説明

光分配装置

【課題】入射光を複数の光線に分配しつつ、各光線の強度を可変とした光分配装置を提供すること。
【解決手段】液晶パネル1011に対して平行となるように第1の反射偏光板1021と第2の反射偏光板1031とを配設する。さらに、液晶パネル1011と平行に向かい合うように、第1の反射鏡105と第2の反射鏡1061とを配設する。第1の反射偏光板1021及び第2の反射偏光板1031は、入射光の偏光成分光のうちで偏光面が反射軸と平行な第1の偏光成分光を反射し、偏光面が反射軸と直交している第2の偏光成分光を透過する。液晶パネル1011に発生する電界の大きさを変化させて液晶パネル1011に入射した偏光成分光を0°から90°の間で旋光させることにより、2種の強度の光を射出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を分配して射出する光分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
入射光の光路を切り替えて射出する光路切替装置は、例えば光スイッチに用いられている。このような光路切替装置に関して例えば特許文献1の技術が提案されている。特許文献1において提案されている光路切替装置は、ツイステッドネマティック(TN)モードの液晶パネルの光入射側に、第1の反射偏光板と、第1の反射鏡を配置し、さらに、液晶パネルの光射出側に、第2の反射偏光板と、第2の反射鏡を配置している。
【0003】
このような構成において特許文献1では、第1の反射偏光板への入射光を、第1の反射偏光板を反射する第1の偏光成分光と、第1の反射偏光板を透過する偏光成分光とに分離し、第1の偏光成分光を第1の反射鏡を介して液晶パネルに導き、第2の偏光成分光を第1の反射鏡を介さずに液晶パネルに導くようにしている。さらに特許文献1では、液晶パネルから射出された第1の偏光成分光を第2の反射偏光板に導き、液晶パネルから射出された第2の偏光成分光を第2の反射鏡を介して反射偏光板に導くことで、両者の偏光成分光を第2の反射偏光板において合成して所定の光路に射出可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−93751号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において提案されている光路切替装置では、1本の光線が入射された場合に、その光線の射出光路を変えることは可能である。しかしながら、特許文献1において提案されている光路切替装置では、入射光の強度を変えたり、入射光を複数に分配して出射することが困難である。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、入射光を複数の光線に分配しつつ、各光線の強度を可変とした光分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様の光分配装置は、入射光を第1の偏光成分光と第2の偏光成分光とに分離する分離手段と、前記分離手段により分離された入射光のうちの前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とが入射され且つ第1の状態と前記第1の状態とは異なる第2の状態との間で状態が切り替わる電気光学手段と、前記電気光学手段から射出された前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とを合成し、互いに異なる第1の射出光路及び第2の射出光路の少なくとも一方に射出する合成手段と、前記電気光学手段の状態を切り替える制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電気光学手段を前記第1の状態に設定することにより、前記入射光を該第1の状態に応じた第1の強度を有する第1の射出光として前記第1の射出光路に射出させるとともに、該第1の状態に応じた第2の強度を有する第2の射出光として前記第2の射出光路に射出させるとともに、前記電気光学手段を前記第2の状態に設定することにより、前記入射光を該第2の状態に応じ且つ前記第1の強度とは異なる第3の強度を有する第3の射出光として前記第1の射出光路に射出させるとともに、該第2の状態に応じ且つ前記第2の強度とは異なる第4の強度を有する第4の射出光として前記第2の射出光路に射出させることを特徴とする。
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の第2の態様の光分配装置は、第1の態様において、前記第1の状態は、前記電気光学手段が前記第1及び第2の偏光成分光を角度φ(0°<φ<90°)旋光させる状態であって、前記第2の状態は、前記電気光学手段が前記第1及び第2の偏光成分光を角度φ(0°<φ<90°、φ≠φ)旋光させる状態であることを特徴とする。
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第3の態様の光分配装置は、第1又は第2の態様において、前記電気光学手段は、前記第1又は第2の状態と、前記第1及び第2の偏光成分光が該電気光学手段を通過する際に該第1及び第2の偏光成分光を旋光させない第3の状態との間で状態が切り替わり、前記制御手段は、前記電気光学手段を前記第3の状態に設定することにより、前記入射光を前記第1の射出光路に射出させずに、前記第2の射出光路に射出させることを特徴とする。
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明の第4の態様の光分配装置は、入射光を第1の偏光成分光と第2の偏光成分光とに分離する分離手段と、前記分離手段により分離された入射光のうちの前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とが入射され且つ第1の状態と第2の状態との間で状態が切り替わる電気光学手段と、前記電気光学手段から射出された前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とを合成し、互いに異なる第1の射出光路及び第2の射出光路の少なくとも一方に射出する合成手段と、前記電気光学手段の状態を切り替える制御手段とを備え、前記制御手段は、前記電気光学手段を前記第1の状態に設定することにより、前記入射光を該第1の状態に応じた第1の強度を有する第1の射出光として前記第1の射出光路に射出させるとともに、該第1の状態に応じた第2の強度を有する第2の射出光として前記第2の射出光路に射出させるとともに、前記制御手段は、前記電気光学手段を前記第2の状態に設定することにより、前記入射光を前記第1の射出光路に射出させずに、前記第2の射出光路に射出させることを特徴とする。
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の第5の態様の光分配装置は、第4の態様において、前記第1の状態は、前記電気光学手段が前記第1及び第2の偏光成分光を角度φ(0°<φ<90°)旋光させる状態であることを特徴とする。
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の第6の態様の光分配装置は、第1乃至第5の何れかの態様において、前記分離手段と前記合成手段は、互いに直交する方向に反射軸と透過軸とを有し、入射光のうちで偏光面が前記反射軸に平行な偏光成分光を反射し、偏光面が前記透過軸に平行な偏光成分光を透過させる反射偏光板を含むことを特徴とする。
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明の第7の態様の光分配装置は、第6の態様において、前記分離手段の反射軸と前記合成手段の透過軸とが互いに直交するように前記分離手段及び前記合成手段が配置されていることを特徴とする。
【0014】
上記の目的を達成するために、本発明の第8の態様の光分配装置は、第6の態様において、前記分離手段の反射軸と前記合成手段の透過軸とが互いに平行になるように前記分離手段及び前記合成手段が配置されていることを特徴とする。
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明の第9の態様の光分配装置は、第1乃至第8の何れかの態様において、前記電気光学手段は液晶層であり、前記制御手段は前記液晶層の配向状態を変化させる電界を生成するような電圧を電極に印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、入射光を複数の光線に分配しつつ、各光線の強度が可変である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置のポジ型の構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置のネガ型の構成を示す図である。
【図3】液晶パネルの構成を示す図である。
【図4】ポジ型の光路切替装置において2つの入力部のうち入力1に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作を説明するための図である。
【図5】ポジ型の光路切替装置において2つの入力部のうち入力2に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作を説明するための図である。
【図6】ネガ型の光路切替装置において2つの入力部のうち入力1に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作を説明するための図である。
【図7】ネガ型の光路切替装置において2つの入力部のうち入力2に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作を説明するための図である。
【図8】図8(a)は光入力部を2つ設けて両方から光を入射させるようにした変形例を示す図であり、図8(b)は入力1と入力2の光路を部分的に一致させるようにした変形例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る光路切替装置の製造方法の概略を示したフローチャートである。
【図10】光路切替装置への入射光の入射角を小さくした変形例を示す図である。
【図11】1つの光入力部に複数本の光線を同時に入射させるようにした変形例を示す図である。
