説明

光半導体装置およびその製造方法

【課題】 多大なコストや労力をかけずに、リード部(リードフレーム)における樹脂の這い上がりを防止することの可能な光半導体装置を提供する。
【解決手段】 光半導体素子1と、該光半導体素子1を設置するためのリードフレーム2、2と、前記光半導体素子1および前記リードフレーム2、2の前記光半導体素子設置側の端部を覆う封止樹脂部3とを有する光半導体装置であって、前記リードフレーム2、2は、前記封止樹脂部3の底面3aよりも前記光半導体素子設置側とは反対の側の領域において、バリ反転領域4を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LED・半導体レーザー・受光デバイスなどの光半導体装置の製造工程においては、一般に、圧延鋼板よりリードフレームを打ち抜き、しかる後、リードフレームに光半導体素子を設置し、次いで、光半導体素子と前記リードフレームの一部を樹脂で封止する工程がなされる。
【0003】
このような製造工程において、圧延鋼板よりリードフレームを打ち抜く際に、型抜き部に型を抜く方向に向かってバリが発生し、光半導体素子と前記リードフレームの一部を樹脂で封止する工程で、樹脂の表面張力により型抜き部に発生したバリを伝ってリードフレームを樹脂が這い上がり、リードフレームに這い上がった樹脂は実装基板への実装のための半田との濡れ性を阻害するという問題が生じることがある。
【0004】
すなわち、樹脂注入工程から樹脂硬化工程に至る時間は、バッチ処理のため工程・樹脂注入タイミングによって異なり、樹脂注入工程から樹脂硬化工程に至る時間が長くなると、樹脂の表面張力により型抜き部に発生したバリを伝ってリード部を樹脂が這い上がる。その状態で硬化すると、リード部のはんだ濡れ性を阻害してしまう。
【0005】
特許文献1、特許文献2には、このような樹脂の這い上がりを防止する技術が提案されている。
【0006】
すなわち、特許文献1では、封止樹脂加熱硬化前にリードフレーム表面上の封止樹脂隣接域に離型剤のコーティングを施し、樹脂の這い上がりを防止するようにしている。
【0007】
また、特許文献2では、リードフレーム打ち抜き加工の際に生じる突起状のバリ部分を半田付け領域を対象に平坦化するようにプレス型で追加加工し、且つリード電極表面に無光沢メッキが施すことで樹脂の這い上がりを防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭63−086484号公報
【特許文献2】特開2001−230453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1では、常に安定して一様のコーティングが施されているかの確認が難しく、作業者のスキルに負う部分が多くなるため管理コストがかかってしまうという問題があった。
【0010】
また、特許文献2では、通常の打ち抜き型の他に複雑な構成の精度の高いプレス金型が必要であり、初期費用がかさんでしまうという問題があった。
【0011】
本発明は、多大なコストや労力をかけずに、リード部(リードフレーム)における樹脂の這い上がりを防止することの可能な光半導体装置およびその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、光半導体素子と、該光半導体素子を設置するためのリードフレームと、前記光半導体素子および前記リードフレームの前記光半導体素子設置側の端部を覆う封止樹脂部とを有する光半導体装置であって、前記リードフレームは、前記封止樹脂部の底面よりも前記光半導体素子設置側とは反対の側の領域において、バリ反転領域を有していることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光半導体装置において、前記封止樹脂部を囲み、少なくとも一部が前記封止樹脂部の底面よりも前記光半導体素子設置側とは反対の側に突出しているカバー部をさらに有し、前記バリ反転領域の前記光半導体素子設置側の端部は、前記カバー部の最も低い底面よりも前記封止樹脂部側に設けられていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項3記載の発明は、圧延鋼板から少なくともバリ反転用タイバーを残してリードフレームを一方の方向から型抜きする第1型抜き工程と、
第1型抜き工程がなされた前記リードフレームに対し、前記第1型抜き工程とは反対の方向から前記バリ反転用タイバーを型抜きし、前記リードフレームにバリ反転領域を設ける第2型抜き工程と、
光半導体素子を前記リードフレームの一方の端部に設置する工程と、
前記光半導体素子および前記リードフレームの一方の端部を前記バリ反転領域は露出させるように樹脂で封止する工程と、を有していることを特徴とする光半導体装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、光半導体素子と、該光半導体素子を設置するためのリードフレームと、前記光半導体素子および前記リードフレームの前記光半導体素子設置側の端部を覆う封止樹脂部とを有する光半導体装置であって、前記リードフレームは、前記封止樹脂部の底面よりも前記光半導体素子設置側とは反対の側の領域において、バリ反転領域を有しているので、多大なコストや労力をかけずに、リード部(リードフレーム)における樹脂の這い上がりを防止することができる。
