説明

光ファイバーリングレーザージャイロ

【課題】リングレーザー装置構成のための複雑なアライメントを無くし、かつリングレーザーの発振の安定化をはかり、優れた固体リングレーザージャイロを提供することにある。
【解決手段】光ファイバーリングレーザー装置と、その光ファイバーリングレーザー装置から出力される光信号から角速度情報を取り出す光学式角速度情報取り出し装置とで構成する角速度検出部と、光学式角速度情報取り出し装置の出力信号を処理し、角速度の大きさと極性を算出する信号処理部及び光ファイバーリングレーザー装置を励起・発振させる励起光源部から構成されるものであって、前記光学式角速度情報取り出し装置は、前記光ファイバーリングレーザー装置からの2系統のオプティカルロードと、2つの直線偏向素子と、直線偏向光線結合器と、非偏向光線分岐器及び2つの光位相切り出し器とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は航空機やロケット等の姿勢方位基準装置や慣性航法装置の角速度・姿勢角センサーとして使用されるリングレーザージャイロに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機やロケット等の姿勢方位基準装置や慣性航法装置には従来電気で駆動される機械式ジャイロや光技術を応用したリングレーザージャイロ、光ファイバージャイロなどが使用されている。従来のリングレーザージャイロはレーザー発光媒体として、He-Neガスなどを使用するガスリングレーザージャイロ(GRLG)と固体レーザー素子を使用する固体リングレーザージャイロ(SRLG)に大別できる。
一方のGRLGは現在実用段階にあるが、レーザー媒質の利得が小さいために装置が大型となる。また、HeやNeガスを真空管に密閉・封入するための真空技術が必要とされ、短寿命、高消費電力等の問題がある。他方のSRLGは現在研究開発段階にあり、装置の小型化、長寿命化、低消費電力化、信頼性向上などの利点が上げられるが、3個以上のミラーと固体レーザー素子で構成されるリング共振器の精密なアライメントが必要であるなど製造作業が複雑であり、製造コストに問題がある。図3は本発明者が先に開発した既存のSRLG(特許文献1「光励起リングレーザージャイロ」)の模式図である。この特許文献1は角速度検出部のレーザー発振効率を高めると共に小型化ができ、且つ厳しい電磁干渉環境下に設置しても、電磁干渉を全く受けず、耐電磁干渉処置を必要としない耐電磁干渉性にすぐれた光励起リングレーザージャイロを得ることを目的としたもので、固体レーザー素子自身にリング共振器におけるミラー機能をもたせて構成したリングレーザー装置と光学式角速度情報取出装置とで角速度検出部を構成し、且つ該角速度検出部と光励起エネルギー/光信号伝送部を純光学部品で構成し、角速度検出部を電気系で構成される励起光源/信号処理部と、光ファイバーを介して接続することにより、電気的に分離するようにしたものである。
【0003】
また、特許文献2には、エルビウム(Er)等の希土類イオンをドーブした光ファイバー(利得ファイバー)によりリングレーザー装置を構成する型式の「固体媒質の光学的リング状レーザー回転センサー(以下、SRLRSと略す)」が開示されている。このSRLRSは、図4に示されるように光学的回転センサーが固体媒質内に形成された光増幅刺激放出リングレーザーから成り、位相変調器を備え、これがリング内の向流伝播光波のプッシュ−プル位相変調を生じ、それにより各方向内で単一長さモードでの2方向レーザー発光を強化する。周波数選択出力カプラーがレーザー発光周波数の光エネルギーの予定部分をリングから出力導波管に結合する。実質的にU字形の出力導波管がリングから反対方向に共通点へ延びる一対の脚を有する。時計回り及び反時計回り光波はリングから出力導波管の2つの脚に結合され、共通点へ導かれて光検出器上に干渉光パターンを造成するというものである。しかし、このSRLRSは利得ファイバーを用いてリングレーザー装置を構成するため、3個以上のミラーを便用してリング共振器を構成する必要がなくなり、複雑なアライメントを省略できる利点があるが、リングレーザー出力を用いて角速度の大きさや極性を求める信号処理方式が光ファイバーなどとの適合性にかける問題点がある。
【特許文献1】特開2000−275048号公報 「光励起リングレーザージャイロ」 平成12年10月6日公開
【特許文献2】特表平9−500720号公報 「固体媒質の光学的リング状レーザー回転センサー」 平成9年(1997)1月21日公表
