説明

光ファイバーケーブル保持具

【課題】
支持線の有無のみが異なる2種類の光ファイバーケーブルを壁面に沿って配線する際に、同一の保持具によりガタツキなく保持可能にすることである。
【解決手段】
扁平状の光ファイバーケーブルCを保持して壁面に沿って配線する際に用いられる保持具Hであって、前記光ファイバーケーブルCが収容される基本収容空間Kを備えた基台Vと、当該基台Vに設けられた前記基本収容空間Kの両側方が開口された状態で当該基本収容空間Kの上面を覆う蓋体Lとから成り、前記基本収容空間Kにおける当該基本収容空間Kを構成していて配線方向Pに沿って配置された対向側壁部1,2の一方であって、高さ方向に沿って前記蓋体Lの天板部21が配置される側に保持片9が他方の側壁部2の側に向けて設けられた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扁平状をした光ファイバーケーブルを保持して壁面に沿って配線する際に用いられる保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ファイバーケーブルを建物の外壁面に沿って配線するには、所定箇所毎に保持具を介して保持する必要がある。この光ファイバーケーブルCは、図11に示されるように、1ないし複数本(実施例では2本)のファイバー51と、当該ファイバー51の両側に配置されたテンションメンバー52とが第1シース53内に埋設され、更に当該第1シース53に簡易連結部54を介して分離可能に連結された第2シース55内に支持線56が埋設された扁平状になっている。このように、支持線56が設けられているのは、光ファイバーケーブルCの架空配線時において、当該ケーブルCが容易に曲げられたり、捩じられたりするのを防止して、前記ファイバー51を保護するためである。
【0003】
上記した光ファイバーケーブルCにおいて、支持線56が必要な部分は、屋外における架空配線部のみであって、屋内配線部においては、風等の影響がなくて、保持具のみで内壁面にしっかりと保持できる。このため、前記支持線56の部分は不要となるので、簡易連結部54で支持線56の部分を切断して、ファイバー51及びテンションメンバー52が埋設された第1シース53の部分のみを使用している。
【0004】
このように、架空配線される光ファイバーケーブルCは、建物の外壁面においては支持線56を有している状態で保持されると共に、屋内においては、支持線56が切除された状態で内壁面に保持され、支持線56の有無によって光ファイバーケーブルCの幅が大きく変化するので、例えば特許文献1に記載の保持具では、支持線56を有しない光ファイバーケーブルCをガタツキなく保持することができない問題があった。
【特許文献1】特許第3841707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、支持線の有無のみが異なる2種類の光ファイバーケーブルを壁面に沿って配線する際に、同一の保持具によりガタツキなく保持可能にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、扁平状の光ファイバーケーブルを保持して壁面に沿って配線する際に用いられる保持具であって、前記光ファイバーケーブルが収容される収容部を備えた基台と、当該基台に設けられた前記収容部の両側方が開口された状態で当該収容部の上面を覆う蓋体とから成り、前記収容部における当該収容部を構成していて配線方向に沿って配置された対向側壁部の一方であって、高さ方向に沿って前記蓋体の天板部が配置される側に保持片が、他方の側壁部の側に向けて設けられ、前記光ファイバーケーブルが支持線を有する場合には、当該光ファイバーケーブルは、前記支持線が前記収容部の保持片の下方に配置保持された状態で前記収容部に収容され、前記光ファイバーケーブルが支持線を有しない場合には、当該光ファイバーケーブルは、前記収容部における保持片の先端部と前記保持片と対向する他方の側壁部との間に収容される構成であることを特徴としている。
【0007】
