説明

光伝送装置及び方法

【課題】光OFDM信号を生成する送信器において、光OFDM信号のサブキャリア分離の際に発生する光干渉を抑制することを可能にする。
【解決手段】本発明は、入力光を周波数毎に変調する光変調手段と、周波数空間上で隣接する光信号化の偏波を直交状態とする偏波直交手段と、光信号間の光位相を同期する位相同期手段と、位相同期した光信号を光周波数多重する光周波数多重手段と、を有する光伝送装置を構成することにより、隣接サブキャリア間の偏波状態を直交化し、サブキャリア分離の際に発生する光干渉を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光伝送装置及び方法に係り、特に、周波数分割多重された光信号において発生する信号劣化を削減するための光伝送装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信需要の増大に伴い、大容量トラヒックの伝送を可能とする光信号変調技術や光信号多重技術を用いた光伝送ネットワークが普及しつつある。大容量トラヒック伝送の実現には高い周波数利用効率の実現が必要であり、それを実現する技術として、多値変調技術や光周波数直交分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)技術が挙げられる。特に光OFDMは、各チャネル間で満足される光周波数の直交性を用いることで、本来ならば発生し得る隣接チャネルからの光干渉を抑制し、高い周波数利用効率を実現する方式であり、多値変調との併用も可能である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
図13に光OFDMを実現する送信器の構成を一例を示す。
【0004】
同図に示す送信器は、光源10〜10、光変調器11〜11、光カプラ12を備えている。それぞれの光源10〜10から出力される光はサブキャリアと呼ばれ、互いに等しい周波数間隔を持っている(f2−f1=f3−f2=f4−f3=△f)。ここで、それぞれの光源10〜10から出力されるサブキャリアは、単一の光源10から出力された光に対し、光位相変調を施すことにより生成してもよい。それぞれのサブキャリアは各光変調器11により周波数間隔と等しい変調レートで個別に変調され、スペクトル広がりを持った信号となる。それらの変調されたサブキャリアを光カプラ12により合波することで、光OFDM信号が生成される。
【0005】
図14に光OFDM信号を各サブキャリアに分離する受信器の構成の一例を示す。
【0006】
同図に示す受信器は、マッハツェンダ干渉計(MZI: Mach-Zehnder Interferometer)20、光カプラ21,21、光バンドパスフィルタ(BPF)23〜23、光復調器24〜24を備えている。光OFDM信号は、遅延量がシンボル長の半分に設定されたMZI20により偶奇それぞれのサブキャリアに分離される。偶奇に分離されたサブキャリアは、さらに光カプラ21,21と光バンドパスフィルタ23〜23により各サブキャリアに分離され、光復調器24〜24により個別に復調される。光カプラ21,21と光バンドパスフィルタ23〜23は、初段のMZI20とFSRが異なるMZIを用いてもよい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】H. Sanjoh, et. al., "Optical orthogonal frequency division multiplexing using frequency/time domain filtering for high spectral efficiency up to 1 bit/s/Hz," OFC 2002, ThD1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
光OFDM信号は周波数スペクトル上に重複を持ったサブキャリアから構成されており、信号を復調する際には、隣接サブキャリア間の光干渉を抑圧した状態で各サブキャリアを分離する必要がある。これを実現するために、遅延量がシンボル長Tの半分に設定された、すなわちT/2に設定されたMZIを用いて光OFDM信号を遅延干渉させ、各サブキャリアの分離を行う。このとき、理想的に光周波数の直交性が保たれている場合、遅延干渉されたT/2の時間領域においてのみサブキャリア間の光干渉が抑圧され、波形劣化なく各サブキャリアを分離することが可能となる。
【0009】
しかし、実際の伝送路においてはファイバによる波長分散、光スイッチ等によるフィルタリング効果、伝送路中の非線形光学効果等によって波形は歪み、シンボル間干渉が発生する。このような状況では光周波数の直交性は理想的な状態として保たれておらず、遅延干渉されたT/2の時間領域においてもサブキャリア間の光干渉は完全には抑圧されない。すなわち、実際の伝送路を伝播した光OFDM信号に対しては、隣接サブキャリア間の光干渉を抑圧した状態で各サブキャリアを分離することは困難となる。
