説明

光モジュール

【課題】ステム上に搭載する全ての実装部品を同一方向から実装可能で、且つリード端子と実装部品とを電気的に接続するためのワイヤや実装部品同士を電気的に接続するためのワイヤの全てを同一方向からボンディングすることが可能な光モジュールを提供する。
【解決手段】光モジュール1は、ステム22と、ステム22の主面上に設けられ主面と交わる搭載面をもつマウント部材23と、ステム22を貫通して取り付けられた複数のリード端子10a〜10iと、電気的な接続を必要とする複数の要接続部品(セラミック回路基板12、LD13、インダクタ14、抵抗15、サーミスタ16、PD17等)を含む複数の実装部品とを備える。リード端子10a〜10iに形成された全ての導体接続面及び要接続部品に形成された全ての導体接続面がいずれも平行になるように、要接続部品とリード端子10a〜10iとが配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ケーブルに接続するための光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
光ケーブルには光ファイバが内包されており、光ファイバを用いた光通信には光モジュールが用いられる。この光モジュールでは、発光素子から発せられた光信号を光ファイバへ伝達させ、又は光ファイバを伝達してきた光を受光素子に集光させている。発光素子(主に、Laser Diode:LD)からの光は、光ファイバの導波路であるコアに集光させて伝達される。また、受光素子(主に、Photo Diode:PD)は、光ファイバのコアを伝達してきた光をレンズ等により集光して、受光し電気信号に変換する。
【0003】
光モジュールは、このようなLD、PDなどの光デバイスや他の実装部品を搭載している。また、LDはその発振波長を安定させるためにその温度を制御することが望ましいため、LDを搭載する際には、ペルチェ素子を有する熱電子冷却モジュール(ThermoElectric Cooling module:TEC)も搭載されることが多い。LDは、このペルチェ素子上に搭載される。
【0004】
特許文献1には、ペルチェ素子上に光学部品(搭載ブロック)が設置され、その光学部品上にレーザ素子が設置された光モジュールにおいて、レーザ素子の出力光を検知する光検出器をペルチェ素子から離間して配置する技術が開示されている。ここで、光学部品は、レーザ光の方向を光検出器に向けて変更している。光検出器がペルチェ素子上に設置されていないので、ペルチェ素子上の光学部品に接続されるボンディングワイヤの本数が削減される。そして、外部から熱を伝えるワイヤの本数の削減に応じて、ペルチェ素子上のレーザ素子の発熱が抑えられ、その結果、ペルチェ素子の冷却効率が高まり、消費電力が低減される。このように、特許文献1に記載の光モジュールは、ペルチェ素子によるLD温調効率が高い構造をもっている。
【特許文献1】特開2004−363242号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の光モジュールは、構造上、全てのワイヤを同一方向から打つ(ボンディング)することができないうえに、全ての実装部品を同一方向から実装することもできない。
【0006】
例えば、この光モジュールでは、LDとして端面発光LDを用いているため、パッケージのステム面に対してレーザ光を垂直方向にするためにLDキャリア(LD用のサブマウント)を実装しなければならず、LDキャリアをステム側に実装する方向とLDをLDキャリアに実装する方向とが異なるため、双方の実装を完了させるためにはステムを回転させる必要が生じる。さらに、LDの出力を監視する目的で面受光モニタとして設けられているPD(光検出器)はLDと対向して設けているため、このようなLDとPDとの双方の実装を完了するためには、ステムを回転させる必要が生じる。
【0007】
また、このように搭載方向の異なるLDとLDキャリア、LDとPDは、それぞれ異なる方向からリード端子とワイヤボンディングする必要が生じるため、ボンディングを完了するまでにはステムを回転させる必要が生じる。
【0008】
従って、この光モジュールを組み立てる際には、全ての実装部品の実装を完了するまでにステムを回転させる必要があり、全てのワイヤのボンディングを完了するまでにもステムを回転させる必要があり、作業性が悪い。
【0009】
また、このような実装時のステムの回転の必要性は、特許文献1に記載の光モジュールに限って生じるものではなく、他の従来の光モジュールでも生じ得る。例えば、特許文献1に記載の光モジュールにおいてPDをパッケージのステム面に実装したとしても、LDとPDとで実装方向が異なるため、ステムを回転させる必要が生じる。
【0010】