【0016】
また、請求項3記載の発明によれば、圧延鋼板から少なくともバリ反転用タイバーを残してリードフレームを一方の方向から型抜きする第1型抜き工程と、
第1型抜き工程がなされた前記リードフレームに対し、前記第1型抜き工程とは反対の方向から前記バリ反転用タイバーを型抜きし、前記リードフレームにバリ反転領域を設ける第2型抜き工程と、
光半導体素子を前記リードフレームの一方の端部に設置する工程と、
前記光半導体素子および前記リードフレームの一方の端部を前記バリ反転領域は露出させるように樹脂で封止する工程と、を有しているので、多大なコストや労力をかけずに、リード部(リードフレーム)における樹脂の這い上がりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の光半導体装置の一構成例を示す図である。
【図2】図1の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図3】図1の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図4】図1の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図5】図1の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図6】図1の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図7】図1の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図8】本発明の光半導体装置の他の構成例を示す図である。
【図9】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図10】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図11】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図12】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図13】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図14】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図15】図8の光半導体装置の製造工程例を示す図である。
【図16】リードフレームが挿入される前のカバー部(樹脂ケース)を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1(a),(b)は、本発明の光半導体装置の一構成例を示す図である。なお、図1(a)は正面図、図1(b)は側面図である。図1(a),(b)を参照すると、この光半導体装置10は、光半導体素子1と、いずれか一方に前記光半導体素子1が設置される一対のリードフレーム2、2と、前記光半導体素子1および前記一対のリードフレーム2、2の前記光半導体素子設置側の端部を覆う封止樹脂部3とを有している。
【0020】
そして、一対のリードフレーム2、2は、封止樹脂部3の底面3aよりも前記光半導体素子設置側とは反対の側の領域(つまり、樹脂で封止されていない領域)において、バリ反転領域4を有している。リードフレーム2、2はそれぞれ、対向する面のいずれかにバリを有し、もう一方の面は平坦な面となっているが、バリ反転領域4では、バリを有する面と平坦な面が、他の領域とは異なる面となっている。なお、図1(b)において、符号3bは封止樹脂部3の這い上がり部であり、符号6、7はバリであり、符号9はワイヤである。
【0021】
図2(a),(b)、図3(a),(b)、図4(a),(b)、図5(a),(b)、図6(a),(b)、図7(a),(b)は、図1(a),(b)の光半導体装置の製造工程例を示す図である。なお、図2(a)、図3(a)、図4(a)、図5(a)、図6(a)、図7(a)は正面図、図2(b)、図3(b)、図4(b)、図5(b)、図6(b)、図7(b)は側面図である。
【0022】
図1(a),(b)の光半導体装置を作製するには、先ず、図2(a),(b)に示すように、圧延鋼板から姿勢保持用タイバー15およびバリ反転用タイバー14を残してリードフレーム2を一方の方向に向けて(例えば、紙面を押す向きに)型抜きする(第1型抜き工程)。この第1型抜き工程により、図2(b)に示すように、姿勢保持用タイバー15およびバリ反転用タイバー14の部分を残して、リードフレーム2には一方の向きD1のバリ6が生じる。
【0023】
