説明

光学シートの検査方法

【課題】光学シートに生じるスジ欠陥を、光学シートの製造ラインにおいて、自動的に高感度で検出できるようにする。
【解決手段】光学シートの検査方法が、光学シート(レンチキュラーレンズシート1)を照明し、その反射光を線状領域撮像手段11で受光し、線状領域撮像手段11で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測し、スジ欠陥7を検出する光学シートの検査方法であって、線状領域撮像手段11の撮像視野12の方向を光学シートに対して一定方向に保持して、光学シート上で撮像視野12をトラバースさせる間に、照明光21a、21bと線状領域撮像手段で受光される反射光とで挟まれる角(入射角α)が異なる複数の条件で、順次又は同時に、線状領域撮像手段11で反射光を受光し、受光強度に生じる異常強度に基づいてスジ欠陥を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンチキュラーレンズシート等の光学シートにおいて、スジ欠陥の有無を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
透過型プロジェクションスクリーンに使用されるレンチキュラーレンズシート1は、メタクリルスチレン樹脂(MS樹脂)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂からなり、図7に示すように、一般に、スクリーンに使用した場合の光入射側と光出射側にそれぞれ複数のシリンドリカルレンズ2,3を等間隔に配置した構造を有している。また、このレンチキュラーレンズシート1の光出射側には、明室でのコントラストを上げ、画像をシャープにするために、光入射側シリンドリカルレンズ2による非集光部位にブラックストライプ4が設けられている。
【0003】
ブラックストライプ4は、凸状部5の表面に光吸収層6を形成したもので、かかるブラックストライプ4を有するレンチキュラーレンズシート1の製造方法としては、一般に、メタクリルスチレン樹脂(MS樹脂)、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の透明樹脂を押出成型すること等により、シリンドリカルレンズ2,3と凸状部5を有するレンズシートを作製し、引き続き塗布ロールで凸状部5に遮光性塗料を印刷することにより光吸収層6を形成する。
【0004】
光吸収層6の形成過程では、遮光性塗料の凝集物が塗布ロールとレンズシートとの間に挟まること等により、スジ状の凹凸傷や光沢異常がブラックストライプ4の長手方向に延びて形成される場合がある。これらはスジ欠陥7と称され、レンチキュラーレンズシート1がスクリーンに使用された場合に、画像のコントラストやシャープさの低下の原因となる。そのため、スジ欠陥7が形成されたレンチキュラーレンズシート1は選別除去しなくてはならず、また、スジ欠陥7の形成箇所を特定する必要が生じる。
【0005】
従来、ブラックストライプの欠陥の検査方法としては、人間の目視による外観検査が行われていたが、レンチキュラーレンズシートの高品位化、量産化に対応して検査を自動化することが求められている。そこで、CCDラインセンサを、ブラックストライプと約直角に配置し、レンチキュラーレンズシートの略真上から反射暗視野光にて撮像することにより欠陥を検出する方法や、CCDラインセンサを、その撮像視野がブラックストライプと約60°以下の特定の角度となるように配置し、反射暗視野光にて撮像することにより欠陥を検出する方法が提案されている(特許文献1)。
【0006】
【特許文献1】特許3507171号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、CCDラインセンサを用いた従来の欠陥の検査方法は、ブラックストライプが部分的に欠如又は破壊した、所謂、白欠陥の検出には有効であるが、スジ欠陥を検出することができないという問題があった。
【0008】
この理由としては、白欠陥は、反射暗視野照明による撮影手段を用いて、欠陥部で散乱ないし回折した反射暗視野光の観察により検出できるのに対して、スジ欠陥は、白欠陥が長く延びたものとは異なり、ブラックストライプの変形を正反射光の輝度変化として観察することにより検出されるためである。
【0009】
ここで、暗視野照明とは照明光からの光の方向が撮像手段からズレたもので、欠陥がない箇所においては、光が撮像手段に入射せず、欠陥がある箇所においては、欠陥部からの散乱光ないし回折光が撮像手段へ入射するものをいう。
【0010】
