光モジュール、および光分析装置
【課題】分解能の低下を抑制できる光モジュール、および光分析装置を提供する。
【解決手段】測色センサーは、固定反射膜56を有する固定基板51、固定基板51に対向し、可動反射膜57を有する可動基板52、および固定基板51に設けられた第一電極544を備えた波長可変干渉フィルター5と、モジュール基板30と、波長可変干渉フィルター5およびモジュール基板30を接合する異方性導電層301を備え、固定基板51は、モジュール基板30に対向する固定対向電極516Aと、第一電極544および固定対向電極516Aを電気的に接続する導電接続部516と、を有し、モジュール基板30は、固定対向電極516Aに対向するモジュール電極302を有し、異方性導電層301は、固定対向電極516Aと、モジュール電極302とを導通させる。
【解決手段】測色センサーは、固定反射膜56を有する固定基板51、固定基板51に対向し、可動反射膜57を有する可動基板52、および固定基板51に設けられた第一電極544を備えた波長可変干渉フィルター5と、モジュール基板30と、波長可変干渉フィルター5およびモジュール基板30を接合する異方性導電層301を備え、固定基板51は、モジュール基板30に対向する固定対向電極516Aと、第一電極544および固定対向電極516Aを電気的に接続する導電接続部516と、を有し、モジュール基板30は、固定対向電極516Aに対向するモジュール電極302を有し、異方性導電層301は、固定対向電極516Aと、モジュール電極302とを導通させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定波長の光を取得する波長可変干渉フィルターを備えた光モジュール、および光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数波長の光から、特定波長の光を取り出す波長可変干渉フィルター(光フィルター素子)を備えた光学装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の波長可変干渉フィルター(光学フィルター装置)は、可動部(第1部分)、および可動部を支持するダイヤフラム(第2部分)を備えた第1基板と、第1基板に対向する第2基板とを備えている。また、第1基板の可動部には、可動ミラーが形成され、第2基板の可動部に対向する面には、固定ミラーが形成されている。そして、第1基板および第2基板には、それぞれリング状の電極が設けられ、これらの電極から各基板の外周縁に向かってそれぞれ引き出し配線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の波長可変干渉フィルターを、光学装置の基板やケース等に固定する際に、波長可変干渉フィルターの基板に撓みが生じる場合がある。また、基板やケースに組み込まれた波長可変干渉フィルターの各引き出し電極に対して、配線を接続する必要があり、この配線作業時に、基板に応力が加わって、基板に撓みが生じる場合がある。
このように、基板に撓みが生じると、一対の反射膜の平行性を維持することができず、波長可変干渉フィルターの分解能が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みて、分解能の低下を抑制できる光モジュール、および光分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光モジュールは、第一基板と、前記第一基板に対向する第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜とギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板の前記第二基板に対向する基板対向面に設けられた第一電極と、を備えた波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターを固定する固定部と、前記波長可変干渉フィルターの前記基板対向面とは反対側の固定対向面、および前記固定部の間に設けられ、前記波長可変干渉フィルターを前記固定部に接合する異方性導電層と、を備え、前記第一基板は、前記固定部に対向する固定対向面に設けられた固定対向電極と、前記第一電極および前記固定対向電極を電気的に接続する導電接続部と、を有し、前記固定部は、前記固定対向電極に対向する第三電極を有し、前記異方性導電層は、前記固定対向電極と、前記第三電極とを導通することを特徴とする。
【0008】
この発明では、第一基板の基板対向面に設けられた第一電極は、固定対向面上に形成された固定対向電極に接続され、この固定対向電極は、異方性導電部材により固定部に接合されることで、固定対向電極に対向した固定部の第三電極に電気的に接続されている。
ここで、異方性導電層としては、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)や、ACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電膜)が挙げられ、互いに対向する電極同士を接着するための接着剤と、この接着剤中に均一に拡散された導電粒子とを備えた層である。このような異方性導電層では、押圧により接着剤中の導電粒子が接触するため、押圧方向に沿って導電性が生じる。
本発明では、波長可変干渉フィルターと固定部との間にこのような異方性導電層が設けられているため、波長可変干渉フィルターおよび固定部を互いに近接する方向に押圧することで、波長可変干渉フィルターの固定対向電極と、固定部の第三電極とを導通させることができる。このため、波長可変干渉フィルターに直接配線作業を実施する必要がなく、第三電極から波長可変干渉フィルターの第二電極に電力を供給することができる。
また、例えば波長可変干渉フィルターの側縁をケース等に設けられた剛性が強い係止部により保持する場合、係止部の保持力により波長可変干渉フィルターの基板に撓みが生じるおそれがある。これに対して、上記のような異方性導電層を用いる場合では、固定部上に設けられた異方性導電層の上に、波長可変干渉フィルターを載置して僅かに押圧するだけで、波長可変干渉フィルターを固定部に接着固定することができる。この場合、固定時に係る波長可変干渉フィルターへの応力が小さく、波長可変干渉フィルターの撓みを抑制することができる。
【0009】
本発明の光モジュールでは、前記第一基板は、前記第一電極が形成された領域の少なくとも一部に、基板厚み方向を貫通した貫通孔を備え、前記導電接続部は、前記貫通孔を通って前記第一電極と前記固定対向電極とを接続することが好ましい。
【0010】
導通接続部としては、例えば第一基板の外周側面を伝って、第一電極と固定対向電極とを接続する構成としてもよい。しかしながら、第一基板を製造する場合、複数の第一基板を1つのウエハー内に複数形成し、それらをカットして1つの第一基板を取り出す場合がある。このような場合、第一基板をカットした後、再び第一基板の外周側面に導電接続部を形成する必要があり、製造効率が低下し、コスト的にも不利となる。
これに対して、本発明では、第一基板に貫通孔が設けられ、この貫通孔を通る導電接続部が設けられる。このような構成では、ウエハーから第一基板をカットする前に導電接続部が形成されるため、カット後の処理が不要となり、製造効率を向上させることができ、コスト的にも有利となる。
【0011】
本発明の光モジュールでは、前記導電接続部は、前記貫通孔に充填された導電部材であり、前記導電部材の前記貫通孔から前記固定対向面に対向して臨む面により前記固定対向電極が構成されたことが好ましい。
【0012】
本発明では、第一基板に設けられた貫通孔に導電部材を充填させることで、第一電極と導電部材とを確実に電気的に接続することができる。また、別途設けられた固定対向電極と導電接続部を接続する場合、その接続信頼性を確保する必要があるが、本発明では、貫通孔に充填された導電部材の固定部に対向する面が固定対向電極を構成するため、導電接続部と固定対向電極との接続信頼性を考慮する必要がなく、導電部材により確実に第一電極と固定対向電極とを導通状態にすることができる。
【0013】
本発明の光モジュールでは、前記第二基板の前記第一基板に対向する面で、前記第一電極に対向した第二電極と、前記第一電極および前記第二電極を電気的に接続する導電部と、を備えたことが好ましい。
【0014】
この発明では、第二基板に設けられた第二電極が導電部により第一電極に接続されている。また、上記発明のように、第一電極は導電接続部により固定対向電極と接続され、この固定対向電極が異方性導電層により固定部の第三電極に接続されている。このため、第二基板に設けられた第二電極に対しても、配線作業等を実施することなく、容易に固定部の第三電極に接続することができる。
【0015】
本発明の光モジュールでは、前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板および前記第二基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記固定対向面の前記第一反射膜および前記第二反射膜と重ならない領域を覆って設けられたことが好ましい。
【0016】
波長可変干渉フィルターには、第一反射膜および第二反射膜により多重干渉された光を反射させる反射型フィルターと、多重干渉された光を透過させる透過型フィルターとがあるが、特に透過型フィルターの場合、透過された光の通過部を設ける必要がある。本発明では、平面視において、第一反射膜および第二反射膜と重なる領域に異方性導電層が設けられていないため、この部分に透過型フィルターを透過した光を通すことができる。
【0017】
本発明の光モジュールでは、前記固定対向電極および前記第三電極は、複数設けられ、
前記異方性導電層は、互いに対向する前記固定対向電極および前記第三電極の組に対応してそれぞれ設けられたことが好ましい。
【0018】
異方性導電層としては、波長可変干渉フィルターの固定部に対向する面の全面に対して設けられる構成としてもよいが、波長可変干渉フィルターに複数の固定対向電極が設けられる構成では、各固定対向電極に対向する位置のみに設けられていてもよい。このような構成とすることで、波長可変干渉フィルターとして透過型フィルターを用いた場合でも、透過した光が異方性導電層によって阻害されることなく、透過光を導くことができる。
また、異方性導電層を波長可変干渉フィルターの全面に対して設ける場合、固定対向電極が設けられる位置のみを押圧したとしても、固定対向電極が設けられていない部分に対して異方性導電層による応力が加わるおそれがある。これに対して、固定対向電極が設けられる位置のみに異方性導電層を設ける場合、固定対向電極と重ならない領域では、異方性導電層による第一基板への応力がなく、第一基板の撓みをより確実に防止できる。
【0019】
そして、上記発明において、前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記第一反射膜の中心点を中心とした仮想円上で、前記中心点に対して等角度間隔に配置されたことが好ましい。
【0020】
この発明では、異方性導電層により第一基板に応力が加わったとしても、これらの応力が第一基板に対して均等に加わることとなり、第一基板の撓みをより確実に防止できる。
【0021】
本発明の光分析装置は、上述したような光モジュールと、前記光モジュールに接続された制御装置と、を具備し、前記光モジュールは、前記波長可変干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部を備え、前記制御装置は、前記検出部により検出された光に基づいて、前記光の光特性を分析する分析処理部を備えたことを特徴とする。
【0022】
ここで、光分析装置としては、上記のような光モジュールから出力される電気信号に基づいて、光モジュールに入射した光の色度や明るさなどを分析する光測定器、ガスの吸収波長を検出してガスの種類を検査するガス検出装置、受光した光からその波長の光に含まれるデータを取得する光通信装置などを例示することができる。
この発明では、光分析装置は、上述したような光モジュールを備えている。光モジュールは、上記のように、波長可変干渉フィルターを固定部に固定した時の撓みを抑制することができ、波長可変干渉フィルターにより分解能の高い光を取り出すことができる。また、光モジュールは、検出部により、このような高分解能で取り出された光を検出することができるので、測定対象となる光の正確な光量を取得することができる。
したがって、このような光モジュールを備えた光分析装置では、光モジュールにより取得された正確な光量に基づいて、正確な光分析処理を実施することができる。また、光モジュールの配線信頼性が高いため、光分析装置における装置信頼性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る第一実施形態の測色装置(光分析装置)の概略構成を示す図である。
【図2】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−O−A´線に沿う波長可変干渉フィルターの断面図である。
【図4】第一実施形態の波長可変干渉フィルターにおける固定基板を可動基板側から見た平面図である。
【図5】第一実施形態の波長可変干渉フィルターにおける可動基板を固定基板側から見た平面図である。
【図6】波長可変干渉フィルターの固定電極パッドの近傍を拡大した拡大断面図である。
【図7】第一実施形態において、波長可変干渉フィルターに対して、異方性導電層が設けられる位置を示す平面図である。
【図8】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの固定基板の製造工程を示す図である。
【図9】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの可動基板の製造工程を示す図である。
【図10】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの固定基板および可動基板を接合する接合工程を示す図である。
【図11】第二実施形態の測色センサーにおいて、波長可変干渉フィルターに対して異方性導電層が設けられる位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の全体構成〕
図1は、本発明に係る第一実施形態の測色装置(光分析装置)の概略構成を示す図である。
この測色装置1は、本発明の光分析装置であり、図1に示すように、測定対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールである測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を測定対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち測定対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0025】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、測定対象Aに対して白色光を射出する。複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれていてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから測定対象Aに向かって射出する。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば測定対象Aが発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0026】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、本発明の光モジュールを構成する。この測色センサー3は、図1に示すように、本発明の固定部であるモジュール基板30に固定された波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光して検出する検出部31と、波長可変干渉フィルター5に駆動電圧を印加する電圧制御部32と、を備えている。また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、測定対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、検出部31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0027】
