説明

光反応器及びその製造方法

【課題】 流体に対する処理能力(処理効率)を高め、さらに、全体のコストダウン及び小型コンパクト化を実現するとともに、省エネルギ性及び汎用性を向上させる。
【解決手段】 ガラス棒体2の一端面2pと他端面2q間における内部の長手方向に、被処理液Wを流通可能な処理通路Rm…を有する光反応器を製造するに際し、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…を形成するとともに、この処理通路Rm…の形成により、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部の処理通路に被処理液を流通させて浄化する浄化装置等に用いて好適な光反応器及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガラス素材に被処理液の処理通路を設け、この処理通路における被処理液が接触する表面に、二酸化チタンをコーティングすることにより光触媒層を設けるとともに、この光触媒層に光(紫外線光)を照射し、流通する被処理液を浄化するようにした浄水装置(光反応器)は知られており、例えば、特許文献1及び2には、浄化装置及び水処理装置がそれぞれ開示されている。
【0003】
特許文献1に開示される浄化装置は、ガラス等のように紫外線を透過させる材料で形成された両端が開放された外管と、この外管に収容されて、外管との間に、ガラスビーズ表面にアナタース型二酸化チタンが被覆された光触媒が充填されると共に、被処理水が供給される処理空間を形成する内管と、外管の両端部に設けられたガラスフィルタと、外管の近傍に配置された紫外線を照射する紫外線ランプと、紫外線ランプから照射された紫外線を外管に向けて反射する反射板とを備えて構成したものであり、また、特許文献2に開示される水処理装置は、円筒形状容器である処理槽が、駆動装置の回転支軸上に取り付けられ、中心軸を軸にして、毎分1〜5回転程度の速さで回転するよう設置され、その内部には、球状ガラスの担体にアナターゼ型結晶からなる二酸化チタンを主成分としたコーティングが施された無数の光触媒体を収容しており、さらにこの光触媒体に対して光を照射する棒状紫外線ランプが配置され、さらに、処理槽の一方に被処理水の導入パイプが、また、他方に、排出パイプが設けられ、この処理槽に所定の流通量となるよう被処理水が導入・排出されるように設定されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−239358号公報
【特許文献2】特開2000−117271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来における浄水装置(浄化装置,水処理装置)は、次のような問題点があった。
【0006】
まず、いずれの浄水装置も、ガラス素材により形成した粒体の表面に二酸化チタンをコーティングして構成した光触媒体を多数用いることにより、被処理水に対する二酸化チタン(光触媒)の接触面積を増大させて処理能力(処理効率)を高めている。一方、光触媒に対しては紫外線を照射する必要があるため、特許文献1のように、ガラス管に多数の光触媒体を充填した場合には、多くの光触媒体は他の光触媒体の陰になる。結局、陰になる光触媒体は活性化されないため、紫外線の照射面積を増大させる観点からは十分な効果を得ることができず、処理能力(処理効率)を高めるには限界がある。
【0007】
他方、特許文献2は、処理槽を毎分1〜5回転程度の速さで回転させるため、この処理槽に収容された光触媒体はランダムに撹拌される。したがって、全ての光触媒体を平均的に活性化できるものの陰になる光触媒体を活性化できない点は引用文献1の場合と同じであり、紫外線の照射面積を増大させる観点からは不十分となる。しかも、大型の処理槽やこの処理槽を回転させる駆動装置が必要となるなど、装置全体のコストアップ及び大型化を招くとともに、電力を使用する必要があることから、省エネルギ性に劣り、加えて、使用できる場所が限定されるなど、汎用性にも劣る。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した光反応器及びその製造方法の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光反応器1は、上述した課題を解決するため、ガラス棒体2の一端面2pと他端面2q間における内部の長手方向に被処理液Wを流通可能な処理通路Rmを設けてなる光反応器であって、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…と、この処理通路Rm…の内面にコーティングした光触媒層3…と、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcとを設けてなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、ガラス棒体2には、少なくとも、石英ガラス,ソーダガラス,理化学ガラス(耐熱ガラス),赤外線透過ガラスのいずれか一つを含めることができるとともに、処理通路Rmの内径Laは、1〜500〔μm〕の範囲に選定することができる。他方、処理通路Rの内面にはコーティングした光触媒層3…を設けることができる。なお、光反応器1は、処理通路Rmの一端が被処理液Wの流入口Rmiとなり、かつ処理通路Rmの他端が被処理液Wの流出口Rmeとなる浄水装置Mに利用して好適である。