【図12】第1の反射偏光板と第2の反射偏光板とを複数配設するようにした変形例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る光路切替装置の構成を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る光路切替装置の動作について説明するための図である。
【図15】第1の反射鏡間と第2の反射鏡間の両方に光出力部を設けるようにした変形例であって、入射光と異なる方向側から射出光を取り出すようにした変形例を示す図である。
【図16】第1の反射鏡間と第2の反射鏡間の両方に光出力部を設けるようにした変形例であって、入射光と同一の方向側から射出光を取り出すようにした変形例を示す図である。
【図17】液晶パネルを斜め配置するようにした変形例を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る光路切替装置において、液晶パネルに入射した光を90°旋光させて射出するようにした場合の動作について説明するための図である。
【図19】本発明の第3の実施形態に係る光路切替装置において、液晶パネルに入射した光を角度φ(0°<φ<90°)だけ旋光させて射出するようにした場合の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1の実施形態]
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1及び図2は、それぞれ、本発明の第1の実施形態に係るポジ型及びネガ型の光路切替装置の構成を示す図である。図1、図2に示すように、本実施形態に係る光路切替装置100、100Aは、それぞれ、液晶パネル101と、第1の反射偏光板102と、第2の反射偏光板103と、スペーサガラス104a及び接触防止スペーサ104bと、第1の反射鏡105と、第2の反射鏡106と、電圧制御部107と、を有している。
【0019】
液晶パネル101は、図3に示すように、例えばソーダガラス等の透光性を有する平板状の一対の基板201、202間に、電気光学手段としての液晶層203が封止されたツイステッドネマティック(TN)モードの液晶パネルである。この液晶パネル101は、各基板201、202の外面(液晶層側の面とは反対側の面)が、平面状をなすとともに互いに平行な電気光学主面(光入射面及び光射出面)を形成している。また、電圧制御部107によって制御された電圧が、各基板201、202の内面(液晶層側の面)に設けられた各電極203、204に印加されることによって、その電圧に応じた電界が生成され、生成された電界に応じて液晶層205の配向状態が変化する。このように、本実施形態の電圧制御部107は、一方の電極(例えば電極204)に印加する電圧を制御することによって、液晶層205の配向状態を変化させることで、所定の角度から液晶層205に入射される入射光に対する旋光の有無の2状態間を切り替える状態切替手段として機能する。ここで、本実施形態における液晶パネル101は、入射光を旋光させる場合の旋光角が90°(1/2λ)となるように設定されている。このため、例えば、液晶パネル101がノーマリブラックモードの場合、液晶層205の配向状態を変化させないような電界、即ち、電界が生成されないような電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されているとき、液晶パネル101は入射光を旋光させずに射出し、液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されているとき、液晶パネル101は入射光を旋光させて射出する。逆に、液晶パネル101がノーマリホワイトモードの場合、液晶層205の配向状態を変化させないような電界、即ち、電界が生成されないような電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されているとき、液晶パネル101は入射光を旋光させずに射出し、液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されているとき、液晶パネル101は入射光を旋光させて射出する。
【0020】
分離手段の一例としての第1の反射偏光板102は、例えばワイヤグリッド偏光板で構成され、光入力部(入力1、入力2)から光が入射される。この第1の反射偏光板102は平板状であり、その主面(光入射面及び光射出面)に平行で且つ互いに直交する透過軸と反射軸とを有している。したがって、第1の反射偏光板102は、入射光のうち、反射軸と平行な偏光面を有する偏光成分光を反射し、反射軸と直交する、即ち透過軸と平行な偏光面を有する偏光成分光を透過する。ここで、第1の反射偏光板102は、図1(a)や図2(a)に示すようにして、液晶パネル101の電気光学主面上に配設するようにしても良いし、図1(b)や図2(b)に示すようにして、スペーサガラス104a、104aの主面上に配設するようにしても良い。また、これらの配置を適宜組み合わせてもよい。何れの場合であっても、第1の反射偏光板102は、その主面が、液晶パネル101の電気光学主面と平行となるように配設される。
【0021】
合成手段の一例としての第2の反射偏光板103は、平板状であり、例えばワイヤグリッド偏光板で構成され、第1の反射鏡105によって導かれた偏光成分光と第2の反射鏡106によって導かれた偏光成分光とが入射される。この第2の反射偏光板103は、その主面(光入射面及び光射出面)に平行で且つ互いに直交する透過軸と反射軸とを有している。したがって、第1の反射偏光板102は、入射光のうち、反射軸と平行な偏光面を有する偏光成分光を反射し、反射軸と直交する、即ち透過軸と平行な偏光面を有する偏光成分光を透過する。このような第2の反射偏光板103は、第1の反射鏡105によって導かれた偏光成分光と第2の反射鏡106によって導かれた偏光成分光とを合成して射出する。ここで、第2の反射偏光板103は、図1(a)や図2(a)に示すようにして、液晶パネル101の電気光学主面上に配設するようにしても良いし、図1(b)や図2(b)に示すようにして、スペーサガラス104a、104aの主面上に配設するようにしても良い。また、これらの配置を適宜組み合わせてもよい。何れの場合であっても、第1の反射偏光板102と同様に、第2の反射偏光板103は、その主面が、液晶パネル101の電気光学主面と平行となるように配設される。さらに、第2の反射偏光板103は、第1の反射偏光板102との間に液晶パネル101を挟むようにして配設する。例えば、第1の反射偏光板102と第2の反射偏光板103とを液晶パネル101上に配設する場合には、これら反射偏光板を液晶パネル101の異なる電気光学主面上に配設する。また、第1の反射偏光板102と第2の反射偏光板103とをスペーサガラス104aに配設する場合には、これら反射偏光板を異なるスペーサガラス104aの主面上に配設する。この場合、これら反射偏光板は、スペーサガラス104aが有する2つの主面のうち、液晶パネル101と向かい合う側の主面に配設する。
【0022】
ここで、図1では第1の反射偏光板102及び第2の反射偏光板103の内部にそれぞれの反射軸の方向を示している。反射偏光板の主面に平行な直線が反射偏光板内に記載されたものは、図面の上下方向に沿って反射軸が延在していることを示しており、円内にバツ印を付した記号が反射偏光板内に記載されたものは、紙面に直交する方向に沿って反射軸が延在していることを示している。したがって、図1は、第1の反射偏光板102の反射軸と第2の反射偏光板103の反射軸が互いに平行となっている例を示している。以下、このような第1の反射偏光板102の反射軸と第2の反射偏光板103の反射軸が互いに平行となる関係を有している光路切替装置を「ポジ型」の光路切替装置と呼ぶ。また、図2は、第1の反射偏光板102の反射軸と第2の反射偏光板103の反射軸が互いに直交している例を示している。以下、このような第1の反射偏光板102の反射軸と第2の反射偏光板103の反射軸が互いに直交している光路切替装置を「ネガ型」の光路切替装置と呼ぶ。
【0023】
スペーサガラス104a、104aは、接触防止スペーサ104b、104bとともに間隙規定手段を構成している。スペーサガラス104a、104aは、例えばソーダガラス等の透光性を有する部材により構成された平板であり、一対の主面が互いに平行な平面状をなしている。また、スペーサガラス104a、104aは、液晶パネル101と第1の反射鏡105との間隙及び液晶パネル101と第2の反射鏡106との間隙をそれぞれ規定するとともに、液晶パネル101と第1の反射鏡105との間及び液晶パネル101と第2の反射鏡106との間を平行に保つ。このようなスペーサガラス104aは、間隙規定手段の主部を構成している。ここで、スペーサガラス104aは、必ずしも全てを、透光性を有する部材によって構成する必要はない。実際には、光が通過する所定領域が透光性を有する部材で構成されていれば良い。接触防止スペーサ104bは、樹脂等により構成され、液晶パネル101と2枚のスペーサガラス104aとの間隙をそれぞれ規定して、液晶パネル101とスペーサガラス104aとの接触を防止する。また同時に、接触防止スペーサ104bは、液晶パネル101と2枚のスペーサガラス104aとの間を平行に保っている。このようなスペーサガラス104aは、間隙規定手段の副部を構成している。
【0024】
第1の反射鏡105は、間隙規定手段としてのスペーサガラス104a及び接触防止スペーサ104bを挟んで液晶パネル101の第1の反射偏光板102側の電気光学主面と対向するように配設されている。この第1の反射鏡105は、スペーサガラス104aに向かい合う導光主面(光入射面)の所定領域が平面状をなす、例えば鏡面処理が施されたアルミニウム等で構成されている。また、第1の反射鏡105は、第1の反射偏光板102から射出された偏光成分光を反射させて液晶パネル101に導く。第2の反射鏡106は、間隙規定手段としてのスペーサガラス104a及び接触防止スペーサ104bを挟んで液晶パネル101の第2の反射偏光板103側の電気光学主面と対向するように配設されている。この第2の反射鏡106も、第1の反射鏡105と同様に、スペーサガラス104aに向かい合う導光主面(光入射面)の所定領域が平面状をなす、例えば鏡面処理が施されたアルミニウム等で構成されている。また、第2の反射鏡106は、第1の反射偏光板102から射出され、液晶パネル101を通過した偏光成分光を第1の反射鏡105の反射方向と交差する反射方向に反射させて液晶パネル101に導く。ここで、第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106は、その導光主面が、液晶パネル101の電気光学主面と平行となるように配設される。