次いで、図3(a),(b)に示すように、第1型抜き工程がなされた図2(a),(b)の状態のリードフレーム2に対し、前記第1型抜き工程とは反対の方向から(例えば、紙面を手前の向きに)前記バリ反転用タイバー14を型抜きし、リードフレーム2にバリ反転領域4を設ける(第2型抜き工程)。すなわち、この第2型抜き工程により、図3(b)に示すように、リードフレーム2のバリ反転用タイバー14を型抜きした部分には、前記一方の向きD1とは反対の向きD2のバリ7が生じ、一方の向きD1とは反対の向きD2のバリ7が生じている領域がバリ反転領域4となる。
【0024】
しかる後、図4(a),(b)に示すように、光半導体素子1を一対のリードフレーム2、2のうちの一方のリードフレーム2の一方の端部に設置する。そして、一対のリードフレーム2、2のうちの他方のリードフレーム2と光半導体素子1とをワイヤ9でボンディングする。
【0025】
次いで、図5(a),(b)に示すように、溶融した樹脂(例えばエポキシ樹脂)3が充填されている型11内に、光半導体素子1およびリードフレーム2、2の一方の端部をバリ反転領域4は露出させるように浸す。また、バリ反転領域4より光半導体素子1側にあるバリ6の一部は、溶融された樹脂に浸され、一部は露出される。このとき、溶融した樹脂(例えばエポキシ樹脂)3は、バリ6の浸された一部から露出された一部を伝ってリードフレーム2、2を這い上がるが(符号3bが樹脂3の這い上がり部分である)、樹脂3の這い上がりは、バリ反転領域4に達したところで、バリ6が存在していた面は平坦な面となるため停止する。よって、そのまま樹脂硬化することで、底面3aからバリ反転領域4までしか樹脂が這い上がっていない状態とすることが出来る。リードフレーム2、2のバリ6の対向する面もわずかに樹脂は這い上がってくるが、平坦な面となっているためバリ反転領域4までは達せずに停止する。これにより、図6(a),(b)に示すように、光半導体素子1およびリードフレーム2、2の一方の端部をバリ反転領域4よりも先には樹脂3が這い上がらないように樹脂3で封止することができる。
【0026】
しかる後、図7(a),(b)に示すように、姿勢保持用タイバー15を型抜きすることで、図1(a),(b)の光半導体装置を作製することができる。図1(a),(b)では、リードフレーム2、2に、それぞれ、バリ反転用タイバー14と姿勢保持用タイバー15の2箇所のタイバーの型抜き跡が残ることになる。図1(a)の正面図においてリードフレーム2、2の幅が他の領域に比べ広い領域がタイバーの型抜き跡となる。バリ反転用タイバー14は姿勢保持用タイバー15よりも封止樹脂部3側に設けられていたため、バリ反転領域4は封止樹脂部3側のタイバー型抜き跡に存在する。
【0027】
このように、図1(a),(b)の光半導体装置では、多大なコストや労力をかけずに、リード部(リードフレーム)における樹脂の這い上がりを防止することができ、これにより、実装基板への実装のための半田付け工程でリード部(リードフレーム)のはんだ濡れ不良が生じるのを防止できる。
【0028】
また、図8(a),(b),(c)は、本発明の光半導体装置の他の構成例を示す図である。なお、図8(a)は正面図、図8(b)は側面図、図8(c)は上面図である。図8(a),(b),(c)を参照すると、この光半導体装置40は、9個の光半導体素子21と、9個の光半導体素子21がそれぞれ設置されるリードフレーム(9個のリードフレーム)22と、9個のリードフレーム22のそれぞれと一対のリードフレームをなし、9個の光半導体素子21とワイヤ29でボンディングされる1個のリードフレーム32と、9個の光半導体素子21および前記一対のリードフレーム22、32の前記光半導体素子設置側の端部を覆う封止樹脂部23とを有している。
【0029】
そして、この光半導体装置40は、封止樹脂部23を囲み、少なくとも一部が封止樹脂部23の底面23aよりも光半導体素子設置側とは反対の側に突出しているカバー部(樹脂ケース)34をさらに有している。ここで、カバー部34には、各光半導体素子21からの光をそれぞれ出射させるための出射窓が開口35として設けられている。また、図8(a),(b),(c)の例では、カバー部34は、両側端部に突起状部分36を有している。
【0030】
この光半導体装置40においても、9個のリードフレーム22、および、1個のリードフレーム32は、封止樹脂部23の底面23aよりも前記光半導体素子設置側とは反対の側の領域(つまり、樹脂で封止されていない領域)において、バリ反転領域24を有している。リードフレーム22、32はそれぞれ、対向する面のいずれかにバリを有し、もう一方の面は平坦な面となっているが、バリ反転領域24では、バリを有する面と平坦な面が、他の領域とは異なる面となっている。ここで、バリ反転領域24は、カバー部34の最も低い底面(図8(a),(b),(c)の例では、カバー部34の両側端部の突起状部分36の底面36a)よりも前記封止樹脂部23側に設けられている。なお、図8(a),(b)において、符号23bは封止樹脂部23の這い上がり部であり、符号26、27はバリである。
【0031】