【0011】
また、本発明に係る光反応器1の製造方法は、上述した課題を解決するため、ガラス棒体2の一端面2pと他端面2q間における内部の長手方向に、被処理液Wを流通可能な処理通路Rm…を有する光反応器を製造する製造方法であって、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…を形成するとともに、この処理通路Rm…の形成により、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcを設けるようにしたことを特徴とする。
【0012】
この場合、発明の好適な態様により、処理通路Rm…の内径は、1〜500〔μm〕の範囲になるように形成することが望ましい。また、処理通路Rmは、所定の内径Liを有するガラス製のジャケット管5の内部に、当該ジャケット管5の内径Liよりも小さい外径Leを有する複数のガラス製のキャピラリ管6…を装填し、この後、加熱処理を行う溶融化工程及び延伸処理を行う細径化工程を経て形成することができる。なお、キャピラリ管6…同士,及びジャケット管5とキャピラリ管6…の間にそれぞれ生じる隙間Rs…は、溶融した際に、一部を残してもよいし、又は無くしてもよい。一方、処理通路Rmは、超音波ドリルを使用し、ガラス棒体2の一端面2pから当該ガラス棒体2の長手方向に穿設して形成してもよい。他方、処理通路Rm…を形成した後、当該処理通路Rm…の内面に光触媒層3…をコーティングすることができる。この際、光触媒層3…は、処理通路Rm…の内部に、少なくとも光触媒用溶液Ecを充填するとともに、この後、当該光触媒用溶液Ecを当該処理通路Rm…から排出することにより設けることができる。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明に係る光反応器1及びその製造方法によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0014】
(1) ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…と、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcとを設けてなるため、処理通路Rm…に被処理液Wを流通させた際には、被処理液Wに対する処理通路Rm…の接触面積の全体を増大させることと同時に、処理通路Rm…の内面に対する光Cの照射面積を増大させることができ、被処理液Wに対する処理能力(処理効率)を飛躍的に高めることができるとともに、このような反応系を構成する際におけるスケールアップも容易に実現することができる。
【0015】
(2) 導光路Rcの存在と併せ、ガラス棒体2の周面に対して光Cを照射できるため、、各処理通路Rm…に対して微弱光を遍く届けることが可能となり、特に、吸光度が高い濃厚溶液に対しても有効に光を当てることができる。
【0016】
(3) 光反応器1を製造するに際しては、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…を形成するとともに、この処理通路Rm…の形成により、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcを設けるようにしたため、少ない部品点数により、比較的容易に製造することができる。したがって、全体のコストダウン及び小型コンパクト化を実現できるとともに、処理通路Rm…の洗浄やメンテナンスも容易に行うことができる。
【0017】
(4) 好適な態様により、ガラス棒体2には、少なくとも、石英ガラス,ソーダガラス,理化学ガラス又は赤外線透過ガラスを含めることができるため、各種ガラス材の利用及び選択が可能となり、実施の容易性及び設計自由度の向上に寄与できる。
【0018】
(5) 好適な態様により、処理通路Rmの内径Laを、1〜500〔μm〕の範囲に選定すれば、各種用途に対応した光反応器1を製作し、かつ最大の処理能力を導き出す際の最適化を容易かつ柔軟に行うことができる。
【0019】
(6) 好適な態様により、処理通路Rm…を形成するに際し、所定の内径Liを有するガラス製のジャケット管5の内部に、当該ジャケット管5の内径Liよりも小さい外径Leを有する複数のガラス製のキャピラリ管6…を装填し、この後、加熱処理を行う溶融化工程及び延伸処理を行う細径化工程を経て形成すれば、比較的簡易な製造工程により容易かつ確実に製造することができる。
【0020】