【0025】
状態切替手段としての電圧制御部107は、液晶パネル101を駆動するための電圧を電極204に印加することによって液晶パネル101に電界を発生させる。電圧制御部107による電極204への電圧印加によって液晶パネル101に発生する電界により、液晶パネル101を通過する光が旋光されない状態と、90°旋光される状態との間で、駆動状態が切り替わる。このような動作により、光路切替装置100から射出される光の光路を切り替えることが可能である。
【0026】
ここで、上述した光路切替装置100、100Aが有する各構成の配置について説明する。図1(a)及び図1(b)に示すように、ポジ型の光路切替装置100及びネガ型の光路切替装置100Aは、2つの光入力部(入力1、入力2)を有している。入力1は、液晶パネル101に対して第1の反射偏光板102が配置された側に設けられている。この入力1からは、第1の反射偏光板102に対する入射角がα(0<α<90°)となるように光が射出される。液晶パネル101、第1の反射鏡105、第2の反射鏡106、第2の反射偏光板103及びスペーサガラス104a、104aの各光入射面及び光射出面は平面状であり且つ互いに平行に配置されていて、第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106に入射した光は正反射するので、液晶パネル101、第1の反射鏡105、第2の反射鏡106、第2の反射偏光板103及びスペーサガラス104a、104aに対する光の入射角は何れもαとなっている。また、入力2は、液晶パネル101に対して第2の反射偏光板103が配置された側に設けられている。この入力2からは、液晶パネル101に対する入射角がβ(0<β<90°)となるように光が入射される。そして、入力1からの入射光と同様に、第1の反射鏡105、第2の反射鏡106、第1の反射偏光板102及びスペーサガラス104a、104aに対する光の入射角は何れもβとなっている。図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態の光路切替装置100、100Aにおいては入射角αとβが等しい場合を例示して説明しているが、入射角αとβは異なっていても良い。
【0027】
光入力部から入射した光は、上述した各構成の光入射面及び光射出面を通過する際に生じる僅かな屈折を無視すれば、図1(a)、図1(b)に示すようにほぼ直線状に進行するものと見なして良い。まず、入力1からの入射光の光路と上述した各構成との位置関係について説明する。入力1からの入射光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、スペーサガラス104a、第1の反射偏光板102、液晶パネル101、スペーサガラス104a、第2の反射鏡106の各光入射面及び光射出面が配置され、第2の反射鏡106に入射し正反射された光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、スペーサガラス104a、第2の反射偏光板103、液晶パネル101、スペーサガラス104aの各光入射面及び光射出面が配置されている。また、第1の反射偏光板102に入射し正反射された光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、第1の反射偏光板102、スペーサガラス104a、第1の反射鏡105の各光入射面及び光射出面が配置され、第1の反射鏡105に入射し正反射された光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、スペーサガラス104a、液晶パネル101、第2の反射偏光板103の各光入射面及び光射出面が配置されている。このとき、第1の反射鏡105で反射されてから第2の反射偏光板103に入射して正反射される光の光路が、第2の反射鏡106に入射して正反射される光の光路と一致している。また、第1の反射鏡105で反射された光の一部は第2の反射偏光板103を透過してからスペーサガラス104aの主面を透過するが、この光の光路が、第2の反射鏡106で反射されてから第2の反射偏光板103に入射して正反射される光の光路と一致している。
【0028】
次に、入力2からの入射光の光路と上述した各構成との位置関係について説明する。入力2からの入射光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、スペーサガラス104a、液晶パネル101、第1の反射偏光板102、スペーサガラス104a、第1の反射鏡105の各光入射面及び光射出面が配置され、第1の反射鏡105に入射し正反射された光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、スペーサガラス104a、液晶パネル101、第2の反射偏光板103、スペーサガラス104aの各光入射面及び光射出面が配置されている。また、第1の反射偏光板102に入射し正反射された光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、第1の反射偏光板102、液晶パネル101、スペーサガラス104a、第2の反射鏡106の各光入射面及び光射出面が配置され、第2の反射鏡106に入射し正反射された光の光路となる直線に交差するように、光の進行順に、スペーサガラス104a、液晶パネル101、第2の反射偏光板103、スペーサガラス104aの各光入射面及び光射出面が配置されている。このとき、第2の反射鏡106で反射されてから第2の反射偏光板103に入射して正反射される光の光路が、第1の反射鏡105に入射して正反射される光の光路と一致している。また、第2の反射鏡106で反射された光の一部は第2の反射偏光板103を透過してからスペーサガラス104aの主面を透過するが、この光の光路が、第1の反射鏡105で反射されてから第2の反射偏光板103に入射して正反射される光の光路と一致している。
【0029】
以下、図1、図2で示した光路切替装置100、100Aの動作について説明する。まず、図4(a)、図4(b)を参照してポジ型の光路切替装置100において2つの入力部のうち入力1に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作を説明する。図4(a)は液晶パネル101に電界が生成されないような電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されているときの光の経路を示した図であり、図4(b)は液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界に対応する電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されているときの光の経路を示した図である。ここで、図中の光路に付した両矢印の記号は、光が紙面に平行な偏光面を有していることを示し、円内にバツ印を付した記号は、光が紙面に直交する偏光面を有していることを示している。なお、図4は、液晶パネル101がノーマリブラックモードの例である。また、図4では、簡略化のため、スペーサガラス104a及び接触防止スペーサ104b、電圧制御部107の図示を省略している。
【0030】
まず、図4(a)に示すように、液晶パネル101に電界が生成されないような電圧が電圧制御部107によって電極204に印加されている状態で入力1から光が入射された場合、この入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光(偏光成分光Aと言う)は、第1の反射偏光板102において反射された後、スペーサガラス104aを透過して第1の反射鏡105に入射される。第1の反射鏡105で反射された偏光成分光Aは、スペーサガラス104aを透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101には電界が発生していないので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Aは、旋光されずに第2の反射偏光板103に入射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸とも平行となっている。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103で反射されて、光路切替装置100が有する2つの光出力部(出力1、出力2)のうちの出力1から射出される。
【0031】
一方、入力1からの入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する偏光成分光(偏光成分光Bと言う)は、第1の反射偏光板102を透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101には電界が発生していないので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、旋光されずにスペーサガラス104aを透過して第2の反射鏡106に入射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸とも直交している。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103を透過して、偏光成分光Aと同一の光路、即ち出力1から射出される。
【0032】
以上のように、液晶パネル101に電界が発生していない場合には、入力1から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。その後、偏光成分光Aと偏光成分光Bとは異なる光路を経由して第2の反射偏光板103において再度合成されて出力1から射出される。
【0033】