(3−1.波長可変干渉フィルターの構成)
図2は、波長可変干渉フィルター5を基板厚み方向から見た平面視における平面図であり、図3は、図2におけるA−O−A´線に沿う波長可変干渉フィルター5の断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、本発明の第一基板である固定基板51、および本発明の第二基板である可動基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの2つの基板51,52は、外周部近傍に形成される接合面513,523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などの接合膜513A,523Aにより接合されることで、一体的に構成されている。
【0028】
固定基板51には、本発明の第一反射膜を構成する固定反射膜56が設けられ、可動基板52には、本発明の第二反射膜を構成する可動反射膜57が設けられている。ここで、固定反射膜56は、固定基板51の可動基板52に対向する面(基板対向面)に固定され、可動反射膜57は、可動基板52の固定基板51に対向する面に固定されている。また、これらの固定反射膜56および可動反射膜57は、ギャップを介して対向配置されている。
さらに、固定基板51と可動基板52との間には、固定反射膜56および可動反射膜57の間のギャップの寸法を調整するための静電アクチュエーター54が設けられている。この静電アクチュエーター54は、固定基板51側に設けられる本発明の第一駆動電極としての固定電極541と、可動基板52側に設けられる本発明の第二駆動電極としての可動電極542とを備えている。
また、波長可変干渉フィルター5を各基板51,52の基板厚み方向から見た図2に示すような平面視において、各基板51,52の中心点Oは、固定反射膜56,可動反射膜57の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致する。
【0029】
(3−1−1.固定基板の構成)
図4は、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5における固定基板51を可動基板52側から見た平面図である。
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材を加工することで形成される。具体的には、図3、および図4に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極形成溝511および反射膜固定部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極541および可動電極542間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極541の内部応力による固定基板51の撓みはない。なお、本実施形態では、固定基板51の可動基板52に対向しない側の面が測色センサー3のモジュール基板30に固定される面となる。
【0030】
電極形成溝511は、図4に示すように、平面視で、固定基板51の平面中心点を中心とした円形に形成されている。反射膜固定部512は、前記平面視において、電極形成溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成される。
また、固定基板51には、電極形成溝511から、固定基板51の外周縁の各頂点C1,C2,C3,C4方向に向かって延出する4つの電極引出溝514が設けられている。
【0031】
そして、固定基板51の電極形成溝511の溝底部である電極形成面511Aには、固定電極541が形成されている。
この固定電極541は、図4に示すように、第一固定電極541Aと、第二固定電極541Bとを備えている。
第一固定電極541Aは、固定基板51を基板厚み方向から見た平面視(固定基板51を可動基板52側から見た平面視)において、固定反射膜56の中心を中心点Oとした仮想円Q1に沿って、円環状に形成されている。
第二固定電極541Bは、固定基板51を基板厚み方向から見た平面視において、仮想円Q1と同心円であり、仮想円Q1より径寸法が大きい仮想円Q2に沿って、C字状に形成されている。そして、第二固定電極541Bは、固定基板51の頂点C4に対向する部分がC字開口部となる。
これらの第一固定電極541Aおよび第二固定電極541B上には、固定電極541および可動電極542の間の放電を防止するための絶縁膜が積層されている。
【0032】
そして、第一固定電極541Aからは、本発明の第一電極を構成する第一固定引出電極543Aが延出し、第二固定電極541Bからは、本発明の第一電極を構成する第二固定引出電極543Bが延出している。
第一固定引出電極543Aは、第一固定電極541Aの外周縁のうち頂点C4に最も近接する位置から、第二固定電極541BのC字開口部、および固定基板51の頂点C4側に設けられた電極引出溝514を通って、固定基板51の頂点C4まで延出する。この第一固定引出電極543Aの先端部(固定基板51の頂点C4に位置する部分)は、第一固定引出電極543Aの電極引出溝514上に位置する部分に比べて、幅方向が大きく形成され、固定電極パッド543Pを構成する。
【0033】
また、第二固定引出電極543Bは、第二固定電極541Bの外周縁のうち頂点C2に最も近接する位置から、固定基板51の頂点C2側に設けられた電極引出溝514を通り、固定基板51の頂点C2まで延出する。この第二固定引出電極543Bの先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、第二固定引出電極543Bの電極引出溝514上に位置する部分に比べて、幅方向が大きく形成され、固定電極パッド543Pを構成する。
【0034】
そして、固定基板51には、電極形成溝511から固定基板51の頂点C1,C3に向かう方向に形成された電極引出溝514に、それぞれ、本発明の第一電極を構成する第一対向電極544が設けられている。これらの第一対向電極544は、第一固定電極541Aや第二固定電極541Bとは絶縁されている。また、これらの第一対向電極544の先端部(固定基板51の頂点C1、C3に位置する部分)は、第一固定引出電極543Aの電極引出溝514上に位置する部分に比べて、幅方向が大きく形成され、第一対向電極パッド544Pを構成する。
【0035】
このような構成では、上述したように、第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および第一対向電極544が、それぞれ、本発明の第一電極を構成し、これらは、中心点Oに対して等角度間隔(90度間隔)となるように配置される。
【0036】
反射膜固定部512は、上述したように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる円柱状に形成されている。なお、本実施形態では、図3に示すように、反射膜固定部512の可動基板52に対向する反射膜固定面512Aが、電極形成面511Aよりも可動基板52に近接して形成される例を示すが、これに限らない。電極形成面511Aおよび反射膜固定面512Aの高さ位置は、反射膜固定面512Aに固定される固定反射膜56、および可動基板52に形成される可動反射膜57の間のギャップの寸法、固定電極541および可動電極542の間の寸法、固定反射膜56や可動反射膜57の厚み寸法により適宜設定される。したがって、例えば、電極形成面511Aと反射膜固定面512Aとが同一面に形成される構成や、電極形成面511Aの中心部に、円柱凹溝上の反射膜固定溝が形成され、この反射膜固定溝の底面に反射膜固定面が形成される構成などとしてもよい。
【0037】
そして、反射膜固定面512Aには、円形状に形成される固定反射膜56が固定されている。この固定反射膜56としては、金属の単層膜により形成されるものであってもよく、誘電体多層膜により形成されるものであってもよく、さらには、誘電多層膜上にAg合金が形成される構成などとしてもよい。金属単層膜としては、例えばAg合金の単層膜を用いることができ、誘電体多層膜の場合は、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いることができる。
【0038】
さらに、固定基板51は、基板対向面とは反対側の面(固定対向面)において、固定反射膜56に対応する位置に図示略の反射防止膜が形成されている。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成され、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0039】
そして、固定基板51は、基板厚み方向から見た平面視において、第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および第一対向電極544と重なる位置に、基板対向面から固定対向面までを貫通する貫通孔515を備えている。より具体的には、固定基板51の貫通孔515は、各固定電極パッド543Pの中心と重なる位置、および第一対向電極パッド544Pの中心と重なる位置にそれぞれ設けられている。
この貫通孔515には、導電接続部516が充填されている。導電接続部516としては、例えばAgなどの金属等、導電性を有する部材であれば特に限定されない。この導電接続部516は、それぞれ、固定基板51の基板対向面に設けられた電極パッド543P(544P)に接触し、導通している。
また、導電接続部516のモジュール基板30に対向する面は、本発明の固定対向電極516Aを構成する。
【0040】
(3−1−2.可動基板の構成)
図5は、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5における可動基板52を固定基板51側から見た平面図である。なお、図5において、1点鎖線は、固定基板51の外周縁を示す。
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、可動基板52は、図2、図5に示すような平面視において、基板中心点を中心とした円形の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、を備えている。
また、可動基板52には、図2および図5に示すように、固定基板51の各頂点C1,C2,C3,C4に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5の可動基板52側から見た面に固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pが露出する。
【0041】
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。また、可動部521は、反射膜固定部512に平行な可動面521Aを備え、この可動面521Aに、固定反射膜56とギャップを介して対向する可動反射膜57が固定されている。
ここで、この可動反射膜57は、上述した固定反射膜56と同一の構成の反射膜が用いられる。
【0042】
さらに、可動部521は、固定対向面において、可動反射膜57に対応する位置に図示略の反射防止膜が形成されている。この反射防止膜は、固定基板51に形成される反射防止膜と同様の構成を有し、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成される。
【0043】
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイヤフラムであり、例えば厚み寸法が50μmに形成され、可動部521よりも厚み方向に対する剛性が小さく形成されている。
このため、保持部522は可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により固定基板51側に撓ませることが可能となる。この際、可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、静電引力により可動基板52を撓ませる力が作用した場合でも、可動部521の撓みはほぼなく、可動部521に形成された可動反射膜57の撓みも防止できる。
【0044】
そして、この保持部522の固定基板51に対向する面には、固定電極541と、初期状態において約1μmの隙間を介して対向する、本発明の第二駆動電極を構成する可動電極542が形成されている。
この可動電極542は、図5に示すように、可動部521の中心点Oを中心とした仮想円Q1に沿うリング状に形成された第一可動電極542Aと、可動部521の中心点Oを中心とし、仮想円Q1よりも径大となる仮想円Q2に沿うリング状に形成された第二可動電極542Bと、を備えている。
そして、図2に示すように、平面視において、第一可動電極542Aは、第一固定電極541Aと重なる位置に設けられ、第二可動電極542Bは、第二固定電極541Bと重なる位置に設けられる。
【0045】
これらの第一可動電極542Aおよび第二可動電極542Bは、図2に示すように、頂点C1,C3を結ぶ対角線および頂点C2,C4を結ぶ対角線に沿って形成される接続線545により接続されている。また、第二可動電極542Bの外周縁からは、頂点C1方向、および頂点C2方向に向かって、本発明の第二電極を構成する一対の共通引出電極546が延出している。すなわち、共通引出電極546は、第一対向電極544に対向して設けられている。この共通引出電極546の先端部は、第一対向電極544の第一対向電極パッド544Pに対向する共通電極パッド546Pを構成する。
【0046】
そして、可動基板52は、第一固定引出電極543Aおよび第二固定引出電極543Bに対向する位置に、それぞれ第二対向電極547を備えている。これらの第二対向電極547は、可動電極542とは絶縁されている。また、これらの第二対向電極547の先端部は、固定電極パッド543Pに対向する第二対向電極パッド547Pを構成する。
【0047】
このような構成では、上述したように、共通引出電極546および第二対向電極547が、それぞれ、本発明の第二電極を構成し、これらは、中心点Oに対して等角度間隔となるように配置される。
【0048】
なお、本実施形態では、図2、図4、図5に示すように、平面視において、各電極パッド543P,544P,546P,547Pが、それぞれ、引出電極543A,543B,546、対向電極544,547の電極線幅よりも大きくなる構成を例示したが、例えば、同じ線幅に形成される構成などとしてもよい。
【0049】
そして、本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、図2、および図3に示すように、固定基板51および可動基板52の間に、互いに対向する電極パッドの面同士を接続する導電部55が設けられる。具体的には、波長可変干渉フィルター5は、互いに固定電極パッド543Pおよび第二対向電極パッド547Pを接続する導電部55と、互いに対向する第一対向電極パッド544Pおよび共通電極パッド546P同士を接続する導電部55と、を備えている。
この導電部55としては、導電性を有し、パッド間の導通をとれるものであればいかなるものを用いてもよいが、電気抵抗値が小さく、かつ導電性接着剤としても機能するAgペーストを用いることが好ましい。
なお、導電部55としては、固定基板51および可動基板52の外周側面にAgペーストが注入されて、互いに対向する電極パッド543P,547P(544P,546P)の間に入り込んだ構成などとしてもよい。
【0050】