屋外の架空配線部では支持線の存在によりケーブルが捩じられたりすることなく架空配線され、屋外において光ファイバーケーブルを建物の外壁面に配線するには、請求項1の発明に係るケーブル保持具により光ファイバーケーブルを一定間隔をおいて保持する必要がある。即ち、支持線を有する光ファイバーケーブルの当該支持線の部分のみを、基台に設けられた保持片の下方に挿入保持させると共に、光ファイバーケーブルの残りのファイバーの部分は、基台の収容部における保持片の先端部と前記保持片と対向する側壁部との間に収容保持させ、この状態で基台に対して蓋体を覆蓋させる。これにより、基台の収容部は、上面側のみが蓋体により覆われると共に、両側方は開口したままの状態で、基台に対して蓋体が覆蓋されて、支持線を有する光ファイバーケーブルは、保持具に保持されて、当該保持具を外壁面に固定することにより建物の外壁面に沿って配線される。
【0008】
このように、光ファイバーケーブルの支持線の部分のみが基台の保持片の下方に挿入保持されて、ケーブル保持具を外壁面に固定する前の状態において、当該ケーブルとケーブル保持具とが仮連結されて分離しない状態となっているので、光ファイバーケーブルを保持して外壁面に沿って配線する作業が容易になる。また、光ファイバーケーブルの曲げ、捩りの各剛性を高めるためのみに設けられて、本来の情報伝達機能を有していない支持線の部分のみが保持片の下方に挿入保持されて、ファイバーの部分は、収容部の自由空間部に配置されるので、保持片により損傷されることはない。
【0009】
一方、屋内に引き込まれた光ファイバーケーブルは、風等の影響によりわん曲されたり、捩じられたりすることはないので、支持線を切除するか、或いは当初より支持線を有していなくて、光ファイバーが埋設された部分が同一形状の光ファイバーケーブルを使用する。このため、支持線が切除される等して支持線を有していない光ファイバーケーブルは、基台の収容部における保持片の先端部と当該保持片と対向する側壁部との間の自由空間部に収容保持した状態で、基台に対して蓋体が覆蓋される。これにより、屋内においても、同一の保持具の使用により、支持線を有しない光ファイバーケーブルをガタツキなく保持した状態で内壁面に沿って配線できる。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記光ファイバーケーブルは、壁面に対して平行に保持されることを特徴としており、光ファイバーケーブルは扁平状であるために、壁面に平行に配置された方が垂直に配置されるよりも、起立部がなくなって安全であると共に、配線時における占有スペースも小さくて済むために好都合である。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、前記基台と蓋体とは、ヒンジ連結されていることを特徴としているので、使用時において基台と蓋体とを認識して探す必要がなくなって使い勝手がよいと共に、基台と蓋体とのいずれか一方の紛失も防止される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、支持線の有無のみが異なる2種類の光ファイバーケーブルを壁面に沿って配線する際に、同一の保持具によりガタツキなく保持可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、最良の実施形態を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。
【0014】
最初に、図1ないし図3を参照して、光ファイバーケーブルCを部分保持するための本発明に係るケーブル保持具Hについて説明し、その後に当該ケーブル保持具Hの使用方法について説明する。図1(a),(b)は、本発明に係るケーブル保持具Hの非使用状態の正面及び背面の各斜視図であり、図2(a),(b)は、同様の状態の正面図、及び背面図であり、図3は、図2(a)のX−X線断面図である。
【0015】