以上のような従来の検査方法に対して、本発明は、レンチキュラーレンズシートのブラックストライプに生じるスジ欠陥を初めとして、プリズムレンズ、回折格子シート、拡散シート等の種々の光学シートに生じるスジ欠陥を、光学シートの製造ラインにおいて、自動的に高感度で検出することを可能とする光学シートの検査方法及び検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、CCDラインセンサ、エリアセンサ等の線状領域撮像手段を、その撮像視野が、光学シートの製法等から予想されるスジ欠陥の発生方向に平行になるように配置し、光学シートの撮像視野における面法線上から(即ち、撮像視野の真上から)撮像すると、撮像視野を照明する照明光の入射角によって、線状領域撮像手段で受光されるスジ欠陥からの反射光の光量が大きく異なること、また、照明手段と線状領域撮像手段とを直線上に配置し、入射角0°で照明すると、線状領域撮像手段を構成する個々の撮像素子で受光される反射光の光量が、照明光と個々の撮像素子で受光される反射光とで挟まれる角度によって大きく異なること、したがって、照明光と、線状領域撮像手段あるいは線状領域撮像手段を構成する個々の撮像素子で受光される反射光とで挟まれる角度が異なる複数の条件下で線状領域撮像素子で受光される反射光の強度を計測し、この受光強度が突出して高い異常強度の有無によってスジ欠陥を検出できることを見出した。また、このように反射光の受光強度を計測しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせると、スジ欠陥を高感度に自動的に検出できること、さらに、このようにスジ欠陥を検出する装置としては、照明光と線状領域撮像手段で受光される反射光とで挟まれる角度を異ならせる方法によって、種々の態様をとり得ることを見出した。
【0012】
即ち、本発明は、光学シートを照明し、
その反射光を線状領域撮像手段で受光し、
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測し、スジ欠陥を検出する光学シートの検査方法であって、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持して、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる間に、
照明光と線状領域撮像手段で受光される反射光とで挟まれる角が異なる複数の条件で、順次又は同時に、線状領域撮像手段で反射光を受光し、
受光強度に生じる異常強度に基づいてスジ欠陥を検出する光学シートの検査方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、上述の検査方法を実施する検査装置の第1の態様として、
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
光学シート上で撮像視野をトラバースさせる間に、照明手段を移動して照明光の入射角を変える照明移動手段を備え、
線状領域撮像手段が、撮像視野における面法線に対して0°で反射光を受光する光学シートの検査装置を提供する。
【0014】
検査装置の第2の態様として、
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
照明手段が、撮像視野に対する入射角が異なる複数の光源を有し、
光学シート上で撮像視野をトラバースさせる間に、光源の点灯を順次切り替えて照明光の入射角を変える照明切り替え手段を備え、
線状領域撮像手段が、撮像視野における面法線に対して0°で反射光を受光する光学シートの検査装置を提供する。
【0015】
検査装置の第3の態様として、
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
撮像視野に対する照明光の入射角が異なる照明手段と、撮像視野における面法線に対して0°で反射光を受光する線状領域撮像手段とのセットを複数備え、各セットの撮像視野を光学シート上で同時にトラバースさせる光学シートの検査装置を提供する。
【0016】
さらに、検査装置の第4の態様として、
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
照明手段と線状領域撮像手段とが直線上に配置され、照明光の入射角が0°である光学シートの検査装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光学シートの検査方法によれば、光学シートのスジ欠陥を高感度に検出することができる。
【0018】
さらに、本発明の光学シートの検査方法を光学シートの製造ラインで行うと、光学シートの製造ラインにおいて、スジ欠陥を自動的に検出することが可能となり、製造ラインの稼働中にスジ欠陥が検出された場合には、直ちにスジ欠陥が生じないように製造条件を調整することができる。
【0019】
また、本発明の光学シートの検査装置によれば、本発明の光学シートの検査方法を確実に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は同一又は同等の構成要素を表している。
【0021】
図1は、本発明の光学シートの検査方法を実施する検査装置の一態様であって、レンチキュラーレンズシート1の製造ラインにおいて、ブラックストライプ4に生じるスジ欠陥7を検出するための検査装置10Aの模式的構成図であり、(a)は上面図、(b)はX方向から見た側面図、(c)はY方向から見た側面図である。
【0022】
