光ファイバテープ心線の製造方法、製造装置、及びその製造方法で製造された光ファイバテープ心線並びに光ファイバケーブル
【課題】ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができ、且つテープ心線製造時やケーブルへの収納時には不用意に単心分離しない光ファイバテープ心線を製造する。
【解決手段】複数本の光ファイバ心線2A〜2Dを一列に所定隙間を空けて配置した後、各光ファイバ心線2A〜2D間を含めて各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するようにしてテープ化樹脂8を塗布し、その後、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で前記隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて前記間隙となる心線間分離部4をテープ心線長手方向に間欠的に形成することにより、各心線間分離部4間に心線間連結部3を形成し、その後、未硬化樹脂を硬化させる。塗布工程後に隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する樹脂取り除き部材の厚さWbとの関係をHd>Wbとする。
【解決手段】複数本の光ファイバ心線2A〜2Dを一列に所定隙間を空けて配置した後、各光ファイバ心線2A〜2D間を含めて各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するようにしてテープ化樹脂8を塗布し、その後、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で前記隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて前記間隙となる心線間分離部4をテープ心線長手方向に間欠的に形成することにより、各心線間分離部4間に心線間連結部3を形成し、その後、未硬化樹脂を硬化させる。塗布工程後に隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する樹脂取り除き部材の厚さWbとの関係をHd>Wbとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバテープ心線の製造方法、製造装置、及びその製造方法で製造された光ファイバテープ心線並びに光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの急速な普及と大容量データの送受信の高まりによりブロードバンド化が進められ、これらの要求を満たす通信回線として光ファイバが使用されるようになって来た。例えば、電柱に架設された光ファイバケーブルから加入者宅内に光ファイバを引き込むには、複数本の光ファイバ心線をテープ状とした光ファイバテープ心線が使用される。
【0003】
光ファイバテープ心線は、複数本の光ファイバ心線を一列に配列し、それら光ファイバ心線全体をテープ化樹脂にて被覆して一体化することで形成されている。この種の光ファイバケーブルでは、加入者宅内へ光ファイバ心線を引き込むには、光ファイバケーブルのシースの一部を切り取って光ファイバテープ心線を取り出し、その光ファイバテープ心線の途中部分で複数本あるうちの所定の光ファイバ心線を単心分離する必要がある。このため、光ファイバテープ心線には、多心(多数)の光ファイバ心線から容易に単心分離することができること、及び、光ファイバケーブル製造時においては光ファイバテープ心線をケーブルへ収納する際に単心分離し難いこと、等が要求される。
【0004】
前記要求を満たすために、光ファイバ心線全体を被覆して硬化したテープ化樹脂に、各光ファイバ心線間を厚み方向に貫通するスリットを分断溝としてテープ心線長手方向に間欠的に形成することが行われている(例えば、特許文献1に記載)。分断溝を形成するには、外周縁に所定間隔を空けて設けた切断刃を有した円盤形状をなす切断ローラを回転させると共に、光ファイバテープ心線をテープ心線長手方向に走行させることにより、前記切断刃で各光ファイバ心線間のテープ化樹脂に切り込みを入れて分断溝を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4055000号公報(図3、図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の光ファイバテープ心線では、一列に配列された光ファイバ心線は互いに接触して配置されているため、切断ローラの切断刃によって光ファイバ心線が傷付く可能性がある。また、特許文献1に記載の光ファイバテープ心線では、各光ファイバ心線同士が接触しているため、前記分断溝から光ファイバテープ心線を引き裂くと光ファイバ心線の着色層とテープ化樹脂の界面が剥離されるが、この界面の剥離は弱い力で起こることから意図しない時(例えば、テープ心線製造時やケーブル製造時)に単心分離する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができ、且つテープ心線製造時やケーブルへの収納時には不用意に単心分離しない光ファイバテープ心線の製造方法、製造装置、及びその製造方法で製造された光ファイバテープ心線並びに光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線の製造方法であって、前記複数本の光ファイバ心線を一列に所定隙間を空けて配置する配置工程と、前記配置工程後に各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして樹脂を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する樹脂取り除き部材の厚さWbとの関係をHd>Wbとして、前記樹脂が硬化する前の状態で前記隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除き前記間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成することにより、各心線間分離部間に前記心線間連結部を形成する間欠形成工程と、前記間欠形成工程後に未硬化樹脂を硬化させる硬化工程とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線を製造する製造装置であって、一列に所定間隔を空けて配置された複数本の光ファイバ心線の各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして塗布された樹脂のうち隣合う光ファイバ心線間の樹脂に対して、樹脂取り除き部材を挿入して該樹脂が硬化する前の未硬化樹脂を取り除く心線間分離部形成装置を備え、前記隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する前記樹脂取り除き部材の厚さWbをHd>Wbとしたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線であって、前記未硬化樹脂硬化後の隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hrと前記心線間分離部の光ファイバ心線幅方向Xにおけるテープ化樹脂厚みhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2h且つHr<(375−光ファイバ心線の直径)μmであることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線を実装した光ファイバケーブルであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光ファイバテープ心線の製造装置によれば、複数本の光ファイバ心線を一列に所定隙間を空けて配置した後、各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして樹脂を塗布し、その後、前記樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線間に所定の寸法関係とした樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成すると、テープ心線長手方向において各心線間分離部間に心線間連結部が形成される。その後、未硬化樹脂を硬化すると、相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間接続部によって連結され、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線が得られる。
【0013】
このようにして製造された光ファイバテープ心線によれば、単心分離時において心線間分離部から引き裂くと、先ず心線間接続部を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線の着色層とテープ化樹脂となる各光ファイバ心線の全周囲を被覆した樹脂或いは光ファイバ心線間の相対向する光ファイバ心線同士の円周半分以上の領域を被覆した樹脂の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、光ファイバケーブル製造時には不用意に単心分離しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の製造方法で製造された第1実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のA−A線における横断面図である。
【図2】図2は図1の光ファイバテープ心線のうち心線間連結部及び心線間分離部を含む部位を示し、(A)はその要部拡大縦断面図、(B)は(A)のB−B線における横断面図である。
【図3】図3は図2の光ファイバテープ心線を単心分離した時の引き裂き力を測定した結果を示す特性図である。
【図4】図4は心線間分離部の光ファイバ心線にテープ化樹脂の被覆が無く且つ心線間連結部の光ファイバ心線同士が接触した状態でテープ化樹脂で被覆された本発明の比較例である光ファイバテープ心線のうち心線間連結部及び心線間分離部を含む部位を示し、(A)はその要部拡大縦断面図、(B)は(A)のC−C線における横断面図である。
【図5】図5は図4の光ファイバテープ心線を単心分離した時の引き裂き力を測定した結果を示す特性図である。
【図6】図6は図1に示す光ファイバテープ心線を製造するための製造装置の概略構成図である。
【図7】図7は図6の製造装置のうち配列樹脂塗布装置の斜視図である。
【図8】図8は図7の各部位それぞれの断面を示し、(A)は図7のD−D線断面図、(B)は図7のE−E線断面図、(C)は図7のF−F線断面図である。
【図9】図9は本発明方法の製造工程のうち樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成する工程を示す図である。
【図10】図10は本発明方法の製造方法で製造された光ファイバテープ心線を実装した光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の製造方法で製造された第2実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のG−G線における横断面図である。
【図12】図12は本発明の製造方法で製造された第3実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のH−H線における横断面図である。
【図13】図13は第3実施形態の光ファイバケーブルを製造するために使用する配列樹脂塗布装置の各部位それぞれの断面を示し、(A)は図7のD−D線と対応する部位の断面図、(B)は図7のE−E線と対応する部位の断面図、(C)は図7のF−F線と対応する部位の断面図である。
【図14】図14は本発明の製造方法で製造された第4実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のI−I線における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
「光ファイバテープ心線の構造説明」