(3−1−3.波長可変干渉フィルターの固定)
次に、上記のような波長可変干渉フィルター5のモジュール基板30への固定について説明する。図6は、波長可変干渉フィルター5の固定電極パッド543P近傍を拡大した断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3、図6に示すように、固定基板51とモジュール基板30との間に異方性導電層301を設けることで接着固定される。
モジュール基板30には、固定基板51の導電接続部516の固定対向電極516Aに対向する位置に、本発明の第三電極であるモジュール電極302が設けられている。このモジュール電極302は、図示略の引出線が設けられ、引出線の端部に設けられた端子部から電圧制御部32に接続されている。
【0051】
図7は、本実施形態において、波長可変干渉フィルター5に対して、異方性導電層301が設けられる位置を示す平面図である。図7において、破線は、波長可変干渉フィルター5の固定基板51の外形、反射膜56,57が設けられる位置、固定電極パッド543P、第一対向電極パッド544P、および導電接続部516の位置を示す。また、一点鎖線は、モジュール基板30、およびモジュール基板30上に設けられるモジュール電極302を示す。さらに、実線は、異方性導電層301を示す。
【0052】
本実施形態の波長可変干渉フィルター5は、可動基板52側から入射した測定光を反射膜56,57間で多重干渉させ、互いに強め合った特定波長の光が固定基板51側に透過されて射出される透過型フィルターである。したがって、モジュール基板30には、透過された光を検出部31に導くための導光部303が設けられている。
なお、この導光部303としては、例えばモジュール基板30を貫通する孔部が設けられる構成としてもよく、凹部が形成され、この凹部に検出部31が設けられる構成などとしてもよい。また、モジュール基板30が、測定対象となる波長域に対して透過性を有する素材により形成されている場合では、導光部303が設けられない構成としてもよい。
【0053】
そして、異方性導電層301は、図7に示すような波長可変干渉フィルター5を基板厚み方向から見た平面視において、波長可変干渉フィルター5のモジュール基板30に対向する面内で、反射膜56,57、および導光部303と重なる位置を除く部分を覆って設けられている。
この異方性導電層301は、例えばACFやACPであり、熱可塑性樹脂等により構成される接着剤中に、導電性粒子が均等に分散した層である。このような異方性導電層301は、所定方向に押圧することで、押圧方向において導電性粒子が互いに接触し、これらの導電性粒子の接触により押圧方向に沿って導電性が発生し、これ以外の方向には導電性は発生しない。
したがって、モジュール基板30上の異方性導電層301に、波長可変干渉フィルター5を載置し、波長可変干渉フィルター5を異方性導電層301側に押圧すると、導電接続部516の固定対向電極516Aと、モジュール電極302とが、異方性導電層301により導通される。
【0054】
この時、波長可変干渉フィルター5の可動基板52には、図3、図6に示すように、切欠部524が形成されており、固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pが設けられる固定基板51の頂点部分のみが突出した形状となっている。したがって、この固定基板51の頂点部分のみを把持して、波長可変干渉フィルター5を異方性導電層301上に載置、押圧することで可動基板52への応力付加を防止できる。つまり、可動基板52には、可動部521および保持部522が設けられ、外部応力に対して撓みやすい形状に形成されており、外部応力等が加わることで、可動部521が傾斜して可動反射膜57と固定反射膜56との平行性が維持できなくなるおそれがある。これに対して、上記のように、可動基板52よりも厚み寸法が大きく形成され、可動基板52よりも剛性が大きい固定基板51を把持、押圧することで、可動基板52に対する応力を防止することができる。
また、固定基板51の固定電極パッド543P、第一対向電極パッド544Pを押圧することで、固定対向電極516Aとモジュール電極302との間の異方性導電層301に押圧力が加わり、押圧方向に分散している導電性粒子同士が接触することで固定対向電極516Aとモジュール電極302とを確実に導通させることができる。
【0055】
(3−2.電圧制御手段の構成)
電圧制御部32は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター54に印加する電圧を制御する。
具体的には、電圧制御部32は、第一固定電極541Aに電圧を印加するための第一駆動電圧源(図示略)と、第二固定電極541Bに電圧を印加するための第二駆動電圧源(図示略)と、を備えている。また、電圧制御部32は、第一可動電極542Aおよび第二可動電極542Bに0電位を付与するためのGND回路(図示略)を備えている。
これにより、第一固定電極541Aおよび第一可動電極542A間には、第一駆動電圧源により設定された電位差の電圧が印加され、第二固定電極541Bおよび第二可動電極542B間には、第二駆動電圧源により設定された電位差の電圧が印加される。
【0056】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および本発明の分析処理部を構成する測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター54への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、測定対象Aの色度を分析する。
【0057】
〔5.波長可変干渉フィルターの製造〕
次に、上述した測色装置1に設けられた波長可変干渉フィルター5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
図8は、固定基板51の製造工程を示す図であり、図9は、可動基板52の製造工程を示す図であり、図10は、固定基板51と可動基板52とを接合する接合工程を示す図である。なお、図8〜図10では、図2のA−O−A´線での断面部分の各製造工程における状態を示す。
【0058】
(5−1.固定基板の製造工程)
固定基板51の製造では、まず、固定基板51の製造素材である第一母材を切削、研磨する研磨工程を実施する。この研磨工程では、第一母材の厚み寸法を例えば500μmに形成し、さらに表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。
【0059】
研磨工程の後、固定基板エッチング工程を実施する。この固定基板エッチング工程では、第一母材の一面側にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法により露光・現像して、電極形成溝511、電極引出溝514が形成される箇所にパターニングする。
そして、電極形成溝511、電極引出溝514を所望の深さにエッチングする。なお、ここでのエッチングとしては、ウェットエッチングが用いられる。
この後、第一母材の一面側にレジストを塗布し、反射膜固定面512Aが形成される箇所をパターニングする。
次に、反射膜固定面512Aを所望の位置までエッチングした後、レジストを除去することで、電極形成溝511及び反射膜固定部512が形成され、図8(A)に示すように、固定基板51の基板形状が決定される。
【0060】
固定基板エッチング工程の後、図8(B)に示すように、固定電極形成工程を実施する。
固定電極形成工程では、固定基板51上に形成した電極を構成する材料からなる膜に対してフォトリソグラフィ法及びエッチングを行うことにより、第一固定電極541A、第二固定電極541B、第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および一対の第一対向電極544を形成する。
【0061】
この固定電極形成工程の後、図8(C)に示すように、導電接続部形成工程を実施する。
導電接続部形成工程では、まず、固定基板51の表面に、貫通孔515を形成するためのレジストを形成する。
そして、固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pをエッチングストッパーとして、固定基板51のモジュール基板30に対向する面をエッチングし、貫通孔515を形成する。なお、この貫通孔515の形成としては、例えば深堀RIEなどの手法を用いてもよい。
この後、貫通孔515内に、例えばAgペースト等の導電性ペーストを充填し、導電接続部516を形成する。
【0062】
そして、導電接続部形成工程の後、図8(D)に示すように、固定反射膜形成工程を実施する。
固定反射膜形成工程では、リフトオフプロセスにより固定反射膜56を成膜する。すなわち、フォトリソグラフィ法などにより、固定基板51上の反射膜形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を成膜する。そして、固定基板51上に固定反射膜56を成膜した後、リフトオフにより、反射膜形成部分以外の反射膜を除去する。
さらに、第一接合膜513Aを接合面513に形成する。第一接合膜513Aは、ポリオルガノシロキサンを用いたプラズマCVD法により成膜されるプラズマ重合膜であり、厚み寸法は例えば100nmとする。
以上により、固定基板51が製造される。
【0063】
(5−2.可動基板の製造工程)
次に、可動基板52の製造方法について説明する。
可動基板52の形成では、まず、可動基板52の製造素材である第二母材を切削、研磨する研磨工程を実施する。この研磨工程では、第二母材の厚み寸法を例えば200μmの均一厚みに形成し、さらに平均表面粗さRaが1nm以下の平滑面となるように両面を精密研磨する。
【0064】
研磨工程の後、可動基板エッチング工程を実施する。この可動基板エッチング工程では、第二母材の一面側(固定基板51に対向する面とは反対側の面)側にレジストを塗布する。そして、フォトリソグラフィ法を用いて、保持部522を形成するためのレジストパターンを形成する。この後、ウェットエッチングにより、図9(A)に示すような可動部521及び保持部522を形成する。これにより、可動基板52の基板形状が決定される。
【0065】
可動基板エッチング工程の後、可動電極形成工程、および可動反射膜形成工程を実施する。
可動電極形成工程では、固定電極形成工程と同様に、フォトリソグラフィ法及びエッチングにより、可動電極542(第一可動電極542A,第二可動電極542B)、接続線545、共通引出電極546、および第二対向電極547を形成する。
また、可動反射膜形成工程では、固定反射膜形成工程と同様に、リフトオフプロセスにより可動反射膜57を成膜する。
さらに、第二接合膜523Aを接合面523に形成する。第二接合膜523Aは、ポリオルガノシロキサンを用いたプラズマCVD法により成膜されるプラズマ重合膜であり、厚み寸法は例えば100nmとする。
この後、可動基板52の頂点部分をそれぞれ切断し、切欠部524を形成する。なお、可動基板エッチング工程において、可動基板52の頂点部分をエッチング処理し、厚み寸法を予め薄く形成しておいてもよく、この場合、切断処理が容易となる。
以上により、図9(B)に示すような可動基板52が製造される。
【0066】
(5−3.接合工程)
次に、上述の固定基板製造工程及び可動基板製造工程で形成された各基板51,52を接合する接合工程について説明する。
接合工程では、まず、図10(A)に示すように、固定基板51の第一固定引出電極543A、および第二固定引出電極543Bの固定電極パッド543P、および第一対向電極544の第一対向電極パッド544P上に、導電部55(Agペースト)を設ける(導電性部材配置工程)。
【0067】
この後、各基板51,52に形成された第一接合膜513A及び第二接合膜523Aに活性化エネルギーを付与するために、O2プラズマ処理またはUV処理を行う。O2プラズマ処理は、例えば、O2流量20cc/分、圧力4Pa、RFパワー50Wの条件で30秒間実施する。また、UV処理は、UV光源としてエキシマUV(波長172nm)を用いて例えば3分間処理を行う。なお、プラズマ重合膜に活性化エネルギーを付与するための処理としてO2プラズマ処理、UV処理に限らず、N2プラズマ処理、Arプラズマ処理でもよい。
【0068】
そして、図10(B)に示すように、可動反射膜57及び固定反射膜56が形成された面が向かい合うように固定基板51及び可動基板52のアライメントを行う。そして、第一接合膜513A及び第二接合膜523Aを重ね合わせて荷重をかけることにより、基板51,52同士を接合する。ここで、第一接合膜513A及び第二接合膜523Aが接合される。
【0069】
〔6.本実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第一実施形態の測色センサー3では、波長可変干渉フィルター5の固定基板51と、モジュール基板30とが、異方性導電層301により接着されている。このような構成では、例えば、波長可変干渉フィルター5を係止部に係止したり把持したりする構成に比べて、波長可変干渉フィルター5に加わる外部応力を軽減でき、外部応力に起因した基板51,52の撓みを防止することができる。したがって、基板51,52によって生じる反射膜56,57の撓み等を防止でき、分解能の低下を抑制できる。
また、波長可変干渉フィルター5の固定基板51のモジュール基板30に対向する面には、固定対向電極516Aが設けられている。そして、この固定対向電極516Aは、導電接続部516により、固定基板51の基板対向面に設けられた第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および第一対向電極544と導通している。そして、モジュール基板30には、固定対向電極516Aに対向してモジュール電極302が設けられており、固定対向電極516Aおよびモジュール電極302が異方性導電層301により導通している。
このため、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に装着した後、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド543P,544Pと、モジュール電極302とを接続する配線作業を実施する必要がない。したがって、波長可変干渉フィルター5を測色センサー3に組み込む際の作業効率を向上させることができる。
【0070】
また、波長可変干渉フィルター5の固定基板51には、貫通孔515が設けられ、この貫通孔515に導電接続部516が充填され、この導電接続部516のモジュール基板30に対向する面が固定対向電極516Aを構成している。
このため、固定基板51に別途電極を形成する必要がなく、貫通孔515に導電接続部516を充填するだけの簡単な構成で、容易に第一固定引出電極543Aや、第二固定引出電極543B、第一対向電極544と導通された固定対向電極516Aを形成することができる。
また、貫通孔515に対して導電接続部516を充填することで、導電接続部516と、第一固定引出電極543Aや、第二固定引出電極543B、第一対向電極544とを確実に接続することができる。
【0071】
さらに、例えば固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、固定対向電極を別途設け、本発明の導電接続部として、固定基板51の外周側面を伝って、固定対向電極と、第一固定引出電極543Aや第二固定引出電極543B、第一対向電極544とを接続する構成としてもよい。しかしながら、固定基板51の製造として、1つのウエハーから1つの固定基板51を形成することは稀であり、一般には、1つのウエハーから複数の固定基板51を形成する。この場合、ウエハー上に複数の固定基板51を形成した後、これらの固定基板51をそれぞれカットすることで、複数の固定基板51を取り出す。このような場合、上記のように、固定基板51の外周側面に導電接続部を形成する構成では、カット工程の後、別途固定基板51の外周側面に電極を形成する必要が生じ、工程数が増大し、製造効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態のように、貫通孔515を形成して導電接続部516を形成する場合、カット後の処理が不要であるため、製造効率が低下する不都合も回避できる。