ケーブル保持具Hは、光ファイバーケーブルCの長手方向の一部が部分的に収容される基本収容空間Kを備え、蓋体Lが覆蓋された状態でビスBを介して壁面に固定される基台Vと、当該基台Vに覆蓋されて、前記基本収容空間Kの両側方が開口された状態で上面側のみを覆う蓋体Lとから成る。基台Vと蓋体Lとは、ヒンジ連結部41を介して連結された状態で樹脂原料から射出成形される。基台Vと蓋体Lとは、成形時においては、内側又は外側が互いに同一側を向いた状態で成形される。
【0016】
基台Vは、正面視において略方形をなしていて、台座部1と側壁部2との間に配線方向Pに沿った両側、及び上面側の3方向に開口した基本収容空間Kが当該配線方向Pに沿って設けられている。台座部1と側壁部とで、請求項1で特定される対向側壁部を構成している。基台Vの台座部1と側壁部2との間には、基本収容空間Kを構成する底板部3が形成され、当該底板部3には、配線方向Pに沿って連続する2つの空間部4が設けられて、基本収容空間Kの側が凸となるようにわん曲されたわん曲弾性片5の配線方向Pに沿った両端部が前記底板部3に連結された状態で前記各空間部4に配置されている。また、側壁部2の配線方向Pに沿った中央部には、蓋体Lの嵌合孔25に嵌合される嵌合突起6が形成され、当該嵌合突起6の両側には、蓋体Lの天板部21の裏面に当接する当接面7がそれぞれ形成されている。側壁部2と底板部3の各外側面が交叉する部分には、基台Vに対して蓋体Lを覆蓋した状態で、蓋体Lの係合突起27と係合される係合凹部8が形成されている。また、基台Vに蓋体Lを覆蓋した状態では、基台Vの台座部1の配線方向Pに沿った両側には、蓋体Lのわん曲された第2側壁部23が配置されるが、基本収容空間Kの両側は開口されたままであるので、基台Vの底板部3は、台座部1に対して配線方向Pに沿って僅かに突出している。基台Vの基本収容空間Kの幅D(図3参照)は、種々の幅の光ファイバーケーブルに対応可能なように、標準幅の光ファイバーケーブルCを収容した場合には多少の余幅が生ずるようになっている(図6参照)。
【0017】
また、台座部1の上面側における側壁部2と対向する部分には、配線方向Pに沿って所定間隔をおいて一対の保持片9が側壁部2の側に向けて突出した状態で基本収容空間Kに配置されている。当該一対の保持片9は、基端部を支点として弾性変形可能である。台座部1における側壁部2と対向する側面から前記一対の保持片9の裏面に至る部分は、光ファイバーケーブルCの支持線56が埋設された第2シース55の断面形状に対応した円弧状に形成されている。従って、保持片9の先端部(自由端部)の裏面には、斜下方を向いた抜止め部11(図3及び図4参照)が形成され、当該保持片9の裏面には、配線方向Pに沿って所定間隔をおいて複数本(実施例では3本)の滑止め突条12が基本収容空間Kの幅方向(配線方向Pと直交する方向)に沿って形成されている。基本収容空間Kにおける一対の保持片9と底板部3とで中空断面がほぼ円形に形成された部分は、光ファイバーケーブルCの支持線56の部分(第2シース55の部分)を収容するための支持線収容部10であり、当該支持線56の部分を支持線収容部10に挿入して収容する際には、一対の保持片9の先端部は僅かに上方に弾性変形することにより挿入開口側が広くなって、当該挿入を容易にしている。なお、図1及び図2において、13は、台座部1に設けられたビス挿通孔を示す。
【0018】
一方、蓋体Lは、方形状をした天板部21におけるヒンジ連結部41と対向する辺部に、覆蓋状態において基台Vの側壁部2の外側に配置される第1側壁部22が設けられ、天板部21の周縁部における第1側壁部22及び基台Vの基本収容空間Kに対応する部分を除く部分には、第2側壁部23が形成されている。従って、第1及び第2の各側壁部22,23の周方向に沿った形成端部には、光ファイバーケーブルCの挿通口を形成するための開口24がそれぞれ形成されている。また、天板部21における第1側壁部22に近接した部分には、基台Vの側壁部2に形成された嵌合突起6を嵌合させるための長孔状の嵌合孔25が形成されており、天板部21における基台Vの基本収容空間Kの上面側を閉塞する部分には、配線方向Pに沿って所定間隔をおいて多数の滑止め突条26が配線方向Pと直交する方向に沿って形成されている。また、蓋体Lの第1側壁部22の内側面における幅方向の自由端側には、基台Vの側壁部2の幅方向の基端側に形成された係合凹部8に係合可能な係合突起27が形成されている。なお、図1ないし図3において、28は、基台Vに対して蓋体Lを覆蓋した状態で、基台Vのビス挿通孔13と合致するビス挿通孔を示す。
