態の光ファイバテープ心線60の構成に類似しており、第1光ファイバ心線107、第2光ファイバ心線108、第3光ファイバ心線109及び第4光ファイバ心線110の4心からなる変形タイプのテープ心線である。
【0056】
光ファイバテープ心線100は、両端の第1光ファイバ心線107の中心E1と第4光ファイバ心線110の中心E4を結ぶ中心軸線E0に対して、第2光ファイバ心線108の中心E2と第3光ファイバ心線109の中心E3を同方向側にずらして山形状に配置している。また、各光ファイバ心線107〜110は、その外周を外被106によって被われている。
【0057】
光ファイバテープ心線100は、隣り合う第1光ファイバ心線107と第2光ファイバ心線108の間、及び第3光ファイバ心線109と第4光ファイバ心線110の間には、所定間隔を形成するためのブリッジ部111が中心軸線E5及びE7上に設けられている。一方、第2光ファイバ心線108と第3光ファイバ心線109の間は、上記光ファイバテープ心線60と同様に、ブリッジ部111が設けられておらず、第2光ファイバ心線108と第3光ファイバ心線109は、フラット状に直接接触している。
【0058】
加えて、光ファイバテープ心線100は、上記光ファイバテープ心線60と異なり、第2光ファイバ心線108と第3光ファイバ心線109との連結部分が肉厚の外被106によって連結されている。即ち、連結部分の外被106の上面及び下面がフラット状の肉厚に形成されている。したがって、光ファイバテープ心線80は、外被106とブリッジ部111によって全体的には並列状に一体化されている。
【0059】
上述した第5実施形態の光ファイバテープ心線100によれば、第2光ファイバ心線108と第3光ファイバ心線109との間を肉厚の外被106によって連結している。これにより、光ファイバホルダ30により上方から押圧して平面テープ状に崩す際に、第2光ファイバ心線108と第3光ファイバ心線109との間がフラット状に且つ強固に配置されているため、各光ファイバ心線107〜110の順番入れ替わりを確実に回避することができる。
【0060】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態に係る光ファイバテープ心線について説明する。
図8に示すように、本発明の第6実施形態である光ファイバテープ心線120は、第1光ファイバ心線131、第2光ファイバ心線132、第3光ファイバ心線133、第4光ファイバ心線134、第5光ファイバ心線135、第6光ファイバ心線136、第7光ファイバ心線137及び第8光ファイバ心線138の8心からなる変形タイプのテープ心線である。
【0061】
光ファイバテープ心線120は、両端の第1光ファイバ心線131と第8光ファイバ心線138を結ぶ中心軸線F0に対して、一方側に第2光ファイバ心線132、第3光ファイバ心線133及び第4光ファイバ心線134の3心をずらして配置すると共に、他方側に第5光ファイバ心線135、第6光ファイバ心線136及び第7光ファイバ心線137の3心をずらして配置することで、全体的にはN字状に配置している。
【0062】
光ファイバテープ心線120は、第1光ファイバ心線131と第2光ファイバ心線132の間及び第2光ファイバ心線132と第3光ファイバ心線133の間が、中心軸線F9上に設けられた2つのブリッジ部139によって所定間隔を形成して直線的に連結されている。同様に、第3光ファイバ心線133と第4光ファイバ心線134の間、第4光ファイバ心線134と第5光ファイバ心線135の間及び第5光ファイバ心線135と第6光ファイバ心線136の間が、中心軸線F10上に設けられた3つのブリッジ部139によって所定間隔を形成して直線的に連結されている。
【0063】
更に、第6光ファイバ心線136と第7光ファイバ心線137の間及び第7光ファイバ心線137と第8光ファイバ心線138の間が、中心軸線F11上に設けられた2つのブリッジ部139によって所定間隔を形成して直線的に連結されている。したがって、全体的には第1光ファイバ心線131から第8光ファイバ心線138が、7つのブリッジ部139を介してN字状に一体的に連結されている。
【0064】
上述した第6実施形態の光ファイバテープ心線120によれば、両端の第1光ファイバ心線131及び第8光ファイバ心線138以外の各光ファイバ心線132〜137が、中心軸線F0に対して、一方側に光ファイバ心線132〜134の3心をずらして配置すると共に、他方側に光ファイバ心線135〜137の3心をずらして配置している。これにより、テープ心線120の曲げ剛性の方向性を低減することができ、余長収納作業時にテープ心線を丁寧に整列させる必要がなくなり、余長収納作業の時間短縮を図ることができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0066】
1 光ファイバケーブル
2 押さえ巻き
3、16、50、66、86、106、130 外被
4 テンションメンバ
10、40、60、80、100、120 光ファイバテープ心線
17、51、67、87、107、131 第1光ファイバ心線
18、52、68、88、108、132 第2光ファイバ心線
19、53、69、89、109、133 第3光ファイバ心線
20、54、70、90、110、134 第4光ファイバ心線
21、59、71、91、111、139 ブリッジ部
30 光ファイバホルダ
31 基台
32 光ファイバ整列溝
34 上部押さえ蓋
55、135 第5光ファイバ心線
56、136 第6光ファイバ心線
57、137 第7光ファイバ心線
58、138 第8光ファイバ心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3心以上の光ファイバ心線の全周を被覆した光ファイバテープ心線であって、
両端の前記光ファイバ心線の中心を結ぶ中心軸線上に、その他の前記光ファイバ心線の中心が無いように配置したことを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項2】
少なくとも一対の前記光ファイバ心線間に該光ファイバ心線の外周を被覆する外被を含めた前記光ファイバ心線の外径寸法より薄いブリッジ部を設け、複数の前記光ファイバ心線を一体化したことを特徴とする請求項1に記載した光ファイバテープ心線。
【請求項3】
前記両端の光ファイバ心線以外の複数の前記光ファイバ心線は、前記中心軸線に対して交互にずれて配置したことを特徴とする請求項1または2に記載した光ファイバテープ心線。
【請求項4】
隣り合う前記光ファイバ心線の中心位置は、前記テープ心線の幅方向に順次ずれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載した光ファイバテープ心線。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の光ファイバテープ心線をスペーサ内に複数本集合させ、その外周に押さえ巻きを巻き、熱可塑性樹脂により外被を施したことを特徴とする光ファイバケーブル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の光ファイバテープ心線の接続端部を、融着接続機の光ファイバホルダの光ファイバ整列溝上に配置し、前記ホルダの上部押さえ蓋で押しつけることにより複数の前記光ファイバ心線の中心を一平面内に並列状に整列させてから、一括融着接続することを特徴とする光ファイバ接続方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−232373(P2011−232373A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99754(P2010−99754)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】