【非特許文献1】稲場文男及び霜田光一、レーザーハンドブック、朝倉書店、1979年11月10日第4刷、PP579-580
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、利得ファイバーを便用してリングレーザー装置を構成し、従来の光励起リングレーザージャイロ(SRLG)等では必要であったリングレーザー装置構成のための複雑なアライメントを無くし、かつリングレーザーの発振の安定化をはかり、またSRLGで採用した光ファイバーとの良い適合性を備えた信号処理方式を採用することにより、優れた固体リングレーザージャイロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光ファイバーリングレーザージャイロは、光ファイバーリングレーザー装置と、その光ファイバーリングレーザー装置から出力される光信号から角速度情報を取り出す光学式角速度情報取り出し装置とで構成する角速度検出部と、光学式角速度情報取り出し装置の出力信号を処理し、角速度の大きさと極性を算出する信号処理部及び光ファイバーリングレーザー装置を励起・発振させる励起光源部から構成されるものであって、前記光学式角速度情報取り出し装置は、前記光ファイバーリングレーザー装置からの2系統のオプティカルロードと、2つの直線偏向素子と、直線偏向光線結合器と、非偏向光線分岐器及び2つの光位相切り出し器とから構成されるようにした。
また、光ファイバーリングレーザー装置は、2本のシングルモード光ファイバー、励起光を当該利得ファイバーに導入するための励起光カプラー及び光ファイバーリングレーザー装置の発振光を外部に取出すための出力カプラーをリング状に結合して構成し、励起光源からの励起光を光エネルギ伝送用光ファイバーを経由して、励起光カプラーを介して光ファイバーリングレーザー装置内部に導入することにより、リングレーザーを発振させるようにした。
【0006】
本発明の光ファイバーリングレーザージャイロの信号処理部は、2本の光信号伝送用光ファイバーと光/電気信号処理器から構成し、光学式角速度情報取り出し装置の出力信号Nl,N2を電気信号に変換し、加減算処理により、大きさ:N1と極性:N1−N2なる形態で入力角速度に対応する角速度情報を出力するようにした。
また、角速度検出部は、その構成要素である光ファイバーリングレーザー装置及び光学式角速度情報取り出し措置をそれぞれ同一基盤上で組立て、固着剤等で固定し、機械的、熱的外乱に対する変形を極力抑制する機能を備えるものとした。
また、本発明の光ファイバーリングレーザー装置を構成する2本のシングルモード光ファイバーは、少なくとも1本がレーザー媒質となる希土類イオンをコアーにドープした利得ファイバーを使用するものとした。
また、光ファイバーリングレーザー装置と光学式角速度情報取り出し装置の2つの直線偏向素子を光学的に接続する2系統のオプティカルロードは、2本のシングルモード光ファイバー若しくは2個の全反射ミラーを採用するようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明の光ファイバーリングレーザージャイロは、光学式角速度情報取り出し装置として、2本の通常シングルモード光ファイバーと、2つの直線偏向素子と、直線偏向光線結合器と、非偏向光線分岐器及び2つの光位相切り出し器とから構成されるようにしたものであるから、光ファイバーリングレーザー装置を使用することにより、従来の固体リングレーザージャイロにおいて必要であった3枚以上のミラーと固体レーザー素子で構成するリング共振器を省略でき、装置の更なる簡素化、小型化、低消費電力化、高信頼性化、コスト低減化などを図ることができるといった効果に加え、SRLGで採用した光ファイバーとの良い適合性を備えた信号処理方式を採用することにより、優れた固体リングレーザージャイロを提供することができる。
本発明の光ファイバーリングレーザージャイロにおける光学式角速度情報取り出し装置は、光ファイバーリングレーザー装置からの2系統のオプティカルロードと、2つの直線偏向素子と、直線偏向光線結合器と、非偏向光線分岐器及び2つの光位相切り出し器とから構成されるようにしたので、光ファイバーとの良い適合性を備えた信号処理方式を実現できる。
また、本発明の装置はソリッドステート(全固体形態)に製作でき、かつ製作に真空技術が不要のため、高耐環境性化、高信頼性化、長寿命化に有利である。