図9(a),(b)、図10(a),(b)、図11(a),(b)、図12(a),(b)、図13(a),(b)、図14(a),(b)、図15(a),(b)は、図8(a),(b),(c)の光半導体装置の製造工程例を示す図である。なお、図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)は平面図、図14(a)、図15(a)は正面図、図9(b)、図10(b)、図11(b)、図12(b)、図13(b)は、それぞれ、図9(a)、図10(a)、図11(a)、図12(a)、図13(a)のA−A線における側面図、図14(b)、図15(b)は、それぞれ、図14(a)、図15(a)の側面図である。
【0032】
図8(a),(b)の光半導体装置を作製するには、先ず、図9(a),(b)に示すように、圧延鋼板から姿勢保持用タイバー45およびバリ反転用タイバー44を残してリードフレーム22、32を一方の方向に向けて(例えば、紙面を押す向きに)型抜きする(第1型抜き工程)。この第1型抜き工程により、図9(b)に示すように、姿勢保持用タイバー45およびバリ反転用タイバー44の部分を残して、リードフレーム22、32には一方の向きD1のバリ26が生じる。
【0033】
次いで、図10(a),(b)に示すように、第1型抜き工程がなされた図9(a),(b)の状態のリードフレーム22、32に対し、前記第1型抜き工程とは反対の方向から(例えば、紙面を手前の向きに)前記バリ反転用タイバー44を型抜きし、リードフレーム22、32にバリ反転領域24を設ける(第2型抜き工程)。すなわち、この第2型抜き工程により、図10(b)に示すように、リードフレーム22、32のバリ反転用タイバー44を型抜きした部分には、前記一方の向きD1とは反対の向きD2のバリ27が生じ、一方の向きD1とは反対の向きD2のバリ27が生じている領域がバリ反転領域24となる。
【0034】
しかる後、図11(a),(b)に示すように、9個の光半導体素子21を一対のリードフレーム22、32のうちの一方のリードフレーム22(9個のリードフレーム22)の端部に設置する。そして、一対のリードフレーム22、32のうちの他方のリードフレーム32(1個のリードフレーム32)と光半導体素子21とをワイヤ29でボンディングする。
【0035】
次いで、図12(a),(b)に示すように、姿勢保持用タイバー45を型抜きする。
【0036】
次いで、図13(a),(b)に示すように、リードフレーム22、32を折り曲げ位置のところで、矢印Mの向きに折り曲げる。折り曲げ位置は、リードフレーム22それぞれのバリ反転領域24よりも光半導体素子21の設置位置に近い位置となる。
【0037】
次いで、図14(a),(b)に示すように、リードフレーム22、32の図13(a),(b)に符号Rで示す面(光半導体素子21およびワイヤ29の搭載面)をカバー部(樹脂ケース)34に挿入する。なお、図16(a),(b)には、リードフレーム22、32が挿入される前のカバー部(樹脂ケース)34が示されている。ここで、図16(a)は正面図、図16(b)は上面図である。図16(a)に示されているカバー部(樹脂ケース)34は、樹脂を注入する前の状態のものであって、このカバー部(樹脂ケース)34には、樹脂注入時に樹脂漏れを防ぐための耐熱フィルム37がカバー部(樹脂ケース)34の表面(開口35が設けられている面)に設けられている。すなわち、後述の樹脂注入時には、樹脂は、カバー部(樹脂ケース)34の開口35内にも入り込むため、耐熱フィルム37が設けられてないと、樹脂漏れが生じるが、耐熱フィルム37を設けることによって、樹脂漏れを防止できる。そして、耐熱フィルム37は、樹脂硬化後に剥される。
【0038】
このようにしてリードフレーム22、32の図13(a),(b)に符号Rで示す面を先頭にしてカバー部(樹脂ケース)34に挿入した後、図15(a),(b)に示すように、カバー部(樹脂ケース)34内に溶融した樹脂(例えばエポキシ樹脂)23を高さHまで注入する(符号23aが樹脂23の高さHの位置である(すなわち、樹脂23の底面となる))。すなわち、リードフレーム22、32のバリ反転領域24は露出させるように樹脂(例えばエポキシ樹脂)23を注入する。また、バリ反転領域24より光半導体素子21側にあるバリ26の一部は、溶融された樹脂に浸され、一部は露出される。
【0039】
このとき、溶融した樹脂(例えばエポキシ樹脂)23は、バリ26の浸された一部から露出された一部を伝ってリードフレーム22、32を這い上がるが(符号23bが樹脂23の這い上がり部分である)、樹脂23の這い上がりは、バリ反転領域24に達したところで停止する。リードフレーム22、23のバリ26の反対側もわずかに樹脂は這い上がってくるが、平坦な面となっているためバリ反転領域24までは達せずに停止する。これにより、光半導体素子21およびリードフレーム22、32の一方の端部をバリ反転領域24よりも先には樹脂23が這い上がらないように樹脂23で封止することができる。このようにして、図8(a),(b),(c)の光半導体装置を作製することができる。
【0040】