また、固定基板51の外周側面に形成した電極は、衝突等により剥離しやすく、配線信頼性が低下する。これに対して、貫通孔515により導電接続部516は、確実に第一固定引出電極543Aや、第二固定引出電極543B、第一対向電極543と、固定対向電極516Aとが導通し、高い配線信頼性を得ることができる。
【0072】
また、固定対向電極516Aは、このような導電接続部516のモジュール基板30に対向する面により構成されている。したがって、固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、別途固定対向電極を設ける必要がない。また、固定基板51のモジュール基板30に対応する面に、別途固定対向電極を設け、導電接続部516とこの電極とを接続する場合、その接続信頼性を確保する必要がある。これに対し、本実施形態では、導電接続部516の端面を固定対向電極516Aとしているため、接続信頼性を確保するための構成が不要となり、構成を簡単にできる。
【0073】
そして、波長可変干渉フィルター5は、可動基板52に設けられた共通引出電極546と、固定基板51に設けられた第一対向電極544とが、導電部55により接続されており、この第一対向電極544が導電接続部516、異方性導電層301を介して、モジュール基板30のモジュール電極302に電気的に接続されている。
このため、可動基板52に形成された共通引出電極に対しても、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に設置するだけで、モジュール基板30のモジュール電極302に接続することができ、配線作業を簡単にできる。
【0074】
また、異方性導電層301は、波長可変干渉フィルター5を基板厚み方向から見た平面視において、反射膜56,57と重ならない位置に設けられている。このため、反射膜56,57により多重干渉されて、固定基板51側に透過された光が異方性導電層301により阻害されることなく、検出部31に入射させることができる。
【0075】
さらに、波長可変干渉フィルター5の可動基板52には、切欠部524が設けられており、固定基板51の固定電極パッド543P、第一対向電極パッド544Pが設けられる頂点部分が可動基板52の外周縁よりも突出している。このため、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に固定する際に、この突出部分を把持することで、構造的に撓みやすい保持部522を有する可動基板52に外部応力が加わらず、可動基板52の撓みを防止できる。
また、固定基板51の頂点部分をモジュール基板30に対して押圧することで、可動基板52に対して押圧による応力が加わらず、可動基板52の撓みを防止できる。そして、固定基板51の頂点部分に設けられた固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pがモジュール基板30のモジュール電極302側に押圧されるため、これらの固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pと、モジュール電極302とを確実に導通させることができる。
【0076】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第一実施形態では、波長可変干渉フィルター5のモジュール基板30に対向する面のうち、反射膜56,57と重なる領域を除いた面全体を覆って異方性導電層301を設ける例を示した。これに対して、第二実施形態では、異方性導電層301を固定対向電極516Aの位置に対応する位置のみに異方性導電層301が設けられる。
図11は、第二実施形態の測色センサーにおいて、波長可変干渉フィルター5に対して異方性導電層301が設けられる位置を示す平面図である。
【0077】
図11に示すように、第二実施形態の測色センサーでは、波長可変干渉フィルター5の固定基板51に設けられた各導電接続部516の固定対向電極に対して、それぞれの異方性導電層301が設けられている。
ここで、各固定対向電極516Aは、平面視において、反射膜56,57の中心点Oを中心とした仮想円Q3の円周上に沿って、等角度間隔(90度)に配置されている。各異方性導電層301も、当該異方性導電層301の中心位置(重心位置)が仮想円Q3の円周上で、等角度間隔(90度)となるように、配置されている。
【0078】
(第二実施形態の作用効果)
第二実施形態の測色センサー3では、異方性導電層301が、波長可変干渉フィルター5の4つの固定対向電極516Aに対応して、それぞれ設けられ、各固定対向電極516Aと、各モジュール電極302とを接続し、かつ波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に接着固定している。
このような構成においても、上記第一実施形態と同様の効果が得られる。
すなわち、異方性導電層301により波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に固定しているため、波長可変干渉フィルター5に加わる外部応力を軽減でき、外部応力に起因した基板51,52の撓みを防止することができる。また、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に装着した後の配線作業が不要であり、波長可変干渉フィルター5を測色センサー3に組み込む際の作業効率を向上させることができる。
【0079】
これに加え、第二実施形態のような測色センサー3では、固定基板51の頂点部分近傍のみに異方性導電層301に接触する構成であるため、異方性導電層301の固化収縮による固定基板51の撓みを軽減できる。
また、異方性導電層301は、反射膜56,57の中心点Oから等距離で、かつ中心点Oに対して等角度間隔に配置されている。したがって、異方性導電層301の固化収縮により応力が固定基板51に対して応力が加わった場合でも、これらの応力が固定基板51に対して均等に分散され、固定基板51の撓みを抑制することができる。
【0080】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0081】
上記第一および第二実施形態では、第一電極として、固定電極541から延出した固定引出電極543A,543B、および第一対向電極544を例示したが、これに限定されない。
例えば、固定基板51に、固定電極451に残留する電荷を除去するための帯電除去電極を設け、この帯電除去電極から延出した帯電除去引出電極を本発明の第一電極としてもよい。この場合、帯電除去引出電極の一部(例えば、先端部)に対応する位置に、貫通孔515を設け、この貫通孔515に導電接続部516を設け、異方性導電層301を介してモジュール基板30のモジュール電極302に接続すればよい。
【0082】
また、反射膜間のギャップ寸法を測定するための静電容量測定電極を固定基板51および可動基板52に互いに対向する状態で設け、固定基板51上の静電容量測定電極から引き出された引出電極を第一電極とし、この引出電極に対向した可動基板52側の対向電極を第二電極とする構成としてもよい。
【0083】
上記第一および第二実施形態では、固定基板51に貫通孔515を設け、この貫通孔515に導電接続部516を充填し、導電接続部516のモジュール基板30に対向する面を固定対向電極516Aとする構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、別途、固定対向電極を形成し、導電接続部516により、固定電極パッド543Pや第一対向電極パッド544Pと、固定対向電極とを接続する構成としてもよい。
また、導電接続部516として、貫通孔515にAgペースト等が充填される構成に限らず、例えば、貫通孔515の内周面に、固定基板51の基板対向面から固定対向面までに亘る電極層が形成される構成としてもよい。
さらに、導電接続部516の一端面が、固定基板51の固定対向面と同一平面となって固定対向電極516Aを形成する構成としたが、例えば導電接続部516が固定基板51の固定対向面からモジュール基板30側に突出して形成される構成としてもよく、導電接続部516の固定対向電極516Aが、固定対向面からモジュール基板30側に凸状に突出する凸面上に形成される構成としてもよい。この場合、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に取り付ける際、凸状の導電接続部516または凸面状の固定対向電極516Aが異方性導電層301を押圧し、より確実に固定対向電極516Aとモジュール電極302との導通を取ることができる。
【0084】
さらには、固定基板51の外周側面に導電接続部を設ける構成としてもよい。この場合、固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、別途、第一固定引出電極、第二固定引出電極、および一対の第一対向電極のそれぞれに対応した固定対向電極を形成し、これらを、固定基板51の外周側面に形成される導電接続部により接続すればよい。
【0085】
波長可変干渉フィルター5において、一対の第一対向電極パッド544Pに対して、それぞれ導電接続部516を設ける構成を例示したが、いずれか一方の第一対向電極パッド544Pにのみ導電接続部516が形成される構成であってもよく、モジュール基板30のモジュール電極302も、いずれか一方の第一対向電極パッド544Pに対してのみ設けられていればよい。
【0086】
第二実施形態において、モジュール電極302が固定対向電極516Aよりも大きいサイズに形成され、異方性導電層301もモジュール電極302に対応して固定対向電極516Aよりも大きいサイズに形成される例を示したが、これに限らない。例えば、平面視において、異方性導電層301を、固定対向電極516Aを同等サイズに設定してもよい。
【0087】
また、固定電極パッド543Pと、第二対向電極パッド547Pとの間、第一対向電極パッド544Pと、共通電極パッド546Pとの間を、それぞれ、可動基板52の外周縁よりも内側に設けられた導電部55により接続する構成を例示したが、これに限らない。例えば、可動基板52の切欠部524の側面から基板51,52間にAgペースト等の導電性ペーストを注入して付着させることで、固定電極パッド543Pおよび第二対向電極パッド547P間、第一対向電極パッド544Pおよび共通電極パッド546P間を接続してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ダイヤフラム状の保持部522を例示するが、例えば、可動部の中心に対して点対象となる位置に設けられる複数対の梁構造を有する保持部が設けられる構成などとしてもよい。
【0089】
さらに、上記実施形態では、波長可変干渉フィルター5として、第二基板である可動基板52に可動部521が設けられ、可動基板52の可動部521が固定基板51側に向かって変位する例を示したが、これに限らない。例えば、可動基板52を本発明の第一基板として、固定部であるモジュール基板30に固定する構成としてもよい。
また、固定基板51にも可動部が設けられ、この可動部が可動基板52側に変位可能な構成などとしてもよい。
【0090】
そして、上記実施形態において、光モジュールとして、測色センサー3を例示し、光分析装置として測色装置1を例示したが、これに限定されない。
例えば、本発明の光モジュールを、波長可変干渉フィルター5により取り出された光を受光素子により受光することで、ガス特有の吸収波長を検出するガス検出モジュールとして用いることもでき、光分析装置として、ガス検出モジュールにより検出された吸収波長からガスの種類を判別するガス検出装置として用いることもできる。
さらには、例えば、光モジュールは、例えば光ファイバーなどの光伝達媒体により伝送された光から所望の波長の光を抽出する光通信モジュールとしても用いることができる。また、光分析装置として、このような光通信モジュールから抽出された光からデータをデコード処理し、光により伝送されたデータを抽出する光通信装置として用いることもできる。
【0091】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0092】
1…光分析装置としての測色装置、3…光モジュールとしての測色センサー、4…制御装置、5…波長可変干渉フィルター、30…固定部であるモジュール基板、31…検出部、43…分析処理部である測色処理部、51…第一基板である固定基板、52…第二基板である可動基板、55…導電部、56…第一反射膜である固定反射膜、57…第二反射膜である可動反射膜、301…異方性導電層、302…第三電極であるモジュール電極、515…貫通孔、516…導電接続部、516A…固定対向電極、543A…第一電極である第一固定引出電極、543B…第一電極である第二固定引出電極、544…第一電極である第一対向電極、546…第二電極である共通引出電極、547…第二電極である第二対向電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定波長の光を取得する波長可変干渉フィルターを備えた光モジュール、および光分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数波長の光から、特定波長の光を取り出す波長可変干渉フィルター(光フィルター素子)を備えた光学装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の波長可変干渉フィルター(光学フィルター装置)は、可動部(第1部分)、および可動部を支持するダイヤフラム(第2部分)を備えた第1基板と、第1基板に対向する第2基板とを備えている。また、第1基板の可動部には、可動ミラーが形成され、第2基板の可動部に対向する面には、固定ミラーが形成されている。そして、第1基板および第2基板には、それぞれリング状の電極が設けられ、これらの電極から各基板の外周縁に向かってそれぞれ引き出し配線が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−251105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に記載の波長可変干渉フィルターを、光学装置の基板やケース等に固定する際に、波長可変干渉フィルターの基板に撓みが生じる場合がある。また、基板やケースに組み込まれた波長可変干渉フィルターの各引き出し電極に対して、配線を接続する必要があり、この配線作業時に、基板に応力が加わって、基板に撓みが生じる場合がある。
このように、基板に撓みが生じると、一対の反射膜の平行性を維持することができず、波長可変干渉フィルターの分解能が低下してしまうという問題がある。
【0006】
本発明は、上述のような問題に鑑みて、分解能の低下を抑制できる光モジュール、および光分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の光モジュールは、第一基板と、前記第一基板に対向する第二基板と、前記第一基板に設けられた第一反射膜と、前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜とギャップを介して対向する第二反射膜と、前記第一基板の前記第二基板に対向する基板対向面に設けられた第一電極と、を備えた波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターを固定する固定部と、前記波長可変干渉フィルターの前記基板対向面とは反対側の固定対向面、および前記固定部の間に設けられ、前記波長可変干渉フィルターを前記固定部に接合する異方性導電層と、を備え、前記第一基板は、前記固定部に対向する固定対向面に設けられた固定対向電極と、前記第一電極および前記固定対向電極を電気的に接続する導電接続部と、を有し、前記固定部は、前記固定対向電極に対向する第三電極を有し、前記異方性導電層は、前記固定対向電極と、前記第三電極とを導通することを特徴とする。