更に、本発明光ファイバーリングレーザージャイロは、角速度検出部を純光学系により構成し、電気系を含む信号処理部と励起光源部を光ファイバーで接続することにより、角速度検出部を厳しい電磁環境下に設置しても、角速度・姿勢角計測に対して電磁干渉を受けることなく使用することができる。
これらの効果の総合として優れた固体リングレーザージャイロを提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の1実施形態を模式図を図1に示す。本発明は角速度検出部1、信号処理部2及び励起光源部3から構成される。角速度検出部1は光ファイバーリングレーザー装置11及び光学式角速度情報取り出し装置12から構成し、それらを同一基盤:BF上で組立て固定し、機械的・熱的外乱に対する変形を極力抑制するものとする。光ファイバーリングレーザー装置11はイオンレーザー媒質であるエルビウム(Er3+)やイッテルビウム(Yb3+)等の希土類をコアーにドープしてなる2本のシングルモード光ファイバー(利得ファイバー:Gain Fiber Optics)GFO1及びGFO2、励起光を利得ファイバーに導入する励起光カプラーPOC(Pumping Optical Coupler)、光ファイバーリングレーザーの発振光を外部に取出す出力カプラーOOC(Output Optical Coupler)とから構成し、外部に配置した励起光源部3からの励起光を光エネルギ伝送用光ファイバーOF32(OF:Optica1 Fiber)及び励起光カプラーPOCを介して光ファイバーリングレーザー装置11内部に導入することにより、利得ファイバーGFO1及びGFO2の希土類イオンを励起し、その遷移光をリング形態で誘導放射させることにより、リングレーザーを発振させることができる。
【0009】
光ファイバーリングレーザー装置内で双方向に発振する右周りレーザー光(CW光)と左周りレーザー光(CCW光)を出力カプラーOOCを介して別個に取り出し、それらを光学式角速度情報取り出し装置12を介してCW光とCCW光の差分、すなわちビート周波数が得られるように処理すれば、リングレーザーのサニャック効果(ビート周波数はリング光路が囲む面の法線軸周りの入力角速度に比例する現象)により、入力角速度に比例した角速度情報を含む光信号N1、N2(相対位相が90度異なる光パルス信号)が得られる。N1、N2を光信号伝送用シングルモード光ファイバーOF21,OF22等を介して信号処理部2に伝送し、電気信号に変換して加減算処理すれば、入力角速度の大きさと極性に対応する角速度情報(角速度の大きさ△f:N1と極性:Nl−N2)が得られる。
【0010】
本発明の光ファイバーリングレーザージャイロは、上記のように角速度検出部1におけるリングレーザー装置として光ファイバーリングレーザー装置を用いるものであるが、その点だけでなく、そこから出力される光信号から角速度情報を取り出す光学式角速度情報取り出し装置12と、該装置の出力信号を処理して角速度の大きさと極性を算出する信号処理部2が組み合わされた点に特徴がある。この光学式角速度情報取り出し装置12は、2本の通常シングルモード光ファイバーSOF1,SOF2等を用いた光学路と、2つの直線偏向素子P1,P2と、直線偏向光線結合器PBSと、非偏向光線分岐器NBS及び2つの光位相切り出し器PC1,PC2とから構成され、出力カプラーOOCを介して別個に取り出された右周りレーザー光(CW光)と左周りレーザー光(CCW光)を2系統のオプティカルロードとしてのシングルモード光ファイバーSOF1と、SOF2を介して直線偏向素子P1と、P2へ導く。この2つの入力光は該直線偏向素子(λ/2素子)P1、P2により、それぞれ直線偏向光線p波及びs波にされ、さらに、それらを直線偏向光線結合器PBSによりCCW光の電気ベクトルが紙面に垂直方向の直線偏向光線であるp波と、CW光の電気ベクトルが紙面に平行方向の直線偏向光線であるs波の光線を合成し、さらにその合成光線を非偏向光線分岐器NBSにより二分し、それらをそれぞれ光位相切り出し器(λ/4素子)PC1,PC2により相対位相が90度になるように処理し、リングレーザーのサニャック効果による入力角速度に比例した角速度情報を含む光信号N1,N2を出力する。この光信号N1は光学式角速度情報取出し装置から出力される、p波の位相に対して45度異なる合成波の光パルス信号(△fに相当)であり、光信号N2は光学式角速度情報取出し装置から出力される、p波の位相に対して135度異なる合成波の光パルス信号である。N1−N2は>0または<0によって角速度の極性すなわち、回転方向を示す。