液晶パネル101に液晶層205の配向状態を変化させるような電界を印加した場合には、液晶パネル101に入射された光が90°旋光される。このため、図4(b)に示すように、液晶パネル101に電界が発生している状態で入力1から光が入射された場合、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102と第1の反射鏡105で反射された後、液晶パネル101において90°旋光されてその偏光面が紙面に直交する方向となる。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と直交することになる。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103を透過して出力2から射出される。
【0034】
同様に、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交している偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、液晶パネル101において90°旋光されてその偏光面が紙面に平行な方向となり、第2の反射鏡106で反射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行となる。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103で反射されて出力2から射出される。
【0035】
以上のように、液晶パネル101に液晶層205の配向状態を変化させるような電界を印加した場合、入力1から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。各偏光成分光は、液晶パネル101を通過する際に90°旋光された後、第2の反射偏光板103において再度合成されて出力2から射出される。
【0036】
次に、ポジ型の光路切替装置100において2つの入力部のうち入力2に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作について説明する。図5(a)は液晶パネル101に電界が発生していない状態の光の経路を示した図であり、図5(b)は液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界が印加されている状態の光の経路を示した図である。
【0037】
図5(a)に示すように、液晶パネル101に電界が発生していない状態で入力2から光が入射された場合、この入射光は、旋光されずに液晶パネル101に入射される。第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102において反射され、スペーサガラス104aを透過して第2の反射鏡106に入射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸とも平行となっている。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103で反射されて出力2から射出される。
【0038】
一方、第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、スペーサガラス104aを透過して第1の反射鏡105に入射される。第1の反射鏡105で反射された偏光成分光Bは、スペーサガラス104aを透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101には電界が発生していないので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、旋光されずに第2の反射偏光板103に入射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸とも直交している。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103を透過して、偏光成分光Aと同一の光路、即ち出力2から射出される。
【0039】
以上のように、液晶パネル101に電界が発生していない場合には、入力2から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。その後、偏光成分光Aと偏光成分光Bとは異なる光路を経由して第2の反射偏光板103において再度合成されて出力2から射出される。
【0040】
液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧を印加した場合には、液晶パネル101に入射された光が90°旋光される。このため、図5(b)に示すように、液晶パネル101に上述の電圧が印加されている状態で入力2から光が入射された場合、液晶パネル101への入射光は、90°旋光されてから第1の反射偏光板102に入射される。第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102において反射され、液晶パネル101において90°旋光されてその偏光面が紙面に直交する方向となり、スペーサガラス104aを透過して第2の反射鏡106に入射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と直交している。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103を透過して出力1から射出される。
【0041】
一方、第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、スペーサガラス104aを透過して第1の反射鏡105に入射される。第1の反射鏡105で反射された偏光成分光Bは、スペーサガラス104aを透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101の液晶層205には該液晶層**の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が印加されているので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、旋光されてその偏光面が紙面に平行な方向となり、第2の反射偏光板103に入射される。光路切替装置100はポジ型であるので、このとき、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行となっている。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103で反射されて、偏光成分光Aと同一の光路、即ち出力2から射出される。
【0042】
以上のように、液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧を印加した場合、入力2から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。各偏光成分光は、液晶パネル101を通過する際に90°旋光された後、第2の反射偏光板103において再度合成されて出力1から射出される。
【0043】
次に、図6(a)、図6(b)を参照してネガ型の光路切替装置100Aにおいて2つの入力部のうち入力1に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作を説明する。図6(a)は液晶パネル101に電界が発生していない状態の光の経路を示した図であり、図6(b)は液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が印加されている状態の光の経路を示した図である。
【0044】
まず、図6(a)に示すように、液晶パネル101に電圧が印加されていない状態で入力1から光が入射された場合、この入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102において反射されて第1の反射鏡105に入射される。第1の反射鏡105で反射された偏光成分光Aは、液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101には電界が発生していないので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Aは、液晶パネル101において旋光されずに、その偏光面が紙面に平行である状態で第2の反射偏光板103に入射される。ネガ型の場合、第2の反射偏光板103の反射軸を、第1の反射偏光板102の反射軸と直交させている。したがって、偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と直交している。このため、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103を透過して、光路切替装置100が有する2つの光出力部のうちの出力2から射出される。
【0045】
一方、入力1からの入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101の液晶層205には電界が印加されていないので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、旋光されずに第2の反射鏡106に入射される。ネガ型の場合には、第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行となる。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103で反射されて、偏光成分光Aと同一の光路、即ち出力2から射出される。これにより、偏光成分光Aと偏光成分光Bとが合成されて出力2から射出される。
【0046】
液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧を印加した場合には、液晶パネル101に入射された光が90°旋光される。このため、図6(b)に示すように、液晶パネル101に上述の電圧が印加されている状態で入力1から光が入射された場合、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102と第1の反射鏡105で反射された後、液晶パネル101において90°旋光されてその偏光面が紙面に直交する方向となる。光路切替装置100はネガ型であるので、このとき、偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行な方向となる。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103で反射されて出力1から射出される。