【0008】
この発明では、第一基板の基板対向面に設けられた第一電極は、固定対向面上に形成された固定対向電極に接続され、この固定対向電極は、異方性導電部材により固定部に接合されることで、固定対向電極に対向した固定部の第三電極に電気的に接続されている。
ここで、異方性導電層としては、例えばACF(Anisotropic Conductive Film:異方性導電フィルム)や、ACP(Anisotropic Conductive Paste:異方性導電膜)が挙げられ、互いに対向する電極同士を接着するための接着剤と、この接着剤中に均一に拡散された導電粒子とを備えた層である。このような異方性導電層では、押圧により接着剤中の導電粒子が接触するため、押圧方向に沿って導電性が生じる。
本発明では、波長可変干渉フィルターと固定部との間にこのような異方性導電層が設けられているため、波長可変干渉フィルターおよび固定部を互いに近接する方向に押圧することで、波長可変干渉フィルターの固定対向電極と、固定部の第三電極とを導通させることができる。このため、波長可変干渉フィルターに直接配線作業を実施する必要がなく、第三電極から波長可変干渉フィルターの第二電極に電力を供給することができる。
また、例えば波長可変干渉フィルターの側縁をケース等に設けられた剛性が強い係止部により保持する場合、係止部の保持力により波長可変干渉フィルターの基板に撓みが生じるおそれがある。これに対して、上記のような異方性導電層を用いる場合では、固定部上に設けられた異方性導電層の上に、波長可変干渉フィルターを載置して僅かに押圧するだけで、波長可変干渉フィルターを固定部に接着固定することができる。この場合、固定時に係る波長可変干渉フィルターへの応力が小さく、波長可変干渉フィルターの撓みを抑制することができる。
【0009】
本発明の光モジュールでは、前記第一基板は、前記第一電極が形成された領域の少なくとも一部に、基板厚み方向を貫通した貫通孔を備え、前記導電接続部は、前記貫通孔を通って前記第一電極と前記固定対向電極とを接続することが好ましい。
【0010】
導通接続部としては、例えば第一基板の外周側面を伝って、第一電極と固定対向電極とを接続する構成としてもよい。しかしながら、第一基板を製造する場合、複数の第一基板を1つのウエハー内に複数形成し、それらをカットして1つの第一基板を取り出す場合がある。このような場合、第一基板をカットした後、再び第一基板の外周側面に導電接続部を形成する必要があり、製造効率が低下し、コスト的にも不利となる。
これに対して、本発明では、第一基板に貫通孔が設けられ、この貫通孔を通る導電接続部が設けられる。このような構成では、ウエハーから第一基板をカットする前に導電接続部が形成されるため、カット後の処理が不要となり、製造効率を向上させることができ、コスト的にも有利となる。
【0011】
本発明の光モジュールでは、前記導電接続部は、前記貫通孔に充填された導電部材であり、前記導電部材の前記貫通孔から前記固定対向面に対向して臨む面により前記固定対向電極が構成されたことが好ましい。
【0012】
本発明では、第一基板に設けられた貫通孔に導電部材を充填させることで、第一電極と導電部材とを確実に電気的に接続することができる。また、別途設けられた固定対向電極と導電接続部を接続する場合、その接続信頼性を確保する必要があるが、本発明では、貫通孔に充填された導電部材の固定部に対向する面が固定対向電極を構成するため、導電接続部と固定対向電極との接続信頼性を考慮する必要がなく、導電部材により確実に第一電極と固定対向電極とを導通状態にすることができる。
【0013】
本発明の光モジュールでは、前記第二基板の前記第一基板に対向する面で、前記第一電極に対向した第二電極と、前記第一電極および前記第二電極を電気的に接続する導電部と、を備えたことが好ましい。
【0014】
この発明では、第二基板に設けられた第二電極が導電部により第一電極に接続されている。また、上記発明のように、第一電極は導電接続部により固定対向電極と接続され、この固定対向電極が異方性導電層により固定部の第三電極に接続されている。このため、第二基板に設けられた第二電極に対しても、配線作業等を実施することなく、容易に固定部の第三電極に接続することができる。
【0015】
本発明の光モジュールでは、前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板および前記第二基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記固定対向面の前記第一反射膜および前記第二反射膜と重ならない領域を覆って設けられたことが好ましい。
【0016】
波長可変干渉フィルターには、第一反射膜および第二反射膜により多重干渉された光を反射させる反射型フィルターと、多重干渉された光を透過させる透過型フィルターとがあるが、特に透過型フィルターの場合、透過された光の通過部を設ける必要がある。本発明では、平面視において、第一反射膜および第二反射膜と重なる領域に異方性導電層が設けられていないため、この部分に透過型フィルターを透過した光を通すことができる。
【0017】
本発明の光モジュールでは、前記固定対向電極および前記第三電極は、複数設けられ、
前記異方性導電層は、互いに対向する前記固定対向電極および前記第三電極の組に対応してそれぞれ設けられたことが好ましい。
【0018】
異方性導電層としては、波長可変干渉フィルターの固定部に対向する面の全面に対して設けられる構成としてもよいが、波長可変干渉フィルターに複数の固定対向電極が設けられる構成では、各固定対向電極に対向する位置のみに設けられていてもよい。このような構成とすることで、波長可変干渉フィルターとして透過型フィルターを用いた場合でも、透過した光が異方性導電層によって阻害されることなく、透過光を導くことができる。
また、異方性導電層を波長可変干渉フィルターの全面に対して設ける場合、固定対向電極が設けられる位置のみを押圧したとしても、固定対向電極が設けられていない部分に対して異方性導電層による応力が加わるおそれがある。これに対して、固定対向電極が設けられる位置のみに異方性導電層を設ける場合、固定対向電極と重ならない領域では、異方性導電層による第一基板への応力がなく、第一基板の撓みをより確実に防止できる。
【0019】
そして、上記発明において、前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記第一反射膜の中心点を中心とした仮想円上で、前記中心点に対して等角度間隔に配置されたことが好ましい。
【0020】
この発明では、異方性導電層により第一基板に応力が加わったとしても、これらの応力が第一基板に対して均等に加わることとなり、第一基板の撓みをより確実に防止できる。
【0021】
本発明の光分析装置は、上述したような光モジュールと、前記光モジュールに接続された制御装置と、を具備し、前記光モジュールは、前記波長可変干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部を備え、前記制御装置は、前記検出部により検出された光に基づいて、前記光の光特性を分析する分析処理部を備えたことを特徴とする。
【0022】
ここで、光分析装置としては、上記のような光モジュールから出力される電気信号に基づいて、光モジュールに入射した光の色度や明るさなどを分析する光測定器、ガスの吸収波長を検出してガスの種類を検査するガス検出装置、受光した光からその波長の光に含まれるデータを取得する光通信装置などを例示することができる。
この発明では、光分析装置は、上述したような光モジュールを備えている。光モジュールは、上記のように、波長可変干渉フィルターを固定部に固定した時の撓みを抑制することができ、波長可変干渉フィルターにより分解能の高い光を取り出すことができる。また、光モジュールは、検出部により、このような高分解能で取り出された光を検出することができるので、測定対象となる光の正確な光量を取得することができる。
したがって、このような光モジュールを備えた光分析装置では、光モジュールにより取得された正確な光量に基づいて、正確な光分析処理を実施することができる。また、光モジュールの配線信頼性が高いため、光分析装置における装置信頼性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る第一実施形態の測色装置(光分析装置)の概略構成を示す図である。
【図2】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。
【図3】図2におけるA−O−A´線に沿う波長可変干渉フィルターの断面図である。
【図4】第一実施形態の波長可変干渉フィルターにおける固定基板を可動基板側から見た平面図である。
【図5】第一実施形態の波長可変干渉フィルターにおける可動基板を固定基板側から見た平面図である。
【図6】波長可変干渉フィルターの固定電極パッドの近傍を拡大した拡大断面図である。
【図7】第一実施形態において、波長可変干渉フィルターに対して、異方性導電層が設けられる位置を示す平面図である。
【図8】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの固定基板の製造工程を示す図である。
【図9】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの可動基板の製造工程を示す図である。
【図10】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの固定基板および可動基板を接合する接合工程を示す図である。
【図11】第二実施形態の測色センサーにおいて、波長可変干渉フィルターに対して異方性導電層が設けられる位置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態について、図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の全体構成〕
図1は、本発明に係る第一実施形態の測色装置(光分析装置)の概略構成を示す図である。
この測色装置1は、本発明の光分析装置であり、図1に示すように、測定対象Aに光を射出する光源装置2と、本発明の光モジュールである測色センサー3と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備えている。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を測定対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち測定対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0025】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、測定対象Aに対して白色光を射出する。複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれていてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから測定対象Aに向かって射出する。
なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば測定対象Aが発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0026】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、本発明の光モジュールを構成する。この測色センサー3は、図1に示すように、本発明の固定部であるモジュール基板30に固定された波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を透過した光を受光して検出する検出部31と、波長可変干渉フィルター5に駆動電圧を印加する電圧制御部32と、を備えている。また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、測定対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光のみを分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、検出部31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0027】
(3−1.波長可変干渉フィルターの構成)
図2は、波長可変干渉フィルター5を基板厚み方向から見た平面視における平面図であり、図3は、図2におけるA−O−A´線に沿う波長可変干渉フィルター5の断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、本発明の第一基板である固定基板51、および本発明の第二基板である可動基板52を備えている。これらの2枚の基板51,52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの2つの基板51,52は、外周部近傍に形成される接合面513,523が、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などの接合膜513A,523Aにより接合されることで、一体的に構成されている。
【0028】
固定基板51には、本発明の第一反射膜を構成する固定反射膜56が設けられ、可動基板52には、本発明の第二反射膜を構成する可動反射膜57が設けられている。ここで、固定反射膜56は、固定基板51の可動基板52に対向する面(基板対向面)に固定され、可動反射膜57は、可動基板52の固定基板51に対向する面に固定されている。また、これらの固定反射膜56および可動反射膜57は、ギャップを介して対向配置されている。
さらに、固定基板51と可動基板52との間には、固定反射膜56および可動反射膜57の間のギャップの寸法を調整するための静電アクチュエーター54が設けられている。この静電アクチュエーター54は、固定基板51側に設けられる本発明の第一駆動電極としての固定電極541と、可動基板52側に設けられる本発明の第二駆動電極としての可動電極542とを備えている。
また、波長可変干渉フィルター5を各基板51,52の基板厚み方向から見た図2に示すような平面視において、各基板51,52の中心点Oは、固定反射膜56,可動反射膜57の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致する。
【0029】
(3−1−1.固定基板の構成)
図4は、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5における固定基板51を可動基板52側から見た平面図である。
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材を加工することで形成される。具体的には、図3、および図4に示すように、固定基板51には、エッチングにより電極形成溝511および反射膜固定部512が形成されている。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定電極541および可動電極542間に電圧を印加した際の静電引力や、固定電極541の内部応力による固定基板51の撓みはない。なお、本実施形態では、固定基板51の可動基板52に対向しない側の面が測色センサー3のモジュール基板30に固定される面となる。
【0030】
電極形成溝511は、図4に示すように、平面視で、固定基板51の平面中心点を中心とした円形に形成されている。反射膜固定部512は、前記平面視において、電極形成溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成される。
また、固定基板51には、電極形成溝511から、固定基板51の外周縁の各頂点C1,C2,C3,C4方向に向かって延出する4つの電極引出溝514が設けられている。
