説明

光学シートの製造方法及び光学シート

【課題】エンボス形状の高い転写精度を得つつ樹脂シートのアモルファス状態を維持できる結晶性樹脂を含む熱可塑性樹脂からなる光学シートの製造方法を提供する。
【解決手段】表面にエンボス加工が施されたアモルファス状態の透明結晶性樹脂シートからなる光学シートの製造方法であって、表面にエンボス形状が形成された金属製エンボスベルト13を加熱ロール11と冷却ロール12に巻装し、エンボスベルト13上で樹脂シート10をそのガラス転移温度以上の温度でエンボス加工を施した後、樹脂シート10をそのガラス転移温度よりも低い温度に急冷してエンボスベルト13から剥離する。これにより、樹脂シート10に対する形状転写性を維持しつつ、樹脂シート10が結晶性樹脂である場合でもその過度の結晶化による白化を阻止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面にエンボス加工が施されたアモルファス状態の透明結晶性樹脂シートからなる光学シートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹脂シートまたはフィルムの表面に規則的に立体的な幾何学模様(エンボスパターン)を形成した、いわゆるエンボスシートが製造されている。一般的に行われる手法として、熱可塑性樹脂溶融物をTダイよりシート状に押し出し、周面に凹凸形状を有する金属ロールとゴムロールとの間に挟圧して冷却固化することにより、表面に凹凸形状を有しかつ裏面が平滑面となされたシートを連続的に成形する溶融押し出し法が広く採用されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
溶融押し出し法では、Tダイより押し出された樹脂に対して、幾何学形状を付与された同一の剛体ロールにて転写、剥離を同時に行う。転写を完全に行うためには樹脂に十分な熱エネルギーを持たせる必要があるとともに、剥離を行うためには樹脂のガラス転移温度(Tg)以下に冷却する必要がある。溶融押し出し法では、同一の剛体ロールで転写、冷却を行うため、十分な加熱と冷却を行うことができず、転写と剥離を完全に両立させることが困難である。
【0004】
一方、エンボスシートの他の製造方法として、金属ロールや金属平板の表面にエンボスを形成しておき、これを樹脂シートの表面に転写する方法が知られている。また、複数のロールに巻装されたエンドレスベルトの表面にエンボスを形成した金属製エンドレス加工ベルトを用いて、樹脂シートの表面にエンボスパターンを形成する方法が知られている(例えば特許文献2参照)。
【0005】
上述のようにして製造されるエンボスシートは、例えば液晶表示装置用の光学シートとして用いることができる。具体的に、断面三角形状のプリズム形状が連続的に配列されたプリズムシートを上記エンボスシートとして用いることができる。プリズムシートは、バックライト光を集光して正面輝度を向上させる輝度向上シート(フィルム)として広く知られている。例えば特許文献3には、プリズム形状が表面に形成された樹脂シートを延伸して、屈折率の面内異方性をもたせたプリズムシートが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−295346号公報
【特許文献2】特開2001−277354号公報
【特許文献3】WO2006/071621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、表面にエンボス形状が付与されたアモルファス状態の樹脂シートを作製したい場合がある。例えば、形状加工したエンボスシートに屈折率の面内異方性をもたせる場合には、一般的に、結晶性樹脂シートを一軸あるいは二軸方向に延伸させる。この場合、結晶性樹脂シートはアモルファス状態である方が、延伸工程を適正かつ高精度に行うことができる。
【0008】
しかしながら、上述した従来のエンボスシートの製造方法においては、樹脂シートのアモルファス状態を維持してエンボス加工を施すことが非常に困難である。すなわち、従来のエンボスシートの製造方法においては、樹脂シートをそのガラス転移温度以上、もしくは結晶化温度領域付近に昇温してエンボス形状を付与した後、樹脂シートの剥離温度までの冷却過程で樹脂の結晶化を阻止することができない。樹脂シートの結晶化が進むと、樹脂が白化し透明性が失われ、光学シートとしての使用に適さなくなる。また、エンボス形状の転写温度が低い場合あるいは剥離温度が高い場合には、エンボス形状の高い転写精度が得られなくなる。
【0009】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、エンボス形状の高い転写精度を得つつ樹脂シートの結晶化による白化を阻止できる光学シートの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するに当たり、本発明の光学シートの製造方法は、表面に規則的に幾何学模様の加工が施された透明な熱可塑性樹脂シートからなる光学シートの製造方法であって、表面に幾何学形状が形成された金属製エンドレス加工ベルトを用いて、前記樹脂シートにそのガラス転移温度以上の温度で幾何学模様を加工し、前記幾何学模様を加工した前記樹脂シートをそのガラス転移温度よりも低い温度に急冷し、急冷した前記樹脂シートを前記金属製エンドレス加工ベルトから剥離する。
【0011】
本発明においては、樹脂シートをそのガラス転移温度以上の温度で幾何学模様(エンボス)の加工を施した後、そのガラス転移温度もしくは結晶化温度領域よりも低い温度に急冷することにより、当該樹脂シートの結晶化を抑制するようにしている。そして本発明においては、金属製エンドレス加工ベルトを用いて樹脂シートに対するエンボス加工を行った後、転写工程と冷却工程の間にわたり樹脂シートを上記金属製エンドレス加工ベルトとの一体化状態で冷却し、樹脂シートをそのガラス転移温度より低い温度で金属製エンドレス加工ベルトから剥離することで、エンボス形状の転写性および剥離性を高めるようにしている。
【0012】
アモルファス状態の樹脂シートの結晶化を阻止するためには、エンボス形状の転写後における樹脂シートのそのガラス転移温度以下の温度までの冷却速度が問題となる。冷却速度は、用いられる樹脂シートの構成材料によって異なるが、例えば、5℃/秒以上40℃/秒以下とされる。冷却速度が5℃/秒未満では、樹脂シートの過度の結晶化を阻止できず、白化(失透)の原因となる。また、冷却速度が40℃/秒を上回る設定では、エンボス加工性が損なわれ、良好な形状転写性が得られなくなる。
【0013】
また、金属製エンドレス加工ベルトから剥離したときの樹脂シートの結晶化度は、20%以下、好ましくは、5%以下とされる。樹脂シートの結晶化度が20%を超えると白化による透過率の低下が顕著となり、光学シートとしての使用に適さなくなる。
【0014】
樹脂シートの表面に加工される幾何学模様(エンボス形状)は特に限定されないが、本発明においては、プリズム形状や矩形波形状、台形状などの少なくとも1つのコーナー部(シャープエッジ)を有する形状のものに対しても高い転写率で形状付与を行うことができる。なお、プリズム形状の頂角は例えば90度とされるが、90度未満の鋭角でもよいし、90度超の鈍角でもよい。なお、エンボス形状はレンズ形状であっても構わない。