【0010】
図15は、フィルタなし、偏波ビーム結合器(PBC:Polarization Beam Combiner)なしの、直交偏波多重でない状態において、数値シミュレーションにより得られた、シンボル間干渉が発生していない光OFDM信号の信号スペクトルと、各サブキャリアのアイダイヤグラムを示している。ここでは、2つのサブキャリア(サブキャリア1、サブキャリア2)から構成された光OFDM信号を用いている。各サブキャリアは、10GbpsのNRZ信号として変調が施されており、サブキャリア間の周波数間隔は10GHzである。アイダイヤグラムより、遅延干渉した時間領域(150ps付近)では、アイが大きく開いていることがわかる。図16は、フィルタあり、PBCなしの状態において、数値シミュレーションにより得られた、光フィルタによるシンボル間干渉が発生している光OFDM信号の信号スペクトルと、各サブキャリアのアイダイヤグラムを示している。光フィルタとして3dB帯域幅が10GHzの1次ガウシアンフィルタを用いた。アイダイヤグラムより、遅延干渉した時間領域においても十分なアイ開口が得られていないことが分かる。このように伝送路中を伝播した光OFDM信号はサブキャリア分離sの際に隣接サブキャリアから光干渉を受け、光干渉による波形劣化は各サブキャリアを復調する際のビット誤りを導く。
【0011】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、光OFDM信号を生成する送信器において、隣接サブキャリア間の偏波状態を直交化し、光干渉による光パワー変動の軽減化を実現することで光OFDM信号のサブキャリア分離の際に発生する光干渉を抑制することが可能な光伝送装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
図1は、本発明の原理構成図である。
【0013】
本発明(請求項1)は、光周波数多重された光信号を送信する光伝送装置であって、
入力光を周波数毎に変調する光変調手段2と、
周波数空間上で隣接する光信号化の偏波を直交状態とする偏波直交手段3と、
光信号を光周波数多重する光周波数多重手段4と、を有する。
【0014】
また、本発明(請求項2)の光伝送装置は、光信号間の光位相の同期をとる位相同期手段を更に有し、
光周波数多重手段4は、位相同期手段で位相同期した光信号を光周波数多重する。
【0015】
また、本発明(請求項3)の光伝送装置は、光変調手段2と偏波直交手段3と位相同期手段と光周波数多重手段4と、を平面光波回路上に配置する。
【0016】
また、本発明(請求項4)の光伝送装置は、位相同期手段において、
周波数多重後の信号から隣接した光信号間のビート周波数をモニタする手段と、
ビート周波数と、基準信号源から発生される信号周波数とを比較することで位相差を調整する手段と、を含む。
【0017】
本発明(請求項5)は、 光周波数多重された光信号を送信する光伝送方法であって、
光変調手段が、入力光を周波数毎に変調する光変調ステップと、
偏波直交手段が、周波数空間上で隣接する光信号化の偏波を直交状態とする偏波直交ステップと、
光周波数多重手段が、光信号を光周波数多重する光周波数多重ステップと、を行う。
【0018】
また、本発明(請求項6)の光伝送方法は、位相同期手段により光信号間の光位相の同期をとる位相同期ステップを更に行い、
光周波数多重ステップにおいて、
位相同期ステップで位相同期された光信号を光周波数多重する。
【0019】
また、本発明(請求項7)の光伝送方法は、光変調ステップ、偏波直交ステップ、位相同期ステップ、光周波数多重ステップを平面光波回路上で実現する。
【0020】
また、本発明(請求項8)の光伝送方法は、位相同期ステップにおいて、
周波数多重後の信号から隣接した光信号間のビート周波数をモニタし、
ビート周波数と基準信号源から発生される信号周波数と比較することで位相差を調整する。
【発明の効果】
【0021】
上述のように本発明によれば、光OFDM信号を生成する送信器として、多重される信号間の位相同期手段を有する光伝送装置を用いることで、隣接サブキャリア間の偏波状態を直交化し、サブキャリア分離の際に発生する光干渉を抑制する。偏波状態を直交化することにより光干渉による光パワーの変動が軽減され、各サブキャリアを復調する際に生じるビット誤りを軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の原理構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における伝送装置の構成図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における透過率と印加電圧の関係を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における偏波コントローラを用いた光伝送装置の構成図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現する光伝送装置の構成図(その1)である。