先ず、本発明を適用した製造方法で製造される光ファイバテープ心線について説明する。図1は本発明の製造方法で製造された第1実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のA−A線における横断面図である。図1中、矢印Xは光ファイバテープ心線の幅方向、矢印Yは光ファイバテープ心線のテープ心線長手方向、矢印Zは光ファイバテープ心線の厚み方向をそれぞれ示している。
【0016】
本実施形態の光ファイバテープ心線1は、複数本の光ファイバ心線2(2A〜2D)が一列に所定隙間Sを空けて配置されると共に、相対向する光ファイバ心線2同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部3によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線2間に隙間として形成される心線間分離部4と光ファイバテープ心線2同士を前記所定隙間Sを空けて連結される心線間連結部3とをテープ心線長手方向に交互に形成した構造とされている。本実施形態では、4本の光ファイバ心線2A〜2Dを一列に配列した4心テープ心線構造の光ファイバテープ心線としている。もちろん、光ファイバ心線2を5本以上使用した多心テープ心線構造の光ファイバテープ心線にも本発明を適用することができる。
【0017】
光ファイバ心線2は、中心に設けられた石英ガラスファイバ5と、この石英ガラスファイバ5の周囲に紫外線硬化型樹脂を被覆して形成された外被層6と、各光ファイバ心線2A〜2Dを区別するための着色層7とからなる。光ファイバ心線2は、規格上、石英ガラスファイバ5の外径を0.125mm、全体の外径を0.25mmとされる。なお、前記着色層7は、光ファイバ心線2の最も外側に設けられる最外被層として機能する。
【0018】
前記光ファイバ心線2は、これら複数本の光ファイバ心線2A〜2Dを1本のテープとして取り扱うためにテープ化樹脂8でその全周囲が被覆されている。具体的には、各光ファイバ心線2A〜2Dは、最外被層である着色層7全体をテープ心線長手方向に亘ってテープ化樹脂8で覆われている。
【0019】
一列に所定隙間Sを空けて配置された光ファイバ心線2A〜2Dは、隣接する光ファイバ心線2同士をテープ心線長手方向で間欠的に連結させる心線間連結部3にて連結されている。心線間連結部3は、複数本の光ファイバ心線2A〜2Dをテープ化するテープ化樹脂8からなり、隣接する光ファイバ心線2Aと2B間、2Bと2C間及び2Cと2D間のそれぞれの隙間Sに各光ファイバ心線2A〜2Dを連結するように設けられている。
【0020】
心線間連結部3は、光ファイバテープ心線1の厚み方向Zにおいて、光ファイバ心線2A〜2Dの直径に該光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するテープ化樹脂8の厚みの2倍の寸法を加えた厚みとされている。また、心線間連結部3は、光ファイバ心線1のテープ心線長手方向Yにおいて、光ファイバテープ心線製造時やスロットコア又はケーブル収納部への光ファイバテープ心線収納時に不用意に単心分離せず且つ光ファイバ加入者宅内への光ファイバ引き込み時等に容易に単心分離することができるような強度を持つ長さとされている。
【0021】
前記心線間連結部3がテープ心線長手方向に間欠的に設けられて隣接する光ファイバ心線2A〜2D同士が連結されることにより、相対向する光ファイバ心線2間に隙間として形成される心線間分離部4が形成される。前記心線間連結部3と前記心線間分離部4とは、テープ心線長手方向に交互に連続して形成され、いわゆるミシン目のようになっている。
【0022】
また、心線間連結部3は、光ファイバテープ心線1の幅方向Xにおいて同一直線上に全て設けられているのではなく、全体から見ると千鳥格子状に設けられている。例えば、図1(A)のA−A線上では、図に向かって左端の光ファイバ心線2Aとこれに隣接する光ファイバ心線2B間には心線間連結部3、右端の光ファイバ心線2Dとこれに隣接する光ファイバ心線2C間には心線間連結部3とが同一直線上に形成されている一方で、中央の隣り合う光ファイバ心線2B、2C間には心線間連結部3ではなく心線間分離部4が形成されている。その後方のA1−A1線上では、図に向かって左端の光ファイバ心線2Aとこれに隣接する光ファイバ心線2B間には心線間分離部4、右端の光ファイバ心線2Dとこれに隣接する光ファイバ心線2C間には心線間分離部4とが同一直線上に形成されている一方で、中央の隣り合う光ファイバ心線2B、2C間には心線間分離部4ではなく心線間連結部3が形成されている。これにより、心線間連結部3は、光ファイバテープ心線1を全体から見た時に千鳥格子状となる。
【0023】
以上のように構成された光ファイバテープ心線1を、実際に単心分離した時の引き裂き力を求めた。前記心線間分離部4の両側を持って光ファイバ心線2を互いに引き離す方向に力Fを加えて一定速度で引き裂いた場合、例えば図2(A)に示す左端の光ファイバ心線2Aとその隣の光ファイバ心線2B間を連結する心線間連結部3に点線で示すように亀裂が入る。最初に心線間連結部3に亀裂が入る時が最も強い引き裂き力が必要となる。心線間連結部3に亀裂が入ると、この心線間連結部3が破断されて行く。そして、心線間連結部3の破断が光ファイバ心線2Bの着色層7とテープ化樹脂8の界面まで進む。この間(図2(A)の領域L1並びに図3の時間T1までの間)の引き裂き力が最も高くなる。図3は、一定速度で引き裂いた時の引き裂き力をグラフにしたもので、図2(A)の領域L1を引き裂き終えた時間がT1として図3に表示され、また領域L2を引き裂き終えた時間がT2として図3に表示されている。
【0024】
心線間連結部3に入った亀裂が光ファイバ心線2Bの着色層7とテープ化樹脂8の界面に到達すると、テープ化樹脂8に亀裂がテープ心線長手方向に進み、最終的に心線間連結部3の引き裂き開始部である一端とは反対側の引き裂き終了部である他端に達して剥離する。この間(図2(A)の領域L2並びに図3の時間T1〜時間T2までの間)の引き裂き力は、先の心線間連結部3の領域L1での引き裂き力に比べて小さく、また一定した大きさとなる。この心線間連結部3の領域L2では、光ファイバテープ心線1を単心分離する時に、着色層7とテープ化樹脂8の界面が容易に分離可能なように設計されており、該着色層7とテープ化樹脂8間の接合強度が決められている。
【0025】
これに対して、図4に示すように隣接する光ファイバ心線2A、2B同士が接触しており(隙間が無い状態)且つ一部の部位のみテープ化樹脂8で光ファイバ心線2A、2Bを被覆した光ファイバテープ心線を単心分離した時の引き裂き力は、先の図3の光ファイバテープ心線のように心線間連結部3が無いため引き裂き開始時に大きな力(図3の時間T1までの間にピークとして発生する最も大きな引き裂き力)が作用せず、テープ化樹脂8が被覆された領域L3において図5に示すように(この間の時間T3までの間で)ほぼ一定した引き裂き力となる。図5は、一定速度で引き裂いた時の引き裂き力をグラフにしたもので、図4の領域L3を引き裂き終えた時間がT3として図5に表示されている。図4の例では、引き裂き初めから着色層7とテープ化樹脂8の界面から破断が進みそのまま前記界面に沿って前記テープ化樹脂8の全領域L3の終端まで破断が進んで剥離されることになるから、図2に示す構造に比べて小さな力で分離されてしまう。このように、図4に示す光ファイバテープ心線では、単心分離時には容易に単心分離することができるが、光ファイバテープ心線製造時やスロットコアに形成されたスロット溝内への収容時に単心分離してしまう可能性がある。
【0026】
「光ファイバテープ心線を製造する製造装置の構造説明」
次に、光ファイバテープ心線の製造方法で使用した製造装置について説明する。図6は製造装置全体を示す概略構成図、図7は図6の製造装置のうち配列樹脂塗布装置の斜視図、図8は図7の各部位それぞれの断面を示し、(A)は図7のD−D線断面図、(B)は図7のE−E線断面図、(C)は図7のF−F線断面図、図9は樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成する工程を示す図である。
【0027】
光ファイバテープ心線の製造装置は、図6に示すように、複数本の光ファイバ心線2(2A〜2D)を送り出す送出手段である送出ドラム10と、光ファイバ心線2を所定ピッチで各光ファイバ心線2間に隙間を空けて一列に配列させる配列手段である整線部11と、テープ化樹脂8を供給する樹脂供給部12と、テープ化樹脂8を光ファイバ心線2に所定の厚みに被覆させる樹脂被覆部13と、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2間に樹脂取除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて隙間となる心線間分離部4をテープ心線長手方向に間欠的に形成する心線間分離部形成装置9と、テープ化樹脂8を硬化させる紫外線ランプ14と、硬化して形成された光ファイバテープ心線1を巻き取る巻取ドラム15とを備えている。なお、整線部11、樹脂供給部12及び樹脂被覆部13は、一体化して一つの装置である配列樹脂塗布装置17を構成している。
【0028】
前記製造装置では、図6に向かって最も右側に配置される送出ドラム10を光ファイバ心線2のファイバ送出し側とし、最も左側に配置される巻取ドラム15をファイバ巻取り側としたときに、光ファイバ心線2がファイバ送出し側からファイバ巻取り側へ向かって矢印Yで示す向きに走行する。この矢印Yの向きをファイバ走行方向とし、ファイバ送出し側に配置される装置構成部品(例えば送出ドラム10)に対してファイバ巻取り側に配置される装置構成部品(巻取ドラム15)を前方にある装置構成部品と定義する。前記光ファイバ心線2の走行経路には、送出ドラム10から巻取ドラム15までの間にファイバ送出し側からファイバ巻取り側へ向かって順次、ガイドローラ16、配列樹脂塗布装置17、心線間分離部形成装置9、紫外線ランプ14、集線ローラ32、ダンサー34が配置されている。
【0029】
送出ドラム10は、図6に示すように、光ファイバ心線2(2A〜2D)をドラム周面に巻回させている。かかる送出ドラム10は、光ファイバ心線2の数に応じて配置されている。本実施形態では、4本の光ファイバ心線2を一列に配列した光ファイバテープ心線を製造することから、4つの送出ドラム10を配置している。
【0030】
送出ドラム10の前方には、図6に示すように、光ファイバ心線2の走行を案内するガイドローラ16が複数配置されている。このガイドローラ16の前方には、図6に示すように、配列樹脂塗布装置17が配置されている。配列樹脂塗布装置17は、後述する整線部11と樹脂供給部12と樹脂被覆部13とにより構成され、これらが一体化して一つの装置となっている。図7は、配列樹脂塗布装置17の全体構成を示している。
【0031】
配列樹脂塗布装置17は、図7に向かって右側のファイバ送出し側から左側のファイバ巻取り側に順次、整線部11、樹脂供給部12、樹脂被覆部13の順で一つの筐体18内に配列させて構成されている。整線部11は、図7に向かって筐体18の右側部位(D−D線で示す部位)に設けられている。樹脂供給部12は、筐体の中央部位(E−E線で示す部位)に設けられている。樹脂被覆部13は、図7に向かって筐体18の左側部位(F−F線で示す部位)に設けられている。
【0032】
整線部11は、図7及び図8(A)に示すように、4本の光ファイバ素線2A〜2Dを所定ピッチで各光ファイバ心線2間に隙間を形成して一列に配列させる機能をする。かかる整線部11は、前記筐体18の厚み方向中央部にその長手方向に沿って各光ファイバ心線2A〜2Dを走行させるための貫通孔19を4つ形成している。これら貫通孔19は、4つの光ファイバ心線2A〜2Dを挿入させた時に、互いの光ファイバ心線2A〜2D間にテープ化樹脂8を回り込ませるための隙間が形成されるように所定ピッチで設けられている。例えば、光ファイバ心線2A〜2Dの外径を直径0.25mmとした場合には、光ファイバ心線間ピッチを360μmとする。
【0033】
樹脂供給部12は、図7及び図8(B)に示すように、前記整線部11の前方位置に設けられている。樹脂供給部12は、図6に示すように、テープ化樹脂8を形成するための樹脂を満たした樹脂タンク27と、該樹脂タンク27から光ファイバ心線2間の隙間に樹脂を塗布供給する樹脂供給ノズル28と、前記隙間に供給する樹脂圧を調整する樹脂圧調整手段29とからなる。
【0034】