本発明は、上述のごとき実情に鑑みてなされたものであり、ステム上に搭載する全ての実装部品を同一方向から実装可能で、且つリード端子と実装部品とを電気的に接続するためのワイヤや実装部品同士を電気的に接続するためのワイヤの全てを同一方向からボンディングすることが可能な、光モジュールを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による光モジュールは、光ケーブルに接続するための光モジュールであって、ステムと、ステムの主面上に設けられ主面と交わる搭載面をもつマウント部材と、ステムを貫通して取り付けられた複数のリード端子と、電気的な接続を必要とする複数の要接続部品を含む複数の実装部品とを備える。そして、複数の実装部品は全て、マウント部材の搭載面に一方向から直接又は間接的に搭載されており、複数の要接続部品には、それぞれ少なくとも1つの導体接続面が形成されており、複数のリード端子のそれぞれには、要接続部品に形成された導体接続面のいずれかとワイヤボンディングで接続するための導体接続面が形成されている。さらに、複数のリード端子に形成された全ての導体接続面及び要接続部品に形成された全ての導体接続面がいずれも平行になるように、要接続部品と複数のリード端子とが配設されている。
【0012】
この光モジュールは、要接続部品として、発光素子、受光素子、熱電子冷却モジュールのいずれか1又は複数を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、光モジュールにおいて、ステム上に搭載する全ての実装部品を同一方向から実装することができ、且つリード端子と実装部品とを電気的に接続するためのワイヤや実装部品同士を電気的に接続するためのワイヤの全てを同一方向からボンディングすることができ、組み立て時の作業性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図により本発明の実施の形態を説明する。以下、光ケーブルに接続するための光モジュールとして、同軸型の光送信モジュールを例に挙げて説明するが、同軸型に限ったものではない。また、光受信モジュールや光送受信モジュールにも同様に適用することができる。また、光モジュールには複数の実装部品が実装されるが、実装される実装部品についても以下に例示する実装部品に限ったものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る光送信モジュールの構成例を示す一部断面図、図2は、図1の光送信モジュールをH方向から見た一部断面図、図3は、図1及び図2の光送信モジュールをZ方向から見た図、図4は、図1〜図3で示す光送信モジュールの回路図である。なお、図3では、キャップ内部のみを図示しており、図3(及び図2)においてV方向から見た図が図1に相当し、図3においてH方向から見た図が図2に相当する。
【0016】
図1〜図3で例示する光送信モジュール1は、熱電子冷却モジュール(TEC)を有する同軸型の光モジュールである。図1〜図3において、10a〜10iはリード端子(リードピン)、11はTEC電極パッド、12はセラミック回路基板(LDキャリア)、13はLD、14はインダクタ、15は抵抗、16はサーミスタ、17は端面入射型モニタPD、18は基板12の電極、19は吸熱側セラミック基板、20は熱電変換素子(ペルチェ素子)、21は排熱(放熱)側セラミック基板、22はステム、23はマウント部材(ステム主面上の台座)、24はキャップ(CANケース)、25はレンズを示しており、光送信モジュール1はこれらの構成要素を備える。
【0017】
ステム22は、通常、熱伝導性を有し導電性のある金属で円盤状に形成されているが、他の形状であってもよい。ステム22には、ステム22を貫通してステム22の主面に垂直に複数のリード端子10a〜10iが配設されている。このうち信号伝送用又は給電用のリード端子10a〜10d,10f〜10iは、ガラスシールで電気的に絶縁された状態でステム22に固定される。一方、接地用のリード端子10eは、ステム22と絶縁せず、ステム22に直接固定される。
【0018】
このように取り付けられたリード端子10a〜10iは、光送信モジュール1に搭載される複数の実装部品のうち、給電や信号の送信又は受信に必要な複数の部品(電子素子或いは電子部品)、つまり電気的な接続を必要とする複数の部品(以下、要接続部品と呼ぶ)と、V方向からワイヤでボンディングされる。
【0019】
各要接続部品には、それぞれ少なくとも1つの導体接続面(ワイヤ接続面)が形成されているものとする。一方で、複数のリード端子10a〜10iのそれぞれには、要接続部品に形成された導体接続面のいずれかとワイヤボンディングで接続するための導体接続面(ワイヤ接続面)が形成されているものとする。そして、本発明では、複数のリード端子10a〜10iに形成された全てのワイヤ接続面及び要接続部品に形成された全てのワイヤ接続面がいずれも平行になるように、要接続部品と複数のリード端子とが配設されている。これにより、ワイヤボンディングを必要とする部分は全て平行(一平面上とは限らない)になり、全ての箇所で一方向からのワイヤボンディングが可能となる。