(7) 好適な態様により、キャピラリ管6…同士,及びジャケット管5とキャピラリ管6…の間にそれぞれ生じる隙間Rs…は、溶融した際に、一部を残してもよいし、又は無くしてもよい。したがって、隙間Rs…の一部を残した場合には、隙間Rs…を処理通路Rm…として利用できるため、被処理液Wに対する接触面積及び光触媒層3…に対する光Cの照射面積をより広げることができるとともに、隙間Rs…を無くした場合には、光Cの透過経路を単純化して透過効率を高めることができる。
【0021】
(8) 好適な態様により、処理通路Rm…を形成するに際し、ガラス棒体2の一端面2p(又は2q)から超音波ドリルにより当該ガラス棒体2の長手方向に穿設して形成すれば、寸法(内径)が均一となる処理通路Rm…を比較的短時間に精度よく形成することができる。
【0022】
(9) 好適な態様により、処理通路Rm…を形成した後、当該処理通路Rm…の内面に光触媒層3…をコーティングすれば、処理通路Rmの一端が被処理液Wの流入口Rmiとなり、かつ処理通路Rmの他端が処理された処理液Wsが流出する流出口Rmeとなる浄水装置M等を容易に構築できる。したがって、浄水装置M等を製品化するに際し、製品性能の飛躍的な向上に寄与できるとともに、浄水装置M等のコストダウン及び小型コンパクト化にも寄与できる。
【0023】
(10) 好適な態様により、光触媒層3…を設けるに際し、処理通路Rm…の内部に、少なくとも光触媒用溶液Ecを充填するとともに、この後、当該光触媒用溶液Ecを当該処理通路Rm…から排出することにより設ければ、処理通路Rm…の内面に光触媒層3…を均一かつ容易に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の好適実施形態に係る光反応器を備える浄水装置の一部断面側面構成図、
【図2】同光反応器の一部を示す外観斜視図、
【図3】同光反応器の一部抽出拡大断面を含む正面図、
【図4】同光反応器の作用説明図、
【図5】同光反応器に使用するガラスの光波長に対する透過率特性図、
【図6】同光反応器の製造方法を説明するためのフローチャート、
【図7】同光反応器の製造方法を説明するための模式的工程図、
【図8】同光反応器における光触媒層を設けないガラス棒体を用いた処理回数に対する処理濃度特性図、
【図9】同光反応器における光触媒層を設けないガラス棒体における流速に対する処理濃度特性図、
【図10】同光反応器における光触媒層を設けないガラス棒体に対して照射するブラックランプの本数に対する処理濃度特性図、
【図11】同光反応器における光触媒層を設けないガラス棒体(実施例)と孔が一つのガラス棒体(比較例)を対比して示す処理濃度特性図、
【図12】同光反応器に光触媒層を設けた場合における処理回数に対する4−CPの処理濃度特性図、
【図13】本発明の変更例に係る光反応器の一部を示す正面断面図、
【図14】本発明の他の変更例に係る光反応器の一部を示す正面断面図、
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
最初に、本実施形態に係る光反応器1の製造方法について、図1〜図6及び図7を参照して具体的に説明する。なお、図6は、同光反応器1の製造方法を説明するためのフローチャートを示す。
【0027】
まず、光反応器1の製作部材を準備する(ステップS1)。製作部材には、図7(a)に示すように、所定の内径Liを有するガラス製のジャケット管5と、このジャケット管5の内径Liよりも小さい外径Leを有する複数のガラス製のキャピラリ管6…を用いる。例示のジャケット管5及びキャピラリ管6…の長さは410〔mm〕である。例示の場合、91〔本〕のキャピラリ管6…をジャケット管5の内部に収容し、これにより、後述する処理通路Rm…の内径Laが250〔μm〕となるように、ジャケット管5の内径Li及びキャピラリ管6の外径Leなどのディメンションを選定した。例示の場合、処理通路Rmの内径Laを250〔μm〕に選定したが、1〜500〔μm〕の範囲に選定可能である。このように、処理通路Rm…の内径Laを、1〜500〔μm〕の範囲に選定すれば、各種用途に対応した光反応器1を製作し、かつ最大の処理能力を導き出す際の最適化を容易かつ柔軟に行うことができる。さらに、キャピラリ管6…の本数及び長さ等は任意に選定できる。
【0028】
また、ジャケット管5及びキャピラリ管6…の素材には、少なくとも、石英ガラス,ソーダガラス,理化学ガラス(耐熱ガラス),赤外線透過ガラスのいずれか一つを用いることができる。図5には、石英ガラス,理化学ガラス(パイレックス(登録商標)ガラス)及びソーダガラスの評価データを示し、同図中、Gqは石英ガラスの透過率、Gpはパイレックスガラスの透過率、Gsはソーダガラスの透過率である。石英ガラスは、光波長が250〔nm〕以上で85〜95〔%〕の透過率を確保し、パイレックスガラスは、光波長が300〔nm〕以上で85〜95〔%〕の透過率を確保し、ソーダガラスは、光波長が350〔nm〕以上で85〜95〔%〕の透過率を確保している。
【0029】