樹脂タンク27には、テープ化樹脂8を形成するための樹脂が充填されている。樹脂供給ノズル28は、前記筐体18の天面18aから該筐体18の内部に樹脂充填用空間として形成されたキャビティー20に向かって垂直に形成された樹脂供給孔24に接続されている。樹脂圧調整手段29は、樹脂タンク27内の樹脂を樹脂供給ノズル28から前記キャビティー20に向けて供給する樹脂圧を調整する。前記キャビティー20は、各光ファイバ心線2A〜2Bの全周囲がテープ化樹脂8で被覆されるように矩形断面形状とされている。
【0035】
樹脂被覆部13では、後工程の心線間分離部形成装置9で隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に充填された硬化前のテープ化樹脂8を取り除いて心線間分離部4を形成するための樹脂取り除き部材が前記各光ファイバ心線2A〜2D間の隙間に入り込むことのできる間隔を持って光ファイバ心線2A〜2Dを配列させる。また、この樹脂被覆部13では、光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲に塗布されたテープ化樹脂8の厚みを所望の厚みとなるように開口部30の断面形状が決められている。
【0036】
心線間分離部形成装置9は、樹脂被覆部13の出口近傍であって紫外線ランプ14の手前に設けられている。心線間分離部形成装置9では、樹脂被覆部13の出口から出てくる隣合う光ファイバ心線2Aと2B間、2Bと2C間、2Cと2D間の隙間にそれぞれ充填された硬化前のテープ化樹脂8に樹脂取り除き部材31を突き刺してテープ化樹脂8を取り除くことで心線間分離部4を形成する。
【0037】
樹脂取り除き部材31は、図1で示した隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に前記隙間Sを持つ心線間分離部4を形成するため所定厚さWb及び所定長さを持つ板形状をなすシャッター部材からなる。この樹脂取り除き部材31は、図示を省略する駆動機構部によってテープ化樹脂8の厚み方向を貫通するように上下動して、各光ファイバ心線2A〜2D間の隙間に充填されたテープ化樹脂8を取り除いて心線間分離部4を形成する。前記各光ファイバ心線2A〜2D間には、樹脂取り除き部材31が挿入し得ると共に着色層7を傷付けず且つ該着色層7が露出しないようにテープ化樹脂8で被覆された状態となるような隙間Hd(図9参照)が必要となる。前記隙間Hdは、樹脂塗布直後で樹脂硬化前状態の隣合う光ファイバ心線間離隔距離であり、前記樹脂取り除き部材31の厚さWbとの関係を、Hd>Wbとしている。
【0038】
3つある樹脂取り除き部材31のうち、両側の樹脂取り除き部材31は、同期して上下動するようになっている。この一方、中央の樹脂取り除き部材31は、両側の樹脂取り除き部材31に対して上下するタイミングがずれて上下動する。これにより、光ファイバテープ心線1の幅方向において心線間分離部4が千鳥状に形成される。
【0039】
本実施形態では、シャッター部材を上下動させて硬化前のテープ化樹脂8に突き刺して該テープ化樹脂8を取り除くことで心線間分離部4を形成しているが、円盤の周面の一部に切り欠きを形成し、該円盤を回転させることでテープ化樹脂8を前記切り欠き間の突起部(前記シャッター部材に相当)で取り除いて心線間分離部4を形成することもできる。なお、シャッター部材の上下動のタイミングや回転する円盤の径や切り欠き形状を変えることで、前記した図1に示す光ファイバテープ心線1以外の心線間分離部4の形状及び形成位置を任意に変えることができる。
【0040】
紫外線ランプ14は、図6に示すように、前記心線間分離部形成装置9の前方に設けられている。本実施形態では、紫外線ランプ14を直列に2つ連続配置させている。紫外線ランプ14は、光ファイバ心線2の走行スピードに応じて塗布されたテープ化樹脂8を硬化させべく照度強さが調整可能とされている。
【0041】
また、本実施形態の製造装置においては、図6に示すように、樹脂取り除き部材31を出し入れして広がった光ファイバ心線2間のピッチを寄せ集めるための集線手段である集線ローラ32が設けられている。集線ローラ32は、前記紫外線ランプ14の前方位置に配置されており、前記光ファイバ心線2を挟んで上側と下側にそれぞれ設けられている。光ファイバ心線2は、2つの集線ローラ32に形成されたガイド溝にガイドされることで、寄せ集められて所望の配列ピッチとされる。
【0042】
また、本実施形態の製造装置においては、図6に示すように、光ファイバ心線2の巻き取り張力を調整するためのダンサー34が設けられている。ダンサー34は、複数個のローラ35から構成されており、走行する光ファイバ心線2に張力を付与する。
【0043】
巻取ドラム15は、硬化して形成された光ファイバテープ心線1を最終的に巻き取るようになっている。
【0044】
[光ファイバテープ心線の製造方法説明]
次に、本実施形態の光ファイバテープ心線の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、送出し側から送り出される複数本の光ファイバ心線2を一列に所定隙間を空けて配置させる配置工程と、一列に配列した光ファイバ心線2間を含めて各光ファイバ心線2の全周囲を被覆するようにしてテープ化樹脂8を塗布する樹脂塗布工程と、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成する間欠形成工程と、テープ化樹脂8を硬化させる硬化工程とを備えている。
【0045】
以下に、光ファイバテープ心線1を製造する工程順に、各工程を具体的に説明する。先ず、配列工程では、送出ドラム10から各光ファイバ心線2(2A〜2D)を送り出す。送り出された光ファイバ心線2は、ガイドローラ16で案内されて、送出ドラム10の前方に設けられた配列樹脂塗布装置17へ送られる。この配列樹脂塗布装置17に送られた光ファイバ心線2A〜2Dは、先ず整線部11で一列に所定隙間を空けて配列される。各光ファイバ心線2A〜2Dは、整線部11に形成された各貫通孔19にそれぞれ挿入されることで、隣り合う光ファイバ心線2A〜2D同士の間に所定隙間を持って配列されることになる。
【0046】
そして、一列に配列された光ファイバ心線2A〜2Dは、整線部11の前方に設けられた樹脂供給部12に送られ、ここで樹脂塗布工程が行われる。樹脂塗布工程では、樹脂タンク27から予め決められた粘度としたテープ化樹脂8が樹脂供給ノズル28から樹脂供給孔24を通してキャビティー20内に充填される。テープ化樹脂8には、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。テープ化樹脂8を供給する樹脂圧は、樹脂タンク27に接続される樹脂圧調整手段29で適宜調整する。
【0047】
テープ化樹脂8がキャビティー20内に充填されると、隣合う光ファイバ心線2A〜2D間の隙間にテープ化樹脂8が入り込むことはもちろんのこと、光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するようにキャビティー20内がテープ化樹脂8で満たされる。そして、光ファイバ心線2A〜2Bの全周囲を被覆するように塗布されたテープ化樹脂8は、前記キャビティー20の前方に設けられた樹脂被覆部13の開口部30の断面形状で余分な樹脂が削られる。
【0048】
次に、樹脂被覆部13の出口から出た光ファイバ心線2A〜2Dに対して間欠形成工程が行われる。心線間分離部形成装置9では、樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材31が上下動して差し込まれると共に引き上げられることで、当該部分のテープ化樹脂8が取り除かれて隙間となる心線間分離部4が形成される。そして、光ファイバ心線2A〜2Dの線速度に合わせて樹脂取り除き部材31がテープ化樹脂8に対して連続して抜き差しする動作を繰り返すことで、心線間分離部4と心線間連結部3とがテープ心線長手方向に交互に形成される。
【0049】
次に、光ファイバ心線2A〜2Dに被覆されたテープ化樹脂8に紫外線を照射して硬化させる硬化工程が行われる。硬化工程では、配列樹脂塗布装置17の前方に配置された紫外線ランプ14により紫外線が照射される。テープ化樹脂8に紫外線が照射されると、紫外線を受けたテープ化樹脂8は硬化する。各光ファイバ心線2は、紫外線ランプ14の前方に設けられた集線ローラ32によって、樹脂取り除き部材31の抜き差しで広がったピッチを狭めて所定ピッチにする。
【0050】
テープ化樹脂8が硬化して得られた光ファイバテープ心線1は、ダンサー34にて巻き取り張力が調整されて巻取ドラム15に巻き取られる。巻取ドラム15に巻き取られることで、光ファイバテープ心線1を製造する製造工程が終了する。
【0051】
本実施形態の光ファイバテープ心線の製造方法においては、複数本の光ファイバ心線2A〜2Dを一列に所定隙間を空けて配置した後、各光ファイバ心線2A〜2D間を含めて各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するようにしてテープ化樹脂8を塗布し、その後、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材31を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部4をテープ心線長手方向に間欠的に形成すると、テープ心線長手方向において各心線間分離部4間に心線間連結部3が形成される。その後、未硬化樹脂を硬化すると、相対向する光ファイバ心線2A〜2D同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間接続部3によって連結され、相対向する光ファイバ心線2A〜2D間に隙間として形成される心線間分離部4と光ファイバ心線2A〜2D同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部3とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線1が得られる。
【0052】
このようにして製造された光ファイバテープ心線1によれば、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7とテープ化樹脂8となる各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆したテープ化樹脂8の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、宅内へのファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、光ファイバケーブル製造時においては不用意に単心分離しなくなる。
【0053】
[光ファイバケーブルについて]
以上のようにして製造された光ファイバテープ心線1をスロットコアに収納することで光ファイバケーブルを得ることができる。例えば、図10(A)に示すように、中心に抗張力体36をテープ心線長手方向に有したスロットコア37の外周囲に断面コ字状として形成された複数個の各スロット溝38内に、光ファイバテープ心線1を複数枚重ねて収納した後、スロット溝38の開口を覆うようにしてスロットコア37の周面を押え巻きテープ39で覆った状態で、押し出し成形により外被であるシース40を形成することによって光ファイバケーブル41が得られる。
【0054】
この光ファイバケーブル41では、スロット溝38内に光ファイバテープ心線1を収納する時に単心分離を起こすことなく収納することができるため、複数本の光ファイバテープ心線1をスロット溝38内にきちんと整列して収納することができる。また、加入者宅内に光ファイバ心線2を引き込む際にシース40を切り裂いてスロット溝38から光ファイバテープ心線1を取り出す作業が容易になる。スロット溝38内で各光ファイバ心線2に単心分離していると、絡まったりして所望の光ファイバテープ心線1を取り出すことが困難になるが、本発明ではそのような不具合を無くすことができる。また、本発明の光ファイバケーブル41では、取り出した光ファイバテープ心線1の中間分離時に、容易に単心分離することができるため、作業者の作業性を向上させることができる。
【0055】
なお、スロット溝38内に収納する光ファイバテープ心線1は、図10(B)に示すように、4心を越える多心テープ心線構造とした幅広な光ファイバテープ心線1としてもよい。この光ファイバテープ心線1をスロット溝38内に収納するには、折り畳むようにして収納する。また、光ファイバケーブルの構造は、図10(C)に示すような抗張力体42を有した断面C字状のスロットコア43のスロット溝44の開口を覆うように押え巻きテープ45を介在させてスロットコア全体をシース46で被覆したCスロット型の光ファイバケーブル47であっても良い。この他、光ファイバケーブルの構造は、図10(D)に示すように、支持線48を有した支持線部49に首部50を介して抗張力体51と引き裂き紐52を有したケーブル本体53を一体化したスロットレス型の光ファイバケーブル54であってもよい。なお、図10(C)、(D)には、図10(A)と同じく本発明の光ファイバテープ心線を複数枚重ねて収納してもよい。