【0020】
ここで、各リード端子10a〜10iは、少なくともその先端部分を平板状(平坦な形状)に形成しその平板状の部分をワイヤ接続面としてワイヤ接続側に向けてステム22に設置することが好ましい。このように構成することで、V方向からのワイヤボンディングが容易になる。但し、各リード端子10a〜10iは、その先端部分が球状に形成されていても円柱状に形成されていても、その先端部分をワイヤ接続面(この面は曲面となる)としてV方向からワイヤボンディングすることはできる。
【0021】
なお、全てワイヤによりリード端子と接続される必要はなく、直接、半田接続される要接続部品があってもよい。また、図示するように、通常、全ての要接続部品がリード端子10a〜10iに直接又はワイヤボンディングで接続される訳ではなく、後述するように要接続部品の中には、他の要接続部品と電気的に接続される部品もある。また、ここで用いるワイヤや後述のワイヤとしては、リボンワイヤなどの寄生インダクタンスの小さいものを用いることが望ましい。
【0022】
ステム22の主面上には、マウント部材23が凸状に設けられている。マウント部材23は、ステム22の主面と交わる搭載面(実装部品の実装面)をもつ。つまり、搭載面がステム22の主面と(好ましくは垂直に)交わるようにマウント部材23がステム22上に設置される。勿論、マウント部材23はステム22と別部材である必要はなく、一体に構成してもよい。
【0023】
マウント部材23の搭載面には、排熱側セラミック基板21、複数の熱電変換素子(ペルチェ素子)20、吸熱側セラミック基板19で構成されるTECが、要接続部品の一つとして搭載される。TECは、マウント部材23の搭載面上に排熱側セラミック基板21が接するように実装され、ペルチェ素子20を介して実装された吸熱側セラミック基板19の上に、セラミック回路基板12で例示した配線基板が実装される。V方向から搭載面に各部材21,20,19を順番に実装していくことが可能であり、或いは各部材19〜21によりTECを構成した後、そのTEC搭載面にV方向から実装することも可能である。
【0024】
TECは、排熱側セラミック基板21と吸熱側セラミック基板19の対向面に、所定のパターンで電極を形成し、複数のペルチェ素子20を(P型とN型の素子を交互に)直列に接続して、両端の電極を給電導体に接続する構成とされる。この例では、排熱側セラミック基板21の長さ(ステム主面に垂直な方向の長さ)を吸熱側セラミック基板19より長くして、排熱側セラミック基板21の吸熱側セラミック基板19から突き出る部分にTEC電極パッド11を設けている。そして、このTEC電極パッド11と給電用のリード端子10a,10iとは、図1に実線で示すようにV方向からワイヤでボンディングされ、図4に示すように電気的に接続される。このようなワイヤボンディングを容易にするため、並びにワイヤ長を短くするために、ステム22を貫通してその主面から突き出したリード端子10a,10iの端部が、排熱側セラミック基板21上に設けられたTEC電極パッド11の電極付近に位置するように、突き出し量や配置を設計しておくとよい。
【0025】
吸熱側セラミック基板19上に実装されるセラミック回路基板12は、その電極(配線電極)18にLD13が電気的に直接半田接続された状態で搭載されており、LDキャリアともいう。このLDキャリア12は、V方向から吸熱側セラミック基板19上に実装することができる。配線電極18におけるLD搭載位置には、LD13に駆動電流を供給するように差動ラインが形成されている。この差動ラインの一方にはリード端子10c,10bが、他方にはリード端子10g,10hが、図1に実線で示すようにワイヤでボンディングされ、図4に示すように電気的に接続される。なお、図2及び図3では便宜上、ワイヤは図示していない。また、図4では配線電極18を図示していないが、LD13等の要接続部品に対する配線のそれぞれが配線電極18に対応する。このようなワイヤボンディングを容易にするため、並びにワイヤ長を短くするために、ステム22を貫通してその主面から突き出したリード端子10b,10c,10g,10hの端部が配線電極18における各接続位置付近に位置するように、突き出し量や配置を設計しておくとよい。
【0026】
また、上記差動ラインには、一方のラインの途中及び他方のラインの途中に、薄膜の抵抗(抵抗素子)15やインダクタ14が設けられている。抵抗15やインダクタ14は、LD13がLDキャリア12上の他の要接続部品に比べて特に高速で駆動する部品であるため、LDキャリア12上の配線の中でもLD13に接続された配線においてインピーダンスが整合されるように設けられる。
【0027】