【図6】本発明の第1の実施の形態における3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現する光伝送装置の構成図(その2)(偏波保持光カプラを用いた例)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態における3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現する光伝送装置の構成図(その3)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるシミュレーション結果である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における光伝送装置の構成図(その1)である。
【図10】本発明の第2の実施の形態における光伝送装置の構成図(その2)である。
【図11】本発明の第2の実施の形態における光伝送装置の構成図(その3)である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における光伝送装置の構成図である。
【図13】従来の光OFDM送信器の構成図である。
【図14】従来の光OFDM受信器の構成図である。
【図15】従来の技術によるシミュレーション結果(その1)である。
【図16】従来の技術によるシミュレーション結果(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面と共に本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
[第1の実施の形態]
図2は、本発明の第1の実施の形態における光伝送装置の構成を示す。
【0025】
同図に示す光伝送装置100aは、光源110、マッハツェンダ変調器(MZM:Mach-Zehnder Modulator)120、マッハツェンダ干渉計(MZI: Mach-Zehnder Interferometer)130、光変調器140、偏波ビーム結合器(PBC:Polarization Beam Combiner)150から構成される。各光変調器140とPBC150間は、偏波保持ファイバにより接続されている。
【0026】
本実施の形態の光伝送装置100aは、単一光源110から出力される連続光にMZM120や、MZM120を並列に配置することで構成されるベクトル変調器などにより強度位相変調を施すことで、1つのサブキャリアを生成する。一般にMZM120の透過率と印加電圧には、図3に示されるような関係があり、例えば、点Nを中心に±Vpiの電圧を△f[GHz]の周波数で印加することで、2△f[GHz]の周波数間隔を持つ2つのサブキャリアが生成される。これらの2つのサブキャリアは単一光源110から生成されたものであるため、その周波数間隔は常に一定に保たれている。それらの2つのサブキャリアをMZI130やインターリーブフィルタ(ILF:Interleave Filter)を用いることで分離し、光変調器140,140がそれぞれのサブキャリアに対してサブキャリア間の周波数間隔と等しい変調レートで任意の強度、位相変調を施す。
【0027】
MZI130の後段は、偏波保持ファイバ(図2において点線で示す)により偏波保持系として構築されており、偏波ビーム結合器150がサブキャリア間の偏波が直交状態となるように合波を行う。
【0028】
このようにして光OFDM信号を生成することで、隣接サブキャリア間の偏波が直交状態に保たれ、光OFDM信号が実現される。
【0029】
また、ここでは、偏波の直交状態を実現するために必ずしも偏波保持系を用いる必要はなく、図4に示すように、光変調器140と光カプラ170の間に偏波コントローラ160を設け、偏波コントローラ160から出力されたサブキャリアと光変調器140から出力されたサブキャリア間の偏波が直交状態となるように光カプラ170で合波を行ってもよい。
【0030】
次に、3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現する構成について説明する。
【0031】
図5、図6、図7は、本発明の第1の実施の形態における3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現する伝送装置の構成を示す。
