説明

光学アセンブリ

【課題】光学アセンブリの提供
【解決手段】光学ベンチと光ファイバコネクタとの間の光学的かつ機械的接続を可能にする光学アセンブリを提供する。本発明は、光電子産業において微小光学構成要素を形成するのに特定の用途が見出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に光電子工学の分野に関する。特に、本発明は、光学ベンチと光ファイバコネクタとの間の光学的かつ機械的接続を可能にする光学アセンブリに関する。本発明は、送信器、受信器、または送受信器光学サブアセンブリをはじめとする光電子サブアセンブリのためのハウジングを含み、かつ光ファイバコネクタと接続することのできる、微小光学構成要素アセンブリの製造に格別の適用性を見出す。
【背景技術】
【0002】
レーザおよび光検出器をはじめとする光電子デバイスは、例えば電気通信産業において様々な用途に使用される。既存の商用の送信器光学サブアセンブリ(TOSA)は、レーザダイオードおよびモニタダイオードを含むTO‐canヘッダアセンブリに基づく工程を使用して製造される。典型的なTO‐can型パッケージは、例えば米国特許出願公開第2004/0240497A1号に記載されている。ヘッダアセンブリは、光電子デバイスへの、または光電子デバイスからの光信号を通過させることができる光学的に透明な窓またはレンズをも有する。レーザ光を光ファイバフェルール中に集束させるために、従来のTO‐canTOSAパッケージは様々な円筒状の機械加工されたサブコンポーネントを組み込んでおり、それらは互いに位置を調整され、かつ所定の位置に溶接または接合されなければならない。そのようなパッケージには、少なくとも2つの別個の位置合わせ工程および溶接もしくは接合工程が必要である。光アイソレータを必要とするデバイスでは、さらなる位置合わせおよび溶接もしくは接合が必要である。従来のTO‐canTOSAパッケージの製造には、レーザ溶接または接合システムの形式の高価な機械設備が必要である。加えて、TO‐canパッケージは一般的に、シリコン光学ベンチをはじめとする平面型デバイス構造のパッケージングにはあまり適さない。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0240497A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、構成要素、位置合わせ工程、および溶接もしくは接合工程の数が低減される光学アセンブリを提供することは有益である。例えば、位置合わせおよび溶接もしくは接合工程の数を1回の位置合わせおよび溶接もしくは接合工程に低減することが望ましい。その結果、従来の光学アセンブリに勝る、材料、労働、および機械設備における著しいコスト節減を達成することができる。また、シリコン光学ベンチ構造と共に使用するのに好適である光学アセンブリを提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1態様に従って、光学アセンブリが提供される。光学アセンブリは、基体に取り付けられた光電子構成要素を含む光学ベンチと;第1はめ合い領域を含み、光学ベンチが内部に配置されるハウジングと;第2はめ合い領域を含み、光学ベンチを光ファイバと光学的に結合するための光フェルールレセプタクルと;光学ベンチに取り付けられたフレックス回路とを含み、ハウジングおよび光フェルールレセプタクルは第1および第2はめ合い領域で互いはめ合わされ、フレックス回路はフレックス回路における歪みを取り除くためにハウジングの内面に接触して配置される。
【0005】
用語「の上に」および「の上方に」は空間的関係を記載する際に相互交換可能に使用され、介在する層または構造物の存在または不在を包含する。また、本明細書において使用する場合の用語「光学アセンブリ」は、光学的および/または光電子工学的機能性を有する構造物を包含する。
【0006】
添付の図面を参照しながら、本発明について論じる。図面では、同様の参照番号は同様の特徴を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
ここで、本発明に従う例示的な光学アセンブリ1を示す図1〜3を参照することにより本発明を記載する。光学アセンブリは光学ベンチ3を含む。光学ベンチは、上面7を有する基体5を含み、ここで上面7中または上面7上にはさまざまな表面特徴が形成されている。基体5は典型的には、ウェハまたはチップ形態とすることのできる半導体、例えばシリコン(例えば<100>単結晶シリコン)、ガリウム砒素、リン化インジウム、もしくはニオブ酸リチウム、またはセラミック、ポリマー、もしくは金属から形成される。1以上の光学構成要素および/または光電子構成要素は、基体の上面7に接合される。典型的な光学構成要素は、例えば光ファイバ、球状レンズをはじめとするレンズ、フィルタ、および光アイソレータを含む。例示的光アイソレータは、永久磁石8aおよびガーネット結晶8bを含む。典型的な光電子デバイスは例えばレーザダイおよび光検出器を含む。光学ベンチの光学構成要素および光電子構成要素は、図中に概して破線で示されている。
【0008】