【0031】
そして、固定基板51の電極形成溝511の溝底部である電極形成面511Aには、固定電極541が形成されている。
この固定電極541は、図4に示すように、第一固定電極541Aと、第二固定電極541Bとを備えている。
第一固定電極541Aは、固定基板51を基板厚み方向から見た平面視(固定基板51を可動基板52側から見た平面視)において、固定反射膜56の中心を中心点Oとした仮想円Q1に沿って、円環状に形成されている。
第二固定電極541Bは、固定基板51を基板厚み方向から見た平面視において、仮想円Q1と同心円であり、仮想円Q1より径寸法が大きい仮想円Q2に沿って、C字状に形成されている。そして、第二固定電極541Bは、固定基板51の頂点C4に対向する部分がC字開口部となる。
これらの第一固定電極541Aおよび第二固定電極541B上には、固定電極541および可動電極542の間の放電を防止するための絶縁膜が積層されている。
【0032】
そして、第一固定電極541Aからは、本発明の第一電極を構成する第一固定引出電極543Aが延出し、第二固定電極541Bからは、本発明の第一電極を構成する第二固定引出電極543Bが延出している。
第一固定引出電極543Aは、第一固定電極541Aの外周縁のうち頂点C4に最も近接する位置から、第二固定電極541BのC字開口部、および固定基板51の頂点C4側に設けられた電極引出溝514を通って、固定基板51の頂点C4まで延出する。この第一固定引出電極543Aの先端部(固定基板51の頂点C4に位置する部分)は、第一固定引出電極543Aの電極引出溝514上に位置する部分に比べて、幅方向が大きく形成され、固定電極パッド543Pを構成する。
【0033】
また、第二固定引出電極543Bは、第二固定電極541Bの外周縁のうち頂点C2に最も近接する位置から、固定基板51の頂点C2側に設けられた電極引出溝514を通り、固定基板51の頂点C2まで延出する。この第二固定引出電極543Bの先端部(固定基板51の頂点C2に位置する部分)は、第二固定引出電極543Bの電極引出溝514上に位置する部分に比べて、幅方向が大きく形成され、固定電極パッド543Pを構成する。
【0034】
そして、固定基板51には、電極形成溝511から固定基板51の頂点C1,C3に向かう方向に形成された電極引出溝514に、それぞれ、本発明の第一電極を構成する第一対向電極544が設けられている。これらの第一対向電極544は、第一固定電極541Aや第二固定電極541Bとは絶縁されている。また、これらの第一対向電極544の先端部(固定基板51の頂点C1、C3に位置する部分)は、第一固定引出電極543Aの電極引出溝514上に位置する部分に比べて、幅方向が大きく形成され、第一対向電極パッド544Pを構成する。
【0035】
このような構成では、上述したように、第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および第一対向電極544が、それぞれ、本発明の第一電極を構成し、これらは、中心点Oに対して等角度間隔(90度間隔)となるように配置される。
【0036】
反射膜固定部512は、上述したように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる円柱状に形成されている。なお、本実施形態では、図3に示すように、反射膜固定部512の可動基板52に対向する反射膜固定面512Aが、電極形成面511Aよりも可動基板52に近接して形成される例を示すが、これに限らない。電極形成面511Aおよび反射膜固定面512Aの高さ位置は、反射膜固定面512Aに固定される固定反射膜56、および可動基板52に形成される可動反射膜57の間のギャップの寸法、固定電極541および可動電極542の間の寸法、固定反射膜56や可動反射膜57の厚み寸法により適宜設定される。したがって、例えば、電極形成面511Aと反射膜固定面512Aとが同一面に形成される構成や、電極形成面511Aの中心部に、円柱凹溝上の反射膜固定溝が形成され、この反射膜固定溝の底面に反射膜固定面が形成される構成などとしてもよい。
【0037】
そして、反射膜固定面512Aには、円形状に形成される固定反射膜56が固定されている。この固定反射膜56としては、金属の単層膜により形成されるものであってもよく、誘電体多層膜により形成されるものであってもよく、さらには、誘電多層膜上にAg合金が形成される構成などとしてもよい。金属単層膜としては、例えばAg合金の単層膜を用いることができ、誘電体多層膜の場合は、例えば高屈折層をTiO2、低屈折層をSiO2とした誘電体多層膜を用いることができる。
【0038】
さらに、固定基板51は、基板対向面とは反対側の面(固定対向面)において、固定反射膜56に対応する位置に図示略の反射防止膜が形成されている。この反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成され、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0039】
そして、固定基板51は、基板厚み方向から見た平面視において、第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および第一対向電極544と重なる位置に、基板対向面から固定対向面までを貫通する貫通孔515を備えている。より具体的には、固定基板51の貫通孔515は、各固定電極パッド543Pの中心と重なる位置、および第一対向電極パッド544Pの中心と重なる位置にそれぞれ設けられている。
この貫通孔515には、導電接続部516が充填されている。導電接続部516としては、例えばAgなどの金属等、導電性を有する部材であれば特に限定されない。この導電接続部516は、それぞれ、固定基板51の基板対向面に設けられた電極パッド543P(544P)に接触し、導通している。
また、導電接続部516のモジュール基板30に対向する面は、本発明の固定対向電極516Aを構成する。
【0040】
(3−1−2.可動基板の構成)
図5は、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5における可動基板52を固定基板51側から見た平面図である。なお、図5において、1点鎖線は、固定基板51の外周縁を示す。
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、可動基板52は、図2、図5に示すような平面視において、基板中心点を中心とした円形の可動部521と、可動部521と同軸であり可動部521を保持する保持部522と、を備えている。
また、可動基板52には、図2および図5に示すように、固定基板51の各頂点C1,C2,C3,C4に対応して、切欠部524が形成されており、波長可変干渉フィルター5の可動基板52側から見た面に固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pが露出する。
【0041】
可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。また、可動部521は、反射膜固定部512に平行な可動面521Aを備え、この可動面521Aに、固定反射膜56とギャップを介して対向する可動反射膜57が固定されている。
ここで、この可動反射膜57は、上述した固定反射膜56と同一の構成の反射膜が用いられる。
【0042】
さらに、可動部521は、固定対向面において、可動反射膜57に対応する位置に図示略の反射防止膜が形成されている。この反射防止膜は、固定基板51に形成される反射防止膜と同様の構成を有し、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成される。
【0043】
保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイヤフラムであり、例えば厚み寸法が50μmに形成され、可動部521よりも厚み方向に対する剛性が小さく形成されている。
このため、保持部522は可動部521よりも撓みやすく、僅かな静電引力により固定基板51側に撓ませることが可能となる。この際、可動部521は、保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、静電引力により可動基板52を撓ませる力が作用した場合でも、可動部521の撓みはほぼなく、可動部521に形成された可動反射膜57の撓みも防止できる。
【0044】
そして、この保持部522の固定基板51に対向する面には、固定電極541と、初期状態において約1μmの隙間を介して対向する、本発明の第二駆動電極を構成する可動電極542が形成されている。
この可動電極542は、図5に示すように、可動部521の中心点Oを中心とした仮想円Q1に沿うリング状に形成された第一可動電極542Aと、可動部521の中心点Oを中心とし、仮想円Q1よりも径大となる仮想円Q2に沿うリング状に形成された第二可動電極542Bと、を備えている。
そして、図2に示すように、平面視において、第一可動電極542Aは、第一固定電極541Aと重なる位置に設けられ、第二可動電極542Bは、第二固定電極541Bと重なる位置に設けられる。
【0045】
これらの第一可動電極542Aおよび第二可動電極542Bは、図2に示すように、頂点C1,C3を結ぶ対角線および頂点C2,C4を結ぶ対角線に沿って形成される接続線545により接続されている。また、第二可動電極542Bの外周縁からは、頂点C1方向、および頂点C2方向に向かって、本発明の第二電極を構成する一対の共通引出電極546が延出している。すなわち、共通引出電極546は、第一対向電極544に対向して設けられている。この共通引出電極546の先端部は、第一対向電極544の第一対向電極パッド544Pに対向する共通電極パッド546Pを構成する。
【0046】
そして、可動基板52は、第一固定引出電極543Aおよび第二固定引出電極543Bに対向する位置に、それぞれ第二対向電極547を備えている。これらの第二対向電極547は、可動電極542とは絶縁されている。また、これらの第二対向電極547の先端部は、固定電極パッド543Pに対向する第二対向電極パッド547Pを構成する。
【0047】
このような構成では、上述したように、共通引出電極546および第二対向電極547が、それぞれ、本発明の第二電極を構成し、これらは、中心点Oに対して等角度間隔となるように配置される。
【0048】
なお、本実施形態では、図2、図4、図5に示すように、平面視において、各電極パッド543P,544P,546P,547Pが、それぞれ、引出電極543A,543B,546、対向電極544,547の電極線幅よりも大きくなる構成を例示したが、例えば、同じ線幅に形成される構成などとしてもよい。
【0049】
そして、本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、図2、および図3に示すように、固定基板51および可動基板52の間に、互いに対向する電極パッドの面同士を接続する導電部55が設けられる。具体的には、波長可変干渉フィルター5は、互いに固定電極パッド543Pおよび第二対向電極パッド547Pを接続する導電部55と、互いに対向する第一対向電極パッド544Pおよび共通電極パッド546P同士を接続する導電部55と、を備えている。
この導電部55としては、導電性を有し、パッド間の導通をとれるものであればいかなるものを用いてもよいが、電気抵抗値が小さく、かつ導電性接着剤としても機能するAgペーストを用いることが好ましい。
なお、導電部55としては、固定基板51および可動基板52の外周側面にAgペーストが注入されて、互いに対向する電極パッド543P,547P(544P,546P)の間に入り込んだ構成などとしてもよい。
【0050】
(3−1−3.波長可変干渉フィルターの固定)
次に、上記のような波長可変干渉フィルター5のモジュール基板30への固定について説明する。図6は、波長可変干渉フィルター5の固定電極パッド543P近傍を拡大した断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図3、図6に示すように、固定基板51とモジュール基板30との間に異方性導電層301を設けることで接着固定される。
モジュール基板30には、固定基板51の導電接続部516の固定対向電極516Aに対向する位置に、本発明の第三電極であるモジュール電極302が設けられている。このモジュール電極302は、図示略の引出線が設けられ、引出線の端部に設けられた端子部から電圧制御部32に接続されている。
【0051】
図7は、本実施形態において、波長可変干渉フィルター5に対して、異方性導電層301が設けられる位置を示す平面図である。図7において、破線は、波長可変干渉フィルター5の固定基板51の外形、反射膜56,57が設けられる位置、固定電極パッド543P、第一対向電極パッド544P、および導電接続部516の位置を示す。また、一点鎖線は、モジュール基板30、およびモジュール基板30上に設けられるモジュール電極302を示す。さらに、実線は、異方性導電層301を示す。
【0052】
本実施形態の波長可変干渉フィルター5は、可動基板52側から入射した測定光を反射膜56,57間で多重干渉させ、互いに強め合った特定波長の光が固定基板51側に透過されて射出される透過型フィルターである。したがって、モジュール基板30には、透過された光を検出部31に導くための導光部303が設けられている。
なお、この導光部303としては、例えばモジュール基板30を貫通する孔部が設けられる構成としてもよく、凹部が形成され、この凹部に検出部31が設けられる構成などとしてもよい。また、モジュール基板30が、測定対象となる波長域に対して透過性を有する素材により形成されている場合では、導光部303が設けられない構成としてもよい。
【0053】
そして、異方性導電層301は、図7に示すような波長可変干渉フィルター5を基板厚み方向から見た平面視において、波長可変干渉フィルター5のモジュール基板30に対向する面内で、反射膜56,57、および導光部303と重なる位置を除く部分を覆って設けられている。
この異方性導電層301は、例えばACFやACPであり、熱可塑性樹脂等により構成される接着剤中に、導電性粒子が均等に分散した層である。このような異方性導電層301は、所定方向に押圧することで、押圧方向において導電性粒子が互いに接触し、これらの導電性粒子の接触により押圧方向に沿って導電性が発生し、これ以外の方向には導電性は発生しない。
したがって、モジュール基板30上の異方性導電層301に、波長可変干渉フィルター5を載置し、波長可変干渉フィルター5を異方性導電層301側に押圧すると、導電接続部516の固定対向電極516Aと、モジュール電極302とが、異方性導電層301により導通される。
【0054】
この時、波長可変干渉フィルター5の可動基板52には、図3、図6に示すように、切欠部524が形成されており、固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pが設けられる固定基板51の頂点部分のみが突出した形状となっている。したがって、この固定基板51の頂点部分のみを把持して、波長可変干渉フィルター5を異方性導電層301上に載置、押圧することで可動基板52への応力付加を防止できる。つまり、可動基板52には、可動部521および保持部522が設けられ、外部応力に対して撓みやすい形状に形成されており、外部応力等が加わることで、可動部521が傾斜して可動反射膜57と固定反射膜56との平行性が維持できなくなるおそれがある。これに対して、上記のように、可動基板52よりも厚み寸法が大きく形成され、可動基板52よりも剛性が大きい固定基板51を把持、押圧することで、可動基板52に対する応力を防止することができる。
また、固定基板51の固定電極パッド543P、第一対向電極パッド544Pを押圧することで、固定対向電極516Aとモジュール電極302との間の異方性導電層301に押圧力が加わり、押圧方向に分散している導電性粒子同士が接触することで固定対向電極516Aとモジュール電極302とを確実に導通させることができる。