【0032】
図5に示す伝送装置は、光源210、MZM220、光分波器230、光変調器240240、PBC250,250,光カプラ260から構成される。
【0033】
MZM220やベクトル変調器(図示せず)が、単一光源210から出力された連続光に強度位相変調を施すことで、位相同期が取られた3つ以上のサブキャリアを生成する。例えば、3つのサブキャリアを生成するためには、図3における点Mを中心に±Vpi/2程度の電圧を△f[GHz]の周波数で印加することで、△f[GHz]の周波数間隔を持つ3つのサブキャリアが生成される。アレイ導波路回折格子(AWG: Array Waveguide Grating)等の光分波器230は、それらのサブキャリアを分離する。各光変調器240〜240は、それぞれのサブキャリアをサブキャリア間の周波数間隔と等しい変調レートで変調し、図2の伝送装置と同様に隣接サブキャリア間の偏波を直交状態にして、PBC250,250に出力する。PBC250,250は、光変調器240〜240から出力されたサブキャリアを合波し、光カプラ260は、PBC250,250からの出力を合波する。
【0034】
このようにして3つ以上のサブキャリアから構成される、隣接サブキャリア間の偏波が直交状態に保たれた光OFDM信号が実現される。
【0035】
また、この場合、図6に示す光伝送装置200bのような構成を用いても3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現することが可能である。図6に示す構成は、光源210、MZM220,光分波器230、光変調器240〜240、偏波保持光カプラ270、270、PBC280から構成される。同図に示すように、偏波保持カプラ270が、光変調器240〜240から出力された同一偏波のサブキャリア同士を合波した後に、PBC280が直交偏波状態のサブキャリア同士を合波するという構成も可能である。
【0036】
さらに、図7に示す光伝送装置300のような構成を用いても3つ以上のサブキャリアから構成される光OFDM信号を実現することが可能である。図7に示す伝送装置300は、光源310、光カプラ390、MZM320,320,光分波器330,330、光変調器340〜340、光カプラ370,370、PBC380から構成される。
【0037】
単一光源310から出力された連続光を光カプラ390が分岐し、MZM320,320が、一方の連続光に対しては図3における点Nを中心に±Vpiの電圧を△f[GHz]の周波数で印加することで、2△f[GHz]の周波数間隔を持つ二つのサブキャリアを生成し、それらのサブキャリアをAWGなどを用いて分波、変調を施した後に合波する。もう一方の連続光に対しては、図3における点Mを中心に±Vpi/2程度の電圧を2△f[GHz]の周波数で印加することで、2△f[GHz]の周波数間隔を持つ3つのサブキャリアを生成し、それらサブキャリアを同じくAWGなどを用いて分波し、光変調器340〜3240が変調を施した後に、偏波保持光カプラ370,370が変調されたサブキャリアを合波する。最後にPBC380がこれらサブキャリアを合波することで、隣接サブキャリア間の偏波が直交状態に保たれ光OFDM信号が実現される。この方法では、それぞれのMZMで生成されたサブキャリアの周波数間隔が図5に示した光伝送装置200aの例における周波数間隔よりも広いため、各サブキャリアを分離する際に、チャネル周波数間隔がより広く設計された光分波器を用いることが可能となる。
【0038】
図8は、本発明の第1の実施の形態におけるシミュレーション結果を示す。同図は、数値シミュレーションにより得られた図2に示す光伝送装置100aを用いて生成された、隣接サブキャリア間の偏波が直交状態に保たれた光OFDM信号の、光フィルタ透過後の信号スペクトルと、アイダイヤグラムを示している。ここでは、それぞれのサブキャリアがMZI130により分波されてから、PBC150により合波されるまでの経路長は等しいものとしている。図16と同様に、各サブキャリアは10GbpsのNRZ信号として変調が施されており、サブキャリア間の周波数間隔は10GHzである。光フィルタとして、3dB帯域幅が1次ガウシアンフィルタを用いた。図16と比較すると、信号スペクトルは光フィルタにより同程度まで狭窄化されている一方で、遅延干渉した時間領域(150ps付近)においてアイが大きく開いていることがわかる。これは、光フィルタによる波形劣化から生じるサブキャリア分離の際の隣接サブキャリアからの光干渉が、隣接サブキャリア間の偏波を直交状態にすることで十分に抑制されていることを表している。これと同様に、光フィルタによる波形劣化のみならず、波長分散による波形劣化、ファイバの非線形光学効果による波形劣化など、隣接サブキャリアからの光干渉であれば劣化要因に依らず、隣接サブキャリア間の偏波を直交状態にすることで、その影響を十分に抑制することが可能である。特に、光OFDM信号に関しては一般にアイが開口している時間領域が狭いため、偏波直交による光干渉の抑制効果が大きい。