【0019】
次に、図4ないし図7を参照にして、上記したケーブル保持具Hを使用して、外壁面W1 において光ファイバーケーブルCを外壁面W1 に対して平行にして保持して、外壁面W1 に配線する場合について説明する。図4は、光ファイバーケーブルCを外壁面W1 に対して平行に配置して保持する場合において、基台Vの基本収容空間Kに光ファイバーケーブルCを部分的に収容した状態の斜視図であり、図5は、同じく光ファイバーケーブルCをケーブル保持具Hにより保持して外壁面W1 に沿って配線した状態の斜視図であり、図6は、同様の状態の横断面図であり、図7は、図6のY−Y線断面図である。まず、図4及び図6に示されるように、基台Vに対して蓋体Lを開いておいて、当該基台Vの基本収容空間K内に光ファイバーケーブルCの一部を収容して、当該ケーブルCの支持線56の部分(第2シース55の部分)を左右一対の保持片9と底板部3とで形成される支持線収容部10に押し込むと、断面円形をした前記ケーブルCの第2シース55の部分は、基台Vの底板部3と当該一対の保持片9との間で挟持された状態で、光ファイバーケーブルCの長手方向に沿った一部が基台Vの基本収容空間Kに収容配置される。
【0020】
上記の状態で、ヒンジ連結部41を中心にして基台Vに対して蓋体Lを回して、当該基台Vに蓋体Lを覆蓋させると、基台Vの側壁部2が蓋体Lの嵌合孔25に挿入嵌合されると共に、蓋体Lの係合突起27が基台Vの係合凹部8に係合して、基台Vに対して蓋体Lが一体に係合された状態となる。この状態では、図6及び図7に示されるように、基台Vの基本収容空間Kの上面側は蓋体Lの天板部21で覆われて、光ファイバーケーブルCの支持線56を除くファイバー51の部分(第1シース53の部分)は、基台Vの一対のわん曲弾性片5と蓋体Lの天板部21の裏面の滑止め突条26によって上下から挟持されるため、光ファイバーケーブルCは、保持具Hから容易には抜け出ない。基台Vの一対のわん曲弾性片5は、底板部3の側に弾性変形した状態で保持されるので、光ファイバーケーブルCの保持状態が安定する。基台Vに蓋体Lを覆蓋させて一体に係合された状態では、基台V及び蓋体Lの各のビス挿通孔13,28は、互いに合致しており、合致したビス挿通孔13,28にビスBを挿通して、外壁面W1 にねじ込むと、当該ビスBを介してケーブル保持具Hが外壁面W1 に固定されることにより、ケーブル保持具Hに保持された光ファイバーケーブルCは、外壁面W1 に部分的に固定される(図5参照)。
【0021】
上記したように、光ファイバーケーブルCの支持線56の部分のみが基台Vの保持片9の下方に挿入保持されて、ケーブル保持具Hを外壁面W1 に固定する前の状態において、当該ケーブルCとケーブル保持具Hとが仮連結されて分離しない状態となっているので、ケーブル保持具Hにより光ファイバーケーブルCを保持して外壁面W1 に沿って配線する作業が容易になる。また、光ファイバーケーブルCの曲げ、捩りの各剛性を高めるためのみに設けられて、本来の情報伝達機能を発揮する部分ではない支持線56の部分のみが基台Vの一対の保持片9の下方に挿入保持されて、ファイバー51の部分は、収容部の自由空間部に配置されるので、一対の保持片9の下方に強制的に圧入することにより損傷されることはない。
【0022】
次に、図8ないし図10を参照して、屋内に引き込まれた光ファイバーケーブルCを内壁面W2 に保持する場合について説明する。既述のように、屋内配線の場合には支持線56が除去されるために、光ファイバーケーブルC’の幅は狭くなっている。図8は、支持線56が切除された光ファイバーケーブルC’を基台Vの基本収容空間Kに収容した状態の斜視図であり、図9は、ケーブル保持具Hにより保持された光ファイバーケーブルC’を内壁面W2 に配線した状態の斜視図であり、図10は、同様の状態の横断面図である。