LDキャリア12は熱伝導性の良い素材で形成され、TEC上に搭載されており、TECによりLD13の温度制御が行われる。また、LD13のステム22の主面側とは反対方向の端面からは、主たるレーザ光が出射可能になっている。マウント部材23のステム22上での配設位置、TECやLDキャリア12の厚みなどは、LD13の出射光がステム22の略中心になる位置にLD13が実装できるように考慮して設計される。このような設計により、LD13の端面から出射される主たるレーザ光がステム22の主面側とは反対の方向へ進み、その出射光がパッケージ外部に位置決め保持された光ファイバに入射させることができる。
【0028】
また、LDキャリア12には、LD13やインピーダンス整合用の素子であるインダクタ14や抵抗15以外の要接続部品として、サーミスタ16及び端面入射型モニタPD17が、配線電極18に電気的に直接半田接続された状態で搭載されている。上述したいずれの要接続部品の構造やその配設位置も、実装作業時に全てV方向から実装可能なように設計されている。
【0029】
LD13は、ステム22の主面側の端面(すなわち光ファイバ側の端面とは反対側の端面)からもレーザ光を出射するように構成されている。PD17は、LD13のこのような後方出射光を検出して、LD13の光出力(出射光強度)をモニタするために設けられる。従って、PD17は、LD13の出射光を受光できる位置に配置される。PD17は端面入射タイプのものが望ましく、LD13やその他の電子素子が実装されている面と同じか、その面に沿った面へ実装される。また、PD17の2つのPD電極のうち一方の電極が接続された部分(配線電極18の一部分)は、モニタ用のリード端子10fにワイヤでV方向からボンディングされ、他方の電極が接続された部分は、接地用のリード端子10eにワイヤでV方向からボンディングされグランド接続され、図4に示すように電気的に接続される。
【0030】
また、サーミスタ16は、LD13の動作温度を計測し、LD13の温度調節を行うために設けられる。この動作温度を精度よく検出して、適正な駆動制御を行うには、できるだけLD13の近くに配置する必要があり、このため、サーミスタ16は、LD13が実装されるLDキャリア12に実装される。サーミスタ16の一方の電極が接続された部分は、リード端子10dにワイヤでV方向からボンディングされ、他方の電極が接続された部分は、接地用のリード端子10eにワイヤでV方向からボンディングされグランド接続され、図4に示すように電気的に接続される。
【0031】
このようなPD17及びサーミスタ16に関するワイヤボンディングを容易にするため、並びにワイヤ長を短くするために、ステム22を貫通してその主面から突き出したリード端子10d〜10fの端部が配線電極18における各接続位置付近に位置するように、突き出し量や配置を設計しておくとよい。
【0032】
そして、上述した各要接続部品を収納するように、LD13からの出射光を光ファイバ(図示せず)に集光させるレンズ25が設けられた円筒状のCANケース24により、ステム22の主面側を封止する。なお、図1〜図3で示す部分、つまり要接続部品が搭載されたマウント部材23が配設又は取り付けされリード端子が取り付けられたステム22と、CANケース24とで構成される部分は、パッケージ(この例ではCAN型或いは同軸型パッケージ)と呼ばれる。
【0033】
以上説明したように、光送信モジュール1では、同軸型パッケージのステム22に対して垂直にTECを配置し、TEC上に各要接続部品をV方向から搭載しているため、同一方向からの実装及びワイヤリングが可能になる。この効果は、高周波回路を搭載した複雑な構造であったとしても同様である。そして、これら要接続部品の実装とワイヤボンディングの作業を全て同一方向から行うことができるため、パッケージのステム22を回転させたり、要接続部品を回転させたりする必要が無くなり、組み立て作業が簡易になる。なお、要接続部品として、LD13、PD17、及びTECを備えた例を挙げたが、これらのうちいずれか1又は2を備えて構成してもよいし、実装部品として上述したように実装される要接続部品はこれに限ったものではない。
【0034】
また、以上の例では、要接続部品以外の実装部品については挙げていない。しかしながら、要接続部品を設置するためのキャリアなどを設ける場合には、そのキャリアが要接続部品以外の実装部品に該当することになる。本発明に係る光モジュールでは、要接続部品だけでなくこのような要接続部品以外の実装部品も含めた全ての実装部品を、マウント部材23の搭載面に一方向から直接又は間接的に搭載するものとする。これにより、実装部品の実装とワイヤボンディングの作業を全て同一方向から行うことができるため、パッケージのステム22を回転させたり、実装部品を回転させたりする必要が無くなり、組み立て作業が簡易になる。
【0035】