【0015】
樹脂シートとしては、透明な熱可塑性樹脂であれば特に制限されず、例えば、PET、PEN、又はこれらの混合物もしくは共重合体が好ましく用いられる。樹脂シートの総厚は、上述の冷却速度を安定に確保するため、例えば500μm以下である。また、樹脂シートの総厚に対するエンボスの形状高さの比は、例えば90%以下である。上記高さの比が90%を超えると、樹脂シートの割れ等が生じてハンドリング性が悪化する。樹脂シートは長尺の帯状でもよいし、所定サイズにカットした枚葉シートでもよい。
【0016】
金属製エンドレス加工ベルトの材質としては、例えばステンレス鋼、ニッケル鋼等を採用することができる。本発明においては、この金属製エンドレス加工ベルトに上記樹脂シートを固着させ、金属製エンドレス加工ベルトとともに樹脂シートを移動させながら、加熱、加圧そして冷却の各工程を行うことが好ましい。ここで、樹脂シートを金属製エンドレス加工ベルトに固着させる方法としては、例えば、金属製エンドレス加工ベルト上で樹脂シートをその軟化温度(ガラス転移温度以上の温度)まで加熱してベルトに密着させる方法等が挙げられる。このような方法により、製造設備を簡略化でき、コストダウンを図ることができる。また、エンボスシートを連続的に製造することが可能となることから、製造効率の向上を図ることが可能となる。
【0017】
ここで、上記加熱工程での加熱は、例えば、金属製エンドレス加工ベルトの内側から加熱する。ベルトの内側から加熱することで、加熱されたエンドレス加工ベルトに固着したシートを直接加熱することができ、加熱効率を向上できる。ここで、金属製エンドレス加工ベルトの内側からの加熱手段としては、例えば、ベルトが巻装されるロールを加熱ロールとする方法が最も有効である。これ以外にも、ロール内側に設置された電熱ヒーター等で加熱する方法や、ロール内を加熱したオイルが循環する方法が挙げられる。また、冷却手段としては、例えば金属製ロールの内側に、冷却水を流通させる構成とすることができる。また、補助的な役割として、外部から例えば赤外線ヒーター等で加熱を行ったり、エアフローによって冷却を行ったりしてもよい。
【0018】
本発明において、金属製エンドレス加工ベルトは、樹脂シートのガラス転移温度よりも高い温度に設定された加熱ロールと樹脂シートのガラス転移温度よりも低い温度に設定された冷却ロールに巻装されており、これら加熱ロールと冷却ロールの回転に同期して搬送される。この際、樹脂シートの結晶化を阻止するのに必要な冷却速度に応じて、加熱ロールと冷却ロールの設定温度、ロール間距離、ライン速度(金属製エンドレス加工ベルトの搬送速度)が設定される。
【0019】
金属製エンドレス加工ベルトの面内温度均一性は、樹脂シートの表面に付与される形状の加工精度に大きな影響を及ぼす。そこで本発明では、加熱ロールについてはロール温度を両端部よりも中央部の方を高くし、冷却ロールについてはロール温度を両端部よりも中央部の方を低く設定する。これにより、金属製エンドレス加工ベルトの面内温度均一性を高めて形状精度に優れたエンボスシートの製造が可能となる。
【0020】
樹脂シートに対するエンボス加工は、上記加熱ロールに対向配置されたニップロールと金属製エンドレス加工ベルトの間に当該樹脂シートを供給することにより行われる。この場合、金属製エンドレス加工ベルトとニップロールの間のニップ圧力が低いとエンボス形状の転写精度が低下し、ニップ圧力が高いとニップロールの耐久性に影響を及ぼして、安定した生産が行えなくなる。好ましいニップ圧力は、線圧で5kg/cm以上30kg/cm以下である。
【0021】
また、樹脂シートの冷却速度を高めるべく金属製エンドレス加工ベルトの搬送速度を高めると、樹脂シートの走行性が不安定となったり、十分な与熱ができずに転写性が低下したりする。そこで、上記ニップロールを、冷却ロールと対向する対向ロールとともにエンドレスベルトで巻装し、このエンドレスベルトと金属製エンドレス加工ベルトとの間で樹脂シートを挟持して搬送することにより、樹脂シートの走行安定性を高め、搬送速度の高速化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
以上述べたように、本発明の光学シートの製造方法によれば、結晶性樹脂シートの結晶化による白化を阻止しながら、シート表面に対して所望のエンボス形状を高い転写率で形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による光学シートの製造方法を説明するためのシート製造装置1の概略構成図である。
【0025】
シート製造装置1は、所定間隔をおいて配置された加熱ロール11および冷却ロール12と、これら各ロール11,12に巻装されたエンボスベルト13と、加熱ロール11に対向して配置されたニップロール15と、冷却ロール12に対向して配置された対向ロール(バックアップロール)16とを備えている。
【0026】
このシート製造装置1は、透明なアモルファス状態の結晶性樹脂シート10をエンボスベルト13と同期して搬送しながら、エンボスベルト13とニップロール15との間に供給し、加熱ロール11で樹脂シートをガラス転移温度以上の温度に加熱した状態で加圧することで、樹脂シート10の表面にエンボスベルト13のエンボス形状を転写する。そして、樹脂シート10をエンボスベルト13に固着させた状態で移動させ、冷却ロール12上で急速冷却した後、エンボスベルト13から剥離することで、表面に所定形状のエンボス形状(プリズムパターン)10aが形成された透明なアモルファス状態の結晶性樹脂シート10を製造する。
【0027】
加熱ロール11は、ヒーター等の加熱手段が内蔵されており、その表面温度は、樹脂シート10の軟化温度、すなわち樹脂シート10のガラス転移温度よりも高い温度に設定されている。これにより、エンボスベルト13の加熱ロール11上に位置する部分も上記温度に加熱され、この位置で樹脂シート10に対する加熱処理を行うことが可能となる。
【0028】
本実施形態では、樹脂シート10のガラス転移温度をTg(℃)としたときに、加熱ロール11の表面温度は、Tg+60℃以上、Tg+90℃以下の温度範囲に設定される。設定温度がTg+60℃未満では、樹脂シート10に対するエンボス形状の良好な転写精度を得ることができない。また、設定温度がTg+90℃を超えると、アモルファスの状態維持が困難な結晶性樹脂で樹脂シート10が構成されている場合、樹脂シート10の結晶化が過度に促進し、白化による透明性の低下が顕著となる。
【0029】
冷却ロール12は、例えば水冷式の冷却手段が内蔵されており、その表面温度は、樹脂シート10のガラス転移温度よりも低い温度に設定されている。本実施形態では、冷却ロール12の表面温度は、30℃に設定されている。これにより、エンボスベルト13の冷却ロール12上に位置する部分も冷却され、この位置で樹脂シート10に対する冷却処理を行うことが可能となる。
【0030】