【0011】
本発明の光ファイバーリングレーザージャイロの角速度検出原理は、非特許文献1に示された次式に基づくものである。
△f=(4A/Lλ)Ω , L=Lp/n
ここに、△f:光ファイバーリングレーザー装置の出力CW光とCCW光のビート周波数(N1に相当し、単位はHz)
A:図1における光ファイバーリングレーザー装置のリング光路が囲む面積(単位:m2)
L:リング光路の光学的長さ(単位:m)
Lp:リング光路の機械的長さ(単位:m)
n:リング利得ファイバーコアーの屈折率
λ:リングレーザー発振波長(単位:m)
Ω:A面の垂直軸まわりの入力角速度(単位:ラジアン/秒)
したがって、本リングレーザージャイロは△fを測定することにより、Ωを求めることが出来る。
【0012】
信号処理部2は、光信号伝送用シングルモード光ファイバーOF21、OF22及び光/電気信号変換・処理器22から構成し、光学式角速度情報取り出し装置の出力信号N1、N2を電気信号に変換し、加減算処理により、入力角速度に対応する角速度情報(大きさ:N1と極性:N1-N2)を出力する。
また、角速度検出部1はその構成要素である光ファイバーリングレーザー装置11及び光学式角速度情報取り出し措置12を同一基盤BF上で組立て、固着剤等で固定し、機械的、熱的外乱に対する変形を極力抑制するものとする。
励起光源部3は利得ファイバーの光吸収波長を備えた励起光を出力する励起光源LD及び励起光を光ファイバーリングレーザー装置に導くための光エネルギ伝送用光ファイバーOF32から構成される。
【0013】
図2に本発明の1軸型光ファイバーリングレーザージャイロの他の実施形態例を示す。本実施形態のOFRLGは角速度検出部1、信号処理部2及び励起光源部3から構成される。角速度検出部1は、光ファイバーリングレーザー装置11と光学式角速度情報取り出し措置12から構成される。光ファイバーリングレーザー装置11はレーザー媒質となるEr3+やYb3+等の希土類イオンをコアーにドープした2本のシングルモード光ファイバーGFO1及GFO2、励起光を利得ファイバーに導入するための励起光カプラーPOC及び光ファイバーリングレーザーの一部を外部に取出すための出力カプラーOOCから構成し、外部に配置した励起光源部3からの励起光が光エネルギ伝送用光ファイバーOF32を経由して、POCを介して光ファイバーリングレーザー装置11内部に導入することにより、利得ファイバーの希土類イオンを励起し、その遷移光をリング形態で誘導放射させることにより、リングレーザーを発振させることができる点は先の例と同様である。
【0014】
前記光ファイバーリングレーザー装置11からの出力の2系統のオプティカルロードにおいて、2本の通常のシングルモード光ファイバー:SOF1、SOF2に代えて光学ミラーM1,M2を採用した点が先の例と異なるところである。また、光学式角速度情報取出し装置12が2つの直線偏向素子(λ/2素子)P1、P2、直線偏向光線結合器PBS、非偏向光線分岐器NBS及び2つの光位相切り出し器(λ/4素子)PC1、PC2から構成され、OOCから得られた光ファイバーリングレーザー装置の出力CW光、CCW光をそれぞれシングルモード光ファイバーを介してP1及びP2に伝送し、P1、P2により、それぞれ直線偏向光線p波及びs波にし、それらをPBSによりp波とs波の合成光線にし、さらにその合成光線をNBSにより二分して、それらをPC1及びPC2により、それぞれの相対位相差が90度になるように処理し、リングレーザーのサニャック効果による入力角速度に比例した角速度情報を含む光信号N1、N2を出力する点は先の例と同様である。2系統のオプティカルロードの構成として、2本の通常のシングルモード光ファイバーを用いることは外乱の混入防止や検出光の減衰が少ない点、更には2つの直線偏向素子P1、P2の配置の自由度を考慮すると有利であるが、必須の構成というわけではなく、高価なシングルモード光ファイバーに代えて光学ミラーM1、M2を採用しても本発明の所期の目的は達成できる。
【0015】
上記の実施形態では光ファイバーリングレーザー装置を構成する2本のシングルモード光ファイバーは、2本ともレーザー媒質となる希土類イオンをコアーにドープした利得ファイバーを使用したものを示したが、この構成はより高いゲインで検出信号が得られる点で有利な構成であるが、必ずしも必須の構成ではなく、高価である利得ファイバーを1本だけ使用した構成であってもそれなりの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の光ファイバーリングレーザージャイロの1つの実施形態例を示す図である。