上述した光送信モジュール1における光ケーブルとの接続を可能にするための構造について、図5及び図6を参照しながら説明する。図5及び図6は、図1の光送信モジュールにスリーブ部を取り付けた例を示す断面図である。なお、各図において、10はリード端子10a〜10iを示しており、図面の簡略化のためマウント部材23やLD13以外の要接続部品には符号を付していない。
【0036】
図5で示す光送信モジュール5は、アイソレータ55付きの光レセプタクルである。光送信モジュール5は、図1で示したステム22、リード端子10、CANケース24、レンズ25、及び各要接続部品で構成された同軸型パッケージにおいて、CANケース24にジョイントスリーブ50が軸方向位置を調整して取り付けられている。ジョイントスリーブ50には、同軸型パッケージからスリーブ部へレーザ光を通過させるための孔が設けられている。アイソレータ55は、ジョイントスリーブ50の内側(レンズ25側)のこの孔の部分に設けられている。アイソレータ55は、ファラデー回転子、偏光子、永久磁石などで構成される。
【0037】
スリーブ部の構造は、スリーブホルダ52の内壁に整列スリーブ53が取り付けられ、整列スリーブ53内にファイバスタブ54が設けられてなる。整列スリーブ53は、光コネクタのフェルールを光学的に結合させるためのガイドの役割を果たすものであり、フェルールが嵌合する形状の内側壁をもつ。ファイバスタブ54は、光コネクタのフェルールと基本的に同一構造であって、ジルコニアなどのセラミックス部品の中央部に設けられた微小孔にシングルモード光ファイバ(SMF)などの光ファイバを搭載した構造をもつ。このファイバスタブ54を光軸上に固定するために、スタブホルダ51が図示するようにジョイントスリーブ50の出射側の光学基準面に配設されている。
【0038】
光送信モジュール5は、このような構造により光コネクタ内の光ファイバと接続し、LD13から出射されるレーザ光をレンズ25で集光してこの光ファイバに結合させることが可能になっている。なお、上記アイソレータ55付きの光レセプタクルについて説明したが、光送信モジュール5からアイソレータ55を除いた構造のモジュールについても同様に適用できる。
【0039】
図6で示す光送信モジュール6は、アイソレータ65付きのピグテール型の光レセプタクルである。光送信モジュール6は、図1で示したステム22、リード端子10、CANケース24、レンズ25、及び各要接続部品で構成された同軸型パッケージにおいて、CANケース24にジョイントスリーブ60が軸方向位置を調整して取り付けられている。ジョイントスリーブ60には、同軸型パッケージからスリーブ部へレーザ光を通過させるための孔が設けられている。アイソレータ65は、ジョイントスリーブ60の内側(レンズ25側)のこの孔の部分に設けられている。アイソレータ65は、ファラデー回転子、偏光子、永久磁石などで構成される。
【0040】
スリーブ部の構造は、フェルール63を光軸上に固定するために、フェルールホルダ61が図示するようにジョイントスリーブ60の出射側の光学基準面に配設され、光ファイバ64とフェルール63とを光結合するためのガイド部分をもった保護カバー62が、フェルール63及びフェルールホルダ61の周りに設けられている。この保護カバー62はピグテール型の外形をもつ。
【0041】
光送信モジュール6は、このような構造により光ファイバ64と接続し、LD13から出射されるレーザ光をレンズ25で集光してこの光ファイバ64に結合させることが可能になっている。なお、上記アイソレータ65付きの光レセプタクルについて説明したが、光送信モジュール6からアイソレータ65を除いた構造のモジュールについても同様に適用できる。
【0042】
最後に、本発明に係る光送信モジュールにおいてTECを備えない例を挙げる。図7は、本発明に係る光送信モジュールの他の構成例を示す図である。ここで、図7(A)は光送信モジュール7の一部断面図、図7(B)は図7(A)の光送信モジュールをZ方向から見た図、図7(C)は図7(A),(B)の光送信モジュールの回路図である。なお、図7(B)においてH方向から見た図が図7(A)に相当する。
【0043】
図7で例示する光送信モジュール7は、図1の光送信モジュール1と異なりTECを備えておらず、リード端子70a〜70d、ステム71、マウント部材72、サブマウント基板(LDキャリア)73、LD74、端面入射型モニタPD75を備えている。
【0044】
ステム71の主面上には、ステム71の主面と交わる搭載面(実装部品の実装面)をもつマウント部材72が凸状に設けられている。そして、マウント部材72の搭載面には、サブマウント基板73がH方向から取り付けられており、さらにサブマウント基板73にLD74とPD75とがH方向から取り付けられている。このように、光送信モジュール7は、各実装部品が一方向(H方向)から実装することが可能な構成をもつ。
【0045】