【0056】
[実施例1]
以下に、2通りの製造方法で製造して得られた光ファイバテープ心線に対して巻返し評価を実施した。第1製造方法は、4本の光ファイバ心線2A〜2Dを360μmピッチで一列に並べると共に各光ファイバ心線2A〜2D間に隙間を空けて並列した状態で走行させる本発明製造方法を採用した。第2製造方法は、各光ファイバ心線2A〜2D同士を接触させた状態でテープ化樹脂を被覆した後、隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材31を抜き差しして心線間分離部4を形成した。
【0057】
第1及び第2製造方法で共通するテープ製造条件は、次の通りである。送出ドラム10から巻取ドラム15間を走行させる線速を600m/分とし、心線間分離部4及び心線間連結部3のテープ心線長手方向の長さをそれぞれ200mm、100mmとすると共に心線間連結部3のテープ心線長手方向の1ピッチを300mmとし、また、樹脂取り除き部材31の厚み幅Wbを80μmとした。
【0058】
巻返し評価は、製造した光ファイバテープ心線を他のドラムに巻き付けた時に光ファイバ心線2が単心分離又は断線したか否かを評価する。第2製造方法で製造した光ファイバテープ心線では、光ファイバ心線2に単心分離及び断線が見られた。これは、テープ心線長手方向の数箇所の部位に樹脂取り除き部材31によるファイバへの傷が発生したことで、当該傷から亀裂が入って光ファイバ心線2が断線したものと考えられる。単心分離は、心線間接続部の引き裂き力が小さいため、巻返し時に意図しない引き裂きが発生した為と考えられる。これに対して、第2製造方法では、光ファイバ心線2の断線は生じなかった。
【0059】
[第2実施形態]
図11は、本発明の製造方法で製造された第2実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のG−G線における横断面図である。第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、図1の光ファイバテープ心線に対して心線間連結部3の厚みが薄くなっている。この形状の光ファイバテープ心線1を製造するには、図8で示した樹脂被覆部13の開口部30の形状を変更することで容易に製造できる。
【0060】
第2実施形態の光ファイバテープ心線1においては、前記した図1の光ファイバテープ心線と同様、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7とテープ化樹脂8となる各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆したテープ化樹脂8の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、ケーブルへの実装時には不用意に単心分離しなくなる。
【0061】
[第3実施形態]
図12は本発明の製造方法で製造された第3実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のH−H線における横断面図である。第3実施形態の光ファイバテープ心線1では、図1の光ファイバテープ心線とは異なり、隣接する光ファイバ心線2A〜2D間の相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域を被覆するようにしてテープ化樹脂8が塗布されている。
【0062】
具体的には、図12に向かって左端の光ファイバ心線2Aとその隣の光ファイバ心線2B間の相対向する部位では、最も左端の光ファイバ心線2Aの円周半分以上の領域を被覆するようにテープ化樹脂8で被覆されており、その隣の光ファイバ心線2Bは全周囲がテープ化樹脂8で被覆されている。但し、最も左端の光ファイバ心線2Aでは、着色層7の一部が露出している。
【0063】
同様に、図12に向かって右端の光ファイバ心線2Dとその隣の光ファイバ心線2C間の相対向する部位では、最も右端の光ファイバ心線2Dの円周半分以上の領域を被覆するようにテープ化樹脂8で被覆されており、その隣の光ファイバ心線2Cは全周囲がテープ化樹脂8で被覆されている。但し、最も右端の光ファイバ心線2Dでは、着色層7の一部が露出している。
【0064】
第3実施形態の光ファイバテープ心線1においては、前記した図1の光ファイバテープ心線と同様、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7と光ファイバ心線2A〜2Dの相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域を被覆したテープ化樹脂8の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、ケーブルへの実装時には不用意に単心分離しなくなる。
【0065】
この第3実施形態では、光ファイバ心線2の全周囲がテープ化樹脂8で被覆されていなくても光ファイバ心線2A〜2Dの相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域がテープ化樹脂8で被覆されているため、テープ化樹脂8が光ファイバ心線2を掴むようにコートされていることで相対向する部位の接合強度が高くなり、不用意に単心分離することが抑制される。
【0066】
第3実施形態の光ファイバテープ心線1を製造するには、第1実施形態で使用した配列樹脂塗布装置17のうち樹脂供給部12と樹脂被覆部13の形状を図13(B)及び(C)で示す形状に変更する。なお、整線部11の形状は、第1実施形態と同じ形状でよい。
【0067】
[第4実施形態]
図14は本発明の製造方法で製造された第4実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のI−I線における横断面図である。図14に示す光ファイバテープ心線1では、図12の光ファイバテープ心線に対して心線間連結部3の厚みが薄くなっている。この形状の光ファイバテープ心線1を製造するには、図8で示した樹脂被覆部13の開口部30の形状を変更することで容易に製造できる。
【0068】
第4実施形態の光ファイバテープ心線1によれば、第3実施形態の光ファイバテープ心線と同様、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7と隣接する光ファイバ心線2A〜2D間の相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域を被覆したテープ化樹脂8との界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、ケーブルへの収納時には不用意に単心分離しなくなる。
【0069】
[実施例2]
ここでは、前記した図11に示す第2実施形態の光ファイバテープ心線を表1に示す条件(条件1〜条件6)でそれぞれ製造し、得られた光ファイバテープ心線を評価した。評価は、心線間分離部が作成できているか、巻き返し試験時に単心分離又は断線の発生が生じたか、一括融着接続可能かを評価対象とした。
【0070】
心線間分離部が作成できているかの評価では、連続する100ピッチ分の心線間分離部を測定し、心線間分離部の長さが目的の心線間分離部長さの±20%以内になっているかを測定した。100ピッチのうち、目的の心線間分離部長さの±20%以内である箇所が90ピッチ以上を○とし、90ピッチ未満を×として評価した。また、心線間分離部を形成するには円盤に樹脂取り除き部材を設けた回転刃を回転させて形成した。なお、表1中、ファイバ着色径は光ファイバ心線の直径(直色層7を含む光ファイバ心線全体の直径)を表し、ダイスは樹脂被覆部13を表し、ダイス出口は樹脂被覆部13の出口を表している。
【0071】
【表1】
【0072】
この実験結果によれば、ダイス出口面での光ファイバ心線間離隔距離Hdと樹脂取り除き部材31の厚さWbとの関係がHd>Wbであれば(条件1〜5)、光ファイバ心線に傷を付けることなく光ファイバテープ心線を製造することができる。条件6で製造された光ファイバテープ心線では、Hd<Wbなる関係であるため、巻き返し試験時に心線間連結部が分かれ単心分離する又は断線してしまった。また、この実験結果によると、テープ化樹脂硬化後の心線間連結部の光ファイバ心線間離隔距離Hrと心線間分離部の幅方向であるX方向のテープ化樹脂厚さhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2hであれば(条件1〜4、6)、心線間分離部が作製できるが、そうでない場合(条件5)は心線間分離部を作製することはできない。また、心線間接続部のファイバピッチが375μm以下であれば(条件2〜4)、一括融着接続が可能となる。つまり、樹脂硬化後の隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hrと心線間分離部の光ファイバ心線幅方向Xにおけるテープ化樹脂厚みhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2hであり、またHr<(375−光ファイバ心線の直径)μmであれば、光ファイバ心線を傷付けることなく心線間分離部を形成することができると共に一括融着接続が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、複数本の光ファイバ心線を樹脂で接合一体化して一列に配列してなる光ファイバテープ心線に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…光ファイバテープ心線
2(2A〜2D)…光ファイバ心線
3…心線間連結部
4…心線間分離部
5…石英ガラスファイバ
6…外被層
7…着色層
8…テープ化樹脂
9…心線間分離部形成装置
10…送出ドラム
11…整線部
12…樹脂供給部
13…樹脂被覆部
14…紫外線ランプ
15…巻取ドラム
17…配列樹脂塗布装置
27…樹脂タンク
28…樹脂供給ノズル
29…樹脂圧調整手段
31…樹脂取り除き部材
32…集線ローラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバテープ心線の製造方法、製造装置、及びその製造方法で製造された光ファイバテープ心線並びに光ファイバケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの急速な普及と大容量データの送受信の高まりによりブロードバンド化が進められ、これらの要求を満たす通信回線として光ファイバが使用されるようになって来た。例えば、電柱に架設された光ファイバケーブルから加入者宅内に光ファイバを引き込むには、複数本の光ファイバ心線をテープ状とした光ファイバテープ心線が使用される。
【0003】
光ファイバテープ心線は、複数本の光ファイバ心線を一列に配列し、それら光ファイバ心線全体をテープ化樹脂にて被覆して一体化することで形成されている。この種の光ファイバケーブルでは、加入者宅内へ光ファイバ心線を引き込むには、光ファイバケーブルのシースの一部を切り取って光ファイバテープ心線を取り出し、その光ファイバテープ心線の途中部分で複数本あるうちの所定の光ファイバ心線を単心分離する必要がある。このため、光ファイバテープ心線には、多心(多数)の光ファイバ心線から容易に単心分離することができること、及び、光ファイバケーブル製造時においては光ファイバテープ心線をケーブルへ収納する際に単心分離し難いこと、等が要求される。
【0004】