本実施形態では、加熱ロール11については、図8Aに示すように、ロール温度が両端部よりも中央部の方が高くなるように設定されている。一方、冷却ロール12については、図8Bに示すようにロール温度が両端部よりも中央部の方が低くなるように設定されている。これにより、エンボスベルトの面内温度均一性を高めて形状精度に優れたエンボスシートの製造が可能となる。上述のような温度分布を実現する方法として、例えば加熱ロール11に関しては、加熱源を電熱ヒーターで構成する場合、電熱線の巻数をロール両端部よりもロール中央部が多くなるようにする。
【0031】
なお、加熱ロール11および冷却ロール12のうち少なくとも1つは、モータ等の回転駆動手段と連結されることで回転可能とされている。
【0032】
エンボスベルト13は、本発明の「金属製エンドレス加工ベルト」に対応し、熱伝導性に優れた金属製エンドレスベルトで構成されている。本実施形態において、エンボスベルト13は、ニッケル鋼で形成され、その表面には、断面三角形状(プリズム状)の溝が連続的に配列されたエンボス形状(幾何学模様)13aが設けられている。プリズム頂角は特に制限されず、例えば120°以下、好ましくは90°とされる。このエンボスベルト13はシームレス(継ぎ目なし)であることが望ましく、エンボス形状を内面側に有する円筒状の樹脂原盤にニッケル鋼を電鋳方式により成長させることにより作製する方法、もしくは円筒状のロールに巻装して直接精密切削加工を施すことが望ましいが、これに限られない。
【0033】
なお、上記エンボス形状13aの延在方向(稜線方向)は、本実施形態では樹脂シート10の幅方向(TD(Transverse Direction)方向)とされるが、これに限らず、樹脂シート10の走行方向(MD(Machine Direction)方向)でもよい。また、このエンボスベルト13には、樹脂シート10との剥離性を高めるために、エンボス形状13aの形成面に離型剤を塗布してもよい。離型剤としては、フッ素系樹脂やシリコーン系樹脂等が好ましい。
【0034】
また、エンボス形状13aは断面三角形状(プリズム形状)に限られない。なお、プリズム形状の頂角は、図9Aに示すような90度に限られず、図9Bに示すような90度未満の鋭角でもよいし、図9Cに示すような90度超の鈍角でもよい。エンボス形状13aは更に、図9Dに示す矩形波(パルス波)形状のものや、図9Eに示す台形状のものなどであってもよい。上記のように、少なくとも1つのコーナー部(シャープエッジ)を有する形状のものに対しても高い転写率で形状付与を行うことができる。
【0035】
更に、エンボス形状は種々のレンズ形状であってもよい。当該レンズ形状は、シリンドリカル状でもよいしアレイ状でも構わない。レンズ面は球面、非球面等の曲面形状のほか、連続した曲面形状に限らず、複数の曲面形状の複合形状であってもよい。
【0036】
ニップロール15は、エンボスベルト13と協働して樹脂シート10を挟圧し、樹脂シート10の表面にエンボスベルト13表面のエンボス形状13aを転写させるために設けられている。本実施形態において、ニップロール15は、加熱ロール11と同様に加熱源を内蔵しており、エンボスベルト13上の樹脂シート10を裏面側から加熱するアシストロールとしての機能をも有している。なお、ニップロール15の周面は平滑面とされるが、このニップロール15の周面にも所定のエンボス形状を設けることで、樹脂シート10の離面側にも同時に形状転写を行うことが可能となる。また、ニップロール15は、裏面の剥離をアシストするため、および、裏面ロールのわずかな形状の転写を防ぐために、冷却機構を有する冷却ロールであってもよい。
【0037】
ニップロール15とエンボスベルト13による樹脂シート10のニップ圧力は、樹脂シート10に対するエンボス形状13aの転写精度に大きく影響する。本実施形態では、上記ニップ圧力を線圧で5kg/cm以上30kg/cm以下としている。ニップ圧力が5kg/cm未満では、樹脂シート10に対するエンボス形状13aの転写精度が低下し、ニップ圧力が30kg/cmを超えるとニップロール15およびエンボスベルト13の耐久性に影響を及ぼし安定した生産が行えなくなる。
【0038】
対向ロール16は、冷却ロール12上でエンボスベルト13から樹脂シート10を剥離する際の補助ロールとして設置されている。対向ロール16は、冷却ロール12と同様に冷却手段を内蔵しており、冷却ロール12と同様な表面温度に維持されることで、樹脂シート10を裏面側から冷却する機能を有している。対向ロール16の周面は平滑面とされる。対向ロール16とエンボスベルト13による樹脂シート10のニップ圧力は特に制限されず、対向ロール16の周面が樹脂シート10の裏面に密着する程度のニップ圧力で十分である。
【0039】
樹脂シート10としては、透明な熱可塑性結晶性樹脂であれば、特に制限されない。本実施形態では、アモルファス状態維持のため冷却工程にてよりシビアな製造条件が要求される結晶性樹脂であるPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、又はこれらの混合物もしくは共重合体が用いられる。本実施形態では、アモルファス状態の樹脂シート10を長尺の帯状に形成し、これをシート製造装置1へ連続的に供給する方法が採用される。なおこれ以外にも、樹脂シート10を所定サイズにカットした枚葉シートとして形成し、これをシート製造装置1へ順次供給する方法が採用可能である。
【0040】
ここで、樹脂シート10のアモルファス状態とは、結晶化度が例えば3%以下のものを意味する。本実施形態のシート製造装置1は、このアモルファス状態の樹脂シート10の表面にエンボスベルト13を用いてエンボス加工を施した後、急冷することによって、結晶化度20%以下、好ましくは10%以下のアモルファス状態の樹脂シート(エンボスシートまたはプリズムシート)10を製造するようにしている。結晶化度が20%を超えると、白化による透過率の低下が顕著となり、光学シートとしての使用に適さなくなるからである。
【0041】
また、結晶化度が20%を超えると、一般に材料のヤング率は高くなる。このため、エンボス加工した樹脂シートをその後に延伸処理する場合、延伸に必要とされる負荷が大きくなり、更に延伸時の加熱温度をより高温に設定する必要が生じる。特に、延伸処理によって樹脂シートに複屈折を発現させるような場合、延伸前の樹脂シートの結晶化度が20%を超えていると、所望とする複屈折が得られにくくなる。
【0042】
一方、樹脂シート10に対するエンボス形状の加工前後にわたって樹脂シート10のアモルファス状態を維持するためには、加熱ロール11上における樹脂シート10の形状転写から冷却ロール12上における樹脂シート10の剥離までの当該樹脂シート10の冷却速度[℃/秒]が重要となる。この冷却速度は、樹脂シート10の構成材料によって異なるが、好ましくは、5℃/秒以上40℃/秒以下、更に好ましくは、10℃/秒以上30℃/秒以下とされる。冷却速度が5℃/秒未満では、樹脂シートの過度の結晶化を阻止できず、白化(失透)の原因となる。また、冷却速度が40℃/秒を上回る設定では、エンボス加工性が損なわれ、良好な形状転写性が得られなくなる。上記冷却速度を実現することで、シート製造装置1による形状転写工程の実施前後での樹脂シートの結晶化度の増加を5%以下に抑えることが可能となる。また、エンボスベルト13から剥離した樹脂シートの結晶化度を20%以下に抑えることができる。
【0043】