基体上面7は、様々な構成要素を保持するため、そこに又はその上に形成された1以上の表面特徴を含む。表面特徴は、例えば、光ファイバを保持するためのV字形またはU字形溝をはじめとする溝、球状レンズをはじめとするレンズを保持するための穴、および光電子デバイスの電気接続のための金属特徴を含むことができる。典型的な金属特徴は例えば、光電子デバイスがはんだ付けされるコンタクトパッド、金属線および電源に接続するためのボンディングパッドを含む。表面特徴を形成するための技術は、当業者には公知である。例えば溝および穴は、マスキングならびにウェットおよび/またはドライエッチング技術を使用して形成することができる一方、金属化構造は、スパッタリング、蒸発、またはメッキ技術によって形成することができる。これらの技術を任意に使用して基体原型を形成することができ、そこから成形工程で基体を形成することができる。さらに、構成要素のための密閉された容積が形成されるように、蓋9が光学ベンチに設けられ得る。
【0009】
光学ベンチ3への電気接続は、任意の公知手段によって達成することができる。例示的な態様において、フレックス回路11がこの目的のために提供される。フレックス回路11のボンディングパッド(図示せず)は、光学ベンチ3の下面上にある対応するボンディングパッドにはんだ付けされ、それは次に光学ベンチの光電子デバイスに電気的に接続される。
【0010】
光学ベンチのためのハウジング13は、例えば光学アセンブリを組み立てるときの位置合わせ、光電子デバイスによって発生した望ましくない熱を除去するための放熱、フレックス回路から応力を除去する歪み緩和、光学ベンチのための機械的保護、プリント回路基板または他の電子基体への実装能力、および先に形成されたはんだ接合における後のはんだ付け工程中のはんだリフローを防止する熱的分離をはじめとする、1以上の機能を提供する。光学ベンチハウジング13は、例えば機械加工、成形、もしくは型打ちされた金属、または熱伝導性プラスチックをはじめとするプラスチックから構成することができる。光学ベンチハウジングは、図1〜3に示す実施態様のように、複数の要素から形成することができる。例示的実施態様において、ハウジングは上部15および下部17を含む。ハウジングは、光フェルールレセプタクル21を受容するための位置合わせ穴19を含む。本発明の1つの実施態様に従う場合、一体に接続されたときに、ハウジングと光フェルールレセプタクルのはめ合い部との間に対称的関係が形成される。ハウジング部品は、ハウジング部品間およびハウジング部品と他の構成部品との間のパッシブアラインメントを可能にする表面特徴を含むことができる。例えば、フレックス回路11を受動的に位置決めするために、位置合わせピン23を設けることができる。光学ベンチ3を受動的に位置決めするために下部ハウジング部分13に溝25および隆起領域26を設けることができる。
【0011】
フレックス回路11は下部ハウジング部分17と接触している。フレックス回路と下部ハウジング部分との間に空隙を提供するために、この部分に逃げ溝28を設けることができる。この空隙は、フレックス回路と光学ベンチ3との間に形成されたはんだ接合が、その後に光学ベンチをハウジングにはんだ付けするときにリフローするのを防止する熱障害として働く。下部および/または上部ハウジング部分17、15は、フレックス回路11の歪みを除去するための歪み緩和平坦面29をさらに含む。ハウジングの上部および下部15、17が組み立てられるときに、表面29はフレックス回路と接触し、フレックス回路の歪み緩和が提供される。平坦面29から突出した状態で示されるピン31が、任意に追加の見当合わせがもたらされるように、フレックス回路の穴32とはめ合うために設けられてもよい。フレックス回路がハウジング13から出るときにそれを挟んで支持するように、発泡体または接着剤をはじめとするコンプライアント材料(compliant material)を逃げ平坦面29および/またはフレックス回路11上に加えることもできる。
【0012】
ハウジング13は任意選択的に、1以上の構成要素、例えば1以上の上述した光学構成要素(例えば光ファイバ、球状レンズをはじめとするレンズ、フィルタ、および光アイソレータ)を保持するための装備を含むことができる。かかる構造は、パッケージがより小さい設置面積を有することを可能にし、および/または改善された製造能力を提供し得る。例えば図4は、光アイソレータの一部分を形成する永久磁石8aが組み込まれた上部ハウジング部分15を示す。追加的に、または任意に、ガーネット結晶8b(図2および3参照)の光アイソレータおよび/または複数のアイソレータ磁石をハウジング中に含めることができる。
【0013】
光フェルールレセプタクル21は、光ファイバまたはファイバスタブを含む光ファイバコネクタ(図示せず)に光学的かつ機械的に結合するために設けられる。光ファイバコネクタは光ファイバピグテールに取り付けられる。光フェルールレセプタクル21は典型的に、外側が金属またはプラスチックで作られ、コネクタと一直線に合わせるためにスプリットセラミックスリーブを典型的に含む。光レセプタクルは、1本の光ファイバを内部に含む両面研磨フェルールスタブを含むことができ、例えば京セラ社から商業的に入手可能である。光レセプタクルは、過剰の結合剤が光路に入るのを防止するために、ウィックストップ(wick stop)27を含むことができる。図示したように、ウィックストップは、光レセプタクルの正面におけるはめ合い領域と光路との間の閉ざされた溝の形を取ることができる。図示したウィックストップ27は円形であるが、他の形状を採用することができる。