【0047】
同様に、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交している偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、液晶パネル101において90°旋光されてその偏光面が紙面に平行な方向となり、第2の反射鏡106で反射される。光路切替装置100はネガ型であるので、このとき、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と直交する方向となる。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103を透過して出力2から射出される。
【0048】
以上のように、液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧を印加した場合、入力1から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。各偏光成分光は、液晶パネル101を通過する際に90°旋光された後、第2の反射偏光板103において再度合成されて出力1から射出される。
【0049】
次に、ネガ型の光路切替装置100Aにおいて2つの入力部のうち入力2に入射された光を2つの光出力部間で切り替えて出力する際の動作について説明する。図7(a)は液晶パネル101に電界が発生していない状態の光の経路を示した図であり、図7(b)は液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が印加されている状態の光の経路を示した図である。
【0050】
図7(a)に示すように、液晶パネル101の液晶層205に電界が発生していない状態で入力2から光が入射された場合、この入射光は、旋光されずに液晶パネル101に入射される。第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102において反射され、スペーサガラス104aを透過して第2の反射鏡106に入射される。光路切替装置100はネガ型であるので、このとき、第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と直交している。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103を透過して出力1から射出される。
【0051】
一方、第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、スペーサガラス104aを透過して第1の反射鏡105に入射される。第1の反射鏡105で反射された偏光成分光Bは、スペーサガラス104aを透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101には電界が発生していないので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、旋光されずに第2の反射偏光板103に入射される。光路切替装置100はネガ型であるので、このとき、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行となっている。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103で反射されて、偏光成分光Aと同一の光路、即ち出力1から射出される。
【0052】
以上のように、液晶パネル101に電界が発生していない場合には、入力2から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。その後、偏光成分光Aと偏光成分光Bとは異なる光路を経由して第2の反射偏光板103において再度合成されて出力1から射出される。
【0053】
図7(b)に示すように、液晶パネル101の液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が印加されている状態で入力2から光が入射された場合、液晶パネル101への入射光は、90°旋光されてから第1の反射偏光板102に入射される。第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な偏光成分光Aは、第1の反射偏光板102において反射され、液晶パネル101において90°旋光されてその偏光面が紙面に直交する方向となり、スペーサガラス104aを透過して第2の反射鏡106に入射される。光路切替装置100はネガ型であるので、このとき、第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行となっている。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103で反射されて出力2から射出される。
【0054】
一方、第1の反射偏光板102への入射光のうちで、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、スペーサガラス104aを透過して第1の反射鏡105に入射される。第1の反射鏡105で反射された偏光成分光Bは、スペーサガラス104aを透過して液晶パネル101に入射される。ここで、液晶パネル101の液晶層には上述の電圧が印加されているので、液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、旋光されてその偏光面が紙面に平行な方向となり、第2の反射偏光板103に入射される。光路切替装置100はネガ型であるので、このとき、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸と平行となっている。したがって、第2の反射偏光板103に入射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103を透過して、偏光成分光Aと同一の光路、即ち出力2から射出される。
【0055】
以上のように、液晶パネル101の液晶層**の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧を印加した場合、入力2から入射された光は、第1の反射偏光板102において偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離される。各偏光成分光は、液晶パネル101を通過する際に90°旋光された後、第2の反射偏光板103において再度合成されて出力2から射出される。
【0056】
以上説明したように、光路切替装置100は、液晶パネル101の印加電圧を切り替えることによって、入力1と入力2の何れかから入射された光の射出光路を出力1と出力2の何れかに切り替えることが可能である。ここで、上述の例では、光入力部を入力1又は入力2の何れか1つだけ設けているが、図8(a)に示すように、光入力部を2つ設けて、両方から光を入射させるようにしても良い。また、図8(b)に示すように、入力1と入力2の光路を部分的に一致させても良い。
【0057】
図9は、本実施形態に係る光路切替装置100の製造方法の概略を示したフローチャートである。なお、以下では反射偏光板を液晶パネルに配設する例について主に説明するが、反射偏光板をスペーサガラスに配設する場合であっても製造方法の基本的な流れは同じである。
【0058】
最初に、所定の厚さである旋光領域を有する液晶パネル101と、2つの間隙規定手段(2枚のスペーサガラス104a及び2つの接触防止スペーサ104b)を準備する。ここで、液晶パネル101の旋光領域の厚さを次のようにしておく。まず、液晶パネル101への入射光の入射角をαとし、液晶パネル101への入射角が0°となる方向(即ち垂直入射)した光が液晶パネル101内の旋光領域を光路長dだけ進行する間に90°旋光されるとする。このとき、液晶パネル101の旋光領域の厚さは、以下の式によって定まる。なお、旋光領域とは光が通過する領域であり、より具体的には液晶パネルのうちの液晶層である。
旋光領域の厚さ=d/cosα (式1)
その後、液晶パネル101の一方の電気光学主面に第1の反射偏光板102を例えば接着して配設する(ステップS1)。上述したように、第1の反射偏光板102をスペーサガラス104aに配設するようにしても良い。
【0059】
続いて、液晶パネル101の他方の電気光学主面に第2の反射偏光板103を例えば接着して配設する(ステップS2)。上述したように、第2の反射偏光板103もスペーサガラス104aに配設するようにしても良い。
【0060】
続いて、一方のスペーサガラス104aの何れかの主面に第1の反射鏡105を配設する。その後に、他方のスペーサガラス104aの何れかの主面に第2の反射鏡106を配設する(ステップS3)。第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106は、第1の反射鏡105は、例えばアルミニウムを蒸着することにより配設する。
【0061】
ここで、上述したように、第1の反射偏光板102をスペーサガラス104aの何れか一方の主面に配設するようにした場合には、スペーサガラス104aの他方の主面に第1の反射鏡105を配設する。また、上述したように、第2の反射偏光板103をスペーサガラス104aの何れか一方の主面に配設するようにした場合には、スペーサガラス104aの他方の主面に第2の反射鏡106を配設しておく。
【0062】
続いて、各スペーサガラス104aの反射鏡を配設した主面とは反対側の主面に、接触防止スペーサ104bを配設する(ステップS4)。接触防止スペーサ104bは、例えば両面テープを用いてスペーサガラス104aに固定しても良いし、接着剤を用いてスペーサガラス104aに固定しても良い。
【0063】
最後に、反射鏡及び接触防止スペーサ104bを配設した2枚のスペーサガラス104aを液晶パネル101に配設することで、光路切替装置100が製造される。(ステップS5)。接触防止スペーサ104bは、液晶パネル101に例えば両面テープを用いて固定しても良いし、接着剤を用いて固定しても良い。
【0064】