さらに、図5には、光触媒を活性化させる紫外線光の光源(例示はブラックランプ38(20〔W〕))の放射スペクトル特性をFbで示す。ブラックランプ38の放射帯域は、光波長が350〜400〔nm〕の間に存在する。したがって、ジャケット管5及びキャピラリ管6…の素材には、廉価なソーダガラスであっても十分に使用できるとともに、この際、ブラックランプ38を使用した場合であっても必要十分な導光性を確保できる。このように、ガラス棒体2には、少なくとも、石英ガラス,ソーダガラス,理化学ガラス又は赤外線透過ガラスを用いることができるため、各種ガラス材の利用及び選択が可能となり、実施の容易性及び設計自由度の向上に寄与できる。なお、例示のジャケット管5及びキャピラリ管6…には石英ガラスを用いた。
【0030】
一方、光触媒層を設けるためのコーティング溶液を調製する(ステップS2)。この場合、コーティング溶液として、光触媒用溶液Ecとバインダ溶液Ebを使用する。光触媒用溶液Ecは、アナターゼ型の二酸化チタン(TiO2)を用いたコロイド溶液(触媒化成工業株式会社製 商品名 PASOL−HPW−18NR)を20〔重量%〕用意し、これに、80〔重量%〕の水(H2O)を加え、5倍に希釈して調製した。また、バインダ溶液Ebには、アルギン酸0.25〔g〕+水25〔g〕に25%NH3(aq)を滴加し、pHを「8」に調整したものを用いた。
【0031】
次いで、製作部材、即ち、ジャケット管5とキャピラリ管6…の組付けを行う(ステップS3)。この場合、図7(a)に示すように、ジャケット管5の内部空間に91〔本〕のキャピラリ管6…を収容する。これにより、アッセンブリ11を得ることができる。なお、ジャケット管5の内部空間の断面形状は、一般的な円形にしてもよいし、或いはキャピラリ管6…を整列させるため、多角形(例えば、六角形)にしてもよい。
【0032】
ところで、本実施形態に係る光反応器1を製造するに際しては、光ファイバの分野で用いられる、幾何学的構造が類似するPCF(フォトニック結晶ファイバ)を製造する際の製造法を利用することができる。したがって、例えば、図7(b)に示すような、PCF製造装置20を用いて製造することができる。この場合、上述したアッセンブリ11を、加熱炉22を通して加熱処理(溶融化)するとともに(ステップS4)、続いて延伸機構23を通して延伸処理(細径化)する(ステップS5)。これにより、光触媒層を設ける前の、いわば、蓮根形の光反応器基体(以下、LFR)12を得ることができる。なお、21は、LFR12の先端を把持するチャックを示す。
【0033】
この際、キャピラリ管6…同士,及びジャケット管5とキャピラリ管6…の間に存在する隙間Rs…(図13(a)参照)は、溶融したガラスにより埋まり、隙間Rs…は無くなる。即ち、図2及び図3に示すような、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…と、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcとを有する蓮根形のLFR12を得ることができる。このように、処理通路Rm…を形成するに際し、所定の内径Liを有するガラス製のジャケット管5の内部に、当該ジャケット管5の内径Liよりも小さい外径Leを有する複数のガラス製のキャピラリ管6…を装填し、この後、加熱処理を行う溶融化工程及び延伸処理を行う細径化工程を経て形成すれば、比較的簡易な製造工程により容易かつ確実に製造できる。そして、LFR12が得られたなら常温まで冷却する(ステップS6,S7)。
【0034】
次に、LFR12に対して、光触媒用溶液Ecのコーティング処理を行う(ステップS8)。コーティング処理方法としては、例えば、図7(c)における(c1)のように、LFR12を縦方向に配し、上端に、吸引部25を接続するとともに、下端を、容器26に収容した光触媒用溶液Ec、即ち、ステップS2において調製した二酸化チタンのコロイド溶液に漬け、この後、吸引部25を作動させ、上方向に吸引を行えば、この吸引力及び毛管現象により、光触媒用溶液Ecは、各処理通路Rm…に充填される。そして、光触媒用溶液EcがLFR12の上端上方に達したなら停止し、図7(c)における(c2)のように、LFR12の下端を光触媒用溶液Ecから引上げるとともに、吸引部25を反対方向に作動させる。これにより、下方向に送風が行われ、LFR12の上端に至った光触媒用溶液Ec及び処理通路Rm…内の光触媒用溶液Ecは、容器26に戻される。この場合、送風により光触媒用溶液Ecは強制的に排出されるため、余分な光触媒用溶液Ecは除去される。したがって、処理通路Rm…の内面に対して、均一な光触媒層を容易に設けることができる。一方、処理通路Rm…の内面に付着した光触媒用溶液Ecは乾燥させる(ステップS9)。このときの乾燥時間は、最適な設定時間Tdaを予め設定する。例示の場合、設定時間Tdaは、60〔秒〕である。したがって、設定時間Tdaが経過すれば、光触媒用溶液Ecのコーティング処理は終了する。これにより、各処理通路Rm…の内面には、実質的な光触媒層が設けられる。なお、このような光触媒用溶液Ecのコーティング処理は、必要により複数回繰り返して行うことにより、層厚(膜厚)を調整することができる。