【0014】
光フェルールレセプタクル21へのハウジング15の接続は結合剤により促進される。好適な結合剤としては、例えばエポキシ類(例えばUV硬化性エポキシ、熱硬化性エポキシ、および二重硬化性エポキシ)、ならびにはんだが挙げられる。結合剤はアセンブリの光路の外に維持することができ、有利である。この方法により、他の方法では例えば光損失の問題のため採用できない結合剤を採用することが可能になる。結合剤の適用は、ハウジング15のはめ合い領域19と光レセプタクルアセンブリ21のはめ合い領域30との間に対称的に分配されるように制御することができる。ハウジングおよび光レセプタクルの結合領域間の対称的関係は、硬化中および環境曝露による接着剤の収縮および膨張のばらつきを最小化し、結果的に光学ベンチ3との位置合わせに対する影響が最小限になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に従う例示的光学アセンブリを示す。
【図2】図1に示す光学アセンブリの第1組立分解図を示す。
【図3】図2とは反対の方向から見た、図1に示す光学アセンブリの第2組立分解図を示す。
【図4】本発明のさらなる態様に従う光学アセンブリの上部ハウジング部分を示す。
【符号の説明】
【0016】
1 光学アセンブリ
3 光学ベンチ
5 基体
7 基体の上面
8a 永久磁石
8b ガーネット結晶
9 蓋
11 フレックス回路
13 光学ベンチハウジング
15 上部ハウジング部分
17 下部ハウジング部分
19 位置合わせ穴、ハウジング15のはめ合い領域
21 光フェルールレセプタクル、光レセプタクルアセンブリ
23 位置合わせピン
25 溝
26 隆起領域
27 ウィックストップ
28 逃げ溝
29 歪み緩和平坦面
30 光レセプタクルアセンブリ21のはめ合い領域
31 ピン
32 フレックス回路の穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体に取り付けられた光電子構成要素を含む光学ベンチと、
第1はめ合い領域を含み、光学ベンチが内部に配置されるハウジングと、
第2はめ合い領域を含み、光学ベンチを光ファイバと光学的に結合するための光フェルールレセプタクルであって、ハウジングおよび光フェルールレセプタクルが第1および第2はめ合い領域で互いにはめ合わされる光フェルールレセプタクルと、
光学ベンチに取り付けられたフレックス回路であって、フレックス回路内の歪みを除去するためにハウジングの内面に接触して配置されるフレックス回路、
を含む光学アセンブリ。
【請求項2】
前記光学ベンチがシリコン基体を含むシリコン光学ベンチである、請求項1記載の光学アセンブリ。
【請求項3】
前記光学ベンチそれ自体が密閉される、請求項1または2記載の光学アセンブリ。
【請求項4】
前記ハウジングの内面が溝を含み、前記ハウジングと前記フレックス回路の一部分との間に空隙が提供される、請求項1〜3のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項5】
前記ハウジングの内面が、前記フレックス回路を受動的に位置決めするための位置合わせピンを含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジングに前記光フェルールアセンブリを結合するための結合剤をさらに含み、前記光フェルールアセンブリを前記ハウジングに結合する過程において前記結合剤が光路に入るのを防止するために、前記光フェルールアセンブリおよび/または前記ハウジングがウィックストップを含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項7】
前記ハウジングが下部ハウジング部分に接続された上部ハウジング部分を含み、当該上部分および下部分が各々前記第1はめ合い領域の一部分を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項8】
前記第1はめ合い領域が前記第2はめ合い領域に対し放射対称である、請求項1〜7のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項9】
前記ハウジングに取り付けられた光学構成要素またはその一部分をさらに含む、請求項1〜8のいずれか1項記載の光学アセンブリ。
【請求項10】
光アイソレータの一部分を形成する磁石が前記ハウジングに取り付けられる、請求項9記載の光学アセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−338018(P2006−338018A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−150994(P2006−150994)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(596156668)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (31)
【住所又は居所原語表記】455 Forest Street,Marlborough,MA 01752 U.S.A
【Fターム(参考)】