前記要求を満たすために、光ファイバ心線全体を被覆して硬化したテープ化樹脂に、各光ファイバ心線間を厚み方向に貫通するスリットを分断溝としてテープ心線長手方向に間欠的に形成することが行われている(例えば、特許文献1に記載)。分断溝を形成するには、外周縁に所定間隔を空けて設けた切断刃を有した円盤形状をなす切断ローラを回転させると共に、光ファイバテープ心線をテープ心線長手方向に走行させることにより、前記切断刃で各光ファイバ心線間のテープ化樹脂に切り込みを入れて分断溝を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4055000号公報(図3、図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の光ファイバテープ心線では、一列に配列された光ファイバ心線は互いに接触して配置されているため、切断ローラの切断刃によって光ファイバ心線が傷付く可能性がある。また、特許文献1に記載の光ファイバテープ心線では、各光ファイバ心線同士が接触しているため、前記分断溝から光ファイバテープ心線を引き裂くと光ファイバ心線の着色層とテープ化樹脂の界面が剥離されるが、この界面の剥離は弱い力で起こることから意図しない時(例えば、テープ心線製造時やケーブル製造時)に単心分離する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができ、且つテープ心線製造時やケーブルへの収納時には不用意に単心分離しない光ファイバテープ心線の製造方法、製造装置、及びその製造方法で製造された光ファイバテープ心線並びに光ファイバケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線の製造方法であって、前記複数本の光ファイバ心線を一列に所定隙間を空けて配置する配置工程と、前記配置工程後に各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして樹脂を塗布する塗布工程と、前記塗布工程後に隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する樹脂取り除き部材の厚さWbとの関係をHd>Wbとして、前記樹脂が硬化する前の状態で前記隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除き前記間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成することにより、各心線間分離部間に前記心線間連結部を形成する間欠形成工程と、前記間欠形成工程後に未硬化樹脂を硬化させる硬化工程とを備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線を製造する製造装置であって、一列に所定間隔を空けて配置された複数本の光ファイバ心線の各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして塗布された樹脂のうち隣合う光ファイバ心線間の樹脂に対して、樹脂取り除き部材を挿入して該樹脂が硬化する前の未硬化樹脂を取り除く心線間分離部形成装置を備え、前記隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する前記樹脂取り除き部材の厚さWbをHd>Wbとしたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線であって、前記未硬化樹脂硬化後の隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hrと前記心線間分離部の光ファイバ心線幅方向Xにおけるテープ化樹脂厚みhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2h且つHr<(375−光ファイバ心線の直径)μmであることを特徴としている。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線を実装した光ファイバケーブルであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の光ファイバテープ心線の製造装置によれば、複数本の光ファイバ心線を一列に所定隙間を空けて配置した後、各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして樹脂を塗布し、その後、前記樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線間に所定の寸法関係とした樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成すると、テープ心線長手方向において各心線間分離部間に心線間連結部が形成される。その後、未硬化樹脂を硬化すると、相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間接続部によって連結され、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線が得られる。
【0013】
このようにして製造された光ファイバテープ心線によれば、単心分離時において心線間分離部から引き裂くと、先ず心線間接続部を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線の着色層とテープ化樹脂となる各光ファイバ心線の全周囲を被覆した樹脂或いは光ファイバ心線間の相対向する光ファイバ心線同士の円周半分以上の領域を被覆した樹脂の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、光ファイバケーブル製造時には不用意に単心分離しなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の製造方法で製造された第1実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のA−A線における横断面図である。
【図2】図2は図1の光ファイバテープ心線のうち心線間連結部及び心線間分離部を含む部位を示し、(A)はその要部拡大縦断面図、(B)は(A)のB−B線における横断面図である。
【図3】図3は図2の光ファイバテープ心線を単心分離した時の引き裂き力を測定した結果を示す特性図である。
【図4】図4は心線間分離部の光ファイバ心線にテープ化樹脂の被覆が無く且つ心線間連結部の光ファイバ心線同士が接触した状態でテープ化樹脂で被覆された本発明の比較例である光ファイバテープ心線のうち心線間連結部及び心線間分離部を含む部位を示し、(A)はその要部拡大縦断面図、(B)は(A)のC−C線における横断面図である。
【図5】図5は図4の光ファイバテープ心線を単心分離した時の引き裂き力を測定した結果を示す特性図である。
【図6】図6は図1に示す光ファイバテープ心線を製造するための製造装置の概略構成図である。
【図7】図7は図6の製造装置のうち配列樹脂塗布装置の斜視図である。
【図8】図8は図7の各部位それぞれの断面を示し、(A)は図7のD−D線断面図、(B)は図7のE−E線断面図、(C)は図7のF−F線断面図である。
【図9】図9は本発明方法の製造工程のうち樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成する工程を示す図である。
【図10】図10は本発明方法の製造方法で製造された光ファイバテープ心線を実装した光ファイバケーブルの一例を示す断面図である。
【図11】図11は本発明の製造方法で製造された第2実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のG−G線における横断面図である。
【図12】図12は本発明の製造方法で製造された第3実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のH−H線における横断面図である。
【図13】図13は第3実施形態の光ファイバケーブルを製造するために使用する配列樹脂塗布装置の各部位それぞれの断面を示し、(A)は図7のD−D線と対応する部位の断面図、(B)は図7のE−E線と対応する部位の断面図、(C)は図7のF−F線と対応する部位の断面図である。
【図14】図14は本発明の製造方法で製造された第4実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のI−I線における縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
[第1実施形態]
「光ファイバテープ心線の構造説明」
先ず、本発明を適用した製造方法で製造される光ファイバテープ心線について説明する。図1は本発明の製造方法で製造された第1実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のA−A線における横断面図である。図1中、矢印Xは光ファイバテープ心線の幅方向、矢印Yは光ファイバテープ心線のテープ心線長手方向、矢印Zは光ファイバテープ心線の厚み方向をそれぞれ示している。
【0016】
本実施形態の光ファイバテープ心線1は、複数本の光ファイバ心線2(2A〜2D)が一列に所定隙間Sを空けて配置されると共に、相対向する光ファイバ心線2同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部3によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線2間に隙間として形成される心線間分離部4と光ファイバテープ心線2同士を前記所定隙間Sを空けて連結される心線間連結部3とをテープ心線長手方向に交互に形成した構造とされている。本実施形態では、4本の光ファイバ心線2A〜2Dを一列に配列した4心テープ心線構造の光ファイバテープ心線としている。もちろん、光ファイバ心線2を5本以上使用した多心テープ心線構造の光ファイバテープ心線にも本発明を適用することができる。
【0017】
光ファイバ心線2は、中心に設けられた石英ガラスファイバ5と、この石英ガラスファイバ5の周囲に紫外線硬化型樹脂を被覆して形成された外被層6と、各光ファイバ心線2A〜2Dを区別するための着色層7とからなる。光ファイバ心線2は、規格上、石英ガラスファイバ5の外径を0.125mm、全体の外径を0.25mmとされる。なお、前記着色層7は、光ファイバ心線2の最も外側に設けられる最外被層として機能する。
【0018】
前記光ファイバ心線2は、これら複数本の光ファイバ心線2A〜2Dを1本のテープとして取り扱うためにテープ化樹脂8でその全周囲が被覆されている。具体的には、各光ファイバ心線2A〜2Dは、最外被層である着色層7全体をテープ心線長手方向に亘ってテープ化樹脂8で覆われている。
【0019】
一列に所定隙間Sを空けて配置された光ファイバ心線2A〜2Dは、隣接する光ファイバ心線2同士をテープ心線長手方向で間欠的に連結させる心線間連結部3にて連結されている。心線間連結部3は、複数本の光ファイバ心線2A〜2Dをテープ化するテープ化樹脂8からなり、隣接する光ファイバ心線2Aと2B間、2Bと2C間及び2Cと2D間のそれぞれの隙間Sに各光ファイバ心線2A〜2Dを連結するように設けられている。
【0020】
心線間連結部3は、光ファイバテープ心線1の厚み方向Zにおいて、光ファイバ心線2A〜2Dの直径に該光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するテープ化樹脂8の厚みの2倍の寸法を加えた厚みとされている。また、心線間連結部3は、光ファイバ心線1のテープ心線長手方向Yにおいて、光ファイバテープ心線製造時やスロットコア又はケーブル収納部への光ファイバテープ心線収納時に不用意に単心分離せず且つ光ファイバ加入者宅内への光ファイバ引き込み時等に容易に単心分離することができるような強度を持つ長さとされている。
【0021】
前記心線間連結部3がテープ心線長手方向に間欠的に設けられて隣接する光ファイバ心線2A〜2D同士が連結されることにより、相対向する光ファイバ心線2間に隙間として形成される心線間分離部4が形成される。前記心線間連結部3と前記心線間分離部4とは、テープ心線長手方向に交互に連続して形成され、いわゆるミシン目のようになっている。
【0022】
また、心線間連結部3は、光ファイバテープ心線1の幅方向Xにおいて同一直線上に全て設けられているのではなく、全体から見ると千鳥格子状に設けられている。例えば、図1(A)のA−A線上では、図に向かって左端の光ファイバ心線2Aとこれに隣接する光ファイバ心線2B間には心線間連結部3、右端の光ファイバ心線2Dとこれに隣接する光ファイバ心線2C間には心線間連結部3とが同一直線上に形成されている一方で、中央の隣り合う光ファイバ心線2B、2C間には心線間連結部3ではなく心線間分離部4が形成されている。その後方のA1−A1線上では、図に向かって左端の光ファイバ心線2Aとこれに隣接する光ファイバ心線2B間には心線間分離部4、右端の光ファイバ心線2Dとこれに隣接する光ファイバ心線2C間には心線間分離部4とが同一直線上に形成されている一方で、中央の隣り合う光ファイバ心線2B、2C間には心線間分離部4ではなく心線間連結部3が形成されている。これにより、心線間連結部3は、光ファイバテープ心線1を全体から見た時に千鳥格子状となる。