【0035】
光触媒用溶液Ecのコーティング処理が終了したなら、次いで、バインダ溶液Ebのコーティング処理を行う(ステップS10,S11)。バインダ溶液Ebのコーティング処理も光触媒用溶液Ecのコーティング処理方法と同様に行うことができる。即ち、図7(c)における(c1)及び(c2)に基づいて行うことができる。なお、バインダ溶液Ebのコーティング処理では、前述した、アルギン酸+水+25%NH3(aq)のバインダ溶液Ebが、容器26に収容される。そして、バインダ溶液Ebのコーティング処理が終了したなら、処理通路Rm…の内面、即ち、光触媒用溶液Ecのコーティング層の表面に付着したバインダ溶液Ebを乾燥させる(ステップS12)。このときの乾燥時間は、最適な設定時間Tdbを予め設定する。例示の場合、設定時間Tdbは、60〔秒〕である。したがって、設定時間Tdbが経過すれば、バインダ溶液Ebのコーティング処理は終了する。
【0036】
次いで、光触媒層3…が設けられたLFR12に対する焼成処理を行う(ステップS13,S14)。焼成処理は、LFR12を、500〔℃〕の加熱炉に収容し、予め設定した焼成時間(設定時間Tdc)にわたって行う。例示の設定時間Tdcは、2〔h〕である。したがって、設定時間Tdcが経過したなら、光触媒層3…が設けられたLFR12を加熱炉から取出し、常温まで冷却して焼成処理を終了させる(ステップS15)。そして、光触媒層3…が設けられたLFR12の端面や外周面等に付着した不要な光触媒層3を取り除くなどの仕上げを行い、さらに、導光性等の検査を行えば、本実施形態に係る光反応器1を得ることができる(ステップS16)。
【0037】
即ち、図2及び図3に示すように、ガラス棒体2の一端面2pと他端面2q間における内部の長手方向に被処理液Wを流通可能となる、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…と、この処理通路Rm…の内面にコーティングした光触媒層3…と、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcとを設けた光反応器1を得ることができる。これにより、各処理通路Rm…の内面には、実質的な光触媒層とこの光触媒層を保護するバインダ溶液による保護層が形成され、各処理通路Rm…の内面には、目的とする光触媒層3…が設けられる。特に、このような光触媒層3…は、水,有機溶媒,紫外線光の共存条件でも剥がれることがなく、緻密な酸化チタンコート層として形成される。コート層の強度は鉛筆硬度6H以上を得た。また、この光触媒層3…は、低い照度であっても高い光分解活性を示す。
【0038】
よって、このような本実施形態に係る光反応器1によれば、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…と、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcとを設けてなるため、処理通路Rm…に被処理液Wを流通させた際には、被処理液Wに対する処理通路Rm…の接触面積の全体を増大させることと同時に、処理通路Rm…の内面に対する光Cの照射面積を増大させることができ、被処理液Wに対する処理能力(処理効率)を飛躍的に高めることができるとともに、このような反応系を構成する際におけるスケールアップも容易に実現することができる。また、導光路Rcの存在と併せ、ガラス棒体2の周面に対して光Cを照射できるため、、各処理通路Rm…に対して微弱光を遍く届けることが可能となり、特に、吸光度が高い濃厚溶液に対しても有効に光を当てることができる。加えて、少ない部品点数により、比較的容易に製造することができる。したがって、全体のコストダウン及び小型コンパクト化を実現できるとともに、処理通路Rm…の洗浄やメンテナンスも容易に行うことができる。
【0039】
次に、本実施形態に係る光反応器1を用いて好適な浄水装置Mの一例について、その構成,使用方法及び作用について、図1〜図7を参照して説明する。
【0040】
浄水装置Mを構成するには、図1に示すように、得られた光反応器1の両端にキャップ31,32をそれぞれ装着して両端開口を閉塞する。また、各キャップ31,32の中央には、外方に突出する接続口31c,32cを有し、一方の接続口31cに、光反応器1の内部に被処理液Wを流入させる配水管33を接続するとともに、他方の接続口32cに、光反応器1の内部から処理された処理液Wsを流出させる配水管34を接続する。これにより、各処理通路Rm…の一端は被処理液Wの流入口Rmiとなり、かつ他端は処理液Wsの流出口Rmeとなる。なお、光反応器1は、横置又は縦置のいずれでもよいが、内部に気泡が混入した場合を考慮すれば、縦置(垂直)がより好適である。したがって、光反応器1の運転条件として、連続的に被処理液Wを流すだけではなく、必要に応じて大気の泡(酸素)を入れ、犠牲的な酸化剤として機能させることができる。