【0055】
(3−2.電圧制御手段の構成)
電圧制御部32は、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、静電アクチュエーター54に印加する電圧を制御する。
具体的には、電圧制御部32は、第一固定電極541Aに電圧を印加するための第一駆動電圧源(図示略)と、第二固定電極541Bに電圧を印加するための第二駆動電圧源(図示略)と、を備えている。また、電圧制御部32は、第一可動電極542Aおよび第二可動電極542Bに0電位を付与するためのGND回路(図示略)を備えている。
これにより、第一固定電極541Aおよび第一可動電極542A間には、第一駆動電圧源により設定された電位差の電圧が印加され、第二固定電極541Bおよび第二可動電極542B間には、第二駆動電圧源により設定された電位差の電圧が印加される。
【0056】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および本発明の分析処理部を構成する測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター54への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、測定対象Aの色度を分析する。
【0057】
〔5.波長可変干渉フィルターの製造〕
次に、上述した測色装置1に設けられた波長可変干渉フィルター5の製造方法について、図面に基づいて説明する。
図8は、固定基板51の製造工程を示す図であり、図9は、可動基板52の製造工程を示す図であり、図10は、固定基板51と可動基板52とを接合する接合工程を示す図である。なお、図8〜図10では、図2のA−O−A´線での断面部分の各製造工程における状態を示す。
【0058】
(5−1.固定基板の製造工程)
固定基板51の製造では、まず、固定基板51の製造素材である第一母材を切削、研磨する研磨工程を実施する。この研磨工程では、第一母材の厚み寸法を例えば500μmに形成し、さらに表面粗さRaが1nm以下となるまで両面を精密研磨する。
【0059】
研磨工程の後、固定基板エッチング工程を実施する。この固定基板エッチング工程では、第一母材の一面側にレジストを塗布し、フォトリソグラフィ法により露光・現像して、電極形成溝511、電極引出溝514が形成される箇所にパターニングする。
そして、電極形成溝511、電極引出溝514を所望の深さにエッチングする。なお、ここでのエッチングとしては、ウェットエッチングが用いられる。
この後、第一母材の一面側にレジストを塗布し、反射膜固定面512Aが形成される箇所をパターニングする。
次に、反射膜固定面512Aを所望の位置までエッチングした後、レジストを除去することで、電極形成溝511及び反射膜固定部512が形成され、図8(A)に示すように、固定基板51の基板形状が決定される。
【0060】
固定基板エッチング工程の後、図8(B)に示すように、固定電極形成工程を実施する。
固定電極形成工程では、固定基板51上に形成した電極を構成する材料からなる膜に対してフォトリソグラフィ法及びエッチングを行うことにより、第一固定電極541A、第二固定電極541B、第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および一対の第一対向電極544を形成する。
【0061】
この固定電極形成工程の後、図8(C)に示すように、導電接続部形成工程を実施する。
導電接続部形成工程では、まず、固定基板51の表面に、貫通孔515を形成するためのレジストを形成する。
そして、固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pをエッチングストッパーとして、固定基板51のモジュール基板30に対向する面をエッチングし、貫通孔515を形成する。なお、この貫通孔515の形成としては、例えば深堀RIEなどの手法を用いてもよい。
この後、貫通孔515内に、例えばAgペースト等の導電性ペーストを充填し、導電接続部516を形成する。
【0062】
そして、導電接続部形成工程の後、図8(D)に示すように、固定反射膜形成工程を実施する。
固定反射膜形成工程では、リフトオフプロセスにより固定反射膜56を成膜する。すなわち、フォトリソグラフィ法などにより、固定基板51上の反射膜形成部分以外にレジスト(リフトオフパターン)を成膜する。そして、固定基板51上に固定反射膜56を成膜した後、リフトオフにより、反射膜形成部分以外の反射膜を除去する。
さらに、第一接合膜513Aを接合面513に形成する。第一接合膜513Aは、ポリオルガノシロキサンを用いたプラズマCVD法により成膜されるプラズマ重合膜であり、厚み寸法は例えば100nmとする。
以上により、固定基板51が製造される。
【0063】
(5−2.可動基板の製造工程)
次に、可動基板52の製造方法について説明する。
可動基板52の形成では、まず、可動基板52の製造素材である第二母材を切削、研磨する研磨工程を実施する。この研磨工程では、第二母材の厚み寸法を例えば200μmの均一厚みに形成し、さらに平均表面粗さRaが1nm以下の平滑面となるように両面を精密研磨する。
【0064】
研磨工程の後、可動基板エッチング工程を実施する。この可動基板エッチング工程では、第二母材の一面側(固定基板51に対向する面とは反対側の面)側にレジストを塗布する。そして、フォトリソグラフィ法を用いて、保持部522を形成するためのレジストパターンを形成する。この後、ウェットエッチングにより、図9(A)に示すような可動部521及び保持部522を形成する。これにより、可動基板52の基板形状が決定される。
【0065】
可動基板エッチング工程の後、可動電極形成工程、および可動反射膜形成工程を実施する。
可動電極形成工程では、固定電極形成工程と同様に、フォトリソグラフィ法及びエッチングにより、可動電極542(第一可動電極542A,第二可動電極542B)、接続線545、共通引出電極546、および第二対向電極547を形成する。
また、可動反射膜形成工程では、固定反射膜形成工程と同様に、リフトオフプロセスにより可動反射膜57を成膜する。
さらに、第二接合膜523Aを接合面523に形成する。第二接合膜523Aは、ポリオルガノシロキサンを用いたプラズマCVD法により成膜されるプラズマ重合膜であり、厚み寸法は例えば100nmとする。
この後、可動基板52の頂点部分をそれぞれ切断し、切欠部524を形成する。なお、可動基板エッチング工程において、可動基板52の頂点部分をエッチング処理し、厚み寸法を予め薄く形成しておいてもよく、この場合、切断処理が容易となる。
以上により、図9(B)に示すような可動基板52が製造される。
【0066】
(5−3.接合工程)
次に、上述の固定基板製造工程及び可動基板製造工程で形成された各基板51,52を接合する接合工程について説明する。
接合工程では、まず、図10(A)に示すように、固定基板51の第一固定引出電極543A、および第二固定引出電極543Bの固定電極パッド543P、および第一対向電極544の第一対向電極パッド544P上に、導電部55(Agペースト)を設ける(導電性部材配置工程)。
【0067】
この後、各基板51,52に形成された第一接合膜513A及び第二接合膜523Aに活性化エネルギーを付与するために、O2プラズマ処理またはUV処理を行う。O2プラズマ処理は、例えば、O2流量20cc/分、圧力4Pa、RFパワー50Wの条件で30秒間実施する。また、UV処理は、UV光源としてエキシマUV(波長172nm)を用いて例えば3分間処理を行う。なお、プラズマ重合膜に活性化エネルギーを付与するための処理としてO2プラズマ処理、UV処理に限らず、N2プラズマ処理、Arプラズマ処理でもよい。
【0068】
そして、図10(B)に示すように、可動反射膜57及び固定反射膜56が形成された面が向かい合うように固定基板51及び可動基板52のアライメントを行う。そして、第一接合膜513A及び第二接合膜523Aを重ね合わせて荷重をかけることにより、基板51,52同士を接合する。ここで、第一接合膜513A及び第二接合膜523Aが接合される。
【0069】
〔6.本実施形態の作用効果〕
上述したように、上記第一実施形態の測色センサー3では、波長可変干渉フィルター5の固定基板51と、モジュール基板30とが、異方性導電層301により接着されている。このような構成では、例えば、波長可変干渉フィルター5を係止部に係止したり把持したりする構成に比べて、波長可変干渉フィルター5に加わる外部応力を軽減でき、外部応力に起因した基板51,52の撓みを防止することができる。したがって、基板51,52によって生じる反射膜56,57の撓み等を防止でき、分解能の低下を抑制できる。
また、波長可変干渉フィルター5の固定基板51のモジュール基板30に対向する面には、固定対向電極516Aが設けられている。そして、この固定対向電極516Aは、導電接続部516により、固定基板51の基板対向面に設けられた第一固定引出電極543A、第二固定引出電極543B、および第一対向電極544と導通している。そして、モジュール基板30には、固定対向電極516Aに対向してモジュール電極302が設けられており、固定対向電極516Aおよびモジュール電極302が異方性導電層301により導通している。
このため、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に装着した後、波長可変干渉フィルター5の各電極パッド543P,544Pと、モジュール電極302とを接続する配線作業を実施する必要がない。したがって、波長可変干渉フィルター5を測色センサー3に組み込む際の作業効率を向上させることができる。
【0070】
また、波長可変干渉フィルター5の固定基板51には、貫通孔515が設けられ、この貫通孔515に導電接続部516が充填され、この導電接続部516のモジュール基板30に対向する面が固定対向電極516Aを構成している。
このため、固定基板51に別途電極を形成する必要がなく、貫通孔515に導電接続部516を充填するだけの簡単な構成で、容易に第一固定引出電極543Aや、第二固定引出電極543B、第一対向電極544と導通された固定対向電極516Aを形成することができる。
また、貫通孔515に対して導電接続部516を充填することで、導電接続部516と、第一固定引出電極543Aや、第二固定引出電極543B、第一対向電極544とを確実に接続することができる。
【0071】
さらに、例えば固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、固定対向電極を別途設け、本発明の導電接続部として、固定基板51の外周側面を伝って、固定対向電極と、第一固定引出電極543Aや第二固定引出電極543B、第一対向電極544とを接続する構成としてもよい。しかしながら、固定基板51の製造として、1つのウエハーから1つの固定基板51を形成することは稀であり、一般には、1つのウエハーから複数の固定基板51を形成する。この場合、ウエハー上に複数の固定基板51を形成した後、これらの固定基板51をそれぞれカットすることで、複数の固定基板51を取り出す。このような場合、上記のように、固定基板51の外周側面に導電接続部を形成する構成では、カット工程の後、別途固定基板51の外周側面に電極を形成する必要が生じ、工程数が増大し、製造効率が低下してしまう。
これに対して、本実施形態のように、貫通孔515を形成して導電接続部516を形成する場合、カット後の処理が不要であるため、製造効率が低下する不都合も回避できる。
また、固定基板51の外周側面に形成した電極は、衝突等により剥離しやすく、配線信頼性が低下する。これに対して、貫通孔515により導電接続部516は、確実に第一固定引出電極543Aや、第二固定引出電極543B、第一対向電極543と、固定対向電極516Aとが導通し、高い配線信頼性を得ることができる。
【0072】
また、固定対向電極516Aは、このような導電接続部516のモジュール基板30に対向する面により構成されている。したがって、固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、別途固定対向電極を設ける必要がない。また、固定基板51のモジュール基板30に対応する面に、別途固定対向電極を設け、導電接続部516とこの電極とを接続する場合、その接続信頼性を確保する必要がある。これに対し、本実施形態では、導電接続部516の端面を固定対向電極516Aとしているため、接続信頼性を確保するための構成が不要となり、構成を簡単にできる。
【0073】
そして、波長可変干渉フィルター5は、可動基板52に設けられた共通引出電極546と、固定基板51に設けられた第一対向電極544とが、導電部55により接続されており、この第一対向電極544が導電接続部516、異方性導電層301を介して、モジュール基板30のモジュール電極302に電気的に接続されている。
このため、可動基板52に形成された共通引出電極に対しても、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に設置するだけで、モジュール基板30のモジュール電極302に接続することができ、配線作業を簡単にできる。
【0074】
また、異方性導電層301は、波長可変干渉フィルター5を基板厚み方向から見た平面視において、反射膜56,57と重ならない位置に設けられている。このため、反射膜56,57により多重干渉されて、固定基板51側に透過された光が異方性導電層301により阻害されることなく、検出部31に入射させることができる。
【0075】
さらに、波長可変干渉フィルター5の可動基板52には、切欠部524が設けられており、固定基板51の固定電極パッド543P、第一対向電極パッド544Pが設けられる頂点部分が可動基板52の外周縁よりも突出している。このため、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に固定する際に、この突出部分を把持することで、構造的に撓みやすい保持部522を有する可動基板52に外部応力が加わらず、可動基板52の撓みを防止できる。
また、固定基板51の頂点部分をモジュール基板30に対して押圧することで、可動基板52に対して押圧による応力が加わらず、可動基板52の撓みを防止できる。そして、固定基板51の頂点部分に設けられた固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pがモジュール基板30のモジュール電極302側に押圧されるため、これらの固定電極パッド543Pおよび第一対向電極パッド544Pと、モジュール電極302とを確実に導通させることができる。
【0076】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第一実施形態では、波長可変干渉フィルター5のモジュール基板30に対向する面のうち、反射膜56,57と重なる領域を除いた面全体を覆って異方性導電層301を設ける例を示した。これに対して、第二実施形態では、異方性導電層301を固定対向電極516Aの位置に対応する位置のみに異方性導電層301が設けられる。
図11は、第二実施形態の測色センサーにおいて、波長可変干渉フィルター5に対して異方性導電層301が設けられる位置を示す平面図である。
【0077】
図11に示すように、第二実施形態の測色センサーでは、波長可変干渉フィルター5の固定基板51に設けられた各導電接続部516の固定対向電極に対して、それぞれの異方性導電層301が設けられている。
ここで、各固定対向電極516Aは、平面視において、反射膜56,57の中心点Oを中心とした仮想円Q3の円周上に沿って、等角度間隔(90度)に配置されている。各異方性導電層301も、当該異方性導電層301の中心位置(重心位置)が仮想円Q3の円周上で、等角度間隔(90度)となるように、配置されている。
【0078】
(第二実施形態の作用効果)
第二実施形態の測色センサー3では、異方性導電層301が、波長可変干渉フィルター5の4つの固定対向電極516Aに対応して、それぞれ設けられ、各固定対向電極516Aと、各モジュール電極302とを接続し、かつ波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に接着固定している。