【0039】
[第2の実施の形態]
図9は、本発明の第2の実施の形態における光伝送装置の構成を示す。
【0040】
同図に示す光伝送装置400は、光源410、MZM420,MZI431,光変調器432,432、λ/2板433、位相調整部434、光カプラ435から構成される。
【0041】
第1の実施の形態において示したような送信系においては、それぞれのサブキャリアが異なる経路を伝播した後に合波される。この場合、それぞれの経路長の時間的な変動に伴い、合波時に必ずしもサブキャリア間で位相同期がとられていないという状態が発生し、この位相揺らぎが信号受信時におけるサブキャリア分離の際のサブキャリア間の光干渉、波形劣化の原因となる。そこで、送信器として図9に示すように、MZI431によるサブキャリア合波に至るまでの系を平面光波回路(PLC:Planar Lightwave Circuit)430により構築する。このような構成をとることで、各サブキャリアの通る経路長を厳密に制御することができ、各サブキャリア間での位相同期を実現することが可能となる。本構成においては、各サブキャリア間の偏波直交化を実現する手段としてλ/2板433による方法などが挙げられる。
【0042】
また、サブキャリア間の位相同期を実現する方法として、上記のPLC430を用いる他にも、図10、図11に示す構成により実現が可能である。図10に示す光伝送装置は、光源510、MZM520,MZI530,光変調器5401,5402、光周波数シフタ550、PBC560,位相差検出器570、光カプラ580から構成される。このうち、サブキャリア間の位相差を検出するための位相差検出器570は、基準信号源571、ミキサ572、受光器(PD:Photo Detector)573、PBS(Polarization Beam Splitter)575、λ/2板574を有する。
【0043】
また、図11に示す光伝送装置は、光源610、MZM620,MZI630、光変調器6401,6402、偏波コントローラ650、光周波数シフタ660、光カプラ670、位相差検出器680、光カプラ690から構成される。このうち、位相差検出器680は、基準信号源681、ミキサ682、PD683、λ/2板685、PBS686を有する。
【0044】
図10、図11に示すように、位相差検出器570,680と光周波数シフタ550,660を用いることによりサブキャリア間の位相同期を実現することができる。
【0045】
図10、図11のそれぞれの位相差検出器570,680は、合波後のOFDM信号をタップし、PBS575,686と光カプラ580,690を用いて、各サブキャリアの偏波を揃えた後、PD573,683により各サブキャリア間の光干渉によって生じる光強度のビート成分を抽出する。このビート周波数を△f+δf[GHz]とし、所望のサブキャリア周波数間隔を△f[GhZ]とした場合、基準信号源571,681からサブキャリア間隔周波数△f[GHz]の信号を発生させることで、ミキサ572,682により誤差周波数δf[GHz]が抽出される。光周波数シフタ550,660は、この誤差周波数δf[GHz]が小さくなるように制御する。これにより、サブキャリア間の位相同期を実現することができる。
【0046】
[第3の実施の形態]
図12は、本発明の第3の実施の形態における光伝送装置の構成を示す。
【0047】
同図に示す光伝送装置700は、光源710〜710、光変調器720〜720、光周波数シフタ730〜730、PBC740,740,光カプラ750、位相差検出器760〜760、光分波器780、光カプラ790から構成される。このうち、各位相差検出器760〜760は、基準信号源761、ミキサ762、PD763、λ/2板764、PBS765を有する。
【0048】
同図の光伝送装置700において、複数の光源710〜710は、それぞれ波長の異なる連続光f、f、f、fを出力し、それぞれの連続光を、光OFDM信号を構成するサブキャリアとする。各サブキャリア間の位相同期を実現する方法として、各位相差検出器760〜760が、サブキャリア同士の干渉による光強度のビート成分を抽出し、そのビート周波数△f+δf[GHz]が所望のサブキャリア周波数間隔△f[GHz](=f−f=f−f=f−f)に等しくなるように各光周波数シフタ730〜730を制御するといった方法が挙げられる。光周波数シフタ730〜730は、各光源710〜710から出力されたそれぞれのサブキャリアに対し、サブキャリア間の周波数間隔と等しい変調レートで任意の強度、位相変調を施す。位相変調を施された各サブキャリアはそれぞれ偏波保持ファイバから構成される偏波保持系を伝播し、PBC740,740に入力される。PBC740,740は、隣接サブキャリア間の偏波が直交状態となるように合波することで、隣接サブキャリア間の偏波が直交状態に保たれた光OFDM信号を生成する。