上述の樹脂シート10の冷却速度を実現するために、シート製造装置1においては、加熱ロール11と冷却ロール12のロール間距離、エンドレスベルト13の搬送速度、冷却ロール12に対する樹脂シート10の抱き角等が規定される。なお、冷却ロール12を複数本設置してもよい。
【0044】
ここで、ロール11,12間の距離が離れすぎていると、上記冷却速度を確保するためにエンドレスベルト13の搬送速度を高速化する必要が生じる。しかし、エンドレスベルト13の搬送速度を高めると、樹脂シート10の走行安定性が低下し、安定した生産性が望めなくなったり、与熱が不十分となり転写性が低下したりする。また、ロール11,12間の距離が近すぎると、エンドレスベルト13の熱交換が不十分となるため、樹脂シート10に対する所望の温度での加熱処理および冷却処理が行えなくなる。
【0045】
好適な例としては、加熱ロール11の設定温度をTg+60℃以上Tg+90℃以下、冷却ロール12の設定温度を30℃、エンボスベルト13の搬送速度を5m/分とした場合、加熱ロール11と冷却ロール12のロール間距離は100mm以上400mm以下に設定される。このロール間距離は、樹脂シート10の構成材料によって異なり、例えば、PETの場合は100mm以上200mm以下、PENの場合は100mm以上400mm以下である。なお、ロール間距離が100mmの場合の冷却速度は5m/分で20℃/秒に相当し、400mmの場合は5℃/秒に相当する。
【0046】
なお、ロール11,12間の距離を一定にして、エンボスベルト13の搬送速度を変えることで必要な冷却速度を得ることも勿論可能である。この場合、好適な搬送速度としては、ロール11,12間の距離が800mmの場合、5m/分以上10m/分以下となる。
【0047】
また、上記冷却速度条件を安定して確保するためには、樹脂シート10の総厚は500μm以下であることが好ましい。また、樹脂シート10の総厚に対するエンボスの形状高さの比は90%以下が好ましい。上記高さの比が90%を超えると、樹脂シート10の割れ等が生じてハンドリング性が悪化するからである。
【0048】
次に、以上のように構成されるシート製造装置1を用いた本実施形態の光学シート製造方法について説明する。
【0049】
まず、予め図示しない供給ロールにセットされたアモルファス状態の樹脂シート10をエンボスベルト13及びニップロール15の間に供給する。次に、加熱ロール11上で樹脂シート10をそのガラス転移温度以上の温度に加熱するとともに、エンボスベルト13とニップロール15の間で樹脂シート10を挟圧し、樹脂シート10の表面にエンボスベルト13のエンボス形状13aを転写する。
【0050】
エンボス形状が転写された樹脂シート10はエンボスベルト13に固着され、エンボスベルト13とともに冷却ロール12へ向けて搬送される。そして、樹脂シート10は冷却ロール12上でエンボスベルト13とともにガラス転移温度よりも低い温度に冷却される。この冷却工程では、エンボス形状の転写後、アモルファス状態が維持される上述の冷却速度で樹脂シート10が急冷される。冷却された樹脂シート10は、エンボスベルト13と対向ロール16間のニップ点を通過した後、エンボスベルト13から剥離され、図示しない巻取りロールに巻き取られる。
【0051】
以上のようにして、表面にエンボス形状10aが形成されたアモルファス状態の樹脂シート10が製造される。以上のような構成のシート製造装置1を用いて樹脂シート10のエンボス加工を施すことにより、製造設備を簡略化でき、コストダウンを図ることができる。また、エンボスシートを連続的に製造することが可能となることから、製造効率の向上を図ることが可能となる。
【0052】
また、本実施形態においては、樹脂シート10をそのガラス転移温度以上の温度でエンボス加工を施した後、そのガラス転移温度よりも低い温度に急冷するようにしているので、当該樹脂シート10の結晶化を抑制してアモルファス状態を維持することができる。また、エンボスベルト13を用いて樹脂シート10に対するエンボス加工を行い、転写工程と冷却工程の間にわたり樹脂シート10をエンボスベルト13との一体化状態で冷却し、樹脂シート10をそのガラス転移温度より低い温度でエンボスベルト13から剥離するようにしているので、樹脂シート10に対するエンボス形状の転写性および剥離性を高めることができる。
【0053】
したがって本実施形態によれば、アモルファス状態の結晶性樹脂シート10の結晶化による白化を阻止しながら、シート表面に対して所望のエンボス形状を高い転写率で形成することができる。特に本実施形態によれば、98%以上の高転写率で樹脂シート10にエンボス形状を転写することができる。
【0054】
ここで、本明細書において転写率は以下のように定義される。すなわち、図2A,Bに示すように、樹脂シート10に形成されたエンボスの形状高さをH2、エンボスベルト13に形成されたエンボスの形状高さをH1としたときに、転写率(%)は(H2/H1)×100で表される。
【0055】
本発明者らは、断面形状が頂角90度の二等辺三角形のエンボス形状を50μmピッチで形成した原盤を用いて、溶融押し出し方式によるエンボス形成方法と本発明のラミネート方式によるエンボス形成方法とにおける樹脂シートの実際のエンボス形状を測定した。その測定結果を図3に示す。溶融押し出し方式に比べてラミネート方式の方が転写率の高いエンボス形状を形成できることがわかる。
【0056】
一方、エンボスベルト13の面内温度均一性は、樹脂シートの表面に付与される形状の加工精度に大きな影響を及ぼす。本実施形態では、加熱ロール11についてはロール温度が両端部よりも中央部の方が高くなるように設定され、冷却ロール12についてはロール温度が両端部よりも中央部の方が低くなるように設定されている。これにより、エンボスベルト13の面内温度均一性を高めて形状精度に優れたエンボスシートの製造が可能となる。
【0057】
上述のようにしてエンボス形状が形成された樹脂シート10は、所定サイズに裁断されて目的とされる光学特性を備えた光学シートとして用いられる。図4に液晶表示装置用のプリズムシートとして用いられる樹脂シート10の構成を概略的に示す。当該樹脂シート10の表面には、X軸方向に稜線方向をもつプリズムパターン(エンボス形状)10aが所定ピッチでY軸方向に連続的に配列されている。この樹脂シート10はそのままの状態で液晶表示装置用のプリズムシートとして用いることができる。
【0058】
一方、図4に示した樹脂シート10をプリズム稜線方向(X軸方向)に所定の延伸率で延伸することで、シートの光学特性を変化させることができる。すなわち、上記延伸処理によりX軸方向の面内屈折率(nx)とY軸方向の面内屈折率(ny)の間に屈折率差をもたせることができる。樹脂シート10は結晶化度が20%以下のアモルファス状態であるため、延伸工程を適切かつ高精度に行うことができる。
【0059】
本実施形態においては、樹脂シート10の構成材料としてPETやPENなど、延伸方向に屈折率が大となる樹脂材料が用いられているので、上記延伸処理により、樹脂シート10には、nx>nyなる屈折率異方性が付与される。このような構成の樹脂シート10は、プリズム形成面を出射する光について、プリズム稜線方向(X軸方向)の偏光成分はプリズム配列方向(Y軸方向)の偏光成分よりも、プリズム斜面における臨界角反射による全反射を繰り返して光入射側に戻される量が多くなるため、プリズム配列方向の偏光成分の方がプリズム延在方向の偏光成分よりも出射光量が多いという光学特性を備える。