上述したステップS5において、偏光成分光Aが、第1の反射鏡105により導かれた後に液晶パネル101に入射され、液晶パネル101を透過した後に第2の反射偏光板103に入射され、偏光成分光Bが、第1の反射偏光板102を透過した後に液晶パネル101に入射され、液晶パネル101を透過して第2の反射鏡106により導かれた後に第2の反射偏光板103に入射されるように、液晶パネル101、第1の反射偏光板102、第2の反射偏光板103、第1の反射鏡105、第2の反射鏡106、及び、スペーサガラス104a,104aを位置合わせして配設する。また、これと同時に、偏光成分光Aが、第1の反射偏光板102により反射された後に液晶パネル101に入射され、液晶パネル101を透過して第2の反射鏡106により導かれた後に第2の反射偏光板103に入射され偏光成分光Bが、第1の反射鏡105により導かれた後に液晶パネル101に入射され、液晶パネル101を透過した後に第2の反射偏光板103に入射されるように、液晶パネル101、第1の反射偏光板102、第2の反射偏光板103、第1の反射鏡105、第2の反射鏡106、及び、スペーサガラス104a,104aを位置合わせして配設する。これによって、2つの光入力部から入射した光の光路の切り替えを行う光路切替装置100を製造することができる。尚、このステップS5において位置合わせした際に、上述の通り各部材が配置されるように、上述したステップS1において第1の反射偏光板102を配設し、上述したステップS2において第2の反射偏光板103を配設し、上述したステップS3において第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106を配設しておく必要がある。
【0065】
以上説明したように、本実施形態によれば、光路切替装置において液晶パネル101に対して光を斜め入射させるようにしている。これにより、第1の反射偏光板102、第2の反射偏光板103、第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106を、液晶パネル101の主面(光入射面及び光射出面)に対して平行に配置することが可能である。したがって、液晶パネル101の主面上に反射偏光板を設けたり、平板状のスペーサガラス104aを介在させて反射鏡を設けたりすることで、第1の反射偏光板102、第2の反射偏光板103、第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106を簡単に精度良く配置することが可能となる。このため、光路切替装置の製造歩留まりの向上も期待できる。
【0066】
また、第1の反射偏光板102、第2の反射偏光板103、第1の反射鏡105及び第2の反射鏡106を、液晶パネル101の電気光学主面(光入射面及び光射出面)に対して平行に配置することが可能であり、光路切替装置の薄型化が可能である。
【0067】
ここで、上述の例では、液晶パネル101に入射させる光の入射角αを例えば45°としている。しかしながら、実際には、(式1)の条件を満たすように液晶パネル101の厚さを決定すれば、光の入射角αは45°とする必要はなく、0<α<90°の範囲で変化させることが可能である。図10に、αを45°よりも小さくした例を示している。図10(a)は、ポジ型の例であり、図10(b)は、ネガ型の例である。
【0068】
また、上述の図1〜図7の例では、1つの光入力部には、1本の光線を入射させるようにしている。これに対し、図11に示すように、1つの光入力部に複数本の光線を同時に入射させるようにしても良い。
【0069】
さらに、上述の図1〜図11の例では、1つの光路切替装置100内に、第1の反射偏光板102と第2の反射偏光板103とを1つずつ配設するようにしている。しかしながら、実際には、第1の反射偏光板102と第2の反射偏光板103とは偶数の同数個ずつ配設すれば良い。例えば、図12に示すように、1つの光路切替装置100内に、2個の第1の反射偏光板1021及び1022と2個の第2の反射偏光板1031及び1032とを配設するようにしても良い。
【0070】
さらに、上述の図9では、スペーサガラス104aに反射鏡を配設した後で、反射鏡が配設されたスペーサガラス104aを液晶パネル101に配設するようにしている。これに対し、先に液晶パネル101にスペーサガラス104aを配設してから反射鏡を配設するようにしても良い。
【0071】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態で説明した光路切替装置を複数個組み合わせたものである。図13は、第2の実施形態に係る光路切替装置の構成を示す図である。なお、図13においては、スペーサガラス104a及び接触防止スペーサ104bと、電圧制御部107の図示を省略している。また、図13(a)は、ポジ型の構成例を示しており、図13(b)はネガ型の構成例を示している。
【0072】
図13(a)及び図13(b)に示すように、本実施形態に係る光路切替装置100は、複数(図では3個)の液晶パネル1011、1012、1013と、複数の第1の反射偏光板1021、1022、1023と、複数の第2の反射偏光板1031、1032、1033と、第1の反射鏡105と、複数の第2の反射鏡1061、1062、1063と、を有している。
【0073】
液晶パネル1011、1012、1013は、例えばツイステッドネマティック(TN)モードの液晶パネルであり、第1の反射鏡105の導光主面に平行な所定の方向に沿って配列されている。これらの液晶パネル1011、1012、1013は、電圧制御部107の電圧印加によって入射光を旋光させて射出する。ここで、液晶パネル1011、1012、1013は、独立して印加電圧を制御することが可能である。
【0074】
第1の反射偏光板1021は、液晶パネル1011上(或いは液晶パネル1011と対向するように配置されたスペーサガラス上)に配設されている。同様に、第1の反射偏光板1022は液晶パネル1012上に、第1の反射偏光板1023は液晶パネル1013上にそれぞれ配設されている。これら第1の反射偏光板1021、1022、1023は、第1の実施形態で説明した第1の反射偏光板102と同様の構成を有していて良い。
【0075】
第2の反射偏光板1031は、液晶パネル1011上(或いは液晶パネル1011と対向するように配置されたスペーサガラス上)に配設されている。同様に、第2の反射偏光板1032は液晶パネル1012上に、第2の反射偏光板1033は液晶パネル1013上にそれぞれ配設されている。これら第2の反射偏光板1031、1032、1033は、第1の実施形態で説明した第2の反射偏光板103と同様の構成を有していて良い。
【0076】
第1の反射鏡105は、第1の反射偏光板1021、1022、1023のそれぞれから射出された偏光成分光を反射させて液晶パネル1011、1012、1013のそれぞれに導く。第2の反射鏡1061、1062、1063は、第1の反射偏光板1021、1022、1023のそれぞれから射出され、液晶パネル1011、1012、1023のそれぞれを通過した偏光成分光を第1の反射鏡105の反射方向と交差する反射方向に反射させて液晶パネル1011、1012、1013のそれぞれに導く。ここで、第2の実施形態においては、第1の反射鏡が複数の液晶パネルに対して共通に設けられているのに対し、第2の反射鏡は複数の液晶パネルに対して個別に設けられている。これは、第2の反射鏡間に光出力部(出力1、出力2、出力3)を形成しているためである。
【0077】
以下、図13で示した光路切替装置100の動作について図14を参照して説明する。なお、図14における光路切替装置100も、第1の実施形態と同様、2つの光入力部(入力1、入力2)を有している例を示している。これらの入力1、入力2からは、液晶パネル101に対する入射角がα(例えば45°)となるように光が射出される。
【0078】
第1の実施形態で説明したように、1つの液晶パネルと、2つの反射偏光板と、1対の反射鏡とを単位として構成される光路切替装置は、液晶パネルに電圧が印加されていないときには、入力1からの入射光を出力1(第1の反射偏光板側)から射出し、入力2からの入射光を出力2(第2の反射偏光板側)から射出する。一方、この1つの単位の光路切替装置は、液晶パネルの液晶層205の配向状態を変化させるような電界を生じさせる電圧が印加されているときには、入力1からの入射光を出力2(第2の反射偏光板側)から射出し、入力2からの入射光を出力1(第1の反射偏光板側)から射出する。
【0079】
ここで、図14に示すように、本実施形態では、第1の反射偏光板側から射出された光については第1の反射鏡によって反射させて、次段の第1の反射偏光板に入射させる。以下、このような射出光路を内部射出光路と言う。これに対し、第2の反射偏光板側から射出された光については第2の反射鏡間に設けられた光出力部から光路切替装置の外部に射出させる。以下、このような射出光路を外部射出光路と言う。
【0080】
図14は、図1で示したポジ型の光路切替装置を複数個組み合わせたものであり、液晶パネル1011、1012、1013の何れに上述の電圧を印加するかによって入射光の射出先を出力1〜出力3の間で自由に切り替えることが可能である。例えば、液晶パネル1011、1013に電界を発生させず、液晶パネル1012に電圧を印加した場合、入力1からの入射光は出力2から射出され、入力2からの入射光は出力1から射出される。また、例えば、液晶パネル1011、1013に電圧を印加して、液晶パネル1012に電界を発生させていない場合、入力1からの入射光は出力1から射出され、入力2からの入射光は出力3から射出される。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態で説明した光路切替装置を複数個組み合わせることで光出力部を3つ以上設けることが可能である。また、第2の反射鏡間に光出力部を設けることにより、光路切替装置の内部から光を取り出すことも可能である。
【0082】
また、本実施形態では、図14に示すように、液晶パネル1011、1012、1013を第1の反射鏡105の導光主面に平行な所定の方向に沿って配列し、各液晶パネルに第1の反射偏光板及び第2の反射偏光板を配設している。さらに、各液晶パネルと平行となるように第1の反射鏡及び第2の反射鏡を配設するようにしている。このような構成とすることにより、液晶パネル1011、1012、1013と、第1の反射偏光板1021、1022、1023と、第2の反射偏光板1031、1032、1033と、第1の反射鏡105と、第2の反射鏡1061、1062、1063と、を平行に配置しつつ、光路の切り替えを行うことができる。これにより、第1の実施形態と同様に各部材の配置精度を向上させることができる。
【0083】