【0041】
さらに、一方の配液管33は、送液ポンプ35を介して処理前の被処理液Wを収容した収容タンク36に接続するとともに、他方の配液管34は、処理後の処理液Wsを収容する収容タンク37に接続する。また、光反応器1の周囲には、光反応器1の全外周面に紫外線光Cを照射可能なブラックランプ38…を配設する。例示のブラックランプ38…は、図4に示すように、周方向に等間隔で六本配設した。各ブラックランプ38は、定格20〔W〕,光波長365〔nm〕である。なお、使用するブラックランプ38…の本数は任意である。以上により、図1に示す浄水装置Mが構成される。
【0042】
よって、このような構成を有する浄水装置Mでは、ブラックランプ38…から発光する紫外線光Cは光反応器1(ガラス棒体2)の全外周面2fに照射される。そして、外周面2fに照射された紫外線光Cは、ガラス棒体2の内部における導光路Rcを透過して処理通路Rm…の周面に照射される。各処理通路Rm…の内面には光触媒層3…が設けられているため、導光路Rcを透過した紫外線光Cは、光触媒層3…に対して外側から照射される。
【0043】
他方、送液ポンプ35の作動により、収容タンク36に収容された処理前の汚れた被処理液Wは、光反応器1に送られ、一端の各流入口Rmi…から各処理通路Rm…に供給される。これにより、被処理液Wは、各処理通路Rm…の内面に設けられた光触媒層3…に接触して流通する。一方、光触媒層3…には、同時に、紫外線光Cが励起光として照射されているため、二酸化チタンを用いた光触媒層3…の活性化が行われ、酸化反応及び分解反応により、被処理液W中の汚れ、例えば、各種環境ホルモン,ダイオキシン,トリハロメタン,細菌類等の有害溶解物が、効率的に分解され、無害化される。即ち、図1及び図4に示すように、処理通路Rm…に設けた光触媒層3…の表面に汚染物質Xが接触している場合、同時に励起光(紫外線光)Cが照射されていることを条件にして汚染物質Xの浄化作用である、浄水,脱臭、除菌、防汚等の作用が行われる。そして、処理された処理液Wsは、他端の流出口Rme…から、直接又は図示を省略したストレーナを通して排出され、収容タンク37に収容される。
【0044】
ところで、光反応器1による浄化作用を満たす条件は、液体の場合、気体に比べて密度が約1000倍高いため、実際、気体に比べて1000倍の処理能力が必要とされる。したがって、光触媒層3…の表面に汚染物質Xを接触させる実質的な接触面積を増大させると同時に、励起光Cが照射される実質的な照射面積を増大させることは、浄水装置Mの処理能力を高める上での重要な課題となる。本実施形態に係る光反応器1は、ガラス棒体2の内部に、内径Laを選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路Rm…と、この処理通路Rm…の内面にコーティングした光触媒層3…と、ガラス棒体2の外周面2fに照射された光Cがガラス棒体2の内部を透過して処理通路Rm…の周面に照射可能な導光路Rcとを設けているため、処理通路Rm…に被処理液Wを流通させた際には、被処理液Wに対する処理通路Rm…の接触面積の全体を増大させることと同時に、処理通路Rm…の内面に設けた光触媒層3…に対する光Cの照射面積を増大させることができ、被処理液Wに対する処理能力(処理効率)を飛躍的に高めることができる。特に、ガラス棒体2の一端面2pと他端面2q間における内部の長手方向に複数の処理通路Rm…を設けるとともに、この処理通路Rm…の内面にコーティングした光触媒層3…を設けたため、光反応器1を、処理通路Rmの一端が被処理液Wの流入口Rmiとなり、かつ処理通路Rmの他端が処理された処理液Wsが流出する流出口Rmeとなる浄水装置M等を容易に構築できる。したがって、浄水装置M等を製品化するに際し、製品性能の飛躍的な向上に寄与できるとともに、コストダウン及び小型コンパクト化にも寄与できる。
【0045】
次に、本実施形態に係る光反応器1及び光反応器1の基体となるLFR12の評価結果について、図8〜図12を参照して説明する。
【0046】
蓮根形となるLFR12は、本実施形態に係る光反応器1を製作する上で最適である。図8は、光触媒層3…を設けないLFR12に、被処理液Wの原料としてトランススチルベン(以下、T−S)を用いた場合の光異性化反応により生じたシススチルベン(以下、C−S)及び環化したジヒドロフェナントレン(以下、DP)の定量結果を示し、特に、処理回数に対する濃度特性を示す。この場合、LFR12に被処理液Wを一回通過させることにより処理回数が一回となる。なお、反応条件は、T−Sの濃度を10〔mM〕とし、光源として20〔W〕のブラックランプ38…を六本使用した。また、LFR12の容積は1.8〔ml〕、LFR12を通過する流速は6.7〔ml/min〕である。したがって、各分子は、約16秒でLFR12を通過するとともに、被処理液Wが10〔ml〕の場合は、約1分半で通過することになる。図8の結果から、濃度が10〔mM〕のT−Sの場合、処理回数を三回以上とすることで、4〔mM〕程度まで低下させることができる。