【0023】
以上のように構成された光ファイバテープ心線1を、実際に単心分離した時の引き裂き力を求めた。前記心線間分離部4の両側を持って光ファイバ心線2を互いに引き離す方向に力Fを加えて一定速度で引き裂いた場合、例えば図2(A)に示す左端の光ファイバ心線2Aとその隣の光ファイバ心線2B間を連結する心線間連結部3に点線で示すように亀裂が入る。最初に心線間連結部3に亀裂が入る時が最も強い引き裂き力が必要となる。心線間連結部3に亀裂が入ると、この心線間連結部3が破断されて行く。そして、心線間連結部3の破断が光ファイバ心線2Bの着色層7とテープ化樹脂8の界面まで進む。この間(図2(A)の領域L1並びに図3の時間T1までの間)の引き裂き力が最も高くなる。図3は、一定速度で引き裂いた時の引き裂き力をグラフにしたもので、図2(A)の領域L1を引き裂き終えた時間がT1として図3に表示され、また領域L2を引き裂き終えた時間がT2として図3に表示されている。
【0024】
心線間連結部3に入った亀裂が光ファイバ心線2Bの着色層7とテープ化樹脂8の界面に到達すると、テープ化樹脂8に亀裂がテープ心線長手方向に進み、最終的に心線間連結部3の引き裂き開始部である一端とは反対側の引き裂き終了部である他端に達して剥離する。この間(図2(A)の領域L2並びに図3の時間T1〜時間T2までの間)の引き裂き力は、先の心線間連結部3の領域L1での引き裂き力に比べて小さく、また一定した大きさとなる。この心線間連結部3の領域L2では、光ファイバテープ心線1を単心分離する時に、着色層7とテープ化樹脂8の界面が容易に分離可能なように設計されており、該着色層7とテープ化樹脂8間の接合強度が決められている。
【0025】
これに対して、図4に示すように隣接する光ファイバ心線2A、2B同士が接触しており(隙間が無い状態)且つ一部の部位のみテープ化樹脂8で光ファイバ心線2A、2Bを被覆した光ファイバテープ心線を単心分離した時の引き裂き力は、先の図3の光ファイバテープ心線のように心線間連結部3が無いため引き裂き開始時に大きな力(図3の時間T1までの間にピークとして発生する最も大きな引き裂き力)が作用せず、テープ化樹脂8が被覆された領域L3において図5に示すように(この間の時間T3までの間で)ほぼ一定した引き裂き力となる。図5は、一定速度で引き裂いた時の引き裂き力をグラフにしたもので、図4の領域L3を引き裂き終えた時間がT3として図5に表示されている。図4の例では、引き裂き初めから着色層7とテープ化樹脂8の界面から破断が進みそのまま前記界面に沿って前記テープ化樹脂8の全領域L3の終端まで破断が進んで剥離されることになるから、図2に示す構造に比べて小さな力で分離されてしまう。このように、図4に示す光ファイバテープ心線では、単心分離時には容易に単心分離することができるが、光ファイバテープ心線製造時やスロットコアに形成されたスロット溝内への収容時に単心分離してしまう可能性がある。
【0026】
「光ファイバテープ心線を製造する製造装置の構造説明」
次に、光ファイバテープ心線の製造方法で使用した製造装置について説明する。図6は製造装置全体を示す概略構成図、図7は図6の製造装置のうち配列樹脂塗布装置の斜視図、図8は図7の各部位それぞれの断面を示し、(A)は図7のD−D線断面図、(B)は図7のE−E線断面図、(C)は図7のF−F線断面図、図9は樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成する工程を示す図である。
【0027】
光ファイバテープ心線の製造装置は、図6に示すように、複数本の光ファイバ心線2(2A〜2D)を送り出す送出手段である送出ドラム10と、光ファイバ心線2を所定ピッチで各光ファイバ心線2間に隙間を空けて一列に配列させる配列手段である整線部11と、テープ化樹脂8を供給する樹脂供給部12と、テープ化樹脂8を光ファイバ心線2に所定の厚みに被覆させる樹脂被覆部13と、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2間に樹脂取除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて隙間となる心線間分離部4をテープ心線長手方向に間欠的に形成する心線間分離部形成装置9と、テープ化樹脂8を硬化させる紫外線ランプ14と、硬化して形成された光ファイバテープ心線1を巻き取る巻取ドラム15とを備えている。なお、整線部11、樹脂供給部12及び樹脂被覆部13は、一体化して一つの装置である配列樹脂塗布装置17を構成している。
【0028】
前記製造装置では、図6に向かって最も右側に配置される送出ドラム10を光ファイバ心線2のファイバ送出し側とし、最も左側に配置される巻取ドラム15をファイバ巻取り側としたときに、光ファイバ心線2がファイバ送出し側からファイバ巻取り側へ向かって矢印Yで示す向きに走行する。この矢印Yの向きをファイバ走行方向とし、ファイバ送出し側に配置される装置構成部品(例えば送出ドラム10)に対してファイバ巻取り側に配置される装置構成部品(巻取ドラム15)を前方にある装置構成部品と定義する。前記光ファイバ心線2の走行経路には、送出ドラム10から巻取ドラム15までの間にファイバ送出し側からファイバ巻取り側へ向かって順次、ガイドローラ16、配列樹脂塗布装置17、心線間分離部形成装置9、紫外線ランプ14、集線ローラ32、ダンサー34が配置されている。
【0029】
送出ドラム10は、図6に示すように、光ファイバ心線2(2A〜2D)をドラム周面に巻回させている。かかる送出ドラム10は、光ファイバ心線2の数に応じて配置されている。本実施形態では、4本の光ファイバ心線2を一列に配列した光ファイバテープ心線を製造することから、4つの送出ドラム10を配置している。
【0030】
送出ドラム10の前方には、図6に示すように、光ファイバ心線2の走行を案内するガイドローラ16が複数配置されている。このガイドローラ16の前方には、図6に示すように、配列樹脂塗布装置17が配置されている。配列樹脂塗布装置17は、後述する整線部11と樹脂供給部12と樹脂被覆部13とにより構成され、これらが一体化して一つの装置となっている。図7は、配列樹脂塗布装置17の全体構成を示している。
【0031】
配列樹脂塗布装置17は、図7に向かって右側のファイバ送出し側から左側のファイバ巻取り側に順次、整線部11、樹脂供給部12、樹脂被覆部13の順で一つの筐体18内に配列させて構成されている。整線部11は、図7に向かって筐体18の右側部位(D−D線で示す部位)に設けられている。樹脂供給部12は、筐体の中央部位(E−E線で示す部位)に設けられている。樹脂被覆部13は、図7に向かって筐体18の左側部位(F−F線で示す部位)に設けられている。
【0032】
整線部11は、図7及び図8(A)に示すように、4本の光ファイバ素線2A〜2Dを所定ピッチで各光ファイバ心線2間に隙間を形成して一列に配列させる機能をする。かかる整線部11は、前記筐体18の厚み方向中央部にその長手方向に沿って各光ファイバ心線2A〜2Dを走行させるための貫通孔19を4つ形成している。これら貫通孔19は、4つの光ファイバ心線2A〜2Dを挿入させた時に、互いの光ファイバ心線2A〜2D間にテープ化樹脂8を回り込ませるための隙間が形成されるように所定ピッチで設けられている。例えば、光ファイバ心線2A〜2Dの外径を直径0.25mmとした場合には、光ファイバ心線間ピッチを360μmとする。
【0033】
樹脂供給部12は、図7及び図8(B)に示すように、前記整線部11の前方位置に設けられている。樹脂供給部12は、図6に示すように、テープ化樹脂8を形成するための樹脂を満たした樹脂タンク27と、該樹脂タンク27から光ファイバ心線2間の隙間に樹脂を塗布供給する樹脂供給ノズル28と、前記隙間に供給する樹脂圧を調整する樹脂圧調整手段29とからなる。
【0034】
樹脂タンク27には、テープ化樹脂8を形成するための樹脂が充填されている。樹脂供給ノズル28は、前記筐体18の天面18aから該筐体18の内部に樹脂充填用空間として形成されたキャビティー20に向かって垂直に形成された樹脂供給孔24に接続されている。樹脂圧調整手段29は、樹脂タンク27内の樹脂を樹脂供給ノズル28から前記キャビティー20に向けて供給する樹脂圧を調整する。前記キャビティー20は、各光ファイバ心線2A〜2Bの全周囲がテープ化樹脂8で被覆されるように矩形断面形状とされている。
【0035】
樹脂被覆部13では、後工程の心線間分離部形成装置9で隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に充填された硬化前のテープ化樹脂8を取り除いて心線間分離部4を形成するための樹脂取り除き部材が前記各光ファイバ心線2A〜2D間の隙間に入り込むことのできる間隔を持って光ファイバ心線2A〜2Dを配列させる。また、この樹脂被覆部13では、光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲に塗布されたテープ化樹脂8の厚みを所望の厚みとなるように開口部30の断面形状が決められている。
【0036】
心線間分離部形成装置9は、樹脂被覆部13の出口近傍であって紫外線ランプ14の手前に設けられている。心線間分離部形成装置9では、樹脂被覆部13の出口から出てくる隣合う光ファイバ心線2Aと2B間、2Bと2C間、2Cと2D間の隙間にそれぞれ充填された硬化前のテープ化樹脂8に樹脂取り除き部材31を突き刺してテープ化樹脂8を取り除くことで心線間分離部4を形成する。
【0037】
樹脂取り除き部材31は、図1で示した隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に前記隙間Sを持つ心線間分離部4を形成するため所定厚さWb及び所定長さを持つ板形状をなすシャッター部材からなる。この樹脂取り除き部材31は、図示を省略する駆動機構部によってテープ化樹脂8の厚み方向を貫通するように上下動して、各光ファイバ心線2A〜2D間の隙間に充填されたテープ化樹脂8を取り除いて心線間分離部4を形成する。前記各光ファイバ心線2A〜2D間には、樹脂取り除き部材31が挿入し得ると共に着色層7を傷付けず且つ該着色層7が露出しないようにテープ化樹脂8で被覆された状態となるような隙間Hd(図9参照)が必要となる。前記隙間Hdは、樹脂塗布直後で樹脂硬化前状態の隣合う光ファイバ心線間離隔距離であり、前記樹脂取り除き部材31の厚さWbとの関係を、Hd>Wbとしている。
【0038】
3つある樹脂取り除き部材31のうち、両側の樹脂取り除き部材31は、同期して上下動するようになっている。この一方、中央の樹脂取り除き部材31は、両側の樹脂取り除き部材31に対して上下するタイミングがずれて上下動する。これにより、光ファイバテープ心線1の幅方向において心線間分離部4が千鳥状に形成される。
【0039】
本実施形態では、シャッター部材を上下動させて硬化前のテープ化樹脂8に突き刺して該テープ化樹脂8を取り除くことで心線間分離部4を形成しているが、円盤の周面の一部に切り欠きを形成し、該円盤を回転させることでテープ化樹脂8を前記切り欠き間の突起部(前記シャッター部材に相当)で取り除いて心線間分離部4を形成することもできる。なお、シャッター部材の上下動のタイミングや回転する円盤の径や切り欠き形状を変えることで、前記した図1に示す光ファイバテープ心線1以外の心線間分離部4の形状及び形成位置を任意に変えることができる。
【0040】
紫外線ランプ14は、図6に示すように、前記心線間分離部形成装置9の前方に設けられている。本実施形態では、紫外線ランプ14を直列に2つ連続配置させている。紫外線ランプ14は、光ファイバ心線2の走行スピードに応じて塗布されたテープ化樹脂8を硬化させべく照度強さが調整可能とされている。
【0041】
また、本実施形態の製造装置においては、図6に示すように、樹脂取り除き部材31を出し入れして広がった光ファイバ心線2間のピッチを寄せ集めるための集線手段である集線ローラ32が設けられている。集線ローラ32は、前記紫外線ランプ14の前方位置に配置されており、前記光ファイバ心線2を挟んで上側と下側にそれぞれ設けられている。光ファイバ心線2は、2つの集線ローラ32に形成されたガイド溝にガイドされることで、寄せ集められて所望の配列ピッチとされる。
【0042】