【図2】本発明の光ファイバーリングレーザージャイロの他の実施形態例を示す図である。
【図3】既存の「光励起リングレーザージャイロ」の構成を示す模式図である。
【図4】公知の光ファイバーを用いた「固体媒質の光学的リング状レーザー回転センサー」を示す図である。
【符号の説明】
【0017】
1 角速度検出部 11 光ファイバーリングレーザー装置
12 光学式角速度情報取り出し装置 2 信号処理部
22 光/電気信号変換・処理器 3 励起光源部
LD 励起光源 POC 励起光カプラー
OOC 出力カプラー P1,P2 直線偏向素子(λ/2素子)
GFO1,GFO2,SOF1,SOF2,OF21,OF22,OF32 シングルモード光ファイバー
PBS 直線偏向光線結合器 NBS 非偏向光線分岐器
PC1,PC2 光位相切り出し器 BF 基盤
M1,M2 光学ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバーリングレーザー装置と、その光ファイバーリングレーザー装置から出力される光信号から角速度情報を取り出す光学式角速度情報取り出し装置とで構成する角速度検出部と、光学式角速度情報取り出し装置の出力信号を処理し、角速度の大きさと極性を算出する信号処理部及び光ファイバーリングレーザー装置を励起・発振させる励起光源部から構成されるものであって、前記光学式角速度情報取り出し装置は、前記光ファイバーリングレーザー装置からの2系統のオプティカルロードと、2つの直線偏向素子と、直線偏向光線結合器と、非偏向光線分岐器及び分岐路に2つの光位相切り出し器を順次配置して構成されたものである光ファイバーリングレーザージャイロ。
【請求項2】
光ファイバーリングレーザー装置は、2本のシングルモード光ファイバー、励起光を当該シングルモード光ファイバーに導入するための励起光カプラー及び光ファイバーリングレーザー装置の発振光を外部に取出すための出力カプラーをリング状に結合して構成し、励起光源からの励起光を光エネルギ伝送用光ファイバーを経由して、励起光カプラーを介して光ファイバーリングレーザー装置内部に導入することにより、リングレーザーを発振させる請求項1に記載の光ファイバーリングレーザージャイロ。
【請求項3】
信号処理部は、2本の光信号伝送用光ファイバーと光/電気信号処理器から構成し、光学式角速度情報取り出し装置の出力信号Nl,N2を電気信号に変換し、加減算処理により、大きさ:N1と極性:N1−N2なる形態で入力角速度に対応する角速度情報を出力することを特徴とする請求項1または2に記載の光ファイバーリングレーザージャイロ。
【請求項4】
角速度検出部は、その構成要素である光ファイバーリングレーザー装置及び光学式角速度情報取り出し措置をそれぞれ同一基盤上で組立て、固着剤等で固定し、機械的、熱的外乱に対する変形を極力抑制する機能を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ファイバーリングレーザージャイロ。
【請求項5】
光ファイバーリングレーザー装置を構成する2本のシングルモード光ファイバーは、少なくとも1本がレーザー媒質となる希土類イオンをコアーにドープした利得ファイバーを使用したものである請求項1乃至4のいずれかに記載の光ファイバーリングレーザージャイロ。
【請求項6】
光ファイバーリングレーザー装置と光学式角速度情報取り出し装置の2つの直線偏向素子を光学的に接続する2系統のオプティカルロードは、2本のシングルモード光ファイバー若しくは2個の全反射ミラーを採用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光ファイバーリングレーザージヤイロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−64583(P2008−64583A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242275(P2006−242275)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(503361400)独立行政法人 宇宙航空研究開発機構 (453)
【Fターム(参考)】