この検査装置10Aはレンチキュラーレンズシート1の光出射側の面(即ち、ブラックストライプ4が形成されているシート面)の上に、CCDラインセンサあるいはエレメントセンサ等の線状領域撮像手段11と、LED照明21a、21bからなる照明手段20とを設け、撮像視野12を斜方照明し、レンチキュラーレンズシート1の撮像視野12における面法線上から(即ち、撮像視野12の真上から)線状領域撮像手段11で反射光を撮るもので、撮像視野12の長手方向と、ブラックストライプ4に予想されるスジ欠陥の発生方向とが平行になるように、より具体的には、撮像視野12の長手方向とブラックストライプ4の長手方向とが平行になるように、検査装置10Aとレンチキュラーレンズシート1とが配置される。ここで、LED照明21a、21bとしては、照明光が平行光となるように、レンズ系を備えたものを使用することが好ましい。
【0023】
線状領域撮像手段11とLED照明21a、21bは、レンチキュラーレンズシート1上のアーム30に設けられた支持台31に取り付けられている。この支持台31は、矢印Aのようにレンチキュラーレンズシート1上をトラバースする。一方、レンチキュラーレンズシート1は、矢印Bのようにブラックストライプ4の長手方向に搬送される。したがって、支持台31とレンチキュラーレンズシート1の搬送系とで撮像視野移動手段が構成され、撮像視野12はレンチキュラーレンズシート1上で、その長手方向がブラックストライプ4の長手方向に保持されつつ、図2に示すように、レンチキュラーレンズシート1を斜めに横切るトラバースを繰り返すこととなる。なお、このように撮像視野12がレンチキュラーレンズシート1の全面を走査しなくても、一般に、ブラックストライプのスジ欠陥は、一回発生すると数m以上の長さに渡って続くので、1回のトラバース当たりのレンチキュラーレンズシート1の走行距離L1を適宜調整することにより、問題なく検出することができる。
【0024】
この検査装置10Aでは、図1(b)に示すように、LED照明21a、21bが線状領域撮像手段11の両側に設けられ、照明光の撮像視野12に対する入射角αが±60°以内で所望の値をとり得るように照明移動装置23が設けられている。より具体的には、照明移動装置23は、一方のLED照明21aによる照明光の入射角αを−60°〜0°の範囲で、他方のLED照明21bによる照明光の入射角αを0°〜60°の範囲で、順次変化させるステップモータとその制御機構からなる。なお、各LED照明の入射角αを変化させる手段はステップモータに限られるものではない。
【0025】
照明移動装置23により、レンチキュラーレンズシート1上の撮像視野12の1回のトラバースごとに、入射角αを変化させ、複数回のトラバースで入射角αが−60°から+60°までの撮像をすることが好ましい。
【0026】
線状領域撮像手段11には、その画像信号を処理する画像処理手段40が接続されており、線状領域撮像手段11が受光した反射光の強度を計測する。なお、受光強度の計測は、パーソナルコンピュータに周知の画像信号処理ソフトあるいは線状領域撮像手段11に付属の画像信号処理ソフトを搭載することにより行うことができる。また、画像処理手段40は、照明移動装置23の制御機構から、LED照明21a、21bの位置(即ち、入射角α)に関する情報を受け、線状領域撮像手段11の受光強度を入射角αと対応させて記憶し、入射角αと受光強度との関係をディスプレイ41に表示させることができる。
【0027】
図3は、ディスプレイ41に表示された入射角αと受光強度(輝度)との関係図の典型例である。ブラックストライプにスジ欠陥があると、同図のように、スジ欠陥が無い場合に比して受光強度が突出して高いピークが現れる。このような異常強度が現れる入射角αの大きさや、その強度の値は、ブラックストライプにできる個々のスジ欠陥によって異なるが、通常、入射角αが±30°の範囲、特に±20°の範囲に、欠陥がない場合を基準としたベースラインからの乖離として50%以上の強度差で現れる。そこでこの検査装置10Aでは、撮像視野12のトラバース中に、いずれかの入射角αで受光強度に異常強度が現れた場合、具体的には、欠陥部の平常時の受光強度に対する欠陥時の受光強度差が50%以上になった場合に、スジ欠陥が検出されたと判断し、検査装置10Aの使用者にアラーム音、アラームランプなど任意の方法で警告を発する。
【0028】
なお、スジ欠陥があると、反射光の受光強度にこのような異常強度が観察される理由としては、スジ欠陥の存在部位の表面形状が、スジ欠陥の無い部位の表面形状に対して、僅かに異なっているためと考えられる。したがって、この検査方法によれば、ブラックストライプが白抜けになることにより表面形状が異常となっている部分だけでなく、ブラックストライプを形成する遮光性塗料の印刷ムラや、下地のレンズシートの凸状部の形成不良に等によりブラックストライプの表面が平滑に形成されていないスジ欠陥も検出することができる。
【0029】