また、本実施形態の製造装置においては、図6に示すように、光ファイバ心線2の巻き取り張力を調整するためのダンサー34が設けられている。ダンサー34は、複数個のローラ35から構成されており、走行する光ファイバ心線2に張力を付与する。
【0043】
巻取ドラム15は、硬化して形成された光ファイバテープ心線1を最終的に巻き取るようになっている。
【0044】
[光ファイバテープ心線の製造方法説明]
次に、本実施形態の光ファイバテープ心線の製造方法について説明する。本実施形態の製造方法は、送出し側から送り出される複数本の光ファイバ心線2を一列に所定隙間を空けて配置させる配置工程と、一列に配列した光ファイバ心線2間を含めて各光ファイバ心線2の全周囲を被覆するようにしてテープ化樹脂8を塗布する樹脂塗布工程と、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除いて心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成する間欠形成工程と、テープ化樹脂8を硬化させる硬化工程とを備えている。
【0045】
以下に、光ファイバテープ心線1を製造する工程順に、各工程を具体的に説明する。先ず、配列工程では、送出ドラム10から各光ファイバ心線2(2A〜2D)を送り出す。送り出された光ファイバ心線2は、ガイドローラ16で案内されて、送出ドラム10の前方に設けられた配列樹脂塗布装置17へ送られる。この配列樹脂塗布装置17に送られた光ファイバ心線2A〜2Dは、先ず整線部11で一列に所定隙間を空けて配列される。各光ファイバ心線2A〜2Dは、整線部11に形成された各貫通孔19にそれぞれ挿入されることで、隣り合う光ファイバ心線2A〜2D同士の間に所定隙間を持って配列されることになる。
【0046】
そして、一列に配列された光ファイバ心線2A〜2Dは、整線部11の前方に設けられた樹脂供給部12に送られ、ここで樹脂塗布工程が行われる。樹脂塗布工程では、樹脂タンク27から予め決められた粘度としたテープ化樹脂8が樹脂供給ノズル28から樹脂供給孔24を通してキャビティー20内に充填される。テープ化樹脂8には、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。テープ化樹脂8を供給する樹脂圧は、樹脂タンク27に接続される樹脂圧調整手段29で適宜調整する。
【0047】
テープ化樹脂8がキャビティー20内に充填されると、隣合う光ファイバ心線2A〜2D間の隙間にテープ化樹脂8が入り込むことはもちろんのこと、光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するようにキャビティー20内がテープ化樹脂8で満たされる。そして、光ファイバ心線2A〜2Bの全周囲を被覆するように塗布されたテープ化樹脂8は、前記キャビティー20の前方に設けられた樹脂被覆部13の開口部30の断面形状で余分な樹脂が削られる。
【0048】
次に、樹脂被覆部13の出口から出た光ファイバ心線2A〜2Dに対して間欠形成工程が行われる。心線間分離部形成装置9では、樹脂が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材31が上下動して差し込まれると共に引き上げられることで、当該部分のテープ化樹脂8が取り除かれて隙間となる心線間分離部4が形成される。そして、光ファイバ心線2A〜2Dの線速度に合わせて樹脂取り除き部材31がテープ化樹脂8に対して連続して抜き差しする動作を繰り返すことで、心線間分離部4と心線間連結部3とがテープ心線長手方向に交互に形成される。
【0049】
次に、光ファイバ心線2A〜2Dに被覆されたテープ化樹脂8に紫外線を照射して硬化させる硬化工程が行われる。硬化工程では、配列樹脂塗布装置17の前方に配置された紫外線ランプ14により紫外線が照射される。テープ化樹脂8に紫外線が照射されると、紫外線を受けたテープ化樹脂8は硬化する。各光ファイバ心線2は、紫外線ランプ14の前方に設けられた集線ローラ32によって、樹脂取り除き部材31の抜き差しで広がったピッチを狭めて所定ピッチにする。
【0050】
テープ化樹脂8が硬化して得られた光ファイバテープ心線1は、ダンサー34にて巻き取り張力が調整されて巻取ドラム15に巻き取られる。巻取ドラム15に巻き取られることで、光ファイバテープ心線1を製造する製造工程が終了する。
【0051】
本実施形態の光ファイバテープ心線の製造方法においては、複数本の光ファイバ心線2A〜2Dを一列に所定隙間を空けて配置した後、各光ファイバ心線2A〜2D間を含めて各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆するようにしてテープ化樹脂8を塗布し、その後、テープ化樹脂8が硬化する前の状態で隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材31を挿入して未硬化樹脂を取り除いて間隙となる心線間分離部4をテープ心線長手方向に間欠的に形成すると、テープ心線長手方向において各心線間分離部4間に心線間連結部3が形成される。その後、未硬化樹脂を硬化すると、相対向する光ファイバ心線2A〜2D同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間接続部3によって連結され、相対向する光ファイバ心線2A〜2D間に隙間として形成される心線間分離部4と光ファイバ心線2A〜2D同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部3とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線1が得られる。
【0052】
このようにして製造された光ファイバテープ心線1によれば、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7とテープ化樹脂8となる各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆したテープ化樹脂8の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、宅内へのファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、光ファイバケーブル製造時においては不用意に単心分離しなくなる。
【0053】
[光ファイバケーブルについて]
以上のようにして製造された光ファイバテープ心線1をスロットコアに収納することで光ファイバケーブルを得ることができる。例えば、図10(A)に示すように、中心に抗張力体36をテープ心線長手方向に有したスロットコア37の外周囲に断面コ字状として形成された複数個の各スロット溝38内に、光ファイバテープ心線1を複数枚重ねて収納した後、スロット溝38の開口を覆うようにしてスロットコア37の周面を押え巻きテープ39で覆った状態で、押し出し成形により外被であるシース40を形成することによって光ファイバケーブル41が得られる。
【0054】
この光ファイバケーブル41では、スロット溝38内に光ファイバテープ心線1を収納する時に単心分離を起こすことなく収納することができるため、複数本の光ファイバテープ心線1をスロット溝38内にきちんと整列して収納することができる。また、加入者宅内に光ファイバ心線2を引き込む際にシース40を切り裂いてスロット溝38から光ファイバテープ心線1を取り出す作業が容易になる。スロット溝38内で各光ファイバ心線2に単心分離していると、絡まったりして所望の光ファイバテープ心線1を取り出すことが困難になるが、本発明ではそのような不具合を無くすことができる。また、本発明の光ファイバケーブル41では、取り出した光ファイバテープ心線1の中間分離時に、容易に単心分離することができるため、作業者の作業性を向上させることができる。
【0055】
なお、スロット溝38内に収納する光ファイバテープ心線1は、図10(B)に示すように、4心を越える多心テープ心線構造とした幅広な光ファイバテープ心線1としてもよい。この光ファイバテープ心線1をスロット溝38内に収納するには、折り畳むようにして収納する。また、光ファイバケーブルの構造は、図10(C)に示すような抗張力体42を有した断面C字状のスロットコア43のスロット溝44の開口を覆うように押え巻きテープ45を介在させてスロットコア全体をシース46で被覆したCスロット型の光ファイバケーブル47であっても良い。この他、光ファイバケーブルの構造は、図10(D)に示すように、支持線48を有した支持線部49に首部50を介して抗張力体51と引き裂き紐52を有したケーブル本体53を一体化したスロットレス型の光ファイバケーブル54であってもよい。なお、図10(C)、(D)には、図10(A)と同じく本発明の光ファイバテープ心線を複数枚重ねて収納してもよい。
【0056】
[実施例1]
以下に、2通りの製造方法で製造して得られた光ファイバテープ心線に対して巻返し評価を実施した。第1製造方法は、4本の光ファイバ心線2A〜2Dを360μmピッチで一列に並べると共に各光ファイバ心線2A〜2D間に隙間を空けて並列した状態で走行させる本発明製造方法を採用した。第2製造方法は、各光ファイバ心線2A〜2D同士を接触させた状態でテープ化樹脂を被覆した後、隣合う光ファイバ心線2A〜2D間に樹脂取り除き部材31を抜き差しして心線間分離部4を形成した。
【0057】
第1及び第2製造方法で共通するテープ製造条件は、次の通りである。送出ドラム10から巻取ドラム15間を走行させる線速を600m/分とし、心線間分離部4及び心線間連結部3のテープ心線長手方向の長さをそれぞれ200mm、100mmとすると共に心線間連結部3のテープ心線長手方向の1ピッチを300mmとし、また、樹脂取り除き部材31の厚み幅Wbを80μmとした。
【0058】
巻返し評価は、製造した光ファイバテープ心線を他のドラムに巻き付けた時に光ファイバ心線2が単心分離又は断線したか否かを評価する。第2製造方法で製造した光ファイバテープ心線では、光ファイバ心線2に単心分離及び断線が見られた。これは、テープ心線長手方向の数箇所の部位に樹脂取り除き部材31によるファイバへの傷が発生したことで、当該傷から亀裂が入って光ファイバ心線2が断線したものと考えられる。単心分離は、心線間接続部の引き裂き力が小さいため、巻返し時に意図しない引き裂きが発生した為と考えられる。これに対して、第2製造方法では、光ファイバ心線2の断線は生じなかった。
【0059】
[第2実施形態]
図11は、本発明の製造方法で製造された第2実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のG−G線における横断面図である。第2実施形態の光ファイバテープ心線1では、図1の光ファイバテープ心線に対して心線間連結部3の厚みが薄くなっている。この形状の光ファイバテープ心線1を製造するには、図8で示した樹脂被覆部13の開口部30の形状を変更することで容易に製造できる。
【0060】
第2実施形態の光ファイバテープ心線1においては、前記した図1の光ファイバテープ心線と同様、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7とテープ化樹脂8となる各光ファイバ心線2A〜2Dの全周囲を被覆したテープ化樹脂8の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、ケーブルへの実装時には不用意に単心分離しなくなる。
【0061】
[第3実施形態]
図12は本発明の製造方法で製造された第3実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のH−H線における横断面図である。第3実施形態の光ファイバテープ心線1では、図1の光ファイバテープ心線とは異なり、隣接する光ファイバ心線2A〜2D間の相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域を被覆するようにしてテープ化樹脂8が塗布されている。
【0062】
具体的には、図12に向かって左端の光ファイバ心線2Aとその隣の光ファイバ心線2B間の相対向する部位では、最も左端の光ファイバ心線2Aの円周半分以上の領域を被覆するようにテープ化樹脂8で被覆されており、その隣の光ファイバ心線2Bは全周囲がテープ化樹脂8で被覆されている。但し、最も左端の光ファイバ心線2Aでは、着色層7の一部が露出している。
【0063】