【0047】
図9は、光触媒層3…を設けないLFR12の被処理液Wの流速に対する濃度特性を示す。この場合、被処理液Wの体積は10〔ml〕であり、処理回数は一回である。一回の処理時間(約1分半)での転化率は33〔%〕となり、流速が遅い場合には、異性化反応生成物は、環化によりDPが生じ、この傾向は流速が遅いほど顕著になる。むしろ、異性化反応のみに着目する場合には、速い流速により短時間で反応させたほうが選択性は高くなる。因に、処理通路Rmが一つである一般的な流通式光反応器とLFR12を同じ流速で反応させた場合、転化率は1/3程度に低下する。なお、図9中、tspはLFR12内における被処理液Wの滞留時間を示す。
【0048】
図10は、照射する紫外線光Cの光量を変えた濃度特性を示す。なお、被処理液Wの体積は10〔ml〕であり、処理回数は一回である。図10から明らかなように、ブラックランプ38…の本数を六本から三本の半分にし、光量(ランプ強度)を半分にしても転化率の低下は比較的小さい。一方、DPへの環化反応は抑制され、選択性は高まることがわかる。
【0049】
図11は、LFR12(実施例)と一般的な流通式光反応器(比較例)の比較結果を示す。なお、被処理液Wの体積は10〔ml〕、処理回数は一回である。また、比較例のディメンションは、処理通路の内径が1.5〔mm〕,長さが410〔mm〕,容積が0.72〔ml〕である。したがって、0.72〔ml〕の溶液を光反応器に充填するとともに、周面から7〔秒〕間にわたってブラックランプ38…を照射することにより、LFR12(実施例)による処理回数の一回分と同じくなるようにした。図11から明らかなように、実施例に対して、比較例のほうが明らかに反応が進んでいないことがわかる。
【0050】
以上は、光触媒層3…を設けないLFR12の評価である。一方、図12には、光触媒層3…を設けたLFR12、即ち、光反応器1の評価結果を示す。図12は、処理回数に対する4−クロロフェノール(4−CP)の濃度特性を示す。実験は、八種類の光反応器、即ち、(一)光触媒層を設けたLFR(実施例),(二)ダーク環境下の光触媒層を設けたLFR(比較例1),(三)光触媒層なしのLFR(比較例2),(四)ダーク環境下の光触媒層なしのLFR(比較例3),(五)概ね半分の容積を有する内径1.5〔mm〕の光触媒層なしの流通式光反応器(比較例4),(六)ダーク環境下の概ね半分の容積を有する内径1.5〔mm〕の光触媒層なしの流通式光反応器(比較例5),(七)概ね半分の溶融を有する内径1.5〔mm〕の光触媒層を設けた流通式光反応器(比較例6)及び(八)ダーク環境下の概ね半分の容積を有する内径1.5〔mm〕の光触媒層を設けた流通式光反応器(比較例7)を用いた。なお、4−CPの光触媒分解反応は、次の化学式のようになる。
【化1】

【0051】
反応条件は、4−CP/H2O=0.5〔mM〕、また、光源として、20〔W〕ブラックランプ38…を六本用いた。図12から明らかなように、(一)の実施例のみが、4−CPの光分解活性を示した。したがって、LFR12と光触媒層3…の組合わせ、即ち、LFR12と光触媒層3…による共同により初めて4−CPの光分解活性を示すことがわかる。
【0052】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値,手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0053】
例えば、上述した実施形態では、図13(a)に示すキャピラリ管6…同士(及びジャケット管5とキャピラリ管6…)の間にそれぞれ生じる隙間Rs…は、図13(b)に示すように、溶融したガラスにより埋まり、隙間Rs…は無くなるようにしたが、図13(c)に示すように、隙間Rs…は一部を残すようにしてもよい。隙間Rs…の一部を残した場合には、隙間Rs…を処理通路Rm…として利用できるため、被処理液Wに対する接触面積及び光触媒層3…に対する光Cの照射面積をより広げることができる。他方、図13(b)に示すように、隙間Rs…を無くした場合には、光Cの透過経路を単純化して透過効率を高めることができる。
【0054】
また、図14は、光触媒層3…を設けない光反応器1を示す。この場合、LFR12をそのまま光反応器として利用する。この場合であっても、処理通路Rm…及び導光路Rcは形成されるため、LFR12を流通する流体に対して効率的な光照射が可能になる。したがって、例えば、エタノールにマーガリンを溶かした有機溶液を流し、マーガリン成分のトランス体を活性化させることにより、短波長側にあるシス体に変化させるなどの用途に利用することが可能であり、このような処理後、エタノールを揮発させれば、有害とされるトランス体を除去することができる。
【0055】