【0060】
図5は、上述した構成の樹脂シート10をプリズムシートとして用いた液晶表示装置20の概略構成図である。この液晶表示装置20は、液晶表示パネル21と、この液晶表示パネル21を挟む第1偏光子22Aおよび第2偏光子22Bと、プリズムシート10と、拡散シート23と、バックライトユニット24とを備えている。
【0061】
プリズムシート10は、上述のシート製造装置1によってエンボス形成された樹脂シート10に対応し、液晶表示装置20の正面輝度を向上させるための輝度向上フィルムとして用いられる。プリズムシート10は、バックライトユニット24からの照明光(バックライト光)を拡散出射する拡散シート23の光出射側に配置され、拡散シート23からの出射光を正面方向に集光する機能を有している。
【0062】
また、液晶表示パネル11を挟む一対の偏光子22A,22Bはそれぞれの透過軸a,bが互いに直交するように配置されている。図示の例では、プリズムシート10は、バックライトユニット24側に位置する第1偏光子22Aの透過軸aに対して、プリズムシート10のプリズム配列方向(Y軸方向)がほぼ平行となるように配置されている。この例は、プリズム稜線方向(X軸方向)に延伸処理されたプリズムシート10を用いる場合に特に効果的であり、出射光量の多い方の偏光成分を効率よく液晶表示パネル21へ入射させることができることから、正面輝度の向上を図れるようになる。
【0063】
なお、プリズムシート10は単一構成に限られず、複数枚重ねて用いることも可能である。この場合、各プリズムシートの稜線方向を相互に直交させて重ね配置することが好ましい。
【0064】
(第2の実施形態)
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は本実施形態によるシート製造装置2の概略構成を示している。なお、図において上述の第1の実施形態と対応する部分については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略するものとする。
【0065】
本実施形態のシート製造装置2においては、樹脂シート10の裏面側(非エンボス形成面)に対向するニップロール15及び対向ロール16に金属製エンドレスベルト14を巻装し、樹脂シート10の加熱・転写工程から冷却・剥離工程にわたって樹脂シート10をエンボスベルト13とエンドレスベルト14の間において挟持するように構成されている。
【0066】
エンドレスベルト14は、ニッケル鋼等の金属で形成されているが、金属製に限らず、耐熱性PET等の耐熱性樹脂で形成されていてもよい。エンドレスベルト14の表面は鏡面仕上げとされているが、必要に応じて形状を付与してもよく、これにより樹脂シート10の裏面側に対応する形状を転写形成することができる。
【0067】
エンドレスベルト14の厚みは、その材質にもよるが、30μm以上1000μmであることが好ましい。厚みが1000μmを超えると、加熱ロールおよび冷却ロールへの巻装が不可能となる。一方、厚みが30μm未満では、樹脂シート10の搬送の際にうねりが生じやすい、亀裂を生じやすい等の強度の上で問題が生じる可能性がある。
【0068】
以上のように構成される本実施形態のシート製造装置2においては、樹脂シート10の加熱・転写工程から冷却・剥離工程に至るまでの間、樹脂シート10は、エンボスベルト13とエンドレスベルト14の間で挟持した状態で搬送されることになる。したがって、樹脂シート10の走行安定性を高めることが可能となり、これにより、搬送速度を高速化して樹脂シート10の結晶化による白化を阻止するための冷却速度の設定自由度を高めることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態によれば、エンドレスベルト14の表面をエンボス加工を施してエンボス形状を形成することで、樹脂シート10の表面だけでなく裏面側にもエンボス形状を高い転写精度で形成することが可能となる。
【0070】
(第3の実施形態)
図7は、上述のシート製造装置2を用いて、2枚の樹脂シート10s,10tを互いに熱貼合してラミネートシート10Lを製造する例を示している。この例では、一方の樹脂シート10sの表面にエンボスベルト13でエンボス形状を転写すると同時に、2枚の樹脂シート10s,10tをエンボスベルト13とエンドレスベルト14によって挟圧することで熱貼合し一体化する。これにより、表面に所定のエンボス形状が形成されたラミネートシート10Lを容易に製造することが可能となる。
【0071】
シート製造装置2には、2枚の樹脂シート10s,10tが同時に投入される。これらの樹脂シート10s,10tにはそれぞれ同種の樹脂シートが用いられてもよいし、他の種類の樹脂シートが用いられてもよい。また、3枚以上の樹脂シートが同時に投入されてもよい。
【実施例】
【0072】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0073】
(実施例1)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:200μm
プリズムピッチ:50μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:50℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:20℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0074】
(実施例2)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:200μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0075】
(実施例3)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:200μm
プリズムピッチ:300μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0076】
(実施例4)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:200μm
プリズムピッチ:10μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0077】
(実施例5)
Tダイ押し出し成形法により、厚み500μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:500μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:50℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:15℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0078】
(実施例6)