【0049】
本実施の形態では、第1、第2の実施の形態とは異なり、各サブキャリアの変調に先立って光分波器を用いたサブキャリアの分離が必要とならないことが特徴である。
【0050】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において種々変更・応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、光周波数多重された光信号を送信する際の直交偏波多重方式に適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
2 光変調手段
3 偏波直交手段
4 光周波数多重手段
100,200,300,400,500,600,700 光伝送装置
110,210,310,410,510,610,710 光源
120,220,320,420,520,620 MZM(Mach-Zehnder Modulator)
130,431,530,630 MZI(Mach-Zehnder Interferometer)
140,240,340,432,540,640,720,780 光変調器
150,250,280,380,560,740 PBC(Polarization Beam Combiner)
160,650 偏波コントローラ
170,260,370,435,580,670,684,690,750,790 光カプラ
230,330 光分波器
270 偏波保持光カプラ
433,574,685,764 λ/2板
434 位相調整部
550,660,730 光周波数シフタ
570,680,760 位相差検出器
571,681,761 基準信号源
572,682,762 ミキサ
573,683,763 PD
575,686,765 PBS

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光周波数多重された光信号を送信する光伝送装置であって、
入力光を周波数毎に変調する光変調手段と、
周波数空間上で隣接する光信号化の偏波を直交状態とする偏波直交手段と、
光信号を光周波数多重する光周波数多重手段と、
を有することを特徴とする光伝送装置。
【請求項2】
前記光信号間の光位相の同期をとる位相同期手段を更に有し、
前記光周波数多重手段は、
前記位相同期手段で位相同期した光信号を光周波数多重する
請求項1記載の光伝送装置。
【請求項3】
前記光変調手段と前記偏波直交手段と前記位相同期手段と前記光周波数多重手段と、を平面光波回路上に配置する
請求項2記載の光伝送装置。
【請求項4】
前記位相同期手段は、
周波数多重後の信号から隣接した光信号間のビート周波数をモニタする手段と、
前記ビート周波数と、基準信号源から発生される信号周波数とを比較することで位相差を調整する手段と、
を含む請求項2記載の光伝送装置。
【請求項5】
光周波数多重された光信号を送信する光伝送方法であって、
光変調手段が、入力光を周波数毎に変調する光変調ステップと、
偏波直交手段が、周波数空間上で隣接する光信号化の偏波を直交状態とする偏波直交ステップと、
光周波数多重手段が、光信号を光周波数多重する光周波数多重ステップと、
を行うことを特徴とする光伝送方法。
【請求項6】
位相同期手段により前記光信号間の光位相の同期をとる位相同期ステップを更に行い、
前記光周波数多重ステップにおいて、
前記位相同期ステップで位相同期された光信号を光周波数多重する
請求項5記載の光伝送方法。
【請求項7】
前記光変調ステップ、前記偏波直交ステップ、前記位相同期ステップ、前記光周波数多重ステップを平面光波回路上で実現する
請求項6記載の光伝送方法。
【請求項8】
前記位相同期ステップにおいて、
周波数多重後の信号から隣接した光信号間のビート周波数をモニタし、
前記ビート周波数と基準信号源から発生される信号周波数と比較することで位相差を調整する、
請求項6記載の光伝送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−166242(P2010−166242A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5934(P2009−5934)
【出願日】平成21年1月14日(2009.1.14)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】