屋内において内壁面W2 に、ケーブル保持具Hにより支持線56が切除された光ファイバーケーブルC’を保持して内壁面W2 に沿って配線するには、図8に示されるように、光ファイバーケーブルC’の一部を基台Vの基本収容空間Kにおける一対の保持片9の先端部の抜止め部11と、当該一対の保持片9と対向する第1側壁部22との間に収容した状態で、基台Vに対して蓋体Lを覆蓋させて一体に係合させ、この状態でビスBを介してケーブル保持具Hを内壁面W2 に固定すると、当該ケーブル保持具Hに保持された光ファイバーケーブルC’は、内壁面W2 に沿って配線される。光ファイバーケーブルC’は、屋外において保持する場合と同様に、基台Vの一対のわん曲弾性片5と蓋体Lの天板部21の裏面の滑止め突条26によって上下から挟持される(図10参照)ため、光ファイバーケーブルC’は保持具Hから容易には抜け出ない。
【0023】
上記のようにして、光ファイバーケーブルC’の一部を基台Vの基本収容空間Kにおける一対の保持片9の先端部の抜止め部11と、当該一対の保持片9と対向する第1側壁部22との間に収容する際には、配線方向Pに沿って配置された一対のわん曲弾性片5は、原形状を維持していて基本収容空間Kの上面の側に凸となっているので、前記基本収容空間Kに光ファイバーケーブルC’を配置した状態では、当該光ファイバーケーブルC’の支持線収容部10の側の側面は、一対の保持片9の先端面9a(図10参照)に部分的に当接可能になっており、この状態で、基台Vに対して蓋体Lを覆蓋させると、一対のわん曲弾性片5が下方にわん曲されて、当該一対のわん曲弾性片5と蓋体Lの天板部21の裏面の複数の滑止め突条26との間で光ファイバーケーブルC’の一部が挟持される。しかも、図10に示されるように、基台Vに対して蓋体Lが覆蓋されて、基台Vの基本収容空間Kに光ファイバーケーブルC’の一部が収容された状態においても、当該光ファイバーケーブルC’の支持線収容部10の側の側面は、一対の保持片9の先端面9aに部分的に当接可能な寸法関係になっているので、当該光ファイバーケーブルC’が支持線収容部10内に入り込むことはない。このように、光ファイバーケーブルC’は、一部が支持線収容部10内に入り込むことなく、常に基台Vの基本収容空間Kの上記した所定位置に配置されるため、ガタツキを生ずることなく基本収容空間Kに収容される。
【0024】
また、上記したように、基台Vに形成された基本収容空間Kの幅Dは、標準的な光ファイバーケーブルを収容した場合には僅かに余幅が発生するようにしてあり、一対の保持片9と底板部3とで、標準サイズの光ファイバーケーブルの支持線の部分を保持可能なように寸法設計されているが、ケーブルの支持線56の部分が大き過ぎて(太過ぎて)、支持線収容部10に収容できない場合には、一対の保持片9を切除して収容すればよい。
【0025】
また、上記説明では、屋内配線時には、支持線56は不要となるため、光ファイバーケーブルCの支持線56の部分を切除して使用しているが、当初より支持線を有していなくて、光ファイバーが埋設されている部分が同一形状である光ファイバーケーブルを使用することも可能である。
【0026】
また、本発明に係るケーブル保持具を用いて光ファイバーケーブルを配線する壁面とは、建物の壁面、天井面及び床面、或いはパーティション(簡易間仕切り壁)の壁面等をいう。
【0027】
また、上記実施例では、基台Vと蓋体Lとはヒンジ連結されているために、その一方を紛失する恐れがないと共に、対応する基台Vと蓋体Lとをいちいち探す面倒も解消される利点があるが、本発明のケーブル保持具においては、基台と蓋体とは別体であってもよい。
【0028】
また、上記実施例では、基台と蓋体との双方にビス挿通孔が形成されて、当該基台と蓋体とが一体となった状態で、ビスを介して基台と蓋体との双方が壁面に固定される構成であるが、基台又は蓋体の一方のみがビスを介して壁面に固定される構成にしてもよい。ここで、蓋体のみが壁面に固定される場合とは、当該蓋体が壁面に接して、基台が手前側に配置される場合をいう。
【0029】