また、LD74のステム71の主面側とは反対方向の端面からは、主たるレーザ光が出射可能になっており、ステム71の主面側の端面からもレーザ光を出射するように構成されている。PD75は、LD74のこのような後方出射光を検出して、LD74の光出力(出射光強度)をモニタするために設けられる。
【0046】
リード端子70a〜70dは、ステム71を貫通してステム71の主面に配設されている。リード端子70dはLD74のカソードと接続するための端子、リード端子70bはLD74のアノード及びPD75のカソードと接続するための端子、リード端子70cはPD75のアノードと接続するための端子である。
【0047】
これらの接続は、図中、実線で示すようにワイヤボンディングで行われる。光送信モジュール7では、同一方向(H方向)からこのボンディングが可能なように、LD74の両極のワイヤ接続面、PD75の両極のワイヤ接続面、リード端子70b〜70dのワイヤ接続面が全て平行になるように、LD74、PD75、サブマウント基板73、及びリード端子70b〜70dが配設されている。また、このようなLD74及びPD75に関するワイヤボンディングを容易にするため、並びにワイヤ長を短くするために、ステム71を貫通してその主面から突き出したリード端子10b〜10dの端部が各接続位置付近に位置するように、突き出し量や配置を設計しておくとよい。なお、リード端子70aは、LD74及びPD75のいずれにも接続されておらず、端子側にケースと接続するためのガイド用の端子である。
【0048】
以上、説明したように、TECを具備しない光送信モジュール7においても、実装部品の実装とワイヤボンディングの作業を全て同一方向から行うことができるため、ステム71を回転させたり実装部品を回転させたりする必要が無くなり、組み立て作業が簡易になる。なお、光送信モジュール7も、光送信モジュール1と同様に図5及び図6で例示するようなスリーブ部を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る光送信モジュールの構成例を示す一部断面図である。
【図2】図1の光送信モジュールをH方向から見た一部断面図である。
【図3】図1及び図2の光送信モジュールをZ方向から見た図である。
【図4】図1〜図3で示す光送信モジュールの回路図である。
【図5】図1の光送信モジュールにスリーブ部を取り付けた例を示す断面図である。
【図6】図1の光送信モジュールにスリーブ部を取り付けた他の例を示す断面図である。
【図7】本発明に係る光送信モジュールの他の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1…光送信モジュール、10a〜10i…リード端子、11…TEC電極パッド、12…セラミック回路基板(LDキャリア)、13…LD、14…インダクタ、15…抵抗、16…サーミスタ、17…端面入射型モニタPD、18…配線電極、19…吸熱側セラミック基板、20…ペルチェ素子、21…排熱側セラミック基板、22…ステム、23…マウント部材、24…CANケース、25…レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ケーブルに接続するための光モジュールであって、
ステムと、該ステムの主面上に設けられ該主面と交わる搭載面をもつマウント部材と、前記ステムを貫通して取り付けられた複数のリード端子と、電気的な接続を必要とする複数の要接続部品を含む複数の実装部品とを備え、
前記複数の実装部品は全て、前記マウント部材の搭載面に一方向から直接又は間接的に搭載されており、
前記複数の要接続部品には、それぞれ少なくとも1つの導体接続面が形成されており、
前記複数のリード端子のそれぞれには、前記要接続部品に形成された導体接続面のいずれかとワイヤボンディングで接続するための導体接続面が形成されており、
前記複数のリード端子に形成された全ての導体接続面及び前記要接続部品に形成された全ての導体接続面がいずれも平行になるように、前記要接続部品と前記複数のリード端子とが配設されていることを特徴とする光モジュール。
【請求項2】
前記要接続部品として、発光素子を備えることを特徴とする請求項1に記載の光モジュール。
【請求項3】
前記要接続部品として、受光素子を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光モジュール。
【請求項4】
前記要接続部品として、熱電子冷却モジュールを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−135687(P2010−135687A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312361(P2008−312361)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】