このように、図8(a),(b),(c)の光半導体装置40では、多大なコストや労力をかけずに、リード部(リードフレーム)における樹脂の這い上がりを防止することができ、また、図8(a),(b),(c)の光半導体装置40では、バリ反転領域24の光半導体素子設置側の端部は、カバー部34の最も低い底面(図8(a),(b),(c)の例では、カバー部34の両側端部の突起状部分36の底面36a)よりも封止樹脂部23側に設けられている。本発明の光半導体装置を実装基板に実装する際は、カバー部34の最も低い底面が実装基板に接することになる。光半導体装置を実装基板に固定するための半田は、実装基板の樹脂ケース34がある面とは反対側の面であって、差し込まれたリードフレーム22、32が突出されている位置に設けられる。よって、カバー部34の最も低い底面よりもバリ反転領域24が樹脂23側に設けられていることによって、バリ反転領域24は、半田付け箇所に樹脂が到達することを確実に防ぐことが出来る。樹脂這い上がりが停止するのは半導体素子設置側のバリ反転領域23の端部であるため、この端部がカバー部34の最も低い底面より樹脂23側にあればよい。バリ反転領域23の端部とはリードフレーム22、32においてバリ反転領域23と他の領域との境界部分のことである。また仮に、一方の端部のみで樹脂這い上がりを防ぎきることが出来なかったとしても、バリ反転領域24において這い上がってきた樹脂はリードフレーム22、32の対向する面に回りこみバリ27を伝っていくことになり、もう一方の端部に樹脂が到達してもそこからは平坦な面となるためここでも樹脂這い上がりを防ぐ。つまり、バリ反転領域24のもう一方の端部もカバー部34の最も低い底面より樹脂23側にあれば、2重で這い上がり防ぐことが可能となる。よって、バリ反転領域24全体がカバー部34の最も低い底面より樹脂23側にあることが望ましい。
【0041】
なお、図8(a),(b),(c)の例では、カバー部34には、光半導体素子21が設けられていないところにも開口35を設けているが、光半導体素子21が設けられていないところには、開口35を設けなくても良い。
【0042】
また、図8(a),(b),(c)の例では、カバー部34の両側端部に突起状部分36を設けているが、突起状部分36は、カバー部34の両側端部に限らず、任意のところに設けることもできる。あるいは、カバー部34の全周を突起状部分36と同様の高さのものにすることもできる(この場合には、カバー部34の外周の全てが突起状部分となる)。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、ランプタイプのLED・半導体レーザー・受光デバイスや、樹脂ケース付きデバイスなどのリードフレームを使用するものに利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 光半導体素子
2 リードフレーム
3 封止樹脂部
4 バリ反転領域
6、7 バリ
9 ワイヤ
14 バリ反転用タイバー
15 姿勢保持用タイバー
21 光半導体素子
22、32 リードフレーム
23 封止樹脂部
24 バリ反転領域
26、27 バリ
29 ワイヤ
34 カバー部(樹脂ケース)
44 バリ反転用タイバー
45 姿勢保持用タイバー
10、40 光半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子と、該光半導体素子を設置するためのリードフレームと、前記光半導体素子および前記リードフレームの前記光半導体素子設置側の端部を覆う封止樹脂部とを有する光半導体装置であって、前記リードフレームは、前記封止樹脂部の底面よりも前記光半導体素子設置側とは反対の側の領域において、バリ反転領域を有していることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の光半導体装置において、前記封止樹脂部を囲み、少なくとも一部が前記封止樹脂部の底面よりも前記光半導体素子設置側とは反対の側に突出しているカバー部をさらに有し、前記バリ反転領域の前記光半導体素子設置側の端部は、前記カバー部の最も低い底面よりも前記封止樹脂部側に設けられていることを特徴とする光半導体装置。
【請求項3】
圧延鋼板から少なくともバリ反転用タイバーを残してリードフレームを一方の方向から型抜きする第1型抜き工程と、
第1型抜き工程がなされた前記リードフレームに対し、前記第1型抜き工程とは反対の方向から前記バリ反転用タイバーを型抜きし、前記リードフレームにバリ反転領域を設ける第2型抜き工程と、
光半導体素子を前記リードフレームの一方の端部に設置する工程と、
前記光半導体素子および前記リードフレームの一方の端部を前記バリ反転領域は露出させるように樹脂で封止する工程と、を有していることを特徴とする光半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−190941(P2012−190941A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52149(P2011−52149)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】