また、上記実施例のケーブル保持具は、光ファイバーケーブルを壁面に対して平行に配置して保持するものであるが、当該ケーブルを壁面に対して垂直に配置して保持するものであってもよい。そして、支持線を備えた光ファイバーケーブルは、断面視において長さの長い辺を含む平面内で曲げることは困難であるため、屋外から屋内にケーブルを引き込む部分においては、当該ケーブルを捩じって配線せざるを得ない場合がある。この場合においては、ケーブルの捩り配線部の前後では、壁面に対する配置は互いに直交していて、一方は壁面に平行に配置され、他方は壁面に垂直に配置されている。このため、壁面に対するケーブルの配置が平行な保持具と、垂直な保持具との2種類を用意しておいて、ケーブルの捩り配線部の前後は、異なる保持具で保持することにより、当該ケーブルを捩った状態で配線して、屋外から屋内に配線することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】(a),(b)は、本発明に係るケーブル保持具Hの非使用状態の正面及び背面の各斜視図である。
【図2】(a),(b)は、同様の状態の正面図、及び背面図である。
【図3】図2(a)のX−X線断面図である。
【図4】光ファイバーケーブルCを外壁面W1 に対して平行に配置して保持する場合において、基台Vの基本収容空間Kに光ファイバーケーブルCを部分的に収容した状態の斜視図である。
【図5】同じくケーブル保持具Hにより光ファイバーケーブルCを保持して外壁面W1 に沿って配線した状態の斜視図である。
【図6】同様の状態の横断面図である。
【図7】図6のY−Y線断面図である。
【図8】支持線56が切除された光ファイバーケーブルC’を基台Vの基本収容空間Kに収容した状態の斜視図である。
【図9】ケーブル保持具Hにより保持された光ファイバーケーブルC’を内壁面W2 に配線した状態の斜視図である。
【図10】同様の状態の横断面図である。
【図11】(a),(b)は、それぞれ架空配線部、及び屋内で使用される光ファイバーケーブルC及び同C’の断面図である。
【符号の説明】
【0031】
C:光ファイバーケーブル
C’:支持線が切除された光ファイバーケーブル
H:ケーブル保持具
K:基本収容空間(収容部)
L:蓋体
P:配線方向
V:基台
1 :外壁面
2 :内壁面
1:台座部(側壁部)
2:側壁部
9:保持片
10:支持線収容部
11:抜止め部
21:天板部
41:ヒンジ連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平状の光ファイバーケーブルを保持して壁面に沿って配線する際に用いられる保持具であって、
前記光ファイバーケーブルが収容される収容部を備えた基台と、当該基台に設けられた前記収容部の両側方が開口された状態で当該収容部の上面を覆う蓋体とから成り、
前記収容部における当該収容部を構成していて配線方向に沿って配置された対向側壁部の一方であって、高さ方向に沿って前記蓋体の天板部が配置される側に保持片が、他方の側壁部の側に向けて設けられ、
前記光ファイバーケーブルが支持線を有する場合には、当該光ファイバーケーブルは、前記支持線が前記収容部の保持片の下方に配置保持された状態で前記収容部に収容され、
前記光ファイバーケーブルが支持線を有しない場合には、当該光ファイバーケーブルは、前記収容部における保持片の先端部と前記保持片と対向する他方の側壁部との間に収容される構成であることを特徴とする光ファイバーケーブル保持具。
【請求項2】
前記光ファイバーケーブルは、壁面に対して平行に保持されることを特徴とする請求項1に記載の光ファイバーケーブル保持具。
【請求項3】
前記基台と蓋体とは、ヒンジ連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ファイバーケーブル保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−54697(P2010−54697A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218211(P2008−218211)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(000243803)未来工業株式会社 (550)
【Fターム(参考)】