図4は、上述の検査装置10Aと異なる態様の本発明の検査装置10Bの模式的構成図であり、(a)は上面図、(b)は(X)方向から見た側面図である。この検査装置10Bは、上述の検査装置10Aに対して、入射角αが異なる照明光の創出方法が異なっているが、線状領域撮像手段11や、その撮像視野12をレンチキュラーレンズシート1上で走査する撮像視野移動手段や、線状領域撮像手段11で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段40は、同様に構成されている。
【0030】
即ち、この検査装置10Bでは、照明手段20が、線状領域撮像手段11を中心に円弧に配列された複数のLED照明21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21kからなり、それぞれ、線状領域撮像手段11の撮像視野12に対して、−40°、−30°、−20°、−10°、−5°、0°、+5°、+10°、+20°、+30°、+40°の入射角となるようように照明光を発する。
【0031】
これらの複数のLED照明21a〜21kは、レンチキュラーレンズシート1上で撮像視野12がトラバースされる間に、照明切り替え手段24により順次点灯が切り替えられ、画像処理手段40は、このLED照明21a〜21kの切り替えにより、当該反射光の受光時の照明光の入射角αを対応づける。したがって、この検査装置10Bによっても、図3に示すような入射角αと受光強度との関係図を形成することができ、いずれかの入射角αで受光強度に異常強度が現れた場合にスジ欠陥が検出されたと判断できる。
【0032】
図5も、上述の検査装置10Aと異なる態様の本発明の検査装置10Cの模式的構成図である。この検査装置10Cは、上述の検査装置10Aに対して、入射角が異なる複数の照明光の創出方法が異なっており、また、線状領域撮像手段11が複数設けられている点で異なっているが、撮像視野12をレンチキュラーレンズシート上で走査する撮像視野移動手段や、線状領域撮像手段11で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段40は、同様に構成されている。
【0033】
即ち、この検査装置10Cでは、撮像視野12に対する照明光の入射角αが異なるLED照明21と、撮像視野12における面法線に対して0°で反射光を受光する線状領域撮像手段11とのセットを、入射角αが±60°の範囲で複数備え、各セットが支持台31に取り付けられている。したがって、レンチキュラーレンズシート1上で支持台31をトラバースさせることにより、異なる入射角αに対応する反射光が各線状領域撮像手段11で同時に受光され、画像処理手段40は、各セットごとに入射角αと受光強度とを対応づける。よって、この検査装置10Cによっても、図3に示すような入射角αと受光強度との関係図を形成することができ、いずれかの入射角αで受光強度に異常強度が現れた場合にスジ欠陥が検出されたと判断できる。
【0034】
図6は、さらに異なる検査装置10Dの概略構成図であり、(a)は上面図、(b)は(X)方向から見た側面図である。
【0035】
この検査装置10Dでは、レンチキュラーレンズシート1上で線状領域撮像手段11とLED照明21が直線上に配置され、線状領域撮像手段11の撮像視野12は、その長手方向がブラックストライプ4の長手方向に対して垂直になっている。また、LED照明21は、入射角が0°でレンチキュラーレンズシート1を照明する。
【0036】
画像処理手段40は、線状領域撮像手段11を構成する個々の撮像素子11aごとに、照明光と撮像素子11aで受光される反射光とで挟まれる角度βを認識し、個々の撮像素子11aで受光される反射光の強度を角度βに対応させて記憶し、角度βと受光強度との関係をディスプレイ41に表示させることができる。
【0037】
また、この検出装置10Dでは、線状領域撮像手段11やLED照明21が取り付けられた支持台31をレンチキュラーレンズシート1上でトラバースさせる機能は、前述の検出装置10Aと同様に有している。
【0038】
したがって、この検出装置10Dによれば、照明光と個々の撮像素子11aで受光される反射光とで挟まれる角度βと、個々の撮像素子11aで受光される受光強度との関係に、図3と同様の関係を得ることができ、その受光強度に異常強度が表れた場合にスジ欠陥が検出されたと判断できる。
【0039】
この他、本発明は種々の態様をとることができる。例えば、検出装置10Aを、レンチキュラーレンズシート1が製造ラインで搬送されている間に連続的にスジ欠陥を検出する装置として使用することなく、所定の長さにカットされたレンチキュラーレンズシート1のスジ欠陥の有無を枚様式に検査する場合、アーム30をブラックストライプ4の長手方向に移動させ、撮像視野12を図2と同様に、レンチキュラーレンズシート1上で走査させることが好ましい。
【0040】
また、本発明において、スジ欠陥の検出対象としては、レンチキュラーレンズシートに限らず、プリズムレンズ、回折格子シート、拡散シート等の種々の光学シートを検出対象とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、種々の光学シートのスジ欠陥の検出に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】レンチキュラーレンズシートのブラックストライプを検出する検査装置10Aの模式的構成図である。