Tダイ押し出し成形法により、厚み20μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:20μm
プリズムピッチ:20μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:50℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:30℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:30kg/cm
【0079】
(実施例7)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:200μm
プリズムピッチ:50μm
加熱ロール11の表面温度:200℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:50℃
対向ロール16の表面温度:50℃
樹脂シートの冷却速度:40℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:30kg/cm
【0080】
(実施例8)
Tダイ押し出し成形法により、厚み150μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:150μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:180℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:30℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:30kg/cm
【0081】
(実施例9)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:200μm
プリズムピッチ:350μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0082】
(実施例10)
Tダイ押し出し成形法により、厚み300μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:300μm
プリズムピッチ:75μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:70℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:4m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:5kg/cm
【0083】
(実施例11)
Tダイ押し出し成形法により、厚み300μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:100μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:50℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:25℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:5kg/cm
【0084】
(実施例12)
Tダイ押し出し成形法により、厚み100μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:100μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:50℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:6℃/秒
(シート搬送速度:2m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:20kg/cm
【0085】
(実施例13)
Tダイ押し出し成形法により、厚み300μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:300μm
プリズムピッチ:50μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:80℃
冷却ロール12の表面温度:60℃
対向ロール16の表面温度:60℃
樹脂シートの冷却速度:5℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:20kg/cm
【0086】
(比較例1)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:200μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:170℃
ニップロール15の表面温度:40℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:3℃/秒
(シート搬送速度:4m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0087】
(比較例2)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:200μm
プリズムピッチ:100μm
加熱ロール11の表面温度:170℃
ニップロール15の表面温度:60℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:20℃/秒
(シート搬送速度:5m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0088】
(比較例3)
Tダイ押し出し成形法により、厚み700μmのアモルファスPENシート(Tg:約120℃)を作製した。このアモルファスPENシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPEN
厚み:560μm
プリズムピッチ:200μm
加熱ロール11の表面温度:190℃
ニップロール15の表面温度:80℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:3℃/秒
(シート搬送速度:2m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0089】
(比較例4)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:200μm
プリズムピッチ:50μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:40℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:4m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:3kg/cm
【0090】
(比較例5)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:200μm