さらに、処理通路Rm…を形成するに際し、図示を省略したが、ガラス棒体2の一端面2p(又は2q)から超音波ドリルにより当該ガラス棒体2の長手方向に穿設して形成することも可能である。この場合には、寸法が均一となる処理通路Rm…を比較的短時間に精度よく形成できる。その他、ジャケット管5とキャピラリ管6…の素材は、例示以外の任意のガラス素材を利用可能であるとともに、ガラス素材と同様の作用を呈する他の透明素材(プラスチック素材等)の使用を排除するものではない。また、ガラス棒体2は直線形(I形)の場合を示したが、必要によりL形やU形等ように折曲したり湾曲させてもよい。さらに、光触媒層3…は二酸化チタンを用いた場合を示したが、他の光触媒作用を呈する物質を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る光反応器1は、広くは、光又は光の成分により流体(液体,気体)を反応させることができる各種光反応器に利用できるとともに、実用的には、例示の浄水装置をはじめ、空気浄化装置,消臭装置,滅菌装置等の光反応器1を一部に備える各種装置に利用できる。特に、浄水装置としては、医療用,航空機や船等の移動体用,災害用等の各種用途に利用できる。
【符号の説明】
【0057】
1:光反応器,2:ガラス棒体,2p:ガラス棒体の一端面,2q:ガラス棒体の他端面,2f:ガラス棒体の外周面,3…:光触媒層,5:ジャケット管,6…:キャピラリ管,Le:キャピラリ管の外径,La:処理通路の内径,Li:ジャケット管の内径,W:被処理液,Rm…:処理通路,Rmi:流入口,Rme:流出口,Rc:導光路,Rs…:隙間,C:光,M:浄水装置,Ec:光触媒用溶液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス棒体の一端面と他端面間における内部の長手方向に被処理液を流通可能な処理通路を設けてなる光反応器であって、前記ガラス棒体の内部に、内径を選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路と、前記ガラス棒体の外周面に照射された光が前記ガラス棒体の内部を透過して前記処理通路の周面に照射可能な導光路とを設けてなることを特徴とする光反応器。
【請求項2】
前記ガラス棒体には、少なくとも、石英ガラス,ソーダガラス,理化学ガラス,赤外線透過ガラスのいずれか一つを含めることを特徴とする請求項1記載の光反応器。
【請求項3】
前記処理通路の内径は、1〜500〔μm〕の範囲に選定してなることを特徴とする請求項1又は2記載の光反応器。
【請求項4】
前記処理通路の内面にはコーティングした光触媒層を設けることを特徴とする請求項1,2又は3記載の光反応器。
【請求項5】
前記処理通路の一端が被処理液の流入口となり、かつ前記処理通路の他端が被処理液の流出口となる浄水装置に用いてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光反応器。
【請求項6】
ガラス棒体の一端面と他端面間における内部の長手方向に、被処理液を流通可能な処理通路を有する光反応器の製造方法であって、前記ガラス棒体の内部に、内径を選定し、かつ相互に所定の間隔を有する複数の処理通路を形成するとともに、この処理通路の形成により、前記ガラス棒体の外周面に照射された光が前記ガラス棒体の内部を透過して前記処理通路の周面を透過可能な導光路を設けることを特徴とする光反応器の製造方法。
【請求項7】
前記処理通路の内径は、1〜500〔μm〕の範囲になるように形成することを特徴とする請求項6記載の光反応器の製造方法。
【請求項8】
前記処理通路は、所定の内径を有するガラス製のジャケット管の内部に、当該ジャケット管の内径よりも小さい外径を有する複数のガラス製のキャピラリ管を装填し、この後、加熱処理を行う溶融化工程及び延伸処理を行う細径化工程を経て形成することを特徴とする請求項6又は7記載の光反応器の製造方法。
【請求項9】
前記キャピラリ管同士,及びジャケット管とキャピラリ管の間にそれぞれ生じる隙間は、溶融した際に、一部を残し、又は無くすことを特徴とする請求項8記載の光反応器の製造方法。
【請求項10】
前記処理通路は、超音波ドリルを使用し、前記ガラス棒体の一端面から当該ガラス棒体の長手方向に穿設して形成することを特徴とする請求項6又は7記載の光反応器の製造方法。
【請求項11】
前記処理通路を形成した後、当該処理通路の内面に光触媒層をコーティングすることを請求項6〜10のいずれかに記載の光反応器の製造方法。
【請求項12】
前記光触媒層は、前記処理通路の内部に、少なくとも光触媒用溶液を充填するとともに、この後、当該光触媒用溶液を当該処理通路から排出することにより設けることを特徴とする請求項6〜811いずれかに記載の光反応器の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−170908(P2012−170908A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−36379(P2011−36379)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(506035762)有限会社飛田理化硝子製作所 (2)
【Fターム(参考)】