また、第2の反射鏡1061、1062、1063は、1枚の透明基板の主面のうち少なくとも各光出力部(出力1、出力2、出力3)を除く領域に、例えばアルミニウムを蒸着することにより配設してもよい。このように第2の反射鏡を設けることで、当該基板は少なくとも各光出力部において透光性を有することとなる。この場合、複数の光出力部を備える光路切替装置を製造する際に、第2の反射偏光鏡1061、1062、1063を簡単に精度良く同一平面上に配置することが可能となる。このため、光路切替装置の製造歩留まりの向上も期待できる。
【0084】
ここで、第2の実施形態では、第1の実施形態で例示した各種の変形例も適用可能である。
また、液晶パネル、第1の反射偏光板、第2の反射偏光板、第2の反射鏡の数も3個ずつに限るものではない。
【0085】
さらに、図14では、第2の反射鏡間に光出力部を設けるようにしているが、第1の反射鏡間に光出力部を設けるようにしても良い。さらには、図15や図16に示すように、第1の反射鏡間と第2の反射鏡間の両方に光出力部を設けるようにしても良い。
【0086】
図15は、入力1(第1の反射偏光板側)から入射された光を出力21、22、23(第2の反射偏光板側)の何れかから射出させ、入力2(第2の反射偏光板側)から入射された光を出力11、12、13(第1の反射偏光板側)の何れかから射出させる例を示している。
【0087】
図15のように入力光の取り出し先を設定するためには、入力1からの光の光路と入力2からの光の光路とが重ならないように各光入力部を設定しておく。さらに、第1の反射鏡1051、1052、1053及び第2の反射鏡1061、1062、1063の位置を以下のように設定しておく。
【0088】
即ち、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向けて射出された入力1からの光を内部射出光路に射出させ、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向けて射出された入力2からの光を外部射出光路に射出させるように、第1の反射鏡1051、1052、1053の位置を決定する。このためには、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向かう入力1からの光の射出光路を遮るように、且つ、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向かう入力2からの光の射出光路を開けるように第1の反射鏡1051、1052、1053の位置を決定する。
【0089】
さらに、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向けて射出された入力1からの光を外部射出光路に射出させ、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向けて射出された入力2からの光を内部射出光路に射出させるように、第2の反射鏡1061、1062、1063の位置を決定する。このためには、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向かう入力1からの光の射出光路を開けるように、且つ、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向かう入力2からの光の射出光路を遮るように第2の反射鏡1061、1062、1063の位置を決定する。
【0090】
図16は、入力1(第1の反射偏光板側)から入射された光を出力11、12、13(第1の反射偏光板側)の何れかから射出させ、入力2(第2の反射偏光板側)から入射された光を出力21、22、23(第2の反射偏光板側)の何れかから射出させる例を示している。図16のように入力光の取り出し先を設定するためには、入力1からの光の光路と入力2からの光の光路とが重ならないように各光入力部を設定しておく。さらに、第1の反射鏡1051、1052、1053及び第2の反射鏡1061、1062、1063の位置を以下のように設定しておく。
【0091】
即ち、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向けて射出された入力1からの光を外部射出光路に射出させるように、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向けて射出された入力2からの光を内部射出光路に射出させるように、第1の反射鏡1051、1052、1053の位置を決定する。このためには、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向かう入力1からの光の射出光路を開けるように、且つ、第2の反射偏光板から第1の反射鏡の方向に向かう入力2からの光の射出光路を遮るように、第1の反射鏡1051、1052、1053の位置を決定する。
【0092】
さらに、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向けて射出された入力1からの光を内部射出光路に射出させ、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向けて射出された入力2からの光を外部射出光路から射出させるように、第2の反射鏡1061、1062、1063の位置を決定する。このためには、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向かう入力1からの光の射出光路を遮るように、且つ、第2の反射偏光板から第2の反射鏡の方向に向かう入力2からの光の射出光路を開けるように、第2の反射鏡1061、1062、1063の位置を決定する。
【0093】
図15、図16においては、同一の光入射部からの光は、同一の反射偏光板側に射出するようにしているが、何れかの光を異なる反射偏光板側に射出するようにしても良い。
【0094】
また、図15及び図16で示した変形例の他に、図17に示すように、液晶パネル1011、1012、1013を斜め配置するようにしても良い。
【0095】
また、上述した第2の実施形態の各変形例において、第1の反射鏡1051、1052、1053及び第2の反射鏡1061、1062、1063は、1枚の透明基板の主面のうち少なくとも各光出力部(出力11、出力12、出力13、出力21、出力22、出力23)を除く領域に、例えばアルミニウムを蒸着することにより配設してもよい。このように第1の反射鏡及び第2の反射鏡を設けることで、当該基板は少なくとも各光出力部において透光性を有することとなる。この場合、複数の光出力部を備える光路切替装置を製造する際に、第1の反射鏡1051、1052、1053及び第2の反射鏡1061、1062、1063を簡単に精度良く同一平面上に配置することが可能となる。このため、光路切替装置の製造歩留まりの向上も期待できる。
【0096】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。上述した第1及び第2の実施形態においては、液晶パネルの液晶層の配向状態を変化させないような電界と、その配向状態を変化させるような電界のそれぞれに対応した2種類の電圧を印加することで、液晶パネルに入射した光を旋光させずに射出する又は90°旋光させてから射出するようにしている。しかしながら、実際には、液晶パネルの液晶層の配向状態を変化させる複数種の電界にそれぞれが対応する複数種の電圧を印加することにより、液晶パネルに入射した光を旋光させずに射出する又は角度φ(0<φ≦90°)だけ旋光させてから射出することができる。本実施形態は、このような液晶パネルの特性を利用することで、上述した実施形態の光路切替装置を光分配装置に適用した例である。なお、この光分配装置の構成は、例えば図1や図2で示した光路切替装置の構成をそのまま適用可能である。ただし、第3の実施形態においては、電圧制御部107の電圧印加によって、液晶パネルに入射した光を旋光させずに射出する又は角度φ(0<φ≦90°)だけ旋光させてから射出するようにした点が異なる。
【0097】
図18、図19は、第3の実施形態における光分配装置の動作を示す図である。
第1の実施形態においても説明したように、図18(a)に示すようにして光分配装置に光が入射した場合(図18(a)は入力1から入射があった場合を示している)、この入射光は、第1の反射偏光板102おいて偏光成分光Aと偏光成分光Bとに分離され、各偏光成分光は異なる光路を通過した後、第2の反射偏光板103で合成されて射出される。
【0098】
液晶パネル101に入射した光を90°旋光させて射出する場合の偏光成分光Aと偏光成分光Bの偏光面を模式的に示すと、18(b)に示すものとなる。第1の反射偏光板102に入射した光は、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な直線偏光である偏光成分光A(図18(b)の11)と、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する直線偏光である偏光成分光B(図18(b)の21)とに分離される。
【0099】
偏光成分光Aは、第1の反射鏡105で反射された後(図18(b)の12)、液晶パネル101に入射する。液晶パネル101に入射された偏光成分光Aは、偏光面が90°回転されて(図18(b)の13)、第2の反射偏光板103に入射する。この偏光成分光Aの偏光面は第2の反射偏光板103の反射軸に対して直交している(透過軸に対して平行である)。したがって、第2の反射偏光板103に入射した偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103を透過して、出力2の側に射出される(図18(b)の14)。
【0100】
また、偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、液晶パネル101に入射する。液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは、偏光面が90°回転された後(図18(b)の22)、第2の反射鏡106で反射される(図18(b)の23)。第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103に入射する。ここで、偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸に対して平行である(透過軸に対して直交している)。したがって、第2の反射偏光板103に入射した偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103で反射されて、出力2の側に射出される(図18(b)の24)。