【図2】レンチキュラーレンズシートにおける撮像視野の走査ラインの説明図である。
【図3】入射角と受光強度との関係図の一例である。
【図4】レンチキュラーレンズシートのブラックストライプを検出する検査装置10Bの模式的構成図である。
【図5】レンチキュラーレンズシートのブラックストライプを検出する検査装置10Cの模式的構成図である。
【図6】レンチキュラーレンズシートのブラックストライプを検出する検査装置10Dの模式的構成図である。
【図7】レンチキュラーレンズシートのブラックストライプに生じるスジ欠陥の説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 レンチキュラーレンズシート
2 光入射側シリンドリカルレンズ
3 光出射側シリンドリカルレンズ
4 ブラックストライプ
5 凸状部
6 光吸収層
7 スジ欠陥(スジ状の傷又は光沢異常)
10A、10B、10C、10D 検査装置
11 線状領域撮像手段
12 撮像視野
20 照明手段
21、21a、21b、21c、21d、21e、21f、21g、21h、21i、21j、21k LED照明
23 照明移動装置
24 照明切り替え手段
30 アーム
31 支持台
40 画像処理手段
41 ディスプレイ
A 支持台の移動方向
α 照明光の入射角
β 照明光と個々の撮像素子で受光される反射光とで挟まれる角度


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学シートを照明し、
その反射光を線状領域撮像手段で受光し、
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測し、スジ欠陥を検出する光学シートの検査方法であって、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持して、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる間に、
照明光と線状領域撮像手段で受光される反射光とで挟まれる角が異なる複数の条件で、順次又は同時に、線状領域撮像手段で反射光を受光し、
受光強度に生じる異常強度に基づいてスジ欠陥を検出する光学シートの検査方法。
【請求項2】
光学シートがレンチキュラーレンズシートであり、ブラックストライプのスジ欠陥を検出する請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
線状領域撮像手段を、その撮像視野がブラックストライプの長手方向と平行になるように配置し、撮像視野を、ブラックストライプを横切るようにトラバースさせつつレンチキュラーレンズシートを撮像視野の方向に平行に搬送する請求項2記載の検査方法。
【請求項4】
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
光学シート上で撮像視野をトラバースさせる間に、照明手段を移動して照明光の入射角を変える照明移動手段を備え、
線状領域撮像手段が、撮像視野における面法線に対して0°で反射光を受光する光学シートの検査装置。
【請求項5】
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
照明手段が、撮像視野に対する入射角が異なる複数の光源を有し、
光学シート上で撮像視野をトラバースさせる間に、光源の点灯を順次切り替えて照明光の入射角を変える照明切り替え手段を備え、
線状領域撮像手段が、撮像視野における面法線に対して0°で反射光を受光する光学シートの検査装置。
【請求項6】
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
撮像視野に対する照明光の入射角が異なる照明手段と、撮像視野における面法線に対して0°で反射光を受光する線状領域撮像手段とのセットを複数備え、各セットの撮像視野を光学シート上で同時にトラバースさせる光学シートの検査装置。
【請求項7】
光学シートを照明する照明手段、
その反射光を受光する線状領域撮像手段、
線状領域撮像手段の撮像視野の方向を光学シートに対して一定方向に保持しつつ、光学シート上で撮像視野をトラバースさせる撮像視野移動手段、及び
線状領域撮像手段で得られた画像信号から反射光の受光強度を計測する画像処理手段を備えた光学シートの検査装置であって、
照明手段と線状領域撮像手段とが直線上に配置され、照明光の入射角が0°である光学シートの検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−329921(P2006−329921A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−156987(P2005−156987)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【出願人】(304028346)国立大学法人 香川大学 (285)
【Fターム(参考)】