プリズムピッチ:50μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:40℃
冷却ロール12の表面温度:30℃
対向ロール16の表面温度:30℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:4m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:35kg/cm
【0091】
(比較例6)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:200μm
プリズムピッチ:50μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:40℃
冷却ロール12の表面温度:80℃
対向ロール16の表面温度:80℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0092】
(比較例7)
Tダイ押し出し成形法により、厚み100μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを上述のシート製造装置1又はシート製造装置2に供給して、以下の条件で、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:100μm
プリズムピッチ:185μm
加熱ロール11の表面温度:150℃
ニップロール15の表面温度:40℃
冷却ロール12の表面温度:50℃
対向ロール16の表面温度:50℃
樹脂シートの冷却速度:10℃/秒
(シート搬送速度:3m/分)
加熱ロール11及びニップロール15間のニップ線圧:15kg/cm
【0093】
(比較例8)
Tダイ押し出し成形法により、厚み200μmのアモルファスPETシート(Tg:約75℃)を作製した。このアモルファスPETシートを溶融押し出し成形法により、シート表面に頂角90度の二等辺三角形のプリズムが多数配列されたプリズムシートを製造した。
[製造条件]
シート材料:アモルファスPET
厚み:200μm
プリズムピッチ:50μm
【0094】
実施例1〜13および比較例1〜8の各シート製造条件を図10にまとめて示す。
【0095】
続いて、実施例1〜13および比較例1〜8の製造条件で作製したサンプルについて、プリズム形状の転写率[%]、プリズム頂部の曲率半径(頂角R)[μm]、シート総厚に対するプリズム高さの比率(プリズム比率)[%]、結晶化度[%]、正面輝度上昇率[%]をそれぞれ測定した。
【0096】
なお、転写率は上述の定義による。結晶化度の測定は、DSC(示差走査熱量計)による密度算出にて行った。正面輝度上昇率は、図5に示した液晶表示装置の構成をモデルとし、暗室にて、プリズムシート10及び拡散シート23がいずれも無い場合の正面輝度を基準(100%)とし、上記各実施例及び比較例に係るプリズムシートサンプル及び拡散シートを設置したときの正面輝度の上昇率とした。なお、正面輝度の測定機器には、コニカミノルタ社製「CS−1000」を用いた。
【0097】
測定結果を図11に示す。判定は3段階とし、評価基準は、「◎」が実用上現行品と比較して優位性を示すレベル、「○」が実用上問題ないレベル、「×」が実用特性を満たさないレベルである。
【0098】
図11に示したように、実施例1〜13については、いずれのサンプルも転写率99%以上という結果が得られた。また、プリズム頂部の曲率半径はプリズムピッチの5%以下であり、良好な転写精度が得られていることがわかる。また、いずれのサンプルも結晶化度が10%以下に抑えられ、白化による透明性低下は認められなかった。これらの結果から、何れのサンプルについても液晶表示装置の正面輝度を180%以上向上させることができた。
【0099】
一方、比較例1については、転写率は高いものの結晶化度が20%を超えていたため、白化による透明性低下で正面輝度の上昇率は175%に留まった。これは、加熱ロール11の表面温度が高く(Tg+90℃超)、結晶化阻止に必要な冷却速度が得られなかったためと考えられる。比較例2については、結晶化の促進は阻止できたものの転写率が低く同様に輝度の上昇は不十分であった。これは、加熱ロール11の表面温度が低く(Tg+60℃未満)、形状転写が不十分であったためと考えられる。比較例3については、樹脂シートが560μmと厚すぎたため、冷却速度が十分でなく結晶化が過促進され、白化による透過率の低下が認められた。
【0100】
比較例4については、加熱ロール11とニップロール15の間のニップ線圧が3kg/cmと低すぎたため、形状転写が十分ではなく、高い正面輝度上昇率が得られなかった。一方、比較例5については、ニップ線圧が35kg/cmと高すぎたため、設備上、安定したシート製造が行えなかった。また、比較例6については、冷却ロール12の表面温度が高く(Tg超)、剥離性が悪く、シートを安定して製造することができなかった。
【0101】
なお、比較例7については、シート総厚に対するプリズム高さの比率が高いため(90%超)、シートがプリズム稜線方向に沿って裂けてしまい、割れ等が発生して、耐久性およびハンドリング性が悪く、安定した製造が行えなかった。そして、比較例8については、溶融押し出し法による形状転写であるため、転写率が悪く、良好な輝度上昇は認められなかった。
【0102】
以上のように、冷却速度が5℃/秒以上40℃/秒以下、加熱ロール11の表面温度がTg+60℃以上Tg+90℃以下、樹脂シートの厚みが500μm以下である実施例1〜13においては、シートの過度な結晶化が阻止され、結晶化度20%以下に抑えることができた。また、ニップ圧力が線圧で5kg/cm以上30kg/cm以下の条件を満たすため、良好な形状転写性と剥離性が得られ、かつ安定した生産性を確保することができた。
【0103】
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、勿論、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0104】
例えば以上の実施形態では、シート製造装置1,2に対してロール状態の樹脂シートあるいは枚葉サイズの樹脂シート10を供給するようにしたが、当該シート製造装置の前段側に、アモルファス状態の樹脂シートを製造する溶融押し出し成形装置を設置し、樹脂シートの製造からエンボス形成までを連続して行うようにしてもよい。
【0105】
また、シート製造装置の後段側に、製造したエンボスシートを所定方向に延伸する延伸装置を設置することによって、エンボス加工処理と延伸処理を連続的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第1の実施形態による光学シートの製造方法に用いられるシート製造装置の概略構成図である。
【図2】図1のシート製造装置におけるエンボスベルトおよび樹脂シートのエンボス形成面をそれぞれ示す要部拡大断面図である。
【図3】ラミネート方式による形状転写と溶融押し出し方式による形状転写の形状転写性の相違を説明する一実験結果を示す図である。
【図4】図1のシート製造装置により製造される樹脂シート(光学シート)の全体構成を示す概略斜視図である。