このような構成においても、上記第一実施形態と同様の効果が得られる。
すなわち、異方性導電層301により波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に固定しているため、波長可変干渉フィルター5に加わる外部応力を軽減でき、外部応力に起因した基板51,52の撓みを防止することができる。また、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に装着した後の配線作業が不要であり、波長可変干渉フィルター5を測色センサー3に組み込む際の作業効率を向上させることができる。
【0079】
これに加え、第二実施形態のような測色センサー3では、固定基板51の頂点部分近傍のみに異方性導電層301に接触する構成であるため、異方性導電層301の固化収縮による固定基板51の撓みを軽減できる。
また、異方性導電層301は、反射膜56,57の中心点Oから等距離で、かつ中心点Oに対して等角度間隔に配置されている。したがって、異方性導電層301の固化収縮により応力が固定基板51に対して応力が加わった場合でも、これらの応力が固定基板51に対して均等に分散され、固定基板51の撓みを抑制することができる。
【0080】
〔他の実施形態〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0081】
上記第一および第二実施形態では、第一電極として、固定電極541から延出した固定引出電極543A,543B、および第一対向電極544を例示したが、これに限定されない。
例えば、固定基板51に、固定電極451に残留する電荷を除去するための帯電除去電極を設け、この帯電除去電極から延出した帯電除去引出電極を本発明の第一電極としてもよい。この場合、帯電除去引出電極の一部(例えば、先端部)に対応する位置に、貫通孔515を設け、この貫通孔515に導電接続部516を設け、異方性導電層301を介してモジュール基板30のモジュール電極302に接続すればよい。
【0082】
また、反射膜間のギャップ寸法を測定するための静電容量測定電極を固定基板51および可動基板52に互いに対向する状態で設け、固定基板51上の静電容量測定電極から引き出された引出電極を第一電極とし、この引出電極に対向した可動基板52側の対向電極を第二電極とする構成としてもよい。
【0083】
上記第一および第二実施形態では、固定基板51に貫通孔515を設け、この貫通孔515に導電接続部516を充填し、導電接続部516のモジュール基板30に対向する面を固定対向電極516Aとする構成を例示したが、これに限定されない。
例えば、固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、別途、固定対向電極を形成し、導電接続部516により、固定電極パッド543Pや第一対向電極パッド544Pと、固定対向電極とを接続する構成としてもよい。
また、導電接続部516として、貫通孔515にAgペースト等が充填される構成に限らず、例えば、貫通孔515の内周面に、固定基板51の基板対向面から固定対向面までに亘る電極層が形成される構成としてもよい。
さらに、導電接続部516の一端面が、固定基板51の固定対向面と同一平面となって固定対向電極516Aを形成する構成としたが、例えば導電接続部516が固定基板51の固定対向面からモジュール基板30側に突出して形成される構成としてもよく、導電接続部516の固定対向電極516Aが、固定対向面からモジュール基板30側に凸状に突出する凸面上に形成される構成としてもよい。この場合、波長可変干渉フィルター5をモジュール基板30に取り付ける際、凸状の導電接続部516または凸面状の固定対向電極516Aが異方性導電層301を押圧し、より確実に固定対向電極516Aとモジュール電極302との導通を取ることができる。
【0084】
さらには、固定基板51の外周側面に導電接続部を設ける構成としてもよい。この場合、固定基板51のモジュール基板30に対向する面に、別途、第一固定引出電極、第二固定引出電極、および一対の第一対向電極のそれぞれに対応した固定対向電極を形成し、これらを、固定基板51の外周側面に形成される導電接続部により接続すればよい。
【0085】
波長可変干渉フィルター5において、一対の第一対向電極パッド544Pに対して、それぞれ導電接続部516を設ける構成を例示したが、いずれか一方の第一対向電極パッド544Pにのみ導電接続部516が形成される構成であってもよく、モジュール基板30のモジュール電極302も、いずれか一方の第一対向電極パッド544Pに対してのみ設けられていればよい。
【0086】
第二実施形態において、モジュール電極302が固定対向電極516Aよりも大きいサイズに形成され、異方性導電層301もモジュール電極302に対応して固定対向電極516Aよりも大きいサイズに形成される例を示したが、これに限らない。例えば、平面視において、異方性導電層301を、固定対向電極516Aを同等サイズに設定してもよい。
【0087】
また、固定電極パッド543Pと、第二対向電極パッド547Pとの間、第一対向電極パッド544Pと、共通電極パッド546Pとの間を、それぞれ、可動基板52の外周縁よりも内側に設けられた導電部55により接続する構成を例示したが、これに限らない。例えば、可動基板52の切欠部524の側面から基板51,52間にAgペースト等の導電性ペーストを注入して付着させることで、固定電極パッド543Pおよび第二対向電極パッド547P間、第一対向電極パッド544Pおよび共通電極パッド546P間を接続してもよい。
【0088】
また、上記実施形態では、ダイヤフラム状の保持部522を例示するが、例えば、可動部の中心に対して点対象となる位置に設けられる複数対の梁構造を有する保持部が設けられる構成などとしてもよい。
【0089】
さらに、上記実施形態では、波長可変干渉フィルター5として、第二基板である可動基板52に可動部521が設けられ、可動基板52の可動部521が固定基板51側に向かって変位する例を示したが、これに限らない。例えば、可動基板52を本発明の第一基板として、固定部であるモジュール基板30に固定する構成としてもよい。
また、固定基板51にも可動部が設けられ、この可動部が可動基板52側に変位可能な構成などとしてもよい。
【0090】
そして、上記実施形態において、光モジュールとして、測色センサー3を例示し、光分析装置として測色装置1を例示したが、これに限定されない。
例えば、本発明の光モジュールを、波長可変干渉フィルター5により取り出された光を受光素子により受光することで、ガス特有の吸収波長を検出するガス検出モジュールとして用いることもでき、光分析装置として、ガス検出モジュールにより検出された吸収波長からガスの種類を判別するガス検出装置として用いることもできる。
さらには、例えば、光モジュールは、例えば光ファイバーなどの光伝達媒体により伝送された光から所望の波長の光を抽出する光通信モジュールとしても用いることができる。また、光分析装置として、このような光通信モジュールから抽出された光からデータをデコード処理し、光により伝送されたデータを抽出する光通信装置として用いることもできる。
【0091】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および手順は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0092】
1…光分析装置としての測色装置、3…光モジュールとしての測色センサー、4…制御装置、5…波長可変干渉フィルター、30…固定部であるモジュール基板、31…検出部、43…分析処理部である測色処理部、51…第一基板である固定基板、52…第二基板である可動基板、55…導電部、56…第一反射膜である固定反射膜、57…第二反射膜である可動反射膜、301…異方性導電層、302…第三電極であるモジュール電極、515…貫通孔、516…導電接続部、516A…固定対向電極、543A…第一電極である第一固定引出電極、543B…第一電極である第二固定引出電極、544…第一電極である第一対向電極、546…第二電極である共通引出電極、547…第二電極である第二対向電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板に対向する第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜とギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記第一基板の前記第二基板に対向する基板対向面に設けられた第一電極と、を備えた波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターを固定する固定部と、
前記波長可変干渉フィルターの前記基板対向面とは反対側の固定対向面、および前記固定部の間に設けられ、前記波長可変干渉フィルターを前記固定部に接合する異方性導電層と、
を備え、
前記第一基板は、前記固定部に対向する固定対向面に設けられた固定対向電極と、前記第一電極および前記固定対向電極を電気的に接続する導電接続部と、を有し、
前記固定部は、前記固定対向電極に対向する第三電極を有し、
前記異方性導電層は、前記固定対向電極と、前記第三電極とを導通する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記第一基板は、前記第一電極が形成された領域の少なくとも一部に、基板厚み方向を貫通した貫通孔を備え、
前記導電接続部は、前記貫通孔を通って前記第一電極と前記固定対向電極とを接続する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の光モジュールにおいて、
前記導電接続部は、前記貫通孔に充填された導電部材であり、前記導電部材の前記貫通孔から前記固定対向面に対向して臨む面により前記固定対向電極が構成された
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記第二基板の前記第一基板に対向する面で、前記第一電極に対向した第二電極と、
前記第一電極および前記第二電極を電気的に接続する導電部と、
を備えたことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板および前記第二基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記固定対向面の前記第一反射膜および前記第二反射膜と重ならない領域を覆って設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記固定対向電極および前記第三電極は、複数設けられ、
前記異方性導電層は、互いに対向する前記固定対向電極および前記第三電極の組に対応してそれぞれ設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の光モジュールにおいて、
前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記第一反射膜の中心点を中心とした仮想円上で、前記中心点に対して等角度間隔に配置された
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の光モジュールと、
前記光モジュールに接続された制御装置と、を具備し、
前記光モジュールは、前記波長可変干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部を備え、
前記制御装置は、前記検出部により検出された光に基づいて、前記光の光特性を分析する分析処理部を備えた
ことを特徴とする光分析装置。
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板に対向する第二基板と、
前記第一基板に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板に設けられ、前記第一反射膜とギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記第一基板の前記第二基板に対向する基板対向面に設けられた第一電極と、を備えた波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターを固定する固定部と、
前記波長可変干渉フィルターの前記基板対向面とは反対側の固定対向面、および前記固定部の間に設けられ、前記波長可変干渉フィルターを前記固定部に接合する異方性導電層と、
を備え、
前記第一基板は、前記固定部に対向する固定対向面に設けられた固定対向電極と、前記第一電極および前記固定対向電極を電気的に接続する導電接続部と、を有し、
前記固定部は、前記固定対向電極に対向する第三電極を有し、
前記異方性導電層は、前記固定対向電極と、前記第三電極とを導通する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光モジュールにおいて、
前記第一基板は、前記第一電極が形成された領域の少なくとも一部に、基板厚み方向を貫通した貫通孔を備え、
前記導電接続部は、前記貫通孔を通って前記第一電極と前記固定対向電極とを接続する
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の光モジュールにおいて、
前記導電接続部は、前記貫通孔に充填された導電部材であり、前記導電部材の前記貫通孔から前記固定対向面に対向して臨む面により前記固定対向電極が構成された
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記第二基板の前記第一基板に対向する面で、前記第一電極に対向した第二電極と、
前記第一電極および前記第二電極を電気的に接続する導電部と、
を備えたことを特徴とする光モジュール。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板および前記第二基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記固定対向面の前記第一反射膜および前記第二反射膜と重ならない領域を覆って設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の光モジュールにおいて、
前記固定対向電極および前記第三電極は、複数設けられ、
前記異方性導電層は、互いに対向する前記固定対向電極および前記第三電極の組に対応してそれぞれ設けられた
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項7】
請求項6に記載の光モジュールにおいて、
前記異方性導電層は、前記波長可変干渉フィルターを、前記第一基板の基板厚み方向から見た平面視において、前記第一反射膜の中心点を中心とした仮想円上で、前記中心点に対して等角度間隔に配置された
ことを特徴とする光モジュール。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の光モジュールと、
前記光モジュールに接続された制御装置と、を具備し、
前記光モジュールは、前記波長可変干渉フィルターにより取り出された光を検出する検出部を備え、
前記制御装置は、前記検出部により検出された光に基づいて、前記光の光特性を分析する分析処理部を備えた
ことを特徴とする光分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−150194(P2012−150194A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7564(P2011−7564)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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