【0101】
光出力部では、図18(b)の14で示した偏光成分光Aと図18(b)の24で示した偏光成分光Bとが合成される。したがって、光出力部では、入射光と同じ強度の光が復元される。
【0102】
次に、図19について説明する。液晶パネル101に入射した光を角度φ(0°<φ<90°)だけ旋光させて射出する場合において図19(a)に示すようにして光分配装置の第1の反射偏光板102に入射した光は、図18(b)の場合と同様、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な直線偏光である偏光成分光A(図19(b)の11)と、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交する直線偏光である偏光成分光B(図19(b)の21)とに分離される。
【0103】
偏光成分光Aは、第1の反射鏡105で反射された後(図19(b)の12)、液晶パネル101に入射する。液晶パネル101に入射された偏光成分光Aは、偏光面が角度φ回転された楕円偏光となって(図19(b)の13)、第2の反射偏光板103に入射する。この偏光成分光Aの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸に対して直交する成分と平行な成分の両方を含んでいる。したがって、第2の反射偏光板103に入射した偏光成分光Aは、第2の反射偏光板103において偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交している直線偏光である偏光成分光C(図19(b)の14−1)と、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と平行な直線偏光である偏光成分光D(図19(b)の14−2)とに分離される。偏光成分光Cは出力2に出射され、偏光成分光Dは出力1に出射される。
【0104】
また、偏光成分光Bは、第1の反射偏光板102を透過した後、液晶パネル101に入射する。液晶パネル101に入射された偏光成分光Bは偏光面が角度φ回転された楕円偏光となって(図19(b)の22)、第2の反射鏡106で反射される(図19(b)の23)。第2の反射鏡106で反射された偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103に入射する。この偏光成分光Bの偏光面は、第2の反射偏光板103の反射軸に対して直交している成分と平行な成分の両方を含んでいる。したがって、第2の反射偏光板103に入射した偏光成分光Bは、第2の反射偏光板103において偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交している直線偏光である偏光成分光E(図19(b)の24−1)と、偏光面が第1の反射偏光板102の反射軸と直交している直線偏光である偏光成分光F(図19(b)の24−2)とに分離される。偏光成分光Eは出力2に出射され、偏光成分光Fは出力1に出射される。
【0105】
出力1では、図19(b)の14−2で示した偏光成分光Dと図19(b)の24−2で示した偏光成分光Fとが合成される。同様に、出力2では、図19(b)の14−1で示した偏光成分光Cと図19(b)の24−1で示した偏光成分光Eとが合成される。このようにして、1つの入射光を強度の異なる2つの光線に分配することが可能である。
【0106】
以上説明したように、本実施形態によれば、電圧制御部107の電圧印加によって、液晶パネルに入射した光を旋光させずに射出する又は角度φ(0<φ≦90°)だけ旋光させるようにすることで、光路切替装置を光分配装置としても使用可能である。
【0107】
ここで、第3の実施形態においても上述した第1及び第2実施形態で示した各種の変形例を適用可能である。
【0108】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0109】
さらに、上記した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組合せにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、上述したような課題を解決でき、上述したような効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0110】
100,100A…光路切替装置、101,1011,1012,1013…液晶パネル、102,1021,1022,1023…第1の反射偏光板、103,1031,1032,1033…第2の反射偏光板、104a…スペーサガラス、104b…接触防止スペーサ、105,1051,1052,1053…第1の反射鏡、106,1061,1062,1063…第2の反射鏡、107…電圧制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を第1の偏光成分光と第2の偏光成分光とに分離する分離手段と、
前記分離手段により分離された入射光のうちの前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とが入射され且つ第1の状態と前記第1の状態とは異なる第2の状態との間で状態が切り替わる電気光学手段と、
前記電気光学手段から射出された前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とを合成し、互いに異なる第1の射出光路及び第2の射出光路の少なくとも一方に射出する合成手段と、
前記電気光学手段の状態を切り替える制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記電気光学手段を前記第1の状態に設定することにより、前記入射光を該第1の状態に応じた第1の強度を有する第1の射出光として前記第1の射出光路に射出させるとともに、該第1の状態に応じた第2の強度を有する第2の射出光として前記第2の射出光路に射出させるとともに、
前記電気光学手段を前記第2の状態に設定することにより、前記入射光を該第2の状態に応じ且つ前記第1の強度とは異なる第3の強度を有する第3の射出光として前記第1の射出光路に射出させるとともに、該第2の状態に応じ且つ前記第2の強度とは異なる第4の強度を有する第4の射出光として前記第2の射出光路に射出させることを特徴とする光分配装置。
【請求項2】
前記第1の状態は、前記電気光学手段が前記第1及び第2の偏光成分光を角度φ(0°<φ<90°)旋光させる状態であって、
前記第2の状態は、前記電気光学手段が前記第1及び第2の偏光成分光を角度φ(0°<φ<90°、φ≠φ)旋光させる状態であることを特徴とする請求項1に記載の光分配装置。
【請求項3】
前記電気光学手段は、前記第1又は第2の状態と、前記第1及び第2の偏光成分光が該電気光学手段を通過する際に該第1及び第2の偏光成分光を旋光させない第3の状態との間で状態が切り替わり、
前記制御手段は、前記電気光学手段を前記第3の状態に設定することにより、前記入射光を前記第1の射出光路に射出させずに、前記第2の射出光路に射出させることを特徴とする請求項1又は2に記載の光分配装置。
【請求項4】
入射光を第1の偏光成分光と第2の偏光成分光とに分離する分離手段と、
前記分離手段により分離された入射光のうちの前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とが入射され且つ第1の状態と第2の状態との間で状態が切り替わる電気光学手段と、
前記電気光学手段から射出された前記第1の偏光成分光と前記第2の偏光成分光とを合成し、互いに異なる第1の射出光路及び第2の射出光路の少なくとも一方に射出する合成手段と、
前記電気光学手段の状態を切り替える制御手段とを備え、
前記制御手段は、
前記電気光学手段を前記第1の状態に設定することにより、前記入射光を該第1の状態に応じた第1の強度を有する第1の射出光として前記第1の射出光路に射出させるとともに、該第1の状態に応じた第2の強度を有する第2の射出光として前記第2の射出光路に射出させるとともに、
前記制御手段は、前記電気光学手段を前記第2の状態に設定することにより、前記入射光を前記第1の射出光路に射出させずに、前記第2の射出光路に射出させることを特徴とする光分配装置。
【請求項5】
前記第1の状態は、前記電気光学手段が前記第1及び第2の偏光成分光を角度φ(0°<φ<90°)旋光させる状態であることを特徴とする請求項4に記載の光分配装置。
【請求項6】
前記分離手段と前記合成手段は、互いに直交する方向に反射軸と透過軸とを有し、入射光のうちで偏光面が前記反射軸に平行な偏光成分光を反射し、偏光面が前記透過軸に平行な偏光成分光を透過させる反射偏光板を含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の光分配装置。
【請求項7】
前記分離手段の反射軸と前記合成手段の透過軸とが互いに直交するように前記分離手段及び前記合成手段が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光分配装置。
【請求項8】
前記分離手段の反射軸と前記合成手段の透過軸とが互いに平行になるように前記分離手段及び前記合成手段が配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光分配装置。
【請求項9】
前記電気光学手段は液晶層であり、前記制御手段は前記液晶層の配向状態を変化させる電界を生成するような電圧を電極に印加することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の光分配装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−133018(P2012−133018A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283515(P2010−283515)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】