【図5】図4に示した光学シートをプリズムシートとして用いた液晶表示装置の概略構成図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による光学シートの製造方法に用いられるシート製造装置の概略構成図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による光学シートの製造方法を説明する図である。
【図8】加熱ロールおよび冷却ロールの温度分布を示す図である。
【図9】樹脂シートの表面に形成されるエンボス形状の例を示す図である。
【図10】本発明の実施例の結果を示す表である。
【図11】本発明の実施例の結果を示す表である。
【符号の説明】
【0107】
1、2…シート製造装置
10…樹脂シート
プリズムシート(光学シート)
11…加熱ロール
12…冷却ロール
13…エンボスベルト
14…エンドレスベルト
15…ニップロール
16…対向ロール
20…液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に規則的に幾何学模様の加工が施された透明な熱可塑性樹脂シートからなる光学シートの製造方法であって、
表面に幾何学形状が形成された金属製エンドレス加工ベルトを用いて、前記樹脂シートにそのガラス転移温度以上の温度で幾何学模様を加工し、
前記幾何学模様を加工した前記樹脂シートをそのガラス転移温度よりも低い温度に急冷し、
急冷した前記樹脂シートを前記金属製エンドレス加工ベルトから剥離する
光学シートの製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートは、透明な結晶性樹脂である
光学シートの製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートは、PET、PEN、又はこれらの混合物もしくは共重合体である
光学シートの製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記ガラス転移温度以上の温度は、前記樹脂シートのガラス転移温度をTg(℃)としたときに、Tg+60℃以上、Tg+90℃以下の温度である
光学シートの製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートを急冷する工程は、前記樹脂シートを5℃/秒以上40℃/秒以下の冷却速度で冷却する
光学シートの製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートを前記金属製エンドレス加工ベルトから剥離したときの前記樹脂シートの結晶化度は20%以下である
光学シートの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記光学シートの製造方法の実施前後での前記樹脂シートの結晶化度の増加が5%以下である
光学シートの製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートを複数枚投入し、
前記金属製エンドレス加工ベルトによる形状の転写と同時に、前記複数枚の樹脂シートを熱貼合により互いに一体化する
光学シートの製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートの総厚は、500μm以下である
光学シートの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートの総厚に対する転写部分の高さ比が90%以下である
光学シートの製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートに転写される幾何学模様はエンボス形状である
光学シートの製造方法。
【請求項12】
請求項11に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートに転写される前記エンボス形状は、プリズム形状である
光学シートの製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートに転写される前記プリズム形状は、頂角が90度の二等辺三角形である
光学シートの製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートへの前記プリズム形状の転写率は、98%以上である
光学シートの製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記金属製エンドレス加工ベルトは、前記樹脂シートのガラス転移温度よりも高い温度に設定された加熱ロールと前記樹脂シートのガラス転移温度よりも低い温度に設定された冷却ロールに巻装されており、かつ、前記加熱ロールと前記冷却ロールの回転に同期して搬送される
光学シートの製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートは、前記加熱ロールに対向配置されたニップロールと前記金属製エンドレス加工ベルトの間で加工され、
前記金属製エンドレス加工ベルトと前記ニップロールの間のニップ線圧は、5kg/cm以上30kg/cm以下である
光学シートの製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の光学シートの製造方法であって、
前記ニップロールと、前記冷却ロールと対向する対向ロールとにエンドレスベルトが巻装されており、
前記樹脂シートは、前記金属製エンドレス加工ベルトと前記エンドレスベルトの間で挟持されて搬送される
光学シートの製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートは、前記金属製エンドレス加工ベルトにより形状が転写されると同時に、前記エンドレスベルトの表面に形成された幾何学形状によって当該樹脂シートの反対側にも形状が転写される
光学シートの製造方法。
【請求項19】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートの表面に加工される幾何学模様は、少なくとも1つのコーナー部を有している
光学シートの製造方法。
【請求項20】
請求項1に記載の光学シートの製造方法であって、
前記樹脂シートを搬送する加熱ロールについては、ロール温度を両端部よりも中央部の方を高く設定し、
前記樹脂シートを搬送する冷却ロールについては、ロール温度を両端部よりも中央部の方を低く設定する
光学シートの製造方法。
【請求項21】
請求項1に記載の光学シートの製造方法によって製造される光学シートであって、
前記光学シートは、液晶表示パネルと前記液晶表示パネルを照明する光源との間に配置されるプリズムシートとして使用される
光学シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−260268(P2008−260268A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−21860(P2008−21860)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】