同様に、図12に向かって右端の光ファイバ心線2Dとその隣の光ファイバ心線2C間の相対向する部位では、最も右端の光ファイバ心線2Dの円周半分以上の領域を被覆するようにテープ化樹脂8で被覆されており、その隣の光ファイバ心線2Cは全周囲がテープ化樹脂8で被覆されている。但し、最も右端の光ファイバ心線2Dでは、着色層7の一部が露出している。
【0064】
第3実施形態の光ファイバテープ心線1においては、前記した図1の光ファイバテープ心線と同様、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7と光ファイバ心線2A〜2Dの相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域を被覆したテープ化樹脂8の界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、ケーブルへの実装時には不用意に単心分離しなくなる。
【0065】
この第3実施形態では、光ファイバ心線2の全周囲がテープ化樹脂8で被覆されていなくても光ファイバ心線2A〜2Dの相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域がテープ化樹脂8で被覆されているため、テープ化樹脂8が光ファイバ心線2を掴むようにコートされていることで相対向する部位の接合強度が高くなり、不用意に単心分離することが抑制される。
【0066】
第3実施形態の光ファイバテープ心線1を製造するには、第1実施形態で使用した配列樹脂塗布装置17のうち樹脂供給部12と樹脂被覆部13の形状を図13(B)及び(C)で示す形状に変更する。なお、整線部11の形状は、第1実施形態と同じ形状でよい。
【0067】
[第4実施形態]
図14は本発明の製造方法で製造された第4実施形態の光ファイバテープ心線を示し、(A)はその要部拡大斜視図、(B)は(A)のI−I線における横断面図である。図14に示す光ファイバテープ心線1では、図12の光ファイバテープ心線に対して心線間連結部3の厚みが薄くなっている。この形状の光ファイバテープ心線1を製造するには、図8で示した樹脂被覆部13の開口部30の形状を変更することで容易に製造できる。
【0068】
第4実施形態の光ファイバテープ心線1によれば、第3実施形態の光ファイバテープ心線と同様、単心分離時において心線間分離部4から引き裂くと、先ず心線間接続部3を引き裂く力が必要となり、その後光ファイバ心線2A〜2Dの着色層7と隣接する光ファイバ心線2A〜2D間の相対向する部位の該光ファイバ心線2の円周半分以上の領域を被覆したテープ化樹脂8との界面を剥離する引き裂き力が必要になるため、ファイバ引き込み時には容易に単心分離することができると共に、ケーブルへの収納時には不用意に単心分離しなくなる。
【0069】
[実施例2]
ここでは、前記した図11に示す第2実施形態の光ファイバテープ心線を表1に示す条件(条件1〜条件6)でそれぞれ製造し、得られた光ファイバテープ心線を評価した。評価は、心線間分離部が作成できているか、巻き返し試験時に単心分離又は断線の発生が生じたか、一括融着接続可能かを評価対象とした。
【0070】
心線間分離部が作成できているかの評価では、連続する100ピッチ分の心線間分離部を測定し、心線間分離部の長さが目的の心線間分離部長さの±20%以内になっているかを測定した。100ピッチのうち、目的の心線間分離部長さの±20%以内である箇所が90ピッチ以上を○とし、90ピッチ未満を×として評価した。また、心線間分離部を形成するには円盤に樹脂取り除き部材を設けた回転刃を回転させて形成した。なお、表1中、ファイバ着色径は光ファイバ心線の直径(直色層7を含む光ファイバ心線全体の直径)を表し、ダイスは樹脂被覆部13を表し、ダイス出口は樹脂被覆部13の出口を表している。
【0071】
【表1】
【0072】
この実験結果によれば、ダイス出口面での光ファイバ心線間離隔距離Hdと樹脂取り除き部材31の厚さWbとの関係がHd>Wbであれば(条件1〜5)、光ファイバ心線に傷を付けることなく光ファイバテープ心線を製造することができる。条件6で製造された光ファイバテープ心線では、Hd<Wbなる関係であるため、巻き返し試験時に心線間連結部が分かれ単心分離する又は断線してしまった。また、この実験結果によると、テープ化樹脂硬化後の心線間連結部の光ファイバ心線間離隔距離Hrと心線間分離部の幅方向であるX方向のテープ化樹脂厚さhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2hであれば(条件1〜4、6)、心線間分離部が作製できるが、そうでない場合(条件5)は心線間分離部を作製することはできない。また、心線間接続部のファイバピッチが375μm以下であれば(条件2〜4)、一括融着接続が可能となる。つまり、樹脂硬化後の隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hrと心線間分離部の光ファイバ心線幅方向Xにおけるテープ化樹脂厚みhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2hであり、またHr<(375−光ファイバ心線の直径)μmであれば、光ファイバ心線を傷付けることなく心線間分離部を形成することができると共に一括融着接続が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、複数本の光ファイバ心線を樹脂で接合一体化して一列に配列してなる光ファイバテープ心線に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…光ファイバテープ心線
2(2A〜2D)…光ファイバ心線
3…心線間連結部
4…心線間分離部
5…石英ガラスファイバ
6…外被層
7…着色層
8…テープ化樹脂
9…心線間分離部形成装置
10…送出ドラム
11…整線部
12…樹脂供給部
13…樹脂被覆部
14…紫外線ランプ
15…巻取ドラム
17…配列樹脂塗布装置
27…樹脂タンク
28…樹脂供給ノズル
29…樹脂圧調整手段
31…樹脂取り除き部材
32…集線ローラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記複数本の光ファイバ心線を一列に所定隙間を空けて配置する配置工程と、
前記配置工程後に各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして樹脂を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後に隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する樹脂取り除き部材の厚さWbとの関係をHd>Wbとして、前記樹脂が硬化する前の状態で前記隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除き前記間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成することにより、各心線間分離部間に前記心線間連結部を形成する間欠形成工程と、
前記間欠形成工程後に未硬化樹脂を硬化させる硬化工程とを備えた
ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項2】
複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線を製造する製造装置であって、
一列に所定間隔を空けて配置された複数本の光ファイバ心線の各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして塗布された樹脂のうち隣合う光ファイバ心線間の樹脂に対して、樹脂取り除き部材を挿入して該樹脂が硬化する前の未硬化樹脂を取り除く心線間分離部形成装置を備え、
前記隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する前記樹脂取り除き部材の厚さWbをHd>Wbとした
ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線であって、
前記未硬化樹脂硬化後の隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hrと前記心線間分離部の光ファイバ心線幅方向Xにおけるテープ化樹脂厚みhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2h且つHr<(375−光ファイバ心線の直径)μmである
ことを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項4】
請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線を実装した光ファイバケーブル。
【請求項1】
複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線の製造方法であって、
前記複数本の光ファイバ心線を一列に所定隙間を空けて配置する配置工程と、
前記配置工程後に各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして樹脂を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程後に隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する樹脂取り除き部材の厚さWbとの関係をHd>Wbとして、前記樹脂が硬化する前の状態で前記隣合う光ファイバ心線間に樹脂取り除き部材を挿入して未硬化樹脂を取り除き前記間隙となる心線間分離部をテープ心線長手方向に間欠的に形成することにより、各心線間分離部間に前記心線間連結部を形成する間欠形成工程と、
前記間欠形成工程後に未硬化樹脂を硬化させる硬化工程とを備えた
ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造方法。
【請求項2】
複数本の光ファイバ心線が一列に所定隙間を空けて配置されると共に、各光ファイバ心線の全周囲が樹脂で被覆されるか或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域が樹脂で被覆されており、更に相対向する光ファイバ心線同士がテープ心線長手方向に間欠的に設けられた心線間連結部によって連結されることにより、相対向する光ファイバ心線間に隙間として形成される心線間分離部と光ファイバ心線同士を前記所定隙間を空けて連結させる心線間連結部とをテープ心線長手方向に交互に形成した光ファイバテープ心線を製造する製造装置であって、
一列に所定間隔を空けて配置された複数本の光ファイバ心線の各光ファイバ心線間を含めて各光ファイバ心線の全周囲を被覆するようにして或いは隣接する光ファイバ心線間の相対向する部位の該光ファイバ心線の円周半分以上の領域を被覆するようにして塗布された樹脂のうち隣合う光ファイバ心線間の樹脂に対して、樹脂取り除き部材を挿入して該樹脂が硬化する前の未硬化樹脂を取り除く心線間分離部形成装置を備え、
前記隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hdに対する前記樹脂取り除き部材の厚さWbをHd>Wbとした
ことを特徴とする光ファイバテープ心線の製造装置。
【請求項3】
請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線であって、
前記未硬化樹脂硬化後の隣合う光ファイバ心線間離隔距離Hrと前記心線間分離部の光ファイバ心線幅方向Xにおけるテープ化樹脂厚みhの2倍の値2hとの関係が、Hr>2h且つHr<(375−光ファイバ心線の直径)μmである
ことを特徴とする光ファイバテープ心線。
【請求項4】
請求項1記載の光ファイバテープ心線の製造方法で製造された光ファイバテープ心線を実装した光ファイバケーブル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−108331(P2012−108331A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257423(P2010−257423)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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